JP2022178658A - 加熱膨張シート - Google Patents

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Abstract

Figure 2022178658000001
【課題】加熱膨張することによって、隙間を挟んで向かい合う2つの被着面を十分に接着しながらも、樹脂フローの発生を抑えることができる加熱膨張シートを提供する。
【解決手段】2つの面によって形成される隙間の内部に配置されて、加熱されることによって膨張して前記2つの面を接着する加熱膨張シートであって、基材と、前記基材上に形成された熱硬化性樹脂を含有する接着層である第1樹脂層及び第2樹脂層と、を備え、前記第1樹脂層の昇温速度が、加熱時の条件によって、前記第2樹脂層の昇温速度よりも大きく、加熱前の前記第1樹脂層の厚みが前記第2樹脂層の厚みよりも小さいことを特徴とする加熱膨張シートとした。
【選択図】図1


Description

本発明は、加熱膨張シートに関するものである。
プレス等による外圧をかけることなく、被着面を接着する方法としては特許文献1に記載されているように、接着シートの接着層に加熱することによって膨張する膨張剤を含有させ、この接着シートを加熱することによって、接着層内に発生する膨張圧を利用するものが考えられている。
このような加熱膨張シートを用いて、狭い空間(隙間)を挟んで向かい合う2つの被着面を接着する場合には、これらの間に加熱膨張シートを挿入してから加熱し、膨張させることによって、2つの被着体の間の隙間を埋める又は減少させる方法が考えられる。
しかしながら、この方法においては、隙間の内部で膨張した接着層が隙間の外部に溢れ出す、樹脂フローという現象が発生してしまう場合がある。
特開2007-106963
本発明は前述した課題に鑑みてなされたものであり、加熱膨張することによって、隙間を挟んで向かい合う2つの被着面を十分に接着しながらも、樹脂フローの発生を抑えることができる加熱膨張シートを提供することを目的とする。
本発明者らが、この課題を解決するために鋭意検討した結果、樹脂フローの発生は、加熱膨張時における樹脂の粘度低下がその要因であり、接着層に熱硬化性樹脂を含有する樹脂層を用いた場合には、昇温速度が大きくなると粘度の低下が顕著になり、一方昇温速度が小さくなると樹脂の粘度低下が抑えられることを見出した。
本発明は、前述したような、本発明者らの新しい知見に基づいてなされたものであり、以下のような特徴を有するものである。
すなわち、本発明に係る加熱膨張シートは、2つの被着面によって形成される隙間の内部に配置されて、加熱されることによって膨張して前記2つの面を接着する加熱膨張シートであって、基材と、前記基材上に形成された熱硬化性樹脂を含有する接着層である第1樹脂層及び第2樹脂層と、を備え、前記第1樹脂層の昇温速度が、加熱時の条件によって、前記第2樹脂層の昇温速度よりも大きく、加熱前の前記第1樹脂層の厚みが前記第2樹脂層の厚みよりも小さいことを特徴とする。
このように構成した加熱膨張シートによれば、昇温速度がより大きく粘度低下が起こりやすい第1樹脂層の厚みを第2樹脂層よりも小さくしているので、従来よりも樹脂フローの発生をできるだけ抑えることができる。
前記第2樹脂層の昇温速度を前記第1樹脂層の昇温速度よりも小さくするためには、前記第1樹脂層と前記第2樹脂層とが、第1樹脂層と第2樹脂層との間でこれらの昇温速度を制御する昇温速度制御層を挟んで配置されていることが好ましい。例えば、前記基材を、前記昇温速度制御層として用いることもできる。
加熱時に、前記第1樹脂層が、前記第2樹脂層よりも熱を受けやすい位置に配置されることによって、第1樹脂層と第2樹脂層との昇温速度が異なるものとしても良い。
前記第1樹脂層と前記第2樹脂層との合計厚みが90μm以下であり、かつ以下の式(1)を満たす場合に、本発明の効果がより顕著に発揮される。
(前記隙間の最小寸法-前記基材の厚み)/(前記第1樹脂層と前記第2樹脂層との合計厚み)≦2・・・(1)
本発明の具体的な実施態様としては、前記第1樹脂層及び/又は前記第2樹脂層が、エポキシ樹脂と熱可塑性樹脂と熱膨張剤とを含有するものを挙げることができる。また、前記膨張剤としては、例えば、マイクロカプセル型発泡剤を挙げることができる。
前記隙間から外側へ突出する樹脂フロー量が1200μm以下であることが好ましい。
2つの被着面によって形成される隙間の内部に配置されて、加熱されることによって膨張して前記2つの面を接着する加熱膨張シートであって、基材と、前記基材上に形成された熱硬化性樹脂を含有する接着層である第1樹脂層及び第2樹脂層と、を備え、前記第1樹脂層の昇温速度が、加熱時の条件によって、前記第2樹脂層の昇温速度よりも大きく、前記第1樹脂層が膨張剤を含有しない、又は前記第1樹脂層中の前記熱膨張剤の含有量が、前記第2樹脂層中の前記熱膨張剤の含有量の半分以下ものとすることによっても、同様に樹脂フローの発生を抑制することができる。
本発明によれば、隙間を挟んで向かい合う2つの被着面を十分に接着しながらも、樹脂フローの発生を抑えることができる。
本発明の一実施形態に係る加熱膨張シートの構成を示す概略断面図である。 熱硬化性樹脂を含有する加熱膨張性樹脂層の発泡開始温度、最低粘度温度および硬化活性温度の関係を示すグラフである。 本実施形態に係る過熱膨張シートを加熱する場合における各層と熱源の位置関係を示す模式図である。 熱硬化性樹脂を含有する加熱膨張性樹脂層について、昇温速度の違いによる粘度低下の度合いを示すグラフである。
以下に、本発明の一実施形態に係る加熱膨張シートについて、図面を用いて説明する。
<加熱膨張シート>
図1は、本発明の加熱膨張シート1の構成を示す概略断面図である。
本発明の加熱膨張シート1は、例えば、電子機器或いは電子デバイス用の導材シート、電子機器或いは電子デバイス用の絶縁シート等として様々な分野に使用できるものである。
