JP2022168824A - アクリルゴム混合物および架橋性アクリルゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】アクリルゴム架橋物の熱酸化劣化初期にみられる顕著な軟化劣化を抑制し、機械的強度の低下を抑える。【解決手段】α,β-不飽和カルボン酸単量体とアルキル(メタ)アクリレート単量体および/またはアルコキシアルキル(メタ)アクリレート単量体とを単量体単位とするカルボキシル基含有アクリルゴムA、一般式〔I〕TIFF2022168824000010.tif39166(ここで、R1:水素原子またはメチル基、R2:炭素数数1~10の二価の脂肪族炭化水素基)で表されるカルバミン酸エステル基含有(メタ)アクリレート単量体とアルキル(メタ)アクリレート単量体および/またはアルコキシアルキル(メタ)アクリレート単量体とを単量体単位とするカルバミン酸エステル基含有アクリルゴムBからなるアクリルゴム混合物。【選択図】なし
Description
本発明は、アクリルゴム混合物および架橋性アクリルゴム組成物に関する。さらに詳しくは、架橋物の耐熱性を改善し、機械的強度の低下を抑える、アクリルゴム混合物および架橋性アクリルゴム組成物に関する。
地球規模の気候変動対策およびエネルギーの効率利用の観点から、自動車エンジンに代表される内燃機関で排出される二酸化炭素およびNOxガス等の排出量規制が一層厳しくなる傾向にある。その対応策として、自動車エンジンには高出力化、高熱効率化および排出ガスの低減および無害化が要求され、エンジンルーム内の温度は上昇する傾向にある。それに伴い、その周辺で使用されるゴム、プラスチック等の高分子材料にはさらなる耐熱性の向上が求められている。
具体例として、エンジンの燃費改善を目的としたターボチャージャーシステムを搭載した車両の普及が進んでいる。このターボチャージャーからインタークーラーやエンジンに導かれる空気は高温高圧であることから、これを輸送するゴム製ホース材料には高い耐熱性が求められている。
このように、自動車のエンジンに使用される高分子材料の使用環境の高温化や長寿命化の要求に伴い、その対策としてゴム製品部材の原料ゴム自体の耐熱性を向上させる取り組みおよび適切な老化防止剤をゴム製品部材に添加することが行われている。
代表的な老化防止剤としては、フェノール系老化防止剤やアミン系老化防止剤が用いられ、特により高温の使用環境下で用いられるゴム部材ではアミン系老化防止剤が用いられる。
例えば、アクリルゴムの場合、老化防止剤として、4,4′-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミンに代表されるアミン系老化防止剤が用いられている(特許文献1~4)。
また、アクリルゴム自体の耐熱性を向上させる取り組みとして、架橋部位単量体を活性塩素含有不飽和単量体からα,β-不飽和カルボン酸単量体に変えることにより、高温環境下の使用に耐え得る強固な架橋構造を形成させることが行われている。
しかしながら、原料ゴム自体の耐熱性向上およびアミン系老化防止剤をもってしても、昨今の耐熱要求を十分に満足させることはできない。
近年ではゴム材料の老化防止剤としてフェノチアジン系老化防止剤が有効であることが特許文献5に記載されている。
この特許文献5には、加硫特性、機械的特性および熱老化特性にすぐれ、防振ゴム用途に特に好適なゴム材料として、(A)ジエン系ゴム、(B)ビスマレイミド化合物および(C)下記フェノチアジン化合物を含有するものが記載されている。
R1、R2:水素原子、芳香族環で置換されてもよい
C1~C8のアルキル基、
アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基
R3:水素原子、C1~C6の鎖状または環状のアルキル基、
ビニル基、芳香族基
m、n:0~2
5位の硫黄原子が-SO2-のフェノチアジン化合物も知られており、例えば特許文献6に記載されている。
R1、R2:水素原子、芳香族環で置換されてもよい
C1~C8のアルキル基、
アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基
R3:水素原子、C1~C6の鎖状または環状のアルキル基、
ビニル基、芳香族基
m、n:0~2
5位の硫黄原子が-SO2-のフェノチアジン化合物も知られており、例えば特許文献6に記載されている。
特許文献6には、下記一般式で示される縮合複素環化合物およびそれを含有する有機材料組成物が記載されており、酸化的、熱的あるいは光誘発性崩壊を受け易いポリマー等の有機材料に対し、高い加工安定性、耐熱性、長寿命を付与することが可能であると述べられている。
Y:化学的な単結合、-S(=O)-、-SO2-
Ra、Rb:置換基を有してもよいC1~C30有機基
Za、Zb:化学的な単結合、-SO2-
X1、X2:水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シアノ基、ニトロ基、
-OR1、-O-CO-R1、-CO-OR1、-O-CO-OR1、-NR2R3、-NR2-CO-R1、
-CO-NR2R3、-O-CO-NR2R3、
n、m:0~2、ただし、いずれか一方は0ではない
Y:化学的な単結合、-S(=O)-、-SO2-
Ra、Rb:置換基を有してもよいC1~C30有機基
Za、Zb:化学的な単結合、-SO2-
X1、X2:水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シアノ基、ニトロ基、
-OR1、-O-CO-R1、-CO-OR1、-O-CO-OR1、-NR2R3、-NR2-CO-R1、
-CO-NR2R3、-O-CO-NR2R3、
n、m:0~2、ただし、いずれか一方は0ではない
また、ゴム部材からのアミン系老化防止剤の揮散を防止するため、アミン系老化防止剤の高分子量化および高融点化の検討がなされている。しかしながら、老化防止剤の高分子量化、高融点化に伴い、ゴムに対する分散性およびゴム内部での移行性が低下するなどの問題がある。
老化防止剤の揮散を防止し、高温環境下におけるゴム部品の長寿命化を図る目的のため、重合性不飽和基を有する老化防止剤を原料ゴムに共重合する方法も検討されている(特許文献7)。
