JP2022170162A - 電子部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】容易に製造することができ、しかも信頼性に優れた電子部品を提供すること。【解決手段】周方向に沿って複数の側面5a~5dを持つ素子本体4を有する電子部品である。素子本体4は、周方向に沿って複数の側面5a~5dを連続的に覆う絶縁層16a~16dを有し、絶縁層16a~16dの融点は、素子本体4の誘電体層10,11の融点よりも低い。絶縁層の主成分は、ガラスである。【選択図】図2A

Description

本発明は、たとえば積層セラミックコンデンサなどの電子部品に関する。
たとえば特許文献1に示す積層セラミックコンデンサなどの電子部品では、電子部品の小型化を図りつつ内部電極層の面積を大きくするために、内部電極層の側部が露出する素子本体の側面に誘電体から成るサイドギャップ絶縁層を形成している。
しかしながら、特許文献1では、積層セラミックコンデンサの2つの側面のみをサイドギャップ絶縁層で被覆しており、サイドギャップ絶縁層の端部と素子本体の側面との界面から湿気などが入り込み易く、信頼性に課題がある。
特開昭62-237714号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、容易に製造することができ、しかも信頼性に優れた電子部品を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明に係る電子部品は、
周方向に沿って複数の側面を持つ素子本体を有する電子部品であって、
前記素子本体は、周方向に沿って複数の側面を連続的に覆う絶縁層を有し、
前記絶縁層の融点は、前記素子本体のセラミック層の融点よりも低いことを特徴とする。
本発明の電子部品における絶縁層は、周方向に沿って複数の側面を連続的に覆う絶縁層であるために、サイドギャップ絶縁層以外の部分でも、略一定厚みで形成される。特に、素子本体の側面の角部においても、一定厚みの絶縁層となる。
本発明の電子部品では、素子本体の側面の角部近くでも、他の部位に比べて一定厚みの絶縁層が形成され、従来とは異なり、厚みの薄い絶縁層の端縁が角部近くに形成されることはない。そのため、湿気の侵入などを有効に防止することができ、電子部品の耐湿性および信頼性が向上する。
好ましくは、前記絶縁層は、ガラスから成る主成分を有する。ガラスを主成分とする絶縁層は、誘電特性を重視する誘電体層などで構成されるセラミック層に比較して、高密度であり、耐湿性に優れている。そのため、絶縁層により、素子本体の側面における内部電極層の露出端部を有効に保護することが可能であり、信頼性がさらに向上する。
好ましくは、前記絶縁層は、前記素子本体の周方向に沿って連続する全ての側面を覆う。このように構成することで、素子本体の側面の全周にわたり、絶縁層と素子本体との界面への侵入経路を塞ぐことができるので、電子部品の耐湿性および信頼性がさらに向上する。
なお、前記絶縁層は、前記素子本体の周方向に沿って連続する全ての側面を完全には覆わなくとも、前記素子本体の全ての側面の内の一つの側面では、前記絶縁層に隙間があってもよい。すなわち、素子本体の全ての側面の内の一つの側面では、素子本体の角部から遠い側面の中央付近に、周方向と垂直な方向に沿って絶縁層の端縁が位置しており、その端縁同士の隙間から、素子本体の側面の一部が露出していてもよい。
好ましくは、前記絶縁層の組成は、前記周方向に沿って略均一である。絶縁層の組成が均一であることで、耐湿性も周方向に沿って均一であり、耐湿性を低下させる起点が減少し、電子部品の信頼性が向上する。
好ましくは、前記絶縁層の厚さは3μm~40μmである。また、好ましくは、前記絶縁層の厚さは、前記周方向に沿って実質的に均一である。絶縁層の厚さを均一にすることで、耐湿性を低下させる起点が減少し、電子部品の耐湿性が向上し、信頼性も向上する。絶縁層は、転がし転写法により形成することができるため、絶縁層の厚さは、周方向に沿って実質的に均一となりやすい。
好ましくは、前記素子本体の角部での前記絶縁層の厚さは、前記角部に繋がる前記素子本体の2つの側面のうち少なくとも一方の側面での前記絶縁層の厚さと、実質的に同じである。特に、素子本体の角部において、絶縁層の厚みを、他の部分と同じにすることで、電子部品の耐湿性が向上し、信頼性も向上する。絶縁層は、転がし転写法により形成することができるため、素子本体の角部においても、絶縁層の厚さは、他の部分に比較して実質的に均一となりやすい。
前記素子本体は、前記セラミック層と内部電極層とが積層してある積層構造を有していてもよい。また、前記素子本体の前記側面に交差する端面には、前記内部電極層の露出端部に接続する端子電極が形成してあってもよい。さらに、好ましくは、前記端子電極の端縁は、前記絶縁層の端部を覆っている。このように構成することで、さらに湿気が素子本体の内部に入り込み難くなり、電子部品の耐湿性が向上すると共に、信頼性も向上する。
図1は、本発明の実施形態に係る積層セラミックコンデンサの概略断面図である。 図2Aは、図1に示すIIA‐IIA線に沿う断面図である。 図2Aaは、図2Aに示す断面図の一部拡大図である。 図2Abは、図2Aaに示す一部拡大図の変形例である。 図2Bは、図1に示すIIB‐IIB線に沿う断面図である。 図3Aは、本発明の他の実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面図である。 図3Bは、本発明のさらに他の実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面図である。 図3Cは、本発明のさらに他の実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面図である。 図4Aは、図1に示す積層セラミックコンデンサの製造過程におけるグリーンシートの積層工程を示すX軸およびZ軸に平行な概略断面図である。 図4Bは、図4Aに示すグリーンシートの積層工程を示すY軸およびZ軸に平行な概略断面図である。 図5Aは、図4Aおよび図4Bに示す積層工程後の切断工程後の積層体の概略斜視図である。 図5Bは、本発明の他の実施形態に係る積層セラミックコンデンサの製造過程に係る切断工程後の積層体の概略斜視図である。 図6Aは、本発明の積層セラミックコンデンサの製造過程を示す概略斜視図である。 図6Bは、図6Aに示す工程の続きを示す概略斜視図である。 図6Cは、図6Bに示す工程の続きを示す概略斜視図である。 図6Dは、図6Cに示す工程の続きを示す概略斜視図である。 図6Eは、図6Dに示す工程の続きを示す概略斜視図である。 図6Fは、図6Eに示す工程の続きを示す概略斜視図である。 図6Gは、図6Fに示す工程の続きを示す概略斜視図である。 図6Hは、図6Gに示す工程後にシートから切り離した積層体の概略斜視図である。 図7Aは、本発明の変形例に係る積層セラミックコンデンサの製造過程を示す概略斜視図である。 図7Bは、図7Aに示す工程の続きを示す概略斜視図である。 図7Cは、図7Bに示す工程の続きを示す概略斜視図である。 図7Dは、図7Cに示す工程の続きを示す概略斜視図である。 図7Eは、図7Dに示す工程の続きを示す概略斜視図である。 図7Fは、図7Eに示す工程の続きを示す概略斜視図である。 図8Aは、本発明の他の変形例に係る積層セラミックコンデンサの製造過程を示す概略斜視図である。 図8Bは、図8Aに示す工程の続きを示す概略斜視図である。 図8Cは、図8Bに示す工程の続きを示す概略斜視図である。 図8Dは、図8Cに示す工程の続きを示す概略斜視図である。 図8Eは、図8Dに示す工程の続きを示す概略斜視図である。 図8Fは、図8Eに示す工程の続きを示す概略斜視図である。 図8Gは、図8Fに示す工程後にシートから切り離した積層体の概略斜視図である。 図9Aは、積層体の表面をクリーニングする工程を示す概略斜視図である。 図9Bは、図9Aに示す工程の続きを示す概略斜視図である。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
