JP2022175181A - 杭吊上補助具 - Google Patents

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幸典 堀川
Yukinori Horikawa
昌芳 山本
Masayoshi Yamamoto
勇人 秋山
Hayato Akiyama
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Abstract

【課題】杭の吊り上げを適切に保持することができる杭吊上補助具を提供する。【解決手段】起伏台車1(杭吊上補助具)は、杭を立ち上げる際に杭の下端を保持する。本体10と、本体10に取り付けられた車輪13と、並列に配置された複数の保持部材であって杭の立ち上げに伴って杭を保持した状態で回動する保持部材14とを備え、複数の保持部材14は、配置間隔を変更する方向にスライド可能であると共に、互いに独立して回動する。【選択図】図2

Description

本発明は、杭を吊り上げる際に下端を保持する杭吊上補助具に関する。
従来から、鋼管杭、鋼管矢板、鋼矢板等の杭をクレーンで吊り上げる際に、杭の下端を保持する杭吊上補助具が知られている。特許文献1及び特許文献2は、鋼矢板を吊り上げる際に用いられる補助具である。これらの文献に記載された補助具は、鋼矢板の下端においてウェブを挟む2つの保持部材を備えた構成を有する。特許文献3は、菅杭を吊り上げる際に用いられる補助具であり、管杭の下端縁に着脱自在に連結される連結部を備えている。
実開平5-95933号公報 中国104909271号公報 特開2019-85845号公報
特許文献1,2に記載された補助具は、2つの保持部材が連結されており、一体となって回動するため、杭を吊り上げる際の杭の姿勢によっては、杭の下端を保持している補助具に捻じれ力が伝わって、補助具が転倒する恐れがあった。
特許文献3に記載された補助具は、外側保持体と内側保持体によって管杭の下端部を挟持する構成を有するので、杭の捻じれ力が補助具に伝わるという上記と同じ課題があった。
また、硬質地盤への鋼管杭の圧入を可能にするため、先端にビットを備えた鋼管杭が知られている。こうしたビット付きの鋼管杭では保持部材がビットのある箇所に位置すると鋼管杭の先端を適切に保持することができないという課題があった。
そこで、本発明は上記背景に鑑み、杭の吊り上げを適切に補助することができる杭吊上補助具を提供することを目的とする。
本発明の杭吊上補助具は、杭を立ち上げる際に杭の下端を保持する杭吊上補助具であって、本体と、前記本体に取り付けられた車輪と、並列に配置された複数の保持部材であって杭の立ち上げに伴って杭を保持した状態で回動する保持部材とを備え、前記複数の保持部材は、配置間隔を変更する方向にスライド可能であると共に、互いに独立して回動する構成を有する。
このように複数の保持部材が互い独立して回動することにより、吊り上げる際に杭に捻じれ力が発生しても保持部材が杭の動きに追従することで捻じれ力を吸収し、本体への捻じれ力の伝達を抑制できる。また、保持部材は配置間隔を変更する方向にスライド可能なので、杭の下端の保持位置を調整できる。例えば、杭の先端にビットを有する鋼管杭の場合には、ビットの位置を避けるように保持部材の位置を調整することで、杭の下端を適切に保持することができる。
本発明の杭吊上補助具は、前記本体の上部に、前記保持部材を回動可能かつスライド可能に支持する支持軸を備えてもよい。この構成により、保持部材の回動とスライドの両方を実現することができる。
本発明の杭吊上補助具の前記本体は、前記車輪を有する台座と、前記支持軸を有すると共に前記台座に対して回転可能なターンテーブルを備えてもよい。この構成により、保持部材が台車に対して回転するので、杭の捻じれ力をターンテーブルの回転によって逃がすことができる。
本発明の杭吊上補助具の前記本体は、前記車輪を有する台座と、前記支持軸を有すると共に前記台座に対して着脱自在のテーブルを備えてもよい。この構成により、台座と保持部材のいずれかが故障したときに、故障した方を交換すればよいので、メンテナンス性が高まる。また、走行する環境に応じて、あるいは保持すべき杭の大きさ等に応じて、台座と保持部材の組み合わせを適切に選択して杭吊上補助具を構成することができる。