具体的に、この加熱膨張シート1は、隙間の内部に配置して加熱することにより隙間を挟んで向かい合う2つの被着面を接着するものであり、シート状の基材10と、この基材10上に設けられた接着層20とを備えるものである。
<<基材>>
基材10は、接着層20を支持する支持材としての機能を果たすものである。
具体的に、この基材10は、シート状のものであり、単層構造であっても、積層構造であってもよい。基材10全体の厚さは、例えば1~300μmであり、5~200μmであることが好ましく、25~120μmであることがより好ましい。
基材10の材質は、特に限定されないが、無機材料でも有機材料でもよい。例えば、加熱膨張シートに電気伝導性が求められる場合には金属フィルムを使用することができ、加熱膨張シートに電気絶縁性が求められる場合に樹脂フィルムを使用することができる。
金属フィルムとしては、特に限定されないが、例えば銅箔およびアルミ箔を使用できる。金属フィルムの厚さは、例えば1~100μmであり、10~70μmであることが好ましく、15~50μmであることがより好ましい。
樹脂フィルムは、特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、芳香族ポリエステル等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート;ポリアリレート;ポリウレタン;ポリアミド、ポリエーテルアミド等のポリアミド系樹脂;ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド等のポリイミド系樹脂;ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等のポリスルホン系樹脂;ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン等のポリエーテルケトン系樹脂;ポリフェニレンスルフィド(PPS);変性ポリフェニレンオキシドを含むことができる。樹脂フィルムは、これらの単独の樹脂からなってもよく、或いは2種以上の混合樹脂からなってもよい。樹脂フィルムは、耐熱性および電気絶縁性等の観点から、PENフィルム、PETフィルム、PPSフィルムまたはPIフィルムであることが好ましく、PENフィルムPPSフィルムまたはPIフィルムであることがより好ましい。樹脂フィルムの厚さは、例えば1~100μmであり、10~70μmであることが好ましく、15~50μmであることがより好ましい。
<<接着層>>
接着層20は、加熱膨張時に加熱膨張シート1の最外層となる第1樹脂層21と第2樹脂層22とを備えるものである。本実施形態では、図1に示すように、基材10の両面に第1樹脂層21と第2樹脂層22とがそれぞれ積層された構造となっている。
第1樹脂層21と第2樹脂層22とは、同じ組成の物であっても良いし、異なる組成の物であっても良いが、本実施形態では、第1樹脂層21と第2樹脂層22とは同じ組成の樹脂層であり、いずれも加熱膨張性の接着層であるものについて説明する。
第1樹脂層21は、例えば、第1樹脂層21を構成する第1樹脂組成物を基材10上に塗布し乾燥することによって形成することができるものである。第2樹脂層22は、例えば、第2樹脂層22を構成する第2樹脂組成物を基材10上に塗布し乾燥させることによって形成することができるものである。なお、第1樹脂組成物は、第1樹脂層21に含まれる全材料及びこれらを懸濁又は溶解する適切な溶媒(揮発成分)を含む組成物を意味する。同じく第2樹脂組成物とは、第2樹脂層22に含まれる全材料及びこれらを懸濁又は溶解する適切な溶媒(揮発成分)を含む組成物を意味する。
第1樹脂層21と第2樹脂層22、及び第1樹脂組成物と第2樹脂組成物は、本実施形態では同じ組成のものであるので、以下では第1樹脂層21および第1樹脂組成物について説明することとする。
第1樹脂層21は、熱硬化性樹脂、硬化剤、熱可塑性樹脂および膨張剤を含有するものである。
熱硬化性樹脂とは、熱により硬化剤と反応する架橋性官能基を有するものである。
前記架橋性官能基は、例えば、水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、オキサゾリン基、オキサジン基、シラノール基、アルコキシシラン基、ヒドロキシル基、アミノ基、イミノ基、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基、ブロック化カルボキシル基等が挙げられる。
これらの中でも熱硬化温度、及び成膜性を考慮するとエポキシ基が最も好ましく、エポキシ基以外ではカルボキシル基、酸無水物基が好ましい。
具体的には、熱硬化性樹脂の酸価は5~90mgKOH/gが好ましく、10~70mgKOH/gがより好ましい。酸価が5mgKOH/g以上であることで、耐熱性が得易くなる。酸価が5mgKOH/g未満の場合、架橋が不十分で塗膜の強度が弱くなり耐熱性が得られなくなる。
また酸価が90mgKOH/gを超える場合、架橋点が多くなり塗膜の柔軟性が失われる問題が生じる。
なお熱硬化性樹脂は、架橋性官能基を2種以上有することができる。
前記熱硬化性樹脂は、例えば、ポリエステル樹脂、エポキシエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、側鎖変性フェノキシ樹脂などが挙げられる。
これらの中でも接着力と耐久性、及び溶融粘度の面からウレタンまたはエポキシ樹脂が好ましい。これらの樹脂は、1種または2種以上使用できる。
