JP2022156329A - 電気化学モジュール、電気化学装置、エネルギーシステム、固体酸化物形燃料電池及び固体酸化物形電解セル - Google Patents

電気化学モジュール、電気化学装置、エネルギーシステム、固体酸化物形燃料電池及び固体酸化物形電解セル Download PDF

Info

Publication number
JP2022156329A
JP2022156329A JP2021059949A JP2021059949A JP2022156329A JP 2022156329 A JP2022156329 A JP 2022156329A JP 2021059949 A JP2021059949 A JP 2021059949A JP 2021059949 A JP2021059949 A JP 2021059949A JP 2022156329 A JP2022156329 A JP 2022156329A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrochemical
plate
gas
electrochemical module
housing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021059949A
Other languages
English (en)
Inventor
規寿 神家
Norihisa Kamiya
満秋 越後
Mitsuaki Echigo
章雄 稲家
Akio Inaya
将和 依田
Masakazu Yoda
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Osaka Gas Co Ltd
Original Assignee
Osaka Gas Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Osaka Gas Co Ltd filed Critical Osaka Gas Co Ltd
Priority to JP2021059949A priority Critical patent/JP2022156329A/ja
Publication of JP2022156329A publication Critical patent/JP2022156329A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)
  • Electrolytic Production Of Non-Metals, Compounds, Apparatuses Therefor (AREA)

Abstract

【課題】安価でありながら、電気化学素子の位置決めが容易であり、位置ずれが抑制された電気化学モジュールを提供する。【解決手段】電解質層32と、電解質層32の両側にそれぞれ配置されている第1電極及び第2電極とが、基板に沿って形成されている平板型の電気化学素子Aと、電気化学素子Aの周囲を取り囲む筐体Bと、電気化学素子Aの周囲の少なくとも一部と筐体Bとの間に配置される緩衝部300と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、電気化学モジュール、電気化学装置、エネルギーシステム、固体酸化物形燃料電池及び固体酸化物形電解セルに関する。
従来、燃料電池(電気化学発電セル)や電解セル等の電気化学装置を構成する電気化学素子積層体は、特許文献1に示すように、気体透過領域を備えるとともに前記気体透過領域を覆って電気化学反応部を形成してなる金属基板や、スペーサやセパレータとして機能する金属基板等を含む多数の基板を気密に積層した構成となっていた。そして、電気化学反応部を備えた金属基板(電気化学素子)の両面に沿って空気(酸化性成分ガス)の空気流路と燃料ガス(還元性成分ガス)の燃料ガス流路とを画定し、それぞれの流路に空気と燃料ガスを流通する。すなわち、電気化学素子の複数を積層して電気化学モジュールとして一体に形成したものとなっていた。これにより、前記電気化学反応部において空気と燃料ガスとの反応から電力等の電気化学出力を生成するものとなっていた。
このような、燃料電池(電気化学発電セル)や電解セル等にも備えられる電気化学モジュールは、平板型の電気化学素子を筐体に内装する際の位置決めや、当該電気化学モジュールの使用時の発熱による熱膨張に起因する平板型の電気化学素子の位置ずれを抑止する必要がある。
このような位置決めや位置ずれの抑止が可能な構成として特許文献2から7には以下のような開示がされている。
例えば、特許文献2には、位置決めピンにより燃料電池セルの燃料電池スタックに対する位置ずれを抑制する構成が開示されている。特許文献3には、ピンによって第1積層体の位置決めを行う構成が開示されている。特許文献4には、位置決めピンによって単位セルを位置決めする構成が開示されている。
また、特許文献5には、反応ガスバッファ部に設けられるエンボス部の裏面形状である凹部により構成される位置決め部により複数の発電セルの位置決めをする構成が開示されている。特許文献6には、セパレータに、第1の平坦部の端部と第2の平坦部の端部とを連結する連結部を備え、当該連結部が面方向に容易に伸び縮みするバネのように機能することによって複数の単セルの位置ずれが抑制される構成が開示されている。特許文献7には、複数の電気化学素子の外周を、絶縁材料を介して位置決めしつつ、筐体に積層状態で内装する構成が開示されている。
特表2017-508254号公報 特開2019-192503号公報 特開2012-3893号公報 特開2020-126748号公報 特開2017-168289号公報 特開2019-169240号公報 特開2020-167128号公報
しかし、特許文献2に係る構成では、燃料電池セルの製造時の寸法公差や、燃料電池の使用時の各部の熱膨張に対応できるように、位置決めピンの設計が必要であり、また、位置決めピンの固定のための機械加工も必要であるため、コストが高くなるという課題がある。
また、燃料電池の使用時には、燃料電池セルの積層方向に温度差が生じ、燃料電池セルの膨張量に差が生じることがある。これにより位置決めピンが燃料電池セルの位置ずれを抑制する力に差が生じ、燃料電池セルに応力集中が生じると、燃料電池セルが変形したり、位置決めピンが破損したりする虞がある。
さらに、位置決めピンは、燃料電池セルに接触することから電気絶縁性と、高い剛性を有する材料、例えばアルミナなどの高価な材料から構成する必要がある。位置決めピンに電気絶縁性がない場合には、別に電気絶縁性を有する材料を配設する必要がある。したがって、コストが高くなるという課題がある。特許文献3、4に係る構成でも同様の課題が生じ得る。
特許文献5に係る構成は、発電セルの製造時の寸法公差や、燃料電池の使用時の各部の熱膨張が、位置決め部どうしの嵌合により拘束されることから、発電セルが変形したり破損したりする虞がある。また、隣り合う発電セルの間には電気絶縁性と、高い剛性を有する材料、例えばアルミナなどの高価な材料を配設する必要があることから、コストが高くなるという課題がある。
特許文献6に係る構成は、単セルとセパレータとをロウ材により形成された接合部により接合する構成であることから、作成に手間と材料費がかかるため、コストが高くなるという課題がある。また、隣り合う連結部の凸部と、凹部とが連結される構成であるため、燃料電池システムの使用時の各部の熱膨張による応力が凸部に集中し、当該凸部が疲労破損する虞があるため、長期耐久性の観点から課題がある。
特許文献7に係る構成では、絶縁材料の弾性力が小さい(ヤング率が大きい)ときや、絶縁部材が薄いときには、燃料電池の使用時の各部の熱膨張が十分に吸収できず、絶縁材料による電気化学素子の拘束力が高くなり、電気化学素子に変形や破損が生じる虞がある。
したがって、本発明は上記実状に鑑み、安価でありながら、電気化学素子の位置決めが容易であり、位置ずれが抑制された電気化学モジュールを提供することを目的とする。また、電気化学装置、エネルギーシステム、固体酸化物形燃料電池及び固体酸化物形電解セルを安価に提供することをさらなる目的とする。
上述した目的を達成するための手段として、電気化学モジュールの特徴構成は、電解質層と、前記電解質層の両側にそれぞれ配置されている第1電極及び第2電極とが、基板に沿って形成されている平板型の電気化学素子と、前記電気化学素子の周囲を取り囲む筐体と、前記電気化学素子の周囲の少なくとも一部と前記筐体との間に配置される緩衝部と、を備える点にある。
緩衝部を構成する材料としては電気絶縁性、耐熱性、耐圧縮性に優れる材料が好ましく、軟質マイカ(金雲母)が例示できる。軟質マイカは、硬質マイカ(白雲母)よりも柔軟性に優れた材料である。軟質マイカのように、ある程度の柔軟性を有する材料によって構成された緩衝部を有することによって、電気化学素子を筐体に収容する際の位置決めが容易である。
また、軟質マイカのように、ある程度の柔軟性を有する材料によって構成された緩衝部を有することによって、筐体に加わる外力は緩衝部によって吸収される。これにより、電気化学素子に対する加速力や衝撃力が抑制され、位置ずれが抑制される。
電気化学モジュールの使用時の発熱により筐体や電気化学素子はそれぞれ熱膨張する。電気化学素子を筐体に緩衝部を配置することなく直接的に内装する構成であると、電気化学素子に変形や損傷等の不具合が発生する虞がある。これに対して、上述のように緩衝部を電気化学素子の周囲の少なくとも一部と筐体との間に配置していることから、電気化学素子や筐体の熱膨張を吸収することができるため、電気化学素子に変形や損傷等の不具合が発生する虞を抑制することができる。
緩衝部を電気化学素子の全周に当接するように配置したときは、当該緩衝部によって、電気化学素子の収容空間の気密性を向上させることができる。電気化学素子に必要な気体が漏洩することがないため、当該気体の供給量の低減が可能となる。
本発明において、前記緩衝部を構成する柔軟性部材は、ヤング率が10MPa以上35MPa以下であると好適である。
発明者らの鋭意研究の結果、緩衝部は、ヤング率が10MPa以上35MPa以下であると、電気化学素子の位置決めが容易であり、位置ずれがより抑制されるという知見を得た。なお、緩衝部は、ヤング率が15MPa以上であることが好ましく、さらには18MPa以上であることが好ましい。また、緩衝部は、ヤング率が30MPa以下であることが好ましく、さらには20MPa以下であることが好ましい。なお、緩衝部は、ヤング率が10MPa未満であると位置ずれの抑制効果を奏しにくく、また、30MPaより大きいと緩衝作用効果を奏しにくい。
