JP2023135375A - 電気化学素子、電気化学モジュール、固体酸化物形燃料電池、固体酸化物形電解セル、電気化学装置及びエネルギーシステム - Google Patents

電気化学素子、電気化学モジュール、固体酸化物形燃料電池、固体酸化物形電解セル、電気化学装置及びエネルギーシステム Download PDF

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規寿 神家
Norihisa Kamiya
将和 依田
Masakazu Yoda
宏樹 栗栖
Hiroki Kurisu
満秋 越後
Mitsuaki Echigo
章雄 稲家
Akio Inaya
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Abstract

【課題】副流路内を流れるガス量を従来より均一化でき、システム効率を向上させることができる電気化学素子を提供する。【解決手段】内側に内部流路を有する板状支持体10と、内部流路A1と、板状支持体10の外側とに亘って気体を透過できる気体通流許容部と、電極層31、対極電極層33、並びに電極層31と対極電極層33とに挟まれた電解質層32を備え、板状支持体10の外面において、気体通流許容部の全部又は一部を被覆する状態で電極層31、電解質層32及び対極電極層33が積層して形成されてなる電気化学反応部3a,3bと、を備え、内部流路A1は、板状支持体10の板状面に沿う方向において第1方向に延び、且つ、板状支持体10の板状面に沿う方向において第1方向と交差する第2方向に離隔した複数の副流路A11を有しており、副流路A11を、当該副流路A11を流れるガスの圧力損失が1kPa以上となるように構成した。【選択図】図1

Description

本発明は、電気化学素子、電気化学モジュール、固体酸化物形燃料電池、固体酸化物形電解セル、電気化学装置及びエネルギーシステムに関する。
特許文献1には、燃料電池や電解セル等の電気化学装置として、電気化学素子を複数積層した構造(電気化学モジュール)を備えた装置が提案されている。この特許文献1に記載された電気化学素子は、内側に内部流路が形成された板状の支持体や、内部流路と支持体の外側とに亘って気体を透過できる気体通流許容部、支持体上に電極層、電解質層、対極電極層の順で積層されてなる電気化学反応部などを備えている。また、この電気化学素子は、内部流路が、板状の支持体の板状面に沿う方向において第1方向に延び、且つ、板状面に沿う方向において第1方向と交差する第2方向に離隔した複数の副流路を有している。そして、この特許文献1記載の電気化学素子においては、副流路内を還元性成分ガス又は酸化性成分ガスの一方が通流し、このガスが気体通流許容部を通して電極層に供給される。
特許文献1記載の電気化学素子によれば、複数の副流路に分かれて流れることによる整流作用によって、ガスの流れ方向と交差する方向の任意の複数地点でのガスの流速が概ね一定となる。したがって、この電気化学素子では、電気化学反応部に流通されるガスの量が概ね一定となることが期待できる。
特開2020-167130号公報
ところで、特許文献1記載の電気化学素子においては、副流路を備えた支持体製造時の誤差によって、副流路間において、当該副流路を流れるガスの圧力損失に差が生じる虞がある。
また、電気化学装置の運転時においては、支持体中央部の方が支持体縁部よりも温度が高くなり易い。そのため、中央部付近に形成されている副流路と、縁部付近に形成されている副流路とでは、流れるガスの圧力損失に5~10%程度の差が生じる虞がある。
即ち、上記特許文献1記載の電気化学素子では、副流路間において、当該副流路を流れるガスの圧力損失に差が生じる虞があり、各副流路内を流れるガス量の均一化という点において、改善の余地がある。
本発明は上記実情に鑑みなされたものであり、副流路内を流れるガス量を従来より均一化でき、システム効率を向上させることができる電気化学素子、この電気化学素子を備えた電気化学モジュール、固体酸化物形燃料電池、固体酸化物形電解セル、電気化学装置及びエネルギーシステムの提供を、その目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係る電気化学素子の特徴構成は、
内側に内部流路を有する板状支持体と、
前記内部流路と、前記板状支持体の外側とに亘って気体を透過できる気体通流許容部と、
電極層、対極電極層、並びに前記電極層と前記対極電極層とに挟まれた電解質層を備え、前記板状支持体の外面において、前記気体通流許容部の全部又は一部を被覆する状態で前記電極層、前記電解質層及び前記対極電極層が積層して形成されてなる電気化学反応部と、を備え、
前記内部流路は、前記板状支持体の板状面に沿う方向において第1方向に延び、且つ、前記板状支持体の板状面に沿う方向において前記第1方向と交差する第2方向に離隔した複数の副流路を有しており、
前記副流路を、当該副流路を流れるガスの圧力損失が1kPa以上となるように構成した点にある。
上記特徴構成によれば、副流路を流れるガスの圧力損失が1kPa以上となることで、支持体製造時の誤差や運転時の支持体の温度分布に起因して副流路間に生じる圧力損失の差がほぼ無視できる程度まで相対的に低減されることになる。したがって、複数の副流路内を流れるガス量を従来よりも均一化でき、局所的なガス量の不足箇所を減少させることができるため、電気化学反応部の広い領域にわたって均一にガスを供給して均一な反応場を形成できる。よって、電気化学素子全体において効率よく反応を進行させることができ、システム効率を向上させることができる。
本発明に係る電気化学素子の更なる特徴構成は、
前記副流路内に、前記第1方向と直交する断面の最大面積が前記副流路の最大流路断面積よりも小さく、前記圧力損失を増加させる圧損増加体が配設されている点にある。
上記特徴構成によれば、副流路内に圧損増加体を配設し、当該副流路の流路断面積を少なくとも部分的に小さくすることで、流路内を流れるガスの圧力損失が1kPa以上となる副流路を実現できる。
本発明に係る電気化学素子の更なる特徴構成は、
前記圧損増加体は、前記第1方向に沿い、且つ、前記副流路の全長の80%以上100%以下を占めるように1又は複数配設されている点にある。
圧損増加体を配設することにより、副流路内におけるガスの流れ方向と交差する方向の任意の複数地点で通流抵抗に極端な差が生じると、電気化学反応部に均一にガスを供給できなくなる虞がある。しかしながら、上記特徴構成によれば、圧損増加体が第1方向(即ち、副流路の長さ方向)において比較的均等に配設された状態となる。そのため、副流路内におけるガスの流れ方向と交差する方向の任意の複数地点で通流抵抗に差が生じ難く、電気化学反応部に均一にガスを供給し易くなる。
本発明に係る電気化学素子の更なる特徴構成は、
前記副流路は、前記圧損増加体によって、連続した又は断続した複数の小流路に分割され、
前記複数の小流路は、前記第1方向に延び且つ前記第2方向に離隔している点にある。
上記特徴構成によれば、副流路内を流れるガスの圧力損失が1kPa以上となることに加え、副流路内に連続した又は断続した複数の小流路が形成されることで、これら小流路に分かれて流れることによる整流作用により、副流路内におけるガスの流れ方向と交差する方向の任意の複数地点での流速が一定になり易い。したがって、複数の副流路内を流れるガス量を均一化できるだけでなく、副流路内でのガス量の局所的な偏りも抑えられるため、結果として、システム効率をより向上させることができる。
本発明に係る電気化学素子の更なる特徴構成は、
前記副流路は、少なくとも1つのオリフィス部を有している点にある。
上記特徴構成によれば、オリフィス部によって副流路の流路断面積を部分的に小さくすることで、流路内を流れるガスの圧力損失が1kPa以上10kPa以下となる副流路を実現できる。
本発明に係る電気化学素子の更なる特徴構成は、
前記板状支持体は、金属部材で構成される点にある。
上記特徴構成によれば、電気化学素子は、強度に優れた金属部材からなる板状支持体上に電極層や電解質層、対極電極層などの電気化学反応部の構成要素が形成されたものとなるから、電極層や電解質層、対極電極層などの電気化学反応部の構成要素を薄層化・薄膜化することが可能となる。したがって、電気化学素子の材料コストを低減しつつ、当該電気化学素子について高い性能と耐久性を確保することが可能となる。
上記目的を達成するための本発明に係る電気化学モジュールの特徴構成は、
上記電気化学素子が複数集合した状態で配置される点にある。
上記特徴構成によれば、電気化学素子が複数集合した状態で配置されることで、材料コストと加工コストを抑制しつつ、コンパクトで高性能な、強度と信頼性に優れた電気化学モジュールを実現できる。そして、例えば、電気化学モジュールを燃料電池として動作させる場合には、大きな発電出力を得ることも可能となる。
上記目的を達成するための本発明に係る固体酸化物形燃料電池の特徴構成は、
上記電気化学素子を備え、前記電気化学素子で発電反応を生じさせる点にある。
上記特徴構成によれば、強度(信頼性)や耐久性、性能に優れた電気化学素子を備えた固体酸化物形燃料電池として発電反応を行うことができるので、高信頼性・高耐久性・高性能な固体酸化物形燃料電池を得ることができる。
上記目的を達成するための本発明に係る固体酸化物形電解セルの特徴構成は、
上記電気化学素子を備え、前記電気化学素子で電解反応を生じさせる点にある。
上記特徴構成によれば、強度(信頼性)や耐久性、性能に優れた電気化学素子を備えた固体酸化物形電解セルとして電解反応によるガスの生成を行うことができるので、高信頼性・高耐久性・高性能な固体酸化物形電解セルを得ることができる。
上記目的を達成するための本発明に係る電気化学装置の特徴構成は、
上記電気化学素子又は上記電気化学モジュールと、
前記電気化学素子又は前記電気化学モジュールに供給する還元性成分を生成する、或いは、前記電気化学素子又は前記電気化学モジュールで生成する還元性成分を含有するガスを変換する燃料変換器と、を少なくとも有する点にある。
