JP2022162492A - 空気浮揚式免震装置および空気浮揚式免震装置の空気供給ユニット - Google Patents
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Abstract
【課題】地震発生時のP波を検出して、高圧タンクより圧縮空気を供給し建物を浮上させて地震のS波による建物の揺れを抑制する。【解決手段】地震発生時のP波を検出して圧縮空気タンクから圧縮空気を吐出させ建物の下部に備えられた空間に圧縮空気を供給して地震のS波が到達する前に建物を浮上させて地震の揺れを抑制する空気浮揚式免震装置であって、この空気浮揚式免震装置は、人工基盤と、人工基盤の上の圧縮空気を充填する空間となる浮上用空気充填室と、建物基礎と、浮上用空気充填室に圧縮空気を供給する圧縮空気タンク、電磁弁および配管で構成される空気供給ユニットとで構成される。圧縮空気タンクは高圧の圧縮空気タンクであって、等温化圧力容器としての機能を備え、さらに空気供給ユニットは流量増幅器および逆止弁を備えたことを特徴とする空気浮揚式免震装置である。【選択図】図3
Description
本発明は、建物に設置される空気浮揚式免震装置および空気浮揚式免震装置の空気供給ユニットに関し、詳しくは、地震発生時のP波を検出して建物と基礎との間にある空間に圧縮空気を短時間で供給する空気供給ユニットを備えた空気浮揚式免震装置に関する。
日本は地震大国であり、2011年3月11日の東日本大震災においては、住宅の被害は、全壊13万棟、半壊27万棟および一部破損74万棟に及んだ。全壊13万棟の被害のうち約9割は津波によるものであるが、約1万棟は地震による被害であった。その後も東日本大震災の余震と思われる地震が発生しており、今後30年以内には太平洋岸の海域で3つの巨大地震が発生するとも予測されている。地震による被害を避けるため、近年では、戸建て住宅の免振技術は数多く提案実施されている。それらは支柱を強固なものにし、建物の強度を上げ、戸建て住宅が壊れないように耐震に力を入れる手法である。
特許文献1には、ゴム板緩衝機構及び空気浮揚式免震装置の発明が開示されている。
この文献の空気浮揚式免震装置は、下基礎と、下基礎の上に設置される上基礎と、上端が上基礎に気密に固定され、下端が下基礎に弾性的に接して空気圧力室を形成する金属シール板と、加圧空気タンクと、を備え、センサで地震の揺れを感知すると電磁弁を開いて金属シール板で囲まれた空気圧力室に圧縮空気を供給して上基礎を浮揚させる空気供給ユニットと、上基礎の上部に空気供給ユニットが収納されることを特徴とする空気浮揚式免震装置である。
この空気浮揚式免震装置に、中央開口部を有する環状の高減衰ゴムからなり、上面と下面がともに内周側又は外周側に向かって傾斜したゴム板と、中央開口部に挿入される蓋付きの突出軸とからなるゴム板緩衝機構が付加されている。
この文献の空気浮揚式免震装置は、下基礎と、下基礎の上に設置される上基礎と、上端が上基礎に気密に固定され、下端が下基礎に弾性的に接して空気圧力室を形成する金属シール板と、加圧空気タンクと、を備え、センサで地震の揺れを感知すると電磁弁を開いて金属シール板で囲まれた空気圧力室に圧縮空気を供給して上基礎を浮揚させる空気供給ユニットと、上基礎の上部に空気供給ユニットが収納されることを特徴とする空気浮揚式免震装置である。
この空気浮揚式免震装置に、中央開口部を有する環状の高減衰ゴムからなり、上面と下面がともに内周側又は外周側に向かって傾斜したゴム板と、中央開口部に挿入される蓋付きの突出軸とからなるゴム板緩衝機構が付加されている。
この特許文献には、空気浮揚式免震装置を備える建物の床面積は20坪(66m2)とし、建物の浮上高さは3~5cm、15~30mmの配管を使用して2秒程度で浮上させるとしている。
ここで、配管を内径30mmとして、浮上高さ3cmまで2秒で完了させるとすると、厳密には圧縮性流体の特性を考慮する必要があり詳細は後述するが、単純に配管の断面積で計算すると1400m/sの流速となり、複数の配管、例えば4本使用しても350m/sの流速であり、音速を超える速度となってしまう。
流体である空気を扱う場合、電磁弁や配管の有効断面積、流速が音速に達すると質量流量が飽和すること、また圧力容器から空気を放出する際の断熱変化等の課題があり、2秒程度の時間で建物を浮上させるには多くの課題がある。
ここで、配管を内径30mmとして、浮上高さ3cmまで2秒で完了させるとすると、厳密には圧縮性流体の特性を考慮する必要があり詳細は後述するが、単純に配管の断面積で計算すると1400m/sの流速となり、複数の配管、例えば4本使用しても350m/sの流速であり、音速を超える速度となってしまう。
流体である空気を扱う場合、電磁弁や配管の有効断面積、流速が音速に達すると質量流量が飽和すること、また圧力容器から空気を放出する際の断熱変化等の課題があり、2秒程度の時間で建物を浮上させるには多くの課題がある。
本発明は、上記の課題を解決するもので、地震センサにより地震のP波を検出し、S波が到達する前に圧縮空気により建物を浮上させて地震の振動を抑制する。この空気浮揚式免震装置は、建物への被害を低減するだけでなく、建物の中でも揺れが最小限に抑えられ、物が落ちるといった危険も回避できる。
本空気浮揚式免震装置において、建物の浮上時間は非常に重要である。震源地が近いとP波とS波の到着時間の差は短くなってしまうため、可能な限り短時間で浮上させることが望ましい。
そこで本発明では、建物の浮上時間を短縮するため、圧縮空気タンクは等温化圧力容器の機能を備えた高圧の圧縮空気タンクを使用する。あわせて高圧の圧縮空気タンクを使用することで設置面積の減少を実現する。さらに、流量増幅器を使用することにより、さらに浮上時間の短縮を実現する。
