JP2023149741A - 水性インクジェット用インク - Google Patents

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Abstract

【課題】吸収メディアに対して、インクジェット用インク単体で印刷すると充分な発色性が得られないという課題がある。【解決手段】本発明の一実施形態は、顔料水性分散体と、水と、水溶性有機溶剤とを含有する、水性インクジェット用インクであって、前記顔料水性分散体が、活性水素原子含有成分(A)と有機ポリイソシアネート成分(B)とを反応させてなるポリウレタン樹脂で分散された顔料と水性媒体とを含有し、前記活性水素原子含有成分(A)が、ポリカーボネートポリオール(a1)を含有し、前記有機ポリイソシアネート成分(B)が、直鎖又は分岐の脂肪族ポリイソシアネート(b1)、脂環式ポリイソシアネート(b2)及び芳香族ポリイソシアネート(b3)からなる群より選ばれる1種以上を含有し、前記顔料水性分散体を50℃、12時間乾燥させた被膜の160℃における弾性率G’が1~10MPaである、水性インクジェット用インクに関する。【選択図】なし

Description

本発明は、水性インクジェット用インクに関する。
インクジェット記録方法は、微細なノズルからインク組成物の小滴を吐出して、記録媒体に付着させて記録を行う方法である。この方法は、比較的安価な装置で高解像度かつ高品位な画像を、高速で記録できるという特徴を有する。インクジェット記録方法に用いられる記録媒体は、布帛等の吸収メディアへと展開され、多様化が進んでいる。
例えば、特許文献1には、布帛や、樹脂材料などの記録媒体に適用されるインクジェット記録方法として、少なくとも、顔料、定着樹脂、融点55℃以上200℃未満のワックスを含有する水性インクを吐出して記録媒体上に画像を形成するインクジェット記録方法において、該記録媒体を加熱しながら該水性インクを吐出して該記録媒体上に画像を形成するインクジェット記録方法であり、かつ、該記録媒体の加熱温度が該ワックスの融点より20℃~100℃低い温度であることを特徴とするインクジェット記録方法が記載されている。
特許文献2では、コピー用紙等の塗工層を持たない記録媒体に適用される方法として、水溶性脂肪族系有機酸、水溶性有機モノアミン化合物、水溶性有機溶剤及び水を含有する前処理液を記録媒体に塗布する前処理工程と、アニオン系分散剤又はノニオン系分散剤で分散された水性顔料分散体、水溶性有機溶剤、アニオン性アイオノマー型水性ウレタン樹脂、界面活性剤、浸透剤及び水を含有するインクジェット用インクに刺激を印加し飛翔させて画像を形成するインク飛翔工程と、を含む画像形成方法において、前記前処理液が、前記水溶性脂肪族系有機酸に含まれる酸基に対し、1モル当量以上の前記水溶性有機モノアミン化合物を含有することを特徴とする画像形成方法が記載されている。
特開2009-291976号公報 特開2012-91505号公報
布帛等の吸収メディアに対して高発色の印刷をするために、メディアに対して前処理液を塗布する、又は印刷時に加温ヒーターを併用することが一般的となっている。そのため、吸収メディアに対して、インクジェット用インク単体で印刷すると充分な発色性が得られないという課題がある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、顔料水性分散体を所定の測定条件において弾性率G’となるようにすることにより上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
本発明の一実施形態は、顔料水性分散体と、水と、水溶性有機溶剤とを含有する、水性インクジェット用インクであって、
前記顔料水性分散体が、活性水素原子含有成分(A)と有機ポリイソシアネート成分(B)とを反応させてなるポリウレタン樹脂で分散された顔料と水性媒体とを含有し、
前記活性水素原子含有成分(A)が、ポリカーボネートポリオール(a1)を含有し、
前記有機ポリイソシアネート成分(B)が、直鎖又は分岐の脂肪族ポリイソシアネート(b1)、脂環式ポリイソシアネート(b2)及び芳香族ポリイソシアネート(b3)からなる群より選ばれる1種以上を含有し、
前記顔料水性分散体を50℃、12時間乾燥させた被膜の160℃における弾性率G’が1~10MPaである、水性インクジェット用インクに関する。
本発明の一実施形態において、前記ポリカーボネートポリオール(a1)が、結晶性ポリカーボネートポリオ―ルであることが好ましい。
本発明の一実施形態において、前記ポリウレタン樹脂の酸価が、10~40mgKOH/gであることが好ましい。
本発明の一実施形態において、前記ポリウレタン樹脂のウレタン基の含有量が、1.1~2.3モル/kgであることが好ましい。
本発明の一実施形態において、前記水溶性有機溶剤が、標準沸点180℃以上の水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。
本発明の一実施形態において、界面活性剤を更に含有することが好ましい。
本発明の一実施形態において、前記界面活性剤が、ノニオン系界面活性剤を含有することが好ましい。
以下本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
本実施形態に係る水性インクジェット用インク(以下、単に「インク」ともいう)は、顔料水性分散体と、水と、水溶性有機溶剤とを含有する、水性インクジェット用インクであって、
前記顔料水性分散体が、活性水素原子含有成分(A)と有機ポリイソシアネート成分(B)とを反応させてなるポリウレタン樹脂で分散された顔料と水性媒体とを含有し、
前記活性水素原子含有成分(A)が、ポリカーボネートポリオール(a1)を含有し、
前記有機ポリイソシアネート成分(B)が、直鎖又は分岐の脂肪族ポリイソシアネート(b1)、脂環式ポリイソシアネート(b2)及び芳香族ポリイソシアネート(b3)からなる群より選ばれる1種以上を含有し、
前記顔料水性分散体を50℃、12時間乾燥させた被膜の160℃における弾性率G’が1~10MPaである。
以上の構成を有することで、吸収メディアに印刷したときであっても、優れた発色性を示すインクが得られる。
実施形態におけるポリウレタン樹脂に用いる活性水素原子含有成分(A)は、必須構成成分であるポリカーボネートポリオール(a1)を含有する。
ポリカーボネートジオール(a1)としては、数平均分子量(Mn)が300未満である低分子量2価アルコールと、低分子カーボネート化合物(例えば、アルキル基の炭素数1~10のジアルキルカーボネート、炭素数2~6のアルキレン基を有するアルキレンカーボネート及び炭素数6~9のアリール基を有するジアリールカーボネート)とを、脱アルコール反応させながら縮合させることによって製造されるポリカーボネートジオール等が挙げられる。低分子量2価アルコール及びアルキレンカーボネートはそれぞれ2種以上併用してもよい。上記低分子量2価アルコールは3価以上のアルコールを含有していてもよい。
ポリカーボネートジオールの具体例としては、脂肪族ポリカーボネートとしてポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリデカメチレンカーボネートジオール、ポリペンタメチレンカーボネートジオール、3-メチル-5-ペンタン-カーボネートジオール、ポリテトラメチレンカーボネートジオール及びポリ(テトラメチレン/ヘキサメチレン)カーボネートジオール(例えば1,4-ブタンジオールと1,6-ヘキサンジオールをジアルキルカーボネートと脱アルコール反応させながら縮合させて得られるジオール)等が挙げられる。脂環式ポリカーボネートジオールとしては、ポリシクロヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリノルボルネンカーボネートジオール等が挙げられる。芳香族ポリカーボネートとして、ポリ1,4-キシリレンカーボネートジオール、ビスフェノールA型ポリカーボネートジオール及びビスフェノールF型ポリカーボネートジオール等が挙げられる。
ポリカーボネートジオールの市販品としては、エタノコールUH-200[Mn=2,000のポリヘキサメチレンカーボネートジオール、宇部興産(株)製]、エタノコールUH-100[Mn=1,000のポリヘキサメチレンカーボネートジオール、宇部興産(株)製]、エタノコールUC-100[Mn=1,000のポリシクロヘキサメチレンカーボネートジオール、宇部興産(株)製]、ベネビオールNL2010DB[Mn=2,000のポリデカメチレンカーボネートジオール、三菱ケミカル(株)製]、デュラノールT5651[Mn=1,000のポリペンタメチレン、ヘキサメチレンカーボネートジオール、旭化成ケミカルズ(株)製]、デュラノールG4672[Mn=1,000のポリテトラメチレン、ヘキサメチレンカーボネートジオール、旭化成ケミカルズ(株)製]が挙げられる。
一態様において、本実施形態のポリカーボネートジオール(a1)は、結晶性ポリカーボネートポリオールであることが好ましい。
本実施形態において、結晶性とは、JIS K7121に記載の方法に則り、示差走査熱量計(DSC)を用いて試料の転移温度測定を行った場合に、吸熱ピークのピークトップ温度が存在することを意味する。
以下に吸熱ピークのピークトップ温度の測定条件を記載する。
示差走査熱量計(例えばTAインスツルメンツ社製、Q2000)を用いて測定する。試料を20℃から10℃/分の条件で150℃まで第一回目の昇温を行い、続いて150℃から10℃/分の条件で0℃まで冷却し、続いて0℃から10℃/分の条件で150℃まで第二回目の昇温をした際の第二回目の昇温過程の吸熱ピークのトップを示す温度を吸熱ピークのピークトップ温度とする。
ポリウレタン樹脂が、結晶性ポリカーボネートポリオールを含有するポリオール成分を構成単量体(構成単位)に含むことによって、力学的強度を向上させることができるため、耐擦過性を向上することができる。
結晶性ポリカーボネートポリオールとしては、飽和の低分子量脂肪族、もしくは脂環式2価アルコールと、低分子カーボネート化合物(例えば、アルキル基の炭素数1~10のジアルキルカーボネート、炭素数2~6のアルキレン基を有するアルキレンカーボネート及び炭素数6~9のアリール基を有するジアリールカーボネート)とを、脱アルコール反応させながら縮合させることによって製造されるポリカーボネートジオール等が挙げられる。低分子量2価アルコール及びアルキレンカーボネートはそれぞれ2種以上併用してもよいが、結晶性の観点から、アルコール原料1種の含有量が70~100重量%が好ましく、より好ましくは100重量%である。
