JP2022067630A - 石油精製プロセスにおける原料油予熱用熱交換器の汚れ防止剤、石油精製プロセス用原料油および石油精製プロセスにおける原料油予熱用熱交換器の汚れ防止方法 - Google Patents

石油精製プロセスにおける原料油予熱用熱交換器の汚れ防止剤、石油精製プロセス用原料油および石油精製プロセスにおける原料油予熱用熱交換器の汚れ防止方法 Download PDF

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  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Abstract

【課題】原料油予熱用熱交換器に付着する汚れ分に対して優れた溶解性を発揮するために、原料油予熱用熱交換器への汚れ分の付着を十分に抑制し得る石油精製プロセスにおける原料油予熱用熱交換器の汚れ防止剤、石油精製プロセス用原料油および石油精製プロセスにおける原料油予熱用熱交換器の汚れ防止方法を提供する。【解決手段】沸点が200℃以上のテルペン類化合物からなることを特徴とする石油精製プロセスにおける原料油予熱用熱交換器の汚れ防止剤、当該汚れ防止剤を100質量ppm~5000質量ppm含む原料油からなることを特徴とする石油精製プロセス用原料油および上記汚れ防止剤を100質量ppm~5000質量ppm含む原料油を原料油予熱用熱交換器に供給することを特徴とする石油精製プロセスにおける原料油予熱用熱交換器の汚れ防止方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、石油精製プロセスにおける原料油予熱用熱交換器の汚れ防止剤、石油精製プロセス用原料油および石油精製プロセスにおける原料油予熱用熱交換器の汚れ防止方法に関する。
石油精製プロセスにおいては、常圧蒸留装置、減圧蒸留装置、流動接触分解装置(FCC)、直接脱硫装置、間接脱硫装置等の各種精製装置において、原油や各種重質油を原料油として高温下で精製処理が行われており、各装置における処理効率を向上させるために、予め処理対象となる原料油を熱交換器で予熱した上で、各装置に送出することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
例えば、上述した精製装置のうち、流動接触分解装置(FCC)は、500℃以上の高温で重質油と流動接触分解触媒とを接触させ、重質油を分解処理してガソリン留分や中間留分を製造する装置であり、上記流動接触分解装置の処理対象となる重質油としては、脱硫重油や熱分解脱硫重油、間接脱硫重油、直接脱硫重油などが使用され、これらの重質油は熱交換器(場合によっては熱交換器と加熱炉)で300℃付近まで予熱されてから流動接触分解装置に投入されている。
WO2015/022979公報
しかしながら、本発明者が検討したところ、上述したとおり、上記処理対象となる原料油(原油や各種重質油)は非常に重質な成分を含むことから、熱交換器を用いて予熱すると熱交換部位に堆積物(汚れ分)が付着して熱交換効率が低下し易くなることが判明した。熱交換効率が低下すると各種精製装置に投入される原油や重質油が十分に加温されず、精製装置での処理時により大きなエネルギーが必要となることから、別途事前に加熱炉で加熱したり、加熱炉が無い場合には精製装置の処理量を低減する必要があるなど、生産コストが上昇したり生産性の低下を招くことになる。
このような状況下、本発明は、予熱系熱交換器への汚れ分の付着を十分に抑制し得る石油精製プロセスにおける原料油予熱用熱交換器の汚れ防止剤、石油精製プロセス用原料油、および石油精製プロセスにおける原料油予熱用熱交換器の汚れ防止方法を提供することを目的とするものである。
上記技術課題を解決するために本発明者等が鋭意検討したところ、予熱用熱交換器に付着する汚れ分の原因成分に対して溶解性を示す汚れ防止剤を用いることにより、熱交換器の壁面への汚れ分の付着を抑制することを着想した。
上記知見に基づいて本発明者等がさらに検討したところ、石油精製プロセスにおける原料油予熱用熱交換器の汚れ防止剤として、沸点が200℃以上のテルペン類化合物を用いることにより、上記目的を達成し得ることを見出し、本知見に基づいて本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、
(1)沸点が200℃以上のテルペン類化合物からなることを特徴とする石油精製プロセスにおける原料油予熱用熱交換器の汚れ防止剤、
(2)前記テルペン類化合物が、下記一般式(I)
Figure 2022067630000001
