JP2022156346A - ラクトン類の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】触媒の存在下に、ジカルボン酸,ジカルボン酸無水物及びジカルボン酸エステルよりなる群から選ばれる1種又は2種以上を水素化してラクトン類を製造するに当たり、活性安定性に優れ、長時間使用しても転換率の低下が認められず、長時間にわたって目的物を高選択率かつ高収率で得ることができる触媒を用いて、従来法に比べて温和な条件で高選択率かつ高収率で目的物を得ることができるラクトン類の製造方法を提供する。【解決手段】触媒として、下記(1)~(3)を含有するルテニウム系触媒を用いることを特徴とするラクトン類の製造方法。(1) ルテニウム(2) 2種類以上の有機ホスフィン(3) pKaが2よりも小さい酸の共役塩基【選択図】なし

Description

本発明は、ジカルボン酸、ジカルボン酸無水物及びジカルボン酸エステルよりなる群から選ばれる1種又は2種以上の原料化合物の水素化によりラクトン類を製造する方法に関する。
ジカルボン酸、ジカルボン酸無水物及びジカルボン酸エステルよりなる群から選ばれる1種又は2種以上を水素化してラクトン類を製造する方法は古くから検討されており、これまでに種々の触媒が提案されている。
例えば、ニッケル系触媒(例えば特許文献1)、コバルト系触媒(例えば特許文献2)、銅-クロム系触媒(例えば特許文献3)及び銅-亜鉛系触媒(例えば特許文献4)を使用して、固定床あるいは液相懸濁相等の水素化反応方式によりラクトン類を製造する方法については多数の提案がなされている。一方、均一系のルテニウム触媒を使用して上記の水素化反応を行うラクトン類の製造法も知られており、例えば特許文献5には、〔RuX(PR〕型の触媒を使用して40~400psiの条件で水素化反応を行うことが記載されている。また特許文献6には同様の触媒による水素化反応を有機アミンの存在下に行うことが記載されている。更には特許文献7には〔Ru(SnCl)(MR〕型の触媒を用いて水素化反応を行うことが記載されている。
しかしながら、上記のようなニッケル系触媒、コバルト系触媒、銅-クロム系触媒及び銅-亜鉛系触媒等を使用する従来の方法には、全てが数十気圧以上の苛酷な条件の採用は避けられないという問題があった。
また、上記の均一系のルテニウム触媒を使用する従来の方法には比較的温和な条件下で水素化反応が進行するという特徴のある反面、触媒活性はやや低水準にあるばかりか、触媒寿命は著しく短く、又ハロゲンを使用しているため反応装置の腐食が生ずるという致命的な問題があった。
このような問題を解決するものとして、本出願人は、ルテニウム、有機ホスフィン、及びpKaが2よりも小さい酸の共役塩基を含有するルテニウム系触媒を用いるラクトン類の製造方法を提案した(特許文献8)。
特公昭43-6947号公報 特開昭51-95057号公報 特公昭38-20119号公報 特公昭42-14463号公報 米国特許第3957827号明細書 米国特許第4485246号明細書 米国特許第4485245号明細書 特公平7-78054号公報
ジカルボン酸、ジカルボン酸無水物及び/又はジカルボン酸エステルを水素化してラクトン類を製造するに際し、特許文献8に記載のルテニウム系触媒を用いて均一液相反応で反応を行うことにより、従来法に比べて温和な条件で高選択率で目的物を得ることができ、また、この触媒は活性安定性に優れているため長時間使用しても転換率の低下が認められず長時間にわたって目的物を高選択率で得ることができる、といった効果が奏されるが、この方法では目的物の反応収率が低く、目的物の反応収率において改善の余地があった。
なお、特許文献8には、有機ホスフィンについてアルキルホスフィン類等の例示がなされているが、これら有機ホスフィンを2種以上併用するとの記載はなく、特許文献8の実施例でもトリオクチルホスフィン又はトリフェニルホスフィンがそれぞれ単独で使用されているにすぎない。
本発明は、特許文献8に記載のルテニウム系触媒の反応収率の問題を改善し、触媒の存在下に、ジカルボン酸,ジカルボン酸無水物及びジカルボン酸エステルよりなる群から選ばれる1種又は2種以上を水素化してラクトン類を製造するに当たり、活性安定性に優れ、長時間使用しても転換率の低下が認められず、長時間にわたって目的物を高選択率かつ高収率で得ることができる触媒を用いて、従来法に比べて温和な条件で高選択率かつ高収率で目的物を得ることができるラクトン類の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特許文献8のルテニウム系触媒において、有機ホスフィンを2種以上混合して用いることで、反応収率を顕著に改善することができることを見出した。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
