JP2022155541A - 粘着剤および粘着テープ - Google Patents

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Abstract

【課題】高い保持力を有し、長期間保管後を想定した湿熱処理後でも高い保持力を有する粘着剤を提供する。【解決手段】アクリル系樹脂(A)、エポキシ系架橋剤(B)、エポキシ化合物(C)を含有し、アクリル系樹脂(A)が下記一般式(1)で示される末端カルボキシ基含有モノマー(a1)単位を含む粘着剤。TIFF2022155541000007.tif29134ここで、R1は水素またはメチル基、R2は2価の飽和脂肪族基、不飽和脂肪族基、芳香族基、飽和脂環族基、または不飽和脂環族炭化水素基、nは1以上の正数を示す。【選択図】なし

Description

本発明は、粘着剤に関し、さらに詳しくは、長期間保管後を想定した湿熱処理後の保持力に優れた粘着剤および粘着テープに関するものである。
従来、粘着テープの粘着剤層にアクリル系樹脂を使用する際に、粘着力、保持力ともに優れた粘着テープを得やすいことからエポキシ系架橋剤でアクリル系樹脂を架橋した粘着剤が検討されてきた。例えば、特許文献1にはアクリル酸アルキルエステルと極性基含有モノマーと末端に重合性不飽和二重結合を有するオレフィン系重合体を重合成分として含むアクリル系共重合体と粘着付与剤とエポキシ系架橋剤を含有する粘着剤組成物であり、高い粘着力と保持力を発現しうることが開示されている。
特開2003-3142号公報
しかし、上記特許文献1に開示されている粘着剤組成物が架橋された粘着剤層を有するテープは初期の粘着力、保持力には優れるものの、長期間保管後を想定した湿熱処理後の保持力については十分検討されていなかった。
そこで、本発明ではこのような背景の下において、高い保持力を有し、長期間保管後を想定した湿熱処理後でも高い保持力を有する粘着剤を提供することを目的とする。
しかるに本発明者は、かかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、アクリル系樹脂が、特定の末端カルボキシ基含有モノマー単位を有し、エポキシ系架橋剤およびエポキシ化合物を含有する粘着剤が湿熱処理後においても高い保持力を有することを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、以下の態様を有する。
[1]
アクリル系樹脂(A)、エポキシ系架橋剤(B)、エポキシ化合物(C)を含有し、アクリル系樹脂(A)が下記一般式(1)で示される末端カルボキシ基含有モノマー(a1)単位を含む粘着剤。
Figure 2022155541000001
ここで、R1は水素またはメチル基、R2は2価の飽和脂肪族基、不飽和脂肪族基、芳香族基、飽和脂環族基、または不飽和脂環族炭化水素基、nは1以上の正数を示す。
[2]
エポキシ化合物(C)が、下記の測定条件におけるゲル分率が5質量%以下となるエポキシ化合物である、[1]記載の粘着剤。
<測定条件>
アクリル系樹脂(A)100質量部に対してエポキシ化合物(C)を0.024質量部添加して混合した混合物を、膜状物に乾燥後の厚みが110μmとなる様に塗工し、80℃で5分間乾燥した後、塗工面を基材に貼り合せ、40℃7日間静置した後の混合物のゲル分率。
[3]
アクリル系樹脂(A)が水酸基含有モノマー(a2)単位を含む、[1]または[2]記載の粘着剤。
[4]
アクリル系樹脂(A)中の末端カルボキシ基含有モノマー(a1)単位が1~20質量%である、[1]~[3]のいずれかに記載の粘着剤。
[5]
基材の少なくとも片面に[1]~[4]のいずれかに記載の粘着剤を有する、粘着テープ。
[6]
基材がフラットヤーンクロスを含有する、[5]記載の粘着テープ。
本発明は、特定の末端カルボキシ基含有モノマー単位を有するアクリル系樹脂、エポキシ系架橋剤、エポキシ化合物を含有する粘着剤で、湿熱処理後に高い保持力を有する粘着剤となるものである。本発明の粘着剤を基材の少なくとも片面に有する粘着テープも湿熱処理後に高い保持力を有する。
そして、本発明のなかでも、特に、基材がフラットヤーンクロスを含む基材であることでさらに手切れ性に優れたものとすることができる。
以下に、本発明の実施形態例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とはアクリルあるいはメタクリルを、「(メタ)アクリロイル」とはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、「(メタ)アクリレート」とはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味する。
また、アクリル系樹脂とは、少なくとも1種の(メタ)アクリレート系モノマーを含む共重合モノマーを重合して得られる樹脂である。
本発明の一実施形態に係る粘着剤(以下、「本粘着剤」と称する)は、アクリル系樹脂(A)、エポキシ系架橋剤(B)、エポキシ化合物(C)を含有する。以下、本粘着剤に含有する成分について順に説明する。
<アクリル系樹脂(A)>
アクリル系樹脂(A)は、下記一般式(1)で示される末端カルボキシ基含有モノマー(a1)単位を含有する。
Figure 2022155541000002
ここで、R1は水素またはメチル基、R2は2価の飽和脂肪族基、不飽和脂肪族基、芳香族基、飽和脂環族基、または不飽和脂環族炭化水素基、nは1以上の正数を示す。
また、アクリル系樹脂(A)は、上記モノマー(a1)単位に加え、水酸基含有モノマー(a2)単位を有することが、粘着力向上の点から好ましく、必要に応じてさらに下記のモノマー(a3)~(a6)単位を有する。以下、各モノマー単位について説明する。
〔モノマー(a1)単位〕
モノマー(a1)単位は、下記一般式(1)で示される末端カルボキシ基含有モノマー単位である。
Figure 2022155541000003
ここで、R1は水素またはメチル基、R2は2価の飽和脂肪族基、不飽和脂肪族基、芳香族基、飽和脂環族基、または不飽和脂環族炭化水素基、nは1以上の正数を示す。
上記R1は水素であることが好ましく、R2の炭化水素は、通常、メチレン基等の炭素数1~10、さらには1~5、特には1~2のアルキレン、フェニレン、殊にはエチレンであることが好ましく、上記nは1~10であることが好ましく、より好ましくは1~5、さらに好ましくは1~3であり、それらを複合して有していてもよい。
上記モノマー(a1)単位の含有割合としては、アクリル系樹脂(A)中の1~20質量%であることが好ましく、より好ましくは1.5~15質量%、さらに好ましくは2~8.5質量%である。含有割合が少なすぎでも多すぎても粘着性が低下する傾向がある。
上記モノマー(a1)単位を有するアクリル系樹脂(A)を得る方法としては、下記化学式(2)のモノマーを共重合モノマーとして用いて重合することによって得られる。
〔式〕 CH2=CR1-CO-O-(R2-COO-)nH ・・・(2)
(ここで、R1は水素またはメチル基、R2は2価の飽和脂肪族基、不飽和脂肪族基、芳香族基、飽和脂環族基、または不飽和脂環族炭化水素基、nは1以上の正数を示す。)
〔モノマー(a2)単位〕
アクリル系樹脂(A)は、上記モノマー(a1)単位の他に、水酸基含有モノマー(a2)単位を有することが好ましい。
