JP2022146167A - インクジェット用ポリウレタン樹脂水性分散体 - Google Patents

インクジェット用ポリウレタン樹脂水性分散体 Download PDF

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Abstract

【課題】得られる乾燥皮膜がPET及びOPP等の非浸透性の記録媒体に対して塗布した場合でも耐擦過性に優れたポリウレタン樹脂水性分散体を提供することを目的とする。【解決手段】ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させてなるポリウレタン樹脂(U)と水とを含有し、前記ポリウレタン樹脂(U)がカルボキシル基及び/又はカルボキシレートアニオン基を有するポリウレタン樹脂であり、前記ポリオール成分が多環脂肪族ジオールを含有するポリオール成分であり、前記ポリイソシアネート成分が芳香族イソシアネート及び脂肪族イソシアネートを含有するポリイソシアネート成分である、インクジェットインク用ポリウレタン樹脂水性分散体である。【選択図】なし

Description

本発明はインクジェット用ポリウレタン樹脂水性分散体に関する。
インクジェット記録方式は、インクジェットヘッドに設けられた多数のノズルからインクを液滴状に吐出することにより、多種多様な記録媒体に多種多様の高品位の画像を記録できることから広く利用されている。インクジェット方式での印刷は耐候性に優れる顔料分散体の技術向上により、鋭意検討が進められており、印刷画像表面に外力が加わり生じうる摩擦等による印刷画像の色落ちや劣化等への耐擦過性も求められている。耐擦過性に優れたインクとしては、例えば、顔料、水性樹脂及び水性媒体を含むインクジェット記録用インクにおいて、前記水性樹脂がポリオキシエチレン構造を有するポリウレタン樹脂(特許文献1)や、脂環式構造を有するポリウレタン樹脂(特許文献2)が提案されている。
特開2000-1639号公報 国際公開第2011/004675号
しかしながら、従来のインクジェット記録用インクを用いて印刷して得られた画像は、インクジェット専用紙などに印刷した場合の擦れ等に起因した顔料の脱落を防止できる程度の耐擦過性は有するものの、被印刷物の使用分野が広がるに伴い、より高いレベルの耐擦過性が求められており、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリプロピレン(OPP)フィルム等の非浸透性の記録媒体に印刷した場合、外力が加わると顔料の脱落等に起因する色落ちや損傷を引き起こすという問題があり、未だ充分とは言えない状況である。
本発明の目的は、得られる乾燥皮膜がPET及びOPP等の非浸透性の記録媒体に対して塗布した場合でも耐擦過性に優れたポリウレタン樹脂水性分散体を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討した結果、本発明に至った。すなわち本発明はポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させてなるポリウレタン樹脂(U)と水とを含有し、前記ポリウレタン樹脂(U)がカルボキシル基及び/又はカルボキシレートアニオン基を有するポリウレタン樹脂であり、前記ポリオール成分が多環脂肪族ジオールを含有するポリオール成分であり、前記ポリイソシアネート成分が芳香族イソシアネート及び脂肪族イソシアネートを含有するポリイソシアネート成分である、インクジェットインク用ポリウレタン樹脂水性分散体である。
本発明により、得られる乾燥皮膜がPET及びOPP等の非浸透性の記録媒体に対して塗布した場合でも耐擦過性に優れたポリウレタン樹脂水性分散体を提供することが可能になる。
本発明のポリウレタン樹脂水性分散体は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させてなるポリウレタン樹脂(U)と水とを含有する。
本発明におけるポリオール成分は、耐擦過性及び重合溶剤への溶解性の観点から、多環脂肪族ジオールを必須成分として含有する。多環脂肪族ジオールは単独で用いても、2種以上を併用しても、多環脂肪族ジオール以外のポリオール成分と併用してもよい。
多環脂肪族ジオールとしては、特に制限されないが、例えば、ノルボルナン環、ビシクロオクタン環、ビシクロウンデカン環、アダマンタン環、トリシクロデカン環及びテトラシクロドデカン環等の橋かけ環を有するジオールやスピロ環を有するジオール等が挙げられる。具体的には、2,5-ノルボルナンジオール、ビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジメタノール、1,3-アダマンタンジオール、及びトリシクロデカンジメタノール(トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカンジメタノール等)等が挙げられる。耐擦過性、重合溶剤への溶解性及び樹脂粒子の分散安定性の観点から、ノルボルナン環、ビシクロオクタン環、アダマンタン環及びトリシクロデカン環等の橋かけ環を有するジオールが好ましく、より好ましくはトリシクロデカン環を有するジオール(トリシクロデカンジメタノール等)であり、更に好ましくはトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカンジメタノールである。
多環脂肪族ジオール以外のポリオール成分としては、特に制限されないが、例えば、高分子ジオール、カルボキシル基及び/又はカルボキシレートアニオン基を有するジオール、並びに多環脂肪族ジオール以外の低分子ポリオール等が挙げられる。また、ポリウレタン樹脂(U)は、カルボキシル基及び/又はカルボキシレートアニオン基を有するポリウレタン樹脂であるため、ポリオール成分は、ポリウレタン樹脂(U)にカルボキシル基及び/又はカルボキシレートアニオン基を導入する観点から、カルボキシル基及び/又はカルボキシレートアニオン基を有するジオールを含有することが好ましい。
高分子ジオールとしては、特に制限されないが、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール及びポリオレフィンポリオール等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、特に制限されないが、例えば、脂肪族ポリエーテルジオール及び芳香族ポリエーテルジオールが挙げられる。
脂肪族ポリエーテルジオールとしては、特に制限されないが、例えば、炭素数2~20の脂肪族多価アルコールへの炭素数2~12のアルキレンオキサイド(以下、AOと略記)付加物等が挙げられる。具体的には、ポリオキシアルキレングリコール(ポリエチレングリコール等)、ポリオキシプロピレングリコール(ポリプロピレングリコール等)及びポリオキシエチレン/プロピレングリコール及びポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
脂肪族ポリエーテルジオールの市販品としては、PTMG1000[Mn=1000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、三菱化学(株)製]、PTMG2000[Mn=2000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、三菱化学(株)製]、PTMG3000[Mn=3000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、三菱化学(株)製]、PTGL2000[Mn=2000の変性ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、保土谷化学工業(株)製]、PTGL3000[Mn=3000の変性ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、保土谷化学工業(株)製]及びサンニックスPP-2000[Mn=2000のポリオキシプロピレングリコール、三洋化成工業(株)製]等が挙げられる。なお、本実施形態において「Mn」は数平均分子量を意味する。