本空気浮揚式免震装置において、建物の浮上時間は非常に重要である。震源地が近いとP波とS波の到着時間の差は短くなってしまうため、可能な限り短時間で浮上させることが望ましい。
そこで本発明では、建物の浮上時間を短縮するため、圧縮空気タンクは等温化圧力容器の機能を備えた高圧の圧縮空気タンクを使用する。あわせて高圧の圧縮空気タンクを使用することで設置面積の減少を実現する。さらに、流量増幅器を使用することにより、さらに浮上時間の短縮を実現する。
すなわち、本発明は、地震発生時のP波を検出して圧縮空気タンクから圧縮空気を吐出させ建物の下部に形成された空間に圧縮空気を供給して地震のS波が到達する前に建物を浮上させて地震の揺れを抑制する空気浮揚式免震装置であって、空気浮揚式免震装置は、空間に圧縮空気を供給する空気供給ユニットを備え、該空気供給ユニットは圧縮空気タンク、電磁弁および配管で構成され、圧縮空気タンクは高圧の圧縮空気タンクであって、等温化圧力容器としての機能を備えたことを特徴とする空気浮揚式免震装置である。
このように構成することにより、高圧の圧縮空気タンク(以下、「高圧タンク」という)を使用することにより、高圧タンクにより浮上時間の短縮と設置面積の低減を実現することができ、また、等温化圧力容器とすることで高圧タンクから空気を放出する際の急激な温度変化を抑制することができる。
また、本発明の空気浮揚式免震装置は、さらに地面に設置される人工基盤と、人工基盤の上の圧縮空気を充填する空間である浮上用空気充填室と、浮上用空気充填室の上に設けられる建物基礎と、地震センサの信号により電磁弁の開閉信号を送出する制御部と、で構成され、浮上用空気充填室は、建物基礎の下面と、人工基盤の上面と、上端が建物基礎の側面に気密に固定され下端は弾性的に折り曲げられ人工基盤の上面と当接する複数の金属シール板とで包囲して形成され、高圧の圧縮空気タンク内に熱伝導性の高い材料で形成された細線を束状にして充填し等温化圧力容器としての機能を備えたことを特徴とする。
このように構成することにより、高圧タンクから建物の下部にある浮上用空気充填室に圧縮空気を供給することができ、地震発生後短時間で建物を浮上させることができる。
さらに、本発明の空気供給ユニットは、さらに流量増幅器および逆止弁を備え、空気浮揚式免震装置は、さらに高圧の圧縮空気タンクに圧縮空気を充填する圧縮機と、地震発生後に停電となったとき圧縮機ならびに電磁弁および該電磁弁を駆動させる制御部が動作可能なバッテリーと、が備えられたことを特徴とする。
流量増幅器を備えたことにより、建物浮上に必要な高圧タンクから吐出される圧縮空気を増幅することができ、また地震発生後停電となっても圧縮機を使用して高圧タンクに圧縮空気を充填することができ、高圧タンクの数量低減や浮上時間の短縮を可能にすることができる。
流量増幅器を備えたことにより、建物浮上に必要な高圧タンクから吐出される圧縮空気を増幅することができ、また地震発生後停電となっても圧縮機を使用して高圧タンクに圧縮空気を充填することができ、高圧タンクの数量低減や浮上時間の短縮を可能にすることができる。
さらに、空気浮揚式免震装置は、空気供給ユニットから空間または浮上用空気充填室の接続口までの配管長さを短縮するために複数の空気供給ユニットを備え、該複数の空気供給ユニットの高圧の圧縮空気タンクに圧縮空気を充填する圧縮機およびバッテリーを設けたことを特徴とする。
この構成により、配管を短くした複数の空気供給ユニットを使用することで短時間に大量の空気を供給でき、建物の浮上時間が短縮できる。
この構成により、配管を短くした複数の空気供給ユニットを使用することで短時間に大量の空気を供給でき、建物の浮上時間が短縮できる。
また、本発明は、地震発生時のP波を検出して圧縮空気タンクから圧縮空気を吐出させ建物の下部に形成された空間に圧縮空気を供給して地震のS波が到達する前に前記建物を浮上させて地震の揺れを抑制する空気浮揚式免震装置に備わる圧縮空気を前記空間に供給する空気供給ユニットであって、空気供給ユニットは圧縮空気タンク、電磁弁、流量増幅器、逆止弁および配管で構成され、圧縮空気タンクは高圧の圧縮空気タンクであって、該高圧の圧縮空気タンク内に熱伝導性の高い材料で形成された細線を束状にして充填し等温化圧力容器としての機能を備えたことを特徴とする空気浮揚式免震装置の空気供給ユニットである。
この空気供給ユニットにより、流量を増幅させることができ浮上時間の短縮が可能となり、また高圧の圧縮空気タンクの本数を減少させることができる。
この空気供給ユニットにより、流量を増幅させることができ浮上時間の短縮が可能となり、また高圧の圧縮空気タンクの本数を減少させることができる。
以上、本発明によれば、地震発生時のP波を検出して、高圧タンクより短時間で圧縮空気を供給し建物を浮上させて地震のS波による建物の揺れを抑制することができる。また、高圧タンクを等温化圧力容器の機能を備えることにより高圧タンク内の温度変化を抑制することができ、さらに流量増幅器により高圧タンクの本数を減少させることができる。
本発明の実施形態に係る空気浮揚式免震装置について図面を参照して説明する。
図1は、地震発生前の空気浮揚式免震装置の概略図である。図2は、地震発生後に空気浮揚式免震装置が作動した状態の概略図である。図1と図2の相違は、浮上用空気充填室に圧縮空気が供給されているか否かの違いである。また、図1および図2は、建物の構造は省略している。
図1は、地震発生前の空気浮揚式免震装置の概略図である。図2は、地震発生後に空気浮揚式免震装置が作動した状態の概略図である。図1と図2の相違は、浮上用空気充填室に圧縮空気が供給されているか否かの違いである。また、図1および図2は、建物の構造は省略している。
空気浮揚式免震装置100は、人工基盤1、人工基盤1の上に設置される建物基礎2、金属シール板4、空気供給ユニット20、地震センサ24、制御部25、高さセンサ26により構成される。さらに、金属シール板4は、本実施形態では、建物基礎2の側面全周に気密にボルト10で固定され、下端が人工基盤1に弾性的に接する。
