JP7428970B2 - 電子部品の製造方法 - Google Patents

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本発明は、たとえば積層セラミックコンデンサなどの電子部品を製造する方法に関する。
たとえば積層セラミックコンデンサなどの電子部品を製造する過程で、素子本体の外面に端子電極を形成する工程を有する。素子本体の外面に端子電極を形成する前に、素子本体の外面に、素子本体の切削くずやゴミなどが付着していると、接触不良などが発生しやすい。そこで、たとえば下記の特許文献1では、端子電極の形成前の素子本体を湿式バレルで洗浄し、その後に、端子電極を形成している。
しかしながら、湿式バレルなどで素子本体を洗浄する場合には、素子本体にダメージが生じやすいという課題を有している。また、バレルを用いることなく洗浄液のみで素子本体を洗浄することも考えられるが、洗浄液のみでは、素子本体の切削くずやゴミなどを効率的に除去することが困難であるなどの課題がある。また、洗浄液が素子本体の内部に侵入するおそれがあると共に、洗浄後の乾燥も必要になるなど、製造工程が煩雑になる。
また、最近では、端子電極が形成される前の素子本体の外側面に、内部電極層の端部を露出させ、その外側面にサイドギャップ用セラミック膜またはサイドギャップ用ガラス膜を形成することがある。内部電極層のパターンズレなどを防止すると共に、内部電極層の面積確保などの理由による。このような製法を採用する場合に、素子本体の外側面に導電性の切削くずやゴミなどが付着して残っている場合には、短絡不良などが生じるおそれがある。
特開平02-126701号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、接続不良や短絡不良などを生じさせることなく、容易に電子部品を製造することが可能な電子部品の製造方法を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明に係る電子部品の製造方法は、
素子本体と、前記素子本体の少なくとも一つの外面に具備される機能部と、を有する電子部品を製造する方法であって、
前記機能部が形成される予定の前記外面に第1粘着面が接触するように、前記第1粘着面が具備してある第1転動部材の表面で前記素子本体を転がすことを特徴とする。
本発明の電子部品の製造方法では、素子本体を第1粘着面の上で転がすのみで、素子本体の外面に付着してある切削くずやゴミなどを、粘着面に付着させて除去することができる。この方法では、バレルを用いることなく、切削くずやゴミなどを除去することができるため、素子本体に対するダメージが少ない。
また、洗浄液を用いることなく、素子本体の外面を洗浄することができるため、洗浄液が素子本体の内部に侵入するおそれもなく、しかも洗浄後に乾燥する必要もなく、その後の工程の簡素化を図ることができる。たとえば洗浄後に、すぐに、端子電極、またはサイドギャップ用絶縁膜などの形成工程を行うことができる。したがって、本発明の方法によれば、接続不良や短絡不良などを生じさせることなく、容易に電子部品を製造することが可能になる。
好ましくは、前記素子本体を挟むように、前記第1転動部材の上に、第2転動部材が配置され、前記第1転動部材に対して前記第2転動部材を、少なくとも前記第1粘着面に平行な第1軸に沿って相対移動させ、前記第1転動部材の上で前記素子本体を転がす。第1転動部材と第2転動部材とを相対移動させることで、第1転動部材と第2転動部材との間に所定間隔でマトリックス状に配置された多数の素子本体を、同時に転がして、素子本体の外面の洗浄を行うことができる。
少なくとも前記第1軸に沿って、前記第1転動部材に対して前記第2転動部材を相対移動させ、前記第1軸に沿って相互に隣り合う前記素子本体の少なくとも3つの前記外面を、前記第1粘着面に順次に接触させてもよい。このように素子本体の少なくとも3つの外面を連続して第1粘着面に接触させることで、素子本体の相互に反対側に対向する外面を第1粘着面で洗浄することが可能になる。
前記第1粘着面に平行で前記第1軸に略垂直な第2軸に沿って、前記第1転動部材に対して前記第2転動部材を相対移動させ、前記第1転動部材の上で前記素子本体を転がしてもよい。第1軸に略垂直な第2軸に沿っても素子本体を転がすことで、第1軸に沿って隣り合う素子本体の外面のみでなく、第2軸に沿って隣り合う素子本体の外面も洗浄することが可能になる。
前記第1転動部材に対して前記第2転動部材を、第1軸に沿って相対移動させる際に、前記第2転動部材を、前記第1粘着面に略垂直な第3軸に沿っても、相対移動させてもよい。素子本体を転がす際に、素子本体の回転と共に、素子本体が接触する第1転動部材および前記第2転動部材の間隔を異なせた方が転がりやすいため、第3軸に沿っても、第1転動部材に対して第2転動部材を相対移動させてもよい。なお、素子本体を転がす際に、素子本体の角部が第1転動部材または第2転動部材の表面に食い込み可能なように構成してもよく、その場合には、第1転動部材に対して第2転動部材を第3軸に沿って相対移動させる必要は必ずしもない。
前記第1粘着面が接触した後のいずれかの前記外面に、前記機能部を形成してもよい。機能部としては、たとえば端子電極、またはサイドギャップ用絶縁膜(ガラス膜、セラミック膜あるいは樹脂膜)などが例示される。
前記機能部が形成される予定のいずれかの前記外面では、前記素子本体の内部に位置する導体の一部が露出していてもよい。その導体が露出している素子本体の外面に、サイドギャップ用絶縁膜を形成することで、素子本体の内部に形成してある内部電極層などを有効に保護し、しかも、これらの内部電極層の短絡などを有効に防止することができる。また、その導体が露出している素子本体の外面に、端子電極を形成することで、接続不良などを生じることなく、素子本体の内部に形成してある内部電極層などに端子電極を良好に接続することが可能となる。
前記機能部は、前記素子本体が前記第1粘着面に付着している状態で形成されてもよい。このように形成することで、第1粘着面に付着してある多数の素子本体に対して、同時に機能部を形成することが可能になる。しかも、第1転動部材を、機能部形成のための治具としても用いることが可能となり、工数の削減に寄与し、製造工程の短縮を図ることが可能となる。
前記機能部が形成された前記素子本体は、前記第1粘着面から剥がされ、前記第1粘着面から剥がされた前記素子本体の特定の外面に、前記機能部とは別の機能部が形成されてもよい。
前記素子本体を前記第1粘着面から剥がす際には、転写部材により前記素子本体が保持されてもよい。第1粘着面に付着してある多数の素子本体を、そのままの配置で、転写部材に移し替えることで、第1粘着面から剥がされた素子本体の特定の外面に、機能部とは別の機能部を容易に形成することができる。
好ましくは、前記第1転動部材に向き合っている前記第2転動部材の表面には、第2粘着面が形成してある。第2転動部材の表面にも粘着面が形成してあることで、転がす回数を減らして素子本体の外面を粘着面で洗浄することができる。または、同じ転がす回数で、素子本体の外面の洗浄回数を増やすことが可能になる。
前記第1転動部材に向き合っている前記第2転動部材の表面には、第2粘着面が形成してあり、前記第2転動部材に前記素子本体が保持された状態で、いずれかの前記外面に、前記機能部を形成してもよい。第1転動部材の第1粘着面に素子本体を残してもよいし、逆に、第2転動部材の第2粘着面に素子本体を残して、機能部を形成してもよい。第1粘着面と第2粘着面との粘着力は、同じでもよいが、異ならせてもよい。異ならせることで、いずれか一方の粘着面のみに、複数の素子本体を同時に配置することが容易になる。
第1転動部材または第2転動部材は、粘着面が形成してある発泡シートを有していてもよい。あるいは、第1転動部材または第2転動部材は、粘着面が形成してあるゴムシートを有していてもよい。
前記素子本体は、焼成前のグリーン積層体(グリーンチップを含む)でもよいが、好ましくは焼成された後のセラミックチップである。焼成後のセラミックチップには、機能部を形成し易い。
前記機能部は、ガラス膜またはセラミック膜などの絶縁部であってもよい。特に、ガラス膜は、サイドギャップ用絶縁膜(絶縁部)として好ましく用いられる。また、前記機能部は、導電性金属膜(たとえば端子電極のCu層)などの導電部であってもよい。