第1実施形態
(積層セラミックコンデンサの全体構成)
本実施形態に係る電子部品の一実施形態として、積層セラミックコンデンサの全体構成について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2は、セラミック焼結体から成る積層体(素子本体)4と、第1端子電極6と、第2端子電極8とを有する。
図1に示すように、積層体4は、X軸およびY軸を含む平面に実質的に平行な内側誘電体層(セラミック層)10と内部電極層12とを有し、内側誘電体層10の間に内部電極層12がZ軸の方向に沿って交互に積層してある。ここで、「実質的に平行」とは、ほとんどの部分が平行であるが、多少平行でない部分を有していてもよいことを意味し、内部電極層12と内側誘電体層10は、多少、凹凸があったり、傾いていたりしてもよいという趣旨である。なお、図において、X軸、Y軸およびZ軸は、相互に略垂直である。
内側誘電体層10と内部電極層12とが交互に積層される部分が内装領域13である。また、積層体4は、その積層方向Z(Z軸)の両端面に、外装領域11を有する。外装領域11は、外側誘電体層を単数または複数積層して形成してある。なお、以下では、「内側誘電体層10」および「外側誘電体層」をまとめて、「誘電体層(セラミック層)」と記載する場合がある。
内側誘電体層10および外装領域11を構成する誘電体層の材質は、同じでも異なっていてもよく、特に限定されず、たとえば、ABOなどのペロブスカイト構造の誘電体材料やニオブ酸アルカリ系セラミックを主成分として構成される。ABOにおいて、Aは、たとえばCa、Ba、Sr、などの少なくとも一種、Bは、Ti、Zrなどの少なくとも一種である。A/Bのモル比は、特に限定されず0.980~1.020である。
内側誘電体層10および外側誘電体層の積層数は、用途等に応じて適宜決定すればよい。図2Aに示す内側誘電体層10の厚みtdは、たとえば0.1μm~40μmである。内側誘電体層10の厚みtdと内部電極層12の厚みteの比は、特に限定されないが、td/teが2~0.5であることが好ましい。また、外装領域11の厚みt0(図1参照)と素子3の高さH0(図2A参照)の比は、特に限定されないが、t0/H0が0.01~0.1であることが好ましい。
素子3の形状やサイズは、目的や用途に応じて適宜決定すればよいが、X軸方向の幅W0は0.1mm~3.2mm、Y軸方向の長さL0は0.2mm~3.2mm、Z軸方向の高さH0は0.1mm~3.2mmであることが好ましい。なお、素子3に第1端子電極6および第2端子電極8を含めた積層セラミックコンデンサ2も、この範囲であることが好ましい。
図1に示すように、交互に積層される一方の内部電極層12は、積層体4のY軸方向の一方の端面5eに形成してある第1端子電極6の内側に対して電気的に接続してある引出部12αを有する。また、交互に積層される他方の内部電極層12は、積層体4のY軸方向の他方の端面5fに形成してある第2端子電極8の内側に対して電気的に接続してある引出部12βを有する。
内装領域13は、容量領域14と引出領域15A,15Bとを有する。容量領域14は、積層方向に沿って内部電極層12が内側誘電体層10を挟んで積層する領域である。引出領域15Aは、端子電極6に接続する内部電極層12の引出部12αの間に位置する領域である。引出領域15Bは、端子電極8に接続する内部電極層12の引出部12βの間に位置する領域である。
内部電極層12に含有される導電材は特に限定されず、Ni、Cu、Ag、Pd、Al、Ptなどの金属、またはそれらの合金を用いることができる。Ni合金としては、Mn,Cr,CoおよびAlから選択される1種以上の元素とNiとの合金が好ましく、合金中のNi含有量は95重量%以上であることが好ましい。なお、NiまたはNi合金中には、P等の各種微量成分が0.1重量%程度以下含まれていてもよい。内部電極層12は、市販の電極用ペーストを使用して形成してもよく、内部電極層12の厚みは用途等に応じて適宜決定すればよい。
本実施形態では、図2Aに示すように、素子本体としての積層体4の4つの側面5a~5dは、周方向に沿って連続する絶縁層16a~16dにより連続的に覆われている。すなわち、積層体4のZ軸に沿って両側に位置する側面5a,5cと、積層体4のX軸に沿って両側に位置する側面5b,5dとには、それぞれの側面5a~5dを覆うように絶縁層16a~16dが周方向に沿って各々連続して形成してある。なお、本明細書では、側面5a~5dを含め、積層体のY軸の回りを周方向または外周方向ということがある。
なお、本実施形態では、絶縁層16a~16dのそれぞれの構成は実質的に同一であり、以下では、説明の容易化のために、特に言及がない限り、絶縁層16aおよび絶縁層16bについて説明し、絶縁層16cおよび絶縁層16dについての説明は省略する。
図2Aaに示すように、積層体4のZ軸に沿って上側に位置する側面5aに形成されている絶縁層16aは、Z軸方向に実質的に均一な厚さtzを有している。ここで、厚さtzとは、X-Y平面に略平行な絶縁層16aの外周面16a1から積層体4の側面5aまでの最短距離をいう。また、積層体4のX軸に沿って片側に位置する側面5bに形成されている絶縁層16bは、X軸方向に実質的に均一な厚さtxを有している。ここで、厚さtxとは、Y-Z平面に略平行な絶縁層16bの外周面16b1から積層体4の側面5bまでの最短距離をいう。本実施形態では、厚さtxと厚さtzは実質的に同じである。
また、本実施形態では、側面5aと側面5bとが交差する側面同士の角部17には、所定の曲率半径のR部が形成してあることが好ましく、角部17での絶縁層16pの厚さtpは、厚さtxおよび厚さtzの少なくともいずれか一方、好ましくは双方と実質的に同じである。なお、本明細書では、絶縁層16a~16dには、角部17での絶縁層16pを含めた意味で用いることもある。
ここで、角部17とは、積層体4と絶縁層16a,16bとの界面が明確に分かる場合には、積層体4の側面5aと側面5bとが交差する側面同士の角部を意味する。すなわち、角部17は、積層体4の側面5aと側面5bとによって挟まれている。また、積層体4と絶縁層16a,16bとの界面が明確に分からない場合には、絶縁層16aの外周面16a1と絶縁層16bの外周面16b1とが交差する外周面同士の角部を意味する。
たとえば絶縁層16aの外周面16a1の延長面が成すX-Y平面と、絶縁層16bの外周面16b1の延長線が成すY-Z平面との交線P0から最も近い絶縁層の外周面上の線P1を中心とする領域を角部と定義する。また、角部17での絶縁層の厚さtpは、P1から積層体4までの最短距離として定義される。
なお、「角部17での絶縁層の厚さtpが、厚さtxおよび厚さtzの少なくともいずれか一方、好ましくは双方と実質的に同じである」とは、たとえば以下のようにして判断する。
角部17での絶縁層の厚さtpを、Y軸方向に異なる断面で10点以上測定し、その平均値tpmとバラツキσpmを求める。また、積層体4のX軸方向に沿った中央位置で、絶縁層16aのtzを、Y軸方向に異なる断面で10点以上測定し、その平均値tzmとバラツキσzmを求める。また同様にして、積層体4のZ軸方向に沿った中央位置で、絶縁層16bのtxを、Y軸方向に異なる断面で10点以上測定し、その平均値txmとバラツキσxmを求める。
角部17での絶縁層の厚みの平均値tpmと、絶縁層16aの厚み16a1の厚みの平均値tzmとの差異が、tzmの10分の1μm以下である場合に、これらは実質的に同一であると判断する。また、角部17での絶縁層の厚みの平均値tpmと、絶縁層16bの厚み16b1の厚みの平均値txmとの差異も同様にして判断することができる。