[1] 触媒の存在下に、ジカルボン酸、ジカルボン酸無水物及びジカルボン酸エステルよりなる群から選ばれる1種又は2種以上を水素化してラクトン類を製造する方法において、該触媒として、下記(1)~(3)を含有するルテニウム系触媒を用いることを特徴とするラクトン類の製造方法。
(1) ルテニウム
(2) 2種類以上の有機ホスフィン
(3) pKaが2よりも小さい酸の共役塩基
[2] 前記2種類以上の有機ホスフィンのうち少なくとも1種類は、アルキルホスフィンである[1]に記載のラクトン類の製造方法。
[3] 前記2種類以上の有機ホスフィンのうち少なくとも1種類は、アリールホスフィンである[1]又は[2]に記載のラクトン類の製造方法。
[4] 前記2種類以上の有機ホスフィンのうち少なくとも1種類は、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子のいずれかを有する有機ホスフィンである[1]ないし[3]のいずれかに記載のラクトン類の製造方法。
本発明によれば、触媒の存在下に、ジカルボン酸,ジカルボン酸無水物及びジカルボン酸エステルよりなる群から選ばれる1種又は2種以上を水素化してラクトン類を製造するに当たり、活性安定性に優れ、長時間使用しても転換率の低下が認められず、長時間にわたって目的物を高選択率かつ高収率で得ることができる触媒を用いて、従来法に比べて温和な条件で高選択率かつ高収率で目的物を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。なお、本明細書において、「~」を用いてその前後に数値または物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。
本発明のラクトン類の製造方法は、触媒の存在下に、ジカルボン酸、ジカルボン酸無水物及びジカルボン酸エステルよりなる群から選ばれる1種又は2種以上(以下、「原料化合物」と称す場合がある。)を水素化してラクトン類を製造する方法において、触媒として、下記(1)~(3)を含有するルテニウム系触媒を用いることを特徴とする。
(1) ルテニウム
(2) 2種類以上の有機ホスフィン
(3) pKaが2よりも小さい酸の共役塩基
<原料化合物>
本発明で原料化合物とするジカルボン酸、ジカルボン酸無水物、ジカルボン酸エステルは、炭素数が3~7の飽和又は不飽和のジカルボン酸或いはその誘導体であって、エステルとしてはアルキルエステルが好ましい。特にカルボン酸骨格としては炭素数4の誘導体が好ましい。
原料化合物としては、具体的には、フマール酸、コハク酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、マレイン酸ジメチル、フマール酸ジエチル、コハク酸-ジ-n-ブチル、コハク酸モノメチル、マレイン酸モノメチル等が挙げられる。
これらの原料化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよいが、通常は1種のみが用いられる。
<ルテニウム系触媒>
本発明で用いるルテニウム系触媒は、以下の(1)~(3)を含有するものである。
(1) ルテニウム
(2) 2種類以上の有機ホスフィン
(3) pKaが2よりも小さい酸の共役塩基
(ルテニウム)
ルテニウムとしては、その供給形態において金属ルテニウム及びルテニウム化合物のいずれもが使用可能である。
ルテニウム化合物としては、ルテニウムの酸化物、水酸化物、無機酸塩、有機酸塩あるいは錯化合物等が使用される。具体的には、二酸化ルテニウム、四酸化ルテニウム、二水酸化ルテニウム、塩化ルテニウム、臭化ルテニウム、ヨウ化ルテニウム、硝酸ルテニウム、酢酸ルテニウム、トリス(アセチルアセトン)ルテニウム、ヘキサクロロルテニウム酸ナトリウム、テトラカルボニルルテニウム酸ジカリウム、ペンタカルボニルルテニウム、シクロペンタジエニルジカルボニルルテニウム、ジブロモトリカルボニルルテニウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ヒドリドルテニウム、ビス(トリ-n-ブチルホスフィン)トリカルボニルルテニウム、ドデカカルボニルトリルテニウム、テトラヒドリドデカカルボニルテトラルテニウム、オクタデカカルボニルヘキサルテニウム酸ジセシウム、ウンデカカルボニルヒドリドトリルテニウム酸テトラフエニルホスホニウム等が挙げられる。
これらの金属ルテニウム及びルテニウム化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらの金属ルテニウム及びルテニウム化合物の使用量は、反応液1L中のルテニウム換算の濃度として通常0.0001~100モル、好ましくは0.001~10モルとなる量であることが反応収率の観点から好ましい。
(有機ホスフィン)
有機ホスフィンは、ルテニウムの電子状態を制御したり、ルテニウムの活性状態を安定化することに寄与するものと考えられる。