芳香族ポリエーテルジオールとしては、特に制限されないが、例えば、ビスフェノールAのエチレンオキサイド(以下、EOと略記)付加物(ビスフェノールAのEO2モル付加物、ビスフェノールAのEO4モル付加物、ビスフェノールAのEO6モル付加物、ビスフェノールAのEO8モル付加物、ビスフェノールAのEO10モル付加物及びビスフェノールAのEO20モル付加物等)及びビスフェノールAのプロピレンオキサイド(以下、POと略記)付加物(ビスフェノールAのPO2モル付加物、ビスフェノールAのPO3モル付加物及びビスフェノールAのPO5モル付加物等)等のビスフェノール骨格を有するジオール並びにレゾルシンのEO又はPO付加物等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、特に制限されないが、例えば、炭素数2~20の多価アルコールの1種又は2種以上と、低分子カーボネート化合物(例えば、アルキル基の炭素数1~6のジアルキルカーボネート、炭素数2~6のアルキレン基を有するアルキレンカーボネート及び炭素数6~9のアリール基を有するジアリールカーボネート)から、脱アルコール反応させながら縮合させることによって製造されるポリカーボネートポリオールが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、特に制限されないが、例えば、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリペンタメチレンカーボネートジオール、3-メチル-5-ペンタン-カーボネートジオール、ポリテトラメチレンカーボネートジオール及びポリ(テトラメチレン/ヘキサメチレン)カーボネートジオール(1,4-ブタンジオールと1,6-ヘキサンジオールをジアルキルカーボネートと脱アルコール反応させながら縮合させて得られるジオール等)等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールの市販品としては、特に制限されないが、例えば、ニッポラン980R[1,6-ヘキサンジオールを用いたMn=2000のポリカーボネートポリオール、日本ポリウレタン工業(株)製]、デュラノール T6002[1,6-ヘキサンジオールを用いたMn=2000のポリカーボネートポリオール、旭化成ケミカルズ(株)製]、ETERNACOLL UH-300[1,6-ヘキサンジオールを用いたMn=3000のポリカーボネートポリオール、宇部興産(株)製]、ETERNACOLL UH-200[1,6-ヘキサンジオールを用いたMn=2000のポリカーボネートポリオール、宇部興産(株)製]、ETERNACOLL UM-90(1/3)[1,4-シクロヘキサンジメタノール/1,6-ヘキサンジオール=1/3(モル比)を用いたMn=900のポリカーボネートポリオール、宇部興産(株)製]、デュラノール G4672[1,4-ブタンジオール/1,6-ヘキサンジオール=70/30(モル比)を用いたMn=2000のポリカーボネートポリオール、旭化成ケミカルズ(株)製]、デュラノール T5652[1,5-ペンタンジオール/1,6-ヘキサンジオール=50/50(モル比)を用いたMn=2000のポリカーボネートポリオール、旭化成ケミカルズ(株)製]、T4672[1,4-ブタンジオール/1,6-ヘキサンジオールを用いたMn=2000のポリカーボネートポリオール、旭化成ケミカルズ(株)製]、クラレポリオール C-2090[3-メチル-1,5-ペンタンジオール/1,6-ヘキサンジオール=90/10(モル比)を用いたMn=2000のポリカーボネートポリオール、クラレ(株)製]、クラレポリオールC-3090[3-メチル-1,5-ペンタンジオール/1,6-ヘキサンジオールを用いたMn=3000のポリカーボネートポリオール、クラレ(株)製]、クラレポリオール C-2050[3-メチル-1,5-ペンタンジオール/1,6-ヘキサンジオール=50/50(モル比)を用いたMn=2000のポリカーボネートポリオール、クラレ(株)製]等が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、特に制限されないが、例えば、縮合型ポリエステルポリオール、ポリラクトンポリオール、ヒマシ油系ポリオール等が挙げられる。
縮合型ポリエステルポリオールとしては、特に制限されないが、例えば、炭素数4~20の多価カルボン酸と炭素数2~20の多価アルコールとの脱水縮合により得られるポリエステルポリオール及び炭素数4~20の多価カルボン酸のエステル形成性誘導体と炭素数2~20の多価アルコールとの脱水縮合により得られるポリエステルポリオール等が挙げられる。
炭素数2~20の多価アルコールとしては、特に制限されないが、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、3-メチルペンタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン、2,2-ビス(4,4’-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン等の2価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、α-メチルグルコシド、ソルビトール、キシリット、マンニット、ジペンタエリスリトール、グルコース、フルクトース、ショ糖等の4~8価のアルコールが挙げられる。
また、炭素数4~20の多価カルボン酸又はそのエステル形成性誘導体としては、特に制限されないが、例えば、脂肪族ジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸及びマレイン酸等)、脂環式ジカルボン酸(ダイマー酸等)、芳香族ジカルボン酸(フタル酸及びイソフタル酸、テレフタル酸等)、3価又はそれ以上のポリカルボン酸(トリメリット酸及びピロメリット酸等)、これらの無水物(無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸及び無水トリメリット酸等)、これらの酸ハロゲン化物(アジピン酸ジクロライド等)、これらの低分子量アルキルエステル(コハク酸ジメチル及びフタル酸ジメチル等)並びこれらの混合物が挙げられる。
ポリラクトンポリオールとしては、特に制限されないが、例えば、上記炭素数2~20の多価アルコールへのラクトンの重付加物であり、ラクトンとしては、炭素数4~12のラクトン(例えばγ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン及びε-カプロラクトン)等が挙げられる。ポリラクトンポリオールの具体例としては、例えばポリカプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオール及びポリカプロラクトントリオール等が挙げられる。
ヒマシ油系ポリオールには、特に制限されないが、例えば、ヒマシ油及びポリオール又は炭素数2~12のAOで変性された変性ヒマシ油が含まれる。変性ヒマシ油はヒマシ油とポリオールとのエステル交換及び/又はAO付加により製造できる。ヒマシ油系ポリオールとしては、ヒマシ油、トリメチロールプロパン変性ヒマシ油、ペンタエリスリトール変性ヒマシ油及びヒマシ油のEO付加物(付加モル数4~30モル)等が挙げられる。