以下では、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合について説明するが、ウレタン樹脂などの他の種類の熱硬化性樹脂を使用した場合であっても同様の構成を採用することができる。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ヒンダトイン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン/フェノールエポキシ樹脂、脂環式アミンエポキシ樹脂、脂肪族アミンエポキシ樹脂およびこれらに各種変性を行ったエポキシ樹脂を含むことが好ましい。エポキシ樹脂は、これらの単独の化合物からなってもよく、或いは2種以上の混合物からなってもよい。耐熱性および電気絶縁性等の観点から、エポキシ樹脂は、ノボラック型エポキシ樹脂であることが好ましい。
エポキシ樹脂の軟化点は、JIS K 2207に規定される環球式軟化点試験法を用いて測定できる。第1樹脂層21の発泡開始温度は、例えば70~200℃、好ましくは100℃~180℃の範囲であることが好ましい。
熱硬化性樹脂の含有量は、第1樹脂層21の全質量に対し30~70質量%であることが好ましい。当該含有量が30質量%以上であることにより、耐熱性や絶縁性において優位となる。また、当該含有量が70質量%以下であることにより、柔軟性及び成膜性において優位となる。当該含有量は、40~65質量%であることがより好ましく、50~60質量%であることがさらに好ましい。第1樹脂層21は、前述したように、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを両方含むものであるが、含有量からも分かるように熱硬化性樹脂がベース剤となっており、第1樹脂層21全体としては熱硬化性樹脂としての性質を有するものとなっている。
熱硬化性樹脂は、硬化剤を使用して硬化することが好ましい。前記硬化剤は、熱硬化性樹脂の架橋性官能基と反応できる官能基を1つ以上有する化合物であれば良く、限定されない。
熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合の硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド、脂肪族ポリアミド等のアミド系硬化剤;ジアミノジフェニルメタン、メタフェニレンジアミン、アンモニア、トリエチルアミン、ジエチルアミン等のアミン系硬化剤;ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、p-キシレンノボラック樹脂等のフェノール系硬化剤;酸無水物系硬化剤の少なくとも1種を含むことが好ましい。硬化剤は、これらの単独の化合物からなってもよく、或いは2種以上の混合物からなってもよい。また、保存安定性(ポットライフ)を長くすることができることから、潜在性硬化剤を使用する事が好ましい。潜在性硬化剤は、一般に、熱や光といった外部からの刺激により硬化が促進される硬化剤である。本発明において、潜在性硬化剤を使用することにより、発泡したエポキシ樹脂を所望のタイミングで速やかに硬化させることができる。潜在性硬化剤の中でも特に、硬化反応速度の観点から、硬化剤は、アミド系硬化剤およびアミン系硬化剤の少なくとも1種を含むことがより好ましく、ジシアンジアミドを含むことがさらに好ましい。
例えば、熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂を使用する際に適正な硬化反応を起こし、充分な接着強度を確保するためには、エポキシ樹脂のエポキシ当量に対する硬化剤の当量の当量比(硬化剤の当量/エポキシ樹脂の当量)は0.8~1.2であることが好ましく、0.85~1.15であることがより好ましく、0.9~1.1であることがさらに好ましい。特に、硬化剤がアミド系硬化剤を含み、上記当量比が0.8~1.2であることが好ましい。
なお、本明細書においてエポキシ当量とは、エポキシ化合物の分子量を1分子中のエポキシ基の数で除した値である。エポキシ当量は、JIS K7236に準じて、0.1mol/Lの過塩素酸酢酸標準液によって電位差測定することにより求めることができる。硬化剤当量とは、硬化剤の分子量を1分子中の活性水素(エポキシ基と反応する部位)の数で除した値である。硬化剤当量は、塩化アセチル-水酸化カリウム滴定法により求める事ができる。さらに核磁気共鳴装置(NMR)、ガスクロマトグラフィー(GC)、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で成分分析を行い、この分析結果から計算で求めることができる。
なお、熱硬化性樹脂の架橋性官能基がカルボキシル基の場合、硬化剤は、エポキシ化合物、アリジリン化合物、イソシアネート化合物、ポリオール化合物、アミン化合物、メラミン化合物、シラン系、カルボジイミド系化合物、金属キレート化合物等が好ましい。
また、架橋性官能基が水酸基の場合、硬化剤は、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物、金属キレート化合物が好ましい。また、架橋性官能基がアミノ基の場合、硬化剤は、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物、金属キレート化合物が好ましい。これらの硬化剤は、1種または2種以上使用できる。
これら場合の熱硬化性樹脂と硬化剤との当量比は、用いる熱硬化性樹脂と硬化剤との組み合わせによって適宜変更することができるが、例えば、熱硬化性樹脂としてウレタン樹脂を用い、硬化剤としてエポキシ化合物を用いる場合には、前述したエポキシ当量とアミン当量との当量比に準じて、これらの含有量を決定することができる。
熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、アセタール系樹脂(ブチラール樹脂等)、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、カルボキシル基末端ブタジエンニトリルゴム(CTBN)およびエポキシ変性ブタジエンの少なくとも1種を含むことが好ましい。中でもアクリル樹脂、ウレタン樹脂及びアセタール系樹脂の少なくとも1種を含むことがさらに好ましい。熱可塑性樹脂は、これらの単独の化合物からなってもよく、或いは2種以上の混合物からなってもよい。また、熱可塑性樹脂は、熱可塑性エラストマーを含有することが好ましく、熱可塑性エラストマーであることがより好ましい。この熱可塑性エラストマーのガラス転移温度(Tg)は、100~120℃であることが好ましい。このような範囲のTgを有するエラストマーを高軟化点エラストマーともいう。
熱可塑性樹脂の含有量は、第1樹脂層21の全質量に対し3~30質量%であることが好ましい。当該含有量が3質量%以上であることにより、第1樹脂層21が柔軟性を獲得し、発泡性が向上する。また、当該含有量が30質量%以下であることにより、第1樹脂層21の柔軟性を適度な範囲に保ち、充分な接着強度が確保できる。当該含有量は、4~25質量%であることがより好ましく、5~20質量%であることがさらに好ましい。特に、熱可塑性樹脂がエラストマーであり、かつ、当該含有量が3~30質量%であることが好ましい。
膨張剤としては、特に限定されず、無機系および有機系のいずれの膨張剤を使用してもよい。具体的には、膨張剤は、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素アンモニウム、アジド類などの無機系発泡剤;トリクロロモノフルオロメタンなどのフッ化アルカン;アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系化合物;パラトルエンスルホニルヒドラジドなどのヒドラジン系化合物;p-トルエンスルホニルセミカルバジドなどのセミカルバジド系化合物;5-モルホリル-1,2,3,4-チアトリアゾールなどのトリアゾール系化合物;N,N’-ジニトロソテレフタルアミドなどのN-ニトロソ化合物、および、炭化水素系溶剤をマイクロカプセル化させたマイクロカプセル化発泡剤の少なくとも1種を含むことが好ましい。膨張剤は、これらの単独の化合物からなってもよく、或いは2種以上の混合物からなってもよい。これらの中でも、接着層20の硬化を阻害せず、エポキシ樹脂の物性に与える悪影響を少なくする点から、膨張剤は前述したようなマイクロカプセル発泡剤であることが好ましい。
熱膨張性マイクロカプセルは、ガスバリアー性を有する熱可塑性樹脂をシェルとし、シェルの内部に熱膨張剤を内包させたマイクロカプセルである。熱膨張性マイクロカプセルを加熱すると、シェルの熱可塑性樹脂が軟化し、熱膨張剤の体積が増大することにより、カプセルが膨張する。例えば、低沸点の炭化水素系化合物の気化をカプセルの膨張に利用できる。
膨張剤の含有量は、第1樹脂層21の全質量に対し3~19質量%であることが好ましい。当該含有量が3質量%以上であることにより、充分な発泡性を確保でき、接着強度が向上する。また、当該含有量が19質量%以下であることにより、過剰な発泡に起因する接着強度の低下を抑制できる。当該含有量は、4~17質量%であることがより好ましく、5~15質量%であることがさらに好ましく、7~12質量%であることが特に好ましい。特に、発泡剤が熱膨張性マイクロカプセルを含み、かつ、当該含有量が3~19質量%であることが好ましい。
第1樹脂層21には、前述した以外にも、必要に応じて、硬化促進剤およびフィラー等の他の添加剤を含むこともできる。
硬化促進剤としては、2-メチルイミダゾール、2-メチル-4-エチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール等のイミダゾール類;1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン等の3級アミン類;トリブチルポスフィン、トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類の少なくとも1種を含むことが好ましい。硬化促進剤は、これらの単独の化合物からなってもよく、或いは2種以上の混合物からなってもよい。硬化促進剤の含有量は、第1樹脂層21の全質量に対し0.1~5質量%であることが好ましく、0.5~4質量%であることがより好ましく、1~3質量%であることが特に好ましい。
フィラーは、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、酸化ケイ素、タルク(珪酸マグネシウム)等の無機フィラーの少なくとも1種を含むことが好ましい。フィラーは、これらの単独の化合物からなってもよく、或いは2種以上の混合物からなってもよい。フィラーの含有量は、第1樹脂層21の全質量に対し3~20質量%であることが好ましく、5~17質量%であることがより好ましく、7~15質量%であることが特に好ましい。
以上に説明したような接着層20を備える加熱膨張シート1における、加熱膨張させる前(加熱膨張シート1の製造時)の第1樹脂層21及び第2樹脂層22の厚さは、それぞれ単独での厚さが、例えば10μm以上100μm以下であり、15μm以上70μm以下であることが好ましく、20μm以上40μm以下であることがより好ましい。
本実施形態に係る加熱膨張シート1においては、加熱膨張させる前(加熱膨張シートの製造時)の第1樹脂層21の厚みが第2樹脂層22よりも小さくなるようにしてある。
第1樹脂層21の厚みは、第2樹脂層22の厚みに比べて小さいものであれば良いが、例えば、厚みの比(第1樹脂層の厚み/第2樹脂層の厚み)が、0.2以上0.8以下の範囲内となっていることが好ましい。
