JP3137623B1 - 酸化チタン微粒子の分散ゲル及び溶液並びにそれらの製造方法 - Google Patents

酸化チタン微粒子の分散ゲル及び溶液並びにそれらの製造方法

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Abstract

【要約】 【課題】アナターゼ微粒子とルチル微粒子を作り分けで
き、両者の混合割合を制御、調整し得るゲルないし分散
溶液およびその製造方法を提供する。 【解決手段】チタン化合物を含有する溶液に過酸化水素
を加えて得た溶液を水、アルコール系溶媒又はこれらの
混合液体からなる群より選ばれる何れか一種の希釈用液
体によって希釈した後、加熱処理をして前記希釈用液体
に対応して生成するアナターゼ微粒子およびルチル微粒
子並びにこれらの混合物からなる群より選ばれる何れか
一種の酸化チタン微粒子を含有するゲルを製造する。好
ましくは、チタン化合物がチタンアルコキシドであり、
アルコール系溶媒がメタノール、エタノール、1−プロ
パノール、2−プロパノール、t−ブタノールである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光触媒や着色材と
して有用な酸化チタン微粒子の薄膜を基板上に形成する
ためにコーティング液等として用いられる酸化チタン微
粒子含有ゲル及び分散溶液並びにそれらの製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、太陽光をエネルギー源として利用
する酸化チタン光触媒が見直されている。この酸化チタ
ン光触媒等に使用する酸化チタンの薄膜形成法として、
チタン化合物を含有する溶液やアモルファス酸化チタン
分散溶液を基板に塗布した後、乾燥ないし焼結する方法
が知られている。前記の従来法にあっては、ルチルまた
はアナターゼの薄膜を得るには数百度以上の高温で焼成
し結晶化する必要があり、熱の影響を受けやすい高分子
材料や低融点ガラス等からなる基板に対しては前記薄膜
形成法を適用することが困難であるという点で問題があ
る。
【0003】また、有機高分子を含む水溶液中でチタン
アルコキシドを加水分解してアモルファス酸化チタンと
有機物の複合体からなるゲルを得、このゲルを乾燥、焼
成して多孔性固体からなる膜状に形成して酸化チタンの
有する光触媒活性の効率を高める試みがなされた。しか
し、係る方法においても高温での焼成工程が必要とな
り、このため細孔容量と表面積の減少による触媒活性の
低下を回避できず、触媒活性の効率を高める所期の目的
を達することはできなかった。
【0004】前記問題点を解消するために、特開平10
−67516号公報において、「アナターゼ微粒子分散
液およびその製造方法」および特開平9−71418号
公報において、「チタニア膜形成用液体およびチタニア
膜およびその製造方法」が開示されている。前記公報の
記載によれば、原料の塩化チタン等にアンモニア水等の
塩基性物質を作用させて中間体の水酸化チタンゲルを生
成する工程において、水酸化チタンゲルから塩基性物質
等の不純物を取除くために大量の精製水による洗浄を要
しコストアップと廃液処理が問題となるばかりでなく、
原料の塩化チタンは劇物であり、安全管理上の問題に加
えて工程が複雑である点で問題があり、安全で環境負荷
が少なく、より簡易な方法の開発が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、原料として
前記公報記載の無機チタン化合物、例えば四塩化チタン
等に代えて有機チタン化合物、例えばチタンアルコキシ
ドを使用したので大量の純水で洗浄する工程を必要とせ
ず廃水処理の問題もなく安全で環境負荷も少ない酸化チ
タン微粒子を含有するゲルとその製造方法を提供する。
更に注目すべき点は、従来、触媒活性の点からアナター
ゼ微粒子に限定した製造法が多かった。ところが最近、
ルチル微粒子が着色材ばかりでなく触媒としても優れて
