JP2022152868A - 麺類の製造方法、麺類用組成物、麺類用生地、及び麺類 - Google Patents

麺類の製造方法、麺類用組成物、麺類用生地、及び麺類 Download PDF

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Abstract

【課題】加熱調理後、経時的な麺類同士の付着が抑制され、時間が経ってもほぐれ性が良好な麺類を製造できる麺類の製造方法、及び麺類を提供する。【解決手段】粉体材料、澱粉分解物及び水を含む麺類用材料を混合して麺類用生地を調製する工程を含む麺類の製造方法であって、前記粉体材料が小麦粉を含み、前記澱粉分解物が、DE8~40であり、前記粉体材料100質量部に対する前記澱粉分解物の含有量が、固形分として0.3~13質量部であることを特徴とする麺類の製造方法、粉体材料及び澱粉分解物を含む麺類用組成物であって、前記粉体材料が小麦粉を含み、前記澱粉分解物がDE8~40であり、且つ前記粉体材料100質量部に対する前記澱粉分解物の含有量が、固形分として0.3~13質量部であることを特徴とする麺類用組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、麺類の製造方法に関し、特に加熱調理後、経時的な麺類同士の付着が抑制され、時間が経ってもほぐれ性が良好な麺類を製造できる麺類の製造方法に関する。
コンビニエンスストアーやスーパーマーケット等の総菜コーナー等で販売されている麺類は、通常、茹で調理や蒸し調理等の加熱調理後、ある程度の時間が経過してから喫食される。一般に、麺類は、加熱調理直後は、ほぐれ性が良好な状態であるが、経時的に麺類同士が付着し、ほぐれ性が悪くなる傾向がある。麺類のほぐれ性が悪いと、喫食し難いだけではなく、その後、再加熱・再調理する際の加熱ムラの原因にもなる。そのため、麺類において、加熱調理後の経時的なほぐれ性の低下が生じないことが望まれている。
従来から、麺類の加熱調理後の麺類同士の付着を改善する方法が開発されている。例えば特許文献1では、食味を変えないで麺線の付着を改善して麺線がほぐれやすくした茹で麺を簡便に得る方法を提供することを目的とし、茹で麺の製造に際し、30重量%水溶液の粘度が約8~300cpである澱粉の低分子化物を麺の表面に添加することを特徴とする茹で麺の製造法が開示されている。また、特許文献2では、麺類を長期間保存するうえで問題となる麺類同士の付着、麺の食感低下を抑えることのできる麺類改質剤を提供することを目的とし、(A)HLB5以上のショ糖脂肪酸エステル及び(D)糖類化合物を含有する乳化剤液を噴霧乾燥して得られることを特徴とする麺類改質剤、並びにその麺類改質剤を直接若しくは予め水に分散させた状態で原料粉に加えて製麺することを特徴とする麺類の製造方法が開示されている。
特開平6-327427号公報 特開2002-199851号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、別途設備が必要であったり、工程によっては麺の表面に均一に添加することが難しく、ムラが生じることがあり、ほぐれ性の改善効果が十分に発揮されない場合がある。また、特許文献2のように乳化剤等の添加物を利用した技術があるが、添加物低減の需要も高まっており、さらなる技術開発が求められている。
したがって、本発明の目的は、加熱調理後、経時的な麺類同士の付着が抑制され、時間が経ってもほぐれ性が良好な麺類を製造できる麺類の製造方法、及び麺類を提供することにある。
本発明者らは、麺類に配合する材料を種々検討した結果、麺類用材料に所定のDEの澱粉分解物を所定量含有させることによって、上記課題を解決することができることを見出した。