しかしながら、上記老化防止剤では、ジフェニルアミノ基のラジカル重合禁止作用により、重合性不飽和単量体とのラジカル共重合は実用的に困難である。
また、エラストマー性重合体の変性反応によりジフェニルアミノ構造を重合体に導入する方法が、いくつか開示されている。例えば、オレフィン系不飽和基を有するエラストマーの側鎖をヒドロホルミル化した後ジフェニルアミノ基を導入する方法(特許文献8)、ジエン系共重合体に遊離基発生剤の存在下で無水マレイン酸を付加させた後、ジフェニルアミノ基を導入する方法(特許文献9)などが知られている。しかしながら、これらの方法は、もととなる共重合体を製造した後にジフェニルアミノ基を導入する変性工程がさらに必要となり、製造コストの面から実用的ではない。
さらに、4-アミノジフェニルアミン共存下でアクリルゴムを架橋する方法が知られているが(特許文献10)、この方法では4-アミノジフェニルアミンがポリアミン架橋を幾分阻害することが懸念される。
従来技術では、原料ゴム自体の耐熱性向上、各種老化防止剤の性能向上および熱老化防止成分を原料ゴムに化学的に結合させる方法の何れをもってしても、昨今の耐熱要求を十分に満足することはできない。
Rubber Chem.Technol., 46巻, 106頁(1973)
Rubber Chem.Technol., 52巻, 883頁(1979)
Journal of Photopolymer Science and Technology,18巻,3号, 419頁(2005)
Material Technology,25巻,6号,285頁(2007)
上記の問題に対して本発明者等は、アクリルゴムの耐熱性向上という課題に対して、相補的な架橋システムをアクリルゴムに導入することにより解決を図ることが可能か否かについての検討を行った。特に、エチルアクリレートを主要原料とするアクリルゴムの熱酸化劣化初期にみられる顕著な軟化劣化を抑制することを課題として検討を行った。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、アクリルゴム架橋物の熱酸化劣化初期にみられる顕著な軟化劣化を抑制し、機械的強度の低下を抑えることを可能とする、アクリルゴム混合物および架橋性アクリルゴム組成物を提供することにある。
かかる本発明の目的は、α,β-不飽和カルボン酸単量体とアルキル(メタ)アクリレート単量体および/またはアルコキシアルキル(メタ)アクリレート単量体とを単量体単位とするカルボキシル基含有アクリルゴムA、一般式〔I〕
(ここで、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は炭素数数1~10の二価の脂肪族炭化水素基である)で表されるカルバミン酸エステル基含有(メタ)アクリレート単量体とアルキル(メタ)アクリレート単量体および/またはアルコキシアルキル(メタ)アクリレート単量体とを単量体単位とするカルバミン酸エステル基含有アクリルゴムBからなるアクリルゴム混合物および当該アクリルゴム混合物と架橋促進剤からなる架橋性アクリルゴム組成物によって達成される。
(ここで、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は炭素数数1~10の二価の脂肪族炭化水素基である)で表されるカルバミン酸エステル基含有(メタ)アクリレート単量体とアルキル(メタ)アクリレート単量体および/またはアルコキシアルキル(メタ)アクリレート単量体とを単量体単位とするカルバミン酸エステル基含有アクリルゴムBからなるアクリルゴム混合物および当該アクリルゴム混合物と架橋促進剤からなる架橋性アクリルゴム組成物によって達成される。
本発明に係る架橋性アクリルゴム組成物は、その架橋反応の一例を模式的に表した次の図
Fmoc:9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基
に示されるように、架橋の際、カルボキシル基含有アクリルゴムAおよびカルバミン酸エステル基含有アクリルゴムBとの間に、選択的かつ相補的に架橋構造が形成され、アクリルゴムA同士またはアクリルゴムB同士の間に架橋構造が形成されないものであり、得られる架橋物の熱酸化劣化初期にみられる顕著な軟化劣化を抑制し、機械的強度の低下を抑えることを可能とするといったすぐれた効果を奏する。
Fmoc:9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基
に示されるように、架橋の際、カルボキシル基含有アクリルゴムAおよびカルバミン酸エステル基含有アクリルゴムBとの間に、選択的かつ相補的に架橋構造が形成され、アクリルゴムA同士またはアクリルゴムB同士の間に架橋構造が形成されないものであり、得られる架橋物の熱酸化劣化初期にみられる顕著な軟化劣化を抑制し、機械的強度の低下を抑えることを可能とするといったすぐれた効果を奏する。
また架橋性組成物の製造に際しては、芳香族または脂肪族ポリアミン架橋剤を添加することなく架橋可能であるため、架橋剤を添加するといった工程が省略できるとともに、アクリルゴムに対する架橋剤の分散不良のリスクをも解消することができる。
なお、前記一般式〔I〕で表されるカルバミン酸エステル基含有(メタ)アクリレート単量体とメチルアクリレート、メチルメタクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート単量体との共重合体は特許文献11および非特許文献3~4に記載されており、ジカルバミン酸エステル化合物を用いてカルボキシル基含有アクリルゴムを架橋できることは特許文献12に記載されているが、これらを組み合わせて用いることにより所望の耐熱性を達成し得るアクリルゴムを得られることについては、何ら教示乃至示唆されていない。
本発明のアクリルゴム混合物を構成するアクリルゴムAは、α,β-不飽和カルボン酸単量体とアルキル(メタ)アクリレート単量体および/またはアルコキシアルキル(メタ)アクリレート単量体とを単量体単位とする。これらはα,β-不飽和カルボン酸単量体が0.1~5重量%、好ましくは0.5~5重量%、アルキル(メタ)アクリレート単量体および/またはアルコキシアルキル単量体が99.9~95重量%、好ましくは99.5~95重量%の単量体割合で共重合されたものが用いられる。ここで、(メタ)アクリレートはアクリレートまたはメタクリレートを指している。
