JP2022156248A - Ni合金粉末 - Google Patents

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【課題】Niを主体とする合金から成る優れた導電ぺ一スト用Ni合金粉を提供する。特に、焼結開始温度の上昇を図り、耐酸化性に優れた導電ペ一スト用Ni合金粉末を提供する。【解決手段】Ni:60.0~80.0質量%含有し、残部Alおよび不可避的不純物からなるNi合金粉末であって、その平均粒径が、0.04~1.00μmであるNi合金粉末である。さらに、前記Ni合金粉末は、主として金属間化合物のNiAl相からなることが好ましく、前記NiAl相の平均結晶子径が、前記Ni合金粉末の平均粒径の0.3倍以上であることが好ましい。これにより、焼結開始温度が高く、耐酸化性に優れた導電ぺ一スト用Ni合金粉末が容易に得られる。【選択図】図1

Description

本発明は、積層セラミックコンデンサ内部電極形成などに用いられる導電ペースト用Ni合金粉末に関する。
積層セラミックコンデンサは、従来、セラミック誘電体シート上に金属粉末ペーストを印刷またはスプレイし、該誘電体シートを相互に電極構造をもつように多数枚を積み重ね、圧着により一体化したものを焼結し、外部引出し電極を焼きつけて製造されている。このような積層セラミックコンデンサは、実効誘電体の厚みを薄くし、大きな容量容積比をもつようにすることができ、また内部インダクタンスが小さく、高周波数帯域、例えばGHzオーダーまで使用できるなどの特性がある。
このような積層セラミックコンデンサは、セラミック誘電体と内部電極とを同時に焼成するため、電極材料としては、セラミックスの焼結温度より高い融点をもつこと、およびセラミックスと反応しないことが必要である。このため以前は、Pt、Pdなどの貴金属を使用していたが高価であるという欠点があった。この欠点を解決するため、誘電体セラミックスの焼結温度を900~1100℃に低下させ、電極材料にAg-Pd合金を用いたり、Niなどの安価な金属を用いたものが実用化されている。
しかしながら、Niは、誘電体と比較すると低融点であるため、Ni電極と誘電体のそれぞれの焼結温度に差が生ずる。したがって、Niと誘電体の焼成収縮カーブ(焼成収縮の温度依存性)の違いによって、焼成工程での電極の割れや剥離、あるいは誘電体の焼成不良等が発生しやすいという問題がある。
この問題の回避策として、Niのペーストに誘電体を添加し、Niの焼成収縮カーブを高温側にシフトさせ、誘電体の焼成収縮カーブに近づけて、焼成を行っている。しかし、誘電体の混入量を増やすほど、両者の焼成収縮カーブは近づくが、電極層中のNi含有率が低下するため、電極の被覆率、すなわち、本来電極が存在すべき面積の内で、実際に電極として機能する面積の比率が低下してしまう。この被覆率の低下は、コンデンサの容量の低下の原因となり、これはコンデンサの性能が低下することを意味している。したがって、誘電体を混入しなくても、誘電体の焼成収縮カーブに近い焼成収縮カーブを持ったNi合金粉末、つまり高温で焼結を開始するNi合金粉末を使用することが望ましい。
しかし、Niは、雰囲気中の酸素により、脱バインダ工程や焼結工程で容易に酸化される。その結果、酸化物の混入によって電極が焼結不良になったり、導電率が低下するという問題がある。従来は、雰囲気を還元性にすることにより、Niの酸化を防止しているが、セラミック誘電体の性能を十分発揮させるには、酸化性雰囲気で焼成することが望ましく、電極材料も酸化性雰囲気で焼成できるものが望ましい。
そこで、焼結開始温度をNiよりも高温とし、その際に雰囲気により酸化されない粉末として、特許文献1では、NiにV、Cr、Zr、Nb、Mo、Ta、W等を添加することで、Niの焼結開始温度と酸化開始温度の双方を高温化させる技術が開示されている。しかしながら、この技術を以てしても、焼結開始温度の上限が700℃程度で酸化開始温度の上限が360℃程度であり、まだまだ、Niペーストに対して誘電体の添加が不要なレベルには、到達できていない。
特開2002-60877号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、Niを主体とする合金から成る優れた導電ぺ一スト用Ni合金粉を提供すること、特に、焼結開始温度の上昇を図り、耐酸化性に優れた導電ペ一スト用Ni合金粉末を提供することを目的とする。