前記機能部が形成される予定の前記素子本体の前記外面では、前記素子本体の内部に位置する相互に異なる極性の複数の導体の端部が露出していてもよい。素子本体の外面では、電子部品の製造過程において、たとえば素子本体の内部に位置する導体(たとえば内部電極)の端部が露出することがある。このような素子本体の外面が、第1粘着面に接触するように素子本体が転がされることで、素子本体の外面に付着してある切削くずやゴミなどを、極めて容易に除去することができる。その結果、ごみの付着によって異極性の導体同士が接続してしまいショートすることを防ぐことができ、ごみの付着によるサイドギャップの接合不良を防ぐこともできる。
図1は、本発明の実施形態に係る積層セラミックコンデンサの概略断面図である。 図2Aは、図1に示すIIA‐IIA線に沿う断面図である。 図2Bは、図1に示すIIB‐IIB線に沿う断面図である。 図3Aは、図1に示す積層セラミックコンデンサの製造過程におけるグリーンシートの積層工程を示すX軸およびZ軸に平行な概略断面図である。 図3Bは、図3Aに示すグリーンシートの積層工程を示すY軸およびZ軸に平行な概略断面図である。 図4Aは、図3Aおよび図3Bに示す積層工程後の切断工程後の素子本体の概略斜視図である。 図4Bは、本発明の他の実施形態に係る積層セラミックコンデンサの製造方法に係る切断工程後の素子本体の概略斜視図である。 図5Aは、図4Aに示す素子本体を転動させる工程を示す概略斜視図である。 図5Bは、図5Aに示す工程の続きを示す概略斜視図である。 図5Cは、図5Bに示す工程の続きを示す概略斜視図である。 図6Aは、図5Cに示す工程の続きを示す概略斜視図である。 図6Bは、図6Aに示す工程の続きを示す概略斜視図である。 図6Cは、図6Bに示す工程の続きを示す概略斜視図である。 図7Aは、図6Cに示す工程の続きを示す概略斜視図である。 図7Bは、図7Aに示す工程の続きを示す概略斜視図である。 図7Cは、図7Bに示す工程の続きを示す概略斜視図である。 図7Dは、図7Cに示す工程の続きを示す概略斜視図である。 図8Aは、本発明の他の実施形態に係る積層セラミックコンデンサの製造方法に係る図7Bに示す工程の続きを示す概略斜視図である。 図8Bは、図8Aに示す工程の続きを示す概略斜視図である。 図9は図7Dに示す工程の続きを示す概略斜視図である。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
第1実施形態
まず、本実施形態に係る電子部品の製造方法が適用される電子部品の一例として、積層セラミックコンデンサの全体構成について説明する。
(積層セラミックコンデンサ)
図1に示すように、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2は、セラミック焼結体から成る素子本体4と、第1端子電極(機能部の一種)6と、第2端子電極(機能部の一種)8とを有する。本実施形態では、素子本体4は、全体として6つの外面を有する直方体形状を有している。
すなわち、素子本体4は、図1に示すように、Y軸に沿って相互に反対側に位置する一対の外面5a,5aと、図2Bに示すようにX軸に沿って相互に反対側に位置する一対の外面5b,5bと、図2Aに示すようにZ軸に沿って相互に反対側に位置する一対の外面5c,5cとを有する。なお、図において、X軸、Y軸およびZ軸は、相互に略垂直である。
図1に示すように、第1端子電極6は、素子本体4の一方の外面5aを覆うように形成してあり、第2端子電極8は、素子本体4の他方の外面5aを覆うように形成してある。また、図2Aおよび図2Bに示すように、素子本体4のX軸に沿って両側に位置する外面5b,5bには、それぞれの外面5b,5bを覆うように絶縁膜(機能部)16,16が各々形成してある。
図2Bに示すように、第1端子電極6および第2端子電極8のX軸方向の両端は、絶縁膜16,16のY軸方向の両端も覆うように形成してある。ただし、第1端子電極6および第2端子電極8の各端縁は、絶縁膜16の上では、Y軸方向に所定距離で離れており、絶縁が確保されている。
図1に示すように、素子本体4は、X軸およびY軸を含む平面に実質的に平行な内側誘電体層10と内部電極層12とを有し、内側誘電体層10の間に内部電極層12がZ軸の方向に沿って交互に積層してある。ここで、「実質的に平行」とは、ほとんどの部分が平行であるが、多少平行でない部分を有していてもよいことを意味し、内部電極層12と内側誘電体層10は、多少、凹凸があったり、傾いていたりしてもよいという趣旨である。
内側誘電体層10と、内部電極層12とが交互に積層される部分が内装領域13である。また、素子本体4は、その積層方向Z(Z軸)の両端面に、外装領域11を有する。外装領域11は、外側誘電体層を複数積層して形成してある。なお、以下では、「内側誘電体層10」および「外側誘電体層」をまとめて、「誘電体層」と記載する場合がある。
内側誘電体層10および外装領域11を構成する誘電体層の材質は、同じでも異なっていてもよく、特に限定されず、たとえば、ABOなどのペロブスカイト構造の誘電体材料やニオブ酸アルカリ系セラミックを主成分として構成される。ABOにおいて、Aは、たとえばCa、Ba、Srなどの少なくとも一種、Bは、Ti、Zrなどの少なくとも一種である。A/Bのモル比は、特に限定されず、0.980~1.020である。
このほか、誘電体層に含まれる副成分として、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムのようなアルカリ金属化合物、酸化マンガン、希土類元素酸化物、酸化バナジウム等が挙げられるがこれらに限定されない。その含有量も組成等に応じて適宜決定すればよい。
なお、副成分として、二酸化珪素、酸化アルミニウムを用いることで、焼成温度を低下させることができる。また、副成分として、酸化マグネシウムのようなアルカリ金属化合物、酸化マンガン、希土類元素酸化物、酸化バナジウム等を用いることで、寿命の改善ができる。内側誘電体層10および外側誘電体層の積層数は、用途等に応じて適宜決定すればよい。
交互に積層される一方の内部電極層12は、素子本体4のY軸方向の一方の外面5aに形成してある第1端子電極6の内側に対して電気的に接続してある引出部12αを有する。また、交互に積層される他方の内部電極層12は、素子本体4のY軸方向の他方の外面5aに形成してある第2端子電極8の内側に対して電気的に接続してある引出部12βを有する。
内装領域13は、容量領域14と引出領域15A,15Bとを有する。容量領域14は、積層方向に沿って内部電極層12が内側誘電体層10を挟んで積層する領域である。引出領域15Aは、端子電極6に接続する内部電極層12の引出部12αの間に位置する領域である。引出領域15Bは、端子電極8に接続する内部電極層12の引出部12βの間に位置する領域である。
内部電極層12に含有される導電材は特に限定されず、Ni、Cu、Ag、Pd、Al、Ptなどの金属、またはそれらの合金を用いることができる。Ni合金としては、Mn,Cr,CoおよびAlから選択される1種以上の元素とNiとの合金が好ましく、合金中のNi含有量は95重量%以上であることが好ましい。なお、NiまたはNi合金中には、P等の各種微量成分が0.1重量%程度以下含まれていてもよい。
内部電極層12は、市販の電極用ペーストを使用して形成してもよく、内部電極層12の厚みは用途等に応じて適宜決定すればよい。図2Aに示すように、素子本体4のX軸方向の両端に位置する外面5b,5bには、それぞれ絶縁膜16,16が備えられている。なお、図示省略してあるが、素子本体4のZ軸方向の両端に位置する外面5c,5cにも絶縁膜16が備えられていてもよい。
絶縁膜16は、素子本体4のY軸方向の両端に位置する外面5aのX軸方向の端部を一部覆っていてもよい。ただし、絶縁膜16は、図1に示す素子本体4のY軸方向の両端に位置する外面5a,5aに露出する内部電極層12の引出部12αまたは12βの接続端を覆わないことが好ましい。素子本体4のY軸方向の両端に位置する外面5aには、端子電極6,8が形成されて内部電極層12の引出部12αまたは12βと接続される必要があるからである。
