JP2022156818A - 複合ナノ粒子 - Google Patents

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浩規 阪本
Hiroki Sakamoto
博輝 山本
Hiroki Yamamoto
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Abstract

【課題】本発明では、簡易に透明性が高く着色が少ないランタン化合物を含むナノ粒子を合成する事、ランタン化合物を用いて、透明性が高く、着色が無く、暗所でも活性のある抗菌・抗ウイルス材料を得る事を目的とする。【解決手段】複合ナノ粒子であって、ランタン化合物、及びチタニアナノ粒子、を含有する、複合ナノ粒子。【選択図】なし

Description

本発明は、複合ナノ粒子に関する。
チタニアナノ粒子は、光触媒として超親水化、水素製造、有機物分解による消臭、抗菌効果等、様々な特性を有する(非特許文献1)。しかし、チタニアナノ粒子の活性化には、紫外光照射を必要とし、基本的に、暗所で活性を示さないという欠点がある。
チタニアナノ粒子の活性化に、紫外光照射を必要とせずに、活性を有する光触媒も開発されている。しかし、その様なチタニアナノ粒子は、透明性が無い、着色している等の問題がある。
ランタンは、希土類であり、通常の金属酸化物と異なり、着色が無く、ランタン化合物も無色のものが多い。炭酸ランタンは、医薬品として使われる事が有り、リンの吸着能が有り、安全性も高い。
しかし、ランタン塩からの酸化ランタンの合成は、厳しい条件を必要とする。例えば、酸化ランタンは、硝酸ランタンを600℃で焼成して作製する。
また、酸化ランタンの製造に、ソルボサーマル法、グリコサーマル処理等の液相反応でランタン塩を反応させる方法等が採用されている。酸化ランタンの限界温度の300℃で酸化ランタンを合成する方法は、通常、金属塩から金属酸化物のナノ粒子が生成するのに十分な条件である。しかし、酸化ランタンの中間体である水酸化物、塩等の構造で、反応が止まる。
この為、従来技術では、酸化ランタンのナノ粒子の合成は困難である(非特許文献2~4)。
前記従来技術には、チタニアに関して、紫外光非照射時の活性、透明性に課題が有り、ランタンに関して、ナノ粒子の合成が難しいという課題がある。
そこで、本発明では、簡易に透明性が高く着色が少ないランタン化合物を含むナノ粒子を合成する事を目的とする。
また、前記ランタン化合物を用いて、透明性が高く、着色が無く、暗所でも活性のある抗菌・抗ウイルス材料を得る事を目的とする。
上記目的を鑑み、鋭意検討した結果、本発明者等は、チタニアナノ粒子とランタン化合物とを混合する事で、ランタンを含むナノ粒子を得る事が出来、上記課題を解決出来る事を見出した。
そして、更に研究を重ね、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、以下の構成を包含する。
項1.
複合ナノ粒子であって、
ランタン化合物、及び
チタニアナノ粒子、を含有する、
複合ナノ粒子。
項2.
前記ランタン化合物の含有量は、前記チタニアナノ粒子に対して、ランタン原子として、1質量%~25質量%である、
前記項1に記載の複合ナノ粒子。
項3.
前記チタニアナノ粒子は、表面に存在する少なくとも一部のチタン原子にアシルオキシ基が結合しており、
比表面積が70m2/g以上である、
前記項1又は2に記載の複合ナノ粒子。
項4.
前記チタニアナノ粒子を、示差熱熱重量同時測定装置に依って、600℃まで昇温させた場合の200℃以上における重量減少が5質量%以上である、
前記項1~3のいずれか1項に記載の複合ナノ粒子。
項5.
前記チタニアナノ粒子は、平均粒子径が30nm以下である、
前記項1~4のいずれか1項に記載の複合ナノ粒子。
項6.
複合ナノ粒子の製造方法であって、
前記複合ナノ粒子は、ランタン化合物、及びチタニアナノ粒子を含有し、
少なくとも水を含む溶媒中で、チタニアとランタン化合物とを混合する工程を含む、
製造方法。
項7.
前記ランタン化合物は、酢酸ランタン(III)、酢酸ランタン(III)1.5水和物、炭酸ランタン(III)、炭酸ランタン(III)8水和物、酸化ランタン(III)、硝酸ランタン(III)、及び硝酸ランタン(III)6水和物から成る群から選ばれる少なくとも1種のランタン化合物である、
前記項6に記載の製造方法。
項8.
消臭、抗菌、及び/又は、抗ウイルス材料であって、
ランタン化合物、及びチタニアナノ粒子を含有し、
前記チタニアナノ粒子は、平均粒子径が30nm以下である、
消臭、抗菌、及び/又は、抗ウイルス材料。
項9.
更に、銀、銅、白金、及び亜鉛から成る群から選ばれる少なくとも1種の金属を含む、
前記項8に記載の消臭、抗菌、及び/又は、抗ウイルス材料。
項10.
