JP2022161791A - エラストマーフィルム、エラストマーフィルムの製造方法、電気回路体、ヘルスケアセンサー、ウエアラブルセンサー、およびエラストマーフィルム加工品の製造方法 - Google Patents
エラストマーフィルム、エラストマーフィルムの製造方法、電気回路体、ヘルスケアセンサー、ウエアラブルセンサー、およびエラストマーフィルム加工品の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】柔軟で復元性が高く、かつ金属ペースト印刷適性に優れるエラストマーフィルム、エラストマーフィルムの製造方法、電気回路体、ヘルスケアセンサー、ウエアラブルセンサー、およびエラストマーフィルム加工品の製造方法を提供する。【解決手段】エラストマーフィルムであって、前記エラストマーフィルムが樹脂層Aと表面層Bを有しており、以下の条件1および条件2を満たす、エラストマーフィルム。条件1: エラストマーフィルムのブチルカルビトールアセテートによる膨潤率が、200%以下。条件2: 表面層Bの表面自由エネルギーが、25mN/m以上。【選択図】図1
Description
本発明は、柔軟で復元性が高く、かつ金属ペースト印刷適性に優れるエラストマーフィルム、エラストマーフィルムの製造方法、電気回路体、ヘルスケアセンサー、ウエアラブルセンサー、およびエラストマーフィルム加工品の製造方法に関する。
IoT(Internet of things)社会の進展に伴い、微小な圧力変化や、温度、歪みなどを検出するセンサーが日常生活の様々なものに取り付けられるようになり、そのデータを活用することで生活の質の向上に役立っている。
さらに、このようなセンサーを人の体に違和感なく長時間取り付けられるデバイスが実用化されると、これまでは特殊な設備を用いても短時間しか得られなかった人体のデータが容易に長時間得られるようになり、これまでは検出が難しかった病気の予防や、スポーツや音楽などの技能の向上など、私たちの生活を大きく変えることができるようになると考えられる。
センサーなどを実装した小型デバイスはこれまでもあり、その基材には樹脂フィルムが用いられているが、ポリイミドなどの剛直な化学結合を有するフィルムでは、材料を自由に曲げることはできても、容易に変形させたり素早く復元させたりすることは難しい。そのため、自由に曲げ伸ばしができる樹脂フィルムが求められている。また、これらのフィルムには、既存のフィルム材料と同等にセンサーや配線を使用条件下で劣化させないことも求められる。
自由に曲げ伸ばしができる既存の樹脂フィルムの例として、特許文献1には「カーボネート結合を有するポリエーテルポリオール(a)とイソシアネート化合物(b)を反応させて製造されるポリウレタンであって、ポリエーテルポリオール(a)の水酸基価が55以下であるポリウレタン」が提案されている。
また、特許文献2には「少なくとも(a-1)ポリイソシアネート、(a-2)脂環式構造を有する数平均分子量500以下の低分子量ポリオール及び(a-3)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの反応物であるウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(A)を含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であって、該組成物における計算網目架橋点間分子量が1000以上、6000以下であることを特徴とする、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物」が提案されている。さらに、非特許文献1に、架橋性の工業用シリコーンフィルムが提案されている。
さらに、伸縮性に優れかつ樹脂フィルムとしての取り扱いを容易にした材料として、特許文献3には「(A)スチレンに由来するモノマ単位を含むエラストマ、(B)重合性化合物および(C)重合開始剤を含有し、(A)エラストマ全量に対する、スチレンに由来するモノマ単位の質量割合が27質量%以上である、可撓性樹脂形成用組成物」が、特許文献4には「(A)スチレン系エラストマ、(B)重合性モノマおよび(C)重合開始剤を含有し、前記重合性モノマが、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するシリコーン化合物を含む、可撓性樹脂形成用硬化性樹脂組成物」が提案されている。
旭化成ワッカーホームページ "ELASTOSIL"(登録商標) FILM2030 http://www.aws-silicone.com/dcms_media/other/EL%20FILM.pdf
前述のようなセンサーのような、いわゆるウエアラブルセンサーや、ヘルスケアセンサーなどのデバイスにて、回路材料に用いる樹脂フィルムは、人体などに貼り付けたときに自由な曲げ伸ばしができる高い柔軟性と復元性に加えて、その表面に回路形成ができることが求められる。これらの回路形成では、銅箔を樹脂フィルムの表面にラミネートする従来のFPC(フレキシブルプリント配線板)作成技術による方法の他に、樹脂フィルムの伸縮に追随可能な金属ペーストを用いたプリンタブルエレクトロニクスの手法により形成することがある。後者の場合、樹脂フィルムには金属ペーストに含まれる溶媒に対する耐性や、金属ペーストの乾燥に耐える耐熱性、さらに形成された回路パターンとの高い密着性が必要になる。またスクリーン印刷により伸縮可能な配線を形成する場合、スクリーン印刷時に配線がにじんだり、かすれたりしない「印字性」も必要となる。
以上のような要望に対し、本発明者らが従来技術について確認したところ、特許文献1に提案されている樹脂で作成された樹脂フィルムは、復元性や後工程に耐える耐熱性、回路印刷時の耐溶媒性、回路印刷部の高湿環境下での耐久性が不十分であった。また、特許文献2に記載の樹脂で作成された樹脂フィルムは、復元性や、耐溶媒性、回路印刷部の高湿環境下での耐久性が不十分であった。また、非特許文献1に記載されているようなシリコーンフィルムは、回路パターンの密着性や回路印刷部の高湿環境下での耐久性が不十分であった。また、特許文献3に記載の樹脂組成物で作製された樹脂フィルムは、印字性、耐熱性、密着性は良好であったが、柔軟性や復元性が不十分であった。また、特許文献4に記載の樹脂組成物で作製された樹脂フィルムは、柔軟性、印字性、耐熱性は良好であったが、復元性や密着性が不十分であった。
以上の点から、本発明の課題は、柔軟で復元性が高く、かつ金属ペースト印刷適性に優れるエラストマーフィルム、エラストマーフィルムの製造方法、電気回路体、ヘルスケアセンサー、ウエアラブルセンサー、およびエラストマーフィルム加工品の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果以下の発明を完成させた。すなわち、本発明に係る好ましい一態様は以下の通りである。
エラストマーフィルムであって、
エラストマーフィルムが樹脂層Aと表面層Bを有しており、
以下の条件1および条件2を満たす、エラストマーフィルム。
条件1: エラストマーフィルムのブチルカルビトールアセテートによる膨潤率が、200%以下。
条件2: 表面層Bの表面自由エネルギーが、25mN/m以上。
エラストマーフィルムであって、
エラストマーフィルムが樹脂層Aと表面層Bを有しており、
以下の条件1および条件2を満たす、エラストマーフィルム。
条件1: エラストマーフィルムのブチルカルビトールアセテートによる膨潤率が、200%以下。
条件2: 表面層Bの表面自由エネルギーが、25mN/m以上。
柔軟で復元性が高く、かつ金属ペースト印刷適性に優れるエラストマーフィルム、エラストマーフィルムの製造方法、電気回路体、ヘルスケアセンサー、ウエアラブルセンサー、およびエラストマーフィルム加工品の製造方法を提供することができる。
[本発明と従来技術の比較]
本発明を実施するための形態を述べる前に、本発明者らは、従来技術にて本発明の課題を解決できない理由について、以下のように考えた。
本発明を実施するための形態を述べる前に、本発明者らは、従来技術にて本発明の課題を解決できない理由について、以下のように考えた。
特許文献1に記載のポリウレタンが、エラストマーとして機能する理由は、ポリマーが柔軟性のあるソフトセグメントと凝集力の高いハードセグメントを有し、それらがミクロ相分離構造を形成していることにある。そして、柔軟なソフトセグメントの変形により伸長性が得られ、ハードセグメント間の凝集力による物理架橋により復元性を発現する。しかし、本発明の課題のような、高いレベルの復元性や後工程に耐える耐熱性を発現するには、架橋の強化が必要で、その実現には、より強い凝集力をもったハードセグメントを必要とする。そのためにはハードセグメントの体積を大きくする必要が有るが、反面、弾性率が高くなってしまう。この結果、高いレベルの柔軟性や、復元性、耐熱性は、トレードオフの関係になり、結果として、復元性と、耐熱性が不十分になっている。
特許文献2に記載のウレタンアクリレートの硬化物は、ハードセグメント間の凝集力による物理架橋に加えて、アクリレートの架橋による化学架橋を有するが、当該材料は、数平均分子量500以下の低分子量ポリオールを用いることを必須としている。これは鎖延長剤として機能するため、ハードセグメントの体積が大きくなり、ミクロ相分離構造を作るため、長周期構造が出現して、復元性が不十分になっている。
また、特許文献1、2の樹脂は、柔軟性を発現するのに必要なソフトセグメントが、比較的極性の高いセグメントで形成されている。そのため、金属ペーストに含まれるバインダー成分との親和性が強いため、回路パターンの密着性は良好だが、金属ペーストに含まれる極性溶媒との親和性が高く、印刷時に極性溶媒が浸透し膨潤するため、耐溶媒性が不十分になっている。さらに、高湿条件下では、フィルムの含水率が上昇し、さらに透湿性も高いため、回路印刷部の耐久性が不十分となったと考えている。
非特許文献1に記載のシリコーンフィルムは、自由度が高くかつ疎水性の高いジメチルシロキサン骨格からなることから、金属ペーストに含まれる極性溶媒との親和性が低くなるため、耐溶媒性は良好だが、金属ペーストに含まれるバインダー成分との親和性が弱く、回路パターンの密着性が不十分になっている。
また、当該シリコーンフィルムは、隙間の多い分子構造であるため、透湿度が高く、回路印刷部の耐久性が不十分となったと考えている。
これに対し、本発明者らは、前述の課題を解決する方法として、復元性の発現と耐熱性の付与に必要な架橋構造を、従来技術のように、ハードセグメント間の凝集による物理架橋のみに頼らず、小さく強固な化学架橋をフィルム内で低密度に形成することで得ることを検討し、これにより高いレベルの柔軟性と耐熱性を両立することを見出した。また、金属ペーストに含まれる極性溶媒に対する耐溶媒性と、回路パターンの密着性、および高湿環境下での耐久性については、フィルムのポリマー骨格を機能分離させることにより、達成できることを見出した。
また、特許文献3に記載の技術にて印字性が良好な理由は、スチレン系エラストマのスチレン含量を一定値以上に規定することで弾性率を高めつつ、表面自由エネルギーを下げることによりタックを低減し、印刷版の貼り付き性を抑制しているためと思われる。しかし、弾性率アップは柔軟性を下げると共に、スチレン含量アップにより物理架橋が増えるため、復元性が低減すると考えられる。そのため、印字性と、柔軟性、復元性がトレードオフの関係になり、両立が困難であったと考えている。
特許文献4に記載の技術において、印字性が良好な理由は、表面自由エネルギーを下げることによりタックを低減し、印刷版の貼り付き性を抑制しているためと思われる。しかし、表面自由エネルギーが低く、金属配線の密着性が悪くなる問題があり、印字性と、密着性がトレードオフの関係になり、両立が困難であったと考えている。
これらの従来技術に対し、本発明者らは、従来技術とは異なり、フィルムの表面の形状にも着目することで、柔軟性、復元性と、後工程での加工適性を両立することに成功した。
[本発明の形態]
以下、本発明の実施の形態について具体的に述べる。
以下、本発明の実施の形態について具体的に述べる。
本発明のエラストマーフィルムの好ましい一態様は、エラストマーフィルムが樹脂層Aと表面層Bを有しており、以下の条件1および条件2を満たすことが好ましい。
条件1: エラストマーフィルムのブチルカルビトールアセテートによる膨潤率が、200%以下。
条件2: 表面層Bの表面自由エネルギーが、25mN/m以上。
膨潤率、表面自由エネルギーの測定方法は後述する。また、本発明においてエラストマーフィルムとは、エラストマーにより構成されたフィルムを指す。エラストマーとは一般に、室温付近で弾性を示す樹脂を指す。また、本発明のエラストマーフィルムは、5%歪み応力が10MPa以下で、かつ20%伸長時の弾性復元率が50%以上であることが、柔軟性と復元性の観点で好ましく、5%歪み応力は5MPa以下であることがより好ましく、100%伸長時の弾性復元率は80%以上であることがより好ましい。5%歪み応力、20%伸長時の弾性復元率、および100%伸長時の弾性復元率の測定方法は後述する。
本発明のエラストマーフィルムの好ましい一態様は樹脂層Aと表面層Bを有する。樹脂層Aと表面層Bによる2層でもよいし、樹脂層A、表面層Bとさらなる1層以上による3層以上でもよい。なかでも、樹脂層Aと前記エラストマーフィルムの一方の表面を有する表面層Bを有しており、前記表面層Bの表面粗さSaは、表面層Bとは反対側の前記エラストマーフィルムの表面における表面粗さSaより大きいことがさらに好ましい。ここで層とは、厚み方向に向かって、隣接する部位と区別可能な境界面を有し、かつ有限の厚みを有する部位を指す。より具体的には、前記エラストマーフィルムの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて断面観察した際、不連続な境界面の有無により区別されるものを指す。フィルムの厚み方向に組成が変わっていても、その間に前述の境界面がない場合には、1つの層として取り扱う。具体的な断面観察方法は、UV硬化性樹脂で包埋したフィルムを、厚み方向に対する断面が得られるよう、ミクロトーム(日本ミクロトーム株式会社製のロータリーミクロトームRMS)を用いて、包埋した樹脂ごとフィルムを切削して得た断面に対して、オートファインコータを用いて30mA×20秒×2回の条件で白金を蒸着して得た試験片を、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製のSEM JSM-6700F)を用い、測定モードはLEI(lower secondary electron image)モード、倍率5000倍、加速電圧3kV、WD(試料距離)8.0mmの条件において観察する方法である。
条件1のエラストマーフィルムのブチルカルビトールアセテートによる膨潤率は、25℃の環境にて、エラストマーフィルムをブチルカルビトールアセテートに30分浸漬前後の、質量変化率を指し、200%以下が好ましく、150%以下がより好ましい。測定方法については、実施例の項に示す。エラストマーフィルムのブチルカルビトールアセテートによる膨潤率が200%以下であることにより、エラストマーフィルム表面に金属ペーストを用いて回路印刷をしたとき、にじみが出て印刷再現性が低下することを抑制できたり、寸法精度が低下することを軽減できる。
条件2の表面層Bの表面自由エネルギーは、エラストマーフィルムの表面層Bに対して、水、エチレングリコール、ホルムアミド、ジヨードメタンによる25℃での静的接触角を求め、各液体での静的接触角と、以下の非特許文献3に記載の、各液体の表面自由エネルギーの分散項、極性項、水素結合項を、以下の非特許文献2に記載の「畑、北崎の拡張ホークスの式」に導入し、連立方程式を解くことにより求めた値を指す。測定方法の詳細は後述する。
非特許文献2:北崎寧昭、畑 敏雄:日本接着協会紙,8,(3) 131(1972).
非特許文献3:J.Panzer :J.Colloid Interface Sci.,44,142 (1973).。
非特許文献2:北崎寧昭、畑 敏雄:日本接着協会紙,8,(3) 131(1972).
