JP2022152032A - モータ - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、モータに関する。
電気自動車用のモータでは、高効率化などを目的として、セグメントコイルを用いた巻線構造の検討が進められている。特許文献1には、三相のセグメントコイルの平角線を一か所でまとめて接続し中性点とする構造が開示されている。
従来の構造では、三相の平角線を周方向に延ばしてまとめて一か所で接続するため、先端の接続部分が片持ち構造となり、振動に対して接続部分に加わる負荷が大きくなるという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みて、振動に対する強度に優れた中性点部を有するモータを提供することを目的の一つとする。
本発明のモータの一つの態様は、中心軸線を中心として回転可能なロータと、前記ロータの径方向外側に配置されるステータと、を備える。前記ステータは、複数の導体が直列に連結された複数の導体連結体を有する巻線部と、前記導体連結体が通る複数のスロットが設けられるステータコアと、を有する。前記巻線部は、前記ステータコアの軸方向一方側に位置し3つの前記導体連結体の末端部が電気的に接続される中性点部を有する。前記中性点部は、3つの前記導体連結体の末端部のうち異なる組み合わせの2つが接続される2つの接続部を有する。
本発明の一つの態様によれば、振動に対する強度に優れた中性点部を有するモータを提供できる。
各図に適宜示すZ軸方向は、正の側を「上側」とし、負の側を「下側」とする上下方向である。各図に適宜示す中心軸線Jは、Z軸方向と平行であり、上下方向に延びる仮想線である。以下の説明においては、中心軸線Jの軸方向、すなわち上下方向と平行な方向を単に「軸方向」と呼び、上側を「軸方向一方側」と呼び、下側を「軸方向他方側」と呼ぶ場合がある。また、中心軸線Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼ぶ場合がある。
さらに、中心軸線Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼び、上側から見て反時計回りの方向を「周方向一方側」と呼び、上側から見て時計回りの方向を「周方向他方側」と呼ぶ場合がある。
さらに、中心軸線Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼び、上側から見て反時計回りの方向を「周方向一方側」と呼び、上側から見て時計回りの方向を「周方向他方側」と呼ぶ場合がある。
なお、上下方向、上側、および下側とは、単に各部の配置関係等を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。さらに、軸方向一方側、および軸方向他方側として説明する方向は、互いに入れ替えた場合であっても、実施形態の効果を再現可能である。同様に、周方向一方側θ1、および周方向他方側θ2として説明する方向は、互いに入れ替えた場合であっても、実施形態の効果を再現可能である。
<モータ>
図1は、本実施形態のモータ1の斜視図である。図2は、モータ1の断面図である。
図1に示すように、本実施形態のモータ1は、インナーロータ型のモータである。また、本実施形態のモータ1は、三相の交流モータである。モータ1の中心は、中心軸線Jである。
図1は、本実施形態のモータ1の斜視図である。図2は、モータ1の断面図である。
図1に示すように、本実施形態のモータ1は、インナーロータ型のモータである。また、本実施形態のモータ1は、三相の交流モータである。モータ1の中心は、中心軸線Jである。
モータ1は、ロータ3と、ステータ2と、を備える。また、モータ1は、図示略のバスバーユニットを有していてもよい。この場合、バスバーユニットは、ステータ2の上側に配置されステータ2に接続される。
<ロータ>
図2に示すように、ロータ3は、環状のステータ2の径方向内側に配置される。すなわち、ロータ3は、径方向においてステータ2に対向する。ロータ3は、シャフト3aと、ロータマグネット3bと、ロータコア3cと、を有する。ロータ3は、中心軸線Jを中心として回転可能である。
図2に示すように、ロータ3は、環状のステータ2の径方向内側に配置される。すなわち、ロータ3は、径方向においてステータ2に対向する。ロータ3は、シャフト3aと、ロータマグネット3bと、ロータコア3cと、を有する。ロータ3は、中心軸線Jを中心として回転可能である。
シャフト3aは、中心軸線Jに沿って軸方向に延びている。シャフト3aは、例えば、中心軸線Jを中心として軸方向に延びる円柱状である。シャフト3aは、図示略のベアリングによって中心軸線J回りに回転可能に支持されている。