炭素数2~12のAOとしては、特に制限されないが、例えば、EO、PO、1,2-、2,3-又は1,3-ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、3-メチルテトラヒドロフラン、α-オレフィンオキサイド、スチレンオキサイド及びエピハロヒドリン(エピクロルヒドリン等)等が挙げられる。
ポリオレフィンポリオールとしては、特に制限されないが、例えば、ポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、水添ポリイソプレンポリオール、及び例えば特開2018-076428等に記載されるポリオレフィンを不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)で変性した酸変性ポリオレフィンとアミノアルコールを反応させて得ることができる水酸基変性ポリオレフィン等が挙げられる。
ポリオレフィンポリオールの市販品としては、特に制限されないが、例えば、NISSO-PB G シリーズ[ポリブタジエンポリオール、日本曹達(株)製]、Poly bd シリーズ[ポリブタジエンポリオール、出光興産(株)製]、NISSO-PB GI シリーズ[水添ポリブタジエンポリオール、日本曹達(株)製]、ポリテールH[水添ポリブタジエンポリオール、三菱ケミカル(株)製]、Poly ip シリーズ[ポリイソプレンポリオール、出光興産(株)製]、EPOL シリーズ[水添ポリイソプレンポリオール、出光興産(株)製]等が挙げられる。
カルボキシル基及び/又はカルボキシレートアニオン基を有するジオールとしては、特に制限されないが、例えば、カルボキシル基を1つ有するジオール(b1)、カルボキシル基を2つ以上有するジオール(b2)並び上記ジオールを後述の中和剤で中和した塩が挙げられる。
カルボキシル基を1つ有するジオール(b1)としては、例えば2,2’-ジメチロールプロピオン酸、2,2’-ジメチロールブタン酸、2,2’-ジメチロール酪酸、2,2’-ジメチロール吉草酸等が挙げられる。
カルボキシル基を2つ以上有するジオール(b2)としては、例えば酒石酸等が挙げられる。
ジオール(b1)及び(b2)の中和剤としては、特に制限されないが、例えば、アンモニア、炭素数1~20のアミン化合物及びアルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウム等)が挙げられる。
ここで、炭素数1~20のアミン化合物としては、モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノブチルアミン、モノエタノールアミン及び2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等の1級アミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジエタノールアミン及びN-メチルジエタノールアミン等の2級アミン並びにトリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエチルアミン及びトリエタノールアミン等の3級アミンが挙げられる。
これらの内、生成するポリウレタン樹脂水性分散体の乾燥性及び得られる皮膜の耐水性の観点から好ましいものは、25℃における蒸気圧が低いアミン化合物であり、より好ましくはアンモニア、モノメチルアミン、モノエチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチル、トリエチルアミン及びジメチルエチルアミンである。
上記カルボキシル基及び/又はカルボキシレートアニオン基を有するジオールのうち好ましくは、カルボキシル基を1つ有するジオール(b1)及び(b1)を中和剤で中和した塩であり、より好ましくは、2,2’-ジメチロールプロピオン酸、2,2’-ジメチロールブタン酸、2,2’-ジメチロールプロピオン酸を中和剤で中和した塩及び2,2’-ジメチロールブタン酸を中和剤で中和した塩である。
多環脂肪族ジオール以外の低分子ポリオールとしては、特に制限されないが、例えば、多環脂肪族ジオール以外の炭素数2~20の多価アルコールが挙げられる。多環脂肪族ジオール以外の炭素数2~20の多価アルコールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、3-メチルペンタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン及び1,4-ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン等の2価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール、ペンタエリスリトール、ジグリセリン及びジペンタエリスリトール等の4~8価のアルコールが挙げられる。
ポリオール成分の平均分子量は、耐擦過性の観点から、数平均分子量(Mn)で、好ましくは200以下であり、より好ましくは60~200であり、さらに好ましくは60~100である。ポリオール成分の平均分子量とは、使用する各ポリオール成分の数平均分子量を重量平均化した値である。尚、本発明におけるポリオールのMnはポリエチレングリコールを標準としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定されるものである。但し、低分子ポリオールのMnは化学式からの計算値である。
本発明におけるポリオール成分の数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、例えば以下の条件で測定することができる。
装置 :「Waters Alliance 2695」[Waters社製]
カラム :「Guardcolumn Super H-L」(1本)、「TSKgel SuperH2000、TSKgel SuperH3000、TSKgel SuperH4000(いずれも東ソー株式会社製)を各1本連結したもの」
試料溶液 :0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量:10μL
流量 :0.6ml/分
測定温度 :40℃
検出装置 :屈折率検出器
基準物質 :標準ポリエチレングリコール
本発明におけるポリイソシアネート成分は、耐擦過性及び水性媒体への分散性の観点から、芳香族イソシアネート及び脂肪族イソシアネートを必須成分として含有する。ポリイソシアネート成分は、単独で用いても、2種以上を併用しても、芳香族イソシアネート及び脂肪族イソシアネート以外のポリイソシアネート成分と併用してもよい。
芳香族イソシアネートとしては、特に制限されないが、例えば、炭素数8~26の芳香族ポリイソシアネート等が挙げられる。
炭素数8~26の芳香族ポリイソシアネートとしては、特に制限されないが、例えば、1,3-又は1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-又は2,6-トリレンジイソシアネート(以下、トリレンジイソシアネートをTDIと略記)、粗製TDI、4,4’-又は2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、ジフェニルメタンジイソシアネートをMDIと略記)、粗製MDI、ポリアリールポリイソシアネート、4,4’-ジイソシアナトビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5-ナフタレンジイソシアネート、4,4’,4”-トリフェニルメタントリイソシアネート及びm-又はp-イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートが挙げられる。