非特許文献3:J.Panzer :J.Colloid Interface Sci.,44,142 (1973).。
表面層Bの表面自由エネルギーは、25mN/m以上が好ましく、35mN/m以上がより好ましい。表面自由エネルギーが25mN/m以上であることにより、回路のエラストマーフィルム表面への密着性が不十分となることを抑制でき、エラストマーフィルム上に回路パターンを形成し、繰り返し伸縮をおこなったときに、センサーから得られる信号のS/N比が低下することを軽減できる、さらには回路パターンの破断による導通不良も抑制できる。
また、上記と同様の観点および生産性の観点から、エラストマーフィルムは、その最表面を1μmそぎ取った後の表面において、少なくとも一方の表面の表面自由エネルギーが25mN/m以上が好ましく、35mN/m以上がより好ましい。そぎ取り方法はミクロトームなど公知の方法で行うことができる。
条件1および2を満たすエラストマーフィルムとする方法として、エラストマーフィルムを構成する樹脂層を後述の化学式1のセグメントと、後述の化学式2のセグメント、化学式3のセグメント、化学式4のセグメント、化学式5のセグメント、およびそれらの水添体のセグメントからなる群より選ばれる少なくとも1つのセグメントを含む樹脂層とすることを好ましく挙げることができる。
また、前記エラストマーフィルムの5%歪み応力を10MPa以下、かつ20%伸長時の弾性復元率を80%以上とするためには、ポリマーが柔軟性のあるソフトセグメントと凝集力の高いハードセグメントを有し、それらがミクロ相分離構造を形成していることに加えて、このハードセグメントが、π-π相互作用や水素結合などの物理架橋の寄与度を必要最低限までに下げつつ、アクリル架橋のような小さく強固な化学架橋を低密度で形成させることが重要である。π-π相互作用や水素結合などの物理架橋をハードセグメントとして機能させるためには、ハードセグメントの体積を大きくする必要が有る。それに伴い、弾性率が高くなり、柔軟性が低下してしまう。したがって、小さく強固な化学架橋を低密度で形成させることが必要となる。前記エラストマーフィルムの5%歪み応力を10MPa以下、かつ20%伸長時の弾性復元率を80%以上としつつ、条件1および2を満たす方法として、エラストマーフィルムが後述する化学式1のセグメント(P)、後述する化学式2、化学式3、化学式4、化学式5、およびそれらの水添体のセグメントからなる群より選ばれる1つ以上のセグメントを有する数平均分子量500g/mol超の高分子量ポリオールに由来するセグメント(Q)、および2官能イソシアネートに由来するセグメント(R)を含む樹脂前駆体を架橋させたものを含むことを好ましく挙げることができる。なかでもエラストマーフィルムに含まれるPやQ、およびRの比率(個数基準)は、P:Q=1:10~1:40、かつP:R=1:0.5~1:2.0であることがより好ましい。上記比率は固体13C-NMRによる求めることができる。また、5%歪み応力や20%伸長時の弾性復元率を上記範囲とするために、含まれる比率に関し、個数基準でQを1とした際、分子量500g/mol以下の低分子ポリオールに由来するセグメントは0.1以下であることが好ましい。また、Rを1とした際3官能以上のイソシアネートに由来するセグメントは0.1以下であることが好ましい。加えて、エラストマーフィルム100質量%中に含まれる灰分の含有量は1質量%以下であることが好ましい。ここで、灰分とは窒素下500℃で1時間加熱した際の成分をいう。
本発明のエラストマーフィルムは、化学式1のセグメントを含むことが好ましい。
ここで、化学式1のセグメントは、(メタ)アクリル基が架橋して得られた(メタ)アクリル残基を指す。本発明のエラストマーフィルムは、(メタ)アクリル基が架橋して得られた(メタ)アクリル残基を有することにより、特許文献1に見られる柔軟性、復元性、耐熱性のトレードオフの関係を避けることができる。また、同様の観点および機能分離による生産性向上の観点から、樹脂層Aが化学式1のセグメントを有することが好ましい。
R1は、水素またはメチル基を指す。
R2は、以下のいずれかを指す。
置換または無置換のアルキレン基
置換または無置換のアリーレン基
内部にエーテル基、エステル基、またはアミド基を有するアルキレン基
内部にエーテル基、エステル基、またはアミド基を有するアリーレン基
内部にエーテル基、エステル基、またはアミド基を有する無置換のアルキレン基
内部にエーテル基、エステル基、またはアミド基を有する無置換のアリーレン基。
置換または無置換のアルキレン基
置換または無置換のアリーレン基
内部にエーテル基、エステル基、またはアミド基を有するアルキレン基
内部にエーテル基、エステル基、またはアミド基を有するアリーレン基
内部にエーテル基、エステル基、またはアミド基を有する無置換のアルキレン基
内部にエーテル基、エステル基、またはアミド基を有する無置換のアリーレン基。
さらに、本発明のエラストマーフィルムは、以下の条件3を満たすことが好ましい。
条件3: エラストマーフィルムのJIS Z0208-1976の、条件Bによる透湿度が、100g/m2・24h以下。
エラストマーフィルムの、JIS Z0208-1976の、条件Bによる透湿度は、50g/m2・24h以下がより好ましく、25g/m2・24h以下が特に好ましい。エラストマーフィルムの透湿度を下げることにより、配線材料やセンサーの劣化を防ぐことができる。条件3を満たすための達成手段は後述する。
本発明のエラストマーフィルムは、前記エラストマーフィルムの5%歪み応力を10MPa以下、かつ20%伸長時の弾性復元率を80%以上とし、かつ前述の条件1、条件2、および条件3を満たすエラストマーフィルムとするために、特定のセグメントを含む樹脂前駆体を、架橋させてなる硬化物であることが好ましい。具体的には、前記樹脂前駆体がポリジエン系のセグメントを含む樹脂前駆体であることが好ましく、より具体的には化学式2、化学式3、化学式4、化学式5、およびそれらの水添体のセグメントからなる群より選ばれる少なくとも1つのセグメントを含む樹脂前駆体であることが好ましく、化学式2、化学式3、化学式4、および化学式5の水添体のセグメントからなる群より選ばれる少なくとも1つのセグメントを含む樹脂前駆体であることがより好ましく、化学式2の水添体のセグメントまたは化学式3の水添体のセグメントを含む樹脂前駆体であることが特に好ましい。なかでも、同様の観点および機能分離による生産性向上の観点から、前記樹脂層Aが上記好ましい態様を担い、化学式2のセグメント、化学式3のセグメント、化学式4のセグメント、化学式5のセグメント、およびそれらの水添体のセグメントからなる群より選ばれる少なくとも1つのセグメントを含むことがより好ましい。樹脂前駆体中の化学式2から5のセグメントの重合度は、5以上が好ましく、7以上がより好ましい。樹脂前駆体については後述する。
化学式2から5、およびそれらの水添体のセグメントを含む樹脂前駆体を用いることで、エラストマーフィルムは低極性でかつ高い柔軟性を示すことができる。これにより、耐溶媒性と柔軟性を付与することができる。なお、化学式2から5について、記載を省略した置換基は任意の置換基を採用できるが、水素原子であることが好ましい。さらに、同様の観点から本発明のエラストマーフィルムを構成する樹脂層Aは、化学式6のセグメントを含む樹脂前駆体を、架橋させてなる硬化物であることが好ましい。樹脂前駆体とは、架橋させることができる部位を有する化合物を指す。
R3は、水素またはメチル基を指す。
R4、R5は、以下のいずれかを指す。
置換または無置換のアルキレン基
置換または無置換のアリーレン基
内部にエーテル基、エステル基、またはアミド基を有するアルキレン基
内部にエーテル基、エステル基、またはアミド基を有するアリーレン基
内部にエーテル基、エステル基、またはアミド基を有する無置換のアルキレン基
内部にエーテル基、エステル基、またはアミド基を有する無置換のアリーレン基。
置換または無置換のアルキレン基
置換または無置換のアリーレン基
内部にエーテル基、エステル基、またはアミド基を有するアルキレン基
内部にエーテル基、エステル基、またはアミド基を有するアリーレン基
内部にエーテル基、エステル基、またはアミド基を有する無置換のアルキレン基
内部にエーテル基、エステル基、またはアミド基を有する無置換のアリーレン基。
R6は、以下のいずれかを指す。
置換または無置換のアルキレン基
置換または無置換のアルケニレン基。
置換または無置換のアルキレン基
置換または無置換のアルケニレン基。
化学式6のセグメントは、Xで示される(メタ)アクリル基が末端にあり、Yで示されるポリイソシアネート残基がそれに隣接していることを示している。さらに、Yで示されるポリイソシアネート残基のもう一端が、Zで示されるとおりポリオール残基になっていることを示している。
樹脂前駆体が、(メタ)アクリル基を有することで、エラストマーフィルムに(メタ)アクリル基が架橋して得られた(メタ)アクリル残基を導入することができ、特許文献1に見られる柔軟性、復元性、耐熱性のトレードオフの関係を避けることができる。また、樹脂前駆体が、ポリイソシアネート残基を有することで、(メタ)アクリル基の架橋反応を促進して、少ない架橋点を高い反応性で反応させることが可能になる。また、極性の高いポリイソシアネート残基を有することで、金属ペーストに含まれるバインダー成分との親和性を付与することができる。さらに、樹脂前駆体が、ポリオール残基になっていることで、エラストマーフィルムに柔軟性を付与することができる。
さらに、本発明のエラストマーフィルムを構成する樹脂層Aは、化学式6のセグメントを含む樹脂前駆体を、架橋させてなる硬化物であって、前記樹脂前駆体は、以下の条件5を満たすことが好ましい。
条件5:樹脂前駆体の平均(メタ)アクリロイル基当量が、4,000g/eq以上、12,000g/eq以下
また、樹脂前駆体の平均(メタ)アクリロイル基当量とは、樹脂前駆体の重量平均分子量を、樹脂前駆体の設計上の(メタ)アクリロイル基の数で割った値を指す。樹脂前駆体の平均(メタ)アクリロイル基当量は4,000g/eq以上、12,000g/eq以下が好ましく、5,000g/eq以上、10,000g/eq以下がより好ましい。樹脂前駆体の平均(メタ)アクリロイル基当量が、4,000g/eq以上であることにより耐溶媒性をより十分なものとすることができ、12,000g/eq以下であることにより、復元性をより十分なものとすることができる。
また、樹脂前駆体の平均(メタ)アクリロイル基当量とは、樹脂前駆体の重量平均分子量を、樹脂前駆体の設計上の(メタ)アクリロイル基の数で割った値を指す。樹脂前駆体の平均(メタ)アクリロイル基当量は4,000g/eq以上、12,000g/eq以下が好ましく、5,000g/eq以上、10,000g/eq以下がより好ましい。樹脂前駆体の平均(メタ)アクリロイル基当量が、4,000g/eq以上であることにより耐溶媒性をより十分なものとすることができ、12,000g/eq以下であることにより、復元性をより十分なものとすることができる。
本発明のエラストマーフィルムは、以下の条件4を満たすことが好ましい。
条件4:エラストマーフィルムの膨潤率から求めた、ハンセンの溶解度パラメーターの距離(D)、分散項(δD)、極性項(δP)、および水素結合項(δH)が、式1および式2を満たす。
式1 : D <20(J/cm3)0.5
式2 : (δP+δH)/D <0.5。
式2 : (δP+δH)/D <0.5。
溶解度パラメーター(以下、SP値)とは、ヒルデブランドにより提案された凝集エネルギー密度の平方根で定義される物性値であり、溶媒の溶解挙動を示す数値である。これに対し、ハンセンの溶解度パラメーター(以下、HSP値)は、このSP値を、分散項(δD)、極性項(δP)、水素結合項(δH)の3成分に分割することで、SP値の極性/非極性を考慮したものであり、物質の溶解性を評価するだけでなく、高分子材料の耐溶剤性・耐水性評価、医薬品の溶解性評価、溶媒中の微粒子の凝集・分解性評価などで用いられているパラメーターのひとつである。本発明のエラストマーフィルムの分散力項(δD)、極性項(δP)、水素結合項(δH)は、HSP値が既知の溶媒に対する膨潤挙動から求めたもので、測定方法の詳細については後述する。
ハンセンの溶解度パラメーターの距離(D)は、式3より求められ、ハンセンの溶解度パラメーターの分散項(δD)、極性項(δP)、水素結合項(δH)を、それぞれの軸に取った3次元空間を作成したときに、原点からの距離に相当する。また、ヒルデブランド溶解度パラメーターに相当する値であり、分子間力の大きさを示す尺度である。
式3 : D=((δD)2+(δP)2+(δH)2)1/2。
また、式2の左辺は、ハンセンの溶解度パラメーターの非分散項の割合を示すものであり、極性の大きさを表す指標で、小さいほど、極性が小さいことを示す。
式1のDは、20 (J/cm3)0.5未満が好ましく、19(J/cm3)0.5未満がより好ましく、式2の(δP+δH)/Dは、0.5未満が好ましく、0.4未満がより好ましい。
式1のDが、20(J/cm3)0.5未満、かつ式2の(δP+δH)/Dが0.5未満であることにより、金属ペーストを用いて回路印刷をする際に、にじみが出ることを抑制でき、また、印刷再現性の向上や、寸法精度の向上を期待できる。
条件4を満たす達成手段としては、エラストマーフィルムの5%歪み応力を10MPa以下、かつ20%伸長時の弾性復元率を80%以上とし、かつ前述の条件1、条件2、および条件3を満たすための達成手段に記載の態様を取ることを好ましく挙げることができる。
本発明のエラストマーフィルムは、以下の条件6を満たすことが好ましい。
条件6:表面層Bの表面粗さSaが、150nm以上5,000nm以下。
表面粗さの測定方法については後述する。
表面層Bの表面粗さSaが150nm以上であることにより、印刷時にスクリーン版に貼り付いて印字性が悪化することを抑制したり、エラストマーフィルムの搬送時にロールに貼り付いたりして、後工程での取り扱い性が悪くなることを軽減することができる。同様の観点から、表面層Bの表面粗さSaは200nm以上がより好ましく、400nm以上が特に好ましい。一方、表面粗さSaが極端に高い場合、エラストマーフィルムを伸ばした際に切れてしまうことがあるため、Saは5,000nm以下が好ましい。また、印刷加工等の後工程で負荷が掛かった際、表面形状の極端な変形を抑制する観点からSaは1,000nm以下がより好ましく、780nm以下がさらに好ましい。
本発明のエラストマーフィルムは、表面層Bが樹脂粒子を含む粒子層であることが好ましい。ここで、樹脂粒子とは、粒子全体が樹脂、もしくは表面が樹脂で被覆された粒子を指す。粒子および樹脂粒子の詳細については後述する。粒子に樹脂粒子を使用することで、粒子を、粒子層内で良く分散させることができ、結果として、好ましい表面形状を形成することができる。また、樹脂粒子はエラストマーフィルムの伸縮性に追従できるため、粒子層が樹脂粒子を含むことにより、伸縮の際に粒子脱離による不具合を抑制できるため、粒子無しのエラストマーフィルムと比べて遜色のない高い伸縮性を有することができる。
ここで、前記粒子層と樹脂層Aとが異なる層であることが伸縮特性を良好とする観点から好ましい。なかでも、適度な凸凹を形成する観点からエラストマーフィルムの少なくとも一方の表面に前記粒子層を有することがより好ましい。一方、粒子層は化学式1のセグメントを含み、かつ化学式7のセグメントを含む樹脂前駆体を、架橋させたものであることがより好ましい。
R7は、以下のいずれかを指す。
置換または無置換のアルキレン基
置換または無置換のアリーレン基
内部にエーテル基、エステル基、またはアミド基を有するアルキレン基
内部にエーテル基、エステル基、またはアミド基を有するアリーレン基
内部にエーテル基、エステル基、またはアミド基を有する無置換のアルキレン基
内部にエーテル基、エステル基、またはアミド基を有する無置換のアリーレン基。
置換または無置換のアルキレン基
置換または無置換のアリーレン基
内部にエーテル基、エステル基、またはアミド基を有するアルキレン基
内部にエーテル基、エステル基、またはアミド基を有するアリーレン基
内部にエーテル基、エステル基、またはアミド基を有する無置換のアルキレン基
内部にエーテル基、エステル基、またはアミド基を有する無置換のアリーレン基。
本発明のエラストマーフィルムは、表面層Bが樹脂粒子および後述する化学式8のセグメントを含む粒子層であることがより好ましい。また、前記粒子層は、化学式8のセグメントと化学式9のセグメントを含むことがさらに好ましい。
RY1は、その末端に(メタ)アクリル基、エポキシ基、ビニル基、フェニル基、アミノ基より選ばれる1種以上を有するものを指す。
RY2は、炭素数1から4のアルキル基より選ばれる1種以上を指す。
ここで、化学式8のセグメントは無水マレイン酸により変性したポリオレフィンおよび/または無水マレイン酸共重合ポリオレフィンによるものであることが好ましい。
