JP2022163533A - 白金族金属担持触媒カラムおよび炭素-炭素結合形成方法 - Google Patents

白金族金属担持触媒カラムおよび炭素-炭素結合形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】芳香族臭化物においても高収率で炭素-炭素結合形成反応を行うことができる白金族金属担持触媒カラムを提供する。【解決手段】白金族金属担持触媒カラムであって、白金族金属担持触媒は、イオン交換体に白金族金属ナノ粒子、白金族金属イオンおよび白金族金属錯イオンのうち少なくとも1つが担持されている触媒であり、イオン交換体は連続骨格相と連続空孔相とからなり、連続骨格の厚みは1~100μmであり、連続空孔の平均直径は1~1000μmであり、全細孔容積は0.5~50mL/gであり、乾燥状態での重量当りのイオン交換容量は1~9mg当量/gであり、イオン交換基がイオン交換体中に分布している非粒子状有機多孔質イオン交換体であり、白金族金属ナノ粒子等の担持量は乾燥状態で0.004~20重量%であり、白金族金属担持触媒の後段に白金族金属捕捉材が設置されているカラムである。【選択図】なし

Description

本発明は、白金族金属担持触媒が充填された白金族金属担持触媒カラム、およびその白金族金属担持触媒カラムを用いて炭素-炭素結合を生成させる反応を行う炭素-炭素結合形成方法に関する。
鈴木-宮浦カップリング、薗頭カップリング、溝呂木-ヘックカップリングに代表されるパラジウム等の白金族金属を触媒に用いた炭素-炭素形成反応(カップリング反応)は、医薬中間体や有機EL等の高機能材料の合成プロセス等において、近年、ますます重要性を増してきている。
従来、上記白金族金属触媒は、均一系で用いられることが多く、高い触媒活性を示してきたが、触媒の回収が困難である、製品が触媒である金属に汚染されてしまうといった問題があった。そこで、上記触媒を担体に担持し、触媒の回収を容易にするとともに製品への金属汚染を低減した不均一触媒が開発されており、近年では不均一触媒に反応基質溶液を通じて、連続的に炭素-炭素結合を形成させる方法も開発されている。
例えば、特許文献1では、多孔質シリカ担体にパラジウムを担持した触媒を用いて、連続的に炭素-炭素結合を形成させる方法を報告しているが、実際の反応例は開示されていない。
特許文献2および特許文献3では、幅1mm、深さ20μmの微細流路壁面に白金族金属を担持させた触媒を用いて、炭素-炭素結合を形成させる方法が開示されているものの、理由は定かではないが、開示された反応例では、溶媒として水を用いておらず、また、反応基質溶液の通液速度が1μm/分でのみ実施されており、環境負荷および生産効率に問題がある。
非特許文献1では、有機担体にパラジウムを担持した触媒を充填したカラムで、連続的に炭素-炭素結合を形成させる方法を報告しているが、有機担体を得るために複雑な化学変換が必要であり、また、理由は定かではないが、パラジウムを担持した触媒を用いる際に多量の珪藻土を混ぜ合わせる必要がある。
一方、本発明者らは、三次元的に連続した空孔を有する非粒子状有機イオン交換体に白金族金属を担持した触媒を開発し、特許文献4および特許文献5で、この触媒が、炭素-炭素結合形成反応において、水系溶媒中での高い触媒活性を示すことを報告している。
特許文献4および特許文献5に開示されている方法によれば、触媒として非粒子状有機イオン交換体に白金族金属が担持されている白金族金属担持触媒を用いることにより、水系溶媒中で、高収率で炭素-炭素結合形成反応を行うことができる。
特許第5638862号公報 特許第5255215号公報 特開2008-212765号公報 特開2014-015420号公報 特開2016-190853号公報
ChemCatChem、2019年、11号、2427頁
しかし、特許文献4および特許文献5の反応例では、原料である芳香族ハロゲン化物は、反応性の高い芳香族ヨウ化物においてのみ、高収率で炭素-炭素結合形成反応を行うことができることが示されているが、芳香族臭化物においては、その収率は不十分であり、利用できる原料が限定的である。
本発明の目的は、芳香族臭化物においても高収率で炭素-炭素結合形成反応を行うことができる白金族金属担持触媒が充填された白金族金属担持触媒カラム、およびその白金族金属担持触媒カラムを用いて炭素-炭素結合を生成させる反応を行う炭素-炭素結合形成方法を提供することにある。
本発明は、白金族金属担持触媒が充填容器内に充填されている白金族金属担持触媒カラムであって、前記白金族金属担持触媒は、イオン交換体に、白金族金属ナノ粒子、白金族金属イオン、および白金族金属錯イオンのうち少なくとも1つが担持されている白金族金属担持触媒であり、前記イオン交換体は、連続骨格相と連続空孔相とからなり、連続骨格の厚みは、1~100μmの範囲であり、連続空孔の平均直径は、1~1000μmの範囲であり、全細孔容積は、0.5~50mL/gの範囲であり、乾燥状態での重量当りのイオン交換容量は、1~9mg当量/gの範囲であり、イオン交換基がイオン交換体中に分布している非粒子状有機多孔質イオン交換体であり、前記白金族金属ナノ粒子、白金族金属イオン、および白金族金属錯イオンのうち少なくとも1つの担持量は、乾燥状態で0.004~20重量%の範囲であり、前記白金族金属担持触媒の後段に、白金族金属捕捉材が設置されている、白金族金属担持触媒カラムである。
前記白金族金属担持触媒カラムにおいて、前記白金族金属担持触媒は、前記イオン交換体に、白金族金属イオンおよび白金族金属錯イオンのうち少なくとも1つが担持されている白金族金属担持触媒であることが好ましい。
前記白金族金属担持触媒カラムにおいて、前記白金族金属捕捉材は、イオン交換体であることが好ましい。
前記白金族金属担持触媒カラムにおいて、前記イオン交換体は、連続骨格相と連続空孔相とからなり、連続骨格の厚みは、1~100μmの範囲であり、連続空孔の平均直径は、1~1000μmの範囲であり、全細孔容積は、0.5~50mL/gの範囲であり、乾燥状態での重量当りのイオン交換容量は、1~9mg当量/gの範囲であり、イオン交換基がイオン交換体に分布している非粒子状有機多孔質イオン交換体であることが好ましい。
本発明は、(1)芳香族ハロゲン化物と有機ホウ素化合物との反応、(2)芳香族ハロゲン化物と末端にアルキニル基を有する化合物との反応、または(3)芳香族ハロゲン化物とアルケニル基を有する化合物との反応を行い、炭素-炭素結合を形成させる炭素-炭素結合形成方法であって、前記芳香族ハロゲン化物と前記有機ホウ素化合物とを含有する原料液(i)、前記芳香族ハロゲン化物と前記末端にアルキニル基を有する化合物とを含有する原料液(ii)、または前記芳香族ハロゲン化物と前記アルケニル基を有する化合物とを含有する原料液(iii)を、請求項1~4のいずれか1項に記載の白金族金属担持触媒カラムに、導入経路より通液し、反応液を排出経路から排出することによって、炭素-炭素結合の形成反応を行う、炭素-炭素結合形成方法である。
前記炭素-炭素結合形成方法において、無機塩基の存在下で、前記炭素-炭素結合の形成反応を行うことが好ましい。
前記炭素-炭素結合形成方法において、前記原料液(i)、前記原料液(ii)、または前記原料液(iii)が、水または親水性溶媒に、原料および無機塩基が溶解している無機塩基溶解原料液であり、前記無機塩基溶解原料液を、前記白金族金属担持触媒カラムに、導入経路より通液し、反応液を排出経路から排出することによって、炭素-炭素結合の形成反応を行うことが好ましい。
前記炭素-炭素結合形成方法において、前記原料液(i)、前記原料液(ii)、または前記原料液(iii)が、疎水性の有機溶媒に原料が溶解している疎水性溶媒原料液であり、前記疎水性溶媒原料液と、無機塩基が溶解している無機塩基水溶液と、の混合物を、前記白金族金属担持触媒カラムに、導入経路より通液し、反応液を排出経路から排出することによって、炭素-炭素結合の形成反応を行うことが好ましい。
本発明によれば、芳香族臭化物においても高収率で炭素-炭素結合形成反応を行うことができる白金族金属担持触媒が充填された白金族金属担持触媒カラム、およびその白金族金属担持触媒カラムを用いて炭素-炭素結合を生成させる反応を行う炭素-炭素結合形成方法を提供することができる。
第1のモノリスの形態例のSEM写真である。 第2のモノリスの形態例のSEM写真である。 第3のモノリスの形態例のSEM写真である。 図3のSEM写真の断面として表れる骨格部を転写した図である。 第4のモノリスの形態例のSEM写真である。 第4のモノリスの共連続構造の模式図である。 モノリス中間体(4)の形態例のSEM写真である。 突起体の模式的な断面図である。 第5-1のモノリスの形態例のSEM写真である。 実施例1で得られたモノリス中間体のSEM写真である。 実施例1で得られたモノリスのSEM写真である。
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
<白金族金属担持触媒カラム>
本発明の実施の形態に係る白金族金属担持触媒カラムは、白金族金属担持触媒が充填容器内に充填されている白金族金属担持触媒カラムである。白金族金属担持触媒は、イオン交換体に、白金族金属ナノ粒子、白金族金属イオン、および白金族金属錯イオンのうち少なくとも1つが担持されている白金族金属担持触媒である。そして、このイオン交換体は、連続骨格相と連続空孔相とからなり、連続骨格の厚みは、1~100μmの範囲であり、連続空孔の平均直径は、1~1000μmの範囲であり、全細孔容積は、0.5~50mL/gの範囲であり、乾燥状態での重量当りのイオン交換容量は、1~9mg当量/gの範囲であり、イオン交換基がイオン交換体中に分布している非粒子状有機多孔質イオン交換体である。
本実施形態に係る白金族金属担持触媒カラムにおいて、白金族金属ナノ粒子、白金族金属イオン、および白金族金属錯イオンのうち少なくとも1つの担持量は、乾燥状態で0.004~20重量%の範囲である。また、白金族金属担持触媒の後段に、白金族金属捕捉材が設置されている。なお、以下、「白金族金属ナノ粒子、白金族金属イオン、および白金族金属錯イオンのうち少なくとも1つ」のことを「白金族金属等」と呼ぶ場合がある。
本発明者が鋭意検討を行った結果、非粒子状有機多孔質イオン交換体に白金族金属等が担持された白金族金属担持触媒の後段に、白金族金属捕捉材を設置した白金族金属担持触媒カラムを用いると、いわゆる固定床連続流通式の炭素-炭素結合反応において、原料として芳香族臭素物を用いた場合にも収率が高くなることを見出した。
これは、前段側の白金族金属担持触媒の充填層から流れ出た触媒金属が後段側の白金族金属捕捉材に捕捉されて触媒カラム全体の触媒金属の量が維持され、白金族金属捕捉材に捕捉された触媒金属も触媒として機能するために、収率が向上すると考えられる。
[非粒子状有機多孔質イオン交換体]
本実施形態に係る白金族金属担持触媒カラムに用いられる白金族金属担持触媒において、白金族金属等が担持されている担体は、非粒状有機多孔質イオン交換体である。非粒子状有機多孔質イオン交換体は、連続骨格の相と連続空孔の相を有するモノリス状有機多孔質体にイオン交換基を導入したものである。モノリス状有機多孔質体は、骨格間に流路となる連通孔を多数有する。なお、本明細書中、「モノリス状有機多孔質体」を単に「モノリス」と、「モノリス状有機多孔質イオン交換体」を単に「モノリスイオン交換体」とも言い、また、モノリスの製造における中間体(前駆体)である「モノリス状有機多孔質中間体」を単に「モノリス中間体」とも言う。
この非粒子状有機多孔質イオン交換体の構造は、特開2002-306976号、特開2009-007550号、特開2009-062512号、特開2009-067982号、特開2009-108294号に開示されている。
非粒子状有機多孔質イオン交換体は、連続骨格相と連続空孔相とからなり、連続骨格の厚みは、1~100μmの範囲であり、連続空孔の平均直径は、1~1000μmの範囲であり、全細孔容積は、0.5~50mL/gの範囲であり、乾燥状態での重量当りのイオン交換容量は、1~9mg当量/gの範囲であり、イオン交換基が有機多孔質イオン交換体中に分布している。連続骨格相と連続空孔相は、SEM画像により観察される。
非粒子状有機多孔質イオン交換体の乾燥状態での連続骨格の厚みは、1~100μmの範囲である。非粒子状有機多孔質イオン交換体の乾燥状態での連続骨格の厚みは、SEM観察により決定される。この連続骨格の厚みが1μm未満であると、体積当りのイオン交換容量が低下する場合や、機械的強度が低下して、白金族金属担持触媒をカラムに充填して反応液を通液する場合に、特に高流速で通液した場合には非粒子状有機多孔質イオン交換体が変形してしまう場合がある。この連続骨格の厚みが100μmを超えると、骨格が太くなり過ぎ、原料液の通液のときの圧力損失が大きくなってしまう場合がある。
非粒子状有機多孔質イオン交換体の乾燥状態での連続空孔の平均直径は、1~1000μmの範囲である。非粒子状有機多孔質イオン交換体の乾燥状態での連続空孔の平均直径は、水銀圧入法により測定され、水銀圧入法により得られた細孔分布曲線の極大値を指す。この連続空孔の平均直径が1μm未満であると、白金族金属担持触媒をカラムに充填して反応液を通液する場合に、通液のときの圧力損失が大きくなってしまう場合がある。この連続空孔の平均直径が1000μmを超えると、白金族金属担持触媒をカラムに充填して反応液を通液する場合に、反応液とモノリスイオン交換体との接触が不十分となり、触媒活性が低下してしまう場合がある。