すなわち、上記目的は、粉体材料、澱粉分解物及び水を含む麺類用材料を混合して麺類用生地を調製する工程を含む麺類の製造方法であって、前記粉体材料が小麦粉を含み、前記澱粉分解物が、DE8~40であり、前記粉体材料100質量部に対する前記澱粉分解物の含有量が、固形分として0.3~13質量部であることを特徴とする麺類の製造方法によって達成される。なお、DE(デキストロース当量;dextrose equivalent)は、還元糖をグルコースとして測定し、その全固形分に対する割合を示す値であり、以下の式:
DE=[直接還元糖(グルコースとして表示)/全固形分]×100
から求められる澱粉の加水分解の程度(分解度)を示す指標である。なお、本発明においては、DEは「澱粉糖関連工業分析法」(澱粉糖技術部会編)のレイン・エイノン法に従って算出した値である。
本発明により、加熱調理後、経時的な麺類同士の付着が抑制され、時間が経ってもほぐれ性が良好な麺類を提供することができる。
[麺類の製造方法]
本発明の麺類の製造方法は、粉体材料、澱粉分解物及び水を含む麺類用材料を混合して麺類用生地を調製する工程を含む麺類の製造方法であって、前記粉体材料が小麦粉を含み、前記澱粉分解物が、DE8~40であり、前記粉体材料100質量部に対する前記澱粉分解物の含有量が、固形分として0.3~13質量部であることを特徴とする。前記麺類用材料が、前記範囲のDEの澱粉分解物を前記範囲の含有量で含むことにより、加熱調理後、経時的な麺類同士の付着が抑制され、時間が経ってもほぐれ性が良好な麺類を製造することができる。後述する実施例に示す通り、麺類用材料に含有する澱粉分解物のDEが、上記範囲を外れるとほぐれ性の改善効果が認められず、澱粉分解物の含有量が、上記範囲より少ないと、ほぐれ性の改善効果が低く、上記範囲より多いと麺類の食感が低下する。
本発明において、前記澱粉分解物は、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、甘藷澱粉、サゴ澱粉、米澱粉等の澱粉、及びそれらの澱粉に物理的又は化学的な加工を単独または複数組み合せて施した加工澱粉等の原料を、α-アミラーゼ等の酵素や酸により分解して得られる、α-グルコースの重合物を意味する。本発明において、前記澱粉分解物のDEは、10以上が好ましく、13以上がさらに好ましく、15以上が特に好ましい。また、35以下が好ましく、33以下がさらに好ましい。前記澱粉分解物の形態には特に制限はなく、粉状でも液状でもよい。市販の澱粉分解物を使用してもよく、例えば、J-SPD、L-SPD、M-SPD、K-SPD、SPD(以上、昭和産業株式会社)、サンデック#180、サンデック#300(以上、三和澱粉工業株式会社)、TK-16、パインデックス#3(以上、松谷化学工業株式会社)などが挙げられる。前記粉体材料100質量部に対する前記澱粉分解物の含有量は、固形分として0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。また、10質量部以下が好ましく、8質量部以下がより好ましい。
本発明において、粉体材料とは、小麦粉、小麦粉以外の穀粉、澱粉類、粉末グルテンを意味する。前記粉体材料に含まれる小麦粉としては、例えば、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、全粒粉、セモリナ粉等を適宜使用することができる。また、これらの小麦粉を加熱処理した加熱処理小麦粉等も使用することができる。小麦粉以外の穀粉としては、例えば、米粉、そば粉、大麦粉、大豆粉、緑豆粉、アマランサス粉、キビ粉、アワ粉、ヒエ粉、また、それらの穀粉を加熱処理した加熱処理穀粉等が挙げられる。澱粉類としては、特に制限されず、例えば、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、甘藷澱粉、サゴ澱粉、米澱粉等の澱粉、及びそれらの澱粉に物理的又は化学的な加工を単独または複数組み合せて施した加工澱粉が挙げられる。粉末グルテンとしては、特に制限されず、小麦グルテンをスプレードライやフラッシュドライによって粉末状に乾燥したグルテンであればよい。粉末グルテンのたん白質含量は、例えば、60質量%以上、70質量%以上、又は80質量%以上であってよい。