粒子層が化学式8のセグメントを含むことにより、粒子層と樹脂層Aとの親和性がより高くなり、粒子層-樹脂層A間の密着性を向上させることができ、さらにエラストマーフィルム表面に電気回路体を形成したときの密着性を向上させることもできる。また、化学式8のセグメントを含むものは伸縮性に優れ、樹脂粒子との接着性にも優れることから、粒子層が化学式8のセグメントを含むことにより、伸縮の際の粒子脱離による不具合を抑制でき、かつ、伸縮追従性の高さゆえにエラストマーフィルムの伸縮性を向上することができる。とりわけ、一般的にエラストマーフィルムが樹脂層Aと粒子を含む層とを有する場合、その伸縮特性に追従しつつ適度に凸凹を得ることは難しく、化学式8のセグメントを含む粒子層であることにより、樹脂層Aの伸縮特性によく追従でき、かつ伸縮時における樹脂層Aと粒子層の剥離を抑制でき、かつ伸縮時の樹脂粒子の脱離を抑制でき、さらに適度な表面凸凹を形成することができる。
粒子層が化学式9のセグメントを含むことにより、粒子層と樹脂層Aとの親和性がより高くなり、粒子層-樹脂層A間の密着性を向上させることができ、さらにエラストマーフィルム表面に電気回路体を形成したときの密着性を向上させることもできる。
化学式9のセグメントは、ポリアルコキシシランのセグメント、すなわち、以下の化合物群1に記載のアルコキシシランの加水分解縮合物であることが好ましい。
(化合物群1)(メタ)アクリロキシアルコキシシラン、エポキシアルコキシシラン、ビニルアルコキシシラン、フェニルアルコキシシラン、およびアミノアルコキシシランからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコキシシラン。
加水分解縮合物とは上記アルコキシシランのアルコキシ基が部分的に加水分解してシラノール基(Si-OH)になると共に、シラノール縮合することにより、シロキサン結合(Si-O-Si)を形成したものを指す。
上記観点から、アルコキシシランは、前述の化合物群1の中でもアミノアルコキシシランであることがより好ましい。中でも、アミノ基としては、1級アミンよりも2級アミンが好ましく、フェニルアミンが特に好ましい。
アルコキシシランの具体例は、ビニルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β-(3、4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、5-ヘキセニルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラン、2-(3、4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルジメトキシシランなどがある。
また、接着性をより向上させる観点から、粒子層は化学式8のセグメントと化学式9のセグメントを含有することがより好ましい。
粒子層が、化学式8のセグメントや化学式9のセグメントを含むことは、様々な分析方法により調べることが可能であるが、熱分解GC-MSによる方法が簡便である。また、エラストマーフィルムを形成する原料から判断することもできる。
さらに、本発明のエラストマーフィルムは、前記表面層Bが樹脂粒子を含有し、樹脂粒子の数平均粒子径が2μm以上20μm以下であることが好ましい。
樹脂粒子の大きさは、タック低減や樹脂粒子の脱落抑制、リワーク性の観点から、数平均粒子径2μm以上20μm以下が好ましく、数平均粒子径4μm以上10μm以下がより好ましい。樹脂粒子の大きさは数平均粒子径2μm以上であることにより、表面のタックを低減する効果を十分に得ることができる。同様の観点から、樹脂粒子の大きさは数平均粒子径4μm以上であることがより好ましい。
また、樹脂粒子の大きさは数平均粒子径20μm以下であることにより、表面層Bからの樹脂粒子の脱落を抑制することができる。加えて、タック低減や後述するリワーク性の向上もできる。後述のリワーク性と樹脂粒子の数平均粒子径の関係について、本発明者らは次のように考えている。表面層Bの凹凸形状をより大きくする、言い換えると表面粗さSaをより大きくしたい場合、一般的にはより数平均粒子径が大きい樹脂粒子を用いること好ましいと考えられる。一般に、数平均粒子径が大きい粒子は曲率も大きく、数平均粒子径が小さい粒子は曲率が小さくなる。本発明において、数平均粒子径が小さい粒子を使用する方が後述の凹凸形状における凸側(山側)に鋭くなる傾向を得られやすくなるため、後述するスキューネスSskの効果と同様に、数平均粒子径が小さい粒子を用いることがリワーク性の観点から好ましいと考えられる。表面粗さSaとスキューネスSskを好ましい範囲とする観点から、数平均粒子径2μm以上20μm以下が好ましく、数平均粒子径4μm以上10μm以下がより好ましい。
樹脂粒子の大きさは、用いる樹脂粒子の材料や粒径、粒子層の形成方法を適宜選択することで上記範囲とすることができる。
樹脂粒子の数平均粒子径は、エラストマーフィルムの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察、測定する。数平均粒子径は、1視野あたり一次粒子の集合体としての個数が10個以上50個以下になる倍率にて観察を行い、得られた画像から一次粒子の外接円の直径を求めてこれを等価粒子径とし、観察数を増やし一次粒子100個について測定した値から数平均粒子径を求める。
なお、前記表面層Bの厚みは、前述の表面形状を達成することができれば、特に限定されないが、1μm以上25μm以下にすることが好ましく、1μm以上20μm以下にすることがより好ましい。伸縮特性を良好なものとする観点から樹脂層Aと表面層Bとを有する場合は、前記樹脂層Aの厚みは10μm以上500μm以下が好ましく、前記表面層Bの厚みは1μm以上25μm以下が好ましい。また、同様の観点から、前記樹脂層Aの厚み(μm)/前記表面層Bの厚み(μm)の値は2以上50以下が好ましい。
また、粒子層中の樹脂と樹脂粒子の割合は、粒子層の全体100質量%に対し、樹脂粒子の割合は10質量%以上50質量%以下が好ましい。樹脂粒子の割合が10質量%以上であることにより、好ましい表面形状を形成することができ、表面のタックを低減する効果を十分に得ることができる。
一方、粒子層中の樹脂粒子の割合が50質量%以下であることにより、エラストマーフィルムに用いたときに、十分な伸縮特性を得ることができる。
さらに、本発明のエラストマーフィルムは、以下の条件7を満たすことが好ましい。
条件7: 表面層BのスキューネスSskが正の値である。
スキューネスSskの測定方法は後述する。
スキューネスSskとは、平均面・平均線からの高さ分布の偏りを表しており、山と谷の非対象性を示すものである。Sskが0の場合、高さ分布が上下に対称で、山と谷が同程度に存在することを示している。Sskが正の場合、図10のように粗さ曲線が凹側に偏って存在し、表面が鋭いことを示している。一方、Sskが負の場合、図11のように粗さ曲線が凸側に偏って存在し、表面が滑らかであることを示している。
タック低減やリワーク性の観点から、スキューネスSskは正の値を取ることが好ましい。ここでリワーク性とは、製品加工時や製品使用時における位置決めおよび位置調整の行いやすさを指し、例えば、印刷加工工程、粘着加工工程、部品実装工程、製品組み立て工程、パッケージング工程、製品使用時における部材の位置決めおよび位置調整の行いやすさを指す。リワーク性が高いほど、製品加工者や製品使用者にとって使いやすい製品になるだけでなく、製品加工が行いやすくなるため、廃棄部材ロスや製造コストダウンの観点でも好ましい。スキューネスSskとリワーク性の関係について、本発明者らは次のように考えている。スキューネスSskが正の値を取ると、凸側(山側)に鋭いことを表す。表面層BのスキューネスSskが正の値であることで、エラストマーフィルムを相手部材に接触させた際に、相手部材との接触面積を減らすことができ、また、荷重をかけてエラストマーフィルムが変形する場合においても、表面側が鋭いので変形による接触面積増加を抑制することができると考えられる。その結果、エラストマーフィルムと相手部材の接触面積を減らすことができるため、エラストマーフィルムのような一般的に貼り付きやすいとされる素材であっても貼り付きを抑制することができ、タック低減やリワーク性を向上することができると考える。また、同様の観点から、表面層BのスキューネスSskは0.01以上1.10以下であることがより好ましく、0.15以上1.00以下がさらに好ましい。
さらに、本発明のエラストマーフィルムは、以下の条件8を満たすことが好ましい。
条件8: 表面層Bの最大山高さSpと最大谷深さSvが式4を満たす。
式4 : |Sp| / |Sv| ≧ 1
最大山高さおよび最大谷深さの測定方法は後述する。
最大山高さおよび最大谷深さの測定方法は後述する。
タック低減やリワーク性の観点から、表面層Bの最大山高さSpと最大谷深さSvは式4を満たすことが好ましく、式4の左辺が1.1以上であることがより好ましく、式4の左辺が1.2以上であることが特に好ましい。表面層Bの最大山高さSpと最大谷深さSvの関係について、本発明者らは次のように考えている。表面層Bの最大山高さSpと最大谷深さSvが式4を満たすことは、基準面・基準線から最も離れている凹凸部が凸側(山側)にあることを意味しており、凸側(山側)により鋭いことを意味している。そのため、式4を満たすことでエラストマーフィルムを相手部材に接触させた際に、相手部材との接触面積を減らすことができ、また、荷重をかけてエラストマーフィルムが変形する場合においても、凸側(山側)が鋭いので変形による接触面積増加を抑制することができると考えられる。その結果、エラストマーフィルムと相手部材の接触面積を減らすことができるため、エラストマーフィルムのような一般的に貼り付きやすいとされる素材であっても貼り付きを抑制することができ、タック低減やリワーク性を向上することができると考える。
さらに、本発明のエラストマーフィルムは、前記樹脂層Aを構成する樹脂が熱可塑性樹脂ではないことが好ましい。前記樹脂層Aを構成する樹脂が熱可塑性樹脂ではないと、印刷加工工程や製品としての使用時に高温に晒された場合において、熱変形によるシワや凹凸が生じることを抑制することができるため好ましい。
ここで、本発明のエラストマーフィルムまたはエラストマーフィルム・粘着層積層体を用いて電気回路体を作成したところ、電気回路体を伸縮させたときの導体回路の抵抗値変化を抑制する効果があることが分かった。条件1および2を満たすことで金属ペースト印刷適性に優れ、かつ金属ペースト密着性にも優れるため、電気回路体を伸縮させたときの導体回路の抵抗値変化を抑制する効果が発現したと推測している。また、これにより、ウエアラブルデバイスなどの伸縮可能な配線基板等の用途に好ましく用いることができる。
[エラストマーフィルム]
本発明のエラストマーフィルムは、樹脂層Aと表面層Bを含む2層以上の層を有することが好ましい。
本発明のエラストマーフィルムは、樹脂層Aと表面層Bを含む2層以上の層を有することが好ましい。
本発明のエラストマーフィルムは、その課題であった、柔軟性、復元性、耐溶媒性、耐熱性、回路パターン密着性の他に、耐指紋性、成型性、意匠性、耐傷性、防汚性、反射防止、帯電防止、導電性、熱線反射、近赤外線吸収、電磁波遮蔽等の他の機能を有してもよく、その場合にはさらに1つ以上の層を形成してもよい。例えば前述の機能を有する機能層、粘着層、電子回路層、印刷層、光学調整層等や他の機能層を設けてもよい。
本発明のエラストマーフィルムの厚みには特に限定はなく、その用途によって適宜選択される。エラストマーフィルムの厚みの下限は、エラストマーフィルム自身の弾性率、破断伸度、積層体からの剥離力や剥離角度などの影響を受けるため、一概には定まらないが、後述する積層体の製造方法を用いて、一般的な柔軟材料同等の物性を実現する場合には、1μm程度が下限である。
[樹脂前駆体]
樹脂前駆体は、架橋させることができる部位を有する化合物であれば、特に限定されないが、化学式2のセグメント、化学式3のセグメント、化学式4のセグメント、化学式5のセグメント、およびそれらの水添体のセグメントからなる群より選ばれる少なくとも1つのセグメントと化学式6のセグメントを含む樹脂前駆体が好ましい。
樹脂前駆体は、架橋させることができる部位を有する化合物であれば、特に限定されないが、化学式2のセグメント、化学式3のセグメント、化学式4のセグメント、化学式5のセグメント、およびそれらの水添体のセグメントからなる群より選ばれる少なくとも1つのセグメントと化学式6のセグメントを含む樹脂前駆体が好ましい。
化学式6のセグメントは、前述のように、図中のXで示される(メタ)アクリル基が末端にあり、この末端にある(メタ)アクリル基(X)が、架橋させることができる部位に相当する。さらに、(メタ)アクリル基(X)は、図中のYで示されるポリイソシアネート残基と隣接している。さらにYで示されるポリイソシアネート残基ウレタン結合のもう一端と、Zで示されるポリオール残基(Z)が隣接していることを意味している。
化学式6のポリイソシアネート残基(Y)は、好ましくは、TDI(トリレンジイソシアネート)、MDI(4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート)、NDI(1,5-ナフタレンジイソシアネート)、TODI(トリジンジイソシアネート)、XDI(キシリレンジイソシアネート)、PPDI(パラフェニレンジイソシアネート)、TMXDI(テトラメチルキシリレンジイソシアネート)、HMDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)、IPDI(イソホロンジイソシアネート)、H6XDI(水添キシリレンジイソシアネート)、H12MDI(ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート)等のポリイソシアネートの残基である。化学式7のポリオール残基は、好ましくは、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、化学式2のセグメント、化学式3のセグメント、化学式4のセグメント、化学式5のセグメント、およびそれらの水添体のセグメントからなる群より選ばれる少なくとも1つのセグメントであり、より好ましくは、化学式2のセグメント、化学式3のセグメント、化学式4のセグメント、化学式5のセグメント、およびそれらの水添体のセグメントからなる群より選ばれる少なくとも1つのセグメントを含むポリオールであることが、耐溶媒性と柔軟性を両立する観点から好ましい。
[積層体]
本発明のエラストマーフィルムは、その一方の面に支持基材を有する積層体を形成してもよい。積層体は、前記支持基材と前記エラストマーフィルムとの間の剥離力が、1N/50mm以下である積層体であることが好ましい。なお、エラストマーフィルムとの剥離力が1N/50mm以下である支持基材のことを、以下においては剥離可能な支持基材と記す。
本発明のエラストマーフィルムは、その一方の面に支持基材を有する積層体を形成してもよい。積層体は、前記支持基材と前記エラストマーフィルムとの間の剥離力が、1N/50mm以下である積層体であることが好ましい。なお、エラストマーフィルムとの剥離力が1N/50mm以下である支持基材のことを、以下においては剥離可能な支持基材と記す。
前述のとおり、本発明の積層体において、支持基材とエラストマーフィルム間の剥離力は、1N/50mm以下であることが好ましく、800mN/50mm以下であることがより好ましい。支持基材とエラストマーフィルム間の剥離力について、下限は特に限定されないが、10mN/50mm未満になると、製造工程で、支持基材とエラストマーフィルムが剥がれたり、浮いたりすることがあるので、支持基材とエラストマーフィルム間の剥離力は10mN/50mm以上であることが好ましい。
[支持基材]
前述の積層体に用いられる支持基材は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれでもよく、ホモ樹脂であってもよく、共重合または2種類以上のブレンドであってもよい。支持基材を構成する樹脂は、成形性が良好であれば好ましく、その点から熱可塑性樹脂がより好ましい。
前述の積層体に用いられる支持基材は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれでもよく、ホモ樹脂であってもよく、共重合または2種類以上のブレンドであってもよい。支持基材を構成する樹脂は、成形性が良好であれば好ましく、その点から熱可塑性樹脂がより好ましい。
熱可塑性樹脂の例としては、ポリエチレン・ポリプロピレン・ポリスチレン・ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、脂環族ポリオレフィン樹脂、ナイロン6・ナイロン66などのポリアミド樹脂、アラミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、4フッ化エチレン樹脂・3フッ化エチレン樹脂・3フッ化塩化エチレン樹脂・4フッ化エチレン-6フッ化プロピレン共重合体・フッ化ビニリデン樹脂などのフッ素樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリグリコール酸樹脂、ポリ乳酸樹脂などを用いることができる。
