JP2022164165A - 経路生成装置及び走行支援制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車線変更の中断時に車両を元車線へ復帰させる場合における車両の乗り心地を改善し、走行状況に応じた適切な走行支援を行う経路生成装置及びそれを用いた走行支援制御装置を提供することを目的としている。【解決手段】走行支援制御装置は、車両の目標経路を生成する目標経路生成部、横位置目標値を設定する横位置目標値設定部、現在の車両の位置から横位置目標値に到達するまでの移動時間を演算する移動時間演算部及び目標経路を補正した補正目標経路を演算する目標経路補正部からなる経路生成装置と、補正目標経路から操舵量を演算する操舵量演算部と、により構成され、車線変更中断時に走行状態に応じて元車線へ復帰するための目標経路を補正し、車両がその経路へ追従するように車両の操舵制御を行うことで、走行状況に応じて、所望の横加速度または横位置逸脱量になるように経路を設計し、元車線へ復帰する走行支援を行う。【選択図】図2

Description

本願は、経路生成装置及び走行支援制御装置に関するものである。
従来、車両の自動操舵走行に関する制御技術が知られている。車両の走行支援制御装置は、走行車線に対して車両の方位あるいは横位置にオフセットがある状態から走行支援を行う場合がある。例えば、車線変更の中断時は、車線変更の途中の状態から、元の走行車線に復帰する走行支援を行う必要がある。
そこで、車両の車線変更を行うときに操舵を支援する車線変更支援制御を妨げる中断条件が成立したときに車両を適切に制御する技術が開示されている(例えば、特許文献1)。ここでは、車線変更を中断するまでの車両のヨー角の積分値と目標経路の最大曲率に基づいて、操舵角を決定している。これにより、一意に車両のヨー角を車線変更開始時に復帰した上で元車線へ復帰することが可能となる。
特開2018-203101号公報
しかしながら、車線変更の中断時の走行支援では、元の走行車線からの横位置逸脱量を抑制すると横加速度が増大し、車両の乗り心地を悪化させる。したがって、特許文献1の車線変更支援装置に開示された技術のように、一律の条件で元車線へ復帰させる制御を行う場合では、この横位置逸脱量と横加速度のトレードオフに対して、走行状況に応じた適切な走行支援を行うことは困難であるという課題があった。
本願は、上記のような課題を解決するための技術を開示するものであり、特に、車線変更の中断時に車両を元車線へ復帰させる場合における車両の乗り心地を改善し、走行状況に応じた適切な走行支援を行うための経路生成装置及びそれを用いた走行支援制御装置を提供することを目的としている。
本願に開示される経路生成装置は、車両の目標とする地点への走行経路である目標経路を生成する目標経路生成部と、前記目標経路において横方向のオフセット値である横位置目標値を設定する横位置目標値設定部と、現在の前記車両における位置、方位及び速度に基づいて前記車両が前記横位置目標値に到達するまでの移動時間を演算する移動時間演算部と、前記目標経路、前記横位置目標値及び前記移動時間に基づいて前記目標経路を補正した補正目標経路を演算する目標経路補正部と、を備えたことを特徴とするものである。
また、本願に開示される走行支援制御装置は、前記経路生成装置と、前記経路生成装置で求められた前記補正経路に沿って前記車両が走行する目標操舵量を演算する操舵量演算部と、を備えたことを特徴とするものである。
本願に開示される経路生成装置及び走行支援制御装置によれば、例えば、車線変更中断時に走行状態に応じて元車線へ復帰するための目標経路を補正し、車両がその経路へ追従するように車両の操舵制御を行うことで、走行状況に応じて、所望の横加速度または横位置逸脱量になるように経路を設計し、元車線へ復帰する走行支援が可能である。