上記特徴構成によれば、電気化学素子又は電気化学モジュールを燃料電池として動作させる場合、都市ガス等の既存の原燃料供給インフラを用いて供給される天然ガス等を基に、改質器などの燃料変換器により水素を生成するように構成でき、耐久性・信頼性及び性能に優れた電気化学素子又は電気化学モジュールを備えた電気化学装置を実現できる。また、電気化学モジュールから流通される未利用の燃料ガスをリサイクルするシステムを構築し易くなるため、高効率な電気化学装置を実現できる。
一方、電気化学素子又は電気化学モジュールを電解セルとして動作させる場合は、電極層に水蒸気や二酸化炭素を含有するガスが流通され、電極層と対極電極層との間に電圧が印加される。そうすると、電極層において電子eと水HOや二酸化炭素分子COが反応して、水素Hや一酸化炭素COと酸素イオンO2-となる。発生した酸素イオンO2-は、電解質層を通って対極電極層へ移動する。そして、対極電極層において、酸素イオンO2-が電子を放出して酸素Oとなる。以上の反応により、水蒸気を含有するガスが流通する場合には、水HOが水素Hと酸素Oとに分解され、二酸化炭素分子COを含有するガスが流通する場合には、一酸化炭素COと酸素Oとに電気分解される。
したがって、水蒸気と二酸化炭素分子COとを含有するガスが流通される場合は、上記電気分解により電気化学素子又は電気化学モジュールで生成した水素及び一酸化炭素等から炭化水素などの種々の化合物を合成する燃料変換器を設けることができる。これにより、燃料変換器が生成した炭化水素等を電気化学素子又は電気化学モジュールに流通する、或いは本システム・装置外に取り出して別途燃料や化学原料として利用することが可能となる。
上記目的を達成するための本発明に係る電気化学装置の特徴構成は、
上記電気化学素子又は上記電気化学モジュールと、
前記電気化学素子又は前記電気化学モジュールから電力を取り出す、或いは、前記電気化学素子又は前記電気化学モジュールに電力を流通する電力変換器と、を少なくとも有する点にある。
上記特徴構成によれば、電力変換器は、電気化学素子又は電気化学モジュールが発電した電力を取り出し、或いは、電気化学素子又は電気化学モジュールに電力を流通することができる。これにより、上記のように電気化学素子又は電気化学モジュールは、燃料電池として作用し、或いは、電解セルとして作用する。したがって、上記特徴構成によれば、燃料等の化学的エネルギーを電気エネルギーに変換する、或いは、電気エネルギーを燃料等の化学的エネルギーに変換する効率が向上した電気化学装置を実現できる。尚、例えば、電力変換器としてインバータを用いる場合、燃料電池として動作させる際は、インバータによって昇圧したり、直流を交流に変換したりすることができるため、電気化学素子又は電気化学モジュールで得られる電気出力を利用しやすくなるので好ましい。また、電解セルとして動作させる際は、交流電源から直流を得て、電気化学素子又は電気化学モジュールへ直流の電力供給できる電気化学装置を構築できるので好ましい。
上記目的を達成するための本発明に係るエネルギーシステムの特徴構成は、
上記電気化学装置と、
前記電気化学装置から排出される熱を再利用する排熱利用部と、を少なくとも有する点にある。
上記特徴構成によれば、耐久性・信頼性及び性能に優れ、かつエネルギー効率にも優れたエネルギーシステムを実現できる。また、電気化学装置から排出される未利用の燃料ガスの燃焼熱を利用して発電する発電システムと組み合わせてエネルギー効率に優れたハイブリッドシステムを実現することも可能である。
電気化学素子の概略構成を示す図である。 電気化学素子を示す下面図である。 図1におけるIII-III断面図である。 図1におけるIV-IV断面図である。 図1におけるV-V断面図である。 図1におけるVI-VI断面図である。 図1におけるVII-VII断面図である。 図1におけるVIII-VIII断面図である。 図1におけるIX-IX断面図である。 図1におけるX-X断面図である。 図1におけるXI-XI断面図である。 図1におけるXII-XII断面図である。 図1におけるXIII-XIII断面図である。 図1におけるXIV-XIV断面図である。 図1におけるXV-XV断面図である。 図1におけるXVI-XVI断面図である。 図1におけるXVII-XVII断面図である。 図1におけるXVIII-XVIII断面図である。 電気化学素子の要部拡大図である。 電気化学素子の要部拡大図である。 電気化学モジュールを示す概略図である。 エネルギーシステムを示す概略図である。 別実施形態に係る電気化学素子の要部拡大図である。 別実施形態に係る電気化学素子の概略構成を示す図である。 別実施形態に係る電気化学素子の下面図である。 別実施形態に係る電気化学素子の下面図である。 図26におけるXXVII-XXVII断面図である。 別実施形態に係るエネルギーシステムを示す概略図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る電気化学素子A、固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)、電気化学モジュールM、電気化学装置100及びエネルギーシステムZについて説明する。
尚、層の位置関係などを表す際、例えば電解質層から見て対極電極層の側を「上」又は「上側」、電極層の側を「下」又は「下側」という場合がある。また、電気化学素子の積層方向を+Z方向及び-Z方向(Z方向)とし、Z方向に交差する方向を+X方向及び-X方向(X方向)とし、X方向及びZ方向に交差する方向を+Y方向及び-Y方向(Y方向)とする。XZ平面とXY平面とYZ平面とは互いに概ね直交している。
(電気化学素子)
まず、電気化学素子Aについて説明する。図1~図20に示すように、電気化学素子Aは、導電性部材からなる第一板状体1と同じく導電性部材からなる第二板状体2とからなる板状支持体10と、この板状支持体10上に間隔を空けて形成された2つの電気化学反応部3a,3bとを備えている。尚、後述するように、本実施形態においては、電気化学素子Aが、水素を含む燃料ガスと空気の供給を受けて発電する固体酸化物形燃料電池(SOFC)として用いられる。
(板状支持体)
次に、板状支持体10について、図1~図20を参照して説明する。本実施形態において、板状支持体10は、導電性部材として金属部材を用いた第一板状体1と第二板状体2とで構成される上面視長方形状である。つまり、板状支持体10は、金属部材で構成される。板状支持体10は、第一板状体1と第二板状体2との対抗面間に形成された内部流路A1を有する。また、表面貫通方向外方から内部流路A1に第一ガス又は第二ガスの一方を流通する供給路4を形成する第一貫通部41を板状支持体10の長手方向一端部側に備えるとともに、内部流路A1を流通した第一ガスを板状支持体10の表面貫通方向外方へ流通する排出路5を形成する第二貫通部51を他端部側に備えている。
また、図4や図9~図11、図17、図18等に示すように、板状支持体10には、第一板状体1と第二板状体2との間に、表裏にわたる貫通孔を備えた板状の環状スペーサ92が配置されている。この環状スペーサ92は、板状支持体10における一端部側(第一貫通部41側)及び他端部側(第二貫通部51側)に配置されている。また、この環状スペーサ92は、第一板状体1と第二板状体2とに挟まれた状態で、貫通孔の内側の空間から環状スペーサ92の外部の空間まで気体を通流させる流路を備えている。
(第一板状体)
第一板状体1は、電気化学反応部3a,3bを構成する電極層31と電解質層32と対極電極層33とを支持して電気化学素子Aの強度を保つ役割を担う。第一板状体1の材料としては、電子伝導性、耐熱性、耐酸化性および耐腐食性に優れた材料が用いられる。例えば、フェライト系ステンレス、オーステナイト系ステンレス、ニッケル基合金などが用いられるが、これに限られるものではない。特に、クロムを含む合金が好適に用いられる。本実施形態において、第一板状体1は、Crを18質量%以上25質量%以下含有するFe-Cr系合金を用いているが、Mnを0.05質量%以上含有すると好ましく、Niを0.05質量%以上1.0質量%以下含有すると好ましい。また、Cuを、下限値については、0.01質量%以上含有すると好ましく、0.10質量%以上含有するとより好ましく、0.20質量%以上含有すると更に好ましく、上限値については、1.0質量%以下含有すると好ましく、0.9質量%以下含有するとより好ましく、0.8質量%以下含有すると更に好ましい。また、Tiを、下限値については、0.05質量%以上含有すると好ましく、0.10質量%以上含有するとより好ましく、0.15質量%以上含有すると更に好ましく、上限値については、1.0質量%以下含有すると好ましく、0.9質量%以下含有するとより好ましく、0.8質量%以下含有すると更に好ましい。このようなFe-Cr系合金を用いると、コストを抑制しつつ、性能や耐久性、耐食性に優れた合金部材を第一板状体1として用いることができる。
第一板状体1は、全体として板状である。そして、表側の面と裏側の面とを貫通して設けられる複数の貫通孔11を多数設けてなる気体通流許容部1Aを有している(図7~図10、図14~図19参照)。本実施形態においては、電気化学反応部3a,3bが形成されている領域に気体通流許容部1Aが形成され、電気化学反応部3a,3bが形成されていない領域(2つの電気化学反応部3a,3b間の領域)には、気体通流許容部1Aが形成されていない。尚、この貫通孔11は、例えば、機械的、化学的あるいは光学的穿孔加工などにより、第一板状体1に設けることができる。
貫通孔11は、第一板状体1の裏側の面から表側の面へ気体を透過させる機能を有する。気体通流許容部1Aは、第一板状体1における電極層31が設けられる領域より小さい領域に設けられることが好ましい。尚、第一板状体1に気体透過性を持たせるために、焼結金属や発泡金属などの多孔質金属を用いることも可能である。
