JP2022148818A - 石油プロセスにおける熱交換器の汚れ防止方法 - Google Patents
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Abstract
Description
ポンプ9を介して供給された原油は、予熱交1で110℃~140℃で加熱された後、脱塩装置2に送られ脱塩される。次いで、予熱交3で150℃~180℃に加熱された後、プレフラッシュタワー4に送られる。プレフラッシュタワー4で分離された低沸点ガス分は塔頂から排出され、塔底から原油が排出される。排出された原油は、予熱交5、6によって240℃~280℃に加熱された後、加熱炉7で350℃~360℃にまで加熱され、その後、常圧蒸留塔8に導入される。常圧蒸留塔8では沸点範囲に応じてそれぞれナフサ、灯油、軽油及び常圧残油などの留分への分離が行われる。塔底から排出される缶出液はポンプ10を介して予熱交5、6に熱源として送られる。
本開示は、一態様において、石油プロセスにおける熱交換器の汚れ防止方法(本開示の汚れ防止方法)に関する。本開示の汚れ防止方法は、石油プロセスにおける熱交換器を通過するプロセス流体に、チオリン酸エステル化合物と分散剤とを添加することを含む。
式(III)において、X1、X2及びX3は、互いに独立にして、酸素原子又は硫黄原子であって、X1、X2及びX3のうち少なくとも1つは硫黄原子である。R1、R2及びR3は、一又は複数の実施形態において、互いに独立にして、水素原子又は炭素数1~30の炭素原子を有する基である。
本開示の汚れ防止方法において使用される分散剤としては、石油プロセス又は石油プロセスの熱交換器の汚れ防止として従来使用され、あるいは今後使用されうる分散剤が挙げられる。分散剤としては、一又は複数の実施形態において、ポリオレフィンエステル化合物、ポリアルケニル置換コハク酸エステル化合物、及びコハク酸イミド化合物等が挙げられる。
・矢印A:熱交換器5及び6の下流(プレフラッシュタワー4と熱交換器5との間)
・矢印B:ポンプ10とその下流に位置する熱交換器6との間
・矢印C:プレフラッシュタワー4の下流に位置する熱交換器3と脱塩装置2との間
・矢印D:脱塩装置2の蒸留に位置する熱交換器1とその上流に位置するポンプ9との間
本開示における「定常運転」としては、一又は複数の実施形態において、当該石油プロセス(石油精製プロセス)において、定常に所望の生産量で石油精製を行うことができる運転状態が挙げられる。定常運転としては、一又は複数の実施形態において、常圧蒸留装置(常圧蒸留塔)又は減圧蒸留装置において、定常的に所望の量の原油を精製(蒸留)できることが挙げられる。
本開示は、一態様において、本開示の汚れ防止方法に使用するための汚れ防止剤に関する。本開示の汚れ防止剤は、チオリン酸エステル化合物及び分散剤を含有する。本開示の汚れ防止剤は、一又は複数の実施形態において、汚れ防止に寄与する有効成分の一つとして、チオリン酸エステル化合物を含有する。本開示の汚れ防止剤におけるチオリン酸エステル化合物及び分散剤は、上述の通りである。
本開示は、一態様において、本開示の汚れ防止方法におけるチオリン酸エステル化合物の使用に関する。また、本開示は、その他の態様において、分散剤が添加されたプロセス流体が通過する石油プロセスの熱交換器の汚れを防止するための、チオリン酸エステル化合物の使用に関する。チオリン酸エステル化合物及び分散剤、並びにそれらの添加濃度等は、上述の通りである。
[1] 石油プロセスにおける熱交換器の汚れ防止方法であって、
前記熱交換器を通過するプロセス流体に、チオリン酸エステル化合物と分散剤とを添加することを含む汚れ防止方法。
[2] 熱交換器に供給されるプロセス流体における前記チオリン酸エステル化合物の濃度が1ppm~100ppmとなるように、前記チオリン酸エステル化合物を前記プロセス流体に添加することを含む[1]記載の汚れ防止方法。
[3] 熱交換器に供給されるプロセス流体における前記チオリン酸エステル化合物の濃度に対する分散剤の濃度の比(分散剤の濃度(ppm)/チオリン酸エステル化合物の濃度(ppm))が、0.2~5となるように前記分散剤を前記プロセス流体に添加することを含む、[1]又は[2]に記載の汚れ防止方法。
[4] [1]から[3]のいずれかに記載の汚れ防止方法に使用するための汚れ防止剤であって、チオリン酸エステル化合物及び分散剤を含有する汚れ防止剤。
チオリン酸エステル1:ジオレイルチオホスフェート・2-エチルヘキシルアミン塩
チオリン酸エステル2:アルキル化トリフェニルチオホスフェート
チオリン酸エステル3:tert-ブチル化トリフェニルチオホスフェートとトリフェニルチオホスフェートとの混合物
コハク酸イミド:ポリアルケニル置換コハク酸イミド化合物(ビス型)、分子量10,000
コハク酸エステル:ポリアルケニル置換コハク酸エステル化合物、分子量10,000
<測定条件>
カラム:スチレン-ジビニルベンゼン架橋ゲル
溶離液:テトラヒドロフラン
流量:0.7ml/min
カラム温度:40℃
チオリン酸エステル配合品Aの調製:
チオリン酸エステル1及び分散剤(コハク酸イミド)の濃度が、それぞれ10重量%及び20重量%となるように溶媒(重芳香族ナフサ)に希釈してチオリン酸エステル配合品Aを調製した。
チオリン酸エステル配合品Bの調製:
チオリン酸エステル1及び分散剤(コハク酸エステル)の濃度が、それぞれ10重量%及び20重量%となるように溶媒(重芳香族ナフサ)に希釈してチオリン酸エステル配合品Bを調製した。
チオリン酸エステル配合品Cの調製:
チオリン酸エステル2及び分散剤(コハク酸イミド)の濃度が、それぞれ10重量%及び20重量%となるように溶媒(重芳香族ナフサ)に希釈してチオリン酸エステル配合品Cを調製した。