(但し、RおよびRは、炭素数1~8の炭化水素基またはヒドロキシ基であり、かつRおよびRの少なくとも一方が炭素数1~8の炭化水素基であってRおよびRの炭素数の合計が2以上であり、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。)
で表される化合物または下記一般式(II)
Figure 2022067630000002
(但し、RおよびRは、炭素数1~9の炭化水素基であり、かつRおよびRの炭素数の合計が3以上であって、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。)
で表される化合物である上記(1)に記載の石油精製プロセスにおける原料油予熱用熱交換器の汚れ防止剤、
(3)上記(1)または(2)に記載の汚れ防止剤を100質量ppm~5000質量ppm含む原料油からなることを特徴とする石油精製プロセス用原料油、および
(4)石油精製プロセスにおける原料油予熱用熱交換器の汚れ防止方法であって、
上記(1)または(2)に記載の汚れ防止剤を100質量ppm~5000質量ppm含む原料油を原料油予熱用熱交換器に供給する
ことを特徴とする石油精製プロセスにおける原料油予熱用熱交換器の汚れ防止方法
を提供するものである。
本発明によれば、原料油予熱用熱交換器に付着する汚れ分に対して優れた溶解性を発揮するために、原料油予熱用熱交換器への汚れ分の付着を十分に抑制し得る石油精製プロセスにおける原料油予熱用熱交換器の汚れ防止剤、石油精製プロセス用原料油および石油精製プロセスにおける原料油予熱用熱交換器の汚れ防止方法を提供することができる。
加熱ヒーター出口における原料油温度の時間経過に伴う温度差の測定方法を説明する概念図である。
本発明に係る石油精製プロセスにおける原料油予熱用熱交換器の汚れ防止剤は、沸点が200℃以上のテルペン類化合物からなることを特徴とするものである。
本発明に係る汚れ防止剤の適用対象となる石油精製プロセスにおける原料油予熱用熱交換器としては、常圧蒸留装置用原料油予熱用熱交換器、減圧蒸留装置用原料油熱交換器、流動接触分解装置(FCC)用原料油予熱用熱交換器、直接脱硫装置用原料油予熱用熱交換器または間接脱硫装置用原料油予熱用熱交換器等を挙げることができ、流動接触分解装置(FCC)用原料油予熱用熱交換器であることが適当である。
各石油精製プロセスに供給される原料油(原油や各種重質油)は、従来公知のものから適宜選択される。
本発明に係る汚れ防止剤は、沸点が200℃以上であるテルペン類化合物からなる。
本発明に係る汚れ防止剤は、沸点が210℃以上のテルペン類化合物からなるものが好ましく、沸点が220℃以上のテルペン類化合物からなるものがより好ましい。
汚れ防止剤の沸点が200℃以上であることにより、石油精製プロセス用原料油に添加した場合であっても、精製中に揮発し難いことから、容易に取り扱うことができる。
なお、本出願書類において、沸点は、大気圧(一気圧)下における値を意味する。
本発明に係る汚れ防止剤は、融点が、80℃以下であるテルペン類化合物からなるものが好ましく、70℃以下であるテルペン類化合物からなるものがより好ましく、60℃以下であるテルペン類化合物からなるものがさらに好ましい。
汚れ防止剤の融点が80℃以下であることにより、石油精製プロセス用原料油に添加した場合であっても、容易に溶解して、石油精製プロセス中に容易に供給し、流通させることができる。
本発明に係る汚れ防止剤の純度は、90%以上が好ましく、95%以上がより好ましく、97%以上がさらに好ましい。
汚れ防止剤の純度が90%以上であることにより、石油精製プロセス用原料油に添加した際に、効果的に汚れ防止効果を発揮することができる。
本出願書類において、テルペン類化合物とは、テルペンまたはテルペン誘導体を意味する。
テルペンとは、一般的に、分子式(Cn(nは1以上の整数)で表されるイソプレン(C)に由来する炭素骨格を含む一連の化合物を意味し、ヘミテルペン(C)、モノテルペン(C1016)、セスキテルペン(C1524)、ジテルペン(C2032)等に分類される。
また、本出願書類において、テルペン誘導体とは、テルペンから誘導される一群の化合物を意味し、テルペン誘導体としては、各種のアルコール類、アルデヒド類、ケトン類、エステル類あるいはこれらを含有する天然精油を挙げることができ、これ等いずれかの分解生成物も含むものとする。
本発明に係る汚れ防止剤を構成するテルペン類化合物は、沸点が200℃以上であれば、環状(単環状または多環状)化合物であってもよいし非環式化合物であってもよく、芳香族化合物であってもよいし非芳香族化合物であってもよい。
本発明に係る汚れ防止剤を構成するテルペン類化合物としては、モノテルペン、セスキテルペンおよびそれ等誘導体から選ばれる一種以上が好ましく、環状モノテルペン、環状モノテルペン誘導体、非環状モノテルペン、非環状モノテルペン誘導体、環状セスキテルペン、環状セスキテルペン誘導体、非環状セスキテルペン、非環状セスキテルペン誘導体から選ばれる一種以上がより好ましい。