アクリルゴムAの単量体単位であるα,β-不飽和カルボン酸単量体としては、一塩基酸α,β-不飽和カルボン酸、二塩基酸α,β-不飽和カルボン酸または二塩基酸α,β-不飽和カルボン酸モノアルキルエステルが挙げられる。
一塩基酸α,β-不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸が挙げられる。
二塩基酸α,β-不飽和カルボン酸としては、例えばマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸が挙げられる。
二塩基酸α,β-不飽和カルボン酸モノアルキルエステルとしては、例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸のモノアルキルエステルが挙げられる。具体例としては、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノn-プロピル、マレイン酸モノイソプロピル、マレイン酸モノn-ブチル、マレイン酸モノイソブチル、マレイン酸モノn-ヘキシル、マレイン酸モノシクロヘキシル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノn-プロピル、フマル酸モノイソプロピル、フマル酸モノn-ブチル、フマル酸モノイソブチル、フマル酸モノn-ヘキシル、フマル酸モノシクロヘキシル等が挙げられる。
アクリルゴムAの単量体単位であるアルキル(メタ)アクリレート単量体および/またはアルコキシアルキル(メタ)アクリレート単量体としては、炭素数1~8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、炭素数7~20のアラルキル基を有するアラルキル(メタ)アクリレートおよび炭素数2~8のアルコキシアルキル基を有するアルコキシアルキル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種類の(メタ)アクリレートが用いられる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等が用いられる。
アラルキル(メタ)アクリレートとしては、例えばベンジル(メタ)アクリレートが用いられる。
また、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えばメトキシメチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、n-ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート等が用いられる。
また、これら本発明のアクリルエラストマー共重合体の主要成分(単量体)以外に、必要に応じて副成分として下記の重合性不飽和単量体を用いることができる。
重合性不飽和単量体としては、例えばスチレン、α-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレン、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリル酸アミド、酢酸ビニル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、エチレン、プロピレン、ピペリレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、シクロペンタジエン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等が挙げられる。
かかるアクリルゴムAとしては、例えばエチレン、メチルアクリレートおよびα,β-不飽和カルボン酸単量体を主要構成要素とするエラストマー性共重合体、あるいはエチレン、酢酸ビニルおよびα,β-不飽和カルボン酸単量体を主要構成要素とするエラストマー性共重合体等を使用することができる。
本発明のアクリルゴム混合物を構成するアクリルゴムBは、一般式〔I〕で表されるカルバミン酸エステル基含有(メタ)アクリレート単量体とアルキル(メタ)アクリレート単量体および/またはアルコキシアルキル(メタ)アクリレート単量体とを単量体単位とする。これらは、カルバミン酸エステル基含有(メタ)アクリレート単量体0.1~10重量%、好ましくは0.5~5重量%、アルキル(メタ)アクリレート単量体および/またはアルコキシアルキル単量体99.9~90重量%、好ましくは99.5~95重量%の単量体割合で共重合されたものが用いられる。
一般式〔I〕で表されるカルバミン酸エステル基含有(メタ)アクリレート単量体は、ウレタン化反応触媒存在下で、イソシアナトアルキルアクリレートまたはイソシアナトアルキルメタアクリレートと9-フルオレニルメタノールを反応させることにより容易に製造することができる。
ウレタン化反応触媒としては、有機スズ化合物、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物、有機ビスマス化合物等を用いることができる。
有機スズ化合物としては、ジラウリン酸ジブチルスズ、ビス(2-エチルヘキサン酸)スズ、ジブチルスズ(2,4-ペンタンジオネート)等が挙げられる。
有機チタン化合物としては、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
有機ジルコニウム化合物としては、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセテート)、ジルコニウムテトラ(アセチルアセテート)等が挙げられる。
有機ビスマス化合物としては、ビスマストリス(ネオデカノエート)等が挙げられる。
反応はベンゼン、トルエン、ジオキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン等の有機溶媒中で40~80℃の温度下で行われる。