本発明者は、Ni合金粉の焼結温度を高めるために、高融点の金属間化合物の中で、比較的導電性が良い合金系として、Ni-Al合金に着目した。Ni-Al二元系合金には、NiAl3、Ni2Al3、NiAl、Ni5Al3、Ni3Alの5種の金属間化合物が存在する。その中でも、Ni:Al=1:1の化合物は、融点1638℃とNi、Alそれぞれの単体よりも融点が高く、航空機用タービンなどに使用されていることから、高温強度に優れ、耐クリープ性にも優れていることが知られている。
また、導電率20.0%IACS(8.62×10-8Ω・m)という、導電材料としても、十分な導電率を有しており、金属間化合物のNiAl相を、単相で、あるいはこの相を主とする合金を用いることにより、焼結温度の高い、すなわち耐熱性に優れた導電ペースト用合金粉末が得られることを見出した。なお、%IACSとは、国際標準軟銅線(International Annealed Copper Standard、293Kでの比抵抗:1.7241×10-8Ω・m)の導電率を100%IACSとして、これに対する比率で導体の導電率を表した指標のことである。
本発明は、かかる知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨はつぎのとおりである。
〔1〕Ni:60.0~80.0質量%を含有し、残部Alおよび不可避的不純物からなるNi合金粉末であって、該Ni合金粉末の平均粒径が、0.04~1.00μmであることを特徴とするNi合金粉末。
〔2〕〔1〕において、前記Ni合金粉末は、主として金属間化合物のNiAl相からなることを特徴とするNi合金粉末。
〔3〕〔2〕において、前記NiAl相の平均結晶子径が、前記Ni合金粉末の平均粒径の0.3倍以上であることを特徴とするNi合金粉末。
〔4〕〔1〕ないし〔3〕のいずれか一つにおいて、前記Ni合金粉末が、導電ペースト用合金粉末であることを特徴とするNi合金粉末。
〔5〕〔1〕ないし〔4〕のいずれか一つにおいて、前記平均粒径は、前記Ni合金粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)観察し、撮像して倍率2万倍で測定粒子数1000~2000個のSEM画像解析により求めた個数基準のD50であることを特徴とするNi合金粉末。
本発明によれば、積層セラミックコンデンサ用の導電ペ一スト用金属として、焼結開始温度が高く、耐酸化性に優れた導電ぺ一スト用Ni合金粉末を提供することができ、産業上格段の効果を奏する。
Ni合金粉末の圧粉体の高さと温度との関係を示す模式図である。 Ni合金粉末の圧粉体の質量と温度との関係を示す模式図である。
以下、本発明の実施態様について詳細に説明する。
[合金粉末の組成]
本発明の合金粉末は、Ni-Al二元系合金で、Ni:60.0~80.0質量%含有し、残部Alおよび不可避的不純物からなるNi合金粉末であって、その平均粒径が、0.04~1.00μmであるNi合金粉末である。さらに、前記Ni合金粉末は、主として金属間化合物のNiAl相からなることが好ましく、前記NiAl相の平均結晶子径が、前記Ni合金粉末の平均粒径の0.3倍以上であることが好ましい。以下、組成における「%」は、「質量%」であることを意味する。
次に、合金粉末の組成限定の理由について説明する。
[Ni:60.0~80.0%]
本発明の合金粉末のNi含有率は、60.0~80.0%の範囲に限定した。
Ni含有率が60.0%よりも少ないと、金属間化合物のNiAl相以外の異相が生成するが、この異相は、NiAl相に比べて融点が500℃以上低温の相であるため、焼結開始温度が著しく低下する。一方、Ni含有率が80.0%を超えると、金属間化合物のNiAl相以外の異相が生成するが、この異相は、700℃付近に相変態を有するため、この組成の合金粉末を使ってコンデンサの電極を製造すると、積層セラミックコンデンサの焼成完了後に、冷却する過程において相の分解および結晶構造の変化が生じ、コンデンサの割れやクラックといった不良を発生させやすい。したがって、Ni含有率は、60.0~80.0%とした。好ましくは、65.0~75.0%である。
残部は、実質的にAlである。不可避的不純物元素として、C、N、P、S、Mn、Cu等の元素が挙げられる。これらの不可避的不純物元素は、合金粉末の導電性、耐熱性、耐酸化性などの粉末特性を低下させる元素であるが、合計で1.0%以下の含有であれば、実用上粉末特性の低下は生じないため、許容することができる。
[合金粉末の平均粒径:0.04~1.00μm]