かかる有機ホスフィンとしては、アルキルホスフィン、シクロアルキルホスフィン、アリールホスフィン、アルキルアリールホスフィン、多官能性ホスフィン等が挙げられる。
アルキルホスフィンのアルキル基の炭素数は、1~12程度が好ましく、特にトリアルキルホスフィンが好ましい。トリアルキルホスフィンの3つのアルキル基は全て同一である必要はなく、その全てが同じでも異なっていてもよく、またその2つが同じで1つが異なっていても構わない。また、アルキル基にフェニル基等の置換基が置換していてもよい。また、アルキル基とシクロアルキル基を有するものであってもよい。
アルキルホスフィンの具体例としては、トリデカニルホスフィン、トリノニルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリヘプチルホスフィン、トリヘキシルホスフィン、トリペンチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリメチルホスフィン、ジメチルオクチルホスフィン、ジオクチルメチルホスフィン、ジメチルヘプチルホスフィン、ジヘプチルメチルホスフィン、ジメチルヘキシルホスフィン、ジヘキシルメチルホスフィン、ジメチルシクロヘキシルホスフィン、ジシクロヘキシルメチルホスフィン、ジメチルペンチルホスフィン、ジペンチルメチルホスフィン、ジメチルブチルホスフィン、ジブチルメチルホスフィン、トリベンジルホスフィン等が挙げられる。
これらのうち、アルキルホスフィンとしては、反応収率の観点から、トリオクチルホスフィン、トリ-n-ブチルホスフィン、ジメチル-n-オクチルホスフィンが好ましく、トリオクチルホスフィンがより好ましい。
これらのアルキルホスフィンは、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
シクロアルキルホスフィンとしては、トリシクロヘキシルホスフィン等のトリアリールホスフィンが挙げられる。
これらのシクロアルキルホスフィンは、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
アリールホスフィンとしては、トリフェニルホスフィン等のトリアリールホスフィンが挙げられる。
これらのアリールホスフィンは1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
アルキルアリールホスフィンとしては、ジメチルフェニルホスフィン等が挙げられる。
これらのアルキルアリールホスフィンは、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
多官能性ホスフィンとしては、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,1,2,2-ジメチルホスフィノエタン、1,1,2,2-ジメチルホスフィノプロパン、1,1,2,2-ジメチルホスフィノブタン、1,1,2,2-ジオクチルホスフィノエタン、1,1,2,2-ジオクチルホスフィノプロパン、1,1,2,2-ジオクチルホスフィノブタン、1,1,2,2-ジヘキシルホスフィノエタン、1,1,2,2-ジヘキシルホスフィノプロパン、1,1,2,2-ジヘキシルホスフィノブタン、1,1,2,2-ジブチルホスフィノエタン、1,1,2,2-ジブチルホスフィノプロパン、1,1,2,2-ジブチルホスフィノブタン、1,1-ジホスフィナン、1,4-ジメチル-1,4-ジホスファン、1,3-ジメチルホスフォリナン、1,4-ジメチルホスフォリナン、8-メチル-8-ホスフィノビシクロオクタン、4-メチル-4-ホスファテトラシクロオクタン、1-メチルホスフォラン、1-メチルホスフォナン等が挙げられる。
これらの多官能性ホスフィンは、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、これらの有機ホスフィンが水酸基、カルボン酸基、アミノ基、チオール基等の置換基を有することで、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子の1種又は2種以上を有する有機ホスフィンも好ましく、このようなものとしては、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン等のヘテロ原子を有するアルキルホスフィン、3-ヒドロキシフェニルジフェニルホスフィン、2-(ジフェニルホスフィノ)安息香酸等のヘテロ原子を有するアリールホスフィンなどが挙げられる。
