JP2022149829A - 硬化性組成物および硬化物 - Google Patents

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Kazuhiko Hirabayashi
健一 吉橋
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Abstract

【課題】粘度が低減されており、得られる硬化物の機械物性が良好である硬化性組成物を提供する。【解決手段】本発明の一態様に係る硬化性組成物は、(メタ)アクリル系共重合体(A)、ポリオキシアルキレン系重合体(B)および反応性可塑剤(C)を含む。(メタ)アクリル系共重合体(A)は、XブロックおよびYブロックを含むブロック共重合体であり、アルコキシシリル基を有する。XブロックとYブロックとでは、アルコキシシリル基の含有率が異なる。ポリオキシアルキレン系重合体(B)は、特定の構造のアルコキシシリル基を有する。反応性可塑剤(C)は、1分子あたり1.0個未満のアルコキシシリル基を有している。【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性組成物および硬化物に関する。
アルコキシシリル基を有する重合体分子は、アルコキシシリル基が加水分解することにより、他の重合体分子との間でシロキサン結合を形成する。この架橋反応によって、ゴム状の硬化物が得られることが知られている。上述の特徴を利用して、アルコキシシリル基を有する重合体は、シーリング材、接着剤、塗料などの広汎な用途に使用されている。
このような重合体の一例として、アルコキシシリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体が挙げられる。アルコキシシリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体を含む硬化性組成物は、作業性が良好であり、機械的物性(破断伸び、破断強度など)のバランスにも優れている。しかし、ポリオキシアルキレン系重合体は、老化防止剤を使用しないと、3級炭素に結合した水素原子が酸化されやすい。そのため、硬化性組成物の耐候性が悪くなるという問題があった。
この問題を解決するために、アルコキシシリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体に、アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系共重合体を混合した硬化性組成物が提案されている。例えば、特許文献1には、アルコキシシリル基を有するビニル重合体(A)、末端にアルコキシシリル基を有するポリオキシアルキレン化合物(B)、および、特定分子量のポリプロピレングリコール(C1)またはアルコキシシリル基を有していないビニル重合体(C2)を含有するシーリング材組成物が開示されている。特許文献2には、(A)アルコキシシリル基を有するオキシアルキレン重合体、および、(B)架橋性官能基を有する特定のビニル重合体を含むシーリング材組成物が開示されている。特許文献3には、加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体を構成単量体に含む特定のビニル重合体、および、加水分解性シリル基含有オキシアルキレン系重合体を含んでなる硬化性樹脂組成物が開示されている。特許文献4には、数平均分子量が10000以上のポリエーテル系重合体(I)、および、架橋性官能基を重合体末端に少なくとも1個有するビニル系重合体(II)を含有する硬化性組成物が開示されている。
アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系共重合体の製造方法の例としては、原子移動ラジカル重合による製造方法が挙げられる。特許文献5は、このような製造方法の一例を開示している。この方法は、以下の3つの工程を含むものである。
(1)分子内にハロゲン基を1つ有する開始剤と加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリルモノマー(B)と加水分解性シリル基を有しない(メタ)アクリルモノマー(C)とを重合し、マクロ開始剤を合成する第1の工程。
(2)(メタ)アクリルモノマー(C)を添加し、中間体ポリマーを合成する第2の工程。
(3)(メタ)アクリルモノマー(B)を添加し、中間体ポリマーを合成する第3の工程。
特開2004-018748号公報 国際公開第2008/059872号パンフレット 特開2014-118502号公報 国際公開第2005/095492号パンフレット 特開2018-162394号公報
しかし、上述の従来技術を利用したとしても、硬化性組成物の粘度を低減させる点に関しては改善の余地が残されていた。すなわち、硬化性組成物の粘度を低減させ、かつ、得られる硬化物の機械物性を維持することは、従来技術では困難であった。
本発明の一態様は、粘度が低減されており、得られる硬化物の機械物性が良好である硬化性組成物を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る硬化性組成物は、
(メタ)アクリル系共重合体(A)、ポリオキシアルキレン系重合体(B)および反応性可塑剤(C)を含む硬化性組成物であって、
上記(メタ)アクリル系共重合体(A)は、XブロックおよびYブロックを有しており、
上記(メタ)アクリル系共重合体(A)は、XYジブロック構造またはXYXトリブロック構造を分子中に有し、
上記Xブロックに含まれているアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の繰り返し単位は、平均で1.0個以上であり、
上記Yブロックに含まれているアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の繰り返し単位は、上記Yブロックに含まれている全ての繰り返し単位の重量を基準として、0~3重量%であり、
上記(メタ)アクリル系共重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、1.8以下であり、
上記(メタ)アクリル系共重合体(A)は、以下の条件を満たしており、
(i) (メタ)アクリル酸エステルモノマー(α)由来の繰り返し単位をランダムに含んでいる;
(ii) 上記(メタ)アクリル酸エステルモノマー(α)は、(メタ)アクリル酸とエステル結合しているアルキル基を有しており、かつ、上記アルキル基は炭素数が1~5のアルコキシ基を有している;
(iii) 上記(メタ)アクリル酸エステルモノマー(α)由来の繰り返し単位は、上記(メタ)アクリル系共重合体(A)に含まれている全ての繰り返し単位の重量を基準として、5~20重量%含まれている;
上記ポリオキシアルキレン系重合体(B)は、下記式で表されるアルコキシシリル基を、1分子あたり1.0個以上有し、
-Si(R3-a(X)
(式中、
1つのアルコキシシリル基にRが複数含まれる場合、それらは同一であっても異なっていてもよく、
は、アルコキシシリル基ごとに異なっていてもよく、炭素原子数1~20の置換または非置換の炭化水素基を表し(置換されている場合には、ヘテロ原子含有基で置換されていてもよい)、
1つのアルコキシシリル基にXが複数含まれる場合、それらは同一であっても異なっていてもよく、
Xは、アルコキシシリル基ごとに異なっていてもよく、水酸基または加水分解性基を表し、
aは、1、2または3である)
上記反応性可塑剤(C)は、アルコキシシリル基を1分子あたり1.0個未満有している。
本発明の一態様によれば、粘度が低減されており、得られる硬化物の機械物性が良好である硬化性組成物が提供される。
以下、本発明の実施の形態の一例について詳細に説明するが、本発明は、これらに限定されない。
本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上、B以下」を意味する。本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」および/または「メタアクリル」を意味する。
本発明の一態様に係る硬化性組成物は、(メタ)アクリル系共重合体(A)、ポリオキシアルキレン系重合体(B)および反応性可塑剤(C)を含む。従来、硬化性組成物の粘度を低下させるために、反応性可塑剤の配合が行われていた。また、硬化性組成物の粘度を低下させる別の方法として、特定の構造のポリオキシアルキレン系重合体(ポリオキシアルキレン重合体(B))を配合も行われていた。しかし、従来の(メタ)アクリル系共重合体(例えば、特開2007-302749に開示されている共重合体)は、ポリオキシアルキレン系重合体(B)および/または反応性可塑剤と組合せたとしても、硬化性組成物の粘度の低下と硬化物の機械物性の維持とを両立することには、限界があった。
一方、本発明の一態様においては、(メタ)アクリル系共重合体(A)、ポリオキシアルキレン系重合体(B)および反応性可塑剤(C)を組合せることによって、硬化性組成物の粘度の低下と硬化物の機械物性の維持とを両立させている。
〔1.(メタ)アクリル系共重合体(A)〕
本発明の一態様に係る硬化性組成物は、(メタ)アクリル系共重合体(A)を含んでいる。(メタ)アクリル系共重合体(A)は、XブロックおよびYブロックを有しており、分子中にXYジブロック構造またはXYXトリブロック構造を有する。なお、(メタ)アクリル系共重合体(A)の分子全体の構造は、XYジブロック構造またはXYXトリブロック構造を含んでいれば特に限定されず、例えば、XYXYテトラブロック構造であってもよい。
ここで、「XYXトリブロック構造」とは、当業者間で一般に言われている「ABAトリブロック構造」を意味する。(メタ)アクリル系共重合体(A)におけるX/Yの比は、(5/95)~(60/40)が好ましく、(15/85)~(40/60)がより好ましい。
一実施形態において、(メタ)アクリル系共重合体(A)の分子はXYジブロック構造である。XYジブロック構造の分子において、Xブロックとは、分子の一方の末端から40%以下、30%以下または25%以下の領域でありうる(分子に含まれる全ユニットを100%とする)。ここで、Xブロックは、アルコキシシリル基が相対的に多く分布している側のブロックである。
一実施形態において、(メタ)アクリル系共重合体(A)の分子はXYXトリブロック構造である。XYXトリブロック構造の分子において、Xブロックとは、分子の末端から40%以下、30%以下または25%以下の領域でありうる(分子に含まれる全ユニットを100%とする)。ここで、Xブロックは、分子の両末端に位置しているブロックである。
また、(メタ)アクリル系共重合体(A)は、アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の繰り返し単位を有している。このアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の繰り返し単位は、Xブロックに相対的に多く含まれている。具体的には、Xブロックに含まれているアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の繰り返し単位は、平均で1.0個以上である。一方、Yブロックに含まれているアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の繰り返し単位は、Yブロックに含まれている全ての繰り返し単位の重量を基準として、0~3重量%である。
したがって、アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の繰り返し単位は、(メタ)アクリル系共重合体(A)の、少なくとも一方の末端部に多く分布している。とくに、(メタ)アクリル系共重合体(A)がXYジブロック構造を取る場合は、アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の繰り返し単位は、分子の一端に局在している。また、(メタ)アクリル系共重合体(A)がXYXトリブロック構造を取る場合は、アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の繰り返し単位は、分子の両端に局在している。
Xブロックに含まれているアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の繰り返し単位は、平均して1.0個以上であり、1.1個以上が好ましく、1.3個以上がより好ましく、1.5個以上がさらに好ましく、1.7個以上が特に好ましい。同じく、Xブロックに含まれているアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の繰り返し単位は、Xブロックに含まれている全ての繰り返し単位の重量を基準として、3重量%超が好ましく、4.5重量%以上がより好ましく、5重量%以上がさらに好ましい。Yブロックに含まれているアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の繰り返し単位の上限値は、Yブロックに含まれている全ての繰り返し単位の重量を基準として、2重量%以下が好ましく、1重量%以下がより好ましい。Yブロックに含まれているアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の繰り返し単位の下限値は、Yブロックに含まれている全ての繰り返し単位の重量を基準として、0重量%超が好ましく、0重量%以上がより好ましい。
さらに、(メタ)アクリル系共重合体(A)は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn;分子量分布)が小さいアクリル系共重合体である。(メタ)アクリル系共重合体(A)の分子量分布は、1.5以下である。(メタ)アクリル系共重合体(A)の分子量分布は、好ましくは1.4以下、1.3以下または1.2以下である。分子量分布が大きすぎると重合体の粘度が増大し、作業性が低下する傾向にある。
重量平均分子量および数平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定できる。GPC測定には、移動相としてクロロホルム、固定相としてポリスチレンゲルカラムを用いることができる。また、これらの分子量は、ポリスチレン換算で算出できる。
このように、分子量分布の小さい(メタ)アクリル系共重合体(A)は、例えば、リビングラジカル重合を利用した製造方法によって好適に製造できる。より好適には、〔2〕節で説明する方法によって製造できる。
(メタ)アクリル系共重合体(A)は、(メタ)アクリル酸エステルモノマー(α)由来の繰り返し単位をランダムに含んでいる。(メタ)アクリル酸エステルモノマー(α)由来の繰り返し単位は、(メタ)アクリル系共重合体(A)に含まれている全ての繰り返し単位の重量を基準として、5~20重量%含まれている(この含有率には、臨界的意義が存する)。ここで、(メタ)アクリル酸エステルモノマー(α)とは、(メタ)アクリル酸とエステル結合しているアルキル基を有しており、かつ、上記アルキル基は炭素数が1~5のアルコキシ基を有しているモノマーのことである。好ましくは、アクリル酸とエステル結合しているアルキル基の炭素数は、1~5である。(メタ)アクリル酸エステルモノマー(α)由来の繰り返し単位をランダムに含むことにより、(メタ)アクリル系共重合体(A)は粘度の低い樹脂となる。
(メタ)アクリル酸エステルモノマー(α)由来の繰り返し単位の含有率は、(メタ)アクリル系共重合体(A)に含まれている全ての繰り返し単位の重量を基準として、10~20重量%が好ましい。
(メタ)アクリル系共重合体(A)は、ポリオキシアルキレン系重合体(B)との相溶性が特に高い。したがって、良好な性質の硬化性組成物および硬化物を得ることができる。
[1.1.(メタ)アクリル酸エステルモノマー]