本発明において、前記麺類用材料は、本発明の効果を損なわない限り、前記粉体材料、前記澱粉分解物及び水以外に、一般に麺類に使用される材料を適宜含んでいてもよい。そのような材料として、卵白、卵黄、カゼイン、ホエイ、大豆たん白等のたん白質;食用油脂;糖質;食物繊維;色素;グアガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、キサンタンガム等の増粘剤;アラニン、グリシン、リジン等のアミノ酸;グルタミン酸ナトリウム、食塩等の調味料;香料;かんすい;アルコール製剤等が挙げられる。
本発明の麺類の製造方法は、どのような製麺方法でもよく、麺類の種類に合わせて圧延製麺、ロール式製麺、押出式製麺等の公知の製麺方法から適宜選択することができる。また、機械を用いて製麺してもよく、機械を用いずに手延べや手打ちによって製麺してもよい。例えば、ロール式製麺機を用いる機械製麺の場合は、粉体材料、澱粉分解物、必要に応じてその他の麺類用材料、及び水を混合機で撹拌し、麺類用生地を調製する。麺類用材料は、必要に応じて予め水と混合し、溶解又は分散させて、水の添加の際に混合してもよい。後述する実施例に示す通り、本発明の麺類の製造方法において、前記麺類用生地を調製する工程は、前記澱粉分解物を水と混合し、好ましくは溶解させた後に、前記粉体材料と混合する工程を含むことが好ましい。これにより、加熱調理後、経時的な麺類同士の付着をさらに抑制することができ、時間が経ってもほぐれ性がより良好な麺類を製造することができる。これは、澱粉分解物を予め水に溶解させることで、生地中の澱粉やグルテンの水和が適度に抑制され、加熱調理時の後の麺類表面のべたつきが抑えられるためと考えられる。加水量は、ロール式製麺機の圧延ロールに掛けることができれば、特に制限はない。次いで、前記麺類用生地をロール式製麺機に投入し、荒延、圧延して麺帯を製造し、得られた麺帯を、所望の麺の幅や皮の形状に切り出して生麺類を調製する。得られた生麺は、そのまま生麺として流通させてもよく、乾燥室等で乾燥し、乾麺や半乾燥麺を製造してもよく、茹で、蒸し、油ちょう、電子レンジ調理等によって加熱調理し、茹で麺、蒸し麺、冷蔵麺(チルド麺)、冷凍麺、即席麺、調理麺、LL(ロングライフ)麺等として流通させてもよい。本発明の麺類の製造方法によって製造された麺類は、加熱調理後、経時的な麺類同士の付着が抑制され、時間が経ってもほぐれ性が良好な麺類なので、加熱調理した麺として流通させる麺類であることが好ましい。なお、麺類の種類としては特に制限されず、麺線、麺帯、麺皮、いずれの形態であってもよく、多層構造の麺類でもよい。多層構造の麺類の場合は、外層にのみ、上述の粉体材料、澱粉分解物及び水を含む麺類用材料を混合して調製される麺類用生地を用いてもよい。麺類としては、例えば、中華麺、パスタ、マカロニ、ラビオリ、うどん、そば、そうめん、ひやむぎ、冷麺、餃子、焼売、ワンタン等が挙げられる。
[麺類用組成物]
本発明の麺類用組成物は、粉体材料及び澱粉分解物を含む麺類用組成物であって、前記粉体材料が小麦粉を含み、前記澱粉分解物がDE8~40であり、且つ前記粉体材料100質量部に対する前記澱粉分解物の含有量が、固形分として0.3~13質量部であることを特徴とする。本発明の麺類用組成物を用いることで、容易に本発明の麺類の製造方法を行うことができ、上述の通り、加熱調理後、経時的な麺類同士の付着が抑制され、時間が経ってもほぐれ性が良好な麺類を製造することができる。本発明の麺類用組成物は、本発明の麺類の製造方法における、前記麺類用材料の内、水以外の材料を全て含んでいてもよく、一部を含んでいてもよい。本発明の麺類用組成物の好ましい態様は、本発明の麺類の製造方法と同様である。
[麺類用生地及び麺類]