実施の形態1に係る走行支援制御装置が搭載された車両の操舵に関する概略構成を示すブロック図である。 実施の形態1に係る走行支援制御装置を含むシステムの全体構成を示す機能ブロック図である。 実施の形態1における経路生成装置及び操舵量演算装置のハードウェア構成を示すブロック図である。 実施の形態1に係る走行支援制御装置の制御対象となる走行シーンを示す図である。 図4の走行シーンにおける移動時間演算部の動作を説明する図である。 図4の走行シーンにおける移動時間演算部及び目標経路補正部の動作を説明する図である。 実施の形態1の他の実施態様に係る走行支援制御装置を含むシステムの全体構成を示す機能ブロック図である。 実施の形態1の他の実施態様における移動時間演算部の動作を説明する図である。 実施の形態2に係る走行支援制御装置を含むシステムの全体構成を示す機能ブロック図である。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る走行支援制御装置が搭載された車両の操舵に関する概略構成図であり、図2は、実施の形態1に係る走行支援制御装置の構成を示す機能ブロック図である。また、図3は、走行支援制御装置の経路生成装置及び操舵量演算装置のハードウェア構成を示すブロック図であり、図4は、走行支援制御装置の制御対象となる走行シーンを示す図であり、図5は、図4の走行シーンにおける移動時間演算部の動作を説明する図であり、図6は、図4の走行シーンにおける移動時間演算部の動作を説明する図である。
まず、図1を用いて、実施の形態1に係る車両の構成について、説明する。
車両(自車両ともいう)10には、車速検出器1と、ヨーレート検出器2と、カメラ3と、運転支援ECU(Electronic Control Unit)4と、操舵ECU5と、操舵機構6と、及び操舵輪7と、が搭載されている。
車速検出器1は、自車両10の走行速度を検出し、運転支援ECU4に送信する。ヨーレート検出器2は、自車両10の旋回時の角速度であるヨーレートを検出し、運転支援ECU4に送信する。カメラ3は、車線の領域を示す道路に引かれた白線を撮影し、自車両10の前方の白線情報を運転支援ECU4に送信する。
運転支援ECU4は、後述する走行支援制御装置100の機能を実現する。運転支援ECU4は、車速検出器1から取得した自車両10の走行速度と、ヨーレート検出器2から取得した自車両10のヨーレートと、カメラ3から取得した自車両10の前方の白線情報とに基づいて、操舵ECU5に制御指令を送信する。操舵ECU5は、運転支援ECU4からの制御指令に基づいて操舵機構6の動作を制御する。操舵輪7は、操舵機構6の動作に基づいて自車両10に対する角度が決定され、自車両10の横方向の運動を制御する。
次に、実施の形態1に係る車両の走行支援制御装置100について説明する。
走行支援制御装置100は、経路生成装置110及び操舵量演算部105により構成されている。
車両の経路生成装置110は、目標経路生成部101と、横位置目標値設定部102と、移動時間演算部103と、及び目標経路補正部104と、により構成されている。
経路生成装置110は、車速検出器1により検出された車速、ヨーレート検出器2により検出されたヨーレート、及びカメラ3により検出された車両前方の道路情報に基づいて、車両が走行すべき車両前方の目標経路を演算するとともに、横位置目標値及び移動時間に基づいて、目標経路を補正して補正目標経路を演算する。
操舵量演算部105は、補正目標経路に追従して走行するための舵角指令δを生成して操舵ECU5に出力する。操舵ECU5は、舵角指令δに従い、車両のステアリングを駆動するアクチュエータを車両の舵角δが舵角指令δに一致するように制御する。
目標経路生成部101は、車速検出器1により検出された車速、ヨーレート検出器2により検出されたヨーレート、及びカメラ3により検出された車両前方の道路情報に基づいて、車両の目標とする地点への走行経路である車両前方の目標経路を生成するために横位置、姿勢角及び曲率を算出し、求められた目標経路を目標経路補正部104に入力する。
横位置目標値設定部102は、目標経路に対して横方向のオフセット値である横位置目標値を設定し、横位置目標値を移動時間演算部103及び目標経路補正部104に入力する。
移動時間演算部103は、車速検出器1及びカメラ3で検出された現在の車両における位置、方位及び速度情報及び横位置目標値に基づいて、横位置目標値に達するまでの移動時間を演算し、算出された移動時間を目標経路補正部104に入力する。