結晶性ポリカーボネートジオールの具体例としては、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリデカメチレンカーボネートジオール、ポリシクロヘキサメチレンカーボネートジオール等が挙げられる。
活性水素原子含有成分(A)は、ポリカーボネートポリオール(a1)以外のポリオールを含有してもよい。ポリカーボネートポリオール(a1)以外のポリオールとしてポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、低分子量ポリオール、親水性基を有するポリオール等が挙げられる。ポリカーボネートポリオール(a1)以外のポリオールは、1種であってもよく、2種以上であってもよい。中でも、低分子量ポリオール、親水性基を有するポリオールが好ましい。
ポリエステルポリオールとしては、縮合型ポリエステルジオール、ポリラクトンジオール及びヒマシ油系ジオール等が挙げられる。
縮合型ポリエステルジオールは、数平均分子量(Mn)が300未満である2価アルコールと炭素数2~10のジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体とのポリエステルジオールである。
低分子量2価アルコールとしては、Mn300未満の2価の脂肪族2価アルコール及びMn300未満の2価のフェノールのアルキレンオキサイド(以下、AOと略記することがある)の低モル付加物が使用できる。
AOとしてはエチレンオキサイド(以下、EOと略称することがある)、プロピレンオキサイド(以下、POと略称することがある)1,2-、1,3-、2,3-又は1,4-ブチレンオキサイド等が挙げられる。
縮合型ポリエステルポリオールに使用できる低分子量2価アルコールの内好ましいのは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサングリコール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、ビスフェノールAのEO又はPO低モル付加物及びこれらの併用である。
縮合型ポリエステルジオールの構成成分として、3価以上のアルコール及び3価以上のカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体を含んでいてもよい。
縮合型ポリエステルジオールに使用できる炭素数2~10のジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体としては、脂肪族ジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、フマル酸及びマレイン酸等)、脂環式ジカルボン酸(ダイマー酸等)、芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸及びフタル酸等)、これらの無水物(無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸等)、これらの酸ハロゲン化物(アジピン酸ジクロライド等)、これらの低分子量アルキルエステル(コハク酸ジメチル及びフタル酸ジメチル等)並びこれらの併用が挙げられる。3価又はそれ以上のポリカルボン酸としてはトリメリット酸及びピロメリット酸等が挙げられる。
縮合型ポリエステルポリオールの具体例としては、ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンイソフタレートジオール、ポリヘキサメチレンテレフタレートジオール、ポリネオペンチルアジペートジオール、ポリエチレンプロピレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリブチレンヘキサメチレンアジペートジオール、ポリジエチレンアジペートジオール、ポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペートジオール、ポリ(3-メチルペンチレンアジペート)ジオール、ポリエチレンアゼレートジオール、ポリエチレンセバケートジオール、ポリブチレンアゼレートジオール、ポリブチレンセバケートジオール及びポリネオペンチルテレフタレートジオール等が挙げられる。
縮合型ポリエステルポリオールの市販品としては、サンエスター2610[Mn=1,000のポリエチレンアジペートジオール、三洋化成工業(株)製]、サンエスター4620[Mn=2,000のポリテトラメチレンアジペートジオール]、サンエスター26
20[Mn=2,000のポリエチレンアジペートジオール、三洋化成工業(株)製]、クラレポリオールP-2010[Mn=2,000のポリ-3-メチル-1,5-ペンタ
ンアジペートジオール]、クラレポリオールP-3010[Mn=3,000のポリ-3
-メチル-1,5-ペンタンアジペートジオール]、クラレポリオールP-6010[Mn=6,000のポリ-3-メチル-1,5-ペンタンアジペートジオール]、クラレポ
リオールP-2020[Mn=2,000のポリ-3-メチル-1,5-ペンタンテレフ
タレートジオール]、P-2030[Mn=2,000のポリ-3-メチル-1,5-ペ
ンタンイソフタレートジオール]等が挙げられる。
ポリラクトンジオールは、上記低分子量2価アルコールへのラクトンの重付加物であり、ラクトンとしては、炭素数4~12のラクトン(例えばγ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン及びε-カプロラクトン)等が挙げられる。
ポリラクトンポリオールの具体例としては、例えばポリカプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオール及びポリカプロラクトントリオール等が挙げられる。
ヒマシ油系ポリオールには、ヒマシ油、及びポリオール又はAOで変性された変性ヒマシ油が含まれる。変性ヒマシ油はヒマシ油とポリオールとのエステル交換及び/又はAO付加により製造できる。ヒマシ油系ポリオールとしては、ヒマシ油、トリメチロールプロパン変性ヒマシ油、ペンタエリスリトール変性ヒマシ油、ヒマシ油のEO(4~30モル)付加物等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、脂肪族ポリエーテルジオール及び芳香族環含有ポリエーテルジオールが挙げられる。
脂肪族ポリエーテルジオールとしては、例えばポリオキシエチレンポリオール[ポリエチレングリコール(以下、PEGと略記)等]、ポリオキシプロピレンポリオール[ポリプロピレングリコール等]、ポリオキシエチレン/プロピレンポリオール及びポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
脂肪族ポリエーテルジオールの市販品としては、PTMG1000[Mn=1,000のポリテトラメチレンエーテルグリコール、三菱化学(株)製]、PTMG2000[Mn=2,000のポリテトラメチレンエーテルグリコール、三菱化学(株)製]、PTMG3000[Mn=3,000のポリテトラメチレンエーテルグリコール、三菱化学(株)製]、PTGL3000[Mn=3,000の変性PTMG、保土谷化学工業(株)製]、及びサンニックスジオールGP-3000[Mn=3,000のポリプロピレンエーテルトリオール、三洋化成工業(株)製]等が挙げられる。
芳香族ポリエーテルジオールとしては、例えばビスフェノールAのEO付加物[ビスフェノールAのEO2モル付加物、ビスフェノールAのEO4モル付加物、ビスフェノールAのEO6モル付加物、ビスフェノールAのEO8モル付加物、ビスフェノールAのEO10モル付加物及びビスフェノールAのEO20モル付加物等]及びビスフェノールAのPO付加物[ビスフェノールAのPO2モル付加物、ビスフェノールAのPO3モル付加物、ビスフェノールAのPO5モル付加物等]等のビスフェノール骨格を有するポリオール並びにレゾルシンのEO又はPO付加物等が挙げられる。
低分子量ポリオールとして、低分子量ジオールが好ましい。低分子量ジオールとして、上記の炭素数2~20の飽和脂肪族ジオールが挙げられ、好ましくは炭素数4~10の直鎖ジオールであり、より好ましくは、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオールであり、更に好ましくは、1,4-ブタンジオールである。低分子量ポリオールを使用すると、ポリウレタン樹脂中のハードセグメント(ウレタン結合部位)同士の凝集力が向上するため、飽和吸水量、機械強度が向上し、耐擦過性(特に湿摩擦堅牢度)に優れるため好ましい。活性水素原子含有成分(A)が低分子量ポリオールを含有する場合、低分子量ポリオ―ルは、活性水素原子含有成分(A)及び有機ポリイソシアネート成分(B)の合計重量に対して、0.1~4.5重量%が好ましく、0.3~2重量%がより好ましい。
親水性基を有するポリオールにおける親水性基とは、カルボキシル基、カルボキシレートアニオン基、スルホ基及びスホナト基を意味する。親水性基を有するポリオールは、これらの親水性基のいずれか1種を有するものであればよく、2種以上を有していてもよい。親水性基は、好ましくは、カルボキシル基及び/又はカルボキシレートアニオン基である。親水性基を有するポリオールとして、親水性基を有するジオールが好ましい。
親水性基を有するポリオールとしては、例えばカルボキシル基を有し、炭素数が2~10のジオール[ジアルキロールアルカン酸(例えば2,2-ジメチロールプロピオン酸、2,2-ジメチロールブタン酸、2,2-ジメチロールヘプタン酸及び2,2-ジメチロールオクタン酸)、酒石酸等]、スルホ基を有する炭素数が2~16の化合物[3-(2,3-ジヒドロキシプロポキシ)-1-プロパンスルホン酸等]、スルファミン酸基を有する炭素数が2~10の化合物[N,N-ビス(2-ヒドロキシルエチル)スルファミン酸等]等並びにこれらの化合物を後述の中和剤で中和した塩が挙げられる。これらの内で好ましいのは、カルボキシル基及び/又はカルボキシレートアニオン基を有するジオール及びこれらを中和剤で中和した塩であり、より好ましいものは2,2-ジメチロールプロピオン酸、2,2-ジメチロールブタン酸及びこれらを中和剤で中和した塩であり、更に好ましいものは2,2-ジメチロールプロピオン酸及びこれを中和剤で中和した塩である。親水性基を有するポリオールは、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記親水性基を有する活性水素原子含有成分(A)の中和に用いられる中和剤としては、例えばアンモニア、炭素数1~20のアミン化合物及びアルカリ金属(ナトリウム、カリウム及びリチウム等)の水酸化物が挙げられる。