ロータコア3cは、軸方向に延びる筒状である。ロータコア3cは、電磁鋼板を積層して構成される。ロータコア3cの内周面は、シャフト3aの外周面に固定される。ロータコア3cには、ロータマグネット3bが挿入され固定される保持孔3hが設けられる。
ロータマグネット3bは、径方向においてステータ2と対向する。ロータマグネット3bは、ロータコア3cに埋め込まれた状態で保持される。本実施形態のロータマグネット3bは、8極(8ポール)である。ロータ3のポール数は本実施形態に限定さない。また、ロータマグネット3bは、円環状のリングマグネットなど他の形態のマグネットであってもよい。
<ステータ>
ステータ2は、ロータ3と隙間を介して径方向に対向する。本実施形態においてステータ2は、ロータ3の径方向外側に配置される。ステータ2は、ステータコア20と、巻線部30と、複数の絶縁紙6と、を備える。
ステータ2は、ロータ3と隙間を介して径方向に対向する。本実施形態においてステータ2は、ロータ3の径方向外側に配置される。ステータ2は、ステータコア20と、巻線部30と、複数の絶縁紙6と、を備える。
ステータコア20は、中心軸線Jを中心とする環状である。ステータコア20は、軸方向に沿って積層された複数の電磁鋼板からなる。ステータコア20は、中心軸線Jを中心とする円筒状のコアバック部21と、コアバック部21から径方向内側に向かって延びる複数のティース部22と、を有する。
複数のティース部22は、周方向に等間隔に並ぶ。ティース部22の径方向内側の先端部には、アンブレラ部22aが設けられる。アンブレラ部22aは、ティース部22に対し周方向の両側に突出している。すなわち、アンブレラ部22aの周方向の寸法は、ティース部22の周方向の寸法よりも大きい。アンブレラ部22aの径方向内側を向く面は、ロータ3の外周面と径方向に隙間を介して対向する。
ティース部22には、巻線部30が装着される。周方向に隣り合うティース部22同士の間には、スロットSが設けられる。すなわち、ステータコア20には、周方向に並ぶ複数のスロットSが設けられる。
スロットS内には、巻線部30の導体50が収容される。また、スロットS内には、絶縁紙6が1つずつ配置される。絶縁紙6は、スロットS内において、巻線部30とステータコア20との絶縁を確保する。
1つのスロットSには、径方向に並ぶ複数層のレイヤが設けられる。1つのスロット内において、それぞれのレイヤには、それぞれ1つの導体50が配置される。スロットS内には、複数の導体50が径方向に沿って1列に並ぶ。
スロットSは、径方向内側に開口する開口部29hを有する。開口部29hは、隣り合うティース部22の先端に位置するアンブレラ部22a同士の間に位置する。開口部29hの周方向に沿う幅寸法は、導体50の周方向に沿う寸法より小さい。このため、導体50は、開口部29hを通過し難く、導体50のステータコア20からの離脱が抑制される。
本実施形態において、ステータコア20は、48個のティース部22を有する。すなわち、本実施形態のステータ2は、48スロットである。なお、ステータ2のスロット数は、ロータマグネット3bの極数および巻線部30の巻き方に応じて適宜設定される。
図3は、本実施形態の巻線部30が構成する回路を示す模式図である。
本実施形態の巻線部30は、複数(本実施形態では12個)の導体連結体60を有しセグメントコイルを構成する。12個の導体連結体60は、4個のU相導体連結体(第1相導体連結体)60U、4個のV相導体連結体(第1相導体連結体)60V、および4個のW相導体連結体(第3相導体連結体)60Wと、に分類される。
本実施形態の巻線部30は、複数(本実施形態では12個)の導体連結体60を有しセグメントコイルを構成する。12個の導体連結体60は、4個のU相導体連結体(第1相導体連結体)60U、4個のV相導体連結体(第1相導体連結体)60V、および4個のW相導体連結体(第3相導体連結体)60Wと、に分類される。
同相の4個の導体連結体60のうち2個の導体連結体60は、互いに隣り合うスロットSを通過してステータコア20に装着される。本明細書において、互いに隣り合うスロットSを通過する2個の導体連結体60を、連結体対69と呼ぶ。また、以下の説明において、連結体対69をなす2個の導体連結体60を互いに区別する場合、一方を第1の導体連結体60Aと呼び、他方を第2の導体連結体60Bと呼ぶ。
導体連結体60は、第1末端部63および第2末端部(末端部)64を有する。第1末端部63および第2末端部64は、導体連結体60の一方および他方の末端にそれぞれ設けられる。導体連結体60は、第1末端部63と第2末端部64との間で、ステータコア20に装着されて各相のコイルを構成する。導体連結体60は、第1末端部63および第2末端部64においてバスバーユニット5に接続される。