本発明において、前記緩衝部を構成する柔軟性部材は板状に形成され、当該柔軟性部材の厚さは前記電気化学素子の面方向の長さの0.1%以上10%以下であると好適である。
発明者らの鋭意研究の結果、緩衝部は、厚さが前記電気化学素子の面内方向の長さの0.1%以上10%以下であると、電気化学素子の位置決めが容易であり、位置ずれがより抑制されるという知見を得た。なお、緩衝部は、厚さが0.3%以上であることが好ましく、さらには0.5%以上であることが好ましい。また、緩衝部は、厚さが5%以下であることが好ましく、さらには2%以下であることが好ましい。なお、緩衝部は、厚さが0.1%未満であると緩衝部が薄すぎるため十分な緩衝作用効果を奏しにくく、また、10%より大きいと位置決めがしづらく、位置ずれの抑制効果も奏しにくい。
本発明において、前記緩衝部を構成する柔軟性部材は板状に形成され、当該緩衝部は複数の柔軟性部材が積層されて形成されていると好適である。
すなわち、緩衝部が複数の柔軟性部材が積層されている構成とする場合は、当該柔軟性部材の枚数を調節することによって緩衝部の内寸、すなわち電気化学素子の収容空間の寸法や柔軟性の調節が容易に可能である。
本発明において、前記筐体には、複数の前記電気化学素子が積層された状態で収容されると好適である。
複数の電気化学素子であっても、位置決めに対する柔軟性のある緩衝部を介して筐体に積層する構成であることから、各電気化学素子の製造時の寸法精度の許容値を広くすることができる、したがって、電気化学素子の製造が容易となり、電気化学素子の歩留まりを向上させることができる。
本発明において、前記緩衝部を構成する板状の柔軟性部材は、その板状面を複数の前記電気化学素子の積層方向に沿わせた状態で、複数の前記電気化学素子の周囲に配置されていると好適である。
本構成によれば、筐体と複数の電気化学素子との間に板状の柔軟性部材から構成された緩衝部を有することによって、各電気化学素子を筐体に収容する際の位置決めが容易である。
また、緩衝部を有することによって、筐体に加わる外力は緩衝部によって吸収される。これにより、各電気化学素子に対する加速力や衝撃力が抑制され、位置ずれが抑制される。
電気化学モジュールの使用時の発熱により筐体や各電気化学素子はそれぞれ熱膨張する。各電気化学素子を筐体に緩衝部を配置することなく直接的に内装する構成であると、電気化学素子に変形や損傷等の不具合が発生する虞がある。これに対して、上述のように緩衝部を各電気化学素子の周囲の少なくとも一部と筐体との間に配置していることから、各電気化学素子や筐体の熱膨張を吸収することができるため、各電気化学素子に変形や損傷等の不具合が発生する虞を抑制することができる。
本発明において、前記基板は、金属製の板状支持体であると好適である。
上記特徴構成によれば、電気化学モジュールは、強度に優れた金属製の板状支持体上に電極層や電解質層、対極電極層などの平板型の電気化学素子の構成要素が形成されたものとなるから、電極層や電解質層、対極電極層などの平板型の電気化学素子の構成要素を薄層化・薄膜化することが可能となる。したがって、電気化学モジュールの材料コストを低減することが可能となる。
本発明において、前記緩衝部は、電気絶縁性を有する材料から形成されていると好適である。
電気絶縁性を有する材料としては、例えば軟質マイカが例示できる。緩衝部を軟質マイカのような安価な材料で形成すると、電気化学素子どうしの間などを電気絶縁する必要がある場合であっても、セラミックなどの高価な材料を用いる必要がないため、コストの抑制が可能となる。
本発明において、前記筐体は、金属製であると好適である。
筐体が金属製であることから、当該筐体は堅牢なものとなる。したがって、当該筐体を有する電気化学モジュールの強度を向上させることができる。
本発明において、前記筐体及び前記電気化学素子は、熱膨張率が略同等であると好適である。
電気化学モジュールの使用時の発熱により筐体や電気化学素子はそれぞれ熱膨張する。電気化学素子は筐体に内装されているので、筐体及び電気化学素子の熱膨張率が大きく異なると、電気化学素子に変形や損傷等の不具合が発生する虞がある。これに対して、上述のように筐体及び電気化学素子は熱膨張率が略同等であることから、同程度に熱膨張する。よって、電気化学素子と筐体との熱膨張差が小さく抑えられ、電気化学素子に変形や損傷等の不具合が発生する虞を抑制することができる。
さらに、複数の電気化学素子が積層された構成である場合に、電気化学モジュールの使用時には、複数の電気化学素子どうしで温度差が生じ、各電気化学素子の膨張量に差が生じることがある。そのような場合であっても、複数の電気化学素子の周囲と筐体との間に緩衝部が配置されているので、複数の電気化学素子のそれぞれの膨張を緩衝部により吸収することができ、各電気化学素子に変形や損傷等の不具合が発生する虞を抑制することができる。
上述した目的を達成するための手段として、本発明に係る電気化学装置の特徴構成は、上記電気化学モジュールと、前記電気化学モジュールに供給する還元性成分を生成する、或いは、前記電気化学モジュールで生成する還元性成分を含有するガスを変換する燃料変換器とを少なくとも有する点にある。
上記特徴構成によれば、電気化学モジュールを燃料電池として動作させる場合、都市ガス等の既存の原燃料供給インフラを用いて供給される天然ガス等を基に、改質器などの燃料変換器により水素を生成するように構成でき、耐久性・信頼性及び性能に優れた電気化学モジュールを備えた電気化学装置を実現できる。また、電気化学モジュールから流通される未利用の燃料ガスをリサイクルするシステムを構築し易くなるため、高効率な電気化学装置を実現できる。
一方、電気化学モジュールを電解セルとして動作させる場合は、電極層に水蒸気や二酸化炭素を含有するガスが流通され、電極層と対極電極層との間に電圧が印加される。そうすると、電極層において電子eと水分子HOや二酸化炭素分子COが反応して、水素分子Hや一酸化炭素COと酸素イオンO2-となる。発生した酸素イオンO2-は、電解質層を通って対極電極層へ移動する。そして、対極電極層において、酸素イオンO2-が電子を放出して酸素分子Oとなる。以上の反応により、水蒸気を含有するガスが流通する場合には、水分子HOが水素Hと酸素Oとに分解され、二酸化炭素分子COを含有するガスが流通する場合には、一酸化炭素COと酸素Oとに電気分解される。
したがって、水蒸気と二酸化炭素分子COとを含有するガスが流通される場合は、上記電気分解により電気化学モジュールで生成した水素及び一酸化炭素等から炭化水素などの種々の化合物を合成する燃料変換器を設けることができる。これにより、燃料変換器が生成した炭化水素等を電気化学モジュールに流通する、或いは本システム・装置外に取り出して別途燃料や化学原料として利用することが可能となる。
上述した目的を達成するための手段として、本発明に係る電気化学装置の特徴構成は、上記電気化学モジュールと、前記電気化学モジュールから電力を取り出す、又は、前記電気化学モジュールに電力を流通する電力変換器と、を少なくとも有する点にある。
本構成によれば、電力変換器は、電気化学モジュールが発電した電力を取り出し、あるいは、電気化学モジュールに電力を流通する。これにより、上記のように電気化学モジュールは、燃料電池として作用し、あるいは、電解セルとして作用する。よって、上記構成によれば、燃料等の化学的エネルギーを電気エネルギーに変換する、あるいは電気エネルギーを燃料等の化学的エネルギーに変換する効率を向上できる電気化学モジュールを提供することができる。
なお、例えば、電力変換器としてインバータを用いる場合、耐久性・信頼性及び性能に優れた電気化学モジュールから得られる電気出力を、インバータによって昇圧したり、直流を交流に変換したりすることができるため、電気化学モジュールで得られる電気出力を利用しやすくなるので好ましい。また、電気分解に供する場合は、交流電源から直流を得て、電気化学素子もしくは電気化学モジュールへ直流の電力供給できる電気化学装置を構築できるので好ましい。
上述した目的を達成するための手段として、本発明に係るエネルギーシステムの特徴構成は、上記電気化学モジュール、又は、上記電気化学装置と、前記電気化学モジュール又は前記電気化学装置から排出される熱を再利用する排熱利用部とを有する点にある。
上記の特徴構成によれば、上記電気化学モジュール、又は、上記電気化学装置から排出される熱を再利用する排熱利用部を有するので、耐久性・信頼性及び性能に優れ、かつエネルギー効率にも優れたエネルギーシステムを実現することができる。なお、電気化学装置から排出される未利用の燃料ガスの燃焼熱を利用して発電する発電システムと組み合わせてエネルギー効率に優れたハイブリットシステムを実現することもできる。
上述した目的を達成するための手段として、本発明に係る固体酸化物形燃料電池の特徴構成は、上記電気化学モジュールを備え、前記電気化学モジュールで発電反応を生じさせる点にある。
本構成によれば、耐久性・信頼性及び性能に優れた電気化学モジュールを備えた固体酸化物形燃料電池として発電反応を行うことができるので、高耐久・高性能な固体酸化物形燃料電池を得る事ができる。なお、定格運転時に650℃以上の温度域で運転可能な固体酸化物形燃料電池であると、都市ガス等の炭化水素系ガスを原燃料とする燃料電池システムにおいて、原燃料を水素に変換する際に必要となる熱を燃料電池の排熱で賄うことが可能なシステムを構築できるため、燃料電池システムの発電効率を高めることができるので、より好ましい。また、定格運転時に900℃以下の温度域で運転される固体酸化物形燃料電池であると、電気化学モジュールからのCr揮発の抑制効果が高められるのでより好ましく、定格運転時に850℃以下の温度域で運転される固体酸化物形燃料電池であると、Cr揮発の抑制効果をさらに高められるのでさらに好ましい。
上述した目的を達成するための手段として、本発明に係る固体酸化物形電解セルの特徴構成は、上記電気化学モジュールを備え、前記電気化学モジュールで電解反応を生じさせる点にある。
本構成によれば、耐久性・信頼性及び性能に優れた電気化学モジュールを備えた固体酸化物形電解セルとして電解反応によるガスの生成を行うことができるので、高耐久・高性能な固体酸化物形電解セルを得る事ができる。