これらのヘテロ原子含有有機ホスフィンについても、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明で用いるルテニウム系触媒は、これらの有機ホスフィンの2種以上を含むものであればよく、2種以上の有機ホスフィンの組み合わせには特に制限はないが、有機ホスフィンの少なくとも1種類はアルキルホスフィンであることが好ましく、少なくとも1種類はアリールホスフィンであることが好ましい。また、少なくとも1種類はヘテロ原子含有ホスフィンであることが好ましい。ヘテロ原子含有ホスフィンがアルキルホスフィン及び/又はアリールホスフィンを兼ねていてもよい。
好ましい有機ホスフィンの組み合わせとしては、以下のようなものが挙げられる。
トリオクチルホスフィン、トリ-n-ブチルホスフィン等のトリアルキルホスフィンと、3-ヒドロキシフェニルジフェニルホスフィン、2-(ジフェニルホスフィノ)安息香酸等のヘテロ原子含有アリールホスフィンとの組み合わせ
トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン等のヘテロ原子を有するアルキルホスフィンと、トリフェニルホスフィン等のアリールホスフィンとの組み合わせ
これらの有機ホスフィンの使用量は、2種以上の有機ホスフィンの合計量として、ルテニウム1モルに対して、通常0.1~1000モル、好ましくは1~100モルの範囲である。
また、2種以上の有機ホスフィンを使用することによる本発明の効果をより有効に得る上で、例えば、有機ホスフィンAと有機ホスフィンBの2種類の有機ホスフィンを使用する場合、有機ホスフィンA:有機ホスフィンBのホスフィン当量比として、有機ホスフィンA:有機ホスフィンB=1:0.5~2、特に1:0.7~1.3の範囲とすることが好ましい。
3種以上の有機ホスフィンを用いる場合においても、そのうちの2種以上の合計と残る1種との比が上記範囲内となるようにすることが好ましい。
これらの有機ホスフィンは、それ自体単独で又はルテニウムとの複合体の形で、反応系に供給することが可能である。
(pKaが2よりも小さい酸の共役塩基)
pKaが2よりも小さい酸の共役塩基は、本発明で用いるルテニウム系触媒において、ルテニウムに対する付加的な促進剤として作用し、pKaが2よりも小さい酸の共役塩基を用いることによって、主構成成分であるルテニウムの長所を生かして比較的温和な条件下で水素化反応を進行させることができる他、特に水素化触媒活性の向上、活性安定性及び目的生成物の選択性の向上を図ることができる。
pKaが2よりも小さい酸の共役塩基としては触媒調製中又は反応系中においてかかる共役塩基を生成するものであればよく、その供給形態としてはpKaが2より小さいブレンステッド酸あるいはかかる酸の各種の塩等が用いられる。
具体的には硝酸、過塩素酸、ホウフッ化水素酸、ヘキサフルオロ燐酸、フルオロスルホン酸等の無機酸類、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、ドデシルスルホン酸、オクタデシルスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、スルホン化スチレン-ジビニルベンゼン共重合体等の有機酸類等のブレンステッド酸もしくはこれらの酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、銀塩等が挙げられる。
また、これらの酸の共役塩基が反応系で生成すると考えられる酸誘導体の形で添加してもさしつかえない。例えば酸ハロゲン化物、酸無水物、エステル、酸アミド等の形で反応系に添加しても同様の効果が期待される。
本発明において、pKaが2よりも小さい酸の共役塩基の使用量は、ルテニウムに1モルに対して通常0.01~1000モル、好ましくは0.1~100モルの範囲である。
(中性配位子)
本発明で用いるルテニウム系触媒は、更に中性配位子を含有することができる。
かかる中性配位子として水素;エチレン、プロピレン、ブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ブタジエン、シクロペンタジエン、シクロオクタジエン、ノルボナジエン等のオレフィン類;一酸化炭素、ジエチルエーテル、アニソール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、アセトフエノン、ベンゾフエノン、シクロヘキサノン、プロピオン酸、カプロン酸、酪酸、安息香酸、酢酸エチル、酢酸アリル、安息香酸ベンジル、ステアリン酸ベンジル、バレロラクトン等の含酸素化合物;酸化窒素、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、シクロヘキシルイソニトリル、ブチルアミン、アニリン、トルイジン、トリエチルアミン、ピロール、ピリジン、N-メチルホルムアミド、アセトアミド、1,1,3,3-テトラメチル尿素、N-メチルピロリドン、カプロラクタム、ニトロメタン等の含窒素化合物;二硫化炭素、n-ブチルメルカプタン、チオフエノール、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、チオフェン、ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホキシド等の含硫黄化合物;トリブチルホスフィンオキシド、エチルジフエニルホスフィンオキシト、トリフエニルホスフィンオキシド、ジエチルフエニルホスフィネート、ジフエニルエチルホスフィネート、ジフエニルメチルホスホネート、O,O-ジメチルメチルホスホノチオレートトリエチルホスファイト、トリフエニルホスファイト、トリエチルホスフエート、トリフエニルホスフエート、ヘキサメチルホスホリックトリアミド等の有機ホスフィン以外の含燐化合物が挙げられる。