U相導体連結体60U、V相導体連結体60V、およびW相導体連結体60Wの第2末端部64は、互いに接続されて中性点部10を構成する。すなわち、巻線部30は、3つの導体連結体60の第2末端部64が電気的に接続される中性点部10を有する。
中性点部10は、Y結線される三相回路の中性点である。中性点部10が設けられることで、U相導体連結体60U、V相導体連結体60V、およびW相導体連結体60Wの末端部は、Y結線がなされる。本実施形態では、各相の4個の導体連結体60に対応する4個のY結線が構成され、それぞれのY結線が並列接続される。すなわち、複数の導体連結体60は、4Y結線がなされる。
4個のU相導体連結体60Uの第1末端部63は、1個のU相用バスバー70に接続される。4個のV相導体連結体60Vの第1末端部63は、1個のV相用バスバー80に接続される。4個のW相導体連結体60Wの第1末端部63は、1個のW相用バスバー90に接続される。U相用バスバー70、V相用バスバー80、W相用バスバー90には、それぞれ120°毎に位相をずらした交流電流が流される。
本実施形態によれば、同相の4個の導体連結体60は、1つの相用バスバー70、80、90に接続される。すなわち、本実施形態の巻線部30は、3つ相にそれぞれ4個の導体連結体60を備え、各相の導体連結体60同士は、相用バスバー70、80、90によって互いに並列接続される。
なお、本実施形態では、巻線部30が同相の4本の導体連結体60を有する場合について説明した。しかしながら、巻線部30が少なくとも2つの導体連結体60を有し、これらが周方向に隣り合うスロットSを通過する連結体対69を構成すれば、本実施形態と同様の巻線構成をとることができる。したがって、複数の導体連結体60は、Mを自然数として2×MのY結線がなされていればよい(本実施形態において、M=2)。
図4は、連結体対69をなす2個の導体連結体60の巻き線構成を示す模式図である。
図4に示すように、導体連結体60は、複数の導体50が直列に連結されて構成される。それぞれの導体50は、平角線が屈曲されて構成されている。そのため、丸線を用いる場合に比べて、スロットSにおいける導体50の占積率を向上させることができる。なお、本明細書において「平角線」とは、断面形状が四角形状または略四角形状の線材である。本明細書において「略四角形状」とは、四角形状の角部が丸みを帯びた角丸の四角形状を含む。図示は省略するが、本実施形態において導体50は、表面にエナメルの被膜を有する。
図4に示すように、導体連結体60は、複数の導体50が直列に連結されて構成される。それぞれの導体50は、平角線が屈曲されて構成されている。そのため、丸線を用いる場合に比べて、スロットSにおいける導体50の占積率を向上させることができる。なお、本明細書において「平角線」とは、断面形状が四角形状または略四角形状の線材である。本明細書において「略四角形状」とは、四角形状の角部が丸みを帯びた角丸の四角形状を含む。図示は省略するが、本実施形態において導体50は、表面にエナメルの被膜を有する。
導体連結体60を構成する複数の導体50は、末端用導体51と、ヘアピン導体52と、と、第1の折り返し用導体54と、第2の折り返し用導体55と、に分類される。
各種の導体50は、軸方向(Z方向)に沿って直線状に延びる直線部50aと、下側(軸方向他方側)の端部に位置する連結部50jと、を少なくとも有する。直線部50aは、スロットSを通過する。すなわち、導体連結体60は、直線部50aにおいて、スロットSに収容される。導体連結体60は、直線部50a以外の領域で、ステータコア20の上側および下側に延び出る。ステータコア20の上側および下側から延び出る部分は、ステータコア20のコイルエンド30e(図1参照)を構成する。
連結部50jは、他の導体50の連結部50jに連結される。一対の導体50の連結部50j同士は、溶接などの接合手段によって互いに接合される。連結部50jは、導体50をステータコア20に装着した後に周方向に折り曲げられ、他の導体50の連結部50jに溶接される。ステータコア20に装着前の導体50において、連結部50jは、直線部50aに連続する直線状である。導体50は、ステータコア20の上側(軸方向一方側)から、連結部50jおよび直線部50aをスロットSに挿入することで、ステータコア20に取り付けられる。導体50は、連結部50jが周方向に折り曲げられ、他の連結部50jに溶接されることで、ステータコア20から軸方向に離脱することが抑制される。
本実施形態のステータ2は、ステータコア20のスロットSに対して、複数の導体50を上側から挿入するとともに、下側で接合することで、組み立てることができる。このため、複雑な組み立て工程を必要とせず、組み立て工程を簡素化できる。