一般的に、積層セラミックコンデンサの電極の厚さを薄くすればするほど、コンデンサの容量を大きくできるため、できるだけ薄い電極を製造する必要がある。そのためには、電極用ペーストの合金粉末の平均粒径にも小粒径のものが要求される。平均粒径の小さい合金粉末を用いて作られたペーストで印刷された膜の表面粗さRa(Raとは、表面粗度のパラメータの一つで、JIS B 0601で定義されている算術平均粗さを表す。)は、本来小さくなるはずであるが、実際にペーストを製作してみると、平均粒径が小さく成ればなるほど、粉末は凝集しやすくなり、大きな凝集体を形成するため、過度に小さい平均粒径の粉末で作ったペーストの印刷後の膜の表面粗さRaは、逆に増加した。最悪の場合には、大きな凝集体が、誘電体層を貫通して短絡事故を起こしてしまうため、平均粒径の下限は、0.04μmとした。一方で、上述の理由により、電極厚みは薄くしたいので、平均粒径の大きな粉末は好ましくない。したがって、現在実用上必要とされる電極の厚みから判断して、合金粉末の平均粒径の上限は、1.00μmとした。好ましくは、0.04~0.80μmである。より好ましくは、0.04~0.60μmである。さらに好ましくは、0.04~0.40μmである。
ここで、Ni合金粉末の平均粒径は、合金粉末粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)観察し、撮像して倍率2万倍で測定粒子数1000~2000個のSEM画像解析により求めた個数基準のD50とする。
[合金粉末の結晶構造]
前述したように、本発明の合金粉末は、Ni-Al二元系合金で、Ni:60.0~80.0質量%含有し、残部Alおよび不可避的不純物からなるNi合金粉末であって、さらに、その結晶構造としては、主として金属間化合物のNiAl相からなることが好ましい。この結晶構造は、後述するX線回折により同定したものである。Ni-Al二元系合金では、NiAl相以外の異相であるNiAl3相、Ni2Al3相、Ni5Al3相およびNi3Al相が存在するが、本発明は、これらの相のうち、NiAl相が主として存在する結晶構造であることが好ましい。
ここで、「主として」とは、NiAl相が単相である場合と、NiAl相の他に前述したNiAl相以外の相を含み、以下に説明するX線回折法により求めた個々の相の回折ピーク面積を用いて比較して、NiAl相の回折ピーク面積がその他のいずれの相の回折ピーク面積よりも大きい場合とを示している。
なお、結晶構造は、X線回折法により同定することができる。このX線回折法は、JIS K 0131「X線回折分析通則」に準拠して回折ピーク強度を測定するものであり、得られる回折図形から結晶構造を同定することができる。そして、結晶構造を定量分析するには、同定された結晶構造の回折ピークの面積(あるいは積分強度比)を求め、得られた面積を比較することにより、結晶構造の定量的な比率を求めることができる。
つまり、本発明の合金粉末は、Ni合金粉末のX線回折図形において、NiAl相の(110)面の回折ピークの面積が、その他のNi-Al系金属間化合物の相の回折ピークの面積よりも大きいことが好ましい。ここで、その他のNi-Al系金属間化合物の相の回折ピークの面積は、具体的には、NiAl3相の(111)面の回折ピークの面積、Ni2Al3相の(012)面の回折ピークの面積、Ni5Al3相の(221)面の回折ピークの面積およびNi3Al相の(111)面の回折ピークの面積が挙げられる。
さらに、上記のその他のNi-Al系金属間化合物の相の回折ピークの中で最も面積の大きな回折ピークの面積が、NiAl相の(110)面の回折ピークの面積の50%以下であることがより好ましい。50%を超えると、焼結開始温度が高く耐酸化性の向上した耐熱性に優れた導電ペ一スト用Ni合金粉末を得ることが難しくなるからである。より好ましくは、30%以下、さらに好ましくは、10%以下である。
[平均結晶子径]
次に、平均結晶子径について説明する。
通常、一個の粒子は、方位の異なる複数の結晶の複合体で構成されている。結晶子とは、その複合体を構成する、個々の結晶のことをいう。それら一つ一つの結晶の範囲内では、結晶方位が揃っており、それぞれを単結晶とみなすことができる。単結晶のX線回折では、ある特定の入射角の時に、すべての結晶格子がBraggの回折条件を同時に満たすため、極めてシャープな回折ピークが得られる。これに対して、結晶子サイズ(「結晶子径」ともいう。)が小さくなると、粒子を構成する結晶(結晶子)の数が増え、それぞれの結晶毎に、ばらばらの結晶方位を持っているため、回折ピークの幅は広がることになる。X線回折法では、Scherrerの式を用いて結晶子径を算出することができる。本発明においては、JIS H 7805「X線回折法による金属触媒の結晶子径測定方法」によって算出した値で平均結晶子径を定義する。
