JP2022162383A - ポリアミド樹脂組成物およびそれからなる成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】メタリックな色調を有し、かつ表面硬度、表面光沢度、機械的特性および熱寸法安定性に優れた成形体を得ることができる樹脂組成物を提供する。【解決手段】ポリアミド(A)100質量部と、平均繊維径が10μm以下であるセルロース繊維(B)5~200質量部と、メタリック顔料(C)0.1~12質量部とを含有するポリアミド樹脂組成物、および、前記ポリアミド樹脂組成物を製造するための方法であって、前記ポリアミド(A)の重合時にセルロース繊維を添加する、ポリアミド樹脂組成物の製造方法、および、前記ポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体。【選択図】なし
Description
本発明は、ポリアミド樹脂組成物およびそれからなる成形体に関する。
自動車のエンジンカバーや家電製品などの内外装カバーは、ポリアミド樹脂などの熱可塑性樹脂にて形成されることが一般的である。このような樹脂成形品の外観には、鋼やアルミニウム合金のようなメタリックな色調が要求される場合がある。特に近年では、樹脂成形品の美観に対する要求が高まり、単にメタリックな色調を有するだけでなく、光沢感も有することが要求されている。また、メタリックな色調の種類も、銀灰色からやや白みがかった灰白色のものまで様々な種類が要求されている。このような要求を満たすために、従来から、樹脂成形品の表面にアルミニウムなどの金属粉を含有する塗料を塗装する方法いわゆるメタリック塗装が行なわれていた。しかし、このメタリック塗装では、有機溶剤を使用するために、作業環境面で問題がある。また、生産性に劣りコストが高くなるといった問題があった。
本発明の発明者等は、以下の問題が生じることを見出した。
メタリック調を有するポリアミドとしては、例えば、特許文献1、2に、ポリアミドと層状珪酸塩とメタリック顔料とを含有する樹脂組成物が開示されている。しかしながら、特許文献1,2の樹脂組成物からなる成形品は、メタリックな色調が得られるものの、表面が柔らかいため、使用中に、傷がつき、外観が悪くなる場合があるという問題があった。さらに、従来のメタリック調を有する樹脂組成物から得られた成形体は、機械的特性や熱寸法安定性に問題が生じることがあった。
メタリック調を有するポリアミドとしては、例えば、特許文献1、2に、ポリアミドと層状珪酸塩とメタリック顔料とを含有する樹脂組成物が開示されている。しかしながら、特許文献1,2の樹脂組成物からなる成形品は、メタリックな色調が得られるものの、表面が柔らかいため、使用中に、傷がつき、外観が悪くなる場合があるという問題があった。さらに、従来のメタリック調を有する樹脂組成物から得られた成形体は、機械的特性や熱寸法安定性に問題が生じることがあった。
本発明は、上記課題を解決するものであって、メタリックな色調を有し、かつ表面硬度および表面光沢度に優れた成形体を得ることができる樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明はまた、上記課題を解決するものであって、メタリックな色調を有し、かつ表面硬度、表面光沢度、機械的特性および熱寸法安定性に優れた成形体を得ることができる樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、ポリアミドとメタリック顔料とを含有する樹脂組成物に、さらに特定のセルロース繊維を、ポリアミド100質量部に対して5質量以上含有させることにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
<1> ポリアミド(A)100質量部と、平均繊維径が10μm以下であるセルロース繊維(B)5~200質量部と、メタリック顔料(C)0.1~12質量部とを含有するポリアミド樹脂組成物。
<2> 前記ポリアミド樹脂組成物から得られた成形体の、JIS K 7197に従って測定されるMD方向の線膨張係数が40ppm/℃以下である、<1>に記載のポリアミド樹脂組成物。
<3> 前記ポリアミド樹脂組成物から得られた成形体の、JIS K 5600-5-4に従って測定される鉛筆硬度がB以上である、<1>または<2>に記載のポリアミド樹脂組成物。
<4> 前記メタリック顔料(C)が、アルミニウム、鉄、ニッケル、クロム、スズ、亜鉛、インジウム、チタン、シリコン、銅;これらの合金;およびこれらの金属または合金の酸化物、窒化物、硫化物および炭化物;ならびにチタンまたはその酸化物でコーティングされたマイカからなる群から選択される1種以上のメタリック顔料である、<1>~<3>のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
<5> <1>~<4>のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を製造するための方法であって、
前記ポリアミド(A)の重合時にセルロース繊維を添加する、ポリアミド樹脂組成物の製造方法。
<6> <1>~<5>のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体。
<1> ポリアミド(A)100質量部と、平均繊維径が10μm以下であるセルロース繊維(B)5~200質量部と、メタリック顔料(C)0.1~12質量部とを含有するポリアミド樹脂組成物。
<2> 前記ポリアミド樹脂組成物から得られた成形体の、JIS K 7197に従って測定されるMD方向の線膨張係数が40ppm/℃以下である、<1>に記載のポリアミド樹脂組成物。
<3> 前記ポリアミド樹脂組成物から得られた成形体の、JIS K 5600-5-4に従って測定される鉛筆硬度がB以上である、<1>または<2>に記載のポリアミド樹脂組成物。
<4> 前記メタリック顔料(C)が、アルミニウム、鉄、ニッケル、クロム、スズ、亜鉛、インジウム、チタン、シリコン、銅;これらの合金;およびこれらの金属または合金の酸化物、窒化物、硫化物および炭化物;ならびにチタンまたはその酸化物でコーティングされたマイカからなる群から選択される1種以上のメタリック顔料である、<1>~<3>のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
<5> <1>~<4>のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を製造するための方法であって、
前記ポリアミド(A)の重合時にセルロース繊維を添加する、ポリアミド樹脂組成物の製造方法。
<6> <1>~<5>のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体。
本発明によれば、メタリックな色調を有し、かつ表面硬度および表面光沢度に優れた成形体を得ることができる樹脂組成物を提供することができる。
また本発明によれば、メタリックな色調を有し、かつ表面硬度、表面光沢度、機械的特性および熱寸法安定性に優れた成形体を得ることができる樹脂組成物を提供することができる。
また本発明によれば、メタリックな色調を有し、かつ表面硬度、表面光沢度、機械的特性および熱寸法安定性に優れた成形体を得ることができる樹脂組成物を提供することができる。
[ポリアミド樹脂組成物]
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド(A)とセルロース繊維(B)とメタリック顔料(C)とを含有する。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド(A)とセルロース繊維(B)とメタリック顔料(C)とを含有する。
本発明に用いるポリアミド(A)は、アミノ酸、ラクタム、または、ジアミンとジカルボン酸とから形成されるアミド結合を有する重合体である。
アミノ酸としては、例えば、6-アミノカプロン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸が挙げられる。
ラクタムとしては、例えば、ε-カプロラクタム、ω-ラウロラクタムが挙げられる。
ジアミンとしては、例えば、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4-/2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、5-メチルノナメチレンジアミン、2,4-ジメチルオクタメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、3,8-ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジンが挙げられる。
ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、2-クロロテレフタル酸、2-メチルテレフタル酸、5-メチルイソフタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ジグリコール酸が挙げられる。
本発明に用いるポリアミド(A)の具体例としては、例えば、ポリカプロアミド(ポリアミド6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンウンデカミド(ポリアミド611)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ポリアミド116)、ポリドデカメチレンアジパミド(ポリアミド126)、ポリドデカメチレンセバカミド(ポリアミド1210)、ポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212)、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11)、ポリドデカンアミド(ポリアミド12)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド(ポリアミドTMHT)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ポリアミド6T)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ポリアミド6I)、ポリヘキサメチレンテレフタル/イソフタルアミド(ポリアミド6T/6I)、ポリヘキサメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド6T(H))、ポリビス(4-アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ポリアミドPACM12)、ポリビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ポリアミドジメチルPACM12)、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、ポリノナメチレンテレフタルアミド(ポリアミド9T)、ポリノナメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド9T(H))、ポリデカメチレンテレフタルアミド(ポリアミド10T)、ポリデカメチレンデカミド(ポリアミド1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)、ポリウンデカメチレンテレフタルアミド(ポリアミド11T)、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタルアミド(ポリアミド11T(H))が挙げられる。これらのポリマーを構成する2種以上のモノマーの共重合体、またはこれらのポリマーから選択される2種以上のポリマーの混合物いずれであってもよい。中でも、成形体のメタリック色調、表面硬度、表面光沢度、機械的特性および熱寸法安定性のさらなる向上の観点から、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12およびこれらの共重合体ならびに混合物からなる群から選択される1種以上のポリアミドが好ましく、ポリアミド6、ポリアミド66およびこれらの共重合体ならびに混合物からなる群から選択される1種以上のポリアミドがより好ましく、ポリアミド6がさらに好ましい。