抗ウイルスコーティング液であって、
前記求項8又は9に記載の消臭、抗菌、及び/又は、抗ウイルス材料、及び
水を含有する、
抗ウイルスコーティング液。
本発明に依れば、簡易に透明性が高く着色が少ないランタン化合物を含むナノ粒子を合成する事が出来る。
本発明に依れば、チタニアナノ粒子とランタン化合物とを混合する事で、容易に、均一に、ランタンを含み、透明性が高く、着色の少ない複合ナノ粒子を得る事が出来る。
本発明に依れば、前記ランタン化合物を含む複合ナノ粒子を用いて、透明性が高く、着色が無く、暗所でも活性の有る抗菌・抗ウイルス材料を得る事が出来る。
本明細書において、「含有」は、「含む(comprise)」、「実質的にのみからなる(consist essentially of)」、及び「のみからなる(consist of)」のいずれも包含する概念である。
本明細書において、数値範囲をA~Bで表記する場合、A以上、B以下を示す。
本明細書において、「酸化チタン」又は「チタニア」とは、二酸化チタン(TiO2)のみを指すものではなく、三酸化二チタン(Ti2O3);一酸化チタン(TiO);Ti4O7、Ti5O9等に代表される二酸化チタンから酸素欠損した組成のもの等も含む。
本明細書において、「酸化チタン」又は「チタニア」とは、末端Ti-OH基、TiCOCH3基、TiOCH2CH3基、TiOCH2CH2CH3基、TiOCH(CH3)CH3基、TiOCH2CH2CH2CH3基、TiOCOCH3等に代表される様に、一部、酸化チタンの合成に起因するTi-O-Ti以外の基を含んでいてもよい。
本明細書において、「酸化チタン」又は「チタニア」とは、末端OH基に有機酸等が結合したものも含まれる。
1.複合ナノ粒子
本発明の複合ナノ粒子は、
ランタン化合物、及び
チタニアナノ粒子、を含有する。
(1)ランタン化合物
本発明のランタン化合物は、親水性のチタニアナノ粒子と複合させることから水溶性のものが望ましいが、有機溶媒中で処理を行う場合はその溶媒に溶けうるものを使う事が出来る。
ランタン化合物は特に限定されないが、酢酸ランタン、硝酸ランタン、塩化ランタン、ランタンアセチルアセトナート、炭酸ランタン、フッ化ランタン、ランタンアルコキシド、トリフルオロメタンスルホン酸ランタン、シュウ酸ランタン、硫酸ランタンが例示される。
本発明の複合ナノ粒子において、ランタン化合物は、好ましくは、酢酸ランタン(III)、酢酸ランタン(III)1.5水和物、炭酸ランタン(III)、炭酸ランタン(III)8水和物、酸化ランタン(III)、硝酸ランタン(III)、及び硝酸ランタン(III)6水和物から成る群から選ばれる少なくとも1種のランタン化合物である。
また、水酸化ランタン、酸化ランタンの様な不要の材料を酢酸や硝酸等の酸で溶解して用いても良い。
(2)チタニアナノ粒子
本発明のチタニアナノ粒子とランタン化合物を含む複合ナノ粒子は、消臭・抗菌・抗ウイルス材料として用いても良い。
チタニアナノ粒子にランタン化合物を共存させる事に依り、消臭・抗菌・抗ウイルス性が増大する。
本発明の複合ナノ粒子において、好ましくは、前記ランタン化合物の含有量は、前記チタニアナノ粒子に対して、ランタン原子として、1質量%~25質量%である。
チタニアナノ粒子とランタン化合物との混合比は特に限定されないが、通常チタニアナノ粒子1:ランタン0.001~チタニアナノ粒子1:ランタン1であり、消臭・抗菌・抗ウイルス性と透明性の観点からチタニアナノ粒子1:ランタン0.01~チタニアナノ粒子1:ランタン0.25が好ましい。
ランタン化合物を増やす程、抗菌・抗ウイルス性の相乗効果が増すが、透明性の高いチタニアナノ粒子にランタン化合物を加えると、透明性が下がることがある。
チタニアナノ粒子は、比表面積が大きく、水への分散性が高いものが好ましい。
チタニアナノ粒子の比表面積は、10m2/g~500m2/gが好ましく、45m2/g~400m2/gがより好ましく、90m2/g~350m2/gが更に好ましい。
チタニアナノ粒子の直径は、1nm~150nmが好ましく、1nm~30nmがより好ましく、1nm~16nmが更に好ましく、最も好ましいのは1nm~6nmである。
特に、本発明のチタニアナノ粒子は、水に均一分散するものが好ましく、例えば下記の製法で製造できる。
(A)チタンを含む物質、有機酸及び水を混合して分散液を得る工程、
(B)前記工程(A)で得られた分散液を5分以上攪拌する工程、及び
(C)前記工程(B)で得られた分散液を70℃以上で1時間以上加熱する工程
を備え、且つ、
前記工程(A)において、チタンを含む物質と有機酸との混合比率は、チタンを含む物質中のチタン1モルに対して有機酸中のアシルオキシ基が0.4モル以上である方法により得られる。
酢酸の場合2モル以上が好ましいが、乳酸やクエン酸の場合、0.5モルかそれ以下でも透明性の高いチタニアナノ粒子が得られる。
<工程(A)>
工程(A)では、特定量のチタンを含む物質、特定量の有機酸及び水を混合して分散液を得る。
使用するチタンを含む物質としては、加熱により酸化チタンとなる物質であれば特に制限はない。チタンを含む物質としては、酸化チタン、及び/又は、酸化チタン前駆体が好ましく、具体的には、酸化チタン;水酸化チタン;チタンアルコキシド;三塩化チタン、四塩化チタン等のハロゲン化チタン(特に塩基で中和したもの);金属チタン等が挙げられる。また、これらの1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