本発明は、高温強度および耐クリープ性に優れたNiAl相の存在によって、高い焼結温度を実現している。さらに、同じNiAl相でも、より結晶子径が大きい、つまりNiAl相の結晶構造がより発達した状態にあると、焼結温度を上昇させる効果が大きくなるため、平均結晶子径が合金粉末の平均粒径の0.3倍以上であることが好ましい。より好ましくは、0.5倍以上である。なお、平均結晶子径が大きい場合には、何ら支障はないため、上限は限定しない。
また、Ni合金粉末の形状は、球形が好ましい。これはぺ一ストにしたときに分散性、流動性に優れるためである。このような合金粉末は、化学気相反応(「CVD」ともいう。)によって粒度の揃った球形状の合金粉末を容易に製造することができる。
[合金粉末の製造方法]
ここで、CVDによる合金粉末の製造方法について説明する。
例えば、Niの塩化物およびAlの塩化物をそれぞれ加熱して蒸発させ、これらの蒸気を水素ガスなどの還元性ガスにより還元して、NiとAlの合金粉末を製造する。合金粉末の組成及びその粉体の粒度は、反応条件を変化させて制御することができる。例えば、Ni1モルに対してAlが1モル生成する様な条件で反応させた場合には、金属間化合物のNiAl相の合金粉末が得られる。CVDでは、異種金属元素が原子レベルで混合するため、均一な組成の合金粉末を製造することができる。
なお、反応条件としては、原料の配合量(モル量)、加熱温度(900~1100℃)、水素ガスなどの還元性ガスの流量(10~100NL/min)、ガス温度(900~1100℃)などの条件が挙げられる。本発明のNi合金粉末を得るためには、例えば、NiCl2の供給速度が0.2mol/min、AlCl3の供給速度が0.2mol/min、キャリアN2ガス流量が10~200NL/min、H2ガス流量が20~50NL/min、反応温度1100℃の条件で実現することができる。ガス流量が多い場合には、得られる合金粉の粒径は小さくなり、ガス流量が少ない場合には、得られる合金粉の粒径は大きくなる。
上記の還元反応後、得られた合金粉末は、さらに脱塩素工程を施される。脱塩素工程は、溶剤を用いて、得られた合金粉末を洗浄し、塩素濃度を調整する工程である。使用する溶剤としては、未反応の塩化物や還元反応によって生成した副生成物を溶解する溶剤を用いることが好ましい。このような溶剤としては、水、アルコール等が例示される。所定の塩素濃度(例えば、30ppm)に到達したところで、脱塩素工程は終了し、目標の合金粉末が得られる。
[導電ペースト]
導電ぺ一ストは、従来の方法で製造することができる。一例を示すと、Ni合金粉末100重量部に対して、バインダ(エチルセルロースなど)を1~5重量部、有機溶媒(テレピネオールなど)を5~20重量部、混合してペーストを製造することができる。
[合金粉末の特性]
次に、本発明の効果として掲げた特性について説明する。
[焼結開始温度]
本発明は、焼結開始温度が高いことが特徴であるが、この意味は、合金粉の焼成収縮カーブが、温度範囲、収縮量共に、誘電体の焼成収縮カーブに近いカーブを持つために重要な指標である。もし、合金粉の焼結開始温度が、誘電体の焼結開始温度に比べて著しく低温であった場合には、積層セラミックコンデンサの焼成時の昇温の際に、誘電体層が収縮する前に、電極層が焼結し始めて、収縮し始める。その結果、誘電体層に拘束された電極層は、全体の導通を保った一枚板のまま収縮することができずに、至る所で破断することになり、電極の連続性が担保されなくなり、コンデンサとしての不良品が発生する。これに対して、合金粉の焼結開始温度が誘電体の焼結開始温度と同じで、さらに焼成収縮カーブも近似している場合には、積層セラミックコンデンサの焼成時の昇温の際に、誘電体層と電極層が同時に焼結、収縮するため、電極層は、誘電体層からの拘束を受けて破壊されることなく、全体の導通を保った一枚板のまま収縮することが可能となり、電極の連続性が担保されたコンデンサの製造が可能となる。
ここで、焼結開始温度の状況を調べる実験を行った。本発明のNi合金粉末として、Ni65%-Al35%の圧粉体を用い、NETZSCH社製の熱機械分析装置(TMA)TMA4000SEにより、加熱に伴う収縮量の変化を測定した。また、比較例として、Ni100%の金属粉末の圧粉体を用いて、同様の測定を行った。それらの結果を図1に示す。図1の横軸は、加熱温度であり、縦軸は、開始位置は、収縮前の圧粉体の高さ、終了位置は、収縮完了後の圧粉体の高さとして規格化し、収縮量の温度変化を比較したものである。
比較例のNi金属粉末(Ni100%)の曲線12では、400℃あたりから収縮が始まっているが、本発明例のNi合金粉末(Ni65%-Al35%)の曲線11では、900℃あたりから収縮が始まっており、焼結開始温度が高く、誘電体の焼結開始温度に近いものであることが分かる。
[耐酸化性]