熱硬化性樹脂の例としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂などを用いることができる。
熱可塑性樹脂は、十分な延伸性と追従性を備える樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂は、強度・耐熱性・透明性の観点から、特に、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、またはメタクリル樹脂であることがより好ましい。
本発明におけるポリエステル樹脂とは、エステル結合を主鎖の主要な結合鎖とする高分子の総称であって、酸成分およびそのエステルとジオール成分の重縮合によって得られる。具体例としてはポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどを挙げることができる。またこれらに酸成分やジオール成分として他のジカルボン酸およびそのエステルやジオール成分を共重合したものであってもよい。これらの中で透明性、寸法安定性、耐熱性などの点でポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレートが特に好ましい。
また支持基材には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、屈折率調整のためのドープ剤などが添加されていてもよい。
さらに支持基材は、単層構成、積層構成のいずれであってもよい。
また、支持基材の表面には、本発明のエラストマーフィルムとは別に易接着層、帯電防止層、アンダーコート層、紫外線吸収層、離型層などの機能性層をあらかじめ設けることも可能であり、本発明において、支持基材は、支持基材とエラストマーフィルム間の剥離力を低下させるため、離型層を有することが好ましい。離型層の詳細については後述する。
離型層が設けられた支持基材の例として、東レフィルム加工株式会社製の“セラピール”(登録商標)、ユニチカ株式会社製の“ユニピール”(登録商標)、パナック株式会社製の“パナピール”(登録商標)、東洋紡株式会社製の“東洋紡エステル”(登録商標)、帝人株式会社製の“ピューレックス”(登録商標)などを挙げることができ、これらの製品を利用することもできる。
支持基材の表面には、前記エラストマーフィルムを形成する前に各種の表面処理を施すことも可能である。表面処理の例としては、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線照射処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、サンドブラスト処理、混酸処理およびオゾン酸化処理が挙げられる。これらの中でもグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理および火焔処理が好ましく、グロー放電処理と紫外線処理がさらに好ましい。
[離型層]
前述の積層体に用いられる支持基材は、離型層を有することが好ましい。離型層を有する支持基材は、離型フィルムとも呼ばれる。離型層は、密着性や帯電防止性、耐溶剤性等を付与する観点から複数の層から構成されていてもよく、支持基材の両面にあってもよい。
前述の積層体に用いられる支持基材は、離型層を有することが好ましい。離型層を有する支持基材は、離型フィルムとも呼ばれる。離型層は、密着性や帯電防止性、耐溶剤性等を付与する観点から複数の層から構成されていてもよく、支持基材の両面にあってもよい。
離型層の組成や厚みは、エラストマーフィルムからの剥離力を、前述の好ましい範囲にすることができれば特に限定されないが、離型層の面内均一性、品位、剥離力の面から10nm以上500nm以下であることが好ましく、20nm以上300nm以下であることがより好ましい。
[保護材料]
前述の積層体は,前述の図5のようにエラストマーフィルムの支持基材とは反対側の面に保護材料を有していてもよい。保護材料と支持基材の区別は、積層体の製造方法において、塗料組成物を塗工するものを支持基材とし、エラストマーフィルム形成後に貼合されたものを保護材料とする。保護材料は、前述の支持基材と同じものでも、異なるものでもよいが、後工程の使用において、前述の支持基材と、剥離力に差を有することが好ましい。保護材料と支持基材のエラストマーフィルムからの剥離力の大小関係は、後工程での使用方法に応じて適宜選択される。そのため、保護材料は、図6のように離型層を有してもよく、図7のように粘着層を有してもよく、図8のように単層でもよい。
前述の積層体は,前述の図5のようにエラストマーフィルムの支持基材とは反対側の面に保護材料を有していてもよい。保護材料と支持基材の区別は、積層体の製造方法において、塗料組成物を塗工するものを支持基材とし、エラストマーフィルム形成後に貼合されたものを保護材料とする。保護材料は、前述の支持基材と同じものでも、異なるものでもよいが、後工程の使用において、前述の支持基材と、剥離力に差を有することが好ましい。保護材料と支持基材のエラストマーフィルムからの剥離力の大小関係は、後工程での使用方法に応じて適宜選択される。そのため、保護材料は、図6のように離型層を有してもよく、図7のように粘着層を有してもよく、図8のように単層でもよい。
[エラストマーフィルムの製造方法]
本発明のエラストマーフィルムの製造方法は、特に限定されないが、好ましくは支持基材上に、化学式2、化学式3、化学式4、化学式5、およびそれらの水添体のセグメントからなる群より選ばれる1つ以上のセグメント、化学式1のセグメント、および化学式6のセグメントを含む樹脂前駆体を含む塗料組成物を塗布して、塗布層を形成し(工程1)、次いで塗布層から溶媒を除去して乾燥し(工程2)、活性エネルギー線を照射して、樹脂前駆体を架橋させ(工程3)、積層体から、支持基材を剥離する(工程4)を含むことが好ましい。
本発明のエラストマーフィルムの製造方法は、特に限定されないが、好ましくは支持基材上に、化学式2、化学式3、化学式4、化学式5、およびそれらの水添体のセグメントからなる群より選ばれる1つ以上のセグメント、化学式1のセグメント、および化学式6のセグメントを含む樹脂前駆体を含む塗料組成物を塗布して、塗布層を形成し(工程1)、次いで塗布層から溶媒を除去して乾燥し(工程2)、活性エネルギー線を照射して、樹脂前駆体を架橋させ(工程3)、積層体から、支持基材を剥離する(工程4)を含むことが好ましい。
また、前述の「工程3」の後に、粒子と樹脂成分を含む粒子層用塗料組成物を塗布して塗布層を形成する工程、および塗布層から溶媒を除去する工程をこの順に行うか、「工程3」の後に、粒子と樹脂前駆体を含む粒子層用塗料組成物を塗布して塗布層を形成する工程、塗布層から溶媒を除去する工程、および活性エネルギー線を照射して樹脂前駆体を架橋し支持基材上にエラストマーフィルムを有する積層体にする工程をこの順に行うことが好ましい。
また、前述の支持基材に、凹凸形状等の表面形状を有する支持基材を用いた場合、前述の「工程4」により得られるエラストマーフィルムの支持基材と接触していた面に、支持基材が有する凹凸形状等の表面形状を転写させることで、エラストマーフィルムの表面に表面形状を形成することが可能である。このとき、支持基材の表面形状とエラストマーフィルムの表面形状の反転が起きる。そのため、表面形状の反転が起きている場合、支持基材の表面形状のスキューネスが正の値であればエラストマーフィルムの表面形状のスキューネスは負の値とすることができ、支持基材の表面形状のスキューネスが負の値であればエラストマーフィルムの表面形状のスキューネスは正の値とすることができる。
工程1の支持基材上への塗料組成物の塗布方法は、支持基材上に塗料組成物を塗布し、面内均一な塗布層を形成できれば、特に限定されない。支持基材上への塗布方法としては、ディップコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やダイコート法(米国特許第2681294号明細書)などから適宜、選択できる。ここで塗布層とは、塗布工程により形成された「液体の層」を指す。
工程2の溶媒を除去する方法、つまり乾燥方法は、支持基材上に形成された塗布層から、溶媒を除去することができれば、特に限定されない。乾燥方法としては、伝熱乾燥(高熱物体への密着)、対流伝熱(熱風)、輻射伝熱(赤外線)、その他(マイクロ波、誘導加熱)によりなどが挙げられるが、この中でも、本発明の製造方法では、精密に幅方向でも乾燥速度を均一にする必要から、対流伝熱または輻射伝熱を使用した方式が好ましい。
工程3の架橋方法は、乾燥後、溶媒を除去した塗布層に対して活性エネルギー線を照射することにより、反応させ、塗膜を架橋させるものである。
活性エネルギー線による架橋は、汎用性の点から電子線(EB)および/または紫外線(UV)であることが好ましい。また、紫外線を照射する際に用いる紫外線ランプの種類としては、例えば、放電ランプ方式、フラッシュ方式、レーザー方式、無電極ランプ方式等が挙げられる。放電ランプ方式である高圧水銀灯を用いて紫外線硬化させる場合、紫外線の照度が100~3,000(mW/cm2)が好ましく、より好ましくは200~2,000(mW/cm2)、さらに好ましくは300~1,500(mW/cm2)、となる条件で紫外線照射を行うことがよく、紫外線の積算光量が、100~3,000(mJ/cm2)が好ましく、より好ましくは200~2,000(mJ/cm2)、さらに好ましくは300~1,500(mJ/cm2)となる条件で紫外線照射を行うことがよい。ここで、紫外線照度とは、単位面積当たりに受ける照射強度で、ランプ出力、発光スペクトル効率、発光バルブの直径、反射鏡の設計および被照射物との光源距離によって変化する。しかし、搬送スピードによって照度は変化しない。また、紫外線積算光量とは単位面積当たりに受ける照射エネルギーで、その表面に到達するフォトンの総量である。積算光量は、光源下を通過する照射速度に反比例し、照射回数とランプ灯数に比例する。
[塗料組成物]
前述のエラストマーフィルムの製造方法にて用いられる「塗料組成物」は、支持基材上に面内均一に塗布でき、本発明の特性を示すエラストマーフィルムを形成することができれば特に限定されないが、前述の積層体の製造方法に適した塗料組成物であることが好ましい。具体的には、前述の樹脂前駆体と、後述する溶媒やその他の成分を加えて、塗料組成物とすることが好ましい。
前述のエラストマーフィルムの製造方法にて用いられる「塗料組成物」は、支持基材上に面内均一に塗布でき、本発明の特性を示すエラストマーフィルムを形成することができれば特に限定されないが、前述の積層体の製造方法に適した塗料組成物であることが好ましい。具体的には、前述の樹脂前駆体と、後述する溶媒やその他の成分を加えて、塗料組成物とすることが好ましい。
[溶媒]
前述のエラストマーフィルムの製造方法にて用いられる塗料組成物は、溶媒を含んでもよく、塗布層を面内に均一に形成するためには、溶媒を含む方が好ましい。溶媒の種類数としては1種類以上20種類以下が好ましく、より好ましくは1種類以上10種類以下、さらに好ましくは1種類以上6種類以下、特に好ましくは1種類以上4種類以下である。
前述のエラストマーフィルムの製造方法にて用いられる塗料組成物は、溶媒を含んでもよく、塗布層を面内に均一に形成するためには、溶媒を含む方が好ましい。溶媒の種類数としては1種類以上20種類以下が好ましく、より好ましくは1種類以上10種類以下、さらに好ましくは1種類以上6種類以下、特に好ましくは1種類以上4種類以下である。
ここで「溶媒」とは、前述の乾燥工程にてほぼ全量を蒸発させることが可能な、常温、常圧で液体である物質を指す。
ここで、溶媒の種類とは溶媒を構成する分子構造によって決まる。すなわち、同一の元素組成で、かつ官能基の種類と数が同一であっても結合関係が異なるもの(構造異性体)、前記構造異性体ではないが、3次元空間内ではどのような配座をとらせてもぴったりとは重ならないもの(立体異性体)は、種類の異なる溶媒として取り扱う。例えば、2-プロパノールと、n-プロパノールは異なる溶媒として取り扱う。さらに、溶媒を含む場合には以下の特性を示す溶媒であることが好ましい。
特性1 酢酸n-ブチルを基準とした相対蒸発速度(ASTM D3539-87(2004))が最も低い溶媒を溶媒Bとした際に、溶媒Bの相対蒸発速度が0.4以下。
ここで、溶媒の酢酸n-ブチルを基準とした相対蒸発速度とは、ASTMD3539-87(2004)に準拠して測定される蒸発速度である。具体的には、乾燥空気下で酢酸n-ブチルが90質量%蒸発するのに要する時間を基準とする蒸発速度の相対値として定義される値である。
前記溶媒の相対蒸発速度が0.4よりも大きい場合には、前述のポリシロキサンセグメントおよび/またはポリジメチルシロキサンセグメント、およびフッ素化合物セグメントの樹脂層A中の最表面への配向に要する時間が短くなるため、得られる積層体における樹脂層Aの耐溶剤性の低下を生じる場合がある。また、前記溶媒の相対蒸発速度の下限は、乾燥工程において蒸発して塗膜から除去できる溶媒であれば問題なく、一般的な塗布工程においては、0.005以上であればよい。
溶媒としては、イソブチルケトン(相対蒸発速度:0.2)、イソホロン(相対蒸発速度:0.026)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(相対蒸発速度:0.004、)、ジアセトンアルコール(相対蒸発速度:0.15)、オレイルアルコール(相対蒸発速度:0.003)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(相対蒸発速度:0.2)、ノニルフェノキシエタノール(相対蒸発速度:0.25)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(相対蒸発速度:0.1)、シクロヘキサノン(相対蒸発速度:0.32)などがある。
[塗料組成物中のその他の成分]
前述のエラストマーフィルムの製造方法にて用いられる塗料組成物は,酸化防止剤、重合開始剤、硬化剤や触媒を含むことが好ましい。重合開始剤および触媒は、エラストマーフィルムの架橋を促進するために用いられる。重合開始剤としては、塗料組成物に含まれる成分をアニオン、カチオン、ラジカル重合反応等による重合、縮合または架橋反応を開始あるいは促進できるものが好ましい。
前述のエラストマーフィルムの製造方法にて用いられる塗料組成物は,酸化防止剤、重合開始剤、硬化剤や触媒を含むことが好ましい。重合開始剤および触媒は、エラストマーフィルムの架橋を促進するために用いられる。重合開始剤としては、塗料組成物に含まれる成分をアニオン、カチオン、ラジカル重合反応等による重合、縮合または架橋反応を開始あるいは促進できるものが好ましい。
酸化防止剤は、その作用機構から、ラジカル連鎖開始防止剤、ラジカル捕捉剤、過酸化物分解剤に大別され、本発明の課題である、高温条件下での劣化抑制に対してこれらのいずれでも本発明の効果は得られるが、ラジカル捕捉剤、または過酸化物分解剤がより好ましく、ヒンダードフェノール系、セミヒンダードフェノール系のラジカル捕捉剤、またはホスファイト系、チオエーテル系の過酸化物分解剤が特に好ましい。
重合開始剤、硬化剤および触媒は種々のものを使用できる。また、重合開始剤、硬化剤および触媒はそれぞれ単独で用いてもよく、複数の重合開始剤、硬化剤および触媒を同時に用いてもよい。さらに、酸性触媒や、熱重合開始剤を併用してもよい。酸性触媒の例としては、塩酸水溶液、蟻酸、酢酸などが挙げられる。熱重合開始剤の例としては、過酸化物、アゾ化合物が挙げられる。また、光重合開始剤の例としては、アルキルフェノン系化合物、含硫黄系化合物、アシルホスフィンオキシド系化合物、アミン系化合物などが挙げられる。また、ウレタン結合の形成反応を促進させる架橋触媒の例としては、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジエチルヘキソエートなどが挙げられる。
光重合開始剤としては、硬化性の点から、アルキルフェノン系化合物が好ましい。アルキルフェノン形化合物の具体例としては、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-フェニル)-1-ブタン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-(4-フェニル)-1-ブタン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-1-ブタン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-1-ブタン、1-シクロヘキシル-フェニルケトン、2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-[4-(2-エトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、ビス(2-フェニル-2-オキソ酢酸)オキシビスエチレン、およびこれらの材料を高分子量化したものなどが挙げられる。