本明細書中、メタリックな色調とは、成形体の表面に発現するメタリック色である。詳しくはフロップインデックスが高いほど、メタリック色調が優れている。
表面光沢度とは、成形体表面の光沢感に関する特性値である。表面光沢度が大きいほど、光沢感により優れていることを示す。なお、特記しない限り、表面光沢度は摩耗試験前の表面光沢度をいう。
表面硬度は、成形体表面の硬度に関する特性であり、本発明においては、鉛筆硬度および光沢残存率により評価され得る特性である。表面硬度は、鉛筆硬度および光沢残存率が共に優れた値を示すことにより、はじめて優れていると言える特性である。
鉛筆硬度は、成形体表面の硬度を示す1つの特性値であり、詳しくは鉛筆法による引っかき硬度に基づく特性値である。
光沢残存率は、成形体表面の硬度を示す1つの特性値であり、詳しくは成形体の表面光沢度が擦傷(例えば摩耗試験)によっても保持され得ることを示す特性値である。光沢残存率は、擦傷前後における表面光沢度の残存率により示される。
機械的物性は、成形体の機械的強度(例えば曲げ強度および曲げ弾性率)に関する特性のことである。
熱寸法安定性は、成形体の線膨張係数に関する特性のことである。
表面光沢度とは、成形体表面の光沢感に関する特性値である。表面光沢度が大きいほど、光沢感により優れていることを示す。なお、特記しない限り、表面光沢度は摩耗試験前の表面光沢度をいう。
表面硬度は、成形体表面の硬度に関する特性であり、本発明においては、鉛筆硬度および光沢残存率により評価され得る特性である。表面硬度は、鉛筆硬度および光沢残存率が共に優れた値を示すことにより、はじめて優れていると言える特性である。
鉛筆硬度は、成形体表面の硬度を示す1つの特性値であり、詳しくは鉛筆法による引っかき硬度に基づく特性値である。
光沢残存率は、成形体表面の硬度を示す1つの特性値であり、詳しくは成形体の表面光沢度が擦傷(例えば摩耗試験)によっても保持され得ることを示す特性値である。光沢残存率は、擦傷前後における表面光沢度の残存率により示される。
機械的物性は、成形体の機械的強度(例えば曲げ強度および曲げ弾性率)に関する特性のことである。
熱寸法安定性は、成形体の線膨張係数に関する特性のことである。
ポリアミド(A)の分子量は、特に限定されないが、成形体のメタリック色調、表面硬度、表面光沢度、機械的特性および熱寸法安定性のさらなる向上の観点から、ポリアミド樹脂の数平均分子量が1万~10万であることが好ましい。なお、数平均分子量は、示差屈折率検出器を備えたゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)装置を用い、ヘキサフルオロイソプロパノールを溶出液として40℃でPMMA換算にて求める値である。
ポリアミド(A)は、溶融重合法、固相重合法およびそれらを併用することで製造することができる。
本発明においてセルロース繊維(B)は後述する特定の平均繊維径を有するセルロース繊維である。本発明の樹脂組成物はセルロース繊維(B)を後述のメタリック顔料とともに含有することにより、機械的特性が向上するだけでなく、表面硬度および熱寸法安定性も向上する。樹脂組成物がセルロース繊維(B)を含有するのみでは十分なメタリック色調は得られない。また、樹脂組成物がメタリック顔料(C)を含有するのみでは、十分な機械的特性、表面硬度および熱寸法安定性は得られない。
本発明に用いるセルロース繊維(B)としては、例えば、木材、稲、綿、ケナフ、バガス、アバカ、麻等の植物に由来するものや、バクテリアセルロース、バロニアセルロース、ホヤセルロース等の生物由来のものや、再生セルロース、セルロース誘導体が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、セルロース繊維(B)を含有することによって、得られる成形体の機械的特性および熱寸法安定性を向上させることができ、表面硬度も高くすることができる。機械的特性、熱寸法安定性および表面硬度を十分に向上させるには、セルロース繊維を凝集させることなく、樹脂中に均一に分散させることが好ましい。セルロース繊維は、ポリアミドと接するセルロース繊維表面の水酸基が多いほど分散しやすいため、表面積が大きいことが好ましい。このため、セルロース繊維(B)は、できるだけ微細化されたものが好ましい。そのために使用するセルロース繊維としては、最終的に樹脂組成物中に均一に分散できるものであれば、化学的に未変性のものでも、化学的に変性させたものでも、特に限定されない。セルロース繊維の代わりに他の繊維(例えば、膨潤性フッ素雲母等)を用いると、表面硬度が低下する。
本発明の樹脂組成物におけるセルロース繊維(B)の平均繊維径は、10μm以下であることが必要で、成形体のメタリック色調、表面硬度、表面光沢度、機械的特性および熱寸法安定性のさらなる向上の観点から、好ましくは1μm以下であり、より好ましくは500nm以下であり、さらに好ましくは400nm以下(特に1~400nm)であり、十分に好ましくは5~200nmであり、特に好ましくは20~200nmであり、最も好ましくは20~100nmである。平均繊維径が10μmを超える場合、セルロース繊維の表面積が少なくなり、ポリアミド樹脂やポリアミドを形成するモノマーに対する分散性や親和性を向上させることが困難となり、セルロース繊維の分散性が低下し、得られる成形体の表面硬度および機械特性の向上効果が小さいので好ましくない。一方、平均繊維径の下限は、セルロース繊維の生産性を考慮すると4nm以上とすることが好ましい。なお、後述のようにポリアミド(A)を成形体とする場合のセルロース繊維の平均繊維径は、成形によりセルロース繊維に剪断力がかかり、用いたセルロース繊維よりも、小さくなる傾向がある。成形体におけるセルロース繊維(B)の平均繊維径を10μm以下とするには、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維を用いればよい。
本発明の樹脂組成物におけるセルロース繊維(B)の平均繊維長は、0.2μm以上であることが好ましく、成形体のメタリック色調、表面硬度、表面光沢度、機械的特性および熱寸法安定性のさらなる向上の観点から、好ましくは0.5μm以上であり、より好ましくは0.8μm以上である。セルロース繊維(B)の平均繊維長の上限値は特に限定されず、平均繊維長は通常、100μm以下であり、成形体のメタリック色調、表面硬度、表面光沢度、機械的特性および熱寸法安定性のさらなる向上の観点から、好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。なお、後述のようにポリアミド(A)を成形体とする場合のセルロース繊維の平均繊維径は、成形によりセルロース繊維に剪断力がかかり、用いたセルロース繊維よりも、小さくなる傾向がある。成形体におけるセルロース繊維(B)の平均繊維長を0.2μm以上とするには、平均繊維長が0.2μm以上のセルロース繊維を用いればよい。
本明細書中、樹脂組成物におけるセルロース繊維(B)の平均繊維径および平均繊維長は、当該樹脂組成物を用いて得られた成形体における平均繊維径および平均繊維長を用いている。詳しくは、十分に乾燥した樹脂組成物を、射出成形機(日精樹脂工業社製 NEX110-12E)を用いて射出成形して得られた、ISO規格3167に記載の多目的試験片A型の平均繊維径および平均繊維長を用いている。このときの詳しい成形条件は以下の通りである。なお樹脂組成物におけるセルロース繊維(B)の平均繊維径は、当該樹脂組成物を用いて得られた成形体における平均繊維径および平均繊維長とほとんど変わらない。ポリアミド樹脂(A)がポリアミド6の場合、射出成形の条件は、樹脂温度250℃、金型温度70℃、射出速度10~150mm/s、射出時間11秒、冷却時間20秒とした。ポリアミド樹脂(A)がポリアミド66の場合、射出成形の条件は、樹脂温度290℃、金型温度80℃、射出速度10~150mm/s、射出時間11秒、冷却時間20秒とした。
セルロース繊維の平均繊維径を10μm以下とするためには、ポリアミド樹脂に配合するセルロース繊維として、平均繊維径が10μm以下のものを用いることが好ましい。平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維(B)は、セルロース繊維を引き裂くことによってミクロフィブリル化することにより得ることができる。ミクロフィブリル化する手段としては、ボールミル、石臼粉砕機、高圧ホモジナイザー、ミキサー等各種粉砕装置を用いることができる。上記のミクロフィブリル化したセルロース繊維の水分散液の市販品としては、例えば、ダイセルファインケム社製の「セリッシュ」や中越パルプ工業社製「ナノフォレスト」が挙げられる。
平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維(B)としては、微細化セルロースも用いることができる。微細化セルロースは、例えば、N-オキシル化合物と共酸化剤と臭化アルカリ金属を含む水溶液中で、セルロース繊維を酸化させた後、水洗、解繊をおこなうことにより製造することができる。N-オキシル化合物としては、2,2,6,6-Tetramethylpiperidine-1-oxyl radical等が挙げられ、共酸化剤としては、次亜塩素酸ナトリウムや亜塩素酸ナトリウム等が挙げられる。反応は、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ性の化合物を添加してpHを10付近としてから、pHの変化が見られなくなるまでおこなう。反応温度としては、常温が好ましい。反応後、系内に残存するN-オキシル化合物や共酸化剤や臭化アルカリ金属を除去することが好ましい。水洗方法としては、ろ過や遠心分離による方法が挙げられる。解繊方法としては、上記のミクロフィブリル化する際に挙げた各種粉砕装置による方法が挙げられる。
平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維(B)として、セルロース繊維を用いた繊維製品の製造工程において、屑糸として出されたセルロース繊維の集合体を用いることもできる。繊維製品の製造工程とは紡績時、織布時、不織布製造時、その他、繊維製品の加工時等が挙げられる。これらのセルロース繊維の集合体は、セルロース繊維がこれらの工程を経た後に屑糸となったものであるため、セルロース繊維が微細化したものとなっている。
平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維(B)としては、バクテリアが産出するバクテリアセルロースも用いることができる。バクテリアセルロースとしては、例えば、アセトバクター属の酢酸菌を生産菌として産出されたものが挙げられる。植物のセルロースは、セルロースの分子鎖が収束したもので、非常に細いミクロフィブリルが束になって形成されているものであるのに対し、酢酸菌より産出されたセルロースはもともと幅20~50nmのリボン状であり、植物のセルロースと比較すると極めて細い網目状を形成している。バクテリアセルロースは、バクテリアが前記セルロースとともに酢酸を産出するため、酢酸と併存することがある。その場合、溶媒を水に置換して用いることが好ましい。
また、セルロース繊維は、セルロース由来の水酸基がいかなる置換基によっても変性されていない未変性のセルロース繊維であってもよいし、またはセルロース由来の水酸基(特にその一部)が変性(または置換)された変性セルロース繊維であってもよい。セルロース由来の水酸基に導入される置換基としては特に限定されず、例えば、親水性の置換基、疎水性の置換基が挙げられる。変性セルロース繊維において、置換基により変性(または置換)される水酸基は、セルロース由来の水酸基のうちの一部であり、その置換度としては、例えば、0.05~2.0が好ましく、0.1~1.0がより好ましく、0.1~0.8がさらに好ましい。なお、置換度とは、セルロースを構成する単位構造(グルコピラノース環)あたりの導入された置換基の個数を表す。すなわち、「導入された置換基のモル数を、グルコピラノース環の総モル数で割った値」として定義される。純粋なセルロースは単位構造(グルコピラノース環)あたり3個の置換可能な水酸基を有しているため、本発明のセルロース繊維の置換度の理論最大値は3、理論最小値は0である。親水性の置換基としては、例えば、カルボキシル基、カルボキシメチル基、リン酸エステル基等が挙げられる。疎水性の置換基としては、例えば、シリルエーテル基、アルキルエーテル基、アルキルエステル基等が挙げられる。