チオリン酸エステル配合品Dの調製:
チオリン酸エステル3及び分散剤(コハク酸イミド)の濃度が、それぞれ10重量%及び20重量%となるように溶媒(重芳香族ナフサ)に希釈してチオリン酸エステル配合品Dを調製した。
チオリン酸エステル配合品Eの調製:
チオリン酸エステル1の濃度が10重量%となるように溶媒(重芳香族ナフサ)に希釈してチオリン酸エステル配合品Eを調製した。
コハク酸イミド配合品の調製:
コハク酸イミドの濃度が10重量%となるように溶媒(重芳香族ナフサ)に希釈してコハク酸イミド配合品を調製した。
コハク酸エステル配合品の調製:
コハク酸エステルの濃度が10重量%となるように溶媒(重芳香族ナフサ)に希釈してコハク酸エステル配合品を調製した。
石油精製プロセスにおいて汚れ防止に使用する薬剤の汚れ防止効果を調べるために、汚れ(ファウリング)防止試験を行った。具体的には、汚れを付着させるための試験部材として図2に示す加熱管(ヒートロッド)21を用い、加熱管21を油に接触させ、その汚れの付着状況を測定することにより行った。
図2に示すように、加熱管21は、JIS K2276に規定された熱安定度試験器に使用さる軟鋼製の管である。加熱管21は、くびれた管形状をなしており、端部21a、21bが大径であり、中間部21cが小径となっている。図3に示すように、加熱管保持器22の上部及び下部には、流入管23aと流出管23bとが接続されており、加熱管保持器22の中央部には加熱管21が挿入される。加熱管21の中央部には熱電対24が挿入され、温度調節器(図示せず)により、熱電対24によって感知される温度が所定の温度となるように、加熱管21の両端部21a、21bから電流を流すことが可能である。流入管23aは、評価を行うサンプルが入ったタンク(図示せず)と接続されている。
試験装置は、上述の加熱管21及び加熱保持器22を備えたHotLiquidProcessSimurator試験器(アルコア(Alcor)社製)を使用した。
サンプル:下記表2のチオリン酸エステル化合物及び分散剤の濃度がそれぞれ20ppm及び40ppmになるように、原油1及び2にそれぞれ添加して調製した。チオリン酸エステル化合物および分散剤単独の場合は、濃度がそれぞれ60ppmになるように原油1及び2にそれぞれ添加して調製した。原油1及び2のAPI、分類及びH/C原子比を以下に示す。APIは、米国石油協会(America Protroleum Institute)が定める原油の比重単位であり、水と同じ比重を10として、26°未満を超重質、26~29.99°を重質、30~33.99°を中質、34~399.99°を形質、39度以上を超軽質と分類される。
<条件>
加熱管21の温度:330~340℃(20分かけて昇温)
タンク、ライン、ポンプの温度:100℃
サンプル量:200ml(タンク内は仕切られておらず、サンプルは循環する)
サンプル導入流速:1ml/分
系内圧力:500~600psi(窒素で圧力調整)
試験時間:5時間
〔サンプルの出口温度変化:Δt〕
流出管23b(加熱部出口)における試験開始後最高温度のサンプル温度と、5時間経過後のサンプル温度の温度変化(Δt)を測定した。加熱管21に汚れが付着するほど、Δtが大きくなる。
評価基準 A:Δtが5以下
B:Δtが5を超え8未満
C:Δtが8以上10未満
D:Δtが10以上
本試験条件においては、評価基準B以上の場合、十分な汚れ防止効果が得られるとし、実施例1~4では、原油1及び2において、十分な汚れ防止効果が得られることが確認できた。
上記表に示すように、汚れのH/C原子比が1.3を超える場合、分散剤としてコハク酸イミドを使用することにより、コハク酸エステルを使用した場合と比較して、よりよい汚れの付着抑制効果が得られた。また、汚れのH/C原子比が1.3以下の場合、分散剤としてコハク酸エステルを使用することにより、コハク酸イミドとを使用した場合と比較して、よりよい汚れの付着抑制効果が得られた。
Claims (4)
- 石油プロセスにおける熱交換器の汚れ防止方法であって、
前記熱交換器を通過するプロセス流体に、チオリン酸エステル化合物と分散剤とを添加することを含む、汚れ防止方法。 - 熱交換器に供給されるプロセス流体における前記チオリン酸エステル化合物の濃度が1ppm~100ppmとなるように、前記チオリン酸エステル化合物を前記プロセス流体に添加することを含む、請求項1記載の汚れ防止方法。
- 熱交換器に供給されるプロセス流体における前記チオリン酸エステル化合物の濃度に対する分散剤の濃度の比(分散剤の濃度(ppm)/チオリン酸エステル化合物の濃度(ppm))が、0.2~5となるように前記分散剤を前記プロセス流体に添加することを含む、請求項1又は2に記載の汚れ防止方法。
- 請求項1から3のいずれかに記載の汚れ防止方法に使用するための汚れ防止剤であって、
チオリン酸エステル化合物及び分散剤を含有する、汚れ防止剤。
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JPS5958087A (ja) * | 1982-08-23 | 1984-04-03 | ナルコ・ケミカル・カンパニ− | エチレン分解炉の汚染及び腐食防止方法 |
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JP2020070339A (ja) * | 2018-10-31 | 2020-05-07 | 伯東株式会社 | 石油精製に用いる熱交換器及び加熱炉の汚れを防止するための汚れ防止剤及び方法 |
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