第一板状体1には、図19に示すように、その表面に、拡散抑制層としての金属酸化物層12(金属酸化物膜)が設けられる。即ち、第一板状体1と後述する電極層31との間に、拡散抑制層が形成されている。金属酸化物層12は、第一板状体1の外部に露出した面だけでなく、電極層31との接触面(界面)にも設けられる。また、貫通孔11の内側の面に設けることもできる。この金属酸化物層12により、第一板状体1と電極層31との間の元素相互拡散を抑制することができる。例えば、第一板状体1としてクロムを含有するフェライト系ステンレスを用いた場合は、金属酸化物層12が主にクロム酸化物となる。そして、第一板状体1のクロム原子等が電極層31や電解質層32へ拡散することを、クロム酸化物を主成分とする金属酸化物層12が抑制する。金属酸化物層12の厚さは、拡散防止性能の高さと電気抵抗の低さを両立させることのできる厚みであれば良い。
金属酸化物層12は種々の手法により形成されうるが、第一板状体1の表面を酸化させて金属酸化物とする手法が好適に利用される。また、第一板状体1の表面に、金属酸化物層12をスプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、スパッタリング法やPLD法等のPVD法、CVD法などにより形成しても良いし、メッキと酸化処理によって形成しても良い。更に、金属酸化物層12は導電性の高いスピネル相などを含んでも良い。
第一板状体1としてフェライト系ステンレス材を用いた場合、後述する電極層31や電解質層32の材料であるYSZ(イットリア安定化ジルコニア)やGDC(ガドリニウム・ドープ・セリア、CGOとも呼ぶ)等と熱膨張係数が近い。したがって、低温と高温の温度サイクルが繰り返された場合も電気化学素子Aがダメージを受けにくい。よって、長期耐久性に優れた電気化学素子Aを実現できるので好ましい。
(第二板状体)
第二板状体2は、内部流路A1となる凹部2cが形成され、第一板状体1と重ね合わされた状態で、第二板状体2の周囲と第一板状体1の周囲との接触部(以下、周縁部1aという)において溶接一体化されている(図3~図18参照)。尚、一体化するに際して、溶接に代え、接着、嵌合等といった他の手法を用いることができ、内部流路A1を外部と区画して形成できるのであれば、周縁部1a以外の部分を接合して一体化してもよい。
第二板状体2は、耐熱性の金属材料で構成されている。尚、第一板状体1との熱膨張差の低減や、溶接などの接合性の信頼性確保の観点から、第一板状体1と同様の金属材料であることが好ましい。
第二板状体2は、内部流路A1の構成と密接に関連しているため、以下、第二板状体2の詳細な構成については、内部流路A1の構成と関連付けながら説明する。
(第二板状体及び内部流路の構成)
本実施形態において、内部流路A1は、第一ガスの通流方向に向けて(即ち、+X方向から-x方向に向けて)、分配部A12、供給調整部A14、供給バッファ部A15、複数の副流路A11、排出バッファ部A16、排出調整部A17及び合流部A13を有している。この内部流路A1は、第一貫通部41が設けられている側(供給路4側)と第二貫通部51が設けられている側(排出路5側)とは対称の構造である。尚、図3~図10には、供給路4側の断面図を示した。図11~図18には、排出路5側の断面図を示した。
分配部A12は、各電気化学素子Aに対応して設けられている。分配部A12は、供給路4側に設けられており、各電気化学素子Aに第一ガスを供給するためのバッファ部である。分配部A12は、第一ガスの通流方向(X方向)において、複数の副流路A11の上流側に設けられている。具体的に、分配部A12は、周縁部1aよりも積層方向の下方(-Z方向)に凹むように第二板状体2を加工することで形成されている。尚、図1や図20に示すように、第一貫通部41は、分配部A12における、通流方向及びその交差方向(Y方向)の概ね中央部に位置している。つまり、この位置に第一貫通部41となる第一板状体1及び第二板状体2の貫通孔が形成されている。
また、分配部A12は、上面視において、図1等に示すようにY方向に長くなっている。そして、分配部A12のY方向の長さは、Y方向に間隔をおいて平行に並んで配置されている後述の複数の副流路A11の領域のY方向の長さに対応している。
第一ガスが通流する複数の副流路A11は、板状支持体10の板状面に沿う方向において第1方向(X方向)に延び、且つ、板状支持体10の板状面に沿う方向において第1方向(X方向)と交差する第2方向(Y方向)に離隔している。具体的に、複数の副流路A11は、図1や図20等に示すように、通流方向(X方向)に沿って、後述する供給調整部A14の近傍から排出調整部A17の近傍まで延びている。そして、複数の副流路A11は、Y方向に間隔をおいて平行に並んで配置されている。第二板状体2は、図1や図2、図7~図10等に示すように、複数の副流路A11それぞれを形成する複数の副流路形成部80と、隣接する副流路形成部80の間に設けられ、隣接する副流路A11それぞれを仕切る複数の仕切部81とを有している。図14や図19等に示すように、副流路形成部80は底面を有する凹状に形成されており、仕切部81の上面は副流路形成部80の底面よりも積層方向の上方に位置している。そして、本実施形態においては、第一板状体1と第二板状体2との間に金属製の網状体7が設けられており、仕切部81の上面と第一板状体1の下面とは、相互に対向した状態で網状体7に当接し、当該網状体7が仕切部81の上面と第一板状体1の下面とによって挟まれた状態となっている。したがって、本実施形態においては、仕切部81と網状体7との隣接する当接箇所の間が副流路A11となり、各副流路A11内それぞれを第一ガスが通流方向に沿って通流する。また、網状体7を設けていることで、副流路A11を通流する第一ガスを乱流状態に形成できる。尚、本実施形態において、第二板状体2は、仕切部81や分配部A12、供給調整部A14の供給通過部A14a、供給バッファ部A15、排出バッファ部A16、排出調整部17の排出通過部A17a、合流部A13が同一平面となるように形成され、副流路形成部80がこれらより下側に膨らむように形成されている。このような第二板状体2は、プレス加工などによって金属板を成形することで作製できる。
本実施形態では、図20に示すように、Y方向(通流方向と交差する交差方向)において、仕切部81の長さL3が副流路形成部80の長さL4より小さい(L3<L4)。L3<L4の場合、図19等に示すように、仕切部81の上面と第一板状体1の下面との当接面積を小さくできる。つまり、気体通流許容部1Aが形成された第一板状体1に面する副流路A11の空間を大きくでき、副流路A11から電気化学反応部3a,3bに向かう第一ガスの量を多くできる。
また、本実施形態において、各副流路A11内には圧損増加体6が配設されており、副流路形成部80によって形成された各副流路A11の流路断面積を圧損増加体6によって減少させることで、各副流路A11を流れる第一ガスの圧力損失(各副流路A11の入口と出口での圧力差)を圧損増加体6を配設していない場合よりも増加させている。具体的に、圧損増加体6を配設していない場合の副流路A11を流れる第一ガスの圧力損失はおよそ0.01kPa程度であるのに対し、圧損増加体6を配設したことによっておよそ2kPa程度まで増加している。尚、副流路A11の流路断面積は、副流路形成部80の上面と隣接する2つの仕切部81の頂部を結ぶ線分とに囲まれた部分の面積である。
これにより、本実施形態においては、第二板状体2の成型時の加工誤差や電気化学素子で発電反応や電解反応を生じさせた際の第一板状体1や第二板状体2の温度分布に起因して副流路A11間に生じる圧力損失の差がほぼ無視できる程度まで相対的に低減されることになる。よって、複数の副流路A11内を流れる第一ガスの量を従来よりも均一化でき、局所的なガス量の不足箇所を減少させることができるため、電気化学反応部3a,3bの広い領域にわたって均一にガスを供給して均一な反応場を形成できる。
したがって、副流路A11における第一ガスの圧力損失は、副流路A11間に生じる圧力損失の差をほぼ無視できる程度まで相対的に低減するという観点から、1kPa以上である必要がある。尚、副流路A11間に生じる圧力損失の差をより確実に無視できるまで相対的に低減する上で、副流路A11における第一ガスの圧力損失は、3kPa以上であることが好ましく、5kPa以上であることがより好ましい。また、圧力損失が高くなり過ぎると、エネルギーの利用効率が低下するため、副流路A11における第一ガスの圧力損失は、10kPa以下であることが好ましい。
図1や図14、図19、図20に示すように、本実施形態における圧損増加体6は、長さが副流路A11の全長Laと略同じであり、第1方向と直交する断面の面積が各副流路A11の流路断面積よりも小さい円柱状の部材である。圧損増加体6は、長手方向が第1方向(X方向)に沿い、且つ、第2方向において所定の間隔を空けて、各副流路A11に2つずつ配設されており、圧損増加体6が各副流路A11の全長Laの80%以上100%以下を占めた状態となっている。また、各圧損増加体6は、網状体7の下面と第二板状体2における副流路形成部80の底面とに当接し、これらに挟まれた状態となっている。したがって、本実施形態においては、圧損増加体6によって各副流路A11が、第1方向に延び且つ第2方向に離隔した3つの連続した小流路A11a,A11b,A11cに分割され、各副流路A11の流路断面積が圧損増加体6の断面積分だけ小さくなっている。
このように、本実施形態の電気化学素子Aにおいては、各副流路A11内に圧損増加体6を配設し、流路断面積を小さくすることで、上記のように各副流路A11を流れる第一ガスの圧力損失が1kPa以上となるようにしている。これに加え、電気化学素子Aでは、各副流路A11をそれぞれ3つの連続した小流路A11a,A11b,A11cに分割していることで、小流路A11a,A11b,A11cに分かれて流れることによる整流作用により、副流路A11内における第1方向と交差する方向(第2方向)の任意の複数地点での第一ガスの流速が一定になり易い。したがって、複数の副流路A11内を流れる第一ガスの量を均一化できるだけでなく、副流路A11内での第一ガスの量の局所的な偏りも抑えられるため、電気化学反応部3a,3bの広い領域にわたって均一に第一ガスを供給して均一な反応場を形成でき、電気化学素子A全体において効率よく反応を進行させることができる。
