JP2022175024A - 冷凍サイクル装置 - Google Patents

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紘明 河野
Hiroaki Kono
康弘 横尾
Yasuhiro Yokoo
好則 一志
Yoshinori Isshi
幸久 伊集院
Yukihisa Ijuin
吉毅 加藤
Yoshitake Kato
芳生 林
Yoshio Hayashi
騎士 武藤
Naito MUTO
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Abstract

【課題】幅広いサイクル構成に対応して冷媒不足を検知することができる冷凍サイクル装置を提供する。【解決手段】冷凍サイクル装置1は、冷凍サイクル10と、制御装置50と、を有している。冷凍サイクルは、圧縮機11と、熱媒体冷媒熱交換器12と、貯留部13と、第1膨張弁15aと、第2膨張弁15bと、第1蒸発器16と、第2蒸発器17とを備える。制御装置50は、第1蒸発器16等の出口における冷媒の過熱度又は熱媒体冷媒熱交換器12の出口における冷媒の過冷却度を、膨張弁の作動によって制御すると共に、冷媒量判定部50dと、を有する。冷媒量判定部50dは、圧縮機11の回転数を用いて算出される第1冷媒流量Gr1と、膨張弁の開度を用いて算出される第2冷媒流量Gr2との関係を用いて、冷凍サイクル10における冷媒の量が不足しているか否かを判定する。【選択図】図4

Description

本開示は、冷凍サイクルにおける冷媒不足を検知可能な冷凍サイクル装置に関する。
従来、冷凍サイクル装置に関して、冷凍サイクルの冷媒不足を検知する技術として、様々な技術が開発されている。例えば、特許文献1に記載された技術では、冷凍サイクルの高圧部の冷媒圧力が設定圧力以下の場合、冷媒不足と判定するように構成されている。
特開平8-313123号公報
ここで、特許文献1に記載された技術では、低外気温度時の暖房運転では必要冷媒量に対してかなりの冷媒量が不足しなければ検知することができず、経年漏れ(スローリーク)の場合に圧縮機を保護できない状況が生じてしまう。
本開示は、上記点に鑑み、幅広いサイクル構成に対応して冷媒不足を検知することができる冷凍サイクル装置を提供することを目的とする。
本開示の第1態様に係る冷凍サイクル装置は、冷凍サイクル(10)と、制御部(50)と、を有している。冷凍サイクルは、圧縮機(11)と、凝縮器(12)と、貯留部(13)と、膨張弁(15a、15b)と、蒸発器(16、17)と、を備える。圧縮機は冷媒を吸入して圧縮して吐出する。凝縮器は圧縮機から吐出された冷媒を放熱させる。貯留部は、凝縮器で放熱された冷媒の気液を分離して、分離した液相冷媒を貯留すると共に、液相冷媒の一部を流出させる。膨張弁は貯留部から流出した冷媒を減圧させる。蒸発器は膨張弁で減圧された冷媒に吸熱させて冷媒を蒸発させる。制御部は冷凍サイクルに関する制御を行う。
そして、制御部は、蒸発器の出口における冷媒の過熱度又は凝縮器の出口における冷媒の過冷却度を、膨張弁の作動によって制御すると共に、冷媒量判定部(50d)と、を有する。冷媒量判定部は、圧縮機の回転数を用いて算出される第1冷媒流量(Gr1)と、膨張弁の開度を用いて算出される第2冷媒流量(Gr2)との関係を用いて、冷凍サイクルにおける冷媒の量が不足しているか否かを判定する。
冷凍サイクル装置において、第1冷媒流量は、貯留部から膨張弁へ至る径路における冷媒が液相冷媒であることを前提として求められ、第2冷媒流量は、圧縮機に吸入される冷媒が気相冷媒であることを前提として求められる。これらの前提を満たす場合、第1冷媒流量と、第2冷媒流量はほぼ同じ流量となる。
ここで、スローリーク等により冷媒の量が不足した場合、貯留部から膨張弁へ至る径路における冷媒が液相状態であるという前提が崩れて気液二相状態になる為、第1冷媒流量と第2冷媒流量との間に大小関係が生じる。
冷凍サイクル装置によれば、この第1冷媒流量と第2冷媒流量との関係を利用して、冷凍サイクルにおける冷媒の量が不足しているか否かを判定する為、幅広いサイクル構成に対応して冷媒不足を検知することができる。
又、本開示の第2態様に係る冷凍サイクル装置は、冷凍サイクル(10)と、制御部(50)と、を有している。冷凍サイクルは、圧縮機(11)と、凝縮器(12)と、貯留部(13)と、膨張弁(15a、15b)と、蒸発器(16、17)と、を備え、膨張弁に流入する冷媒の状態が作動シーン全域にて常に液相単相となるように冷媒が封入されている。
圧縮機は冷媒を吸入して圧縮して吐出する。凝縮器は圧縮機から吐出された冷媒を放熱させる。貯留部は、凝縮器で放熱された冷媒の気液を分離して、分離した液相冷媒を貯留すると共に、液相冷媒の一部を流出させる。膨張弁は貯留部から流出した冷媒を減圧させる。蒸発器は膨張弁で減圧された冷媒に吸熱させて冷媒を蒸発させる。制御部は冷凍サイクルに関する制御を行う。
そして、制御部は、蒸発器の出口における冷媒の過熱度又は凝縮器の出口における冷媒の過冷却度を、膨張弁の作動によって制御すると共に、冷媒量判定部(50d)と、を有する。冷媒量判定部は、圧縮機の回転数を用いて算出される第1冷媒流量(Gr1)と、膨張弁の開度を用いて算出される第2冷媒流量(Gr2)との関係を用いて、冷凍サイクルにおける冷媒の量が不足しているか否かを判定する。
冷凍サイクル装置において、第1冷媒流量は、貯留部から膨張弁へ至る径路における冷媒が液相冷媒であることを前提として求められ、第2冷媒流量は、圧縮機に吸入される冷媒が気相冷媒であることを前提として求められる。これらの前提を満たす場合、第1冷媒流量と、第2冷媒流量はほぼ同じ流量となる。
ここで、膨張弁に流入する冷媒の状態が常に液相単相となるように冷媒が封入されている構成において、スローリーク等により冷媒の量が不足した場合、貯留部から膨張弁へ至る径路における冷媒が液相状態であるという前提が崩れて気液二相状態になる。これにより、第1冷媒流量と第2冷媒流量との間に大小関係が生じる。
冷凍サイクル装置によれば、この第1冷媒流量と第2冷媒流量との関係を利用して、冷凍サイクルにおける冷媒の量が不足しているか否かを判定する為、幅広いサイクル構成に対応して冷媒不足を検知することができる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
第1実施形態に係る冷凍サイクル装置を適用した車両用空調装置の構成図である。 車両用空調装置における室内空調ユニットの構成図である。 車両用空調装置の制御系を示すブロック図である。 第1実施形態に係る冷媒量判定制御のフローチャートである。 第1冷媒流量と第2冷媒流量に関する説明図である。 第1冷媒流量及び第2冷媒流量に算出に関する冷媒密度の影響を示す説明図である。 高圧側冷媒圧力ごとの冷媒密度と乾き度の関係を示す説明図である 第1実施形態に係る冷媒量判定制御の基準値に関する説明図である。 高圧側冷媒圧力ごとの流量比と冷媒不足の度合との関係を示す説明図である。 第2実施形態に係る冷凍サイクル装置の概略構成図である。 第2実施形態に係る冷媒量判定制御のフローチャートである。 第3実施形態に係る冷凍サイクル装置の構成図である。
以下に、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各実施形態において、先行する実施形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の実施形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示してなくとも実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
(第1実施形態)
先ず、本開示における第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。第1実施形態では、本開示に係る冷凍サイクル10を、車両走行用の駆動力を走行用電動モータから得る電気自動車の車両用空調装置100に適用している。車両用空調装置100は、電気自動車において、空調対象空間である車室内の空調や、発熱機器としての電池Bの温度調整を行う。
そして、車両用空調装置100は、車室内の空調を行う空調運転モードとして、冷房モードと、暖房モードと、除湿暖房モードとを切り替えることができる。冷房モードは、車室内へ送風される送風空気を冷却して車室内へ吹き出す運転モードである。暖房モードは、送風空気を加熱して車室内へ吹き出す運転モードである。除湿暖房モードは、冷却して除湿された送風空気を再加熱して車室内へ吹き出すことによって車室内の除湿暖房を行う運転モードである。
又、車両用空調装置100は、空調運転モードの状態によらずに、電池Bの冷却の有無を切り替えることができる。従って、車両用空調装置100の運転モードは、空調運転モードの状態及び電池Bの冷却の有無の組み合わせによって定義することができる。この為、車両用空調装置100の運転モードには、冷房モード、暖房モード、除湿暖房モード、単独冷却モード、冷却冷房モード、冷却暖房モード、冷却除湿暖房モードの7つの運転モードが含まれる。
図1に示すように、車両用空調装置100は、冷凍サイクル装置1を有して構成されており、冷凍サイクル10、熱媒体回路20、加熱部30、室内空調ユニット40、制御装置50等を有している。
車両用空調装置100を構成する冷凍サイクル装置1は、車室内の空調を行う空調運転モードとして、冷房モードと、暖房モードと、除湿暖房モードとを切り替えることができる。冷房モードは、車室内へ送風される送風空気を冷却して車室内へ吹き出す運転モードである。暖房モードは、送風空気を加熱して車室内へ吹き出す運転モードである。除湿暖房モードは、冷却して除湿された送風空気を再加熱して車室内へ吹き出すことによって車室内の除湿暖房を行う運転モードである。
又、冷凍サイクル装置1は、空調運転モードの状態によらずに、冷凍サイクル10を利用した発熱体(電池B等)の冷却の有無を切り替えることができる。従って、冷凍サイクル装置1における冷凍サイクル10の運転モードは、空調運転モードの状態及び発熱体の冷却の有無の組み合わせによって定義することができる。
この為、車両用空調装置100の運転モードには、冷房モード、暖房モード、除湿暖房モード、単独冷却モード、冷却冷房モード、冷却暖房モード、冷却除湿暖房モードの7つの運転モードが含まれる。