また、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、エラストマーフィルムを形成するために用いる塗料組成物にレベリング剤、滑剤、帯電防止剤等を加えてもよい。これにより、エラストマーフィルムはレベリング剤、滑剤、帯電防止剤等を含有することができる。
レベリング剤の例としては、アクリル共重合体またはシリコーン系、フッ素系のレベリング剤が挙げられる。帯電防止剤の例としてはリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などの金属塩が挙げられる。
[用途例]
本発明のエラストマーフィルムは、高い柔軟性と復元性を有し、かつ後工程で様々な加工を必要とする用途に好適に用いることができる。本発明のエラストマーフィルムは柔軟で復元性が高く、かつ金属ペースト印刷適性に優れることから、エレクトニクスデバイス回路基板用途に特に好ましく用いることができる。一例を挙げると、本発明のエラストマーフィルムを用いたヘルスケアセンサーやウエアラブルセンサーである。さらに一例を挙げると、ウエアラブルデバイスや、ヘルスケアデバイス用の伸縮性、伸縮性センサー、伸縮性アクチュエーター用に好適に用いることができる。
本発明のエラストマーフィルムは、高い柔軟性と復元性を有し、かつ後工程で様々な加工を必要とする用途に好適に用いることができる。本発明のエラストマーフィルムは柔軟で復元性が高く、かつ金属ペースト印刷適性に優れることから、エレクトニクスデバイス回路基板用途に特に好ましく用いることができる。一例を挙げると、本発明のエラストマーフィルムを用いたヘルスケアセンサーやウエアラブルセンサーである。さらに一例を挙げると、ウエアラブルデバイスや、ヘルスケアデバイス用の伸縮性、伸縮性センサー、伸縮性アクチュエーター用に好適に用いることができる。
またこの他にも、高い柔軟性と復元性の観点から、復元性を必要とする粘着テープの基材、ディスプレイ用衝撃吸収材料、医療用フィルム基材、自動車用表面保護フィルム基材、圧力センサー芯材、メガネ・サングラス、化粧箱、食品容器などのプラスチック成形品、水槽、展示用などのショーケース、スマートフォンの筐体、タッチパネル、カラーフィルター、フラットパネルディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、フレキシブルデバイス、センサー、回路用材料、電気電子用途、キーボード、テレビ・エアコンのリモコンなどの家電製品、ミラー、窓ガラス、建築物、ダッシュボード、カーナビ・タッチパネル、ルームミラーやウインドウなどの車両部品、および種々の印刷物、医療用フィルム、衛生材料用フィルム、医療用フィルム、農業用フィルム、建材用フィルムなど、それぞれの表面材料や内部材料や構成材料や製造工程用材料に好適に用いることができる。
[電気回路体]
本発明の電気回路体は、前述のエラストマーフィルムまたはエラストマーフィルム・粘着層積層体の、エラストマーフィルムの少なくとも一方の面に、導体回路が形成されているものであれば、特に限定はない。電気回路体の構成の一例について、図9を用いて説明する。電気回路体27は、エラストマーフィルム28の上に、電気回路29を形成している。電気回路の形成方法については、特に限定はなく、一般的なFPC(フレキシブルプリント配線板)の形成方法や、スクリーン印刷による方法を用いてもよい。
本発明の電気回路体は、前述のエラストマーフィルムまたはエラストマーフィルム・粘着層積層体の、エラストマーフィルムの少なくとも一方の面に、導体回路が形成されているものであれば、特に限定はない。電気回路体の構成の一例について、図9を用いて説明する。電気回路体27は、エラストマーフィルム28の上に、電気回路29を形成している。電気回路の形成方法については、特に限定はなく、一般的なFPC(フレキシブルプリント配線板)の形成方法や、スクリーン印刷による方法を用いてもよい。
[ヘルスケアセンサー]
本発明のヘルスケアセンサーは、前述のエラストマーフィルムまたはエラストマーフィルム・粘着層積層体の、エラストマーフィルムの少なくとも一方の面に、導体回路が形成されているものであれば、特に限定はない。本発明のヘルスケアセンサーは、健康維持や、医療の質の向上を目的とし、呼吸数や心拍数、体温、血圧から、心電図、脳波などの生体情報を、生体に直接取り付けることで連続的に記録するセンサー、およびそれらを用いたデバイスを指す。
本発明のヘルスケアセンサーは、前述のエラストマーフィルムまたはエラストマーフィルム・粘着層積層体の、エラストマーフィルムの少なくとも一方の面に、導体回路が形成されているものであれば、特に限定はない。本発明のヘルスケアセンサーは、健康維持や、医療の質の向上を目的とし、呼吸数や心拍数、体温、血圧から、心電図、脳波などの生体情報を、生体に直接取り付けることで連続的に記録するセンサー、およびそれらを用いたデバイスを指す。
ヘルスケアセンサーの製造方法の一例について、説明する。エラストマーフィルムにペースト剤(LS-453-6B 株式会社アサヒ化学研究所製)を印刷して電極を形成した後、電極露出部を2箇所残して、さらに電極保護のためのオーバーコート剤(CR-120T 株式会社アサヒ化学研究所製)を印刷する。次いで、一方の電極露出部を心電図記録器(EV-301、株式会社パラマ・テック製)と接続し、もう一方の電極露出部を胸部に接触させ、粘着テープ(9917、スリーエム ジャパン株式会社製)を用いて、生体に貼り付けることで、心電図測定用のヘルスケアセンサーを製造することができる。
[ウエアラブルセンサー]
本発明のウエアラブルセンサーは、前述のエラストマーフィルムまたはエラストマーフィルム・粘着層積層体の、エラストマーフィルムの少なくとも一方の面に、導体回路が形成されているものであれば、特に限定はない。本発明のウエアラブルセンサーは、前述のヘルスケアセンサーなどの医療、健康用デバイスの他に、大気圧センサー、温度センサー、加速度センサーや、歪みセンサーなどのデバイス、フィットネスや、スポーツなどの分野における各種データを、連続的に記録するセンサー、およびそれらを用いたデバイスを指す。
本発明のウエアラブルセンサーは、前述のエラストマーフィルムまたはエラストマーフィルム・粘着層積層体の、エラストマーフィルムの少なくとも一方の面に、導体回路が形成されているものであれば、特に限定はない。本発明のウエアラブルセンサーは、前述のヘルスケアセンサーなどの医療、健康用デバイスの他に、大気圧センサー、温度センサー、加速度センサーや、歪みセンサーなどのデバイス、フィットネスや、スポーツなどの分野における各種データを、連続的に記録するセンサー、およびそれらを用いたデバイスを指す。
ウエアラブルセンサーの製造方法の一例について、説明する。エラストマーフィルムの両面にペースト剤(LS-453-6B 株式会社アサヒ化学研究所製)、オーバーコート剤(CR-120T 株式会社アサヒ化学研究所製)の順に印刷して、電極を形成した後、電極部とデータロガー(NR-500、株式会社キーエンス製)を接続する。次いで、電極印刷したエラストマーフィルムの一方の面に粘着テープ(1504XL、スリーエム ジャパン株式会社製)を貼り合わせることでウエアラブルセンサーを製造することができ、肘に貼り付けることで、歪みセンサー用のウエアラブルセンサーとして用いることができる。
[エラストマーフィルム加工品の製造方法]
本発明のエラストマーフィルム加工品の製造方法の好ましい一態様は、本発明のエラストマーフィルムや、本発明のエラストマーフィルム・粘着層積層体の、エラストマーフィルム側にスクリーン印刷で加工する工程を含むものである。本発明のエラストマーフィルムはスクリーン版に貼り付きにくいため、伸縮特性に優れるエラストマーフィルム加工品を効率よく得ることができる。
本発明のエラストマーフィルム加工品の製造方法の好ましい一態様は、本発明のエラストマーフィルムや、本発明のエラストマーフィルム・粘着層積層体の、エラストマーフィルム側にスクリーン印刷で加工する工程を含むものである。本発明のエラストマーフィルムはスクリーン版に貼り付きにくいため、伸縮特性に優れるエラストマーフィルム加工品を効率よく得ることができる。
次に、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。実施例および比較例において使用した各成分と略号は以下のとおりである。
[樹脂前駆体の合成]
[ハーフアダクト体H1Aの合成]
攪拌機、冷却管、温度計、滴下ロートを備えた、1Lの4口フラスコに、イソホロンジイソシアネート2モル、重合禁止剤(BHT:ジブチルヒドロキシトルエン)を仕込み、60℃に保ちながら、滴下漏斗より、ヒドロキシエチルアクリレート2モルを添加し、ハーフアダクト体H1Aを得た。
[ハーフアダクト体H1Aの合成]
攪拌機、冷却管、温度計、滴下ロートを備えた、1Lの4口フラスコに、イソホロンジイソシアネート2モル、重合禁止剤(BHT:ジブチルヒドロキシトルエン)を仕込み、60℃に保ちながら、滴下漏斗より、ヒドロキシエチルアクリレート2モルを添加し、ハーフアダクト体H1Aを得た。
[ハーフアダクト体T1Aの合成]
攪拌機、冷却管、温度計、滴下ロートを備えた、4口フラスコに、トルエンジイソシアネート2モルと、重合禁止剤(BHT)を仕込み、60℃に保ちながら、滴下漏斗より、ヒドロキシエチルアクリレート2モルを添加し、ハーフアダクト体T1Aを得た。
攪拌機、冷却管、温度計、滴下ロートを備えた、4口フラスコに、トルエンジイソシアネート2モルと、重合禁止剤(BHT)を仕込み、60℃に保ちながら、滴下漏斗より、ヒドロキシエチルアクリレート2モルを添加し、ハーフアダクト体T1Aを得た。
[ハーフアダクト体T1Mの合成]
攪拌機、冷却管、温度計、滴下ロートを備えた、4口フラスコに、トルエンジイソシアネート2モルと、重合禁止剤(BHT)を仕込み、60℃に保ちながら、滴下漏斗より、ヒドロキシエチルメタクリレート2モルを添加し、ハーフアダクト体T1Mを得た。
攪拌機、冷却管、温度計、滴下ロートを備えた、4口フラスコに、トルエンジイソシアネート2モルと、重合禁止剤(BHT)を仕込み、60℃に保ちながら、滴下漏斗より、ヒドロキシエチルメタクリレート2モルを添加し、ハーフアダクト体T1Mを得た。
[ハーフアダクト体H3Aの合成]
攪拌機、冷却管、温度計、滴下ロートを備えた、4口フラスコに、イソホロンジイソシアネート2モル、重合禁止剤(BHT)を仕込み、60℃に保ちながら、滴下漏斗より、ペンタエリスリトールトリアクリレート2モルを添加し、ハーフアダクト体H3Aを得た。
攪拌機、冷却管、温度計、滴下ロートを備えた、4口フラスコに、イソホロンジイソシアネート2モル、重合禁止剤(BHT)を仕込み、60℃に保ちながら、滴下漏斗より、ペンタエリスリトールトリアクリレート2モルを添加し、ハーフアダクト体H3Aを得た。
[樹脂前駆体Aの合成]
攪拌機、冷却管、温度計、滴下ロートを備えた、4口フラスコに、末端に水酸基を有する数平均分子量約3,100の水添ポリブタジエン(日本曹達株式会社製 GI-3000)を0.2モル、イソホロンジイソシアネートを0.15モル仕込み、80℃4時間反応させて、GI-3000の平均4量体を得た。次いで、前記ハーフアダクト体H3A、0.1モルを仕込み、80℃6時間反応させ、2官能のウレタンアクリレートを得て、これを樹脂前駆体Aとした。樹脂前駆体Aについて、GPCで分子量を確認したところ、その重量平均分子量は、ポリスチレン換算で14,000であった。
攪拌機、冷却管、温度計、滴下ロートを備えた、4口フラスコに、末端に水酸基を有する数平均分子量約3,100の水添ポリブタジエン(日本曹達株式会社製 GI-3000)を0.2モル、イソホロンジイソシアネートを0.15モル仕込み、80℃4時間反応させて、GI-3000の平均4量体を得た。次いで、前記ハーフアダクト体H3A、0.1モルを仕込み、80℃6時間反応させ、2官能のウレタンアクリレートを得て、これを樹脂前駆体Aとした。樹脂前駆体Aについて、GPCで分子量を確認したところ、その重量平均分子量は、ポリスチレン換算で14,000であった。
[樹脂前駆体Bの合成]
攪拌機、冷却管、温度計、滴下ロートを備えた、4口フラスコに、末端に水酸基を有する数平均分子量約3,100の水添ポリブタジエン(日本曹達株式会社製 GI-3000)を0.2モル、イソホロンジイソシアネートを0.16モルを仕込み、80℃4時間反応させて、GI-3000の平均5量体を得た。
攪拌機、冷却管、温度計、滴下ロートを備えた、4口フラスコに、末端に水酸基を有する数平均分子量約3,100の水添ポリブタジエン(日本曹達株式会社製 GI-3000)を0.2モル、イソホロンジイソシアネートを0.16モルを仕込み、80℃4時間反応させて、GI-3000の平均5量体を得た。
次いで、前記ハーフアダクト体H3A0.04モルを仕込み、80℃6時間反応させ、さらに、前記ハーフアダクト体H1A0.04モルを仕込み、80℃6時間反応させ、4官能のウレタンアクリレートを得て、これを樹脂前駆体Bとした。この樹脂前駆体Bについて、GPCで分子量を確認したところ、その重量平均分子量は、ポリスチレン換算で17,400であった。
[樹脂前駆体Cの合成]
攪拌機、冷却管、温度計、滴下ロートを備えた、4口フラスコに、末端に水酸基を有する数平均分子量約3,100の水添ポリブタジエン(日本曹達株式会社製 GI-3000)を0.2モル、イソホロンジイソシアネートを0.13モルを仕込み、80℃4時間反応させて、GI-3000の3量体を得た。
攪拌機、冷却管、温度計、滴下ロートを備えた、4口フラスコに、末端に水酸基を有する数平均分子量約3,100の水添ポリブタジエン(日本曹達株式会社製 GI-3000)を0.2モル、イソホロンジイソシアネートを0.13モルを仕込み、80℃4時間反応させて、GI-3000の3量体を得た。
次いで、前記ハーフアダクト体H3Aを0.067モル仕込み、80℃6時間反応させ、さらに、前記ハーフアダクト体H1Aを0.067モル仕込み、80℃6時間反応させ、4官能のウレタンアクリレートを得て、これを樹脂前駆体Cとした。この樹脂前駆体Cについて、GPCで分子量を確認したところ、その重量平均分子量は、ポリスチレン換算で10,000であった。
[樹脂前駆体Dの合成]
攪拌機、冷却管、温度計、滴下ロートを備えた、4口フラスコに、末端に水酸基を有する数平均分子量約1,500の水添ポリブタジエン(日本曹達株式会社製 GI-1000)を0.2モル、前記ハーフアダクト体T1A0.4モルを仕込み、80℃6時間反応させ、2官能のウレタンアクリレートを得て、これを樹脂前駆体Dとした。樹脂前駆体Dについて、GPCで分子量を確認したところ、その重量平均分子量は、ポリスチレン換算で2,000であった。
攪拌機、冷却管、温度計、滴下ロートを備えた、4口フラスコに、末端に水酸基を有する数平均分子量約1,500の水添ポリブタジエン(日本曹達株式会社製 GI-1000)を0.2モル、前記ハーフアダクト体T1A0.4モルを仕込み、80℃6時間反応させ、2官能のウレタンアクリレートを得て、これを樹脂前駆体Dとした。樹脂前駆体Dについて、GPCで分子量を確認したところ、その重量平均分子量は、ポリスチレン換算で2,000であった。
[樹脂前駆体Eの合成]
攪拌機、冷却管、温度計、滴下ロートを備えた、4口フラスコに、末端に水酸基を有する数平均分子量約3100のポリブタジエン(日本曹達株式会社製 G-3000)を0.2モル、前記ハーフアダクト体T1M、0.4モルを仕込み、80℃6時間反応させ、2官能のウレタンメタアクリレートを得て、これを樹脂前駆体Eとした。樹脂前駆体Eについて、GPCで分子量を確認したところ、その重量平均分子量は、ポリスチレン換算で3,500であった。
攪拌機、冷却管、温度計、滴下ロートを備えた、4口フラスコに、末端に水酸基を有する数平均分子量約3100のポリブタジエン(日本曹達株式会社製 G-3000)を0.2モル、前記ハーフアダクト体T1M、0.4モルを仕込み、80℃6時間反応させ、2官能のウレタンメタアクリレートを得て、これを樹脂前駆体Eとした。樹脂前駆体Eについて、GPCで分子量を確認したところ、その重量平均分子量は、ポリスチレン換算で3,500であった。
[樹脂前駆体Fの合成]
攪拌機、冷却管、温度計、滴下ロートを備えた、4口フラスコに、末端に水酸基を有する数平均分子量約1,900の水添ポリブタジエン(日本曹達株式会社製 GI-2000)を0.2モル、ピロメリット酸0.1モル、ベンジルジメチルアミン0.001モルを仕込み、80℃で12時間反応させ、GI-2000の酸2量体を得た。
攪拌機、冷却管、温度計、滴下ロートを備えた、4口フラスコに、末端に水酸基を有する数平均分子量約1,900の水添ポリブタジエン(日本曹達株式会社製 GI-2000)を0.2モル、ピロメリット酸0.1モル、ベンジルジメチルアミン0.001モルを仕込み、80℃で12時間反応させ、GI-2000の酸2量体を得た。