目標経路補正部104は、目標経路生成部101において、生成された目標経路を用いて、横位置目標値及び移動時間に基づいて横位置初期値から横位置目標値に収束する横位置補正値、姿勢角補正値、及び曲率補正値を算出して補正目標経路を演算して操舵量演算部105に入力する。
以上、説明した経路生成装置110及び走行支援制御装置100の構成は、コンピュータを用いて構成することができ、これらの各構成は、コンピュータがプログラムを実行することで実現される。すなわち、図2に示した車両の経路生成装置110の目標経路生成部101、横位置目標値設定部102、移動時間演算部103、目標経路補正部104、及び操舵量演算部105は、例えば、図3に示すプロセッサ1000により実現される。プロセッサ1000には、CPU(Central Processing Unit)、DPS(Digital Signal Processor)他が適用され、記憶装置1001に格納されるプログラムを実行することで上記各構成の機能が実現される。他の実施の形態においても同様である。
以下に、図2における車両の経路生成装置110及び走行支援制御装置100の各部の動作について詳細に説明する。
目標経路生成部101において、カメラ3から取得された自車両10の前方の白線情報として、左右それぞれの白線について自車両に対する白線の横位置C0,C0、姿勢角C1,C1、経路曲率C2、C2を得る。
目標経路は、例えば、左右の白線の中心とするとき、自車両10に対する目標経路の横位置C0、姿勢角C1、経路曲率C2は、以下の式(1)、式(2)、式(3)で算出される。
Figure 2022164165000002
Figure 2022164165000003
Figure 2022164165000004
目標経路は、走行条件に応じて、横位置C0が、次の式(4)のように左右どちらかに寄ったラインを目標経路としてもよい。なお、ここでは、C0は定数である。
Figure 2022164165000005
横位置目標値設定部102において、走行条件他に応じて任意のタイミングで目標経路の横位置Cとは独立に横位置目標値y が設定され、出力される。例えば、車線変更の場合には、横位置目標値y としては、元の走行車線から隣接する走行車線の中央の横位置への横移動量が設定される。車線変更中断の場合には、横位置目標値y として、ゼロ“0”が設定される。
移動時間演算部103において、車速検出器1から取得された自車両10の車速、及びカメラ3から取得された自車両10の前方の白線情報に基づいて、自車両10が現在の横位置初期値yから横位置目標値y に達するまでの移動時間T1cが出力される。
移動時間演算部103の処理について説明する。図4の走行シーンは、自車両10が車線変更を中断した瞬間を初期状態とし、元の車線に戻るまでの動作を示している。
図5は、図4における横位置y、横速度v、横加速度aを示している。自車両10は、横位置y、横速度vy0で走行しているところから、移動時間T1c後に、横位置目標値y まで移動する。このとき、自車両10は左右に1回ずつ横加速度が発生する。図4において、時定数τと自車両10の横位置y、横速度v、横加速度aには、以下の式(5)、式(6)の関係がある。なお、式(7)のように時定数τの2倍が移動時間T1cである。
Figure 2022164165000006
Figure 2022164165000007
Figure 2022164165000008
式(5)、式(6)より、自車両10の横加速度aに基づいて、時定数τは、式(8)のように算出することができる。
Figure 2022164165000009
式(8)及び式(7)により、目標横加速度aysetを予め設定することで、自車両10が現在の横位置初期値yから横位置目標値y に到達するまでの移動時間T1cを算出することが可能である。移動時間演算部103は、予め設定された目標横加速度aysetに基づいて、式(8)の横加速度aを目標横加速度aysetとすることで、時定数τyを算出し、目標移動時間T1cを出力する。