単独冷却モードは、車室内の空調を行うことなく、冷凍サイクル10を利用して発熱体の冷却を行う運転モードである。冷却冷房モードは、冷凍サイクル10を利用して、車室内の冷房を行うと共に、発熱体の冷却を行う運転モードである。冷却暖房モードは、冷凍サイクル10を利用して、車室内の暖房を行うと共に、発熱体の冷却を行う運転モードである。冷却除湿暖房モードは、冷凍サイクル10を利用して、車室内の除湿暖房を行うと共に、発熱体の冷却を行う運転モードである。
尚、冷凍サイクル10では、冷媒として、HFC系冷媒(具体的には、R134a)を採用しており、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない亜臨界冷凍サイクルを構成している。冷媒として、HFO系冷媒(例えば、1234yf)を採用しても良い。冷媒には、圧縮機11を潤滑する為の冷凍機油が混入されている。冷凍機油としては、液相冷媒に相溶性を有するPAGオイル(ポリアルキレングリコールオイル)が採用されている。冷凍機油の一部は冷媒と共にサイクルを循環している。
次に、冷凍サイクル装置1を構成する各構成機器について説明する。図1に示すように、冷凍サイクル10は、圧縮機11と、熱媒体冷媒熱交換器12と、貯留部13と、第1膨張弁15aと、第2膨張弁15bと、第1蒸発器16と、第2蒸発器17とを有している。
圧縮機11は、冷凍サイクル10において、冷媒を吸入し圧縮して吐出する。圧縮機11は車両ボンネット内に配置されている。圧縮機11は、吐出容量が固定された固定容量型の圧縮機構を電動モータにて回転駆動する電動圧縮機である。圧縮機11は、制御装置50から出力される制御信号によって、回転数(即ち、冷媒吐出能力)が制御される。
そして、圧縮機11の吐出口には、熱媒体冷媒熱交換器12における冷媒通路12aの入口側が接続されている。熱媒体冷媒熱交換器12は、圧縮機11から吐出された高圧冷媒が有する熱を、加熱部30を構成する高温側熱媒体回路31の高温側熱媒体に放熱し、高温側熱媒体を加熱する熱交換器である。
熱媒体冷媒熱交換器12は、冷凍サイクル10の冷媒を流通させる冷媒通路12aと、高温側熱媒体回路31の高温側熱媒体を流通させる熱媒体通路12bを有している。熱媒体冷媒熱交換器12は、伝熱性に優れる同種の金属(例えば、アルミニウム合金)で形成されており、各構成部材は、ロウ付け接合によって一体化されている。
これにより、冷媒通路12aを流通する高圧冷媒と熱媒体通路12bを流通する高温側熱媒体は、互いに熱交換することができる。熱媒体冷媒熱交換器12は、高圧冷媒の有する熱を放熱させる凝縮器の一例であり、後述する加熱部30の一部を構成する。
熱媒体冷媒熱交換器12の冷媒通路12aの出口には、貯留部13が接続されている。貯留部13は、熱媒体冷媒熱交換器12から流出した冷媒の気液を分離して液相冷媒を下流側に流出させると共に、冷凍サイクル10の余剰冷媒を貯える。貯留部13は、いわゆるレシーバにより構成されており、冷凍サイクル10の高圧側に配置された気液分離部ということができる。
貯留部13の冷媒流出口側には、三方継手構造の冷媒分岐部14aが接続されている。冷媒分岐部14aは、貯留部13から流出した液相冷媒の流れを分岐するものである。冷媒分岐部14aでは、3つの流入出口の内の1つを冷媒流入口とし、残りの2つを冷媒流出口としている。
冷媒分岐部14aの一方の冷媒流出口には、第1膨張弁15aを介して、第1蒸発器16の冷媒入口側が接続されている。冷媒分岐部14aの他方の冷媒流出口には、第2膨張弁15bを介して、第2蒸発器17の冷媒入口側が接続されている。
第1膨張弁15aは、少なくとも冷凍サイクル10を利用して送風空気を冷却する運転モードにおいて、冷媒分岐部14aの一方の冷媒流出口から流出した冷媒を減圧させる膨張弁である。第1膨張弁15aは、電気式の可変絞り機構であり、弁体と電動アクチュエータとを有している。即ち、第1膨張弁15aは、いわゆる電気式膨張弁によって構成されており、膨張弁の一例に相当する。
第1膨張弁15aの弁体は、冷媒通路の通路開度(換言すれば絞り開度)を変更可能に構成されている。電動アクチュエータは、弁体の絞り開度を変化させるステッピングモータを有している。第1膨張弁15aは、制御装置50から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
又、第1膨張弁15aは、絞り開度を全開した際に冷媒通路を全開する全開機能と、絞り開度を全閉した際に冷媒通路を閉塞する全閉機能を有する可変絞り機構で構成されている。つまり、第1膨張弁15aは、冷媒通路を全開にすることで冷媒の減圧作用を発揮させないようにすることができる。
そして、第1膨張弁15aは、冷媒通路を閉塞することで、第1蒸発器16に対する冷媒の流入を遮断できる。即ち、第1膨張弁15aは、冷媒を減圧させる膨張弁としての機能と、冷媒回路を切り替える冷媒回路切替部としての機能とを兼ね備えている。
第1膨張弁15aの出口には、第1蒸発器16の冷媒入口側が接続されている。第1蒸発器16は、冷房モードや除湿暖房モードにおいて、第2膨張弁15bにて減圧された低圧冷媒と送風空気Wとを熱交換させて低圧冷媒を蒸発させ、送風空気Wを冷却する蒸発器である。即ち、第1蒸発器16は空調用蒸発器である。図2に示すように、第1蒸発器16は、室内空調ユニット40のケーシング41内に配置されている。
図1に示すように、冷媒分岐部14aにおける他方の冷媒流出口には、第2膨張弁15bが接続されている。第2膨張弁15bは、少なくとも冷凍サイクル10を用いて電池Bの冷却を行う運転モードや暖房モードにて、冷媒分岐部14aの一方の冷媒流出口から流出した冷媒を減圧させる膨張弁である。第2膨張弁15bは膨張弁の一例に相当する。
第2膨張弁15bは、第1膨張弁15aと同様に、電気式の可変絞り機構であり、弁体と電動アクチュエータとを有している。即ち、第2膨張弁15bは、いわゆる電気式膨張弁によって構成されており、全開機能と全閉機能を有している。
つまり、第2膨張弁15bは、冷媒通路を全開にすることで冷媒の減圧作用を発揮させないようにすることができる。又、第2膨張弁15bは、冷媒通路を閉塞することで、第1蒸発器16に対する冷媒の流入を遮断することができる。即ち、第2膨張弁15bは、冷媒を減圧させる減圧部としての機能と、冷媒回路を切り替える冷媒回路切替部としての機能とを兼ね備えている。
第2膨張弁15bの出口には、第2蒸発器17の冷媒入口側が接続されている。第2蒸発器17は、第1膨張弁15aにて減圧された低圧冷媒と、熱媒体回路20を循環する熱媒体とを熱交換させる熱交換器であり、いわゆるチラーとして構成されている。
第2蒸発器17は、第1膨張弁15aにて減圧された低圧冷媒を流通させる冷媒通路17aと、熱媒体回路20を循環する熱媒体を流通させる熱媒体通路17bと、を有している。従って、第2蒸発器17は、冷媒通路17aを流通する低圧冷媒と熱媒体通路17bを流通する熱媒体との熱交換によって、低圧冷媒を蒸発させて熱媒体から吸熱する蒸発器である。
そして、第1蒸発器16の出口には、冷媒合流部14bの一方の冷媒入口側が接続されている。又、第2蒸発器17の冷媒出口側には、冷媒合流部14bの他方の冷媒入口側が接続されている。
ここで、冷媒合流部14bは、冷媒分岐部14aと同様の三方継手構造のもので、3つの流入出口のうち2つを冷媒入口とし、残りの1つを冷媒出口としたものである。冷媒合流部14bは、第1蒸発器16から流出した冷媒の流れと第2蒸発器17から流出した冷媒の流れとを合流させる。そして、冷媒合流部14bの冷媒出口には、圧縮機11の吸入口側が接続されている。
続いて、車両用空調装置100における熱媒体回路20の構成について説明する。車両用空調装置100は、熱媒体回路20の熱媒体を循環させることによって、電池Bの温度調整を行う。熱媒体回路20の熱媒体としては、エチレングリコールを含む溶液、不凍液等を採用することができる。熱媒体回路20は、電池用熱交換器21と、外気熱交換器23と、熱媒体ポンプ24と、三方弁26と、を熱媒体流路で接続して構成されている。
熱媒体ポンプ24は、熱媒体回路20において、第2蒸発器17の熱媒体入口側に向かって熱媒体を吐出するように配置された熱媒体ポンプである。熱媒体ポンプ24は、制御装置50から出力される制御電圧によって、回転数(即ち、圧送能力)が制御される電動ポンプである。
第2蒸発器17の熱媒体出口側には、三方弁26の熱媒体流入口が接続されている。三方弁26は、3つの流入出口を有する電気式の三方流量調整弁によって構成されている。三方弁26における熱媒体流出口の一方には、電池用熱交換器21の熱媒体通路21aにおける流入口側が接続されている。そして、三方弁26における熱媒体流出口の他方には、外気熱交換器23の熱媒体流入口側へ伸びる熱媒体流路が接続されている。
そして、三方弁26は、制御装置50からの制御信号によって、一方側の熱媒体流出口及び他方側の熱媒体流出口の開口面積を連続的に変更する。従って、三方弁26は、熱媒体回路20にて熱媒体ポンプ24から圧送された熱媒体に関し、電池用熱交換器21を流通する熱媒体の流量と、外気熱交換器23を流通する熱媒体の流量との流量比を連続的に調整することができる。
電池用熱交換器21は、熱媒体通路21aを流通する熱媒体と、電池Bを構成する電池セルとを熱交換させることによって、電池Bの温度を調整する為の熱交換器である。電池用熱交換器21における熱媒体通路21aは、電池Bの専用ケースの内部で複数の通路を並列的に接続した通路構成となっている。
ここで、電池Bは、電気自動車における各種電気機器に電力を供給するもので、例えば、充放電可能な二次電池(本実施形態では、リチウムイオン電池)が採用される。電池Bは、複数の電池セルを積層配置し、これらの電池セルを電気的に直列或いは並列に接続することによって形成された、いわゆる組電池である。
この種の電池Bは、低温になると内部抵抗が増加して出力が低下しやすく、高温になると各電池セルの劣化が進行しやすい。そして、電池Bは、充放電に際して発熱する為、電池Bの温度が電池Bの充放電容量を充分に活用できる適切な温度範囲内(例えば、10℃以上かつ40℃以下)に維持されている必要がある。
上述したように、電池用熱交換器21の熱媒体通路21aは、並列的に接続した通路構成を採用しているので、電池Bの全域から電池Bの廃熱を均等に吸熱できるように形成されている。
このような電池用熱交換器21は、積層配置された電池セル同士の間に熱媒体通路21aを配置することによって形成すればよい。又、電池用熱交換器21は、電池Bに一体的に形成されていてもよい。例えば、積層配置された電池セルを収容する専用ケースに熱媒体通路21aを設けることによって、電池Bに一体的に形成されていてもよい。