次に、各種の導体50について説明する。
末端用導体51は、末端部63、64と、直線部50aと、連結部50jと、をそれぞれ1つずつ有する。末端用導体51において、末端部63、64は、直線部50aの上端から上側に向かうに従い周方向一方側θ1に傾斜して延び、連結部50jは、直線部50aの下端から下側に向かうに従い周方向他方側θ2に傾斜して延びる。すなわち、末端用導体51において、末端部63、64と連結部50jとは、直線部50aに対して延びる方向が周方向の反対側である。
末端用導体51は、末端部63、64と、直線部50aと、連結部50jと、をそれぞれ1つずつ有する。末端用導体51において、末端部63、64は、直線部50aの上端から上側に向かうに従い周方向一方側θ1に傾斜して延び、連結部50jは、直線部50aの下端から下側に向かうに従い周方向他方側θ2に傾斜して延びる。すなわち、末端用導体51において、末端部63、64と連結部50jとは、直線部50aに対して延びる方向が周方向の反対側である。
2つの末端部63、64は、それぞれ導体連結体60の両端部に設けられる。2つの末端部63、64のうち、一方は第1末端部63であり、他方は第2末端部64である。図3に示すように、第1末端部63は、相用バスバー70、80、90に接続される。第2末端部64は、他の相の第2末端部64と接続され中性点部10を構成する。なお、第2末端部64の構造については、図5等を用いて後段において詳細に接続する。
図4に示すように、ヘアピン導体52は、2つの直線部50aと、2つの連結部50jと、1つの渡り部50dと、を有する。渡り部50dは、ヘアピン導体52の上端部に配置される。渡り部50dは、2つの直線部50a同士を繋ぐ。すなわちヘアピン導体52において、2つの直線部50aは、渡り部50dを介して互いに繋がる。ヘアピン導体52において、2つの連結部50jは、それぞれ異なる直線部50aの下端に繋がる。複数の渡り部50dは、ステータコア20の上側(軸方向一方側)の端面から突出する。すなわち、複数の導体50には、ステータコア20の上側でスロットSの間を繋ぐ渡り部50dを有するものが含まれる。
ヘアピン導体52において、2つの直線部50a同士は、毎極スロット数sで並ぶ。ここで、毎極スロット数sとは、ロータ3とステータ2との組み合わせにおいて、ロータ3の1つの磁極間に配置されるステータ2のスロットSの数を意味する。毎極スロット数sは、(ステータ2の全スロット数)/(ロータ3の磁極数)で算出される。本実施形態において、ロータ3の磁極数は8であり、ステータ2のスロット数は48であるため、毎極スロット数sは6である。ヘアピン導体52において、2つの直線部50a同士は、6スロット分だけ周方向に離間している。
ヘアピン導体52において、2つの連結部50jは、折り曲げられる方向が周方向において互いに反対側である。2つの連結部50jのうち、周方向一方側θ1に位置する一方は直線部50aの下端から周方向他方側θ2に延び、周方向他方側θ2に位置する他方は直線部50aの下端から周方向一方側θ1に延びる。
第1の折り返し用導体54は、2つの直線部50aと、2つの連結部50jと、1つの第1の折り返し部(折り返し部)50fと、を有する。同様に、第2の折り返し用導体55は、2つの直線部50aと、2つの連結部50jと、1つの第2の折り返し部(折り返し部)50gと、を有する。第1の折り返し部50fおよび第2の折り返し部50gは、それぞれ第1の折り返し用導体54又は第2の折り返し用導体55の上端部に配置される。
第1の折り返し部50fおよび第2の折り返し部50gは、2つの直線部50a同士を繋ぐ。すなわち第1の折り返し用導体54および第2の折り返し用導体55において、2つの直線部50aは、それぞれ第1の折り返し部50f又は第2の折り返し部50gを介して互いに繋がる。
第1の折り返し用導体54および第2の折り返し用導体55において、2つの連結部50jは、周方向一方側θ1に折り曲げられる。すなわち、第1の折り返し用導体54および第2の折り返し用導体55において、2つの連結部50jは、それぞれ直線部50aの下端から周方向一方側θ1に延びる。
第1の折り返し用導体54と第2の折り返し用導体55において、それぞれの2つの直線部50a同士の距離は、互いに異なる。第1の折り返し用導体54において、2つの直線部50aは、周方向において、毎極スロット数s+1(本実施形態では7スロット)で並ぶ。一方で、第2の折り返し用導体55において、2つの直線部50aは、周方向において毎極スロット数s-1(本実施形態では5スロット)で並ぶ。このため、第1の折り返し部50fは、第2の折り返し部50gと比較して、周方向への渡り量が2スロット分だけ大きい。第1の導体連結体60Aには1個の第1の折り返し用導体54が設けられる。一方で、第2の導体連結体60Bには1個の第2の折り返し用導体55が設けられる。