炭素数1~20のアミン化合物としては、モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノブチルアミン、モノエタノールアミン及び2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等の1級アミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジエタノールアミン及びN-メチルジエタノールアミン等の2級アミン;並びにトリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエチルアミン及びトリエタノールアミン等の3級アミンが挙げられる。
これらの内、顔料水性分散体乾燥被膜の飽和吸水率の観点から好ましいものは、炭素数1~20のアミン化合物であり、より好ましいものはトリエチルアミンである。
これらの内、顔料水性分散体の初期分散性の観点から好ましいものは、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム及びリチウム等)の水酸化物であり、より好ましいのは水酸化カリウムである。
一態様において、親水性基を有する活性水素原子含有成分(A)を含むことが好ましい。ポリウレタン樹脂が親水性基を有するポリオールを構成単量体に含むと、顔料水性分散体が小粒子径かつ、粒度分布がシャープな水分散体となるため好ましい。
親水性基を有する活性水素原子含有成分(A)の重量割合は、ポリウレタン樹脂の初期分散性、保存安定性の観点から、活性水素原子含有成分(A)及び有機ポリイソシアネート成分(B)の合計重量に対して、好ましくは2.5~9.0重量%であり、より好ましくは4.0~6.0重量%である。
ポリウレタン樹脂に用いる有機ポリイソシアネート成分(B)は、必須構成成分である直鎖又は分岐の脂肪族ポリイソシアネート(b1)、脂環式ポリイソシアネート(b2)及び芳香族ポリイソシアネート(b3)からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含有する。炭素数8~15の芳香脂肪族ポリイソシアネート及びこれらのポリイソシアネートの誘導体(例えばイソシアヌレート化物)が挙げられる。
ポリイソシアネート成分は、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
直鎖又は分岐の脂肪族ポリイソシアネート(b1)としては、例えば、炭素数2~18の直鎖又は分岐の脂肪族ポリイソシアネート(エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2-イソシアナトエチル-2,6-ジイソシアナトヘキサノエート)等が挙げられる。
脂環式ポリイソシアネート(b2)としては、例えば炭素数4~15の脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン-4,4-ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2-イソシアナトエチル)-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボキシレート、2,5-又は2,6-ノルボルナンジイソシアネート)等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネート(b3)としては、例えば炭素数6~20の芳香族ポリイソシアネート(1,3-又は1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-又は2,6-トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’-又は2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4’’-トリフェニルメタントリイソシアネート、m-又はp-イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート、クルードMDI)等が挙げられる。
ポリウレタン樹脂に用いる有機ポリイソシアネート成分(B)は、必須構成成分である直鎖又は分岐の脂肪族ポリイソシアネート(b1)、脂環式ポリイソシアネート(b2)及び芳香族ポリイソシアネート(b3)からなる群より選ばれる1種以上の化合物以外の有機ポリイソシアネート成分を含有してもよい。前記化合物以外の有機ポリイソシアネート成分としては、芳香脂肪族ポリイソシアネート(b4)及び(b1)~(b4)の誘導体(例えばイソシアヌレート化物)が挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば炭素数8~15の芳香脂肪族ポリイソシアネート(m-又はp-キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI))などが挙げられる。
顔料水性分散体の初期分散性、力学的強度の観点から、有機ポリイソシアネート成分(B)は、直鎖又は分岐の脂肪族ポリイソシアネート(b1)、脂環式ポリイソシアネート(b2)が好ましく、脂環式ポリイソシアネート(b2)がより好ましく、IPDI及び水添MDIが更に好ましい。
有機ポリイソシアネート成分(B)に含まれるイソシアネート基と、活性水素原子含有成分(A)に含まれる水酸基との当量比(NCO/OH)は、ポリウレタン樹脂の組成分布の均一化、力学的強度の観点から1.2~1.8が好ましく、1.3~1.6がさらに好ましい。
ポリウレタン樹脂は、上記の活性水素原子含有成分(A)と有機ポリイソシアネート成分(B)を必須の構成単量体(構成単位)とするが、活性水素原子含有成分(A)と有機ポリイソシアネート成分(B)以外の化合物を構成単量体に含んでいてもよい。活性水素原子含有成分(A)と有機ポリイソシアネート成分(B)以外の構成単量体として、例えば、鎖伸長剤、反応停止剤等が挙げられる。これらを1種使用してもよく、2種以上を併用してもよい。一態様においては、ポリウレタン樹脂は、上記の活性水素原子含有成分(A)と有機ポリイソシアネート成分(B)とを反応させてなるイソシアネート基を末端に有するウレタンプレポリマーと、鎖伸長剤との反応物であることが好ましい。
ポリウレタン樹脂には、鎖伸長剤を使用することが好ましい。鎖伸長剤としては、水、炭素数2~10のジアミン類(例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、トルエンジアミン及びピペラジン)、炭素数2~10のポリアルキレンポリアミン類(例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン及びテトラエチレンペンタミン)、ヒドラジン又はその誘導体(二塩基酸ジヒドラジド、例えば、アジピン酸ジヒドラジド等)、炭素数2~30のポリエポキシ化合物(例えば、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル等)及び炭素数2~10のアミノアルコール類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノール及びトリエタノールアミン)等が挙げられる。鎖伸長剤として、炭素数2~10のジアミン類が好ましく、2級のジアミン類がより好ましく、イソホロンジアミンが更に好ましい。ポリウレタン樹脂が、上記化合物を構成単量体に含むと、ウレタン基部分の凝集力が向上し、水に対する膨潤度を低下できるため優れた湿摩擦堅牢性を発現する。また、ジアミン類を使用すると、アミンによる伸長反応によって炭酸ガスの発生が抑制され、炭酸アミン塩の生成量が低下するため保存安定性が向上するため好ましい。
鎖伸長剤の使用量は、ウレタンプレポリマー末端のイソシアネート基に対する鎖伸長剤の活性水素含有基の当量の比率が、0.1~2.0となる範囲が好ましく、より好ましくは0.5~1.5となる範囲である。
ポリウレタン樹脂には、必要により反応停止剤を使用することができる。反応停止剤としては、炭素数1~8のモノアルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、セロソルブ類及びカルビトール類等)、炭素数1~10のモノアミン類(モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン及びモノオクチルアミン等のモノ又はジアルキルアミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びジイソプロパノールアミン等のモノ又はジアルカノールアミン等)が挙げられる。
本実施形態の顔料水性分散体を50℃、12時間乾燥させた被膜の160℃における弾性率G’は1~10MPaである。より好ましくは2~5MPaである。この範囲にあることで、力学的強度の向上による摩擦堅牢度の向上と、加熱乾燥後における顔料水性分散体の形状が均一な塗膜形成をすることで塗膜内部の顔料粒子の分散状態が均一となり、発色性が向上する。
1MPa未満であると、ポリウレタン樹脂の力学的強度が不足し、顔料水性分散体を用いたインク印刷物の摩擦堅牢度が低下する。10MPaを超えると、加熱乾燥後における顔料水性分散体の形状が不均一となり、塗膜内部の顔料が局在化するため印刷物の発色性が低下する。
顔料水性分散体を50℃、12時間乾燥させた被膜の160℃における弾性率G’は、ポリウレタン樹脂の分子量、並びに後述するポリウレタン樹脂のウレタン基含有量によって決めることができる。