アクリルゴムBの単量体単位であるアルキル(メタ)アクリレート単量体および/またはアルコキシアルキル(メタ)アクリレート単量体は、アクリルゴムAの単量体単位と同義である。
また、アクリルゴムBとしては、例えばエチレン、メチルアクリレートおよびカルバミン酸エステル基含有(メタ)アクリレート単量体を主要構成要素とするエラストマー性共重合体、あるいはエチレン、酢酸ビニルおよびカルバミン酸エステル基含有(メタ)アクリレート単量体を主要構成要素とするエラストマー性共重合体等を使用することができる。
本発明のアクリルゴム混合物を構成するアクリルゴムAおよびBは、一般的なアクリルゴムの共重合方法によって製造される。共重合反応は、乳化重合法、けん濁重合法、溶液重合法、塊状重合法など任意の方法で行ない得るが、好ましくは乳化重合法またはけん濁重合法が用いられ、約-10~100℃、好ましくは約5~80℃の温度で反応が行われる。
反応の重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、第3ブチルヒドロパーオキサイド、クミルヒドロパーオキサイド、p-メチレンヒドロパーオキサイド等の有機パーオキサイドまたはヒドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソブチルアミジン等のジアゾ化合物、過硫酸アンモニウムによって代表されるアンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等の過酸化物塩などが単独であるいはレドックス系として用いられる。
特に好ましい乳化重合法に用いられる乳化剤としては、アニオン系またはノニオン系の界面活性剤が、必要に応じて酸または塩基によりpH調整され、無機塩で緩衝溶液とした水溶液などとして用いられる。
重合反応は、単量体混合物の転化率が90%以上に達する迄継続される。得られた水性ラテックスは、塩-酸凝固法、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウムの如き塩を用いる方法、ホウ酸、ホウ砂等のホウ素化合物を用いる方法、熱による凝固法、凍結凝固法などによって凝固させ、得られた共重合体は十分に水洗、乾燥される。このアクリルゴムは、約5~100、好ましくは約20~80のムーニー粘度 PML1+4(100℃)を有する。
本発明のアクリルゴム混合物は、アクリルゴムA 10~90重量%、好ましくは25~75重量%およびアクリルゴムB 90~10重量%、好ましくは75~25重量%の割合で構成される。
アクリルゴム混合物中のアクリルゴムAおよびアクリルゴムBの構成割合の大凡の目安は、WA×wA/MA=WB×wB/MBで求められる。これらの割合は、架橋速度等の因子を考慮して適宜調整することもできる。
WA(重量部):アクリルゴムAの重量
wA(wt%):アクリルゴムAのα,β-不飽和カルボン酸単量体の重量分率組成
MA(g/mol):α,β-不飽和カルボン酸単量体の分子量
WB(重量部):アクリルゴムBの重量
wB(wt%):アクリルゴムBのカルバミン酸エステル基含有(メタ)アクリレート単量体
の重量分率組成
MB(g/mol):カルバミン酸エステル基含有(メタ)アクリレート単量体の分子量
WA(重量部):アクリルゴムAの重量
wA(wt%):アクリルゴムAのα,β-不飽和カルボン酸単量体の重量分率組成
MA(g/mol):α,β-不飽和カルボン酸単量体の分子量
WB(重量部):アクリルゴムBの重量
wB(wt%):アクリルゴムBのカルバミン酸エステル基含有(メタ)アクリレート単量体
の重量分率組成
MB(g/mol):カルバミン酸エステル基含有(メタ)アクリレート単量体の分子量
アクリルゴム混合物は、アクリルゴムAの水性重合乳化液とアクリルゴムBの水性重合乳化液を任意の割合で混合した後、電解質水溶液によって凝析し乾燥することによって、またはアクリルゴムAとアクリルゴムBをオープンロール、加圧ニーダ、バンバリーミキサ等を用いて混和することよって容易に調製することができる。
本発明の架橋性アクリルゴム組成物は、調製されたアクリルゴム混合物に架橋促進剤を配合することにより製造される。架橋促進剤としては、グアニジン化合物、ジアザビシクロアルケン化合物またはその有機酸塩等の架橋促進剤が用いられる。
グアニジン化合物としては、テトラメチルグアニジン、テトラエチルグアニジン、1,3-ジフェニルグアニジン、1,3-ジ-o-トリルグアニジン等が挙げられる。好ましくは1,3-ジフェニルグアニジン、1,3-ジ-o-トリルグアニジンまたはそれらの組み合わせである。
ジアザビシクロアルケン化合物としては、1,8-ジアザビシクロ〔5.4.0〕-7-ウンデセンが好ましい。
ジアザビシクロアルケン化合物の有機酸塩としては、1,8-ジアザビシクロ〔5.4.0〕-7-ウンデセンの有機酸塩が好ましい。
1,8-ジアザビシクロ〔5.4.0〕-7-ウンデセンの有機酸塩に用いられる有機酸としては、有機一塩基酸または有機二塩基酸が挙げられる。
有機一塩基酸としては、n-ヘキサン酸、n-ヘプタン酸、n-オクタン酸、2-エチルヘキサン酸、n-カプリン酸、n-ラウリン酸、p-トルエンスルホン酸、フェノール等が挙げられる。有機二塩基酸としては、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、オルトフタル酸、フタル酸等が挙げられ、炭素数6~18のモノカルボン酸またはジカルボン酸が好ましい。
架橋促進剤は、アクリルゴム混合物100重量部に対して約0.1~5重量部、好ましくは約0.5~5重量部用いられる。架橋促進剤がこれより少ないと、架橋速度の著しい低下、架橋後のアクリルゴムの機械的物性の低下および熱老化後の機械的物性の低下を招くことがある。一方、これより多く用いられると、アクリルゴムの耐圧縮永久歪特性の悪化を招くことがある。
アクリルゴム組成物は、アクリルゴム混合物および架橋促進剤をオープンロール、ニーダ、バンバリーミキサ等を用いて混合することにより容易に製造することができる。
本発明の架橋性アクリルゴム組成物には、必要に応じて、例えば熱老化防止剤、充填剤、加工助剤、可塑剤、軟化剤、老化防止剤、着色剤、安定剤、接着助剤、離型剤、導電性付与剤、熱伝導性付与剤、表面非粘着剤、粘着付与剤、柔軟性付与剤、耐熱性改善剤、難燃剤、紫外線吸収剤、耐油性向上剤、スコーチ防止剤、滑剤等の各種添加剤を配合することができる。