次いで、重合禁止剤(BHT)、および触媒(テトラブトキシチタン)を仕込み、攪拌しながら、メチルアクリレート0.2モルを添加して反応を行い、2官能のポリエステルアクリレートを得て、これを樹脂前駆体Fとした。樹脂前駆体Fについて、GPCで分子量を確認したところ、その重量平均分子量は、ポリスチレン換算で5,000であった。
[樹脂前駆体Gの合成]
攪拌機、冷却管、温度計、滴下ロートを備えた、4口フラスコに、末端に水酸基を有する数平均分子量約3,000のポリブタジエン(日本曹達株式会社製 G-3000)を0.2モル、重合禁止剤(BHT)、および触媒(テトラブトキシチタン)を仕込み、攪拌しながら、メチルアクリレート0.2モルを添加して反応を行い、2官能のポリエステルアクリレートを得て、これを樹脂前駆体Gとした、樹脂前駆体Gについて、GPCで分子量を確認したところ、その重量平均分子量は、ポリスチレン換算で3,200であった。
攪拌機、冷却管、温度計、滴下ロートを備えた、4口フラスコに、末端に水酸基を有する数平均分子量約3,000のポリブタジエン(日本曹達株式会社製 G-3000)を0.2モル、重合禁止剤(BHT)、および触媒(テトラブトキシチタン)を仕込み、攪拌しながら、メチルアクリレート0.2モルを添加して反応を行い、2官能のポリエステルアクリレートを得て、これを樹脂前駆体Gとした、樹脂前駆体Gについて、GPCで分子量を確認したところ、その重量平均分子量は、ポリスチレン換算で3,200であった。
[樹脂前駆体H]
樹脂前駆体Hとして、側鎖にメタクリル基がついた、2官能メタクリル変性ポリイソプレン(株式会社クラレ社製 “クラプレン”(登録商標)UC-102AM 重量平均分子量17,000)を用いた。
樹脂前駆体Hとして、側鎖にメタクリル基がついた、2官能メタクリル変性ポリイソプレン(株式会社クラレ社製 “クラプレン”(登録商標)UC-102AM 重量平均分子量17,000)を用いた。
[樹脂前駆体Jの合成]
攪拌機、冷却管、温度計、滴下ロートを備えた、4口フラスコに、末端に水酸基を有する数平均分子量約3,000のポリブタジエン(日本曹達株式会社製 G-3000)を0.3モル、ピロメリット酸0.2モル、ベンジルジメチルアミン0.001モルを仕込み、80℃で12時間反応させ、G-3000の酸3量体を得た。
攪拌機、冷却管、温度計、滴下ロートを備えた、4口フラスコに、末端に水酸基を有する数平均分子量約3,000のポリブタジエン(日本曹達株式会社製 G-3000)を0.3モル、ピロメリット酸0.2モル、ベンジルジメチルアミン0.001モルを仕込み、80℃で12時間反応させ、G-3000の酸3量体を得た。
次いで、重合禁止剤(BHT)、および触媒(テトラブトキシチタン)を仕込み、攪拌しながら、メチルアクリレート0.2モルを添加して反応を行い、2官能のポリエステルアクリレートを得て、これを樹脂前駆体Jとした。樹脂前駆体Jについて、GPCで分子量を確認したところ、その重量平均分子量は、ポリスチレン換算で10,000であった。
[樹脂前駆体Kの合成]
攪拌機、冷却管、温度計、滴下ロートを備えた、4口フラスコに、イソホロンジイソシアネート(IPDI)0.43モル%、ポリテトラメチレングリコール(三菱ケミカル株式会社製 PTMG2000)0.29モル%を、固形分濃度60質量%になるようにトルエンで希釈して仕込み、90℃で反応させ、残存イソシアネート基が初期添加量の1.4質量%となった時点で温度を70℃に下げ、ヒドロキシアクリレート(HEA)0.29モルを加え反応させ、残存イソシアネート基が初期添加量の0.3質量%となった時点で反応を終了し、トルエンを追加して固形分濃度を60質量%に調整して、樹脂前駆体Kのトルエン溶液を得た。この樹脂前駆体Kについて、GPCで分子量を確認したところ、その重量平均分子量は、ポリスチレン換算で29,000であった。
攪拌機、冷却管、温度計、滴下ロートを備えた、4口フラスコに、イソホロンジイソシアネート(IPDI)0.43モル%、ポリテトラメチレングリコール(三菱ケミカル株式会社製 PTMG2000)0.29モル%を、固形分濃度60質量%になるようにトルエンで希釈して仕込み、90℃で反応させ、残存イソシアネート基が初期添加量の1.4質量%となった時点で温度を70℃に下げ、ヒドロキシアクリレート(HEA)0.29モルを加え反応させ、残存イソシアネート基が初期添加量の0.3質量%となった時点で反応を終了し、トルエンを追加して固形分濃度を60質量%に調整して、樹脂前駆体Kのトルエン溶液を得た。この樹脂前駆体Kについて、GPCで分子量を確認したところ、その重量平均分子量は、ポリスチレン換算で29,000であった。
[塗料組成物の調合]
[塗料組成物1]
以下の材料とメチルエチルケトンを用いて希釈し、固形分濃度40質量%のエラストマーフィルム形成用塗料組成物1を得た。
[塗料組成物1]
以下の材料とメチルエチルケトンを用いて希釈し、固形分濃度40質量%のエラストマーフィルム形成用塗料組成物1を得た。
・樹脂前駆体A: 100質量部
・光重合開始剤“IRGACURE”(登録商標)184 (BASFジャパン株式会社製) : 3質量部。
・光重合開始剤“IRGACURE”(登録商標)184 (BASFジャパン株式会社製) : 3質量部。
[塗料組成物2~10の調合]
前記塗料組成物1の調合に対し、樹脂前駆体を表1に記載の樹脂前駆体の組み合わせに変えた以外は同様にして、塗料組成物2~10を調合した。
前記塗料組成物1の調合に対し、樹脂前駆体を表1に記載の樹脂前駆体の組み合わせに変えた以外は同様にして、塗料組成物2~10を調合した。
[塗料組成物の11の調合]
水添スチレン系熱可塑性エラストマー(“S.O.E.”(登録商標) S1606 旭化成株式会社製)を、トルエンで溶解し、固形分濃度40質量%の塗料組成物11を得た。
水添スチレン系熱可塑性エラストマー(“S.O.E.”(登録商標) S1606 旭化成株式会社製)を、トルエンで溶解し、固形分濃度40質量%の塗料組成物11を得た。
[塗料組成物の12の調合]
熱可塑性ウレタン(“ミラクトラン”(登録商標)XN-2001 日本ミラクトラン株式会社製)を、トルエンで溶解し、固形分濃度40質量%の塗料組成物12を得た。
熱可塑性ウレタン(“ミラクトラン”(登録商標)XN-2001 日本ミラクトラン株式会社製)を、トルエンで溶解し、固形分濃度40質量%の塗料組成物12を得た。
[粒子層用塗料組成物の調合]
〔粒子層用塗料組成物の調合用原材料〕
粒子層用塗料組成物の調合において、使用する原材料は以下の通りである。
・粒子層用樹脂A: 酸変性SEBS-B:“タフテック”(登録商標)M1911 (旭化成株式会社製、無水マレイン酸変性SEBS、水素添加率100%、酸変性前の水素添加物のスチレン系単量体の含有量30質量%、水素添加物の重量平均分子量100,000、酸変性量 0.2質量%)。
・粒子層用樹脂B: 酸変性エチレン-α-オレフィン共重合体“アンプリファイ”(登録商標) GR216(ダウケミカル製、無水マレイン酸変性エチレン-α-オレフィン共重合体、酸変性量 0.5質量%)。
・添加剤1:フッ素系レベリング剤 “フタージェント”(登録商標)650AC (株式会社ネオス製、有効成分30質量%)。
・樹脂粒子1:ウレタン粒子 “アートパール”(登録商標)C-800透明 (根上工業株式会社製、固形分濃度99質量%、数平均粒子径6μm)。
・樹脂粒子2:ウレタン粒子 “アートパール”(登録商標)C-1000透明 (根上工業株式会社製、固形分濃度99質量%、数平均粒子径3μm)。
・アルコキシシラン1:N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン KBM-573 (信越化学工業株式会社製)。
〔粒子層用塗料組成物の調合用原材料〕
粒子層用塗料組成物の調合において、使用する原材料は以下の通りである。
・粒子層用樹脂A: 酸変性SEBS-B:“タフテック”(登録商標)M1911 (旭化成株式会社製、無水マレイン酸変性SEBS、水素添加率100%、酸変性前の水素添加物のスチレン系単量体の含有量30質量%、水素添加物の重量平均分子量100,000、酸変性量 0.2質量%)。
・粒子層用樹脂B: 酸変性エチレン-α-オレフィン共重合体“アンプリファイ”(登録商標) GR216(ダウケミカル製、無水マレイン酸変性エチレン-α-オレフィン共重合体、酸変性量 0.5質量%)。
・添加剤1:フッ素系レベリング剤 “フタージェント”(登録商標)650AC (株式会社ネオス製、有効成分30質量%)。
・樹脂粒子1:ウレタン粒子 “アートパール”(登録商標)C-800透明 (根上工業株式会社製、固形分濃度99質量%、数平均粒子径6μm)。
・樹脂粒子2:ウレタン粒子 “アートパール”(登録商標)C-1000透明 (根上工業株式会社製、固形分濃度99質量%、数平均粒子径3μm)。
・アルコキシシラン1:N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン KBM-573 (信越化学工業株式会社製)。
〔粒子層用塗料組成物1〕
以下の材料を、トルエンを用いて希釈し、固形分濃度20質量%の粒子層用塗料組成物1を得た。
・粒子層用樹脂A : 80質量部。
・樹脂粒子1 : 20質量部。
・添加剤1 : 0.03質量部。
以下の材料を、トルエンを用いて希釈し、固形分濃度20質量%の粒子層用塗料組成物1を得た。
・粒子層用樹脂A : 80質量部。
・樹脂粒子1 : 20質量部。
・添加剤1 : 0.03質量部。
〔粒子層用塗料組成物2〕
以下の材料を、トルエンを用いて希釈し、固形分濃度20質量%の粒子層用塗料組成物2を得た。
・粒子層用樹脂B : 80質量部。
・樹脂粒子1 : 20質量部。
・添加剤1 : 0.03質量部。
以下の材料を、トルエンを用いて希釈し、固形分濃度20質量%の粒子層用塗料組成物2を得た。
・粒子層用樹脂B : 80質量部。
・樹脂粒子1 : 20質量部。
・添加剤1 : 0.03質量部。
〔粒子層用塗料組成物3〕
以下の材料を、トルエンを用いて希釈し、固形分濃度20質量%の粒子層用塗料組成物3を得た。
・粒子層用樹脂B : 80質量部。
・樹脂粒子1 : 20質量部。
・添加剤1 : 0.03質量部。
・アルコキシシラン1 : 1質量部。
以下の材料を、トルエンを用いて希釈し、固形分濃度20質量%の粒子層用塗料組成物3を得た。
・粒子層用樹脂B : 80質量部。
・樹脂粒子1 : 20質量部。
・添加剤1 : 0.03質量部。
・アルコキシシラン1 : 1質量部。
〔粒子層用塗料組成物4〕
以下の材料を、トルエンを用いて希釈し、固形分濃度20質量%の粒子層用塗料組成物4を得た。
・粒子層用樹脂B : 70質量部。
・樹脂粒子1 : 30質量部。
・添加剤1 : 0.03質量部。
・アルコキシシラン1 : 1質量部。
以下の材料を、トルエンを用いて希釈し、固形分濃度20質量%の粒子層用塗料組成物4を得た。
・粒子層用樹脂B : 70質量部。
・樹脂粒子1 : 30質量部。
・添加剤1 : 0.03質量部。
・アルコキシシラン1 : 1質量部。
〔粒子層用塗料組成物5〕
以下の材料を、トルエンを用いて希釈し、固形分濃度20質量%の粒子層用塗料組成物5を得た。
・粒子層用樹脂A : 80質量部。
・樹脂粒子2 : 20質量部。
・添加剤1 : 0.03質量部。
「離型層用塗料組成物の調合」
〔離型層用塗料組成物の調合用原材料〕
離型層用塗料組成物の調合において、使用する原材料は以下の通りである。
・アルキド化合物1:アクリル変性アルキド樹脂 ハリフタールKV-905 (ハリマ化成株式会社製、固形分濃度53質量%)。
・メラミン化合物1:イソブチルアルコール変性メラミン樹脂 “メラン”(登録商標)2650L (日立化成株式会社製、固形分濃度60質量%)。
・シリコーン化合物1:側鎖型カルビノール変性反応型シリコーンオイル
(X-22-4015信越化学工業(株)製 固形分濃度:100質量%)。
・シリコーン化合物2:両末端型ポリエーテル変性反応型シリコーンオイル
(X-22-4952信越化学工業(株)製 固形分濃度:100質量%)。
・パラトルエンスルホン酸。
以下の材料を、トルエンを用いて希釈し、固形分濃度20質量%の粒子層用塗料組成物5を得た。
・粒子層用樹脂A : 80質量部。
・樹脂粒子2 : 20質量部。
・添加剤1 : 0.03質量部。
「離型層用塗料組成物の調合」
〔離型層用塗料組成物の調合用原材料〕
離型層用塗料組成物の調合において、使用する原材料は以下の通りである。
・アルキド化合物1:アクリル変性アルキド樹脂 ハリフタールKV-905 (ハリマ化成株式会社製、固形分濃度53質量%)。
・メラミン化合物1:イソブチルアルコール変性メラミン樹脂 “メラン”(登録商標)2650L (日立化成株式会社製、固形分濃度60質量%)。
・シリコーン化合物1:側鎖型カルビノール変性反応型シリコーンオイル
(X-22-4015信越化学工業(株)製 固形分濃度:100質量%)。
・シリコーン化合物2:両末端型ポリエーテル変性反応型シリコーンオイル
(X-22-4952信越化学工業(株)製 固形分濃度:100質量%)。
・パラトルエンスルホン酸。
〔離型層用塗料組成物1〕
下記材料を混合し、メチルエチルケトン/イソプロピルアルコール混合溶媒(質量混合比50/50)を用いて希釈し、固形分濃度5質量%の離型層用塗料組成物1を得た。
・アルキド化合物1 : 100質量部。
・メラミン化合物1 : 20質量部。
・パラトルエンスルホン酸 : 5質量部。
・シリコーン化合物1 : 5質量部。
・シリコーン化合物2 : 5質量部。
下記材料を混合し、メチルエチルケトン/イソプロピルアルコール混合溶媒(質量混合比50/50)を用いて希釈し、固形分濃度5質量%の離型層用塗料組成物1を得た。
・アルキド化合物1 : 100質量部。
・メラミン化合物1 : 20質量部。
・パラトルエンスルホン酸 : 5質量部。
・シリコーン化合物1 : 5質量部。
・シリコーン化合物2 : 5質量部。
[支持基材]
エラストマーフィルムの製造において使用する支持基材は以下の通りである。
・支持基材1: 東レ株式会社製 “ルミラー”(登録商標) U48(高平滑品) 50μm。
・支持基材2: 東レ株式会社製 “ルミラー”(登録商標) X42G(低光沢品) 50μm。
・支持基材3: 東レ株式会社製 “ルミラー”(登録商標) S10 50μmに、サンドブラスト処理を施したもの。
エラストマーフィルムの製造において使用する支持基材は以下の通りである。
・支持基材1: 東レ株式会社製 “ルミラー”(登録商標) U48(高平滑品) 50μm。
・支持基材2: 東レ株式会社製 “ルミラー”(登録商標) X42G(低光沢品) 50μm。
・支持基材3: 東レ株式会社製 “ルミラー”(登録商標) S10 50μmに、サンドブラスト処理を施したもの。
[離型層の形成]
小径グラビアコーターを有する塗布装置を用い、表1に記載した支持基材と、離型層用塗料組成物の組み合わせを用い、離型層の厚みが、200nmになるよう、グラビアロールの線数、グラビアロールの周速、や離型層用塗料組成物の固形分濃度を調整して塗布し、熱風温度140℃にて30秒保持することで、乾燥と架橋を行い、離型層を形成した。
小径グラビアコーターを有する塗布装置を用い、表1に記載した支持基材と、離型層用塗料組成物の組み合わせを用い、離型層の厚みが、200nmになるよう、グラビアロールの線数、グラビアロールの周速、や離型層用塗料組成物の固形分濃度を調整して塗布し、熱風温度140℃にて30秒保持することで、乾燥と架橋を行い、離型層を形成した。
[樹脂層Aの形成]
前項にて支持基材上に作製した離型層の上に、表1に記載した組み合わせの、前述の樹脂層用塗料組成物と後述する樹脂層の形成方法の組み合わせを用いることで、樹脂層Aを形成した。
前項にて支持基材上に作製した離型層の上に、表1に記載した組み合わせの、前述の樹脂層用塗料組成物と後述する樹脂層の形成方法の組み合わせを用いることで、樹脂層Aを形成した。
〔樹脂層の形成方法1〕
工程1にて、支持基材の離型層側の面に、スロットダイコーターによる連続塗布装置を用い、前述の樹脂層用塗料組成物を、架橋後の樹脂層Aの厚みが表に記載の膜厚になるように、吐出流量を調整して塗布し、塗布層を形成した。
工程1にて、支持基材の離型層側の面に、スロットダイコーターによる連続塗布装置を用い、前述の樹脂層用塗料組成物を、架橋後の樹脂層Aの厚みが表に記載の膜厚になるように、吐出流量を調整して塗布し、塗布層を形成した。
工程2にて、工程1で形成した塗布層を、下記の条件で乾燥させて、溶媒を除去した。
・送風温度 : 温度:80℃。
・風速 : 塗布面側:5m/秒、反塗布面側:5m/秒。
・風向 : 塗布面側:基材の面に対して平行、反塗布面側:基材の面に対して垂直。
・滞留時間 : 2分間。
・送風温度 : 温度:80℃。
・風速 : 塗布面側:5m/秒、反塗布面側:5m/秒。
・風向 : 塗布面側:基材の面に対して平行、反塗布面側:基材の面に対して垂直。