電気化学モジュールの概略図 図1におけるII-II断面図 図1におけるIII-III面図 図1におけるIV-IV断面図 図1におけるV-V断面図 図1におけるVI-VI断面図 図1におけるVII-VII断面図 図1におけるVIII-VIII断面図 図1におけるIX-IX断面図 電気化学反応部の要部拡大図 電気化学モジュールの概略図 エネルギーシステムの概略図 別の形態に係る電気化学モジュールの説明図 別のエネルギーシステムの概略図
以下に、本発明の電気化学モジュール、電気化学装置、エネルギーシステム、固体酸化物形燃料電池及び固体酸化物形電解セルを説明する。なお、以下に好適な実施形態を記すが、これら実施形態はそれぞれ、本発明をより具体的に例示するために記載されたものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変更が可能であり、本発明は、以下の記載に限定されるものではない。なお、層の位置関係などを表す際、例えば電極層から見て電解質層の側を「上」「上側」、第一板状体の側を「下」「下側」などと呼ぶ。
以下、図1~図12を参照しながら電気化学素子、電気化学モジュール、電気化学装置及びエネルギーシステムについて説明する。
(電気化学素子)
図1~図9に示すように、電気化学素子Aは、導電性の第一板状体1と導電性の第二板状体2との対向面間に形成された内部流路A1を有する板状支持体10を備え、板状支持体10は、当該板状支持体10を構成する第一板状体1及び第二板状体2の少なくとも一部において、当該板状支持体10の内側である内部流路A1と外側とに亘って気体を透過できる気体通流許容部1Aと、気体通流許容部1Aの全部又は一部を被覆する状態で、膜状の電極層31と膜状の電解質層32と膜状の対極電極層33とを記載順に有する電気化学反応部3とを備える(図5~図9参照)。また、板状支持体10には、表面貫通方向外方から内部流路A1にたとえば燃料ガス等の還元性成分ガス及びたとえば空気等の酸化性成分ガスのうちの一方である第一ガスを流通する供給路4を形成する第一貫通部41を一端部側に備え、内部流路A1を通流した第一ガスを板状支持体の表面貫通方向外方へ流通する排出路5を形成する第二貫通部51を他端部側に備える(図1、図3,図8,図9参照、なお、供給路4等と排出路5等とは対称形にて同様の構造であることも理解される)。
(板状支持体)
第一板状体1は、電極層31と電解質層32と対極電極層33とを有する電気化学反応部3を支持して電気化学素子Aの強度を保つ役割を担う。第一板状体1の材料としては、電子伝導性、耐熱性、耐酸化性及び耐腐食性に優れた材料が用いられる。例えば、フェライト系ステンレス、オーステナイト系ステンレス、ニッケル基合金などが用いられる。特に、クロムを含む合金が好適に用いられる。本実施形態では、第一板状体1は、Crを18質量%以上25質量%以下含有するFe-Cr系合金を用いているが、Mnを0.05質量%以上含有するFe-Cr系合金、Tiを0.15質量%以上1.0質量%以下含有するFe-Cr系合金、Zrを0.15質量%以上1.0質量%以下含有するFe-Cr系合金、Ti及びZrを含有しTiとZrとの合計の含有量が0.15質量%以上1.0質量%以下であるFe-Cr系合金、Cuを0.10質量%以上1.0質量%以下含有するFe-Cr系合金であると特に好適である。
第二板状体2は、第一板状体1と重ね合わされた状態で、周縁部1aを溶接一体化されて板状支持体10を構成する(図2~図9参照)。第二板状体2は、第一板状体1に対して複数に分割されていてもよく、逆に第一板状体1が第二板状体2に対して複数に分割された状態であってもよい。また、一体化するに際して、溶接に替え、接着、嵌合等他の手段を採用することができ、内部流路を外部と区画して形成できるのであれば、周縁部1a以外の部分で一体化してもよい。
第一板状体1は全体として板状である。そして、表側の面と裏側の面とを貫通して設けられる複数の貫通孔11を多数設けてなる気体通流許容部1Aを有する(図5~図9参照)。なお、例えば、貫通孔11は、レーザー加工などにより、第一板状体1に設けることができる。貫通孔11は、第一板状体1の裏側の面から表側の面へ気体を透過させる機能を有する。気体通流許容部1Aは、第一板状体1における電極層31が設けられる領域より小さい領域に設けられることが好ましい。
第一板状体1にはその表面に、拡散抑制層としての金属酸化物層12(後述、図10参照)が設けられる。すなわち、第一板状体1と後述する電極層31との間に、拡散抑制層が形成されている。金属酸化物層12は、第一板状体1の外部に露出した面だけでなく、電極層31との接触面(界面)にも設けられる。また、貫通孔11の内側の面に設けることもできる。この金属酸化物層12により、第一板状体1と電極層31との間の元素相互拡散を抑制することができる。例えば、第一板状体1としてクロムを含有するフェライト系ステンレスを用いた場合は、金属酸化物層12が主にクロム酸化物となる。そして、第一板状体1のクロム原子等が電極層31や電解質層32へ拡散することを、クロム酸化物を主成分とする金属酸化物層12が抑制する。金属酸化物層12の厚さは、拡散防止性能の高さと電気抵抗の低さを両立させることのできる厚さであれば良い。
金属酸化物層12は種々の手法により形成されうるが、第一板状体1の表面を酸化させて金属酸化物とする手法が好適に利用される。また、第一板状体1の表面に、金属酸化物層12をスプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、スパッタリング法やPLD法等のPVD法、CVD法などにより形成しても良いし、メッキと酸化処理によって形成しても良い。さらに、金属酸化物層12は導電性の高いスピネル相などを含んでも良い。
第一板状体1としてフェライト系ステンレス材を用いた場合、電極層31や電解質層32の材料であるYSZ(イットリア安定化ジルコニア)やGDC(ガドリウム・ドープ・セリア、CGOとも呼ぶ)等と熱膨張係数が近い。したがって、低温と高温の温度サイクルが繰り返された場合も電気化学素子Aがダメージを受けにくい。よって、長期耐久性に優れた電気化学素子Aを実現できるので好ましい。なお、第一板状体1は、表側の面と裏側の面とを貫通して設けられる複数の貫通孔11を有する。なお、例えば、貫通孔11は、機械的、化学的あるいは光学的穿孔加工などにより、第一板状体1に設けることができる。貫通孔11は、第一板状体1の裏側の面から表側の面へ気体を透過させる機能を有する。第一板状体1に気体透過性を持たせるために、多孔質金属を用いることも可能である。例えば、第一板状体1は、焼結金属や発泡金属等を用いることもできる。
第二板状体2は、第一板状体1の気体通流許容部1Aに対向する領域において、一端部側から他端部側に向かう複数の副流路A11、A11……を備えた内部流路A1を形成する波板状に形成される(図1,図5参照)。また、第二板状体2は、表裏両面とも波板状に形成されており、内部流路A1を区画形成する面の反対面は、隣接する電気化学素子Aの電気化学反応部3に電気的に接続し、波型形状の第二板状体2が第一板状体1と接触する部分の近傍に形成される通路が、通流部A2として機能する。この副流路A11は長方形状に形成される板状支持体10の長辺に沿って複数平行に設けられており、一端部に設けられる供給路4から他端部に設けられる排出路5に至る内部流路A1を構成する。また、第一貫通部41と内部流路A1との接続箇所は、第一板状体1との接触部分から下方に膨出させてなり、第一貫通部41から流通される第一ガスを副流路A11のそれぞれに分配する分配部A12を備え(図1参照)、第二貫通部51と内部流路A1の接続箇所は、第一板状体1との接触部分から下方に膨出させてなり、副流路A11のそれぞれを通流した第一ガスを集約して第二貫通部51に導く合流部A13を備える(図1,図3,図4,図6~図9参照、なお、供給路4等と排出路5等とは対称形にて同様の構造であることも理解される)。また、第二板状体の材料については、耐熱性の金属であることが好ましく、第一板状体との熱膨張差の低減や、溶接などの接合性の信頼性確保の観点から、第一板状体1と同じ材料でれば、より好ましい。
(電気化学反応部)
(電極層)
電極層31は、図5~10に示すように、第一板状体1の表側の面であって貫通孔11が設けられた領域より大きな領域に、薄層の状態で設けることができる。薄層とする場合は、その厚さを、例えば、1μm~100μm程度、好ましくは、5μm~50μmとすることができる。このような厚さにすると、高価な電極層材料の使用量を低減してコストダウンを図りつつ、十分な電極性能を確保することが可能となる。貫通孔11が設けられた領域の全体が、電極層31に覆われている。つまり、貫通孔11は第一板状体1における電極層31が形成された領域の内側に形成されている。換言すれば、全ての貫通孔11が電極層31に面して設けられている。
電極層31は、気体透過性を持たせるため、その内部及び表面に複数の細孔を有する。
すなわち電極層31は、多孔質な層として形成される。電極層31は、例えば、その緻密度が30%以上80%未満となるように形成される。細孔のサイズは、電気化学反応を行う際に円滑な反応が進行するのに適したサイズを適宜選ぶことができる。なお緻密度とは、層を構成する材料の空間に占める割合であって、(1-空孔率)と表すことができ、また、相対密度と同等である。
電極層31の材料としては、例えばNiO-GDC、Ni-GDC、NiO-YSZ、Ni-YSZ、CuO-CeO、Cu-CeOなどの複合材を用いることができる。これらの例では、GDC、YSZ、CeOを複合材の骨材と呼ぶことができる。なお、電極層31は、低温焼成法(例えば1100℃より高い高温域での焼成処理をしない低温域での焼成処理を用いる湿式法)やスプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法やパルスレーザーデポジション法など)、CVD法などにより形成することが好ましい。これらの、低温域で使用可能なプロセスにより、例えば1100℃より高い高温域での焼成を用いずに、良好な電極層31が得られる。そのため、第一板状体1を傷めることなく、また、第一板状体1と電極層31との元素相互拡散を抑制することができ、耐久性に優れた電気化学素子Aを実現できるので好ましい。さらに、低温焼成法を用いると、原材料のハンドリングが容易になるのでさらに好ましい。
(中間層)