金属シール板4は、建物基礎2を複数に区画し、その周囲を金属シール板4で囲んでもよい。このようにすることで、建物の重量が偏っていても、バランスさせて水平に浮揚させることができる。建物5は、建物基礎2の上に組み置かれる。例えば、都市部での3階建ての戸建て住宅を考えると、1階は車庫で、2階3階が住居であれば、空気供給ユニット20等は1階車庫に収納してもよい。
建物5は、例えば木造建築の3階建てで重量が60トン程度とし、床面積を50平方メートル(約15坪)とすると、建物の圧力は約1200kgf/m2である。すなわち、0.12気圧程度である。
人工基盤1は、矩形状で、コンクリートで形成することができる。人工基盤1は、金属シール板4が接する上面に平滑表面部9を有する。地震の際、振動で人工基盤1がスライドしても、金属シール板4は、底部から空気が大きく漏れることを防止する。平滑表面部9は人工基盤1の上面の全体としても、所定の幅、例えば60cm~120cmとしてもよい。
平滑表面部9は、エンジン式回転鏝による研摩によって実現できる。ステンレスの金属板で被覆してもよいし、樹脂板を採用してもよい。平滑表面部9は、平滑さを凹凸の最大高低差で示す場合、±1mm以内であることが好ましい。人工基盤1は、地盤より高くして、塵や雨水などが入り込まないようにすることが好ましい。
図1に示すように、本実施形態では、建物基礎2の側面に金属シール板4を取付ける。金属シール板4は浮上用空気充填室3(本発明の「空間」に該当)の空気が漏れないようにシールする。金属シール板4は、上端が建物基礎2にボルト10等で固定され、下端は切り欠き溝8内に挿入される。金属シール板4は、撓んで弾性力が付勢され、下端が平滑表面部9に当接する。金属シール板4は、弾性力、強度、耐食性の点でステンレス板が好ましい。金属シール板4は、例えば、長さが1~3m、幅が15~25cm、厚さが0.15~0.6mmのものを使用できる。
また、図1に示すように、建物基礎2の上に空気供給ユニット20が設置される。建物基礎2の上には、建物5が構築される。空気供給ユニット20は、高圧タンク21、電磁弁22、空気供給管(配管)23で構成される。さらに、空気浮揚式免震装置100には地震センサ24、制御部25、高さセンサ26が備えられる。空気供給ユニット20は、建物基礎2内に設置されるので、地震の時、配管23が震動することがなく、配管23のずれや損傷が防止できる。
さらに、2階建ての住宅の場合には、空気供給ユニット20は、建物5の床下に設置してもよい。空気供給ユニット20は、容量5Lの高圧タンク21、電磁弁22、配管23で構成されるユニットで、例えば後述するように高圧タンクが1または2本となれば、ユニット毎に十分建物の床下に設置可能である。
さらに、2階建ての住宅の場合には、空気供給ユニット20は、建物5の床下に設置してもよい。空気供給ユニット20は、容量5Lの高圧タンク21、電磁弁22、配管23で構成されるユニットで、例えば後述するように高圧タンクが1または2本となれば、ユニット毎に十分建物の床下に設置可能である。
なお、上下水道管などは、建物の外部に接続されるのでフレキシブル管が使用される。配管23は、建物基礎2の上面から下面に貫通させ、浮上用空気充填室3に接続される。この配管23が貫通する接続口6は、1箇所でもよいが複数個所設けられるのが好ましい。配管の内径は40mmとするが、この内径に限られない。高圧タンク21の圧縮空気は、人工基盤1と建物基礎2の間の浮上用空気充填室3に送られる。圧縮空気の圧力で建物基礎2が浮揚される。すなわち、人工基盤1の揺れが空気によって抑制されるので、断震効果が発揮される。
地震発生時、地震センサ24が、地震の揺れである初期微動(P波)を感知すると制御部25にその信号が送られる。制御部25は、所定の揺れ幅が発生すると電磁弁22に開信号を送付する。これにより、圧縮空気が配管23を介して、浮上用空気充填室3に短時間で供給され、建物基礎2が浮揚する。
なお、所定の揺れ幅(P波の大きさ)以上で電磁弁22を開とする基準は制御部25で設定できるものとする。
なお、所定の揺れ幅(P波の大きさ)以上で電磁弁22を開とする基準は制御部25で設定できるものとする。
制御部25は、地震センサ24の信号を受けて電磁弁22に開信号を送付し、高さセンサ26が所定の高さを検知すると電磁弁22に閉信号を送付する。浮上用空気充填室3から圧縮空気は若干漏れるので、地震が長く続く場合は、高さセンサ26の信号により制御部25は、再度電磁弁22に開信号を送付し、圧縮空気が浮上用空気充填室3に供給されるようにしてもよい。図2に示す符号Hは、浮上用空気充填室3の高さで、地震の際は、圧縮空気の供給により、高さが3cmまで上昇する。なお、浮上高さは3cmに限らず、高さセンサ26の信号により制御部25で設定することができる。
地震を検知して、建物基礎2が浮上用空気充填室3に供給される圧縮空気で上昇し、この状態で人工基盤1が左右に振動したとする。人工基盤1が左右に動いても、地震鎮静後、人工基盤1と建物基礎2は、所定範囲の位置関係になるようにゴム板緩衝装置等を使用して位置ずれを抑制するようにしてもよい。
図3は、高圧タンク、流量増幅器および逆止弁を含む空気供給ユニットの概略図である。この空気供給ユニット20を使用することにより地震が発生しても短時間で建物を浮揚させることができる。
本空気浮揚式免震装置100の空気供給ユニット20は、図3に示すように容量5Lの高圧タンク40本を並列接続した合計体積200L、4.5MPaの圧力で圧縮空気を供給する。建物重量60トン、床面積50m2の戸建て住宅を短時間で浮上させるものである。この建物に高圧タンク21から内径1インチの電磁弁22と内径40mm、長さ10mの配管23を通り、短時間に建物を3cm浮上させる。