ポリウレタン樹脂の分子量は前述の鎖伸長剤の使用量によって任意に制御ができる。摩擦堅牢度を決定する力学的強度の観点から、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)における、ポリスチレン樹脂を基準とした重量平均分子量が3万~12万であることが望ましく、より好ましくは8万~11万である。GPCにおける重量平均分子量が3万未満であると、ポリウレタン樹脂の力学的強度が不足し、顔料水性分散体を用いたインク印刷物の摩擦堅牢度が低下する。GPCにおける重量平均分子量が、ポリウレタン樹脂が測定溶媒に溶解せず測定不可の場合、160℃における弾性率G’が10MPaを超えるため、加熱乾燥後における顔料水性分散体の形状が不均一となり、塗膜内部の顔料が局在化するため印刷物の発色性が低下する。
一態様において、ポリウレタン樹脂の酸価は10~40mgKOH/gであることが好ましい。より好ましくは15~35mgKOH/g、さらに好ましくは19~31mgKOH/gである。10mgKOH/g未満であると、顔料水性分散体粒子が粗大化し、初期分散性が悪化する。40mgKOH/gを超えると水溶性成分が増加による顔料水性分散体の粘度が増加し、初期分散性が悪化する。
樹脂の酸価はJIS K0070(1992年版)に規定の方法により測定することができる。
一態様において、ポリウレタン樹脂のウレタン基の含有量が1.1~2.3モル/kgであることが好ましい。より好ましくは1.4~1.8モル/kgである。1.1モル/Kg未満であると、ポリウレタン樹脂の力学的強度が不足し、顔料水性分散体を用いたインク印刷物の摩擦堅牢度が低下する。2.3モル/Kgを超えると、摩擦堅牢度を満たす分子量にした際、160℃の貯蔵弾性率が増加し、印刷物の発色性が低下する。
本実施形態のポリウレタン樹脂を製造する方法としては、例えば、以下の[1]~[3]の方法等が挙げられる。
[1]ポリオール成分と有機ポリイソシアネート成分とを、親水性溶剤の存在下又は非存在下で一段又は多段で反応させて、イソシアネート基を末端に有するポリウレタン樹脂を製造する方法。
[2]ポリオール成分と有機ポリイソシアネート成分とを、親水性溶剤の存在下又は非存在下で一段又は多段で反応させて、イソシアネート基を末端に有するポリウレタン樹脂を製造し、次いで鎖伸長剤及び/又は反応停止剤とポリウレタン樹脂中のイソシアネート基とを反応させる方法。
[3]ポリオール成分と有機ポリイソシアネート成分とを、親水性溶剤の存在下又は非存在下で一段又は多段で反応させてイソシアネート基を末端に有するポリウレタン樹脂を製造し、次いで必要によりポリウレタン樹脂中のカルボキシル基を中和剤により塩として水性媒体に分散させて、鎖伸長剤及び/又は反応停止剤とポリウレタン樹脂中のイソシアネート基とを反応させた後に、必要により親水性溶剤を留去する方法。
上記[1]~[3]の方法で製造したポリウレタン樹脂は、顔料水性分散体の製造で用いることができる。これらの内、顔料水性分散体の保存安定性の観点から[1]、[2]の方法がより好ましい。
前述[3]のポリウレタン樹脂の製造に使用される親水性溶剤としては、NCO基と実質的に非反応性のもの(アセトン、エチルメチルケトンなどのケトン類、エステル類、エーテル類、アミド類、アルコール類)が挙げられる。これらのうち好ましいものは、テトラヒドロフランである。水性媒体は、水のみであってよいが、水及び親水性溶剤の混合液を使用することもできる。親水性溶剤と水との重量比(親水性溶剤/水)は、0/100~50/50が好ましく、35/65~45/55がより好ましい。
親水性溶剤を使用した場合には、ポリウレタン樹脂製造後に必要によりこれを留去してもよい。
親水性基を有する活性水素原子含有成分(A)を使用する場合、当該化合物は、ポリウレタン樹脂の製造前、製造中又は製造後に中和剤を用いて中和することができる。中和により、乳化時の顔料水性分散体の分散安定性が良好になる。
イソシアネート基を末端に有するポリウレタン樹脂の形成は、好ましくは20℃~150℃、より好ましくは60℃~110℃の反応で行われ、反応時間は、好ましくは2~20時間である。
イソシアネート基を末端に有するポリウレタン樹脂の形成は、NCO基と実質的に非反応性の有機溶剤の存在下又は非存在下で行うことができる。イソシアネート基を末端に有するポリウレタン樹脂は、通常、0.5~10%の遊離NCO基含量を有する。NCO基と実質的に非反応性の有機溶媒として、上記の親水性溶媒が挙げられ、好ましいのはテトラヒドロフランである。
上記のイソシアネート基を末端に有するポリウレタン樹脂の製造においては、反応を促進させるため、必要により通常のウレタン反応に使用される触媒を使用してもよい。触媒には、アミン触媒、例えばトリエチルアミン、N-エチルモルホリン、トリエチレンジアミン及び米国特許第4524104号明細書に記載のシクロアミジン類[1,8-ジアザ-ビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7(サンアプロ製、DBU)など];錫系触媒、例えばジブチル錫ジラウリレート、ジオクチル錫ジラウリレート及びオクチル酸錫;チタン系触媒、例えばテトラブチルチタネートが挙げられる。
ポリウレタン樹脂イソシアネート基含量はJIS K1603-1に規定の方法により測定することができる。本実施形態の実施例では、溶剤溶液のイソシアネート基含有量(NCO重量%)を用いた。
ポリウレタン樹脂の重量に基づくウレア基の含有割合は、好ましくは0.01~0.2重量%、より好ましくは0.05~0.1重量%である。ポリウレタン樹脂(U)の重量に基づくウレア基の含有割合が0.01~0.2重量%(好ましくは0.05~0.1重量%)であると、ポリウレタン樹脂中のウレア基含量が適切であり、力学的強度と水分散体の粘度の両立可能であるため好ましい。
本実施形態における顔料としては、従来公知の有機及び無機顔料(例えば白色顔料、黒色顔料、灰色顔料、赤色顔料、茶色顔料、黄色顔料、緑色顔料、青色顔料、紫色顔料及びメタリック顔料、天然有機顔料合成系有機顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、顔料色素型アゾ顔料、水溶性染料からつくるアゾレーキ、難溶性染料からつくるアゾレーキ、塩基性染料からつくるレーキ、酸性染料からつくるレーキ、キサンタンレーキ、アントラキノンレーキ、バット染料からの顔料及びフタロシアニン顔料、昼光蛍光等の有機顔料)等が挙げられる。
具体的な有機及び無機顔料を以下に例示する。
白色顔料としては、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、酸化アンチモン、酸化ジルコニウムなどの無機顔料が挙げられる。無機顔料以外に、中空樹脂微粒子や、高分子微粒子を使用することもできる。
顔料の平均粒径は200~300nmであることが好ましい。顔料の平均粒径が200nm未満の場合は隠蔽力が不充分となる傾向がみられ、300nmを超える場合は吐出安定性が不充分となる傾向にある。
なかでも、隠蔽力の観点から、酸化チタンを使用することが好ましい。酸化チタンの平均粒径も、同様に200~300nmであることが好ましい。
マゼンタ用の顔料としては、特に限定されないが、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
イエロー用の顔料としては、特に限定されないが、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー155、ピグメントイエロー180等が挙げられる。
シアン用の顔料としては、特に限定されないが、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
黒色用顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)などの金属類、酸化チタン等の金属化合物類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料などが挙げられる。
本実施形態における顔料水性分散体の、顔料とポリウレタン樹脂の合計重量は保存安定性の観点から10~40重量%が好ましく、20~30重量%がさらに好ましい。
本実施形態における顔料水性分散体の、顔料とポリウレタン樹脂の比率は初期分散性、摩擦堅牢度の観点から顔料:ポリウレタン樹脂が60:40~40:60が望ましい。
顔料水性分散体においては、通常、顔料とポリウレタン樹脂からなる粒子が水中に分散している。顔料水性分散体における粒子の粒子径は、貯蔵安定性及び粘度の観点から、カラー顔料では、好ましくは100~200nm、より好ましくは120~180nmである。白色顔料では、好ましくは200~400nm、より好ましくは220~300nmである。本実施形態において、粒子径は、キュムラント平均径を意味する。粒子径は光散乱粒度分布測定装置[例えば、大塚電子(株)製「DLS-8000」]で測定し、求めることができる。
顔料水性分散体の製造方法としては、従来公知のすべての方法を用いることが可能である。従来公知の方法として、顔料分散体表面にモノマーを吸着、重合させる表面重合法、樹脂溶液中で顔料を分散させ、樹脂に対しての貧溶媒を添加させ、顔料表面に樹脂を堆積させる表面堆積法、顔料と樹脂を溶融混練しマスターバッチ化、湿式で微細化する混練微細化法、高圧流体を用いた樹脂溶液の顔料凝集体への浸透と、大気圧下に放出したときの膨張エネルギーで微細化と被覆を同時に達成する方法、顔料と樹脂水性分散体を湿式で微細化し、機械エネルギーで分散させる方法、水に対して自己分散性を持つ樹脂溶液と顔料を湿式で微細化し、前記溶剤相に水を投入することで顔料水性分散体を得る転相乳化法があげられる。
これらの内、本実施形態の顔料水性分散体を製造するのに適しているのは、初期分散性、保存安定性の観点から顔料と樹脂水性分散体を湿式で微細化し、機械エネルギーで分散させる方法と、転相乳化法である。
-顔料水性分散体の製造方法-
本実施形態の顔料水性分散体は、例えば以下の[A]~[C]の製造方法等が挙げられる。
[A]上述の[1]の方法に記載のイソシアネート基末端を有するポリウレタン樹脂溶液中に顔料を添加し、混合、均一化をする。混合、均一化に用いる装置は、上記ポリウレタン樹脂を合成する装置をそのまま用いることができる。次いで上記顔料を含む溶剤溶液を機械的解砕によって微細化する。微細化の際に用いる分散機としては、例えば、ペイントシェーカーや、ボールミル、サンドミル、ナノミルを列挙することができる。具体的には、ダイノーミル(シンマルエンタープライズ製)、TSU-6U(アイメックス製)などである。微細化後にカルボキシル基を中和剤により塩として水性媒体に分散させて、鎖伸長剤及び/又は反応停止剤とポリウレタン樹脂中のイソシアネート基とを反応させた後に、必要により親水性溶剤を留去する方法。