(メタ)アクリル系共重合体(A)は、主鎖に、(メタ)アクリル酸エステルモノマーに由来する構成単位を含んでいる。主鎖を構成する(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、上述の要件を満たす限り、特に限定されない。1種類のみの(メタ)アクリル酸エステルモノマーを用いてもよいし、2種類以上の(メタ)アクリル酸エステルモノマーを組合せて用いてもよい。
このような(メタ)アクリル酸エステルモノマーの類型として、以下のものが挙げられる。
・(メタ)アクリル酸エステルモノマー(α):(メタ)アクリル酸とエステル結合しているアルキル基を有しており、かつ、上記アルキル基は炭素数が1~5のアルコキシ基を有しているモノマー。
・(メタ)アクリル酸エステルモノマー(β):(メタ)アクリル酸とエステル結合しているアルキル基の炭素数が1~5であるモノマー。
・(メタ)アクリル酸エステルモノマー(γ):(メタ)アクリル酸とエステル結合しているアルキル基の炭素数が6~15であるモノマー。
・(メタ)アクリル酸エステルモノマー(δ):(メタ)アクリル酸とエステル結合しているアルキル基の炭素数が16~25であるモノマー。
(メタ)アクリル系共重合体(A)においては、(メタ)アクリル酸エステルモノマー(α)由来の繰り返し単位の含有率は、(メタ)アクリル系共重合体(A)に含まれている全ての繰り返し単位の重量を基準として、5~20重量%であり、10~20重量%が好ましい。(メタ)アクリル酸エステルモノマー(β)由来の繰り返し単位の含有率は、(メタ)アクリル系共重合体(A)に含まれている全ての繰り返し単位の重量を基準として、45~70重量%が好ましく、50~70重量%がより好ましい。(メタ)アクリル酸エステルモノマー(γ)由来の繰り返し単位の含有率は、(メタ)アクリル系共重合体(A)に含まれている全ての繰り返し単位の重量を基準として、0~25重量%が好ましく、10~25重量%がより好ましい。(メタ)アクリル酸エステルモノマー(δ)由来の繰り返し単位の含有率は、(メタ)アクリル系共重合体(A)に含まれている全ての繰り返し単位の重量を基準として、15~25重量%が好ましく、15~20重量%がより好ましい。このような組成で各(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含有することにより、(メタ)アクリル系共重合体(A)は、良好な作業性、機械物性および耐候性を得ることができる。
(メタ)アクリル酸エステルモノマー(β)由来の繰り返し単位の含有率が上記の範囲ならば、(メタ)アクリル系共重合体(A)とポリオキシアルキレン系重合体(B)との相溶性が充分に確保できる。(メタ)アクリル酸エステルモノマー(γ)由来の繰り返し単位の含有率が上記の範囲ならば、低温下における粘度の上昇を防ぎ、作業性の低下を防止でき、(メタ)アクリル系共重合体(A)とポリオキシアルキレン系重合体(B)との相溶性が充分に確保できる。(メタ)アクリル酸エステルモノマー(δ)由来の繰り返し単位の含有率が上記の範囲ならば、(メタ)アクリル系共重合体(A)とポリオキシアルキレン系重合体(B)との相溶性が充分に確保でき、低温下における粘度の上昇を防ぎ、作業性の低下を防止できる。
(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、特に限定されず、従来公知のものが使用できる。(メタ)アクリル酸エステルモノマー(α)の例としては、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸イソプロポキシエチルが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルモノマー(β)の例としては(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチルが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルモノマー(γ)の例としては、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシルが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルモノマー(δ)の例としては、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸イコシル、(メタ)アクリル酸ドコシルが挙げられる。
上述したモノマーの中で、(メタ)アクリル酸エステルモノマー(α)としては、アクリル酸2-メトキシエチルが好ましい。(メタ)アクリル酸エステルモノマー(β)としては、アクリル酸ブチルが好ましい。(メタ)アクリル酸エステルモノマー(γ)としては、アクリル酸2-エチルヘキシルおよびアクリル酸ドデシルが好ましい。(メタ)アクリル酸エステルモノマー(δ)としては、アクリル酸オクタデシルが好ましい。これらのモノマーを選択することにより、製造される(メタ)アクリル系共重合体(A)は、粘度、ポリオキシアルキレン系重合体(B)との相溶性、耐候性、機械物性、耐久性が高水準でバランスよく達成されうる。
一実施形態において、(メタ)アクリル系共重合体(A)は、(メタ)アクリル酸エステルモノマー(γ)由来の繰り返し単位を含んでいない。このような(メタ)アクリル系共重合体(A)は、例えば、上記段落で列挙した好ましい(メタ)アクリル酸エステルモノマー(α)、(β)および(δ)に由来するユニットを有している。(メタ)アクリル酸エステルモノマー(γ)を原料に含めないことにより、使用する原料モノマーの種類を減らすことができ、それゆえ製造のコストおよび手間を低減できる。
(メタ)アクリル系共重合体(A)に含まれている(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の繰り返し単位は、(メタ)アクリル系共重合体(A)に含まれている全ての繰り返し単位を基準として、70重量%以上が好ましく、90%重量以上がより好ましい。(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の繰り返し単位の含有率が70%以上であれば、製造される(メタ)アクリル系共重合体(A)は、ポリオキシアルキレン系重合体(B)との相溶性が充分に確保でき、また、良好な耐候性、機械物性および耐久性が得られる。
[1.2.アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー]
(メタ)アクリル系共重合体(A)は、アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の繰り返し単位を含んでいる。一実施形態において、上記のアルコキシシリル基は、下記一般式(1)により表される。
-[Si(R2-b(Y)O]-Si(R3-a(Y) ・・・(1)。
式中、RおよびRは、独立に、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数7~20のアラルキル基、メトキシメチル基、または(R’)SiO-で示されるトリオルガノシロキシ基である(このとき、R’は炭素数1~20の1価の炭化水素基であり、3個存在するR’は同一であってもよく、異なっていてもよい)。RまたはRが2個以上存在するとき、当該RまたはRは、同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは、炭素数1~20のアルコキシ基である(Yが2個以上存在するとき、当該Yは同一であってもよく、異なっていてもよい)。aは、0、1、2または3である。bは、0、1または2である。mは、0~19の整数である。また、a+mb≧1の関係を満たしている。
一般に、アルコキシ基は、炭素数が少ない方が反応性は高い。すなわち、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基…の順に、反応性が低くなる。したがって、(メタ)アクリル系共重合体(A)の製造方法や用途に応じて、適宜アルコキシ基を選択できる。
アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーの具体的な構造は、特に制限されない。一例として、下記一般式(2)で示されるモノマーが挙げられる。
C=CRC(=O)O-(CH-SiR (OR3-n ・・・(2)。
式中、Rは、水素またはメチル基である。RおよびRは、水素、メチル基およびエチル基からなる群より選択される1種類以上である。Rおよび/またはRが複数存在する場合、当該Rおよび/またはRは独立に選択される。mは、0~10の整数である。nは、0~2の整数である。
アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーの具体例としては、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
(メタ)アクリル系共重合体(A)に導入されているアルコキシシリル基の数は、XブロックとYブロックとで異なっており、具体的には上述した通りである。(メタ)アクリル系共重合体(A)がXYジブロック構造を取る場合、分子全体としては、平均して1個以上であり、好ましくは1.1個以上、より好ましくは1.3個以上、さらに好ましくは1.5個以上、特に好ましくは1.7個以上のアルコキシシリル基が導入されている。(メタ)アクリル系共重合体(A)がXYXトリブロック構造またはXYXYテトラブロック構造を取る場合、分子全体としては、平均して2個以上であり、好ましくは2.2個以上、より好ましくは2.6個以上、さらに好ましくは3.0個以上、特に好ましくは3.4個以上のアルコキシシリル基が導入されている。(メタ)アクリル系共重合体(A)に導入されているアルコキシシリル基の数の上限は、10.0個以下が好ましく、8.0個以下がより好ましく、6.0個以下がさらに好ましく、5.0個以下が特に好ましい。アルコキシシリル基の数が上記の範囲であれば、(メタ)アクリル系共重合体(A)を用いた硬化性組成物および硬化物の物性が良好となる。
[1.3.その他の物性]
(メタ)アクリル系共重合体(A)の数平均分子量は、特に限定されないが、4,000~80,000が好ましく、20,000~50,000がより好ましい。数平均分子量が4,000以上ならば、(メタ)アクリル系共重合体(A)の特性を充分に発揮させられる。数平均分子量が80,000以下ならば、粘度が高くなりすぎず、充分な作業性を確保できる。数平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定できる。
(メタ)アクリル系共重合体(A)は、例えば、特開2018-162394号公報に開示されているリビングラジカル重合法を利用した製造方法によって製造することができる。リビングラジカル重合法の例としては、以下が挙げられる。
・原子移動ラジカル重合(Atom Transfer Radical Polymerization;ATRP(J. Am. Chem. Soc. 1995, 117, 5614; Macromolecules. 1995, 28, 1721を参照))
・一電子移動重合(Sigle Electron Transfer Polymerization;SET-LRP(J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 14156; JPSChem 2007, 45, 1607を参照))
・可逆移動触媒重合(Reversible Chain Transfer Catalyzed Polymerization;RTCP(「有機触媒で制御するリビングラジカル重合」『高分子論文集』68, 223-231 (2011); 特開2014-111798を参照))
・可逆的付加-開裂連鎖移動重合法(RAFT重合)
・ニトロキシラジカル法(NMP法)
・有機テルル化合物を用いる重合法(TERP)法
・有機アンチモン化合物を用いる重合法(SBRP法)
・有機ビスマス化合物を用いる重合法(BIRP)
・ヨウ素移動重合法。
特開2018-162394号公報に開示されている製造方法を採用した場合、(メタ)アクリル系共重合体(A)の分子の一端または両端(重合時における分子鎖の伸長末端)に、ハロゲン原子が残存している場合がある。一実施形態において、(メタ)アクリル系共重合体(A)は、重合時における分子鎖の伸長末端1個あたり、平均して1個以上のハロゲン原子を有している。
〔2.(メタ)アクリル系共重合体(A)の製造方法〕
一実施形態において、(メタ)アクリル系共重合体(A)は、下記第1a工程および第2a工程、または、下記第1b工程および第2b工程、を含む製造方法によって製造できる。なお、以下の記載において、「アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーを0重量%含む」とは、「アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含まない」ことを意味する。
(第1a工程)リビング重合開始剤によって、アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーを3重量%超含む(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物を重合させる工程。
(第2a工程)第1a工程後の反応系に、アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーを0~3重量%含む(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物を加えて重合させる工程。
(第1b工程)リビング重合開始剤によって、アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーを0~3重量%含む(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物を重合させる工程。
(第2b工程)第1b工程後の反応系に、アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーを3重量%超含む(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物を加えて重合させる工程。
以下、(メタ)アクリル系共重合体(A)の構造ごとに、各工程をより具体的に説明する。
(共重合体がXYジブロック構造である場合)
XYジブロック構造の分子である(メタ)アクリル系共重合体(A)は、上述の第1a工程および第2a工程によって、または第1b工程および第2b工程によって、製造できる。このとき、第1a工程および第2b工程によって、アルコキシシリル基が相対的に多く含まれるXブロックが形成される。一方、第2a工程および第1b工程によって、アルコキシシリル基が相対的に少なく含まれるYブロックが形成される。
第1a工程においては、リビング重合開始剤によって、アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーを重合させる。リビング重合開始剤としては、例えば、分子内にハロゲン基を1つ有する開始剤を用いることができる。アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーの量は、開始剤の1モル当量に対して、1~10モル当量とすることができる。また、必要に応じて、アルコキシシリル基を有さない(メタ)アクリル酸エステルモノマーを1~100モル当量、一緒に重合してもよい。第1a工程において反応系に加えられるアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーの量は、第1a工程において反応系に加えられるモノマー混合物の、3重量%超を占めている。