なお、本実施形態の建物や配管長さ等の設定例(以下、「実施例」という)は一例であり、建物の大きさによって種々変更されることはいうまでもない。
本空気浮揚式免震装置100の空気供給ユニット20は、図3に示すように容量5Lの高圧タンク40本を並列接続した合計体積200L、4.5MPaの圧力で圧縮空気を供給する。建物重量60トン、床面積50m2の戸建て住宅を短時間で浮上させるものである。この建物に高圧タンク21から内径1インチの電磁弁22と内径40mm、長さ10mの配管23を通り、短時間に建物を3cm浮上させる。
なお、本実施形態の建物や配管長さ等の設定例(以下、「実施例」という)は一例であり、建物の大きさによって種々変更されることはいうまでもない。
本発明の実施例では容量5Lの高圧タンクを使用する。従来の空気浮揚式免震装置では、200Lの圧縮空気タンクを6本使用しているため、圧縮空気タンク6本分を配置するスペースが大きい。例えば、建物内では約3畳分が必要となり、圧縮空気タンクの設置スペースを確保するのが難しい状況であった。本実施例では高圧タンク40本としているが、8~10本に低減できるため、高圧タンクの設置場所を、例えば1階車庫、住居の床下、建物外であればウッドデッキの下等、種々選択が可能である。
また、5Lの高圧タンクについては、高圧タンクの充填圧力は4.5MPaと高いが、容量は5Lであるため、第二種圧力容器には該当せず、製造、設置、使用について書類の提出等の手続きの必要はない。
また、5Lの高圧タンクについては、高圧タンクの充填圧力は4.5MPaと高いが、容量は5Lであるため、第二種圧力容器には該当せず、製造、設置、使用について書類の提出等の手続きの必要はない。
高圧タンクから圧縮空気を吐出するとき、高圧タンクの圧力が急激に低下するため、圧力タンク内の温度が低下し、場合によっては氷点下になって圧縮空気内の水蒸気が氷結することがある。これを防ぐために、高圧タンクは等温化圧力容器としての機能を備える。
すなわち、高圧タンク内に、銅、アルミニウム、ステンレス等の熱伝導性の高い金属材料により、体積が小さくなるような金属細線が形成され、さらに高圧タンク内の圧縮空気との接触面積が大きくなるように丸めた形状で充填収容される。金属材料に限らず、熱伝導性は金属には劣るが、例えばポリエステルの樹脂でも使用できる。
例えば、スチールウールで構成した場合、金属細線は高圧タンク21の容積の1%程度の容積で構成できることから、高圧タンク21の容積自体を大きく犠牲にすることはない。
すなわち、高圧タンク内に、銅、アルミニウム、ステンレス等の熱伝導性の高い金属材料により、体積が小さくなるような金属細線が形成され、さらに高圧タンク内の圧縮空気との接触面積が大きくなるように丸めた形状で充填収容される。金属材料に限らず、熱伝導性は金属には劣るが、例えばポリエステルの樹脂でも使用できる。
例えば、スチールウールで構成した場合、金属細線は高圧タンク21の容積の1%程度の容積で構成できることから、高圧タンク21の容積自体を大きく犠牲にすることはない。
この高圧タンク21は、続いて起こる可能性のある余震にも備え、複数回、例えば5回浮上可能な圧縮空気を充填する。この空気浮揚式免震装置により震度7の揺れであっても被害が発生しないよう軽減することが出来る。
ここで、建物5の浮上時間について、圧縮性流体の特性、すなわち、電磁弁22や配管23の長さによる有効断面積、高圧タンク21の容積、配管23内の流速、高圧タンク21の圧縮空気吐出時の温度変化等を基に検討する。
最初に、高圧タンク21に必要な圧力をボイルシャルルの法則を用いて求める。式(1)より力のつり合いにより空気圧を求める。ここで、Pは浮上用空気充填室3の圧力[Pa]、Aは建物基礎2床面積[m2]、mは建物の質量[kg]、gは重力加速度[m/s2]である。
式(1)の圧力Pを絶対圧力に変換する。Paは大気圧[kPa]、Psは持ち上げるのに必要な空気圧[kPa]である。
次に、ボイルシャルルの法則を使い、必要な高圧タンクへの充填圧力を求める。V1は建物を持ち上げるための浮上用空気充填室3の体積[L]、V2は高圧タンクの合計体積[L]、Ptは高圧タンクへの充填圧力[kPa]、nは浮上させる回数[回]である。
次に、ボイルシャルルの法則を使い、必要な高圧タンクへの充填圧力を求める。V1は建物を持ち上げるための浮上用空気充填室3の体積[L]、V2は高圧タンクの合計体積[L]、Ptは高圧タンクへの充填圧力[kPa]、nは浮上させる回数[回]である。
次に、電磁弁22および配管23の有効断面積を求める。電磁弁22の場合は内径の断面積の8割とし、配管23の有効断面積をS1[mm2]とすると、配管23の内径d[mm]、配管23の長さL[mm]、配管23の摩擦係数λを使用して、
で求められる。
で求められる。
ここで、空気供給ユニット20に使用する電磁弁22および配管23の個々の有効断面積から、それらを組み合わせた合成有効断面積Sを求める。
一般に、直列配置の合成有効断面積は、式(5)で求められる。Sは合成有効断面積[mm2]、Si(i=1~n)は、各要素の有効断面積である。
一般に、直列配置の合成有効断面積は、式(5)で求められる。Sは合成有効断面積[mm2]、Si(i=1~n)は、各要素の有効断面積である。
最後に高圧タンク(ゲージ圧力P1)から合成有効断面積Sとなる電磁弁および配管を介して空気を放出させる体積流量は、式(8)となる。Qanrは配管を流れる体積流量[L/min]、P1はタンクの圧力のゲージ圧[Mpa]である。
以上の各式に本発明の空気浮揚式免震装置100の実施例に関する数値を入力する。
まず、式(1)から建物基礎2および建物5を浮上させる圧力を求める。本実施例の設定では、建物5の質量は60トン(6×104kg)、床面積50m2であるから、