上記水酸基含有モノマー(a2)単位を形成するための共重合モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、カプロラクトン変性2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性モノマー、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン変性モノマー、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリルアミド、2-アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタル酸、アリルアルコール等の1級水酸基含有モノマー;2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の2級水酸基含有モノマー;2,2-ジメチル-2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の3級水酸基含有モノマーをあげることができる。
これらの中でも、粘着剤の粘着力に優れる点で1級水酸基含有モノマーが好ましく、より好ましくは(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、さらに好ましくは炭素数2~8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、特に好ましくは炭素数2~4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、具体的には、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
上記水酸基含有モノマー(a2)単位の含有割合としては、アクリル系樹脂(A)全体の0.01~5質量%であることが好ましく、より好ましくは0.05~3質量%、さらに好ましくは0.05~2質量%である。モノマー(a2)単位が少なすぎても、多すぎても粘着性が低下する傾向がある。
〔モノマー(a3)単位〕
アクリル系樹脂(A)は、上記モノマー(a1)単位および(a2)単位の他に、さらに(メタ)アクリル酸モノマー(a3)単位を有することが好ましい。
(メタ)アクリル酸モノマー(a3)単位の含有割合としては、アクリル系樹脂(A)全体の0.1~5質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5~4.5質量%、さらに好ましくは1~4質量%である。含有割合が少なすぎても、多すぎても、粘着性が低下する傾向がある。
また、モノマー(a1)単位とモノマー(a3)単位との含有割合は、質量比で、モノマー(a1)単位100質量部に対してモノマー(a3)単位が、10~400質量部であることが好ましく、より好ましくは20~200質量部、さらに好ましくは25~100質量部、特に好ましくは30~75質量部である。モノマー(a3)単位が少なすぎると保持力が低下する傾向があり、多すぎると被着体に対する粘着性が低下する傾向がある。
〔モノマー(a4)単位〕
アクリル系樹脂(A)は、上記モノマー(a1)~(a3)単位の他に、さらに炭素数4~24のアルキル基を有する(メタ)アクリレートモノマー(a4)単位を有することが望ましい。上記炭素数4~24のアルキル基を有する(メタ)アクリレートモノマー(a4)単位を形成するための共重合モノマーとしては、炭素数4~7のアルキル基を有する(メタ)アクリレートモノマー(a4-1)、および、炭素数8~24のアルキル基を有する(メタ)アクリレートモノマー(a4-2)を含有することが好ましい。
上記炭素数4~7のアルキル基を有する(メタ)アクリレートモノマー(a4-1)としては、例えば、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート等があげられる。なかでも、入手が容易で経済性に優れる点でn-ブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
上記炭素数8~24のアルキル基を有する(メタ)アクリレートモノマー(a4-2)としては、例えば、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソトリデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、べヘニル(メタ)アクリレート等があげられる。なかでも、極性が低く、ガラス転移温度が低い点で炭素数8~12のアルキル基を有する(メタ)アクリレートが好ましく、特には、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましい。
上記モノマー(a4)単位の含有割合としては、アクリル系樹脂(A)全体の55~97質量%であることが好ましく、より好ましくは70~95質量%、さらに好ましくは80~93質量%である。含有量が少なすぎると粘着性が低下する傾向があり、多すぎると粘着性が低下するとともに保持力が低下する傾向がある。
また、上記モノマー(a4-1)単位の上記モノマー(a4-2)単位に対する含有割合は、質量比で、(a4-1)/(a4-2)=1/99~85/15であることが好ましく、より好ましくは2/98~75/25、さらに好ましくは3/97~70/30、特に好ましくは5/95~60/40、殊に好ましくは5/95~45/55である。上記モノマー(a4-1)単位の含有割合が小さすぎると保持力が低下する傾向があり、大きすぎると粘着性が低下する傾向がある。
〔モノマー(a5)単位〕
アクリル系樹脂(A)は、上記モノマー(a1)~(a4)単位の他に、さらに、炭素数1~3のアルキル基を有する(メタ)アクリレートモノマー(a5-1)単位、環状構造含有モノマー(a5-2)単位または炭素数3~10のビニルエステル系モノマー(a5-3)単位を有することが好ましく、より好ましくは炭素数1~3のアルキル基を有する(メタ)アクリレートモノマー(a5-1)単位を有することである。なお、上記(a5-1)~(a5-3)の総称が、モノマー(a5)である。
上記炭素数1~3のアルキル基を有する(メタ)アクリレートモノマー(a5-1)単位を形成するための共重合モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート等があげられる。なかでも、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートが好ましい。
上記環状構造含有モノマー(a5-2)単位を形成するための共重合モノマーは、通常、環状構造を含有する置換基を有するアクリル系モノマーであり、例えば、N-(メタ)アクリロイルモルホリン、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-(メタ)アクリロイルピペリジン、N-(メタ)アクリロイルピロリジン等のモルホリン環、ピペリジン環、ピロリジン環、ピペラジン環等の複素環を有する複素環含有(メタ)アクリレートや、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ノニルフェノールポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ビフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、その他、スチレン、α-メチルスチレン等があげられる。なかでも、各種物性のバランスが良いことからモルホリン環を有する複素環含有(メタ)アクリレート、特には入手の容易さ、安全性の点からN-(メタ)アクリロイルモルホリンが好ましい。
また、上記炭素数3~10のビニルエステル系モノマー(a5-3)単位を形成するための共重合モノマーとしては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル等があげられる。なかでも、入手が容易な点で、酢酸ビニルが好ましい。