セルロース繊維(B)は、成形体のメタリック色調、表面硬度、表面光沢度、機械的特性および熱寸法安定性のさらなる向上の観点から、未変性セルロース繊維、親水性の置換基で変性されたセルロース繊維またはそれらの混合繊維であることが好ましく、未変性セルロース繊維であることがより好ましい。
本発明の成形体におけるセルロース繊維(B)のアスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)は、10以上であることが好ましく、20以上であることがより好ましく、30以上であることがより好ましく、50以上であることがより好ましい。アスペクト比を10以上とすることにより、得られる成形体の機械的特性をより向上させることができる。セルロース繊維(B)のアスペクト比の上限値は特に限定されず、当該アスペクト比は通常、300以下、特に200以下である。
本発明のポリアミド樹脂組成物において、セルロース繊維(B)の含有量は、ポリアミド(A)100質量部に対して、5~200質量部であることが必要であり、成形体のメタリック色調、表面硬度、表面光沢度、機械的特性および熱寸法安定性のさらなる向上の観点から、好ましくは8質量部を超えて200質量部、より好ましく8質量部を超えて100質量部、さらに好ましくは8質量部を超えて55質量部、特に好ましくは8質量部を超えて30質量部である。セルロース繊維の含有量がポリアミド(A)100質量部に対して5質量部未満である場合、得られる成形体の表面硬度、熱寸法安定性および機械的特性の向上効果が小さいため好ましくない。一方、セルロース繊維(B)の含有量がポリアミド(A)100質量部に対して200質量部を超える場合、セルロース繊維(B)を樹脂組成物中に含有させることが困難となったり、溶融樹脂の流動性が悪化するため樹脂組成物の成形性が低下したり、樹脂表面にセルロース繊維が浮き出てしまい表面外観が悪化したり、得られた樹脂組成物に着色が生じたりする場合がある。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、メタリック色調の観点から、メタリック顔料(C)を含有させることが必要である。メタリック顔料(C)はメタリック粒子であってもよい。メタリック顔料(C)は、本発明のポリアミド樹脂組成物の製造に際し、メタリック粒子単独の形態で使用されてもよいし、またはメタリック粒子および分散媒を含むペーストまたは分散液の形態で使用されてもよい。メタリック顔料(C)がペーストまたは分散液の形態で使用される場合、当該ポリアミド樹脂組成物中においては通常、その製造過程の加熱および混練により分散媒は除去されている。分散媒は、メタリック粒子を流動または分散させ得る溶媒であれば特に限定されず、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールであってもよい。
本発明に用いるメタリック顔料(C)は、本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されない。メタリック顔料(C)としては、例えば、アルミニウム、鉄、ニッケル、クロム、スズ、亜鉛、インジウム、チタン、シリコン、銅;これらの合金;これらの金属または合金の酸化物、窒化物、硫化物および炭化物が挙げられる。そのほか、チタンまたはその酸化物でコーティングされたマイカ(例えばパールマイカ)も用いることができる。中でも、ポリアミド樹脂組成物のメタリック色調の向上の効果が優れることから、アルミニウム、鉄、それらの酸化物、およびチタンまたはその酸化物でコーティングされたマイカからなる群から選択されるメタリック顔料が好ましい。メタリック顔料(C)は、上記のうち1つを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。メタリック顔料(C)は、成形体のメタリック色調、表面硬度、表面光沢度、機械的特性および熱寸法安定性のさらなる向上の観点から、アルミニウム、およびチタンまたはその酸化物でコーティングされたマイカからなる群から選択される1種以上が好ましい。
メタリック顔料(C)の形状は、特に限定されず、例えば、粒状、板状等であってもよい。中でも、メタリック特性の観点から板状が好ましい。メタリック顔料(C)において、板状とはフレーク状または平板状のことである。メタリック顔料(C)において、粒状とは全体として粒のような形状を有していればよく、例えば、略球状、略楕円球形状、略立方体形状、略直方体形状またはそれらの複合形状であってもよい。
メタリック顔料(C)の平均粒子径は、成形体のメタリック色調、表面硬度、表面光沢度、機械的特性および熱寸法安定性のさらなる向上の観点から、1~100μmであることが好ましく、2~80μmであることがより好ましく、3~60μmであることがさらに好ましく、4~40μmであることが特に好ましい。平均粒子径が1μm未満では、メタリック顔料(C)自体を得ることが難しく、また、そのようなメタリック顔料(C)を得たとしても、メタリック色調を向上する効果が低い。一方、メタリック顔料(C)の平均粒子径が100μmを超えると、ポリアミド樹脂組成物を得る際のハンドリングが難しくなり、原料メタリック顔料(C)が有していた平均粒子径を維持しながら溶融混合をすることが困難となる。また、溶融混合ができたとしても、得られるポリアミド樹脂組成物の成形体は、メタリック色調が高いものの、意匠性に劣る傾向が高い。
メタリック顔料(C)の平均粒子径は、粒状のとき、最大径(または最大長)の平均値のことであり、板状のとき、最大面における最大長の平均値のことである。
メタリック顔料(C)の平均粒子径は、最大長の平均値のことであり、レーザ回折・散乱式粒度分布測定装置、例えば、マイクロトラック2(日機装社製)により測定された任意の100個の平均値である。
メタリック顔料(C)の平均粒子径は、最大長の平均値のことであり、レーザ回折・散乱式粒度分布測定装置、例えば、マイクロトラック2(日機装社製)により測定された任意の100個の平均値である。
メタリック顔料(C)が板状を有する場合、その平均厚みは20nm~30μmであることが好ましく、30nm~20μmであることがより好ましく、30nm~10μmであることがさらに好ましく、100nm~500nmであることが特に好ましい。平均厚みが20nm未満のメタリック顔料(C)は、剛性に劣り、溶融混合した際に、形状を保つことが難しくなり、したがって、十分なメタリック色調を有する成形体を得ることが難しくなる。一方、平均厚みが30μmを超えるメタリック顔料(C)は、その配向が低下し、得られる成形体は、メタリック色調に劣ったものとなる。メタリック顔料(C)の平均厚みは、電子顕微鏡によるメタリック顔料50個測定の単純平均により算出することができる。
メタリック顔料(C)が板状を有する場合、そのアスペクト比(平均粒子径/平均厚み)は、2~2000であることが好ましく、2~1000であることがより好ましく、2~500であることがさらに好ましい。アスペクト比が2未満であると、得られる成形体のメタリック色調は劣ったものとなる。アスペクト比が2000を超えるものは工業的に得ることは難しく、また得られたとしても分散安定性が劣り、得られる成形体の表面平滑性が損なわれたものとなる。メタリック顔料(C)のアスペクト比は、前記平均粒子径の値を前記平均厚み値で除することにより求めることができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物におけるメタリック顔料(C)の含有量は、ポリアミド(A)100質量部に対し、0.1~12質量部(特に0.1~10質量部)であることが必要であり、メタリック色調、表面硬度、表面光沢度、機械的特性および熱寸法安定性のさらなる向上の観点から、0.3~8質量部であることが好ましく、0.5~6質量部であることがより好ましく、0.6~3質量部であることがさらに好ましい。メタリック顔料(C)の含有量が0.1質量部未満では、得られる成形体は、メタリック色調が不足するので好ましくない。一方、前記含有量が12質量部を超えると、得られる成形体は、フローマークが発生して意匠性が損なわれるので好ましくない。なお、メタリック顔料(C)を上記のようなペーストまたは分散液の形態で用いる場合、メタリック顔料(C)の含有量は、メタリック顔料(C)の固形分(メタリック粒子)のみの含有量に換算した値である。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、顔料、層状珪酸塩、充填材、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、離型剤、滑剤、帯電防止剤、結晶核剤等の添加剤を含有してもよい。
また、本発明のポリアミド樹脂組成物は、その特性を大きく損なわない限りにおいてポリアミド樹脂以外の他の重合体を含有していてもよい。他の重合体としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ(アクリロニトリル-スチレン)共重合体、ポリ(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)共重合体、液晶ポリマー、ポリアセタールなどが挙げられる。
[ポリアミド樹脂組成物の製造方法]
本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法は特に限定されないが、例えば、ポリアミド樹脂の重合時にセルロース繊維を添加するとともに、重合反応を「ポリアミド樹脂の融点」未満の温度で行うことにより製造することができる。本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法において、ポリアミド樹脂を構成するモノマーと、セルロース繊維の水分散液と、必要に応じて触媒を均一に混合した混合分散液を、「ポリアミド樹脂の融点」未満の温度に加熱して重合反応することにより、セルロース繊維を含有したポリアミド(以下、「ポリアミドX」と略称する。)を作製する(重合工程)。このとき、分散液を加熱する際に徐々に水蒸気を排出することにより、セルロース繊維の水分散液中の水分を排出することができる。また、重合反応は静置しておこなってもよく、攪拌しながらおこなってもよい。その後、ポリアミドXと、メタリック顔料(C)とを溶融混練することによって製造することができる(溶融混練工程)。樹脂組成物は、いわゆるペレットの形態を有していてもよい。ポリアミド(A)の重合時とは、ポリアミド(A)を構成するモノマーを用いた重合時だけでなく、ポリアミドを構成し得るプレポリマーを用いた重合時も包含する。重合させるモノマーは、プレポリマーであってもよい。プレポリマーとは、モノマーがポリマー化する途中の中間生成物のことである。
本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法は特に限定されないが、例えば、ポリアミド樹脂の重合時にセルロース繊維を添加するとともに、重合反応を「ポリアミド樹脂の融点」未満の温度で行うことにより製造することができる。本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法において、ポリアミド樹脂を構成するモノマーと、セルロース繊維の水分散液と、必要に応じて触媒を均一に混合した混合分散液を、「ポリアミド樹脂の融点」未満の温度に加熱して重合反応することにより、セルロース繊維を含有したポリアミド(以下、「ポリアミドX」と略称する。)を作製する(重合工程)。このとき、分散液を加熱する際に徐々に水蒸気を排出することにより、セルロース繊維の水分散液中の水分を排出することができる。また、重合反応は静置しておこなってもよく、攪拌しながらおこなってもよい。その後、ポリアミドXと、メタリック顔料(C)とを溶融混練することによって製造することができる(溶融混練工程)。樹脂組成物は、いわゆるペレットの形態を有していてもよい。ポリアミド(A)の重合時とは、ポリアミド(A)を構成するモノマーを用いた重合時だけでなく、ポリアミドを構成し得るプレポリマーを用いた重合時も包含する。重合させるモノマーは、プレポリマーであってもよい。プレポリマーとは、モノマーがポリマー化する途中の中間生成物のことである。