本実施形態の絶縁膜16の主成分は、好ましくは、Siを25重量%以上含むガラスで構成されている。これにより、端子電極6,8の剥れを抑制できる。これは、絶縁膜16の主成分のガラスに含まれるSiが多いほど、絶縁膜16の耐めっき性が向上し、めっきによる劣化を抑制できるためであると考えられる。本実施形態の絶縁膜16の主成分は、Siを25重量%~70重量%含むガラスで構成されていることが好ましい。本実施形態の絶縁膜16には、Siの他、Mg、Ca、Sr、Ba、Li、Na、K、Ti、Zr、B、P、Zn、Al等を含んでいてもよい。
また、絶縁膜16をガラス成分で構成することにより、固着強度が良好になる。これは、ガラスと素子本体4との界面に反応相が形成され、ガラスと素子本体4の密着性が他の絶縁性物質に比べて優れているためであると考えられる。
さらに、ガラスはセラミックに比べて絶縁性が高い。このため、絶縁膜16の主成分がセラミックの場合に比べて、絶縁膜16の主成分がガラスで構成されている場合は、向かい合う端子電極6,8の距離を短くしても、ショート発生率を低くできる。したがって、絶縁膜16がセラミックで構成されている場合に比べて、絶縁膜16の主成分がガラスで構成されている場合は、端子電極6,8が素子本体4のX軸方向端面のY軸方向端部およびZ軸方向端面のY軸方向端部を広く覆う構成にしても、ショート発生率を低くできる。この効果は、素子本体4のZ軸方向の端面に位置する外面5cにも絶縁膜16が形成されている場合に、より顕著である。
本実施形態の絶縁膜16に含まれるガラスの軟化点は、600℃~950℃であることが好ましい。これにより、絶縁膜16を焼き付けする際に、誘電体層のセラミック粒子の粒成長を防ぐことができ、信頼性などの特性の劣化を抑制することができる。上記の観点から、本実施形態の絶縁膜16に含まれるガラスの軟化点は、600℃~850℃であることがより好ましい。
本実施形態の絶縁膜16に含まれるガラス以外の成分は特に限定されず、たとえば、セラミックフィラーを含んでいてもよく、BaTiO、CaTiO、Al、CaZrO、MgO、ZrO、Cr、CoO等を含んでいてもよい。
素子本体4の端面を絶縁膜16で被覆することにより、絶縁性が高められるだけでなく、外部からの環境負荷に対して、耐久性、耐湿性が増す。また、焼成後の素子本体4のX軸方向の端面を絶縁膜16が被覆することによりサイドギャップを形成するため、サイドギャップの幅が小さく、かつ、均一な絶縁膜16を形成することができる。
端子電極6,8は、それぞれ電極膜と電極膜を被覆する被覆層とを有する積層膜で構成してあってもよい。被覆層はめっきやスパッタ処理などにより形成されている。電極膜は、Siを含むガラスを含んでもよい。電極膜に含まれるその他の成分は特に限定されず、例えば、Cu、Ni、Ag、Pd、Pt、Auあるいはこれらの合金、導電性樹脂など公知の導電材を用いることができる。端子電極6,8の厚みは、用途等に応じて適宜決定すればよい。
本実施形態において、素子本体4の形状やサイズは、目的や用途に応じて適宜決定すればよいが、図2Aに示すX軸方向の幅W0は0.1mm~1.6mm、図1に示すY軸方向の長さL0は0.2mm~3.2mm、図2Aに示すZ軸方向の高さH0は0.1mm~1.6mmであることが好ましい。本実施形態の積層セラミックコンデンサの製造方法によれば、素子本体4のサイズが、仮に下記のように小さい場合であっても、切削くずやゴミなどを容易に除去することができる。すなわち、本実施形態の素子本体4のサイズは、X軸方向の幅W0が0.1mm~0.5mm、Y軸方向の長さL0が0.2mm~1.0mm、Z軸方向の高さH0が0.1mm~0.5mmであってもよい。
本実施形態では、素子本体4のX軸方向の端面である外面5b、またはY軸方向の端面である外面5aが鏡面研磨されていてもよい。また、図2Aに示すように、積層方向(Z軸方向)に隣接する内側誘電体層10で挟まれる内部電極層12のX軸方向の端部が、素子本体4のX軸方向の端面(外面5b)から内側に所定の引込み距離で凹んでいてもよい。内部電極層12のX軸方向端部の引き込みは、たとえば内部電極層12を形成する材料と内側誘電体層10を形成する材料との焼結収縮率の違いにより形成される。
本実施形態では、図2Aに示すように、絶縁膜16のうち、素子本体4の幅方向(X軸方向)に沿って、素子本体4のX軸方向の端面(外面5b)から絶縁膜16の外面までの区間をギャップ部としている。本実施形態では、ギャップ部のX軸方向の幅Wgapは、素子本体4の幅方向(X軸方向)に沿って、素子本体4のX軸方向の端面から絶縁膜16のX軸方向の端面までの寸法に一致するが、幅Wgapは、Z軸方向に沿って均一である必要はなく、多少変動していても良い。幅Wgapの平均は、好ましくは、1μm~30μmである。これにより、絶縁膜16の熱膨張係数の影響が小さくなり、素子本体4と絶縁膜16の熱膨張係数差による構造欠陥を抑制できる。素子本体4のX軸方向の両側の幅Wgapは相互に同じでも異なっていてもよい。
また、上記の幅Wgapの平均は、素子本体4の幅W0に比較すれば、きわめて小さい。本実施形態では、従来に比較して、幅Wgapをきわめて小さくすることが可能になり、しかも、内部電極層12の引込み距離が十分に小さい。そのため、本実施形態では、小型でありながら、大きな容量の積層セラミックコンデンサ2を得ることができる。なお、素子本体4の幅W0は、内側誘電体層10のX軸方向に沿う幅に一致する。Wgapを上記の範囲内とすることで、クラックが発生しにくくなると共に、素子本体4がより小型化されても、静電容量の低下が少ない。
図2Aに示す内側誘電体層10の厚みtdと内部電極層12の厚みteの比は、特に限定されないが、td/teが2~0.5であることが好ましい。また、外装領域11の厚みt0(図1参照)と素子本体4の高さH0(図2A参照)の比は、特に限定されないが、t0/H0が0.01~0.1であることが好ましい。
(積層セラミックコンデンサの製造方法)
次に、本発明の一実施形態としての積層セラミックコンデンサ2の製造方法について具体的に説明する。
まず、焼成後に図1に示す内側誘電体層10を構成することになる図3Aに示す内側グリーンシート10aと、図1に示す外装領域11を構成することになる図3Aに示す外側グリーンシート11aを準備する。これらのグリーンシート10aおよび11aを形成するために、まず、それぞれ内側グリーンシート用ペーストおよび外側グリーンシート用ペーストを準備する。内側グリーンシート用ペーストおよび外側グリーンシート用ペーストは、通常、セラミック粉末と有機ビヒクルとを混練して得られた有機溶剤系ペースト、または水系ペーストで構成される。
セラミック粉末の原料としては、複合酸化物や酸化物となる各種化合物、たとえば炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物などから適宜選択され、混合して用いることができる。セラミック粉末の原料は、本実施形態では、平均粒子径が0.45μm以下、好ましくは0.05~0.3μm程度の粉体として用いられる。なお、内側グリーンシートをきわめて薄いものとするためには、グリーンシート厚みよりも細かい粉体を使用することが望ましい。
有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中に溶解したものである。有機ビヒクルに用いるバインダは特に限定されず、エチルセルロース、ポリビニルブチラール等の通常の各種バインダから適宜選択すればよい。用いる有機溶剤も特に限定されず、アルコール、アセトン、トルエン等の各種有機溶剤から適宜選択すればよい。
また、グリーンシート用ペースト中には、必要に応じて、各種分散剤、可塑剤、誘電体、副成分化合物、ガラスフリット、絶縁体などから選択される添加物が含有されていてもよい。可塑剤としては、フタル酸ジオクチルやフタル酸ベンジルブチルなどのフタル酸エステル、アジピン酸、燐酸エステル、グリコール類などが例示される。
次に、焼成後に図1に示す内部電極層12を構成することになる図3Aに示す内部電極パターン層12aを形成する。そのために、内部電極層用ペーストを準備する。内部電極層用ペーストは、上記した各種導電性金属や合金からなる導電材と、上記した有機ビヒクルとを混練して調製する。焼成後に図1に示す端子電極6,8を構成することになる金属ペースト(端子電極用ペースト)は、上記した内部電極層用ペーストと同様にして調製すればよい。