圧損増加体6は、金属製、樹脂製を問わず、副流路A11内の圧力損失を増加させることができれば、その材質は特に限定されるものではない。尚、本実施形態において、圧損増加体6は金属製である。したがって、第一板状体1と第二板状体2とが圧損増加体6(及び網状体7)を介して電気的に接続された導電パスが形成された状態となるため、電気化学素子A内部の導電抵抗を小さくでき、より性能が高い電気化学素子Aを実現している。
図1や図6~図10等に示すように、第二板状体2は、通流方向に沿う方向(X方向)において、分配部A12と複数の副流路A11との間に供給調整部A14を有している。供給調整部A14は、分配部A12に第一ガスを一時的に貯留させるとともに、分配部A12から複数の副流路A11への第一ガスの供給を制限する。
供給調整部A14は、複数の供給通過部A14a及び複数の供給阻止部A14bを有している。供給通過部A14aは、第一ガスを分配部A12から複数の副流路A11に通過させる。供給阻止部A14bは、第一ガスの分配部A12から複数の副流路A11への通過を阻止する。図6等に示すように、供給阻止部A14bの上面は供給通過部A14aの上面よりも積層方向の上方に位置しており、第一板状体1の下面に当接している。よって、分配部A12内の第一ガスは、供給阻止部A14bによって通流方向への通流が阻止される一方、供給通過部A14aを介して通流方向に通流し、複数の副流路A11へ流れる。
本実施形態では、各供給阻止部A14bは、例えば図1や図20に示すように概ね長方形状に形成されている。そして、長方形状の各供給阻止部A14bは、長辺がY方向に沿うようにY方向に沿って配置されている。隣接する供給阻止部A14bの間に供給通過部A14aが設けられている。つまり、供給通過部A14aは、隣接する供給阻止部A14bの短辺が対向する区間に設けられている。
また、通流方向(X方向)において、供給通過部A14aには、複数の仕切部81のうちいずれかの仕切部81が対応して配置されている。また、通流方向において、供給阻止部A14bには、複数の副流路A11のうち少なくとも1つの副流路A11が対応して配置されている。具体的に、本実施形態においては、複数の供給阻止部A14bのうち2つは、分配部A12の+Y方向の端部及び-Y方向の端部に対応する位置にそれぞれ設けられている。
ここで、第一ガスは、分配部A12から供給通過部A14aを経て複数の副流路A11に導かれる。上記構成によれば、通流方向において供給通過部A14aにはいずれかの仕切部81が対応して配置されているため、分配部A12から供給通過部A14aに押し出された第一ガスは、通流方向に沿って進むことで積層方向の上方に突出している仕切部81に衝突する。仕切部81との衝突によって、第一ガスは通流方向と交差する交差方向に進む。つまり、分配部A12から供給通過部A14aを経て通流してきた第一ガスは、即座に複数の副流路A11に導入されるのではなく、副流路A11の手前で仕切部81と衝突して交差方向に進む。更に、交差方向に進んだ第一ガスは、積層方向の上方に突出している供給阻止部A14bによって分配部A12に戻らず、供給調整部A14と複数の副流路A11との間で一時的に貯留される。その後、第一ガスは、分配部A12からの押し出しに沿って、複数の副流路形成部80が形成する複数の副流路A11に導入される。尚、第一ガスが供給調整部A14と複数の副流路A11との間で一時的に貯留される領域が、供給バッファ部A15である。
また、通流方向において、供給阻止部A14bは、第一貫通部41に対応して設けられている。これにより、第一貫通部41から分配部A12に導入された第一ガスが即座に複数の副流路A11に向かうのを抑制できる。よって、分配部A12に第一ガスを一時的に貯留可能である。
図20に示すように、Y方向において、供給阻止部A14bの長さL2は供給通過部A14aの長さL1よりも大きい(L2>L1)。また、供給通過部A14aの長さL1は、仕切部81の長さL3より小さいのが好ましい(L1<L3)。これにより、分配部A12から供給通過部A14aを介して押し出された第一ガスを仕切部81の+X方向側の端部に衝突させることでき、後述の供給バッファ部A15に一時的に貯留させることができる。L1とL2との関係は、例えば、分配部A12に単位時間に供給される第一ガスの量、複数の副流路A11に単位時間に供給すべき第一ガスの量、供給阻止部A14bの数、仕切部81のY方向の長さL3、副流路A11のY方向の長さL4等によって決まる。
尚、供給阻止部A14b及び供給通過部A14aの数や配置、形状は、これらの機能が発揮される態様であれば、どのような態様であってもよい。
このように、上記構成の供給調整部A14の供給阻止部A14bは、分配部A12と複数の副流路A11との間に設けられており、分配部A12から複数の副流路A11への第一ガスの流れの障壁となる。よって、分配部A12から複数の副流路A11に通流する際の第一ガスの圧力損失が高くなり、分配部A12に導入された第一ガスは分配部A12に充満するように行き亘り、一時的に貯留される。そのため、分配部A12内全体が概ね均一な圧力(均圧)となる。つまり、分配部A12と複数の副流路A11それぞれとの差圧が略同一となる。その上で、分配部A12から供給通過部A14aを介して複数の副流路A11に第一ガスが供給されるため、第一ガスが各副流路A11に概ね均圧な状態で供給される。これにより、各副流路A11間において、通流方向に沿う第一ガスの流れ分布(流速、流量及び圧力等)が概ね均一となる。また、第一ガスは、分配部A12から複数の副流路A11に分かれて流れる。このように複数の流路に分かれて流れることによる整流作用によっても、第一ガスは、複数の流路が形成されていない内部流路を流れる場合に比べて、流れ分布(流速、流量及び圧力等)が概ね一定となる。これにより、電気化学反応部3a,3bにおいて、第一ガスが不足する部分と、過剰に第一ガスが通流される部分との差を小さくし、電気化学素子A全体における第一ガスの利用率を向上して電気化学反応の反応効率を向上できる。
次に、合流部A13及び排出調整部A17について説明する。合流部A13及び排出調整部A17は、それぞれ分配部A12及び供給調整部A14と同様の構成である。つまり、合流部A13は、排出路5側に設けられており、複数の副流路A11を通流した第一ガスを排出するためのバッファ部である。合流部A13は、第一ガスの通流方向において、内部流路A1のうち複数の副流路A11の下流側に設けられている。尚、図1や図20に示すように、第二貫通部51は、合流部A13における、通流方向及びその交差方向の概ね中央部に位置している。つまり、この位置に第二貫通部51となる第一板状体1及び第二板状体2の貫通孔が形成されている。
また、合流部A13は、上面視において、図1等に示すようにY方向に長くなっている。そして、合流部A13のY方向の長さは、Y方向に間隔をおいて平行に並んで配置されている複数の副流路A11の領域のY方向の長さに対応している。
第二板状体2は、図1や図13、図15~図18に示すように、通流方向に沿う方向(X方向)において、複数の副流路A11と合流部A13との間に排出調整部A17を有している。排出調整部A17は、複数の副流路A11から合流部A13への第一ガスの排出を制限する。
排出調整部A17は、複数の排出通過部A17a及び複数の排出阻止部A17bを有している。排出通過部A17aは、第一ガスを複数の副流路A11から合流部A13に通過させる。排出阻止部A17bは、第一ガスの複数の副流路A11から合流部A13への通過を阻止する。図13等に示すように、排出阻止部A17bの上面は排出通過部A17aの上面よりも積層方向の上方に位置しており、第一板状体1の下面に当接している。よって、複数の副流路A11内の第一ガスは、排出阻止部A17bによって通流方向への通流が阻止される一方、排出通過部A17aを介して通流方向に通流し、合流部A13へ流れる。
本実施形態では、排出阻止部A17bは、供給阻止部A14bと同様に、例えば図1や図20に示すように概ね長方形状に形成されている。そして、長方形状の各排出阻止部A17bは、長辺がY方向に沿うようにY方向に沿って配置されている。隣接する排出阻止部A17bの間に排出通過部A17aが設けられている。つまり、排出通過部A17aは、隣接する排出阻止部A17bの短辺が対向する区間に設けられている。
通流方向において、排出阻止部A17bには、複数の副流路A11のうち少なくとも1つの副流路A11が対応して配置されている。また、通流方向において、排出通過部A17aには、複数の仕切部81のうちいずれかの仕切部81が対応して配置されている。
上記構成によれば、複数の副流路A11から押し出された第一ガスは、通流方向に沿って進むことで積層方向の上方に突出している排出阻止部A17bに衝突する。排出阻止部A17bとの衝突によって、第一ガスは通流方向と交差する交差方向に進む。つまり、複数の副流路A11から通流してきた第一ガスは、即座に合流部A13に導入されるのではなく、合流部A13の手前で排出阻止部A17bと衝突して交差方向に進む。その後、第一ガスは、複数の副流路A11からの押し出しに沿って、排出通過部A17aを通過して合流部A13に導入される。尚、第一ガスが複数の副流路A11と排出調整部A17との間で一時的に貯留される領域が、排出バッファ部A16である。
また、通流方向において、排出阻止部A17bは、第二貫通部51に対応して設けられている。これにより、複数の副流路A11を通流した第一ガスが即座に合流部A13に導入され、第二貫通部51から排出されるのを抑制できる。よって、複数の副流路A11に第一ガスを一時的に貯留可能である。
図20に示すように、Y方向において、排出阻止部A17bの長さL12は排出通過部A17aの長さL11よりも大きい(L12>L11)。また、排出阻止部A17bの長さL12は副流路形成部80の長さL4より大きいのが好ましい(L12>L3)。これにより、複数の副流路A11から合流部A13に向かう第一ガスを排出阻止部A17bに衝突させることでき、後述の排出バッファ部A16に一時的に貯留させることができる。L11とL12との関係は、例えば、複数の副流路A11に単位時間に供給される第一ガスの量、合流部A13から単位時間に排出すべき第一ガスの量、排出阻止部A17bの数、仕切部81のY方向の長さL3、副流路A11のY方向の長さL4等によって決まる。