非粒子状有機多孔質イオン交換体の乾燥状態での全細孔容積は0.5~50mL/gの範囲である。非粒子状有機多孔質イオン交換体の乾燥状態での全細孔容積は、水銀圧入法で測定される。この全細孔容積が0.5mL/g未満であると、白金族金属担持触媒をカラムに充填して反応液を通液する場合に、通液のときの圧力損失が大きくなってしまう場合がある。この全細孔容積が50mL/gを超えると、非粒子状有機多孔質イオン交換体の機械的強度が低下し、白金族金属担持触媒をカラムに充填して反応液を通液する場合に、特に高流速で通液した場合にはモノリスイオン交換体が変形し、通液のときの圧力損失が上昇してしまう場合がある。
非粒子状有機多孔質イオン交換体の乾燥状態での重量当りのイオン交換容量は、1~9mg当量/gの範囲である。非粒子状有機多孔質イオン交換体の乾燥状態での重量当りのイオン交換容量は、中和滴定、沈殿滴定等の方法で測定される。このイオン交換容量が1mg当量/g未満であると、担持できる白金族金属イオンまたは白金族金属錯イオンの量が少なくなってしまう場合がある。このイオン交換容量が9mg当量/gを超えると、イオン交換基導入反応が過酷な条件となり、モノリスの酸化劣化が著しく進んでしまう場合がある。
非粒子状有機多孔質イオン交換体において、導入されているイオン交換基は、モノリスの表面のみならず、モノリスの骨格内部にまで、すなわち有機多孔質イオン交換体中に分布していることが好ましく、均一に分布していることがより好ましい。「イオン交換基が有機多孔質イオン交換体中に均一に分布している」とは、イオン交換基の分布が少なくともμmオーダーで有機多孔質イオン交換体の表面および骨格内部に分布していることを指す。イオン交換基の分布状況は、電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)を用いることによって確認される。イオン交換基がモノリスの表面のみならずモノリスの骨格内部にまで分布していると、モノリスの表面と内部の物理的性質および化学的性質をほぼ均一にできるため、膨潤および収縮に対する耐久性が向上する。
非粒子状有機多孔質イオン交換体に導入されているイオン交換基は、カチオン交換基またはアニオン交換基である。カチオン交換基としては、カルボン酸基、イミノ二酢酸基、スルホン酸基、リン酸基、リン酸エステル基等が挙げられる。アニオン交換基としては、トリメチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基、トリブチルアンモニウム基、ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム基、ジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム基、メチルジヒドロキシエチルアンモニウム基等の四級アンモニウム基や、第三スルホニウム基、ホスホニウム基等が挙げられる。
非粒子状有機多孔質イオン交換体において、連続骨格を構成する材料は、架橋構造を有する有機ポリマー材料である。有機ポリマー材料を構成する全構成単位に対して、0.1~30モル%の架橋構造単位を含んでいることが好ましく、0.1~20モル%の架橋構造単位を含んでいることがより好ましい。
有機ポリマー材料の種類に特に制限はなく、例えば、ポリスチレン、ポリ(α-メチルスチレン)、ポリビニルトルエン、ポリビニルベンジルクロライド、ポリビニルビフェニル、ポリビニルナフタレン等の芳香族ビニルポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン等のポリ(ハロゲン化ポリオレフィン);ポリアクリロニトリル等のニトリル系ポリマー;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸グリシジル、ポリアクリル酸エチル等の(メタ)アクリル系ポリマー等の架橋重合体が挙げられる。有機ポリマー材料は、単独のビニルモノマーと架橋剤を共重合させて得られるポリマーでも、複数のビニルモノマーと架橋剤を重合させて得られるポリマーであってもよく、また、二種類以上のポリマーがブレンドされたものであってもよい。これら有機ポリマー材料の中で、連続構造形成の容易さ、イオン交換基導入の容易性と機械的強度の高さ、および酸またはアルカリに対する安定性の高さから、芳香族ビニルポリマーの架橋重合体が好ましく、特に、スチレン-ジビニルベンゼン系共重合体やビニルベンジルクロライド-ジビニルベンゼン系共重合体が好ましい材料として挙げられる。
[第1~第5のモノリスイオン交換体]
非粒子状有機多孔質イオン交換体のより具体的な実施形態として、例えば、以下に示す第1のモノリス状有機多孔質イオン交換体(モノリスイオン交換体)~第5のモノリス状有機多孔質イオン交換体(モノリスイオン交換体)が挙げられる。以下の説明において、上記の非粒子状有機多孔質イオン交換体と同様の構成については、その説明を省略する。
(第1のモノリスイオン交換体)
第1のモノリスイオン交換体は、互いにつながっているマクロポアとマクロポアの壁内に平均直径が1~1000μmの範囲の共通の開口(メソポア)を有する連続マクロポア構造を有し、全細孔容積が1~50mL/gの範囲であり、乾燥状態での重量当りのイオン交換容量は、1~9mg当量/gの範囲であり、イオン交換基が有機多孔質イオン交換体中に分布しているモノリスイオン交換体である。
第1のモノリスイオン交換体は、図1に示すように、連続するマクロポア(細孔)をもつ連続マクロポア構造体である。第1のモノリスイオン交換体およびその製造方法は、特開2002-306976号に開示されている。
第1のモノリスイオン交換体は、互いにつながっているマクロポアとマクロポアの壁内に位置する共通の開口(メソポア)を有する。メソポアは、マクロポア同士が重なり合う重複部分を持つ。このメソポアの重複部分は、乾燥状態で平均直径1~1000μmの範囲であることが好ましく、10~200μmの範囲であることがより好ましく、20~200μmの範囲であることがさらに好ましい。乾燥状態の第1のモノリスの開口の平均直径は、水銀圧入法により測定され、水銀圧入法により得られる細孔分布曲線の極大値を指す。
このような第1のモノリスイオン交換体の大部分は、マクロポアとメソポアで形成される空隙内が流路となるオープンポア構造となっている。メソポアの重複部分の乾燥状態での平均直径が1μm未満であると、白金族金属担持触媒をカラムに充填して反応液を通液する場合に、通液のときの圧力損失が著しく大きくなってしまう場合がある。メソポアの重複部分の乾燥状態での平均直径が1000μmを超えると、白金族金属担持触媒をカラムに充填して反応液を通液する場合に、反応液とモノリスイオン交換体との接触が不十分となり、触媒活性が低下してしまう場合がある。マクロポアとマクロポアの重なりは、例えば、1個のマクロポアで1~12個、多くのものは3~10個である。第1のモノリスイオン交換体は、上述の連続マクロポア構造体であるため、マクロポアの群や共通細孔の群をほぼ均一に形成できると共に、特開平8-252579号公報等に記載されるような粒子凝集型多孔質体に比べて、細孔容積や比表面積を格段に大きくすることができる。
第1のモノリスイオン交換体の乾燥状態での重量当りの全細孔容積は、1~50mL/gの範囲であることが好ましく、2~30mL/gの範囲であることがより好ましい。乾燥状態での重量当りの全細孔容積が1mL/g未満であると、白金族金属担持触媒をカラムに充填して反応液を通液する場合に、通液のときの圧力損失が大きくなってしまう場合があり、さらに、単位断面積当りの透過量が小さくなり、処理能力が低下してしまう場合がある。乾燥状態での重量当りの全細孔容積が50mL/gを超えると、機械的強度が低下して、白金族金属担持触媒をカラムに充填して反応液を通液する場合に、特に高流速で通液した際にモノリスイオン交換体が変形してしまう場合がある。
乾燥状態での重量当りのイオン交換容量については、前述の通りである。また、「イオン交換基が有機多孔質イオン交換体中に分布している」ことについては、前述の通りである。
(第1のモノリスイオン交換体の製造方法)
第1のモノリスイオン交換体は、例えば、次の方法によって製造することができる。
例えば、まず、イオン交換基を含まない油溶性モノマー、界面活性剤、水および必要に応じて重合開始剤を混合し、油中水滴型エマルジョンを得ることができる。次に、この油中水滴型エマルジョンを重合させて第1のモノリスを形成することができる。
第1のモノリスの製造で用いられるイオン交換基を含まない油溶性モノマーとしては、イオン交換基を含まず、水に対する溶解性が低く、親油性のモノマーを指すものである。このモノマーは、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルベンジルクロライド、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、臭化ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、ブタンジオールジアクリレート、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、エチレングリコールジメタクリレート等である。これらモノマーは、一種単独または二種以上を組み合わせて使用することができる。ただし、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート等の架橋性モノマーを少なくとも油溶性モノマーの一成分として選択し、その含有量を全油溶性モノマー中、例えば0.3~10モル%の範囲、好適には0.3~5モル%の範囲とすることが、後の工程でイオン交換基を定量的に導入し、かつ、実用的に十分な機械的強度を確保できる点で好ましい。
第1のモノリスの製造で用いられる界面活性剤は、イオン交換基を含まない油溶性モノマーと水とを混合した際に、油中水滴型(W/O)エマルジョンを形成できるものであればよく、特に制限はない。界面活性剤は、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等の非イオン界面活性剤;オレイン酸カリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム等の陰イオン界面活性剤;ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド等の陽イオン界面活性剤;ラウリルジメチルベタイン等の両性界面活性剤である。これら界面活性剤は、一種単独または二種類以上を組み合わせて使用することができる。油中水滴型エマルジョンとは、油相が連続相となり、その中に水滴が分散しているエマルジョンを言う。界面活性剤の添加量は、例えば、油溶性モノマーと界面活性剤の合計量に対して約2~70%の範囲とすればよい。モノリスの気泡形状やサイズを制御するために、メタノール、ステアリルアルコール等のアルコール;ステアリン酸等のカルボン酸;オクタン、ドデカン、トルエン等の炭化水素;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル等を系内に共存させることもできる。
第1のモノリスの製造において、重合によりモノリスを形成する際、必要に応じて用いられる重合開始剤は、熱および光照射によりラジカルを発生する化合物が好適に用いられる。重合開始剤は、水溶性であっても油溶性であってもよく、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素-塩化第一鉄、過硫酸ナトリウム-酸性亜硫酸ナトリウム、テトラメチルチウラムジスルフィド等である。ただし、場合によっては、重合開始剤を添加しなくても加熱のみや光照射のみで重合が進行する系もあるため、そのような系では重合開始剤を添加しなくてもよい。
第1のモノリスの製造において、油中水滴型エマルジョンを重合させる重合条件は、モノマーの種類、開始剤系等により様々な条件が選択できる。重合開始剤として、例えばアゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム等を用いたときには、例えば、不活性雰囲気下の密封容器内において、例えば30~100℃で1~48時間、加熱重合させればよい。重合開始剤として過酸化水素-塩化第一鉄、過硫酸ナトリウム-酸性亜硫酸ナトリウム等を用いたときには、例えば、不活性雰囲気下の密封容器内において、例えば0~30℃で1~48時間重合させればよい。重合終了後、内容物を取り出し、例えば、イソプロパノール等の溶剤でソックスレー抽出し、未反応モノマーと残留界面活性剤を除去して第1のモノリスを得ることができる。
第1のモノリスにイオン交換基を導入する方法として、例えば、次の(1),(2)の方法がある。(1)イオン交換基を含まないモノマーに代えて、イオン交換基を含むモノマー、例えば、上記イオン交換基を含まない油溶性モノマーに、イオン交換基が導入されているモノマーを用いて重合させ、一段階でモノリスイオン交換体にすることができる。(2)イオン交換基を含まないモノマーを用いて重合させて第1のモノリスを形成し、次いで、イオン交換基を導入することができる。