中間層34は、電極層31を覆った状態で、電極層31の上に薄層の状態で形成することができる。薄層とする場合は、その厚さを、例えば、1μm~100μm程度、好ましくは2μm~50μm程度、より好ましくは4μm~25μm程度とすることができる。このような厚さにすると、高価な中間層34の材料の使用量を低減してコストダウンを図りつつ、十分な性能を確保することが可能となる。中間層34の材料としては、例えば、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、SSZ(スカンジウム安定化ジルコニア)やGDC(ガドリウム・ドープ・セリア)、YDC(イットリウム・ドープ・セリア)、SDC(サマリウム・ドープ・セリア)等を用いることができる。特にセリア系のセラミクスが好適に用いられる。
中間層34は、低温焼成法(例えば1100℃より高い高温域での焼成処理をしない低温域での焼成処理を用いる湿式法)やスプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などにより形成することが好ましい。これらの、低温域で使用可能な成膜プロセスにより、例えば1100℃より高い高温域での焼成を用いずに中間層34が得られる。そのため、第一板状体1を傷めることなく、第一板状体1と電極層31との元素相互拡散を抑制することができ、耐久性に優れた電気化学素子Aを実現できる。また、低温焼成法を用いると、原材料のハンドリングが容易になるのでさらに好ましい。
中間層34としては、酸素イオン(酸化物イオン)伝導性を有することが好ましい。また、酸素イオン(酸化物イオン)と電子との混合伝導性を有するとさらに好ましい。これらの性質を有する中間層は、電気化学素子Aへの適用に適している。
また電極層31において、サーメット材の骨材の含有比、緻密度、及び強度を電極層31の下側から上側にかけて連続的に増加するように構成してもよい。この場合、電極層31は層として明確に区別できる領域を持たなくてもよい。しかしこの場合であっても、電極層31における第一板状体1に隣接する部位(下方部位)に比べ、電解質層32に隣接する部位(上方部位)におけるサーメット材の骨材の含有比、緻密度、強度等を高くすることも可能である。
(電解質層)
図5~図10に示すように、電解質層32は、電極層31及び中間層34を覆った状態で、前記中間層の上に薄層の状態で形成される。また、厚さが10μm以下の薄膜の状態で形成することもできる。詳しくは、電解質層32は、中間層34の上と第一板状体1の上とにわたって(跨って)設けられる。このように構成し、電解質層32を第一板状体1に接合することで、電気化学素子全体として堅牢性に優れたものとすることができる。
また電解質層32は、図5に示すように、第一板状体1の表側の面であって貫通孔11が設けられた領域より大きな領域に設けられる。つまり、貫通孔11は第一板状体1における電解質層32が形成された領域の内側に形成されている。
また電解質層32の周囲においては、電極層31及び前記中間層(図示せず)からのガスのリークを抑制することができる。説明すると、電気化学素子AをSOFCの構成要素として用いる場合、SOFCの作動時には、第一板状体1の裏側から貫通孔11を通じて電極層31へガスが供給される。電解質層32が第一板状体1に接している部位においては、ガスケット等の別部材を設けることなく、ガスのリークを抑制することができる。なお、本実施形態では電解質層32によって電極層31の周囲をすべて覆っているが、電極層31及び前記中間層の上部に電解質層32を設け、周囲にガスケット等を設ける構成としてもよい。
電解質層32の材料としては、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、SSZ(スカンジウム安定化ジルコニア)やGDC(ガドリウム・ドープ・セリア)、YDC(イットリウム・ドープ・セリア)、SDC(サマリウム・ドープ・セリア)、LSGM(ストロンチウム・マグネシウム添加ランタンガレート)等の酸素イオンを伝導する電解質材料や、ペロブスカイト型酸化物等の水素イオンを伝導する電解質材料を用いることができる。特にジルコニア系のセラミクスが好適に用いられる。電解質層32をジルコニア系セラミクスとすると、電気化学素子Aを用いたSOFCの稼働温度をセリア系セラミクスや種々の水素イオン伝導性材料に比べて高くすることができる。例えば電気化学素子AをSOFCに用いる場合、電解質層32の材料としてYSZのような650℃程度以上の高温域でも高い電解質性能を発揮できる材料を用い、システムの原燃料に都市ガスやLPG等の炭化水素系の原燃料を用い、原燃料を水蒸気改質等によってSOFCのアノードガスとするシステム構成とすると、SOFCのセルスタックで生じる熱を原燃料ガスの改質に用いる高効率なSOFCシステムを構築することができる。
電解質層32は、低温焼成法(例えば1100℃を越える高温域での焼成処理をしない低温域での焼成処理を用いる湿式法)やスプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD(化学気相成長)法などにより形成することが好ましい。これらの、低温域で使用可能な成膜プロセスにより、例えば1100℃を越える高温域での焼成を用いずに、緻密で気密性及びガスバリア性の高い電解質層32が得られる。そのため、第一板状体1の損傷を抑制し、また、第一板状体1と電極層31との元素相互拡散を抑制することができ、性能・耐久性に優れた電気化学素子Aを実現できる。特に、低温焼成法やスプレーコーティング法などを用いると低コストな素子が実現できるので好ましい。さらに、スプレーコーティング法を用いると、緻密で気密性及びガスバリア性の高い電解質層が低温域で容易に得られやすいのでさらに好ましい。
電解質層32は、アノードガスやカソードガスのガスリークを遮蔽し、かつ、高いイオン伝導性を発現するために、緻密に構成される。電解質層32の緻密度は90%以上が好ましく、95%以上であるとより好ましく、98%以上であるとさらに好ましい。電解質層32は、均一な層である場合は、その緻密度が95%以上であると好ましく、98%以上であるとより好ましい。また、電解質層32が、複数の層状に構成されているような場合は、そのうちの少なくとも一部が、緻密度が98%以上である層(緻密電解質層)を含んでいると好ましく、99%以上である層(緻密電解質層)を含んでいるとより好ましい。このような緻密電解質層が電解質層の一部に含まれていると、電解質層が複数の層状に構成されている場合であっても、緻密で気密性及びガスバリア性の高い電解質層を形成しやすくできるからである。
(反応防止層)
反応防止層35は、電解質層32の上に薄層の状態で形成することができる。薄層とする場合は、その厚さを、例えば、1μm~100μm程度、好ましくは2μm~50μm程度、より好ましくは3μm~15μm程度とすることができる。このような厚さにすると、高価な反応防止層材料の使用量を低減してコストダウンを図りつつ、十分な性能を確保することが可能となる。前記反応防止層の材料としては、電解質層32の成分と対極電極層33の成分との間の反応を防止できる材料であれば良いが、例えばセリア系材料等が用いられる。また反応防止層35の材料として、Sm、Gd及びYからなる群から選ばれる元素のうち少なくとも1つを含有する材料が好適に用いられる。なお、Sm、Gd及びYからなる群から選ばれる元素のうち少なくとも1つを含有し、これら元素の含有率の合計が1.0質量%以上10質量%以下であるとよい。反応防止層35を電解質層32と対極電極層33との間に導入することにより、対極電極層33の構成材料と電解質層32の構成材料との反応が効果的に抑制され、電気化学素子Aの性能の長期安定性を向上できる。反応防止層35の形成は、1100℃以下の処理温度で形成できる方法を適宜用いて行うと、第一板状体1の損傷を抑制し、また、第一板状体1と電極層31との元素相互拡散を抑制でき、性能・耐久性に優れた電気化学素子Aを実現できるので好ましい。例えば、低温焼成法(例えば1100℃を越える高温域での焼成処理をしない低温域での焼成処理を用いる湿式法)、スプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などを適宜用いて行うことができる。特に、低温焼成法やスプレーコーティング法などを用いると低コストな素子が実現できるので好ましい。さらに、低温焼成法を用いると、原材料のハンドリングが容易になるのでさらに好ましい。
(対極電極層)
図5~図10に示すように、対極電極層33を、電解質層32もしくは反応防止層35の上に薄層の状態で形成することができる。薄層とする場合は、その厚さを、例えば、1μm~100μm程度、好ましくは、5μm~50μmとすることができる。このような厚さにすると、高価な対極電極層材料の使用量を低減してコストダウンを図りつつ、十分な電極性能を確保することが可能となる。対極電極層33の材料としては、例えば、LSCF、LSM等の複合酸化物、セリア系酸化物及びこれらの混合物を用いることができる。特に対極電極層33が、La、Sr、Sm、Mn、Co及びFeからなる群から選ばれる2種類以上の元素を含有するペロブスカイト型酸化物を含むことが好ましい。以上の材料を用いて構成される対極電極層33は、カソードとして機能する。
なお、対極電極層33の形成は、1100℃以下の処理温度で形成できる方法を適宜用いて行うと、第一板状体1の損傷を抑制し、また、第一板状体1と電極層31との元素相互拡散を抑制でき、性能・耐久性に優れた電気化学素子Aを実現できるので好ましい。例えば、低温焼成法(例えば1100℃を越える高温域での焼成処理をしない低温域での焼成処理を用いる湿式法)、スプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PDV法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などを適宜用いて行うことができる。特に、低温焼成法やスプレーコーティング法などを用いると低コストな素子が実現できるので好ましい。さらに、低温焼成法を用いると、原材料のハンドリングが容易になるのでさらに好ましい。