尚、排出阻止部A17b及び排出通過部A17aの数や配置、形状は、これらの機能が発揮される態様であれば、どのような態様であってもよい。
このように、上記構成の排出調整部A17の排出阻止部A17bは、複数の副流路A11と合流部A13との間に設けられており、副流路A11から合流部A13への第一ガスの流れの障壁となる。よって、複数の副流路A11から合流部A13に通流する際の第一ガスの圧力損失が高くなる。そのため、複数の副流路A11に導入された第一ガスは、複数の副流路A11から即座に合流部A13に導入されにくく、複数の副流路A11に充満するように行き亘る。これにより、各副流路A11間において、通流方向に沿う第一ガスの流れ分布(流速、流量及び圧力等)を概ね均一にできる。また、第一ガスが複数の副流路A11に充満するように行き亘るため、複数の副流路A11内において電気化学反応が十分に行われる。これらにより、電気化学反応の反応効率を向上できる。
本実施形態における第二板状体2には、図19に示すように、金属酸化物層2d(金属酸化物膜)が形成されている。金属酸化物層2dは種々の手法により形成されうるが、第二板状体2の表面を酸化させて金属酸化物とする手法が好適に利用される。また、第一板状体1に形成された金属酸化物層12と同様の手法によって形成しても良い。更に、金属酸化物層12と同様に、導電性の高いスピネル相などを含んでも良い。
(電気化学反応部)
次に、電気化学反応部3a,3bについて、図7~図10、図14~図19を参照して説明する。尚、後述する中間層34及び反応防止層35については、図7~図10及び図14~図18では図示を省略した。
(電極層)
電極層31は、図7~図10、図14~図19に示すように、第一板状体1の表側の面であって貫通孔11が設けられた領域より大きな領域に、薄層の状態で設けることができる。薄層とする場合は、その厚さを、例えば、1~100μm程度、好ましくは、5~50μmとすることができる。このような厚さにすると、高価な電極層材料の使用量を低減してコストダウンを図りつつ、十分な電極性能を確保することが可能となる。また、第一板状体1における貫通孔11が設けられた領域は、その全体が電極層31に覆われている。つまり、貫通孔11は、第一板状体1における電極層31が形成された領域の内側に形成されている。換言すれば、全ての貫通孔11は、電極層31に面して設けられている。
また、電極層31は、気体透過性を持たせるため、その内部および表面に複数の細孔を有する。即ち、電極層31は、多孔質な層として形成される。電極層31は、例えば、その緻密度が30%以上80%未満となるように形成される。細孔のサイズは、電気化学反応を行う際に円滑な反応が進行するのに適したサイズを適宜選ぶことができる。尚、緻密度とは、層を構成する材料の空間に占める割合であって、(1-空孔率)と表すことができ、また、相対密度と同等である。
電極層31の材料としては、例えばNiO-GDC、Ni-GDC、NiO-YSZ、Ni-YSZ、CuO-CeO、Cu-CeOなどの複合材を用いることができる。これらの例では、GDC、YSZ、CeOを複合材の骨材と呼ぶことができる。尚、電極層31は、低温焼成法(例えば1100℃より高い高温域での焼成処理をしない低温域での焼成処理を用いる湿式法)やスプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法やパルスレーザーデポジション法など)、CVD法などにより形成することが好ましい。これらの、低温域で使用可能なプロセスにより、例えば1100℃より高い高温域での焼成を用いずに、良好な電極層31が得られる。そのため、第一板状体1を傷めることなく、また、第一板状体1と電極層31との元素相互拡散を抑制することができ、耐久性に優れた電気化学素子Aを実現できるので好ましい。更に、低温焼成法を用いると、原材料のハンドリングが容易になるので更に好ましい。
また、電極層31は、サーメット材の骨材の含有比、緻密度、及び強度が当該電極層31の下側から上側にかけて連続的に増加するように構成されていてもよい。この場合、電極層31は、層として明確に区別できる領域を持たなくてもよい。しかし、この場合であっても、電極層31における第一板状体1に隣接する部位(下方部位)に比べ、電解質層32に隣接する部位(上方部位)におけるサーメット材の骨材の含有比、緻密度、強度等を高くすることも可能である。
(中間層)
中間層34は、電極層31を覆った状態で、電極層31の上に薄層の状態で形成することができる。薄層とする場合は、その厚さを、例えば、1~100μm程度、好ましくは2~50μm程度、より好ましくは4~25μm程度とすることができる。このような厚さにすると、高価な中間層34の材料の使用量を低減してコストダウンを図りつつ、十分な性能を確保することが可能となる。中間層34の材料としては、例えば、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、SSZ(スカンジウム安定化ジルコニア)やGDC(ガドリニウム・ドープ・セリア)、YDC(イットリウム・ドープ・セリア)、SDC(サマリウム・ドープ・セリア)等を用いることができる。特にセリア系のセラミックスが好適に用いられる。
中間層34は、電極層31と同様の手法により形成することが好ましい。これらの、低温域で使用可能な成膜プロセスにより、例えば1100℃より高い高温域での焼成を用いずに中間層34が得られる。そのため、第一板状体1を傷めることなく、第一板状体1と電極層31との元素相互拡散を抑制することができ、耐久性に優れた電気化学素子Aを実現できる。また、低温焼成法を用いると、原材料のハンドリングが容易になるので更に好ましい。
中間層34は、酸素イオン(酸化物イオン)伝導性を有することが好ましく、また、酸素イオン(酸化物イオン)と電子との混合伝導性を有すると更に好ましい。これらの性質を有する中間層34は、電気化学素子Aへの適用に適している。
(電解質層)
図7~図10、図14~図19に示すように、電解質層32は、電極層31及び中間層34を覆った状態で、中間層34の上に薄層の状態で形成される。また、厚さが10μm以下の薄膜の状態で形成することもできる。詳しくは、電解質層32は、中間層34の上と第一板状体1の上とにわたって(跨って)設けられる。このように構成し、電解質層32を第一板状体1に接合することで、電気化学素子Aを全体として堅牢性に優れたものとすることができる。
また、電解質層32は、図7や図14に示すように、第一板状体1の表側の面であって貫通孔11が設けられた領域よりも大きな領域に設けられる。つまり、貫通孔11は第一板状体1における電解質層32が形成された領域の内側に形成されている。
また、電解質層32の周囲においては、電極層31及び中間層34からのガスのリークを抑制することができる。説明すると、電気化学素子AをSOFCの構成要素として用いる場合、SOFCの作動時には、第一板状体1の裏側から貫通孔11を通じて電極層31へガスが供給される。電解質層32が第一板状体1に接している部位においては、ガスケット等の別部材を設けることなく、ガスのリークを抑制することができる。尚、本実施形態では電解質層32によって電極層31の周囲をすべて覆っているが、電極層31及び中間層34の上部に電解質層32を設け、周囲にガスケット等を設ける構成としてもよい。
電解質層32の材料としては、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、SSZ(スカンジウム安定化ジルコニア)やGDC(ガドリニウム・ドープ・セリア)、YDC(イットリウム・ドープ・セリア)、SDC(サマリウム・ドープ・セリア)、LSGM(ストロンチウム・マグネシウム添加ランタンガレート)等の酸素イオンを伝導する電解質材料や、ペロブスカイト型酸化物等の水素イオンを伝導する電解質材料を用いることができる。特にジルコニア系のセラミックスが好適に用いられる。電解質層32をジルコニア系セラミックスとすると、電気化学素子Aを用いたSOFCの稼働温度をセリア系セラミックスや種々の水素イオン伝導性材料に比べて高くすることができる。例えば、電気化学素子AをSOFCに用いる場合、電解質層32の材料としてYSZのような650℃程度以上の高温域でも高い電解質性能を発揮できる材料を用い、システムの原燃料に都市ガスやLPG等の炭化水素系の原燃料を用い、原燃料を水蒸気改質等によってSOFCのアノードガスとするシステム構成とすると、SOFCのセルスタックで生じる熱を原燃料ガスの改質に用いる高効率なSOFCシステムを構築することができる。
電解質層32は、電極層31と同様の手法により形成することが好ましい。これらの、低温域で使用可能な成膜プロセスにより、例えば1100℃を越える高温域での焼成を用いずに、緻密で気密性およびガスバリア性の高い電解質層32が得られる。そのため、第一板状体1の損傷を抑制し、また、第一板状体1と電極層31との元素相互拡散を抑制することができ、性能・耐久性に優れた電気化学素子Aを実現できる。特に、低温焼成法やスプレーコーティング法などを用いると低コストな素子が実現できるので好ましい。更に、スプレーコーティング法を用いると、緻密で気密性およびガスバリア性の高い電解質層32が低温域で容易に得られやすいので更に好ましい。
電解質層32は、アノードガスやカソードガスのガスリークを遮蔽し、かつ、高いイオン伝導性を発現するために、緻密に構成される。電解質層32の緻密度は90%以上が好ましく、95%以上であるとより好ましく、98%以上であると更に好ましい。電解質層32は、均一な層である場合、その緻密度が95%以上であると好ましく、98%以上であるとより好ましい。また、電解質層32が、複数の層状に構成されているような場合は、そのうちの少なくとも一部が、緻密度が98%以上である層(緻密電解質層)を含んでいると好ましく、99%以上である層(緻密電解質層)を含んでいるとより好ましい。このような緻密電解質層が電解質層32の一部に含まれていると、電解質層32が複数の層状に構成されている場合であっても、緻密で気密性およびガスバリア性の高い電解質層32を形成しやすくできるからである。