第2a工程においては、第1a工程後の反応系に、アルコキシシリル基を有さない(メタ)アクリル酸エステルモノマーを加えて重合させる。アルコキシシリル基を有さない(メタ)アクリル酸エステルモノマーの投入量は、第1a工程で得られる重合物の1モル当量に対して、2~600モル当量でありうる。第2a工程において、アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーを反応系に加えてもよい。第2a工程において反応系に加えられるアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーの量は、第2a工程において反応系に加えられるモノマー混合物の、0~3重量%を占めている。
第1b工程においては、リビング重合開始剤によって、アルコキシシリル基を有さない(メタ)アクリル酸エステルモノマーを重合させる。リビング重合開始剤としては、第1a工程と同じものが利用できる。アルコキシシリル基を有さない(メタ)アクリル酸エステルモノマーの量は、開始剤の1モル当量に対して、2~600モル当量とすることができる。第1b工程において、アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーを反応系に加えてもよい。第1b工程において反応系に加えられるアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーの量は、第1b工程において反応系に加えられるモノマー混合物の、0~3重量%を占めている。
第2b工程においては、第1b工程後の反応系に、アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーを加えて重合させる。アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーの量は、第1b工程で得られる重合体の1モル当量に対して、1~10モル当量とすることができる。また、必要に応じて、アルコキシシリル基を有さない(メタ)アクリル酸エステルモノマーを1~100モル当量、一緒に重合してもよい。第2b工程において反応系に加えられるアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーの量は、第2b工程において反応系に加えられるモノマー混合物の、3重量%超を占めている。
上記の工程において、「アルコキシシリル基を有さない(メタ)アクリル酸エステルモノマー」の例としては、〔1〕節で説明した(メタ)アクリル酸エステルモノマー(α)、(β)、(γ)、(δ)が挙げられる。これは、以下の説明でも同様である。
(共重合体がXYXトリブロック構造である場合)
XYXトリブロック構造の分子である(メタ)アクリル系共重合体(A)は、上述の第1a工程および第2a工程の後、第3a工程をさらに経ることによって、製造できる。このとき、第1a工程および第3a工程によって、アルコキシシリル基が相対的に多く含まれるXブロックが形成される。
第3a工程では、第2a工程後の反応系に、アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーを加えて重合させる。アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーの投入量は、第2a工程で得られる重合体の1モル当量に対して、1~10モル当量でありうる。また、必要に応じて、アルコキシシリル基を有さない(メタ)アクリル酸エステルモノマーを1~100モル当量、一緒に重合してもよい。第3a工程において反応系に加えられるアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーの量は、当該工程において反応系に加えられるモノマー混合物の、3重量%超を占めている。
YXYトリブロック構造の分子である(メタ)アクリル系共重合体(A)は、上述の第1b工程および第2b工程の後、第3b工程をさらに経ることによって、製造できる。このとき、第2b工程によって、アルコキシシリル基が相対的に多く含まれるXブロックが形成される。
第3b工程では、第2b工程後の反応系に、アルコキシシリル基を有さない(メタ)アクリル酸エステルモノマーを加えて重合させる。アルコキシシリル基を有さない(メタ)アクリル酸エステルモノマーの投入量は、第2b工程で得られる重合体の1モル当量に対して、2~600モル当量でありうる。第3b工程において、アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーを反応系に加えてもよい。第3b工程において反応系に加えられるアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーの量は、当該工程において反応系に加えられるモノマー混合物の、0~3重量%を占めている。
(共重合体が4つ以上のブロックを有する場合)
上述した第1a工程、第2a工程、第3a工程、第1b工程、第2b工程および第3b工程を適宜組み合わせることによって、4つ以上のブロックを有する(メタ)アクリル系共重合体(A)を製造できる。例えば、XYXYテトラブロック構造を有する(メタ)アクリル系共重合体(A)を製造できる。
上記の製造方法は、リビングラジカル重合法を採用することにより、好適に実行できる。上述のリビングラジカル重合法の中では、原子移動ラジカル重合、一電子移動重合、および可逆移動触媒重合が好ましい。
より好ましい製造方法としては、ATRPまたはSET-LRPを利用して、遷移金属または遷移金属錯体(遷移金属化合物と配位子とからなる)を触媒とする、ビニル系モノマーのリビングラジカル重合方法を挙げることができる。さらに、遷移金属類を触媒としないRTCPも挙げられる。
遷移金属錯体を触媒とするリビングラジカル重合のメカニズムには、現在のところ、ATRPおよびSET-LRPの2通りの解釈がある。ATRPに基づいて解釈すると、リビングラジカル重合は、以下の2つの反応の平衡からなる(例として、銅錯体を使用する場合で説明する)。
(a)1価銅錯体は、重合体末端のハロゲンを引き抜いてラジカルを発生させ、2価銅錯体となる。
(b)2価銅錯体は、重合末端のラジカルにハロゲンを付加し、1価銅錯体となる。
一方、SET LRPに基づいて解釈すると、リビングラジカル重合は、以下の3つの反応の平衡からなる(例として、銅錯体を使用する場合で説明する)。
(a)0価の金属銅または銅錯体は、重合体末端のハロゲンを引き抜いてラジカルを発生させて、2価銅錯体となる。
(b)2価銅錯体は、重合末端のラジカルにハロゲンを付加して、0価銅錯体となる。
(c)1価銅錯体は、不均化して、0価および2価の銅錯体となる。
上述した製造方法も、いずれかのリビングラジカル重合系として解釈されうるが、本明細書では両者を特に区別しない。触媒に遷移金属または遷移金属錯体を用いたリビングラジカル重合系であれば全て、本発明の範疇に含まれる。
また、ATRPを改良した合成方法である、Activators Regenerated by Electron Transfer:ARGETも報告されている(Macromolecules. 2006, 39, 39)。この方法は、重合の遅延または停止の原因となる高酸化遷移金属錯体を、還元剤を用いて減らすことによって、遷移金属錯体が少ない低触媒条件においても、速やかに高反応率まで重合反応を進行させることができる。このARGETも、本発明では採用できる。
(製造方法による(メタ)アクリル系共重合体(A)の構造の特定)
一実施形態において、(メタ)アクリル系共重合体(A)は、上述の製造方法により得られる共重合体として定義される。すなわち、(メタ)アクリル系共重合体(A)は、第1a工程および第2a工程、または、第1b工程および第2b工程、を含む製造方法によって得られる共重合体でありうる。
上述の製造方法は、アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーを共重合により導入する。そのため、得られる共重合体分子におけるアルコキシシリル基の位置を具体的に特定することは、およそ実際的ではない。
また、上述の製造方法において、第1a工程および第2a工程(または、第1b工程および第2b工程)で同じ種類のアルコキシシリル基を有さない(メタ)アクリル酸エステルモノマーを反応系に加える場合、得られる共重合体の主鎖構造は、XブロックもYブロックも同じになる。このような共重合体において、XブロックとYブロックとの境界を具体的に特定することは、およそ実際的でない。
このような事情のため、(メタ)アクリル系共重合体(A)を、共重合体分子の具体的な構造として定義するのではなく、上述の製造方法により得られる共重合体として定義せざるをえない場合がある。
以下、本発明の一実施形態における製造方法に使用できる各種の薬剤について、個別に説明する。これらの薬剤はいずれも、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を組合せて用いてもよい。また、これらの薬剤自体を重合系に投入してもよいし、重合系内でこれらの薬剤が生成するようにしてもよい。
[2.1.開始剤]
開始剤としては、分子内にハロゲン基を1つ有するラジカル開始剤を使用することができる。このような開始剤の例としては、2-ブロモイソ酪酸エチル、2-ブロモ酪酸エチル(α-ブロモ酪酸エチルとも称する)、ブロモ酢酸エチル、ブロモ酢酸メチル、(1-ブロモエチル)ベンゼン、アリルブロミド、2-ブロモプロピオン酸メチル、クロロ酢酸メチル、2-クロロプロピオン酸メチル、(1-クロロエチル)ベンゼンが挙げられる。
容易に入手できるという観点からは、2-ブロモ酪酸エチル、(1-ブロモエチル)ベンゼン、クロロ酢酸メチルが好ましい。反応性および安全性の観点からは、2-ブロモ酪酸エチルが好ましい。
また、開始剤として、アルコキシシリル基を有する開始剤を用いてもよい。あるいは、重合反応前または重合反応後などに、開始剤中にアルコキシシリル基を導入してもよい。このような方法によっても、アルコキシシリル基を少なくとも末端部に有する(メタ)アクリル系共重合体(A)を製造できる。
[2.2.重合触媒]
還元剤を使用する場合も還元剤を使用しない場合も、ATRP系においては、周期表の7族、8族、9族、10族または11族元素を中心金属とする金属錯体を用いることができる。その中でも、特に1価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄を中心金属とする金属錯体が好適である。
具体例を挙げると、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、酢酸第一銅、過塩素酸第一銅などがある。銅化合物を重合触媒として用いる場合には、触媒活性を高めるために、アミン配位子を重合系に添加することが好ましい。また、二価の塩化ルテニウムのトリストリフェニルホスフィン錯体(RuCl(PPh)も、触媒として好適である。この触媒を使用する場合は、触媒活性を高めるために、アルミニウム化合物(トリアルコキシアルミニウムなど)を重合系に添加することが好ましい。さらに、二価の塩化鉄のトリストリフェニルホスフィン錯体(FeCl(PPh)も、触媒として好適である。
上述した中では、銅触媒が廉価で好ましい。触媒活性が高めて生産性を高めるために、多座アミンと銅触媒とを組合せて使用することがより好ましい。
[2.3.多座アミン]
配位子として使用されうる多座アミンの例としては、以下が挙げられる。
・二座配位の多座アミン:2,2-ビピリジン、4,4’-ジ-(5-ノニル)-2,2’-ビピリジン、N-(n-プロピル)ピリジルメタンイミン、N-(n-オクチル)ピリジルメタンイミン
・三座配位の多座アミン:N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン、N-プロピル-N,N-ジ(2-ピリジルメチル)アミン
・四座配位の多座アミン:ヘキサメチルトリス(2-アミノエチル)アミン(MeTREN)、N,N-ビス(2-ジメチルアミノエチル)-N,N’-ジメチルエチレンジアミン、2,5,9,12-テトラメチル-2,5,9,12-テトラアザテトラデカン、2,6,9,13-テトラメチル-2,6,9,13-テトラアザテトラデカン、4,11-ジメチル-1,4,8,11-テトラアザビシクロヘキサデカン、N’,N’’-ジメチル-N’,N’’-ビス((ピリジン-2-イル)メチル)エタン-1,2-ジアミン、トリス[(2-ピリジル)メチル]アミン、2,5,8,12-テトラメチル-2,5,8,12-テトラアザテトラデカン
・五座配位の多座アミン:N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’’,N’’’’-ヘプタメチルテトラエチレンテトラミン
・六座配位の多座アミン:N,N,N’,N’-テトラキス(2-ピリジルメチル)エチレンジアミン
・ポリアミン:ポリエチレンイミン。
[2.4.塩基]
重合系中に存在または発生する酸を中和して、酸の蓄積を防ぐために、塩基を重合系に添加してもよい。塩基の例としては、以下が挙げられる。
・モノアミン:モノアミンとは、塩基として作用する部位が、1分子あたり1個ある化合物を指す。モノアミンの例としては、一級アミン(メチルアミン、アニリン、リシンなど)、二級アミン(ジメチルアミン、ピペリジンなど)、三級アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミンなど)、芳香族系アミン(ピリジン、ピロールなど)、アンモニアが挙げられる。
・ポリアミン:ポリアミンの例としては、ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミンなど)、トリアミン(ジエチレントリアミン、ペンタメチルジエチレントリアミンなど)、テトラミン(トリエチレンテトラミン、ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンテトラミンなど)、ポリエチレンイミンなどが挙げられる。
・無機塩基:無機塩基とは、周期表の1族および2族に属する元素の単体または化合物を指す。周期表の1族および2族に属する元素の単体の例としては、リチウム、ナトリウム、カルシウムが挙げられる。周期表の1族および2族に属する元素の化合物の例としては、ナトリウムメトキシド、カリウムエトキシド、メチルリチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸カリウム、フェノキシナトリウム、フェノキシカリウム、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウムが挙げられる。
[2.5.還元剤]
銅錯体を触媒とするリビングラジカル重合においては、還元剤を併用することにより、重合活性が向上することが知られている(ARGET ATRP)。ARGET ATRPにおいては、重合反応の遅延または停止の原因となる高酸化遷移金属錯体(ラジカル同士のカップリングなどによって生じる)を、還元して減少させることにより、重合活性が向上すると考えられている。これによって、通常ならば数百~数千ppm必要な遷移金属触媒を、数十~数百ppmまで減少させることができる。本発明の一実施形態における製造方法では、還元剤を用いて、ARGET ATRPと同様の反応機構とすることができる。還元剤の例としては、以下が挙げられる。
(銅錯体を還元する際に酸を発生させない還元剤)
・金属:金属の例としては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウムなど)、アルカリ土類金属(ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムなど)、典型金属(アルミニウム、亜鉛など)、遷移金属(銅、ニッケル、ルテニウム、鉄など)が挙げられる。これらの金属は、水銀との合金(アマルガム)の形態で用いることもできる。