(重合工程)
ポリアミドXは、例えば、ポリアミド(A)を構成するモノマーまたはプレポリマーとセルロース繊維の水分散液との混合液を、ミキサー等で攪拌することにより均一な分散液とし、「ポリアミド(A)の融点」未満の温度に加熱して重合反応することにより得ることができる。
ポリアミドXは、例えば、ポリアミド(A)を構成するモノマーまたはプレポリマーとセルロース繊維の水分散液との混合液を、ミキサー等で攪拌することにより均一な分散液とし、「ポリアミド(A)の融点」未満の温度に加熱して重合反応することにより得ることができる。
「ポリアミド(A)の融点」とは「目的とするポリアミド(A)の融点」のことであり、詳しくはポリアミドXを構成するポリアミド(A)のモノマーまたはプレポリマーのみを用いて溶融重合法により十分に重合を行って得られるポリアミド(A)の融点である。溶融重合法とは、溶媒を用いることなく、加熱により重合を十分に行い、溶融状態でポリアミド樹脂を得る方法である。従って、当該溶融重合法における重合温度は、得られるポリアミド樹脂(すなわち、「目的とするポリアミド(A)」)の融点よりも高い。このような溶融重合法における重合温度は、例えば、ポリアミド6の場合、230~250℃(特に240℃)であり、また例えば、ポリアミド66の場合、250~290℃(特に280℃)である。当該溶融重合法における重合時間は通常、0.5~2時間であってもよく、特に1時間である。
ポリアミドXを製造するに際しては、まず、使用される原料としてのモノマーまたはプレポリマーのみを用いて上記した溶融重合法により十分に重合を行い、ポリアミド(A)(詳しくは「目的とするポリアミド(A)」)を得る。次いで、得られたポリアミド(A)の融点を測定する。例えば、「目的とするポリアミド(A)」がポリアミド6の場合、「目的とするポリアミド(A)の融点」は通常、220℃である。また例えば、「目的とするポリアミド(A)」がポリアミド66の場合、「目的とするポリアミド(A)の融点」は通常、270℃である。融点の測定方法は特に限定されず、例えば、示差走査型熱量計により測定することができる。その後、モノマー(またはプレポリマー)およびセルロース繊維水分散液を含む混合分散液を、当該「融点」未満の温度で重合反応に供することにより、ポリアミドXを製造することができる。
ポリアミドXの製造方法においては、上記のように、従来の溶融重合法よりも低温にて重合を行うため、このような重合を「低温重合」と称することができる。低温重合により得られるポリアミドXは固形状態(または固相状態)で得られる。
セルロース繊維の水分散液は、精製水とセルロース繊維とをミキサー等で攪拌することにより得ることができる。水分散液中のセルロース繊維の含有量は0.01~50質量%、特に1~30質量%であることが好ましい。
ポリアミドXを得るための低温重合時において、必要に応じて重合触媒を添加してもよい。重合触媒としては、ポリアミドの溶融重合に通常用いられるものであれば特に限定されない。中でも、リン系化合物が好ましく、亜リン酸または次亜リン酸ナトリウムを用いることが好ましい。
ポリアミドXを得るための低温重合時において、重合温度は、詳しくは、「目的とするポリアミド(A)の融点」をMp(℃)としたとき、Mp-75(℃)以上、Mp未満であることが必要であり、Mp-55(℃)以上、Mp-15(℃)以下であることが好ましく、Mp-45(℃)以上、Mp-25(℃)以下であることがさらに好ましく、Mp-35(℃)以上、Mp-25(℃)以下であることがさらに好ましい。重合温度がMp-75(℃)未満であると、反応速度が遅くなり、実用上必要な重合度に達するまでの時間が長くなる。一方、重合温度がMp以上では、生成したポリマーが溶融し、それに伴う粘度上昇によって操業性が低下したり、着色が生じたりする場合がある。さらには、セルロース繊維の熱劣化が起こるため、得られるポリアミドXの機械的特性が十分に向上しない。
ポリアミドXを得るための低温重合時において、重合時間は通常、ポリアミドXを構成するポリアミド(A)が「目的とするポリアミド(A)の融点」を有するようになる時間であり、例えば、8時間以上(特に8~24時間)であり、好ましくは10~20時間、より好ましくは10~14時間である。
低温重合は、不活性ガス流通下で行われても、または不活性ガスを流通させることなく、空気雰囲気下で行われてもよいが、表面硬度、表面光沢度、機械的特性および熱寸法安定性のさらなる向上の観点から不活性ガス流通下で行われることが好ましい。
ポリアミドXの製造方法によれば、Mp未満の温度で重合するため、生成したポリアミドは溶融せず、固相重合へと移行してもよい。なお、必要に応じて、生成したポリアミドXの破砕および/または精練をおこなった後に、固相重合によりさらに高分子量化してもよい。ここでいう生成したポリアミドXには、モノマーがポリマー化する途中の中間生成物、すなわちオリゴマーや低重合体も含む。
低温重合の後に行われてもよい固相重合は、ポリアミドX、または必要に応じて破砕および/または精練した後のポリアミドXを、不活性ガス流通下または減圧下で、「ポリアミドXの融点」未満の温度で30分以上加熱することにより行うことが好ましく、1時間以上(例えば1~10時間)加熱することにより行うことが好ましい。
「ポリアミドXの融点」は、ポリアミドXを用いること以外、上記した融点の測定方法と同様の方法により測定することができる。
固相重合時の加熱温度は通常、「ポリアミドXの融点」をMp’(℃)としたとき、Mp’-75(℃)以上、Mp’未満であり、Mp’-55(℃)以上、Mp’-15(℃)以下であることが好ましく、Mp’-45(℃)以上、Mp’-25(℃)以下であることがさらに好ましく、Mp’-35(℃)以上、Mp’-25(℃)以下であることがさらに好ましい。当該加熱温度が、Mp’-75(℃)未満であると、反応速度が遅くなることがある。一方、加熱温度がMp’以上では、ポリアミドXを構成するポリマー(すなわちポリアミド(A))が融着したり、着色が生じたりする場合がある。
ポリアミドXは、破砕することにより粉末形状(またはフレーク形状)にすることができる。また、前記ポリアミドXを押出機に供給し、ストランドカッターによりペレット状にすることもできる。ペレットのサイズは特に限定されないが、ハンドリングの観点や後述する精練の効率の観点から、直径2~5mm、長さ3~6mmとすることが好ましく、直径3~4mm、長さ4~5mmとすることがより好ましい。
重合効率を高めるため、重合触媒を用いてもよい。重合触媒は、重合前、重合中、精練前、精練中、精練後いずれの工程で添加してもよいが、重合前に添加することが好ましい。重合触媒としては、ポリアミドの溶融重合に通常用いられるものであれば特に限定されない。ポリアミド樹脂の重合時においては必要に応じてリン酸や亜リン酸等の触媒を添加しても良い。
セルロース繊維としてバクテリアセルロースを用いる場合においては、セルロース繊維の水分散液として、バクテリアセルロースを精製水に浸して溶媒置換したものを用いてもよい。バクテリアセルロースの溶媒置換したものを用いる際には、溶媒置換後、所定の濃度に調整したものを、ポリアミド樹脂を構成するモノマーに混合し、上記と同様に重合反応を進行させることが好ましい。
上記方法においては、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維を水分散液のまま重合反応に供することになるため、セルロース繊維を分散性が良好な状態で重合反応に供することができる。
このような製造法により、ポリアミド樹脂中にセルロース繊維を比較的小さな平均繊維径で凝集させずに均一に分散させることが可能となる。セルロース繊維の存在下に重合させるモノマーは、プレポリマーであってもよい。ここで、プレポリマーとは、モノマーがポリマー化する途中の中間生成物のことである。
重合反応時(例えば重合反応前、重合反応中または重合反応後)に、上記した樹脂組成物中に添加されてもよい添加剤を加えてもよい。
上記方法においては、セルロース繊維を乾燥させる工程が不要となり、微細なセルロース繊維の飛散が生じる工程を経ずに製造が可能であるため、操業性よくポリアミド樹脂またはポリアミド樹脂組成物を得ることが可能となる。またモノマーとセルロース繊維を均一に分散させる目的として水を有機溶媒に置換する必要がないため、ハンドリングに優れるとともに製造工程中において化学物質の排出を抑制することが可能となる。
ポリアミドXは、未反応のモノマーやオリゴマーを除去するため、90~100℃の水に浸漬して、精練することが好ましい。
(溶融混練工程)
ポリアミドXとメタリック顔料(C)は、公知の溶融混練押出機を用いることにより、溶融混練することができる。溶融混練押出機へのメタリック顔料(C)の供給方法としては、ポリアミドXにメタリック顔料(C)を混合したものを、主ホッパーより一括投入してもよいが、メタリック顔料(C)の破砕あるいは折損を極力抑制するため、メタリック顔料(C)を押出機途中よりサイドフィーダーにて供給することが好ましく、なるべく押出機下流にて供給することがより好ましい。
ポリアミドXとメタリック顔料(C)は、公知の溶融混練押出機を用いることにより、溶融混練することができる。溶融混練押出機へのメタリック顔料(C)の供給方法としては、ポリアミドXにメタリック顔料(C)を混合したものを、主ホッパーより一括投入してもよいが、メタリック顔料(C)の破砕あるいは折損を極力抑制するため、メタリック顔料(C)を押出機途中よりサイドフィーダーにて供給することが好ましく、なるべく押出機下流にて供給することがより好ましい。
ポリアミドXとメタリック顔料(C)とは、十分に溶融混練されていなくてもよく、その後の成形加工(例えば射出成形加工)において、作業に支障がでない範囲で混合できていればよい。必要に応じて、ポリアミドXとメタリック顔料(C)とをドライブレンドしたものを直接射出成形機に供給してもよいし、または射出成形機内においてはじめて混合し溶融混練して、射出成形をおこなうこともできる。
メタリック顔料(C)は外部応力に対し脆いものであるため、樹脂組成物の製造や成形体の成形において、溶融混練時のスクリュー剪断応力をメタリック顔料(C)に極力与えないことが、得られる成形体のメタリック色調を向上させる上で好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、メタリック色調、表面硬度、表面光沢度、機械的特性および熱寸法安定性に優れた成形体を得ることができる。
例えば、本発明のポリアミド樹脂組成物から得られた成形体の、多角度測色(入射角度45°ならびに反射視野角度15°、45°および110°でのL*)に基づくフロップインデックスは6以上であり、好ましくは10以上、より好ましくは13以上である。当該フロップインデックスの上限値は特に限定されず、当該フロップインデックスは通常30以下、特に20以下である。なお、当該フロップインデックスを測定するための成形体は以下の射出条件で製造された縦90mm×横50mm×厚さ2mmの板状射出成形体である。
ポリアミド樹脂(A)がポリアミド6の場合の射出条件:
シリンダー温度250℃;
金型温度70℃;
射出速度10~150mm/秒;
射出時間11秒;
冷却時間20秒。
ポリアミド樹脂(A)がポリアミド66の場合の射出条件:
シリンダー温度290℃;
金型温度80℃;
射出速度10~150mm/秒;
射出時間11秒;
冷却時間20秒。
ポリアミド樹脂(A)がポリアミド6の場合の射出条件:
シリンダー温度250℃;
金型温度70℃;
射出速度10~150mm/秒;
射出時間11秒;
冷却時間20秒。
ポリアミド樹脂(A)がポリアミド66の場合の射出条件:
シリンダー温度290℃;
金型温度80℃;
射出速度10~150mm/秒;
射出時間11秒;
冷却時間20秒。
本発明のポリアミド樹脂組成物から得られた成形体の、JIS Z 8741(入射角60°)に基づく表面光沢度(摩耗試験前の表面光沢度)は85以上であり、好ましくは87以上、より好ましくは89以上である。当該表面光沢度の上限値は特に限定されず、当該表面光沢度は通常100以下、特に95以下である。なお、当該表面光沢度を測定するための成形体は上記したフロップインデックスを測定するための成形体と同様の成形体である。