充填剤としては、塩基性シリカ、酸性シリカ等のシリカ、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム等の金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の炭酸塩;ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウム等のケイ酸塩;硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩;二硫化モリブデン、硫化鉄、硫化銅等の金属硫化物;合成ハイドロタルサイト、ケイ藻土、アスベスト、リトポン(硫化亜鉛/硫化バリウム)、グラファイト、カーボンブラック(MTカーボンブラック、SRFカーボンブラック、FEFカーボンブラック等)、フッ化カーボン、フッ化カルシウム、コークス、石英微粉末、亜鉛華、タルク、雲母粉末、ウォラストナイト、炭素繊維、アラミド繊維、各種ウィスカー、ガラス繊維、有機補強剤、有機充填剤等が挙げられる。
加工助剤としては、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸;ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸塩;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等の高級脂肪酸アミド;オレイン酸エチル等の高級脂肪酸エステル、ステアリルアミン、オレイルアミン等の高級脂肪族アミン;カルナバワックス、セレシンワックス等の石油系ワックス;エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール等のポリグリコール;ワセリン、パラフィン等の脂肪族炭化水素;シリコーン系オイル、シリコーン系ポリマー、低分子量ポリエチレン、フタル酸エステル類、リン酸エステル類、ロジン、(ハロゲン化)ジアルキルアミン、(ハロゲン化)ジアルキルスルフォン、界面活性剤等が挙げられる。
可塑剤としては、例えばエポキシ樹脂、フタル酸誘導体やセバシン酸誘導体等が、軟化剤としては、例えば潤滑油、プロセスオイル、コールタール、ヒマシ油、ステアリン酸カルシウム等が、老化防止剤としては、例えばフェニレンジアミン類、フォスフェート類、キノリン類、クレゾール類、フェノール類、ジチオカルバメート金属塩等が挙げられる。
必要に応じて使用される上記の配合剤は、アクリルゴム混合物および架橋促進剤からなる本発明の架橋性アクリルゴム組成物に配合され、バンバリーミキサや加圧ニーダ、オープンロール等を用いて混和される。得られた架橋性混和物の架橋は、約120~250℃、約1~60分間の一次架橋および必要に応じて約120~200℃、約1~20時間のオーブン架橋(二次架橋)が行われる。
次に、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、本発明は効果を含めてこの実施例に限定されるものではない。
参考例
9FMMの製造
マグネット攪拌子、温度計、窒素ガス導入口と排出口および還流冷却管を備えた容量500mlの四口フラスコに、9-フルオレニルメタノール 26.3g(134ミリモル)、2-イソシアナトエチルメタクリレート 25.0g(161ミリモル)、ジラウリン酸ジブチルスズ1.1gおよびベンゼン 440mlを投入し、窒素ガス雰囲気下80℃で2時間反応させた。
9FMMの製造
マグネット攪拌子、温度計、窒素ガス導入口と排出口および還流冷却管を備えた容量500mlの四口フラスコに、9-フルオレニルメタノール 26.3g(134ミリモル)、2-イソシアナトエチルメタクリレート 25.0g(161ミリモル)、ジラウリン酸ジブチルスズ1.1gおよびベンゼン 440mlを投入し、窒素ガス雰囲気下80℃で2時間反応させた。
反応混合物を室温まで冷却した後、p-メトキシフェノールを50mg加え、ついで減圧下でベンゼンを留去し粗反応生成物67.2gを得た。これを600mlのエタノールで再結晶することにより、無色の結晶として9FMMを41.1g(収率87%)得た。
1H-NMR(400MHz、Acetone d6、δ ppm):
1.91 (s, 3H, CH2=C(CH 3)-C(=O)-O-)
3.47 (q, 2H, J=5.6Hz, -O-CH2CH 2-NH-C(C=O)-)
4.21 (t, 2H, J=5.6Hz, -O-CH 2CH2-NH-C(C=O)-)
4.23 (t, 1H, J=7.2Hz, -C(=O)-OCH2-CH-Ar2)
4.35 (d, 2H, J=7.2Hz, -C(=O)-OCH 2-CH-Ar2)
5.62 (s, 1H, カルボニル基に対して
trans-CH 2=C(CH3)-C(=O)-O-)
6.10 (s, 1H, カルボニル基に対して
cis-CH 2=C(CH3)-C(=O)-O-)
6.73 (brs, 1H, -O-CH2CH2-NH-C(C=O)-
7.32 (t, 2H, J=7.6Hz, Ar-Ha)
7.41 (t, 2H, J=7.6Hz, Ar-Hb)
7.68 (d,2H, J=7.6Hz, Ar-Hc)
7.86 (d,2H, J=7.6Hz, Ar-Hd)
1H-NMR(400MHz、Acetone d6、δ ppm):
1.91 (s, 3H, CH2=C(CH 3)-C(=O)-O-)
3.47 (q, 2H, J=5.6Hz, -O-CH2CH 2-NH-C(C=O)-)
4.21 (t, 2H, J=5.6Hz, -O-CH 2CH2-NH-C(C=O)-)
4.23 (t, 1H, J=7.2Hz, -C(=O)-OCH2-CH-Ar2)
4.35 (d, 2H, J=7.2Hz, -C(=O)-OCH 2-CH-Ar2)
5.62 (s, 1H, カルボニル基に対して
trans-CH 2=C(CH3)-C(=O)-O-)
6.10 (s, 1H, カルボニル基に対して
cis-CH 2=C(CH3)-C(=O)-O-)
6.73 (brs, 1H, -O-CH2CH2-NH-C(C=O)-