本実施形態では、絶縁層16aと絶縁層16bとは、角部17において、滑らかに一様に連続して繋がっており、絶縁層16aから絶縁層16bにわたって、実質的に隙間がなく、絶縁層16aと絶縁層16bとの界面がない。
本実施形態では、各絶縁層16a~16dの各厚みと、それぞれの角部17での絶縁層16pの厚み(平均およびバラツキ)も、上記と同様にして求めることができ、それらの全ての厚みを実質的に同一とすることができる。
絶縁層16a~16dおよび16pの厚さは、好ましくは、5μm~30μmの範囲内であり、均一な厚みとすることができる。これにより、絶縁層の熱膨張係数の影響が小さくなり、積層体4と絶縁層の熱膨張係数差による構造欠陥を抑制することもできる。また、本実施形態では、絶縁層16b,16dが、サイドギャップ絶縁層となり、内部電極層12のX軸方向の露出端部を絶縁層16b,16dで覆うことができ、十分な保護機能を有する。また、本実施形態では、各絶縁層16a~16dおよび16pの厚みのバラツキも小さい。
なお、本実施形態では、角部17での絶縁層16pの外周面は、R状でなくてもよい。たとえば、図2Abに示すように、角部17において、積層体4の角部17にC面取りが施されている場合には、絶縁層16pの外周面が積層体4のC面に沿って平面状となる。この場合には、P1は、C面に沿っている平面である絶縁層16pの外周面に位置することになる。また、本実施形態の他の実施形態では、角部17には、R部もC面取り部も実質的になくてもよく、その場合には、P0とP1とが限りなく近づく。
図1に示すように、絶縁層16a,16c(図示しない絶縁層16b,16dも同様/以下省略)は、積層体4のY軸方向の両端に位置する端面5e,5fを実質的に覆わないことが好ましい。すなわち、絶縁層16a,16cは、積層体4のY軸方向の両端に位置する端面5e,5fに露出する内部電極層12の引出部12αまたは12βの接続端を覆わないことが好ましい。積層体4のY軸方向の両端に位置する外面5e,5fには、端子電極6,8が形成されて内部電極層12の引出部12αまたは12βと接続される必要があるからである。
本実施形態の絶縁層16a~16d(16pも含む/以下同様)は、素子本体4の誘電体層10,11の融点よりも低い材質で構成してあり、絶縁層16a~16dの主成分は、好ましくは、Siを25重量%以上含むガラスで構成されている。
絶縁層16a~16dの主成分がガラスであることで、端子電極6,8の剥れを抑制できる効果が高められる。これは、絶縁層の主成分のガラスに含まれるSiが多いほど、絶縁層の耐めっき性が向上し、めっきによる劣化を抑制できるためであると考えられる。また、絶縁層16a~16dの主成分のガラスに含まれるSiを25重量%以上とすることで、Siが拡散した拡散層を形成できる。これにより、絶縁層16a~16dと端子電極6,8の接合が強くなる。したがって、本実施形態の絶縁層16a~16dの主成分は、Siを25重量%~70重量%含むガラスで構成されていることが好ましい。
なお、絶縁層の主成分とは、絶縁層に、40vol%以上含まれる成分を言い、好ましくは、絶縁層の主成分とは、絶縁層に、60vol%以上含まれる成分を言う。
本実施形態の絶縁層16a~16dには、Siの他、Mg、Ca、Sr、Ba、Li、Na、K、Ti、Zr、B、P、Zn、Al等を含んでいてもよい。
また、絶縁層をガラス成分で構成することにより、絶縁層16a~16dと積層体4との固着強度が良好になる。これは、ガラスと積層体4との界面に反応相が形成されるため、ガラスと積層体4の密着性が他の絶縁性物質に比べて優れているためであると考えられる。
さらに、ガラスはセラミックに比べて絶縁性が高い。このため、絶縁層16a~16dの主成分がセラミックの場合に比べて、絶縁層の主成分がガラスで構成されている場合は、向かい合う端子電極6,8の距離を短くしても、ショート発生率を低くできる。
本実施形態の絶縁層16a~16dに含まれるガラスの融点(軟化点)は、600℃~950℃であることが好ましい。これにより、絶縁層16a~16dを焼き付けする際に、誘電体層のセラミック粒子の粒成長を防ぐことができ、信頼性などの特性の劣化を抑制することができる。上記の観点から、本実施形態の絶縁層16a~16dに含まれるガラスの融点(軟化点)は、600℃~850℃であることがより好ましい。
本実施形態の絶縁層16a~16dに含まれるガラス以外の成分は特に限定されず、たとえば、セラミックフィラーを含んでいてもよく、BaTiO、CaTiO、Al、CaZrO、MgO、ZrO、Cr、CoOなどを含んでいてもよい。
絶縁層16a~16dの主成分がガラスで構成されている場合には、セラミックで構成されている場合に比べて、端子電極6,8が積層体4のX軸方向端面のY軸方向端部およびZ軸方向端面のY軸方向端部を広く覆う構成にしてもショート発生率を低くできる。
本実施形態では、絶縁層16a~16dと誘電体層10,11との界面に、絶縁層16a~16dの構成成分の少なくとも一つが誘電体層10,11に拡散した反応相が形成されていてもよい。絶縁層16a~16dと内側誘電体層10との界面に反応相を有することで、積層体4の側面5a~5dがガラスで埋められ、界面の空隙率を最小限に抑えることができる。これにより、積層体4の側面の絶縁性が向上し、耐電圧性を向上できる。
また、誘電体層と絶縁層16a~16dの界面に反応相を有することで、誘電体層と絶縁層16a~16dの界面の接着性を向上させることができる。これにより、積層体4と絶縁層16a~16dのデラミネーションを抑制し、その抗折強度を高めることができる。
反応相の認定については、例えば、積層体4の誘電体層と絶縁層16a~16dの界面について、Si元素のSTEM-EDS分析を行い、Si元素のマッピングデータを得て、Si元素が存在する箇所を反応相と認定できる。
本実施形態では、図1に示すように、端子電極6,8のZ軸方向の両端は、絶縁層16a,16cのY軸方向の両端も覆うように形成してある。また、図2Bに示すように、端子電極6,8のX軸方向の両端が、絶縁層16b,16dのY軸方向の両端も覆うように形成してある。
このように構成することで、積層体4の端面5e,5fにおいて、端子電極6,8が、絶縁層16a~16dと積層体4との界面の端部を完全に被覆できるため、より耐久性、耐湿性を向上させることができる。
端子電極6,8の厚みは、用途等に応じて適宜決定すればよい。
本実施形態では、絶縁層16a~16dのガラスに含まれるSiの平均重量比率をGSiとして、端子電極6,8のガラスに含まれるSiの平均重量比率をTSiとした場合に、GSi/TSiが、1.0<GSi/TSi≦15.0を満たすことが好ましい。
GSi/TSiが1.0<GSi/TSi≦15.0の場合、Siが拡散する拡散層を存在させることができ、GSi/TSiが1.0以下の場合に比べて、静電容量を高くでき、端子電極の強度を良好にできる。また、GSi/TSiが1.0<GSi/TSi≦15.0の場合、GSi/TSiが15.0より大きい場合に比べて、静電容量を高くでき、限界たわみ試験の結果を良好にできる。GSi/TSiは、2.0~8.0であることがより好ましい。
本実施形態の端子電極6,8は、素子3に接触している図示しない焼付層とその上に形成される図示しないめっき層からなる。焼付層としてCu金属,Ni金属等が用いられる。この焼付層は、端面5eおよび絶縁層16a,16b,16c,16dの一部を覆うように形成される。また、めっき層は、Niめっき、Cuめっき、Snめっきなどが挙げらる。本実施形態においては、Cu焼付層の上にNiめっき層が形成され、Niめっき層の上にSnめっき層が形成された端子構造を有する。
(積層セラミックコンデンサの製造方法)
次に、本発明の一実施形態としての積層セラミックコンデンサ2の製造方法について具体的に説明する。