次に、第1の導体連結体60Aおよび第2の導体連結体60Bの巻き線構成について説明する。
第1の導体連結体60Aにおいて、2つの末端用導体51は、それぞれ第1の導体連結体60Aの両端に配置され、略中間に第1の折り返し用導体54が配置される。第1の導体連結体60Aは、第1末端部63から第1の折り返し部50fに至るまでの間に、周方向他方側θ2に向かって6スロット毎に波巻きされる。また、第1の導体連結体60Aは、第1の折り返し部50fから第2末端部64に至るまでの間に、周方向一方側θ1に向かって6スロット毎に波巻きされる。
第1の導体連結体60Aにおいて、2つの末端用導体51は、それぞれ第1の導体連結体60Aの両端に配置され、略中間に第1の折り返し用導体54が配置される。第1の導体連結体60Aは、第1末端部63から第1の折り返し部50fに至るまでの間に、周方向他方側θ2に向かって6スロット毎に波巻きされる。また、第1の導体連結体60Aは、第1の折り返し部50fから第2末端部64に至るまでの間に、周方向一方側θ1に向かって6スロット毎に波巻きされる。
ここで、第1の導体連結体60Aにおいて、第1末端部63と第1の折り返し部50fとの間で、周方向他方側θ2に波巻きされる領域を、第1部分61と呼ぶ。また、第1の導体連結体60Aにおいて、第1の折り返し部50fと第2末端部64との間で、周方向一方側θ1に波巻きされる領域を、第2部分62と呼ぶ。すなわち、第1の導体連結体60Aは、第1末端部63と、第1末端部63から周方向他方側θ2に波巻きされる第1部分61と、第1部分61の周方向他方側θ2の端部に接続される第1の折り返し部50fと、第1の折り返し部50fから周方向一方側θ1に波巻きされる第2部分62と、第2部分62の周方向一方側θ1の端部に接続される第2末端部64と、を有する。
第2の導体連結体60Bにおいて、2つの末端用導体51は、それぞれ第2の導体連結体60Bの両端の末端に配置され、略中間に第2の折り返し用導体55が配置される第2の導体連結体60Bは、第1末端部63から第2の折り返し部50gに至るまでの間(第1部分61)に、周方向他方側θ2に向かって6スロット毎に波巻きされる。また、第2の導体連結体60Bは、第2の折り返し部50gから第2末端部64である第2末端部64に至るまでの間(第2部分62)に、周方向一方側θ1に向かって6スロット毎に波巻きされる。すなわち、第2の導体連結体60Bは、第1末端部63と、第1末端部63から周方向他方側θ2に波巻きされる第1部分61と、第1部分61の周方向他方側θ2の端部に接続される第2の折り返し部50gと、第2の折り返し部50gから周方向一方側θ1に波巻きされる第2部分62と、第2部分62の周方向一方側θ1の端部に接続される第2末端部64と、を有する。
本実施形態の導体連結体60は、第1部分61および第2部分62において、毎極スロット数sで波巻きされる。すなわち、導体連結体60は、全節巻きでステータコア20に装着される。このため、本実施形態によれば、同一のスロットS内に配置される複数の導体50は、全て同相の導体連結体60の一部である。したがって、本実施形態によれば、異なる相の導体連結体60を1つのスロットS内で絶縁する必要がなく、絶縁の確保が容易となる。
図1に示すように、本実施形態において、巻線部30は、第1末端部63、第2末端部64、渡り部50d、および折り返し部50f、50gを有する。第1末端部63、第2末端部64、渡り部50d、および折り返し部50f、50gは、ステータコア20の上側でコイルエンド30eを構成する。一方で、連結部50jは、ステータコア20の下側でコイルエンド30fを構成する。
末端部63、64は、コイルエンド30eの最内周に配置される。すなわち、末端部63、64は、複数の渡り部50dの径方向内側に位置する。一方で、折り返し部50f、50gは、コイルエンド30eの最外周に配置される。すなわち、折り返し部50f、50gは、複数の渡り部50dの径方向外側に配置される。
第1末端部63は、ステータコア20から上側(軸方向一方側)に延びて、図1において省略された相用バスバー70、80、90に接続される。一方で、第2末端部64は、中性点部10を構成する。末端部63、64は、ステータコア20の上側に延び出る。したがって、中性点部10は、ステータコア20の上側に位置する。
図5は、本実施形態の中性点部10の斜視図である。
中性点部10は、U相導体連結体60U、V相導体連結体60V、およびW相導体連結体60Wの第2末端部64同士が、互いに接続されて構成される。本実施形態において、中性点部10を構成するU相の第2末端部64Uと、V相の第2末端部64Vと、W相の第2末端部64Wの基端は、周方向他方側θ2に向かってこの順で並ぶ。