7.32 (t, 2H, J=7.6Hz, Ar-Ha)
7.41 (t, 2H, J=7.6Hz, Ar-Hb)
7.68 (d,2H, J=7.6Hz, Ar-Hc)
7.86 (d,2H, J=7.6Hz, Ar-Hd)
実施例1
〔アクリルゴムaの製造〕
温度計、撹拌機、窒素ガス導入管およびジムロート冷却管を備えたセパラブルフラスコ内に、
水 187重量部
ラウリル硫酸ナトリウム 2 〃
ポリオキシエチレンラウリルエーテル 2 〃
仕込み単量体混合物
アクリル酸エチル〔EA〕 98.6 〃
9FMM 1.4 〃
を仕込み、窒素ガス置換を行って系内の酸素を十分に除去した後、
ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.008重量部
(富士フィルム和光純薬工業製品ロンガリット)
第3ブチルハイドロパーオキサイド 0.0047 〃
(日油製品パーブチルH69)
酢酸 0.67 〃
を加えて室温条件下で重合反応を開始させ、重合転化率が90%以上になる迄反応を継続した。得られた水性重合乳化液a(ゴム固形分32重量%)の一部を10重量%硫酸ナトリウム水溶液で凝析させた後、水洗、乾燥してアクリルゴムaを得た。
〔アクリルゴムaの製造〕
温度計、撹拌機、窒素ガス導入管およびジムロート冷却管を備えたセパラブルフラスコ内に、
水 187重量部
ラウリル硫酸ナトリウム 2 〃
ポリオキシエチレンラウリルエーテル 2 〃
仕込み単量体混合物
アクリル酸エチル〔EA〕 98.6 〃
9FMM 1.4 〃
を仕込み、窒素ガス置換を行って系内の酸素を十分に除去した後、
ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.008重量部
(富士フィルム和光純薬工業製品ロンガリット)
第3ブチルハイドロパーオキサイド 0.0047 〃
(日油製品パーブチルH69)
酢酸 0.67 〃
を加えて室温条件下で重合反応を開始させ、重合転化率が90%以上になる迄反応を継続した。得られた水性重合乳化液a(ゴム固形分32重量%)の一部を10重量%硫酸ナトリウム水溶液で凝析させた後、水洗、乾燥してアクリルゴムaを得た。
得られたアクリルゴムaのムーニー粘度 PML1+4(100℃)は、48であった。
また、モル分率組成を、1H-NMR(400MHz、CD3C(=O)CD3、δ ppm)を用いて、下式より求めたところ、9FMM:0.40モル%、EA:99.60モル%であった。
α:6.4-8.1ppmのシグナルの積分値
β:3.2-5.0ppmのシグナルの積分値
9FMM(mol%)=200×α/(9β-5α)
EA(mol%)=100-9FMM(mol%)
また、重量分率組成は下式より求めたところ、9FMM:1.4重量%、EA:98.6重量%であった。
9FMM(wt%)=(9FMM(mol%)×351.4×100)/〔9FMM(mol%)×
351.4+((EA(mol%))×100.5)〕
EA(wt%)=100-9FMM(wt%)
また、モル分率組成を、1H-NMR(400MHz、CD3C(=O)CD3、δ ppm)を用いて、下式より求めたところ、9FMM:0.40モル%、EA:99.60モル%であった。
α:6.4-8.1ppmのシグナルの積分値
β:3.2-5.0ppmのシグナルの積分値
9FMM(mol%)=200×α/(9β-5α)
EA(mol%)=100-9FMM(mol%)
また、重量分率組成は下式より求めたところ、9FMM:1.4重量%、EA:98.6重量%であった。
9FMM(wt%)=(9FMM(mol%)×351.4×100)/〔9FMM(mol%)×
351.4+((EA(mol%))×100.5)〕
EA(wt%)=100-9FMM(wt%)
〔アクリルゴムbの製造〕
アクリル酸エチル〔EA〕 99.2重量部
フマル酸モノn-ブチル〔MBF〕 0.8 〃
よりなる仕込み単量体混合物を用い、酢酸を用いない以外は、アクリルゴムaの製造と同様に行い、水性重合乳化液b(ゴム固形分32重量%)およびアクリルゴムbを得た。得られたアクリルゴムbのムーニー粘度 PML1+4(100℃)は、32であった。また、アクリルゴムbの酸価を測定することによりMBF含量(wt%)を求めたところ、0.6重量%であった。
アクリル酸エチル〔EA〕 99.2重量部
フマル酸モノn-ブチル〔MBF〕 0.8 〃
よりなる仕込み単量体混合物を用い、酢酸を用いない以外は、アクリルゴムaの製造と同様に行い、水性重合乳化液b(ゴム固形分32重量%)およびアクリルゴムbを得た。得られたアクリルゴムbのムーニー粘度 PML1+4(100℃)は、32であった。また、アクリルゴムbの酸価を測定することによりMBF含量(wt%)を求めたところ、0.6重量%であった。
〔アクリルゴム混合物Iの製造〕
同重量の水性重合乳化液aと水性重合乳化液bとを混合し、10重量%硫酸ナトリウム水溶液で凝析させた後、水洗、乾燥して、アクリルゴムaおよびbがともに50重量%からなるアクリルゴムaおよびbの混合物を得た。得られたアクリルゴム混合物Iのムーニー粘度 PML1+4(100℃)は、37であった。
同重量の水性重合乳化液aと水性重合乳化液bとを混合し、10重量%硫酸ナトリウム水溶液で凝析させた後、水洗、乾燥して、アクリルゴムaおよびbがともに50重量%からなるアクリルゴムaおよびbの混合物を得た。得られたアクリルゴム混合物Iのムーニー粘度 PML1+4(100℃)は、37であった。
得られたアクリルゴム混合物I 100重量部に対し、
FEFカーボンブラック(東海カーボン製品シーストGSO) 60 〃
ステアリン酸(ミヨシ油脂製品TST) 1 〃
ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸 0.5 〃
(東邦化学工業製品フォスファノールRL-210)
架橋促進剤(Safic-Alcan社製品Vulcofac ACT55) 1 〃
老化防止剤(4,4′-ビス(α,α-ジメチルベンジル 2 〃
ジフェニルアミン:大内新興化学工業製品ノクラックCD)