[B]上述の[2]の方法に記載のポリウレタン樹脂溶液中に顔料を添加し、混合、均一化をする。混合、均一化に用いる装置は、上記ポリウレタン樹脂を合成する装置をそのまま用いることができる。次いで上記顔料を含む溶剤溶液を機械的解砕によって微細化する。微細化の際に用いる分散機としては、例えば、ダイノーミル(シンマルエンタープライズ製)、TSU-6U(アイメックス製)などである。微細化後にカルボキシル基を中和剤により塩として水性媒体に分散させて、必要により親水性溶剤を留去する方法。
[C]上述の[3]の方法に記載のポリウレタン樹脂分散液に顔料を添加し、混合、均一化をする。混合、均一化に用いる装置は、上記ポリウレタン樹脂を合成する装置をそのまま用いることができる。次いで上記顔料を含む水性分散液を機械的解砕によって微細化する方法。微細化の際に用いる分散機としては、例えば、ダイノーミル(シンマルエンタープライズ製)、TSU-6U(アイメックス製)などである。
顔料水性分散体の製造において、乳化分散させるための装置は特に限定されず、例えば下記の方式の乳化機が挙げられる。
1)錨型撹拌方式、2)回転子-固定子式方式[例えば「エバラマイルダー」(荏原製作所製)]、3)ラインミル方式[例えばラインフローミキサー]、4)静止管混合式[例えばスタティックミキサー]、5)振動式[例えば「VIBROMIXER」(冷化工業社製)]、6)超音波衝撃式[例えば超音波ホモジナイザー]、7)高圧衝撃式[例えばガウリンホモジナイザー(ガウリン社)]、8)乳化式[例えば膜乳化モジュール]及び9)遠心薄膜接触式[例えばフィルミックス]。これらのうち、好ましいのは、錨型撹拌方式である。
顔料水性分散体は、必要により界面活性剤、架橋剤、耐候安定化剤、平滑剤等の添加剤を含有することができる。添加剤は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。添加剤の使用量は、顔料とポリウレタン樹脂の合計重量に基づいて好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下である。
一態様において、本実施形態の顔料水性分散体は、界面活性剤を含むことが好ましい。本実施形態の顔料水性分散体が界面活性剤を含むと、顔料水性分散体の加熱後の保存安定性、乾摩擦堅牢度がより良好となる。界面活性剤は、ポリウレタン樹脂水性分散体を製造する際に添加することが好ましい。
顔料水性分散体を製造する際に界面活性剤を使用する場合、界面活性剤は、製造におけるいずれの時期に添加してもよい。一態様においては、顔料の分散性及び水性分散体の安定性の観点から、顔料をポリウレタン樹脂に分散させる前又は分散させる際に添加することが好ましい。界面活性剤は、ポリウレタン樹脂の溶剤溶液、水性媒体のいずれか一方に加えても、双方に加えてもよい。界面活性剤がウレタンプレポリマーと反応性の場合には水性媒体に加えるのが好ましい。界面活性剤の添加量は、顔料の重量に基づいて、好ましくは0.2~10重量%、より好ましくは0.3~6重量%である。
界面活性剤として、ノニオン系界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤は、1種を使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中で、ノニオン系界面活性剤が好ましい。
ノニオン系界面活性剤として、脂肪族系アルコール(炭素数8~24)AO(炭素数2~8)付加物(重合度=1~100)、多価アルコール(炭素数3~18)AO(炭素数2~8)付加物(重合度=1~100)、(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2~8、重合度=1~100)高級脂肪酸(炭素数8~24)エステル[例えば、モノオレイン酸ポリエチレングリコールエステル(HLB=6~17)、モノステアリン酸ポリエチレングリコールエステル(HLB=8~15)、ジステアリン酸ポリエチレングリコールエステル(HLB=8~14)等のモノ又はジ脂肪酸ポリエチレングリコールエステル]、多価(2価~10価又はそれ以上)アルコール脂肪酸(炭素数8~24)エステル[モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸エチレングリコール、脂肪酸ソルビタンエステル(モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン)等]、(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2~8、重合度=1~100)多価(2価~10価又はそれ以上)アルコール高級脂肪酸(炭素数8~24)エステル[モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(HLB=10~16)、ポリオキシエチレンジオレイン酸メチルグルコシド(HLB=17)等]、脂肪酸アルカノールアミド[1:1型ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、1:1型ラウリン酸ジエタノールアミド等]、(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2~8、重合度=1~100)アルキル(炭素数1~22)フェニルエーテル、(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2~8、重合度=1~100)アルキル(炭素数8~24)アミノエーテル及びアルキル(炭素数8~24)ジアルキル(炭素数1~6)アミンオキシド[ラウリルジメチルアミンオキシド等]等が挙げられる。
中でも、脂肪族系アルコール(炭素数8~24)AO(炭素数2~8)付加物(HLB=5~18)、多価アルコール(炭素数3~18)AO(炭素数2~8)付加物(HLB=11~24)、モノオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸ポリエチレングリコールエステル(HLB=6~17)、モノステアリン酸ポリエチレングリコールエステル(HLB=8~15)、ジステアリン酸ポリエチレングリコールエステル(HLB=8~14)等のモノ又はジ脂肪酸ポリエチレングリコールエステルが好ましい。
一態様において、乾摩擦堅牢度、加熱下の安定性が優れることから、本実施形態の顔料水性分散体は、ノニオン系界面活性剤を含有することが好ましい。ノニオン系界面活性剤として、脂肪族系アルコール(炭素数8~24)AO(炭素数2~8)付加物(HLB=5~18)、多価アルコール(炭素数3~18)AO(炭素数2~8)付加物(HLB=11~24)、モノオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸ポリエチレングリコールエステル(HLB=6~17)が好ましい。
アニオン性界面活性剤として、例えば炭素数8~24の炭化水素基を有するエーテルカルボン酸又はその塩[ラウリルエーテル酢酸ナトリウム及び(ポリ)オキシエチレン(付加モル数1~100)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム等];炭素数8~24の炭化水素基を有する硫酸エステル又はエーテル硫酸エステル及びそれらの塩[ラウリル硫酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(付加モル数1~100)ラウリル硫酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(付加モル数1~100)ラウリル硫酸トリエタノールアミン及び(ポリ)オキシエチレン(付加モル数1~100)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸ナトリウム等];炭素数8~24の炭化水素基を有するスルホン酸塩[ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等];炭素数8~24の炭化水素基を1個又は2個有するスルホコハク酸塩;炭素数8~24の炭化水素基を有するリン酸エステル又はエーテルリン酸エステル及びそれらの塩[ラウリルリン酸ナトリウム及び(ポリ)オキシエチレン(付加モル数1~100)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム等];炭素数8~24の炭化水素基を有する脂肪酸塩[ラウリン酸ナトリウム及びラウリン酸トリエタノールアミン等];並びに炭素数8~24の炭化水素基を有するアシル化アミノ酸塩[ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシントリエタノールアミン、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸トリエタノールアミン、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム及びラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム等]が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば第4級アンモニウム塩型[塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム及びエチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム等]並びにアミン塩型[ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド乳酸塩、ジラウリルアミン塩酸塩及びオレイルアミン乳酸塩等]が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばベタイン型両性界面活性剤[ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン及びラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタインヒドロキシプロピルリン酸ナトリウム等]並びにアミノ酸型両性界面活性剤[β-ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等]が挙げられる。