第1のモノリスにイオン交換基を導入する方法としては、特に制限はなく、高分子反応やグラフト重合等の公知の方法を用いることができる。例えば、四級アンモニウム基を導入する方法としては、モノリスがスチレン-ジビニルベンゼン共重合体等であればクロロメチルメチルエーテル等によりクロロメチル基を導入した後、三級アミンと反応させ導入する方法;モノリスをクロロメチルスチレンとジビニルベンゼンの共重合により製造し、三級アミンと反応させ導入する方法;モノリスにラジカル開始基や連鎖移動基を導入し、N,N,N-トリメチルアンモニウムエチルアクリレートやN,N,N-トリメチルアンモニウムプロピルアクリルアミドをグラフト重合する方法;同様にグリシジルメタクリレートをグラフト重合した後、官能基変換により四級アンモニウム基を導入する方法等が挙げられる。例えば、スルホン酸基を導入する方法としては、モノリスがスチレン-ジビニルベンゼン共重合体等であればクロロ硫酸や濃硫酸、発煙硫酸を用いてスルホン化する方法;モノリスにラジカル開始基や連鎖移動基を骨格表面および骨格内部に導入し、スチレンスルホン酸ナトリウムやアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸をグラフト重合する方法;同様にグリシジルメタクリレートをグラフト重合した後、官能基変換によりスルホン酸基を導入する方法等が挙げられる。
(第2のモノリスイオン交換体)
第2のモノリスイオン交換体は、平均粒子径1~50μmの範囲の有機ポリマー粒子が凝集して三次元的に連続した骨格部分を形成し、その骨格間に平均直径が20~100μmの範囲の三次元的に連続した空孔を有し、全細孔容積は、1~10mL/gの範囲であり、乾燥状態での重量当りのイオン交換容量は、1~9mg当量/gの範囲であり、イオン交換基が有機多孔質イオン交換体中に分布しているモノリスイオン交換体である。
第2のモノリスイオン交換体は、図2に示すように、粒子を凝集した粒子凝集型構造体である。第2のモノリスイオン交換体およびその製造方法は、特開2009-007550号に開示されている。
第2のモノリスイオン交換体は、架橋構造単位を有する平均粒子径が乾燥状態で好ましくは1~50μmの範囲、より好ましくは1~30μmの範囲の有機ポリマー粒子が凝集して三次元的に連続した骨格部分を有する。第2のモノリスイオン交換体は、その連続骨格間に平均直径が乾燥状態で好ましくは20~100μmの範囲、より好ましくは20~90μmの範囲の三次元的に連続した空孔(連続空孔)を有する。乾燥状態の第2のモノリスイオン交換体の断面の任意に抽出した部分のSEM写真を撮り、そのSEM写真中の全粒子の有機ポリマー粒子の直径を測定して、それらの平均値を平均粒子径とする。乾燥状態の連続空孔の平均直径は、第1のモノリスイオン交換体同様、水銀圧入法により求められる。
有機ポリマー粒子の平均粒子径が乾燥状態で1μm未満であると、骨格間の連続した空孔の平均直径が乾燥状態で20μm未満と小さくなってしまう場合がある。有機ポリマー粒子の平均粒子径が50μmを超えると、白金族金属担持触媒をカラムに充填して反応液を通液する場合に、圧力損失が大きくなってしまう場合がある。また、前述の連続空孔の平均直径が乾燥状態で20μm未満であると、白金族金属担持触媒をカラムに充填して反応液を通液する場合に、反応液を透過させた際の圧力損失が大きくなってしまう場合がある。前述の連続空孔の平均直径が乾燥状態で100μmを超えると、白金族金属担持触媒をカラムに充填して反応液を通液する場合に、反応液とモノリスイオン交換体との接触が不十分となる場合がある。
第2のモノリスイオン交換体の乾燥状態での重量当りの全細孔容積は、好ましくは1~10mL/gの範囲である。全細孔容積が1mL/g未満であると、白金族金属担持触媒をカラムに充填して反応液を通液する場合に、通液のときの圧力損失が大きくなってしまう場合があり、さらに、単位断面積当りの透過量が小さくなり、処理能力が低下してしまう場合がある。全細孔容積が10mL/gを超えると、機械的強度が低下して、白金族金属担持触媒をカラムに充填して反応液を通液する場合に、特に高流速で通液した際にモノリスイオン交換体が変形してしまう場合がある。
乾燥状態での重量当りのイオン交換容量については、前述の通りである。また、「イオン交換基が有機多孔質イオン交換体中に分布している」ことについては、前述の通りである。
(第2のモノリスイオン交換体の製造方法)
第2のモノリスイオン交換体は、例えば、次の方法によって製造することができる。
例えば、ビニルモノマー、特定量の架橋剤、有機溶媒および重合開始剤を混合し、静置状態でこれを重合させることにより、第2のモノリスを得ることができる。
第2のモノリスの製造に用いられるビニルモノマーは、第1のモノリスの製造に用いられるモノマーと同様である。
第2のモノリスの製造に用いられる架橋剤は、分子中に少なくとも2個の重合可能なビニル基を含有し、有機溶媒への溶解性が高いものが好ましい。架橋剤は、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、エチレングリコールジメタクリレートである。これら架橋剤は、一種単独または二種以上を組み合わせて使用することができる。好ましい架橋剤は、機械的強度の高さと加水分解に対する安定性等の点から、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルビフェニル等の芳香族ポリビニル化合物である。ビニルモノマーと架橋剤の合計量に対する架橋剤の使用量({架橋剤/(ビニルモノマー+架橋剤)}×100)は、例えば1~5モル%の範囲、好ましくは1~4モル%の範囲である。
第2のモノリスの製造に用いられる有機溶媒は、ビニルモノマーや架橋剤は溶解するがビニルモノマーが重合して生成するポリマーはほとんど溶解しない有機溶媒、言い換えると、ビニルモノマーが重合して生成するポリマーに対する貧溶媒である。この有機溶媒は、例えば、ビニルモノマーがスチレンの場合、メタノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等の鎖状エーテル類;ヘキサン、オクタン、デカン等の鎖状飽和炭化水素類等である。
第2のモノリスの製造に用いられる重合開始剤は、熱および光照射によりラジカルを発生する化合物が好ましい。重合開始剤は油溶性であることが好ましい。重合開始剤は、例えば、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソ酪酸ジメチル、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、テトラメチルチウラムジスルフィド等である。ビニルモノマーと架橋剤の合計量に対する重合開始剤の使用量({重合開始剤/(ビニルモノマー+架橋剤)}×100)は、例えば約0.01~5モル%の範囲である。
第2のモノリスの製造において、重合開始剤として、例えば2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸カリウム等を用いたときには、例えば、不活性雰囲気下の密封容器内において、例えば30~100℃で1~48時間、加熱重合させればよい。重合終了後、内容物を取り出し、未反応ビニルモノマーと有機溶媒の除去を目的に、例えば、アセトン等の溶剤で抽出して第2のモノリスを得ることができる。
第2のモノリスの製造において、架橋剤を増やす、モノマー濃度を高くする、温度を高くする等の重合条件の調整により、平均粒子径1~50μmの有機ポリマー粒子を凝集させることができる。ビニルモノマーと架橋剤の合計量に対する架橋剤の使用量を特定量とすることにより、その骨格間に平均直径が20~100μmの三次元的に連続した空孔を形成させることができる。概ね有機溶媒、モノマーおよび架橋剤の合計使用量に対する有機溶媒使用量({有機溶媒/(有機溶媒+モノマー+架橋剤)}×100)が、例えば、30~80重量%の範囲、好適には40~70重量%の範囲のような条件で重合することにより、モノリスの全細孔容積を1~5mL/gとすることができる。
第2のモノリスにイオン交換基を導入する方法は、第1のモノリスにイオン交換基を導入する方法と同様である。
(第3のモノリスイオン交換体)
第3のモノリスイオン交換体は、気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なる部分が平均直径30~300μmの範囲の開口となる連続マクロポア構造体であり、全細孔容積は、0.5~10mL/gの範囲であり、乾燥状態での重量当りのイオン交換容量は、1~9mg当量/gの範囲であり、イオン交換基が有機多孔質イオン交換体中に分布しており、かつ連続マクロポア構造体の切断面のSEM画像において、断面に表れる骨格部面積が、画像領域中25~50%の範囲であるモノリスイオン交換体である。
第3のモノリスイオン交換体は、図3に示すように、第1のモノリスイオン交換体と同様に、連続マクロポア構造体である。第3のモノリスイオン交換体およびその製造方法は、特開2009-062512号に開示されている。
連続空孔は、マクロポア同士が重なり合う重複部分を有する。重複部分は乾燥状態で平均直径30~300μmの範囲であることが好ましく、30~200μmの範囲であることがより好ましく、40~100μmの範囲であることがさらに好ましい。この平均直径は、水銀圧入法により測定され、水銀圧入法により得られた細孔分布曲線の極大値を指す。乾燥状態での開口の平均直径が30μm未満であると、白金族金属担持触媒をカラムに充填して反応液を通液する場合に、通液のときの圧力損失が大きくなってしまう場合があり、300μmを超えると、反応液とモノリスイオン交換体との接触が不十分となる場合がある。
第3のモノリスイオン交換体では、乾燥状態での連続マクロポア構造体の切断面のSEM画像において、断面に表れる骨格部面積が、画像領域中、例えば、25~50%の範囲であり、好ましくは25~45%の範囲である。断面に表れる骨格部面積が、画像領域中、25%未満であると、細い骨格となり、機械的強度が低下して、白金族金属担持触媒をカラムに充填して反応液を通液する場合に、特に高流速で通液した際にモノリスイオン交換体が変形してしまう場合がある。断面に表れる骨格部面積が、画像領域中、50%を超えると、骨格が太くなり過ぎ、白金族金属担持触媒をカラムに充填して反応液を通液する場合に、通液のときの圧力損失が増大する場合がある。
SEM画像を得るための条件は、切断面の断面に表れる骨格部が鮮明に表れる条件であればよく、例えば倍率100~600、写真領域が約150mm×100mmである。SEM観察は、主観を排除した第3のモノリスイオン交換体の任意の切断面の任意の箇所で撮影された切断箇所や撮影箇所が異なる3枚以上の画像で行うのがよい。切断される第3のモノリスイオン交換体は、乾燥状態のものである。SEM画像における切断面の骨格部を図3および図4を参照して説明する。図3および図4中、概ね不定形状でかつ断面で表れるものは「断面に表れる骨格部(符号12)」であり、図3に表れる円形の孔は開口(メソポア)であり、比較的大きな曲率や曲面のものはマクロポア(図4中の符号13)である。図4の断面に表れる骨格部面積は、矩形状画像領域11中、28%である。
SEM画像において、切断面の断面に表れる骨格部の面積の測定方法としては、骨格部を公知のコンピューター処理等を行い特定した後、コンピューター等による自動計算または手動計算による算出方法が挙げられる。手動計算としては、不定形状物を、四角形、三角形、円形または台形等の集合物に置き換え、それらを積層して面積を求める方法が挙げられる。
第3のモノリスイオン交換体の乾燥状態での重量当りの全細孔容積は、好ましくは0.5~10mL/gの範囲であり、より好ましくは0.8~8mL/gの範囲である。全細孔容積が0.5mL/g未満であると、白金族金属担持触媒をカラムに充填して反応液を通液する場合に、通液のときの圧力損失が大きくなってしまう場合があり、さらに、単位断面積当りの透過流体量が小さくなり、処理能力が低下してしまう場合がある。全細孔容積が10mL/gを超えると、機械的強度が低下して、白金族金属担持触媒をカラムに充填して反応液を通液する場合に、特に高流速で通液した際にモノリスイオン交換体が変形してしまう場合がある。さらに、反応液とモノリスイオン交換体との接触効率が低下する場合がある。
乾燥状態での重量当りのイオン交換容量については、前述の通りである。また、「イオン交換基が有機多孔質イオン交換体中に分布している」ことについては、前述の通りである。
(第3のモノリスイオン交換体の製造方法)
第3のモノリスイオン交換体は、例えば、次の方法によって製造することができる。
例えば、まず、イオン交換基を含まない油溶性モノマー、界面活性剤および水の混合物を撹拌することにより油中水滴型エマルジョンを調製する。次いで、以下のI工程、II工程、III工程を行うことにより、第3のモノリスを得ることができる。I工程では、油中水滴型エマルジョンを重合させて例えば全細孔容積が5~16mL/gの範囲の連続マクロポア構造のモノリス状の有機多孔質中間体(以下、モノリス中間体(3)とも記載する。)を得ることができる。II工程では、ビニルモノマー、一分子中に少なくとも2個以上のビニル基を有する架橋剤、ビニルモノマーや架橋剤は溶解するがビニルモノマーが重合して生成するポリマーは溶解しない有機溶媒および重合開始剤を含む混合物を調製する。III工程では、II工程で得られた混合物を静置下、かつI工程で得られたモノリス中間体(3)の存在下に重合を行い、モノリス中間体(3)の骨格より太い骨格を有する第3のモノリスを得ることができる。
I工程は、第1のモノリスイオン交換体の製造方法と同様である。