外気熱交換器23は、三方弁26の他方の流出口から流出した熱媒体と、図示しない外気ファンにより送風された外気OAとを熱交換させる熱交換器である。外気熱交換器23は、電気自動車における駆動装置室内の前方側に配置されている。このため、車両走行時には、外気熱交換器23に走行風を当てることができる。
そして、外気熱交換器23における熱媒体流出口には、電池用熱交換器21における熱媒体通路21aの流出口側と共に、熱媒体ポンプ24の吸込口が接続されている。つまり、熱媒体ポンプ24の吸込口には、電池用熱交換器21を流通した熱媒体と、外気熱交換器23を流通した熱媒体とが合流して吸い込まれる。
続いて、車両用空調装置100における加熱部30について説明する。加熱部30は、冷凍サイクル10における高圧冷媒を熱源として、空調対象空間に供給される送風空気Wを加熱する為の構成である。
加熱部30は、高温側熱媒体回路31を有しており、熱媒体冷媒熱交換器12の熱媒体通路12b、ヒータコア32、高温側ポンプ33等を備えている。高温側熱媒体回路31は、高温側熱媒体を循環させる熱媒体回路であり、高温側熱媒体としては、エチレングリコールを含む溶液、不凍液等を採用することができる。
高温側ポンプ33は、高温側熱媒体回路31における高温側熱媒体を循環させる為に圧送する熱媒体ポンプである。高温側ポンプ33は、制御装置50から出力される制御電圧によって、回転数(即ち、圧送能力)が制御される電動ポンプである。高温側ポンプ33の吐出口には、熱媒体冷媒熱交換器12の熱媒体通路12bにおける流入口が接続されている。
上述したように、熱媒体冷媒熱交換器12の熱媒体通路12bにおいては、高温側熱媒体が、冷媒通路12aを流通する高圧冷媒との熱交換によって加熱される。即ち、高温側熱媒体は、冷凍サイクル10で汲み上げられた熱を用いて加熱される。
熱媒体冷媒熱交換器12の熱媒体通路12bにおける流出口には、ヒータコア32における熱媒体流入口が接続されている。ヒータコア32は、熱媒体冷媒熱交換器12で加熱された高温側熱媒体と第1蒸発器16を通過した送風空気Wとを熱交換させて、送風空気Wを加熱する熱交換器である。図2に示すように、ヒータコア32は、室内空調ユニット40のケーシング41内に配置されている。そして、ヒータコア32の熱媒体流出口には、高温側ポンプ33の吸込口が接続されている。
従って、車両用空調装置100によれば、冷凍サイクル10にて汲み上げた高圧冷媒の熱を熱源として、高温側熱媒体を介して、送風空気Wを加熱することができる。この為、熱媒体冷媒熱交換器12及び高温側熱媒体回路31は加熱部の一例に相当する。
次に、車両用空調装置100の室内空調ユニット40について、図2を参照して説明する。室内空調ユニット40は、車両用空調装置100において、冷凍サイクル10によって温度調整された送風空気Wを車室内の適切な箇所へ吹き出すためのユニットである。室内空調ユニット40は、車室内最前部の計器盤(即ち、インストルメントパネル)の内側に配置されている。
室内空調ユニット40は、その外殻を形成するケーシング41の内部に形成される空気通路に、送風機42、第1蒸発器16、ヒータコア32等を収容している。ケーシング41は、車室内に送風される送風空気Wの空気通路を形成している。ケーシング41は、或る程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂(具体的には、ポリプロピレン)にて成形されている。
図2に示すように、ケーシング41の送風空気流れ最上流側には、内外気切替装置43が配置されている。内外気切替装置43は、ケーシング41内へ内気(車室内空気)と外気(車室外空気)とを切替導入するものである。
内外気切替装置43は、ケーシング41内へ内気を導入させる内気導入口及び外気を導入させる外気導入口の開口面積を、内外気切替ドアによって連続的に調整して、内気の導入風量と外気の導入風量との導入割合を変化させる。内外気切替ドアは、内外気切替ドア用の電動アクチュエータによって駆動される。この電動アクチュエータは、制御装置50から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
内外気切替装置43の送風空気流れ下流側には、送風機42が配置されている。送風機42は、遠心多翼ファンを電動モータにて駆動する電動送風機によって構成されている。送風機42は、内外気切替装置43を介して吸入した空気を車室内へ向けて送風する。送風機42は、制御装置50から出力される制御電圧によって、回転数(即ち、送風能力)が制御される。
送風機42の送風空気流れ下流側には、第1蒸発器16及びヒータコア32が、送風空気の流れに対して、この順に配置されている。つまり、第1蒸発器16は、ヒータコア32よりも送風空気流れ上流側に配置されている。
又、ケーシング41内には、冷風バイパス通路45が形成されている。冷風バイパス通路45は、第1蒸発器16を通過した送風空気Wを、ヒータコア32を迂回させて下流側へ流す空気通路である。
第1蒸発器16の送風空気流れ下流側であって、且つ、ヒータコア32の送風空気流れ上流側には、エアミックスドア44が配置されている。エアミックスドア44は、第1蒸発器16を通過後の送風空気Wのうち、ヒータコア32を通過させる風量と冷風バイパス通路45を通過させる風量との風量割合を調整する。
エアミックスドア44は、エアミックスドア駆動用の電動アクチュエータによって駆動される。この電動アクチュエータは、制御装置50から出力される制御信号により、その作動が制御される。
ヒータコア32の送風空気流れ下流側には、混合空間が設けられている。混合空間では、ヒータコア32にて加熱された送風空気Wと冷風バイパス通路45を通過してヒータコア32にて加熱されていない送風空気Wとが混合される。
更に、ケーシング41の送風空気流れ最下流部には、混合空間にて混合された送風空気(空調風)を車室内へ吹き出す開口穴が配置されている。この開口穴としては、フェイス開口穴、フット開口穴、及びデフロスタ開口穴(いずれも図示せず)が設けられている。
フェイス開口穴は、車室内の乗員の上半身に向けて空調風を吹き出すための開口穴である。フット開口穴は、乗員の足元に向けて空調風を吹き出すための開口穴である。デフロスタ開口穴は、車両前面の窓ガラスにおける内側面に向けて空調風を吹き出すための開口穴である。
これらのフェイス開口穴、フット開口穴、及びデフロスタ開口穴は、それぞれ空気通路を形成するダクトを介して、車室内に設けられたフェイス吹出口、フット吹出口およびデフロスタ吹出口(いずれも図示せず)に接続されている。
従って、エアミックスドア44が、ヒータコア32を通過させる風量と冷風バイパス通路45を通過させる風量との風量割合を調整することによって、混合空間にて混合される空調風の温度が調整される。これにより、各吹出口から車室内へ吹き出される送風空気(空調風)の温度も調整される。
そして、フェイス開口穴、フット開口穴、及びデフロスタ開口穴の送風空気流れ上流側には、それぞれ、フェイスドア、フットドア、デフロスタドア(いずれも図示せず)が配置されている。フェイスドアは、フェイス開口穴の開口面積を調整する。フットドアは、フット開口穴の開口面積を調整する。デフロスタドアは、デフロスタ開口穴の開口面積を調整する。
これらのフェイスドア、フットドア、デフロスタドアは、空調風が吹き出される吹出口を切り替える吹出モード切替装置を構成する。フェイスドア、フットドア、デフロスタドアは、リンク機構等を介して、吹出口モードドア駆動用の電動アクチュエータに連結されて連動して回転操作される。この電動アクチュエータは、制御装置50から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
続いて、車両用空調装置100の制御系について、図3を参照して説明する。車両用空調装置100の制御装置50は、CPU、ROM及びRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成されている。
そして、制御装置50は、そのROM内に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、その出力側に接続された各種制御対象機器の作動を制御する。制御対象機器には、圧縮機11、第1膨張弁15a、第2膨張弁15b、熱媒体ポンプ24、三方弁26、高温側ポンプ33、送風機42等が含まれている。
図3に示すように、制御装置50の入力側には、制御用センサ群が接続されている。制御用センサ群には、外気温センサ52a、内気温センサ52b、日射量センサ52c、高圧センサ52d、第1低圧センサ52e、第2低圧センサ52f、第1冷媒温度センサ52g、第2冷媒温度センサ52h、蒸発器温度センサ52iが含まれている。
外気温センサ52aは、車室外温度(外気温)Tamを検出する外気温検出部である。外気温センサ52aは、駆動装置室内の外気熱交換器23に供給される外気OAの温度を検出するように配置されている。内気温センサ52bは、車室内温度(内気温)Trを検出する内気温検出部である。日射量センサ52cは、車室内へ照射される日射量Asを検出する日射量検出部である。
高圧センサ52dは、圧縮機11の吐出口側から第1膨張弁15a或いは第2膨張弁15bの入口側へ至る冷媒流路の高圧冷媒圧力Pdを検出する冷媒圧力検出部である。第1低圧センサ52eは、第1蒸発器16の冷媒流出口から流出した低圧冷媒の冷媒圧力を検出する冷媒圧力検出部である。第2低圧センサ52fは、第2蒸発器17における冷媒通路17aの流出口から流出した低圧冷媒の冷媒圧力を検出する冷媒圧力検出部である。
第1冷媒温度センサ52gは、第1蒸発器16の冷媒流出口から流出した低圧冷媒の冷媒温度を検出する冷媒温度検出部である。第2冷媒温度センサ52hは、第2蒸発器17における冷媒通路17aの流出口から流出した低圧冷媒の冷媒温度を検出する冷媒温度検出部である。蒸発器温度センサ52iは、第1蒸発器16における冷媒蒸発温度(蒸発器温度)Teを検出する蒸発器温度検出部である。
又、制御装置50の入力側には、電池温度センサ53a、送風空気温度センサ53bが接続されている。電池温度センサ53aは、電池Bの温度である電池温度を検出する電池温度検出部である。電池温度センサ53aは、複数の温度検出部を有し、電池Bにおける複数の箇所の温度を検出している。この為、制御装置50では、電池Bにおける各部の温度差を検出することもできる。そして、送風空気温度センサ53bは、車室内へ送風される送風空気温度TAVを検出する送風空気温度検出部である。
本実施形態において、電池温度としては、複数の温度検出部における検出値の平均値を採用している。尚、電池温度センサ53aは、電池用熱交換器21を流通する熱媒体の温度を検出し、熱媒体の温度を基にして電池Bの温度を推定しても良い。