その他の界面活性剤としては、例えばポリビニルアルコール、デンプン及びその誘導体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体並びにポリアクリル酸ソーダ等のカルボキシル基含有(共)重合体及び米国特許第5906704号明細書に記載のウレタン基又はエステル基を有する乳化分散剤[例えばポリラクトンポリオールとポリエーテルジオールをポリイソシアネートで連結させたもの]等が挙げられる。
顔料水性分散体が界面活性剤を含有する場合、その含有量は、ポリウレタン樹脂の重量に基づいて、好ましくは0.2~10重量%、より好ましくは0.3~6重量%である。
本実施形態の顔料水性分散体には、必要に応じて適宜選択したその他の成分を加えることができる。その例としては分散剤、浸透剤、pH調整剤、水分散性樹脂、防腐防黴剤、キレート試薬、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定化剤、などが挙げられる。
本実施形態の顔料水性分散体を用いて摩擦堅牢度と発色性に優れる水性インクジェット用インク組成物を得ることができる。
-水性インクジェット用インク-
本実施形態に係るインクは、本実施形態に係る顔料水性分散体と、水と、水溶性有機溶剤とを含有する。
本実施形態に係るインクにおける、顔料水性分散体の配合量は、インクの総量に対し、20~80重量%が好ましく、30~70重量%以上がより好ましく、40~60重量%以上がさらに好ましい。
本実施形態に係るインクにおける顔料とポリウレタン樹脂の合計重量は、保存安定性の観点から、インクの総量に対し、5~20重量%が好ましく、10~15重量%がさらに好ましい。
本実施形態に係るインクにおける水の重量は、インクの総量に対し、50~80重量%が好ましく、60~75重量%がさらに好ましい。
-水溶性有機溶剤-
本実施形態に係るインクは、インクの乾燥防止や、顔料の分散安定性向上などの目的で水溶性有機溶剤を含有させることができる。水溶性有機溶剤には特に制限はなく目的に応じて適宜選択できる。
水性有機溶剤は、インクジェット記録装置のノズルの保湿、及び粘度の最適化の観点から、標準沸点(以下、単に「bp」ともいう)180℃以上の水溶性溶剤(以下、「高沸点有機溶剤」ともいう。)を含有することが好ましい。
「標準沸点」とは、気圧0.101MPaにおける沸点を意味する。なお、高沸点有機溶剤は、1種であっても、2種以上であってもよい。
高沸点有機溶剤の含有量は、インクの総量に対し、好ましくは1~40重量%であり、より好ましくは5~30重量%であり、より好ましくは10~25重量%である。
前記水溶性有機溶剤としては多価アルコールが好ましい。このような多価アルコールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、前記水溶性有機溶剤Aとしては、例えば、プロピレングリコール(bp188℃)、1,2,3-ブタントリオール、1,2,4-ブタントリオール(bp190℃~191℃/24hPa)、グリセリン(bp290℃)、ジグリセリン(bp270℃/20hPa)、トリエチレングリコール(bp285℃)、テトラエチレングリコール(bp324~330℃)、ジエチレングリコール(bp245℃)、1,3-ブタンジオール(bp203℃~204℃)などが挙げられる。
インクには、前記水溶性有機溶剤以外に、必要に応じて、これらの水溶性有機溶剤の一部に代えて、又はこれらの水溶性有機溶剤に加えて、その他の水溶性有機溶剤又は固体湿潤剤を併用することができる。
前記水溶性有機溶剤又は固体湿潤剤としては、例えば、多価アルコール、多価アルコールアルキルエーテル類、多価アルコールアリールエーテル、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、その他の水溶性有機溶剤などが挙げられる。
前記多価アルコールとしては、例えば、ジプロピレングリコール(bp232℃)、1,5-ペンタンジオール(bp242℃)、3-メチル-1,3-ブタンジオール(bp203℃)、プロピレングリコール(bp187℃)、2-メチル-2,4-ペンタンジオール(bp197℃)、エチレングリコール(bp196℃~198℃)、トリプロピレングリコール(bp267℃)、ヘキシレングリコール(bp197℃)、ポリエチレングリコール(粘調液体~固体)、ポリプロピレングリコール(bp187℃)、1,6-ヘキサンジオール(bp253℃~260℃)、1,2-ヘキサンジオール(bp17℃)、1,2,6-ヘキサントリオール(bp178℃)、トリメチロールエタン(固体、mp199℃~201℃)、トリメチロールプロパン(固体、mp61℃)などが挙げられる。
前記多価アルコールアルキルエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル(bp135℃)、エチレングリコールモノブチルエーテル(bp171℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(bp194℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(bp231℃)、エチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル(bp229℃)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(bp132℃)などが挙げられる。
インク中の水溶性有機溶剤の含有量には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの総量に対し、1~50重量%が好ましく、10~30重量%がより好ましい。
-界面活性剤-
本実施形態に係るインクは、界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤を含有することで、インクの吐出性を向上させ、濡れ広がり性を改善し、画質(発色性)良好とすることができる。
界面活性剤として、ノニオン系界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びその他の乳化分散剤等が挙げられる。界面活性剤は、1種を使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中で、ノニオン系界面活性剤が好ましい。ノニオン系界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤の例示は、上述のとおりである。
界面活性剤は、ノニオン系界面活性剤を含有することが好ましい。インクはノニオン系界面活性剤を含有することで、吐出性、濡れ広がり性を改善し、画質(発色性)良好にすることができる。
界面活性剤は、HLB値5~12のアルキルエーテル型ノニオン系界面活性剤を含有することが好ましい。インクは当該界面活性剤を含有することで、吐出性、濡れ広がり性を改善し、画質(発色性)良好にすることができる。なお、本実施形態において、HLB値はグリフィン法により求められる値をいう。
界面活性剤の含有量は、インクの総量に対し、0.01~10重量%が好ましく、0.05~5重量%がより好ましく、0.1~3重量%がさらに好ましい。
本実施形態の顔料水性分散体を用いたインクの粘度は、25℃で3.0~10.0mPa・sが好ましく、3.5~6.0mPa・sがより好ましい。粘度は、コーンプレート粘度計を用いて、実施例に記載の条件で測定することができる。
本実施形態の顔料水性分散体を含有する水性インクジェット用インクは、例えば、印刷用塗工紙用、段ボール用、綿布帛用の水性インクジェット用インクとして好適に使用することができる。水性インクジェット用インクを使用する印刷の方法としては、特に限定されないが、家庭における印刷、業務における印刷、サイングラフィック用印刷、顔料捺染印刷等が挙げられる。好ましくは、顔料捺染印刷が挙げられる。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
-製造例1-
撹拌機及び加熱装置を備えた簡易加圧反応装置にポリカーボネートジオール[宇部興産(株)製エタノコールUH-200]67.1部、1,4-ブタンジオール0.5部、側鎖にカルボキシル基を有するポリオール成分としての2,2-ジメチロールプロピオン酸(DMPA)4.9部、ポリイソシアネート成分としてのジシクロヘキシルメタン-4,4-ジイソシアネート(MDI-H)27.5部及び反応用有機溶剤としてのテトラヒドロフラン100部を仕込み、70℃で12時間攪拌しウレタン化反応を行い、イソシアネート基を有するポリウレタン樹脂(P-1)の溶剤溶液を製造した。
-製造例2~7-
使用する原料と使用量を表1に記載のものに変更する以外は製造例1と同様にして、ポリウレタン樹脂(P-2)~(P-7)の溶剤溶液を得た。
-製造例8-
撹拌機を備えた容器に、製造例2で得られたポリウレタン樹脂(P-2)の溶剤溶液30部、中和剤としてのトリエチルアミン0.54部を加え均一化した後、200rpmで撹拌しながら水を83.8部加え、混合物を分散させた。得られた分散体に伸長剤であるイソホロンジアミン(IPDA)0.64部を撹拌下で加えて伸長反応を30分行い、減圧下に60℃で2時間かけてテトラヒドロフランを留去した。水を加えて固形分濃度を16.7重量%に調製することでポリウレタン樹脂(P-8)の分散液を得た。
-製造例9~11-
使用する原料と使用量を表1に記載のものに変更する以外は製造例1と同様にして、ポリウレタン樹脂(P-9)~(P-11)の溶剤溶液を得た。
-製造例12-
温度計、加熱冷却装置、撹拌機及び滴下ボンベを備えた耐圧反応容器に、ミリスチルアルコール57部及び水酸化カリウム0.08部を投入し、窒素置換後に密閉し140℃に昇温した。撹拌下、140℃で、圧力が0.5MPa以下になるように調整しながら、エチレンオキサイド43部を5時間かけて滴下後、同温度で3時間熟成し、ミリスチルアルコールのエチレンオキサイド4モル付加物(O-1)を得た。
-製造例13-
製造例12と同様の反応容器に、オレイルアルコール36部及び水酸化カリウム0.08部を投入し、窒素置換後に密閉し140℃に昇温した。撹拌下、140℃で、圧力が0.5MPa以下になるように調整しながら、エチレンオキサイド64部を5時間かけて滴下後、同温度で3時間熟成し、オレイルアルコールのエチレンオキサイド11モル付加物(O-2)を得た。