・金属化合物:金属化合物の例としては、金属塩、金属錯体が挙げられる。金属錯体に配位している配位子の例としては、一酸化炭素、オレフィン、含窒素化合物、含酸素化合物、含リン化合物、含硫黄化合物が挙げられる。より具体的な例としては、金属とアンモニア/アミンとの化合物、三塩化チタン、チタンアルコキシド、塩化クロム、硫酸クロム、酢酸クロム、塩化鉄、塩化銅、臭化銅、塩化スズ、酢酸亜鉛、水酸化亜鉛、カルボニル錯体(Ni(CO)、CoCOなど)、オレフィン錯体([Ni(cod)]、[RuCl(cod)]、[PtCl(cod)]など;codはシクロオクタジエンを表す)、ホスフィン錯体([RhCl(P(C]、[RuCl(P(C]、[PtCl(P(C]など)が挙げられる。
・有機スズ化合物:具体例としては、オクチル酸スズ、2-エチルヘキシル酸スズ、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズメルカプチド、ジブチルスズチオカルボキシレート、ジブチルスズジマレエート、ジオクチルスズチオカルボキシレートが挙げられる。
・リンまたはリン化合物:具体例としては、リン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、ヘキサメチルホスフォラストリアミド、ヘキサエチルホスフォラストリアミドが挙げられる。
・硫黄または硫黄化合物:具体例としては、硫黄、ロンガリット類、ハイドロサルファイト類、二酸化チオ尿素が挙げられる。ロンガリットとは、スルホキシル酸塩のホルムアルデヒド誘導体のことを指し、一般式:MSO・CHOで表される(式中、MはNaまたはZnである)。ロンガリットの具体例としては、ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート、亜鉛ホルムアルデヒドスルホキシレートが挙げられる。ハイドロサルファイトとは、次亜硫酸ナトリウムおよび次亜硫酸ナトリウムのホルムアルデヒド誘導体を指す。
(銅錯体を還元する際に酸を発生させる還元剤(水素化物還元剤))
・金属水素化物:具体例としては、水素化ナトリウム、水素化ゲルマニウム、水素化タングステン、アルミニウム水素化物(水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化アルミニウムリチウム、水素アルミニウムナトリウム、水素化トリエトキシアルミニウムナトリウム、水素化ビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムなど)、有機スズ水素化物(水素化トリフェニルスズ、水素化トリ-n-ブチルスズ、水素化ジフェニルスズ、水素化ジ-n-ブチルスズ、水素化トリエチルスズ、水素化トリメチルスズなど)が挙げられる。
・ケイ素水素化物:具体例としては、トリクロロシラン、トリメチルシラン、トリエチルシラン、ジフェニルシラン、フェニルシラン、ポリメチルヒドロシロキサンが挙げられる。
・ホウ素水素化物。具体例としては、ボラン、ジボラン、水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリメトキシホウ酸ナトリウム、硫化水素化ホウ素ナトリウム、シアン化水素化ホウ素ナトリウム、シアン化水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素リチウム、水素化トリエチルホウ素リチウム、水素化トリ-s-ブチルホウ素リチウム、水素化トリ-t-ブチルホウ素リチウム、水素化ホウ素カルシウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素亜鉛、水素化ホウ素テトラ-n-ブチルアンモニウムが挙げられる。
・窒素水素化合物:具体例としては、ヒドラジン、ジイミドが挙げられる。
・リンまたはリン化合物:具体例としては、ホスフィン、ジアザホスホレンが挙げられる。
・硫黄または硫黄化合物:具体例としては硫化水素が挙げられる。
・還元作用を示す有機化合物:具体例としては、アルコール、アルデヒド、フェノール類、有機酸化合物が挙げられる。アルコールの例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールが挙げられる。アルデヒドの例としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、ギ酸が挙げられる。フェノール類の例としては、フェノール、ハイドロキノン、ジブチルヒドロキシトルエン、トコフェロールが挙げられる。有機酸化合物の例としては、クエン酸、シュウ酸、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、アスコルビン酸エステルが挙げられる。
また、電解還元によって、還元剤を重合系中で生成させてもよい。電解還元においては、陰極で生じた電子が直接に(または、溶媒和した後で)、還元作用を示す。つまり、還元剤を、電気分解により生成させてもよい。
[2.6.溶媒]
溶媒の例としては、以下が挙げられる。ただし、ATRPは、溶媒を用いない条件でも実施可能である。
・高極性非プロトン性溶媒:ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N-メチルピロリドン
・カーボネート系溶媒:エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート
・アルコール系溶媒:メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール
・ニトリル系溶媒:アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル
・ケトン系溶媒:アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン
・エーテル系溶媒:ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン
・ハロゲン化炭化系溶媒:塩化メチレン、クロロホルム
・エステル系溶媒:酢酸エチル、酢酸ブチル
・炭化水素系溶媒:ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、オクタン、デカン、ベンゼン、トルエン、キシレン
・その他の溶媒:イオン性液体、水、超臨界流体。
還元剤を用いるATRP(ARGET)系においては、遷移金属または遷移金属化合物、多座アミン、塩基、還元剤、モノマーおよび開始剤が重合系中で均一になっていることが、反応制御、重合反応速度、仕込みやすさおよびスケールアップリスクの点から好ましい。したがって、これらの物質を溶解させられる溶媒を選択することが好ましい。
〔3.ポリオキシアルキレン系重合体(B)〕
[3.1.アルコキシシリル基]
ポリオキシアルキレン系重合体(B)は、アルコキシシリル基を有している。このアルコキシシリル基は、下記式(3)で表される。
-Si(R3-a(X) ・・・(3)。
式中、RおよびXは、個々のアルコキシシリル基によって異なっていてもよい。したがって、ポリオキシアルキレン系重合体(B)は、式(3)で表される異なる複数のアルコキシシリル基を、1分子中に有していてもよい。あるいは、ポリオキシアルキレン系重合体(B)が有する式(3)で表されるアルコキシシリル基は、分子によって異なっていてもよい。
は、炭素原子数1~20の置換または非置換の炭化水素基を表す。Rが置換された炭化水素基である場合には、置換基はヘテロ原子含有基であってもよい。ヘテロ原子の例としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子)が挙げられる。ヘテロ原子含有基の例としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、エーテル基、エステル基、アミノ基、アミド基、スルホ基、ホスホ基、ハロゲン基が挙げられる。式(3)のアルコキシシリル基の中に2個以上のRが含まれる場合、それらは同じであってもよいし、異なっていてもよい。
Xは、水酸基または加水分解性基である。加水分解性基としては、特に限定されず、従来公知の加水分解性基であればよい。加水分解性機の具体例としては、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基が挙げられる。aは、1、2または3である。式(3)のアルコキシシリル基の中に2個以上のXが含まれる場合、それらは同じであってもよいし、異なっていてもよい。
式(3)で表されるアルコキシシリル基の具体例としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基、ジイソプロポキシメチルシリル基が挙げられる。この中でも、トリメトキシシリル基およびジメトキシメチルシリル基には、反応が速く進みやすいという利点があり好ましい。
ポリオキシアルキレン系重合体(B)が有しているアルコキシシリル基の数は、1分子あたり1.0個以上である。アルコキシシリル基の数の下限は、1分子あたり、1.5個以上が好ましい。アルコキシシリル基の数の上限は、1分子あたり、6.0個以下が好ましく、3.0個以下がより好ましく、2.5個以下がさらに好ましく、1.8個以下が特に好ましい。アルコキシシリル基の数が上記の範囲であれば、硬化性組成物に良好な硬化性を与えることができる。
ポリオキシアルキレン系重合体(B)が有しているアルコキシシリル基は、分子の少なくとも一方の末端に位置することが好ましく、分子の両方の末端に位置することがより好ましい。アルコキシシリル基が分子の末端に位置していれば、硬化物に良好なゴム弾性を与えることができる。アルコキシシリル基が分子の一方の末端に位置するポリオキシアルキレン系重合体(B)と、アルコキシシリル基が分子の両方の末端に位置するポリオキシアルキレン系重合体(B)とを併用してもよい。
[3.2.ポリオキシアルキレン系重合体(B)の主鎖)]
ポリオキシアルキレン系重合体(B)の主鎖構造は、直鎖状であってもよいし、分枝状であってもよい。また、これらの構造を有する分子の混合物であってもよい。これらの中でも、ポリオキシプロピレンジオールおよびポリオキシプロピレントリオールからなる群より選択される1つ以上に由来する主鎖が、特に好ましい。
ポリオキシアルキレン系重合体(B)の主鎖の例は、実質的に一般式(4)「-R-O-」で示される繰り返し単位を有するものがあげられる(式中、Rは2価のアルキレン基である)。ここで、「実質的に」とは、一般式(4)で表される繰り返し単位が、ポリオキシアルキレン系重合体(B)の全重量を基準として、50重量%以上(好ましくは80重量%以上)含まれていることを指す。
一般式(4)中にあるRは、2価のアルキレン基ならば特に限定されない。Rは、炭素数1~14のアルキレン基であることが好ましく、炭素数2~4の直鎖状または分岐状のアルキレン基であることがより好ましい。
一般式(4)で表される繰り返し単位は、特に限定されない。具体例としては、-CHO-、-CHCHO-、-CHCH(CH)O-、-CHCH(C)O-、-CHC(CHO-、-CHCHCHCHO-が挙げられる。この中でも、ポリオキシアルキレン系重合体(B)の主鎖の主鎖は、-CHCH(CH)O-からなるポリプロピレンオキシドであることが好ましい。
ポリオキシアルキレン系重合体(B)は、主鎖構造中にウレタン結合またはウレア結合を含んでいてもよい。
ポリオキシアルキレン系重合体(B)の数平均分子量は、特に制限はされない。数平均分子量は、好ましくは10,000~40,000である。数平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィによって測定できる。
[3.3.ポリオキシアルキレン系重合体(B)の製造方法]
ポリオキシアルキレン系重合体(B)の分子構造は、使用用途や目的とする特性により相違する。例えば、ポリオキシアルキレン系重合体(B)として、特開昭63-112642記載の化合物を使用できる。このようなポリオキシアルキレン系重合体(B)は、通常の重合方法(苛性アルカリを用いるアニオン重合法)で合成することができる。さらに、セシウム金属触媒、ポルフィリン/アルミ錯体触媒(特開昭61-197631号公報、特開昭61-215622号公報、特開昭61-215623号公報および特開昭61-218632号公報などを参照)、複合金属シアン化錯体触媒(特公昭46-27250号公報、特公昭59-15336号公報などを参照)、ポリフォスファゼン塩からなる触媒(特開平10-273512号公報などを参照)を用いた方法によっても合成することができる。複合金属シアン化錯体触媒としては亜鉛ヘキサシアノコバルテートが特に好ましい。
ポルフィリン/アルミ錯体触媒、複合金属シアン化錯体触媒またはポリフォスファゼン塩からなる触媒を用いる方法を採用すれば、分子量分布(Mw/Mn)が1.6以下(好ましくは1.5以下、より好ましくは1.4以下、さらに好ましくは1.3以下)のポリオキシアルキレン系重合体を得ることができる。分子量分布が小さいポリオキシアルキレン系重合体(B)を使用すれば、硬化物の低モジュラスおよび高伸びを維持しつつ、硬化性組成物の粘度を小さくできるので好ましい。
また、ポリオキシアルキレン系重合体(B)の重合には、有機配位子を有する複合金属シアン化物錯体も好ましく用いられる。有機配位子としては、エーテル系配位子またはアルコール系配位子が好ましい。エーテル系配位子の例としては、エチレングリコールジメチルエーテル(グライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテルが挙げられる。アルコール系配位子の具体例としては、tert-ブチルアルコール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、iso-ブチルアルコール、tert-ペンチルアルコール、iso-ペンチルアルコール、エチレングリコールモノ-tert-ブチルエーテルが挙げられる。有機配位子を有する複合金属シアン化物錯体の中でも、有機配位子がグライムまたはtert-ブチルアルコールであり、複合金属シアン化物錯体が亜鉛ヘキサシアノコバルテートである触媒が好ましい。また、有機配位子がtert-ブチルアルコールであり、複合金属シアン化物錯体が亜鉛ヘキサシアノコバルテートである触媒がより好ましい。
このような触媒によって、アルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシドなど)を開環付加させることにより、主鎖末端に水酸基を有する前駆重合体が得られる。この前駆重合体にアルコキシシリル基を導入する方法は、[1.3.4.]節にて説明する。
[3.4.アルコキシシリル基の導入法]
ポリオキシアルキレン系重合体にアルコキシシリル基を導入する方法は、従来公知の方法を使用することができる。例えば、複合金属シアン化錯体触媒を用いて得られるオキシアルキレン重合体へのアルコキシシリル基の導入は、特開平3-72527号公報を参照することができる。また、ポリフォスファゼン塩および活性水素を触媒として得られるオキシアルキレン重合体へのアルコキシシリル基の導入は、特開平11-60723号公報を参照することができる。
その他にも、以下の導入方法が挙げられる。
・方法1:末端に水酸基などの官能基を有するオキシアルキレン重合体と、この官能基に対して反応性を示す活性基および不飽和基を有する有機化合物を反応させて、不飽和基含有オキシアルキレン重合体を得る。あるいは、末端に水酸基などの官能基を有するオキシアルキレン重合体と、不飽和基含有エポキシ化合物との共重合により、不飽和基含有オキシアルキレン重合体を得る。その後、得られた反応生成物にアルコキシシリル基を有するヒドロシランを作用させて、ヒドロシリル化する。
・方法2:方法1と同様にして得た不飽和基含有オキシアルキレン重合体に、メルカプト基およびアルコキシシリル基を有する化合物を反応させる。
・方法3:末端にY官能基の官能基を有するオキシアルキレン重合体に、Y’官能基およびアルコキシシリル基を有する化合物を反応させる。ここで、Y官能基とは、水酸基、エポキシ基やイソシアネート基などである。Y’官能基とは、Y官能基に対して反応性を示す官能基である。