本発明の麺類用生地は、粉体材料、澱粉分解物及び水を含む麺類用材料からなる麺類用生地であって、前記粉体材料が小麦粉を含み、前記澱粉分解物が、DE8~40であり、前記粉体材料100質量部に対する前記澱粉分解物の含有量が、固形分として0.3~13質量部であることを特徴とする。本発明の生地を用いて麺類を製造することにより、上述の通り、加熱調理後、経時的な麺類同士の付着が抑制され、時間が経ってもほぐれ性が良好な麺類を製造することができる。本発明の麺類用生地は、本発明の麺類用組成物、水、及び必要に応じてその他の材料を用いて調製されてもよく、それぞれ用意した前記粉体材料、前記澱粉分解物、水、及び必要に応じてその他の材料を用いて調製されてもよい。本発明は、本発明の麺類用生地を用いた麺類にも関連する。本発明の麺類は、上述の通り、加熱調理後、経時的な麺類同士の付着が抑制され、時間が経ってもほぐれ性が良好な麺類である。本発明の麺類用生地及び本発明の麺類の好ましい態様は、本発明の麺類の製造方法と同様である。なお、上述の説明から理解できる通り、本発明は、麺類の加熱調理後、経時的な麺類同士の付着を抑制する方法であって、前記麺類が、本発明の麺類の製造方法によって製造された麺類であるか、又は本発明の麺類であることを特徴とする方法にも関連する。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
1.澱粉分解物
澱粉分解物Aは、松谷化学工業株式会社より入手した。澱粉分解物B~Hはすべて自社調製品を用いた。各澱粉分解物の形態とDEを表1に示した。
Figure 2022152868000001
2.生麺類(冷やし中華(調理麺)用)の製造
[製麺方法1]
(1)粉体材料100質量部(小麦粉(北海道100(昭和産業株式会社))66質量部、加工タピオカ澱粉(あさがお(松谷化学工業株式会社))30質量部、粉末グルテン4質量部)、乾燥卵白1質量部、及び表2及び表3に記載の澱粉分解物を混合し、各麺類用組成物を調製した。各澱粉分解物は、粉体材料100質量部に対して、表2及び表3に記載した固形分量(質量部)となるように添加した。
(2)水34~37質量部、食塩2質量部、かんすい0.3質量部を混合し、練り水を調製した。水の量は、試験区間で生地そぼろの大きさが同じになるように調整した。
(3)(1)で調製した麺類用組成物、及び(2)で調製した練り水を、横型真空ミキサーを用いて減圧下で15分間混合ミキシングを行い、そぼろ状の生地を調製した。なお、比較例1については、澱粉分解物を添加しないこと以外は、同様な条件で生地を調製した。
(4)(3)で調製した生地を常法に従い、ロール式製麺機にて、圧延、角刃22番で切り出しを行い、1.6mmの生中華麺を製造した。
[製麺方法2]
(1)粉体材料100質量部(中力小麦粉(北海道100(昭和産業株式会社))66質量部、加工タピオカ澱粉(あさがお(松谷化学工業株式会社))30質量部、粉末グルテン4質量部)、乾燥卵白1質量部を混合し、各麺類用組成物を調製した。
(2)水34~37質量部、食塩2質量部、かんすい0.3質量部、表2及び表3に記載の澱粉分解物を混合し、練り水を調製した。水の量は、試験区間で生地そぼろの大きさが同じになるように調整した。各澱粉分解物は、粉体材料100質量部に対して、表2及び表3に記載した固形分量(質量部)となるように添加した。
(3)(1)で調製した麺類用組成物、及び(2)で調製した練り水を、横型真空ミキサーを用いて減圧下で15分間混合ミキシングを行い、そぼろ状の生地を調製した。
(4)(3)で調製した生地を常法に従い、ロール式製麺機にて、圧延、角刃22番で切り出しを行い、1.6mmの生中華麺を製造した。
[製麺方法3]
(1)粉体材料100質量部(小麦粉(北海道100(昭和産業株式会社))75質量部、加工タピオカ澱粉(あさがお(松谷化学工業株式会社))20質量部、粉末グルテン5質量部)を混合し麺類用組成物を調製した。
(2)水34~37質量部、食塩2質量部、かんすい1質量部を混合し、練り水を調製した。水の量は、試験区間で生地そぼろの大きさが同じになるように調整した。
(3)(1)で調製した麺類用組成物、及び(2)で調製した練り水を、横型真空ミキサーを用いて減圧下で15分間混合ミキシングを行い、そぼろ状の生地を調製した。