脂肪族イソシアネートとしては、特に制限されないが、例えば、炭素数4~22の脂肪族ポリイソシアネート及び炭素数8~18の脂環式ポリイソシアネート等が挙げられる。
炭素数4~22の脂肪族ポリイソシアネートとしては、特に制限されないが、例えば、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIと略記)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6-ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2-イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2-イソシアナトエチル)カーボネート及び2-イソシアナトエチル-2,6-ジイソシアナトヘキサノエートが挙げられる。
炭素数8~18の脂環式ポリイソシアネートとしては、特に制限されないが、例えば、イソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと略記)、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(以下、水添MDIと略記)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2-イソシアナトエチル)-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボキシレート及び2,5-又は2,6-ノルボルナンジイソシアネートが挙げられる。
上記ポリイソシアネート成分以外のポリイソシアネート成分としては、特に制限されないが、例えば、炭素数10~18の芳香脂肪族ポリイソシアネート及びこれらのポリイソシアネートの変性物並びに芳香族イソシアネート及び脂肪族イソシアネートの変性物等が挙げられる。
炭素数10~18の芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、特に制限されないが、例えば、m-又はp-キシリレンジイソシアネート及びα,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネートが挙げられる。
ポリイソシアネートの変性物としては、特に制限されないが、例えば、ポリイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロハネート基、ウレア基、ビウレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基又はオキサゾリドン基含有変性物等;遊離イソシアネート基含有量が8~33重量%、好ましくは10~30重量%、特に12~29重量%のもの)、例えば変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI及びトリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等)、ウレタン変性TDI、ビウレット変性HDI、イソシアヌレート変性HDI及びイソシアヌレート変性IPDI等のポリイソシアネートの変性物が挙げられる。
ポリイソシアネート成分のうち、ポリウレタン樹脂(U)の耐擦過性の観点から、好ましくは炭素数8~18の芳香族ポリイソシアネートであり、より好ましくはTDI又はMDIであり、更に好ましいのは4,4’-MDIである。また、ポリウレタン樹脂(U)の重合溶剤への溶解性及び水性媒体への分散性の観点から、好ましくは炭素数8~18の脂環式ポリイソシアネートであり、より好ましくはIPDIである。
上記ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させてポリウレタン樹脂(U)を得る際に、分子量の制御を目的として鎖伸長剤及び反応停止剤を使用してもよい。
鎖伸長剤としては、特に制限されないが、例えば、水、炭素数2~36の脂肪族ポリアミン[エチレンジアミン及びヘキサメチレンジアミン等のアルキレンジアミン;ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、ジヘキシレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチエレンヘキサミン及びヘキサエチレンヘプタミン等のポリ(n=2~6)アルキレン(炭素数2~6)ポリ(n=3~7)アミン等]、炭素数6~20の脂環式ポリアミン(1,3-又は1,4-ジアミノシクロヘキサン、4,4’-又は2,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミン及びイソホロンジアミン等)、炭素数6~20の芳香族ポリアミン(1,3-又は1,4-フェニレンジアミン、2,4-又は2,6-トリレンジアミン、4,4’-又は2,4’-メチレンビスアニリン等)、炭素数3~20の複素環式ポリアミン(2,4-ジアミノ-1,3,5-トリアジン、ピペラジン及びN-アミノエチルピペラジン等)、ヒドラジン又はその誘導体(二塩基酸ジヒドラジド例えばアジピン酸ジヒドラジド等)及び炭素数2~20のアミノアルコール(例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノール及びトリエタノールアミン)等が挙げられる。鎖伸長剤は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
反応停止剤としては、特に制限されないが、例えば、炭素数1~20のモノアルコール(メタノール、エタノール、ブタノール、オクタノール、デカノール、ドデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール及びステアリルアルコール等)、炭素数1~20のモノアミン(モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン及びモノオクチルアミン等のモノ又はジアルキルアミン並びにモノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びジイソプロパノールアミン等のモノ又はジアルカノールアミン等)が挙げられる。反応停止剤は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ポリウレタン樹脂(U)中の多環脂肪族ジオールの重量割合は、耐擦過性及び樹脂粒子の分散性の観点から、ポリオール成分とポリイソシアネート成分の合計重量を基準として10~50重量%であることが好ましく、より好ましくは15~40重量%であり、さらに好ましくは25~40重量%である。
ポリウレタン樹脂(U)中のポリイソシアネート成分の合計重量割合は、耐擦過性の観点から、ポリオール成分とポリイソシアネート成分の合計重量を基準として40重量%以上であることが好ましく、40~70重量%であることがより好ましく、より好ましくは50~70重量%である。
芳香族イソシアネートの合計重量割合は、耐擦過性、重合溶媒への溶解性及び樹脂粒子の分散性の観点から、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との合計重量を基準として25~60重量%であることが好ましい。
ポリウレタン樹脂(U)中の芳香族ポリイソシアネートの合計重量割合は、耐擦過性、重合溶媒への溶解性及び樹脂粒子の分散性の観点から、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との合計重量を基準として25~65重量%であることが好ましく、より好ましくは30~60重量%である。