方法3で使用できる、Y’官能基およびアルコキシシリル基を有する化合物の例としては、アミノ基含有シラン類(γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノ-2-メチルプロピルトリメトキシシラン、N-エチル-3-アミノ-2-メチルプロピルトリメトキシシラン、4-アミノ-3-メチルプロピルトリメトキシシラン、4-アミノ-3-メチルプロピルメチルジメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン;さらに、アミノ基含有シランと、マレイン酸エステルまたはアクリレート化合物との部分マイケル付加反応物など)、メルカプト基含有シラン類(γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシランなど)、エポキシシラン類(γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなど)、ビニル型不飽和基含有シラン類(ビニルトリエトキシシラン、γ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランなど)、塩素原子含有シラン類(γ-クロロプロピルトリメトキシシランなど)、イソシアネート含有シラン類(γ-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルトリメトキシシランなど)、ハイドロシラン類(メチルジメトキシシラン、トリメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、トリエトキシシランなど)が挙げられる。
〔4.反応性可塑剤〕
反応性可塑剤(C)は、分子内にアルコキシシリル基を有する高分子可塑剤である。反応性可塑剤(C)が有するアルコキシシリル基の種類は、特に限定されない。一例として、〔1〕節および〔3〕節で例示したアルコキシシリル基が挙げられる。反応性可塑剤(C)が1分子中に有するアルコキシシリル基の数は、平均して、1個未満が好ましく、0.8個以下または0.8個未満がより好ましい。反応性可塑剤(C)が1分子中に有するアルコキシシリル基の数は、平均して、0.1個以上が好ましい。
反応性可塑剤(C)に含まれるアルコキシシリル基は、分子内にランダムに分布している。一方、(メタ)アクリル系共重合体(A)に含まれるアルコキシシリル基は、Xブロックに相対的に多く分布している。この点は、反応性可塑剤(C)と(メタ)アクリル系共重合体(A)との相違点の一つである。
反応性可塑剤の分子量分布は、3.0未満が好ましく、2.8以下がより好ましく、2.5以下が最も好ましい。分子量分布(Mw/Mn)は、例えば、GPC法(ポリスチレン換算)で測定される。
反応性可塑剤の主鎖は、特に限定されない。主鎖の具体例としては、ビニル系モノマーを重合して得られるビニル系重合体;ポリアルキレングリコールのエステル類(ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステルなど);2塩基酸(セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、フタル酸など)と2価アルコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなど)から得られるポリエステル系可塑剤;ポリエーテル類(分子量500以上(または1,000以上)のポリエーテルポリオール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなど)、ポリエーテルポリオールのヒドロキシ基をエステル基、エーテル基などに変換した誘導体など);ポリスチレン類(ポリスチレン、ポリ-α-メチルスチレンなど);ポリブタジエン;ポリブテン;ポリイソブチレン;ブタジエン-アクリロニトリル;ポリクロロプレンが挙げられる。
一実施形態において、反応性可塑剤は、アクリル系反応性可塑剤である。すなわち、一実施形態において、反応性可塑剤の主鎖はアクリル系重合体である。アクリル系可塑剤の合成方法は、分子量分布が狭く、低粘度化が可能なことから、リビングラジカル重合法が好ましく、原子移動ラジカル重合法がより好ましい。また、特開2001-207157号公報に記載されている、アクリル酸アルキルエステル系モノマーを高温高圧で連続塊状重合することによって(いわゆるSGOプロセスによって)得られる重合体を用いるのが好ましい。この可塑剤は、東亞合成株式会社からアルフォンという商品名で販売されている。
〔5.硬化性組成物〕
本発明の一態様に係る硬化性組成物は、(メタ)アクリル系共重合体(A)、ポリオキシアルキレン系重合体(B)および反応性可塑剤(C)を含む。
一実施形態において、各成分の配合量は、重量部で、(メタ)アクリル系共重合体(A):ポリオキシアルキレン系重合体(B):反応性可塑剤(C)=100:(5~1800):(5~1800)である。好ましくは、各成分の配合量は、重量部で、(メタ)アクリル系共重合体(A):ポリオキシアルキレン系重合体(B):反応性可塑剤(C)=100:(30~300):(30~300)である。配合比が上記の範囲であれば、得られる硬化物が耐候性に優れるという利点がある。
硬化性組成物に含まれるアクリル系樹脂の割合の下限値は、10重量%以上が好ましく、20重量%以上がより好ましい。硬化性組成物に含まれるアクリル系樹脂の割合の上限値は、90重量%以下が好ましく、80重量%以下がより好ましい。ここで、反応性可塑剤(C)がアクリル系反応性可塑剤である場合には、(メタ)アクリル系共重合体(A)に加えて反応性可塑剤(C)も、「硬化性組成物に含まれるアクリル系樹脂」に含まれる。したがって、「硬化性組成物に含まれる(メタ)アクリル系樹脂の割合」とは、「((メタ)アクリル系共重合体(A)(+種類によっては反応性可塑剤(C)の重量)/硬化性組成物の重量」の値を意味する。アクリル系樹脂の割合が上記の範囲であれば、得られる硬化物の耐候性が優れているという利点がある。
本発明の一実施形態に係る硬化性組成物は、従来の硬化性組成物よりも、粘度が低下している。一実施形態において、硬化性組成物に含まれる(メタ)アクリル系共重合体(A)、ポリオキシアルキレン系共重合体(B)および反応性可塑剤(C)は、下記条件Aを満たしている。
条件A:(メタ)アクリル系共重合体(A)、ポリオキシアルキレン系重合体(B)および反応性可塑剤(C)のみからなる組成物の粘度が、50Pa・s以下である。粘度の具体的な測定方法は、後述する実施例を参照。
本発明の一実施形態に係る硬化性組成物からは、従来の硬化性組成物と同等以上の機械物性を有する硬化物が得られる。一実施形態において、硬化性組成物に含まれる(メタ)アクリル系共重合体(A)、ポリオキシアルキレン系共重合体(B)および反応性可塑剤(C)は、下記条件Bを満たしている。
条件B:上記(メタ)アクリル系共重合体(A)、上記ポリオキシアルキレン系重合体(B)および上記反応性可塑剤(C)のみからなる組成物100重量部に、オクチル酸スズ2重量部およびラウリルアミン0.5重量部を混合して得られる硬化物が、引張り強さ:0.30MPa以上、かつ、破断時の伸び:170%以上である。引張り強さおよび破断時の伸びの具体的な測定方法は、後述する実施例を参照。
[4.1.その他の添加剤]
本発明の一実施形態に係る硬化性組成物には、(メタ)アクリル系共重合体(A)、ポリオキシアルキレン系重合体(B)および反応性可塑剤(C)以外にも、種々の添加剤を含有させてもよい。これらの添加剤を含有させることによって、硬化性組成物および硬化物の諸物性を調節することができる。添加剤の例としては、以下が挙げられる。これらの添加剤は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を組合せて用いてもよい。
(錫系硬化触媒)
本発明の一実施形態に係る硬化性組成物は、公知の縮合触媒を用いてシロキサン結合を形成することにより、架橋、硬化させることができる。このような縮合触媒の例として、錫系硬化触媒が挙げられる。錫系硬化触媒の具体例としては、ジアルキル錫カルボン酸塩類(ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジエチルヘキサノレート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジメチルマレート、ジブチル錫ジエチルマレート、ジブチル錫ジブチルマレート、ジブチル錫ジイソオクチルマレート、ジブチル錫ジトリデシルマレート、ジブチル錫ジベンジルマレート、ジブチル錫マレエート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジエチルマレート、ジオクチル錫ジイソオクチルマレートなど);ジアルキル錫オキサイド類(ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの混合物など);4価錫化合物(ジアルキル錫オキサイド、ジアルキル錫ジアセテートなど)とアルコキシシリル基を有する低分子ケイ素化合物(テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランなど)との反応物;2価の錫化合物類(オクチル酸錫、ナフテン酸錫、ステアリン酸錫など);モノアルキル錫類(モノブチル錫化合物(モノブチル錫トリスオクトエート、モノブチル錫トリイソプロポキシドなど)、モノオクチル錫化合物など);アミン系化合物と有機錫化合物との反応物または混合物(ラウリルアミンとオクチル酸錫の反応物または混合物など);キレート化合物(ジブチル錫ビスアセチルアセトナート、ジオクチル錫ビスアセチルセトナート、ジブチル錫ビスエチルアセトナート、ジオクチル錫ビスエチルアセトナートなど);錫アルコラート類(ジブチル錫ジメチラート、ジブチル錫ジエチラート、ジオクチル錫ジメチラート、ジオクチル錫ジエチラートなど)が挙げられる。
この中でも、キレート化合物(ジブチル錫ビスアセチルアセトナートなど)および錫アルコラート類は、シラノール縮合触媒としての活性が高い点が好ましい。また、ジブチル錫ジラウレートは、硬化性組成物に添加しても着色が少なく、廉価であり、入手が容易である点が好ましい。
錫系硬化触媒の配合量は、(メタ)アクリル系共重合体(A)およびポリオキシアルキレン系重合体(B)の総量100重量部に対して、0.1~20重量部が好ましく、0.5~10重量部がより好ましい。
(接着性付与剤)
本発明の一実施形態に係る硬化性組成物には、接着性付与剤を添加してもよい。接着付与剤を添加することにより、シーリング材がサイディングボードなどの被着体から剥離する危険性を低減できる(この剥離は、外力により目地幅などが変動することによって生じる)。また、接着性を向上させるためのプライマーを使用する必要性がなくなる場合もある。この場合は、施工作業の簡略化が期待される。
接着性付与剤の例としては、シランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤の具体例としては、イソシアネート基含有シラン類(γ-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルメチルジメトキシシランなど);アミノ基含有シラン類(γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-ベンジル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-ビニルベンジル-γ-アミノプロピルトリエトキシシランなど);メルカプト基含有シラン類(γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジエトキシシランなど);カルボキシシラン類(β-カルボキシエチルトリエトキシシラン、β-カルボキシエチルフェニルビス(2-メトキシエトキシ)シラン、N-(β-カルボキシメチル)アミノエチル-γ-アミノプロピルトリメトキシシランなど);ビニル型不飽和基含有シラン類(ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ-メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アクロイルオキシプロピルメチルトリエトキシシランなど);ハロゲン含有シラン類(γ-クロロプロピルトリメトキシシランなど);イソシアヌレートシラン類(トリス(トリメトキシシリル)イソシアヌレートなど)が挙げられる。また、シランカップリング剤を変性させた誘導体である、アミノ変性シリルポリマー、シリル化アミノポリマー、不飽和アミノシラン錯体、フェニルアミノ長鎖アルキルシラン、アミノシリル化シリコーン、シリル化ポリエステルなども、シランカップリング剤として用いることができる。
接着性付与剤の配合量は、(メタ)アクリル系共重合体(A)およびポリオキシアルキレン系重合体(B)の総量100重量部に対して、0.1~20重量部が好ましく、0.5~10重量部がより好ましい。
(充填材)
本発明の一実施形態に係る硬化性組成物には、充填材を含有させてもよい。充填材の例としては木粉;補強性充填材(パルプ、木綿チップ、アスベスト、マイカ、クルミ殻粉、もみ殻粉、グラファイト、白土、シリカ(ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、ドロマイト、無水ケイ酸、含水ケイ酸など)、カーボンブラックなど);充填材(重質炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、べんがら、アルミニウム微粉末、フリント粉末、酸化亜鉛、活性亜鉛華、亜鉛末、炭酸亜鉛、シラスバルーンなど);繊維状充填材(石綿、ガラス繊維およびガラスフィラメント、炭素繊維、ケブラー繊維、ポリエチレンファイバーなど)が挙げられる。
充填材の配合量は、(メタ)アクリル系共重合体(A)およびポリオキシアルキレン系重合体(B)の総量100重量部に対して、5~5000重量部が好ましく、10~2500重量部より好ましく、15~1500重量部が特に好ましい。
(反応性可塑剤(C)以外の可塑剤)
本発明の一実施形態に係る硬化性組成物には、反応性可塑剤以外の可塑剤を含有させてもよい。可塑剤および充填材を併用すると、硬化物の伸びが大きくなったり、多量の充填材を混合できるようになったりする。
可塑剤の例としては、フタル酸エステル類(ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ(2-エチルヘキシル)フタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレートなど);非芳香族二塩基酸エステル類(ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート、ジブチルセバケート、コハク酸イソデシルなど);脂肪族エステル類(オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチルなど);ポリアルキレングリコールのエステル類(ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステルなど);リン酸エステル類(トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェートなど);トリメリット酸エステル類、ポリスチレン類(ポリスチレン、ポリ-α-メチルスチレンなど);ポリブタジエン;ポリブテン;ポリイソブチレン;ブタジエン-アクリロニトリル;ポリクロロプレン;塩素化パラフィン類;炭化水素系油(アルキルジフェニル、部分水添ターフェニルなど);プロセスオイル類;ポリエーテル類(ポリエーテルポリオール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなど)、および、ポリエーテルポリオールの水酸基をエステル基、エーテル基などに変換した誘導体など);2塩基酸と2価アルコールから得られるポリエステル系可塑剤類(セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、フタル酸などと、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどと、から得られるポリエステル);ビニル系重合体類(アクリル系可塑剤などのビニル系モノマーを、種々の方法で重合して得られる)が挙げられる。