いるとしてその効果が見直されており、本発明において
は、かかるルチル微粒子とアナターゼ微粒子が任意の割
合で含有するゲルを生成することができて、しかも、こ
の含有割合を比較的簡易な操作で任意に制御、調整する
ことができ、加えて、この分散溶液を基板に塗布して乾
燥するだけでルチルないしアナターゼの薄膜が形成さ
れ、高温で焼成する工程が不要なので熱の影響を受け易
い基板に対しても使用可能であり、更に、細孔構造を保
持し得るので触媒の担体としても応用できる新規な材料
及びその製造方法の提供を目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記の課題を解決するた
めに、本発明は、チタン化合物にアルコール系溶媒を加
えて溶液を製造する工程と、前記溶液に過酸化水素を加
えて得た溶液を水、アルコール系溶媒又はこれらを任意
の割合に混合した希釈用液体の群より選ばれる何れか一
種の希釈用液体によって希釈する工程と、前記希釈した
液体を加熱処理 する工程と、前記希釈用液体の種類に対
応してアナターゼ微粒子およびルチル微粒子並びにこれ
らの混合物からなる酸化チタン微粒子の群より選ばれる
何れか一種の酸化チタン微粒子が生成する工程と、を備
えた酸化チタン微粒子の分散ゲルの製造方法とする(請
求項1)。
【0007】また、前記の課題を解決するために、本発
明は、チタン化合物にアルコール系溶媒を加えて溶液を
製造する工程と、前記溶液に過酸化水素を加えて得た溶
液を希釈用液体である水によって希釈する工程と、前記
希釈した液体を加熱処理する工程と、前記希釈用液体の
種類に対応してルチル微粒子を主体とする酸化チタン微
粒子が生成する工程と、を備えた酸化チタン微粒子の分
散ゲルの製造方法とする(請求項2)。ここで、「主体
とする」とはルチル微粒子が単独ないし限りなく単独で
存在する場合をいう。
【0008】また、前記の課題を解決するために、本発
明は、チタン化合物にアルコール系溶媒を加えて溶液を
製造する工程と、前記溶液に過酸化水素を加えて得た溶
液を希釈用液体であるアルコール系溶媒によって希釈す
る工程と、前記希釈した液体を加熱処理する工程と、前
記希釈用液体の種類に対応してアナターゼ微粒子を主体
とする酸化チタン微粒子が生成する工程と、を備えた酸
化チタン微粒子の分散ゲルの製造方法とする(請求項
3)。ここで、「主体とする」とはアナターゼ微粒子が
単独ないし限りなく単独で存在する場合をいう。
【0009】また、前記の課題を解決するために、本発
明は、チタン化合物にアルコール系溶媒を加えて溶液を
製造する工程と、前記溶液に過酸化水素を加えて得た溶
液を希釈用液体である水とアルコール系溶媒の混合液体
によって希釈する工程と、前記希釈した液体を加熱処理
する工程と、前記希釈用液体の水とアルコール系溶媒の
混合比率を変えることによって、水とアルコール系溶媒
の混合比率に対応してアナターゼ微粒子とルチル微粒子
の含有割合が制御された酸化チタン微粒子が生成する工
程と、を備えた酸化チタン微粒子の分散ゲルの製造方法
とする(請求項4)。
【0010】また、前記の課題を解決するために、本発
明は、前記チタン化合物がチタンアルコキシドであるこ
とを特徴とするゲルの製造方法とすることが好ましい
(請求項5)。
【0011】また、前記の課題を解決するために、本発
明は、前記アルコール系溶媒がメタノール、エタノー
ル、1−プロパノール、2−プロパノール、t−ブタノ
ールおよびこれらの混合物からなる群より選ばれる任意
の一種のアルコールであることを特徴とするゲルの製造
方法とすることが好ましい(請求項6)。
【0012】また、前記の課題を解決するために、本発
明は、前記加熱処理の条件が40℃ないし80℃で20
0時間ないし12時間または80℃ないし200℃で1
2時間ないし30分間の何れかであることを特徴とする
ゲルの製造方法とすることが好ましい(請求項7)。
【0013】また、前記の課題を解決するために、本発
明は、前記酸化チタン微粒子が0.01μmないし0.