(積層体の製造工程)
まず、素子本体となる積層体4の製造工程について説明する。焼成後に図1に示す内側誘電体層10を構成することになる図4Aに示す内側グリーンシート10aと、図1に示す外装領域11を構成することになる図4Aに示す外側グリーンシート11aを準備する。
これらのグリーンシート10aおよび11aを形成するために、まず、それぞれ内側グリーンシート用ペーストおよび外側グリーンシート用ペーストを準備する。内側グリーンシート用ペーストおよび外側グリーンシート用ペーストは、通常、セラミック粉末と有機ビヒクルとを混練して得られた有機溶剤系ペースト、または水系ペーストで構成される。
セラミック粉末の原料としては、複合酸化物や酸化物となる各種化合物、たとえば炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物などから適宜選択され、混合して用いることができる。セラミック粉末の原料は、本実施形態では、平均粒子径が0.45μm以下、好ましくは0.05~0.3μm程度の粉体として用いられる。なお、内側グリーンシートをきわめて薄いものとするためには、グリーンシート厚みよりも細かい粉体を使用することが望ましい。
次に、焼成後に図1に示す内部電極層12を構成することになる図4Aに示す内部電極パターン層12aを形成する。そのために、内部電極層用ペーストを準備する。内部電極層用ペーストは、上記した各種導電性金属や合金からなる導電材と、上記した有機ビヒクルとを混練して調製する。焼成後に図1に示す端子電極6,8を構成することになる金属ペースト(端子電極用ペースト)は、上記した内部電極層用ペーストと同様にして調製すればよい。
上記にて調整した内側グリーンシート用ペーストおよび内部電極層用ペーストを使用して、図4Aおよび図4Bに示すように、内側グリーンシート10aと、内部電極パターン層12aと、を交互に積層し、内部積層体を製造する。そして、内部積層体を製造した後に、外側グリーンシート用ペーストを使用して、外側グリーンシート11aを形成し、積層方向に加圧してグリーン積層体を得る。
なお、グリーン積層体の製造方法としては、上記の他、外側グリーンシート11aに直接内側グリーンシート10aと内部電極パターン層12aとを交互に所定数積層して、積層方向に加圧してグリーン積層体を得てもよい。
次に、図4Aおよび図4BのC1切断面およびC2切断面に沿って、グリーン積層体を切断してグリーンチップ4aを得る。C1は、Y‐Z軸平面に平行な切断面であり、C2は、Z‐X軸平面に平行な切断面である。
図4Bに示すように、n層目において内部電極パターン層12aを切断するC2切断面の両隣のC2切断面は、内部電極パターン層12aの隙間を切断する。また、n層目において内部電極パターン層12aを切断したC2切断面は、n+1層目においては内部電極パターン層12aの隙間を切断する。
このような切断方法により、図5Aに示すグリーンチップ4aを得ることで、グリーンチップ4aのn層目の内部電極パターン層12aは、グリーンチップ4aのY軸方向の一方の端面5eでは露出し、他方の端面5fでは露出しない構成となる。また、グリーンチップ4aのn+1層目の内部電極パターン層12aは、逆に、グリーンチップ4aのY軸方向の一方の底面5eでは露出せず、他方の底面5fでは露出する構成となる。
さらに、図4Aに示すグリーンチップ4aのC1切断面、すなわち図5Aに示すグリーンチップ4aのX軸方向に対向する側面5b,5dにおいては、全ての層で内部電極パターン層12aが露出する構成となる。なお、内部電極パターン層12aの形成方法としては、特に限定されず、印刷法、転写法の他、蒸着、スパッタリングなどの薄膜形成方法により形成されていてもよい。
グリーンチップ4aは、固化乾燥により可塑剤が除去され固化される。乾燥後のグリーンチップ4aに対して、脱バインダ工程、焼成工程、必要に応じて行われるアニール工程を行うことにより、図2Aに示す絶縁層16a~16dが形成される前の積層体4が得られる。また、この積層体4には、図1に示す端子電極6および8も形成されていない。絶縁層や端子電極が形成される前の積層体4の斜視図は、図5Aに示すように、グリーンチップ4aの斜視図と同様である。
本実施形態において、脱バインダ工程は、たとえば、保持温度を200℃~400℃とすればよい。焼成工程は、たとえば還元雰囲気で行い、アニール工程は、中性、または弱酸化性雰囲気で行えばよい。その他の焼成条件またはアニール条件としては、たとえば、焼成の保持温度は1000℃~1300℃であり、アニールの保持温度は500℃~1100℃である。脱バインダ工程、焼成工程およびアニール工程は、連続して行なっても、独立して行なってもよい。
なお、上述した実施形態では、図4Aおよび図4Bに示すグリーン積層体をグリーンチップ4aに個片化してから、グリーンチップ4aを焼成して積層体4を形成しているが、図4Aおよび図4Bに示すグリーン積層体を焼成して焼結体としてから、焼結体を切断して個々の積層体4を形成してもよい。
上記のようにして得られた積層体4の角に、バレルなどにより面取りを行い、図2Aaに示すようなR面、または図2Abに示すようなC面を形成してもよい。また、積層体4の端面5e,5fに、必要に応じて、例えばバレル研磨、サンドブラストなどにより研磨する。
(絶縁層の形成工程)
次に、素子本体となる積層体4の外周に絶縁層を形成する工程について説明する。
図6Aに示すように、第1転動部材20の上面には巻き付け用ガラスシート24が載置してあり、第2転動部材22の下面に粘着シート26が具備してある。図6Bに示すように、第1転動部材20と第2転動部材22との間に、単一または複数の積層体4が挟まれて、本実施形態では、最初に、積層体4の側面5aが粘着シート26に貼り付き、粘着層26aが形成されるようになっている。なお、図6Aでは、積層体4が第2転動部材22の下面の粘着シート26に付着してあるように描いてあるが、それに限らず、積層体4は、最初は、第1転動部材20のシート24の上に載置してあるのみでよい。
第1転動部材20および第2転動部材22は、相互に同じ材質であってもよく、あるいは異なる材質であってもよい。これらの第1転動部材20および第2転動部材22としては、たとえばある程度の剛性を持つ板状部材またはシート状部材であればよく、その材質としては、特に限定されず、金属、セラミックまたはプラスチックなどのいずれでもよい。
巻き付け用ガラスシート24としては、熱処理後に図2Aに示す絶縁層16a~16dとなるシートであれば、特に限定されず、たとえばガラス粉末が分散してある樹脂シート、あるいは半硬化ガラスシートなどが例示される。
たとえばガラスシート24は、前述したガラス成分を構成するガラス粉末原料と、バインダと分散媒とを混練してガラススラリーを作り、ガラススラリーをシート化することで形成することができる。ガラスシート24は、第1転動部材20の表面に、剥離可能にしかも横ずれ移動しないように設置される。
また、粘着層26aは、第2転動部材22の下面に、剥離可能にしかも横ずれ移動しないように設置される。粘着層26としては、たとえば両面粘着シートなどで構成されてもよく、第2転動部材22の下面に対する粘着力よりも、積層体4への粘着力が高くなっていることが好ましい。粘着層26は、たとえばポリビニルブチラール、アクリル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、エポキシなどの合成高分子、ロジン、テルペンなどの天然高分子などの樹脂で構成される。
図6Bに示すように、第1転動部材20に対して相対的に第2転動部材22を下方におろし、第2転動部材22で積層体4を第1転動部材20の方向に押しつける。その結果、粘着層26の一部は、積層体4の側面5aに転写されて粘着膜26aとなる。次に、図6Cに示すように、第2転動部材22で積層体4を第1転動部材20に相対的(逆でもよい趣旨/以下同様)に押さえつけながら、第2転動部材22を、第1転動部材20に対して相対的に平行にズレる方向(矢印の方向)に移動させる。