積層セラミックコンデンサを焼成する際には、比表面積の大きな合金粉を焼結させるためには、合金粉の酸化を防ぐために、還元性雰囲気で焼成したいところであるが、還元性雰囲気で焼成すると、誘電体層が半導体化してしまい、コンデンサとして不良品となるため、酸化性雰囲気で焼成している。その際に、合金粉が酸化されずに電極を形成するためには、合金粉としての耐酸化性が求められる。
耐酸化性とは、酸化され難さを表すものであり、製造した圧粉体の温度上昇に伴う酸化の程度を質量変化によって示すものである。この指標として、具体的には、酸化による質量増加が0.5%に達する温度によって、耐酸化性の程度を比較することができる。
この質量増加が0.5%に達する温度の状況を調べる実験を行った。本発明のNi合金粉末として、Ni65%-Al35%の圧粉体を用い、温度の変化に伴う質量の変化をNETZSCH社製熱重量分析装置STA 2500 Regulusを用いて、昇温速度20K/min、大気雰囲気の条件により測定した。また、比較例として、Ni100%の金属粉末の圧粉体を用いて、同様の測定を行った。それらの結果を図2に示す。図2の横軸は、加熱温度であり、縦軸は、当初の圧粉体の質量から増加した比率を質量増加率(%)として表わしたものである。
本発明例のNi合金粉末(Ni65%-Al35%)の曲線21では、加熱すると徐々に質量は増加し、400℃あたりで質量増加が0.5%に到達した。しかし、比較例のNi金属粉末(Ni100%)の曲線22では、250℃あたりで0.5%に到達した。以上のことから、本発明のNi合金粉末は、酸化され難い材料であり、耐酸化性に優れた材料であることが分かる。
以下、さらに本発明について、実施例に基づき、さらに説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施例のみに限定されるものではない。
本発明に係るNi合金粉末および比較例の合金粉末について、その成分および平均粒径を調整し変化させたNi合金粉末を試作し、これらのNi合金粉末の焼結開始温度、昇温時に質量増加が0.5%に達する温度を測定し、その測定結果を表1に示した。
なお、焼結開始温度は、合金粉末に圧力をかけて圧粉体を製作し、この圧粉体の温度を上げていったときの圧粉体の高さ(試料高さ)と温度の関係を調査し、圧粉体の高さが減少し始めた温度を焼結開始温度とした。質量増加が0.5%に達する温度は、NETZSCH社製熱重量分析装置STA 2500 Regulusを用いて、昇温速度20K/min、大気雰囲気の条件により測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2022156248000002
さらに、ドクターブレード法で製造された誘電体シートと、本発明のNi合金粉末を有機溶媒中に分散させた導電性ぺ一ストを印刷法により成膜したものを複数積層した後、焼成して積層セラミックコンデンサを製造したところ、得られた積層セラミックコンデンサは、割れや剥離などの欠陥がなく、良好な作動特性を示した。
以上のように、本発明のNi合金粉末は、焼結開始温度が高く、かつ、耐酸化性に優れるので、積層セラミックコンデンサ内部電極用として最適である。
11 本発明例における加熱に伴う圧粉体の高さの推移を示す曲線
12 比較例における加熱に伴う圧粉体の高さの推移を示す曲線
21 本発明例における加熱に伴う質量増加率の推移を示す曲線
22 比較例における加熱に伴う質量増加率の推移を示す曲線

Claims (5)

  1. Ni:60.0~80.0質量%を含有し、残部Alおよび不可避的不純物からなるNi合金粉末であって、該Ni合金粉末の平均粒径が、0.04~1.00μmであることを特徴とするNi合金粉末。
  2. 前記Ni合金粉末は、主として金属間化合物のNiAl相からなることを特徴とする請求項1に記載のNi合金粉末。
  3. 前記NiAl相の平均結晶子径が、前記Ni合金粉末の平均粒径の0.3倍以上であることを特徴とする請求項2に記載のNi合金粉末。
  4. 前記Ni合金粉末が、導電ペースト用合金粉末であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のNi合金粉末。
  5. 前記平均粒径は、前記Ni合金粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)観察し、撮像して倍率2万倍で測定粒子数1000~2000個のSEM画像解析により求めた個数基準のD50であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のNi合金粉末。
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