本発明に係る汚れ防止剤を構成するテルペン類化合物としては、炭素数の合計が、9~20であるものが好ましく、9~17であるものがより好ましく、9~15であるものがさらに好ましい。
本発明に係る汚れ防止剤を構成するテルペン類化合物として、具体的には以下の化合物が挙げられる。
すなわち、環状モノテルペンとしては、リモネン等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
環状モノテルペン誘導体としては、チモール、メントール、カルベオール、(1S,2S)-フラグラノール、4,α,α-トリメチルベンゼンメタノール、8-p-シメノール、プレゴン、ローズオキシド、メンチルアセテート、テルピネオール、カルボン、ヒノキチオール等の後述する一般式(I)で表される化合物、カルバクロールやチモール等の後述する一般式(II)で表される化合物等から選ばれる一種以上の化合物を挙げることができる。
非環状モノテルペン誘導体としては、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、ゲラニオール等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
環状セスキテルペンとしては、グアイアズレン等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
環状セスキテルペン誘導体としては、2-[1-メチル-1-(4-メチル-3-シクロヘキセン-1-イル)エトキシ]エタノール、グアイオール、ブルネソール、α-イオノン、β-イオノン、α-iso-メチルイオノン、α-ロンギピネン等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
非環状セスキテルペンとしては、ファルネセン等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
非環状セスキテルペン誘導体としては、ネロリドール、ファルネソール等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
また、テルペン誘導体としては、環状モノテルペン誘導体として、下記一般式(I)または一般式(II)で表される化合物から選ばれる一種以上を挙げることができる。
すなわち、テルペン誘導体としては、下記一般式(I)
Figure 2022067630000003
(但し、RおよびRは、炭素数1~8の炭化水素基またはヒドロキシ基であり、かつRおよびRの少なくとも一方が炭素数1~8の炭化水素基であってRおよびRの炭素数の合計が2以上であり、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。)
で表される化合物を挙げることができる。
一般式(I)で表される化合物において、RまたはRの炭素数は、2~8であり、2~7であることが好ましく、2~6であることがより好ましい。
またはRが炭化水素基である場合、RまたはRは、直鎖状の炭化水素基であってもよいし、分岐鎖状の炭化水素基であってもよい。
一般式(I)で表される化合物において、RおよびRの炭素数の合計は、2以上であり、2~10が好ましく、2~7がより好ましく、2~5がさらに好ましい。
またはRとして、具体的には、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基またはイソブチル基、ペンチル基またはイソペンチル基等を挙げることができる。
およびRは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
一般式(I)で表される化合物として、具体的には、ヒノキチオール(2-ヒドロキシ-6-イソプロピルシクロヘプタ-2,4,6-トリエン-1-オン)等を挙げることができる。
また、テルペン誘導体としては、下記一般式(II)
Figure 2022067630000004
(但し、RおよびRは、炭素数1~9の炭化水素基であり、RおよびRの炭素数の合計が3以上であって、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。)
で表される化合物を挙げることができる。
一般式(II)で表される化合物において、R3またはR4の炭素数は、1~9 であり、1~8であることが好ましく、1~7であることがより好ましい。
3またはR4は、直鎖状の炭化水素基であってもよいし、分岐鎖状の炭化水素基であってもよい。