上記モノマー(a5)単位の含有割合としては、アクリル系樹脂(A)全体の11質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは8質量%以下である。(a5)成分の含有量が多すぎると被着体に対する粘着性が低下する傾向がある。なお、(a5)成分の含有量の下限は、通常0質量%であり、1質量%以上が好ましい。
〔モノマー(a6)単位〕
アクリル系樹脂(A)は、上記モノマー(a1)~(a5)単位の他に、必要に応じてその他の共重合モノマー(a6)単位を有していてもよく、その他の共重合モノマー(a6)単位を形成するための共重合モノマーとしては、例えば、アセトアセチル基含有モノマー、イソシアネート基含有モノマー、グリシジル基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、アミド基含有モノマー等の官能基含有モノマーや他の共重合モノマーがあげられる。
上記アセトアセチル基含有モノマーとしては、例えば、2-(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート、アリルアセトアセテート等があげられる。
上記イソシアネート基含有モノマーとしては、例えば、2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネートやそれらのアルキレンオキサイド付加物等があげられる。
上記グリシジル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸アリルグリシジル等があげられる。
上記アミノ基含有モノマーとしては、エチレン性不飽和二重結合およびアミノ基(無置換または置換アミノ基)を有するモノマーがあげられ、例えば、(メタ)アクリル酸アミノメチル、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、(メタ)アクリル酸アミノイソプロピル等の(メタ)アクリル酸アミノアルキルや(メタ)アクリル酸N-(t-ブチル)アミノエチル等のN-アルキルアミノアルキルの(メタ)アクリル酸エステル等の一置換アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N-ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノプロピル等のN,N-ジアルキルアミノアルキルの(メタ)アクリル酸エステル等の二置換アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル;N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、これらアミノ基含有単量体の四級化塩等;p-アミノスチレン等のアミノ基含有スチレン類;3-(ジメチルアミノ)スチレン、ジメチルアミノメチルスチレン等のジアルキルアミノ基を有するスチレン類;N,N-ジメチルアミノエチルビニルエーテル、N,N-ジエチルアミノエチルビニルエーテル等のジアルキルアミノアルキルビニルエーテル類;アリルアミン、4-ジイソプロピルアミノ-1-ブテン、トランス-2-ブテン-1,4-ジアミン、2-ビニル-4,6-ジアミノ-1,3,5-トリアジン等があげられる。
上記アミド基含有モノマーとしては、エチレン性不飽和二重結合およびアミド基(アミド結合を有する基)を有するモノマーがあげられ、例えば、(メタ)アクリルアミド;N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-n-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-イソブチル(メタ)アクリルアミド、N-s-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-t-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-ヘキシル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N'-メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N-(1,1-ジメチル-3-オキソブチル)(メタ)アクリルアミド等のN-アルキル(メタ)アクリルアミド;N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(n-ブチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(s-ブチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(t-ブチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ジペンチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジヘキシル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジヘプチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジオクチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジアリル(メタ)アクリルアミド、N,N-エチルメチルアクリルアミド等のN,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド;N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド;N-ビニルアセトアミド、N-ビニルホルムアミド、(メタ)アクリルアミドエチルエチレンウレア、(メタ)アクリルアミド-t-ブチルスルホン酸等の置換アミド基含有モノマー;N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-(n-ブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド等のアルコキシ基含有(メタ)アクリルアミド;これらアミド基含有モノマーの四級化塩等があげられる。
上記他の共重合モノマーとしては、例えば、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール-モノ(メタ)アクリレート等のアルコキシ基またはオキシアルキレン基を含有するモノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ステアリン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、ビニルトルエン、イタコン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、アクリルクロライド、メチルビニルケトン、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン等があげられる。
その他の共重合モノマー(a6)は、用途に応じて物性を調整するために本発明の効果を阻害しない程度、例えば10質量%以下を含有してもよい。なお、(a6)成分の含有量の下限は、通常0質量%である。
本発明の一実施形態においては、上記モノマー(a1)、好ましくはさらにモノマー(a2)、必要に応じてさらにモノマー(a3)~(a6)を重合することにより、アクリル系樹脂(A)が得られる。すなわち、かかる重合によって、上記モノマー(a1)単位、好ましくはさらにモノマー(a2)単位、必要に応じてさらにモノマー(a3)~(a6)単位を有するアクリル系樹脂(A)が得られる。