I工程で得られるモノリス中間体(3)は、連続マクロポア構造を有する。これを重合系に共存させると、モノリス中間体(3)の構造を型として骨太の骨格を有する多孔構造を形成することができる。ポリマー材料の架橋密度は、モノリス中間体(3)のポリマー材料を構成する全構成単位に対して、例えば0.3~10モル%の範囲、好ましくは0.3~5モル%の範囲の架橋構造単位を含んでいることが好ましい。
I工程で得られるモノリス中間体(3)の乾燥状態での重量当りの全細孔容積は、例えば5~16mL/gの範囲、好適には6~16mL/gの範囲である。モノリス中間体(3)の全細孔容積を上記数値範囲とするには、モノマーと水の比を、例えば、概ね1:5~1:20の範囲とすればよい。
I工程で得られるモノリス中間体(3)は、マクロポアとマクロポアの重なり部分である開口(メソポア)の平均直径が乾燥状態で例えば20~200μmの範囲である。
II工程は、ビニルモノマー、一分子中に少なくとも2個以上のビニル基を有する架橋剤、ビニルモノマーや架橋剤は溶解するがビニルモノマーが重合して生成するポリマーは溶解しない有機溶媒および重合開始剤を含む混合物を調製する工程である。なお、I工程とII工程の順序はどちらを先に行ってもよい。
II工程で用いられるビニルモノマーとしては、分子中に重合可能なビニル基を含有し、有機溶媒に対する溶解性が高い親油性のビニルモノマーであればよく、上記重合系に共存させるモノリス中間体(3)と同種類もしくは類似のポリマー材料を生成するビニルモノマーを選定することが好ましい。これらビニルモノマーの具体例としては、第1のモノリスの製造で用いられるビニルモノマーと同様である。
II工程で用いられるビニルモノマーの添加量は、重合のときに共存させるモノリス中間体(3)に対して、重量で例えば3~50倍の範囲、好ましくは4~40倍の範囲である。
II工程で用いられる架橋剤は、第2のモノリスの製造に用いられる架橋剤と同様である。
II工程で用いられる有機溶媒は、第2のモノリスの製造に用いられる有機溶媒と同様である。これら有機溶媒の使用量は、上記ビニルモノマーの濃度が例えば30~80重量%となるように用いることが好ましい。
II工程で用いられる重合開始剤は、第2のモノリスの製造に用いられる重合開始剤と同様である。
III工程では、例えば、II工程で得られた混合物を静置下、かつI工程で得られたモノリス中間体(3)の存在下に重合を行い、そのモノリス中間体(3)の骨格より太い骨格を有する第3のモノリスを得ることができる。上記重合系に連続マクロポア構造のモノリス中間体(3)を存在させると、第3のモノリスを得ることができる。
III工程において、例えば、反応容器中、モノリス中間体(3)は混合物(溶液)で含浸された状態に置かれる。II工程で得られた混合物とモノリス中間体(3)の配合比は、例えば、モノリス中間体(3)に対して、ビニルモノマーの添加量が重量で3~50倍の範囲、好ましくは4~40倍の範囲となるように配合すればよい。反応容器中、混合物中のビニルモノマーと架橋剤は、静置されたモノリス中間体の骨格に吸着、分配され、モノリス中間体(3)の骨格内で重合が進行する。
III工程において、重合条件は、モノマーの種類、重合開始剤の種類等により様々な条件が選択される。例えば、重合開始剤として2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸カリウム等を用いたときには、例えば、不活性雰囲気下の密封容器内において、例えば30~100℃で1~48時間加熱重合させればよい。加熱重合により、モノリス中間体(3)の骨格に吸着、分配したビニルモノマーと架橋剤が骨格内で重合し、骨格を太らせることができる。重合終了後、内容物を取り出し、未反応ビニルモノマーと有機溶媒の除去を目的に、例えば、アセトン等の溶剤で抽出して第3のモノリスを得ることができる。
第3のモノリスイオン交換体は、例えば、III工程で得られた第3のモノリスにイオン交換基を導入するIV工程を行うことにより得ることができる。第3のモノリスにイオン交換基を導入する方法は、第1のモノリスにイオン交換基を導入する方法と同様である。
(第4のモノリスイオン交換体)
第4のモノリスイオン交換体は、イオン交換基が導入された全構成単位中、架橋構造単位を0.1~5.0モル%の範囲で含有する芳香族ビニルポリマーから構成される連続骨格の厚みが1~60μmの範囲の三次元的に連続した骨格と、その骨格間に平均直径が10~200μmの範囲の三次元的に連続した空孔とからなる共連続構造体であって、全細孔容積は、0.5~10mL/gの範囲であり、乾燥状態での重量当りのイオン交換容量は、1~9mg当量/gの範囲であり、イオン交換基が前記有機多孔質イオン交換体中に分布しているモノリスイオン交換体である。
第4のモノリスイオン交換体は、図5および図6に示すように、連続した骨格相1(連続骨格)および連続した空孔相2(連続空孔)を有し、それらが絡み合ってそれぞれ共に3次元的に連続する共連続構造体10である。空孔相2は、上記の第1、第2のモノリスに比べて、その連続性が高く、その大きさに偏りがほとんどない。第4のモノリスイオン交換体は、その骨格が太いため機械的強度が高いと考えられる。第4のモノリスイオン交換体およびその製造方法は、特開2009-067982号に開示されている。
連続骨格は、イオン交換基が導入された全構成単位中、架橋構造単位を0.1~5.0モル%の範囲で含有するビニルポリマー(芳香族ビニルポリマー等)から構成され、かつ連続骨格の厚みが乾燥状態で例えば1~60μmの範囲、好ましくは3~58μmの範囲で三次元的に連続する。架橋構造単位が0.1モル%未満であると、機械的強度が不足する場合があり、5.0モル%を超えると、多孔質体の構造が共連続構造から逸脱しやすくなる場合がある。連続骨格の厚みが乾燥状態で1μm未満であると、白金族金属担持触媒をカラムに充填して反応液を通液する場合に、特に高流速で通液した際にモノリスイオン交換体が変形してしまう場合がある。連続骨格の厚みが乾燥状態で60μmを超えると、骨格が太くなり過ぎ、白金族金属担持触媒をカラムに充填して反応液を通液する場合に、通液のときの圧力損失が増大する場合がある。
連続空孔は、連続骨格間に乾燥状態で例えば平均直径10~200μmの範囲、好ましくは15~180μmの範囲で三次元的に連続している。この連続空孔の平均直径が乾燥状態で10μm未満であると、白金族金属担持触媒をカラムに充填して反応液を通液する場合に、通液のときの圧力損失が大きくなってしまう場合がある。平均直径が200μmを超えると、白金族金属担持触媒をカラムに充填して反応液を通液する場合に、反応液とモノリスイオン交換体との接触が不十分となる場合がある。
前述の平均直径は、水銀圧入法により測定され、水銀圧入法により得られた細孔分布曲線の極大値を指す。連続骨格の乾燥状態での厚みは、乾燥状態の第4のモノリスイオン交換体のSEM観察により求められる。具体的には、乾燥状態の第4のモノリスイオン交換体のSEM観察を少なくとも3回行い、得られた画像中の骨格の厚みを測定し、それらの平均値を連続骨格の厚みとする。なお、骨格は棒状であり円形断面形状であるが、楕円断面形状等異径断面のものが含まれていてもよい。この場合の厚みは短径と長径の平均である。
第4のモノリスイオン交換体の乾燥状態での重量当りの全細孔容積は、例えば、0.5~10mL/gの範囲である。全細孔容積が0.5mL/g未満であると、白金族金属担持触媒をカラムに充填して反応液を通液する場合に、通液のときの圧力損失が大きくなってしまう場合があり、さらに、単位断面積当りの透過流体量が小さくなり、処理能力が低下してしまう場合がある。全細孔容積が10mL/gを超えると、機械的強度が低下して、白金族金属担持触媒をカラムに充填して反応液を通液する場合に、特に高流速で通液した際にモノリスイオン交換体が変形してしまう場合がある。さらに、反応液とモノリスイオン交換体との接触効率が低下する場合がある。
連続骨格を構成するビニルポリマー(芳香族ビニルポリマー)は、例えば、ポリスチレン、ポリ(α-メチルスチレン)、ポリビニルベンジルクロライド等が挙げられる。上記ポリマーは、単独のビニルモノマーと架橋剤を共重合させて得られるポリマーでも、複数のビニルモノマーと架橋剤を重合させて得られるポリマーであってもよく、また、二種類以上のポリマーがブレンドされたものであってもよい。これら有機ポリマー材料の中で、共連続構造形成の容易さ、イオン交換基導入の容易性と機械的強度の高さ、および酸またはアルカリに対する安定性の高さ等から、スチレン-ジビニルベンゼン系共重合体やビニルベンジルクロライド-ジビニルベンゼン系共重合体が好ましい。
乾燥状態での重量当りのイオン交換容量については、前述の通りである。また、「イオン交換基が有機多孔質イオン交換体中に分布している」ことについては、前述の通りである。
(第4のモノリスイニオン交換体の製造方法)
第4のモノリスイオン交換体は、例えば、次の方法によって製造することができる。
例えば、第4のモノリスは、油中水滴型エマルジョンを調整した後、以下のI~III工程を行うことによって得ることができる。I工程では、例えば、油中水滴型エマルジョンを重合させて全細孔容積が例えば16mL/gを超え、30mL/g以下の連続マクロポア構造のモノリス状の有機多孔質中間体(以下、モノリス中間体(4))を得ることができる。II工程では、例えば、芳香族ビニルモノマー、一分子中に少なくとも2個以上のビニル基を有する全油溶性モノマー中、例えば0.3~5モル%の範囲の架橋剤、芳香族ビニルモノマーや架橋剤は溶解するが芳香族ビニルモノマーが重合して生成するポリマーは溶解しない有機溶媒および重合開始剤を含む混合物を調製する。III工程は、例えば、II工程で得られた混合物を静置下、かつI工程で得られたモノリス中間体(4)の存在下に重合を行い、第4のモノリスを得ることができる。
第4のモノリスの製造方法におけるI工程は、第1のモノリスイオン交換体の製造方法と同様である。
I工程で得られるモノリス中間体(4)は、例えば、架橋構造を有する有機ポリマー材料、好適には芳香族ビニルポリマーである。このポリマー材料の架橋密度は、ポリマー材料を構成する全構成単位に対して、例えば、0.1~5モル%の範囲、好ましくは0.3~3モル%の範囲の架橋構造単位を含んでいる。
モノリス中間体(4)のポリマー材料の種類は、第3のモノリスの製造方法におけるモノリス中間体(3)のポリマー材料の種類と同様である。
I工程で得られるモノリス中間体(4)の乾燥状態での重量当りの全細孔容積は、例えば、16mL/gを超え、30mL/g以下、好適には16mL/gを超え、25mL/g以下である。図7に示すように、モノリス中間体(4)は、棒状に近い骨格を有している。これを重合系に共存させると、モノリス中間体(4)の構造を型として共連続構造の多孔質体を形成することができる。
I工程で得られるモノリス中間体(4)は、マクロポアとマクロポアの重なり部分である開口(メソポア)の平均直径が乾燥状態で例えば5~100μmの範囲である。
第4のモノリスの製造方法におけるII工程は、例えば、芳香族ビニルモノマー、一分子中に少なくとも2個以上のビニル基を有する全油溶性モノマー中、例えば0.3~5モル%の範囲の架橋剤、芳香族ビニルモノマーや架橋剤は溶解するが芳香族ビニルモノマーが重合して生成するポリマーは溶解しない有機溶媒および重合開始剤を含む混合物を調製する工程である。なお、I工程とII工程の順序はどちらを先に行ってもよい。
II工程で用いられる芳香族ビニルモノマーとしては、分子中に重合可能なビニル基を含有し、有機溶媒に対する溶解性が高い親油性の芳香族ビニルモノマーであれば、特に制限はないが、上記重合系に共存させるモノリス中間体(4)と同種類もしくは類似のポリマー材料を生成するビニルモノマーを選定することが好ましい。これらビニルモノマーの具体例としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルクロライド、ビニルビフェニル、ビニルナフタレン等が挙げられる。これらモノマーは、一種単独または二種以上を組み合わせて使用することができる。好適に用いられる芳香族ビニルモノマーは、スチレン、ビニルベンジルクロライド等である。
II工程で用いられる芳香族ビニルモノマーの添加量は、重合時に共存させるモノリス中間体(4)に対して、例えば、重量で5~50倍の範囲、好ましくは5~40倍の範囲である。
II工程で用いられる架橋剤は、分子中に少なくとも2個の重合可能なビニル基を含有し、有機溶媒への溶解性が高いものが好ましい。架橋剤は、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルビフェニル、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ブタンジオールジアクリレート等である。これら架橋剤は、一種単独または二種以上を組み合わせて使用することができる。架橋剤使用量は、ビニルモノマーと架橋剤の合計量(全油溶性モノマー)に対して例えば0.3~5モル%の範囲であり、特に0.3~3モル%の範囲である。なお、上記架橋剤使用量は、ビニルモノマー/架橋剤重合のときに共存させるモノリス中間体(4)の架橋密度とほぼ等しくなるように用いることが好ましい。両者の使用量があまりに大きくかけ離れると、生成したモノリス中で架橋密度分布の偏りが生じ、またイオン交換基を導入する場合、イオン交換基導入反応時にクラックが生じやすくなる場合がある。