目標経路補正部104において、横位置目標値設定部102より取得された横位置目標値y 及び移動時間演算部103より取得された移動時間T1cに基づいて、補正経路を演算し、目標経路生成部101より取得された目標経路の横位置C0、姿勢角C1、経路曲率C2を補正し、補正された目標経路の横位置C0’、姿勢角C1’、経路曲率C2’を出力する。
目標経路補正部104の処理について説明する。補正経路の横位置補正値y、横速度補正値v 、横加速度補正値a は、図5で示した横位置y、横速度v、横加速度aの波形に相当する。図5の横位置の波形は、時定数τ及び自車両10の初期横位置y、初期横速度vy0、横位置目標値y に基づいて、初期横速度vy0で、初期横位置yから横位置目標値y へのステップ入力に対して移動平均フィルタを2回処理することで演算される。式(9)に、時定数がそれぞれτ、τの2段の移動平均フィルタF(s)を示す。
Figure 2022164165000010
フィルタF(s)は、式(9)の移動平均フィルタをパデー近似して使用してもよい。時定数τの場合の、2次のパデー近似を式(10)に示す。
Figure 2022164165000011
2次のパデー近似を適用した2段移動平均フィルタを式(11)に示す。
Figure 2022164165000012
式(9)及び式(11)において、τ=τ=τとした2段移動平均フィルタを用いる。補正経路の横位置補正値y、横速度補正値v 、横加速度補正値a の時刻歴は、初期横位置yから横位置目標値y へのステップ入力yinとフィルタF(s)を用いて、以下の式(12)、式(13)、式(14)により求めることができる。ただし、sはラプラス演算子である。
Figure 2022164165000013
Figure 2022164165000014
Figure 2022164165000015
目標経路の式(1)、式(2)、式(3)に対して、補正経路の式(12)、式(13)、式(13)、式(14)を用いて、補正された目標経路の横位置C0’、姿勢角C1’、経路曲率C2’は、以下の式(15)、式(16)、式(17)にて算出される。ただし、Vは自車両10の車速である。
Figure 2022164165000016
Figure 2022164165000017
Figure 2022164165000018
以上の演算により、目標経路補正部104では、補正された目標経路の横位置C0’、姿勢角C1’、経路曲率C2’を演算し、操舵量演算部105へ出力する。
操舵量演算部105は、補正された目標経路の横位置C0’、姿勢角C1’、経路曲率C2’と、車速Vとヨーレートγegoに基づいて舵角指令δを演算する。
横位置偏差y、ヨー角偏差r、ヨーレート偏差γは、補正経路の式(15)、式(16)、式(17)及び自車両10の車速V、ヨーレートγegoを用いて式(18)、式(19)、式(20)により算出する。
Figure 2022164165000019
Figure 2022164165000020
Figure 2022164165000021
舵角指令δは、具体的には以下の式で演算される。
Figure 2022164165000022
式(21)において、Ki(i=1,2,3)は制御ゲインを示す。
次に、実際の具体的な走行シーンの例をもって、本実施の形態の経路生成装置110及び走行支援制御装置100の動作について説明する。
図4において、初期横位置y=1[m]、初期横速度vy0=1[m/s]、横位置目標値y =0[m]で、目標横加速度ayset=-1[m/s]の場合の動作を説明する。このとき、式(8)より、時定数τ=2.0[s]となる。したがって、式(7)により、移動時間T1cは、4.0[s]と演算され、目標経路補正部104に出力される。
目標経路補正部104では、補正経路を横位置目標値設定部102で設定された横位置目標値y に基づいて生成する。式(11)及び式(9)、それぞれのフィルタを用いて、式(12)、式(13)、式(14)の演算を行った結果を図6に示す。図6(a)は、補正経路の横位置補正値yの時間履歴を示す。図6(b)は、補正経路の横速度補正値v の時間履歴を示す。図6(c)は、補正経路の横加速度補正値a の時間履歴を示す。この補正経路の横位置補正値y、横速度補正値v 、横加速度補正値a に基づいて、式(15)、式(16)、式(17)により目標経路を補正する。