脂肪族イソシアネートの合計重量割合は、耐擦過性、重合溶媒への溶解性及び水への分散安定性の観点から、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との合計重量を基準として0.5~30重量%であることが好ましい。
ポリウレタン樹脂(U)中の脂肪族ポリイソシアネートの合計重量割合は、重合溶媒への溶解性及び水への分散安定性の観点から、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との合計重量を基準として0.5~30重量%であることが好ましく、より好ましくは1~25重量%である。
本発明におけるポリウレタン樹脂(U)の酸価は、ポリウレタン樹脂水性分散体の分散安定性、印刷インクの粘度および乾燥した樹脂皮膜の耐水性の観点から15~45mgKOH/gであることが好ましい。好ましくは15~30mgKOH/gである。酸価が15mgKOH/g以上であれば、ポリウレタン樹脂(U)のポリウレタン樹脂水性分散体中での分散安定性が良好であり、高温でも目詰まりを起こしにくい。一方、酸価が45mgKOH/g以下であれば、ポリウレタン樹脂が水で膨潤しにくく、印刷インクが増粘しにくい。さらに、得られる記録物の耐水性を良好に保つことができる。
ポリウレタン樹脂(U)の酸価は、例えば、カルボキシル基及び/又はカルボキシレートアニオン基を有するジオール(ジメチロールプロピオン酸等の酸基含有ポリオール)に由来する骨格の含有量を調節することにより変化させることができる。
ポリウレタン樹脂(U)の酸価はJIS K 0070:1992記載の方法(電位差滴定法)により測定することができる。
本発明のポリウレタン樹脂水性分散体は、ポリウレタン樹脂(U)を複数種含有してもよい。ポリウレタン樹脂水性分散体におけるポリウレタン樹脂(U)の合計の含有量は、1.0重量%以上65.0重量%以下であることが好ましく、20.0重量%以上65.0重量%以下であることがより好ましい。
ポリウレタン樹脂水性分散体の光散乱測定法による体積平均粒子径(Dv)は、好ましくは10~120nm、より好ましくは20~60nmである。体積平均粒子径(Dv)が10nm以上であるとポリウレタン樹脂水性分散体の粘度が適正でありハンドリング性が良好であり、120nm以下であると分散安定性が良好である。
ポリウレタン樹脂水性分散体の光散乱測定法による体積平均粒子径(Dv)は、カルボキシル基及び/又はカルボキシレートアニオン基の含有量、中和剤、分散剤量並びに分散工程で使用する分散機の種類及び分散条件によって制御することができる。
体積平均粒子径(Dv)は、光散乱粒度分布測定装置[堀場製作所(株)製「LA950 V2」]で測定することができる。
本発明のポリウレタン樹脂水性分散体は、ポリウレタン樹脂水性分散体から得られる乾燥皮膜の耐水性の観点から、分散剤(H)を用いない自己乳化型の水性分散体とすることが好ましい。
一方、ポリウレタン樹脂(U)を水性媒体に分散させる場合には、分散剤(H)を用いてもよい。このような分散剤(H)としては、非イオン性界面活性剤(h1)、アニオン性界面活性剤(h2)、カチオン性界面活性剤(h3)、両性界面活性剤(h4)及びその他の乳化分散剤(h5)が挙げられる。分散剤(H)は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
非イオン性界面活性剤(h1)としては、特に制限されないが、例えば、AO付加型非イオン性界面活性剤及び多価アルコール型非イオン性界面活性剤が挙げられる。AO付加型としては、炭素数10~20の脂肪族アルコールのEO付加物、フェノールのEO付加物、ノニルフェノールのEO付加物、炭素数8~22のアルキルアミンのEO付加物及びポリオキシプロピレングリコールのEO付加物等が挙げられる。また、多価アルコール型としては、多価(3~8価又はそれ以上)アルコール(炭素数2~30)の脂肪酸(炭素数8~24)エステル(例えばグリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート及びソルビタンモノオレエート等)及びアルキル(炭素数4~24)ポリ(重合度1~10)グリコシド等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤(h2)としては、特に制限されないが、例えば、炭素数8~24の炭化水素基を有するエーテルカルボン酸又はその塩[ラウリルエーテル酢酸ナトリウム及び(ポリ)オキシエチレン(付加モル数1~100)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム等];炭素数8~24の炭化水素基を有する硫酸エステル又はエーテル硫酸エステル及びそれらの塩[ラウリル硫酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(付加モル数1~100)ラウリル硫酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(付加モル数1~100)ラウリル硫酸トリエタノールアミン及び(ポリ)オキシエチレン(付加モル数1~100)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸ナトリウム等];炭素数8~24の炭化水素基を有するスルホン酸塩[ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等];炭素数8~24の炭化水素基を1個又は2個有するスルホコハク酸塩;炭素数8~24の炭化水素基を有するリン酸エステル又はエーテルリン酸エステル及びそれらの塩[ラウリルリン酸ナトリウム及び(ポリ)オキシエチレン(付加モル数1~100)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム等];炭素数8~24の炭化水素基を有する脂肪酸塩[ラウリン酸ナトリウム及びラウリン酸トリエタノールアミン等];並びに炭素数8~24の炭化水素基を有するアシル化アミノ酸塩[ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシントリエタノールアミン、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸トリエタノールアミン、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム及びラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム等
]が挙げられる。
カチオン性界面活性剤(h3)としては、特に制限されないが、例えば、第4級アンモニウム塩型[塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム及びエチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム等]並びにアミン塩型[ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド乳酸塩、ジラウリルアミン塩酸塩及びオレイルアミン乳酸塩等]が挙げられる。
両性界面活性剤(h4)としては、特に制限されないが、例えば、ベタイン型両性界面活性剤[ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン及びラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタインヒドロキシプロピルリン酸ナトリウム等]並びにアミノ酸型両性界面活性剤[β-ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等]が挙げられる。