本発明のポリアミド樹脂組成物から得られた成形体に対して、5μm粒子研磨フィルムを垂直荷重9Nの条件で接触させ往復10回擦った後の、JIS Z 8741(入射角60°)に基づく表面光沢度の残存率(すなわち光沢残存率)は75%以上であり、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上である。当該表面光沢度の残存率の上限値は特に限定されず、当該表面光沢度の残存率は通常95%以下、特に90%以下である。なお、当該表面光沢度の残存率を測定するための成形体は上記したフロップインデックスを測定するための成形体と同様の成形体である。
本発明のポリアミド樹脂組成物から得られた成形体の、JIS K 5600-5-4に従って測定される鉛筆硬度はB以上である。当該鉛筆硬度の上限値は特に限定されず、当該鉛筆硬度は通常5H以下、特に4H以下である。なお、当該鉛筆硬度を測定するための成形体は上記したフロップインデックスを測定するための成形体と同様の成形体である。
本発明のポリアミド樹脂組成物から得られた成形体の、ISO178準拠の3点支持曲げ法(支点間距離:64mm、試験速度:2mm/分、試験雰囲気:23℃、50%RH、絶乾状態)に基づく曲げ弾性率は4.0GPa以上、好ましくは5.0GPa以上、より好ましくは6.0GPa以上である。当該曲げ弾性率の上限値は特に限定されず、当該曲げ弾性率は通常20GPa以下、特に10GPa以下である。なお、当該曲げ弾性率を測定するための成形体はISO規格3167に基づく多目的試験片A型である。
本発明のポリアミド樹脂組成物から得られた成形体の、ISO527準拠の方法(支点間距離:115mm、試験速度:5mm/分、試験雰囲気:23℃、50%RH、絶乾状態)に基づく引張弾性率は3.5GPa以上、好ましくは3.8GPa以上、より好ましくは4.0GPa以上である。当該曲げ弾性率の上限値は特に限定されず、当該曲げ弾性率は通常20GPa以下、特に10GPa以下である。なお、当該曲げ弾性率を測定するための成形体はISO規格3167に基づく多目的試験片A型である。
本発明のポリアミド樹脂組成物から得られた成形体の、JIS K 7197準拠の方法(荷重:50mN、温度範囲:10~150℃、昇温速度:5℃/min、試験雰囲気:窒素流通)に基づくMD方向の線膨張係数は40ppm/℃以下、好ましくは20ppm/℃以下、より好ましくは10ppm/℃以下である。当該線膨張係数の下限値は特に限定されず、当該線膨張係数は通常20ppm/℃以上、特に10ppm/℃以上である。なお、当該線膨張係数を測定するための成形体はISO規格3167に基づく多目的試験片A型を、射出成形時の樹脂の流動方向(MD方向)が長手方向になるように、10mm×4mm×4mmtに切り出したサンプルである。
[成形体]
本発明の成形体は、上記した本発明のポリアミド樹脂組成物を公知の成形方法により成形することで得ることができる。公知の成形方法としては、例えば、射出成形、ブロー成形、押出成形、インフレーション成形、シート加工後の真空成形、圧空成形、真空圧空成形が挙げられる。例えば、本発明のポリアミド樹脂組成物を用いて、射出成形してなる成形体、あるいは、押出成形してなるフィルムまたはシート(以下、「フィルム等」という)、およびこれらのフィルム等またはこれらを延伸したフィルム等から加工してなる成形体、あるいは、ブロー成形してなる中空体、および、この中空体から加工してなる成形体、あるいは、溶融紡糸して得られるフィラメント(繊維)、および、これを延伸してなるフィラメントを3Dプリンターに介して得られる造形体、あるいは、ペレットまたは粉砕物を3Dプリンターに介して得られる造形体などを得ることができる。
本発明の成形体は、上記した本発明のポリアミド樹脂組成物を公知の成形方法により成形することで得ることができる。公知の成形方法としては、例えば、射出成形、ブロー成形、押出成形、インフレーション成形、シート加工後の真空成形、圧空成形、真空圧空成形が挙げられる。例えば、本発明のポリアミド樹脂組成物を用いて、射出成形してなる成形体、あるいは、押出成形してなるフィルムまたはシート(以下、「フィルム等」という)、およびこれらのフィルム等またはこれらを延伸したフィルム等から加工してなる成形体、あるいは、ブロー成形してなる中空体、および、この中空体から加工してなる成形体、あるいは、溶融紡糸して得られるフィラメント(繊維)、および、これを延伸してなるフィラメントを3Dプリンターに介して得られる造形体、あるいは、ペレットまたは粉砕物を3Dプリンターに介して得られる造形体などを得ることができる。
上記記載の成形方法の中でも、射出成形が好ましい。射出成形としては、一般的な射出成形のほか、ガス射出成形、射出プレス成形等も採用できる。射出成形機としては、特に限定されないが、例えば、スクリューインライン式射出成形機、プランジャ式射出成形機が挙げられる。射出成形機のシリンダー内で加熱溶融されたポリアミド樹脂組成物は、ショットごとに計量され、金型内に溶融状態で射出され、所定の形状で冷却、固化された後、成形体として金型から取り出される。射出成形時の樹脂温度は、ポリアミド樹脂組成物特にポリアミド樹脂の融点以上とすることが好ましく、「融点+100℃」未満とすることが好ましい。なお、ポリアミド樹脂組成物の加熱溶融時には、用いるポリアミド樹脂組成物は十分に乾燥されたものを用いることが好ましい。含有する水分量が多いと、射出成形機のシリンダー内で樹脂が発泡し、最適な成形体を得ることが困難となることがある。射出成形に用いる樹脂組成物の水分率は、0.3質量%未満であることが好ましく、0.1質量%未満であることがより好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物の射出成形条件としては、例えば、シリンダー温度を樹脂組成物の融点または流動開始温度以上、好ましくは190~270℃とし、さらに、金型温度を「樹脂組成物の融点-20℃」以下とする条件が挙げられる。成形温度が低すぎると成形体にショートが発生する等成形性が不安定になったり、得られる成形体の表面光沢度が失われたりすることがある。逆に、成形温度が高すぎるとポリアミド樹脂組成物が分解し、得られる成形体の強度が低下したり、表面光沢度が低下したりする要因となる場合がある。
本発明の成形体は、表面硬度、表面光沢度、機械的特性および熱寸法安定性に優れ、メタリックな色調を有する。このため、本発明のポリアミド樹脂組成物は、自動車用途、電気電子機器用途、農業・水産用途、医療用機器用途、雑貨等に好適に供することができる。
自動車用途としては、例えば、バンパー等のボディ、インストルメントパネル、インストルメントパネルでのスピードメーター、タコメーター、燃料計、水温計、距離計等の各種計器類、カーステレオ、ナビゲーションシステム、エアコン周りの各種スイッチ、ボタン、センターコンソールでのシフトレバー、サイドブレーキの握り部、ドアトリム、アームレスト、ドアレバー、コンソールボックス、ガーニッシュ、天井、フロア、ランプリフレクター、ブラッシホルダー、フュエルポンプモジュール部品、デストリビューター、シートリードバルブ、ワイパーモーターギア、スピードメーターフレーム、ソレノイドイグニッションコイル、オルタネーター、スイッチ、センサー部品、タイロットエンドスタビライザー、ECUケーブル、排ガスコントロールバルブ、コネクター、排気ブレーキの電磁弁、エンジンバルブ、ラジエータファン、スタータ、インジェクタ、エンジン周りのパネル、エンジンカバー、モーターカバーが挙げられる。
電気電子機器用途としては、例えば、パソコン、携帯電話、音楽プレーヤー、カーナビゲーション、SMTコネクター、ICカードコネクター、光ファイバーコネクター、マイクロスイッチ、コンデンサー、チップキャリア、コイル封止、トランジスター封止、ICソケット、スイッチ、リレー部品、キャパシターハウジング、サーミスタ、各種コイルボビン、FDDメインシャーシ、テープコーダーヘッドマウント、ステッピングモーター、軸受、シェーバ刃台、液晶プロジェクションT V のランプハウジング、電子レンジ部品、電磁調理器のコイルベース、ドライヤーノズル、スチームドライヤー部品、スチームアイロン部品、DVDピックアップベース、整流子基台、回路基板、IC、液晶冶具、フードカッター、DATシリンダーベース、コピー機用ギア、プリンター定着ユニット部品、液晶パネル導光板、通信機器(アンテナ)、半導体用封止材料、パワーモジュール、ヒューズホルダー、ウォーターポンプインペラー、半導体製造装置のパイプ、ゲーム機用コネクター、エアコン用ドレインパン、生ごみ処理機内容器、掃除機モーターファンガイド、電子レンジ用ローラーステイ・リング、キャップスタンモーター軸受、街路灯、水中ポンプ、モーターインシュレータ、モーターブラシホルダー、ブレーカー部品、パソコン筐体、携帯電話筐体、OA機器筐体部品、ガスメーターが挙げられる。
農業、水産用途としては、例えば、コンテナー、栽培容器、浮きが挙げられる。
医療用機器用途としては、例えば、注射器、点滴容器が挙げられる。
雑貨としては、例えば、皿、コップ、スプーン、植木鉢、クーラーボックス、団扇、玩具、ボールペン、定規、クリップ、ドレーン材、フェンス、収納箱、工事用配電盤、給湯機器ポンプケーシング、インペラー、ジョイント、バルブ、水栓器具が挙げられる
本発明のポリアミド樹脂組成物は、Tダイ押出、インフレーション成形等の公知の製膜方法により、フィルムやシートに成形することができる。本発明のポリアミド樹脂組成物を成形してなるフィルムやシートは、例えば、フィルムコンデンサ、FPD用離形フィルム、車載モーター絶縁フィルムとして用いることができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、化学発泡剤を用いた手法や、超臨界ガスや不活性ガスを用いた手法により、発泡体に成形することができる。本発明のポリアミド樹脂組成物を成形してなる発泡体は、電気・電子機器分野や、自動車分野に用いることができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、溶融紡糸法、フラッシュ紡糸法、エレクトロスピニング法、メルトブロー法等の公知の紡糸方法により、各種繊維や各種不織布に成形することができる。本発明のポリアミド樹脂組成物を成形してなる繊維や不織布は、電気集塵用バグフィルター、モーター結束糸、被服用心材、乾式不織布、フエルトとして用いることができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
A.測定方法
(1)試験片中のセルロース繊維の平均繊維径および平均繊維長
後述の「(6)機械的特性」において得られたISO規格3167に記載の多目的試験片A型を試験片として用いた。
試験片から、凍結ウルトラミクロトームを用いて厚さ100nmの切片を採取し、OsO4(四酸化オスミウム)で切片染色を実施後、透過型電子顕微鏡(日本電子社製JEM-1230)を用いて観察をおこなった。電子顕微鏡画像からセルロース繊維(単繊維)の長手方向に対する垂直方向の長さおよび長手方向の長さを測定した。このとき、垂直方向の長さのうち最大のものを繊維径とした。同様にして10本のセルロース繊維(単繊維)の繊維径および繊維長を測定し、10本の平均値を算出したものを平均繊維径および平均繊維長とした。なお、セルロース繊維の繊維径および平均繊維長が大きいものについては、ミクロトームにて10μmの切片を切り出したものか、試験片をそのままの状態で、実体顕微鏡(OLYMPUS SZ-40)を用いて観察をおこない、得られた画像から上記と同様にして繊維径および繊維長を測定し、平均繊維径および平均繊維長を求めた。
膨潤性層状珪酸塩についても同様の方法で、平均繊維径および平均繊維長を求めた。
(1)試験片中のセルロース繊維の平均繊維径および平均繊維長
後述の「(6)機械的特性」において得られたISO規格3167に記載の多目的試験片A型を試験片として用いた。