これらの中でも、得られるチタニアの分散性の観点から、チタンアルコキシド、水酸化チタン又はハロゲン化チタン、特に、塩基で中和したものが好ましく、特に純度及び分散性の観点からチタンアルコキシドがより好ましい。
チタンアルコキシドとしては、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラn-ブトキシド、チタンテトラn-プロポキシド、チタンテトラエトキシド等が挙げられ、コスト及び副生成物の水溶性の観点から、チタンテトライソプロポキシドが好ましい。
チタンアルコキシドと有機酸との組合せによっては、得られるチタニアを触媒として水に溶け難いエステル化合物が遊離する事があるが、チタニア自身には問題はない。例えば、チタンテトラn-ブトキシドと酢酸の組合せにおいて、混合し加熱した段階で酢酸ブチルが生じ遊離する。
均一な分散液を得る観点からは、水溶性に優れる有機酸アルコキシドが得られる有機酸とチタンアルコキシドとの組合せを採用する事が好ましい。
ハロゲン化チタン(四塩化チタン、三塩化チタン等)については、不純物(ハロゲン)、量産時の反応器の腐食、及び結晶性制御の観点から、塩基で中和し、沈殿物の洗浄を行ってから用いる事が好ましい。その場合、得られるチタニアの分散性の観点から、乾燥を行わずに用いる事が好ましい。
酸化チタン、金属チタン等の固体を用いる場合は、平均粒子径は100nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましい。下限値は特に設定されないが、通常1nm程度である。粒径が大きい場合は遊星ボールミル、ペイントシェーカー等を用いて乾式又は湿式で粉砕して用いても良い。平均粒子径は、例えば、電子顕微鏡(SEM又はTEM)観察等に依り、測定する事が出来る。
分散液中のチタンを含む物質の濃度は、生産性と反応液の粘度の観点から、0.01mol/L~5mol/Lが好ましく、0.05mol/L~3mol/Lがより好ましい。
反応に使用する酸は、有機酸であり、化学式CnH2n+1COOH(n=0~11)で示されるモノカルボン酸、HOOCCmH2mCOOH(m=0~8)で示されるジカルボン酸、炭素数1~6のヒドロキシカルボン酸等が挙げられる。
モノカルボン酸においては、水に対する溶解性(特にn=4以下が水に溶解し易い)と臭気(特にn=2~4が悪臭が強い)の観点から、n=1の酢酸が望ましい。
ジカルボン酸については、水への溶解性の観点からm=0~2が好ましいが、チタニアへの分散性も考慮すると、m=1、又は2がより好ましい。
ヒドロキシカルボン酸については、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等が挙げられる。
有機酸は、これらの中でも、後で揮発による除去が出来るという観点で、特に酢酸、乳酸が好ましい。
これらの有機酸は1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
有機酸の使用量は、分散性とコストの観点から、チタンを含む物質中のチタン1モルに対して、COOH基を0.4モル以上、好ましくは0.5モル~10モル含む様に調整する事が好ましい。有機酸を多く用いる程、分散性が向上する。
分散液中の有機酸の濃度は、分散性とコストの観点から、0.005mol/L~10mol/Lが好ましく、0.02mol/L~7mol/Lがより好ましい。
反応溶媒としては、水等の水性溶媒を主成分(具体的には、例えば50重量%以上)として用いる事が好ましいが、反応時にアルコール類又はエステル類を含んでいても良い。
チタンテトライソプロポキシドを原料として用いた場合、有機酸との反応によりイソプロパノールが生じる。また、加熱により有機酸のイソプロピルエステルが生じる事もある。
工程(A)により得られる分散液中には、アルコール類又はエステル類を投入しても良いし、系中で発生していても良い。このアルコール類又はエステル類については、100℃以下の開放系における加熱により除去しても良いし、反応液中に残留していても良い。
分散液中にアルコール類が含まれる場合には粒径が小さくなる傾向に有り、粒径を制御する為に、意図的にアルコール類を添加しても良い。
本発明においては、通常チタニアナノ粒子の水熱合成反応に用いることが多い硝酸、塩酸、硫酸等の無機酸(特に無機強酸)を用いても良い。得られるチタニアナノ粒子の基材への密着性が低いことに加えて、装置の腐食、不純物、排水等の観点からカルボン酸の方が好ましい。
無機酸、及び有機酸は、原料の分散性、均一性等を高め、取扱いを容易にする場合には、効果を損なわない範囲で、例えば、0.01mol/L以下の範囲で補助的に使用する事も出来る。この場合、分散液中のN、Cl及びS元素の濃度がいずれも0.01mol/Lとなる。
無機酸、及び有機酸は、この中でも、透明性が高いアナターゼ型のチタニアが生成し易く、除去し易い硝酸が好ましい。
この様な工程(A)で得られる分散液のpHは、装置の腐食や取扱いの安全性、及び分散性の観点から、pH1.5以上、pH6未満が好ましく、pH2~pH5がより好ましい。