本発明の杭吊上補助具の前記保持部材には、操作部材を着脱可能に連結する連結部が設けられていてもよい。この連結部によって操作部材を保持部材に連結することで、操作部材を使って杭吊上補助具の保持部材の位置や角度を変えることや、杭吊上補助具自体を移動させることができる。操作部材を棒状部材、連結部を筒状とし、筒状の連結部に棒状部材を挿入する構成とすれば、梃の原理によって小さい力で保持部材の角度を変えることができる。また、棒状の操作部材を把持しつつ杭吊上補助具ごと動かすことで杭から距離をとって作業をすることができ安全である。なお、操作部材と連結部の組合せは、保持部材の角度を変更する等の操作を行うことができればよく、棒状の操作部材と筒状の連結部の組合せに限られない。例えば、操作部材の一部か連結部の一方あるいは両方をマグネットにして磁力で操作部材を保持部材に固定する等の構成であっても良いし、棒状部材に凹部を設け、連結部に設けた凸部に挿入する構成としてもよい。
本発明の杭吊上補助具の前記保持部材は、杭を保持する部分が上にくるまで回動したところで、前記保持部材の回動を規制する規制部分を有してもよい。この構成により、杭が持ち上がって保持部材から外れるときに保持部材の姿勢が安定するので、杭の下端の揺れを抑えることができる。規制部分は、保持部材の回動を規制する構成であればよい。規制部分の例としては、本体と当接することにより本体の回動を規制する突起部分、あるいは、本体に対して高い摩擦係数で摺接して回動を抑制する構成が考えられる。また、規制部分は保持部材を回動可能に支持する支持軸や支持軸に当接する保持部材の一部に設けてもよい。
本発明によれば、杭吊上補助具は、本体への捻じれ力の伝達を緩和し、杭の吊り上げを適切に保持することができる。
鋼管を吊り上げる様子を示す図である。 起伏台車の外観を示す図である。 起伏台車が鋼管を保持している様子を示す図である。 起伏台車の側面図である。 起伏台車の上面図である。 起伏台車の前面図である。 保持部材の角度を調整する様子を示す図である。 鋼管の回転に対応できることを示す図である。
以下、本発明の実施の形態の杭吊上補助具について図面を参照して説明する。現場において、杭吊上補助具は「起伏台車」と呼ばれることがあるので、以下の説明では、杭吊上補助具を「起伏台車」という。起伏台車は、杭を立ち上げる際に杭の下端を保持する補助具である。以下に説明する実施の形態では、鋼管杭の吊上げに用いられる場合を例として挙げるが、本実施の形態の起伏台車は、鋼管杭に限らず、鋼矢板、鋼管矢板等を吊り上げる際にも用いることができる。
図1は、起伏台車1の使用態様を示す図である。鋼管杭30を立ち上げる際に、鋼管杭30の一端にクレーン50のフックを掛け、吊り上げる。起伏台車1は鋼管杭30の他端を保持し、鋼管杭30の立ち上げと共にクレーン50の方向に向かって移動する。これにより、鋼管杭30の下端が地面の上を引きずられることなくスムーズに鋼管杭30を立ち上げることができる。鋼管杭30が完全に立ち上がった後に更に鋼管杭30が持ち上げられると、鋼管杭30の下端は起伏台車1から離れ、起伏台車1は鋼管杭吊上げの補助の役割を終える。
図2は、本実施の形態の起伏台車1の外観を示す図である。起伏台車1は、本体10と、本体10に取り付けられた車輪13と、鋼管杭30の端部を保持する2つの保持部材14とを備えている。現場において「爪」とも呼ばれる保持部材14は、鋼管杭30の端部を挟み込む二股のフォークのような形状をした挟み部14aを有している。以下の説明では、車両の移動する方向を前後方向とし、図2に示すように、保持部材14の挟み部14aのある方向を「前方」という。
図3は、本実施の形態の起伏台車1を後方から見た図である。図3では、保持部材14によって保持される鋼管杭30の一部も記載している。図2及び図3に示すように、保持部材14は、支持軸15によってその後方を回動可能に支持されている。これにより、保持部材14は、挟み部14aが前方にある姿勢(この状態を「初期状態」という)から上方にくるまで回動する。図2に示すように、保持部材14の最後部には突起部分14bがあり、保持部材14が立ち上がると、突起部分14bが本体10に当接することによって回動が規制される。