一般式(II)で表される化合物において、RおよびRの炭素数の合計は、3以上であり、3~9であることが好ましく、3~4であることがより好ましい。
3またはR4として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基またはイソブチル基、ペンチル基またはイソペンチル基等を挙げることができる。
3およびR4は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
一般式(II)で表される化合物として、具体的には、カルバクロール(5-イソプロピル-2-メチルフェノール)、チモール(2-イソプロピル-5-メチルフェノール)等を挙げることができる。
本発明に係る汚れ防止剤としては、一般式(I)で表される化合物、一般式(II)で表される化合物または2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオールが好ましく、一般式(I)で表される化合物または一般式(II)で表される化合物がより好ましい。
本発明に係る汚れ防止剤の使用態様としては、本発明に係る汚れ防止剤を配合した原料油を適用対象となる予熱用熱交換器に供給し流通する態様を挙げることができ、係る態様により、熱交換器の壁面への汚れ分の付着を抑制することができる。
本発明に係る汚れ防止剤の上記使用態様によれば、予熱用熱交換器の運転を継続した状態で熱交換器の汚れ防止効果を発揮できることから、本発明に係る汚れ防止剤は、原料油に配合した状態で適用対象となる予熱用熱交換器に供給し流通する態様が好ましい。
このように、本発明に係る汚れ防止剤は、石油精製プロセスにおける原料油予熱用熱交換器の内壁面への汚れ分の付着を抑制(予防)することを目的として使用される。
本発明に係る汚れ防止剤を配合した原料油を適用対象となる予熱用熱交換器に供給する場合、原料油中における本発明に係る汚れ防止剤の濃度は、100質量ppm~5000質量ppmが好ましく、300質量ppm~4500質量ppmがより好ましく、500質量ppm~4000質量ppmがさらに好ましい。
原料油中の汚れ防止剤の濃度が上記範囲内にあることにより、原料油による予熱用熱交換器の壁面への汚れ分の付着を抑制することができる。
本発明によれば、原料油予熱用熱交換器に付着する汚れ分に対して優れた溶解性を発揮するために、原料油予熱用熱交換器への汚れ分の付着を十分に抑制し得る、石油精製プロセスにおける原料油予熱用熱交換器の汚れ防止剤を提供することができる。
次に、本発明に係る石油精製プロセス用原料油について説明する。
本発明に係る石油精製プロセス用原料油は、本発明に係る汚れ防止剤を100質量ppm~5000質量ppm含む原料油からなることを特徴とするものである。
本発明に係る汚れ防止剤や、当該汚れ防止剤を配合した原料油等の詳細は、上述したとおりである。
本発明に係る石油精製プロセス用原料油において、本発明に係る汚れ防止剤の配合割合(濃度)は、100質量ppm~5000質量ppmであり、300質量ppm~4500質量ppmが好ましく、500質量ppm~4000質量ppmがより好ましい。
本発明に係る原料油中の汚れ防止剤の配合割合が上記範囲内にあることにより、原料油による予熱用熱交換器の壁面への汚れ分の付着を抑制することができる。
本発明に係る石油精製プロセス用原料油は、以下の方法により算出される加熱ヒーター出口における原料油温度の時間経過に伴う温度差ΔTが、0℃~40℃であるものが好ましく、0℃~35℃であるものがより好ましく、0℃~30℃であるものがさらに好ましい。
<加熱ヒーター出口における原料油温度の時間経過に伴う温度差の測定方法>
図1に概略断面図で示すように、原料油タンクTに貯蔵されホットプレートHPにより70℃に加温された1.1Lの原料油を、同じく(図示しない)リボンヒーターにより流路全体が70℃に維持された流通配管c(直径6.5mm)内に毎分10mLで送液しつつ、上記原料油の流通配管内にヒーターロッドR(ステンレス鋼製、長さ200mm、直径6mm)を各々配置した加熱ヒーターHT1および加熱ヒーターHT2でそれぞれ設定温度T1(170℃)および温度T2(300℃)で順次加熱して上記原料油タンクTに返送する操作を600分間継続した後、上記加熱ヒーターHT2の原料油出口に配置された原料油温度計測手段Tm2outで原料油のヒーター出口温度T3を測定したときに、加熱ヒーターHT2において、「(加熱当初におけるヒーター出口温度T3)-(600分間加熱時におけるヒーター出口温度T3)」により算出される温度差を繰り返し2回測定したときの算術平均値を温度差ΔTとする。