工程(A)において、分散液の作製方法は特に制限は無く、チタンを含む物質、有機酸及び水(溶媒)を同時に混合しても良いし、逐次混合しても良い。特に、凝集して大きな塊を形成し難く攪拌を継続できる観点から、有機酸及び水(溶媒)を混合した後に、攪拌しながらチタンを含む物質を投入する事が好ましい。
チタンを含む物質、及び有機酸を混合した後に水を滴下すると、反対に凝集し易い。
<工程(B)>
工程(B)においては、工程(A)で得られた分散液を、5分以上攪拌する。
攪拌の方法は特に制限は無く、常法に従えば良い。また、攪拌時間は、チタンを含む物質と有機酸と水を十分に反応する観点から、5分以上、好ましくは15分以上である。攪拌時間の上限値は特に制限されないが、通常240時間程度である。
<工程(C)>
工程(C)においては、工程(B)で得られた分散液を70℃以上で1時間以上加熱する。
工程(C)は、常圧下に行っても良いし、密閉容器内で加圧下に行っても良い。
加圧下に行う場合は、超臨界条件下に行っても良い。より具体的には、加熱時の圧力は粒径を大きくする観点から、0.45MPa以上が好ましく、1MPa~30MPaがより好ましい。但し、粒径が小さくて良い場合は、常圧下で行う方が簡易である。
加熱温度は、50℃以上、好ましくは70℃~450℃、より好ましくは150℃~400℃である。加熱温度が50℃未満では、活性の高いチタニアナノ粒子が得られない。
反応を常圧下に行う場合は、より平均粒子径の小さいチタニアナノ粒子が得られる観点から、50℃~120℃が好ましく、70℃~110℃がより好ましい。
反応を加圧下(超臨界ではない)に行う場合は、常圧下よりも平均粒子径の大きいチタニアナノ粒子が得られる観点から、120℃~370℃が好ましく、150℃~300℃がより好ましい。この場合、先ず低温(例えば50℃~120℃)で加熱してから、高温(例えば、120℃~370℃)に加熱しても良い。
加圧下の中でも、超臨界条件下に行う場合は、工程(B)で得られた分散液を、例えば、流通式反応器内で超臨界水と混合する事に依り、極めて短時間で粒子径の揃ったチタニアナノ粒子、及び分散性が極めて高いチタニア分散液を合成する事が出来る。この場合、50℃以下の工程(B)で得られた分散液を、374℃以上の超臨界水と混合し、300℃以上(特に375℃~450℃)で1秒以上(特に5秒~600秒)保持する事が好ましい。超臨界水と接触させる場合には、反応を極めて短時間で終了させる事が出来る。
この様にして得られる本発明のチタニアナノ粒子は、従来のチタニアナノ粒子と比較し、分散性を大きく改善したものである。
本発明の複合ナノ粒子において、好ましくは、前記チタニアナノ粒子は、平均粒子径が30nm以下である。
本発明のチタニアナノ粒子は、平均粒子径が3nm~50nm程度、特に4nm~40nm程度のものが得られる。
チタニアナノ粒子の平均粒子径をこの範囲とすることにより、金属ナノ粒子を適度且つより強固に担持させる事ができ、可視光触媒活性、及び暗所触媒活性がより高く、且つ透明性のより高い膜が形成できる。
通常平均粒子径が小さい場合、加熱時の収縮が大きい為、クラックや基板からの剥離が起こり易いが、本発明の金属ナノ粒子担持チタニアナノ粒子は平均粒子径が小さいチタニアナノ粒子を使用しているにも関わらず塗布性に優れる材料である。
本発明において、チタニアナノ粒子の平均粒子径は、電子顕微鏡(TEM)観察により測定する。
本発明の複合ナノ粒子において、好ましくは、前記チタニアナノ粒子は、表面に存在する少なくとも一部のチタン原子にアシルオキシ基が結合しており、比表面積が70m2/g以上である。
本発明のチタニアナノ粒子は、比表面積が30m2/g~500m2/g、特に40m2/g~350m2/gのものが得られる。
チタニアナノ粒子の比表面積をこの範囲とする事に依り、金属ナノ粒子を適度、且つより強固に担持させる事が出来、可視光触媒活性、及び暗所触媒活性を高くし易い。
チタニアナノ粒子の比表面積は、BET法に依り、測定する。
本発明のチタニアナノ粒子は、N、Cl、及びS元素の濃度が、いずれも0~5,000ppm、特に0~1,000ppmのものが得られる。
チタニアナノ粒子のN、Cl、及びS元素の濃度をこの範囲とする事に依り、基材の腐食等を抑え易い。この条件は、TiCl4、TiOSO4等の酸性チタニア前駆体由来の不純物が存在しないか、又はごく少量である事を意味している。
チタニアナノ粒子のN、Cl、及びS元素の濃度は、WDX(蛍光X線)に依り、測定する。
チタニアナノ粒子の結晶形は、アナターゼ型が好ましい。アナターゼ型を採用する事に依り、可視光触媒活性、及び暗所触媒活性を特に向上させる事が出来る。
アナターゼ型以外の結晶形は存在せず、アナターゼ型100%である事が好ましい。
この後、常法により、本発明のチタニアナノ粒子を沈殿及び遠心分離する事等に依り、本発明のチタニアナノ粒子を回収する事ができる。
この様に、本発明のチタニアナノ粒子は、平均粒子径及び比表面積を調整する事ができ、また、分散性に優れる為、光触媒用(超親水、有機物/無機物分解、水素製造等)だけでなく、色素増感太陽電池用、透明導電膜用、触媒担体用、耐熱コーティング用、高屈折コーティング用、遮熱コーティング用等、種々様々な用途に使用する事が出来る。