-製造例14-
製造例12と同様の反応容器に、ソルビトール15部及び水酸化カリウム0.08部を投入し、窒素置換後に密閉し140℃に昇温した。撹拌下、140℃で、圧力が0.5MPa以下になるように調整しながら、エチレンオキサイド85部を5時間かけて滴下後、同温度で3時間熟成し、ソルビトールのエチレンオキサイド24モル付加物(O-3)を得た。
-製造例15-
冷却管、温度計、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ソルビトール39部、オレイン酸61部及び溶剤としてキシレン50部を投入し、180℃で窒素気流下にて、生成する水を留去しながら3時間反応させた。酸価(mgKOH/g)が1未満になった時点で反応系を減圧にして、キシレンを除去しソルビトールとオレイン酸のエステル化物(O-4)を得た。
-製造例16-
冷却管、温度計、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ポリオキシエチレンモノメチルエーテル(シグマアルドリッチ製Mn=550)68部、オレイン酸32部及び溶剤としてキシレン50部を投入し、180℃で窒素気流下にて、生成する水を留去しながら3時間反応させた。酸価(mgKOH/g)が1未満になった時点で反応系を減圧にして、キシレンを除去しオレイン酸ポリエチレングリコールエステル(O-5)を得た。
-製造例17-
冷却管、温度計、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ポリオキシエチレンモノメチルエーテル(関東化学株式会社製ポリエチレングリコールモノメチルエーテル220、Mn=220)44部、オレイン酸56部及び溶剤としてキシレン50部を投入し、180℃で窒素気流下にて、生成する水を留去しながら3時間反応させた。酸価(mgKOH/g)が1未満になった時点で反応系を減圧にして、キシレンを除去しオレイン酸ポリエチレングリコールエステル(O-6)を得た。
<比較製造例1>
使用する原料と使用量を表1に記載のものに変更する以外は製造例1と同様にして、ポリウレタン樹脂(P’-1)の溶剤溶液を得た。
<比較製造例2>
冷却管、温度計、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ブタンジオール49.8部、アジピン酸69.7部及びジブチル錫オキサイド0.05部を投入し、200℃で窒素気流下にて、生成する水を留去しながら3時間反応させた。更に0.5~2.5kPaの減圧下にて、200℃で6時間反応させた。酸価(mgKOH/g)が1未満になった時点で反応槽から反応物を取り出し、水酸基価(mgKOH/g)が56.1のポリエステルポリオールを得た。
さらに、撹拌機及び加熱装置を備えた簡易加圧反応装置に上記ポリエステルポリオール100.0部、1,4-ブタンジオール4.2部、側鎖にカルボキシル基を有するポリオール成分としての2,2-ジメチロールプロピオン酸(DMPA)8.8部、ポリイソシアネート成分としてのトリレンジイソシアネート(TDI)28.1部及び反応用有機溶剤としてのアセトン94.1部を仕込み、70℃で12時間攪拌しウレタン化反応を行い、イソシアネート重量%が0.1重量%以下になったことを確認し、ノルマルブタノール0.4部を加え、さらに2時間反応させ、水酸基末端を有するウレタン樹脂の固形分濃度60質量%のアセトン溶液を製造した。
上記で得られたウレタン樹脂のアセトン溶液に中和剤としてのトリエチルアミン6.7部加え均一化した後、200rpmで撹拌しながら水を710部加え、混合物を分散させた。減圧下に60℃で2時間かけてアセトンを留去した。水を加えて固形分濃度を23重量%に調製することでポリウレタン樹脂(P’-2)の分散液を得た。
ポリウレタン樹脂の組成及び物性値を表1に示す。
-製造例Q-1-
顔料分散機(TSU-6U、アイメックス製)のベッセルに製造例1で作製したポリウレタン樹脂(P-1)の溶剤溶液30部、テトラヒドフラン27部を加え、樹脂が均一に溶解するまで攪拌させた。次にシアン顔料[BASF製Heliogen Blue D7088]10部、ガラスビーズ[ASGB-320、アズワン製]を140部加えた後、4℃の冷却水をジャケットに通水しながら3時間分散させた。
得られた分散スラリーに中和剤としてのトリエチルアミン0.54部を加え均一化した後、200rpmで撹拌しながら水を80部加え、混合物を分散させた。得られた分散体に伸長剤であるイソホロンジアミン(IPDA)0.64部を撹拌下で加えて伸長反応を30分行い、減圧下に60℃で2時間かけてテトラヒドロフランを留去、ガラスビーズをフィルター除去した。水を加えて固形分濃度を25重量%に調製することで顔料水性分散体(Q-1)を得た。
-製造例Q-2~Q-24-
使用する原料と使用量を表2に記載のものに変更する以外は製造例Q-1と同様にして、顔料水性分散体(Q-2)~(Q-24)を得た。
-製造例Q-25-
顔料分散機(TSU-6U、アイメックス製)のベッセルに製造例2で作製したポリウレタン樹脂(P-2)の溶剤溶液30部、テトラヒドフラン50部、製造例14で作製したオレイン酸ポリエチレングリコールエステル(O-6)を0.5部加え、樹脂が均一に溶解するまで攪拌させた。伸長剤であるイソホロンジアミン(IPDA)1.51部を撹拌下で加えて伸長反応を30分行い、次にシアン顔料[BASF製Heliogen Blue D7088]10部、ガラスビーズ[ASGB-320、アズワン製]を140部加えた後、4℃の冷却水をジャケットに通水しながら3時間分散させた。
得られた分散スラリーに中和剤としてのトリエチルアミン0.54部を加え均一化した後、200rpmで撹拌しながら水を80部加え、混合物を分散させ、減圧下に60℃で2時間かけてテトラヒドロフランを留去、ガラスビーズをフィルター除去した。水を加えて固形分濃度を25重量%に調製することで顔料水性分散体(Q-25)を得た。
-製造例Q-26-
顔料分散機(TSU-6U、アイメックス製)のベッセルに製造例8で作製したポリウレタン樹脂(P-8)の分散液90部、製造例17で作製したオレイン酸ポリエチレングリコールエステル(O-6)を0.5部、シアン顔料[BASF製Heliogen Blue D7088]10部、ガラスビーズ[ASGB-320、アズワン製]を140部加えた後、4℃の冷却水をジャケットに通水しながら3時間分散させた。次いでガラスビーズをフィルター除去し、水を加えて固形分濃度を25重量%に調製することで顔料水性分散体(Q-26)を得た。
-比較製造例Q-1~Q-5-
使用する原料と使用量を表2に記載のものに変更する以外は製造例Q-1と同様にして、顔料水性分散体(Q‘-1)~(Q’-5)を得た。
-比較製造例Q-6-
顔料分散機(TSU-6U、アイメックス製)のベッセルに比較製造例5で作製したポリウレタン樹脂(P’-2)の分散液19.6部、シアン顔料[BASF製Heliogen Blue D7088]15部、水を64.5部及びガラスビーズ[ASGB-320、アズワン製]を300部加えた後、4℃の冷却水をジャケットに通水しながら6時間分散させた。次いでガラスビーズをフィルター除去し、出力600Wで超音波ホモジナイザーを用いて、3時間細分化処理し、水を加えて固形分濃度を25重量%に調製することで顔料水性分散体(Q’-6)を得た。
各実施例及び比較例で得られた顔料水性分散体の配合部数、物性値及び評価結果を表2に示す。
-実施例1~29,比較例1~6-
各材料を下記の表3に示す組成で混合撹拌し、各インク(I-1)~(I-29)及び比較用インク(I’-1)~(I’-6)を得た。具体的には、各材料を均一に混合し、フィルターで不溶解物を除去することにより、各インクを調製した。
-評価方法-
以下に、得られた顔料水性分散体の測定方法と評価方法を説明する。
-乾燥被膜の作製方法-
製造例Q-1~Q-29又は比較製造例Q-1~Q-6で得られた顔料水性分散体(Q-1)~(Q-29)、(Q‘-1)~(Q’-6)8.5gをディスポトレーDT-2(アズワン社製)に注ぎ、液面を均一にならした後、50℃、12時間乾燥させて顔料水性分散体乾燥被膜(U-1)~(U-29)、(U’-1)~(U’-6)を得た。
-樹脂の分子量測定方法-
顔料水性分散体乾燥被膜(U-1)~(U-29)、(U’-1)~(U’-6)中の樹脂の分子量は以下の方法で測定した。
装置:「Waters Alliance 2695」[Waters社製]
カラム:「Guardcolumn Super H-L」(1本)、「TSKgel SuperH2000、TSKgel SuperH3000、TSKgel SuperH4000(いずれも東ソー株式会社製)を各1本連結したもの」
試料溶液:0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量:10μl
流量:0.6ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:ポリスチレン
分子量の測定は、0.25重量%になるように試料をテトラヒドロフランに溶解し、不溶解分をメンブレンフィルター「メルク製オムニポアメンブレンフィルター(親水性PTFE)JGWP02500(穴径0.2μm)」でろ別したものを試料溶液とした。
-貯蔵弾性率G’の測定方法-
顔料水性分散体乾燥被膜(U-1)~(U-29)、(U’-1)~(U’-6)の貯蔵弾性率G’は、下記粘弾性測定装置を用いて測定した。
装置 :MCR92(Anton Paar社製)
治具 :8mmパラレルプレート
周波数 :11Hz
歪み率 :0.5%
昇温速度:5℃/分
昇温開始:20℃
昇温終了:160℃
1cm×1cmに裁断したものを測定試料とした。
-初期分散性の評価-
初期分散性は上記で作製したインク中の顔料水性分散体の粒子径、インク粘度の測定結果から評価した。
カラー顔料(実施例中シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)を用いたインク中の顔料水性分散体の粒子径は以下の基準で評価した。
〇:キュムラント平均径が180nm以下
×:キュムラント平均径が180nmより上
白色顔料を用いたインク中の顔料水性分散体の粒子径は以下の基準で評価した。
〇:キュムラント平均径が300nm以下
×:キュムラント平均径が300nmより上
インク粘度は以下の基準で評価した。
〇:インク粘度が6.0mPa・s以下