上記にて調整した内側グリーンシート用ペーストおよび内部電極層用ペーストを使用して、図3Aおよび図3Bに示すように、内側グリーンシート10aと、内部電極パターン層12aと、を交互に積層し、内部積層体を製造する。そして、内部積層体を製造した後に、外側グリーンシート用ペーストを使用して、外側グリーンシート11aを形成し、積層方向に加圧してグリーン積層体を得る。
なお、グリーン積層体の製造方法としては、上記の他、外側グリーンシート11aに直接内側グリーンシート10aと内部電極パターン層12aとを交互に所定数積層して、積層方向に加圧してグリーン積層体を得てもよい。
具体的には、まず、ドクターブレード法などにより、支持体としてのキャリアシート(たとえばPETフィルム)上に、内側グリーンシート10aを形成する。内側グリーンシート10aは、キャリアシート上に形成された後に乾燥される。次に、内側グリーンシート10aの表面に、内部電極層用ペーストを用いて、内部電極パターン層12aを形成し、内部電極パターン層12aを有する内側グリーンシート10aを得る。内部電極パターン層12aを有する内側グリーンシート10aを積層した後に、これらを積層してグリーン積層体を得てもよい。
次に、図3Aおよび図3BのC1切断面およびC2切断面に沿って、グリーン積層体を切断してグリーンチップ4aを得る。C1は、Y‐Z軸平面に平行な切断面であり、C2は、Z‐X軸平面に平行な切断面である。
図3Bに示すように、n層目において内部電極パターン層12aを切断するC2切断面の両隣のC2切断面は、内部電極パターン層12aの隙間を切断する。また、n層目において内部電極パターン層12aを切断したC2切断面は、n+1層目においては内部電極パターン層12aの隙間を切断する。
このような切断方法により、図4Aに示すグリーンチップ4aを得ることで、グリーンチップ4aのn層目の内部電極パターン層12aは、グリーンチップ4aのY軸方向の一方の外面5aでは露出し、他方の外面5aでは露出しない構成となる。また、グリーンチップ4aのn+1層目の内部電極パターン層12aは、逆に、グリーンチップ4aのY軸方向の一方の外面5aでは露出せず、他方の外面5aでは露出する構成となる。
さらに、図3Aに示すグリーンチップ4aのC1切断面、すなわち図4aに示すグリーンチップ4aのX軸方向に対向する外面5c,5cにおいては、全ての層で内部電極パターン層12aが露出する構成となる。なお、内部電極パターン層12aの形成方法としては、特に限定されず、印刷法、転写法の他、蒸着、スパッタリングなどの薄膜形成方法により形成されていてもよい。
グリーンチップ4aは、固化乾燥により可塑剤が除去され固化される。乾燥後のグリーンチップ4aに対して、脱バインダ工程、焼成工程、必要に応じて行われるアニール工程を行うことにより、図2Aおよび図2Bに示す絶縁膜16が形成される前の素子本体4が得られる。また、この素子本体4には、図1に示す端子電極6および8も形成されていない。絶縁膜や端子電極が形成される前の素子本体4の斜視図は、図4Aに示すように、グリーンチップ4aの斜視図と同様である。
本実施形態において、脱バインダ工程は、たとえば、保持温度を200℃~400℃とすればよい。焼成工程は、たとえば還元雰囲気で行い、アニール工程は、中性、または弱酸化性雰囲気で行えばよい。その他の焼成条件またはアニール条件としては、たとえば、焼成の保持温度は1000℃~1300℃であり、アニールの保持温度は500℃~1100℃である。脱バインダ工程、焼成工程およびアニール工程は、連続して行なっても、独立して行なってもよい。
なお、上述した実施形態では、図3Aおよび図3Bに示すグリーン積層体をグリーンチップ4aに個片化してから、グリーンチップ4aを焼成して素子本体4を形成しているが、図3Aおよび図3Bに示すグリーン積層体を焼成して焼結体としてから、焼結体を切断して個々の素子本体4を形成してもよい。
次に、図2Aに示すように、素子本体4のX軸方向の両端面に位置する外面5b,5bの全面に、絶縁膜用ペーストを塗布し、焼き付けることにより、絶縁膜16を形成する。絶縁膜用ペーストを塗布する場合には、ペーストが、素子本体4のX軸方向の両端面の全面のみだけではなく、素子本体4のZ軸方向の両端面の全面にも塗布するようにしてもよい。また、素子本体4のZ軸方向の両端面のX軸方向の両端部および/または素子本体4のY軸方向の両端面のX軸方向の両端部に塗布されるようにしてもよい。
絶縁膜16をガラスで構成する場合には、この絶縁膜用ペーストは、例えば上記したガラス原料と、エチルセルロースを主成分とするバインダと分散媒であるターピネオールおよびアセトンとをミキサーで混練して得る。
素子本体4への絶縁膜用ペーストの塗布方法は特に限定されず、たとえば、ディップ、印刷、塗布、蒸着、噴霧等の方法が挙げられる。素子本体4に絶縁膜用ペーストを塗布して、乾燥、脱バインダ処理、焼き付けを行い、絶縁膜16が形成してある素子本体4を得る。なお、絶縁膜用ペーストの焼き付け温度は、絶縁膜用ペーストに含まれているガラスの軟化点より好ましくは0℃~150℃高い温度、より好ましくは10℃~50℃高い温度で行うことが好ましい。
焼き付け時に液状化したガラス成分は、内側誘電体層10の端部から内部電極層12の端部までの空隙に容易に入り込む。したがって、絶縁膜16により、上記空隙が確実に満たされ、絶縁性が高められるだけでなく、耐湿性も良好とされる。
本実施形態では、図2Aに示すように、素子本体4のX軸方向に対向する外面5b,5bに絶縁膜16を形成する前に、後で詳細に説明する素子本体4の外面のクリーニング処理を行う。そのクリーニング処理を行った後の素子本体4のX軸方向に対向する外面5b,5bに絶縁膜16を形成する。
次に、絶縁膜16が焼き付けられた素子本体4のY軸方向の両端面に、金属ペーストを塗布して焼き付けし、図1に示す端子電極6,8の電極膜となる金属ペースト焼き付け膜を形成する。端子電極6,8の電極膜の形成方法については特に限定されず、金属ペーストの塗布・焼き付け、メッキ、蒸着、スパッタリングなどの適宜の方法を用いることができる。
なお、金属ペーストを素子本体4のY軸方向の端面にディップによって塗布する際には、素子本体4のX軸方向の端面およびZ軸方向の端面にも金属ペーストが濡れ広がるように行うことが好ましい。Y軸方向への濡れ広がり幅は、好ましくは100μm~200μmである。濡れ広がり幅は、金属ペーストの粘度やディップ条件を調整することにより制御できる。金属ペーストの焼き付け温度は、端子電極6,8に含まれるガラスの軟化点より0℃~50℃高い温度であることが好ましい。
そして、端子電極6,8の電極膜の表面に、めっきやスパッタ処理などにより被覆層を形成する。端子電極6,8の形成については、絶縁膜16の形成後に行っても良く、絶縁膜16の形成と同時に行ってもよいが、好ましくは、絶縁膜16を形成した後がよい。
本実施形態では、図1に示す素子本体4のY軸方向に対向する外面5a,5aに端子電極6,8を形成する前に、後で詳細に説明する素子本体4の外面のクリーニング処理を行ってもよい。そのクリーニング処理を行った後の素子本体4のY軸方向に対向する外面5a,5aに端子電極6,8を形成してもよい。なお、素子本体4の外面5b,5bに絶縁膜16を形成する前に、後述のクリーニング処理を行っている場合には、端子電極6,8を形成する前には、必ずしも繰り返してクリーニング処理を行う必要はない。
本実施形態では、図3Aに示すように、内部電極パターン層はX軸方向に沿って連続して形成され、図2Aに示すように、ギャップ部は、素子本体4に絶縁膜16を形成することにより得られる。このため、ギャップ部を形成するための余白パターンを形成しない。したがって、従来の方法とは異なり、グリーンシートに平坦な内部電極パターン層の膜が形成される。このため、グリーンシートの面積当りのグリーンチップ4aの取得個数が従来に比べて増加できる。また、本実施形態では、従来と異なり、グリーン積層体の切断時に余白パターンを気にせずに済むため、従来に比べて、切断歩留まりが改善されている。
さらに、従来は、グリーンシートを積層すると、余白パターン部分は、内部電極パターン層が形成されている部分に比べて厚みが薄く、切断する際に、グリーンチップ4aの切断面付近が湾曲してしまう問題があった。また、従来は内部電極パターン層の余白パターン部分近くに、盛り上がりが形成されるため、内部電極層に凹凸が生じ、これらを積層することで、内部電極またはグリーンシートが変形するおそれがあった。これに対して、本実施形態では、余白パターンを形成せず、内部電極パターン層の盛り上がりも形成されない。