II工程で用いられる有機溶媒は、例えば、芳香族ビニルモノマーや架橋剤は溶解するが芳香族ビニルモノマーが重合して生成するポリマーは溶解しない有機溶媒、言い換えると、芳香族ビニルモノマーが重合して生成するポリマーに対する貧溶媒である。有機溶媒は、例えば、芳香族ビニルモノマーがスチレンの場合、メタノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;ジエチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の鎖状(ポリ)エーテル類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の鎖状飽和炭化水素類;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、プロピオン酸エチル等のエステル類である。また、ジオキサンやTHF、トルエンのようにポリスチレンの良溶媒であっても、上記貧溶媒と共に用いられ、その使用量が少ない場合には、有機溶媒として使用することができる。これら有機溶媒の使用量は、上記芳香族ビニルモノマーの濃度が例えば30~80重量%となるように用いることができる。有機溶媒使用量が上記範囲から逸脱して芳香族ビニルモノマー濃度が30重量%未満となると、重合速度が低下したり、重合後のモノリス構造が第4のモノリスの範囲から逸脱してしまう場合がある。一方、芳香族ビニルモノマー濃度が80重量%を超えると、重合が進みすぎる場合がある。
第4のモノリスの製造方法におけるII工程で用いられる重合開始剤は、第3のモノリスの製造方法におけるII工程で用いる重合開始剤と同様である。
第4のモノリスの製造方法におけるIII工程は、例えば、II工程で得られた混合物を静置下、かつI工程で得られたモノリス中間体(4)の存在下に重合を行い、モノリス中間体(4)の連続マクロポア構造を共連続構造に変化させ、共連続構造モノリスである第4のモノリスを得る工程である。
III工程において、例えば、反応容器中、モノリス中間体(4)は混合物(溶液)で含浸された状態に置かれる。II工程で得られた混合物とモノリス中間体(4)の配合比は、前述の通り、モノリス中間体(4)に対して、芳香族ビニルモノマーの添加量が重量で例えば5~50倍の範囲、好ましくは5~40倍の範囲となるように配合すればよい。これにより、適度な大きさの空孔が三次元的に連続し、かつ骨太の骨格が3次元的に連続する共連続構造の第4のモノリスを得ることができる。反応容器中、混合物中の芳香族ビニルモノマーと架橋剤は、静置されたモノリス中間体(4)の骨格に吸着、分配され、モノリス中間体(4)の骨格内で重合が進行する。
第4のモノリスの製造方法におけるIII工程の重合条件は、第3のモノリスの製造方法におけるIII工程の重合条件の説明と同様である。第4のモノリスイオン交換体は、III工程で得られた第4のモノリスにイオン交換基を導入するIV工程を行うことにより得ることができる。第4のモノリスにイオン交換基を導入する方法は、第1のモノリスにイオン交換基を導入する方法と同様である。
(第5のモノリスイオン交換体)
第5のモノリスイオン交換体は、連続骨格相と連続空孔相からなり、骨格は、表面に固着する直径4~40μmの範囲の複数の粒子体または有機多孔質体の骨格表面上に形成される大きさが4~40μmの範囲の複数の突起体を有し、連続空孔の平均直径は、10~200μmの範囲であり、全細孔容積は、0.5~10mL/gの範囲であり、乾燥状態での重量当りのイオン交換容量は、1~9mg当量/gの範囲であり、イオン交換基が前記有機多孔質イオン交換体中に分布しているモノリスイオン交換体である。
第5のモノリスイオン交換体は、連続骨格相と連続空孔相をもつ有機多孔質体を有し、さらに複数の粒子体または複数の突起体を有する複合構造体であり、多数の粒子体または多数の突起体を有する複合構造体である。第5のモノリスイオン交換体およびその製造方法は、特開2009-108294号に開示されている。
複数の粒子体は、有機多孔質体の骨格表面に固着し、その直径は例えば4~40μmの範囲である。複数の突起体は、有機多孔質体の骨格表面上に形成され、その大きさは乾燥状態で例えば4~40μmの範囲である。粒子体の直径、または突起体の大きさは、好ましくは4~30μmの範囲であり、より好ましくは4~20μmの範囲である。なお、本明細書中、「粒子体」および「突起体」を併せて「粒子体等」と記載する。
連続空孔の乾燥状態での平均直径は、好ましくは10~200μmの範囲である。
第5のモノリスイオン交換体の連続骨格相と連続空孔相は、SEM画像により観察される。第5のモノリスイオン交換体の基本構造としては、連続マクロポア構造および共連続構造が挙げられる。第5のモノリスイオン交換体の骨格相は、柱状の連続体、凹状の壁面の連続体あるいはこれらの複合体として表れるもので、粒子状や突起状とは明らかに相違する形状のものである。
第5のモノリスイオン交換体には、第5-1のモノリスイオン交換体、または第5-2のモノリスイオン交換体がある。第5-1のモノリスイオン交換体は、気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なる部分が乾燥状態で例えば平均直径10~120μmの範囲の開口となる連続マクロポア構造体である。第5-2のモノリスイオン交換体は、乾燥状態で連続骨格の厚みが例えば0.8~40μmの範囲の三次元的に連続した骨格と、その骨格間に乾燥状態で平均直径が例えば8~80μmの範囲の三次元的に連続した空孔とからなる共連続構造体である。第5-1、第5-2のモノリスイオン交換体のイオン交換基が導入される前のモノリスは、第5-1、第5-2のモノリスと呼ぶ。前述の平均直径および連続骨格の乾燥状態での厚みは、第4のモノリスイオン交換体と同様の測定方法により定められる。
図8中の(A)~(E)に示すように、骨格表面21から突き出している突起状のものが突起体22a~22eである。(A)に示すように、突起体22aは粒状に近い形状を持つ。(B)に示すように、突起体22bは半球状である。(C)に示すように、突起体22cは骨格表面の盛り上がりのような形状を持つ。(D)に示すように、突起体22dの骨格表面21の平面方向の長さは、突起体22dの骨格表面21に対して垂直方向の長さの方が長い。(E)に示すように、突起体22eは、複数の方向に突起した形状を有する。突起体の大きさは、個々の突起体のSEM画像での幅が最も大きくなる部分の長さである。図9に示すように、第5のモノリスイオン交換体は、有機多孔質体の骨格表面に複数の突起体が形成されている。
第5のモノリスイオン交換体において、全粒子体等中、乾燥状態で4~40μmの範囲の粒子体等が占める割合は例えば70%以上、好ましくは80%以上である。前述の粒子体等が占める割合は、全粒子体等の個数に占める乾燥状態で特定サイズの粒子体等の個数割合を指す。また、骨格相の表面は全粒子体等により例えば40%以上、好ましくは50%以上被覆されている。なお、全粒子体等による骨格層の表面の被覆割合は、SEMにより表面観察にしたときのSEM画像上の面積割合、つまり、表面を平面視したときの面積割合を指す。壁面や骨格を被覆している粒子の大きさが上記範囲を逸脱すると、流体とモノリスイオン交換体の骨格表面および骨格内部との接触効率を改善する効果が小さくなり易い場合がある。
乾燥状態の第5のモノリスイオン交換体のSEM観察を少なくとも3回行い、全視野において、SEM画像中の全粒子体等の乾燥状態での直径または大きさを算出して、直径または大きさが例えば4~40μmの範囲にある粒子体等が観察されるか否かを確認し、全視野において確認された場合、第5のモノリスイオン交換体の骨格表面上に、直径または大きさが乾燥状態で例えば4~40μmの範囲にある粒子体等が形成されていると判断する。また、上記に従って1視野毎にSEM画像中の全粒子体等の乾燥状態での直径または大きさを算出し、各視野毎に、全粒子体等に占める乾燥状態で例えば4~40μmの範囲の粒子体等の割合を求め、全視野において、全粒子体等中の乾燥状態で例えば4~40μmの範囲の粒子体等が占める割合が70%以上であった場合には、第5のモノリスイオン交換体の骨格表面に形成されている全粒子体等中、乾燥状態で例えば4~40μmの範囲の粒子体等が占める割合は70%以上であると判断する。また、上記に従って1視野毎にSEM画像中の全粒子体等による骨格層の表面の被覆割合を求め、全視野において、全粒子体等による骨格層の表面の被覆割合が40%以上であった場合には、第5のモノリスイオン交換体の骨格層の表面が全粒子体等により被覆されている割合が40%以上であると判断する。
第5のモノリスイオン交換体において、粒子体等による骨格相表面の被覆率が40%未満であると、反応液とモノリスイオン交換体の骨格内部および骨格表面との接触効率を改善する効果が小さくなり易い場合がある。上記粒子体等による被覆率の測定方法としては、第5のモノリスイオン交換体のSEM画像による画像解析方法が挙げられる。
第5のモノリスイオン交換体の乾燥状態での重量当りの全細孔容積は、例えば、0.5~10mL/gの範囲、好ましくは0.8~8mL/gの範囲である。全細孔容積が0.5mL/g未満であると、白金族金属担持触媒をカラムに充填して反応液を通液する場合に、通液のときの圧力損失が大きくなってしまう場合があり、さらに、単位断面積当りの透過流体量が小さくなり、処理能力が低下してしまう場合がある。全細孔容積が10mL/gを超えると、機械的強度が低下して、白金族金属担持触媒をカラムに充填して反応液を通液する場合に、特に高流速で通液した際にモノリスイオン交換体が変形してしまう場合がある。さらに、反応液とモノリスイオン交換体との接触効率が低下する場合がある。
第5のモノリスイオン交換体において、骨格を構成するポリマー材料の架橋密度は、ポリマー材料を構成する全構成単位に対して、例えば、0.3~10モル%の範囲、好適には0.3~5モル%の範囲の架橋構造単位を含んでいればよい。第5のモノリスイオン交換体の骨格を構成する有機ポリマー材料は、第1のモノリスイオン交換体と同様である。
第5のモノリスイオン交換体において、有機多孔質体の骨格相を構成する材料と骨格相の表面に形成される粒子体等とは、同じ組織が連続した同一材料のもの、同じではない組織が連続する互いが異なる材料のもの等が挙げられる。同じではない組織が連続する互いが異なる材料のものとしては、ビニルモノマーの種類が互いに異なる材料の場合、ビニルモノマーや架橋剤の種類は同じであっても互いの配合割合が異なる材料の場合等が挙げられる。
第5のモノリスイオン交換体は、その厚みは例えば1mm以上であり、膜状の多孔質体とは区別される。第5のモノリスイオン交換体の厚みは、好ましくは3~1000mmの範囲である。
乾燥状態での重量当りのイオン交換容量については、前述の通りである。また、「イオン交換基が有機多孔質イオン交換体中に分布している」ことについては、前述の通りである。
(第5のモノリスイオン交換体の製造方法)
第5のモノリスイオン交換体は、例えば、次の方法によって製造することができる。
第5のモノリスは、例えば、油中水滴型エマルションを調製した後、以下のI~III工程を行うことによって得ることができる。I工程では、例えば、油中水滴型エマルションを重合させて全細孔容積が例えば5~30mL/gの範囲の連続マクロポア構造のモノリス状の有機多孔質中間体(以下、モノリス中間体(5))を得ることができる。II工程では、例えば、ビニルモノマー、一分子中に少なくとも2個以上のビニル基を有する架橋剤、ビニルモノマーや架橋剤は溶解するがビニルモノマーが重合して生成するポリマーは溶解しない有機溶媒および重合開始剤を含む混合物を調製する。III工程では、例えば、II工程で得られた混合物を静置下、かつI工程で得られたモノリス中間体(5)の存在下に重合を行い、第5のモノリスを得ることができる。
第5のモノリスの製造方法におけるI工程は、第3のモノリスの製造方法におけるI工程と同様である。
I工程では、油中水滴型エマルション形成の際、必要に応じて重合開始剤を使用してもよい。重合開始剤は、熱または光照射によりラジカルを発生する化合物が好適に用いられる。重合開始剤は水溶性であっても油溶性であってもよく、例えば、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソ酪酸ジメチル、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素-塩化第一鉄、過硫酸ナトリウム-酸性亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。
I工程で得られるモノリス中間体(5)は、連続マクロポア構造を有する。これを重合系に共存させると、そのモノリス中間体(5)の構造を鋳型として連続マクロポア構造の骨格相の表面に粒子体等が形成したり、共連続構造の骨格相の表面に粒子体等が形成したりする。また、モノリス中間体(5)は、架橋構造を有する有機ポリマー材料である。ポリマー材料の架橋密度は、ポリマー材料を構成する全構成単位に対して、例えば0.3~10モル%の範囲、好ましくは0.3~5モル%の範囲の架橋構造単位を含んでいる。
モノリス中間体(5)のポリマー材料の種類は、第3のモノリスの製造方法におけるモノリス中間体(3)のポリマー材料の種類と同様である。
I工程で得られるモノリス中間体(5)の乾燥状態での重量当りの全細孔容積は、例えば、5~30mL/gの範囲、好適には6~28mL/gの範囲である。モノリス中間体(5)の全細孔容積を上記数値範囲とするには、モノマーと水の比(重量)を、例えば、概ね1:5~1:35とすればよい。