なお、共重合モノマーとしての、各モノマー(a1)~(a5)は、それぞれ単独でもしくは2種以上併せて用いることができ、これら各モノマー(a1)~(a6)単位は、アクリル系樹脂(A)中にそれぞれ単独でもしくは2種類以上を併せて有していてもよい。
上記重合にあたっては、溶液重合で製造することが、安全に、安定的に、任意のモノマー組成でアクリル系樹脂(A)を製造できる点で好ましい。
かかる溶液重合は、常法にしたがって、例えば、有機溶剤中に、上記モノマー(a1)~(a6)等の共重合モノマー、および、重合開始剤を混合あるいは滴下し、還流状態あるいは50~98℃で0.1~20時間重合すればよい。有機溶剤中で重合されたアクリル系樹脂(A)は有機溶剤系アクリル系樹脂である。
かかる重合開始剤としては、通常のラジカル重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤等が具体例としてあげられる。これらは単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。なかでも、アゾ系重合開始剤が好ましく用いられる。
重合開始剤の使用量としては、通常、共重合モノマー100質量部に対して0.001~5質量部である。
このようにして得られるアクリル系樹脂(A)の重量平均分子量は、10万~500万であることが好ましく、より好ましくは30万~150万、さらに好ましくは40万~90万である。重量平均分子量が小さすぎると、耐久性が低下する傾向があり、大きすぎると粘着力が低下する傾向がある。
また、アクリル系樹脂(A)の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、20以下であることが好ましく、より好ましくは15以下、さらに好ましくは10以下、特に好ましくは7以下である。かかる分散度が高すぎると粘着剤層の耐久性が低下し、発泡等が発生しやすくなる傾向にある。なお、分散度の下限は、製造の限界の点から、通常1.1である。
上記アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフ(日本Waters社製、「Waters 2695(本体)」と「Waters 2414(検出器)」)に、カラム:Shodex GPC KF-806L(排除限界分子量:2×107、分離範囲:100~2×107、理論段数:10000段/本、充填剤材質:スチレン-ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)を3本直列にして用いることにより測定されるものであり、数平均分子量も同様の方法を用いることができる。
また、アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、-80~10℃が好ましく、より好ましくは-70~-10℃、さらに好ましくは-65~-20℃である。ガラス転移温度が高すぎるとタックが不足する傾向があり、低すぎると耐熱性が低下する傾向がある。
上記ガラス転移温度(Tg)は、アクリル系樹脂(A)を構成するそれぞれのモノマーをホモポリマーとした際のガラス転移温度および質量分率を、下記のFoxの式に当てはめて算出した値である。
Figure 2022155541000004
Tg: アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度(K)
Tga: モノマーAのホモポリマーのガラス転移温度(K)
Wa: モノマーAの質量分率
Tgb: モノマーBのホモポリマーのガラス転移温度(K)
Wb: モノマーBの質量分率
Tgn: モノマーNのホモポリマーのガラス転移温度(K)
Wn: モノマーNの質量分率
(Wa+Wb+・・・+Wn=1)
ここで、アクリル系樹脂(A)を構成するモノマーをホモポリマーとした際のガラス転移温度は、通常、JIS K7121-1987や、JIS K 6240に準拠した方法で示差走査熱量計(DSC)により測定される値、およびカタログの記載値を用いる。
アクリル系樹脂(A)は通常、溶剤等により粘度調整され、アクリル系樹脂(A)溶液として塗工に供せられる。上記アクリル系樹脂(A)溶液の粘度としては、取扱い易さの点から500~20000mPa・sであることが好ましく、より好ましくは1000~18000mPa・s、さらに好ましくは2000~15000mPa・sである。かかる粘度が高すぎると流動性が低下して取り扱いにくくなる傾向にあり、低すぎると粘着剤の塗工が困難となる傾向がある。なお、塗工の際の溶液濃度は、通常10~70質量%である。
上記溶剤としては、アクリル系樹脂(A)を溶解させるものであれば特に限定されることなく、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、メタノール、エタノール、プロピルアルコール等のアルコール系溶剤等を用いることができる。これらの中でも、溶解性、乾燥性、価格等の点から酢酸エチル、メチルエチルケトン、特に酢酸エチルが好適に用いられる。これら上記の溶剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記アクリル系樹脂(A)溶液の粘度は、JIS K5400(1990)の4.5.3 回転粘度計法に準じて測定することができる。
アクリル系樹脂(A)は、本粘着剤(または粘着剤組成物)の主成分であり、アクリル系樹脂(A)の含有量は、本粘着剤全体の50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%%以上、殊に好ましくは90質量%以上である。上限は、通常99.99質量%である。
<エポキシ系架橋剤(B)>
本粘着剤は、上記アクリル系樹脂(A)に加え、エポキシ系架橋剤(B)を含有する。
上記エポキシ系架橋剤(B)としては、触媒を添加せずとも温和な条件下でカルボキシ基と十分に反応するものを指す。例えば、ジグリシジルアミン等の脂肪族エポキシ系架橋剤;1,3-ビス(N,N’-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン等の脂環式エポキシ系架橋剤;ジグリシジルアニリン等の芳香族エポキシ系架橋剤、1,3,5-トリス-(2,3-エポキシブチル)-イソシアヌレート、1,3,5-トリス-(3,4-エポキシブチル)-イソシアヌレート、1,3,5-トリス-(4,5-エポキシペンチル)-イソシアヌレート等の複素環式エポキシ架橋剤等があげられ、なかでも、脂環式エポキシ系架橋剤が好ましい。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記エポキシ系架橋剤(B)の含有量は、アクリル系樹脂(A)100質量部に対して、0.001~5質量部であることが好ましく、より好ましくは0.005~1質量部、さらに好ましくは0.01~0.1質量部である。上記含有量が少なすぎると保持力が低下する傾向があり、多すぎると各種被着体に対する粘着性が低下する傾向がある。
上記エポキシ系架橋剤(B)は溶剤等で希釈して使用することができるが、上記含有量、含有割合は溶剤等を除く実質の架橋剤の含有量、含有割合を示す。
<エポキシ化合物(C)>
本粘着剤は、上記(A)および(B)成分以外に、エポキシ化合物(C)を含有する。
上記エポキシ化合物(C)としては、例えば、3級アミン骨格のようなエポキシ基を活性化するような構造を持たず、触媒を添加せずにアクリル系樹脂中のカルボキシ基と反応させるには高温が必要となる化合物を指す。