さらに、本実施形態では、内部電極パターン層が平坦な膜であり、内部電極パターン層の盛り上がりが形成されず、また、ギャップ部付近において、内部電極パターン層の滲みやカスレが生じないため、取得容量を向上できる。この効果は、素子本体が小さければ小さいほど顕著である。
また、本実施形態では、焼成後の素子本体4に絶縁膜用ペーストを焼き付けることにより、素子本体4に絶縁膜16を形成してある。この構造を採ることにより、電子部品の耐湿性を良好にし、熱衝撃や物理的な衝撃などの外部環境変化に対する耐久性を向上させることができる。
(素子本体のクリーニング処理)
図2Aに示すように、素子本体4のX軸方向に対向する外面5b,5bに絶縁膜16を形成する前に、素子本体4の外面のクリーニング処理を行う。クリーニング処理を行うために、図5Aに示すように、表面に第1粘着面21が形成してある第1粘着シート20と、表面に第2粘着面23が形成してある第2粘着シート22とを準備する。
本実施形態では、第1粘着シート20が第1転動部材に対応し、第2粘着シート22が第2転動部材に対応するが、逆であってもよい。第1粘着シート20は、たとえば図示省略してある下側吸着ステージに保持されている。また、第2粘着シート22は、たとえば図示省略してある上側吸着ステージに保持されている。
粘着シート20,22としては、相互に同じ粘着シートであってもよく、あるいは異なる粘着シートであってもよい。これらの粘着シート20,22としては、特に限定されず、たとえば発泡シート、シリコーンゴムシート、アクリル系テープ、UVテープ(UV照射により粘着力が弱くなるようなテープ)などのように、シート素材の表面自体が粘着面となるシートであってもよい。発泡シートを構成する樹脂としては、たとえばウレタン、アクリル、シリコーン、ポリエステル、ポリウレタンなどが例示される。
あるいは、粘着面を有する粘着性シートと、弾力性を有する(もしくは弾力性を有さない)他のシートとの積層シートで粘着シート20,22を構成してもよい。また、粘着シート20,22としては、粘着層が表面に形成してある柔軟性シートなどであってもよい。
これらの粘着シート20,22は、少なくとも粘着面21,23を有する表面が弾力性または柔軟性を有することが好ましく、後述する素子本体4の転動の際に、素子本体4の角部が粘着面21,23に当接しても、弾力的に凹んで元に戻る程度の弾力性を有することが好ましい。粘着シート20,22における粘着面21,23が位置する側の弾力性有する部分の厚みは、素子本体4のサイズなどにより決定され、素子本体4のZ軸方向の最大高さの1/20~2倍程度が好ましい。
各粘着シート20,22の粘着面21,23の粘着力は、同じでも異なっていてもよいが、Z軸方向の下側に位置する粘着面21の粘着力を、上側に位置する粘着面23の粘着力よりも高くすることが好ましい。粘着面21,23を粘着層により形成する場合には、粘着層を、たとえば紫外線硬化樹脂などで構成することで、粘着面20,22の粘着力を紫外線などを照射することで、変化させることもできる。たとえば粘着面20,22での素子本体4のクリーニングが終了した後に、素子本体4を粘着面20または22から取り出しやすくするために、粘着面の粘着力を弱くするようにしてもよい。
本実施形態では、第1粘着シート20に対して、第2粘着シート22がZ軸方向に所定の間隔で配置され、各シート20,22の粘着面21,23が相互に向き合うように配置される。これらのシート20,22の間に、素子本体4が、X軸方向に所定間隔およびY軸方向に所定間隔で行列状に多数配置される。なお、図5Aでは、X軸方向に3つの素子本体4が所定間隔で配置してあるが、実際には、多数の素子本体4がシート20,22の間にX軸およびY軸に沿って行列状に配置され、素子本体4の上下に位置する外面が粘着面21,23に付着している。
第1粘着シート20を保持する下側吸着ステージは、第2粘着シート22を保持する上側吸着ステージに対して、少なくともX軸方向に相対移動可能であり、好ましくはX軸およびY軸方向に相対移動可能であり、さらに好ましくはX軸、Y軸およびZ軸方向に相対移動可能である。なお、実際に移動させるのは、上側ステージに対して、下側ステージのみを移動させてもよいし、下側ステージに対して、上側ステージを移動させてもよく、あるいは、両方のステージを相対移動させてもよい。
本実施形態では、上側ステージまたは下側ステージに、素子本体4から第1粘着シート20または第2粘着シート22に加わるZ軸方向の反力を検出するZ軸負荷センサ(図示せず)が取り付けられていてもよい。また、上側ステージまたは下側ステージに、素子本体4から第1粘着シート20または第2粘着シート22に加わるX軸またはY軸方向の反力を検出するZ軸負荷センサ(図示せず)が取り付けられていてもよい。
負荷センサとしては、たとえばロードセルなどが用いられる。素子本体4を、以下に示すようにして転動させる際に、素子本体4に加わる負荷を負荷センサにより検出し、負荷センサにより検出される素子本体4への力が一定レベルを超えないように制御することができる。その結果、素子本体4のクリーニングに際して、素子本体4に対するダメージを、さらに少なくすることができる。
以下の説明では、説明を分かりやすくするために、下側の第1粘着シート20に対して、上側の粘着シート22を相対移動させることにして説明する。なお、図5A~図9に示すX軸、Y軸およびZ軸は、図1~図4Bに示すX軸、Y軸およびZ軸と同様に、相互に略垂直であるが、各軸の定義が異なる。図5A~図9に示すX軸(第1軸)およびY軸(第2軸)は、第1粘着シート20の第1粘着面21に略平行な仮想軸であり、Z軸(第3軸)は、第1粘着面21に略垂直な仮想軸である。
図5Aに示すように、本実施形態では、たとえば各素子本体4の相互に反対側に位置する外面5c,5cが、それぞれ各粘着シート20,22の粘着面21,23に付着するように、シート20,22の間に多数の素子本体4を配置する。その後に、図5Bに示すように、第1粘着シート20に対して、第2粘着シート22をX軸に沿って一方向に移動させる。その際に、これらのシート20,22に挟まれた素子本体4は、それぞれ、Y軸を中心として回転(転動)し、図5Cに示すように、図5Aに示す素子本体4の状態から、それぞれY軸を中心として90度ほど回転(転動)する。
図5Bに示すように、素子本体4の転動の途中において、素子本体4の回転最大直径のZ軸に沿っての投影距離が大きくなる。素子本体4のサイズに比較して、各シート20,22の厚みが十分大きい場合には、素子本体4の転動の途中において、両シート21,22間のZ軸間の相対距離は、変更する必要がない。各シート20,22の内面が凹むように変形することで、素子本体4の回転最大直径のZ軸に沿っての投影距離の変化を吸収できるからである。
なお、本実施形態では、前述したように、粘着シート20,22をそれぞれ保持するステージを、Z軸方向にも移動可能とし、素子本体4の転動に際して、素子本体4に加わる負荷を負荷センサにより検出してもよい。負荷センサにより検出される素子本体4への力が一定レベルを超えないように、粘着シート20,22をそれぞれ保持するステージを、X軸と共にZ軸方向にも相対移動させ、これらのシート20,22の移動を制御してもよい。
図5Aに示すように、最初の状態では、各素子本体4の相互に反対側に位置する外面5c,5cが、それぞれ各粘着シート20,22の粘着面21,23に付着している。その後に、図5Bおよび図5Cに示すように、粘着シート20に対して、粘着シート22をX軸方向およびZ軸方向(Z軸に関しては必要に応じて/以下同様)に相対移動させることで、各粘着面21,23に付着してある素子本体4の外面5c,5cが外面5b,5bに切り替わる。
各粘着面21,23に付着してある素子本体4の外面5c,5cが外面5b,5bに切り替わる過程において、素子本体4の外面5c,5cに付着していた切削くずやゴミ(たとえば焼成時に付着したセッターかす)などを、粘着面21,23に付着させて除去することができる。図5Cに示す状態から、さらに、粘着シート20に対して、粘着シート22をX軸方向およびZ軸方向に相対移動させることで、各粘着面21,23に付着してある素子本体4の外面5b,5bが外面5c,5cに切り替わる。したがって、この動作を繰り返すことで、素子本体4の外面5c,5cと外面5b,5bとを繰り返しクリーニングすることができる。