第1転動部材20に対する第2転動部材22の移動に従って、第1転動部材20(もしくは第2転動部材22)の上で積層体4を側面5a~5dの周方向に転がすことができる。なお、積層体4を転がす際には、第1転動部材20に対する第2転動部材22の相対距離は、積層体4の転がり回転半径の変化と共に変化してもよい。すなわ、積層体4は、転がる最中に、第1転動部材と第2転動部材との間で両者に常に接触していることが好ましい。
図6Cに示すように、積層体4の転動に従って、積層体4の側面5aに形成されている粘着層26aが第2転動部材22の下面から切り離されて転写される。また、同時に、積層体4の側面5bに粘着シート26が貼り付き、粘着層26bが形成される。なお、巻き付け用ガラスシート24には切り込み25が形成してあってもよく、切り込み25の位置は、第1転動部材20の表面での積層体4の側面5aの転がり始点位置と一致していることが好ましい。
さらに第2転動部材22を同じ方向(矢印の方向)に移動させると、図6Dに示すように、積層体4が転動し、積層体4の側面5aに形成された粘着層26aが巻き付け用ガラスシート24に貼り付き、絶縁層16aとなる外周膜24aが形成される。また、積層体4の側面5cに粘着シート26が貼り付き、粘着層26cが形成される。
さらに第2転動部材22を同じ方向(矢印の方向)に移動させると、図6Eに示すように、ガラスシート24は、切り込み25で、第1転動部材20の表面に位置するガラスシート24から切り離されて積層体4の側面5aに転写されて外周膜24aが形成される。なお、外周膜24aが積層体4の側面5aに転写されることができれば、ガラスシート24の切り込み25は必ずしも必要ではない。
さらに第2転動部材22を同じ方向に相対移動させると、図6Fに示すように、積層体4の側面5bに形成された粘着層26bが巻き付け用ガラスシート24に貼り付き、絶縁層となる外周膜24bが形成される。また、積層体4の側面5dに粘着シート26が貼り付き、粘着層26dが形成される。
同様に、第2転動部材22を同じ方向に移動させ、積層体4を転動させることで、図6Gに示すように、積層体4の側面5cの粘着層26cに巻き付け用ガラスシート24が貼り付き、絶縁層となる外周膜24cが形成される。さらに積層体4の側面5dの粘着層26dに巻き付け用ガラスシート24が貼り付き、絶縁層となる外周膜24dが形成される。
さらに、積層体4が貼り付いている第2転動部材22の上部から、積層体4を第1転動部材20側に押さえつけることなどで、外周膜24dを、第1転動部材20上に位置するガラスシート24から切り離すことができる。このようにすることで、外周膜24aの端部と外周膜24dの端部とが接合し、図6Hに示すように、外周膜24a~24dが巻き付いた積層体4を得る。
次に、外周膜24a~24dが巻き付いた積層体4を、必要に応じて乾燥および脱バインダ処理を行った後に、焼き付け処理を行い、図2Aに示す絶縁層16a~16dが形成された積層体4を得る。なお、外周膜24a~24dの焼き付け温度は、絶縁層16a~16dに含まれているガラスの融点(軟化点)より好ましくは0℃~150℃、より好ましくは10℃~50℃高い温度で行うことが好ましい。
なお、焼き付け処理の前に、必要に応じて、外周膜24a~24dが巻き付いた積層体4を、第1転動部材20および第2転動部材22の間で、さらに上述した転動を行い、外周膜24a~24dの上に、さらに同様な外周膜24a~24dを、1層以上で形成してもよい。また、焼き付け処理の前に、必要に応じて、外周膜24a~24dが巻き付いた積層体4を、バレル処理などでバリ取りを行ってもよい。
絶縁層16a~16dが形成された積層体4を形成した後には、図1に示すように、積層体4のY軸端面5e,5fに端子電極6および8を各々形成する。端子電極6および8を形成するために、積層体4のY軸方向の両端面に、金属ペーストを塗布して焼き付けし、端子電極6,8の電極膜となる金属ペースト焼き付け膜を形成する。端子電極6,8の電極膜の形成方法については特に限定されず、金属ペーストの塗布・焼き付け、メッキ、蒸着、スパッタリングなどの適宜の方法を用いることができる。
なお、金属ペーストを積層体4のY軸方向の端面にディップによって塗布する際には、積層体4のX軸方向の端面およびZ軸方向の端面にも金属ペーストが濡れ広がるように行うことが好ましい。Y軸方向への濡れ広がり幅は、好ましくは50μm~200μmである。濡れ広がり幅は、金属ペーストの粘度やディップ条件を調整することにより制御できる。金属ペーストの焼き付け温度は、端子電極6,8に含まれるガラスの融点(軟化点)より0℃~50℃高い温度であることが好ましい。
端子電極6,8の電極膜の表面に、めっきやスパッタ処理などにより被覆層を形成してもよい。端子電極6,8の形成については、絶縁層16a~16dの形成後に行う。
(実施形態のまとめ)
本実施形態では、図6A~図6Gに示す粘着シート26の厚さは、0.3μm~4μmであり、ガラスシート24の厚みの1/5~1/20程度であることが好ましい。この程度の厚さの粘着シート26は十分に薄いため、図6Gに示すように、粘着シート26が邪魔することなく、ガラスシート24から成る外周膜24aの端部と外周膜24dの端部とが接合して外周膜24a~24dが連続して切れ目なく巻き付いた積層体4を得ることができる。そのため、形成される絶縁層16aと絶縁層16dとの間には実質的に隙間が生じることがなく、クラックの起点となることも抑制される。
上述したように、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2の製造方法は、たとえば一定厚みのガラスシート(転写層)24の上で、積層体4の側面5a~5dを次々に連続して接触するように転がし、積層体4の側面に外周膜24a~24dを連続して付着させる工程(転がし転写法)を有する。そのため、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2を、きわめて容易に製造することができる。
ガラスシート24は、たとえば焼成後の積層体4の側面5a~5dに付着されて焼き付け処理されて絶縁層16a~16dとなり、その一部が、サイドギャップ絶縁層と成る。絶縁層16a~16dは、積層体4の誘電体層10,11の融点よりも低い材料で構成してあるために、積層体4の焼成温度よりも焼付温度が低い。このため絶縁層16a~16dを形成するための焼き付け温度による積層体4への影響も少ない。
また、本実施形態では、サイドギャップ絶縁層を転がし転写法により形成するため、塗布法とは異なり、不要な部分には絶縁層が形成されない。そのため、端子電極6,8が形成されて内部電極層12と接続する積層体4の端面5e,5fには、絶縁層16a~16eが実質的に形成されない。その結果、素子本体としての積層体4を小型化しても端子電極6,8と内部電極層12との接続信頼性も向上する。なお、「積層体4の端面5e,5fに絶縁層16a~16eが実質的に形成されない」とは、塗布法に比較してほとんど形成されないことを意味する。
本実施形態の積層セラミックコンデンサ2における絶縁層16a~16dは、周方向に沿って複数の側面5a~5dを連続的に覆う絶縁層であるために、サイドギャップ絶縁層以外の部分でも、略一定厚みで形成される。特に、図2Aaまたは図2Abに示すように、積層体4の側面5a,5bの角部17においても、一定厚みtpの絶縁層16pとなる。また、塗布法により形成される絶縁層の端縁と異なり、本実施形態の積層セラミックコンデンサ2では、積層体4の角部17近くに絶縁層の端縁を位置させる必要がない。