本発明に用いるチタニア分散液は、上記工程(A)~(C)を経た反応液を用い、超音波分散等の分散工程を加える事に依り、均一な分散液を作製できる。
本発明の複合ナノ粒子において、好ましくは、前記チタニアナノ粒子を、示差熱熱重量同時測定装置に依って、600℃まで昇温させた場合の200℃以上における重量減少が5質量%以上である。
本発明において、好ましくは、金属ナノ粒子(ランタン化合物)担持チタニアナノ粒子の形態を採り、好ましくは、チタニアナノ粒子の表面に金属ナノ粒子が担持された金属ナノ粒子担持チタニアナノ粒子である。
本発明において、好ましくは、前記チタニアナノ粒子は、表面に存在する少なくとも一部のチタン原子にアシルオキシ基が結合しており、チタニアナノ粒子中の酸化チタンに対して90質量%以下の担持量で金属ナノ粒子が表面に担持されている。
本発明において、好ましくは、示差熱熱重量同時測定装置によって600℃まで昇温させた場合の200℃以上における質量減少が5質量%以上である。
本発明の金属ナノ粒子(ランタン化合物)担持チタニアナノ粒子は、チタニアナノ粒子及び金属ナノ粒子のいずれも、平均粒子径及び比表面積を調整する事が可能であり、チタニアナノ粒子及び金属ナノ粒子が強固に密着しており、また、分散性に優れ凝集し難い為、別途分散剤等の添加剤を使用せずとも、塗布性及び透明性に優れる。
本発明の金属ナノ粒子(ランタン化合物)担持チタニアナノ粒子及び光触媒は、別途分散剤を使用せずとも十分な塗布性、及び透明性を有している事から、分散剤等の添加剤により可視光触媒活性を損なう事が無く、優れた可視光触媒活性を有することが出来る。
本発明の金属ナノ粒子(ランタン化合物)担持チタニアナノ粒子は、可視光応答型の光触媒、特に、暗所でも有用な光触媒である。
通常、水、無機酸、遊離した有機酸等は200℃以下でほとんど揮発する。
本発明の金属ナノ粒子(ランタン化合物)担持チタニアナノ粒子を構成するチタニアナノ粒子は、表面に存在する少なくとも一部のチタン原子にアシルオキシ基が結合していることから、200℃~600℃の範囲で徐々に脱離する。例えば、アセトキシ基の場合は、約260℃をピークとして200℃~600℃の範囲で徐々に脱離する。
本発明の金属ナノ粒子(ランタン化合物)担持チタニアナノ粒子を構成するチタニアナノ粒子は、表面に存在する少なくとも一部のチタン原子にアシルオキシ基が結合している事から、乾燥、又は焼成時にチタニアナノ粒子同士の凝集を抑制出来るためクラック、剥がれ等が起こり難く、塗布性、及び透明性に特に優れると共に、クラック、剥がれ等を抑制する事が出来、更には後述の金属ナノ粒子を強固に担持させ易い結果、可視光触媒活性にも優れる。
通常、表面にアシルオキシ基を有していると可視光触媒活性は低下するのが技術常識である。
本発明では、乾燥、又は焼成時にチタニアナノ粒子同士の凝集を抑制出来る為、クラック、剥がれ等の抑制効果が、特に優れると共に、金属ナノ粒子(ランタン化合物)を強固に担持させ易いい為、アシルオキシ基を有しているにもかかわらず、可視光触媒活性も向上させる事が出来る。
チタニアナノ粒子は、表面に存在するチタン原子にアシルオキシ基が大量に結合している事が好ましい。表面に存在する少なくとも一部のチタン原子にアシルオキシ基が存在している場合は、200℃~600℃の範囲で徐々に離脱する事から、示差熱熱重量同時測定装置(TG-DTA)によって昇温させた場合に、200℃以上での質量減少が大きい。
本発明において、示差熱熱重量同時測定装置(TG-DTA)によって昇温させた場合に、200℃以上での質量減少は、表面に存在するチタン原子にアセトキシ基が結合している数の指標を意味している。
示差熱熱重量同時測定装置(TG-DTA)によって600℃まで昇温させた場合の200℃以上における質量減少が5質量%以上、好ましくは7質量%~20質量%である。示差熱熱重量同時測定装置(TG-DTA)の詳細な条件は、雰囲気:空気、昇温速度:3℃/分である。
チタニアナノ粒子は、表面に存在する少なくとも一部のチタン原子にアシルオキシ基が結合しているものであるが、このアシルオキシ基は、-OCOR(式中、Rは水素原子、炭素数1~3のアルキル基、又は炭素数1~2のヒドロキシアルキル基を示す)で表される基でチタン原子と結合している事が好ましい。このアシルオキシ基は、炭素数1~4のモノカルボン酸、炭素数2~3のヒドロキシカルボン酸等の有機酸由来のアシルオキシ基である事が好ましい。
前記Rにおいて、アルキル基は、好ましくは、メチル基、エチル基、n-プロピル基等が挙げられる。
前記Rにおいて、ヒドロキシアルキル基は、好ましくは、ヒドロキシメチル基、1-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基等が挙げられる。
モノカルボン酸は、好ましくは、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等が挙げられ、
ヒドロキシカルボン酸は、好ましくは、グリコール酸、乳酸等が挙げられる。
揮発性、有害性及び分解性の観点から、Rは、水素原子、又はメチル基、ヒドロキシメチル基、1-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基等が好ましく、水溶性、及び臭気の観点からメチル基が好ましい。