本体10は、車輪13を有する台座11と、台座11に対して回転可能なターンテーブル12を備えている。ターンテーブル12は台座11に対して着脱可能であり、工事現場の状況に応じて車輪等の種類の異なる台座11に付け替えることができる。図2及び図3では、地面を走行するタイプの起伏台車1の例を示しているが、既設杭の上に敷設したレール上を走行するタイプの起伏台車も存在する。地面を走行する起伏台車とレール上を走行する起伏台車では、本体10の構成が異なるが、鋼管杭30を保持する保持部材14の構成は同じである。
本実施の形態の起伏台車1は、ターンテーブル12が着脱自在なので、レール走行用の別の台座11に付け替えることで、レール上を走行する起伏台車1を構成できる。
図4は、レール上を走行する起伏台車1を側方から見た図、図5は起伏台車1を上から見た図、図6は起伏台車1を前方から見た図である。なお、図4~図6では見えない部分も一部透視して記載している。また、図4~図6において、図2,図3に示す起伏台車1の各構成と対応する構成には、同じ符号を付している。
上述したとおり、ターンテーブル12およびターンテーブル12より上の保持部材14の構成については、図2及び図3に示す起伏台車と図4~図6に示す起伏台車の構成は同じなので、図2~図6を参照しつつ保持部材14について説明する。
ターンテーブル12は、支持軸15を固定する固定部16を有している。支持軸15は、ターンテーブル12が回転していない状態において、起伏台車1の進行方向と直交している。支持軸15は、ターンテーブル12に設けられた固定部16に固定されている。固定部16は本体10の幅方向の左右及び中央の3箇所にある。支持軸15は、左右の固定部16に固定されると共に、中央の固定部16に挿通されている。
2つの保持部材14は、右の固定部16と中央の固定部16との間、及び、左の固定部16と中央の固定部16の間において、回動可能かつスライド可能に支持軸15に取り付けられている。図3に、それぞれの保持部材14がスライド可能な範囲dを示している。この構成により、2つの保持部材14は並列に配置され、配置間隔を変更する方向にスライド可能であると共に、互いに独立して回動することができる。
次に、保持部材14の挟み部14aについて説明する。図4に示すように、鋼管杭30の端部を挟み部14aの上面14cと下面14dは、初期状態(挟み部14aが前方を向いている状態)において水平ではなく、中央に向かって低くなるように角度が付けられている。図4は右側の保持部材14を示しているが、上面14cが見えているのはこのためである。このように上面14cおよび下面14dに傾斜をつけているのは、挟み部14aを、鋼管杭30の端部の円弧形状にフィットさせるようにするためである。
鋼管杭30の端部は円弧状なので、保持位置が左右にずれると保持すべき端部の角度が変わる。図3を参照すると、右の保持部材14の位置が右にずれると、保持すべき部分の角度が徐々に垂直に近くなるのが分かる。本実施の形態の挟み部14aの上面14cと下面14dとの間隔は鋼管杭30の厚みより若干広く構成され、左右位置が多少ずれても挟むことができるようになっている。この構成は、保持部材でスライド可能であることと相俟って、鋼管杭であっても適切な保持位置を選べるという効果を奏するものである。
各保持部材14には、筒状の連結部17が設けられている。この連結部17は棒状の操作部材40を挿通させ、操作部材40を保持部材14に着脱可能に連結する役割を有する。図7は、連結部17に棒状の操作部材40を挿通させて、保持部材14を動かしている様子を示す図である。このように操作部材40を用いて保持部材14の角度や横方向の位置を変えることにより、挟み部14aが鋼管杭30の端部を適切に挟むように位置を調整できる。操作部材40を用いて梃の原理で回動させることにより、保持部材14の角度を容易に変えることができる。また、鋼管杭30から少し離れて操作を行えるので安全である。