(4)(3)で調製した生地を常法に従い、ロールを用いて、シート状に成形した(シートAと称する)。
(5)粉体材料100質量部(小麦粉(北海道100(昭和産業株式会社))64質量部、加工タピオカ澱粉(あさがお(松谷化学工業株式会社))33質量部、粉末グルテン3質量部)、乾燥卵白1質量部、及び表2に記載の澱粉分解物を混合し、各麺類用組成物を調製した。各澱粉分解物は、粉体材料100質量部に対して、表2に記載した固形分量(質量部)となるように添加した。
(6)水34~37質量部、食塩2質量部、かんすい0.3質量部を混合し、練り水を調製した。水の量は、試験区間で生地そぼろの大きさが同じになるように調整した。
(7)(5)で調製した麺類用組成物、及び(6)で調製した練り水を、横型真空ミキサーを用いて減圧下で15分間混合ミキシングを行い、そぼろ状の生地を調製した。
(8)(7)で調製した生地を常法に従い、ロールを用いて、シート状に成形した(シートBと称する)。
(9)2枚のシートBの間にシートAを挟んで三層とし、ロール式製麺機にて、圧延、角刃22番で切り出しを行い、1.6mmの生中華麺を製造した。
[製麺方法4]
(1)粉体材料100質量部(小麦粉(北海道100(昭和産業株式会社))75質量部、加工タピオカ澱粉(あさがお(松谷化学工業株式会社))20質量部、粉末グルテン5質量部)を混合し麺類用組成物を調製した。
(2)水34~37質量部、食塩2質量部、かんすい1質量部を混合し、練り水を調製した。水の量は、試験区間で生地そぼろの大きさが同じになるように調整した。
(3)(1)で調製した麺類用組成物、及び(2)で調製した練り水を、横型真空ミキサーを用いて減圧下で15分間混合ミキシングを行い、そぼろ状の生地を調製した。
(4)(3)で調製した生地を常法に従い、ロールを用いて、シート状に成形した(シートAと称する)。
(5)粉体材料100質量部(小麦粉(北海道100(昭和産業株式会社))64質量部、加工タピオカ澱粉(あさがお(松谷化学工業株式会社))33質量部、粉末グルテン3質量部)、乾燥卵白1質量部を混合し、各麺類用組成物を調製した。
(6)水34~37質量部、食塩2質量部、かんすい0.3質量部、表2に記載の澱粉分解物を混合し、練り水を調製した。水の量は、試験区間で生地そぼろの大きさが同じになるように調整した。各澱粉分解物は、粉体材料100質量部に対して、表2に記載した固形分量(質量部)となるように添加した。
(7)(5)で調製した麺類用組成物、及び(6)で調製した練り水を、横型真空ミキサーを用いて減圧下で15分間混合ミキシングを行い、そぼろ状の生地を調製した。
(8)(7)で調製した生地を常法に従い、ロールを用いて、シート状に成形した(シートBと称する)。
(9)2枚のシートBの間にシートAを挟んで三層とし、ロール式製麺機にて、圧延、角刃22番で切り出しを行い、1.6mmの生中華麺を製造した。
3.麺類(冷やし中華(調理麺))の茹で調理及び保存
2.で調製した各生中華麺を、沸騰した水で約100秒間茹で調理し、その後、氷水で冷却し、水切りした。茹で増重率((茹で麺重量/生麺重量)×100)は180%であった。その後、茹で麺100質量部に対して、市販ほぐし剤(ソヤアップ、不二製油株式会社)3質量部塗布し、150gずつプラスチック容器に量り取り、蓋をして6℃、24時間保存した。
4.麺類(冷やし中華(調理麺))の評価
3.で24時間保存した麺に冷やし中華スープをかけ、箸で麺をほぐした際のほぐれ性、喫食した際の食感(粘弾性、硬さ)について、以下の評価基準で評価した。各評価結果は、訓練を受けた専門パネル10名の評点の平均値を示した。結果を表2及び表3に示す。
(1)ほぐれ性
5:非常に良好
4:良好
3:やや良好
2:やや悪い
1:悪い
(2)食感(粘弾性)
5:粘りが強く、非常に良好
4:粘りがあり、良好
3:粘りが感じられ、やや良好
2:ぼそぼそ感があり、やや悪い
1:ぼそぼそ感が強く、悪い