これらは、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
中性配位子は、上記の通りであり、本発明のラクトン類の製造方法において、原料化合物、反応生成物、反応溶媒等が同時に中性配位子として作用する場合もある。
(ルテニウム系触媒の製造方法)
本発明に使用されるルテニウム系触媒は予め合成、単離して使用してもよいし(例えば、J.Organometal.Chem.77 C-31(’74))、またその前駆体をそれぞれ単独に反応系に添加して反応系内でルテニウム系触媒を調製して使用してもよい。
本発明で用いるルテニウム系触媒の合成法としては、例えば、シクロオクタジエンジクロロルテニウム、ジクロロトリストリフエニルホスフィンルテニウム等のハロゲン含有ルテニウム化合物にM(Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、周期表第11属の金属、又はオニウム陽イオンを示し、YはpKaが2よりも小さい酸の共役塩基を示す)の様な塩で処理することによって合成することができる(例えばInorg.Chem.17 1965(’78)、下記式[1]参照)。
Figure 2022156346000001
(式中、Xは塩素、臭素等のハロゲンを示し、Lは有機ホスフィンあるいは中性配位子を示す。M、Yは前記定義と同じ意味を示す。)
<ラクトン類の製造方法>
本発明のラクトン類の製造方法において、原料化合物の水素化反応は、溶媒の不存在下に、すなわち原料化合物そのものを溶媒として実施することもできるが、原料化合物以外の溶媒を使用することもできる。
このような溶媒としては例えば、ジエチルエーテル、アニソール、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、アセトフエノン等のケトン類;メタノール、エタノール、n-ブタノール、ベンジルアルコール、フエノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のアルコール類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トルイル酸等のカルボン酸類;酢酸メチル、酢酸n-ブチル、安息香酸ベンジル等のエステル類;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素;n-ヘキサン、n-オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;ジクロロメタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のカルボン酸アミド;ヘキサメチルリン酸トリアミド;N,N,N’,N’-テトラエチルスルファミド等のその他のアミド類;N,N’-ジメチルイミダゾリドン、N,N,N,N-テトラメチル尿素等の尿素類;ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン等のスルホン類;ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホキシド等のスルホキシド類;γ-ブチロラクトン、ε-カプロラクトン等のラクトン類;テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、18-クラウン-6等のポリエーテル類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート等の炭酸エステル類等;などが挙げられる。
これらの溶媒は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の方法により水素化反応を行うためには、反応容器に原料化合物と触媒成分並びに所望により溶媒を装入し、これに水素を導入すればよい。水素は、窒素や二酸化炭素等の反応に不活性なガスで希釈されたものであってもよい。
反応温度は、通常50~250℃、好ましくは100~200℃である。反応系内の水素分圧は、通常0.1~100kg/cm、好ましくは1~10kg/cmである。これよりも低い圧力又は高い圧力下で実施することも可能ではあるが、工業的に有利ではない。