このような電気化学反応部3を構成することで、例えば、第一板状体1の裏側の面から貫通孔11を通じて第一ガスとしての水素を含む燃料ガスを電極層31へ流通し、電極層31の対極となる対極電極層33へ第二ガスとしての空気を流通し、例えば、500℃以上900℃以下の作動温度に維持する。そうすると、電解質層32に酸素イオンを伝導する電解質材料を用いた場合には、対極電極層33において空気に含まれる酸素Oが電子eと反応して酸素イオンO2-が生成される。その酸素イオンO2-が電解質層32を通って電極層31へ移動する。電極層31においては、流通された燃料ガスに含まれる水素Hが酸素イオンO2-と反応し、水HOと電子eが生成される。電解質層32に水素イオンを伝導する電解質材料を用いた場合には、電極層31において流通された燃料ガスに含まれる水素Hが電子eを放出して水素イオンHが生成される。その水素イオンHが電解質層32を通って対極電極層33へ移動する。対極電極層33において空気に含まれる酸素Oと水素イオンH、電子eが反応し水HOが生成される。以上の反応により、電極層31と対極電極層33との間に電気化学出力として起電力が発生する。この場合、電極層31は燃料電池の燃料極(アノード)として機能し、対極電極層33は空気極(カソード)として機能する。
また、図5~図9にて省略したが、図10に示すように、本実施形態では、電気化学反応部3は電極層31と電解質層32との間に中間層34を備える。さらに、電解質層32と対極電極層33との間には反応防止層35が設けられる。
(電気化学反応部の製造方法)
次に、電気化学反応部3の製造方法について説明する。なお、図5~図9においては、下記中間層34及び反応防止層35を省略した記述としているので、ここでは、主に図10を用いて説明する。
(電極層形成ステップ)
電極層形成ステップでは、第一板状体1の表側の面の貫通孔11が設けられた領域より広い領域に電極層31が薄膜の状態で形成される。第一板状体1の貫通孔11はレーザー加工等によって設けることができる。電極層31の形成は、上述したように、低温焼成法(1100℃以下の低温域での焼成処理を行う湿式法)、スプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などの方法を用いることができる。いずれの方法を用いる場合であっても、第一板状体1の劣化を抑制するため、1100℃以下の温度で行うことが望ましい。
電極層形成ステップを低温焼成法で行う場合には、具体的には以下の例のように行う。まず電極層31の材料粉末と溶媒(分散媒)とを混合して材料ペーストを作製し、第一板状体1の表側の面に塗布し、800℃~1100℃で焼成する。
(拡散抑制層形成ステップ)
上述した電極層形成ステップにおける焼成工程時に、第一板状体1の表面に金属酸化物層12(拡散抑制層)が形成される。なお、上記焼成工程に、焼成雰囲気を酸素分圧が低い雰囲気条件とする焼成工程が含まれていると元素の相互拡散抑制効果が高く、抵抗値の低い良質な金属酸化物層12(拡散抑制層)が形成されるので好ましい。電極層形成ステップを、焼成を行わないコーティング方法とする場合を含め、別途の拡散抑制層形成ステップを含めても良い。いずれにおいても、第一板状体1の損傷を抑制可能な1100℃以下の処理温度で実施することが望ましい。
(中間層形成ステップ)
中間層形成ステップでは、電極層31を覆う形態で、電極層31の上に中間層34が薄層の状態で形成される。中間層34の形成は、上述したように、低温焼成法(1100℃以下の低温域での焼成処理を行う湿式法)、スプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などの方法を用いることができる。いずれの方法を用いる場合であっても、第一板状体1の劣化を抑制するため、1100℃以下の温度で行うことが望ましい。
中間層形成ステップを低温焼成法で行う場合には、具体的には以下の例のように行う。
まず、中間層34の材料粉末と溶媒(分散媒)とを混合して材料ペーストを作製し、第一板状体1の表側の面に塗布する。そして中間層34を圧縮成形し(中間層平滑化工程)、1100℃以下で焼成する(中間層焼成工程)。中間層34の圧延は、例えば、CIP(Cold Isostatic Pressing 、冷間静水圧加圧)成形、ロール加圧成形、RIP(Rubber Isostatic Pressing)成形などにより行うことができる。また、中間層34の焼成は、800℃以上1100℃以下の温度で行うと好適である。このような温度であると、第一板状体1の損傷・劣化を抑制しつつ、強度の高い中間層34を形成できるためである。また、中間層34の焼成を1050℃以下で行うとより好ましく、1000℃以下で行うとさらに好ましい。これは、中間層34の焼成温度を低下させる程に、第一板状体1の損傷・劣化をより抑制しつつ、電気化学素子Aを形成できるからである。また、中間層平滑化工程と中間層焼成工程の順序を入れ替えることもできる。
なお、中間層平滑化工程は、ラップ成形やレベリング処理、表面の切削・研磨処理などを施すことによって行うことでもできる。
(電解質層形成ステップ)
電解質層形成ステップでは、電極層31及び中間層34を覆った状態で、電解質層32が中間層34の上に薄層の状態で形成される。また、厚さが10μm以下の薄膜の状態で形成されても良い。電解質層32の形成は、上述したように、低温焼成法(1100℃以下の低温域での焼成処理を行う湿式法)、スプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などの方法を用いることができる。いずれの方法を用いる場合であっても、第一板状体1の劣化を抑制するため、1100℃以下の温度で行うことが望ましい。
緻密で気密性及びガスバリア性能の高い、良質な電解質層32を1100℃以下の温度域で形成するためには、電解質層形成ステップをスプレーコーティング法で行うことが望ましい。その場合、電解質層32の材料を第一板状体1上の中間層34に向けて噴射し、電解質層32を形成する。
(反応防止層形成ステップ)
反応防止層形成ステップでは、反応防止層35が電解質層32の上に薄層の状態で形成される。反応防止層35の形成は、上述したように、低温焼成法(1100℃以下の低温域での焼成処理を行う湿式法)、スプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などの方法を用いることができる。いずれの方法を用いる場合であっても、第一板状体1の劣化を抑制するため、1100℃以下の温度で行うことが望ましい。なお反応防止層35の上側の面を平坦にするために、例えば反応防止層35の形成後にレベリング処理や表面を切削・研磨処理を施したり、湿式形成後焼成前に、プレス加工を施してもよい。
(対極電極層形成ステップ)
対極電極層形成ステップでは、対極電極層33が反応防止層35の上に薄層の状態で形成される。対極電極層33の形成は、上述したように、低温焼成法(1100℃以下の低温域での焼成処理を行う湿式法)、スプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などの方法を用いることができる。いずれの方法を用いる場合であっても、第一板状体1の劣化を抑制するため、1100℃以下の温度で行うことが望ましい。
以上の様にして、電気化学反応部3を製造することができる。
なお電気化学反応部3において、中間層34と反応防止層35とは、いずれか一方、あるいは両方を備えない形態とすることも可能である。すなわち、電極層31と電解質層32とが接触して形成される形態、あるいは電解質層32と対極電極層33とが接触して形成される形態も可能である。この場合に上述の製造方法では、中間層形成ステップ、反応防止層形成ステップが省略される。なお、他の層を形成するステップを追加したり、同種の層を複数積層したりすることも可能であるが、いずれの場合であっても、1100℃以下の温度で行うことが望ましい。
(電気化学素子積層体)
図11に示すように、電気化学素子積層体S(電気化学素子集合体)は、電気化学素子Aを複数有し、隣接する電気化学素子Aに関して、一つの電気化学素子Aを構成する板状支持体10と、他の一つの電気化学素子Aを構成する板状支持体10とが対向する形態で、且つ、一つの電気化学素子Aを構成する板状支持体10における電気化学反応部3が配置される第一板状体1とは別の第二板状体2の外面と、他の一つの電気化学素子Aを構成する板状支持体10における第一板状体1の外面とが電気的に接続される形態で、且つ、これら両外面どうしの隣接間に、当該両外面に沿って第二ガスが通流する通流部A2が形成される形態で、複数の電気化学素子Aが積層配置(集合配置)されている。電気的に接続させるためには、電気伝導性表面部どうしを単純に接触させる他、接触面に面圧を印可したり、高電気伝導性の材料を介在させて接触抵抗を下げる方法などが採用可能である。具体的には、長方形状の各電気化学素子が一端部の第一貫通部41と他端部の第二貫通部51とを揃えた状態で、それぞれの電気化学素子の電気化学反応部が上向きになる状態で整列して、各第一貫通部41、第二貫通部51どうしの間に第一環状シール部42、第二環状シール部52を介在して、積層(集合)されることにより、上記構成となる。
板状支持体10には、表面貫通方向外方から内部流路A1に還元性成分ガス及び酸化性成分ガスのうちの一方である第一ガスを流通する供給路4を形成する第一貫通部41を長方形状の板状支持体10の長手方向一端部側に備え、通流部A2内において、板状支持体10の両外面にそれぞれ形成される第一貫通部41を通流部A2と区画する環状シール部としての第一環状シール部42を備え、第一貫通部41及び第一環状シール部42により、第一ガスを内部流路A1に流通する供給路4が形成される。なお、第一板状体1における第一環状シール部42の接当する部位の周囲には第一板状体1における前記内部流路A1とは反対側面に環状の膨出部aを設けて第一環状シール部42の第一板状体1の面に沿う方向での位置決めを容易にしてある。
また、板状支持体10は、内部流路A1を通流した第一ガスを板状支持体10の表面貫通方向外方へ流通する排出路5を形成する第二貫通部51を他端部側に備え、第二貫通部51は、第二ガスと区画された状態で第一ガスを通流させる構成であり、通流部A2内において、板状支持体10の両外面にそれぞれ形成される第二貫通部51を通流部A2と区画する環状シール部としての第二環状シール部52を備え、第二貫通部51及び第二環状シール部52により、内部流路A1を通流した第一ガスを流通する排出路5が形成される。
第一、第二環状シール部42,52は、アルミナ等の絶縁性セラミクス材料やこれを被覆した金属、あるいは、マイカ繊維、ガラスなどの材料からなり、隣接する電気化学素子どうしを電気的に絶縁する絶縁シール部として機能する。
(電気化学モジュール)