上記エポキシ化合物(C)は、下記の測定条件によるゲル分率が5質量%以下となるエポキシ化合物であることが好ましく、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。なお、下限値は、通常0質量%である。
<測定条件>
アクリル系樹脂(A)100質量部に対してエポキシ化合物(C)を0.024質量部添加して混合した混合物を、膜状物に乾燥後の厚みが110μmとなる様に塗工し、80℃で5分間乾燥した後、塗工面を基材に貼り合せ、40℃7日間静置した後の混合物のゲル分率。
上記ゲル分率は、架橋度(硬化度合い)の目安となるもので、例えば、以下の方法にて算出される。すなわち、膜状物にアクリル系樹脂(A)とエポキシ化合物(C)の混合物を塗工、乾燥、エージングした試験片に関して、試験片を包み込めるサイズの200メッシュのSUS製金網を準備し質量を測定する(1)。試験片から膜状物を剥がし、前述のSUS製金網で包みテープ質量を金網ごと測定する(2)。23℃に保ったトルエン中に48時間浸漬した後、十分に乾燥し、試験片の質量を金網ごと測定する(3)。浸漬後の試験片を金網から取り出し、残存している混合物を取り除いた後、基材質量を測定する(4)。下記式に示すように差し引きを行い、浸漬前に対する浸漬後の混合物の質量百分率をゲル分率とする。
〔式〕ゲル分率(%)=(SUS製金網質量を含む浸漬後の試験片の質量(3)-基材質量(4)-SUS製金網質量(1))/(SUS製金網質量を含む浸漬前の試験片の質量(2)-基材質量(4)-SUS製金網質量(1))×100
すなわち、上記エポキシ化合物(C)は、アクリル系樹脂(A)と混合し、通常の粘着剤を形成する工程を経てもほぼ架橋構造を形成しない化合物であり、ゲル分率が5質量%を超えないことが好ましい。つまりアクリル系樹脂(A)と架橋構造を形成するエポキシ系架橋剤(B)は、エポキシ化合物(C)からは除外されるものである。
このようなエポキシ化合物(C)としては、例えば、アルコール型エポキシ化合物、グリコール型エポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、フェノールアラルキル型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、トリフェニルメタン型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、多官能フェノール型エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、ゴム変性エポキシ化合物等の、各種エポキシ化合物があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。なかでも、ゴム変性エポキシ化合物が保持力の点から好ましく、より好ましくはゴム変性剤として末端カルボキシ基ブタジエンアクリロニトリル共重合体(CTBN)を用いることである。
ビスフェノールA型エポキシ化合物としては、例えば、市販品の、EPON825、jER826、jER827、jER828、jER834、jER1001(以上、三菱ケミカル社製)、エピクロン850(DIC社製)、エポトートYD-128(新日鐵住金化学社製)、DER-331、DER-332(以上、ダウ・ケミカル日本社製)、Bakelite EPR154、Bakelite EPR162、Bakelite EPR172、Bakelite EPR173、Bakelite EPR174(以上、Bakelite AG社製)等があげられる。
フェノールノボラック型エポキシ化合物としては、例えば、市販品の、jER152、jER154(以上、三菱ケミカル社製)、エピクロンN-730A、エピクロンN-740、エピクロンN-770、エピクロンN-775(以上、DIC社製)等があげられる。
ゴム変性エポキシ化合物としては、例えば、市販品の、アデカレジンEPRシリーズ(EPR-1415-1、EPR-2000、EPR-2007、EPR-1630)(以上、ADEKA社製)、EPON Resin 58005、EPON Resin 58006(以上、Momentive社製)、Hypoxシリーズ(Hypox RA 840、Hypox RA 1340、Hypox RF 1341)(以上、CVC Thermoset Specialties社製)等があげられる。
グリコール型エポキシ化合物としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテルがあげられ、市販品では、デコナールEX-800シリーズ(EX-810、EX-850、EX-821、EX-830)(以上、ナガセケムテックス社製)、デコナールEX-200シリーズ(EX-211、EX-212、EX-214)(以上、ナガセケムテックス社製)、デコナールEX-900シリーズ(EX-920、EX-931)、エポライトシリーズ(40E、100E、200E、400E、70P、200P、400P、1500NP、1600、80MF、100MF)(以上、共栄社化学社製)等があげられる。
エポキシ化合物(C)のエポキシ当量は110g/eq以上が好ましく、150g/eq以上がより好ましく、200g/eq以上がさらに好ましい。エポキシ当量はJIS K7236に準じて測定される。
上記エポキシ化合物(C)は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
上記エポキシ化合物(C)の含有量は、アクリル系樹脂(A)100質量部に対して、0.005~10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.01~5質量部、さらに好ましくは0.05~1質量部である。上記含有量が少なすぎると湿熱処理後の保持力が低下する傾向があり、多すぎると各種被着体に対する粘着性が低下する傾向がある。
上記エポキシ系架橋剤(B)の含有量とエポキシ化合物(C)の含有量の合計量は、アクリル系樹脂(A)100質量部に対して、0.006~15質量部であることが好ましく、より好ましくは0.01~5質量部、さらに好ましくは0.03~1質量部である。上記含有量が少なすぎると保持力が低下する傾向があり、多すぎると各種被着体に対する粘着性が低下する傾向がある。
上記エポキシ化合物(C)を含有する粘着剤が湿熱処理後の保持力の低下を抑制できる理由については明らかではないが、アクリル系樹脂(A)とエポキシ架橋剤(B)との架橋点が湿熱処理により分解するのをエポキシ化合物(C)が阻害しているか、湿熱処理条件下でアクリル系樹脂(A)とエポキシ化合物(C)とが強固な結合を形成しているか、またはその両方が起こっていることが考えられる。
本粘着剤(または粘着剤組成物)には、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の成分として、(A)~(C)以外の樹脂成分、粘着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、腐食防止剤、架橋促進剤、ラジカル発生剤、過酸化物、紫外線吸収剤、可塑剤、顔料、安定化剤、充填剤、ラジカル捕捉剤等の各種添加剤、金属および樹脂粒子等を配合することができる。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いることができる。また、上記の他にも、本粘着剤の構成成分の製造原料等に含まれる不純物等が少量含有されたものであってもよい。