15μmの平均粒径を有することを特徴とする前記方法
により製造されるゲルとすることが好ましい(請求項
8)。
【0014】また、前記の課題を解決するために、本発
明は、前記の方法により製造されるゲルに過酸化水素水
を加えることによって解こうしてなる、アナターゼ微粒
子およびルチル微粒子並びにこれらの混合物からなる群
より選ばれる少なくとも一種の酸化チタン微粒子が分散
してなることを特徴とする分散溶液の製造方法とするこ
とが好ましい(請求項9)。
【0015】また、前記の課題を解決するために、本発
明は、前記の方法により製造されるゲルを水中へ浸漬し
ゲルに含まれる有機物を水に置換させた後、該ゲルに過
酸化水素水を加えることによって解こうしてなる、アナ
ターゼ微粒子およびルチル微粒子並びにこれらの混合物
からなる群より選ばれる任意の一種の酸化チタン微粒子
が分散してなることを特徴とする分散溶液とすることが
好ましい(請求項10)。
【0016】また、前記の課題を解決するために、本発
明は、前記酸化チタン微粒子の平均粒径が0.01μm
ないし0.15μmであることを特徴とする、前記の方
法により製造される分散溶液とすることが好ましい(請
求項11)。
【0017】また、前記の課題を解決するために、本発
明は、前記の方法により製造される分散溶液に5重量%
を越えない量の親水性重合体を加えることによって酸化
チタン微粒子の分散性が改良してなることを特徴とする
酸化チタン微粒子の分散溶液とすることが好ましい(請
求項12)。
【0018】また、前記の課題を解決するために、本発
明は、前記親水性重合体が、ポリビニルアルコール、ポ
リエチレングリコール、メチルセルロース、カルボキシ
メチルセルロースおよびポリビニルピロリドンからなる
群より選ばれる少なくとも一種からなることを特徴とす
る酸化チタン微粒子の分散溶液とすることが好ましい
(請求項13)。
【0019】
【発明の実施の形態】次に、この発明の代表的な実施の
形態について説明する。本実施の形態にかかる製造方法
において、前述の課題を解決するために、次ぎに述べる
新規な方法によって結晶性酸化チタン微粒子含有ゲルを
調製した。先ず、原料のチタン化合物をアルコール系溶
媒に溶解し(アルコール溶液製造工程)、この溶液に過
酸化水素水を加えて透明な褐色の溶液に調製する(過酸
化水素添加工程)。得られる溶液はペルオキソ基を有す
るチタン酸を含有すると考えられる。次に、この溶液を
水、アルコール系溶媒又はこれらの混合液体の何れか一
種の希釈用液体によって希釈し(希釈工程)、所定の条
件下において加熱処理を行って(加熱処理工程)斯か
る加熱処理工程において、アナターゼ微粒子、ルチル微
粒子またはこれらの混合物の何れかからなる酸化チタン
微粒子が生成し(酸化 チタン微粒子生成工程)、前記の
酸化チタン微粒子と溶媒とを含むゲルを得ることができ
る。
【0020】通常、ルチルの生成には500℃以上の温
度で加熱する必要があり、ルチル微粒子が分散したゲル
を得ることは非常に困難である。しかし、本実施の形態
にかかる方法によって、希釈用液体として水を使用する
ことによって容易にルチル微粒子が分散したゲルを得る
ことができる。しかもこのゲルに含まれるルチル微粒子
の平均粒径は0.09μmと非常に微細であって分散性
が良く、白色顔料としてその隠蔽性ないし着色力に極め
て優れ有用なものである。また、前述の通り、このゲル
は細孔構造を保持したまま乾燥することによって触媒担
体としても応用可能である。
【0021】また、本実施の形態の製造方法において、
希釈用液体としてアルコール系溶媒例えばエタノールを
使用することによって、アナターゼ微粒子が分散したゲ
ルを得ることができる。このアナターゼ微粒子分散ゲル
を高温焼成せずに微細構造を保持したまま乾燥すること
によって、高表面積かつ活性の高い光触媒として調製す
ることができる。また、希釈用液体として水とアルコー
ル系溶媒例えばエタノールの混合液体を使用することに
よって、アナターゼ微粒子とルチル微粒子が混在して分
散したゲルを調製することができる。更に、希釈用液体
中の水の割合を加減してゲル中に含まれるアナターゼ微
粒子とルチル微粒子の含有割合を制御調整することがで
きる。
【0022】本実施の形態における原料のチタン化合物
は、チタンエトキシド、チタンイソプロポキシド、チタ