まず、式(1)から建物基礎2および建物5を浮上させる圧力を求める。本実施例の設定では、建物5の質量は60トン(6×104kg)、床面積50m2であるから、
式(3)より高圧タンク21の充填圧力を求める。床面積50m2、浮上高さ3cmとすると、体積V1は1.5m3であり、持ち上げる回数は5回としているから、高圧タンク本数を40本(5L×40本=200L)とすると、
この結果より、高圧タンク21の本数40本およびその高圧タンクの内圧4.5MPaは適切な値である。
ここで、圧縮機29により高圧タンク21に圧縮空気の充填が可能とし、停電でも蓄電池(バッテリー)等により圧縮機29の運転が可能として、持ち上げ回数を1回とすると、
となって、合計40L、すなわち高圧タンクが8本あれば、1回建物を上昇させることができる。
この結果より、高圧タンク21の本数40本およびその高圧タンクの内圧4.5MPaは適切な値である。
ここで、圧縮機29により高圧タンク21に圧縮空気の充填が可能とし、停電でも蓄電池(バッテリー)等により圧縮機29の運転が可能として、持ち上げ回数を1回とすると、
となって、合計40L、すなわち高圧タンクが8本あれば、1回建物を上昇させることができる。
有効断面積について、内径1インチの電磁弁22の有効断面積は400mm2とし、配管23は内径40mm、高圧タンク21と電磁弁22との配管等も含めて、長さ10mとすると、式(4)から配管23の1本分の有効断面積は513mm2であり(λ=0.02とする)、3本並列の配管として浮上用空気充填室3に供給すると、式(5)および(6)から、合成有効断面積Sは、
となる。
となる。
電磁弁22と配管23の3本の有効断面積を使用して浮上させるとき何秒かかるか検証する。高圧タンクのゲージ圧は4.4[Mpa]であるから、式(8)より配管23の流量を求めと、
であり、1秒間の流量は3.4×103[L/s]となり、式(7)より流速を計算すると音速を超えている。
この場合、高圧タンク21からの吐出流量の能力はあっても配管23の有効断面積とその流速を考慮する必要がある。
であり、1秒間の流量は3.4×103[L/s]となり、式(7)より流速を計算すると音速を超えている。
この場合、高圧タンク21からの吐出流量の能力はあっても配管23の有効断面積とその流速を考慮する必要がある。
実際には、配管23の空気の流速は音速以上にはならないので、流速は音速以下になるよう検討が必要である。
例えば、上記の設定で配管1本の有効断面積は513mm2となるが、その時の最大流速は330m/sである。体積流量は有効断面積×流速で求まるので、配管1本あたり0.17m3/sとなり、3本では、0.51m3/sとなる。
この場合、浮上用空気充填室3は、1.5m3の112[kPa]であるので、圧力を考慮すると体積流量1.68m3となるため、浮上時間は3.3秒となる。浮上時間を1秒とするためには、配管23を10本以上とすることになる。
例えば、上記の設定で配管1本の有効断面積は513mm2となるが、その時の最大流速は330m/sである。体積流量は有効断面積×流速で求まるので、配管1本あたり0.17m3/sとなり、3本では、0.51m3/sとなる。
この場合、浮上用空気充填室3は、1.5m3の112[kPa]であるので、圧力を考慮すると体積流量1.68m3となるため、浮上時間は3.3秒となる。浮上時間を1秒とするためには、配管23を10本以上とすることになる。
ここで、空気供給ユニット20に流量増幅器27を付加して、地震発生時の建物浮上時間を短縮することや高圧タンクの本数を減少させることを検討する。
図3を再度参照する。流量増幅器27は、増幅器本体入口から入った圧縮空気が狭い部分を通過することにより流速が増加し、本体内部に入った高速流が内壁面に沿って流れることで低圧状態を作り、大量の二次空気を引き込む。出口では数倍以上に風量を増幅することが可能となり、加えて出口付近の空気を巻き込むことでさらなる風量の増幅が得られる機器である。
本発明では、流量増幅器27に逆止弁28を付加する。浮上用空気充填室3は、作動状態では、建物5の重量により圧力が発生する。その浮上用空気充填室3の圧縮空気の逆流を、逆止弁28により防ぐ必要がある。
図3を再度参照する。流量増幅器27は、増幅器本体入口から入った圧縮空気が狭い部分を通過することにより流速が増加し、本体内部に入った高速流が内壁面に沿って流れることで低圧状態を作り、大量の二次空気を引き込む。出口では数倍以上に風量を増幅することが可能となり、加えて出口付近の空気を巻き込むことでさらなる風量の増幅が得られる機器である。
本発明では、流量増幅器27に逆止弁28を付加する。浮上用空気充填室3は、作動状態では、建物5の重量により圧力が発生する。その浮上用空気充填室3の圧縮空気の逆流を、逆止弁28により防ぐ必要がある。
以下、流量増幅器27の増幅率について説明する。
図4は、流量増幅器の増幅率を計測する測定装置の図である。流量測定装置は上流側からレギュレータ、流量計、流量増幅器27、管路(配管)、圧力センサで構成されており、制御装置(計測装置ではPC)により測定装置内を流れる流量と吐出口での圧力を計測した。
本計測装置では流入流量をレギュレータで調整し、流入流量と吐出口の圧力を計測した。流入流量は30、60、90、120 L/min(anr)とし、流量増幅器の入口または/および出口で、流量を抑制する抵抗を取り付けて、計測を実施した。
図4は、流量増幅器の増幅率を計測する測定装置の図である。流量測定装置は上流側からレギュレータ、流量計、流量増幅器27、管路(配管)、圧力センサで構成されており、制御装置(計測装置ではPC)により測定装置内を流れる流量と吐出口での圧力を計測した。
本計測装置では流入流量をレギュレータで調整し、流入流量と吐出口の圧力を計測した。流入流量は30、60、90、120 L/min(anr)とし、流量増幅器の入口または/および出口で、流量を抑制する抵抗を取り付けて、計測を実施した。