さらに、第1樹脂層21及び第2樹脂層22の硬化過程において、これら各樹脂層21,22の発泡開始温度から硬化挙動における硬化活性温度までの温度範囲に、エポキシ樹脂の粘度が最低となる最低粘度温度があることが好ましい。エポキシ樹脂の粘度が最低となる最低粘度温度は、例えば、粘弾性測定装置により測定した温度と樹脂試料の溶融粘度(複素粘度)との関係から、複素粘度曲線のオフピークを示す温度として求めることができる。例えば、図2は、所定の本実施形態において説明した第1樹脂組成物を用いて形成した樹脂層(以下、試料という。)について、発泡開始温度、最低粘度温度および硬化活性温度の関係を示すグラフである。図2において、温度aは、試料のTMA曲線から求めた発泡開始温度(135℃)であり、温度bは、試料の複素粘度曲線から求めた最低粘度温度(192℃)であり、温度cは、同様に用意した試料のDSC曲線から求めた硬化活性温度(210℃)である。最低粘度温度が上記発泡開始温度から上記硬化活性温度までの温度範囲にあることにより、試料の発泡開始後、試料の硬化が活性化する前の段階で、エポキシ樹脂の粘度が充分に低下しているため、エポキシ樹脂が試料の発泡を阻害せず、良好な発泡倍率が得られる。
このように、最低粘度温度が上記発泡開始温度より高く、上記硬化活性温度より低い性質を実現する方法は、特に限定されないが、例えば、試料が含有する熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との含有量の比(熱硬化性樹脂の含有量/熱可塑性樹脂の含有量)を、1.0以上23.3以下、好ましくは1.6以上16.5以下、より好ましくは2.5以上12.0以下などとする方法を挙げることができる。
また、熱可塑性樹脂が、前述したように熱可塑性エラストマーを含有するものであることが好ましく、アクリル系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、及びアセタール系熱可塑性エラストマーの少なくとも1種又は複数種の組合せを含むことがさらに好ましい。
また、熱可塑性エラストマーのガラス転移温度(Tg)が、100~120℃であることが好ましい。
熱可塑性樹脂の試料(第1樹脂層又は第2樹脂層に相当する)の全質量に対する含有量が、試料の全質量に対し3~30質量%であることが好ましい。さらに言えば、熱可塑性樹脂が熱可塑性エラストマーを含有するものである、又は熱可塑性樹脂が全て熱可塑性エラストマーであり、当該熱可塑性エラストマーの含有量が試料の全質量に対して3~30質量%であることがさらに好ましい。
また、最低粘度温度が上記発泡開始温度より高く、上記硬化活性温度より低い性質を実現する他の方法としては、試料が含有する硬化促進剤と熱硬化性樹脂との含有量の比(硬化促進剤/熱硬化性樹脂)を、0.001以下0.16以上、好ましくは0.001以上0.04以下、より好ましくは0.005以上0.03以下、特に好ましくは0.01以上0.02以下などとする方法を挙げることができる。
本実施形態に係る加熱膨張シートにおいて、加熱膨張シート1の最外表面である第1樹脂層21及び第2樹脂層22の外表面の表面粗さRaは、0.4μm以上であることが好ましい。当該表面粗さRaが0.4μm以上であることにより、加熱膨張シート1の最外表面と被着体との接触が点接触となり、接触が生じても加熱膨張シート1が受ける外力(摩擦抵抗)が減少するため、加熱膨張シート1のシワやバラツキの発生を抑制したり、摩擦係数を低減して作業性を向上させたりすることができる。加熱膨張シート1の最外表面における表面粗さRaは、1.0μm以上であることがより好ましく、1.5μm以上であることがさらに好ましく、1.8μm以上であることが特に好ましい。また、加熱膨張シート1の最外表面における表面粗さRaは、50μm以下であることが好ましい。これにより、第1樹脂層21及び第2樹脂層22をバラツキなく発泡させて、これら各樹脂層21、22に対向する被着体への充分な接着を確保することができる。さらに、加熱膨張シート1の最外表面における表面粗さRa、30μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることがさらに好ましく、10μm以下であることが特に好ましい。
なお、液状の第1樹脂組成物及び第2樹脂組成物を基材10に塗布して第1樹脂層21又は第2樹脂層22を形成する場合には、加熱膨張シート1の最外表面における表面粗さRaは、基材10の表面粗さと同程度の値となり得る。
加熱膨張シート1の最外表面における表面粗さRaの形成手段は、特に制限されない。例えば、所望の表面粗さを有する基材10の表面に、液状の樹脂組成物を塗布し、乾燥させることで、基材10の表面粗さを加熱膨張シート1の最外表面に反映することができる。
<加熱発泡シートを使用した被着面の接着方法>
以上のように構成した加熱膨張シート1を用いて被着体を接着する場合には、前述したように加熱膨張シート1を2つの被着面の間に形成された隙間の内部に配置してから加熱して膨張させる。
加熱膨張時の第1樹脂層21及び第2樹脂層22の膨張率は、隙間を充填し、2つの被着面を互いに接着するために十分な膨張率であればよく、特に限定されないが、例えば、1.5倍以上4.0倍以下の範囲であることが好ましい。
第1樹脂層21及び第2樹脂層22の膨張率は、これら各樹脂層21,22がそれぞれ含有する膨張剤の含有量等によって調節することができる。
加熱膨張シート1を加熱する方法は特に限定されないが、加熱膨張シート1全体を温めるために、例えば図3に示すように、熱源を加熱膨張シート1の厚み方向から温める位置に配置することが一般的である。
加熱膨張シート1を発泡させる加熱条件は、適宜調整されるものであるが、例えば最大温度が150~200℃の範囲で、35~70℃/minである。
この図3(a)に示すよう熱源を1つのみ使用する場合、熱源からの熱は、加熱膨張シート1の片面側から供給されて加熱膨張シートの内部を伝わって加熱膨張シート1全体に広がることとなる。そのため、片面側に他方よりも昇温速度が大きい面が生じることとなる。