(3)食感(硬さ)
5:適度な硬さがあり、非常に良好
4:やや硬さがあり、良好
3:やや柔らかいが、やや良好
2:柔らかく、やや悪い
1:非常に柔らかく、悪い
Figure 2022152868000002
Figure 2022152868000003
表2及び表3に示した通り、小麦粉を含む粉体材料、DE8~35の澱粉分解物B~G、及び水を含む麺類用材料を混合して麺類用生地を調製する工程を含む麺類の製造方法において、前記粉体材料100質量部に対する前記澱粉分解物の含有量が、固形分として0.5~10質量部である実施例1~17の方法で得られた麺類(冷やし中華(調理麺))は、ほぐれ性が良好で、食感(粘弾性、硬さ)も良好であった。一方、澱粉分解物を含まない比較例1では、ほぐれ性が悪く、食感(粘弾性)の評価も低かった。また、DE5の澱粉分解物Aを用いた比較例2、及びDE50の澱粉分解物Hを用いた比較例3では、食感は良好であったが、ほぐれ性の評価が低かった。さらに、前記粉体材料100質量部に対する澱粉分解物の含有量が、固形分として0.2質量部の比較例4では、ほぐれ性の評価が低く、15質量部の比較例5では、ほぐれ性は良好であったが、食感(硬さ)の評価が低かった。なお、澱粉分解物の添加方法として、練り水に混合する製麺方法2を用いた実施例の方が、ほぐれ性の評価がやや高いことから、麺類用生地を調製する工程は、澱粉分解物を水と混合した後に、粉体材料と混合する工程を含むことが好ましいことが示唆された。また、実施例8~11のとおり、多層麺の外層に澱粉分解物を用いた場合、食感(粘弾性、硬さ)がより良好な麺類を製造することができることが示唆された。
5.生麺類(焼きそば用)の製造
[製麺方法1]
(1)粉体材料100質量部(中力小麦粉(北海道100(昭和産業株式会社))50質量部、準強力小麦粉(金蘭(昭和産業株式会社))50質量部)、乾燥卵白1質量部、及び表4に記載の澱粉分解物を混合し、各麺類用組成物を調製した。各澱粉分解物は、粉体材料100質量部に対して、表4に記載した固形分量(質量部)となるように添加した。
(2)水35~37質量部、食塩2質量部、かんすい0.3質量部を混合し、練り水を調製した。水の量は、試験区間で生地そぼろの大きさが同じになるように調整した。
(3)(1)で調製した麺類用組成物、及び(2)で調製した練り水を、横型真空ミキサーを用いて減圧下で15分間混合ミキシングを行い、そぼろ状の生地を調製した。なお、比較例6については、澱粉分解物を添加しないこと以外は、同様な条件で生地を調製した。
(4)(3)で調製した生地を常法に従い、ロール式製麺機にて、圧延、角刃16番で切り出しを行い、2.0mmの生中華麺を製造した。
[製麺方法2]
(1)粉体材料100質量部(中力小麦粉(北海道100(昭和産業株式会社))50質量部、準強力小麦粉(金蘭(昭和産業株式会社))50質量部)、乾燥卵白1質量部を混合し、各麺類用組成物を調製した。
(2)水35~37質量部、食塩2質量部、かんすい0.3質量部、表4に記載の澱粉分解物を混合し、練り水を調製した。水の量は、試験区間で生地そぼろの大きさが同じになるように調整した。各澱粉分解物は、粉体材料100質量部に対して、表4に記載した固形分量(質量部)となるように添加した。
(3)(1)で調製した麺類用組成物、及び(2)で調製した練り水を、横型真空ミキサーを用いて減圧下で15分間混合ミキシングを行い、そぼろ状の生地を調製した。
(4)(3)で調製した生地を常法に従い、ロール式製麺機にて、圧延、角刃16番で切り出しを行い、2.0mmの生中華麺を製造した。
6.麺類(焼きそば)の蒸し調理及び保存
5.で調製した各生中華麺を、蒸し器で8分間蒸し調理した後、冷却した。その後、蒸し麺100質量部に対して、サラダ油2質量部塗布し、150gずつレトルト袋に量り取り、85℃、30分間加熱殺菌を行った後、室温で72時間保存した。
7.麺類(焼きそば)の評価