中性点部10は、U相導体連結体60U、V相導体連結体60V、およびW相導体連結体60Wの第2末端部64同士が、互いに接続されて構成される。本実施形態において、中性点部10を構成するU相の第2末端部64Uと、V相の第2末端部64Vと、W相の第2末端部64Wの基端は、周方向他方側θ2に向かってこの順で並ぶ。
中性点部10を構成する3つの第2末端部64は、それぞれ、傾斜部64aと折曲部64bとを有する。傾斜部64aは、直線部50aの上端に接続される。第2末端部64の傾斜部64aは、直線部50aの上端部から上側に向かうに従い周方向一方側θ1に傾斜する。第2末端部64の折曲部64bは、傾斜部64aの上端部に接続される。折曲部64bは、周方向一方側θ1から周方向他方側に向かってヘアピン状に折れ曲がる。また、折曲部64bは、折曲部64bとの境界部から径方向外側に延びる。
図1に示すように、1つの導体連結体60の第2末端部64は、他の導体連結体60の第1末端部63、又は他の導体連結体60の第2末端部64と、周方向において隣接する。第1末端部63は、第2末端部64と同様に、直線部50aの上端部から上側に向かうに従い周方向一方側θ1に傾斜する傾斜部63aを有する。第1末端部63、第2末端部64の全ての傾斜部63a、64aの傾斜方向は、互いに一致する。これにより、第1末端部63と第2末端部64との干渉が抑制される。また、複数の第1末端部63および第2末端部64の一部は、他の導体連結体60の渡り部50dと周方向において隣接する。渡り部50dは、傾斜部63a、64aと同様に、直線部50aの上端部から上側に向かうに従い周方向一方側θ1に傾斜する。すなわち、傾斜部63a、64aの傾斜方向は、渡り部50dの傾斜方向と一致する。このため、第1末端部63および第2末端部64が、渡り部50dと干渉することを抑制できる。
中性点部10を構成する3つの第2末端部64のうちU相用の第2末端部64Uは、周方向延在部59を有する。また、3つの第2末端部64のうちV相用、W相用の第2末端部64V、64Wは、端子部58V、58Wを有する。周方向延在部59および端子部58V、58Wは、それぞれ折曲部64bから周方向他方側θ2に延びる。
端子部58V、58Wは、周方向に並んで配置される。周方向延在部59は、端子部58V、58Wの上側を通過し、それぞれ端子部58V、58Wと接触する。周方向延在部59は、端子部58V、58Wとそれぞれ接続される。周方向延在部59と端子部58Vとは、第1接続部(接続部)11を構成する。また、周方向延在部59と端子部58Wとは、第2接続部(接続部)12を構成する。すなわち、V相導体連結体60Vの第2末端部64Vは、周方向延在部59に接続されて第1接続部11を構成し、W相導体連結体60Wの第2末端部64Wは、周方向延在部59に接続されて第2接続部12を構成する。
2つの接続部11、12は、それぞれ溶接によって接続される。溶接方法として抵抗溶接を採用する場合、周方向延在部59と端子部58V、58Vとを、電極によって上下から挟み込んで電流を流すことで溶接する。なお、後段において説明するように、接続部11、12において、接続される第2末端部64同士は、エナメル被覆が除去されている。
本実施形態によれば、3つの導体連結体60は、第2末端部64同士を直接的に接続して中性点部10を設けることで三相回路を構成する。本実施形態によれば、導体連結体の末端部をバスバーに接続して中性点を構成する場合と比較して、部品点数を減らすことができる。
本実施形態によれば、中性点部10は、3つの導体連結体60の第2末端部64のうち異なる組み合わせの2つが接続される2つの接続部11、12を有する。したがって、中性点部10は、周方向に沿って並ぶ2つの接続部11、12を有する。このため、中性点部10は、巻線部30から延び出る門型に構成される。これにより、中性点部10は、剛性が高められている。中性点部10に振動が付与された場合であっても中性点部10が共振し難く、中性点部10の接続部11、12に付与される応力を低減できる。したがって、本実施形態によれば、中性点部10との接続部11、12に損傷が生じ難い。
本実施形態によれば、中性点部10の接続部11、12は、2つの第2末端部64が接続されている。すなわち、本実施形態によれば、接続部11、12において、3つ以上の第2末端部64を接合する必要がない。このため、抵抗溶接などの溶接手段によって、接続部11、12を形成する場合に安定して溶接を行うことができる。