図5および図6に示す巻き込み最大とは、巻き込み効果が最大となる設定で、流量増幅器の入口および出口とも流量を制限する抵抗を取り付けない場合である。また、巻き込み最小とは、巻き込み効果が最小となる設定で、流量増幅器入口に巻き込み流量を制限する抵抗を設け、出口には設けない場合である。
2つの設定の測定結果を比較して、巻き込みの効果について考察した。また、吐出口のみ抵抗を設けた計測は、図7に示す吐出側の最大圧力値を計測するものである。
2つの設定の測定結果を比較して、巻き込みの効果について考察した。また、吐出口のみ抵抗を設けた計測は、図7に示す吐出側の最大圧力値を計測するものである。
図5は、流量増幅器の流入流量に対する吐出流量のデータを示す図である。
図5の横軸は流入流量であり、縦軸は吐出流量である。流入流量は4つの設定で実施した。
図5の吐出流量の数値から、巻き込み効果によって大幅な流量増加が確認できる。流入流量が少ない場合には、巻き込み効果による吐出流量の違いは比較的小さいが、流量が増えるにつれその差は大きくなる。また、各設定において、吐出流量は流入流量にほぼ比例して増加する。
なお、流量測定装置で流入流量は計測しているが、吐出流量は、吐出口の圧力値(動圧)から流速を求め、これに有効断面積を乗じて算出している。
図5の横軸は流入流量であり、縦軸は吐出流量である。流入流量は4つの設定で実施した。
図5の吐出流量の数値から、巻き込み効果によって大幅な流量増加が確認できる。流入流量が少ない場合には、巻き込み効果による吐出流量の違いは比較的小さいが、流量が増えるにつれその差は大きくなる。また、各設定において、吐出流量は流入流量にほぼ比例して増加する。
なお、流量測定装置で流入流量は計測しているが、吐出流量は、吐出口の圧力値(動圧)から流速を求め、これに有効断面積を乗じて算出している。
図6は、流量増幅器の流入流量に対する増幅率の算出データを示す図である。
図6の横軸は、流入流量をレイノルズ数で置換したものであり、縦軸は増幅率である。増幅率は、吐出流量/流入流量で算出したものである。
ここで、レイノルズ数Reは、密度ρ(1.185kg/m3)、体積流量Q(L/min)、配管の内径d(m)、粘性係数μ(1.8×10―5)から、式(10)で求められる。
図6の横軸は、流入流量をレイノルズ数で置換したものであり、縦軸は増幅率である。増幅率は、吐出流量/流入流量で算出したものである。
ここで、レイノルズ数Reは、密度ρ(1.185kg/m3)、体積流量Q(L/min)、配管の内径d(m)、粘性係数μ(1.8×10―5)から、式(10)で求められる。
図6に示すように、増幅率についても巻き込みの違いにより差がある。巻き込み効果が最大の場合には、およそ8倍の増幅率となっている。巻き込み効果が最小の場合には2倍程度である。また、各設定において増幅率は流入流量が増えるにつれ、緩やかに減少している。
なお、測定値の最も多い流入流量は120L/min(anr)であるが、実際には本実施例のように流入流量は大きくなる。流入流量が増加する場合、その分内径を大きくしてレイノルズ数は変わらなければ、同じような増幅率が期待できる。
なお、測定値の最も多い流入流量は120L/min(anr)であるが、実際には本実施例のように流入流量は大きくなる。流入流量が増加する場合、その分内径を大きくしてレイノルズ数は変わらなければ、同じような増幅率が期待できる。
図7は、流量増幅器の流入流量に対する吐出圧の計測データを示す図である。
図7の横軸は、流入流量であり、縦軸は吐出圧である。この場合、吐出口のみ抵抗で流量を制限した。
吐出圧は流入流量が増加するにつれ、流入流量の二乗に比例して増加している。また今回得られた流入流量120L/min(anr)での吐出圧は90Paであった。
この結果から、吐出圧は流入流量の二次式で近似でき、建物5を浮上させる圧力が12kPaのとき、流入流量は1533L/min(anr)となる。この値以上あれば、建物5を浮上させる圧力を保持することができる。
図7の横軸は、流入流量であり、縦軸は吐出圧である。この場合、吐出口のみ抵抗で流量を制限した。
吐出圧は流入流量が増加するにつれ、流入流量の二乗に比例して増加している。また今回得られた流入流量120L/min(anr)での吐出圧は90Paであった。
この結果から、吐出圧は流入流量の二次式で近似でき、建物5を浮上させる圧力が12kPaのとき、流入流量は1533L/min(anr)となる。この値以上あれば、建物5を浮上させる圧力を保持することができる。
ここで、建物を浮上させる回数を5回としているのは、本地震発生後に続く余震が発生しても同じように建物を浮上させるためで、5回分の圧縮空気を供給できる高圧タンクの必要数を備える。5回分の圧縮空気を高圧タンク21に保存するのは、地震発生後の停電で圧縮機29が作動できない場合を想定したものである。
また、地震後に停電となる場合もあることから、圧縮機29を作動させるために、バッテリー(蓄電池)を備えていてもよい。バッテリーを備えることで、高圧タンクへの空気の充填が停電時でも可能となるため、5回分の圧縮空気を蓄える必要がなくなり浮上回数を5回より少なくすることができる。
例えば、浮上1回分の空気を蓄えることができればよいとなれば、高圧タンク21の本数を減らすことができる。この場合、5Lの高圧タンク21は40本から8本に削減できる。
なお、バッテリー(蓄電池)は商用電源から充電してもよいし、太陽電池等の発電装置から充電可能としてもよい。いずれにしても地震発生後停電した場合に、建物を5回浮上できるように圧縮空気を充填できればよい。
例えば、浮上1回分の空気を蓄えることができればよいとなれば、高圧タンク21の本数を減らすことができる。この場合、5Lの高圧タンク21は40本から8本に削減できる。