(反応防止層)
図19に示すように、反応防止層35は、電解質層32の上に薄層の状態で形成することができる。薄層とする場合は、その厚さを、例えば、1~100μm程度、好ましくは2~50μm程度、より好ましくは3~15μm程度とすることができる。このような厚さにすると、高価な反応防止層材料の使用量を低減してコストダウンを図りつつ、十分な性能を確保することが可能となる。
反応防止層35の材料としては、電解質層32の成分と対極電極層33の成分との間の反応を防止できる材料であれば良いが、例えばセリア系材料等が用いられる。また、反応防止層35の材料として、Sm、Gd及びYからなる群から選ばれる元素のうち少なくとも1つを含有する材料が好適に用いられる。尚、Sm、Gd及びYからなる群から選ばれる元素のうち少なくとも1つを含有し、これら元素の含有率の合計が1.0質量%以上10質量%以下であるとよい。反応防止層35を電解質層32と対極電極層33との間に導入することにより、対極電極層33の構成材料と電解質層32の構成材料との反応が効果的に抑制され、電気化学素子Aの性能の長期安定性を向上できる。
反応防止層35の形成は、1100℃以下の処理温度で形成できる方法を適宜用いて行うと、第一板状体1の損傷を抑制し、また、第一板状体1と電極層31との元素相互拡散を抑制でき、性能・耐久性に優れた電気化学素子Aを実現できるので好ましい。例えば、電極層31形成時と同様の手法を適宜用いて行うことができる。特に、低温焼成法やスプレーコーティング法などを用いると低コストな素子が実現できるので好ましい。更に、低温焼成法を用いると、原材料のハンドリングが容易になるので更に好ましい。
(対極電極層)
図7~図10、図14~図19に示すように、対極電極層33を、電解質層32又は反応防止層35の上に薄層の状態で形成することができる。薄層とする場合は、その厚さを、例えば、1~100μm程度、好ましくは、5~50μmとすることができる。このような厚さにすると、高価な対極電極層材料の使用量を低減してコストダウンを図りつつ、十分な電極性能を確保することが可能となる。
対極電極層33の材料としては、例えば、LSCF、LSM等の複合酸化物、セリア系酸化物およびこれらの混合物を用いることができる。特に対極電極層33が、La、Sr、Sm、Mn、Co及びFeからなる群から選ばれる2種類以上の元素を含有するペロブスカイト型酸化物を含むことが好ましい。以上の材料を用いて構成される対極電極層33は、カソードとして機能する。
尚、対極電極層33の形成は、1100℃以下の処理温度で形成できる方法を適宜用いて行うと、第一板状体1の損傷を抑制し、また、第一板状体1と電極層31との元素相互拡散を抑制でき、性能・耐久性に優れた電気化学素子Aを実現できるので好ましい。例えば、電極層31形成時と同様の手法を適宜用いて行うことができる。特に、低温焼成法やスプレーコーティング法などを用いると低コストな素子が実現できるので好ましい。更に、低温焼成法を用いると、原材料のハンドリングが容易になるので更に好ましい。
(固体酸化物形燃料電池)
電気化学反応部3a,3bを上記のような構成とすることで、当該電気化学反応部3a,3bを有する電気化学素子Aを燃料電池として機能させる場合には、当該電気化学素子Aを固体酸化物形燃料電池の発電セルとして用いることができる。つまり、電気化学素子Aで発電反応を生じさせる固体酸化物形燃料電池を実現できる。
例えば、第一板状体1の裏側の面から貫通孔11を通じて第一ガスとしての水素を含む燃料ガスを電極層31へ流通し、電極層31の対極となる対極電極層33へ第二ガスとしての空気を流通し、例えば、500℃以上900℃以下の作動温度に維持する。そうすると、電解質層32に酸素イオンを伝導する電解質材料を用いた場合には、対極電極層33において空気に含まれる酸素Oが電子eと反応して酸素イオンO2-が生成される。その酸素イオンO2-が電解質層32を通って電極層31へ移動する。電極層31においては、流通された燃料ガスに含まれる水素Hが酸素イオンO2-と反応し、水HOと電子eが生成される。
電解質層32に水素イオンを伝導する電解質材料を用いた場合には、電極層31において流通された燃料ガスに含まれる水素Hが電子eを放出して水素イオンHが生成される。その水素イオンHが電解質層32を通って対極電極層33へ移動する。対極電極層33において空気に含まれる酸素Oと水素イオンH、電子eが反応し水HOが生成される。
以上の反応により、電極層31と対極電極層33との間に電気化学出力として起電力が発生する。この場合、電極層31は燃料電池の燃料極(アノード)として機能し、対極電極層33は空気極(カソード)として機能する。
尚、定格運転時に650℃以上の温度域で運転可能な固体酸化物形燃料電池であると、都市ガス等の炭化水素系ガスを原燃料とする燃料システムにおいて、原燃料を水素に変換する際に必要となる熱を燃料電池の排熱で賄うことが可能なシステムを構築できるため、燃料電池システムの発電効率を高めることができるので、より好ましい。また、定格運転時に900℃以下の温度域で運転される固体酸化物形燃料電池であると、金属支持型の電気化学素子AからのCr揮発の抑制効果が高められるのでより好ましく、定格運転時に850℃以下の温度域で運転される固体酸化物形燃料電池であると、Cr揮発の抑制効果を更に高められるので更に好ましい。
(電気化学モジュール)
次に、図1~図21を参照して、電気化学モジュールMについて説明する。
図21に示すように、電気化学モジュールMは、複数の電気化学素子Aを内装する絶縁体からなる筐体Bを備えている。
複数の電気化学素子Aは、一つの電気化学素子Aを構成する板状支持体10と、他の一つの電気化学素子Aを構成する板状支持体10とが対向する形態、且つ、一つの電気化学素子Aを構成する第二板状体2の副流路形成部80を形成する領域の下面と、他の一つの電気化学素子Aを構成する電気化学反応部3a,3bの対極電極層33とが電気的に接続される状態で筐体B内に積層配置されている。また、一つの電気化学素子Aを構成する第二板状体2の下面と他の一つの電気化学素子Aを構成する第一板状体1の上面との間には、これら2つの面に沿って第二ガスが通流する通流部A2が形成されている。
更に、複数の電気化学素子Aにおいて、一つの電気化学素子Aにおける分配部A12が形成された領域の下面と、他の一つの電気化学素子Aの第一板状体1における第一貫通部41が形成された領域の上面との間には、通流部A2内において第一貫通部41を通流部A2と区画する第一環状シール部42が介装されている。また、一つの電気化学素子Aにおける合流部A13が形成された領域の下面と、他の一つの電気化学素子Aの第一板状体1における第二貫通部51が形成された領域の上面との間には、通流部A2内において第二貫通部51を通流部A2と区画する第二環状シール部52が介装されている。これにより、第一貫通部41及び第一環状シール部42によって供給路4が形成され、第二貫通部51及び第二環状シール部52によって排出路5が形成される。
尚、第一環状シール部42及び第二環状シール部52は、アルミナ等の絶縁性のセラミックス材料やこれを被覆した金属、あるいは、マイカ繊維、ガラスなどの材料からなり、隣接する電気化学素子A同士を電気的に絶縁する絶縁シール部として機能する。
また、複数の電気化学素子Aは、筐体Bに対して、一対の集電体91,82に挟持された状態で内装されており、この集電体91,82に後述する出力部8が延設され、筐体B外部の電力供給先に電極供給自在に接続されている。集電体91,82は、筐体Bに対して複数の電気化学素子Aを気密に収容し、且つ、各電気化学素子Aに対する緩衝材として機能するように設けられている。
また、本実施形態において、電気化学モジュールMは、筐体Bの外部から供給路4を介して内部流路A1に第一ガスを供給する第一ガス供給部61と、反応後の第一ガスを排出する第一ガス排出部62と、外部から通流部A2に第二ガスを供給する第二ガス供給部71と、反応後の第二ガスを排出する第二ガス排出部72と、電気化学反応部3a,3bにおける電気化学反応に伴う出力を得る出力部8とを備え、筐体B内に、第二ガス供給部71から供給される第二ガスを通流部A2に分配供給する分配室9を備えている。
これにより、電気化学モジュールMは、第一ガス供給部61から燃料ガス(第一ガスという場合もある)を供給するとともに、第二ガス供給部71から空気(第二ガスという場合もある)を供給することで、図21等の破線矢印に示すように燃料ガスが進入し実線矢印に示すように空気が進入する。
第一ガス供給部61から供給された燃料ガスは、最上部に配置された電気化学素子Aの第一貫通部41より供給路4に誘導され、第一環状シール部42により区画される供給路4より、すべての電気化学素子Aの内部流路A1に通流する。また、第二ガス供給部71から供給された空気は、分配室9に一時流入したのち、各電気化学素子A間に形成される通流部A2に通流する。本実施形態では、燃料ガスが内部流路A1を板状支持体10の平面に沿って通流する通流方向は、+X方向から-X方向に向かう方向である。同様に、空気が通流部A2を板状支持体10の平面に沿って通流する通流方向は、+X方向から-X方向に向かう方向である。
図21等の一部に内部流路A1を含む断面の現れる電気化学素子Aと、通流部A2を含む断面の現れる電気化学素子Aとを便宜的に並べて示す部分があるが、第一ガス供給部61から供給された燃料ガスは、分配部A12に達し(図1や図4、図5等参照)、分配部A12を介して一端部側の幅方向に沿って広がって流れ、内部流路A1のうち各副流路A11に達する(図1や図4、図5等参照)。