試験片から、凍結ウルトラミクロトームを用いて厚さ100nmの切片を採取し、OsO4(四酸化オスミウム)で切片染色を実施後、透過型電子顕微鏡(日本電子社製JEM-1230)を用いて観察をおこなった。電子顕微鏡画像からセルロース繊維(単繊維)の長手方向に対する垂直方向の長さおよび長手方向の長さを測定した。このとき、垂直方向の長さのうち最大のものを繊維径とした。同様にして10本のセルロース繊維(単繊維)の繊維径および繊維長を測定し、10本の平均値を算出したものを平均繊維径および平均繊維長とした。なお、セルロース繊維の繊維径および平均繊維長が大きいものについては、ミクロトームにて10μmの切片を切り出したものか、試験片をそのままの状態で、実体顕微鏡(OLYMPUS SZ-40)を用いて観察をおこない、得られた画像から上記と同様にして繊維径および繊維長を測定し、平均繊維径および平均繊維長を求めた。
膨潤性層状珪酸塩についても同様の方法で、平均繊維径および平均繊維長を求めた。
(2)数平均分子量
ポリアミドX 5mgに10mMトリフルオロ酢酸ナトリウム含有ヘキサフルオロイソプロパノール2mLを加えて溶解させて得られた溶解液をフィルターで濾過し、試料溶液を調製した。この試料溶液を、示差屈折率検出器を備えたゲル浸透クロマトグラフィ装置(GPC、東ソー社製)で分析した。溶離液として10mMトリフルオロ酢酸ナトリウム含有ヘキサフルオロイソプロパノールを用いた。分析条件は流速0.4mL/min、温度40℃とした。ポリメチルメタクリレートを標準試料として作成した検量線を用いて、数平均分子量を求めた。
ポリアミドX 5mgに10mMトリフルオロ酢酸ナトリウム含有ヘキサフルオロイソプロパノール2mLを加えて溶解させて得られた溶解液をフィルターで濾過し、試料溶液を調製した。この試料溶液を、示差屈折率検出器を備えたゲル浸透クロマトグラフィ装置(GPC、東ソー社製)で分析した。溶離液として10mMトリフルオロ酢酸ナトリウム含有ヘキサフルオロイソプロパノールを用いた。分析条件は流速0.4mL/min、温度40℃とした。ポリメチルメタクリレートを標準試料として作成した検量線を用いて、数平均分子量を求めた。
(3)フロップインデックス(メタリック色調)
十分に乾燥した樹脂組成物を、以下の条件にて、射出成形機(日精樹脂工業社製 NEX110-12E)を用いて射出成形し、縦90mm×横50mm×厚さ2mmの板状成形体を得た。なお、金型は短辺方向中央にフィルムゲートを有するものを用いた。
ポリアミド樹脂(A)がポリアミド6の場合の射出条件:
シリンダー温度250℃;
金型温度70℃;
射出速度10~150mm/秒;
射出時間11秒;
冷却時間20秒。
ポリアミド樹脂(A)がポリアミド66の場合の射出条件:
シリンダー温度290℃;
金型温度80℃;
射出速度10~150mm/秒;
射出時間11秒;
冷却時間20秒。
十分に乾燥した樹脂組成物を、以下の条件にて、射出成形機(日精樹脂工業社製 NEX110-12E)を用いて射出成形し、縦90mm×横50mm×厚さ2mmの板状成形体を得た。なお、金型は短辺方向中央にフィルムゲートを有するものを用いた。
ポリアミド樹脂(A)がポリアミド6の場合の射出条件:
シリンダー温度250℃;
金型温度70℃;
射出速度10~150mm/秒;
射出時間11秒;
冷却時間20秒。
ポリアミド樹脂(A)がポリアミド66の場合の射出条件:
シリンダー温度290℃;
金型温度80℃;
射出速度10~150mm/秒;
射出時間11秒;
冷却時間20秒。
得られた試験片を多角度測色機(ビックケミー株式会社製メタリック塗装用多角度測色機BYK-maci)を用いて、入射角度45°、反射視野角度15°、45°、110°でL*の測定をおこない、次式を用いてフロップインデックスを算出した。メタリック色調を、フロップインデックスに基づいて、以下の基準に従って評価した。
◎:15≦フロップインデックス(最良);
○:11≦フロップインデックス<15(良);
△:8≦フロップインデックス<11(実用上問題なし);
×:フロップインデックス<8(実用上問題あり)。
◎:15≦フロップインデックス(最良);
○:11≦フロップインデックス<15(良);
△:8≦フロップインデックス<11(実用上問題なし);
×:フロップインデックス<8(実用上問題あり)。
(4)表面光沢度(摩擦試験前)
「(3)フロップインデックス(メタリック色調)」で得られた板状成形体を用いて、JIS Z 8741に基づき、光沢度計(日本電色社製グロスメーターPG-II M型)を用い、入射角60°で表面光沢度の測定をおこなった。表面光沢度を以下の基準に従って評価した。
◎:89≦表面光沢度(最良);
○:87≦表面光沢度<89(良);
△:85≦表面光沢度<87(実用上問題なし);
×:表面光沢度<85(実用上問題あり)。
「(3)フロップインデックス(メタリック色調)」で得られた板状成形体を用いて、JIS Z 8741に基づき、光沢度計(日本電色社製グロスメーターPG-II M型)を用い、入射角60°で表面光沢度の測定をおこなった。表面光沢度を以下の基準に従って評価した。
◎:89≦表面光沢度(最良);
○:87≦表面光沢度<89(良);
△:85≦表面光沢度<87(実用上問題なし);
×:表面光沢度<85(実用上問題あり)。
(5)光沢残存率(表面光沢度(摩擦試験後))
耐擦傷性の指標として、「(3)フロップインデックス(メタリック色調)」で得られた成形体を用いて、学振型摩耗試験機(安田精機製作所)を用い、5μm粒子研磨フィルム(3M社製「#3000」)を垂直荷重9Nの条件で接触させ往復10回擦った。JIS Z 8741に基づく光沢度計(日本電色社製グロスメーターPG-II M型)を用い、入射角60°で摩耗試験前後の試験面(すなわち成形体表面における研磨フィルムとの接触面)の表面光沢度を測定し、下記式により光沢残存率を算出した。光沢残存率は、耐擦傷性が高いほど大きな値となる。
耐擦傷性の指標として、「(3)フロップインデックス(メタリック色調)」で得られた成形体を用いて、学振型摩耗試験機(安田精機製作所)を用い、5μm粒子研磨フィルム(3M社製「#3000」)を垂直荷重9Nの条件で接触させ往復10回擦った。JIS Z 8741に基づく光沢度計(日本電色社製グロスメーターPG-II M型)を用い、入射角60°で摩耗試験前後の試験面(すなわち成形体表面における研磨フィルムとの接触面)の表面光沢度を測定し、下記式により光沢残存率を算出した。光沢残存率は、耐擦傷性が高いほど大きな値となる。
光沢残存率を以下の基準に従って評価した。
◎:85≦光沢残存率(最良);
○:80≦光沢残存率<85(良);
△:75≦光沢残存率<80(実用上問題なし);
×:光沢残存率<75(実用上問題あり)。
◎:85≦光沢残存率(最良);
○:80≦光沢残存率<85(良);
△:75≦光沢残存率<80(実用上問題なし);
×:光沢残存率<75(実用上問題あり)。
(6)機械的特性(曲げ弾性率)
十分に乾燥した樹脂組成物を、射出成形機(日精樹脂工業社製 NEX110-12E)を用いて射出成形し、ISO規格3167に記載の多目的試験片A型を得た。
得られた多目的試験片の曲げ弾性率を、ISO178準拠の3点支持曲げ法(支点間距離:64mm、試験速度:2mm/分、試験雰囲気:23℃、50%RH、絶乾状態)にて測定した。曲げ弾性率を以下の基準に従って評価した。
◎:6.0GPa≦曲げ弾性率(最良);
○:5.0GPa≦曲げ弾性率<6.0GPa(良);
△:4.0GPa≦曲げ弾性率<5.0GPa(実用上問題なし);
×:曲げ弾性率<4.0GPa(実用上問題あり)。
十分に乾燥した樹脂組成物を、射出成形機(日精樹脂工業社製 NEX110-12E)を用いて射出成形し、ISO規格3167に記載の多目的試験片A型を得た。
得られた多目的試験片の曲げ弾性率を、ISO178準拠の3点支持曲げ法(支点間距離:64mm、試験速度:2mm/分、試験雰囲気:23℃、50%RH、絶乾状態)にて測定した。曲げ弾性率を以下の基準に従って評価した。
◎:6.0GPa≦曲げ弾性率(最良);
○:5.0GPa≦曲げ弾性率<6.0GPa(良);
△:4.0GPa≦曲げ弾性率<5.0GPa(実用上問題なし);
×:曲げ弾性率<4.0GPa(実用上問題あり)。
(7)機械的特性(引張弾性率)
(1)で得られた試験片の引張弾性率を、ISO527に基づいて測定した。測定条件=支点間距離:115mm、試験速度:5mm/分、試験雰囲気:23℃、50%RH、絶乾状態。引張弾性率を以下の基準に従って評価した。
◎:4.0GPa≦引張弾性率(最良);
○:3.8GPa≦引張弾性率<4.0GPa(良);
△:3.5GPa≦引張弾性率<3.8GPa(実用上問題なし);
×:引張弾性率<3.5GPa(実用上問題あり)。
(1)で得られた試験片の引張弾性率を、ISO527に基づいて測定した。測定条件=支点間距離:115mm、試験速度:5mm/分、試験雰囲気:23℃、50%RH、絶乾状態。引張弾性率を以下の基準に従って評価した。
◎:4.0GPa≦引張弾性率(最良);
○:3.8GPa≦引張弾性率<4.0GPa(良);
△:3.5GPa≦引張弾性率<3.8GPa(実用上問題なし);
×:引張弾性率<3.5GPa(実用上問題あり)。
(8)鉛筆硬度
JIS K 5600-5-4に基づき、「(3)フロップインデックス(メタリック色調)」で得られた板状成形体の表面の任意の5点の鉛筆硬度を測定し、最低値を鉛筆硬度とした。鉛筆硬度を以下の基準に従って評価した。
◎:F≦鉛筆硬度(最良);
△:B≦鉛筆硬度<F(実用上問題なし);
×:鉛筆硬度<B(実用上問題あり)。
JIS K 5600-5-4に基づき、「(3)フロップインデックス(メタリック色調)」で得られた板状成形体の表面の任意の5点の鉛筆硬度を測定し、最低値を鉛筆硬度とした。鉛筆硬度を以下の基準に従って評価した。
◎:F≦鉛筆硬度(最良);
△:B≦鉛筆硬度<F(実用上問題なし);
×:鉛筆硬度<B(実用上問題あり)。
(9)線膨張係数(熱寸法安定性)
(6)で得られた試験片を、射出成形時の樹脂の流動方向(MD方向)が長手方向になるように、10mm×4mm×4mmtに切り出した。そのサンプルのMD方向の線膨張係数を、JIS K 7197に基づき、TA Instruments社製のTMA2940 Thermomechanical Analyzerを用いてスタンダード膨張プローブで測定した。窒素流通で50mN荷重をかけ、10℃から150℃まで5℃/min昇温で測定するものとする。このとき、20~150℃の領域での平均値を算出する(n=3)。線膨張係数は、以下の基準を以下の基準に従って評価した。
◎:10ppm/℃≧線膨張係数(最良);
○:20ppm/℃≧線膨張係数>10ppm/℃(良);
△:40ppm/℃≧線膨張係数>20ppm/℃(実用上問題なし);
×:線膨張係数>40ppm/℃(実用上問題あり)。
(6)で得られた試験片を、射出成形時の樹脂の流動方向(MD方向)が長手方向になるように、10mm×4mm×4mmtに切り出した。そのサンプルのMD方向の線膨張係数を、JIS K 7197に基づき、TA Instruments社製のTMA2940 Thermomechanical Analyzerを用いてスタンダード膨張プローブで測定した。窒素流通で50mN荷重をかけ、10℃から150℃まで5℃/min昇温で測定するものとする。このとき、20~150℃の領域での平均値を算出する(n=3)。線膨張係数は、以下の基準を以下の基準に従って評価した。
◎:10ppm/℃≧線膨張係数(最良);
○:20ppm/℃≧線膨張係数>10ppm/℃(良);
△:40ppm/℃≧線膨張係数>20ppm/℃(実用上問題なし);
×:線膨張係数>40ppm/℃(実用上問題あり)。
(10)総合評価
メタリック色調、表面光沢度(摩耗試験前)、光沢残存率、機械的特性、鉛筆硬度および熱寸法安定性の評価結果に基づいて、総合的に評価した。
◎:上記した特性についての全ての評価結果が◎であった;
○:上記した特性についての全ての評価結果のうち、最も低い評価結果が○であった;
△:上記した特性についての全ての評価結果のうち、最も低い評価結果が△であった;
×:上記した特性についての全ての評価結果のうち、最も低い評価結果が×であった。
メタリック色調、表面光沢度(摩耗試験前)、光沢残存率、機械的特性、鉛筆硬度および熱寸法安定性の評価結果に基づいて、総合的に評価した。
◎:上記した特性についての全ての評価結果が◎であった;
○:上記した特性についての全ての評価結果のうち、最も低い評価結果が○であった;
△:上記した特性についての全ての評価結果のうち、最も低い評価結果が△であった;
×:上記した特性についての全ての評価結果のうち、最も低い評価結果が×であった。