図1に示すように、本実施形態の巻線部30は、複数(本実施形態では4つ)の中性点部10を有する。4つの中性点部10は、第1グループG1と第2グループG2との2グループに分けられる。それぞれのグループG1、G2の2つの中性点部10同士は径方向に並んで配置される。すなわち、本実施形態によれば、少なくとも2つの中性点部10が径方向に並んで配置される。
本実施形態によれば、複数の中性点部10が径方向に並ぶことで、それぞれの中性点部10の接続部11、12を径方向に並べて配置できる。これにより、接続部11、12における第2末端部64同士の接続工程において、接続治具の移動距離を短くすることができ結果的に接続工程に要するタクトタイムを短くすることができる。さらに、複数の中性点部10を軸方向に積層する場合などと比較して、中性点部10がコイルエンド30eに対し軸方向に突出することを抑制でき、モータ1の小型化を実現できる。
図6は、第1グループG1(又は第2グループG2)の2つの中性点部10の斜視図である。径方向に並ぶ2つの中性点部10にそれぞれ接続される2つのU相導体連結体60Uは、周方向に隣り合うスロットSを通過する。また、径方向に並ぶ2つの中性点部10にそれぞれ接続される2つのV相導体連結体60Vは、周方向に隣り合うスロットSを通過する。さらに、径方向に並ぶ2つの中性点部10にそれぞれ接続される2つのW相導体連結体60Wは、周方向に隣り合うスロットSを通過する。このように、径方向に並ぶ2つの中性点部10にそれぞれ接続される同相の導体連結体60同士は、周方向に隣り合うスロットSを通過し連結体対69を構成する。
ここで、径方向に並ぶ2つの中性点部10のうち、径方向外側に位置する一方を第1の中性点部10Aと呼び、径方向内側に位置する他方を第2の中性点部10Bと呼ぶ。第1の中性点部10Aの折曲部64bの径方向に沿う長さは、第2の中性点部10Bの折曲部64bの径方向に沿う長さより長い。
第2末端部64は、コイルエンド30eの径方向内側の端部からコイルエンド30eの上側かつ径方向外側に延び出て中性点部10に接続される。このため、第1の中性点部10Aに接続される第2末端部64は、第2の中性点部10Bの径方向内側から径方向外側まで延びる。第1の中性点部10Aに繋がる導体連結体60の第2末端部64は、折曲部64bにおいて第2の中性点部10Bの下側又は上側を通過する。
本実施形態によれば、第1の中性点部10Aに繋がる第2末端部64が、第2の中性点部10Bと軸方向に重なって配置される。中性点部10同士は、互いに接触したとしてもほとんど電流が流れない。したがって、第1の中性点部10Aに繋がる第2末端部64と第2の中性点部10Bとを軸方向に近接して配置することができ、2つの中性点部10が配置されるスペースを軸方向において小型化できる。
なお、本実施形態では、第2末端部64がコイルエンド30eの径方向内側の端部から延び出る場合について説明した。しかしながら、第2末端部64は、コイルエンド30eの径方向外側の端部から延び出ていてもよい。すなわち、第2末端部64は、コイルエンド30eの径方向一方側の端部からコイルエンド30eの上側かつ径方向他方側に延び出て中性点部10において接続されていればよい。さらにこの場合、径方向に並ぶ2つの中性点部のうち、径方向他方側に位置する中性点部10に繋がる導体連結体60の第2末端部64は、径方向一方側に位置する中性点部の軸方向一方側又は他方側を通過すればよい。
図4に示すように、導体50の表面は、絶縁性の被覆であるエナメル被覆(第1被覆)7で覆われている。導体50は、接続部11、12においてエナメル被覆7から表面が露出する。さらに、導体50は、接続部11、12の上から被覆部(第2被覆)8で覆われる。これにより、エナメル被覆7から表面が露出した部分は、絶縁性の被覆部8によって覆われる。本実施形態によれば、第2末端部64において導体50同士を電気的に接続するとともに、他の導体50との絶縁の確実性を高めることができる。
本実施形態において、径方向に並ぶ複数の中性点部10は、1つの被覆部8によって覆われる。本実施形態によれば、複数の中性点部10が径方向に並んで配置されるために、これらをまとめて被覆して被覆部8を形成することができ、被覆工程を簡素化できる。なお、本実施形態において、被覆部8は、例えば粉体塗装によって形成される。また、被覆部8は、絶縁テープであってもよい。
(変形例)
図7は、上述の実施形態に採用可能な変形例の中性点部110の斜視図である。
3つの導体連結体160(U相導体連結体160U、V相導体連結体160V、W相導体連結体160W)の第2末端部164は、電気的に接続されて中性点部110を構成する。
図7は、上述の実施形態に採用可能な変形例の中性点部110の斜視図である。
3つの導体連結体160(U相導体連結体160U、V相導体連結体160V、W相導体連結体160W)の第2末端部164は、電気的に接続されて中性点部110を構成する。