I工程において、このモノマーと水との比を、概ね1:5~1:20とすれば、モノリス中間体(5)の全細孔容積が例えば5~16mL/gの連続マクロポア構造のものが得られ、III工程を経て得られるモノリスは第5-1のモノリスとなる。一方、モノマーと水との比を、概ね1:20~1:35とすれば、モノリス中間体(5)の全細孔容積が例えば16mL/gを超え、30mL/g以下の連続マクロポア構造のものが得られ、III工程を経て得られるモノリスは第5-2のモノリスとなる。
第5のモノリスの製造方法におけるI工程で得られるモノリス中間体(5)は、マクロポアとマクロポアの重なり部分である開口(メソポア)の乾燥状態での平均直径が例えば20~200μmである。
第5のモノリスの製造方法におけるII工程は、第3のモノリスの製造方法におけるII工程と同様である。第5のモノリスの製造方法におけるIII工程では、例えば、II工程で得られた混合物を静置下、かつI工程で得られたモノリス中間体(5)の存在下、重合を行い、第5のモノリスを得ることができる。
ここで、特表平7-501140号等に開示されているように、モノリス中間体(5)不存在下でビニルモノマーと架橋剤を特定の有機溶媒中で静置重合させると、粒子凝集型のモノリス状有機多孔質体を得ることができる。対して、上記重合系に連続マクロポア構造のモノリス中間体(5)を存在させると、重合後の複合モノリスの構造は劇的に変化し、粒子凝集構造ではなく、上述の特定の骨格構造を有する第5のモノリスを得ることができる。
第5のモノリスの製造方法におけるIII工程において、反応容器の内容積は、モノリス中間体(5)を反応容器中に存在させる大きさのものであれば特に制限されない。反応容器内にモノリス中間体(5)を載置した際、平面視でモノリスの周りに隙間ができるもの、反応容器内にモノリス中間体(5)がほとんど隙間無く入るもののいずれであってもよい。このうち、重合後の第5のモノリスが容器内壁から押圧をほとんど受けることなく、反応容器内にほとんど隙間無く入るものが、第5のモノリスに歪がほとんど生じることもなく、反応原料等の無駄がほとんどなく効率的である。なお、反応容器の内容積が大きく、重合後の第5のモノリスの周りに隙間が存在する場合であっても、ビニルモノマーや架橋剤は、モノリス中間体(5)に吸着、分配されるため、反応容器内の隙間部分に粒子凝集構造物が生成することはほとんどない。
このIII工程において、例えば、反応容器中、モノリス中間体(5)は混合物(溶液)で含浸された状態に置かれる。II工程で得られた混合物とモノリス中間体(5)の配合比は、前述の通り、モノリス中間体(5)に対して、ビニルモノマーの添加量が重量で例えば3~50倍の範囲、好ましくは4~40倍の範囲となるように配合すればよい。これにより、適度な開口径を有しつつ、特定の骨格を有する複合モノリスである第5のモノリスを得ることができる。反応容器中、混合物中のビニルモノマーと架橋剤は、静置されたモノリス中間体(5)の骨格に吸着、分配され、モノリス中間体(5)の骨格内で重合が進行する。
第5のモノリスの製造方法におけるIII工程において、重合条件は第3のモノリスの製造方法におけるIII工程とほとんど同様である。
上述の第5のモノリスを製造する際に、下記(1)~(5)の条件のうち、少なくとも一つを満たす条件下でII工程またはIII工程行うと、骨格表面に粒子体等が形成されたモノリスを製造することができる。
(1)III工程における重合温度が、重合開始剤の10時間半減温度より、少なくとも5℃低い温度である。
(2)II工程で用いる架橋剤のモル%が、I工程で用いる架橋剤のモル%の2倍以上である。
(3)II工程で用いるビニルモノマーが、I工程で用いた油溶性モノマーとは異なる構造のビニルモノマーである。
(4)II工程で用いる有機溶媒が、分子量200以上のポリエーテルである。
(5)II工程で用いるビニルモノマーの濃度が、II工程の混合物中、30重量%以下である。
このようにして得られる第5のモノリスの好ましい構造としては、気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なる部分が乾燥状態で例えば平均直径10~120μmの範囲の開口となる連続マクロポア構造体(「第5-1のモノリス」)および、乾燥状態での連続骨格の厚みが例えば0.8~40μmの範囲の三次元的に連続した骨格と、その骨格間に乾燥状態での直径が例えば8~80μmの範囲の三次元的に連続した空孔とからなる共連続構造体(「第5-2のモノリス」)が挙げられる。なお、第5のモノリスにイオン交換基を導入する方法は、第1のモノリスにイオン交換基を導入する方法と同様である。
[白金族金属担持触媒]
本実施形態に係る白金族金属担持触媒カラムに用いられる白金族金属担持触媒は、上記非粒子状有機多孔質イオン交換体、例えば、第1のモノリスイオン交換体~第5のモノリスイオン交換体のいずれかに、白金族金属ナノ粒子、白金族金属イオン、および白金族金属錯イオンのうち少なくとも1つが担持されている触媒である。すなわち、白金族金属担持触媒では、白金族金属がナノ粒子の状態またはイオンの状態で上記非粒子状有機多孔質イオン交換体に担持されている。例えば、白金族金属担持触媒は、上記イオン交換体中の四級アンモニウム基に、白金族金属イオンまたは白金族金属錯イオンがイオン結合または配位結合により結合することによって担持されている触媒である。
白金族金属とは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金である。これらの白金族金属は、一種類単独であっても、二種類以上の金属の組み合わせであってもよく、さらに、二種類以上の金属を合金として用いてもよい。これらの中で、白金、パラジウム、白金/パラジウム合金は触媒活性が高くなる点で好ましい。
白金族金属ナノ粒子の平均粒子径は、例えば、1~100nmの範囲であり、好ましくは1~50nmの範囲であり、さらに好ましくは1~20nmの範囲である。白金族金属ナノ粒子の平均粒子径が1nm未満であると、白金族金属粒子が担体から脱離する場合があり、100nmを超えると、金属の単位質量当たりの表面積が少なくなり触媒効果が効率的に得られなくなる場合がある。
白金族金属ナノ粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)分析により得られるTEM画像を、画像解析することにより求められる。具体的には、まず、白金族金属担持触媒の表面を、TEM分析する。次いで、得られたTEM画像において、粒子数が200個以上となる一視野を任意に選択し、その視野のTEM画像を画像解析して、視野中の全粒子の粒子径を測定する。なお、一視野に担持されている白金族金属粒子の数が200個に満たない場合は、2以上の視野を任意に選択して、選択した2以上の視野中の全粒子について、粒子径の測定を行う。次いで、白金族金属ナノ粒子の平均粒子径を、式「白金族金属粒子の平均粒子径(nm)=測定した全粒子の粒子径の合計(nm)/測定した粒子の個数(個)」にて算出する。
白金族金属イオンは、上記白金族金属のイオンであり、白金族金属イオンの価数は、白金族金属の種類により異なる。これらの白金族金属イオンは、一種類単独であっても、二種類以上の金属の組み合わせであってもよい。これらの中で、白金イオン、パラジウムイオンは触媒活性が高くなる点で好ましい。
白金族金属錯イオンは、上記白金族金属の錯イオンであり、例えば、パラジウム錯イオン、白金錯イオン、イリジウム錯イオン等が挙げられる。これらの白金族金属錯イオンは、一種類単独であっても、二種類以上の金属の組み合わせであってもよい。これらの中で、白金錯イオン、パラジウム錯イオンは触媒活性が高くなる点で好ましい。
白金族金属担持触媒において白金族金属等が担持されていることは、透過型電子顕微鏡(TEM)観察を行うことにより、確認される。
白金族金属担持触媒中の白金族金属等の担持量((白金族金属原子換算の重量/乾燥状態の白金族金属担持触媒の重量)×100)は、乾燥状態で0.004~20重量%の範囲であり、好ましくは0.005~15重量%の範囲である。白金族金属等の担持量が乾燥状態で0.004重量%未満であると、触媒活性が不十分になる場合があり、20重量%を超えると、水中への金属溶出が認められる場合がある。なお、白金族金属担持触媒中の白金族金属原子の定量は、ICP発光分光分析装置を用いて行う。
白金族金属担持触媒の製造方法には特に制限はなく、公知の方法によって、モノリスイオン交換体に白金族金属等を担持させることにより、白金族金属担持触媒が得られる。例えば、乾燥状態のモノリスイオン交換体を酢酸パラジウム等の白金族金属化合物のメタノール等の有機溶液に所定の温度で所定の時間、浸漬し、白金族金属イオンをイオン交換によりモノリスイオン交換体に吸着させる方法、次いで、還元剤と接触させて白金族金属ナノ粒子をモノリスイオン交換体に担持する方法や、モノリスイオン交換体をテトラアンミンパラジウム錯体等の白金族金属錯化合物の水溶液に所定の温度で所定の時間、浸漬し、白金族金属イオンをイオン交換によりモノリスイオン交換体に吸着させる方法、次いで、還元剤と接触させて白金族金属ナノ粒子をモノリスイオン交換体に担持する方法等が挙げられる。
モノリスイオン交換体への白金族金属等の担持は、回分式でも流通式でもよく、特に制限はない。
白金族金属担持触媒の製造方法に用いられる白金族金属化合物としては、有機塩および無機塩のいずれでもよく、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、有機酸塩、無機錯塩等が挙げられる。白金族金属化合物の具体例としては、塩化パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、酢酸パラジウム、テトラアンミンパラジウム塩化物、テトラアンミンパラジウム硝酸塩、塩化白金、テトラアンミン白金塩化物、テトラアンミン白金硝酸塩、クロロトリアンミン白金塩化物、ヘキサアンミン白金塩化物、ヘキサアンミン白金硫酸塩、クロロペンタアンミン白金塩化物、シス-テトラクロロジアンミン白金塩化物、トランス-テトラクロロジアンミン白金塩化物、塩化ロジウム、酢酸ロジウム、ヘキサアンミンロジウム塩化物、ヘキサアンミンロジウム臭化物、ヘキサアンミンロジウム硫酸塩、ペンタアンミンアクアロジウム塩化物、ペンタアンミンアクアロジウム硝酸塩、シス-ジクロロテトラアンミンロジウム塩化物、トランス-ジクロロテトラアンミンロジウム塩化物、塩化ルテニウム、ヘキサアンミンルテニウム塩化物、ヘキサアンミンルテニウム臭化物、ヘキサアンミンルテニウムヨウ化物、クロロペンタアンミンルテニウム塩化物、シス-ジクロロテトラアンミンルテニウム塩化物、トランス-ジクロロテトラアンミンロジウム塩化物、塩化イリジウム(III)、塩化イリジウム(IV)、ヘキサアンミンイリジウム塩化物、ヘキサアンミンイリジウム硝酸塩、クロロペンタアンミンイリジウム塩化物、クロロペンタアンミンイリジウム臭化物、ヘキサアンミンオスミウム塩化物、ヘキサアンミンオスミウム臭化物、ヘキサアンミンオスミウムヨウ化物等が挙げられる。これらの化合物の使用量は、例えば、金属換算で担体であるモノリスイオン交換体に対して0.005~30重量%である。
白金族金属等の担持の際に、白金族金属化合物は、通常、溶媒に溶解させて用いられる。溶媒としては、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;アセトニトリル等のニトリル;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミドや、それらの混合物が用いられる。また、白金族金属化合物の溶媒への溶解性を高めるため、塩酸、硫酸、硝酸等の酸や、水酸化ナトリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の塩基を添加してもよい。
白金族金属担持触媒の製造方法に用いられる還元剤にも特に制限はなく、水素、一酸化炭素、エチレン等の還元性ガス;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール;ギ酸、ギ酸アンモニウム、シュウ酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸カルシウム等のカルボン酸やその塩;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;ホルムアルデヒドやアセトアルデヒド等のアルデヒド;ヒドラジン、メチルヒドラジン、エチルヒドラジン、ブチルヒドラジン、アリルヒドラジン、フェニルヒドラジン等のヒドラジン;次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等の次亜リン段塩;水素化ホウ素ナトリウム等が挙げられる。
還元反応の反応条件についても特に制限はないが、例えば、-20℃から150℃の温度にて、1分から20時間反応を行い、白金族金属化合物を0価白金族金属に還元する。
白金族金属担持触媒において、白金族金属ナノ粒子の担体であるモノリスイオン交換体のイオン形に特に制限はなく、モノリスカチオン交換体の場合、対イオンがナトリウムイオンやカルシウムイオン等に置換された塩形でもよいし、対イオンが水素イオンである再生形であってもよく、また、モノリスアニオン交換体の場合、対イオンが塩化物イオンや硝酸イオン等に置換された塩形でもよいし、対イオンが水酸化物イオンである再生形であってもよい。
[白金族金属捕捉材]
本実施形態に係る白金族金属担持触媒カラムに用いられる白金族金属捕捉材は、白金族金属ナノ粒子、白金族金属イオン、および白金族金属錯イオンのうち少なくとも1つを担持することができるものであればよく、例えば、イオン交換体、シリカゲル、金属除去フィルター等が挙げられる。これらのうち、各種の金属に対して捕捉性能が高い等の点から、イオン交換体が好ましく、非粒子状有機多孔質イオン交換体がより好ましい。