また、図3(b)熱源を複数設けて加熱膨張シート1を両面から温める場合には、複数の熱源の温度を完全に一致させることや、熱源からの距離や熱を伝える媒体の条件などを加熱膨張シート1の両面において完全に一致させることは難しいために、熱源からの熱が伝わりやすい面と伝わりにくい面とが生じ、やはり片面側に他方よりも昇温速度が大きい面が生じることとなる。
そこで、前述した第1樹脂層21を比較的熱が伝わりやすい側に、第2樹脂層22を比較的熱が伝わりにくい側に位置するように配置することによって、加熱時のこれら第1樹脂層21と第2樹脂層22との昇温速度を異なるものとすることができる。
例えば、加熱膨張シート1の使用時に第1樹脂層21及び第2樹脂層22をどのような向きで配置すれば良いかを分かりやすくする目印等を付けるようにすれば、第1樹脂層21と第2樹脂層22とを加熱時の環境に合わせて、間違いなく配置することができる。
本実施形態に係る加熱膨張シート1を加熱膨張させる際の昇温速度は、樹脂組成等によって適宜変更可能ではあるが、例えば、15℃以上150℃以下であることが好ましい。
また、第1樹脂層21の昇温速度としては、例えば、30℃/min以上150℃/min以下であることが好ましく、より好ましくは、45℃/min以上120℃/min以下、特に好ましくは60℃/min以上100℃/min以下である。
第2樹脂層22の昇温速度としては、例えば、15℃/min以上140℃/min以下であることが好ましく、より好ましくは、35℃/min以上110℃/min以下、特に好ましくは55℃/min以上90℃/min以下である。
また、これら第1樹脂層と第2樹脂層との間の昇温速度の差は、5℃/min以上あることが好ましく、10℃/min以上あることがより好ましく、15℃/min以上あることが特に好ましい。第2樹脂層を十分に発泡や硬化させる観点から、第1樹脂層と第2樹脂層との間の昇温速度の差は50℃/min以下であることが好ましい。
この状態で加熱膨張シート1を加熱することによって、第1樹脂層21に第2樹脂層22よりも早く熱が伝わり、第1樹脂層21の昇温速度が第2樹脂層22の昇温速度よりも大きい状態を作りだすことができる。
本実施形態では、基材10が第1樹脂層21と第2樹脂層22との間に配置されているために、第1樹脂層21と第2樹脂層22との昇温速度を確実に異なるものとすることができる。この場合には、基材10は、第1樹脂層21と第2樹脂層22との昇温速度の差を生じさせる、昇温速度制御層として機能しているということもできる。
<本実施形態の効果>
このように構成した加熱膨張シート1によれば、2つの被着面を十分に接着しながらも、樹脂フローの発生を抑えることができる。
このような効果を奏することができるメカニズムとしては、第1樹脂層21及び第2樹脂層22が含有する熱硬化性樹の性質が大きく関わっていると考えられる。
熱硬化性樹脂を加熱すると、前述した図2に示すように、溶融による粘度低下と硬化反応による粘度上昇とが平行して起こる。
本発明者らがこの熱硬化性樹脂の性質をより詳しく調べた結果が、図4のグラフである。
これらのグラフから、本発明者らは、熱硬化性樹脂の粘度と昇温速度との間に相関関係があることを見出した。縦軸は粘度を表す指標である。図4においては、昇温速度が大きくなるにつれて、粘度低下のピークがグラフ右下にシフトしていることが分かる。
具体的には、昇温速度が大きくなるにつれて、樹脂の粘度低下が顕著になることを見出したのである。
樹脂フローは、加熱膨張時の樹脂の粘度が低い場合に、加熱膨張性の接着層が厚み方向だけではなく、被着体の表面にも膨張することによって発生する。そこで昇温速度が大きく粘度が小さい第1樹脂層21の厚みを、昇温速度が小さく粘度が低下しにくい第2樹脂層22よりも小さくすることによって、隙間の外側へ流れ出す樹脂の量を減らすことができたと考えらえる。
昇温速度を変化させることによって樹脂フローを抑える方法としては、他に熱源を制御する方法が考えられるが、熱源を制御することは現実には難しいため、本実施形態において説明したように樹脂の構成を工夫することによって、非常に簡単に樹脂フローを抑えることができたことは非常に画期的な成果であるといえる。
本実施形態に係る加熱膨張シート1は、非常に狭い隙間に使用されるものであり、第1樹脂層21及び第2樹脂層22の厚みの合計を、例えば、120μm以下、より好ましくは100μm以下、特に好ましくは90μm以下とすることにより、この第1樹脂層21及び第2樹脂層22と隙間の最小寸法との関係を以下の式(1)の範囲となるような隙間に適用した場合であっても十分に樹脂フローを抑えることができる。
(前記隙間の最小寸法-前記基材の厚み)/(前記第1樹脂層と前記第2樹脂層との合計厚み)≦2・・・(1)
より具体的には、2つの被着面の間の最も短い距離(隙間の最小寸法)が、250μm以下、または200μm以下、さらには100μm以下の隙間に用いることが可能である。
樹脂フローの隙間からの突出長さは1200μm以下に抑えることができれば十分に許容できるものであり、1100μm以下、さらには1000μm以下とすることができればより好ましい。
本実施形態に係る加熱膨張シート1は、エポキシ樹脂を含有しているので、耐熱性にも優れており、一度加熱膨張させると高温下でも接着力が低下しにくい。
また、本発明の加熱膨張シート1は、接着層20が熱硬化性樹脂だけではなく、熱可塑性樹脂をも含むものであることにより、接着層20が柔軟性に富み、膨張性と相まって、プレス等で圧力をかけることができない場所にある表面や複雑な形状を有する表面に対しても、高い充填性を確保することが可能である。