アクリル系可塑剤は、溶剤および連鎖移動剤を使用せずに、高温連続重合法にて作製できる(米国特許第4414370号明細書、特開昭59-6207号公報、特公平5-58005号公報、特開平1-313522号公報、米国特許第5010166号明細書を参照)。アクリル系可塑剤の具体例としては、ARUFON UP-1000、UP-1020、UP-1110(以上、東亞合成(株)製)、JDX-P1000、JDX-P1010、JDX-P1020(以上、ジョンソンポリマー(株)製)が挙げられる。
可塑剤の配合量は、(メタ)アクリル系共重合体(A)およびポリオキシアルキレン系重合体(B)の総量100重量部に対して、5~800重量部が好ましく、10~600重量部がより好ましく、10~500重量部がさらに好ましい。
(物性調整剤)
本発明の一実施形態に係る硬化性組成物には、硬化物の引張特性を調整する物性調整剤を含有させてもよい。物性調整剤を用いることにより、硬化物の硬度を上げたり、逆に硬化物の硬度を下げて伸びを上げたりすることができる。
物性調整剤の例としては、アルキルアルコキシシラン類(メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシランなど);アルキルイソプロペノキシシラン(ジメチルジイソプロペノキシシラン、メチルトリイソプロペノキシシランなど);官能基を有するアルコキシシラン類(ビニルジメチルメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシランなど);シリコーンワニス類;ポリシロキサン類が挙げられる。
物性調整剤の配合量は、(メタ)アクリル系共重合体(A)およびポリオキシアルキレン系重合体(B)の総量100重量部に対して、0.1~80重量部が好ましく、0.1~50重量部がより好ましい。
(チクソ性付与剤(垂れ防止剤))
本発明の一実施形態に係る硬化性組成物には、垂れを防止し、作業性を良くするために、チクソ性付与剤(垂れ防止剤)を含有させてもよい。
チクソ性付与剤の例としては、ポリアミドワックス類;水添ヒマシ油誘導体類;金属石鹸類(ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウムなど)が挙げられる。
チクソ性付与剤の配合量は、(メタ)アクリル系共重合体(A)およびポリオキシアルキレン系重合体(B)の総量100重量部に対して、0.1~50重量部が好ましく、0.2~25重量部がより好ましい。
(光硬化性物質)
本発明の一実施形態に係る硬化性組成物には、光硬化性物質を含有させてもよい。光硬化性物質とは、光の作用によって短時間で化学変化をおこし、物性的変化(硬化など)を生ずる物質である。光硬化性物質を含有させることにより、硬化物表面の粘着性(残留タック)を低減できる。典型的な光硬化性物質は、例えば室内の日の当たる位置(窓付近など)に、1日間、室温にて静置することにより硬化させることができる。光硬化性物質には、有機単量体、オリゴマー、樹脂およびこれらを含む組成物など、多くのものが知られており、その種類は特に限定されない。光硬化性物質の例としては、不飽和アクリル系化合物、ポリケイ皮酸ビニル類、アジド化樹脂が挙げられる。
不飽和アクリル系化合物の具体例としては、低分子量アルコール類(エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ネオペンチルアルコールなど)の(メタ)アクリル酸エステル類;酸(ビスフェノールA、イソシアヌル酸)または低分子量アルコールなどを、エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどで変性させた、アルコール類の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸エステル類(主鎖がポリエーテルであり末端に水酸基を有するポリエーテルポリオール、主鎖がポリエーテルであるポリオール中でビニル系モノマーをラジカル重合することにより得られるポリマーポリオール、主鎖がポリエステルで末端に水酸基を有するポリエステルポリオール、主鎖がビニル系または(メタ)アクリル系重合体であり主鎖中に水酸基を有するポリオールなど);エポキシ樹脂(ビスフェノールA型やノボラック型など)と(メタ)アクリル酸を反応させることにより得られるエポキシアクリレート系オリゴマー類;ポリオール、ポリイソシアネート、水酸基含有(メタ)アクリレートなどを反応させることにより得られる分子鎖中に、ウレタン結合および(メタ)アクリル基を有する、ウレタンアクリレート系オリゴマーが挙げられる。
光硬化性物質の配合量は、(メタ)アクリル系共重合体(A)およびポリオキシアルキレン系重合体(B)の総量100重量部に対して、0.01~30重量部が好ましい。
(空気酸化硬化性物質)
本発明の一実施形態に係る硬化性組成物には、空気酸化硬化性物質を含有させてもよい。空気酸化硬化性物質とは、空気中の酸素により架橋硬化しうる不飽和基を有している化合物を指す。空気酸化硬化性物質を含有させることにより、硬化物表面の粘着性(残留タック)を低減できる。典型的な空気酸化硬化性物質は、例えば空気中にて、室内に1日間静置することにより硬化させることができる。
空気酸化硬化性物質の例としては、乾性油(桐油、アマニ油など);乾性油を変性して得られる各種アルキッド樹脂;アクリル系重合体、シリコーン樹脂などを乾性油により変性させた物質;1,2-ポリブタジエン;1,4-ポリブタジエン;C5~C8ジエンの重合体または共重合体;C5~C8ジエンの重合体または共重合体の各種変性物(マレイン化変性物、ボイル油変性物など)が挙げられる。上述した中では、桐油、液状のジエン系重合体およびその変性物が好ましい。
空気酸化硬化性物質の配合量は、(メタ)アクリル系共重合体(A)およびポリオキシアルキレン系重合体(B)の総量100重量部に対して、0.01~30重量部が好ましい。
(酸化防止剤および光安定剤)
本発明の一実施形態に係る硬化性組成物には、酸化防止剤および/または光安定剤を含有させてもよい。酸化防止剤および光安定剤は、各種のものが知られている。例えば、[猿渡健市 他『酸化防止剤ハンドブック』大成社、1976年][大沢善次郎 監『高分子材料の劣化と安定化』シーエムシー、1990年、235-242ページ]などに記載された物質が挙げられる。
酸化防止剤の例としては、アデカスタブ PEP-36、アデカスタブ AO-23などのチオエーテル系酸化防止剤(以上、全て旭電化工業製);Irgafos38、Irgafos168、IrgafosP-EPQ(以上、全てチバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)などリン系酸化防止剤;ヒンダードフェノール系酸化防止剤;が挙げられる。上述した中では、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤の具体例としては、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、モノ(またはジもしくはトリ)(αメチルベンジル)フェノール、2,2’-メチレンビス(4エチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,5-ジ-t-ブチルハイドロキノン、2,5-ジ-t-アミルハイドロキノン、トリエチレングリコール-ビス-[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、ペンタエリスリチル-テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2-チオ-ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマミド)、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンジルフォスフォネート-ジエチルエステル、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム、トリス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4-ビス[(オクチルチオ)メチル]o-クレゾール、N,N’-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、2-(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3-t-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)-ベンゾトリアゾール、メチル-3-[3-t-ブチル-5-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネート-ポリエチレングリコール(分子量約300)縮合物、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール誘導体、2-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-n-ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)、2,4-ジ-t-ブチルフェニル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート挙げられる。
市販されている酸化防止剤の例としては、ノクラック200、ノクラックM-17、ノクラックSP、ノクラックSP-N、ノクラックNS-5、ノクラックNS-6、ノクラックNS-30、ノクラック300、ノクラックNS-7、ノクラックDAH(以上、全て大内新興化学工業製);アデカスタブ AO-30、アデカスタブ AO-40、アデカスタブ AO-50、アデカスタブ AO-60、アデカスタブ AO-616、アデカスタブ AO-635、アデカスタブ AO-658、アデカスタブ AO-80、アデカスタブ AO-15、アデカスタブ AO-18、アデカスタブ 328、アデカスタブ AO-37(以上、全て旭電化工業製);IRGANOX-245、IRGANOX-259、IRGANOX-565、IRGANOX-1010、IRGANOX-1024、IRGANOX-1035、IRGANOX-1076、IRGANOX-1081、IRGANOX-1098、IRGANOX-1222、IRGANOX-1330、IRGANOX-1425WL(以上、全てチバ・スペシャルティ・ケミカルズ製);SumilizerGM、SumilizerGA-80、SumilizerGS(以上、全て住友化学製)が挙げられる。
光安定剤の例としては、紫外線吸収剤(チヌビンP、チヌビン234、チヌビン320、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン329、チヌビン213(以上、全てチバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)などのベンゾトリアゾール系化合物;チヌビン1577などトリアジン系光安定剤;CHIMASSORB81などのベンゾフェノン系化合物;チヌビン120(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)などのベンゾエート系化合物;ヒンダードアミン系化合物)が挙げられる。上述した中では、ヒンダードアミン系化合物が好ましい。
ヒンダードアミン系化合物の具体例としては、コハク酸ジメチル-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}]、N,N’-ビス(3アミノプロピル)エチレンジアミン-2,4-ビス[N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ]-6-クロロ-1,3,5-トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、コハク酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリディニル)エステルが挙げられる。
市販されている光安定剤の例としては、チヌビン622LD、チヌビン144、CHIMASSORB944LD、CHIMASSORB119FL;(以上、全てチバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)、アデカスタブ LA-52、アデカスタブ LA-57、アデカスタブ LA-62、アデカスタブ LA-67、アデカスタブ LA-63、アデカスタブ LA-68、アデカスタブ LA-82、アデカスタブ LA-87(以上、全て旭電化工業製);サノールLS-770、サノールLS-765、サノールLS-292、サノールLS-2626、サノールLS-1114、サノールLS-744、サノールLS-440(以上、全て三共製)が挙げられる。
酸化防止剤および光安定剤を、併用してもよい。これらを併用することにより、それぞれの効果がさらに向上し、硬化物の耐熱性、耐候性などが向上することがある。例えば、耐候性を向上させるために、紫外線吸収剤とヒンダードアミン系化合物(HALS)とを組合せることできる。この組合せは、それぞれの薬剤の効果をより向上させることができ、好ましい。
酸化防止剤および/または光安定剤の配合量は、(メタ)アクリル系共重合体(A)およびポリオキシアルキレン系重合体(B)の総量100重量部に対して、それぞれ、0.1~20重量部が好ましい。
[4.2.硬化性組成物の形態]
本発明の一実施形態に係る硬化性組成物は、1成分型であってもよいし、2成分型であってもよい。1成分型の硬化性組成物とは、全ての配合成分を予め配合した後、密封保存したものである。1成分型の硬化性組成物は、使用後に空気中の湿気により硬化する。一方、2成分型の硬化性組成物においては、硬化触媒、充填材、可塑剤、水などの成分を配合した組成物を別途用意する。2成分型の硬化性組成物は、上記の組成物と、(メタ)アクリル系共重合体(A)およびポリオキシアルキレン系重合体(B)を含む組成物とを混合して使用する。
硬化性組成物を2成分型として調製すると、2成分の混合時に、着色剤をさらに添加することができる。このことにより、例えば、限られた硬化性組成物の種類から、サイディングボードの色に合わせて豊富な色揃えのシーリング材を提供することができるようになる。それゆえ、2成分型の硬化性組成物は、多色化に対する市場からの要望に容易に応えることができ、低層建物用途などに好適である。着色剤は、例えば、顔料、可塑剤、必要に応じて充填材を混合し、ペースト化したものが、作業性が高く好ましい。
また、2成分型の硬化性組成物は、2成分の混合時に遅延剤を添加することができる。これにより、硬化速度を作業現場にて微調整することができる。
[4.3.硬化性組成物の用途]
本発明の一実施形態に係る硬化性組成物および硬化物の用途は、特に限定はされない。一例として、建築用および工業用のシーリング剤(ワーキングジョイントに用いられる高耐久性建築用弾性シーリング剤に加えて、サイディングボード用シーリング剤、複層ガラス用シーリング剤、車両用シーリング剤など)、電気・電子部品材料(太陽電池裏面封止剤など)、電気絶縁材料(電線・ケーブル用絶縁被覆材など)、粘着剤、接着剤、弾性接着剤、コンタクト接着剤、タイル用接着剤、反応性ホットメルト接着剤、塗料、粉体塗料、コーティング材、発泡体、缶蓋などのシール材、電気電子用ポッティング剤、フィルム、ガスケット、注型材料、各種成形材料、人工大理石、網入りガラスや合わせガラスの切断部の防錆・防水用封止材、防振・制振・防音・免震材料(自動車、船舶、家電などに使用される)、液状シール剤(自動車部品、電機部品、各種機械部品などに使用される)、防水剤が挙げられる。