なお、バッテリー(蓄電池)は商用電源から充電してもよいし、太陽電池等の発電装置から充電可能としてもよい。いずれにしても地震発生後停電した場合に、建物を5回浮上できるように圧縮空気を充填できればよい。
なお、本実施形態では、空気供給ユニット20は、圧縮機29も含めて1組の構成で、配管3本で圧縮空気を供給するとして説明したが、高圧タンク21、電磁弁22、流量増幅器27、逆止弁27および配管23とする空気供給ユニット20を1組(ユニット)とし、空気供給ユニット20を複数備える構成にしてもよい。
この時、各空気供給ユニット20から浮上用空気充填室3の複数の接続口6までの配管23の長さを短くすることができるため、上記で検討した配管の有効断面積が大きくなり1ユニット当たりの空気供給量が多くなる。
この時、各空気供給ユニット20から浮上用空気充填室3の複数の接続口6までの配管23の長さを短くすることができるため、上記で検討した配管の有効断面積が大きくなり1ユニット当たりの空気供給量が多くなる。
すなわち、配管内径40mm1本の有効断面積は上記では10mの長さで算出したが、複数の空気供給ユニット20を備える構成では、例えば配管の長さは1mで浮上用空気充填室3の各接続口6に接続できるとすれば、有効断面積は式(4)から1026mm2となり、1ユニットあたり供給できる流量は最大0.34m3/sとなる。
上記で設定した床面積50m2で60トンの建物を3cm浮上させるのに、5ユニット(1.68m3÷0.34m3≒5)の構成であれば、建物5を1秒の時間で上昇させることができる。
この場合、いずれも停電時には圧縮機29が作動するとして、少なくとも建物を1回浮上させる圧縮空気は、1ユニットの高圧タンク21は2本であればよく、さらに流量増幅器27を備えていれば、高圧タンクは1本の構成とすることができる。
上記で設定した床面積50m2で60トンの建物を3cm浮上させるのに、5ユニット(1.68m3÷0.34m3≒5)の構成であれば、建物5を1秒の時間で上昇させることができる。
この場合、いずれも停電時には圧縮機29が作動するとして、少なくとも建物を1回浮上させる圧縮空気は、1ユニットの高圧タンク21は2本であればよく、さらに流量増幅器27を備えていれば、高圧タンクは1本の構成とすることができる。
さらに、建物5の浮上時間をさらに短くするために、空気供給ユニット20のユニット数を増加させてもよい。この場合、圧縮機29やバッテリーは全ての空気供給ユニット20に共通のものであり、配管23により圧縮機29と接続される全ての空気供給ユニット20の高圧タンク21に圧縮空気を供給する。
また、地震センサ24や制御部25も空気供給ユニット20毎には必要はなく、制御部25からすべての空気供給ユニット20の電磁弁22に信号を送信すればよい。
また、地震センサ24や制御部25も空気供給ユニット20毎には必要はなく、制御部25からすべての空気供給ユニット20の電磁弁22に信号を送信すればよい。
従来技術では建物の浮上時間の根拠が明確ではなかったが、本発明では、圧縮性流体の性質に基づいて解析を行い、高圧タンク29は等温化圧力容器の機能を備えた圧力容器により、また空気供給ユニット20を複数備えることにより、建物の浮上時間は1秒以内が可能となった。さらに、流量増幅器27を使用することにより、高圧タンクの本数の削減が可能である。
1・・・人工基盤、2・・・建物基礎、3・・・浮上用空気充填室、4・・・金属シール板、5・・・建物、6・・・接続口、8・・・切り欠き部、9・・・平滑表面部、10・・・ボルト、20・・・空気供給ユニット、21・・・高圧タンク、22・・・電磁弁、23・・・空気供給管(配管)、24・・・地震センサ、25・・・制御部、26・・・高さセンサ、27・・・流量増幅器、28・・・逆止弁、29・・・圧縮機。
本発明は、上記の課題を解決するもので、地震センサにより地震のP波を検出し、所定の浮上時間で圧縮空気により建物を浮上させて地震の振動を抑制する。この空気浮揚式免震装置は、建物への被害を低減するだけでなく、建物の中でも揺れが最小限に抑えられ、物が落ちるといった危険も回避できる。
本空気浮揚式免震装置において、建物の浮上時間は非常に重要である。震源地が近いとP波とS波の到着時間の差は短くなってしまうため、可能な限り短時間で浮上させることが望ましい。
そこで本発明では、建物の浮上時間を短縮するため、圧縮空気タンクは等温化圧力容器の機能を備えた高圧の圧縮空気タンクを使用する。あわせて高圧の圧縮空気タンクを使用することで設置面積の減少を実現する。さらに、流量増幅器を使用することにより、さらに浮上時間の短縮を実現する。
本空気浮揚式免震装置において、建物の浮上時間は非常に重要である。震源地が近いとP波とS波の到着時間の差は短くなってしまうため、可能な限り短時間で浮上させることが望ましい。
そこで本発明では、建物の浮上時間を短縮するため、圧縮空気タンクは等温化圧力容器の機能を備えた高圧の圧縮空気タンクを使用する。あわせて高圧の圧縮空気タンクを使用することで設置面積の減少を実現する。さらに、流量増幅器を使用することにより、さらに浮上時間の短縮を実現する。
すなわち、本発明は、地震発生時のP波を検出して圧縮空気タンクから圧縮空気を吐出させ建物の下部に形成された空間に圧縮空気を供給して所定の浮上時間で建物を浮上させて地震の揺れを抑制する空気浮揚式免震装置であって、空気浮揚式免震装置は、空間に圧縮空気を供給する空気供給ユニットを備え、該空気供給ユニットは圧縮空気タンク、電磁弁および配管で構成され、圧縮空気タンクは高圧の圧縮空気タンクであって、等温化圧力容器としての機能を備え、高圧の圧縮空気タンクを備えたことにより圧縮空気タンクの設置面積を減少させ、所定の浮上時間は、電磁弁の内径ならびに配管の内径および長さにより算出される有効断面積を基に算出された時間であることを特徴とする空気浮揚式免震装置である。