ンブトキシド、等のチタンアルコキシドを使用すること
が望ましい。塩化チタンや硫酸チタン等の無機塩を使用
するもできるが、この場合に共存する無機陰イオンが酸
化チタンの結晶化を阻害する虞があるとともに、該無機
陰イオンないしその塩が生成したゲル中に残留し、これ
を除去することが困難である。この点、チタンアルコキ
シドを用いた場合は不純物となる無機イオンが生成しな
いので好ましい。次ぎに、希釈用液体に使用するアルコ
ール系溶媒は、メタノール、エタノール、1−プロパノ
ール、2−プロパノール、t−ブタノール等の水溶性の
有機溶媒が好ましい。
【0023】加熱処理温度は、結晶化酸化チタン微粒子
の生成速度を速くするために40℃以上とすることが好
ましい。加熱処理温度が40℃のとき120時間以上の
処理によってアナターゼまたはルチル微粒子分散ゲルが
生成し、加熱処理温度が80℃以上になるとゲル中の粒
子同士が凝集して酸化チタン微粒子の粒径が増加し易く
なるために、12時間以上加熱した場合、ゲルの離水と
ともに酸化チタン微粒子の沈殿が生じゲルの構造が壊れ
易くなる。以上により、加熱処理の温度条件の下限は4
0℃であり、好ましくは実用的な酸化チタン微粒子の生
成速度の点から60℃である。上限は200℃であり、
好ましくは粒子同士の凝集を防ぎゲルの構造を確実に保
持する観点から80℃である。加熱処理の時間条件の下
限は30分間であり、好ましくは安定したゲルを得る点
から12時間である。上限は200時間であり、好まし
くは実用性を考慮して120時間である。
【0024】前記の実施の形態によって製造されたゲル
に過酸化水素水を加えて攪拌することによってゲルが解
こうし、前記の結晶化酸化チタン微粒子が分散した液体
が得られる。この際ゲルに加える過酸化水素水の量は、
ゲル中に含まれる酸化チタンの重量に対して少なくとも
約4倍の重量であることが好ましい。これよりも少ない
場合はゲルが完全に溶解しない虞がある。以上によって
得られた溶液を水で適切な濃度に希釈した後、基板にコ
ーティングし、室温で乾燥するだけで焼成過程を経るこ
となくアナターゼないしルチルの結晶化酸化チタンから
なる薄膜を基板上に形成することができる。
【0025】前記の実施の形態によって製造されたゲル
を解こうする前にゲルを水中へ浸漬しゲルに含まれる有
機物を水に置換させることによって有機物を全く含まな
い酸化チタン微粒子分散溶液を調製することができる。
この有機物を全く含まない分散溶液は、室温(25℃)
で少なくとも2ヶ月以上ゲル化ないし沈殿を生ずること
なく安定であった。ちなみに、有機物を含む分散溶液
は、同条件で10時間静置後にゲル化するものがあっ
た。
【0026】前記の実施の形態による酸化チタン微粒子
分散溶液に水溶性重合体を添加することによって、この
分散溶液の安定性をより高め、コーティングする際に基
板への濡れ性を改良することができる。これは、水溶性
重合体の水酸基やエーテル酸素が酸化チタン微粒子表面
に存在する水酸基等と水素結合し酸化チタン微粒子と重
合体の複合体が生成し、水溶性重合体の親水化作用とと
もに溶液の表面張力が低下することに基づくものと考え
られる。水溶性重合体として重合度500のポリビニル
アルコールを0.15重量%添加することによって前記
の効果が認められたが、ポリビニルアルコールの重合度
が増加した場合、または添加量が5重量%を越えると酸
化チタン微粒子分散溶液がゲル化する傾向が認められ
る。
【0027】
【実施例】以下に代表的な実施例を挙げて本願発明につ
いて説明する。しかし、本願発明はここに挙げる実施例
によって何ら制限を受けるものではない。 実施例1チタンテトライソプロポキシド(Ti(OC
)1モル(mol)にエタノールを1リット
ル(l)加えてアルコール溶液を調製し、このアルコー
ル溶液10ミリリットル(ml)を氷冷し 、そこへ30
重量%の過酸化水素水を13.6ml加えて液温を40
℃に保ちながら攪拌した。完全に均一で透明な赤褐色の
溶液となったら希釈用液体の水を加えて溶液全体の体積
を100mlとした。この溶液を全部で5組調製し、そ
れぞれ75℃で6時間、12時間、24時間、36時
間、48時間加熱した。1時間の加熱で透明の黄色のゲ
ルが生成し、加熱時間が経過するに従ってゲルの色が乳
白色に変化した。図1に示すゲルのX線回折の結果か