図1、図11及び図12に示すように、電気化学モジュールMは、電気化学素子積層体Sを内装する筐体Bと、筐体Bの外部から供給路4を介して内部流路A1に第一ガスを流通する第一ガス供給部61と、反応後の第一ガスを流通する第一ガス排出部62と、筐体Bの外部から通流部A2に第二ガスを流通する第二ガス供給部71と、反応後の第二ガスを流通する第二ガス排出部72と、電気化学反応部3における電気化学反応に伴う出力を得る出力部8とを備え、筐体B内に、第二ガス供給部71から流通される第二ガスを通流部A2に分配流通する分配室9を備えている。
分配室9は、電気化学素子積層体Sに対して当該電気化学素子積層体Sの流通部の入口や出口となる側(側方)に位置する空間であり、通流部A2は、空間側に開口形成されて当該空間と連通している。
筐体Bの材料としては、例えば、フェライト系ステンレス、マルテンサイト系ステンレス、又はこれらとセラミックスとの複合体等が挙げられる。これらの材料はオーステナイト系ステンレスよりも熱膨張率が小さく、フェライト系ステンレスの熱膨張率はSUS430が約11×10-6/℃である。また、マルテンサイト系ステンレスの熱膨張率はSUS403及びSUS420J1が約10.4×10-6/℃であり、SUS410及びSUS440Cが約10.1×10-6/℃である。ただし、筐体Bはこれに限定されず、熱膨張率が平板状部材220よりも小さく、かつ耐腐食性に優れる材料が選択されると好ましい。したがって、当該電気化学モジュールMは堅牢なものとなる。
電気化学素子Aの材料は、筐体Bと同様の材料であるのが好ましい。言い換えれば、電気化学素子A及び筐体Bの材料は、筐体Bと同程度の熱膨張率であるのが好ましい。電気化学モジュールMの使用時の発熱により筐体Bや電気化学素子Aはそれぞれ熱膨張する。電気化学素子Aは筐体Bに内装されているので、筐体B及び電気化学素子Aの熱膨張率が大きく異なると、電気化学素子Aに変形や損傷等の不具合が発生する虞がある。これに対して、上述のように筐体B及び電気化学素子Aは熱膨張率が略同等であることから、同程度に熱膨張する。よって、電気化学素子Aと筐体Bとの熱膨張差が小さく抑えられ、電気化学素子Aに変形や損傷等の不具合が発生する虞を抑制することができる。
さらに、電気化学素子積層体Sのように複数の電気化学素子Aが積層された構成である場合に、電気化学モジュールMの使用時には、複数の電気化学素子Aどうしで温度差が生じ、各電気化学素子Aの膨張量に差が生じることがある。そのような場合であっても、複数の電気化学素子Aの周囲と筐体Bとの間に緩衝部300が配置されているので、複数の電気化学素子Aのそれぞれの膨張を緩衝部により吸収することができ、各電気化学素子Aに変形や損傷等の不具合が発生する虞を抑制することができる。
電気化学素子積層体Sは、当該電気化学素子積層体Sが有する電気化学素子Aの積層方向の両端においては、筐体Bに対して、一対の集電体81、82に挟持された状態で内装されており、この集電体81、82に出力部8が延設され、筐体B外部の電力供給先に電力供給自在に接続されるとともに、集電体81,82は筐体Bに対して電気化学素子積層体Sを気密に収容し、かつ集電体81,82が各電気化学素子Aに対する緩衝部として機能するよう設けられている。
筐体Bには,当該筐体Bと電気化学素子Aの周囲との間に緩衝部300が配設されている。
具体的には、図1、図11及び図12に示すように、電気化学素子積層体Sは、当該電気化学素子積層体Sが有する各電気化学素子Aの周囲においては、筐体Bに対して、緩衝部300に当接する状態で内装されている。なお、図2~9は図1における各断面図、図10は要部拡大図であるが、図2~10においては、緩衝部300や筐体Bの図示は省略されている。
筐体Bには支持部B1が一体的に設けられている。支持部B1は、筐体Bの内面から突出して設けられている。緩衝部300は長手方向においては、支持部B1に支持される態様によって筐体Bの内部の所定位置に配設される。一方、短手方向においては、筐体Bの内壁に支持される態様によって筐体Bの内部の所定位置に配設される。支持部B1は、緩衝部300の下方に対応する部分のみに設けられていてもよいし、緩衝部300の上方に対応する部分のみに設けられていてもよいし、緩衝部300の高さ方向の全体に亘って対応する部分に設けられていてもよい。緩衝部300の高さ方向の全体に亘って対応する部分に設ける場合には、後述する第二ガス供給口301や第二ガス排出口302と連通する開口が設けられる。なお、緩衝部300は、短手方向においても、筐体Bの内面から突出して設けられた支持部B1により、筐体Bの内部の所定位置に配設されてもよい。当該支持部B1も上記の支持部B1と同様の構成とすることができる。
電気化学素子積層体Sが複数の電気化学素子Aを積層して構成されるであっても、位置決めに対する柔軟性のある緩衝部300を介して筐体Bに積層する構成であることから、各電気化学素子Aの製造時の寸法精度の許容値を広くすることができるため製造が容易である。結果として、電気化学素子Aの歩留まりを向上させることができる。
緩衝部300は、該電気化学素子積層体Sが有する各電気化学素子Aの積層方向に沿って延びる板状の柔軟性部材である。当該柔軟性部材は、電気絶縁性、耐熱性、耐圧縮性に優れる材料、例えば、軟質マイカから構成された板体である。緩衝部300を軟質マイカのような電気絶縁性を有しながら安価な材料で形成すると、電気化学素子Aどうしの間を電気絶縁する必要がある場合であっても、セラミックなどの高価な材料を用いる必要がないため、コストの抑制が可能となる。
緩衝部300を構成する軟質マイカの板体は、電気化学素子積層体Sの周囲の四辺を囲み、当該電気化学素子積層体Sに近接ないし接触可能に配置される。なお、緩衝部300は、当該4辺の各辺に対応し、各辺に平行に配置された4枚の板から構成されていてもよいし、当該4枚の板が接続されて一体的に構成されていてもよい。また、電気化学素子積層体Sの角部又は辺部に対応する部分にのみ設けられてもよい。
なお、緩衝部300は、複数の柔軟性部材が積層されている構成であってもよい。緩衝部300を、複数の柔軟性部材が積層されて構成する場合は、柔軟性部材の枚数を調節することによって緩衝部300の内寸、すなわち電気化学素子積層体S、すなわち積層された複数の電気化学素子Aの収容空間の寸法や柔軟性の調節が容易に可能である。
緩衝部300は、ヤング率が10MPa以上35MPa以下であると、電気化学素子の位置決めが容易であり、位置ずれがより抑制される。なお、緩衝部は、ヤング率が15MPa以上であることが好ましく、さらには18MPa以上であることが好ましい。また、緩衝部300は、ヤング率が30MPa以下であることが好ましく、さらには20MPa以下であることが好ましい。
緩衝部300は、厚さが電気化学素子Aの面内方向の長さの0.1%以上10%以下であると、電気化学素子Aの位置決めが容易であり、位置ずれがより抑制される。なお、緩衝部300は、厚さが0.3%以上であることが好ましく、さらには0.5%以上であることが好ましい。また、緩衝部は、厚さが5%以下であることが好ましく、さらには2%以下であることが好ましい。
当該軟質マイカのように、ある程度の柔軟性を有する材料によって構成された緩衝部300を有することによって、筐体に加わる外力は緩衝部300によって吸収される。これにより、電気化学素子Aに対する加速力や衝撃力が抑制され、位置ずれが抑制される。
図1、図11及び図12に示すように、緩衝部300には、第二ガス供給部71から当該緩衝部300に包囲された電気化学素子Aの収容空間R内に第二ガスを供給する第二ガス供給口301と、当該収容空間R内から当該第二ガス排出部72へ第二ガスを排出する第二ガス排出口302とを有する。緩衝部300は、第二ガス供給口301及び第二ガス排出口302を除いて、筐体Bに対して電気化学素子積層体Sを気密に包囲する。
このような緩衝部300によって、電気化学素子Aの収容空間の気密性を向上させることができ、電気化学素子Aに必要な第一ガスや第二ガスが漏洩することがないため、供給量の節約が可能となる。
これにより電気化学モジュールMは、第一ガス供給部61から燃料ガスを流通するとともに、第二ガス供給部71から空気を流通することで、図11破線矢印に示すように燃料ガスが進入し実線矢印に示すように空気が進入する。第一ガス供給部61から流通された燃料ガスは、電気化学素子積層体Sの最上部の電気化学素子Aの第一貫通部41より供給路4に誘導され、第一環状シール部42により区画される供給路4より、すべての電気化学素子Aの内部流路A1に通流する。また第二ガス供給部71から流通された空気は、分配室9に一時流入したのち、各電気化学素子A間に形成される通流部A2に通流する。
ちなみに、第二板状体2を基準にすると、波板状の第二板状体2部分が第一板状体1から膨出する部分で第一板状体1と第二板状体2との間に内部流路A1が形成されるとともに、隣接する電気化学素子Aの電気化学反応部3に接触して電気接続可能にする。一方、波板状の第二板状体2が第一板状体1と接触する部分が第一板状体1と電気接続し、第二板状体2と隣接する電気化学素子Aの電気化学反応部3との間に通流部A2を形成する。
図10の一部に内部流路A1を含む断面の現れる電気化学素子Aと、通流部A2を含む断面の現れる電気化学素子Aとを便宜的に並べて示す部分があるが、第一ガス供給部61から流通された燃料ガスは、分配部A12に達し(図1,4,7参照)、分配部A12を介して一端部側の幅方向に沿って広がって流れ、内部流路A1のうち各副流路A11に達する(図1,図3,図7参照)。すると、内部流路A1に進入した燃料ガスは気体通流許容部1Aを介して電極層31に進入できる。また、燃料ガスは、電気化学反応済みの燃料ガスとともに、さらに内部流路A1を進み、合流部A13、第二貫通部51を介して、第二環状シール部52によって形成される排出路5に進み、他の電気化学素子Aからの電気化学反応済みの燃料ガスとともに第一ガス排出部62より筐体B外に流通される。一方、第二ガス供給部71から流通された空気は、分配室9を介して通流部A2に進入し、対極電極層33に進入できる。また、空気は、電気化学反応済みの空気とともに、さらに電気化学反応部3に沿って通流部A2を進み第二ガス排出部72より筐体B外に流通される。
この燃料ガス及び空気の流れに従って電気化学反応部3で生じた電力は、隣接する電気化学素子Aの電気化学反応部3と第二板状体2との接触により集電体81,82どうしの間で直列に接続され、合成出力が出力部8より取り出される形態となる。