本実施形態に係る加熱膨張シート1は、第1樹脂層21及び第2樹脂層22のそれぞれに前述したような樹脂組成を採用しているので、加熱膨張前には第1樹脂層21及び第2樹脂層22の表面の粘着性を低くし、タックフリーと呼ばれる状態にすることができる。その結果、前述したような狭い隙間に加熱膨張シート1を挿入する場合であっても、第1樹脂層21及び第2樹脂層22のそれぞれと、隙間を形成している被着面との間の摩擦を小さくして、作業性を向上させることが可能である。
また、第1樹脂層21及び第2樹脂層22のそれぞれに前述したような樹脂組成を採用しているので、充填性、速硬化性、柔軟性、耐熱性についてもバランスよく調整することで、膨張性と接着強度の相反する課題を克服し、充分な接着強度と充填性を両立することができる。これにより、被着体間の接着信頼性および固定支持の安定性の高い接着が可能となり、熱伝導性や振動応力等の諸現象にも優れる接着シートを提供することが可能である。
<その他の実施形態>
本発明に係る加熱膨張シートは前述したものに限られない。
例えば、昇温速度の大きい第1樹脂層が含有する膨張剤の量を第2樹脂層が含有する膨張剤の量の半分以下とすれば、粘度が低下しやすい第1樹脂層の膨張率が下がるので、樹脂フローをより効果的に抑えることができる。
また、第1樹脂層が膨張剤を含まない接着層であるものとした場合にも、同様の効果を得ることができる。
前述した実施形態では、基材が第1樹脂層と第2樹脂層との間の昇温速度を異なるものとするための昇温速度制御層として機能するものについて説明したが、このようなものに限られず、基材とは別の層として昇温速度制御層を設けるようにしても良い。
さらに言えば、第1樹脂層と第2樹脂層とを全く異なる組成のものとし、これらが互いに接する状態で配置されていても、これら第1樹脂層と第2樹脂層との昇温速度を異なるものとすれば、基材や昇温速度制御層が無くてもよい。
このように第1樹脂層の膨張率を十分に低減させる又はそもそも第1樹脂層をそもそも膨張させず接着層のみとして使用する場合には、第1樹脂層の厚みを第2樹脂層よりも小さくしなくても、樹脂フローの発生を抑えることができる。樹脂フローは、加熱膨張性の樹脂層が膨張する際に発生しやすいという性質によるものであると考えられるからである。
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて様々な実施形態の変形や組み合わせを行っても構わない。
加熱膨張シート1の最外表面である第1樹脂層21及び第2樹脂層22の外表面の表面粗さRaは、前述したものに限られず、凹凸がほとんどない平坦な表面のものとしても良い。
第1樹脂層及び第2樹脂層の性質は、前述したものに限られず、熱硬化性樹脂を含有するものであれば良い。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。したがって、本発明の範囲は、以下に示す具体例に限定されるものではない。
<サンプルの作成>
<<樹脂層の作製>>
以下の表1に記載した組成の第1樹脂層及び第2樹脂層をそれぞれ離型フィルム上で形成した。離型フィルムとしては、東山フィルム社製のHY-US20を使用した。
具体的には、表1に記載された組成の第1樹脂層又は第2樹脂層を形成するための樹脂組成物A、B及びCをそれぞれ調整し、これらを前述した離型フィルムの離型処理面上にベーカー式アプリケーターを使用して、乾燥後の厚さが所望の厚さとなるように塗布した。
これを110℃で120秒乾燥して溶媒を除去することによって第1樹脂層又は第2樹脂層となる樹脂層をそれぞれ形成した。
Figure 2022178658000002
なお、各原材料として、具体的には下記の商品を使用した。
A1:「EPICLON N-690」エポキシ当量 225g/eq (DIC社製)
A2:「EPICLON N-890」エポキシ当量 210g/eq (DIC社製)
B:「Dicy7」アミン当量 21g/eq (三菱ケミカル社製)
C:「エスレックKS-6Z」(積水化学工業社製)
D:「Vamac GLS」(デュポン社製)
E:「EH-5046S」(ADEKA社製)
F:「CT-76」(浅田製粉社製)
<<評価用加熱膨張シートの作製>>
基材としてPI(ポリイミド)フィルム(東レデュポン社製、25μm)を用いた。
次に、前述した手順で作製した樹脂層を、1つの樹脂層が基材の片面に接するように積層し、110℃に調整したロールルミネータによって基材に転写した。
続いて、基材の反対側にも同様にして樹脂層を転写し、これら樹脂層を第1樹脂層及び第2樹脂層とした。
基材の表面に転写する第1樹脂層と第2樹脂層との組み合わせは表2に示すとおりのものとした。
Figure 2022178658000003
<樹脂フローの発生状況の評価>
前述したようにして作製した加熱膨張シートについて、樹脂フローを以下の手順で測定した。
加熱膨張シートから10×25mmのシートを切り出し、これを試験片として用いた。
被着体として2枚のSPCC平板を用意し、これらの間にスペーサを挟み込んだ状態でこれら2枚のSPCC平板をクランプ等で厚み方向から押さえて、一定の隙間が形成される状態で固定した。この時の隙間を形成するスペーサの厚みは、以下の式(2)によって算出したものを使用している。これは、樹脂層が膨張した際に被着体に押し付けられる厚み方向の圧力をできるだけ揃え、かつ試験片を加熱膨張することによって十分な接着性を得る条件とするためである。
(スペーサの厚み)=(基材の厚み)+(第1樹脂層の厚み+第2樹脂層の厚み)×2・・・(2)
このように形成した隙間に試験片を入れて、第1樹脂層側に配置した熱源で加熱して第1樹脂層を昇温速度100℃/minで室温(25℃)から160℃まで昇温し、160℃で5分間(樹脂層の硬化が完了するまで)試験片を加熱して膨張、硬化させた。なお、第1樹脂層の昇温速度については、第1樹脂層の表面に熱電対を設置し、温度が40℃から150℃まで昇温するまでにかかった時間から算出した。
同様の方法で算出した第2樹脂層の昇温速度は、およそ90℃/minであった。