その他の乳化分散剤(h5)としては、特に制限されないが、例えば、ポリビニルアルコール、デンプン及びその誘導体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体並びにポリアクリル酸ソーダ等のカルボキシル基含有(共)重合体及び米国特許第5906704号明細書に記載のウレタン基又はエステル基を有する乳化分散剤[例えばポリカプロラクトンポリオールとポリエーテルジオールをポリイソシアネートで連結させたもの]等が挙げられる。
分散剤(H)は、ポリウレタン樹脂(U)のウレタン化反応後、ポリウレタン樹脂(U)の水分散工程前、水分散工程中又は水分散後のいずれの時期に添加してもよいが、ポリウレタン樹脂(U)の分散性及び水性分散体の安定性の観点から、水分散工程前又は水分散工程中に添加することが好ましい。
本発明のポリウレタン樹脂水性分散体を製造する方法としては、例えば、以下の[1]及び[2]の方法等が挙げられる。
[1]ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、必要により鎖伸長剤及び反応停止剤を、有機溶剤(S)の存在下又は非存在下で一段又は多段で反応させてポリウレタン樹脂(U)を製造し、必要によりカルボキシル基をトリエチルアミン等の中和剤により塩として、水性媒体に分散させた後に、必要により有機溶剤(S)を留去する方法。
[2]ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを、有機溶剤(S)の存在下又は非存在下で一段又は多段で反応させてイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P)を製造し、次いで必要によりプレポリマー(P)中のカルボキシル基をトリエチルアミン等の中和剤により塩として水性媒体に分散させて、鎖伸長剤及び/又は反応停止剤とプレポリマー(P)中のイソシアネート基とを反応させた後に、必要により有機溶剤(S)を留去する方法。
[1]及び[2]の方法の内、ポリウレタン樹脂(U)の分散安定性及び乾燥皮膜の機械強度の観点から、好ましいのは[2]の方法である。
[1]の方法におけるポリウレタン樹脂(U)、又はポリウレタン樹脂水性分散体、及び[2]の方法におけるウレタンプレポリマー(P)を製造する際の反応温度は、副反応抑制の観点から、60~120℃が好ましく、更に好ましくは60~110℃であり、特に好ましくは60~100℃である。製造時間は、使用する設備により適宜選択することができるが、一般的に1分~100時間が好ましく、更に好ましくは3分~30時間であり、特に好ましくは5分~20時間である。
有機溶剤(S)は、イソシアネート基と実質的に非反応性の溶剤から選ばれ、例えばケトン系溶剤(例えばアセトン及びメチルエチルケトン)、エステル系溶剤[例えば酢酸エチル、ニ塩基酸エステル(DBE)]、エーテル系溶剤(例えば、テトラヒドロフラン)、アミド系溶剤(例えばN,N-ジメチルホルムアミド及びN-メチルピロリドン)及び芳香族炭化水素系溶剤(例えばトルエン)等が挙げられる。これらの有機溶剤(S)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
また、本発明における水性媒体とは、水又は水と有機溶剤(S)との混合物を意味する。
有機溶剤(S)として好ましいのは、沸点が100℃未満の有機溶剤であり、例えばアセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。
沸点が100℃以上の有機溶剤を使用すると、水性媒体から有機溶剤のみを完全に除去することが困難になり、水性分散体中に残存し、乾燥時に有機溶剤が発生するため好ましくない。また、有機溶剤が皮膜中に残存しやすくなり、皮膜の機械物性が経時的に変化するため好ましくない。
ポリウレタン樹脂水性分散体における有機溶剤(S)の含有量は、臭気、経時安定性、環境負荷及び安全性の観点からは、ポリウレタン樹脂水性分散体の重量に基づいて、1重量%以下であることが好ましく、更に好ましくは0.8重量%以下、特に好ましくは0.5重量%以下である。
上記[1]及び[2]の方法におけるウレタン化反応では、反応を促進させるため、必要により公知のウレタン化触媒等を使用することができる。ウレタン化触媒の添加量は、ポリウレタン樹脂(U)又はプレポリマー(P)の重量に基づき、好ましくは0.001~3重量%、更に好ましくは0.005~2重量%、特に好ましくは0.01~1重量%
である。
ウレタン化触媒としては、金属触媒[錫系触媒(トリメチルチンラウレート、トリメチルチンヒドロキサイド、ジメチルチンジラウレート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、スタナスオクトエート及びジブチルチンマレエート等)、鉛系触媒(オレイン酸鉛、2-エチルヘキサン酸鉛、ナフテン酸鉛及びオクテン酸鉛等)、コバルト系触媒(ナフテン酸コバルト等)、ビスマス系触媒{ビスマストリス(2-エチルヘキサノエート)等}及び水銀系触媒(フェニル水銀プロピオン酸塩等)等]、アミン触媒[トリエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルヘキシレンジアミン、ジアザビシクロアルケン{1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン}等;ジアルキルアミノアルキルアミン{ジメチルアミノエチルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノエチルアミン、ジメチルアミノオクチルアミン及びジプロピルアミノプロピルアミン等}又は複素環式アミノアルキルアミン[2-(1-アジリジニル)エチルアミン及び4-(1-ピペリジニル)-2-ヘキシルアミン等]の炭酸塩又は有機酸塩(ギ酸塩等)等;N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、トリエチルアミン、ジエチルエタノールアミン及びジメチルエタノールアミン等]並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
上記[1]の方法におけるポリウレタン樹脂(U)又はその有機溶剤溶液、上記[2]の方法におけるウレタンプレポリマー(P)又はその有機溶剤溶液を水中に分散する装置としては特に制限されないが、回転式分散混合装置、超音波式分散機又は混練機を用いることが好ましく、なかでも分散能力が特に優れる回転式分散混合装置が更に好ましい。
回転式分散混合装置としては、例えばマックスブレンドやヘリカル翼等の一般的な攪拌羽を有する混合装置、TKホモミキサー[プライミクス(株)製]、クレアミックス[エムテクニック(株)製]、フィルミックス[プライミクス(株)製]、ウルトラターラックス[IKA(株)製]、エバラマイルダー[荏原製作所(株)製]、キャビトロン(ユーロテック社製)及びバイオミキサー[日本精機(株)製]等が挙げられる。
ポリウレタン樹脂水性分散体の固形分濃度(揮発性成分以外の成分の含有量)は、ポリウレタン樹脂水性分散体の取り扱い易さの観点から、好ましくは20~65重量%、更に好ましくは25~55重量%である。固形分濃度は、水性分散体約1gをペトリ皿上にうすく伸ばし、精秤した後、循環式定温乾燥機を用いて130℃で、45分間加熱した後の重量を精秤し、加熱前の重量に対する加熱後の残存重量の割合(百分率)を計算することにより得ることができる。
ポリウレタン樹脂水性分散体の25℃での粘度は、ハンドリング性の観点から、好ましくは5,000mPa・s以下、更に好ましくは1,000mPa・s以下である。粘度はBL型粘度計を用いて測定することができる。