上述した中でも、本発明の一実施形態に係る硬化性組成物および硬化物は、シーリング材および接着剤として特に有用である。とりわけ、耐候性もしくは耐久性が要求される用途、または透明性が必要な用途に有用である。また、本発明の一実施形態に係る硬化性組成物および硬化物、耐候性および接着性に優れるので、目地埋めのない外壁タイル接着工法に使用できる。さらに、線膨張係数の異なる材料の接着や、ヒートサイクルにより繰り返し変位を受けるような部材の接着に用いる弾性接着剤の用途に有用である。さらに、透明性を活用して、下地が見える用途でのコーティング剤、透明材料(ガラス、ポリカ、メタクリル樹脂など)の貼り合わせに用いる接着剤としても有用である。
〔5.硬化性組成物の製造方法〕
本発明の一態様に係る多液型硬化性組成物の製造方法は、下記工程(a)を含む。
工程(a):(メタ)アクリル系共重合体(A)、ポリオキシアルキレン系重合体(B)および反応性可塑剤(C)を混合する工程。
(メタ)アクリル系共重合体(A)の製造方法は、〔2.〕節にて説明した通りである。(メタ)アクリル系共重合体(A)の構造は、〔1.〕節にて説明した通りである。ポリオキシアルキレン系重合体(B)の構造は、[3.1.]節および[3.2.]節にて説明した通りである。ポリオキシアルキレン系重合体(B)の製造方法は、[3.3.]節および[3.4.]節にて説明した通りである。反応性可塑剤(C)については、〔4.〕節で説明した通りである。反応性可塑剤(C)は、公知の製造方法により製造できる。
(メタ)アクリル系共重合体(A)、ポリオキシアルキレン系重合体(B)および反応性可塑剤の混合は、本技術分野における通常の方法で行うことができる。これらの3成分を一度に混合してもよいし、2段階以上に分けて混合してもよい。
一実施形態において、工程(b)で混合されるポリオキシアルキレン系重合体(B)は、下記工程を含む製造方法により製造される。
1.グライムを配位子とする複合金属シアン化物錯体触媒の存在下にて、アルキレンオキシドを開環付加し、主鎖末端に水酸基を有する前駆重合体(B’’)を得る工程。
2.上記前駆重合体(B’’)に炭素-炭素不飽和基を有する化合物を反応させ、分子末端に不飽和基を有する前駆重合体(B’)を得る工程。
3.上記前駆重合体(B’)に、水素-ケイ素結合および式「-Si(R3-a(X)」で表されるアルコキシシリル基を有する化合物を反応させて、上記ポリオキシアルキレン系重合体(B)を得る工程。このアルコキシシリル基については、[1.3.1.]節にて説明した通りである。
他の実施形態において、工程(b)で混合されるポリオキシアルキレン系重合体(B)は、下記工程を含む製造方法により製造される。
1.t-ブチルアルコールを配位子とする複合金属シアン化物錯体触媒の存在下にて、アルキレンオキシドを開環付加し、主鎖末端に水酸基を有する前駆重合体(B’’)を得る工程。
2.上記前駆重合体(B’’)に炭素-炭素不飽和基を有する化合物を反応させ、分子末端に不飽和基を有する前駆重合体(B’)を得る工程。
3.上記前駆重合体(B’)に、水素-ケイ素結合および式「-Si(R3-a(X)」で表されるアルコキシシリル基を有する化合物を反応させて、上記ポリオキシアルキレン系重合体(B)を得る工程。このアルコキシシリル基については、[1.3.1.]節にて説明した通りである。
〔まとめ〕
本発明には、以下の態様が含まれている。
<1>
(メタ)アクリル系共重合体(A)、ポリオキシアルキレン系重合体(B)および反応性可塑剤(C)を含む硬化性組成物であって、
上記(メタ)アクリル系共重合体(A)は、XブロックおよびYブロックを有しており、
上記(メタ)アクリル系共重合体(A)は、XYジブロック構造またはXYXトリブロック構造を分子中に有し、
上記Xブロックに含まれているアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の繰り返し単位は、平均で1.0個以上であり、
上記Yブロックに含まれているアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の繰り返し単位は、上記Yブロックに含まれている全ての繰り返し単位の重量を基準として、0~3重量%であり、
上記(メタ)アクリル系共重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、1.8以下であり、
上記(メタ)アクリル系共重合体(A)は、以下の条件を満たしており、
(i) (メタ)アクリル酸エステルモノマー(α)由来の繰り返し単位をランダムに含んでいる;
(ii) 上記(メタ)アクリル酸エステルモノマー(α)は、(メタ)アクリル酸とエステル結合しているアルキル基を有しており、かつ、上記アルキル基は炭素数が1~5のアルコキシ基を有している;
(iii) 上記(メタ)アクリル酸エステルモノマー(α)由来の繰り返し単位は、上記(メタ)アクリル系共重合体(A)に含まれている全ての繰り返し単位の重量を基準として、5~20重量%含まれている;
上記ポリオキシアルキレン系重合体(B)は、下記式で表されるアルコキシシリル基を、1分子あたり1.0個以上有し、
-Si(R3-a(X)
(式中、
1つのアルコキシシリル基にRが複数含まれる場合、それらは同一であっても異なっていてもよく、
は、アルコキシシリル基ごとに異なっていてもよく、炭素原子数1~20の置換または非置換の炭化水素基を表し(置換されている場合には、ヘテロ原子含有基で置換されていてもよい)、
1つのアルコキシシリル基にXが複数含まれる場合、それらは同一であっても異なっていてもよく、
Xは、アルコキシシリル基ごとに異なっていてもよく、水酸基または加水分解性基を表し、
aは、1、2または3である)
上記反応性可塑剤(C)は、アルコキシシリル基を1分子あたり1.0個未満有している、
硬化性組成物。
<2>
上記(メタ)アクリル酸エステルモノマー(α)は、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチルである、<1>に記載の硬化性組成物。
<3>
上記Xブロックに含まれているアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の繰り返し単位は、上記Xブロックに含まれている全ての繰り返し単位の重量を基準として、3重量%超である、<1>または<2>に記載の硬化性組成物。
<4>
上記(メタ)アクリル系共重合体(A)は、全ての繰り返し単位の重量を基準として、
(メタ)アクリル酸エステルモノマー(β)由来の繰り返し単位を、45~70重量%
(メタ)アクリル酸エステルモノマー(γ)由来の繰り返し単位を、0~25重量%、
(メタ)アクリル酸エステルモノマー(δ)由来の繰り返し単位を、15~25重量%、
含んでおり、
上記(メタ)アクリル酸エステルモノマー(β)は、(メタ)アクリル酸とエステル結合しているアルキル基の炭素数が1~5であり、
上記(メタ)アクリル酸エステルモノマー(γ)は、(メタ)アクリル酸とエステル結合しているアルキル基の炭素数が6~15であり、
上記(メタ)アクリル酸エステルモノマー(δ)は、(メタ)アクリル酸とエステル結合しているアルキルの炭素数が16~25である、
<1>~<3>のいずれかに記載の硬化性組成物。
<5>
上記(メタ)アクリル系共重合体(A)は、上記(メタ)アクリル酸エステルモノマー(γ)由来の繰り返し単位を含んでいない、<4>に記載の硬化性組成物。
<6>
上記硬化性組成物は、下記条件Aを満たしている、<1>~<5>のいずれかに記載の硬化性組成物:
条件A:上記(メタ)アクリル系共重合体(A)、上記ポリオキシアルキレン系重合体(B)および上記反応性可塑剤(C)のみからなる組成物の粘度が、50Pa・s以下である。
<7>
上記硬化性組成物は、下記条件Bを満たしている、<1>~<6>のいずれか1項に記載の硬化性組成物:
条件B:上記(メタ)アクリル系共重合体(A)、上記ポリオキシアルキレン系重合体(B)および上記反応性可塑剤(C)のみからなる組成物100重量部に、オクチル酸スズ2重量部およびラウリルアミン0.5重量部を混合して得られる硬化物が、引張り強さ:0.30MPa以上、かつ、破断時の伸び:170%以上である。
<8>
上記(メタ)アクリル系共重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、1.5以下である、<1>~<7>のいずれかに記載の硬化性組成物。
<9>
上記ポリオキシアルキレン系重合体(B)の数平均分子量は、10,000~40,000である、<1>~<8>のいずれかに記載の硬化性組成物。
<10>
上記ポリオキシアルキレン系重合体(B)は、平均すると、1分子あたり1.0~6.0個のアルコキシシリル基を有している、<1>~<9>のいずれかに記載の硬化性組成物。
<11>
上記反応性可塑剤(C)は、アクリル系反応性可塑剤である、<1>~<10>のいずれかに記載の硬化性組成物。
<12>
上記硬化性組成物は、上記(メタ)アクリル系共重合体(A)を100重量部とすると、
上記ポリオキシアルキレン系重合体(B)を5~1800重量部、
上記反応性可塑剤(C)を5~1800重量部、
含む、<1>~<11>のいずれかに記載の硬化性組成物。
<13>
<1>~<12>のいずれかに記載の硬化性組成物を硬化させてなる、硬化物。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
〔製造例1:(メタ)アクリル系共重合体(A)-1の製造〕
(準備)
2000mLの3つ口フラスコを用意した。この中に、(メタ)アクリル酸エステルモノマー(α)、(β)および(δ)を、表1に記載の割合で入れて混合した。具体的には、アクリル酸n-ブチル700g、アクリル酸2-メトキシエチル110g、および、アクリル酸オクタデシル190g(合計:1000g)を混合した。この混合物を、「(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物」と称する。
次に、別の攪拌容器を用意した。この中に、第二臭化銅(CuBr)52.7mg、ヘキサメチルトリス(2-アミノエチル)アミン(MeTREN)54.4mg、メタノール1.82gを仕込み、窒素気流下にて、均一溶液になるまで攪拌を行った。この均一溶液を「銅溶液」と称する。なお、銅溶液中に含まれている銅は、(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物の全量に対して、15ppmに相当する。
さらに、別の攪拌容器を用意した。この中に、メタノール30.8mL、アスコルビン酸1.0g、トリエチルアミン1.6mLを仕込み、窒素気流下にて攪拌して均一溶液とした。この均一溶液を、「アスコルビン酸溶液」と称する。
(第1工程)
攪拌機に、α-ブロモ酪酸エチル5.60g(開始剤;0.029モル)、(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物200g(全量の20重量%)、メタクリル酸3-(ジメトキシメチルシリル)プロピル20.02g(0.086モル;開始剤に対して3.0モル当量)、メタノール107.68g(和光純薬化学工業株式会社製)、銅溶液の全量を投入し、窒素気流下にて30分間攪拌して、均一溶液とした。このとき使用した攪拌機は、ジャケット温調付き攪拌装置であり、ジャケット温度は45℃に設定した。
次に、重合系内の温度が40℃以上になった時点で、アスコルビン酸溶液を連続滴下することにより、重合反応を開始させた。このときのアスコルビン酸溶液の滴下速度は、1時間あたり144mgのアスコルビン酸が重合系に投入される速度とした。
重合系内の温度をモニターしたところ、アスコルビン酸の滴下開始と同時に温度が上昇し、最大温度に到達した後、徐々に温度が低下していった。重合系内の温度からジャケット温度を減じた温度差が1℃になった時点で、重合系内の反応溶液を少量サンプリングし、ガスクロマトグラフで分析した。その結果、最初に投入した(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物のうち、90重量%が消費されていた。
(第2工程)
次に、第1工程で投入しなかった(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物の残り(全量の80重量%)を、90分間かけて、重合系に連続的に滴下した。このときのアスコルビン酸溶液の滴下速度は、1時間あたり48mgのアスコルビン酸が重合系に投入される速度とした。また、逐次的にサンプリングを行い、ガスクロマトグラフで分析した。そして、重合系に投入した(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物全量のうち、88重量%が消費されるまで重合させた。
(第3工程)
次に、この重合系に、メタクリル酸3-(ジメトキシメチルシリル)プロピル22.02g(0.095モル;開始剤に対して3.3モル当量)を投入した。アスコルビン酸溶液の連続滴下は、重合系に投入した(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物の全量のうち、98重量%が消費されるまで継続させた。その後、アスコルビン酸溶液の滴下を終了し、重合を終了させた。
ジャケット温度を80℃に変更してから、溶媒を脱揮した。脱揮には、最初はダイヤフラムポンプを用い、次いで真空ポンプを用いた。脱揮終了後に、ジャケット温度が60℃以下になるまで冷却した。
(精製)
ジャケット温調付き攪拌装置に、酢酸ブチル1000gを投入して、脱揮を終えたポリマーと均一溶液になるまで混合攪拌した。この均一溶液に、吸着剤を加えて、1時間攪拌した。吸着剤としては、10gのキョーワード500SH(協和化学工業株式会社製)、および、10gのキョーワード700SEN-S(協和化学工業株式会社製)を用いた。
攪拌終了後、得られた混合物を、バグフィルター濾布を敷いた濾過器によって濾過した。これによって、清澄なポリマー溶液を得た。この溶液に、1.5gの酸化防止剤(SumilizerGS;住友化学製)加え、均一になるまで混合した。その後、溶液から溶媒を脱揮して、(メタ)アクリル系共重合体(A)-1を得た。脱揮には、最初はダイヤフラムポンプを用い、次いで真空ポンプを用いた。
〔製造例2:(メタ)アクリル系共重合体(A)-2の製造〕
α-ブロモ酪酸エチルを3.73g(開始剤;0.019モル)にした以外は、製造例1と同様の手順により、(メタ)アクリル系共重合体(A)-2を製造した。第1工程および第3工程で追加するメタクリル酸3-(ジメトキシメチルシリル)プロピルの量は、開始剤に対する相対量が製造例1と同じになるように調節した。
〔製造例3〕
以下に説明する製造方法により、(メタ)アクリル系共重合体を製造した。この共重合体は、アルコキシシリル基が分子末端のみに位置し、分子全体としてXブロックを含有しないため、本発明における(メタ)アクリル系共重合体(A)には該当しない。
(準備)
(メタ)アクリル酸エステルモノマー(α)、(β)および(δ)を、表1に記載の割合で混合した。具体的には、アクリル酸n-ブチル707g、アクリル酸エチル107g、および、アクリル酸オクタデシル186g(合計:1000g)を混合した。この混合物を、「(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物」と称する。
(重合)