ら、6時間の過熱で得られたゲルは未だ結晶化しておら
ずアモルファスであり、12時間以上加熱して得られた
ゲルはアモルファスな酸化チタンとルチルの混合物から
なることが確認された。また、ゲルに含まれるルチル微
粒子の結晶子径を(110)面回折ピークの半値幅より
シェーラーの式を用いて求めた。その結果、加熱処理時
間が12時間及び24時間のゲル中のルチル微粒子の結
晶子径は、それぞれ27.7nm及び40.8nmであ
った。
【0028】実施例2 実施例1における希釈用液体を水に代えてエタノールを
使用した以外は実施例1と同様にしてゲルを生成した。
この結果、1時間の加熱で乳白色かつ半透明なゲルが生
成した。図2に示すゲルのX線回折の結果から、6時間
の加熱で得られたゲルは未だ結晶化しておらずアモルフ
ァスであり、12時間以上加熱して得られたゲルはアナ
ターゼであることが確認された。また、ゲルに含まれる
アナターゼ微粒子の結晶子径を(101)面回折ピーク
の半値幅よりシェーラーの式を用いて求めた。その結
果、加熱処理時間が12時間及び24時間のゲル中のア
ナターゼ微粒子の結晶子径は、それぞれ4.8nm及び
10.1nmであった。
【0029】実施例3 実施例1における希釈用液体を水に代えて、エタノール
/(水+エタノール)=0.1,0.2,0.4,0.
5,0.6,0.8(モル分率)の溶液を使用し、75
℃で48時間加熱処理した以外は実施例1と同様にして
ゲルを生成した。生成したゲルをそれぞれ乾燥した後X
線回折測定を行った結果を図3に示した。アナターゼの
(101)面の回折ピーク強度(I)とルチルの(1
10)面の回折ピーク強度(I)からゲル中で生成し
た酸化チタンのアナターゼ含有モル分率(アナターゼ/
(ルチル+アナターゼ))を求めた結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】実施例4 実施例1において加熱時間が12時間、18時間、24
時間におけるゲルに過酸化水素水10mlを加え、スタ
ーラーで攪拌した。これによりゲルが解こうし、乳白色
のゾルが生成した。このゾルを水で希釈して全体の体積
を200mlにした。このルチル微粒子分散溶液のTi
濃度は0.05mol/l(約0.4重量%)であ
る。これらの溶液中の酸化チタン微粒子の粒径分布をレ
ーザー散乱式粒径分布計(HORIBALA920)で
測定した。この結果を図4に示す。この図から加熱時間
が12時間、18時間、24時間に増加するに従って、
ルチル微粒子の平均粒径は0.088μm、0.12μ
m、1.93μmと増加した。12時間及び18時間の
加熱処理により調製されたルチル微粒子分散溶液は室温
(25℃)において沈殿を生じることなく1ヶ月以上安
定であった。24時間の加熱処理により調製された分散
溶液では、粒子の凝集が進み、部分的に粒子の沈降が見
られた。
【0032】実施例5 実施例4におけるゲルを実施例1で得たゲルに代えて実
施例2で得たゲルを使用した以外は実施例4と同様にし
てゲルを解こうし、黄色かつ透明な溶液が生成した。こ
のアナターゼ微粒子分散溶液のTiO濃度は0.05
mol/l(約0.4重量%)である。これらの溶液中
の酸化チタン微粒子の粒径分布をレーザー散乱式粒径分
布計で測定した結果、この溶液中に分散しているアナタ
ーゼ微粒子の粒径は0.02μm以下であることが分か
った(図示せず)。また、このアナターゼ微粒子分散溶
液は、室温(25℃)において24時間以内にゲル化し
た。
【0033】実施例6 実施例4における加熱時間が24時間において生成した
ゲルを解こうして得られたルチル微粒子分散溶液100
mlにポリビニルアルコール(重合度500)を0.1
5g溶解させた。この溶液は、室温(25℃)で沈殿を
生じることなく1ヶ月以上安定であった。このルチル微
粒子分散溶液をアセトンで脱脂したテンパックスガラス
基板上にディップコーティングし75℃で乾燥したとこ
ろ、基板全体に均一に広がったルチル薄膜を得ることが
できた。ちなみに、ポリビニルアルコールを添加しない
場合は、分散溶液が基板上に均一に広がらず不均一な膜
しか得られなかった。
【0034】実施例7 実施例6において使用したゲルに代えて実施例5におけ
る加熱時間が24時間において生成したゲルを使用した