更に、制御用センサ群の入力側には、熱媒体回路20の熱媒体や高温側熱媒体回路31の高温側熱媒体の温度を検出する為の第1熱媒体温度センサ54a~第5熱媒体温度センサ54eが接続されている。
第1熱媒体温度センサ54aは、熱媒体回路20を流通する熱媒体の温度(熱媒体温度Tw)を検出する。第1熱媒体温度センサ54aは、熱媒体回路20の熱媒体流路において、第2蒸発器17における熱媒体通路17bの流出口と三方弁26の流入口の間に配置されている。
第2熱媒体温度センサ54bは、電池用熱交換器21における熱媒体通路21aの出口部分に配置されており、電池用熱交換器21を通過した熱媒体の温度を検出する。第3熱媒体温度センサ54cは、外気熱交換器23の熱媒体出口部分に配置されており、外気熱交換器23から流出した熱媒体の温度を検出する。
そして、第4熱媒体温度センサ54dは、熱媒体冷媒熱交換器12の熱媒体通路12bにおける出口部分に配置されており、熱媒体冷媒熱交換器12から流出する高温側熱媒体の温度を検出する。第5熱媒体温度センサ54eは、ヒータコア32の出口部分に配置されており、ヒータコア32から流出する高温側熱媒体の温度を検出する。
そして、車両用空調装置100の制御装置50は、第1熱媒体温度センサ54a~第5熱媒体温度センサ54eの検出結果を参照して、熱媒体回路20における熱媒体の流れや、高温側熱媒体回路31における高温側熱媒体の流れを切り替える。これにより、車両用空調装置100は、熱媒体回路20や高温側熱媒体回路31を用いて、車両における熱を管理することができる。
更に、制御装置50の入力側には、車室内前部の計器盤付近に配置された操作パネル51が接続されている。操作パネル51には、複数の操作スイッチが配置されている。従って、制御装置50には、この複数の操作スイッチからの操作信号が入力される。操作パネル51における各種操作スイッチとしては、オートスイッチ、冷房スイッチ、風量設定スイッチ、温度設定スイッチ等がある。
オートスイッチは、車両用空調装置100の自動制御運転を設定或いは解除する際に操作される。冷房スイッチは、車室内の冷房を行うことを要求する際に操作される。風量設定スイッチは、送風機42の風量をマニュアル設定する際に操作される。そして、温度設定スイッチは、車室内の空調目標温度Tsetを設定する際に操作される。
尚、制御装置50では、その出力側に接続された各種制御対象機器を制御する制御部が一体に構成されているが、それぞれの制御対象機器の作動を制御する構成(ハードウェア及びソフトウェア)がそれぞれの制御対象機器の作動を制御する制御部を構成している。
例えば、制御装置50のうち、冷凍サイクル10における冷媒の状態が後述する冷媒量判定制御に適していることを示す判定実行条件を満たすか否かを判定する構成は、条件判定部50aを構成する。
又、制御装置50のうち、圧縮機11から吐出される冷媒の流量である第1冷媒流量Gr1を算出する構成は、第1冷媒流量算出部50bを構成する。第1冷媒流量Gr1は、圧縮機11の回転数等を用いて算出されるが、詳細な算出方法については後に説明する。
そして、制御装置50のうち、膨張弁(即ち、第1膨張弁15a、第2膨張弁15b)を流通した冷媒の流量である第2冷媒流量Gr2を算出する構成は、第2冷媒流量算出部50cを構成する。第2冷媒流量Gr2は、膨張弁の特性を用いて算出されるが、詳細な算出方法については後述する。
又、制御装置50のうち、第1冷媒流量Gr1と第2冷媒流量Gr2の関係性を利用して、冷凍サイクル10に封入されている冷媒の量が不足しているか否かを判定する構成は、冷媒量判定部50dを構成する。
そして、制御装置50のうち、冷媒の量が不足していると判定された場合に、第1蒸発器16及び第2蒸発器17の少なくとも一方で要求される冷却能力を低下させるように、車両用空調装置100の運転態様を制御する構成は、能力調整制御部50eを構成する。
続いて、冷凍サイクル装置1を含む車両用空調装置100の作動について説明する。上述したように、車両用空調装置100では、複数の運転モードから適宜運転モードを切り替えることができる。これらの運転モードの切り替えは、制御装置50に予め記憶された制御プログラムが実行されることによって行われる。
上述したように、車両用空調装置100の運転モードには、冷房モード、暖房モード、除湿暖房モード、単独冷却モード、冷却冷房モード、冷却暖房モード、冷却除湿暖房モードが含まれる。以下に、各運転モードについて説明する。
(a)冷房モード
冷房モードは、冷凍サイクル10を利用した電池Bの冷却を行うことなく、第1蒸発器16により送風空気Wを冷却して車室内に送風する運転モードである。この冷房モードでは、制御装置50は、第1膨張弁15aを予め定められた絞り開度で開き、第2膨張弁15bを全閉する。
従って、冷房モードの冷凍サイクル10では、圧縮機11、熱媒体冷媒熱交換器12、貯留部13、第1膨張弁15a、第1蒸発器16、圧縮機11の順で流れる冷媒の循環回路が構成される。そして、このサイクル構成で、制御装置50は、制御用センサ群の検出結果等に従って、出力側に接続された各種制御対象機器の作動を冷房モードに適した態様となるように制御する。
(b)暖房モード
暖房モードは、冷凍サイクル10を用いた電池Bの冷却を行うことなく、ヒータコア32により送風空気Wを加熱して車室内に送風する運転モードである。暖房モードでは、制御装置50は、第1膨張弁15aを全閉状態にして、第2膨張弁15bを所定の絞り開度で開く。
従って、暖房モードの冷凍サイクル10では、圧縮機11、熱媒体冷媒熱交換器12、貯留部13、第2膨張弁15b、第2蒸発器17、圧縮機11の順で冷媒が循環する冷媒の循環回路が構成される。このサイクル構成で、制御装置50は、制御用センサ群の検出結果等に従って、出力側に接続された各種制御対象機器の作動を暖房モードに適した態様となるように制御する。
又、暖房モードの熱媒体回路20については、第2蒸発器17から流出した熱媒体が外気熱交換器23を経由するように、熱媒体を循環させる。これにより、冷凍サイクル装置1は、外気熱交換器23にて外気OAから熱媒体に吸熱した熱を、冷凍サイクル10で汲み上げ、暖房用の熱源として利用することができる。
(c)除湿暖房モード
除湿暖房モードは、冷凍サイクル10を利用した電池Bの冷却を行うことなく、第1蒸発器16で冷却された送風空気Wをヒータコア32で加熱して車室内に送風する運転モードである。除湿暖房モードでは、制御装置50は、第1膨張弁15a及び第2膨張弁15bをそれぞれ所定の絞り開度で開く。
従って、除湿暖房モードの冷凍サイクル10では、圧縮機11、熱媒体冷媒熱交換器12、貯留部13、第1膨張弁15a、第1蒸発器16、圧縮機11の順で冷媒が循環する。同時に、圧縮機11、熱媒体冷媒熱交換器12、貯留部13、第2膨張弁15b、第2蒸発器17、圧縮機11の順に冷媒が循環する。
このサイクル構成で、制御装置50は、制御用センサ群の検出結果等に従って、出力側に接続された各種制御対象機器の作動を除湿暖房モードに適した態様となるように制御する。そして、除湿暖房モードの熱媒体回路20については、制御装置50は、第2蒸発器17を経由した熱媒体が外気熱交換器23を通過するように、熱媒体を循環させる。
これにより、除湿暖房モードの冷凍サイクル装置1は、熱媒体回路20にて外気OAから吸熱した熱を冷凍サイクル10で汲み上げて、冷却された送風空気Wを、高温側熱媒体回路31を介して加熱する除湿暖房を実現することができる。
(d)単独冷却モード
単独冷却モードは、車室内の空調運転を行うことなく、冷凍サイクル10を用いた電池Bの冷却を行う運転モードである。この単独冷却モードでは、制御装置50は、第1膨張弁15aを全閉状態にし、第2膨張弁15bを所定の絞り開度で開く。
従って、単独冷却モードの冷凍サイクル10では、圧縮機11、熱媒体冷媒熱交換器12、貯留部13、第2膨張弁15b、第2蒸発器17、圧縮機11の順で冷媒が循環する冷媒の循環回路が構成される。
このサイクル構成で、制御装置50は、制御用センサ群の検出結果等に従って、出力側に接続された各種制御対象機器の作動を単独冷却モードに適した態様となるように制御する。そして、単独冷却モードの熱媒体回路20については、制御装置50は、第2蒸発器17を流通した熱媒体が電池用熱交換器21を経由して循環するように、熱媒体回路20の構成機器を制御する。
これにより、単独冷却モードの冷凍サイクル装置1は、第2蒸発器17における低圧冷媒との熱交換によって冷却された熱媒体を、電池用熱交換器21に流通させる為、冷凍サイクル10を利用して電池Bを冷却できる。
(e)冷却冷房モード
冷却冷房モードは、冷凍サイクルを利用した電池Bの冷却と並行して、第1蒸発器16により送風空気Wを冷却して車室内に送風する運転モードである。この冷却冷房モードでは、制御装置50は、第1膨張弁15a及び第2膨張弁15bをそれぞれ所定の絞り開度で開く。
従って、冷却冷房モードの冷凍サイクル10では、圧縮機11、熱媒体冷媒熱交換器12、貯留部13、第1膨張弁15a、第1蒸発器16、圧縮機11の順で冷媒が循環する。同時に、圧縮機11、熱媒体冷媒熱交換器12、貯留部13、第2膨張弁15b、第2蒸発器17、圧縮機11の順に冷媒が循環する。
このサイクル構成で、制御装置50は、制御用センサ群の検出結果等に従って、出力側に接続された各種制御対象機器の作動を冷却冷房モードに適した態様となるように制御する。そして、冷却冷房モードの熱媒体回路20については、制御装置50は、第2蒸発器17を通過した熱媒体が電池用熱交換器21を経由して循環するように、熱媒体回路20の構成機器を制御する。
これにより、冷却冷房モードの冷凍サイクル装置1は、第2蒸発器17における低圧冷媒との熱交換によって冷却された熱媒体を、電池用熱交換器21に流通させることができるので、発熱体を冷却することができる。
又、冷却冷房モードでは、第1蒸発器16における送風空気Wとの熱交換により、低圧冷媒を蒸発させて送風空気Wを冷却して車室内の冷房を実現できる。従って、冷却冷房モードの冷凍サイクル装置1は、冷凍サイクル10を用いた電池Bの冷却と共に、車室内の冷房によって快適性を向上させることができる。
(f)冷却暖房モード
冷却暖房モードは、冷凍サイクル10を利用した電池Bの冷却と並行して、ヒータコア32により送風空気Wを加熱して車室内に送風する運転モードである。この冷却暖房モードでは、制御装置50は、第1膨張弁15aを全閉状態にして、第2膨張弁15bを所定の絞り開度で開く。