従来の積層セラミックコンデンサでは、塗布法により形成される絶縁層の端縁は、端子電極6,8との接続端面となる積層体4の端面5e,5fの面積を狭めないように、積層体4の角部17近くに絶縁層の端縁を位置させる必要がある。これに対して、本実施形態の積層セラミックコンデンサ2では、絶縁層16a~16dが転がし転写法で形成されることができるために、積層体4の角部17近くでも、他の部位に比べて一定厚みの絶縁層16pが形成され、従来とは異なり、厚みの薄い絶縁層の端縁が角部17近くに形成されることはない。そのため、湿気の侵入などを有効に防止することができ、積層セラミックコンデンサ2の耐湿性および信頼性が向上する。
また絶縁層16a~16d(16p含む/以下同様)は、ガラスから成る主成分を有する。ガラスを主成分とする絶縁層16a~16dは、誘電特性を重視する誘電体層10,11などで構成されるセラミック層に比較して、高密度であり、耐湿性に優れている。そのため、絶縁層16a~16dにより、積層体4の側面における内部電極層12の露出端部を有効に保護することが可能であり、信頼性がさらに向上する。
さらに、絶縁層16a~16dは、積層体4の周方向に沿って連続する全ての側面5a~5dを覆う。このように構成することで、積層体4の側面5a~5dの全周にわたり、絶縁層16a~16dと積層体4との界面への侵入経路を塞ぐことができるので、積層セラミックコンデンサ2の耐湿性および信頼性がさらに向上する。
なお、絶縁層16a~16dは、積層体4の周方向に沿って連続する全ての側面5a~5dを完全には覆わなくとも、全ての側面5a~5dの内の一つの側面、たとえば側面5aでは、絶縁層16aに隙間があってもよい。すなわち、積層体4の全ての側面5a~5dの内の一つの側面(たとえば5a)では、積層体4の角部から遠い側面5aのX軸方向の中央付近に、周方向と垂直な方向に沿って絶縁層16aの端縁が位置しており、その端縁同士の隙間から、積層体4の側面5aの一部が露出していてもよい。
そのような絶縁層を積層体4の側面回りに形成するためには、積層体4の側面5aにおけるX軸方向の中央付近からガラスシート24を巻き始めて、同じ積層体4の側面5aにおけるX軸方向の中央付近で巻き終わればよい。
本実施形態では、絶縁層16a~16dの組成は、周方向に沿って略均一とすることができる。絶縁層16a~16dの組成が均一であることで、耐湿性も周方向に沿って均一であり、耐湿性を低下させる起点が減少し、積層セラミックコンデンサ2の信頼性が向上する。なお、転がし転写法により絶縁層16a~16dを形成することで、周方向に沿って略均一な組成の絶縁層16a~16dを形成しやすい。
また本実施形態では、絶縁層16a~16dの厚さは、1層巻または2層巻以上のガラスシート24を焼き付け処理することで形成することができ、たとえば3μm~40μmとすることができる。均一厚みのガラスシートから絶縁層16a~16dを形成するために、絶縁層16a~16dの厚さは、周方向に沿って実質的に均一である。絶縁層16a~16dの厚さを均一にすることで、耐湿性を低下させる起点が減少し、積層セラミックコンデンサ2の耐湿性が向上し、信頼性も向上する。絶縁層16a~16dは、転がし転写法により形成することができるため、絶縁層16a~16dの厚さは、周方向に沿って実質的に均一となりやすい。
さらに本実施形態では、図2Aaまたは図2abに示すように、積層体4の角部17での絶縁層16bの厚さtpは、角部17に繋がる積層体4の2つの側面5a,5bのうち少なくとも一方の側面での絶縁層16a,16bの厚さtzまたはtxと、実質的に同じにすることができる。特に、素子3の角部17において、絶縁層16pの厚みtpを、他の部分の厚みtzまたはtxと同じにすることで、積層セラミックコンデンサ2の耐湿性が向上し、信頼性も向上する。絶縁層16pは、転がし転写法により形成することができるため、素子3の角部17においても、絶縁層16pの厚さtpは、他の部分の厚さtzまたはtxに比較して実質的に均一となりやすい。
本実施形態では、積層体4の外周を完全に絶縁層16a~16dが覆っているため、絶縁層16a~16dと積層体4との界面の端部を外気から完全に覆うことができ、よりいっそう耐久性、耐湿性を向上させることができる。
さらに、図1および図2Bに示すように、本実施形態では、積層体4の端面5e,5fには、端子電極6,8が形成してあり、端子電極6,8の端縁は、積層体4の外面5a~5dに位置する絶縁層16a~16dの一部を覆っている。そのため、積層体4の端面5e,5fにおいて、端子電極6,8が絶縁層16a~16dと積層体4との界面の端部を被覆でき、より耐久性、耐湿性を向上させることができる。
本実施形態では、焼成後の積層体4に巻き付けたガラスシートを焼き付けることにより、積層体4に絶縁層を形成してある。このように絶縁層を形成することで、電子部品の耐湿性を良好にし、熱衝撃や物理的な衝撃などの外部環境変化に対する耐久性を向上させることができる。
絶縁層16a~16dは、1枚の巻き付け用ガラスシート24から形成されており、それぞれが連続しており、絶縁層16a~16dと積層体4との界面が外部に露出していない。そのため、界面に湿気などが入り込み難く、界面を起点としたクラックなどが生じるのを効果的に抑制することができる。
また、本実施形態では、図2Aに示す断面において、積層体4の内部電極層10のX軸方向端の配置のバラツキは、たとえば5μm以内とすることができる。
第2実施形態
本実施形態に係る積層セラミックコンデンサは、積層体4の外周に絶縁層を形成する方法が第1実施形態と異なるのみであり、共通する部分の説明は省略し、以下、異なる部分について主として詳細に説明する。以下において説明しない部分は、第1実施形態の説明と同様である。
本実施形態に係る積層セラミックコンデンサの製造方法は、図7A~図7Fに示すように、積層体4の側面5a~5dの外周に絶縁層16a~16dを形成する工程が、第1実施形態の積層セラミックコンデンサの製造方法と異なる。
図7Aに示すように、第1転動部材20の上面には、巻き付け用ガラスシート24が敷かれており、その巻き付け用ガラスシート24の上面に粘着シート26が貼り付けられている。本実施形態では、第1実施形態とは異なり、第2転動部材22には、粘着層が形成されていないが、第2転動部材22自体が粘着性を有していてもよい。
粘着性を有する第2転動部材22としては、特に限定されず、たとえば発泡シート、シリコーンなどのゴムシート、アクリル系テープ、UVテープ(UV照射により粘着力が弱くなるようなテープ)などのように、シート素材の表面自体が粘着面となるシートであってもよい。発泡シートを構成する樹脂としては、たとえばウレタン、アクリル、シリコーン、ポリエステル、ポリウレタンなどが例示される。
図7Bに示すように、第2転動部材22を下方におろし、第2転動部材22で積層体4を第1転動部材20に押さえつける。積層体4の側面5aが粘着シート26に貼り付き、粘着層26aおよび絶縁層16aとなる外周膜24aが形成される。また、巻き付け用ガラスシート24には切り込み25が形成してあってもよく、切り込み25の位置は、積層体4の側面5dの端縁位置と一致している。
図7Cに示すように、第2転動部材22で積層体4を第1転動部材20に押さえつけながら、第2転動部材22を、第1実施形態と同様にして矢印の方向に移動させると、積層体4が転動し、外周膜24aが切り込み25で巻き付け用ガラスシート24から切り離される。
さらに第2転動部材22を前記と同じ方向に移動させると、図7Dに示すように、積層体4が転動し、積層体の側面5bに粘着シート26がシート24と共に貼り付き、粘着層26bおよび絶縁層16bとなる外周膜24bが形成される。
さらに第2転動部材22を前記と同じ方向に移動させると、図7Eに示すように、積層体4が転動し、積層体の側面5cに粘着シート26がシート24と共に貼り付き、粘着層26cおよび絶縁層16cとなる外周膜24cが形成される。