たとえばその後に、またはその前に、図6Aに示すように、素子本体4の相互に反対側に位置する外面5c,5cが、それぞれ各粘着シート20,22の粘着面21,23に付着している状態から、粘着シート22を、粘着シート20に対してY軸方向に相対移動させてもよい。その際に、前述と同様にして、粘着シート22を、粘着シート20に対して、Z軸方向にも相対移動させてもよい。
図6Bおよび図6Cに示すように、粘着シート20に対して、粘着シート22をY軸方向およびZ軸方向に相対移動させることで、各粘着面21,23に付着してある素子本体4の外面5c,5cが外面5a,5aに切り替わる。粘着シート20に対して、粘着シート22をY軸方向およびZ軸方向に相対移動させる動作を繰り返すことで、前述と同様にして素子本体4が転動させられ、素子本体4の外面5c,5cと外面5a,5aとのクリーニングが行われる。
なお、図6A~図6Cに示す図では、単一の素子本体4のみを図示してあるが、粘着シート20,22の間には、X軸およびY軸に沿って所定間隔で多数の素子本体4が行列状に配列してある。図7A以降に関しても、同様である。
本実施形態では、図5A~図5Cに示すように、少なくとも素子本体4の対向する外面5b,5bのクリーニングが終了した時点で、あるいは、図5A~図6Cに示すように、素子本体4の全ての外面5a~5cのクリーニングが終了した時点で、素子本体4を、粘着シート20および22の粘着面21および23から引き剥がす。
その後に、前述した方法で、素子本体4の外面5b,5bの全面に、絶縁膜用ペーストを塗布し、焼き付けることにより、絶縁膜16を形成することができる。また、前述した方法で、図2Bに示すように、絶縁膜16が焼き付けられた素子本体4のY軸方向の両端面に、端子電極6および8を形成することができる。
(本実施形態のまとめ)
本実施形態の積層セラミックコンデンサ2の製造方法では、図5A~図6Cに示すように、素子本体4を第1粘着シート20(または第2粘着シート22)の第1粘着面21(または第2粘着面23)の上で転がすのみで、素子本体4の外面に付着してある切削くずやゴミなどを、粘着面21または23(21および23)に付着させて除去することができる。この方法では、バレルを用いることなく、切削くずやゴミなどを除去することができるため、素子本体4に対するダメージが少ない。
また、洗浄液を用いることなく、素子本体4の外面を洗浄することができるため、洗浄液が素子本体4の内部に侵入するおそれもなく、しかも洗浄後に乾燥する必要もなく、その後の工程の簡素化を図ることができる。たとえば洗浄後に、すぐに、サイドギャップ用絶縁膜16,16、または端子電極6,8などの形成工程を行うことができる。したがって、本実施形態の方法によれば、接続不良や短絡不良(ショート不良)などを生じさせることなく、容易に積層セラミックコンデンサ2を製造することが可能になる。
特に素子本体4の外面5bでは、素子本体4の内部に位置する相互に異なる極性の複数の内部電極層12の端部が露出している。このような素子本体4の外面5bが、粘着面21に接触するように素子本体4が転がされることで、素子本体4の外面5bに付着してある切削くずやゴミなどを、極めて容易に除去することができる。その結果、ごみの付着によって異極性の内部電極層12同士が接続してしまいショートすることを防ぐことができ、ごみの付着によるサイドギャップ用絶縁膜16の接合不良を有効に防止することができる。
なお、上述した実施形態では、サイドギャップ用絶縁膜16として、ガラス膜を例示してあるが、それに限定されず、セラミック膜あるいは樹脂膜などの絶縁膜(絶縁部)であってもよい。
また本実施形態の方法では、素子本体4を挟むように、第1粘着シート20の上に、第2粘着シート22が配置され、第1粘着シート20に対して第2粘着シート22を、少なくとも第1粘着面21に平行なX軸に沿って相対移動させ、第1粘着面21の上で素子本体4を転がす。第1粘着シート20と第2粘着シート22とを相対移動させることで、第1粘着シート20と第2粘着シート22との間に所定間隔でマトリックス状に配置された多数の素子本体4を、同時に転がして、素子本体4の外面5a~5cの洗浄を行うことができる。
さらに本実施形態の方法では、図5A~図5Cに示すように、第1粘着面21の上で、X軸に沿って素子本体4を転動させた後に、図6A~図6Cに示すように、Y軸に沿って、素子本体4を転動させている。X軸に略垂直なY軸に沿っても素子本体4を転がすことで、X軸に沿って隣り合う素子本体4の外面5c,5bのみでなく、Y軸に沿って隣り合う素子本体4の外面5c,5aも洗浄(クリーニング)することが可能になる。
また、本実施形態の方法では、第1粘着シート20に対して第2粘着シート22を、X軸に沿って相対移動させる際に、図5Bに示すように、第2粘着シート22を、Z軸に沿っても、相対移動させてもよい。素子本体4を転がす際に、素子本体4の回転と共に、素子本体4が接触する第1粘着シート20および第2粘着シート22のZ軸方向の間隔を異なせた方が転がりやすいため、Z軸に沿っても、第1粘着シート20に対して第2粘着シート22を相対移動させてもよい。なお、素子本体4を転がす際に、素子本体4の角部が第1粘着面21または第2粘着面23の表面に食い込み可能なように構成してもよく、その場合には、第1粘着シート20に対して第2粘着シートをZ軸に沿って相対移動させる必要は必ずしもない。
また本実施形態の方法では、第1粘着シート20に向き合っている第2粘着シート22の表面には、第2粘着面23が形成してある。第2粘着シート22の表面にも粘着面23が形成してあることで、転がす回数を減らして素子本体4の外面を粘着面21,23で洗浄することができる。または、同じ転がす回数で、素子本体4の外面の洗浄回数を増やすことが可能になる。
さらに本実施形態では、図4Aに示すように、絶縁膜16(図2A参照)が形成される予定の素子本体4の外面5bでは、素子本体4の内部に位置する内部電極層(導体)12の一部であるX軸方向両端が露出している。図2Aに示すように、内部電極層12が露出している素子本体4の外面5bに、サイドギャップ用絶縁膜16を形成することで、素子本体4の内部に形成してある内部電極層12などを有効に保護し、しかも、これらの内部電極層12の短絡などを有効に防止することができる。また、図1に示すように、内部電極層12が露出している素子本体4の外面5a,5aに、端子電極6,8を形成することで、接続不良などを生じることなく、素子本体4の内部に形成してある内部電極層12に端子電極6,8を良好に接続することが可能となる。
なお、上述した実施形態では、第1転動部材として、第1粘着シート20を用い、第2転動部材として、第2粘着シートを用いているが、いずれかの転動部材、たとえば第2転動部材(または第1転動部材)は、表面に粘着力をほとんど有さないが弾力性を有する弾性シートであってもよい。すなわち、粘着シート20と弾力シート(符号22に対応)との間、または弾力シート(符号20に対応)と粘着シート22との間に、行列状に素子本体4を配置して、同様に、素子本体4を転がしてもよい。
その場合には、少なくともX軸に沿って、粘着シートに対して弾性シートを相対移動させ、X軸に沿って相互に隣り合う素子本体4の少なくとも3つの外面5b,5c,5bを、いずれかの粘着面21または23に順次に接触させてもよい。このように素子本体4の少なくとも3つの外面5b,5c,5bを連続して、一方の粘着面21または23に接触させることで、素子本体4の相互に反対側に対向する外面5b,5bを粘着面21または23で洗浄することが可能になる。
また、上述した実施形態では、第1転動部材として第1粘着シート20を対応させて、第2転動部材として、第2粘着シート22を対応させたが、「第1」と「第2」は、意味を持たない概念であり、逆であってもよい。すなわち、第1転動部材として第2粘着シート22を対応させて、第2転動部材として、第1粘着シート20を対応させてもよい。より具体的には、第1粘着シート20と第2粘着シート22のZ軸方向の上下関係は、逆であってもよい。
第2実施形態
本実施形態では、主として以下に示す内容が第1実施形態と異なる以外は、第1実施形態と同様であり、共通する部分の説明は省略する。この方法では、図5Cから図7Aに示すように、少なくとも素子本体4の外面5bのクリーニングが終了した時点で、粘着シート22のみを素子本体4から引き離す。その際には、粘着シート22の粘着面23の粘着力を、粘着シート20の粘着面21の粘着力よりも小さくすることで、粘着シート22のみを素子本体4から引き離し易くなる。