白金族金属捕捉材として用いられる非粒子状有機多孔質イオン交換体は、連続骨格相と連続空孔相とからなり、連続骨格の厚みは、1~100μmの範囲であり、連続空孔の平均直径は、1~1000μmの範囲であり、全細孔容積は、0.5~50mL/gの範囲であり、乾燥状態での重量当りのイオン交換容量は、1~9mg当量/gの範囲であり、イオン交換基がイオン交換体に分布している非粒子状有機多孔質イオン交換体であることが好ましい。
白金族金属捕捉材として用いられる非粒子状有機多孔質イオン交換体は、上記イオン交換体としての非粒子状有機多孔質イオン交換体と同様であり、説明を省略する。
白金族金属担持触媒カラムにおいて、白金族金属捕捉材は、白金族金属担持触媒の後段が設置されている。白金族金属捕捉材は、白金族金属担持触媒が充填されている充填容器内の後段に充填されていてもよいし、白金族金属担持触媒が充填されている充填容器の後段の別の充填容器に充填されていてもよい。
白金族金属捕捉材の充填量は、例えば、白金族金属担持触媒の量(vol):白金族金属捕捉材の量(vol)=1:0.5~1:50の範囲とすればよい。
<炭素-炭素結合形成方法>
本発明の実施形態に係る炭素-炭素結合形成方法は、上記白金族金属担持触媒カラムを用いて、例えば、(1)芳香族ハロゲン化物と有機ホウ素化合物との反応、(2)芳香族ハロゲン化物と末端にアルキニル基を有する化合物との反応、または(3)芳香族ハロゲン化物とアルケニル基を有する化合物との反応を行い、炭素-炭素結合を形成させる炭素-炭素結合形成方法である。
炭素-炭素結合形成方法の第一の形態(以下、炭素-炭素結合形成方法(1)とも記載する。)は、上記白金族金属担持触媒カラムを用いて、芳香族ハロゲン化物と有機ホウ素化合物とを反応させて、カップリングさせることにより、炭素-炭素単結合を生成させる反応である。
炭素-炭素結合形成方法(1)で用いられる有機ホウ素化合物は、
-B(OH)
(Rは、有機基であり、有機基であれば特に制限されないが、例えば、直鎖状アルキル基、分岐鎖状アルキル基、環状アルキル基、芳香族炭素環式基、芳香族複素環式基等であり、本実施形態の効果を阻害しない範囲であれば、これらの基には、メチル基、エチル基、ニトロ基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、カルボキシル基、アセチル基等が導入されていてもよい。)で示される有機ホウ素化合物である。
炭素-炭素結合形成方法(1)で用いられる有機ホウ素化合物は、例えば、下記一般式(I)で示される芳香族ホウ素化合物である。
Ar-B(OH) (I)
(式中、Arは、炭素数6~18の芳香族炭素環式基または芳香族複素環式基である。)
式(I)中、Arである芳香族炭素環式基または芳香族複素環式基の例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントラニル基、ピリジル基、ピリミジル基、インドリル基、ベンズイミダゾリル基、キノリル基、ベンゾフラニル基、インダニル基、インデニル基、ジベンゾフラニル基等が挙げられる。芳香族炭素環式基または芳香族複素環式基にホウ素が結合する位置については、特に制限はなく、任意の位置に結合することが可能である。また、芳香族炭素環式基または芳香族複素環式基には、1個以上の置換基が導入されていてもよい。置換基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ベンジル基等の炭化水素基;メトキシ基、エトキシ基、プルポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基;9-フルオレニルメトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、ニトロ基等が挙げられる。
炭素-炭素結合形成方法(1)で用いられる芳香族ハロゲン化物は、例えば、下記一般式(II)で示される芳香族ハロゲン化物である。
Ar-X (II)
(式中、Arは、炭素数6~18の芳香族炭素環式基または芳香族複素環式基であり、Xはハロゲン原子である。)
式(II)中、Arである芳香族炭素環式基または芳香族複素環式基の例としては、Arと同様のものが挙げられる。芳香族炭素環式基または芳香族複素環式基にハロゲン原子が結合する位置については、特に制限はなく、任意の位置に結合することが可能である。また、芳香族炭素環式基または芳香族複素環式基には、1個以上の置換基が導入されていてもよい。置換基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ベンジル基等の炭化水素基;メトキシ基、エトキシ基、プルポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基;9-フルオレニルメトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、ニトロ基、カルボキシル基、アミノ基等が挙げられる。
Xはハロゲン原子であり、具体的にはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子である。
炭素-炭素結合形成方法(1)による炭素-炭素結合の生成とは、有機ホウ素化合物からホウ素を含む官能基が脱離した有機基と、芳香族ハロゲン化物からハロゲンが脱離した芳香族残基との間に、炭素-炭素結合が生成することをいう。例えば、有機ホウ素化合物が式(I)で示される芳香族ホウ素化合物であり、芳香族ハロゲン化物が式(II)で示される芳香族ハロゲン化物である場合、得られるカップリング生成物は、式(III)で示される化合物となる。
Ar-Ar (III)
(式中、ArおよびArは、上記式(I)および(II)と同様である。)
炭素-炭素結合形成方法(1)で用いられる芳香族ホウ素化合物と芳香族ハロゲン化物の使用割合は、特に制限されないが、例えば、モル比で芳香族ホウ素化合物:芳香族ハロゲン化物=0.5~2:1の範囲であり、等モルで用いられてもよい。
炭素-炭素結合形成方法の第二の形態(以下、炭素-炭素結合形成方法(2)とも記載する。)は、上記白金族金属担持触媒カラムを用いて、芳香族ハロゲン化物と末端にアルキニル基を有する化合物とを反応させることにより、炭素-炭素単結合を形成させる反応である。
炭素-炭素結合形成方法(2)で用いられる芳香族ハロゲン化物は、例えば、上記式(II)で示される芳香族ハロゲン化物である。
炭素-炭素結合形成方法(2)で用いられる末端にアルキニル基を有する化合物は、例えば、式(IV)で示される化合物である。
HC≡C-R (IV)
(式中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数6~18の芳香族炭素環式基、置換基を有していてもよい炭素数6~18の芳香族複素環式基、置換基を有していてもよい炭素数1~18の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数2~18のアルケニル基、または、置換基を有していてもよい炭素数2~10のアルキニル基である。)
式(IV)中、Rである、置換基を有していてもよい炭素数6~18の芳香族炭素環式基または置換基を有していてもよい炭素数6~18の芳香族複素環式基の例としては、式(I)および(II)におけるArおよびArと同様である。
式(IV)中、Rである、置換基を有していてもよい炭素数1~18の脂肪族炭化水素基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
式(IV)中、Rである、置換基を有していてもよい炭素数2~18のアルケニル基の例としては、ビニル基、アリル基、メタリル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、デセニル基、オクタデセニル基等が挙げられる。
式(IV)中、Rである、置換基を有していてもよい炭素数2~10のアルキニル基の例としては、エチニル基、プロピニル基、ヘキシニル基、オクテニル基等が挙げられる。
これら芳香族炭素環式基、芳香族複素環式基、脂肪族炭化水素基、アルケニル基、アルキニル基が有していてもよい置換基としては、例えば、水酸基、フェニル基等の炭化水素基、メトキシ基、トリフルオロメトキシ基等のヘテロ原子含有炭化水素基等が挙げられる。
炭素-炭素結合形成方法(2)では、上記白金族金属担持触媒カラムを用いて、例えば、式(II)で示される芳香族ハロゲン化物と式(IV)で示される化合物とが反応して、式(V)の生成物が得られる。
Ar-C≡C-R (V)
(式中、ArおよびRは、式(II)および(IV)と同様である。)
炭素-炭素結合形成方法(2)で用いられる芳香族ハロゲン化物と末端にアルキニル基を有する化合物の使用割合は、特に制限されないが、例えば、モル比で芳香族ハロゲン化物:末端にアルキニル基を有する化合物=0.5~3:1の範囲であり、等モルで用いられてもよい。
炭素-炭素結合形成方法の第三の形態(以下、炭素-炭素結合形成方法(3)とも記載する。)は、上記白金族金属担持触媒カラムを用いて、芳香族ハロゲン化物とアルケニル基を有する化合物とを反応させることにより、炭素-炭素単結合を形成させる反応である。
炭素-炭素結合形成方法(3)で用いられる芳香族ハロゲン化物は、例えば、上記式(II)で示される芳香族ハロゲン化物である。
炭素-炭素結合形成方法(3)で用いられるアルケニル基を有する化合物は、例えば、式(VI)で示される化合物である。
HC=CR (VI)
(式中、R,R,Rは、それぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよい炭素数6~18の芳香族炭素環式基、置換基を有していてもよい炭素数6~18の芳香族複素環式基、置換基を有していてもよい炭素数1~18の脂肪族炭化水素基、カルボン酸誘導体、酸アミド誘導体、またはシアノ基である。)
式(VI)中、R,R,Rである、置換基を有していてもよい炭素数6~18の芳香族炭素環式基、置換基を有していてもよい炭素数6~18の芳香族複素環式基、および有していてもよい炭素数1~18の置換基を脂肪族炭化水素基の例としては、式(IV)におけるRと同様である。
式(VI)中、R,R,Rである、カルボン酸誘導体の例としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブトキシカルボニル等のアルコキシカルボニル基等が挙げられる。
式(VI)中、R,R,Rである、酸アミド誘導体の例としては、N-メチルカルバモイル基、N,N-ジメチルカルバモイル基等のカルバモイル基等が挙げられる。
炭素-炭素結合形成方法(3)では、上記白金族金属担持触媒カラムを用いて、式(II)で示される芳香族ハロゲン化物と式(VI)で示される化合物とが反応して、式(VII)の生成物が得られる。
ArC=CR (VII)
(式中、Ar,R,R,Rは、上記式(II)および上記式(VI)と同様である。)
炭素-炭素結合形成方法(3)で用いられる芳香族ハロゲン化物とアルケニル基を有する化合物の使用割合は、特に制限されないが、例えば、モル比で芳香族ハロゲン化物:アルケニル基を有する化合物=0.5~2:1の範囲であり、等モルで用いられてもよい。
炭素-炭素結合形成反応(1)~(3)において、白金族金属担持触媒の使用量は、例えば、芳香族ハロゲン化物に対して、白金族金属換算で、0.01~20モル%の範囲である。
炭素-炭素結合形成方法では、カップリング反応で用いられる溶媒としては、水や有機溶媒、およびこれらの混合物が挙げられる。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、グリセリン等のアルコール;テトラヒドロフランやジオキサン等の環状エーテル等が挙げられる。
炭素-炭素結合形成方法が行われる雰囲気は、空気中でもかまわないが、好ましくは窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下が好ましい。反応温度は、特に制限されないが、例えば、-20℃~150℃の範囲で任意に設定され、反応時間は、特に制限されないが、例えば、1分~24時間の範囲で設定される。
炭素-炭素結合形成反応では、塩基を存在させることが好ましく、無機塩基を存在させることがより好ましい。用いられる塩基の例としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、水酸化バリウム等の無機塩基;カリウムフェノラート、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムブトキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の有機塩基が挙げられる。これら塩基の使用量は、例えば、芳香族ハロゲン化物に対して50~300モル%の範囲で設定される。
本実施形態に係る炭素-炭素結合形成方法において、反応の原料液を上記白金族金属担持触媒カラムに通液することによって、炭素-炭素結合を生成させる反応を行う。
本実施形態に係る炭素-炭素結合形成方法において、上記炭素-炭素結合形成反応(1)~(3)を、例えば、上記芳香族ハロゲン化物と上記有機ホウ素化合物とを含有する原料液(i)、上記芳香族ハロゲン化物と上記末端にアルキニル基を有する化合物とを含有する原料液(ii)、または上記芳香族ハロゲン化物と上記アルケニル基を有する化合物とを含有する原料液(iii)を、上記白金族金属担持触媒カラムに、導入経路より通液し、反応液を排出経路から排出することによって、炭素-炭素結合の形成反応を行う。