上記その他の成分の含有量は、アクリル系樹脂(A)100質量部に対して5質量部以下であることが好ましく、より好ましくは1質量部以下、さらに好ましくは0.5質量部以下である。下限は通常0質量部である。かかる含有量が多すぎるとアクリル系樹脂(A)との相溶性が低下し、耐久性が低下する傾向がある。ただし、上記の含有量では、その効果を発揮しない添加剤(顔料、充填剤、金属および樹脂粒子等)に関しては、添加剤の効果を発揮しつつ本発明の効果を阻害しない範囲で適量を添加する場合がある。
本粘着剤(または粘着剤組成物)は、上記のように、アクリル系樹脂(A)、エポキシ系架橋剤(B)およびエポキシ化合物(C)に加え、必要に応じて、その他の成分等を含有する。アクリル系樹脂(A)が有機溶剤系アクリル系樹脂である上記粘着剤または粘着剤組成物は有機溶剤系粘着剤または有機溶剤系粘着剤組成物である。
上記各成分を混合することにより、粘着剤組成物が得られ、この粘着剤組成物が架橋されることにより、本粘着剤が得られる。そして、本粘着剤は、種々の基材に適用し粘着テープの粘着剤とすることができる。なかでも、長期間保管後を想定した湿熱処理後でも高い保持力を有することから、気密防水用途の粘着テープの粘着剤として好適に用いることができる。
<粘着テープ>
本発明の一実施形態に係る粘着テープ(以下、「本粘着テープ」と称する)は、上記粘着剤組成物を架橋することにより得られた粘着剤を、粘着剤層として含有するものである。具体的には、上記粘着剤組成物を、酢酸エチル等の溶剤に溶解させて、固形分濃度が10~70質量%になるように塗工用の粘着剤組成物溶液を調液し、この溶液を基材の少なくとも片面に塗工、乾燥することにより、基材の少なくとも片面に粘着剤を有する粘着テープとすることができる。
かかる粘着テープの製造方法については、公知一般の粘着テープの製造方法を用いればよく、例えば、基材の一方の面に粘着剤を塗工・乾燥し、形成された粘着剤層の表面にリリースライナーを重ねる方法、あるいはリリースライナーの一方の面に粘着剤を塗工・乾燥し、形成された粘着剤層の表面に基材を重ねる方法によって製造することができる。なかでも、リリースライナーの一方の面に粘着剤を塗工・乾燥し、形成された粘着剤層の表面に基材を重ねる方法がハンドリング等の点から好ましい。
また、上記基材は、手切れ性を有するものが好ましく、手切れ性を有する基材の表面には、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理等の物理的処理、下塗り処理等の化学的処理等の公知慣用の表面処理を適宜施してもよい。
上記基材としては、従来公知の基材であれば特に限定されることはないが、例えば、レーヨン布、綿布、ポリエステル布、レーヨンとポリエステルの混紡糸からなる布、不織布、フラットヤーンクロス、フラットヤーンクロスにプラスチックフィルムがラミネートされた積層フィルム等があげられる。これらの基材は単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。なかでも、長手方向の引張強度が高く、手切れ性に優れる点から、フラットヤーンクロスを含有するものが好ましい。
フラットヤーンクロスとは、フラットヤーンと呼ばれるポリエチレンやポリプロピレンのフィルムを、短冊状にカットし延伸することにより強度を持たせた平らな糸を織って織布としたもので、この織布の縦と横に交差するフラットヤーンの交差部を熱融着により固定して目ずれしないようにしたものが用いられる。フラットヤーンの材質としては、ポリエチレンやポリプロピレンといったオレフィン系樹脂が好ましく、ポリエチレンがより好ましく、高密度ポリエチレンが特に好ましい。
フラットヤーンクロスにプラスチックフィルムがラミネートされた基材を使用することが、安定した粘着力や剥離性が得られる点で好ましい。これは両面粘着テープの場合、プラスチックフィルムを有することで、一方の面の粘着剤が基材を抜けて他方の面の粘着剤と混合することを防いだり、一方の面の粘着剤層の添加剤、例えば架橋剤や難燃剤、可塑剤などが他方の面の粘着剤層に移行することを抑制したりできるためと考えられる。また、フラットヤーンクロスにプラスチックフィルムをラミネートすることで、破断点がスムーズに伝播されるためか、手切れ性も向上し、破断面の直線性が向上する。プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンフィルムが好ましく、低密度ポリエチレンフィルムがより好ましい。
また、フラットヤーンクロスにプラスチックフィルムがラミネートされた基材は軽量であることが好ましく、プラスチックフィルムは薄膜であることが好ましい。プラスチックフィルムの厚みは10~80μmであることが好ましい。プラスチックフィルムはフラットヤーンクロスの片面のみにラミネートされていてもよく、両面にラミネートされていてもよい。フラットヤーンクロスへのフィルムのラミネート方法については、接着剤を使わずに軽量化できる点で、押出ラミネートが好ましい。
フラットヤーンクロスを含む基材の厚みは、好ましくは10~200μmであり、より好ましくは50~100μmであり、さらに好ましくは60~90μmである。かかる厚みが薄すぎると、手切れ性は向上するものの粘着テープ製造時にシワが混入する等の不良が増加する傾向があり、厚すぎると粘着テープ製造時の不良は低減するものの、切断により大きな力が必要となり手切れ性が低下する傾向がある。
上記リリースライナーとしては、例えば、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂、セロハン等のプラスチックからなるプラスチックフィルム;クラフト紙、和紙等の紙;天然ゴム、ブチルゴム等からなるゴムシート;ポリウレタン、ポリクロロプレンゴム等を発泡させてなる発泡体シート;アルミニウム箔、銅箔等の金属箔;これらの複合体等があげられる。また、これらはその片面または両面にコロナ処理等の表面処理が施されていてもよい。
さらに、上記リリースライナーとして、例えば、グラシン紙、クラフト紙、クレーコート紙にポリエチレン等のフィルムをラミネートした紙、ポリビニルアルコールやアクリル酸エステル共重合体等の樹脂を塗工した紙、ポリエステルやポリプロピレン等の合成樹脂フィルム等に、剥離剤であるフッ素系樹脂やシリコーン系樹脂等を塗工してなるものもあげられる。
これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
これらの中でも、容易に手で引き裂けやすいという点で紙製のリリースライナーが好ましく、原紙の坪量が好ましくは40~120g/m2、より好ましくは50~80g/m2である紙製リリースライナーが特に好ましい。さらに、かかるリリースライナーの厚みとしては、40~180μmであることが好ましく、より好ましくは60~140μm、さらに好ましくは80~120μmである。かかる厚みが薄すぎると巻き取り時にシワが入る等、製造が困難になる傾向があり、厚すぎると手切れ性が低下する傾向がある。
上記基材もしくはリリースライナーの一方の面に粘着剤を塗工する際に用いる塗工装置としては、通常使用されている塗工装置を用いればよく、例えば、ロールナイフコーター、ダイコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、ディッピング、ブレードコーター等があげられる。
また、粘着剤層の乾燥後の厚みとしては、5~200μmであることが好ましく、より好ましくは10~150μm、さらに好ましくは15~130μmである。
かかる厚みが厚すぎると粘着剤の塗工が困難になる傾向があり、薄すぎると十分な粘着力が得られない傾向がある。
また、本粘着テープは、片面粘着テープであってもよいし、両面粘着テープであってもよい。また、両面粘着テープの粘着剤層は、ともに同一の粘着剤層であってもよいし、異なる組成の粘着剤層であってもよい。