上記温度差ΔTが上記範囲内に制御されていること、すなわちヒーター出口温度T3が所定範囲内に維持されていることにより、加熱ヒーターHT内部のヒーターロッドRへの汚れ分の付着量が少なく、原料油予熱用熱交換器への汚れ分の付着が十分に抑制されていると判断することができる。
上記温度差ΔTが上記範囲外である場合には、ヒーター出口温度T3を維持し得ないために、加熱ヒーターHT内部のヒーターロッドRへの汚れ分の付着量が増加して、原料油予熱用熱交換器への汚れ分の付着を十分に抑制し得ないと判断することができる。
本発明によれば、原料油予熱用熱交換器に付着する汚れ分に対して優れた溶解性を発揮するために、原料油予熱用熱交換器への汚れ分の付着を十分に抑制し得る、石油精製プロセス用原料油を提供することができる。
次に、本発明に係る石油精製プロセスにおける原料油予熱用熱交換器の汚れ防止方法について説明する。
本発明に係る石油精製プロセスにおける原料油予熱用熱交換器の汚れ防止方法は、本発明に係る汚れ防止剤を100質量ppm~5000質量ppm含む原料油を原料油予熱用熱交換器に供給することを特徴とするものである。
本発明に係る汚れ防止剤や、当該汚れ防止剤を配合した原料油等の詳細は、上述したとおりである。
また、各原料油を供給する原料油予熱用熱交換器の詳細も上述したとおりである。
本発明に係る石油精製プロセスにおける原料油予熱用熱交換器の汚れ防止方法において、原料油中における本発明に係る汚れ防止剤の配合割合(濃度)は、100質量ppm~5000質量ppmであり、300質量ppm~4500質量ppmが好ましく、500質量ppm~4000質量ppmがより好ましい。
本発明に係る石油精製プロセスにおける原料油予熱用熱交換器の汚れ防止方法において、原料油中の汚れ防止剤の配合割合が上記範囲内にあることにより、原料油による予熱用熱交換器の壁面への汚れ分の付着を抑制することができる。
本発明によれば、本発明に係る汚れ防止剤を配合した状態で予熱用熱交換器に原料油を供給することから、予熱用熱交換器の運転を継続した状態で熱交換器の汚れ防止効果を容易に発揮することができる。
このため、本発明によれば、原料油予熱用熱交換器に付着する汚れ分に対して優れた溶解性を発揮して、原料油予熱用熱交換器への汚れ分の付着を簡便にかつ十分に抑制し得る石油精製プロセスにおける原料油予熱用熱交換器の汚れ防止方法を提供することができる。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれ等の例により何ら限定されるものではない。
(実施例1~実施例4、比較例1~比較例2)
(1)原料基材
流動接触分解装置用原料油組成物を構成する基材Aおよび基材Bとして、各々表1に示す物性を有する、脱硫減圧軽油(T-VGO)および直接脱硫重油(DDS-P)を用意した。
なお、表1に記載する各物性は、各々以下に示す方法により測定した値を意味する。
(蒸留性状)
JIS K2254:1998の規定に基づいて測定した。
(15℃における密度(密度(15℃)))
JIS K2249-1:2011の規定に基づいて測定した。
(引火点)
JIS K 2265-3:2007に規定する「引火点の求め方―第3部:ペンスキーマルテンス密閉法」に基づいて測定した。
(硫黄分含有割合)
500質量ppm以下の硫黄分は、JIS K 2541-6:2003に規定する「原油及び石油製品-硫黄分試験方法-第6部:紫外蛍光法」に基づいて測定し、500質量ppmを超える硫黄分は、JIS K 2541-4:2003に規定する「原油及び石油製品-硫黄分試験方法-第4部:放射線励起法」に基づいて測定した。
(芳香族分含有割合)
JPI-5S-49-97の規定に基づいて測定した。
(残留炭素分)
JIS K 2270-2:2009に規定する「原油及び石油製品―残留炭素分の求め方―第2部:ミクロ法」に基づいて測定した。
(灰分)
JIS K 2272:1998に規定する「原油及び石油製品-灰分及び硫酸灰分試験方法」に基づいて測定した。
(窒素分含有割合)
JIS K 2609(1998)に規定する「原油及び石油製品-窒素分析試験方法」(化学発光法)に基づいて測定した。
(50℃における動粘度(動粘度(50℃))
JIS K 2283:2000に規定する「原油及び石油製品-動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」に基づいて測定した。
(流動点)
JIS K 2269:1987に規定する「原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法」に基づいて測定した。
(アスファルテン含有割合)
JPI-5S-22-83の規定に基づいて測定した。
Figure 2022067630000005
(2)汚れ防止剤の選定