従って、冷却暖房モードの冷凍サイクル10では、圧縮機11、熱媒体冷媒熱交換器12、貯留部13、第2膨張弁15b、第2蒸発器17、圧縮機11の順で冷媒が循環する冷媒の循環回路が構成される。このサイクル構成で、制御装置50は、制御用センサ群の検出結果等に従って、出力側に接続された各種制御対象機器の作動を冷却暖房モードに適した態様となるように制御する。
そして、冷却暖房モードの熱媒体回路20については、制御装置50は、第2蒸発器17を通過した熱媒体が電池用熱交換器21を経由して循環するように、熱媒体回路20の構成機器を制御する。
これにより、冷却暖房モードの冷凍サイクル装置1は、第2蒸発器17における低圧冷媒との熱交換によって冷却された熱媒体を、電池用熱交換器21に流通させることができるので、電池Bを冷却することができる。又、冷却暖房モードでは、冷凍サイクル10にて電池Bの廃熱を汲み上げて、ヒータコア32にて送風空気Wへ放熱することで、車室内の暖房を実現できる。
(g)冷却除湿暖房モード
冷却除湿暖房モードは、冷凍サイクル10を利用した電池Bの冷却と並行して、第1蒸発器16で冷却された送風空気Wをヒータコア32で加熱して車室内に送風する運転モードである。この冷却除湿暖房モードでは、制御装置50は、第1膨張弁15a及び第2膨張弁15bをそれぞれ所定の絞り開度で開く。
従って、冷却除湿暖房モードの冷凍サイクル10では、圧縮機11、熱媒体冷媒熱交換器12、貯留部13、第1膨張弁15a、第1蒸発器16、圧縮機11の順で冷媒が循環する。同時に、圧縮機11、熱媒体冷媒熱交換器12、貯留部13、第2膨張弁15b、第2蒸発器17、圧縮機11の順に冷媒が循環する。
このサイクル構成で、制御装置50は、制御用センサ群の検出結果等に従って、出力側に接続された各種制御対象機器の作動を冷却除湿暖房モードに適した態様となるように制御する。そして、冷却除湿暖房モードの熱媒体回路20については、制御装置50は、第2蒸発器17を通過した熱媒体が電池用熱交換器21を経由して循環するように、熱媒体回路20の構成機器を制御する。
これにより、冷却除湿暖房モードの冷凍サイクル装置1は、第2蒸発器17における低圧冷媒との熱交換によって冷却された熱媒体を、電池用熱交換器21に流通させることができるので、電池Bを冷却することができる。
又、冷却除湿暖房モードでは、冷凍サイクル10にて電池Bの廃熱を汲み上げて、第1蒸発器16にて冷却された送風空気Wへ放熱することで、車室内の除湿暖房を実現することができる。従って、冷却除湿暖房モードの冷凍サイクル装置1は、冷凍サイクル10を用いた電池Bの冷却と共に、電池Bの廃熱を熱源として利用した車室内の除湿暖房によって快適性を向上させることができる。
ここで、第1実施形態に係る冷凍サイクル装置1においては、膨張弁(第1膨張弁15a、第2膨張弁15b)の作動制御によって、蒸発器(第1蒸発器16、第2蒸発器17)の出口側の過熱度が予め定められた所定値になるように制御される。このような過熱度制御を行う上で最適なサイクル状態として、冷凍サイクル10における冷媒充填量は、最も冷媒量が必要な運転条件において、貯留部13から第1膨張弁15a又は第2膨張弁15bまでの経路では、冷媒が液相状態であるように定められている。
続いて、第1実施形態に係る冷凍サイクル装置1で実行される冷媒量判定制御の内容について、図面を参照して説明する。第1実施形態に係る冷媒量判定制御は、制御装置50のCPUによって制御プログラムを実行することによって、図4に示すフローチャートの内容が実現される。冷媒量判定制御に係る制御プログラムは、車両用空調装置100に電源が投入され、且つ、冷凍サイクル装置1を用いた運転が行われている間、繰り返し実行される。
図4に示すように、先ず、ステップS1では、膨張弁前の冷媒の状態が液単相であるか否かが判定される。即ち、貯留部13よりも下流側であって、第1膨張弁15a及び第2膨張弁15bよりも上流側における冷媒の状態が液相状態であるか否かが判定される。膨張弁前の冷媒の状態が液単相であると判定された場合、ステップS2に処理を移行する。一方、そうではない場合、冷媒量判定制御に係る制御プログラムを終了する。
ステップS1の判定処理は、高圧センサ52dの検出値、車両用空調装置100の運転モードの種別、運転環境等を用いて行われる。例えば、冷凍サイクル10において、膨張弁前の冷媒が液単相であることを保証できない状況を事前評価等で明らかにしておき、その状況に該当しない場合、膨張弁前の冷媒の状態が液単相であると判定される。
又、圧縮機11の回転数が大きくなりすぎると、貯留部13における気液分離性が低下して過冷却度を取りにくくなる。この為、圧縮機11の回転数が所定値以上である場合は、膨張弁前の冷媒の状態が液単相ではないと判定される。
ステップS2においては、冷媒量判定制御における判定精度を向上させる為に、運転中の冷凍サイクル10の状態が安定しているか否かが判定される。ステップS2の判定処理では、運転中の冷凍サイクル10の状態に関して、冷媒の状態に相関を有する物理量(例えば、冷媒圧力や冷媒温度)が予め定められた期間の間、維持されている状態であるか否かが判定される。冷凍サイクル10の状態が安定している場合、ステップS3に処理を移行する。一方、冷凍サイクル10の状態が安定していない場合、冷媒量判定制御に係る制御プログラムを終了する。
ステップS2の判定処理では、例えば、冷凍サイクル10の運転開始又は運転モードの切り替えの時点から所定時間を経過した場合に、冷凍サイクル10の状態が安定していると判定される。又、冷媒の状態に相関を有する物理量を検出するセンサの検出値の変動や、冷凍サイクル10を構成するアクチュエータに対する指示値の変動を利用して、冷凍サイクル10の安定に関する判定を行っても良い。
ステップS3においては、圧縮機11の特性から推定される第1冷媒流量Gr1の算出処理が実行される。第1冷媒流量Gr1は、図5に示すように、圧縮機11から吐出される冷媒の流量を示しており、圧縮機11の冷媒吐出能力、圧縮機11の仕様等を用いて算出される。第1冷媒流量Gr1は、次の式(1)のように表すことができる。
Figure 2022175024000002
尚、式(1)において、ρは圧縮機11における冷媒の吸入密度である。第1冷媒流量Gr1を算出する際の冷媒密度ρは、飽和ガス状態を前提とした冷媒密度の値を採用している。Vは、圧縮機の容積であり、圧縮機11の仕様により定められる規定値となる。Nは、圧縮機の回転数であり、制御装置50による指示値から求められる。ηνは、体積効率であり、圧縮機11の仕様により定められる規定値となる。
ステップS3では、圧縮機11に対する指示値や、圧縮機11の仕様で定まる規定値等を用いることで、第1冷媒流量Gr1が算出される。第1冷媒流量Gr1を算出した後、ステップS4に処理を移行する。
尚、式(1)のρの定義からわかるように、第1冷媒流量Gr1の算出に際して採用される冷媒密度ρは、圧縮機11の吸入口側において冷媒が気相状態であることが前提となっている。以下、この条件を第1前提条件という。
ステップS4では、膨張弁の特性から推定される第2冷媒流量Gr2の算出処理が実行される。図5に示すように、第2冷媒流量Gr2は、膨張弁を流通する冷媒の流量を示しており、膨張弁における減圧態様、膨張弁の仕様等を用いて算出される。第2冷媒流量Gr2は、次の式(2)のように表すことができる
Figure 2022175024000003
尚、式(2)において、Cは、流量係数であり、膨張弁の仕様により定められる規定値である。Aは、膨張弁の断面積であり、制御装置50からの指示値によって求められる。
ρは、膨張弁入口側の冷媒密度である。第2冷媒流量Gr2を算出する際のρは、飽和液状態を前提とした冷媒密度の値を採用している。ΔPは、膨張弁の前後における差圧であり、高圧センサ52d等の検出値を用いて、高圧と蒸発器圧力の差分として求められる。
ステップS4では、膨張弁(第1膨張弁15a、第2膨張弁15b)に対する指示値や、膨張弁の仕様により定まる規定値等を用いることで、第2冷媒流量Gr2が算出される。第2冷媒流量Gr2を算出した後、ステップS5に処理を移行する。
尚、式(2)のρの定義からわかるように、第2冷媒流量Gr2の算出に際して、貯留部13から第1膨張弁15a又は第2膨張弁15bへ至る径路において、冷媒が液相状態であることが前提となっている。以下、この条件を第2前提条件という。
次に、ステップS5では、算出された第1冷媒流量Gr1、第2冷媒流量Gr2を用いて、流量比Rの算出処理が行われる。第1実施形態に係る流量比Rとしては、第2冷媒流量Gr2を第1冷媒流量Gr1で除算した値が採用されている。
ここで、第1冷媒流量Gr1等を算出する上での前提条件と、第1冷媒流量Gr1及び第2冷媒流量Gr2の関係性について説明する。
初めに、第1冷媒流量Gr1を算出する上での前提である第1前提条件について検討する。上述したように、第1実施形態では、通常、膨張弁(第1膨張弁15a、第2膨張弁15b)の作動制御によって、蒸発器(第1蒸発器16、第2蒸発器17)の出口における過熱度が所定値になるように制御されている。この為、圧縮機11の吸入口側において冷媒が必ず気相状態になる為、第1前提条件が崩れることはない。
冷凍サイクルにおける冷媒量が不足している場合、蒸発器出口における冷媒の過熱度が大きくなる傾向にある。従って、第1実施形態において、冷凍サイクル10の冷媒不足が生じた場合であっても、圧縮機11の吸入口側において冷媒が気相状態であるという第1前提条件が崩れることはない。
続いて、第2冷媒流量Gr2を算出する上での前提である第2前提条件について検討する。上述したように、第2前提条件は、貯留部13から第1膨張弁15a又は第2膨張弁15bへ至る径路において、冷媒が液相状態であることである。
通常は、冷凍サイクル10における必要な冷媒充填量が確保されている状態である為、貯留部13から第1膨張弁15a等の間では液相冷媒となり、第2前提条件が破綻することはない。
しかし、スローリーク等により冷凍サイクル10における冷媒量が不足した状態になると、スローリーク等による漏れ量に応じて、第2前提条件が破綻する運転環境・運転態様が出現することになる。
通常の場合、第1前提条件及び第2前提条件が何れも成立している為、第1冷媒流量Gr1及び第2冷媒流量Gr2は、質量流量として、ほぼ等しくなり、冷凍サイクル10を循環する実際の冷媒流量に近似した値を示す。換言すると、第1冷媒流量Gr1と第2冷媒流量Gr2が略等しい値を示した場合、第1前提条件及び第2前提条件が何れも成立しており、冷凍サイクル10の冷媒充填量として適正な量であるということができる。