U相導体連結体160Uの第2末端部164Uは、周方向他方側θ2に延びる第1周方向延在部159Uを有する。V相導体連結体160Vの第2末端部164Vは、周方向他方側θ2に延びる第2周方向延在部159Vを有する。W相導体連結体160Wの第2末端部164Wは、端子部158を有する。
第1周方向延在部159Uは、第2周方向延在部159Vの上側まで延びて第2周方向延在部159Vと接触する。第1周方向延在部159Uは、第2周方向延在部159Vと接続される。第1周方向延在部159Uと第2周方向延在部159Vとは、第1接続部(接続部)111を構成する。
第2周方向延在部159Vは、端子部158の上側まで延びて端子部158と接触する。第2周方向延在部159Vは、端子部158と接続される。第2周方向延在部159Vと端子部158とは、第2接続部(接続部)112を構成する。
本変形例によれば、中性点部110は、3つの導体連結体160の第2末端部164のうち異なる組み合わせの2つが接続される2つの接続部111、112を有することで、剛性が高められている。これにより、中性点部110に振動が付与された場合であっても接続部111、112に損傷が生じ難い。
以上に、本発明の様々な実施形態を説明したが、各実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
例えば、上述の実施形態において、モータ1が三相モータである場合について説明したが、これは五相モータなどの他のモータであってもよい。
1…モータ、2…ステータ、3…ロータ、7…エナメル被覆(第1被覆)、8…被覆部(第2被覆)、10,110…中性点部、10A…第1の中性点部、10B…第2の中性点部、11,111…接続部(接続部)、12,112…第2接続部(接続部)、20…ステータコア、30…巻線部、30e,30f…コイルエンド、50…導体、59…周方向延在部、60,160…導体連結体、60U…U相導体連結体(第1相導体連結体)、60V…V相導体連結体(第1相導体連結体)、60W…W相導体連結体(第3相導体連結体)、63…末端部、64…第2末端部(末端部)、159U…第1周方向延在部、159V…第2周方向延在部、J…中心軸線、S…スロット
Claims (6)
- 中心軸線を中心として回転可能なロータと、
前記ロータの径方向外側に配置されるステータと、を備え、
前記ステータは、
複数の導体が直列に連結された複数の導体連結体を有する巻線部と、
前記導体連結体が通る複数のスロットが設けられるステータコアと、を有し、
前記巻線部は、前記ステータコアの軸方向一方側に位置し3つの前記導体連結体の末端部が電気的に接続される中性点部を有し、
前記中性点部は、3つの前記導体連結体の末端部のうち異なる組み合わせの2つが接続される2つの接続部を有する、
モータ。 - 複数の前記導体連結体は、第1相導体連結体、第2相導体連結体、および第3相導体連結体に分類され、
前記第1相導体連結体の末端部は、周方向に延びる周方向延在部を有し、
前記第2相導体連結体の末端部は、前記周方向延在部に接続されて前記接続部を構成し、
前記第3相導体連結体の末端部は、前記周方向延在部に接続されて前記接続部を構成する、
請求項1に記載のモータ。 - 複数の前記導体連結体は、第1相導体連結体、第2相導体連結体、および第3相導体連結体に分類され、
前記第1相導体連結体の末端部は、周方向に延びる第1周方向延在部を有し、
前記第2相導体連結体の末端部は、前記第1周方向延在部に接続されて前記接続部を構成するとともに周方向に延びる第2周方向延在部を有し、
前記第3相導体連結体の末端部は、前記第2周方向延在部に接続されて前記接続部を構成する、
請求項1に記載のモータ。 - 前記巻線部は、複数の前記中性点部を有し、
少なくとも2つの前記中性点部が径方向に並んで配置される、
請求項1~3の何れか一項に記載のモータ。 - 前記巻線部は、前記ステータコアの軸方向一方側に位置するコイルエンドを有し、
前記導体連結体の末端部は、前記コイルエンドの径方向一方側の端部から前記コイルエンドの軸方向一方側かつ径方向他方側に延び出て前記中性点部において接続され、
径方向に並ぶ2つの前記中性点部のうち、径方向他方側に位置する第1の中性点部に繋がる前記導体連結体の末端部は、径方向一方側に位置する第2の中性点部の軸方向一方側又は他方側を通過する、
請求項4に記載のモータ。 - 前記導体の表面は、絶縁性の第1被覆で覆われ、
前記導体は、前記接続部において前記第1被覆から前記表面が露出し、前記接続部の上から第2被覆で覆われる、
請求項1~5の何れか一項に記載のモータ。
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