なお、最初から粘着シート22の粘着面23の粘着力を、粘着シート20の粘着面21の粘着力よりも小さくなるように、粘着シート20,22の材質や、粘着面を構成する粘着層の材質を選択しておいてもよい。あるいは、図5Cに示す工程が終了した段階で、粘着シート22の粘着面23の粘着力が、粘着シート20の粘着面21の粘着力よりも小さくなるように、何らかの処理を行ってもよい。
たとえば粘着シート20,22を、それぞれ表面が粘着性を有する発泡樹脂で構成し、それぞれの発泡温度を相互に異なるようにしてもよい。たとえば図5Cに示す粘着シート20を構成する発泡樹脂の発泡温度をT1と、粘着シート22を構成する発泡樹脂の発泡温度をT2とする場合に、T1>T2であることが好ましく、また、T1-T2は、好ましくは20°C以上、さらに好ましくは30°C以上である。
本実施形態では、図5Cに示す粘着シート22を、その発泡温度T2よりも高く、粘着シート20の発泡温度T1よりも低い温度T3で加熱することで、粘着シート20を構成する発泡樹脂は発泡せず、粘着シート22を構成する発泡樹脂が発泡する。そのため、粘着シート20の粘着面21は粘着力が維持されるが、粘着シート22の粘着面23の粘着力が低下する。その結果、粘着シート22は、素子本体4から容易に剥がすことが可能であり、しかも、粘着シート20の粘着面21に付着した状態を維持する。その状態を図7Aに示す。
図7Bに示すように、本実施形態の方法では、粘着シート20の粘着面21に複数の素子本体4が付着した状態を維持しながら、図2Aに示す絶縁膜(機能部)16を形成することになるペースト膜16aを、各素子本体4の露出している外面5bに形成する。ペースト膜16aの形成は、たとえば印刷法または浸漬法などにより行われる。その後に、粘着シート20の粘着面21に複数の素子本体4が付着した状態を維持しながら、ペースト膜16aの乾燥が行われる。
また、図7Bに示すペースト膜16aの乾燥温度(または脱バインダ温度)をT4とする場合には、好ましくは、乾燥温度T4は、粘着シート20の発泡温度T1よりも低いことが好ましい。複数の素子本体4を粘着シート20に所定間隔で付着した状態で、乾燥炉内に粘着シート20を入れるのみで、乾燥させることが可能であり、乾燥作業が容易になる。乾燥工程に際して、乾燥温度が粘着シート20の発泡温度より低いため、素子本体4は、粘着シート20の粘着面21に付着してある状態が維持される。なお、ペースト膜16aの乾燥温度T4は、特に限定されないが、たとえば80~140°C程度が好ましい。
その後に、図7Cに示すように、転写部材としての第3粘着シート30の第3粘着面31に、各素子本体4の乾燥されたペースト膜16aを付着させ、第1粘着シート20から素子本体4を引き離して転写する。第1粘着シート20から素子本体4を引き離して転写するために、第1粘着シート20を構成する発泡樹脂の発泡温度以上の温度で加熱する。この加熱により、粘着面21の粘着がなくなり、粘着面21に付着してある全ての素子本体4は、第3粘着シート30に転写される。
第3粘着シート30は、第1粘着シート20を構成する発泡樹脂の発泡温度よりも(好ましくは20°C以上)高い発泡温度を有する発泡樹脂で構成することが好ましい。そのように構成することで、粘着面21の粘着を低減させる加熱温度でも、シート30の第3粘着面31の粘着力を維持することができる。あるいは、第3粘着シート30は、粘着面21の粘着を低減させる加熱温度でも粘着面31の粘着力を維持することができる粘着層を有する積層シートであってもよい。
第3シート30の第3粘着面31に行列状に多数の素子本体4を第1粘着シート20から転写した後に、第1粘着シート20の粘着面21により清浄化された素子本体4の外面5bに、図7Dに示すように、図2Aに示す絶縁膜16となるペースト膜16aを形成する。ペースト膜16aの形成方法は、図7Bにて説明したペースト膜16aの形成方法と同様である。
その後に、粘着シート30の粘着面31に複数の素子本体4が付着した状態を維持しながら、ペースト膜16aの乾燥が行われる。乾燥温度は、粘着シート30の発泡温度よりも低いことが好ましい。その後に、粘着シート30の粘着面31の粘着力を弱めて、全ての素子本体4を粘着シート30から取り出し、各素子本体4の対向する二つの外面5bに形成してあるペースト膜16aの焼き付け処理を行う。焼き付け温度は、前述したように、ペースト膜16aに含まれているガラスの軟化点より好ましくは0℃~150℃高い温度、より好ましくは10℃~50℃高い温度で行うことが好ましい。焼き付け処理により、素子本体4のペースト膜16aは、図2Aに示すガラス膜から成る絶縁膜16となる。
次に、絶縁膜16が焼き付けられた素子本体4の両外面5a,5aに、金属ペーストを塗布して焼き付けし、図1に示す端子電極6,8を形成する。端子電極6,8の形成方法については、積層セラミックコンデンサの製造方法の説明の欄で説明したような方法で行う。なお、素子本体4への端子電極6,8の形成に際しては、前述した絶縁膜16の形成方法と同様にして、図5A~図6Cに示すように、各素子本体4の少なくとも3つの外面5a,5c,5aをクリーニング処理した後に、素子本体4への端子電極6,8の形成を行ってもよい。
本実施形態では、たとえば機能部としてのペースト膜16aの形成は、図7Bまたは図7Dに示すように、素子本体4が粘着面21または31に付着している状態で行われる。すなわち、粘着面21または31に付着してある多数の素子本体4に対して、同時にペースト膜16aを形成することが可能になる。しかも、第1転動部材としての第1粘着シート20を、ペースト膜16aの形成のための治具としても用いることが可能となり、工数の削減に寄与し、製造工程の短縮を図ることが可能となる。
また本実施形態では、図7Cに示すように、素子本体4を第1粘着面21から剥がす際には、転写部材としての第3粘着シート30により素子本体4が保持される。第1粘着面21に付着してある多数の素子本体4を、そのままの配置で、転写部材としての第3粘着シート30に移し替えることで、第1粘着面21から剥がされた素子本体4の特定の外面5bに、ペースト膜16aを容易に形成することができる。
第3実施形態
本実施形態では、主として以下に示す内容が第1実施形態または第2実施形態と異なる以外は、第1実施形態または第2実施形態と同様であり、共通する部分の説明は省略する。この方法では、図7Bに示す状態から図7Cに示す工程に移行するのではなく、図8Aに示す工程に移行する。
すなわち、図8Aに示すように、第1粘着シート20の上に所定間隔で配置してある素子本体4の上に、第3転動部材としての第4粘着シート40を配置し、それぞれ片方の外面5bにペースト膜16aが形成してある素子本体4をX軸方向に転動させてもよい。素子本体4を転動させるための方法は、前述した実施形態と同様である。
第4粘着シート40は、第4粘着面41を有し、たとえば前述した実施形態における第2粘着シート22と同様なものを用いることができる。図8Bに示すように、第1粘着シート20に対して、第4粘着シート40をX軸に沿って一方向に移動させる。その際に、これらのシート20,40に挟まれた素子本体4は、それぞれ、Y軸を中心として回転(転動)し、図8Bに示すように、図8Aに示す素子本体4の状態から、それぞれY軸を中心として180度ほど回転(転動)する。
その結果、ペースト膜16aが形成されていない素子本体4の外面5bが第4粘着シート40の第4粘着面41に付着する。その後に、前述した実施形態において、図5Cから図7Aに示す状態に移行させるために、第2粘着シート22を素子本体4から引き離した方法と同様な方法で、図8Bに示す第4粘着シート40を素子本体4から引き離す。次に、第1粘着シート20の第1粘着面21の上で転動することにより清浄化された素子本体4の外面5bに、図7Bに示す方法と同様にして、ペースト膜16aを形成することができる。
なお、本実施形態では、第3転動部材として、粘着シート40を用いているが、粘着面を実質的に有さない弾力性シートを用いて転動させてもよい。第1粘着シート20の第1粘着面21の上で転動することにより、ペースト膜16aが形成されていない素子本体4の外面5bは、すでに清浄化されているからである。また、粘着力が低い弾力性シートを一方の転動部材として用いて素子本体4を転動させることで、すでに素子本体4に形成してあるペースト膜16aに対するダメージを低減することができる。