さらに積層体4を転動させることで、図7Fに示すように、積層体4が転動し、積層体の側面5dに粘着シート26が貼り付き、粘着層26dおよび絶縁層16dとなる外周膜24dが形成される。
さらに、図7Fに示すように、積層体4が貼り付いている第2転動部材22の上部から、積層体4を第1転動部材20側に押さえつけることで、外周膜24dを、巻き付け用ガラスシート24から切り離すことができる。このようにすることで、外周膜24aの端部と外周膜24dとが接合し、図6Hに示す外周膜24a~24dが巻き付けられ積層体4を得ることができる。図6Hに示す外周膜24a~24dは、焼き付け処理後に図2Aに示す絶縁層16a~16dとなる。
第3実施形態
本実施形態に係る積層セラミックコンデンサは、積層体4の外周に絶縁層を形成する方法が第1実施形態または第2実施形態と異なるのみであり、共通する部分の説明は省略し、以下、異なる部分について主として詳細に説明する。以下において説明しない部分は、上述した実施形態の説明と同様である。
本実施形態に係る積層セラミックコンデンサの製造方法は、図8A~図8Fに示すように、積層体4の外周に絶縁層を形成する工程において、ガラスシートの構成が、第1実施形態の積層セラミックコンデンサの製造方法と異なる。
図8Aに示すように、第1転動部材20の上面には巻き付け用粘着性ガラスシート28が敷かれている。巻き付け用粘着性ガラスシート28は、第1実施形態のガラスシート24と同様にして製造することが可能であり、たとえばバインダおよび/または分散媒やそれ以外の粘着付与成分の含有量または成分を調整することで、ガラスシート28に粘着性を持たせることができる。
バインダとしては、たとえばエチルセルロース、ポリビニルブチラールなどを用いることができ、その含有量を第1実施形態よりも多めにすることが好ましい。また、分散媒としては、たとえばターピネオール、アセトンなどが例示され、それ以外の粘着付与成分としてはポリビニルブチラール,アクリル,ポリビニルアルコール,ポリビニルアセテート,エポキシなどの合成高分子,ロジン,テルペンなどの天然高分子,ジオクチルフタル酸などの可塑剤などが例示され,その含有量を第1実施形態よりも多めにすることが好ましい。
図8Bに示すように、第2転動部材22を下方におろし、第2転動部材22で積層体4を第1転動部材20に押さえつける。積層体4の側面5aが巻き付け用粘着性ガラスシート28に貼り付き、絶縁層16aとなる外周膜28aが形成される。また、巻き付け用粘着性ガラスシート28には切り込み29が形成してあってもよい。
図8Cに示すように、第2転動部材22で積層体4を第1転動部材20に押さえつけながら、第2転動部材22を、前述した実施形態と同様にして矢印の方向に移動させると、積層体4が転動し、外周膜28aが積層体4に付着して、第1転動部材20の表面から引き離される。
さらに第2転動部材22を前記と同じ方向に移動させると、図8Dに示すように、積層体4が転動し、積層体の側面5bに巻き付け用粘着性ガラスシート28が貼り付き、絶縁層16bとなる外周膜28bが形成される。さらに第2転動部材22を矢印の方向に移動させると、図8Eに示すように、積層体4が転動し、積層体の側面5cに巻き付け用粘着性ガラスシート28が貼り付き、外周層16cとなる外周膜28cが形成される。さらに積層体4を転動させることで、図8Fに示すように、積層体4が転動し、積層体の側面5dに巻き付け用粘着性ガラスシート28が貼り付き、外周層16dとなる外周膜28dが形成される。
さらに、図8Fに示すように、積層体4が貼り付いている第2転動部材22の上部から、積層体4を第1転動部材20側に押さえつけることで、外周膜28dを、巻き付け用粘着性ガラスシート28から切り離すことができる。このようにすることで、外周膜28aの端部と外周膜28dとが接合し、図8Gに示すように、外周膜28a~28dが巻き付けられ積層体4を得ることができる。図8Gに示す外周膜28a~28dは、焼き付け処理後に図2Aに示す絶縁層16a~16dとなる。
なお、本実施形態では、外周膜28a~28dが巻き付けられ積層体4を形成する前に、積層体4の側面5a~5dおよび/または端面5e,5fをクリーニング処理してもよい。
クリーニング処理を行う場合には、第1転動部材20および第2転動部材22の表面は、粘着性を有していることが好ましい。粘着性を有する第1転動部材20および第2転動部材22としては、相互に同じ材質であってもよく、あるいは異なる材質であってもよい。
これらの第1転動部材20および第2転動部材22としては、特に限定されず、たとえば発泡シート、シリコーンなどのゴムシート、アクリル系テープ、UVテープ(UV照射により粘着力が弱くなるようなテープ)などのように、シート素材の表面自体が粘着面となるシートであってもよい。発泡シートを構成する樹脂としては、たとえばウレタン、アクリル、シリコーン、ポリエステル、ポリウレタンなどが例示される。
まず、図9Aに示すように、第2転動部材22を下方におろし、第2転動部材22で積層体4を第1転動部材20の巻き付け用粘着性ガラスシート28が敷かれていない部分に押さえつける。次に図9Bに示すように、第2転動部材22を、前述した実施形態と同様にして矢印の方向に移動させると、積層体4が転動し、粘着性を有する第1転動部材20に付着していた積層体4の側面5aと第2転動部材22に付着していた積層体4の側面5cが、第1転動部材20の上面および第2転動部材22の下面から剥がれる。その際に、積層体4の側面5aと側面5cの表面からゴミなどが第1転動部材20または第2転動部材22の接触表面に移し取られ、側面5a,5cをクリーニングすることができる。
さらに第2転動部材22を矢印の方向に移動させると、積層体4が転動し、積層体4の側面5bが第1転動部材20に付着すると共に、積層体4の側面5dが第2転動部材22に付着する。このとき、積層体4の側面5cの位置が、巻き付け用粘着性ガラスシート28の端部の位置と一致している。
さらに第2転動部材22を矢印の方向に移動させると、積層体4が転動し、第1転動部材20に付着していた積層体4の側面5bと第2転動部材22に付着していた積層体4の側面5dが、第1転動部材20の上面および第2転動部材22の下面から剥がれる。その際に、積層体4の側面5bと側面5dの表面からゴミなどが第1転動部材20または第2転動部材22の接触表面に移し取られ、側面5b,5dをクリーニングすることができる。
すなわち、積層体4の側面4a~4dが第1転動部材20の上面および第2転動部材22の下面から剥がれる過程において、積層体4の側面5a~5dに付着していた切削くずやゴミ(たとえば焼成時に付着したセッターかす)などを、第1転動部材20の上面および第2転動部材22の下面に付着させて除去することができる。
図9Bにおいて、さらに第2転動部材22を、前記と同じ方向に移動させると、積層体4が転動し、積層体4の側面5cが巻き付け用粘着性ガラスシート28に付着し、絶縁層16cが形成される。この状態は、図8Bの積層体4の上下が反対になった状態であり、そのまま第2転動部材22を矢印の方向に移動させることで、積層体4のクリーニング処理に連続して積層体4の側面5a~5dの外周に絶縁層16a~16dを形成する工程を行うことができる。
また、図9Aの状態から、第2転動部材22をY軸方向に移動させることで、積層体4を2回転動させることで、積層体4の端面5e,5fをクリーニングすることも可能である。
なお、本実施形態では、第1転動部材20と第2転動部材22のいずれもが、粘着性を有しているが、第1転動部材20は粘着性を有していなくてもよい。その場合は、積層体4を第1転動部材20に押さえつける位置を巻き付け用粘着性ガラスシート28の端部から離し、転動回数を増やすことで、積層体4のすべての側面5a~5dをクリーニングすることができる。また、転動させる方向を変えることで、積層体4の端面5e,5fもクリーニングすることができる。
第4実施形態