燃料ガスは、第一ガス供給部61、第一環状シール部42、第一貫通部41等を通流し、各電気化学素子Aの分配部A12に供給される。分配部A12に供給された燃料ガスは、供給調整部A14によって分配部A12に一時的に貯留される。その後、燃料ガスは、分配部A12から複数の副流路A11に導入される。各副流路A11に進入した燃料ガスは、各副流路A11を分割した小流路A11a,A11b,A11cを通流するとともに、気体通流許容部1Aを介して電極層31、電解質層32に進入する。また、燃料ガスは、電気化学反応済みの燃料ガスとともに、さらに副流路A11(小流路A11a,A11b,A11c)を進む。複数の副流路A11の通流方向の終端にまで到達した燃料ガスは、排出調整部A17により合流部A13への通流が部分的に制限された状態で、合流部A13に進む。合流部A13に進んだ燃料ガスは、合流部A13、第二貫通部51、第二環状シール部52等を通流する。そして、他の電気化学素子Aからの電気化学反応済みの燃料ガスとともに第一ガス排出部62より外に排出される。
一方、第二ガス供給部71から供給された空気は、分配室9を介して通流部A2に進入し、対極電極層33、電解質層32に進入できる。また、空気は、電気化学反応済みの空気とともに、電気化学反応部3a,3bに沿って通流部A2を更に進み第二ガス排出部72より外に排出される。
この燃料ガス及び空気の流れに従って電気化学反応部3a,3bで生じた電力は、隣接する電気化学素子Aにおける電気化学反応部3a,3bの対極電極層33と第二板状体2との接触により、集電体91,82同士の間で直列に接続され、合成出力が出力部8より取り出される形態となる。
(電気化学装置及びエネルギーシステム)
次に、上記電気化学モジュールMを用いて構築した電気化学装置100及びエネルギーシステムZについて説明する。
図22には、電気化学装置100及びエネルギーシステムZの概要を示した。同図に示すように、エネルギーシステムZは、電気化学装置100と、電気化学装置100から流通される熱を再利用する排熱利用部としての熱交換器200とを有する。
本実施形態において、電気化学装置100は、電気化学モジュールMと、脱硫器101と改質器102とからなる燃料変換器と、電気化学モジュールMに対して燃料変換器生成された還元性成分を含有する燃料ガスを流通する燃料供給部103と、電気化学モジュールMから電力を取り出す出力部8として電力変換器の一種であるインバータ104とを有する。
より具体的に言えば、電気化学装置100は、脱硫器101、改質水タンク105、気化器106、改質器102、ブロア107、燃焼部108、インバータ104、制御部110及び電気化学モジュールMを有する。
脱硫器101は、都市ガス等の炭化水素系の原燃料に含まれる硫黄化合物成分を除去(脱硫)する。原燃料中に硫黄化合物が含有される場合、脱硫器101を備えることにより、硫黄化合物による改質器102あるいは電気化学素子Aに対する悪影響を抑制することができる。気化器106は、改質水タンク105から流通される改質水から水蒸気を生成する。改質器102は、気化器106にて生成された水蒸気を用いて脱硫器101にて脱硫された原燃料を水蒸気改質して、水素を含む改質ガスを生成する。
電気化学モジュールMは、改質器102から流通された改質ガスと、ブロア107から流通された空気とを用いて、電気化学反応させて発電する。燃焼部108は、電気化学モジュールMから流通される反応排ガスと空気とを混合させて、反応排ガス中の可燃成分を燃焼させる。
インバータ104は、電気化学モジュールMの出力電力を調整して、商用系統(図示省略)から受電する電力と同じ電圧および同じ周波数にする。制御部110は、電気化学装置100及びエネルギーシステムZの運転を制御する。
改質器102は、燃焼部108での反応排ガスの燃焼により発生する燃焼熱を用いて原燃料の改質処理を行う。
原燃料は、昇圧ポンプ111の作動により原燃料供給路112を通して脱硫器101に流通される。改質水タンク105の改質水は、改質水ポンプ113の作動により改質水供給路114を通して気化器106に流通される。そして、原燃料供給路112は脱硫器101よりも下流側の部位で、改質水供給路114に合流されており、筐体B外にて合流された改質水と原燃料とが気化器106に流通される。
改質水は、気化器106にて気化され水蒸気となる。気化器106にて生成された水蒸気を含む原燃料は、水蒸気含有原燃料供給路115を通して改質器102に流通される。改質器102にて原燃料が水蒸気改質され、水素ガスを主成分とする改質ガス(還元性成分を有する第一ガス)が生成される。改質器102にて生成された改質ガスは、燃料供給部103を通して電気化学モジュールMに流通される。
反応排ガスは、燃焼部108で燃焼され、燃焼排ガスとなって燃焼排ガス排出路116から熱交換器200に送られる。燃焼排ガス排出路116には、燃焼触媒部117(例えば、白金系触媒)が配置され、燃焼排ガスに含有される一酸化炭素や水素等の還元性成分が燃焼除去される。
熱交換器200は、燃焼部108における燃焼で生じた燃焼排ガスと、流通される冷水とを熱交換させ、温水を生成する。即ち、熱交換器200は、電気化学装置100から排出される熱を再利用する排熱利用部として動作する。
尚、排熱利用部の代わりに、電気化学モジュールMから(燃焼されずに)流通される反応排ガスを利用する反応排ガス利用部を設けてもよい。また、第一ガス排出部62より筐体B外に流通される反応排ガスの少なくとも一部を図22中の100,101,103,106,112,113,115の何れかの部位に合流させリサイクルしても良い。反応排ガスには、電気化学素子Aにて反応に用いられなかった残余の水素ガスが含まれる。反応排ガス利用部では、残余の水素ガスを利用して、燃焼による熱利用や、燃料電池等による発電が行われ、エネルギーの有効利用がなされる。
〔別実施形態〕
〔1〕上記実施形態では、圧損増加体6が円柱状部材である態様としたが、これに限られるものではなく、副流路A11を流れる第一ガスの圧力損失が1kPa以上の所望の値となるのであれば、圧損増加体6はどのような形状であってもよい。例えば、図23に示すように、第1方向と直交する方向での断面が四角形状の柱状部材である圧損増加体6aや、断面がT字状の柱状部材からなる圧損増加体6b、副流路形成部80の底面側(副流路A11の下側)を埋めるような柱状部材からなる圧損増加体6cであってもよく、また、柱状の部材である必要もなく、立方体状の部材であってもよい。尚、図23に示すように、圧損増加体6a及び6bを採用した場合には、副流路A11が2つの小流路に分割し、且つ、副流路A11の流路断面積を減少することで圧力損失が増加し、圧損増加体6cを採用した場合には、副流路A11の流路断面積が単に減少することで圧力損失が増加する。更に、圧損増加体は、第1方向と直交する断面の面積が、第1方向において異なっていてもよく、例えば、錐体状、双錐体状、異径鉄筋状の部材であってもよい。尚、圧損増加体によって副流路が塞がれると第一ガスが流れなくなる。そのため、網状体7が設けられておらず、仕切部81の上面と第一板状体1の下面とが当接した状態になるような場合には、圧損増加体における、第1方向と直交する断面の最大面積は、副流路の最大流路断面積よりも小さい必要がある。
〔2〕上記実施形態では、副流路A11の全長Laと略同じ長さを有した2つの圧損増加体6を用い、副流路A11を3つの連続した小流路A11a,A11b,A11cに分割する態様としたが、これに限られるものではなく、副流路A11を流れる第一ガスの圧力損失が1kPa以上の所望の値となる態様であれば、どのような態様であってもよい。例えば、副流路A11を2或いは4つ以上の小流路に分割する態様であってもよい。また、図24に示すように、円柱形状の複数の圧損増加体6dを副流路A11内に第1方向(X方向)沿って断続的に配設し、第一ガスが主に第1方向に沿って流れるような断続した2つの小流路を形成する態様であってよい。更に、圧損増加体6が副流路A11の全長Laの80%以上100%以下を占めた状態である必要はなく、図24のように、複数の圧損増加体6によって副流路A11の全長Laの80%未満が占められているような態様であってもよい。
〔3〕上記実施形態では、網状体7を設ける態様としたが、これに限られるものではなく、網状体7を設けない態様であってもよい。
〔4〕上記実施形態では、圧損増加体6を副流路A11内に配設することで、当該副流路A11を流れる第一ガスの圧力損失を1kPa以上にする態様としたが、これに限られるものではなく、副流路に少なくとも1つのオリフィス部を設け、副流路を流れる第一ガスの圧力損失を1kPa以上にする態様であってもよい。即ち、図25に示すように、各副流路A11の中間位置に副流路A11の流路断面積を小さくするようなオリフィス部Rを形成し、副流路A11の流路断面積を部分的に小さくして、当該副流路A11を流れる第一ガスの圧力損失を1kPa以上となるようにしてもよい。また、オリフィス部Rは、各副流路A11に複数設けてもよいし、副流路A11ごとにオリフィス部Rの数が異なっていてもよく、例えば、図26に示すように、オリフィス部Rを千鳥状に設けるようにしてもよい。尚、オリフィス部Rを設ける場合、当該オリフィス部Rと第一板状体1との間での第一ガスの流路を確保するために、網状体7などを設けることが好ましい。また、圧損増加体とオリフィス部とを組み合わせて、副流路A11内の圧力損失が所望の値に増加するようにしてもよい。
〔5〕上記実施形態では、第一板状体1及び第二板状体2の表裏面に金属酸化物層12,2dを形成した態様としたが、これに限られるものではなく、金属酸化物層12,2dを形成しない態様であってもよい。
〔6〕上記実施形態では、電気化学素子Aを固体酸化物形燃料電池に用いたが、この電気化学素子Aは、固体酸化物形電解セルや、固体酸化物を利用した酸素センサ等に利用することもできる。
電気化学素子Aを電解セルとして動作させる場合、電極層31に水蒸気や二酸化炭素を含有するガスを流通し、電極層31と対極電極層33との間に電圧を印加する。そうすると、電極層31において電子eと水分子HOや二酸化炭素分子COとが反応し、水素分子Hや一酸化炭素COと酸素イオンO2-となる。酸素イオンO2-は、電解質層32を通って対極電極層33へ移動する。そして、対極電極層33において酸素イオンO2-が電子を放出して酸素分子Oとなる。以上の反応により、水分子HOが水素Hと酸素Oとに、二酸化炭素分子COを含有するガスが流通される場合は一酸化炭素COと酸素Oとに電気分解される。