次に、冷凍サイクル10における冷媒量が不足した場合について検討する。上述したように、冷凍サイクル10の冷媒量が不足すると、第2前提条件が破綻して、貯留部13から第1膨張弁15a又は第2膨張弁15bへ至る径路において、冷媒が液相状態から気液二相状態になる。
ここで、液相状態から気液二相状態を経て気相状態となる状態変化と、冷媒密度との関係について、図6を参照して説明する。上述したように、第1冷媒流量Gr1の算出に用いられる冷媒密度ρは、飽和ガス状態を前提とした冷媒密度の値であり、図6における冷媒密度ρc1となる。又、第2冷媒流量Gr2を算出する際の冷媒密度ρは、飽和液状態を前提とした冷媒密度の値であり、図6におけるρc2となる。
図6に示すように、冷媒の状態が液相状態から気液二相状態に変化すると、冷媒密度ρは大きく低下することがわかっている。即ち、膨張弁入口側の冷媒の状態が液相状態から気液二相状態に変化すると、図6に示す冷媒密度ρc2から、冷媒密度ρa2へと大きく低下することになる。
従って、冷媒不足に伴って、第1前提条件は成立しているが、第2前提条件が破綻した場合、第2冷媒流量Gr2の値は、実際に冷凍サイクル10を循環している冷媒流量よりも大きな値を示すことになる。
第1実施形態においては、通常状態から冷媒不足の状態への変化が第1冷媒流量Gr1と第2冷媒流量Gr2に及ぼす影響の大きさを利用することで、冷凍サイクル10における冷媒充填量が不足しているか否かを判定している。第1実施形態では、その為の指標として、第2冷媒流量Gr2/第1冷媒流量Gr1で求められる流量比Rを採用している。
続いて、冷凍サイクル10における高圧側冷媒圧力の大きさ、冷媒密度、冷媒の乾き度の関係性について検討する。図7において、Pda、Pdb、Pdc、Pdd、Pdeは、それぞれ異なる高圧側冷媒圧力を示しており、Pda、Pdb、Pdc、Pdd、Pdeの順に高い冷媒圧力を示している。つまり、Pdaは最も低い高圧側冷媒圧力を示しており、Pdeは最も高い高圧側冷媒圧力を示している。
ここで、冷媒は、液相状態では圧力が高くなるほど密度が小さくなり、気相状態では、圧力が大きくなるほど密度が大きくなる物性を有している。この為、図7に示すように、冷凍サイクル10の高圧側冷媒圧力が高いほど、液相状態の冷媒密度と気相状態の冷媒密度との差が小さくなり、乾き度に対する冷媒密度の変化も小さくなる。
そして、高圧側冷媒圧力及び冷媒の乾き度を定めた状態で、飽和液状態の冷媒密度を、或る乾き度における冷媒密度で除算した密度比を求めると、密度比は、高圧側冷媒圧力が高ければ高いほど小さな値を示す。
第1冷媒流量Gr1を算出する為の式(1)、第2冷媒流量Gr2を算出する為の式(2)の何れについても、冷媒密度ρが含まれていることからわかるように、密度比は、第2冷媒流量Gr2/第1冷媒流量Gr1で求められる流量比Rに強い相関を有している。即ち、流量比Rは、高圧側冷媒圧力との間に相関関係を有している。
続いて、冷媒不足の度合と、乾き度との関係について検討する。冷媒不足の度合が悪化する程(即ち、冷媒不足と判定される基準よりも冷媒量が小さくなるほど)、冷媒の乾き度は大きくなる。上述したように、冷媒の乾き度が大きくなればなるほど、密度比は大きくなる。この為、冷媒量が小さくなればなるほど、流量比Rは大きな値を示すことがわかる。
即ち、第1実施形態に係る流量比Rは、以下の傾向を有している。第1実施形態に係る流量比Rは、図8に示すように、冷凍サイクル10における冷媒充填量が十分に確保されている場合、所定値(例えば、1)を示し、冷媒充填量が減少して冷媒不足の度合いが悪化する程、流量比Rは大きな値を示す。又、図9に示すように、流量比Rは高圧側冷媒圧力が高ければ高いほど、小さな値を示し、高圧側冷媒圧力が低い程、大きな値を示す。
尚、図9におけるPdl、Pdm、Pdhは、冷凍サイクル10における高圧側冷媒圧力を示しており、Pdl、Pdm、Pdhの順に大きな値を示している。即ち、Pdhが図9において、最も高い高圧側冷媒圧力を示している。
第1実施形態では、第1冷媒流量Gr1、第2冷媒流量Gr2から求められる流量比Rが有するこれらの傾向を利用することで、冷凍サイクル10における冷媒充填量が不足しているか否かを判定する。流量比Rを算出した後、ステップS6に処理を移行する。
ステップS6では、ステップS5で算出した流量比Rが基準値Kよりも大きいか否かが判定される。ここで、基準値Kは、冷媒量が十分である状態に対して、冷媒不足の状態を判別する為の判定基準であり、第1冷媒流量Gr1等を算出する際に用いられるセンサの検出誤差等を考慮して定められる。
ここで、基準値Kの設定方法について図面を参照して説明する。図8に示すように、冷媒充填量が少ない領域では、流量比Rは大きな値を示している。冷媒充填量が少ない領域では、流量比Rは、高圧側冷媒圧力によって定まる値をとり、所定の冷媒充填量に近づけば近づくほど、大きく低下する。
一方、冷媒充填量が多い領域では、第1前提条件及び第2前提条件が成立している為、流量比Rは、冷媒充填量の影響を大きく受けることなく、所定値(例えば、1)を示す。つまり、この所定値に近似した値を示す流量比Rは、十分な冷媒充填量が確保されている状態を示す流量比Rであり、基準流量比kRという。
図8に示すように、冷媒充填量が少ない領域、冷媒充填量が多い領域の何れにおいても、流量比Rの変動は比較的小さく、冷媒充填量が多い領域から冷媒充填量が少ない領域並行する過程で、流量比Rは大きな変動を示す。従って、基準値Kは、流量比Rが大きく変動する領域において、基準流量比kR以上の値であって、高圧側冷媒圧力から定まる上限値以下となることを条件に、各センサの検出誤差を考慮して定められる。
ステップS6で流量比Rが基準値Kよりも大きい場合、ステップS7に処理を進めて、制御装置50のRAM等における冷媒不足フラグをオンにする。冷媒不足フラグは、冷凍サイクル10における冷媒充填量が、第1前提条件及び第2前提条件の何れかが破綻する程度に不足している状態であることを示すフラグである。冷媒不足フラグをオンにした後、ステップS9に処理を移行する。
一方、流量比Rが基準値Kよりも大きくない場合、ステップS8に処理を進めて、制御装置50のRAM等における冷媒不足フラグをオフにする。冷凍サイクル10における冷媒充填量が車両用空調装置100の運転態様の実現に十分な量を確保していると考えられる為、冷媒量判定制御に係る制御プログラムを終了する。
ステップS9においては、冷凍サイクル10における冷媒充填量が不足していると判定されている為、冷媒充填量が不足している状態に合致するように要求能力調整制御を実行する。具体的には、要求能力調整制御では、現在運転中の運転モードにおける蒸発器(第1蒸発器16、第2蒸発器17)で要求される冷却能力を、冷媒充填量が不足している状態に合わせて調整する。
例えば、第1蒸発器16における送風空気の冷却が行われている場合、要求能力調整制御として、目標として設定される目標蒸発温度の設定を、冷媒不足フラグがオンされる前の状態から高くする。又、この場合の要求能力調整制御として、第1蒸発器16で冷却される送風空気の量を少なくするように、室内空調ユニット40の送風機42を制御しても良い。
更に、第1蒸発器16における送風空気の冷却と、第2蒸発器17における熱媒体を介した電池Bの冷却が同時に行われている場合、要求能力調整制御として、第1蒸発器16における送風空気の冷却を停止しても良い。送風空気の冷却は、車室内の快適性に影響を与え、電池Bの冷却は車両の航続距離等に影響を与え、車両の走行に関連する。車両の走行と車室内の快適性とを比較して、車両の走行を優先する為に、要求能力調整制御では、第1蒸発器16で要求される冷却能力を下げるように構成される。要求能力調整制御を終了すると、冷媒量判定制御に係る制御プログラムを終了する。
尚、第1実施形態においては、車両用空調装置100に電源が投入され、且つ、冷凍サイクル装置1を用いた運転が行われている間、冷媒量判定制御を実行していたが、この態様に限定されるものではない。例えば、運転モードのうち、特定の運転モードをテストモードに限定して冷媒量判定制御を実行しても良い。
特定の運転モードとしては、例えば、冷房モード、単独冷房モード、冷房冷却モードのように、冷凍サイクル10にて要求される冷媒量が異なる運転モードを含めるとよい。冷房モードは、第1蒸発器16を経由して冷媒が循環する運転モードの一例であり、単独冷却モードは、第2蒸発器17を経由して冷媒が循環する運転モードの一例である。そして、冷却冷房モードは、第1蒸発器16及び第2蒸発器17を経由して冷媒が循環する運転モードの一例である。
このようにテストモードを設定すれば、各運転モードにおける適正な冷媒充填量の相違を利用して、現時点で冷凍サイクル10に充填されている冷媒充填量を推定することができる。
以上説明したように、第1実施形態に係る冷凍サイクル装置1を有する車両用空調装置100において、冷媒量判定制御が実行される。冷媒量判定制御では、圧縮機11の回転数を用いた第1冷媒流量Gr1と、膨張弁(第1膨張弁15a、第2膨張弁15b)の開度を用いた第2冷媒流量Gr2とが算出される。
第1冷媒流量Gr1は、貯留部13から膨張弁へ至る径路における冷媒が液相冷媒であることを前提として求められ、第2冷媒流量Gr2は、圧縮機11に吸入される冷媒が気相冷媒であることを前提として求められる。冷凍サイクル装置において、これらの前提を満たす場合、第1冷媒流量と第2冷媒流量はほぼ同じ流量となる。
ここで、スローリーク等により冷媒の量が不足した場合、貯留部13から膨張弁へ至る径路における冷媒が液相状態であるという前提が崩れて気液二相状態になる為、第1冷媒流量Gr1と第2冷媒流量Gr2との間に大小関係が生じる。
第1実施形態に係る冷凍サイクル装置1によれば、冷媒量判定制御において、第1冷媒流量Gr1と第2冷媒流量Gr2との関係を利用して、冷媒の量が不足しているか否かを判定する為、幅広いサイクル構成に対応して冷媒不足を検知することができる。
又、冷媒量判定制御のステップS1において、膨張弁に流入する冷媒の状態が液相単相であることが保証できない場合、冷媒量判定制御による冷凍サイクル10における冷媒充填量の判定を行うことはない。
従って、冷媒量判定制御による判定に際して、正常な場合、第2前提条件が成立していることになる為、冷媒量判定制御による判定精度を向上させることができ、スローリーク等に起因する冷媒不足を検知することができる。
そして、冷凍サイクル10の運転モードとして、予め定められたテストモードである場合に、冷媒量判定制御による冷媒量の判定を行うように構成される。この場合、冷凍サイクル10の運転モードがテストモードに限定される為、通常時には、第1前提条件及び第2前提条件を満たしており、冷媒量判定制御による判定精度を高めることができる。