本実施形態に係る積層セラミックコンデンサは、図3Aに示すように、積層体4の外装領域11の構成が第1~第3実施形態と異なるのみであり、共通する部分の説明は省略し、以下、異なる部分について主として詳細に説明する。以下において説明しない部分は、上述した実施形態の説明と同様である。
本実施形態での外装領域11は、内側誘電体層10と同じ誘電体を、外側誘電体層として1層または複数設けて、図2Aに示す外装領域11の厚みよりも極端に薄くしてある。また、本実施形態では、図3Aに示す外装領域11を全く形成しなくてもよい。
すなわち、素子本体4では、各層の積層方向(Z軸方向)の外装領域11が側面を形成しており、外装領域11の側面5a,5dに絶縁層16a,16dが形成してある。本実施形態では外装領域11の厚さが、内装領域13を形成するセラミック層10と同程度の厚さである。なお、絶縁層16a~16pの融点は、外装領域11の融点よりも低い。
本実施形態では、外装領域11が内側誘電体層10と同程度の厚さ、あるいは外装領域11が無くとも、絶縁層16a~16dが、積層体4の側面5a~5dを被覆しているため、十分な保護機能と強度を有し、積層セラミックコンデンサ2の耐久性、耐湿性を向上させ、長期にわたる使用の信頼性を向上させることが可能になる。
第5実施形態
本実施形態に係る積層セラミックコンデンサは、図3Bに示すように、内側誘電体層10および内部電極層12の端部の構成が、第1~第4実施形態と異なるのみであり、共通する部分の説明は省略し、以下、異なる部分について主として詳細に説明する。以下において説明しない部分は、上述した実施形態の説明と同様である。
本実施形態では、内側誘電体層10および内部電極層12のX軸方向の両端部に誘電体ギャップ部18b,18dが形成されている。すなわち、誘電体ギャップ18b,18dのX軸方向の外側が、積層体4の側面5b,5dを形成している。このように、誘電体ギャップ部18b,18dが形成されていることで、内部電極層の端部が誘電体ギャップ18b,18dで覆われるため、積層セラミックコンデンサ2の耐久性、耐湿性を向上させ、長期にわたる使用の信頼性を向上させることが可能になる。
本実施形態の積層体4は、図5Bに示すグリーンチップ4aを焼成して、上述の絶縁層16a~16dの形成工程を経ることで得られる。図5Bに示すグリーンチップ4aは、上述の積層体の製造工程での内部電極パターン層12aのパターン形状を変更し、図4Aに示すC1断面で内部電極パターン層12aが途切れるパターン形状とすることで得られる。
なお、図3Cは、図3Bの外装領域11(誘電体ギャップ18b,18dを含む。)の厚さを、内装領域を形成する誘電体層10と同程度の厚さにした積層体4の外周に絶縁層が形成されている。このような構造であっても、本実施形態と同様である。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
たとえば、図1に示す第1実施形態の積層セラミックコンデンサ2において、外側誘電体層11,11の少なくともいずれかは無くても良い。また、上述した実施形態において、絶縁層16a~16dの主成分は、ガラス以外で構成されてもよく、積層体4の誘電体層10,12の融点よりも低い材料で構成されている材料であればよい。たとえば、絶縁層16a~16dは、セラミック,アルミニウム,エポキシ樹脂,ポリイミド樹脂などで構成されていてもよい。
さらに、本発明に係る電子部品は、積層セラミックコンデンサに限らず、その他の電子部品に適用することが可能である。その他の電子部品としては、素子本体の側面(端子電極が形成される外面以外の外面)に機能部が形成される全ての電子部品が例示され、たとえばバンドパスフィルタ、チップインダクタ、積層三端子フィルタ、圧電素子、チップサーミスタ、チップバリスタ、チップ抵抗、その他の表面実装(SMD)チップ型電子部品などが例示される。
2… 積層セラミックコンデンサ
3… 素子
4… 積層体(素子本体)
4a… グリーンチップ
5a~5d… 側面
5e,5f… 端面
6… 第1端子電極
6a… 電極ペースト膜
8… 第2端子電極
10… 内側誘電体層(セラミック層)
10a… 内側グリーンシート
11… 外装領域(セラミック層)
11a… 外側グリーンシート
12… 内部電極層
12α,12β… 引出部
12a… 内部電極パターン層
13… 内装領域
14… 容量領域
15A,15B…引出領域
16a,16b,16c,16d,16p… 絶縁層
16a1,16b1,16c1,16d1…外周面
17…角部
18b,18d… 誘電体ギャップ部
20… 第1転動部材
22… 第2転動部材
24… ガラスシート
24a,24b,24c,24d…外周膜
25…切り込み
26… 粘着シート
26a,26b,26c,26d…粘着膜
28…粘着性ガラスシート
28a,28b,28c,28d…外周膜
29…切り込み

Claims (18)

  1. 周方向に沿って複数の側面を持つ素子本体を有する電子部品であって、
    前記素子本体は、周方向に沿って複数の側面を連続的に覆う絶縁層を有し、
    前記絶縁層の融点は、前記素子本体のセラミック層の融点よりも低い電子部品。
  2. 前記絶縁層は、ガラスから成る主成分を有する請求項1に記載の電子部品。
  3. 前記絶縁層は、前記素子本体の周方向に沿って連続する全ての側面を覆う請求項1または2に記載の電子部品。
  4. 前記素子本体のすべての側面の内の一つ側面では、前記絶縁層に隙間がある請求項1または2に記載の電子部品。
  5. 前記絶縁層の組成は、前記周方向に沿って略均一である請求項1~4のいずれかに記載の電子部品。
  6. 前記絶縁層の厚さは3μm~40μmである請求項1~5のいずれかに記載の電子部品。
  7. 前記絶縁層の厚さは、前記周方向に沿って実質的に均一である請求項1~6のいずれかに記載の電子部品。
  8. 前記素子本体の角部での前記絶縁層の厚さは、前記角部に繋がる前記素子本体の2つの側面のうち少なくとも一方の側面での前記絶縁層の厚さと、実質的に同じである請求項1~7のいずれかに記載の電子部品。
  9. 前記素子本体は、前記セラミック層と内部電極層とが積層してある積層構造を有する請求項1~8のいずれかに記載の電子部品。
  10. 前記素子本体では、各層の積層方向の外装領域が側面を形成しており、前記外装領域の側面に前記絶縁層が形成してある請求項9に記載の電子部品。
  11. 前記外装領域が、内装領域を形成する前記セラミック層よりも厚く形成されている請求項10に記載の電子部品。
  12. 前記外装領域の厚さが、内装領域を形成する前記セラミック層と同程度の厚さである請求項10または11に記載の電子部品。
  13. 前記外装領域が、前記素子本体の前記積層方向に垂直な方向にも形成してある請求項10~12のいずれかに記載の電子部品。
  14. 前記セラミック層が、前記外装領域を形成している請求項10~13のいずれかに記載の電子部品。
  15. 前記絶縁層の融点は、前記外装領域の融点よりも低い請求項10~14のいずれかに記載の電子部品。
  16. 前記素子本体の前記側面に交差する端面には、前記内部電極層の露出端部に接続する端子電極が形成してある請求項9~15のいずれかに記載の電子部品。
  17. 前記端子電極の端縁は、前記絶縁層の端部を覆っている請求項16に記載の電子部品。
  18. 前記セラミック層および前記内部電極層が各々複数であり、
    前記素子本体の前記側面には、複数の前記内部電極層の露出側部を覆うように前記絶縁層が形成してあり、
    前記絶縁層に接触する複数の前記内部電極層の露出側部の位置バラツキは、所定範囲以内であることを特徴とする請求項9~17のいずれかに記載の電子部品。
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