なお、両面粘着テープの粘着剤層上にリリースライナーを積層する場合においては、作業性の向上のために、両面に積層されるリリースライナーの剥離力が異なるようにそれぞれのリリースライナーを選択することが好ましい。例えば、両面粘着テープの初めに貼着する面側のリリースライナーの剥離力は、次に貼着する面側のリリースライナーの剥離力より小さいリリースライナーを選択すると作業性が向上する。
上記乾燥条件は、乾燥時に粘着剤中の溶剤や残留モノマーが乾燥し除去され、かつ、アクリル系樹脂(A)が有する官能基とエポキシ系架橋剤(B)とが反応し、架橋構造が形成され得る条件であればよい。乾燥条件として、例えば、60~120℃、1~5分間程度が好ましい。乾燥後、シート状基材で粘着剤層を挟んだ状態で熟成(エージング)し、さらに架橋反応を進行させることができる。
本粘着テープは、ロール状であってもよいし、枚葉状態であってもよいし、あるいはさらに種々の形状に加工されたものであってもよい。
そして、粘着テープが、両面粘着テープであり、枚葉状態である場合には、2つの粘着剤層の両方の表面にリリースライナーが設けられることが好ましく、また、ロール状態の場合には、2つの粘着剤層の一方の表面のみにリリースライナーが設けられることが好ましい。
かくして本粘着テープが得られるものであるが、本粘着テープは、高い保持力を有し、長期間保管後を想定した湿熱処理後でも高い保持力を有するものである。さらに、基材フィルムとして、手切れ性を有する基材を用いた場合には、テープの幅方向に対してテープカッター等を使用することなく任意の位置において手で容易に切断することができ、粘着テープとして特に有用なものとなる。
本粘着テープにおける粘着剤のゲル分率については、保持力が高くなる点で、30質量%以上が好ましく、より好ましくは35質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上である。一方、60質量%以下が好ましく、より好ましくは55質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。ゲル分率が低すぎると被着体に対する保持力が低下する傾向にあり、高すぎると粘着性が低下する傾向にある。
なお、粘着剤のゲル分率を上記範囲に調整するにあたっては、エポキシ系架橋剤(B)の種類と量を調整すること等により達成される。
上記ゲル分率は、架橋度(硬化度合い)の目安となるもので、例えば、後記実施例に記載の方法で測定することができる。
本粘着テープにおける粘着剤の保持力としては、SUS304鋼試験板に対し、後記実施例に記載の方法により作製した粘着テープが鉛直に垂れ下がるように1000gの錘を取り付け、その後40℃の環境にて粘着テープが落下した時間を測定した場合、保持時間が500分間以上であることが好ましく、より好ましくは800分間以上、さらに好ましくは1000分間以上である。
また、本粘着テープにおける粘着剤の、湿熱処理後の保持力としては、SUS304鋼の試験板に対し、後記実施例に記載の方法により作製した粘着テープが鉛直に垂れ下がるように1000gの錘を取り付け、40℃90%RHに調整された恒温恒湿器内に4週間静置して湿熱処理した後、40℃の環境にて粘着テープが落下した時間を測定した場合、保持時間が500分間以上であることが好ましく、より好ましくは800分間以上、さらに好ましくは1000分間以上である。
上記粘着テープにおける粘着剤の粘着力としては、通常、使用される被着体に対して、JIS Z0237に準じた180°剥離強度が1~100N/25mmであることが好ましい。
上記粘着テープにおける粘着剤の粘着力としては、被着体としてSUS304鋼の試験板を使用した場合は、180°剥離強度が25N/25mm以上であることが好ましく、より好ましくは30N/25mm以上、さらに好ましくは35N/25mm以上である。なお、通常上限は100N/25mm程度である。
なお、粘着力は被着体の組成(材質)や表面状態(表面粗さ)、処理(洗浄)条件等で変わるため、上記剥離強度の範囲に限定されるものではない。
かかる粘着力の測定は、JIS Z0237に準じて測定する値である。
なお、試験片が両面粘着テープである場合には、試験しない粘着面はJIS C2318に規定される呼び厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製、ルミラー S10)で覆って測定することができる。
また、本粘着テープは引張強度の大きいものが好ましく、被着体等に貼り付ける際、歪まない様に引っ張ったり、位置補正のために剥がしたりするために必要な強度が求められる。粘着テープの引張強度としては、20N/25mm以上、さらには30N/25mm以上、特には50N/25mm以上が好ましい。なお、引張強度の上限としては、通常250N/25mmである。引張強度の大きい両面粘着テープとするには、基材フィルムの引張強度が、目的とする粘着テープの引張強度と同等、もしくはそれ以上の引張強度をもつフィルムを用いることで達成することができる。
本粘着テープは、例えば、クラフトテープ、OPPテープ、布粘着テープ等の包装用テープ、軽包装用セロハン粘着テープ、自動車用発泡テープ、制振シート、住宅用養生テープ、防音シール、カーペット固定用両面テープ、電気絶縁用ビニルテープ、屋外防食テープ、屋内表示用テープ、スリップ防止用テープ、気密防水用粘着テープ、医療用救急絆創膏等の貼付基材、サージカルテープ、粘着包帯、電気・電子機器用テープ、光学用両面テープ、半導体用ダイシングテープ、熱伝導テープ、耐熱テープ、導電性テープ等として、幅広い用途に用いることができる。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」、「%」とあるのは、質量基準を意味する。
まず、下記のようにして各種アクリル系樹脂(A)を調製した。
なお、アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量、分散度、ガラス転移温度、および粘度に関しては、前述の方法にしたがって測定した。
<アクリル系樹脂(A)>
アクリル系樹脂(A)の製造に先立ち、製造に用いる共重合モノマー(a)として以下のものを用意した。
(a1)成分
・下記一般式(2)で示される末端カルボキシ基含有モノマー
CH2=CR1-CO-O-(R2-COO-)nH ・・・(2)
上記一般式(2)においてR1は水素、R2はエチレン鎖、nは1~5
(a2)成分
・2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)
(a3)成分
・アクリル酸(AAc)
(a4-1)成分
・n-ブチルアクリレート(BA)
(a4-2)成分
・2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)
(a5)成分
・メチルアクリレート
なお、上記(a1)成分については、ソルベイ日華社製の「サイポマーH」を使用した。
サイポマーHは、上記一般式(2)のR1が水素、R2がエチレン鎖、n=1の化合物(a1-1)を56%と、R1が水素、R2がエチレン鎖、n=2~5の化合物(a1-2)16.1%と、アクリル酸(a3)を27.9%含有する混合物である(以下、サイポマーHを「β-CEA」と称し、サイポマーHに含まれる、一般式(2)のR1が水素、R2がエチレン鎖、n=1~5の化合物を「CAO」と称することがある)。
〔アクリル系樹脂(A)の製造〕