又、第1実施形態に係る冷凍サイクル装置1において、膨張弁の作動によって、蒸発器の出口側における冷媒の過熱度を制御している。そして、第2冷媒流量Gr2が第1冷媒流量Gr1よりも大きく、流量比Rが1及び基準値Kより大きい場合に、冷媒量が不足していると判定する。
冷媒量が不足した場合、第2前提条件が崩れて、液相状態を前提とする膨張弁前の冷媒密度が実際には気液二相状態になる為、第2冷媒流量Gr2が大きな値を示す。つまり、第2冷媒流量Gr2と第1冷媒流量Gr1の大小関係を利用することで、様々なサイクル構成に対応しながら、冷凍サイクル10における冷媒の量が不足しているか否かを判定することができる。
又、冷媒量判定制御のステップS2において、運転中の冷凍サイクル10の状態が安定しているか否かが判定され、安定していない場合、冷媒量判定制御による冷凍サイクル10における冷媒充填量の判定を行うことはない。運転中の冷凍サイクル10の状態が安定した状態で、第1冷媒流量Gr1、第2冷媒流量Gr2を算出することで、算出値における誤差を抑制して、冷媒量判定制御における判定精度を向上させることができる。
従って、冷媒量判定制御による判定に際して、冷凍サイクル10の状態が不安定である場合に発生する検出誤差や異常値の影響を排除することができ、冷媒量判定制御による判定精度を向上させることができる。
又、図4に示すように、ステップS5にて、冷凍サイクル10の冷媒充填量が基準値Kに対応する状態に対して不足している場合、ステップS9にて要求能力調整制御が行われる。例えば、第1蒸発器16又は第2蒸発器17の何れか一方を経由するように冷媒が循環している場合、冷媒が経由する蒸発器で要求される冷却能力を低下させる制御が実行される。
これにより、冷媒充填量が不足している状態に対応するように、運転モードで発揮される冷却能力が変更される為、冷媒不足に起因した運転による異常の発生を抑制することができる。
又、並列に接続された第1蒸発器16及び第2蒸発器17の何れについても、冷媒が経由して循環している場合には、第1蒸発器16又は第2蒸発器17の何れか一方で要求される冷却能力を低下させる。
これにより、第1蒸発器16における冷却と、第2蒸発器17における冷却の優先順位と、冷媒充填量が不足している状態とを連動させることができる。即ち、冷凍サイクル装置1は、優先順位の高い蒸発器における冷却性能を維持すると同時に、冷媒充填量が不足している状態に対応させることができる。
(第2実施形態)
次に、上述した実施形態と異なる第2実施形態について、図10、図11を参照して説明する。第2実施形態では、冷凍サイクル10における冷媒温度を検出する為のセンサの配置や、第1膨張弁15a等による冷媒温度制御の態様が上述した実施形態と相違している。その他の熱媒体回路20、加熱部30、室内空調ユニット40等の基本的構成等については、上述した実施形態と同様である為、再度の説明を省略する。
先ず、第2実施形態に係る車両用空調装置100における冷凍サイクル装置1の構成について、図10を参照して説明する。第2実施形態に係る冷凍サイクル装置1の冷凍サイクル10は、第1実施形態と同様に、圧縮機11と、熱媒体冷媒熱交換器12と、貯留部13と、第1膨張弁15aと、第2膨張弁15bと、第1蒸発器16と、第2蒸発器17とを有している。
第2実施形態に係る冷凍サイクル10において、熱媒体冷媒熱交換器12の出口側における過冷却度SCは、膨張弁(第1膨張弁15a、第2膨張弁15b)の作動によって、所定値になるように制御される。即ち、第2実施形態に係る冷凍サイクル10は、所謂、過冷却度制御を行っている。
そして、第2実施形態に係る冷凍サイクル10では、冷媒温度を検出するセンサとして、第1実施形態における第1冷媒温度センサ52g、第2熱媒体温度センサ54bに替えて、高圧側冷媒温度センサ52jが配置されている。高圧側冷媒温度センサ52jは、圧縮機11の吐出口側から第1膨張弁15a或いは第2膨張弁15bの入口側へ至る冷媒流路の冷媒温度を検出する冷媒温度検出部である。
次に、第2実施形態に係る冷凍サイクル装置1で実行される冷媒量判定制御の内容について、図面を参照して説明する。第2実施形態に係る冷媒量判定制御は、制御装置50のCPUによって制御プログラムを実行することで実現される。第2実施形態に係る冷媒量判定制御では、図11のフローチャートに示す内容が実現される。
第2実施形態の冷媒量判定制御に係る制御プログラムは、第1実施形態と同様に、車両用空調装置100に電源が投入され、且つ、冷凍サイクル装置1を用いた運転が行われている間、繰り返し実行される。
図11に示すように、先ず、ステップS11では、熱媒体冷媒熱交換器12の出口側における過冷却度SCが所定値よりも大きいか否かが判定される。所定値は、高圧側冷媒温度センサ52jの検出誤差を含めて、過冷却度制御が正常に作動している状態となるように定められている。
つまり、ステップS11では、冷凍サイクル10における過冷却度制御が正常であるか否かが判定されている。過冷却度SCが所定値よりも大きい場合、過冷却度制御が正常である為、ステップS12に移行する。一方、過冷却度SCが所定値以下である場合、過冷却度制御が正常に実行されていない為、第2実施形態に係る冷媒量判定制御の制御プログラムを終了する。
ステップS12では、運転中の冷凍サイクル10の状態が安定しているか否かが判定される。ステップS12の処理内容は、第1実施形態におけるステップS2と同様である。冷凍サイクル10の状態が安定している場合、ステップS13に処理を移行する。一方、冷凍サイクル10の状態が安定していない場合は、冷媒量判定制御における判定精度の低下を抑制する為に、第2実施形態に係る冷媒量判定制御の制御プログラムを終了する。
ステップS13に移行すると、第1冷媒流量Gr1の算出処理が実行される。第2実施形態に係る第1冷媒流量Gr1は、第1実施形態と同様に、上述した式(1)を用いて算出される。第1冷媒流量Gr1の算出については、既に説明済みである為、再度の説明を省略する。
続いて、ステップS14においては、第2冷媒流量Gr2の算出処理が実行される。第2実施形態に係る第2冷媒流量Gr2は、第1実施形態と同様に、上述した式(2)を用いて算出される。第2冷媒流量Gr2の算出についてもサイドの説明を省略する。
ステップS15では、第1冷媒流量Gr1と第2冷媒流量Gr2を用いた流量比Rを算出する。第2実施形態における流量比Rは、第1実施形態と異なり、第1冷媒流量Gr1を第2冷媒流量Gr2で除算した値である。
ここで、第2実施形態に係る第1冷媒流量Gr1、第2冷媒流量Gr2と、冷媒充填量の不足との関係性について説明する。第2実施形態に係る冷凍サイクル10では、過冷却度制御によって、熱媒体冷媒熱交換器12の出口側における過冷却度SCが所定値になるように制御されている。
従って、冷媒充填量が確保されている場合、冷媒充填量が不足している場合の何れにおいても、貯留部13から第1膨張弁15a又は第2膨張弁15bへ至る径路において、冷媒が液相状態となる。この為、第2冷媒流量Gr2の値は、冷媒充填量が確保されている場合、冷媒充填量が不足している場合の何れにおいても、実際の冷媒流量に即した値を示す。
第2実施形態に係る第1冷媒流量Gr1について検討する。第2実施形態に係る冷凍サイクル10にて冷媒充填量が不足した状態になると、蒸発器(第1蒸発器16、第2蒸発器17)の出口側における冷媒温度が上昇し、過熱度が上昇することになる。そして、図6に示すように、冷媒の過熱度が大きくなると、冷媒密度が減少する。
上述したように、第1冷媒流量Gr1の算出に際して、採用されている冷媒密度ρは、飽和ガス状態を前提とした冷媒密度の値(即ち、図6におけるρc1)である。冷媒不足に伴い、過熱度が上昇すると冷媒密度が減少する為、圧縮機11の吸入口側における実際の冷媒密度は、飽和ガス状態を前提とした冷媒密度よりも小さな値を示す。この結果、式(1)によって算出される第1冷媒流量Gr1の値は、実際の冷媒流量よりも大きく算出されることになる。
従って、第2実施形態では、冷媒充填量が十分に確保されている場合、第1冷媒流量Gr1、第2冷媒流量Gr2は、何れも、冷凍サイクル10における実際の冷媒流量に即した値を示す。冷媒不足になった場合、第2冷媒流量Gr2は、冷凍サイクル10における実際の冷媒流量に即した値を示すが、第1冷媒流量Gr1は、冷凍サイクル10における実際の冷媒流量よりも大きな値を示す。第2実施形態では、この関係性を流量比Rという形で利用することで、冷凍サイクル10のおける冷媒不足が生じているか否かを判定している。
ステップS16においては、ステップS15で算出した流量比Rが基準値Kより大きいか否かが判定される。基準値Kは、第1実施形態における基準値Kと同様の手法で定められる。流量比Rが基準値Kより大きい場合、ステップS17に処理を移行する。一方、流量比Rが基準値Kよりも大きくない場合、ステップS18に処理を移行する。
ステップS17では、第1実施形態におけるステップS7と同様に、制御装置50のRAM等における冷媒不足フラグをオンにする。冷媒不足フラグをオンにした後、ステップS19に処理を移行する。
一方、ステップS18では、冷凍サイクル10における冷媒充填量が車両用空調装置100の運転態様の実現に十分な量を確保していると考えられる為、制御装置50のRAM等における冷媒不足フラグをオフにする。冷媒量判定制御に係る制御プログラムを終了する。
ステップS19では、冷凍サイクル10における冷媒充填量が不足していると判定されている為、要求能力調整制御を実行する。ステップS19における要求能力調整制御は、第1実施形態におけるステップS9と同様の処理である為、処理内容に関する再度の説明は省略する。要求能力調整制御を終了すると、冷媒量判定制御に係る制御プログラムを終了する。
以上説明したように、第2実施形態に係る冷凍サイクル装置1によれば、冷凍サイクル10にて過冷却度制御を行う構成であっても、上述した実施形態と同様の構成から、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
又、第2実施形態に係る冷凍サイクル装置1において、膨張弁の作動によって、凝縮器の出口側における冷媒の過冷却度を制御している。そして、第1冷媒流量Gr1が第2冷媒流量Gr2よりも大きく、流量比Rが1及び基準値Kより大きい場合に、冷媒量が不足していると判定する。
つまり、第2実施形態に係る冷凍サイクル装置1は、第2冷媒流量Gr2と第1冷媒流量Gr1の大小関係を利用することで、様々なサイクル構成に対応しながら、冷凍サイクル10における冷媒の量が不足しているか否かを判定することができる。
(第3実施形態)
