JP6264108B2 - 水性顔料分散体、捺染方法及びインクジェット捺染方法 - Google Patents

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本発明は、特に布帛に印捺する用途に適した水性顔料分散体及びそれを使用した捺染方法に関する。
織布や不織布、編布などの布帛に、文字、絵、図柄などの画像を印捺する捺染方法として、水性の顔料インクを使用した顔料捺染法が知られている。顔料捺染法は、着色顔料及びバインダー樹脂からなる顔料組成物である捺染剤を印刷した後、必要に応じ乾燥硬化工程を経て基材に固着させる方法である。この印刷方法としては、スクリーン紗の図柄を布帛に連続的に印刷するシルクスクリーン法(例えば特許文献1参照)、あるいはノズルよりインクを噴射し布帛に付着せしめるインクジェット記録法等(例えば特許文献2参照)が知られている。
顔料捺染法は染料を使用した捺染法に比べ、繊維種による着色剤の選定を必要とせず、加工方法も単純であり、また蒸し工程や水洗・ソーピング工程も必要としないため、エネルギーコストがかからない。しかも廃液が発生しないため、環境面において安全な加工方法である。しかしながら顔料捺染法は、染料を使用した捺染法とは異なり、色材である顔料は布帛にバインダー樹脂で物理的に固着されている状態のため、洗濯や外的摩擦等により印捺箇所が布帛から剥離する等の問題があった。
水性顔料分散体は一般にカーボンブラックや有彩色の有機顔料と、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等の合成樹脂から調製される。最近では、この合成樹脂として、分散性に優れたポリウレタン樹脂の使用が提案され始めている。
この様なポリウレタン樹脂としては、例えば、ポリ(オキシテトラメチレン)構造を含有し酸価40〜90のポリエーテル系ポリウレタン樹脂(特許文献3参照)、活性水素基を有し分子量400以上の疎水性である疎水性活性水素化合物と、3つ以上の活性水素基を有し分子量400未満の多官能性活性水素化合物と、親水性基および活性水素基を有する親水性基含有活性水素化合物とを含む活性水素成分と、ポリイソシアネート化合物を含むポリイソシアネート成分との反応により得られることを特徴とする、水性ポリウレタン樹脂(特許文献4参照)等が知られている。
しかしながら、特許文献3により得られる顔料分散液では、記録媒体が紙やフィルムの場合、光沢の優れた着色画像を得られるものの、布帛に印捺した場合、洗濯堅牢度や摩擦堅牢度は不十分である。また特許文献4においても、初期分散性や保存安定性に優れた顔料分散液は得られるものの、印字物の特性についてはなんら開示されていない。
特開2007−332523号公報 特開2009−215506号公報 特開2005−290044号公報 特開2008−101162号公報
本発明は、優れた初期分散性および、分散安定性を発現し、且つ洗濯堅牢度と摩擦堅牢度とに優れた捺染用インクを提供することにある。
本発明者らは、特定の構造を有するウレタン樹脂を顔料分散剤として使用することで、シルクスクリーン法であってもインクジェット記録法であっても問題なく使用でき、初期分散性および分散安定性に優れ、且つ洗濯堅牢度と摩擦堅牢度とに優れる印捺部を与える水性顔料分散体が得られることを見出した。
即ち本発明は、ポリオール(a1)としてポリカルボン酸とポリオールを反応させて得られるポリエステルポリオール(a1−1)と、アニオン性基、カチオン性基、ポリオキシエチレン基またはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン基である親水性基を有するポリオールと、ポリイソシアネート(a2)とを反応させて得られるウレタン樹脂を使用する顔料分散剤を提供する。
また本発明は、前記記載の顔料分散剤によって水溶性溶媒及び/または水中に顔料を分散させる水性顔料分散体の製造方法を提供する。
また本発明は、前記記載の製造方法によって得た水性顔料分散体を布帛に印捺する捺染方法を提供する。
また本発明は、前記記載の製造方法によって得た水性顔料分散体を布帛に印捺するインクジェット捺染方法を提供する。
本発明の顔料分散剤は、1分子中にポリエステル構造及び親水性基とを有するウレタン樹脂を使用するので、初期分散性および分散安定性に優れ、且つ印捺部は洗濯堅牢度且つ摩擦堅牢度とに優れた水性顔料分散体を得ることができる。本発明により得た水性顔料分散体は、シルクスクリーン法であってもインクジェット記録法であっても問題なく使用することができる。
(顔料分散剤)
本発明の顔料分散剤は、ポリオール(a1)としてポリカルボン酸とポリオールを反応させて得られるポリエステルポリオール(a1−1)と、アニオン性基、カチオン性基、ポリオキシエチレン基またはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン基である親水性基を有するポリオールと、ポリイソシアネート(a2)とを反応させて得られるウレタン樹脂を使用する。(以下本ウレタン樹脂を「ウレタン樹脂(A)」と称す)