の各成分を、まずアクリルゴム混合物I、FEFカーボンブラック、ステアリン酸およびポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸を、バンバリーミキサで混和した後、残りの各成分をオープンロールを用いてさらに混和し、アクリルゴム組成物を得た。
FEFカーボンブラック(東海カーボン製品シーストGSO) 60 〃
ステアリン酸(ミヨシ油脂製品TST) 1 〃
ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸 0.5 〃
(東邦化学工業製品フォスファノールRL-210)
架橋促進剤(Safic-Alcan社製品Vulcofac ACT55) 1 〃
老化防止剤(4,4′-ビス(α,α-ジメチルベンジル 2 〃
ジフェニルアミン:大内新興化学工業製品ノクラックCD)
の各成分を、まずアクリルゴム混合物I、FEFカーボンブラック、ステアリン酸およびポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸を、バンバリーミキサで混和した後、残りの各成分をオープンロールを用いてさらに混和し、アクリルゴム組成物を得た。
得られたアクリルゴム組成物を、100トンプレス成形機により180℃で8分間の一次架橋を行い、さらに175℃で4時間のオーブン架橋を行い、厚さ約2mmのシート状架橋物を得た。
アクリルゴム組成物の架橋特性およびその架橋物の物性を、次のようにして測定した。
ムーニースコーチ試験:JIS K6300-1準拠(125℃)
東洋精機製作所製ムーニービスコメーターAM-3を用い、最小ムーニー粘度
(ML min)とスコーチ時間(t5)の値を測定
架橋試験:JIS K6300-2準拠(180℃、12分間)
東洋精機製作所製ロータレス・レオメータRLR-3使を用い、ML、MH、tc(10)
およびtc(90)の値を測定
ML:最小トルク
MH:最大トルク
tc(10):架橋トルクがML+(MH-ML)×0.1に達するまでに要する時間
tc(90):架橋トルクがML+(MH-ML)×0.9に達するまでに要する時間
常態物性:JIS K6251、JIS K6253準拠し、ポストキュアシートについて測定した
空気加熱老化試験:JIS K6257準拠し、ポストキュアシートについて測定した
(175℃:250時間、500時間、750時間、1000時間)
ムーニースコーチ試験:JIS K6300-1準拠(125℃)
東洋精機製作所製ムーニービスコメーターAM-3を用い、最小ムーニー粘度
(ML min)とスコーチ時間(t5)の値を測定
架橋試験:JIS K6300-2準拠(180℃、12分間)
東洋精機製作所製ロータレス・レオメータRLR-3使を用い、ML、MH、tc(10)
およびtc(90)の値を測定
ML:最小トルク
MH:最大トルク
tc(10):架橋トルクがML+(MH-ML)×0.1に達するまでに要する時間
tc(90):架橋トルクがML+(MH-ML)×0.9に達するまでに要する時間
常態物性:JIS K6251、JIS K6253準拠し、ポストキュアシートについて測定した
空気加熱老化試験:JIS K6257準拠し、ポストキュアシートについて測定した
(175℃:250時間、500時間、750時間、1000時間)
比較例1
実施例1において、アクリルゴム混合物Iに代えて、実施例1において得られたアクリルゴムbが同量(100重量部)用いられ、新たにヘキサメチレンジアミンカーバメート(ユニマテック製品ケミノックスAC6F)が0.3重量部添加された。
実施例1において、アクリルゴム混合物Iに代えて、実施例1において得られたアクリルゴムbが同量(100重量部)用いられ、新たにヘキサメチレンジアミンカーバメート(ユニマテック製品ケミノックスAC6F)が0.3重量部添加された。
実施例2
〔アクリルゴムcの製造〕
アクリル酸エチル〔EA〕 97.2 〃
9FMM 2.8 〃
よりなる仕込み単量体混合物を用いた以外は、アクリルゴムaの製造と同様に行い、水性重合乳化液c(ゴム固形分32重量%)およびアクリルゴムcを得た。得られたアクリルゴムcのムーニー粘度 PML1+4(100℃)は、47であった。
〔アクリルゴムcの製造〕
アクリル酸エチル〔EA〕 97.2 〃
9FMM 2.8 〃
よりなる仕込み単量体混合物を用いた以外は、アクリルゴムaの製造と同様に行い、水性重合乳化液c(ゴム固形分32重量%)およびアクリルゴムcを得た。得られたアクリルゴムcのムーニー粘度 PML1+4(100℃)は、47であった。
アクリルゴムcのモル分率組成は9FMM:0.80モル%、EA:99.20モル%、重量分率組成は、9FMM:2.7重量%、EA:97.3重量%であった。
〔アクリルゴムdの製造〕
アクリル酸エチル〔EA〕 98.4重量部
フマル酸モノn-ブチル〔MBF〕 1.6 〃
よりなる仕込み単量体混合物を用いた以外は、アクリルゴムbの製造と同様に行い、水性重合乳化液d(ゴム固形分32重量%)およびアクリルゴムdを得た。得られたアクリルゴムdのムーニー粘度 PML1+4(100℃)は、36であった。また、アクリルゴムdの酸価を測定することによりMBF含量(wt%)を求めたところ、1.2重量%であった。
アクリル酸エチル〔EA〕 98.4重量部
フマル酸モノn-ブチル〔MBF〕 1.6 〃
よりなる仕込み単量体混合物を用いた以外は、アクリルゴムbの製造と同様に行い、水性重合乳化液d(ゴム固形分32重量%)およびアクリルゴムdを得た。得られたアクリルゴムdのムーニー粘度 PML1+4(100℃)は、36であった。また、アクリルゴムdの酸価を測定することによりMBF含量(wt%)を求めたところ、1.2重量%であった。
〔アクリルゴム混合物IIの製造〕
同重量の水性重合乳化液cと水性重合乳化液dとを混合し、10重量%硫酸ナトリウム水溶液で凝析させた後、水洗、乾燥してアクリルゴムcおよびdがともに50重量%からなるアクリルゴムcおよびdの混合物を得た。得られたアクリルゴム混合物IIのムーニー粘度 PML1+4(100℃)は、39であった。
同重量の水性重合乳化液cと水性重合乳化液dとを混合し、10重量%硫酸ナトリウム水溶液で凝析させた後、水洗、乾燥してアクリルゴムcおよびdがともに50重量%からなるアクリルゴムcおよびdの混合物を得た。得られたアクリルゴム混合物IIのムーニー粘度 PML1+4(100℃)は、39であった。