以外は実施例6と同様にしてアナターゼ微粒子分散溶液
を得た。この溶液は、室温(25℃)において沈殿やゲ
ル化することなく2ヶ月以上安定であった。このアナタ
ーゼ微粒子分散溶液を実施例6と同様にして基板上にデ
ィップコーティングし乾燥したところ、基板全体に均一
に広がったアナターゼ薄膜を得ることができた。ポリビ
ニルアルコールを添加しない場合、分散溶液が基板上に
均一に広がらず不均一な膜しか得られなかったのは実施
例6の場合と同様であった。
【0035】
【実験例】実施例3で得られたゲルを前記実施例と同様
にして解こうして得られたアナターゼ微粒子とルチル微
粒子が均一に分散した溶液に実施例6と同様にポリビニ
ルアルコールを添加して得られた分散溶液並びに実施例
6と7で得られた分散溶液をそれぞれアクリル樹脂製の
水槽の内面に均一に塗布した後乾燥したものと、何も塗
布しない比較例の水槽とに水道水を満たして日光の当る
ところで金魚を飼育し、これらを比較した結果、1ヶ月
以上放置したときに比較例の水槽の内面に付着した汚れ
が目立ったのに対し、前記の各分散溶液を塗布した水槽
の内面は何れも汚れが目立たず、比較例との明らかな有
意差が認められた。
【0036】
【発明の効果】本発明に係る酸化チタン微粒子の分散ゲ
ルおよび溶液の製造方法は、前記のように構成されてお
り、沈殿物の洗浄や数百℃以上の加熱工程が含まれない
ので、従来法に比較して環境負荷を大幅に軽減できる効
果を奏する。また、調製に用いる希釈用液体の組成を変
えるだけでアナターゼとルチルを作り分けることがで
き、かつ、両者の含有率を任意に制御できるので、アナ
ターゼとルチルを別工程で生成した後に両者を混合する
方法に比較して混合のための手間が省け経済的であるば
かりでなく、極めて均一な混合物が得られる点で優れた
効果を奏する。更に、通常、後工程でゲル化する場合に
加えられるゲル化剤を本発明にかかる製造方法において
は、添加する必要がないので高純度のゲルないし分散溶
液が得られる。よって、本発明に係る酸化チタン微粒子
の分散ゲルおよび溶液は、不純物による悪影響が少な
く、酸化チタン微粒子が有する浄化作用、有機物分解、
抗菌分解・防かび、親水性その他の機能がより有効に発
揮される効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において生成したゲルの乾燥物につい
てのX線回折図である。
【図2】実施例2において生成したゲルの乾燥物につい
てのX線回折図である。
【図3】実施例3において生成したゲルの乾燥物につい
てのX線回折図である。
【図4】実施例4において生成したルチル微粒子分散溶
液中のルチル微粒子の粒径分布曲線である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // C09D 1/00 C09D 1/00 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01G 23/053 B01J 35/02 C09D 5/00

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】チタン化合物にアルコール系溶媒を加えて
    溶液を製造する工程と、前記溶液に過酸化水素を加えて
    得た溶液を水、アルコール系溶媒又はこれらを任意の割
    合に混合した希釈用液体の群より選ばれる何れか一種の
    希釈用液体によって希釈する工程と、前記希釈した液体
    を加熱処理する工程と、斯かる加熱処理工程において、
    前記希釈用液体の種類に対応してアナターゼ微粒子およ
    びルチル微粒子並びにこれらの混合物からなる酸化チタ
    ン微粒子の群より選ばれる何れか一種の酸化チタン微粒
    子が生成する工程と、を備えた酸化チタン微粒子の分散
    ゲルの製造方法。
  2. 【請求項2】チタン化合物にアルコール系溶媒を加えて
    溶液を製造する工程と、前記溶液に過酸化水素を加えて
    得た溶液を希釈用液体である水によって希釈する工程
    と、前記希釈した液体を加熱処理する工程と、斯かる加
    熱処理工程において、前記希釈用液体の種類に対応して
    ルチル微粒子を主体とする酸化チタン微粒子が生成する