×:インク粘度が6.0mPa・sより上
粒子径、粘度測定の結果から、インクの初期分散性は以下の基準で評価した。
〇:キュムラント平均径、インク粘度両方が〇
×:キュムラント平均径、インク粘度のいずれかもしくは両方が×
-インク中の顔料水性分散体の粒子径測定方法-
粒子径は光散乱粒度分布測定装置[大塚電子(株)製「ELSZ-1000」]で測定し、得られたキュムラント平均径を粒子径とした。
-インク粘度の測定方法-
インク(I-1)~(I-29)及び比較用インク(I’-1)~(I’-6)の粘度は下記測定装置及び条件を用いて測定した。
装置 :MCR102(Anton Paar社製)
治具 :75mmコーンプレート
せん断速度:1000 1/s
測定温度:20℃
-保存安定性の評価-
保存安定性は温度を60℃に設定した循風乾燥機にインクを5日間静置し、試験前後のインク中の顔料水性分散体の粒子径の変化率、並びにインク粘度の変化率から評価した。
変化率の算出方法は以下式に示す。
インク中の顔料水性分散体の粒子径変化率:(S2-S1)/S1×100(%)
インク粘度変化率:(V2-V1)/V1×100(%)
S1:試験前のインク中の顔料水性分散体の粒子径
S2:試験後のインク中の顔料水性分散体の粒子径
V1:試験前のインク粘度
V2:試験後のインク粘度
評価基準は以下の通り。
〇:粒子径、インク粘度変化率が両方とも10%以内
×:粒子径、インク粘度変化率のいずれか、もしくは両方が10%より上
-綿布帛での乾摩擦堅牢度(耐擦過性)評価方法:カラーインク-
綿ブロード無地[綿100質量%]にインク(I-1)~(I-13)、(I-15)~(I-23)、(I-25)~(I-29)及び比較用インク(I’-1)~(I’-6)をセイコーエプソン社製インクジェットプリンターPX-G930の改造機にて印刷し、160℃で10分間乾燥させ、綿ブロード無地上に顔料とポリウレタン樹脂が塗工された試験片(21cm×28cm)を作製した。
JIS L0849-2に準拠して乾摩擦堅牢度を評価した。荷重200gで100往復擦った。金巾3号側の移染濃度を分光測色計[エックスライト社製X-rite938]にて9点測定し、測定結果の平均値を移染濃度とした。移染濃度を、以下の基準で評価し、結果を表3に示した。移染濃度が低いほど、摩擦堅牢度に優れる。
◎:移染濃度0.10以下
〇:移染濃度が0.10より大きく0.15以下
△:移染濃度が0.15より大きく0.20以下
×:移染濃度が0.20より大きく0.30以下
移染濃度0.15以下は実用レベルである。
-綿布帛での乾摩擦堅牢度(耐擦過性)評価方法:ホワイトインク-
黒色綿ブロード無地[黒綿100質量%]にインク(I―14)、(I-24)をセイコーエプソン社製インクジェットプリンターPX-G930の改造機にて印刷し、160℃で10分間乾燥させ、綿ブロード無地上に顔料とポリウレタン樹脂が塗工された試験片(21cm×28cm)を作製した。
JIS L0849-2に準拠して乾摩擦堅牢度を評価した。荷重200gで100往復擦った。擦過前後の印捺表面を分光測色計[エックスライト社製X-rite938]にて9点測定し、擦過前後の測定結果の差分の平均値をΔL*とした。ΔL*を、以下の基準で評価し、結果を表3に示した。ΔL*が低いほど、摩擦堅牢度に優れる。
◎:ΔL*≦0.3
〇:0.3<ΔL*≦1.0
△:1.0<ΔL*≦5.0
×:5.0<ΔL*
-綿布帛での湿摩擦堅牢度(耐擦過性)評価方法:カラーインク-
綿ブロード無地[綿100質量%]にインク(I-1)~(I-13)、(I-15)~(I-23)、(I-25)~(I-29)及びインク(I‘-1)~(I’-6)をセイコーエプソン社製インクジェットプリンターPX-G930の改造機にて印刷し、160℃で10分間乾燥させ、綿ブロード無地上に顔料とポリウレタン樹脂が塗工された試験片(21cm×28cm)を作製した。
金巾3号側の移染濃度を分光測色計[エックスライト社製X-rite938]にて9点測定し、測定結果の平均値を移染濃度とした。移染濃度を、以下の基準で評価し、結果を表3に示した。移染濃度が低いほど、摩擦堅牢度に優れる。
◎:移染濃度0.20以下
〇:移染濃度が0.20より大きく0.25以下
△:移染濃度が0.25より大きく0.30以下
×:移染濃度が0.30より大きく0.40以下
移染濃度0.25以下は実用レベルである。
-綿布帛での湿摩擦堅牢度(耐擦過性)評価方法:ホワイトインク-
黒色綿ブロード無地[黒綿100質量%]にインク(I-14)、(I-24)をセイコーエプソン社製インクジェットプリンターPX-G930の改造機にて印刷し、160℃で10分間乾燥させ、綿ブロード無地上に顔料とポリウレタン樹脂が塗工された試験片(21cm×28cm)を作製した。
擦過前後の印捺表面を分光測色計[エックスライト社製X-rite938]にて9点測定し、擦過前後の測定結果の差分の平均値をΔL*とした。ΔL*を、以下の基準で評価し、結果を表3に示した。ΔL*が低いほど、摩擦堅牢度に優れる。
◎:ΔL*≦0.3
〇:0.3<ΔL*≦1.0
△:1.0<ΔL*≦5.0
×:5.0<ΔL*
-綿布帛での発色性評価方法:カラーインク-
綿ブロード無地[綿100質量%]にインク(I-1)~(I-13)、(I-15)~(I-23)、(I-25)~(I-29)及びインク(I‘-1)~(I’-6)をセイコーエプソン社製インクジェットプリンターPX-G930の改造機にて印刷し、160℃で10分間乾燥させ、綿ブロード無地上に顔料とポリウレタン樹脂が塗工された試験片(21cm×28cm)を作製した。
画像濃度を分光測色計[エックスライト社製X-rite938]にて9点測定し、測定結果の平均値を画像濃度とした。画像濃度を、以下の基準で評価し、結果を表3に示した。画像濃度が高いほど、発色性に優れる。
〇:画像濃度1.3以上
△:画像濃度1.2以上1.3未満
×:画像濃度1.2未満
画像濃度1.3以上は実用レベルである。
-綿布帛での発色性評価方法:ホワイトインク-
黒色綿ブロード無地[黒綿100質量%]にインク(I-14)、(I-24)をセイコーエプソン社製インクジェットプリンターPX-G930の改造機にて印刷し、160℃で10分間乾燥させ、綿ブロード無地上に顔料とポリウレタン樹脂が塗工された試験片(21cm×28cm)を作製した。
画像濃度をL*値で判断するものとし、L*を分光測色計[エックスライト社製X-rite938]にて9点測定し、測定結果の平均値を採用とした。L*を、以下の基準で評価し、結果を表3に示した。L*が高いほど、発色性に優れる。
〇:L*が70以上
△:L*が50以上70未満
×:L*が50未満
-加熱後のろ過性-
加熱後のろ過性は、温度を60℃に設定した循環乾燥機にインクを5日間静置し、水流アスピレーター(最大真空度:24mmHg程度)を用いて吸引し、減圧濾過を実施した。
フィルターには、プレフィルター(φ47mm、100枚入、AP2504700/2-3055-07)及びMF-ミリポアメンブレン(セルロース混合エステル、親水性、8.0μm、47mm、白色)を用いた。通液可能なインク重量にて評価を行った。
評価基準は以下の通りとした。結果は表3に示した。
◎:300g以上
〇:100g以上300g未満
△:50g以上100g未満
×:50g未満
-連続印刷性試験-
上記で製造されたインクをセイコーエプソン株式会社製のインクジェットプリンターPX-G930の改造機に搭載した。解像度1440*720dpi条件にてベタ画像を連続印刷し、スジムラについて評価した。評価基準は以下の通りである。結果は表3に示した。
◎:24時間以上スジムラ発生しない
〇:5時間以上24時間未満でスジムラ発生
△:1時間以上5時間未満でスジムラ発生
×:1時間未満でスジムラ発生
インク(I-1)~(I-29)は初期分散性、保存安定性に優れ、かつ耐擦過性に優れる。また、綿布帛に対しての発色性も優れる。ポリカーボネートジオールを用いていない比較用インク(I’-3)は摩擦堅牢度が不充分であった(比較例3)。また、ポリカプロラクトンジオールを用いた比較用インク(I‘-4)、ポリエステルジオールを用いた比較用インク(I‘-6)では保存安定性が不充分であった(比較例4、6)。
顔料水性分散体乾燥被膜の貯蔵弾性率G’が10MPaより大きい比較用インク(I‘-1)、(I’-3)~(I’-5)では発色性が不充分であった(比較例1、3~5)。顔料水性分散体乾燥被膜の貯蔵弾性率G’が1MPaより小さい比較用インク(I‘-2)では摩擦堅牢度が不充分であった(比較例2)。

Claims (7)

  1. 顔料水性分散体と、水と、水溶性有機溶剤とを含有する、水性インクジェット用インクであって、
    前記顔料水性分散体が、活性水素原子含有成分(A)と有機ポリイソシアネート成分(B)とを反応させてなるポリウレタン樹脂で分散された顔料と水性媒体とを含有し、
    前記活性水素原子含有成分(A)が、ポリカーボネートポリオール(a1)を含有し、
    前記有機ポリイソシアネート成分(B)が、直鎖又は分岐の脂肪族ポリイソシアネート(b1)、脂環式ポリイソシアネート(b2)及び芳香族ポリイソシアネート(b3)からなる群より選ばれる1種以上を含有し、
    前記顔料水性分散体を50℃、12時間乾燥させた被膜の160℃における弾性率G’が1~10MPaである、水性インクジェット用インク。
  2. 前記ポリカーボネートポリオール(a1)が、結晶性ポリカーボネートポリオ―ルである、請求項1に記載の水性インクジェット用インク。
  3. 前記ポリウレタン樹脂の酸価が、10~40mgKOH/gである、請求項1又は2に記載の水性インクジェット用インク。
  4. 前記ポリウレタン樹脂のウレタン基の含有量が、1.1~2.3モル/kgである、請求項1~3のいずれか一項に記載の水性インクジェット用インク。
  5. 前記水溶性有機溶剤が、標準沸点180℃以上の水溶性有機溶剤を含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の水性インクジェット用インク。
  6. 界面活性剤を更に含有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の水性インクジェット用インク。
  7. 前記界面活性剤が、ノニオン系界面活性剤を含有する、請求項6に記載の水性インクジェット用インク。
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