ポリウレタン樹脂水性分散体の25℃でのpHは、分散安定性の観点から、好ましくは2~12、更に好ましくは4~10である。pHは、pH Meter M-12[堀場製作所(株)製]を用いて測定することができる。
本発明のポリウレタン樹脂水性分散体はインクジェットインク用のポリウレタン樹脂水性分散体であり、インクジェットインク用として用いると耐擦過性に優れる乾燥皮膜が得られる。さらに、本発明のポリウレタン樹脂水性分散体を用いたインクジェットインクをPET及びOPP等の非浸透性の記録媒体に対して塗布した場合でも耐擦過性に優れる乾燥皮膜が得られるため、本発明のポリウレタン樹脂水性分散体は軟包装印刷用インクジェット用として用いることが好ましい。軟包装印刷とは、柔軟性のある材料で構成されている包装材への印刷のことであり、包装材としては、例えば、プラスチックフィルム及びアルミ箔等の薄く柔軟な材料が挙げられ、単体又は複数を貼り合せたものを使用してもよい。軟包装印刷された包装材は、例えば、袋として食品や医薬品等へ利用される。
ポリウレタン樹脂水性分散体を含有する印刷インク(L)は、ポリウレタン樹脂水性分散体以外に色材、保湿剤、浸透剤、水、及びその他の添加剤を含有する。
色材としては、染料及び顔料が挙げられる。
染料としては特に限定されないが、使用するメディアに応じて、反応染料、バット染料、ナフトール染料、硫化染料、直接染料、酸性染料、金属錯塩型染料、分散染料及びカチオン染料等を選択することができる。
顔料としては、無機顔料(例えば白色顔料、黒色顔料、灰色顔料、赤色顔料、茶色顔料、黄色顔料、緑色顔料、青色顔料、紫色顔料及びメタリック顔料)及び有機顔料(例えば天然有機顔料合成系有機顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、顔料色素型アゾ顔料、水溶性染料から作られるアゾレーキ、難溶性染料から作られるアゾレーキ、塩基性染料から作られるレーキ、酸性染料から作られるレーキ、キサンタンレーキ、アントラキノンレーキ、バット染料からの顔料及びフタロシアニン顔料)が挙げられる。
これら色材の内で好ましいのは顔料である。色材は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
色材の含有量は、印刷インク(L)の重量に基づいて好ましくは50重量%以下、更に好ましくは30重量%以下である。
保湿剤としては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタメチレングリコール、トリメチレングリコール、2-ブテン-1、4-ジオール、2-エチル-1、3-ヘキサンジオール、2-メチル-2、4-ペンタンジオール、トリプロピレングリコール、Mnが2,000以下のポリエチレングリコール、1、3-プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、グリセリン、メソエリスリトール、ペンタエリスリトール、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、及びN-エチル-2-ピロリドンが挙げられる。保湿剤は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
浸透剤としては、特に限定されないが、例えば、グリコールエーテル(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、1-メチル-1-メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル及びジプロピレングリコールモノブチルエーテル等)及び炭素数4~8の脂肪族ジオール(1,2-ペンタンジオール及び1,2-ヘキサンジオール等の1,2-アルキルジオール並びに1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール及び1,8-オクタンジオール等の直鎖アルコール)等の有機溶剤;アセチレングリコール系界面活性剤;アセチレンアルコール系界面活性剤;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等のエーテル系界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート及びポリオキシエチレンステアレート等のエステル系界面活性剤;ジメチルポリシロキサン等のシリコーン系界面活性剤;フッ素アルキルエステル及びパーフルオロアルキルカルボン酸塩等のフッ素系界面活性剤等の界面活性剤が挙げられる。浸透剤は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
水としては、特に限定されないが、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、及び蒸留水等の純水、並びに超純水のような、イオン性不純物を極力除去したものが挙げられる。また、紫外線照射又は過酸化水素の添加等によって滅菌した水を用いると、インクジェットインク組成物を長期保存する場合に細菌類や真菌類の発生を防止することができる。
その他添加剤としては、キレート剤、防腐剤及びpH調整剤等が挙げられる。キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)、エチレンジアミンのニトリロトリ酢酸塩、ヘキサメタリン酸塩、ピロリン酸塩、又はメタリン酸塩等が挙げられる。
防腐剤としては、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2-ピリジンチオール-1-オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム及び1,2―ジベンジンチアゾリン-3-オン等が挙げられる。
pH調製剤としては、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
印刷インク(L)を用いた印刷で使用する記録媒体としては、特に制限されないが、例えば、非浸透性の記録媒体と浸透性の記録媒体が挙げられる。
非浸透性の記録媒体としては、特に制限されないが、例えば、ポリカーボネート、硬質塩ビ、軟質塩ビ、ポリスチレン、発砲スチロール、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂媒体、ガラス、ステンレス等の金属媒体等が挙げられる。また、浸透性の記録媒体としては、特に制限されないが、例えば、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙等の紙媒体等が挙げられる。
この中でも、印刷インク(L)の記録媒体としては耐擦過性の観点から非浸透性の記録媒体が好ましく、より好ましくは樹脂記録媒体であり、樹脂記録媒体は軟包装印刷用に好適である。
なお、軟包装印刷とは、樹脂フィルム等の柔軟性のある記録媒体を単体もしくは貼り合せたものに印刷することであり、軟包装印刷された印刷物は、食品、生活用品等を包装する用途に使用される。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り「部」は重量部を示す。
<実施例1>
撹拌機及び加熱装置を備えた簡易加圧反応装置に多環脂肪族ジオールとしてトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカンジメタノール35.9部、カルボキシル基を有するポリオール成分として2,2-ジメチロールプロピオン酸4.5部、芳香族ポリイソシアネート成分として4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート37.4部、脂肪族イソシアネートとしてイソホロンジイソシアネート22.1部及び反応用有機溶剤としてのメチルエチルケトン54部を仕込み、70℃で12時間攪拌しウレタン化反応を行い、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P1)のメチルエチルケトン溶液を製造した。