第4実施形態
本実施形態では、主として以下に示す内容が第1~第3実施形態と異なる以外は、第1~第3実施形態と同様であり、共通する部分の説明は省略する。この方法では、図7Dに示す状態から図9に示す工程に移行する。
本実施形態では、図7Dに示すように、各素子本体4の対向する外面5bに、それぞれ図2Aに示す絶縁膜16となるペースト膜16aを形成した後に、図示省略してある第4転動部材を、第3粘着シート30に向き合わせて各素子本体4に接触させ、Y軸方向に相対移動させることにより、素子本体4をY軸方向に約90度で転動させる。
その結果、図9に示すように、第3粘着シート30の第3粘着面の上に、複数の素子本体4が配置され、素子本体4の外面5aがZ軸の上を向くように配置される。第3粘着シート30の第3粘着面の上に、複数の素子本体4が配置された状態で、素子本体4の一方の外面5aに、図1に示す端子電極6となる電極ペースト膜6aを形成することができる。電極ペースト膜6aは、機能部の他の例であり、たとえば銅を含む導電性金属膜を含む端子電極6の一部となる。
また、図7B~図7Dまたは図7B~図8Bに示す前述した実施形態と同様にして、図9に示す各素子本体4の電極ペースト膜6aが形成されていない素子本体4の外面5aを露出させることが可能である。その図9に示す各素子本体4の電極ペースト膜6aが形成されていない素子本体4の外面5aには、前述した実施形態と同様にして、図1に示す端子電極8となるベースト膜を形成することができる。その後に、素子本体4を粘着シート30またはその他のシートから引き離し、電極用ペースト膜と絶縁膜のためのペースト膜とを同時に焼き付け処理を行ってもよい。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
たとえば、本発明の方法が適用される素子本体4としては、図4Aに示す焼成後の素子本体4のみではなく、図4Bに示す焼成後の素子本体4であってもよい。この素子本体4では、サイドギャップ部18が、誘電体層10と同様な材質で同時に形成してある。この素子本体に対しては、図2Aに示す絶縁膜16を形成することが不要になり、図1に示す端子電極6,8のみを形成すればよい。
その場合には、図1に示す端子電極6,8を素子本体4に形成する前の工程で、前述した実施形態に示す素子本体4の転動によるクリーニング処理を行うことができる。また本発明の方法は、焼成後の素子本体4のみではなく、図4Aまたは図4Bに示す焼成前のグリーンチップ4aに対しても適用することができる。
また、本発明の製造方法が適用される電子部品は、積層セラミックコンデンサに限らず、その他の電子部品に適用することが可能である。その他の電子部品としては、素子本体の外面に機能部が形成される全ての電子部品が例示され、たとえばバンドパスフィルタ、チップインダクタ、積層三端子フィルタ、圧電素子、チップサーミスタ、チップバリスタ、チップ抵抗、その他の表面実装(SMD)チップ型電子部品などが例示される。
2… 積層セラミックコンデンサ
4… 素子本体
4a… グリーンチップ
5a~5c… 外面
6… 第1端子電極(機能部)
6a… 電極ペースト膜(機能部)
8… 第2端子電極(機能部)
10… 内側誘電体層
10a… 内側グリーンシート
11… 外装領域
11a… 外側グリーンシート
12… 内部電極層
12α,12β… 引出部
12a… 内部電極パターン層
13… 内装領域
14… 容量領域
15A,15B…引出領域
16… 絶縁膜(機能部)
16a… ペースト膜(機能部)
18… サイドギャップ部
20… 第1粘着シート(第1転動部材)
21… 第1粘着面
22… 第2粘着シート(第2転動部材)
23… 第2粘着面
30… 第3粘着シート(転写部材)
31… 第3粘着面
40… 第4粘着シート(第3転動部材)
41… 第4粘着面

Claims (16)

  1. 素子本体と、前記素子本体の少なくとも一つの外面に具備される機能部と、を有する電子部品を製造する方法であって、
    前記機能部が形成される予定の前記外面に第1粘着面が接触するように、前記第1粘着面が具備してある第1転動部材の表面で前記素子本体を転がし、
    少なくとも前記素子本体の外面のクリーニングが終了した時点で、前記第1粘着面が具備してある前記第1転動部材を前記素子本体4から引き離し、その後に、前記第1粘着面から引き離された前記外面に前記機能部を形成することを特徴とする電子部品の製造方法。
  2. 前記素子本体を挟むように、前記第1転動部材の上に、第2転動部材が配置され、前記第1転動部材に対して前記第2転動部材を、少なくとも前記第1粘着面に平行な第1軸に沿って相対移動させ、前記第1転動部材の上で前記素子本体を転がす請求項1に記載の電子部品の製造方法。
  3. 少なくとも前記第1軸に沿って、前記第1転動部材に対して前記第2転動部材を相対移動させ、前記第1軸に沿って相互に隣り合う前記素子本体の少なくとも3つの前記外面を、前記第1粘着面に順次に接触させる請求項2に記載の電子部品の製造方法。
  4. 前記第1粘着面に平行で前記第1軸に略垂直な第2軸に沿って、前記第1転動部材に対して前記第2転動部材を相対移動させ、前記第1転動部材の上で前記素子本体を転がす請求項2または3に記載の電子部品の製造方法。
  5. 前記第1転動部材に対して前記第2転動部材を、第1軸に沿って相対移動させる際に、前記第2転動部材を、前記第1粘着面に略垂直な第3軸に沿っても、相対移動させる請求項2~4のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
  6. 前記第1粘着面が接触した後のいずれかの前記外面に、前記機能部を形成する請求項1~5のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
  7. 前記機能部が形成される予定のいずれかの前記外面では、前記素子本体の内部に位置する導体の一部が露出している請求項6に記載の電子部品の製造方法。
  8. 前記機能部は、前記素子本体が前記第1粘着面に付着している状態で形成される請求項6または7に記載の電子部品の製造方法。
  9. 前記機能部が形成された前記素子本体は、前記第1粘着面から剥がされ、前記第1粘着面から剥がされた前記素子本体の特定の外面に、前記機能部とは別の機能部が形成される請求項6~8のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
  10. 前記素子本体を前記第1粘着面から剥がす際には、転写部材により前記素子本体が保持される請求項9に記載の電子部品の製造方法。
  11. 前記第1転動部材に向き合っている前記第2転動部材の表面には、第2粘着面が形成してある請求項2~5のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
  12. 前記第1転動部材に向き合っている前記第2転動部材の表面には、第2粘着面が形成してあり、前記第2転動部材に前記素子本体が保持された状態で、いずれかの前記外面に、前記機能部を形成する請求項2~5のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
  13. 前記素子本体は、焼成前のグリーン積層体、または焼成された後のセラミックチップである請求項1~12のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
  14. 前記機能部は、絶縁部である請求項1~13のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
  15. 前記機能部は、導電部である請求項1~13のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
  16. 前記機能部が形成される予定の前記素子本体の前記外面では、前記素子本体の内部に位置する相互に異なる極性の複数の導体の端部が露出している請求項14に記載の電子部品の製造方法。

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