6.で72時間保存した麺を、サラダ油15gをひいたフライパンに入れ、火をつけ、差し水50gを麺の上に投入し、箸でほぐしながら炒めた際のほぐれ性を評価した。また、3分間炒めた後、火を止め、焼きそばソースを入れ、混ぜ合わせて喫食した際の食感(粘弾性、硬さ)を評価した。評価基準は、上記4.の評価基準と同様である。各評価結果は、訓練を受けた専門パネル10名の評点の平均値を示した。結果を表4に示す。
Figure 2022152868000004
表4に示した通り、小麦粉を含む粉体材料、DE13~35の澱粉分解物C、E及びF、並びに水を含む麺類用材料を混合して麺類用生地を調製する工程を含む麺類の製造方法において、前記粉体材料100質量部に対する前記澱粉分解物の含有量が、固形分として1~8質量部である実施例18~23の方法で得られた麺類(焼きそば)は、ほぐれ性が良好で、食感(粘弾性、硬さ)も良好であった。一方、澱粉分解物を含まない比較例6では、ほぐれ性が悪く、食感(粘弾性)の評価も低かった。また、DE5の澱粉分解物Aを用いた比較例7、及びDE50の澱粉分解物Hを用いた比較例8では、食感は良好であったが、ほぐれ性の評価が低かった。さらに、澱粉分解物の添加方法として、練り水に混合する製麺方法2を用いた実施例の方が、ほぐれ性の評価がやや高かった。これらは、上述の麺類(冷やし中華(調理麺))の場合の結果と同様であったことから、上述の麺類の製造方法は種々の使用形態において同様な効果が得られることが示唆された。
以上の実施例の結果から、粉体材料、澱粉分解物及び水を含む麺類用材料を混合して麺類用生地を調製する工程を含む麺類の製造方法であって、前記粉体材料が小麦粉を含み、前記澱粉分解物が、DE8~40であり、前記粉体材料100質量部に対する前記澱粉分解物の含有量が、固形分として0.3~13質量部であることを特徴とする麺類の製造方法によって、加熱調理後、時間が経ってもほぐれ性が良好な麺類を製造できることが示された。
なお、本発明は上記の実施の形態の構成及び実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々変形が可能である。
本発明により、加熱調理後、経時的な麺類同士の付着が抑制され、時間が経ってもほぐれ性が良好な麺類を製造できる麺類の製造方法、麺類用組成物、麺類用生地、及び麺類を提供することができる。

Claims (6)

  1. 粉体材料、澱粉分解物及び水を含む麺類用材料を混合して麺類用生地を調製する工程を含む麺類の製造方法であって、
    前記粉体材料が小麦粉を含み、
    前記澱粉分解物が、DE8~40であり、
    前記粉体材料100質量部に対する前記澱粉分解物の含有量が、固形分として0.3~13質量部であることを特徴とする麺類の製造方法。
  2. 前記麺類用生地を調製する工程が、前記澱粉分解物を水と混合した後に、前記粉体材料と混合する工程を含む請求項1に記載の麺類の製造方法。
  3. 粉体材料及び澱粉分解物を含む麺類用組成物であって、
    前記粉体材料が小麦粉を含み、
    前記澱粉分解物がDE8~40であり、
    前記粉体材料100質量部に対する前記澱粉分解物の含有量が、固形分として0.3~13質量部であることを特徴とする麺類用組成物。
  4. 粉体材料、澱粉分解物及び水を含む麺類用材料からなる麺類用生地であって、
    前記粉体材料が小麦粉を含み、
    前記澱粉分解物が、DE8~40であり、
    前記粉体材料100質量部に対する前記澱粉分解物の含有量が、固形分として0.3~13質量部であることを特徴とする麺類用生地。
  5. 請求項3に記載の麺類用組成物、又は請求項4に記載の麺類用生地を用いた麺類。
  6. 麺類の加熱調理後、経時的な麺類同士の付着を抑制する方法であって、
    前記麺類が、請求項1又は2に記載の麺類の製造方法によって製造された麺類であるか、又は請求項5に記載の麺類であることを特徴とする方法。

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