次いで、得られたウレタンプレポリマー(P1)のメチルエチルケトン溶液に中和剤としてトリエチルアミン2.9部を加えて均一化した後、200rpmで撹拌しながら水性媒体としてのイオン交換水176部を加え、ポリウレタンプレポリマーを水に分散させた。得られた分散体を50℃に加熱して4時間攪拌して水とイソシアネート基の反応により形成されたアミノ基による鎖伸長反応を行い、更に減圧下60℃に加熱してメチルエチルケトンを留去した。その後、水を加えて固形分濃度を30重量%に調製することでポリウレタン樹脂水性分散体(Q-1)得た。使用する原料及び使用量を表1に示す。
<実施例2~12、比較例1及び比較例3>
使用する原料及び使用量を表1に記載のものに変更し、ポリウレタンプレポリマーを水に分散させた後に表1に記載の鎖伸長剤を加える以外は、実施例1と同様にして、ポリウレタン樹脂水性分散体(Q-2~Q-12、Q’-1、Q’-3)を得た。使用する原料及び使用量を表1に示す。
<比較例2>
撹拌機及び加熱装置を備えた簡易加圧反応装置にポリカーボネートジオールとしてETERNACOLL UH-200[宇部興産(株)製]19.0部、低分子ジオールとして1,4-ブタンジオール15.8部、カルボキシル基を有するポリオール成分としての2,2-ジメチロールプロピオン酸4.5部、芳香族ポリイソシアネート成分として4,4-ジフェニルメタンジイソシアナート60.6部及び反応用有機溶剤としてのメチルエチルケトン54部を仕込み、70℃で2時間攪拌しウレタン化反応をおこなった。しかし、反応物の有機溶剤への溶解性が乏しく、反応物が析出したため、水への分散を中止した。
表1における「ポリオール成分の平均分子量」は、ポリオール成分の数平均分子量を重量平均化した値である。
「芳香族イソシアネートの合計重量割合」は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との合計の重量を基準とした値(重量%)である。
「脂肪族イソシアネートの合計重量割合」は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との合計の重量を基準とした値(重量%)である。
「体積平均粒子径」は、ポリウレタン樹脂水性分散体の光散乱測定法による体積平均粒子径(Dv)の値(nm)である。
Figure 2022146167000001
<印刷インク(L-1)~(L-12)、(L’-1)及び(L’-3)の製造>
実施例1~12、比較例1及び3で得られたポリウレタン樹脂水性分散体(Q-1)~(Q-12)、(Q’-1)及び(Q’-3)2.7部、顔料[カーボンブラック水分散体{東海カーボン(株)製「Aqua-Black162」、固形分濃度20重量%}]2.5部、保湿剤としてグリセリン1.0部、トリエチレングリコール0.1部、浸透剤として1,2-ヘキサンジオール0.1部及び水3.6部を容器に仕込み、10分間混合して、印刷インク(L-1)~(L-12)、比較用の印刷インク(L’-1)及び(L’-3)を作製した。
印刷インク(L-1)~(L-12)、(L’-1)及び(L’-3)の通液性及び耐擦過性について以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
<印刷インクの通液性>
印刷インク100gを減圧ろ過法によりろ過してフィルターが閉塞するまでの通液量を測定した。全量通液した場合は通液量を100gとした。通液した量が多いほど印刷中にノズルを閉塞させることがなく、安定して印刷可能といえる。閉塞は主に粒子径の大きな粒子または分散安定性不足による顔料または樹脂粒子の凝集物により生じる。
フィルター:MF-Millipore社製 SMWP04700
ろ過圧力:50kPa
<印刷インク(L)の耐擦過性の評価方法>
ポリプロピレンフィルム(OPP)[東洋紡株式会社製「パイレンP-2161」(厚さ30μm)]およびポリエステルフィルム(PET)[東洋紡株式会社製「エスペットE-5102」(厚さ12μm)]に印刷インク(L-1)~(L-12)、(L’-1)及び(L’-3)を乾燥後の厚みが1μmになるようにそれぞれバーコーターで塗布し、90℃で10分間乾燥させ、各樹脂フィルム上にポリウレタン樹脂が塗工された試験片を作製した。
作製した試験片の印刷インクの乾燥膜面に対して学振型摩擦堅牢度試験機を用いた耐擦過試験を実施した。乾燥試験においては、60mm×60mmの綿布(カナキン3号)を取り付けた摩擦子で、荷重200gをかけて100往復擦った。また、湿潤試験では乾燥試験と同じ綿布を0.3gの水で湿らせてから取り付けた摩擦子で、荷重200gをかけて10往復擦った。試験後の画像の剥がれ具合を目視で判断し、印刷インクの耐擦過性を以下の基準で評価した。
◎:画像の残存率が70~100%
○:画像の残存率が50~69%
×:画像の残存率が50%未満
本発明のポリウレタン樹脂水性分散体は、インクジェットインク用のポリウレタン樹脂水性分散体であり、ポリカーボネート、硬質塩ビ、軟質塩ビ、ポリスチレン、発砲スチロール、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂媒体、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙等の紙媒体、ガラス、ステンレス等の金属媒体等の記録媒体を用いた印刷用のインク原料として有用である。とりわけ、ポリプロピレン(OPP)やポリエチレンテレフタレート(PET)などを記録媒体とする軟包装用に好適である。

Claims (7)

  1. ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させてなるポリウレタン樹脂(U)と水とを含有し、
    前記ポリウレタン樹脂(U)がカルボキシル基及び/又はカルボキシレートアニオン基を有するポリウレタン樹脂であり、
    前記ポリオール成分が多環脂肪族ジオールを含有するポリオール成分であり、
    前記ポリイソシアネート成分が芳香族イソシアネート及び脂肪族イソシアネートを含有するポリイソシアネート成分である、
    インクジェットインク用ポリウレタン樹脂水性分散体。
  2. 前記ポリオール成分の平均分子量が、数平均分子量で200以下である請求項1記載のポリウレタン樹脂水性分散体。
  3. 前記多環脂肪族ジオールが、トリシクロデカンジメタノールである請求項1または2に記載のポリウレタン樹脂水性分散体。
  4. 前記芳香族イソシアネートの合計重量割合が、前記ポリオール成分と前記ポリイソシアネート成分との合計重量を基準として25~60重量%である請求項1~3いずれか1項に記載のポリウレタン樹脂水性分散体。
  5. 前記芳香族イソシアネートが、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネートである請求項1~4いずれか1項に記載のポリウレタン樹脂水性分散体。
  6. 前記脂肪族イソシアネートの合計重量割合が、前記ポリオール成分と前記ポリイソシアネート成分との合計重量を基準として0.5~30重量%である請求項1~5のいずれか1項に記載のポリウレタン樹脂水性分散体。
  7. 光散乱測定法による体積平均粒子径が、10~120nmである請求項1~6のいずれか1項に記載のポリウレタン樹脂水性分散体。
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