操舵量演算部105において、目標経路補正部104から取得した補正された目標経路に基づいて、式(21)により、補正された目標経路に追従するように舵角指令を制御する。
これにより、車線変更を中断して元車線へ復帰する際に、自車両及び道路情報から算出された目標経路に対して独立に、車両が元車線へ復帰するまでに走行すべき走行経路を設計する。その際に、車両の横加速度に基づいて元車線へ復帰するまでの移動時間T1cを演算することで、予め設定された目標横加速度aysetで元車線へ復帰する走行経路を設計することができる。それにより、設定された目標横加速度aysetで横位置目標値y に移動することができる。
このように、実施の形態1に係る走行支援制御装置によれば、車線変更中断時に車両の乗り心地を改善するため、横加速度を予め設定された目標横加速度と一致させるように、あるいは、横位置逸脱量を目標横位置逸脱量と一致させるように、車両の走行状態に応じて補正を加えて目標経路を生成することにより、車両をその経路へ追従させるように車両の操舵制御を行うことで、走行状況に応じた適切な走行支援を実施し、元車線へ復帰させることが可能である。
図7は、実施の形態1の他の実施態様に係る走行支援制御装置を含むシステムの全体構成を示す機能ブロック図である。実施の形態1に係る走行支援制御装置との相違点は、図2の走行支援制御装置100における経路生成装置110が、実施の形態2の走行支援制御装置100Aでは、経路生成装置110Aとなっており、この経路生成装置110Aでは、実施の形態1の移動時間演算部103が移動時間演算部103Aに変更されている点である。他は、実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
移動時間演算部103Aは、車速検出器1から取得された自車両10の車速、及びカメラ3から取得された自車両10の前方の白線情報に基づいて、移動時間T1cを出力する。
次に、移動時間演算部103Aの処理について説明する。実施の形態1と同様に、図4に示す走行シーンを考える。
図8は、自車両10が元車線へ復帰する場合の横位置y、横速度v、横加速度aの動作を示している。図8において、τと自車両10の横位置y、横速度v、横加速度aの関係は、実施の形態1の場合と同様に、式(5)、式(6)で表される。式(5)、式(6)より、最大横位置逸脱量ymaxで、元車線へ復帰する場合の自車両10の横加速度aは、式(22)となる。
Figure 2022164165000023
このとき、時定数τは、式(22)の横加速度aを用いて、式(23)のように算出される。
Figure 2022164165000024
以上の処理により、移動時間演算部103Aは、予め設定された目標横位置逸脱量ysetを用いて、移動時間T1cを演算し、出力する。
あるいは、移動時間演算部103Aは、予め設定された目標横位置逸脱量ysetと目標横加速度aysetとに基づいて移動時間T1cの演算を行ってもよい。まず、最初に、目標横位置逸脱量ysetを用いて横加速度aを演算する。そして、横加速度aが、目標横加速度asetより小さい場合には、目標横加速度aysetに基づいて移動時間T1cを演算し、横加速度aが、目標横加速度aysetより大きい場合には、横加速度aに基づいて移動時間T1cの演算を行う。
このように、実施の形態1の他の実施態様の走行支援制御装置では、車線変更を中断して元車線へ復帰する際に、自車両及び道路情報から算出された目標経路に対して独立に、車両が元車線へ復帰するまでに走行すべき走行経路が設計される。その際に、車線変更中断後の横位置逸脱量が所望の値になるように横加速度が設定され、その横加速度に基づいて元車線へ復帰するまでの目標時間が演算されることで、車両が所望の横位置逸脱量で元車線復帰を行うように制御することができる。または、予め設定された横位置逸脱量に基づいて、算出された横加速度と予め設定された目標横加速度とを比較して、これらの小さいほうに基づいて、元車線へ復帰するまでの目標時間が演算されることで、横位置逸脱量と横加速度のトレードオフを考慮した車線変更中断が可能となる。
実施の形態2.