揮発性、有害性及び分解性の観点から、モノカルボン酸は、ギ酸、酢酸等が好ましく、ヒドロキシカルボン酸は、グリコール酸、乳酸等が好ましい。
水溶性、及び臭気の観点から酢酸が特に好ましい。
有機酸は、単独で用いる事も出来、2種以上を組合せて用いる事も出来る。
従来のチタニア分散液においては分散剤を使用しなければ均一な分散液を得る事が出来なかった。
本発明においても、分散剤を加えても良いが、分散剤を加えなくても通常のチタニアナノ粒子より遥かに分散性の良い分散液が得られる。分散性が良い結果、コーティングの耐クラック性にも優れる。
分散剤を加えなくても良い結果、緻密なチタニアのコーティングが可能になる。
この際、本発明のチタニア分散液においては、溶媒である水の含有量をコーティングの容易さ、およびコーティングの膜性の観点から、60重量%以上、特に、75重量%以上とする事が好ましい。
チタニアナノ粒子を反応液から取り出し、溶媒を変更する事も可能である。反応液から遠心分離やろ過膜等により水分を除去し、有機溶媒に置換しても良い。その際はチタニアナノ粒子を乾燥させない事が、分散性、透明性等の観点から好ましい。
分散液に使用する有機溶媒としては、アルコール類等が挙げられる。このアルコール類としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の炭素数1~6の脂肪族アルコール類の他、α-テルピネオール等の非脂肪族アルコール類;ブチルカルビトール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)、ヘキシレングリコール(2-メチル-2,4-ペンタンジオール)、エチレングリコール-2-エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール系溶媒、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等のジオール類等が挙げられる。
分散液に使用する有機溶媒は、OH基を有さなくても、チタニア及び他の溶媒(水、アルコール等)との親和性があればよく、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジアセテート、テトラエチレングリコールジアセテート等が挙げられる。なかでも、沸点等の観点から、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等が好ましい。
2.複合ナノ粒子の製造方法
本発明の複合ナノ粒子の製造方法は、
前記複合ナノ粒子は、ランタン化合物、及びチタニアナノ粒子を含有し、
少なくとも水を含む溶媒中で、チタニアとランタン化合物とを混合する工程を含む。
本発明の複合ナノ粒子の製造方法において、好ましくは、前記ランタン化合物は、酢酸ランタン(III)、酢酸ランタン(III)1.5水和物、炭酸ランタン(III)、炭酸ランタン(III)8水和物、酸化ランタン(III)、硝酸ランタン(III)、及び硝酸ランタン(III)6水和物から成る群から選ばれる少なくとも1種のランタン化合物である。
3.消臭、抗菌、及び/又は、抗ウイルス材料、及び抗ウイルスコーティング液
本発明の消臭、抗菌、及び/又は、抗ウイルス材料は、
ランタン化合物、及びチタニアナノ粒子を含有し、
前記チタニアナノ粒子は、平均粒子径が30nm以下である。
本発明の消臭、抗菌、及び/又は、抗ウイルス材料において、好ましくは、更に、銀、銅、白金、及び亜鉛から成る群から選ばれる少なくとも1種の金属を含む。
本発明の抗ウイルスコーティング液は、前記消臭、抗菌、及び/又は、抗ウイルス材料、及び水を含有する。
本発明の抗ウイルスコーティング液は、用途に応じて粘度を調整し、例えば、スピンコート、ディップコート、スプレー等に用いる場合は低粘度に調整する。
本発明の抗ウイルスコーティング液は、刷毛塗り、スキージ法等に用いる場合はそれより粘度を高く調整する。
本発明の抗ウイルスコーティング液は、スクリーン印刷に用いる場合は、更に粘度を高く調製し、流動性を抑制する事が好ましい。
本発明の塗膜は、緻密なコーティングである。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明する。
本発明は、これらのみに限定されるものではない。
[実施例1]
チタンテトライソプロポキシド142.1g(0.5mol)に酢酸120g(2mol)を加え15分撹拌し、水を550g加えた。この分散液のpHは2.5であった。
半透明の沈殿が大量に発生したが、60分間撹拌した後に加熱を行った処、60℃で沈殿が全て溶解した。
その後、常圧(0.1MPa)で、80℃で、5時間撹拌した後、反応液に水を加え、合計800gに調製した後、超音波をかけた処、無機強酸を使用せずとも、半透明の均一なチタニア分散液が得られた。
このチタニア分散液50gに水50gを加え、更に、酢酸ランタン1.5水和物を0.309g(チタニア:ランタン原子=1:0.05)(チタニアナノ粒子に対して、ランタン原子として、5質量%である。)加え、超音波分散を行った処、白色で均一な分散液が得られた。
この分散液を1,000rpm×60秒でガラス基板にスピンコートした処、均一で着色の無い、塗膜が得られた。
[実施例2]