B.原料
実施例および比較例で用いた原料を以下に示す。
実施例および比較例で用いた原料を以下に示す。
(1)ポリアミドのモノマー成分
・ε-カプロラクタム:宇部興産社製
・ポリアミド66塩(ヘキサメチレンジアミン-アジピン酸の等モル塩であって、ポリアミドプレポリマー)
・ε-カプロラクタム:宇部興産社製
・ポリアミド66塩(ヘキサメチレンジアミン-アジピン酸の等モル塩であって、ポリアミドプレポリマー)
(2)セルロース繊維
・KY100G:ダイセルファインケム社製 セリッシュKY100G、平均繊維径が125nmの未変性のセルロース繊維が10質量%含有されたもの。
・KY110N:ダイセルファインケム社製 セリッシュKY110N、平均繊維径が125nmの未変性のセルロース繊維が15質量%含有されたもの。
・KY100S:ダイセルファインケム社製 セリッシュKY100S、平均繊維径が140nmの未変性のセルロース繊維が25質量%含有されたもの。
・KY100G:ダイセルファインケム社製 セリッシュKY100G、平均繊維径が125nmの未変性のセルロース繊維が10質量%含有されたもの。
・KY110N:ダイセルファインケム社製 セリッシュKY110N、平均繊維径が125nmの未変性のセルロース繊維が15質量%含有されたもの。
・KY100S:ダイセルファインケム社製 セリッシュKY100S、平均繊維径が140nmの未変性のセルロース繊維が25質量%含有されたもの。
・バクテリアセルロース(未変性セルロース)
0.5質量%グルコース、0.5質量%ポリペプトン、0.5質量%酵母エキス、0.1質量%硫酸マグネシウム7水和物からなる組成の培地50mLを、200mL容三角フラスコに分注し、オートクレーブで120℃、20分間蒸気滅菌した。これに試験管斜面寒天培地で生育させたGluconacetobacter xylinus (NBRC 16670)を1白金耳接種し、30℃で7日間静置培養した。7日後、培養液の上層に白色のゲル膜状のバクテリアセルロースが生成した。
得られたバクテリアセルロースをミキサーで破砕後、水で浸漬、洗浄を繰り返すことにより、水置換をおこない、平均繊維径が60nmのバクテリアセルロースが4.1質量%含有されたものを調製した。
0.5質量%グルコース、0.5質量%ポリペプトン、0.5質量%酵母エキス、0.1質量%硫酸マグネシウム7水和物からなる組成の培地50mLを、200mL容三角フラスコに分注し、オートクレーブで120℃、20分間蒸気滅菌した。これに試験管斜面寒天培地で生育させたGluconacetobacter xylinus (NBRC 16670)を1白金耳接種し、30℃で7日間静置培養した。7日後、培養液の上層に白色のゲル膜状のバクテリアセルロースが生成した。
得られたバクテリアセルロースをミキサーで破砕後、水で浸漬、洗浄を繰り返すことにより、水置換をおこない、平均繊維径が60nmのバクテリアセルロースが4.1質量%含有されたものを調製した。
・屑糸
不織布の製造工程において屑糸として出されたセルロース繊維の集合体に、精製水を加えてミキサーで攪拌し、平均繊維径が3240nmのセルロース繊維が6質量%含有された水分散液を調製した。
不織布の製造工程において屑糸として出されたセルロース繊維の集合体に、精製水を加えてミキサーで攪拌し、平均繊維径が3240nmのセルロース繊維が6質量%含有された水分散液を調製した。
・TEMPO触媒酸化セルロース繊維(セルロース由来の水酸基の一部が親水性の置換基で変性されたセルロース繊維):
漂白後の針葉樹由来の未叩解クラフトパルプ(白色度85%)500g(絶乾)を、TEMPO 780mgおよび臭化ナトリウム75.5gを溶解した水溶液500mLに添加し、パルプが均一に分散するまで撹拌した。そこに次亜塩素酸ナトリウム水溶液を6.0mmol/gになるように加えることで酸化反応を開始した。反応中は系内のpHが低下するため、3M水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを消費し、系内のpHが変化しなくなった時点で反応を終了した。反応後の混合物をガラスフィルターにより濾過してパルプを分離し、十分に水洗することで酸化されたパルプを得た。上記の工程で得られた酸化パルプを水で1.0%(w/v)に調整し、超高圧ホモジナイザー(20℃、150MPa)で3回処理して、平均繊維径が10nmのTEMPO触媒酸化セルロース繊維が1.0質量%含有された水分散液を調製した。
なお、TEMPO触媒酸化セルロース繊維を1H-NMR、13C-NMR、FT-IR、中和滴定で分析したところ、セルロース由来の水酸基の一部がカルボキシル基で置換されており、その置換度は0.3であることを確認した。
漂白後の針葉樹由来の未叩解クラフトパルプ(白色度85%)500g(絶乾)を、TEMPO 780mgおよび臭化ナトリウム75.5gを溶解した水溶液500mLに添加し、パルプが均一に分散するまで撹拌した。そこに次亜塩素酸ナトリウム水溶液を6.0mmol/gになるように加えることで酸化反応を開始した。反応中は系内のpHが低下するため、3M水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを消費し、系内のpHが変化しなくなった時点で反応を終了した。反応後の混合物をガラスフィルターにより濾過してパルプを分離し、十分に水洗することで酸化されたパルプを得た。上記の工程で得られた酸化パルプを水で1.0%(w/v)に調整し、超高圧ホモジナイザー(20℃、150MPa)で3回処理して、平均繊維径が10nmのTEMPO触媒酸化セルロース繊維が1.0質量%含有された水分散液を調製した。
なお、TEMPO触媒酸化セルロース繊維を1H-NMR、13C-NMR、FT-IR、中和滴定で分析したところ、セルロース由来の水酸基の一部がカルボキシル基で置換されており、その置換度は0.3であることを確認した。
・エーテル変性セルロース繊維(セルロース由来の水酸基の一部が疎水性の置換基で変性されたセルロース繊維):
針葉樹漂白クラフトパルプ(王子製紙社製、固形分25%)600gに水19.94kg添加し、固形分濃度が0.75質量%の水懸濁液を調製した。得られたスラリーの機械的解繊処理をビーズミル(アイメックス社製 NVM-2)を用いておこない、セルロース繊維を得た(ジルコニアビーズ直径1mm、ビーズ充填量70%、回転数2000rpm、処理回数2回)。遠心分離管一本あたりに、得られたセルロース繊維水分散液100gを入れ、遠心分離(7000rpm、20分)をおこない、上澄み液を除去し、沈殿物を取り出した。遠心分離管一本あたりに、アセトン100gを加えて、よく撹拌し、アセトン中に分散させ、遠心分離をおこない、上澄み液を除去し、沈殿物を取り出した。上記の操作をさらに二回繰り返し、固形分5質量%のセルロース繊維アセトンスラリーを得た。
撹拌羽根を備えた四つ口1Lフラスコに、得られたセルロース繊維アセトンスラリーをセルロース繊維の固形分が5gになるように投入した。N-メチル-2-ピロリドン(NMP)を500mL、トルエンを250mL加え、撹拌しながらセルロース繊維をNMP/トルエン中に分散させた。冷却器を取り付け、窒素雰囲気下、分散液を150℃に加熱し、分散液中に含まれるアセトン、水分をトルエンとともに留去した。その後分散液を40℃まで冷却し、ピリジン15mL、ヘキサメチルジシラザン(シリルエーテル化剤)25gを添加して窒素雰囲気下90分反応させ、エーテル変性セルロース繊維のNMP分散液を調製した。
得られたエーテル変性セルロース繊維のNMP分散液を遠心分離機によりセルロース繊維を沈殿させ水置換した。これを3回繰り返し、水で調製し、平均繊維径が100nmのエーテル変性セルロース繊維が1.0質量%含有された水分散液を調製した。
なお、エーテル変性セルロース繊維を1H-NMR、13C-NMR、FT-IRで分析したところ、セルロース由来の水酸基の一部が疎水性のシリルエーテル基で置換されており、その置換度は0.3であることを確認した。
針葉樹漂白クラフトパルプ(王子製紙社製、固形分25%)600gに水19.94kg添加し、固形分濃度が0.75質量%の水懸濁液を調製した。得られたスラリーの機械的解繊処理をビーズミル(アイメックス社製 NVM-2)を用いておこない、セルロース繊維を得た(ジルコニアビーズ直径1mm、ビーズ充填量70%、回転数2000rpm、処理回数2回)。遠心分離管一本あたりに、得られたセルロース繊維水分散液100gを入れ、遠心分離(7000rpm、20分)をおこない、上澄み液を除去し、沈殿物を取り出した。遠心分離管一本あたりに、アセトン100gを加えて、よく撹拌し、アセトン中に分散させ、遠心分離をおこない、上澄み液を除去し、沈殿物を取り出した。上記の操作をさらに二回繰り返し、固形分5質量%のセルロース繊維アセトンスラリーを得た。
撹拌羽根を備えた四つ口1Lフラスコに、得られたセルロース繊維アセトンスラリーをセルロース繊維の固形分が5gになるように投入した。N-メチル-2-ピロリドン(NMP)を500mL、トルエンを250mL加え、撹拌しながらセルロース繊維をNMP/トルエン中に分散させた。冷却器を取り付け、窒素雰囲気下、分散液を150℃に加熱し、分散液中に含まれるアセトン、水分をトルエンとともに留去した。その後分散液を40℃まで冷却し、ピリジン15mL、ヘキサメチルジシラザン(シリルエーテル化剤)25gを添加して窒素雰囲気下90分反応させ、エーテル変性セルロース繊維のNMP分散液を調製した。
得られたエーテル変性セルロース繊維のNMP分散液を遠心分離機によりセルロース繊維を沈殿させ水置換した。これを3回繰り返し、水で調製し、平均繊維径が100nmのエーテル変性セルロース繊維が1.0質量%含有された水分散液を調製した。
なお、エーテル変性セルロース繊維を1H-NMR、13C-NMR、FT-IRで分析したところ、セルロース由来の水酸基の一部が疎水性のシリルエーテル基で置換されており、その置換度は0.3であることを確認した。
・コットン短繊維:平均繊維径16μm
(3)膨潤性層状珪酸塩
・膨潤性フッ素雲母 コープケミカル社製「ME-100」(平均粒子径6.0μm)
・膨潤性フッ素雲母 コープケミカル社製「ME-100」(平均粒子径6.0μm)
(4)メタリック顔料
・アルミニウム粉:アルミペースト 旭化成ケミカルズ社製「シルビーズM100-BP」(平均粒子径10μm、平均厚み0.2μm、アルミ成分90%、ポリエチレングリコール10%、板状)
・パールマイカ 日本光研工業社製「TWINCLE PEARL SXA」(平均粒子径9μm、酸化チタン被覆合成マイカ、粒状)
・アルミニウム粉:アルミペースト 旭化成ケミカルズ社製「シルビーズM100-BP」(平均粒子径10μm、平均厚み0.2μm、アルミ成分90%、ポリエチレングリコール10%、板状)
・パールマイカ 日本光研工業社製「TWINCLE PEARL SXA」(平均粒子径9μm、酸化チタン被覆合成マイカ、粒状)
(5)ポリアミド
・PA6:ポリアミド6、ユニチカ社製 A1030BRL
・PA6:ポリアミド6、ユニチカ社製 A1030BRL
製造例1
セルロース繊維の水分散液として、セリッシュKY110Nを用いた。このセルロース繊維の水分散液33.34質量部と、ε-カプロラクタム100質量部とを、均一な分散液となるまでさらにミキサーで撹拌、混合し、ペースト状の混合分散液を得た。この混合分散液を、窒素気流下において、徐々に加熱し、加熱の途中において水蒸気を排出しながら、190℃まで温度を上げ、190℃にて12時間静置することにより重合反応をおこなった(低温重合)。このとき撹拌は行わなかった。得られた重合反応物を粉砕し、フレーク状のセルロース繊維をポリアミド樹脂に配合したポリアミドXのペレットを得た。得られたペレットを95℃の熱水で処理し、精練をおこない、乾燥し、乾燥したポリアミドXのペレットを得た。
セルロース繊維の水分散液として、セリッシュKY110Nを用いた。このセルロース繊維の水分散液33.34質量部と、ε-カプロラクタム100質量部とを、均一な分散液となるまでさらにミキサーで撹拌、混合し、ペースト状の混合分散液を得た。この混合分散液を、窒素気流下において、徐々に加熱し、加熱の途中において水蒸気を排出しながら、190℃まで温度を上げ、190℃にて12時間静置することにより重合反応をおこなった(低温重合)。このとき撹拌は行わなかった。得られた重合反応物を粉砕し、フレーク状のセルロース繊維をポリアミド樹脂に配合したポリアミドXのペレットを得た。得られたペレットを95℃の熱水で処理し、精練をおこない、乾燥し、乾燥したポリアミドXのペレットを得た。