    工程と、を備えた酸化チタン微粒子の分散ゲルの製造方
    法。
  3. 【請求項3】チタン化合物にアルコール系溶媒を加えて
    溶液を製造する工程と、前記溶液に過酸化水素を加えて
    得た溶液を希釈用液体であるアルコール系溶媒によって
    希釈する工程と、前記希釈した液体を加熱処理する工程
    と、斯かる加熱処理工程において、前記希釈用液体の種
    類に対応してアナターゼ微粒子を主体とする酸化チタン
    微粒子が生成する工程と、を備えた酸化チタン微粒子の
    分散ゲルの製造方法。
  4. 【請求項4】チタン化合物にアルコール系溶媒を加えて
    溶液を製造する工程と、前記溶液に過酸化水素を加えて
    得た溶液を希釈用液体である水とアルコール系溶媒の混
    合液体によって希釈する工程と、前記希釈した液体を加
    熱処理する工程と、斯かる加熱処理工程において、前記
    希釈用液体の水とアルコール系溶媒の混合比率を変える
    ことによって、水とアルコール系溶媒の混合比率に対応
    してアナターゼ微粒子とルチル微粒子の含有割合が制御
    された酸化チタン微粒子が 生成する工程と、を備えた酸
    化チタン微粒子の分散ゲルの製造方法。
  5. 【請求項5】前記チタン化合物がチタンアルコキシドで
    あることを特徴とする請求項1,2,3または4の何れ
    か1項に記載のゲルの製造方法。
  6. 【請求項6】前記アルコール系溶媒がメタノール、エタ
    ノール、1−プロパノール、2−プロパノール、t−ブ
    タノールおよびこれらの混合物からなる群より選ばれる
    任意の一種のアルコールであることを特徴とする請求項
    1,2,3または4の何れか1項に記載のゲルの製造方
    法。
  7. 【請求項7】前記加熱処理の条件が40℃ないし80℃
    で200時間ないし12時間または80℃ないし200
    ℃で12時間ないし30分間の何れかであることを特徴
    とする請求項1,2,3または4の何れか1項に記載の
    ゲルの製造方法。
  8. 【請求項8】前記酸化チタン微粒子の平均粒径が0.0
    1μmないし0.15μmであることを特徴とする、請
    求項1,2,3,4,5,6または7の何れか1項に記
    載の方法により製造されるゲル。
  9. 【請求項9】請求項1,2,3,4,5,6または7
    何れか1項に記載の方法により製造されるゲルに過酸化
    水素水を加えることによって解こうしてなる、アナター
    ゼ微粒子およびルチル微粒子並びにこれらの混合物から
    なる群より選ばれる少なくとも一種の酸化チタン微粒子
    が分散してなることを特徴とする分散溶液の製造方法。
  10. 【請求項10】請求項1,2,3,4,5,6または7
    の何れか1項に記載の方法により製造されるゲルを水中
    へ浸漬しゲルに含まれる有機物を水に置換させた後、該
    ゲルに過酸化水素水を加えることによって解こうしてな
    る、アナターゼ微粒子およびルチル微粒子並びにこれら
    の混合物からなる群より選ばれる任意の一種の酸化チタ
    ン微粒子が分散してなることを特徴とする分散溶液。
  11. 【請求項11】前記酸化チタン微粒子の平均粒径が0.
    01μmないし0.15μmであることを特徴とする、
    請求項9または10記載の方法により製造される分散溶
    液。
  12. 【請求項12】請求項9または10記載の方法により製
    造される分散溶液に5重量%を越えない量の親水性重合
    体を加えることによって酸化チタン微粒子の分散性が改
    良してなることを特徴とする酸化チタン微粒子の分散溶
    液。
  13. 【請求項13】前記親水性重合体が、ポリビニルアルコ
    ール、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、カ
    ルボキシメチルセルロースおよびポリビニルピロリドン
    からなる群より選ばれる少なくとも一種からなることを
    特徴とする請求項12記載の酸化チタン微粒子の分散溶
    液。
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