酢酸ランタンを0.618g(チタニア:ランタン原子=1:0.1)(チタニアナノ粒子に対して、ランタン原子として、10質量%である。)にした以外は、実施例1と同様に試験を行った。
この分散液を1,000rpm×60秒でガラス基板にスピンコートした処、均一で着色の無い、塗膜が得られた。
[実施例3]
チタンテトライソプロポキシド142.1g(0.5mol)に酢酸120g(2mol)を加え15分撹拌し、水を550g加えた。この分散液のpHは2.5であった。半透明の沈殿が大量に発生したが、60分間撹拌した後に加熱を行った処、60℃で沈殿が全て溶解した。
その後、常圧(0.1MPa)で、80℃で、5時間撹拌した後、反応液に水を加え、合計800gに調製した後、超音波をかけた処、無機強酸を使用せずとも、半透明の均一なチタニア分散液が得られた。
このチタニア分散液10gに水10gを加え、更に炭酸ランタン八水和物を0.108g(チタニア:ランタン原子=1:0.05)(チタニアナノ粒子に対して、ランタン原子として、5質量%である。)を加え、攪拌した処、白色沈殿が見られた。1時間攪拌する事に依り、溶解した。超音波分散を行った処、白色で均一な分散液が得られた。
この分散液を1,000rpm×60秒でガラス基板にスピンコートした処、均一で着色の無い、塗膜が得られた。
[実施例4]
炭酸ランタンを酸化ランタン0.0586g(チタニア:ランタン原子=1:0.05)(チタニアナノ粒子に対して、ランタン原子として、5質量%である。)にした以外は、実施例3と同様に試験を行った。白色沈殿が見られたが、1時間攪拌することにより溶解した。超音波分散を行った処、白色で均一な分散液が得られた。
この分散液を1,000rpm×60秒でガラス基板にスピンコートした処、均一で着色の無い、塗膜が得られた。
[実施例5]
炭酸ランタンを硝酸ランタン六水和物0.0779g(チタニア:ランタン原子=1:0.05)(チタニアナノ粒子に対して、ランタン原子として、5質量%である。)にした以外は、実施例3と同様に試験を行った。
超音波分散を行った処、白色半透明で均一な分散液が得られた。
この分散液を1,000rpm×60秒でガラス基板にスピンコートした処、透明で着色の無い、塗膜が得られた。
[実施例6]
チタンテトライソプロポキシド142.1g(0.5mol)に酢酸120g(2mol)を加え15分撹拌し、水を550g加えた。この分散液のpHは2.5であった。半透明の沈殿が大量に発生した。60分間撹拌した後に加熱を行った処、60℃で沈殿が全て溶解した。
その後、常圧(0.1MPa)で、80℃で、5時間撹拌した後、反応液に水を加え、合計800gに調製した後、超音波をかけた処、無機強酸を使用せずとも、半透明の均一なチタニア分散液が得られた。
このチタニア5wt%を含む分散液12.5gと水12.5gに酢酸銀0.0484gを加え攪拌し、超音波分散を行った処、均一な分散液が得られた。
得られた液に硝酸ランタン六水和物を0.39g(チタニア:ランタン原子=1:0.2)(チタニアナノ粒子に対して、ランタン原子として、20質量%である。)加えて攪拌し、超音波分散を行った処、均一な分散液が得られた。
この分散液を500rpm×30秒でガラス基板に3回スピンコートした処、均一で着色のない塗膜が得られた。
この試験片に対して、JIS R 1756に準ずる方法でネココロナウイルスを用いて抗ウイルス性を評価した。但し、光は当てず、暗所で試験を行った。(条件:8時間)。その結果、本材料をコーティングしない材料と比較して87%のウイルスが不活性化した。
[比較例1]
酢酸ランタン1.5水和物5.25gと水95gを混合した処、透明な溶液が得られた。
この分散液を500rpm×30秒でガラス基板にスピンコートした。乾燥すると白濁し、ムラのある状態となり、均一とならなかった。
[比較例2]
酢酸ランタン1.5水和物5.25gと水95gを混合した処、透明な溶液が得られた。
この溶液を攪拌しながら4.5時間かけて80℃まで昇温し、更に1時間かけて90℃まで昇温し、1時間半保持した処、液が白濁し、24時間静置した処、沈殿が生じた。
この液を500rpm×30秒でガラス基板にスピンコートしたが、乾燥すると白濁し、ムラのある状態となり、均一とならなかった。
[比較例3]
酢酸ランタン1.5水和物5.25gと水95gを混合した処、透明な溶液が得られた。
この溶液に25%アンモニア水2gを加えた処、液が白濁した状態となったが、静置すると上澄みが分離し、均一な状態とならなかった。
この液を500rpm×30秒でガラス基板にスピンコートしたが、乾燥すると白濁し、ムラのある状態となり、均一とならなかった。
この様にランタン化合物を均一にコーティングする事や、簡易な操作でナノ粒子化することは困難であった。
[比較例4]
チタンテトライソプロポキシド142.1g(0.5mol)に酢酸120g(2mol)を加え15分撹拌し、水を550g加えた。この分散液のpHは2.5であった。半透明の沈殿が大量に発生したが、60分間撹拌した後に加熱を行った処、60℃で沈殿が全て溶解した。
その後、常圧(0.1MPa)で、80℃で、5時間撹拌した後、反応液に水を加え、合計800gに調製した後、超音波をかけた処、無機強酸を使用せずとも、半透明の均一なチタニア分散液が得られた。