次に、レール上を走行する起伏台車1(図4~図6)に特有の構成について説明する。レール上を走行する起伏台車1は、前後にフック18,19を備えている。フック18,19は、駆動用の台車と連結するための構成である。前方に進むときには前のフック18を駆動用台車に引っ掛け、後方に進むときには後ろのフック19を駆動用台車に引っ掛けることで、駆動台車により起伏台車を牽引することができる。また、起伏台車1は、進行方向に対して幅方向の位置を規制するための側方車輪20を有している。
以上に説明した本実施の形態の起伏台車1は、2つの保持部材14が独立に回動するので、鋼管杭30の捻じれ力が起伏台車1に伝わりにくいという効果を有する。鋼管杭30を吊り上げる際には、杭頭の2点を吊って持ち上げるが(図1参照)、吊り位置を水平に保てないと鋼管杭30に回転力が働く。このような場合、図8に示すように、2つの保持部材14が独立して回動するため、一方の保持部材14が他方の保持部材14よりも高さhだけ高い位置に上昇することができ、捻じれ力を吸収できる。これにより、起伏台車1が転倒するリスクを低減することができる。また、2つの保持部材14は幅方向にスライドすることが可能なので、鋼管杭30が回転したときに横方向の位置が変わることによっても捻じれ力を吸収できる。
また、本実施の形態の起伏台車1は、端部にビットを有する鋼管杭30の吊上げを補助する場合に、ビットがある位置を避けるように2つの保持部材14をスライドさせて、鋼管杭30を保持することができる(図3参照)。特に、硬質地盤に圧入を行う際には、ビット数が多い杭(先行杭)を用いることがあるが、ビット数が多い杭の場合にも適切に杭の下端を保持することができる。また、鋼管杭の端部内外に設けられた液体吐出用ホースの固定治具や、鋼管杭縦継ぎのためのギミック(凹凸など)を避けて杭の下端を保持可能なため、保持部材の間隔が固定されている従来の構成より幅広い杭種に対応できる。
以上、本実施の形態の杭吊上補助具について実施の形態を挙げて詳細に説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではない。上記した実施の形態では、保持部材が2つの場合を説明したが、保持部材の個数は2つに限られず、3つまたはそれ以上であってもよい。
また、上記した実施の形態では、保持部材14が縦方向に回動する杭吊上補助具について説明したが、支持軸15による保持部材14の支持位置から挟み部14aに向かう方向を軸とみた場合に、保持部材14をその軸の周りに回転可能な構成としてもよい。これにより、捻じれ力をさらに吸収することができる。
本発明は、鋼管杭、鋼管矢板、鋼矢板等の杭を吊り上げる際に、杭の下端を保持する杭吊上補助具として有用である。
1 起伏台車(杭吊上補助具)
10 本体
11 台座
12 ターンテーブル
13 車輪
14 保持部材
15 支持軸
16 固定部
17 連結部
18 フック
19 フック
20 側方車輪
30 鋼管杭
31 ビット
40 操作部材
50 クレーン

Claims (6)

  1. 杭を立ち上げる際に杭の下端を保持する杭吊上補助具であって、
    本体と、
    前記本体に取り付けられた車輪と、
    並列に配置された複数の保持部材であって杭の立ち上げに伴って杭を保持した状態で回動する保持部材と、
    を備え、
    前記複数の保持部材は、配置間隔を変更する方向にスライド可能であると共に、互いに独立して回動する杭吊上補助具。
  2. 前記本体の上部に、前記保持部材を回動可能かつスライド可能に支持する支持軸を備える請求項1に記載の杭吊上補助具。
  3. 前記本体は、
    前記車輪を有する台座と、
    前記支持軸を有すると共に前記台座に対して回転可能なターンテーブルを備える請求項2に記載の杭吊上補助具。
  4. 前記本体は、
    前記車輪を有する台座と、
    前記支持軸を有すると共に前記台座に対して着脱自在のテーブルを備える請求項2に記載の杭吊上補助具。
  5. 前記保持部材には、操作部材を着脱可能に連結する連結部が設けられている請求項1から4のいずれか1項に記載の杭吊上補助具。
  6. 前記保持部材は、杭を保持する部分が上にくるまで回動したところで、前記保持部材の回動を規制する規制部分を有する請求項1から5のいずれか1項に記載の杭吊上補助具。
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