製造例2
セリッシュKY110Nの配合量を変更する以外は、製造例1と同様の操作をおこない、乾燥したポリアミドXのペレットを得た。
セリッシュKY110Nの配合量を変更する以外は、製造例1と同様の操作をおこない、乾燥したポリアミドXのペレットを得た。
製造例3
セルロース繊維の分散液を変更する以外は、製造例1と同様の操作をおこない、乾燥したポリアミドXのペレットを得た。
セルロース繊維の分散液を変更する以外は、製造例1と同様の操作をおこない、乾燥したポリアミドXのペレットを得た。
製造例4
製造例1と同様にして、セルロース繊維の水分散液33.34質量部と、ポリアミド66塩100質量部とを、均一な溶液となるまでミキサーで撹拌、混合し、ペースト状の混合分散液を得た。この混合分散液を、窒素気流下において、徐々に加熱し、加熱の途中において水蒸気を排出しながら、240℃まで温度を上げ、240℃にて12時間静置することにより重合反応をおこなった(低温重合)。このとき撹拌は行わなかった。得られた重合反応物を粉砕し、フレーク状のセルロース繊維をポリアミド樹脂に配合したポリアミドXのペレットを得た。得られたペレットを95℃の熱水で処理し、精練をおこない、乾燥し、乾燥したポリアミドXのペレットを得た。ポリアミド66塩は、ヘキサメチレンジアミン-アジピン酸の等モル塩であって、ポリアミドプレポリマーである。
製造例1と同様にして、セルロース繊維の水分散液33.34質量部と、ポリアミド66塩100質量部とを、均一な溶液となるまでミキサーで撹拌、混合し、ペースト状の混合分散液を得た。この混合分散液を、窒素気流下において、徐々に加熱し、加熱の途中において水蒸気を排出しながら、240℃まで温度を上げ、240℃にて12時間静置することにより重合反応をおこなった(低温重合)。このとき撹拌は行わなかった。得られた重合反応物を粉砕し、フレーク状のセルロース繊維をポリアミド樹脂に配合したポリアミドXのペレットを得た。得られたペレットを95℃の熱水で処理し、精練をおこない、乾燥し、乾燥したポリアミドXのペレットを得た。ポリアミド66塩は、ヘキサメチレンジアミン-アジピン酸の等モル塩であって、ポリアミドプレポリマーである。
製造例5
セルロース繊維の分散液を加えなかった以外は、製造例1と同様の操作をおこない、乾燥したポリアミドXのペレットを得た。
セルロース繊維の分散液を加えなかった以外は、製造例1と同様の操作をおこない、乾燥したポリアミドXのペレットを得た。
製造例6
セルロース繊維の分散液を加えなかった以外は、製造例4と同様の操作をおこない、乾燥したポリアミドXのペレットを得た。
セルロース繊維の分散液を加えなかった以外は、製造例4と同様の操作をおこない、乾燥したポリアミドXのペレットを得た。
製造例7
ε-カプロラクタム100質量部に対して、亜リン酸0.4質量部、膨潤性層状珪酸塩5質量部、水5質量部を仕込み、80℃で1時間撹拌した後、260℃、0.7MPa下で1時間撹拌し、次いで260℃、常圧で1時間撹拌し、重合をおこなった。重合が終了した時点で樹脂組成物をストランド状に払い出し、切断して、膨潤性層状珪酸塩をポリアミド樹脂に配合したポリアミドXのペレットを得た。得られたペレットを95℃の熱水で処理し、精練をおこない、乾燥し、乾燥したポリアミドXのペレットを得た。
ε-カプロラクタム100質量部に対して、亜リン酸0.4質量部、膨潤性層状珪酸塩5質量部、水5質量部を仕込み、80℃で1時間撹拌した後、260℃、0.7MPa下で1時間撹拌し、次いで260℃、常圧で1時間撹拌し、重合をおこなった。重合が終了した時点で樹脂組成物をストランド状に払い出し、切断して、膨潤性層状珪酸塩をポリアミド樹脂に配合したポリアミドXのペレットを得た。得られたペレットを95℃の熱水で処理し、精練をおこない、乾燥し、乾燥したポリアミドXのペレットを得た。
実施例1
製造例1で作製したポリアミドX 105質量部およびメタリック顔料1質量部をドライブレンドし混合物を得た。得られた混合物を、二軸押出機(東芝機械社製TEM26SS、スクリュー径26mm)の主ホッパーに供給した。250℃で十分に溶融混練し、ストランド状に払い出し、切断して、ポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。
製造例1で作製したポリアミドX 105質量部およびメタリック顔料1質量部をドライブレンドし混合物を得た。得られた混合物を、二軸押出機(東芝機械社製TEM26SS、スクリュー径26mm)の主ホッパーに供給した。250℃で十分に溶融混練し、ストランド状に払い出し、切断して、ポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。
実施例2~20、比較例1~10
樹脂組成を表1または表2に示すように変更した以外は、実施例1のポリアミド樹脂組成物を製造した場合と同様の操作をおこなって、ペレットを得た。
詳しくは、ポリアミドとしては、ポリアミドおよびセルロース繊維の組成が各実施例または比較例(表1または表2)に示す組成になるように製造された上記製造例のポリアミドXもしくは市販のPA6を用いた。
樹脂組成を表1または表2に示すように変更した以外は、実施例1のポリアミド樹脂組成物を製造した場合と同様の操作をおこなって、ペレットを得た。
詳しくは、ポリアミドとしては、ポリアミドおよびセルロース繊維の組成が各実施例または比較例(表1または表2)に示す組成になるように製造された上記製造例のポリアミドXもしくは市販のPA6を用いた。
比較例11
セルロース繊維の分散液を、棚式凍結乾燥機として東京理化器械FD550を使用して-45℃にて凍結乾燥し、粉砕機を用いて粉末状にした。
得られたセルロース繊維の粉末10質量部と比較例1で得られた乾燥したPA6樹脂100質量部をドライブレンドし、二軸押出機の主ホッパーに供給した。250℃で十分に溶融混練し、ストランド状に払い出し、切断して、樹脂組成物のペレットを得た。
セルロース繊維の分散液を、棚式凍結乾燥機として東京理化器械FD550を使用して-45℃にて凍結乾燥し、粉砕機を用いて粉末状にした。
得られたセルロース繊維の粉末10質量部と比較例1で得られた乾燥したPA6樹脂100質量部をドライブレンドし、二軸押出機の主ホッパーに供給した。250℃で十分に溶融混練し、ストランド状に払い出し、切断して、樹脂組成物のペレットを得た。
比較例12
製造例7で作製したポリアミドX 105質量部およびメタリック顔料1質量部をドライブレンドし混合物を得た。得られた混合物を、二軸押出機(東芝機械社製TEM26SS、スクリュー径26mm)の主ホッパーに供給した。260℃で十分に溶融混練し、ストランド状に払い出し、切断して、ポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。
製造例7で作製したポリアミドX 105質量部およびメタリック顔料1質量部をドライブレンドし混合物を得た。得られた混合物を、二軸押出機(東芝機械社製TEM26SS、スクリュー径26mm)の主ホッパーに供給した。260℃で十分に溶融混練し、ストランド状に払い出し、切断して、ポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。
実施例1~20および比較例1~13で得られたポリアミド樹脂組成物の樹脂組成および評価結果を表1および表2に示す。
実施例1~20のポリアミド樹脂組成物は、メタリックな色調を有し、かつ鉛筆硬度、表面光沢度、光沢残存率、機械的特性および熱寸法安定性に優れた成形体を得ることができた。
比較例1、2のポリアミド樹脂組成物は、セルロース繊維およびメタリック顔料を用いなかったため、フロップインデックス値、光沢残存率、曲げ弾性率、引張弾性率および鉛筆硬度が低く、線膨張係数が高かった。
比較例3、4のポリアミド樹脂組成物は、メタリック顔料を用いなかったため、フロップインデックス値が低かった。
比較例5、6のポリアミド樹脂組成物は、セルロース繊維を用いなかったため、光沢残存率、曲げ弾性率、引張弾性率および鉛筆硬度が低く、線膨張係数が高かった。
比較例7のポリアミド樹脂組成物は、セルロース繊維の含有量が少なかったため、線膨張係数が高かった。
比較例8のポリアミド樹脂組成物は、メタリック顔料の含有量が少なかったため、フロップインデックス値が低かった。
比較例9のポリアミド樹脂組成物は、メタリック顔料の含有量が多かったため、光沢残存率が低かった。
比較例10のポリアミド樹脂組成物は、セルロース繊維として平均繊維径が10μmを超えるコットン短繊維を用いたため、光沢残存率および引張弾性率が低かった。
比較例11のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂にセルロース繊維を溶融混練により配合したことで、セルロース繊維として平均繊維径が10μmを超えたため、光沢残存率および引張弾性率が低かった。
比較例12のポリアミド樹脂組成物は、セルロース繊維を用いずに膨潤性層状珪酸塩を用いたため、光沢残存率および鉛筆硬度が低かった。
比較例3、4のポリアミド樹脂組成物は、メタリック顔料を用いなかったため、フロップインデックス値が低かった。
比較例5、6のポリアミド樹脂組成物は、セルロース繊維を用いなかったため、光沢残存率、曲げ弾性率、引張弾性率および鉛筆硬度が低く、線膨張係数が高かった。
比較例7のポリアミド樹脂組成物は、セルロース繊維の含有量が少なかったため、線膨張係数が高かった。
比較例8のポリアミド樹脂組成物は、メタリック顔料の含有量が少なかったため、フロップインデックス値が低かった。
比較例9のポリアミド樹脂組成物は、メタリック顔料の含有量が多かったため、光沢残存率が低かった。
比較例10のポリアミド樹脂組成物は、セルロース繊維として平均繊維径が10μmを超えるコットン短繊維を用いたため、光沢残存率および引張弾性率が低かった。
比較例11のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂にセルロース繊維を溶融混練により配合したことで、セルロース繊維として平均繊維径が10μmを超えたため、光沢残存率および引張弾性率が低かった。
比較例12のポリアミド樹脂組成物は、セルロース繊維を用いずに膨潤性層状珪酸塩を用いたため、光沢残存率および鉛筆硬度が低かった。
Claims (6)
- ポリアミド(A)100質量部と、平均繊維径が10μm以下であるセルロース繊維(B)5~200質量部と、メタリック顔料(C)0.1~12質量部とを含有するポリアミド樹脂組成物。
- 前記ポリアミド樹脂組成物から得られた成形体の、JIS K 7197に従って測定されるMD方向の線膨張係数が40ppm/℃以下である、請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 前記ポリアミド樹脂組成物から得られた成形体の、JIS K 5600-5-4に従って測定される鉛筆硬度がB以上である請求項1または請求項2に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 前記メタリック顔料(C)が、アルミニウム、鉄、ニッケル、クロム、スズ、亜鉛、インジウム、チタン、シリコン、銅;これらの合金;およびこれらの金属または合金の酸化物、窒化物、硫化物および炭化物;ならびにチタンまたはその酸化物でコーティングされたマイカからなる群から選択される1種以上のメタリック顔料である、請求項1~3のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
- 請求項1~4のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を製造するための方法であって、
前記ポリアミド(A)の重合時にセルロース繊維を添加する、ポリアミド樹脂組成物の製造方法。 - 請求項1~5のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体。
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