図9は、実施の形態2に係る走行支援制御装置の構成を示す機能ブロック図である。実施の形態1に係る走行支援制御装置との相違点は、図2に示す実施の形態1の走行支援制御装置100における操舵量演算部105が、実施の形態2の走行支援制御装置200では、操舵量演算部105Aに変更されている点である。他は、実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
操舵量演算部105Aは、FB(フィードバック)舵角指令制御部106、FF(フィードフォワード)舵角指令制御部107及び舵角指令加算部108により構成されている。
FB舵角指令制御部106では、補正経路を入力として、例えば、式(21)に示したようにFB舵角指令δFB を演算し、出力する。
FF舵角指令制御部107では、初期横位置yから横位置目標値y のステップ入力yinを入力として、目標経路補正部104の伝達特性及び車両運動モデルの逆伝達関数に基づいてFF舵角指令δFF を演算し、出力する。
舵角指令加算部108では、FB舵角指令δFB とFF舵角指令δFF とを加算し、舵角指令δとして操舵ECU5へ出力する。
次に、FF舵角指令制御部107の具体的な動作内容について説明する。
FF舵角指令制御部107では、車両運動モデルとして、例えば、定常円旋回時の舵角応答である定常旋回モデルあるいは車両の横運動、ヨー回転運動を2輪車に近似した2輪モデルが用いられる。定常旋回モデルを考えると、前輪タイヤ角δから横位置yの伝達関数G(s)は、以下の式(24)、式(25)、式(26)で表されることが知られている。
Figure 2022164165000025
Figure 2022164165000026
Figure 2022164165000027
式(24)、式(25)において、sはラプラス演算子であり、Aは車両のスタビリティファクタを、mは車両の質量を、lは車両のホイールベースを、lは車両重心-前輪軸間距離を、1は車両重心-後輪軸間距離を、kは車両の前輪コーナリングパワーを、kは車両の後輪コーナリングパワーをそれぞれ示す。これらのパラメータは、記憶装置1001に予め記憶されている。
また、2輪モデルを考えると、前輪タイヤ角δから横位置yの伝達関数G(s)は、以下の式(27)、式(28)で表されることが知られている。
Figure 2022164165000028
Figure 2022164165000029
式(27)、式(28)において、Iはヨー慣性モーメントを示す。
補正経路に対して車両が追従するように,舵角を与えるためには目標経路補正部104の伝達特性F(s)と前記車両運動モデルの逆伝達関数G-1(s)を用いて横位置目標値yinからFF舵角指令δFF までの伝達特性を次の式(29)で与えることができる。
Figure 2022164165000030
ここでフィルタF(s)は2段の移動平均フィルタを用いるが、その際の時定数として移動時間演算部103にて演算した時定数τを用いる。
以上の演算により、FF舵角指令制御部107では、式(29)のFF舵角指令δFF を出力する。その後、舵角指令加算部108において、FB舵角指令δFB とFF舵角指令δFF を加算し、舵角指令δとして操舵ECU5へ出力する。
上述したように、実施の形態2においては、図9に示すように経路生成装置110で求められた補正経路に沿って車両が走行する目標操舵量を演算する操舵量演算部105Aを備えている。したがって、操舵量演算部105Aにおいては、車両の操舵角から車両の横位置までの車両横運動の伝達関数モデルを備え、車両横運動の逆伝達関数と、目標経路補正部104における横位置目標値を演算する伝達関数を用いて、横位置目標値設定部102の出力である横位置目標値に基づいてFF舵角指令を演算し、目標操舵量に加算している。
このように、実施の形態2に係る走行支援制御装置によれば、車線変更中断時に車両の乗り心地を改善するため、車両の走行状態に応じて補正を加えて目標経路を生成する際に、現在の自車走行位置から横位置目標値への入力として、目標の走行経路に追従するためのFF舵角指令を演算し、補正された目標経路から演算したFB舵角指令に加算することにより、車両の操舵制御を行うことで、目標の走行経路への追従性を向上させて、元車線へ復帰させることが可能である。
なお、実施の形態1及び実施の形態2の説明では、車線変更が中断される場合を例に説明したが、車線変更あるいは緊急回避時における経路生成による走行支援に利用してもよい。
また、上記実施の形態に係る走行支援制御装置は、車両の運転支援装置の一部機能として実現してもよく、また、独立した装置とするものであってもよい。
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