・滞留時間 : 2分間。
工程3にて、溶媒を除去して得られた塗布層(未架橋の樹脂層)に、下記の条件で活性エネルギー線を照射して架橋させて、樹脂層Aとし積層体を得た。
・照射光源 : 高圧水銀灯。
・照射出力 : 400W/cm2。
・積算光量 : 120mJ/cm2。
・酸素濃度 : 0.1体積%。
・照射光源 : 高圧水銀灯。
・照射出力 : 400W/cm2。
・積算光量 : 120mJ/cm2。
・酸素濃度 : 0.1体積%。
〔樹脂層の形成方法2〕
工程1にて、支持基材の離型層側の面に、スロットダイコーターによる連続塗布装置を用い、前述の樹脂層用塗料組成物を、架橋後の樹脂層Aの厚みが表に記載の膜厚になるように、吐出流量を調整して塗布し、塗布層を形成した。
工程1にて、支持基材の離型層側の面に、スロットダイコーターによる連続塗布装置を用い、前述の樹脂層用塗料組成物を、架橋後の樹脂層Aの厚みが表に記載の膜厚になるように、吐出流量を調整して塗布し、塗布層を形成した。
工程2にて、工程1で形成した塗布層を、下記の条件で乾燥させて、溶媒を除去した。
・送風温度 : 温度:80℃。
・風速 : 塗布面側:5m/秒、反塗布面側:5m/秒。
・風向 : 塗布面側:基材の面に対して平行、反塗布面側:基材の面に対して垂直。
・滞留時間 : 2分間。
・送風温度 : 温度:80℃。
・風速 : 塗布面側:5m/秒、反塗布面側:5m/秒。
・風向 : 塗布面側:基材の面に対して平行、反塗布面側:基材の面に対して垂直。
・滞留時間 : 2分間。
工程3にて、溶媒を除去して得られた塗布層(未架橋の樹脂層)に、下記の条件で活性エネルギー線を照射して架橋させて、樹脂層Aとし積層体を得た。
・照射光源 : 高圧水銀灯。
・照射出力 : 400W/cm2。
・積算光量 : 120mJ/cm2。
・酸素濃度 : 0.1体積%。
・照射光源 : 高圧水銀灯。
・照射出力 : 400W/cm2。
・積算光量 : 120mJ/cm2。
・酸素濃度 : 0.1体積%。
工程4にて、工程3で得られた積層体の樹脂層A側の面に、パナック株式会社製 “パナプロテクト”(登録商標)HUCB Type2の粘着層側の面を張り合わせた後、“パナプロテクト”(登録商標)の支持基材を剥離し、積層体を得た。
[粒子層の形成]
前項にて作製した樹脂層Aの上に、表1に記載した組み合わせの、前述の粒子層用塗料組成物と後述する粒子層の形成方法の組み合わせ用いることで、粒子層を形成した。
前項にて作製した樹脂層Aの上に、表1に記載した組み合わせの、前述の粒子層用塗料組成物と後述する粒子層の形成方法の組み合わせ用いることで、粒子層を形成した。
〔粒子層の形成方法1〕
工程1にて、積層体の樹脂層A側の面に、スロットダイコーターによる連続塗布装置を用い、前述の粒子層用塗料組成物を、工程2の後の粒子層の厚みが表に記載の膜厚になるように、吐出流量を調整して塗布した。
工程1にて、積層体の樹脂層A側の面に、スロットダイコーターによる連続塗布装置を用い、前述の粒子層用塗料組成物を、工程2の後の粒子層の厚みが表に記載の膜厚になるように、吐出流量を調整して塗布した。
工程2にて、工程1で塗布した層を、下記の条件で乾燥させて、溶媒を除去した。
・送風温度 : 温度:80℃。
・風速 : 塗布面側:5m/秒、反塗布面側:5m/秒。
・風向 : 塗布面側:基材の面に対して平行、反塗布面側:基材の面に対して垂直。
・滞留時間 : 2分間。
・送風温度 : 温度:80℃。
・風速 : 塗布面側:5m/秒、反塗布面側:5m/秒。
・風向 : 塗布面側:基材の面に対して平行、反塗布面側:基材の面に対して垂直。
・滞留時間 : 2分間。
[エラストマーフィルムの作製方法]
以上の方法により作製した積層体から、支持基材および離型層を剥離することで、実施例1~10、比較例1~3、5、参考例3、4のエラストマーフィルムを作製した。また、比較例4として、シリコーンフィルム(“ELASTOSIL”(登録商標) FILM2030 旭化成ワッカーシリコーン株式会社製)を用いた。
以上の方法により作製した積層体から、支持基材および離型層を剥離することで、実施例1~10、比較例1~3、5、参考例3、4のエラストマーフィルムを作製した。また、比較例4として、シリコーンフィルム(“ELASTOSIL”(登録商標) FILM2030 旭化成ワッカーシリコーン株式会社製)を用いた。
また、参考例1として支持基材2を、参考例2として支持基材3を用いた。
また、エラストマーフィルムの化学式1から6の各セグメントの含有/非含有を、表2に記載した。
表2において、化学式1の欄の「含む」の意味は、各々の実施例等が化学式1のセグメントを含むことを意味し、「含まない」の意味は、各々の実施例等が化学式1のセグメントを含まないことを意味する。化学式2~5についても、化学式1と同様である。また化学式6の欄の「含む」の意味は、各々の実施例等が、化学式6のセグメントを含む樹脂前駆体を架橋させた硬化物であることを意味し、「含まない」の意味は、各々の実施例等が、化学式6のセグメントを含む樹脂前駆体を架橋させた硬化物ではないことを意味する。
[エラストマーフィルムの評価]
エラストマーフィルムについて、次に示す性能評価を実施した。特に断らない場合を除き、測定は各実施例・比較例・参考例において1つのサンプルについて場所を変えて3回測定を行い、その平均値を用いた。
エラストマーフィルムについて、次に示す性能評価を実施した。特に断らない場合を除き、測定は各実施例・比較例・参考例において1つのサンプルについて場所を変えて3回測定を行い、その平均値を用いた。
〔ブチルカルビトールアセテートによる膨潤率〕
フィルムを1.5cm角に裁断し、電子天秤にて溶媒浸漬前の質量(A)を測定した。次いで、ガラス容器にブチルカルビトールアセテート10mlと、裁断したフィルムを1枚入れ、栓をして25℃の環境下で30分間放置した。次いで、ガラス容器からフィルムを取り出し、ガーゼで表面の液滴を拭き取り後、電子天秤にて溶媒浸漬後の質量(B)を測定した。前記AとBを式5に代入し、フィルムのブチルカルビトールアセテートの膨潤率を求めた。
フィルムを1.5cm角に裁断し、電子天秤にて溶媒浸漬前の質量(A)を測定した。次いで、ガラス容器にブチルカルビトールアセテート10mlと、裁断したフィルムを1枚入れ、栓をして25℃の環境下で30分間放置した。次いで、ガラス容器からフィルムを取り出し、ガーゼで表面の液滴を拭き取り後、電子天秤にて溶媒浸漬後の質量(B)を測定した。前記AとBを式5に代入し、フィルムのブチルカルビトールアセテートの膨潤率を求めた。
式5 : 膨潤率=B/A×100(%)。
〔表面自由エネルギー〕
エラストマーフィルムの表面自由エネルギーは、表面層Bについて、水、エチレングリコール、ホルムアミド、ジヨードメタンによる25℃での静的接触角を測定した。静的接触角の測定は、下記の手順で行った。
エラストマーフィルムの表面自由エネルギーは、表面層Bについて、水、エチレングリコール、ホルムアミド、ジヨードメタンによる25℃での静的接触角を測定した。静的接触角の測定は、下記の手順で行った。
ガラス板上にフィルムを固定し、25℃の環境下で、12時間放置した。接触角の測定は、協和界面科学株式会社製Drop Master DM-501を使用し、ニードルを這い上がらない範囲で、できるだけ小さい液滴を作成できる条件を用いた。そして、フィルム表面に着滴してから5秒後に撮影した画像を使用し、θ/2法を用いて算出した値を、その液体の静的接触角とした。
各液体での静的接触角と、非特許文献3に記載の、各液体の表面自由エネルギーの分散項、極性項、水素結合項を、非特許文献2に記載の「畑、北崎の拡張ホークスの式」に導入し、連立方程式を解くことにより求めた。
〔JIS Z0208-1976の、条件Bによる透湿度〕
フィルムのJIS Z0208-1976の、条件Bによる透湿度は、JIS Z0208-1976のカップ法に基づき、温度40℃相対湿度90%の環境下で24時間の間にフィルムを透過した水蒸気の質量と面積から算出した。なお、測定においてそれぞれの表面が水蒸気と接するような2構成で測定し、測定結果は2構成の平均値とした。
フィルムのJIS Z0208-1976の、条件Bによる透湿度は、JIS Z0208-1976のカップ法に基づき、温度40℃相対湿度90%の環境下で24時間の間にフィルムを透過した水蒸気の質量と面積から算出した。なお、測定においてそれぞれの表面が水蒸気と接するような2構成で測定し、測定結果は2構成の平均値とした。
〔ハンセンの溶解度パラメーター〕
前述のエラストマーフィルムのブチルカルビトールアセテートによる膨潤率と同様にして、下記の14種類の溶媒ついて膨潤率を求め、下記の5段階に分類した。そして、各溶媒に対する膨潤率の点数を、Hansen Solubility Parameter in Practice(HSPiP)ver.3.1.17(http://www.hansen-solubility.com/index.php)の、scoreに入力し、Advanced Sphere Fittingにて、Classic GAモード, Insideを2、Fitting AccuracyをHigherで計算させることで、各フィルムのハンセンの溶解度パラメーターの分散項(δD)、極性項(δP)、水素結合項(δH)を求めた。さらに、得られたδD、δP、δHを前述の式3に代入することで、ハンセンの溶解度パラメーターの距離(D)と、前述の式2に記載のハンセンの溶解度パラメーターの非分散項の割合を求めた。
前述のエラストマーフィルムのブチルカルビトールアセテートによる膨潤率と同様にして、下記の14種類の溶媒ついて膨潤率を求め、下記の5段階に分類した。そして、各溶媒に対する膨潤率の点数を、Hansen Solubility Parameter in Practice(HSPiP)ver.3.1.17(http://www.hansen-solubility.com/index.php)の、scoreに入力し、Advanced Sphere Fittingにて、Classic GAモード, Insideを2、Fitting AccuracyをHigherで計算させることで、各フィルムのハンセンの溶解度パラメーターの分散項(δD)、極性項(δP)、水素結合項(δH)を求めた。さらに、得られたδD、δP、δHを前述の式3に代入することで、ハンセンの溶解度パラメーターの距離(D)と、前述の式2に記載のハンセンの溶解度パラメーターの非分散項の割合を求めた。
<使用した溶媒種>:アセトン、1-ブタノール、MEK(メチルエチルケトン)、THF(テトラヒドロフラン)、トルエン、酢酸エチル、1,4-ジオキサン、NMP(N-メチルピロリドン)、シクロヘキサノン、DMF(N,N-ジメチルホルムアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、アセトニトリル、シクロヘキサン、ブチルカルビトールアセテートの合計14種。
<膨潤率の分類>
変化率 100%以上120%未満:5点
変化率 120%以上150%未満:4点
変化率 150%以上200%未満:3点
変化率 200%以上250%未満:2点
変化率 250%以上 :1点。
変化率 100%以上120%未満:5点
変化率 120%以上150%未満:4点
変化率 150%以上200%未満:3点
変化率 200%以上250%未満:2点
変化率 250%以上 :1点。
〔平均(メタ)アクリロイル基当量〕
樹脂前駆体のポリスチレン換算重量平均分子量を、樹脂前駆体の設計上の官能基数で除した値を、樹脂前駆体の平均(メタ)アクリロイル基当量とした。なお、エラストマーフィルムが樹脂前駆体を架橋させてなる硬化物ではない場合、または樹脂前駆体が(メタ)アクリロイル基を含まない場合には、「含まず」とした。
樹脂前駆体のポリスチレン換算重量平均分子量を、樹脂前駆体の設計上の官能基数で除した値を、樹脂前駆体の平均(メタ)アクリロイル基当量とした。なお、エラストマーフィルムが樹脂前駆体を架橋させてなる硬化物ではない場合、または樹脂前駆体が(メタ)アクリロイル基を含まない場合には、「含まず」とした。
〔柔軟性の評価〕
積層体を10mm幅×150mm長の矩形に切り出した後、支持基材からエラストマーフィルムを剥離し、試験片とした。
積層体を10mm幅×150mm長の矩形に切り出した後、支持基材からエラストマーフィルムを剥離し、試験片とした。
引張試験機(株式会社オリエンテック製“テンシロン”(登録商標)UCT-100)を用いて、初期引張チャック間距離50mmとし、引張速度300mm/minに設定し、測定温度23℃で引張試験を行った。
チャック間距離が、a(mm)のときのサンプルにかかる荷重b(N)を読み取り、以下の式から、ひずみ量x(%)と応力y(N/mm2)を算出した。ただし、試験前のサンプル厚みをk(mm)とする。
ひずみ量:x=((a-50)/50)×100
応力:y=b/(k×10)
上記で得られたデータのうち、歪み量5%での応力を5%歪み応力とした。
ひずみ量:x=((a-50)/50)×100
応力:y=b/(k×10)
上記で得られたデータのうち、歪み量5%での応力を5%歪み応力とした。
〔復元性の評価〕
エラストマーフィルムを10mm幅×150mm長の矩形に切り出し試験片とした。引張試験機(株式会社オリエンテック製“テンシロン”(登録商標)UCT-100)を用いて、測定温度23℃において、復元性の優劣を見るため、変形速度の異なる2条件で評価を行った。
エラストマーフィルムを10mm幅×150mm長の矩形に切り出し試験片とした。引張試験機(株式会社オリエンテック製“テンシロン”(登録商標)UCT-100)を用いて、測定温度23℃において、復元性の優劣を見るため、変形速度の異なる2条件で評価を行った。
条件A(20%伸長時の弾性復元率):初期チャック間距離50mm、引張速度50mm/minで歪み量20%までサンプルを伸長後、サンプルへの引っ張り荷重解放し、測定前に初期試長として印をつけていた距離を測定してLmmとして、以下の式から弾性復元率z1(%)を算出した。
弾性復元率z1=(1-(L-50)/100)×100 (%)。
条件B(100%伸長時の弾性復元率):初期チャック間距離50mm、引張速度300mm/minで歪み量100%までサンプルを伸長後、サンプルへの引っ張り荷重を解放し、測定前に初期試長として印をつけていた距離を測定してLmmとして、以下の式から、弾性復元率z2(%)を算出した。
弾性復元率z2=(1-(L-50)/100)×100 (%)
なお、評価時に破断したものについては、「破断」と記載した。
なお、評価時に破断したものについては、「破断」と記載した。
〔耐熱性の評価〕
エラストマーフィルムを10mm幅の矩形に切り出し、試験片とした。JIS K7244(1999)の引張振動-非共振法に基づき(これを動的粘弾性法とする)、セイコーインスツルメンツ株式会社製の動的粘弾性測定装置DMS6100を用いてフィルムの測定を行った。
エラストマーフィルムを10mm幅の矩形に切り出し、試験片とした。JIS K7244(1999)の引張振動-非共振法に基づき(これを動的粘弾性法とする)、セイコーインスツルメンツ株式会社製の動的粘弾性測定装置DMS6100を用いてフィルムの測定を行った。
測定モード:引張
チャック間距離:20mm
試験片の幅:10mm
周波数:1Hz
歪振幅:10μm
最小張力:20mN
力振幅初期値:40mN
測定温度:-100℃から200℃まで
昇温速度:5℃/分
この時、dL値(LVDT(Linear Variable Differential Transformer)の出力値)が得られ、これが測定時の試験片の寸法に対応する値を表す。30℃におけるdL値をa30(μm)とし、150℃におけるdL値をa150(μm)として、以下の式にて寸法変化率を求めた。
チャック間距離:20mm
試験片の幅:10mm
周波数:1Hz
歪振幅:10μm
最小張力:20mN
力振幅初期値:40mN
測定温度:-100℃から200℃まで
昇温速度:5℃/分
この時、dL値(LVDT(Linear Variable Differential Transformer)の出力値)が得られ、これが測定時の試験片の寸法に対応する値を表す。30℃におけるdL値をa30(μm)とし、150℃におけるdL値をa150(μm)として、以下の式にて寸法変化率を求めた。
寸法変化率=((a150-a30)/20,000)×100(%)
さらに、上記式で得られた30℃における寸法を基準とした150℃の寸法変化率の絶対値を算出した。
さらに、上記式で得られた30℃における寸法を基準とした150℃の寸法変化率の絶対値を算出した。
〔耐溶媒性の評価〕
ガラス板上にエラストマーフィルムを固定し、表面層Bの上に銀ペースト剤(LS-453-6B 株式会社アサヒ化学研究所製)を、アプリケーターを用い、乾燥後の塗布厚みが約5μm、塗布幅が約15mmになるように塗布した。80℃30分間乾燥後、エラストマーフィルムを観察し、下記の観点で点数をつけ、3回評価した平均値の小数点第一位を四捨五入した値を表に記載した。