各実施例および比較例で使用する汚れ防止剤として、各々、表2に示す物性を示す汚れ防止剤を選定した。
なお、比較例1においては汚れ防止剤は使用しなかった。
Figure 2022067630000006
(3)原料油の調製
上記基材Aおよび基材Bを、体積比で基材A:基材B=7:3となるように混合した基材混合物に対し、汚れ防止剤として、各々、表2に示す物性を示す汚れ防止剤を表3に示す配合割合となるように添加することにより、流動接触分解装置用原料油を調製した。
次いで、図3に概略断面図で示す加温装置において、上記のとおり調製したいずれかの原料油を原料油タンクT中に貯蔵した。
原料油タンクTに貯蔵されホットプレートHPにより70℃に加温された1.1Lの原料油を、同じく(図示しない)リボンヒーターにより流路全体が70℃に維持された流通配管c(直径6.5mm)内に毎分10mLで送液しつつ、上記原料油の流通配管内にヒーターロッドR(ステンレス鋼製、長さ200mm、直径6mm)を各々配置した加熱ヒーターHT1および加熱ヒーターHT2でそれぞれ設定温度T1(170℃)および温度T2(300℃)で順次加熱して上記原料油タンクTに返送する操作を600分間継続した後、上記加熱ヒーターHT2の原料油出口に配置された原料油温度計測手段Tm2outで原料油のヒーター出口温度T3を測定し、加熱ヒーターHT2において、「(加熱当初におけるヒーター出口温度T3)-(600分間加熱時におけるヒーター出口温度T3)」により算出される温度差を繰り返し2回測定してその算術平均値を温度差ΔTとして求めた。
結果を表3に示す。
Figure 2022067630000007
表2および表3より、実施例1~実施例4においては、汚れ防止剤として、沸点が200℃以上のテルペン類化合物からなるものを使用していることにより、係る汚れ防止剤を配合した原料油は、加温処理したときに加熱ヒーターHT2におけるヒーター出口温度の温度差ΔT{(加熱当初におけるヒーター出口温度T3)-(600分間加熱時におけるヒーター出口温度T3)}を10.4~37.5℃に制御することができ、このために汚れ分の付着を十分に抑制し得るものであることが分かる。
一方、表2および表3より、比較例1~比較例2においては、汚れ防止剤として、上記所定のものをしていないために、得られた原料油を加温処理したときに加熱ヒーターHT2におけるヒーター出口温度T3の温度差ΔT{(加熱当初におけるヒーター出口温度T3)-(600分間加熱時におけるヒーター出口温度T3)}が42.7~49.5℃と高く、汚れ分の付着を十分に抑制し得ないものであることが分かる。
本発明によれば、原料油予熱用熱交換器に付着する汚れ分に対して優れた溶解性を発揮するために、原料油予熱用熱交換器への汚れ分の付着を十分に抑制し得る石油精製プロセスにおける原料油予熱用熱交換器の汚れ防止剤、石油精製プロセス用原料油および石油精製プロセスにおける原料油予熱用熱交換器の汚れ防止方法を提供することができる。

Claims (4)

  1. 沸点が200℃以上のテルペン類化合物からなることを特徴とする石油精製プロセスにおける原料油予熱用熱交換器の汚れ防止剤。
  2. 前記テルペン類化合物が、下記一般式(I)
    Figure 2022067630000008
    (但し、RおよびRは、炭素数1~8の炭化水素基またはヒドロキシ基であり、かつRおよびRの少なくとも一方が炭素数1~8の炭化水素基であってRおよびRの炭素数の合計が2以上であり、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。)
    で表される化合物または下記一般式(II)
    Figure 2022067630000009
    (但し、RおよびRは、炭素数1~9の炭化水素基であり、かつRおよびRの炭素数の合計が3以上であって、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。)
    で表される化合物である請求項1に記載の石油精製プロセスにおける原料油予熱用熱交換器の汚れ防止剤。
  3. 前記請求項1または請求項2に記載の汚れ防止剤を100質量ppm~5000質量ppm含む原料油からなることを特徴とする石油精製プロセス用原料油。
  4. 石油精製プロセスにおける原料油予熱用熱交換器の汚れ防止方法であって、
    前記請求項1または請求項2に記載の汚れ防止剤を100質量ppm~5000質量ppm含む原料油を原料油予熱用熱交換器に供給する
    ことを特徴とする石油精製プロセスにおける原料油予熱用熱交換器の汚れ防止方法。
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