以上説明した電気化学モジュールMを用いて、電気化学装置100及びエネルギーシステムZを構築することができる。
なお、電気化学モジュールMにおいて、電気化学素子Aが積層されていなくてもよい。換言すれば、電気化学モジュールMにおいて、電気化学素子Aが複数集合した状態で配置されてもよい。
<エネルギーシステム、電気化学装置>
図12には、エネルギーシステムZ及び電気化学装置100の概要が示されている。
エネルギーシステムZは、電気化学装置100と、電気化学装置100から流通される熱を再利用する排熱利用部としての熱交換器200とを有する。
電気化学装置100は、電気化学モジュールMと、脱硫器101と燃料変換器の一種である改質器102とを有し、電気化学モジュールMに対して還元性成分を含有する燃料ガスを流通する燃料供給部103と、電気化学モジュールMから電力を取り出す出力部8として電力変換器の一種であるインバータ104とを有する。
詳しくは、電気化学装置100は、脱硫器101、改質水タンク105、気化器106、改質器102、ブロア107、燃焼部108、インバータ104、制御部110、及び電気化学モジュールMを有する。
脱硫器101は、都市ガス等の炭化水素系の原燃料に含まれる硫黄化合物成分を除去(脱硫)する。原燃料中に硫黄化合物が含有される場合、脱硫器101を備えることにより、硫黄化合物による改質器102あるいは電気化学素子Aに対する悪影響を抑制することができる。気化器106は、改質水タンク105から流通される改質水から水蒸気を生成する。改質器102は、気化器106にて生成された水蒸気を用いて脱硫器101にて脱硫された原燃料を水蒸気改質して、水素を含む改質ガスを生成する。
電気化学モジュールMは、改質器102から流通された改質ガスと、ブロア107から流通された空気とを用いて、電気化学反応させて発電する。燃焼部108は、電気化学モジュールMから流通される反応排ガスと空気とを混合させて、反応排ガス中の可燃成分を燃焼させる。
インバータ104は、電気化学モジュールMの出力電力を調整して、商用系統(図示省略)から受電する電力と同じ電圧及び同じ周波数にする。制御部110は電気化学装置100及びエネルギーシステムZの運転を制御する。
改質器102は、燃焼部108での反応排ガスの燃焼により発生する燃焼熱を用いて原燃料の改質処理を行う。
原燃料は、昇圧ポンプ111の作動により原燃料供給路112を通して脱硫器101に流通される。改質水タンク105の改質水は、改質水ポンプ113の作動により改質水供給路114を通して気化器106に流通される。そして、原燃料供給路112は脱硫器101よりも下流側の部位で、改質水供給路114に合流されており、筐体B外にて合流された改質水と原燃料とが気化器106に流通される。
改質水は気化器106にて気化され水蒸気となる。気化器106にて生成された水蒸気を含む原燃料は、水蒸気含有原燃料供給路115を通して改質器102に流通される。改質器102にて原燃料が水蒸気改質され、水素ガスを主成分とする改質ガス(還元性成分を有する第一ガス)が生成される。改質器102にて生成された改質ガスは、燃料供給部103を通して電気化学モジュールMに流通される。
反応排ガスは燃焼部108で燃焼され、燃焼排ガスとなって燃焼排ガス排出路116から熱交換器200に送られる。燃焼排ガス排出路116には燃焼触媒部117(例えば、白金系触媒)が配置され、燃焼排ガスに含有される一酸化炭素や水素等の還元性成分を燃焼除去される。
熱交換器200は、燃焼部108における燃焼で生じた燃焼排ガスと、流通される冷水とを熱交換させ、温水を生成する。すなわち熱交換器200は、電気化学モジュールMから排出される熱を再利用する排熱利用部として動作する。
なお、排熱利用部の代わりに、電気化学モジュールMから(燃焼されずに)流通される反応排ガスを利用する反応排ガス利用部を設けてもよい。また、第一ガス排出部62より筐体B外に流通される反応排ガスの少なくとも一部を図12中の100,101,103,106,112,113,115のいずれかの部位に合流させリサイクルしても良い。反応排ガスには、電気化学素子Aにて反応に用いられなかった残余の水素ガスが含まれる。反応排ガス利用部では、残余の水素ガスを利用して、燃焼による熱利用や、燃料電池等による発電が行われ、エネルギーの有効利用がなされる。
図14には、電気化学反応部3を電解セルとして動作させる場合のエネルギーシステムZ及び電気化学装置100の一例が示されている。本システムでは供給された水と二酸化炭素が電気化学反応部3において電気分解され、水素及び一酸化炭素等を生成する。さらに燃料変換器25において炭化水素などが合成される。図14中の熱交換器24を、燃料変換器25で起きる反応によって生ずる反応熱と水とを熱交換させ気化させる排熱利用部として動作させるとともに、図14中の熱交換器23を、電気化学素子Aによって生ずる排熱と水蒸気及び二酸化炭素とを熱交換させ予熱する排熱利用部として動作させる構成とすることにより、エネルギー効率を高めることができる。
また、電力変換器104(コンバータ)は、電気化学素子Aに電力を流通する。これにより、上記のように電気化学素子Aは電解セルとして作用する。
よって、上記構成によれば、電気エネルギーを燃料等の化学的エネルギーに変換する効率を向上できる電気化学装置100及びエネルギーシステムZ等を提供することができる。
(他の実施形態)
(1)上記の実施形態では、電気化学素子Aを電気化学装置100としての固体酸化物形燃料電池の電気化学モジュールMに用いたが、電気化学素子Aは、固体酸化物形電解セルや、固体酸化物を利用した酸素センサ等に利用することもできる。また、電気化学素子Aは、電気化学素子積層体Sや電気化学モジュールMにおいて複数組み合わせて用いるのに限らず、単独で用いることも可能である。
(2)上記の実施形態では、電極層31の材料として例えばNiOGDC、NiGDC、NiOYSZ、NiYSZ、CuOCeO、CuCeOなどの複合材を用い、対極電極層33の材料として例えばLSCF、LSM等の複合酸化物を用いた。このように構成された電気化学素子Aは、電極層31に水素ガスを流通して燃料極(アノード)とし、対極電極層33に空気を流通して空気極(カソード)とし、固体酸化物形燃料電池セルとして用いることが可能である。この構成を変更して、電極層31を空気極とし、対極電極層33を燃料極とすることが可能なように、電気化学素子Aを構成することも可能である。すなわち、電極層31の材料として例えばLSCF、LSM等の複合酸化物を用い、対極電極層33の材料として例えばNiOGDC、NiGDC、NiOYSZ、NiYSZ、CuOCeO、CuCeOなどの複合材を用いる。このように構成した電気化学素子Aであれば、電極層31に空気を流通して空気極とし、対極電極層33に水素ガスを流通して燃料極とし、電気化学素子Aを固体酸化物形燃料電池セルとして用いることができる。
(3)上述の実施形態では、第一板状体1と電解質層32との間に電極層31を配置し、電解質層32からみて第一板状体1と反対側に対極電極層33を配置した。電極層31と対極電極層33とを逆に配置する構成も可能である。つまり、第一板状体1と電解質層32との間に対極電極層33を配置し、電解質層32からみて第一板状体1と反対側に電極層31を配置する構成も可能である。この場合、電気化学素子Aへの気体の流通についても変更する必要がある。
すなわち、電極層31と対極電極層33の順や第一ガス、第二ガスのいずれが還元性成分ガス及び酸化性成分ガスの一方又は他方であるかについては、電極層31と対極電極層33に対して第一ガス、第二ガスが適正に反応する形態で流通されるよう配置されていれば、種々形態を採用しうる。
(4)また、上述の実施形態では、気体通流許容部1Aを覆って電気化学反応部3を、第一板状体1の第二板状体2とは反対側に設けたが、第一板状体1の第二板状体2側に設けてもよい。すなわち、電気化学反応部3は内部流路A1に配置される構成であっても本発明は成り立つ。
(5)上記実施形態では、第一貫通部41、第二貫通部51を長方形状の板状支持体の両端部に一対設ける形態としたが、両端部に設ける形態に限らず、また、2対以上設ける形態であってもよい。また、第一貫通部41、第二貫通部51は、対で設けられている必要はない。よって、第一貫通部41、第二貫通部51それぞれが、1個以上設けられることができる。
さらに、板状支持体10は長方形状に限らず、正方形状、円形状等種々形態を採用することができる。
(6)第一、第二環状シール部42,52は、第一、第二貫通部41、51どうしを連通させてガスの漏洩を防止できる構成であれば形状は問わない。つまり、第一、第二環状シール部42,52は、内部に貫通部に連通する開口部を有する無端状の構成で、隣接する電気化学素子Aどうしの間をシールする構成あればよい。第一、第二環状シール部42,52は例えば環状である。環状には、円形、楕円形、方形、多角形状等いかなる形状でもよい。
(7)上記では、板状支持体10は、第一板状体1及び第二板状体2により構成されている。ここで、第一板状体1と第二板状体2とは、別体の板状体から構成されていてもよいし、図13に示すように一の板状体から構成されていてもよい。図13の場合例えば、一の板状体が折り曲げられることで、第一板状体1と第二板状体2とが重ね合される。そして、周縁部1aが溶接等されることで第一板状体1と第二板状体2とが一体化される。なお、第一板状体1と第二板状体2とは一連の継ぎ目のない板状体から構成されていてもよく、一連の板状体が折り曲げられることで図13のように成形されてもよい。
また、後述しているが、第二板状体2が一の部材から構成されていてもよいし、2以上の部材から構成されていてもよい。同様に、第一板状体1が一の部材から構成されていてもよいし、2以上の部材から構成されていてもよい。
(8)上記の第二板状体2は、第一板状体1とともに内部流路A1を形成する。内部流路A1は、分配部A12、複数の副流路A11、合流部A13を有している。分配部A12に供給された第一ガスは、図1に示すように、複数の副流路A11それぞれに分配して供給され、複数の副流路A11の出口で合流部A13において合流する。よって、第一ガスは、分配部A12から合流部A13に向かうガス流れ方向に沿って流れる。