炭素-炭素結合形成方法において、例えば、原料液(i)、原料液(ii)、または原料液(iii)が、水または親水性溶媒に、原料および無機塩基が溶解している無機塩基溶解原料液であり、無機塩基溶解原料液を、上記白金族金属担持触媒カラムに、導入経路より通液し、反応液を排出経路から排出することによって、炭素-炭素結合の形成反応を行ってもよい。
また、炭素-炭素結合形成方法において、例えば、原料液(i)、原料液(ii)、または原料液(iii)が、疎水性の有機溶媒に原料が溶解している疎水性溶媒原料液であり、疎水性溶媒原料液と、無機塩基が溶解している無機塩基水溶液と、の混合物を、上記白金族金属担持触媒カラムに、導入経路より通液し、反応液を排出経路から排出することによって、炭素-炭素結合の形成反応を行ってもよい。
本実施形態に係る炭素-炭素結合形成方法は、炭素-炭素結合を形成させて所望の化合物を得ることができ、高い収率で目的生成物を得ることができる。特に、芳香族臭化物においても高収率で炭素-炭素結合形成反応を行うことができる。また、反応時間が短くかつ高い収率で目的生成物を得ることができる。本実施形態に係る炭素-炭素結合形成方法によれば、炭素-炭素結合を形成させて所望の化合物を得るための炭素-炭素結合の形成方法を、固定床連続流通式で行うことができ、種々の原料において、高収率で炭素-炭素結合反応を行うことができる。また、生産効率の観点からは、高濃度の原料溶液を利用することができる。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
第5のモノリスイオン交換体の製造方法にしたがって、モノリスの製造を行い、得られたモノリスにイオン交換基を導入した。
(モノリス中間体の製造(I工程))
モノマーとしてスチレン9.28g、ジビニルベンゼン0.19g、界面活性剤としてソルビタンモノオレエート(以下SMOと略す)0.50gおよび重合開始剤として2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)0.25gを混合し、均一になるように溶解させた。次に、このスチレン/ジビニルベンゼン/SMO/2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)混合物を180gの純水に添加し、遊星式撹拌装置である真空撹拌脱泡ミキサー(イーエムイー社製)を用いて減圧下撹拌して、油中水滴型エマルションを得た。このエマルションを速やかに反応容器に移し、密封後、静置下60℃で24時間重合させた。重合終了後、内容物を取り出し、メタノールで抽出した後、減圧乾燥して、連続マクロポア構造を有するモノリス中間体を製造した。このようにして得られたモノリス中間体(乾燥体)の内部構造をSEMにより観察した。SEM画像を図10に示すが、隣接する2つのマクロポアを区画する壁部は極めて細く棒状であるものの、連続マクロポア構造を有しており、水銀圧入法により測定したマクロポアとマクロポアが重なる部分の開口(メソポア)の平均直径は40μm、全細孔容積は18.2mL/gであった。
(モノリスの製造(II工程))
次いで、モノマーとしてスチレン216.6g、架橋剤としてジビニルベンゼン4.4g、有機溶媒として1-デカノール220g、重合開始剤として2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.8gを混合し、均一になるように溶解させた(II工程)。
(モノリスの製造(III工程))
次に上記モノリス中間体を反応容器に入れ、このスチレン/ジビニルベンゼン/1-デカノール/2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)混合物に浸漬させ、減圧チャンバー中で脱泡した後、反応容器を密封し、静置下50℃で24時間重合させた。重合終了後、内容物を取り出し、アセトンでソックスレー抽出した後、減圧乾燥した(III工程)。
このようにして得られたスチレン/ジビニルベンゼン系共重合体よりなる架橋成分を1.2モル%含有したモノリス(乾燥体)の内部構造を、SEMにより観察した結果を図11に示す。図11から明らかなように、このモノリスは骨格および空孔はそれぞれ3次元的に連続して連続骨格相と連続空孔相とからなり、両相が絡み合った共連続構造であった。また、SEM画像から測定した連続骨格の厚みは20μmであった。また、水銀圧入法により測定した、このモノリスの三次元的に連続した空孔の平均直径は70μm、全細孔容積は4.4mL/gであった。なお、空孔の平均直径は、水銀圧入法により得られた細孔分布曲線の極大値から求めた。
(クロロメチル化モノリスの製造)
製造したモノリスをカラム状反応器に入れ、塩化チオニル1600g、四塩化スズ400g、ジメトキシメタン2500mLを含む溶液を循環、通液して、30℃、5時間反応させ、クロロメチル基を導入した。反応終了後、クロロメチル化モノリスをTHF/水=2/1(vol)の混合溶媒で洗浄し、さらにTHFで洗浄し、クロロメチル化モノリスを得た。
(弱塩基性モノリスアニオン交換体の製造)
次いで、クロロメチル化モノリスを減圧乾燥した。乾燥後のクロロメチル化モノリスの重量は8.4gであった。このクロロメチル化モノリスを、撹拌子を入れたセパラブルフラスコに入れ、第二級アミンとしてジメチルアミン50%水溶液56mL、THF180mLを含む溶液を、セパラブルフラスコに導入し、還流下、10時間撹拌した。反応終了後、生成物をメタノールで洗浄し、次いで純水で洗浄して弱塩基性モノリスアニオン交換体を得た。
得られた弱塩基性モノリスアニオン交換体の乾燥状態の総アニオン交換容量は、4.7mg当量/gであり、弱アニオン交換容量は、4.3mg当量/gであった。また、SEM画像から測定した乾燥状態での骨格の厚みは25μmであった。
以下、得られた弱塩基性モノリスアニオン交換体を「モノリス弱アニオン交換体」と記載する。
(白金族金属担持触媒の製造)
製造した弱塩基性モノリスアニオン交換体を減圧乾燥した。乾燥後の弱塩基性モノリスアニオン交換体の重量は、8.7gであった。この乾燥状態の弱塩基性モノリスアニオン交換体を、撹拌子を入れたセパラブルフラスコに入れ、さらに酢酸パラジウム190mgの酢酸エチル溶液を導入し、室温(25±5℃)にて5日間撹拌し、モノリスアニオン交換体にパラジウムイオンを担持させた。このモノリスアニオン交換体をメタノールで洗浄し、さらに純水で洗浄した。得られたPdイオン担持モノリスアニオン交換体を、数回純水で洗浄した後、減圧乾燥により乾燥させた。得られたPdイオン担持モノリスアニオン交換体中のパラジウムの担持量をICP発光分析装置(日立ハイテクサイエンス製、PS3520UVDDII型)で求めたところ、パラジウム担持量は1重量%であった。
以下、得られた白金族金属担持触媒を、「Pdモノリス弱アニオン交換体」と記載する。
(白金族金属担持触媒カラムの作製)
製造したPdモノリス弱アニオン交換体をφ4.6×30mmに成形し、φ4.6×150mmSUS製のカラムに充填し、次いで白金族金属捕捉材として上記で製造したモノリス弱アニオン交換体をφ4.6×120mmに成形し、Pdモノリス弱アニオン交換体を充填したSUS製カラムに充填して、白金族金属担持触媒カラムを作製した。
以下、実施例1で得られた白金族金属担持触媒カラムを「触媒カラム1」と記載する。
<実施例2>
(白金族金属担持触媒カラムを用いた炭素-炭素結合形成反応)
Figure 2022163533000001
芳香族ハロゲン化物として2-ブロモベンゾニトリル(5.82g、32.0mmol)と有機ホウ素化合物として4-メチルフェニルボロン酸(4.78g、35.2mmol)の4-メチルテトラヒドロピラン(4-MTHP)/エタノール(32mL,1:1(vol))溶液に、無機塩基として水酸化ナトリウム(35.2mmol)の水(22mL)溶液を加え撹拌した。この溶液を0.3mL/分で送液して、80℃に加熱した実施例1で作製した触媒カラム1内にPdモノリス弱アニオン交換体を充填した側から通液し、飽和塩化アンモニウム水溶液を蓄えたフラスコに回収した。得られた液の有機層をGC(島津製作所社製、GC-2000型)で分析した結果、転化率75%で2-シアノ-4’-メチルビフェニルを得た。
<比較例1>
(白金族金属担持触媒カラムの作製)
実施例1で製造したPdモノリス弱アニオン交換体をφ4.6×30mmに成形し、φ4.6×30mmSUS製のカラムに充填して、白金族金属担持触媒カラムを製造した。
以下、比較例1で得られた白金族金属担持触媒カラムを「触媒カラム2」と記載する。
<比較例2>
触媒カラム1を触媒カラム2にすること以外、実施例2と同様に炭素-炭素結合形成反応を行った結果、転化率37%で2-シアノ-4’-メチルビフェニルを得た。
このように、実施例の白金族金属担持触媒カラムを用いることによって、芳香族臭化物においても高収率で炭素-炭素結合形成反応を行うことができた。
1 骨格相、2 空孔相、10 共連続構造体、11 矩形状画像領域、12 骨格部、13 マクロポア、21 骨格表面、22a,22b,22c,22d,22e 突起体。

Claims (8)

  1. 白金族金属担持触媒が充填容器内に充填されている白金族金属担持触媒カラムであって、
    前記白金族金属担持触媒は、イオン交換体に、白金族金属ナノ粒子、白金族金属イオン、および白金族金属錯イオンのうち少なくとも1つが担持されている白金族金属担持触媒であり、
    前記イオン交換体は、連続骨格相と連続空孔相とからなり、連続骨格の厚みは、1~100μmの範囲であり、連続空孔の平均直径は、1~1000μmの範囲であり、全細孔容積は、0.5~50mL/gの範囲であり、乾燥状態での重量当りのイオン交換容量は、1~9mg当量/gの範囲であり、イオン交換基がイオン交換体中に分布している非粒子状有機多孔質イオン交換体であり、
    前記白金族金属ナノ粒子、白金族金属イオン、および白金族金属錯イオンのうち少なくとも1つの担持量は、乾燥状態で0.004~20重量%の範囲であり、
    前記白金族金属担持触媒の後段に、白金族金属捕捉材が設置されていることを特徴とする白金族金属担持触媒カラム。
  2. 請求項1に記載の白金族金属担持触媒カラムであって、
    前記白金族金属担持触媒は、前記イオン交換体に、白金族金属イオンおよび白金族金属錯イオンのうち少なくとも1つが担持されている白金族金属担持触媒であることを特徴とする白金族金属担持触媒カラム。
  3. 請求項1または2項に記載の白金族金属担持触媒カラムであって、
    前記白金族金属捕捉材は、イオン交換体であることを特徴とする白金族金属担持触媒カラム。
  4. 請求項3に記載の白金族金属担持触媒カラムであって、
    前記イオン交換体は、連続骨格相と連続空孔相とからなり、連続骨格の厚みは、1~100μmの範囲であり、連続空孔の平均直径は、1~1000μmの範囲であり、全細孔容積は、0.5~50mL/gの範囲であり、乾燥状態での重量当りのイオン交換容量は、1~9mg当量/gの範囲であり、イオン交換基がイオン交換体に分布している非粒子状有機多孔質イオン交換体であることを特徴とする白金族金属担持触媒カラム。
  5. (1)芳香族ハロゲン化物と有機ホウ素化合物との反応、(2)芳香族ハロゲン化物と末端にアルキニル基を有する化合物との反応、または(3)芳香族ハロゲン化物とアルケニル基を有する化合物との反応を行い、炭素-炭素結合を形成させる炭素-炭素結合形成方法であって、
    前記芳香族ハロゲン化物と前記有機ホウ素化合物とを含有する原料液(i)、前記芳香族ハロゲン化物と前記末端にアルキニル基を有する化合物とを含有する原料液(ii)、または前記芳香族ハロゲン化物と前記アルケニル基を有する化合物とを含有する原料液(iii)を、請求項1~4のいずれか1項に記載の白金族金属担持触媒カラムに、導入経路より通液し、反応液を排出経路から排出することによって、炭素-炭素結合の形成反応を行うことを特徴とする炭素-炭素結合形成方法。
  6. 請求項5に記載の炭素-炭素結合形成方法であって、
    無機塩基の存在下で、前記炭素-炭素結合の形成反応を行うことを特徴とする炭素-炭素結合形成方法。
  7. 請求項5または6に記載の炭素-炭素結合形成方法であって、
    前記原料液(i)、前記原料液(ii)、または前記原料液(iii)が、水または親水性溶媒に、原料および無機塩基が溶解している無機塩基溶解原料液であり、
    前記無機塩基溶解原料液を、前記白金族金属担持触媒カラムに、導入経路より通液し、反応液を排出経路から排出することによって、炭素-炭素結合の形成反応を行うことを特徴とする炭素-炭素結合形成方法。
  8. 請求項5または6に記載の炭素-炭素結合形成方法であって、
    前記原料液(i)、前記原料液(ii)、または前記原料液(iii)が、疎水性の有機溶媒に原料が溶解している疎水性溶媒原料液であり、
    前記疎水性溶媒原料液と、無機塩基が溶解している無機塩基水溶液と、の混合物を、前記白金族金属担持触媒カラムに、導入経路より通液し、反応液を排出経路から排出することによって、炭素-炭素結合の形成反応を行うことを特徴とする炭素-炭素結合形成方法。
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