反応は、回分方式および連続方式のいずれで実施することもできる。回分方式の場合の所要反応時間は通常1~20hrsである。
反応生成液からは、蒸留、抽出等の通常の分離精製手段により、目的物であるラクトン類を回収することができる。また、蒸留残渣は、触媒成分として反応系に循環することができる。
以下、実施例を用いて本発明の内容を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限または下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限または下限の値と、下記実施例の値または実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
なお、以下の実施例及び比較例では、有機ホスフィンとして、以下に示すトリオクチルホスフィン(以下、「P(Oct)」と略記する。)と、3-ヒドロキシフェニルジフェニルホスフィン(以下、「L3」と略記する。)を用い、下記反応式に従って、無水コハク酸(以下、「SAH」と略記する。)の水素化によるγ-ブチロラクトン(以下、「GBL」と略記する。)の製造を行った。
Figure 2022156346000002
Figure 2022156346000003
[実施例1]
30mLのガラス試験管にルテニウムアセチルアセトナート5.0mg(Ru:0.0125ミリモル)、P(Oct)25.5mg(0.06875ミリモル)、L3を15.7mg(0.05625ミリモル)、p-トルエンスルホン酸一水和物9.5mg(0.05ミリモル)、テトラグライム(TEGM)6.0mLを仕込み、アルゴン雰囲気下にて熱処理した。この触媒液をSUS製反応器に移し、原料化合物として無水コハク酸(SAH)0.60g(6.0ミリモル)を仕込み、水素ゲージ圧0.80MPaで170℃で3時間加熱して反応させた。
得られた反応生成液をガスクロマトグラフィー分析することにより、GBL収率を求めた。また、反応生成液の高速液体クロマトグラフィー分析により副生成物であるコハク酸(SA)収率を求めた。これらの結果を表1に示した。
なお、この実施例1におけるP(Oct)とL3との使用量は、それぞれRu1モルに対して、5.5モル、4.5モル(合計10モル)である。
[実施例2~4]
P(Oct)とL3の使用量が、Ru1モルに対して表1に示すモル量となるように、P(Oct)とL3の仕込量を変更したこと以外は実施例1と同様にして水素化反応を行い、同様にGBL収率とSA収率を求め、結果を表1に示した。
[比較例1]
実施例1において、有機ホスフィンとしてP(Oct)のみを、Ru1モルに対して表1に示すモル量となるように仕込んだこと以外は実施例1と同様にして水素化反応を行い、同様にGBL収率とSA収率を求め、結果を表1に示した。
[比較例2]
実施例1において、有機ホスフィンとしてL3のみを、Ru1モルに対して表1に示すモル量となるように仕込んだこと以外は実施例1と同様にして水素化反応を行い、同様にGBL収率とSA収率を求め、結果を表1に示した。
Figure 2022156346000004
表1より次のことが分かる。
ルテニウム系触媒に1種類の有機ホスフィンのみを用いた比較例1,2では、GBL収率50%(比較例1)又は36%(比較例2)と満足し得る収率ではない。
これに対して、ルテニウム系触媒に2種類の有機ホスフィンを用いた実施例1~4では、GBL収率が改善され、特に2種類の有機ホスフィンの使用割合を最適化することで、最大67%もの極めて高い収率を達成することができた。

Claims (4)

  1. 触媒の存在下に、ジカルボン酸、ジカルボン酸無水物及びジカルボン酸エステルよりなる群から選ばれる1種又は2種以上を水素化してラクトン類を製造する方法において、該触媒として、下記(1)~(3)を含有するルテニウム系触媒を用いることを特徴とするラクトン類の製造方法。
    (1) ルテニウム
    (2) 2種類以上の有機ホスフィン
    (3) pKaが2よりも小さい酸の共役塩基
  2. 前記2種類以上の有機ホスフィンのうち少なくとも1種類は、アルキルホスフィンである請求項1に記載のラクトン類の製造方法。
  3. 前記2種類以上の有機ホスフィンのうち少なくとも1種類は、アリールホスフィンである請求項1又は2に記載のラクトン類の製造方法。
  4. 前記2種類以上の有機ホスフィンのうち少なくとも1種類は、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子のいずれかを有する有機ホスフィンである請求項1ないし3のいずれか1項に記載のラクトン類の製造方法。
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