温度計、撹拌機および還流冷却機を備えた反応器内に、共重合モノマーとして、サイポマーH 5部〔CAO(a1)3.6部、アクリル酸(a3)1.4部〕、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(a2)0.1部、n-ブチルアクリレート(a4-1)25.8部、2-エチルヘキシルアクリレート(a4-2)63.1部、メチルアクリレート(a5)6部、さらに溶剤として酢酸エチル55部、および重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.15部を仕込み、撹拌しながら昇温し、酢酸エチル(混合物)還流温度にて7時間重合させた後、反応混合物を酢酸エチルで希釈して、固形分50%のアクリル系樹脂(A-1)溶液を得た。
得られたアクリル系樹脂(A)の重量平均分子量は62万、分散度5.8、ガラス転移温度は-59℃であった。
<エポキシ系架橋剤(B)>
・三菱ガス化学社製、テトラッドC(1,3-ビス(N,N’-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン)
<エポキシ化合物(C)>
C1:ゴム変性エポキシ化合物:ADEKA社製、アデカレジンEPR-1630(エポキシ当量:900g/eq)
C2:ビスフェノールA型エポキシ化合物:三菱ケミカル社製、jER828(エポキシ当量:189g/eq)
C3:フェノールノボラック型エポキシ化合物:三菱ケミカル社製、jER154(エポキシ当量:178g/eq)
C4:エチレングリコールジグリシジルエーテル:ナガセケムテックス社製、EX-810(エポキシ当量:113g/eq)
<実施例1>
〔粘着テープの作製〕
製造例1で調製したアクリル系樹脂(A)の固形分100部に対して、エポキシ系架橋剤(B)(三菱ガス化学社製、「テトラッドC」)を0.04部、エポキシ化合物(C)としてC1(ADEKA社製、「アデカレジンEPR-1630」)を0.2部、および適量の酢酸エチルを添加して均一になるまで混合し、紙製リリースライナー(シノムラ化学社製、「SS-70-SBX」)に塗工後の厚みが110μmになるようにアプリケーターを用いて塗工し、80℃で5分間乾燥し、粘着剤層付き紙製リリースライナーを製造した。
そして、上記粘着剤層付き紙製リリースライナーの粘着剤面を、手切れ性を有する基材としてフラットヤーンクロスを含む基材として、ポリエチレンフラットヤーンクロスの両面にポリエチレンフィルムをラミネートした通常タイプの基材(ダイヤテックス社製:質量112g/m2、厚み130μm)に貼り合わせた後、40℃乾燥機中で7日間加熱エージング処理を行い、粘着テープを得た。
<実施例2~4、比較例1~5>
上記実施例1において、粘着剤中のエポキシ系架橋剤(B)およびエポキシ化合物(C)の種類と配合を表1のようにした以外は同様に行い実施例2~4、比較例1~5の粘着テープを得た。
得られた上記粘着テープを用いて以下の評価を行った。評価結果を下記の表1に示す。
<ゲル分率>
上記粘着テープを包み込めるサイズの200メッシュのSUS製金網を準備し質量を測定する(1)。粘着テープから紙製リリースライナーを剥離し、前述のSUS製金網で包みテープ質量を金網ごと測定する(2)。23℃に保ったトルエン中に48時間浸漬した後、十分に乾燥し、テープ質量を金網ごと測定する(3)。浸漬後のテープを金網から取り出し、残存している粘着剤層を取り除いた後、基材質量を測定する(4)。下記式に示すように差し引きを行い、浸漬前に対する浸漬後の粘着剤成分の質量百分率をゲル分率とした。
〔式〕ゲル分率(%)=(SUS製金網質量を含む浸漬後のテープ質量(3)-基材質量(4)-SUS製金網質量(1))/(SUS製金網質量を含む浸漬前のテープ質量(2)-基材質量(4)-SUS製金網質量(1))×100
<初期の保持力>
上記粘着テープを幅25mm、長さ75mmにカットして試験片を作製した。また、被着体としてSUSの試験板をメタノールで表面を洗浄した後、23℃50%RHの雰囲気下で一晩静置して用いた。この試験板に、紙製リリースライナーを剥離した試験片の粘着剤層と試験板との接触面積が幅25mm×長さ25mmになるように、上記試験片を2kgのローラーを圧着速さ5mm/sで1往復させて圧着させた。また、試験片の粘着剤が露出する部分は折り返した。圧着後23℃50%RHの環境にて30分間静置し、その後40℃の環境に移し20分間静置した。試験板に対し試験片が鉛直に垂れ下がるように1000gの錘を取り付け、その後40℃の環境にて試験片が落下した時間を測定した。
<湿熱処理後の保持力>
上記と同様に作製した試験片を60℃90%RHに調整された恒温恒湿器内に4週間静置して湿熱処理した後、上記と同様に保持力を測定した。
Figure 2022155541000005
上記表1の結果より、特定の末端カルボキシ基含有モノマー単位を含むアクリル系樹脂(A)、エポキシ系架橋剤(B)、エポキシ化合物(C)を含有する実施例1~4は初期の保持力、湿熱処理後の保持力ともに良好で、実施例2、3においては湿熱処理により逆に保持力が向上していることが分かる。
これに対し、エポキシ化合物(C)を含有しない比較例1は初期の保持力は良好であるものの、湿熱処理後の保持力は大きく低下していることが分かる。
エポキシ系架橋剤(B)を含有していない比較例2~5はゲル分率が2%未満と極めて低く、エポキシ化合物(C)とアクリル系樹脂(A)の間の架橋反応がほぼ進行していないことが分かる。また、エポキシ化合物C1を0.2部含有する比較例2の粘着剤のゲル分率は1.1%であり、含有量を0.024部まで減らしたとしてもゲル分率が5%以下となることは比較例3~5より明らかである。比較例2~5の粘着テープは初期から保持力は極めて低く、湿熱処理後も低いままであった。
湿熱処理により保持力が低下するエポキシ系架橋剤(B)を含有する粘着剤に、アクリル系樹脂(A)との架橋反応性を有しないエポキシ化合物(C)を含有させることで、湿熱処理による保持力の低下を抑制さらには向上できることは予想外の効果であり、これにより長期間保管後でも高い保持力を有する高性能な粘着剤を提供することができる。
なお、実施例1~4は、基材としてフラットヤーンクロスを含有するため、手切れ性に優れるものであった。
本粘着剤は、長期間保管後を想定した湿熱処理後の保持力に優れることから、粘着テープの粘着剤層に使用される粘着剤として優れたものであり、大いに期待される。

Claims (6)

  1. アクリル系樹脂(A)、エポキシ系架橋剤(B)、エポキシ化合物(C)を含有し、アクリル系樹脂(A)が下記一般式(1)で示される末端カルボキシ基含有モノマー(a1)単位を含む粘着剤。
    Figure 2022155541000006
    ここで、R1は水素またはメチル基、R2は2価の飽和脂肪族基、不飽和脂肪族基、芳香族基、飽和脂環族基、または不飽和脂環族炭化水素基、nは1以上の正数を示す。
  2. エポキシ化合物(C)が、下記の測定条件におけるゲル分率が5質量%以下となるエポキシ化合物である、請求項1記載の粘着剤。
    <測定条件>
    アクリル系樹脂(A)100質量部に対してエポキシ化合物(C)を0.024質量部添加して混合した混合物を、膜状物に乾燥後の厚みが110μmとなる様に塗工し、80℃で5分間乾燥した後、塗工面を基材に貼り合せ、40℃7日間静置した後の混合物のゲル分率。
  3. アクリル系樹脂(A)が水酸基含有モノマー(a2)単位を含む、請求項1または2記載の粘着剤。
  4. アクリル系樹脂(A)中の末端カルボキシ基含有モノマー(a1)単位が1~20質量%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の粘着剤。
  5. 基材の少なくとも片面に請求項1~4のいずれか一項に記載の粘着剤を有する、粘着テープ。
  6. 基材がフラットヤーンクロスを含有する、請求項5記載の粘着テープ。
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