続いて、上述した実施形態と異なる第3実施形態について、図12を参照して説明する。第3実施形態では、冷凍サイクル10における冷媒充填量や、冷凍サイクル10の構成が上述した実施形態と相違している。その他の基本的構成等については、上述した実施形態と同様である為、再度の説明を省略する。
図12に示すように、第3実施形態に係る冷凍サイクル装置1は、圧縮機11、室内凝縮器12X、貯留部13、第1膨張弁15a、第1蒸発器16を有している。圧縮機11、貯留部13、第1膨張弁15a、第1蒸発器16については、上述した実施形態と同様の構成である。
そして、第3実施形態に係る冷凍サイクル10には、膨張弁(即ち、第1膨張弁15a)に流入する冷媒の状態が作動シーン全域にて常に液相単相となるように、冷媒が封入されている。作動シーンごとに冷媒流量や高低圧の差圧が変わってくる為、センサ誤差や外的要因(例えば、外気温)等が冷媒量判定制御に与える影響の大きさが変わる。この為、第3実施形態では、冷凍サイクル10に対する冷媒充填量を上記のように定めることで、冷媒量判定制御に係る判定精度を担保している。
室内凝縮器12Xは、圧縮機11の吐出口と貯留部13の流入口との間に配置された凝縮器であり、圧縮機11から吐出された冷媒を放熱させて、貯留部13へ流出させる。室内凝縮器12Xは、上述した実施形態の室内空調ユニット40におけるヒータコア32の位置に配置されており、第1蒸発器16を通過した送風空気に放熱することで、送風空気を加熱する。
このように構成された冷凍サイクル10においても、第1実施形態、第2実施形態と同様に、冷媒量判定制御に係る制御プログラムを制御装置50のCPUで実行することで、冷凍サイクル10の冷媒充填量が不足しているか否かを判定することができる。冷媒量判定制御の内容については、既に説明済みである為、再度の説明を省略する。
尚、冷媒量判定制御における要求能力調整制御としては、蒸発器(第1蒸発器16)で要求される冷却能力を、冷媒充填量が不足している状態に合わせて調整する。即ち、第3実施形態では、第1蒸発器16における目標蒸発温度の設定を、判定前の状態から高くしても良い。更に、第1蒸発器16を通過する送風空気の量を、判定前の状態よりも少なくするように制御しても良い。
以上説明したように、第3実施形態に係る冷凍サイクル装置1によれば、膨張弁に流入する冷媒の状態が作動シーン全域にて常に液相単相となるように冷媒が封入された構成でも、上述した実施形態と同様の構成から、上述の実施形態と同様の効果を得られる。
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。また、上記各実施形態に開示された手段は、実施可能な範囲で適宜組み合わせてもよい。
(a)上述した実施形態では、冷媒量判定制御における指標として、第2冷媒流量Gr2を第1冷媒流量Gr1で除算した流量比Rや、第1冷媒流量Gr1を第2冷媒流量Gr2で除算した流量比Rを採用していたが、この態様に限定されるものではない。
冷媒不足に伴って第1冷媒流量Gr1、第2冷媒流量Gr2に生じる大小関係を利用できる指標であれば良く、第1冷媒流量Gr1と第2冷媒流量Gr2の差である流量差を採用しても良い。この場合、第1冷媒流量Gr1の値に応じて、比較対象となる所定値を設定するように構成してもよい。このように設定すれば、冷媒量判定制御の判定精度を向上させることができる。
(b)又、上述した実施形態においては、ステップS1、ステップS2、ステップS11、ステップS12のように、条件を満たした場合に冷媒量判定を実行するように構成していたが、この上述した実施形態で挙げた条件に限定されるものではない。例えば、第1実施形態において、事前評価等により過冷却度がとれない状況を明らかにしておき、その状況を示す条件を満たすか否かで、冷媒量判定の可否を決定しても良い。
(c)そして、冷媒量判定制御を実行する為の専用の運転モード(即ち、冷媒量判定モード)を定めておき、運転モードが冷媒量判定モードである場合に、冷凍サイクル10における冷媒充填量が不足しているか否かを判定するように構成することも可能である。
(d)又、上述した実施形態における基準値Kについては、高圧側冷媒圧力ごとに定められた制御マップを複数有する構成とし、高圧側冷媒圧力に対応する制御マップにより基準値Kを設定しても良い。又、基準値Kを定める為の制御マップは、高圧側冷媒圧力毎に定める態様に限定されるものではなく、例えば、冷凍サイクル装置1を運転する際の周辺環境や、冷凍サイクル装置1の運転モード毎に形成されていても良い。
(e)そして、上述した実施形態では、第2蒸発器17は、熱媒体を介して、車両に搭載された電池Bを冷却する為に利用されていたが、この態様に限定されるものではない。熱媒体を介して冷却される発熱機器として、電池Bの他に、車載機器を採用することができる。
ここで、車載機器とは、電気自動車に搭載された車載機器の内、走行等を目的とした作動に伴って付随的に発熱する機器によって構成されている。具体的に、車載機器としては、インバータ、モータジェネレータ、トランスアクスル装置を採用しても良い。インバータは、直流電流を交流電流に変換する電力変換部である。そして、モータジェネレータは、電力が供給されることによって走行用の駆動力を出力すると共に、減速時等には回生電力を発生させる。トランスアクスル装置は、トランスミッションとファイナルギア・ディファレンシャルギア(デフギア)を一体化した装置である。
1 冷凍サイクル装置
11 圧縮機
12 熱媒体冷媒熱交換器
13 貯留部
15a 第1膨張弁
16 第1蒸発器
10 冷凍サイクル
50 制御装置
50d 冷媒量判定部

Claims (9)

  1. 冷媒を吸入して圧縮して吐出する圧縮機(11)と、前記圧縮機から吐出された前記冷媒を放熱させる凝縮器(12)と、前記凝縮器で放熱された前記冷媒の気液を分離して、分離した液相冷媒を貯留すると共に、前記液相冷媒の一部を流出させる貯留部(13)と、前記貯留部から流出した前記冷媒を減圧させる膨張弁(15a、15b)と、前記膨張弁で減圧された前記冷媒に吸熱させて前記冷媒を蒸発させる蒸発器(16、17)と、を備える冷凍サイクル(10)と、
    前記冷凍サイクルに関する制御を行う制御部(50)と、を有し、
    前記制御部は、
    前記蒸発器の出口における前記冷媒の過熱度又は前記凝縮器の出口における前記冷媒の過冷却度を、前記膨張弁の作動によって制御すると共に、
    前記圧縮機の回転数を用いて算出される第1冷媒流量(Gr1)と、前記膨張弁の開度を用いて算出される第2冷媒流量(Gr2)との関係を用いて、前記冷凍サイクルにおける前記冷媒の量が不足しているか否かを判定する冷媒量判定部(50d)と、を有する冷凍サイクル装置。
  2. 前記制御部は、前記膨張弁に流入する前記冷媒の状態が液相単相であることを保証できない状況においては、前記冷媒量判定部による前記冷媒の量に関する判定を禁止する請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
  3. 前記冷凍サイクルの運転状態として、少なくとも一つ以上のテストモードに切り替え可能に構成されており、
    前記制御部は、前記冷凍サイクルの運転状態が前記テストモードである場合に、前記冷媒量判定部による前記冷媒の量に関する判定を行う請求項1又は2に記載の冷凍サイクル装置。
  4. 前記冷媒量判定部は、
    前記膨張弁の作動によって、前記蒸発器の出口における前記冷媒の前記過熱度を制御している状態において、
    前記第2冷媒流量が前記第1冷媒流量よりも大きい場合に、前記冷凍サイクルにおける前記冷媒の量が不足していると判定する請求項1ないし3の何れか1つに記載の冷凍サイクル装置。
  5. 前記冷媒量判定部は、
    前記膨張弁の作動によって、前記凝縮器の出口における前記冷媒の前記過冷却度を制御している状態において、
    前記第1冷媒流量が前記第2冷媒流量よりも大きい場合に、前記冷凍サイクルにおける前記冷媒の量が不足していると判定する請求項1ないし3の何れか1つに記載の冷凍サイクル装置。
  6. 前記冷媒量判定部は、運転中の前記冷凍サイクルの状態に関して、前記冷媒の状態に相関を有する物理量が予め定められた期間の間、維持されている状態において、前記第1冷媒流量と前記第2冷媒流量とを用いて、前記冷凍サイクルにおける前記冷媒の量が不足しているか否かの判定を行う請求項1ないし5の何れか1つに記載の冷凍サイクル装置。
  7. 前記制御部は、前記冷媒量判定部によって前記冷媒の量が不足していると判定された場合に、前記蒸発器にて要求される冷却能力が低くなるように、前記冷凍サイクルの運転態様を調整する請求項1ないし6の何れか1つに記載の冷凍サイクル装置。
  8. 前記冷凍サイクルは、前記蒸発器として、前記膨張弁で減圧された前記冷媒に吸熱させて前記冷媒を蒸発させる第1蒸発器(16)と、前記第1蒸発器に対して並列に接続され、減圧された前記冷媒に吸熱させて前記冷媒を蒸発させる第2蒸発器(17)と、を有し、
    前記制御部は、前記冷媒量判定部によって前記冷媒の量が不足していると判定された場合に、前記第1蒸発器及び前記第2蒸発器の何れか一方で要求される冷却能力が低くなるように、前記冷凍サイクルの運転態様を調整する請求項1ないし6の何れか1つに記載の冷凍サイクル装置。
  9. 冷媒を吸入して圧縮して吐出する圧縮機(11)と、前記圧縮機から吐出された前記冷媒を放熱させる凝縮器(12)と、前記凝縮器で放熱された前記冷媒の気液を分離して、分離した液相冷媒を貯留すると共に、前記液相冷媒の一部を流出させる貯留部(13)と、前記貯留部から流出した前記冷媒を減圧させる膨張弁(15a、15b)と、前記膨張弁で減圧された前記冷媒に吸熱させて前記冷媒を蒸発させる蒸発器(16、17)と、を備え、前記膨張弁に流入する前記冷媒の状態が作動シーン全域にて常に液相単相となるように前記冷媒が封入された冷凍サイクル(10)と、
    前記冷凍サイクルに関する制御を行う制御部(50)と、を有し、
    前記制御部は、
    前記蒸発器の出口における前記冷媒の過熱度又は前記凝縮器の出口における前記冷媒の過冷却度を、前記膨張弁の作動によって制御すると共に、
    前記圧縮機の回転数を用いて算出される第1冷媒流量(Gr1)と、前記膨張弁の開度を用いて算出される第2冷媒流量(Gr2)との関係を用いて、前記冷凍サイクルにおける前記冷媒の量が不足しているか否かを判定する冷媒量判定部(50d)と、を有する冷凍サイクル装置。
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