複数の副流路A11は、第二板状体2のうち分配部A12から合流部A13以外の部分を波板状に形成することで構成されている。そして、図5に示すように、複数の副流路A11は、第一ガスのガス流れ方向に交差する流れ交差方向での断面視において波板状に構成されている。このような複数の副流路A11は、図1に示すガス流れ方向に沿って波板が延びて形成されている。複数の副流路A11は、分配部A12と合流部A13との間で一連の波状の板状体から形成されていてもよいし、2以上の波状の板状体から構成されていてもよい。複数の副流路A11は、例えば、ガス流れ方向に沿う方向に沿って分離した2以上の波状の板状体から構成されていてもよいし、流れ交差方向に沿う方向に沿って分離した2以上の波状の板状体から構成されていてもよい。
また、複数の副流路A11は、図5に示すように同一形状の山及び谷が繰り返し形成されることで波形に構成されている。しかし、第二板状体2は、複数の副流路A11が形成される領域において板状部分を有していてもよい。例えば、複数の副流路A11は、板状部分と突状部分とが交互に形成されることで構成されていてもよい。そして、突状部分を第一ガス等の流体が通流する部分とすることができる。
(9)上記の第二板状体2において複数の副流路A11に相当する部分は、全面が波板状に形成されている必要はなく、少なくとも一部が波板状に形成されていればよい。第二板状体2は、例えば、分配部A12と合流部A13との間において、ガス流れ方向の一部が平板状であり、残りが波板状であってもよい。また、第二板状体2は、流れ交差方向の一部が平板状であり、残りが波板状であってもよい。
(10)上記実施形態において、電気化学装置は、複数の電気化学素子Aを備える電気化学モジュールMを備えている。しかし、上記実施形態の電気化学装置は1つの電気化学素子を備える構成にも適用可能である。
なお、上記の実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
本発明は、電気化学モジュール、電気化学装置、エネルギーシステム、固体酸化物形燃料電池及び固体酸化物形電解セルに利用可能である。
1 :第一板状体
1A :気体通流許容部
2 :第二板状体
3 :電気化学反応部
4 :供給路
5 :排出路
8 :出力部
9 :分配室
10 :板状支持体
31 :電極層(第1電極、第2電極)
32 :電解質層
33 :対極電極層(第1電極、第2電極)
41 :第一貫通部(貫通部)
42 :第一環状シール部
51 :第二貫通部(貫通部)
52 :第二環状シール部
61 :第一ガス供給部
71 :第二ガス供給部
100 :電気化学装置
102 :改質器
103 :燃料供給部
104 :インバータ
300 :緩衝部
301 :第二ガス供給口
302 :第二ガス排出口
A :電気化学素子
A1 :内部流路
A11 :副流路
A12 :分配部
A2 :通流部
B :筐体
B1 :支持部
M :電気化学モジュール
S :電気化学素子積層体
Z :エネルギーシステム

Claims (15)

  1. 電解質層と、前記電解質層の両側にそれぞれ配置されている第1電極及び第2電極とが、基板に沿って形成されている平板型の電気化学素子と、
    前記電気化学素子の周囲を取り囲む筐体と、
    前記電気化学素子の周囲の少なくとも一部と前記筐体との間に配置される緩衝部と、を備える電気化学モジュール。
  2. 前記緩衝部を構成する柔軟性部材は、ヤング率が10MPa以上35MPa以下である請求項1に記載の電気化学モジュール。
  3. 前記緩衝部を構成する柔軟性部材は板状に形成され、当該柔軟性部材の厚さは前記電気化学素子の面方向の長さの0.1%以上10%以下である請求項1又は2に記載の電気化学モジュール。
  4. 前記緩衝部を構成する柔軟性部材は板状に形成され、当該緩衝部は複数の柔軟性部材が積層されて形成されている請求項1~3のいずれか一項に記載の電気化学モジュール。
  5. 前記筐体には、複数の前記電気化学素子が積層された状態で収容される請求項1~4のいずれか一項に記載の電気化学モジュール。
  6. 前記緩衝部を構成する板状の柔軟性部材は、その板状面を複数の前記電気化学素子の積層方向に沿わせた状態で、複数の前記電気化学素子の周囲に配置されている請求項1~5のいずれか一項に記載の電気化学モジュール。
  7. 前記基板は、金属製の板状支持体である請求項1~6のいずれか一項に記載の電気化学モジュール。
  8. 前記緩衝部は、電気絶縁性を有する材料から形成されている請求項1~7のいずれか一項に記載の電気化学モジュール。
  9. 前記筐体は、金属製である請求項1~8のいずれか一項に記載の電気化学モジュール。
  10. 前記筐体及び前記電気化学素子は、熱膨張率が略同等である請求項1~9のいずれか一項に記載の電気化学モジュール。
  11. 請求項1~10のいずれか一項に記載の電気化学モジュールと、前記電気化学モジュールに供給する還元性成分を生成する、或いは、前記電気化学モジュールで生成する還元性成分を含有するガスを変換する燃料変換器とを少なくとも有する電気化学装置。
  12. 請求項1~10のいずれか一項に記載の電気化学モジュールと、前記電気化学モジュールから電力を取り出す、又は、前記電気化学モジュールに電力を流通する電力変換器と、を少なくとも有する電気化学装置。
  13. 請求項1~10のいずれか一項に記載の電気化学モジュール、又は、請求項11又は12に記載の電気化学装置と、前記電気化学モジュール又は前記電気化学装置から排出される熱を再利用する排熱利用部とを有するエネルギーシステム。
  14. 請求項1~10のいずれか一項に記載の電気化学モジュールを備え、前記電気化学モジュールで発電反応を生じさせる固体酸化物形燃料電池。
  15. 請求項1~10のいずれか一項に記載の電気化学モジュールを備え、前記電気化学モジュールで電解反応を生じさせる固体酸化物形電解セル。
JP2021059949A 2021-03-31 2021-03-31 電気化学モジュール、電気化学装置、エネルギーシステム、固体酸化物形燃料電池及び固体酸化物形電解セル Pending JP2022156329A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021059949A JP2022156329A (ja) 2021-03-31 2021-03-31 電気化学モジュール、電気化学装置、エネルギーシステム、固体酸化物形燃料電池及び固体酸化物形電解セル

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021059949A JP2022156329A (ja) 2021-03-31 2021-03-31 電気化学モジュール、電気化学装置、エネルギーシステム、固体酸化物形燃料電池及び固体酸化物形電解セル

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022156329A true JP2022156329A (ja) 2022-10-14

Family

ID=83559169

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021059949A Pending JP2022156329A (ja) 2021-03-31 2021-03-31 電気化学モジュール、電気化学装置、エネルギーシステム、固体酸化物形燃料電池及び固体酸化物形電解セル

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022156329A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8968956B2 (en) Fuel cell repeat unit and fuel cell stack
JP7292259B2 (ja) 電気化学モジュール、電気化学モジュールの組立方法、電気化学装置及びエネルギーシステム
JP7174498B2 (ja) 電気化学素子ユニット、電気化学モジュール、電気化学装置、エネルギーシステム、固体酸化物形燃料電池ユニットおよび固体酸化物形電解セルユニット
CN111886730A (zh) 金属支承型燃料电池和燃料电池模块
JP6839926B2 (ja) 電気化学モジュール、電気化学装置およびエネルギーシステム
JP7353270B2 (ja) 電気化学素子、電気化学モジュール、電気化学装置およびエネルギーシステム
JP7499902B2 (ja) 電気化学モジュール、電気化学装置及びエネルギーシステム
JP7224224B2 (ja) 電気化学モジュール、電気化学装置及びエネルギーシステム
JP7203669B2 (ja) 電気化学モジュール、電気化学装置及びエネルギーシステム
JP7345267B2 (ja) 電気化学素子、電気化学モジュール、電気化学装置及びエネルギーシステム
JP2022156329A (ja) 電気化学モジュール、電気化学装置、エネルギーシステム、固体酸化物形燃料電池及び固体酸化物形電解セル
JP7097735B2 (ja) 金属板、電気化学素子、電気化学モジュール、電気化学装置、エネルギーシステム、固体酸化物形燃料電池、および金属板の製造方法
JP7353226B2 (ja) 電気化学モジュール、電気化学装置及びエネルギーシステム
JP2022156333A (ja) 環状スペーサ、電気化学素子、電気化学モジュール、電気化学装置、エネルギーシステム、固体酸化物形燃料電池および固体酸化物形電解セル
JP7423381B2 (ja) 電気化学モジュール、電気化学装置及びエネルギーシステム
JP7203668B2 (ja) 電気化学モジュール、電気化学装置及びエネルギーシステム
JP2022156331A (ja) 金属セパレータ、電気化学ユニット、電気化学モジュール、電気化学装置、エネルギーシステム、固体酸化物形燃料電池及び固体酸化物形電解セル
JP2022156332A (ja) 電気化学素子、電気化学モジュール、電気化学装置、エネルギーシステム、固体酸化物形燃料電池及び固体酸化物形電解セル、並びに電気化学素子の製造方法
CN115362583A (zh) 环状填充材料、电化学模块、电化学装置、能量系统、固体氧化物型燃料电池及固体氧化物型电解池
JP2023135375A (ja) 電気化学素子、電気化学モジュール、固体酸化物形燃料電池、固体酸化物形電解セル、電気化学装置及びエネルギーシステム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20231102