攪拌機付ステンレス製反応容器の内部を脱酸素した。この反応容器に、臭化第一銅5.8gおよび(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物200gを仕込み、加熱攪拌した。次に、アセトニトリル90gおよび開始剤(ジエチル2,5-ジブロモアジペート)10.7gを添加し、混合した。混合液の温度を約65℃に調節した後、ペンタメチルジエチレントリアミンを添加して、重合反応を開始させた。その後、(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物の残部800gを逐次投入し、重合反応を進行させた。重合反応中には、ペンタメチルジエチレントリアミンを適宜追加し、重合速度を調整した。重合反応の全体で使用したペンタメチルジエチレントリアミンの総量は、1.7gであった。重合が進行すると反応熱により反応系の温度は上昇傾向を示すが、反応系の温度は約80~90℃に調整した。モノマー転化率(重合反応率)が95%となった時点で、揮発分を減圧脱揮して除去し、重合体濃縮物を得た。この段階までに要した時間は、4時間であった。
得られた重合体濃縮物に、1,7-オクタジエン200g、アセトニトリル360g、ペンタメチルジエチレントリアミン3.1gを加えた。次に、反応系の温度を約70~90℃に調節しながら数時間加熱攪拌することにより、重合体の末端に1,7-オクタジエンを反応させた。
(精製)
反応終了時点で、反応容器内の気相部に酸素-窒素混合ガスを導入した。次に、反応系の温度を約70~90℃に保ちながら、反応液を数時間加熱攪拌することにより、反応液中に含まれる重合触媒と酸素とを接触させた。次に、アセトニトリルおよび未反応の1,7-オクタジエンを減圧脱揮して除去し、重合体濃縮物を得た。
重合体濃縮物に酢酸ブチル1000gを加えて希釈した後、濾過助剤(ラヂオライト#800:昭和化学工業(株)製)10gを添加して攪拌し、不溶な触媒成分を濾過除去した。
濾液を攪拌機付ステンレス製反応容器に仕込み、吸着剤(キョーワード700SEN-Sおよびキョーワード500SH)を各5g添加した。次に、反応容器内の気相部に酸素-窒素混合ガスを導入して、約100℃で30分間加熱攪拌した。次に、不溶成分(吸着剤など)を濾過除去し、清澄な濾液を得た。この操作を1回繰り返した後、濾液を濃縮して、重合体粗精製物を得た。
重合体粗精製物に、熱安定剤(スミライザーGS:住友化学(株)製)1.5gと、吸着剤(キョーワード700SEN-S、キョーワード500SH)各5gとを添加した。系を昇温して、約180~200℃の高温下にて2~4時間減圧脱揮を施すことにより、重合体粗生成物を吸着精製した。次に、吸着剤(キョーワード700SENおよびキョーワード500SH)を、それぞれ5gおよび20g追加した。次に、反応容器内の気相部を酸素-窒素混合ガス雰囲気とし、約180~200℃の高温下にて2~6時間加熱攪拌することにより、吸着精製を続行した。次に、重合体を酢酸ブチル1000gで稀釈した後、濾過して吸着剤を除去した。濾液を濃縮して、両末端にアルケニル基を有する重合体を得た。重合体に導入されたアルケニル基は、1分子当たり平均で2.0個であった。
(アルコキシシリル基の導入)
得られた重合体に対し、メチルジメトキシシラン(DMS)20g、オルト蟻酸メチル3g、ビス(1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン)白金錯体触媒のイソプロパノール溶液(3.0重量%)0.13gを混合し、約100℃にて加熱攪拌した。1時間程度経過した後、揮発分(未反応のDMSなど)を減圧留去して、(メタ)アクリル系共重合体を得た。重合体に導入されたアルコキシシリル基は、1分子当たり平均で2.0個であった。
〔製造例4〕
原料モノマーの組成を、表1に示すものに変更した以外は、製造例3と同様の手順により重合体を製造した。(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物としては、アクリル酸n-ブチル627g、アクリル酸エチル183g、および、アクリル酸オクタデシル190g(合計:1000g)を用いた。重合体に導入されたアルコキシシリル基は、1分子当たり平均で2.0個であった。
Figure 2022149829000001
各製造例で製造された(メタ)アクリル系共重合体の物性を、下記表2に示す。なお、表2では、実施例で使用したアクリル系反応性可塑剤の物性も、併せて記載する。
Figure 2022149829000002
〔実施例1-1~1-3、比較例1-1~1-11〕
(メタ)アクリル系共重合体、ポリオキシアルキレン系共重合体、反応性可塑剤および硬化触媒を混合して得られる、単純な組成の硬化物について、物性を評価した。評価方法は以下の通りである。
[粘度]
(メタ)アクリル系共重合体、ポリオキシアルキレン系共重合体および反応性可塑剤を、表3に記載の割合で混合した。得られた硬化性組成物の粘度を、粘度計(東機産業製VISCOMETER TV-25、3°×R14コーンローター、1rpm)を用いて、23℃にて測定した。測定は、JIS K 7117-2に準拠して行った。
[機械物性]
硬化性組成物100重量部に、オクチル酸スズ2重量部とラウリルアミン0.5重量部との反応物を加えてよく混合した。得られた混合物を型枠に流し込み、減圧脱気した。その後、50℃にて20時間加熱硬化させ、ゴム弾性を有するシート状硬化物を得た。
得られたシート硬化物から、JIS K 7113に規定されている3号形ダンベル型試験片を打抜いた。この試験片を引張試験に供して、機械物性を測定した。具体的には、50%伸張時の応力、100%伸長時の応力、引張り強さ、および破断時の伸び(チャック間距離に対する伸び)を測定した。結果を表3に示す。なお、測定にはオートグラフ(島津製)を使用し、測定温度:23℃、引張速度:200mm/minとした。
[ゲル分率]
得られた硬化性組成物をトルエンに浸漬し、23℃にて24時間保持した。「(溶解せずに残った固体成分の重量/トルエン浸漬前の重量)×100」をゲル分率とした。
各実施例および比較例で使用した材料は、以下の通りである。
・(メタ)アクリル系共重合体1:製造例1で製造した重合体
・(メタ)アクリル系共重合体2:製造例2で製造した重合体
・(メタ)アクリル系共重合体3:製造例3で製造した重合体
・(メタ)アクリル系共重合体4:製造例4で製造した重合体
・ポリオキシアルキレン系共重合体1:ポリオキシプロピレン系重合体(数平均分子量:29,000、アルコキシシリル基の種類:ジメトキシメチルシリル基、アルコキシシリル基の数:1分子平均1.6個、アルコキシシリル基の位置:分子末端)
・ポリオキシアルキレン系共重合体2:ポリオキシプロピレン系重合体(数平均分子量:16,000、アルコキシシリル基の種類:ジメトキシメチルシリル基、アルコキシシリル基の数:1分子平均1.3個、アルコキシシリル基の位置:分子末端)
・反応性可塑剤:RA650(カネカ製、アクリル系反応性可塑剤)。
結果を表3に示す。表3において、測定値の評価の分類基準は以下の通りである。
・粘度 ○:50以下、△:50超60未満、×:60以上
・50%伸張時の応力 ○:0.080以上、△:0.050超0.080未満、×:0.050以下
・100%伸張時の応力 ○:0.15以上、△:0.10超0.15未満、×:0.10以下
・引張り強さ ○:0.30以上、△:0.25超0.30未満、×:0.25以下
・破断時の伸び ○:200以上、△:150超200未満、×:150以下。
Figure 2022149829000003
〔実施例2-1~2-6、比較例2-1~2-5〕
実際の使用形態に近い組成の硬化物について、実施例1に準じた方法で物性を評価した。実施例2で評価した硬化物の組成は、下記表4の通りである。
Figure 2022149829000004
結果を表5に示す。表5において、測定値の評価の分類基準は以下の通りである。
・粘度 ○:850以下、△:850超900未満、×:900以上
・50%伸張時の応力 ○:0.080以上、△:0.050超0.080未満、×:0.050以下
・100%伸張時の応力 ○:0.15以上、△:0.10超0.15未満、×:0.10以下
・引張り強さ ○:1.00以上、△:0.80超1.00未満、×:0.80以下
・破断時の伸び ○:450以上、△:350超450未満、×:350以下。
Figure 2022149829000005
〔結果〕
表3、5に示されているように、(メタ)アクリル系共重合体(A)、ポリオキシアルキレン系重合体(B)および反応性可塑剤(C)を含む系では、硬化性組成物の粘度の低減と硬化物の機械物性の維持とを両立できた。この傾向は、単純な組成の硬化物でも、実際の使用態様に近い硬化物でも、共通していた。一方、これらの成分のうち1つ以上を欠く系では、硬化性組成物の粘度の低減と硬化物の機械物性の維持とを両立できなかった。
本発明は、シーリング材、接着剤などに利用することができる。

Claims (13)

  1. (メタ)アクリル系共重合体(A)、ポリオキシアルキレン系重合体(B)および反応性可塑剤(C)を含む硬化性組成物であって、
    上記(メタ)アクリル系共重合体(A)は、XブロックおよびYブロックを有しており、
    上記(メタ)アクリル系共重合体(A)は、XYジブロック構造またはXYXトリブロック構造を分子中に有し、
    上記Xブロックに含まれているアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の繰り返し単位は、平均で1.0個以上であり、
    上記Yブロックに含まれているアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の繰り返し単位は、上記Yブロックに含まれている全ての繰り返し単位の重量を基準として、0~3重量%であり、
    上記(メタ)アクリル系共重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、1.8以下であり、
    上記(メタ)アクリル系共重合体(A)は、以下の条件を満たしており、
    (i) (メタ)アクリル酸エステルモノマー(α)由来の繰り返し単位をランダムに含んでいる;
    (ii) 上記(メタ)アクリル酸エステルモノマー(α)は、(メタ)アクリル酸とエステル結合しているアルキル基を有しており、かつ、上記アルキル基は炭素数が1~5のアルコキシ基を有している;
    (iii) 上記(メタ)アクリル酸エステルモノマー(α)由来の繰り返し単位は、上記(メタ)アクリル系共重合体(A)に含まれている全ての繰り返し単位の重量を基準として、5~20重量%含まれている;
    上記ポリオキシアルキレン系重合体(B)は、下記式で表されるアルコキシシリル基を、1分子あたり1.0個以上有し、
    -Si(R3-a(X)
    (式中、
    1つのアルコキシシリル基にRが複数含まれる場合、それらは同一であっても異なっていてもよく、
    は、アルコキシシリル基ごとに異なっていてもよく、炭素原子数1~20の置換または非置換の炭化水素基を表し(置換されている場合には、ヘテロ原子含有基で置換されていてもよい)、
    1つのアルコキシシリル基にXが複数含まれる場合、それらは同一であっても異なっていてもよく、
    Xは、アルコキシシリル基ごとに異なっていてもよく、水酸基または加水分解性基を表し、
    aは、1、2または3である)
    上記反応性可塑剤(C)は、アルコキシシリル基を1分子あたり1.0個未満有している、
    硬化性組成物。
  2. 上記(メタ)アクリル酸エステルモノマー(α)は、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチルである、請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 上記Xブロックに含まれているアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の繰り返し単位は、上記Xブロックに含まれている全ての繰り返し単位の重量を基準として、3重量%超である、請求項1または2に記載の硬化性組成物。
  4. 上記(メタ)アクリル系共重合体(A)は、全ての繰り返し単位の重量を基準として、
    (メタ)アクリル酸エステルモノマー(β)由来の繰り返し単位を、45~70重量%
    (メタ)アクリル酸エステルモノマー(γ)由来の繰り返し単位を、0~25重量%、
    (メタ)アクリル酸エステルモノマー(δ)由来の繰り返し単位を、15~25重量%、
    含んでおり、
    上記(メタ)アクリル酸エステルモノマー(β)は、(メタ)アクリル酸とエステル結合しているアルキル基の炭素数が1~5であり、
    上記(メタ)アクリル酸エステルモノマー(γ)は、(メタ)アクリル酸とエステル結合しているアルキル基の炭素数が6~15であり、
    上記(メタ)アクリル酸エステルモノマー(δ)は、(メタ)アクリル酸とエステル結合しているアルキルの炭素数が16~25である、
    請求項1~3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  5. 上記(メタ)アクリル系共重合体(A)は、上記(メタ)アクリル酸エステルモノマー(γ)由来の繰り返し単位を含んでいない、請求項4に記載の硬化性組成物。
  6. 上記硬化性組成物は、下記条件Aを満たしている、請求項1~5のいずれか1項に記載の硬化性組成物:
    条件A:上記(メタ)アクリル系共重合体(A)、上記ポリオキシアルキレン系重合体(B)および上記反応性可塑剤(C)のみからなる組成物の粘度が、50Pa・s以下である。
  7. 上記硬化性組成物は、下記条件Bを満たしている、請求項1~6のいずれか1項に記載の硬化性組成物:
    条件B:上記(メタ)アクリル系共重合体(A)、上記ポリオキシアルキレン系重合体(B)および上記反応性可塑剤(C)のみからなる組成物100重量部に、オクチル酸スズ2重量部およびラウリルアミン0.5重量部を混合して得られる硬化物が、引張り強さ:0.30MPa以上、かつ、破断時の伸び:170%以上である。
  8. 上記(メタ)アクリル系共重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、1.5以下である、請求項1~7のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  9. 上記ポリオキシアルキレン系重合体(B)の数平均分子量は、10,000~40,000である、請求項1~8のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  10. 上記ポリオキシアルキレン系重合体(B)は、平均すると、1分子あたり1.0~6.0個のアルコキシシリル基を有している、請求項1~9のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  11. 上記反応性可塑剤(C)は、アクリル系反応性可塑剤である、請求項1~10のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  12. 上記硬化性組成物は、上記(メタ)アクリル系共重合体(A)を100重量部とすると、
    上記ポリオキシアルキレン系重合体(B)を5~1800重量部、
    上記反応性可塑剤(C)を5~1800重量部、
    含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  13. 請求項1~12のいずれか1項に記載の硬化性組成物を硬化させてなる、硬化物。
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WO2023048155A1 (ja) * 2021-09-24 2023-03-30 株式会社カネカ 一液型硬化性組成物および硬化物

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