実施例1において、アクリルゴム混合物Iの代わりにアクリルゴム混合物IIを同量(100重量部の)用いて、アクリルゴム組成物および架橋物を得た。
比較例2
比較例1において、アクリルゴムbの代わりに、実施例2において得られたアクリルゴムdが同量(100重量部)用いられ、さらにヘキサメチレンジアミンカーバメート(ユニマテック製品ケミノックスAC6F)が0.6重量部添加された。
比較例1において、アクリルゴムbの代わりに、実施例2において得られたアクリルゴムdが同量(100重量部)用いられ、さらにヘキサメチレンジアミンカーバメート(ユニマテック製品ケミノックスAC6F)が0.6重量部添加された。
以上の実施例および比較例で得られた結果は、次の表に示される。
表
測定結果 実施例1 比較例1 実施例2 比較例2
ムーニースコーチ試験(125℃)
ML min (pts) 67 69 73 63
t5 (分) 3.2 2.8 3.1 2.3
架橋試験(180℃)
tc(10) (分) 0.58 0.49 0.48 5.01
tc(90) (分) 5.96 5.16 5.83 5.16
ML (N・m) 0.26 0.27 0.26 0.27
MH (N・m) 0.60 0.64 0.86 1.00
常態物性(ポストキュア)
硬度 (Duro A) 61 61 68 65
100%モジュラス (MPa) 3.0 2.1 7.9 5.9
破断強度 (MPa) 14.5 13.9 16.3 16.9
破断時伸び (%) 370 400 220 250
熱老化試験(175℃、250時間)
硬度 (Duro A) 67 67 76 73
100%モジュラス (MPa) 2.0 1.2 5.6 3.1
破断強度 (MPa) 6.6 3.1 10.9 9.3
破断時伸び (%) 420 830 210 350
熱老化試験(175℃、500時間)
硬度変化 (Duro A) 72 67 78 77
100%モジュラス (MPa) 1.5 0.9 4.4 2.6
破断強度 (MPa) 3.3 0.8 7.3 5.4
破断時伸び (%) 460 1700 230 400
熱老化試験(175℃、750時間)
硬度 (Duro A) 74 77 84 82
100%モジュラス (MPa) 1.5 1.2 3.9 2.7
破断強度 (MPa) 1.7 0.4 5.4 3.7
破断時伸び (%) 490 1400 230 380
熱老化試験(175℃、1000時間)
硬度 (Duro A) 81 82 90 89
100%モジュラス (MPa) 2.1 1.7 4.7 3.9
破断強度 (MPa) 1.6 1.5 5.0 3.9
破断時伸び (%) 450 980 190 210
表
測定結果 実施例1 比較例1 実施例2 比較例2
ムーニースコーチ試験(125℃)
ML min (pts) 67 69 73 63
t5 (分) 3.2 2.8 3.1 2.3
架橋試験(180℃)
tc(10) (分) 0.58 0.49 0.48 5.01
tc(90) (分) 5.96 5.16 5.83 5.16
ML (N・m) 0.26 0.27 0.26 0.27
MH (N・m) 0.60 0.64 0.86 1.00
常態物性(ポストキュア)
硬度 (Duro A) 61 61 68 65
100%モジュラス (MPa) 3.0 2.1 7.9 5.9
破断強度 (MPa) 14.5 13.9 16.3 16.9
破断時伸び (%) 370 400 220 250
熱老化試験(175℃、250時間)
硬度 (Duro A) 67 67 76 73
100%モジュラス (MPa) 2.0 1.2 5.6 3.1
破断強度 (MPa) 6.6 3.1 10.9 9.3
破断時伸び (%) 420 830 210 350
熱老化試験(175℃、500時間)
硬度変化 (Duro A) 72 67 78 77
100%モジュラス (MPa) 1.5 0.9 4.4 2.6
破断強度 (MPa) 3.3 0.8 7.3 5.4
破断時伸び (%) 460 1700 230 400
熱老化試験(175℃、750時間)
硬度 (Duro A) 74 77 84 82
100%モジュラス (MPa) 1.5 1.2 3.9 2.7
破断強度 (MPa) 1.7 0.4 5.4 3.7
破断時伸び (%) 490 1400 230 380
熱老化試験(175℃、1000時間)
硬度 (Duro A) 81 82 90 89
100%モジュラス (MPa) 2.1 1.7 4.7 3.9
破断強度 (MPa) 1.6 1.5 5.0 3.9
破断時伸び (%) 450 980 190 210
Claims (6)
- アクリルゴムAおよびアクリルゴムBの合計量を100とした場合に、アクリルゴムAが10~90重量%、アクリルゴムBが90~10重量%である請求項1記載のアクリルゴム混合物。
- 請求項1または2記載のアクリルゴム混合物 100重量部に対して、架橋促進剤が0.1~5重量部配合された架橋性アクリルゴム組成物。
- 架橋促進剤が、1,8-ジアザビシクロ〔5.4.0〕-7-ウンデセンまたはその有機酸塩である請求項3記載の架橋性アクリルゴム組成物。
- 芳香族または脂肪族ポリアミン架橋剤が配合されない請求項3または4記載の架橋性アクリルゴム組成物。
- 請求項3乃至5記載の架橋性アクリルゴム組成物の架橋物。
Applications Claiming Priority (2)
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2022168824A true JP2022168824A (ja) | 2022-11-08 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
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---|---|---|---|
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