また、図において、同一符号は、同一または相当部分を示す。
1 車速検出器、2 ヨーレート検出器、3 カメラ、4 運転支援ECU、5 操舵ECU、6 操舵機構、7 操舵輪、100,200 走行支援制御装置、101 目標経路生成部、102 横位置目標値設定部、103,103A 移動時間演算部、104 目標経路補正部、105,105A 操舵量演算部、106 FB舵角指令制御部、107 FF舵角指令制御部、108 舵角指令加算部、110,110A 経路生成装置
本願に開示される経路生成装置は、車両の目標とする地点への走行経路である目標経路を生成する目標経路生成部と、前記目標経路において横方向のオフセット値である横位置目標値を設定する横位置目標値設定部と、現在の前記車両における位置、方位及び速度に基づいて前記車両が前記横位置目標値に到達するまでの移動時間を演算する移動時間演算部と、前記目標経路、前記横位置目標値及び前記移動時間に基づいて前記目標経路を補正した補正目標経路を演算する目標経路補正部と、を備え、前記目標経路補正部は、前記移動時間に基づいて、横位置初期値から前記横位置目標値に収束する横位置補正値と、前記横位置補正値の微分値である横速度補正値と、前記横速度補正値の微分値である横加速度補正値を演算し、前記横位置補正値、前記横速度補正値及び前記横加速度補正値に基づいて、前記補正目標経路を演算することを特徴とするものである。

Claims (10)

  1. 車両の目標とする地点への走行経路である目標経路を生成する目標経路生成部と、
    前記目標経路において横方向のオフセット値である横位置目標値を設定する横位置目標値設定部と、
    現在の前記車両における位置、方位及び速度に基づいて前記車両が前記横位置目標値に到達するまでの移動時間を演算する移動時間演算部と、
    前記目標経路、前記横位置目標値及び前記移動時間に基づいて前記目標経路を補正した補正目標経路を演算する目標経路補正部と、
    を備えたことを特徴とする経路生成装置。
  2. 前記目標経路補正部は、前記移動時間に基づいて、横位置初期値から前記横位置目標値に収束する横位置補正値と、前記横位置補正値の微分値である横速度補正値と、前記横速度補正値の微分値である横加速度補正値を演算し、前記横位置補正値、前記横速度補正値及び前記横加速度補正値に基づいて、前記補正目標経路を演算することを特徴とする請求項1に記載の経路生成装置。
  3. 前記横位置目標値設定部において、車線変更の場合には、前記横位置目標値を隣接する車線の中央とすることを特徴とする請求項2に記載の経路生成装置。
  4. 前記横位置目標値設定部において、車線変更中断の場合には、前記横位置目標値をゼロとすることを特徴とする請求項2に記載の経路生成装置。
  5. 前記移動時間演算部において、予め設定された目標横加速度で前記横位置目標値に収束するように前記移動時間を演算することを特徴とする請求項2に記載の経路生成装置。
  6. 前記移動時間演算部において、前記横位置目標値からの横位置逸脱量が予め設定された目標横位置逸脱量となる前記移動時間を演算することを特徴とする請求項2に記載の経路生成装置。
  7. 前記移動時間演算部において、前記横位置目標値からの横位置逸脱量が予め設定された目標横位置逸脱量を用いて横加速度を演算し、前記横加速度が予め設定された目標横加速度よりも小さい場合には、前記目標横加速度に基づいて前記移動時間を演算し、前記横加速度が前記目標横加速度よりも大きい場合には、前記横加速度に基づいて前記移動時間を演算することを特徴とする請求項2に記載の経路生成装置。
  8. 前記目標経路補正部において、移動平均フィルタを2個組み合わせた2段移動平均フィルタを用いて前記横位置補正値を演算することを特徴とする請求項2に記載の経路生成装置。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の前記経路生成装置と、前記経路生成装置で求められた前記補正目標経路に沿って前記車両が走行する目標操舵量を演算する操舵量演算部と、を備えたことを特徴とする走行支援制御装置。
  10. 前記操舵量演算部において、前記車両の操舵角から前記車両の前記横位置目標値までの車両横運動の伝達関数モデルを備え、前記車両横運動の逆伝達関数と、前記目標経路補正部における横位置補正値を演算する伝達関数と、を用いて、前記横位置目標値設定部の出力である前記横位置目標値に基づいてフィードフォワード舵角指令を演算し、前記目標操舵量に加算することを特徴とする請求項9に記載の走行支援制御装置。
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