また、本発明の空気浮揚式免震装置は、さらに地面に設置される人工基盤と、人工基盤の上の圧縮空気を充填する空間である浮上用空気充填室と、浮上用空気充填室の上に設けられる建物基礎と、地震センサおよび高さセンサの信号により電磁弁の開閉信号を送出する制御部と、で構成され、浮上用空気充填室は、建物基礎の下面と、人工基盤の上面と、上端が建物基礎の側面に気密に固定され下端は弾性的に折り曲げられ人工基盤の上面と当接する複数の金属シール板とで包囲して形成され、高圧の圧縮空気タンク内に熱伝導性の高い材料で形成された細線を束状にして充填し等温化圧力容器としての機能を備えたことを特徴とする。
さらに、空気浮揚式免震装置は、空気供給ユニットから空間または浮上用空気充填室の複数の接続口までの配管長さを短縮するために、複数の接続口と接続する複数の空気供給ユニットを備え、該複数の空気供給ユニットの高圧の圧縮空気タンクに圧縮空気を充填する圧縮機およびバッテリーを設けたことを特徴とする。
この構成により、配管を短くした複数の空気供給ユニットを使用することで短時間に大量の空気を供給でき、建物の浮上時間が短縮できる。
この構成により、配管を短くした複数の空気供給ユニットを使用することで短時間に大量の空気を供給でき、建物の浮上時間が短縮できる。
また、本発明は、地震発生時のP波を検出して圧縮空気タンクから圧縮空気を吐出させ建物の下部に形成された空間に圧縮空気を供給して所定の浮上時間で前記建物を浮上させて地震の揺れを抑制する空気浮揚式免震装置に備わる圧縮空気を前記空間に供給する空気供給ユニットであって、空気供給ユニットは圧縮空気タンク、電磁弁、流量増幅器、逆止弁および配管で構成され、圧縮空気タンクは高圧の圧縮空気タンクであって、該高圧の圧縮空気タンク内に熱伝導性の高い材料で形成された細線を束状にして充填し等温化圧力容器としての機能を備え、高圧の圧縮空気タンクを備えたことにより圧縮空気タンクの設置面積を減少させ、所定の浮上時間は、電磁弁の内径ならびに配管の内径および長さにより算出される有効断面積を基に算出された時間であることを特徴とする空気浮揚式免震装置の空気供給ユニットである。
この空気供給ユニットにより、流量を増幅させることができ浮上時間の短縮が可能となり、また高圧の圧縮空気タンクの本数を減少させることができる。
この空気供給ユニットにより、流量を増幅させることができ浮上時間の短縮が可能となり、また高圧の圧縮空気タンクの本数を減少させることができる。
Claims (5)
- 地震発生時のP波を検出して圧縮空気タンクから圧縮空気を吐出させ建物の下部に形成された空間に圧縮空気を供給して地震のS波が到達する前に前記建物を浮上させて地震の揺れを抑制する空気浮揚式免震装置であって、
前記空気浮揚式免震装置は、前記空間に圧縮空気を供給する空気供給ユニットを備え、該空気供給ユニットは前記圧縮空気タンク、電磁弁および配管で構成され、
前記圧縮空気タンクは高圧の圧縮空気タンクであって、等温化圧力容器としての機能を備えたことを特徴とする空気浮揚式免震装置。 - 請求項1に記載の空気浮揚式免震装置であって、
前記空気浮揚式免震装置は、さらに地面に設置される人工基盤と、
前記人工基盤の上の圧縮空気を充填する前記空間である浮上用空気充填室と、
前記浮上用空気充填室の上に設けられる建物基礎と、
地震センサの信号により前記電磁弁の開閉信号を送出する制御部と、で構成され、
前記浮上用空気充填室は、前記建物基礎の下面と、前記人工基盤の上面と、上端が前記建物基礎の側面に気密に固定され下端は弾性的に折り曲げられ前記人工基盤の上面と当接する複数の金属シール板とで包囲して形成され、
前記高圧の圧縮空気タンク内に熱伝導性の高い材料で形成された細線を束状にして充填し等温化圧力容器としての機能を備えたことを特徴とする空気浮揚式免震装置。 - 請求項1または2に記載の空気浮揚式免震装置であって、
前記空気供給ユニットは、さらに流量増幅器および逆止弁を備え、
前記空気浮揚式免震装置は、さらに前記高圧の圧縮空気タンクに圧縮空気を充填する圧縮機と、地震発生後に停電となったとき前記圧縮機ならびに前記電磁弁および該電磁弁を駆動させる前記制御部が動作可能なバッテリーと、が備えられたことを特徴とする空気浮揚式免震装置。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載の空気浮揚式免震装置であって、
前記空気浮揚式免震装置は、前記空気供給ユニットから前記空間または前記浮上用空気充填室の接続口までの配管長さを短縮するために複数の前記空気供給ユニットを備え、該複数の空気供給ユニットの前記高圧の圧縮空気タンクに圧縮空気を充填する前記圧縮機および前記バッテリーを設けたことを特徴とする空気浮揚式免震装置。 - 地震発生時のP波を検出して圧縮空気タンクから圧縮空気を吐出させ建物の下部に形成された空間に圧縮空気を供給して地震のS波が到達する前に前記建物を浮上させて地震の揺れを抑制する空気浮揚式免震装置に備わる圧縮空気を前記空間に供給する空気供給ユニットであって、
前記空気供給ユニットは前記圧縮空気タンク、電磁弁、流量増幅器、逆止弁および配管で構成され、
前記圧縮空気タンクは高圧の圧縮空気タンクであって、該高圧の圧縮空気タンク内に熱伝導性の高い材料で形成された細線を束状にして充填し等温化圧力容器としての機能を備えたことを特徴とする空気浮揚式免震装置の空気供給ユニット。
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- 2021-04-12 JP JP2021067412A patent/JP2022162492A/ja active Pending
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