ガラス板上にエラストマーフィルムを固定し、表面層Bの上に銀ペースト剤(LS-453-6B 株式会社アサヒ化学研究所製)を、アプリケーターを用い、乾燥後の塗布厚みが約5μm、塗布幅が約15mmになるように塗布した。80℃30分間乾燥後、エラストマーフィルムを観察し、下記の観点で点数をつけ、3回評価した平均値の小数点第一位を四捨五入した値を表に記載した。
5点: 塗布部と未塗布部の境界面に、波打などの形状の変化無し
3点: 塗布部と未塗布部の境界面に、形状に波打ち等の変型を伴う膨潤痕あり
1点: 塗布部と未塗布部の境界面が著しい変型を起こし、部分的に塗膜の剥離が観察される。
3点: 塗布部と未塗布部の境界面に、形状に波打ち等の変型を伴う膨潤痕あり
1点: 塗布部と未塗布部の境界面が著しい変型を起こし、部分的に塗膜の剥離が観察される。
〔金属ペースト密着性の評価〕
ガラス板上にエラストマーフィルムを固定し、表面層Bの上にペースト剤(LS-453-6B 株式会社アサヒ化学研究所製)を、アプリケーターを用いて、乾燥後の塗布厚み5μmになるように塗布し、80℃30分間乾燥後、JISK5600-5-6(1999)に記載の付着性(クロスカット法)に従い、付着性評価を行い、JISK5600-5-6(1999)の分類0から5までに分類した。
ガラス板上にエラストマーフィルムを固定し、表面層Bの上にペースト剤(LS-453-6B 株式会社アサヒ化学研究所製)を、アプリケーターを用いて、乾燥後の塗布厚み5μmになるように塗布し、80℃30分間乾燥後、JISK5600-5-6(1999)に記載の付着性(クロスカット法)に従い、付着性評価を行い、JISK5600-5-6(1999)の分類0から5までに分類した。
〔表面粗さSa、スキューネスSsk、最大山高さSp、最大谷深さSv〕
エラストマーフィルムの表面粗さSa、スキューネスSsk、最大山高さSp、最大谷深さSvの測定は、株式会社日立ハイテク社製の走査型白色干渉顕微鏡“VertScan”(登録商標)VS1540を用いて測定を行い、付属の解析ソフトにより求めた。条件は下記の通りであり、各値は、5回測定の算術平均値を採用した。表には表面層Bの結果を記載する。
エラストマーフィルムの表面粗さSa、スキューネスSsk、最大山高さSp、最大谷深さSvの測定は、株式会社日立ハイテク社製の走査型白色干渉顕微鏡“VertScan”(登録商標)VS1540を用いて測定を行い、付属の解析ソフトにより求めた。条件は下記の通りであり、各値は、5回測定の算術平均値を採用した。表には表面層Bの結果を記載する。
なお実施例1~10については、エラストマーフィルムの粒子層側が表面層Bとした。比較例1~5については単層であるため樹脂層Aと表面層Bを有していないことから、表面粗さSaの値が大きい表面であるフィルムの非支持基材側の面を測定した。参考例1は任意の面を、2はサンドブラスト処理を施した面を測定し、参考例3、4は剥離した支持基材と接していた面を測定した。
(条件)
・測定モード:WAVE。
・対物レンズ:50倍。
・鏡筒レンズ:1倍。
・波長フィルタ: 530nm white
・測定ソフトウェア: VS-Measure Version 10.0.5.0
・解析ソフトウェア: VS-Viewer Version 10.0.4.0
・補完処理: 完全補完
・面補正: 4次
・フィルタ: メジアン(3×3)
・測定面積 113×113μm。
・測定モード:WAVE。
・対物レンズ:50倍。
・鏡筒レンズ:1倍。
・波長フィルタ: 530nm white
・測定ソフトウェア: VS-Measure Version 10.0.5.0
・解析ソフトウェア: VS-Viewer Version 10.0.4.0
・補完処理: 完全補完
・面補正: 4次
・フィルタ: メジアン(3×3)
・測定面積 113×113μm。
〔抵抗値変化率の測定〕
抵抗値変化率の測定は、回路配線を形成した電気回路体を引張試験機で伸張させながら、デジタルマルチメーターで抵抗値を計測する方法で行った。
<試験片の作成>
小型スクリーン印刷機(LS-150ニューロング精密工業株式会社製)に図12に示す電極部間に幅1mm、長さ50mmの直線部を有した配線パターンを有するスクリーン版(100×100 SUS325-28-C NU-55 乳剤厚5μm 中沼アートスクリーン株式会社製)を装着し、スクリーン版上に印刷ペースト(LS-453-6Bアサヒ化学研究所株式会社製)を乗せた。次いで、印刷機ステージ上にエラストマーフィルムを固定し、表面層Bの面に配線パターンを印刷した。その後に、80℃で30分間乾燥させて、電気回路体を作成した。この配線パターンを中心として、20mm幅×150mm長に電気回路体を切り出し、試験片とした。なお、150mm長の方向をエラストマーフィルムの長手方向に合わせた。
抵抗値変化率の測定は、回路配線を形成した電気回路体を引張試験機で伸張させながら、デジタルマルチメーターで抵抗値を計測する方法で行った。
<試験片の作成>
小型スクリーン印刷機(LS-150ニューロング精密工業株式会社製)に図12に示す電極部間に幅1mm、長さ50mmの直線部を有した配線パターンを有するスクリーン版(100×100 SUS325-28-C NU-55 乳剤厚5μm 中沼アートスクリーン株式会社製)を装着し、スクリーン版上に印刷ペースト(LS-453-6Bアサヒ化学研究所株式会社製)を乗せた。次いで、印刷機ステージ上にエラストマーフィルムを固定し、表面層Bの面に配線パターンを印刷した。その後に、80℃で30分間乾燥させて、電気回路体を作成した。この配線パターンを中心として、20mm幅×150mm長に電気回路体を切り出し、試験片とした。なお、150mm長の方向をエラストマーフィルムの長手方向に合わせた。
<測定>
試験片の電極部に30mm角の銅板を接触させ、テープで固定した。この試験片+銅板を、引張試験機(オリエンテック製“テンシロン”(登録商標)UCT-100)に接続した。チャック間距離は50mmとして、チャック間と直線部が一致するように調整した。銅板にクリップを介してデジタルマルチメーター(キーサイト・テクノロジー製“デジタルマルチメーター”34465A)に接続した。デジタルマルチメーターで抵抗値を記録しながら、引張速度100mm/minで、歪み量20%までサンプルを伸長、10秒保持、0%まで復元、10秒保持のサイクルを20回繰り返した。1回目のサイクルにおける抵抗値の最大値をP(Ω)、20回目のサイクルにおける抵抗値の最大値をQ(Ω)とし、抵抗値変化率Q/Pを求めた。
試験片の電極部に30mm角の銅板を接触させ、テープで固定した。この試験片+銅板を、引張試験機(オリエンテック製“テンシロン”(登録商標)UCT-100)に接続した。チャック間距離は50mmとして、チャック間と直線部が一致するように調整した。銅板にクリップを介してデジタルマルチメーター(キーサイト・テクノロジー製“デジタルマルチメーター”34465A)に接続した。デジタルマルチメーターで抵抗値を記録しながら、引張速度100mm/minで、歪み量20%までサンプルを伸長、10秒保持、0%まで復元、10秒保持のサイクルを20回繰り返した。1回目のサイクルにおける抵抗値の最大値をP(Ω)、20回目のサイクルにおける抵抗値の最大値をQ(Ω)とし、抵抗値変化率Q/Pを求めた。
なお、長手方向が分からない場合は任意の方向にサンプルを作製し、その後60度、120度回転させた場合のサンプルを作製し、合計3サンプルの測定結果の平均値をもって評価した。
〔金属ペーストによる印字性評価〕
エラストマーフィルム、印刷版および導電インクを用い、スクリーン印刷にて図9に示すような回路パターンの電気回路体を印刷した。詳細には、ポリエステル等の合成繊維で織ったスクリーンメッシュ#200の印刷版を用意して、導電インクをスキージでエラストマーフィルムに押し当てることで、導電インクをエラストマーフィルムに印刷した(印刷速度:100mm/sec、印刷角度60度)。このとき、エラストマーフィルムの印刷版への貼り付き(印刷時の貼り付き)の有無や、セパレーターとエラストマーフィルムの剥離(印刷時の浮き)の有無、印刷物の配線のにじみやかすれの状態を目視で観察し、以下の4段階で評価した。なお実施例1~10については、エラストマーフィルムの表面層B側の面を評価し、比較例1~5については、フィルムの非支持基材側の面を評価した。
エラストマーフィルム、印刷版および導電インクを用い、スクリーン印刷にて図9に示すような回路パターンの電気回路体を印刷した。詳細には、ポリエステル等の合成繊維で織ったスクリーンメッシュ#200の印刷版を用意して、導電インクをスキージでエラストマーフィルムに押し当てることで、導電インクをエラストマーフィルムに印刷した(印刷速度:100mm/sec、印刷角度60度)。このとき、エラストマーフィルムの印刷版への貼り付き(印刷時の貼り付き)の有無や、セパレーターとエラストマーフィルムの剥離(印刷時の浮き)の有無、印刷物の配線のにじみやかすれの状態を目視で観察し、以下の4段階で評価した。なお実施例1~10については、エラストマーフィルムの表面層B側の面を評価し、比較例1~5については、フィルムの非支持基材側の面を評価した。
A: 印刷時の貼り付きや浮きがなく、配線のにじみやかすれがない。
B: 印刷時の浮きはないが、貼り付きが少しあり、配線のにじみやかすれが一部で見られる。
C: 印刷時の浮きはないが、貼り付きが強くあり、配線のにじみやかすれが大部分で見られる。
D: 印刷時の貼り付きが強くあり、印刷時の浮きが生じる。
〔粒子層密着性の評価〕
エラストマーフィルムの粒子層側の面に異なる2条件の荷重となるようにハイゼガーゼNT-4(小津産業株式会社製)を垂直にあて、5cmの長さを10往復した際に目視される粒子層の概算残留率を求めた。
エラストマーフィルムの粒子層側の面に異なる2条件の荷重となるようにハイゼガーゼNT-4(小津産業株式会社製)を垂直にあて、5cmの長さを10往復した際に目視される粒子層の概算残留率を求めた。
条件C:荷重50g/cm2。
条件D:荷重250g/cm2。
〔リワーク性の評価〕
エラストマーフィルムをガラス板に載せ、エラストマーフィルムの垂直方向へ負荷をかけて押し当てた。その後、エラストマーフィルムをその平面方向へ引張、その時の挙動を、以下の基準に則り判定を行った。なお、実施例1~10については、エラストマーフィルムの表面層B側の面を測定し、比較例1~5については、フィルムの非支持基材側の面を測定した。
10点: ほとんど無抵抗で移動することができ、位置修正ができる。
7点: 僅かな力で移動することができ、位置修正ができる。
4点: 少し強い力で移動することができ、位置修正ができる。
1点: その他(移動することはできるが必要な力が大きい、移動できない、等)。
エラストマーフィルムをガラス板に載せ、エラストマーフィルムの垂直方向へ負荷をかけて押し当てた。その後、エラストマーフィルムをその平面方向へ引張、その時の挙動を、以下の基準に則り判定を行った。なお、実施例1~10については、エラストマーフィルムの表面層B側の面を測定し、比較例1~5については、フィルムの非支持基材側の面を測定した。
10点: ほとんど無抵抗で移動することができ、位置修正ができる。
7点: 僅かな力で移動することができ、位置修正ができる。
4点: 少し強い力で移動することができ、位置修正ができる。
1点: その他(移動することはできるが必要な力が大きい、移動できない、等)。
表3、表4に各実施例・比較例・参考例の評価結果をまとめた。
1、28:エラストマーフィルム
2:表面層B
3:樹脂粒子
4、9、17、19、22、25:積層体
5、21:離型層
6、8:支持基材
7:樹脂層A
18、20、23、26:保護材料
24:粘着層
27:電気回路体
29:電気回路
31、32:表面層Bまたは樹脂層Aの表面
41:エラストマーフィルム
42:配線回路
43:電極部
44:電気回路体
2:表面層B
3:樹脂粒子
4、9、17、19、22、25:積層体
5、21:離型層
6、8:支持基材
7:樹脂層A
18、20、23、26:保護材料
24:粘着層
27:電気回路体
29:電気回路
31、32:表面層Bまたは樹脂層Aの表面
41:エラストマーフィルム
42:配線回路
43:電極部
44:電気回路体
本発明のエラストマーフィルムは、高い柔軟性と復元性を有し、かつ後工程で様々な加工を必要とする用途に好適に用いることができる。
一例を挙げると、ウエアラブルデバイスや、ヘルスケアデバイス用の伸縮性、伸縮性センサー、伸縮性アクチュエーター用に好適に用いることができる。
またこの他にも、高い柔軟性と復元性の観点から、復元性を必要とする粘着テープの基材、ディスプレイ用衝撃吸収材料、医療用フィルム基材、自動車用表面保護フィルム基材、圧力センサー芯材、メガネ・サングラス、化粧箱、食品容器などのプラスチック成形品、水槽、展示用などのショーケース、スマートフォンの筐体、タッチパネル、カラーフィルター、フラットパネルディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、フレキシブルデバイス、センサー、回路用材料、電気電子用途、キーボード、テレビ・エアコンのリモコンなどの家電製品、ミラー、窓ガラス、建築物、ダッシュボード、カーナビ・タッチパネル、ルームミラーやウインドウなどの車両部品、および種々の印刷物、医療用フィルム、衛生材料用フィルム、医療用フィルム、農業用フィルム、建材用フィルムなど、それぞれの表面材料や内部材料や構成材料や製造工程用材料に好適に用いることができる。
Claims (17)
- エラストマーフィルムであって、
前記エラストマーフィルムが樹脂層Aと表面層Bを有しており、
以下の条件1および条件2を満たす、エラストマーフィルム。
条件1: エラストマーフィルムのブチルカルビトールアセテートによる膨潤率が、200%以下。
条件2: 表面層Bの表面自由エネルギーが、25mN/m以上。 - 以下の条件3を満たす、請求項1または2に記載のエラストマーフィルム。
条件3: エラストマーフィルムのJIS Z0208-1976の、条件Bによる透湿度が、100g/m2・24h以下。 - 以下の条件4を満たす、請求項1から3のいずれかに記載のエラストマーフィルム。
条件4:エラストマーフィルムの膨潤率から求めた、ハンセンの溶解度パラメーターの距離(D)、分散項(δD)、極性項(δP)、および水素結合項(δH)が、式1および式2を満たす。
式1 : D <20(J/cm3)0.5
式2 : (δP+δH)/D <0.5。 - 前記エラストマーフィルムを構成する樹脂層Aが、化学式6のセグメントを含む樹脂前駆体を、架橋させてなる硬化物である、請求項1から5のいずれかに記載のエラストマーフィルム。
R4、R5は、以下のいずれかを指す。
置換または無置換のアルキレン基
置換または無置換のアリーレン基
内部にエーテル基、エステル基、またはアミド基を有するアルキレン基
内部にエーテル基、エステル基、またはアミド基を有するアリーレン基
内部にエーテル基、エステル基、またはアミド基を有する無置換のアルキレン基
内部にエーテル基、エステル基、またはアミド基を有する無置換のアリーレン基
R6は、以下のいずれかを指す。
置換または無置換のアルキレン基
置換または無置換のアルケニレン基 - 前記樹脂前駆体は、条件5を満たす、請求項6に記載のエラストマーフィルム。
条件5:樹脂前駆体の平均(メタ)アクリロイル基当量が、4,000g/eq以上、12,000g/eq以下。 - 以下の条件6を満たす、請求項1から7のいずれかに記載のエラストマーフィルム。
条件6:表面層Bの表面粗さSaが、150nm以上5,000nm以下。 - 前記表面層Bが樹脂粒子を含有し、樹脂粒子の数平均粒子径が2μm以上20μm以下である、請求項1から9のいずれかに記載のエラストマーフィルム。
- 以下の条件7を満たす、請求項1から10のいずれかに記載のエラストマーフィルム。
条件7: 表面層BのスキューネスSskが正の値である。 - 以下の条件8を満たす、請求項1から11のいずれかに記載のエラストマーフィルム。
条件7: 表面層Bの最大山高さSpと最大谷深さSvが式4を満たす。
式4 : |Sp| / |Sv| ≧ 1 - 請求項1から12のいずれかに記載のエラストマーフィルムの製造方法であって、樹脂粒子を含む表面層用塗料組成物を塗布して、表面層Bを形成する工程を備える、エラストマーフィルムの製造方法。
- 請求項1から12のいずれかに記載のエラストマーフィルムと、前記エラストマーフィルム上に形成された導体回路を含む、電気回路体。
- 請求項1から12のいずれかに記載のエラストマーフィルムと、前記エラストマーフィルム上に形成された導体回路を含む、ヘルスケアセンサー。
- 請求項1から12のいずれかに記載のエラストマーフィルムと、前記エラストマーフィルム上に形成された導体回路を含む、ウエアラブルセンサー。
- 請求項1から12のいずれかに記載のエラストマーフィルムをスクリーン印刷で加工する工程を備える、エラストマーフィルム加工品の製造方法。
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