図28には、電気化学素子Aの電気化学反応部3a,3bを電解反応によるガスを生成を行う電解セルとして動作させる場合のエネルギーシステムZ及び電気化学装置100の一例を示した。本システムでは、供給された水と二酸化炭素が電気化学反応部3a,3bにおいて電気分解され、水素及び一酸化炭素等を生成する。更に、燃料変換器25において炭化水素などが合成される。図28中の熱交換器24を、燃料変換器25で起きる反応によって生ずる反応熱を再利用した熱交換によって水を加熱して気化させる排熱利用部として動作させるとともに、同図中の熱交換器23を、電気化学素子Aによって生ずる排熱を再利用した熱交換によって、水蒸気及び二酸化炭素を予熱する排熱利用部として動作させる構成とすることにより、エネルギー効率を高めることができる。
よって、上記構成によれば、電気エネルギーを燃料等の化学的エネルギーに変換する効率を向上できる電気化学装置100及びエネルギーシステムを実現できる。
〔7〕上記実施形態では、電気化学素子Aを電気化学モジュールMとして複数組み合わせて用いる態様としたが、これに限られるものではなく、単独で用いることも可能である。
〔8〕上記実施形態では、電極層31の材料として例えばNiO-GDC、Ni-GDC、NiO-YSZ、Ni-YSZ、CuO-CeO、Cu-CeOなどの複合材を用い、対極電極層33の材料として例えばLSCF、LSM等の複合酸化物を用い、電極層31に水素ガスを流通して燃料極(アノード)とし、対極電極層33に空気を流通して空気極(カソード)とし、固体酸化物形燃料電池セルとして用いる態様としたが、これに限られるものではない。このような構成を変更して、電極層31を空気極とし、対極電極層33を燃料極とすることが可能なように、電気化学素子Aを構成する態様であってもよい。即ち、電極層31の材料として、例えばLSCF、LSM等の複合酸化物を用い、対極電極層33の材料として、例えばNiO-GDC、Ni-GDC、NiO-YSZ、Ni-YSZ、CuO-CeO、Cu-CeOなどの複合材を用いる。このように構成した電気化学素子Aであれば、電極層31に空気を流通して空気極とし、対極電極層33に水素ガスを流通して燃料極とし、電気化学素子Aを固体酸化物形燃料電池セルとして用いることができる。
〔9〕上記実施形態では、第一板状体1と電解質層32との間に電極層31を配置し、電解質層32からみて第一板状体1と反対側に対極電極層33を配置した態様としたが、これに限られるものではなく、電極層31と対極電極層33とを逆に配置する構成であってもよい。つまり、第一板状体1と電解質層32との間に対極電極層33を配置し、電解質層32からみて第一板状体1と反対側に電極層31を配置する構成も可能である。この場合、電気化学素子Aへの気体の流通についても変更する必要がある。
即ち、電極層31と対極電極層33の順や第一ガス、第二ガスのいずれが還元性成分ガス及び酸化性成分ガスの一方または他方であるかについては、電極層31と対極電極層33に対して第一ガス、第二ガスが適正に反応する形態で流通されるよう配置されていれば、種々形態を採用しうる。
〔10〕上記実施形態では、気体通流許容部1Aを覆うように、第一板状体1の第二板状体2とは反対側に電気化学反応部3a,3bを設けた態様としたが、これに限られるものではなく、第一板状体1の第二板状体2側に設けてもよい。即ち、電気化学反応部3a,3bは内部流路A1に配置される構成であってもよい。
〔11〕上記実施形態では、第一貫通部41、第二貫通部51を長方形状の板状支持体10の両端部に一対設ける態様としたが、これに限られるものではない。第一貫通部41や第二貫通部51は、両端部以外の位置に設けてもよいし、二対以上設けてもよい。また、第一貫通部41や第二貫通部51は、対で設ける必要はない。よって、第一貫通部41や第二貫通部51それぞれが1個以上設けることができる。
〔12〕上記実施形態では、板状支持体10が長方形状である態様としたが、これに限られるものではない。板状支持体10の形状は、正方形状や円形状等の種々の形態を採用できる。
〔13〕上記実施形態では、第一、第二環状シール部42,52は、第一、第二貫通部41,51同士を連通させてガスの漏洩を防止できる構成であれば形状は問わない。つまり、第一、第二環状シール部42,52は、内部に貫通部に連通する開口部を有する無端状の構成で、隣接する電気化学素子A同士の間をシールする構成あればよい。第一、第二環状シール部42,52は例えば環状である。環状には、円形、楕円形、方形、多角形状等いかなる形状でもよい。
〔14〕上記実施形態では、第一板状体1と第二板状体2とで内部流路A1を形成し、当該内部流路A1が、分配部A12、供給調整部A14、供給バッファ部A15、複数の副流路A11、排出バッファ部A16、排出調整部A17及び合流部A13を有している態様としたが、これに限られるものではない。例えば、内部流路A1が、分配部A12、複数の副流路A11及び合流部A13を有している態様であってもよい。
〔15〕上記実施形態では、第二板状体2において複数の副流路A11が形成される領域全体が波板状に形成されている態様としたが、これに限られるものではなく、一部が波板状に形成されている態様であってもよい。
上記実施形態(別実施形態を含む)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
本発明は、電気化学素子、電気化学モジュール、固体酸化物形燃料電池、固体酸化物形電解セル、電気化学装置及びエネルギーシステムとして利用可能である。
1 :第一板状体(支持体)
1A :気体通流許容部
2 :第二板状体
2c :凹部
2d :金属酸化物層(金属酸化物膜)
3a,3b:電気化学反応部
4 :供給路
5 :排出路
6 :圧損増加体
6a,6b,6c,6d:圧損増加体
7 :網状体
8 :出力部
9 :分配室
10 :板状支持体
12 :金属酸化物層(金属酸化物膜)
31 :電極層
32 :電解質層
33 :対極電極層
41 :第一貫通部
42 :第一環状シール部
51 :第二貫通部
52 :第二環状シール部
61 :第一ガス供給部
71 :第二ガス供給部
80 :副流路形成部
81 :仕切部
100 :電気化学装置
102 :改質器
103 :燃料供給部
104 :インバータ
A :電気化学素子
A1 :内部流路
A11 :副流路
A12 :分配部
A13 :合流部
A14 :供給調整部
A14a:供給通過部
A14b:供給阻止部
A15 :供給バッファ部
A16 :排出バッファ部
A17 :排出調整部
A17a:排出通過部
A17b:排出阻止部
A2 :通流部
B :筐体
M :電気化学モジュール
R :オリフィス部
Z :エネルギーシステム

Claims (12)

  1. 内側に内部流路を有する板状支持体と、
    前記内部流路と、前記板状支持体の外側とに亘って気体を透過できる気体通流許容部と、
    電極層、対極電極層、並びに前記電極層と前記対極電極層とに挟まれた電解質層を備え、前記板状支持体の外面において、前記気体通流許容部の全部又は一部を被覆する状態で前記電極層、前記電解質層及び前記対極電極層が積層して形成されてなる電気化学反応部と、を備え、
    前記内部流路は、前記板状支持体の板状面に沿う方向において第1方向に延び、且つ、前記板状支持体の板状面に沿う方向において前記第1方向と交差する第2方向に離隔した複数の副流路を有しており、
    前記副流路を、当該副流路を流れるガスの圧力損失が1kPa以上となるように構成した、電気化学素子。
  2. 前記副流路内に、前記第1方向と直交する断面の最大面積が前記副流路の最大流路断面積よりも小さく、前記圧力損失を増加させる圧損増加体が配設されている、請求項1に記載の電気化学素子。
  3. 前記圧損増加体は、前記第1方向に沿い、且つ、前記副流路の全長の80%以上100%以下を占めるように1又は複数配設されている、請求項2に記載の電気化学素子。
  4. 前記副流路は、前記圧損増加体によって、連続した又は断続した複数の小流路に分割され、
    前記複数の小流路は、前記第1方向に延び且つ前記第2方向に離隔している、請求項2又は3に記載の電気化学素子。
  5. 前記副流路は、少なくとも1つのオリフィス部を有している、請求項1~4のいずれか一項に記載の電気化学素子。
  6. 前記板状支持体は、金属部材で構成される請求項1~5のいずれか一項に記載の電気化学素子。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載の電気化学素子が複数集合した状態で配置される電気化学モジュール。
  8. 請求項1~6のいずれか一項に記載の電気化学素子を備え、前記電気化学素子で発電反応を生じさせる固体酸化物形燃料電池。
  9. 請求項1~6のいずれか一項に記載の電気化学素子を備え、前記電気化学素子で電解反応を生じさせる固体酸化物形電解セル。
  10. 請求項1~6のいずれか一項に記載の電気化学素子又は請求項7に記載の電気化学モジュールと、
    前記電気化学素子又は前記電気化学モジュールに供給する還元性成分を生成する、或いは、前記電気化学素子又は前記電気化学モジュールで生成する還元性成分を含有するガスを変換する燃料変換器と、を少なくとも有する電気化学装置。
  11. 請求項1~6のいずれか一項に記載の電気化学素子又は請求項7に記載の電気化学モジュールと、
    前記電気化学素子又は前記電気化学モジュールから電力を取り出す、或いは、前記電気化学素子又は前記電気化学モジュールに電力を流通する電力変換器と、を少なくとも有する電気化学装置。
  12. 請求項10又は11に記載の電気化学装置と、
    前記電気化学装置から排出される熱を再利用する排熱利用部と、を少なくとも有するエネルギーシステム。
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