試験片が完全に硬化した後に、2枚のSPCC平板が十分に接着できている事を確認した。その後、クランプを外して2枚のSPCC平板のうちの一枚を剥がして、試験片の基材の端から側方へあふれ出している部分の第1樹脂層及び第2樹脂層の先端までの距離をマイクロスコープ(VHXー7000、キーエンス社製)を用いて、測定した。結果を表3に示す。表3中の樹脂フローの距離(樹脂フロー量)は、基材をその面方向から視た場合に該基材から側方へ最も飛び出している部分の長さとした。
Figure 2022178658000004
<結果の考察>
第1樹脂層と第2樹脂層として、いずれも表1のAの組成のものを使用した比較例1及び実施例1~4の結果を比較すると、昇温速度が第2樹脂層よりも大きい第1樹脂層の厚みを、第2樹脂層よりも小さくすることによって、接着性を十分に発揮する条件下であっても樹脂フロー量が十分に実用的な範囲である1200μm以下となっており、明らかに樹脂フロー量が小さく抑えられていることが分かる。
また、比較例1と実施例5及び実施例6の結果を比較すると、昇温速度が第2樹脂層よりも大きい第1樹脂層の厚みを第2樹脂層と同じにした場合であっても、第1樹脂層が含有する膨張剤の量を第2樹脂層が含有する膨張剤の量の半分以下とすることによっても樹脂フロー量が1000μm以下と非常に小さく抑えられていることが分かる。
このような結果となった理由としては、前述したように、第1樹脂層及び第2樹脂層が熱硬化性樹脂をベース樹脂として含有する樹脂層であり、このような樹脂層においては、昇温速度が大きいほど粘度が小さくなるという性質によるものであると考えられる。
そのため、本実施例で確かめられた本発明の効果は、ここに実施例として記載した具体的な組成物に限られず、第1樹脂層及び第2樹脂層が熱硬化性樹脂をベース樹脂として含有するものである場合にも広く一般化できるものであると考えられる。
1 加熱発泡シート
10 シート状基材
20 発泡性接着層
21 第1樹脂層
22 第2樹脂層

Claims (15)

  1. 2つの面によって形成される隙間の内部に配置されて、加熱されることによって膨張して前記2つの面を接着する加熱膨張シートであって、
    基材と、
    前記基材上に形成された熱硬化性樹脂を含有する接着層である第1樹脂層及び第2樹脂層と、を備え、
    前記第1樹脂層の昇温速度が、加熱時の条件によって、前記第2樹脂層の昇温速度よりも大きく、
    加熱前の前記第1樹脂層の厚みが前記第2樹脂層の厚みよりも小さいことを特徴とする加熱膨張シート。
  2. 前記第1樹脂層と前記第2樹脂層とが、前記第1樹脂層と前記第2樹脂層との間でこれらの昇温速度を制御する昇温速度制御層を挟んで配置されている、請求項1に記載の加熱膨張シート。
  3. 前記基材が、前記昇温速度制御層として機能している、請求項2に記載の加熱膨張シート。
  4. 加熱時に、前記第1樹脂層が、前記第2樹脂層よりも熱を受けやすい位置に配置されるものである、請求項1~3の何れか一項に記載の加熱膨張シート。
  5. 前記第1樹脂層と前記第2樹脂層との合計厚みが90μm以下であり、かつ以下の式(1)を満たす請求項1~4の何れか一項に記載の加熱膨張シート。

    (前記隙間の最小寸法-前記基材の厚み)/(前記第1樹脂層と前記第2樹脂層との合計厚み)≦2・・・(1)
  6. 前記第1樹脂層及び/又は前記第2樹脂層の最低粘度温度が、発泡開始温度より高く硬化活性温度より低い、請求項1~5の何れか一項に記載の加熱膨張シート。
  7. 前記第1樹脂層及び/又は前記第2樹脂層が、エポキシ樹脂と熱可塑性樹脂と熱膨張剤とを含有する、請求項1~6の何れか一項に記載の加熱膨張シート。
  8. 前記熱可塑性樹脂が、熱可塑性エラストマーを含み、
    前記熱可塑性エラストマーの含有量が、前記第1樹脂層及び/又は前記第2樹脂層の全質量に対して3~30質量%である、請求項7に記載の加熱膨張シート。
  9. 前記熱可塑性樹脂が、Tgが100~120℃の範囲にある熱可塑性エラストマーを含む、請求項7又は8に記載の加熱膨張シート。
  10. 前記膨張剤がマイクロカプセル型発泡剤である、請求項7~9の何れか一項に記載の加熱膨張シート。
  11. 樹脂フロー量が1200μm以下である、請求項1~10の何れか一項に記載の加熱膨張シート。
  12. 2つの面によって形成される隙間の内部に配置されて、加熱されることによって膨張して前記2つの面を接着する加熱膨張シートであって、
    基材と、
    前記基材上に形成された熱硬化性樹脂を含有する接着層である第1樹脂層及び第2樹脂層と、を備え、
    前記第1樹脂層の昇温速度が、加熱時の条件によって、前記第2樹脂層の昇温速度よりも大きく、
    前記第1樹脂層が熱膨張剤を含有しない、又は前記第1樹脂層中の熱膨張剤の含有量が、前記第2樹脂層中の熱膨張剤の含有量の半分以下であることを特徴とする加熱膨張シート。
  13. 前記第1樹脂層及び/又は前記第2樹脂層の最低粘度温度が、発泡開始温度より高く硬化活性温度より低い、請求項12に記載の加熱膨張シート。
  14. 前記第1樹脂層及び/又は前記第2樹脂層が、熱可塑性樹脂を含有するものであり、
    前記熱可塑性樹脂が、熱可塑性エラストマーを含み、
    前記熱可塑性エラストマーの含有量が、前記第1樹脂層及び/又は前記第2樹脂層の全質量に対して3~30質量%である、請求項12又は13に記載の加熱膨張シート。
  15. 前記第1樹脂層及び/又は前記第2樹脂層が、熱可塑性樹脂を含有するものであり、
    前記熱可塑性樹脂が、Tgが100~120℃の範囲にある熱可塑性エラストマーを含む、請求項12~14のいずれか1項に記載の加熱膨張シート。
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