このチタニア5wt%を含む分散液10gと酢酸銀0.039gを加え攪拌し、超音波分散を行った処、均一な分散液が得られた(チタニア:銀原子=1:0.05)。
この分散液を500rpm×30秒でガラス基板に3回スピンコートした処、均一で着色のない塗膜が得られた。
この試験片に対して、JIS R 1756に準ずる方法でネココロナウイルスを用いて抗ウイルス性を評価した。但し、光は当てず暗所で試験を行った。(条件:×8時間)。その結果、ウイルスの不活性化は確認できなかった。
[比較例5]
チタンテトライソプロポキシド142.1g(0.5mol)に酢酸120g(2mol)を加え15分撹拌し、水を550g加えた。この分散液のpHは2.5であった。半透明の沈殿が大量に発生した。60分間撹拌した後に加熱を行った処、60℃で沈殿が全て溶解した。
その後、常圧(0.1MPa)で、80℃で、5時間撹拌した後、反応液に水を加え、合計800gに調製した後、超音波をかけた処、無機強酸を使用せずとも、半透明の均一なチタニア分散液が得られた。
このチタニア5wt%を含む分散液12.5gと水12.5gと塩化白金酸水溶液0.0313g、トリエトキシシラン0.3gを加え攪拌し、超音波分散を行った処、均一な分散液が得られた。
この分散液を500rpm×30秒で3回スピンコートした処、均一で着色のない塗膜が得られた。
この試験片に対して、JIS R 1756に準ずる方法でネココロナウイルスを用いて抗ウイルス性を評価した。ただし、光は当てず暗所で試験を行った。(条件:×8時間)。その結果、ウイルスの不活性化は確認できなかった。
[比較例6]
チタンテトライソプロポキシド142.1g(0.5mol)に酢酸120g(2mol)を加え15分撹拌し、水を550g加えた。この分散液のpHは2.5であった。半透明の沈殿が大量に発生した。60分間撹拌した後に加熱を行った処、60℃で沈殿が全て溶解した。
その後、常圧(0.1MPa)で、80℃で、5時間撹拌した後、反応液に水を加え、合計800gに調製した後、超音波をかけた処、無機強酸を使用せずとも、半透明の均一なチタニア分散液が得られた。
このチタニア5wt%を含む分散液12.5gと水12.5gと酢酸銀0.039gを加え攪拌し、超音波分散を行った処、均一な分散液が得られた。
それとは別に、このチタニア5wt%を含む分散液12.5gと水12.5gと塩化白金酸水溶液0.0313g、トリエトキシシラン0.3gを加え攪拌し、超音波分散を行った処、均一な分散液が得られた。
上記2種の分散液を混合し、超音波分散を行った処、均一な分散液が得られた(チタニア:銀原子:白金原子=1:2.5:0.025)。
この分散液を500rpm×30秒で3回スピンコートした処、均一で着色のない塗膜が得られた。
この試験片に対して、JIS R 1756に準ずる方法でネココロナウイルスを用いて抗ウイルス性を評価した。ただし、光は当てず暗所で試験を行った。(条件:×8時間)。その結果、ウイルスの不活性化は確認できなかった。

Claims (10)

  1. 複合ナノ粒子であって、
    ランタン化合物、及び
    チタニアナノ粒子、を含有する、
    複合ナノ粒子。
  2. 前記ランタン化合物の含有量は、前記チタニアナノ粒子に対して、ランタン原子として、1質量%~25質量%である、
    請求項1に記載の複合ナノ粒子。
  3. 前記チタニアナノ粒子は、表面に存在する少なくとも一部のチタン原子にアシルオキシ基が結合しており、
    比表面積が70m2/g以上である、
    請求項1又は2に記載の複合ナノ粒子。
  4. 前記チタニアナノ粒子を、示差熱熱重量同時測定装置に依って、600℃まで昇温させた場合の200℃以上における重量減少が5質量%以上である、
    請求項1~3のいずれか1項に記載の複合ナノ粒子。
  5. 前記チタニアナノ粒子は、平均粒子径が30nm以下である、
    請求項1~4のいずれか1項に記載の複合ナノ粒子。
  6. 複合ナノ粒子の製造方法であって、
    前記複合ナノ粒子は、ランタン化合物、及びチタニアナノ粒子を含有し、
    少なくとも水を含む溶媒中で、チタニアとランタン化合物とを混合する工程を含む、
    製造方法。
  7. 前記ランタン化合物は、酢酸ランタン(III)、酢酸ランタン(III)1.5水和物、炭酸ランタン(III)、炭酸ランタン(III)8水和物、酸化ランタン(III)、硝酸ランタン(III)、及び硝酸ランタン(III)6水和物から成る群から選ばれる少なくとも1種のランタン化合物である、
    請求項6に記載の製造方法。
  8. 消臭、抗菌、及び/又は、抗ウイルス材料であって、
    ランタン化合物、及びチタニアナノ粒子を含有し、
    前記チタニアナノ粒子は、平均粒子径が30nm以下である、
    消臭、抗菌、及び/又は、抗ウイルス材料。
  9. 更に、銀、銅、白金、及び亜鉛から成る群から選ばれる少なくとも1種の金属を含む、
    請求項8に記載の消臭、抗菌、及び/又は、抗ウイルス材料。
  10. 抗ウイルスコーティング液であって、
    請求項8又は9に記載の消臭、抗菌、及び/又は、抗ウイルス材料、及び
    水を含有する、
    抗ウイルスコーティング液。
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