前記ウレタン樹脂(A)の重量平均分子量は、洗濯堅牢度、摩擦堅牢度の観点から、5000〜200000のものを使用することが好ましく、20000〜100000がより好ましい。
また、本発明では、親水性基とともにポリエステル構造を有するウレタン樹脂(A)を使用することが、洗濯堅牢度、摩擦堅牢度を向上するうえで必須である。
前記ポリエステル構造は、エステル結合を有する脂肪族、脂環族または芳香族構造からなるものである。前記ポリエステル構造は、ウレタン樹脂(A)の製造に使用するポリオール(a1)及びポリイソシアネート(a2)の合計質量に対して、10〜90質量%の範囲で使用することが好ましい。
ここで、前記ポリエステル構造の代わりに、ポリエーテル構造を有するウレタン樹脂(A)を用いて得た水性顔料分散体では、洗濯堅牢度、摩擦堅牢度の低下を引き起こす場合がある。
前記ポリエステル構造としては、ポリカルボン酸と低分子量ポリオールとをエステル化反応して得られるポリエステルポリオール由来の構造であることが好ましく、更に芳香族構造を有するものであることが、布帛に対する密着性を向上するうえで好ましい。
また、前記ウレタン樹脂(A)は、水性顔料分散体中における分散安定性を付与するうえで親水性基を有する。
前記親水性基としては、一般にアニオン性基やカチオン性基、ノニオン性基といわれるものを使用することができるが、なかでもアニオン性基やカチオン性基を使用することが好ましい。
前記アニオン性基としては、例えばカルボキシル基、カルボキシレート基、スルホン酸基、スルホネート基等を使用することができ、なかでも、一部または全部が塩基性化合物等によって中和されたカルボキシレート基やスルホネート基を使用することが、良好な水分散性を維持するうえで好ましい。
前記アニオン性基としてのカルボキシル基やスルホン酸基の中和に使用可能な塩基性化合物としては、例えばアンモニア、トリエチルアミン、ピリジン、モルホリン等の有機アミンや、モノエタノールアミン等のアルカノールアミンや、Na、K、Li、Ca等を含む金属塩基化合物等が挙げられるが、なかでも、水酸化カリウムやその水溶液を用いて中和することが、環境に配慮された製品を提供するうえで特に好ましい。
また、前記カチオン性基としては、例えば3級アミノ基等を使用することができる。
前記3級アミノ基の一部又は全てを中和する際に使用することができる酸としては、例えば、蟻酸、酢酸等を使用することができる。また、前記3級アミノ基の一部又は全てを4級化する際に使用することができる4級化剤としては、例えば、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸等のジアルキル硫酸類を使用することができる。
また、前記ノニオン性基としては、例えばポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基、ポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)基、及びポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン基等のポリオキシアルキレン基を使用することができる。なかでもオキシエチレン単位を有するポリオキシアルキレン基を使用することが、親水性をより一層向上させるうえで好ましい。
前記親水性基は、前記ウレタン樹脂(A)全体に対して100mmol/kg〜1200mmol/kg存在することがより一層良好な水分散性を付与し、150mmol/kg〜1000mmol/kgの範囲であることがより好ましい。
また、本発明の水性顔料分散体は、洗濯堅牢度、摩擦堅牢度をより一層向上することを目的として、後述する架橋剤(F)を使用する場合がある。前記架橋剤(F)を使用する場合、前記ウレタン樹脂(A)としては、前記架橋剤(F)の有する官能基と架橋反応しうる官能基[X]を有するものを使用することが好ましい。
前記官能基[X]としては、前記親水性基として使用可能なカルボキシル基やカルボキシレート基等が挙げられる。前記カルボキシル基等は、水性媒体(C)中においてウレタン樹脂(A)の水分散安定性に寄与し、それらが架橋反応する際には、前記官能基[X]としても作用し、前記架橋剤(F)の一部架橋反応しうる。
前記官能基[X]としてカルボキシル基等を使用する場合、前記ウレタン樹脂(A)としては、2〜50の酸価を有するものであることが好ましく、5〜40の酸価を有するものを使用することが、洗濯堅牢度、摩擦堅牢度を向上するうえで好ましい。
前記ウレタン樹脂(A)は、例えばポリオール(a1)とポリイソシアネート(a2)と、必要に応じて鎖伸長剤とを反応させることによって製造することができる。
前記ポリオール(a1)としては、前記ウレタン樹脂(A)にポリエステル構造を付与する観点からポリエステルポリオール(a1−1)を使用し、かつ、前記ウレタン樹脂(A)に親水性基を付与する観点から親水性基を有するポリオールを使用する。
前記ポリエステルポリオール(a1−1)としては、例えば低分子量のポリオールとポリカルボン酸とをエステル化反応して得られるものや、ε−カプロラクトン等の環状エステル化合物を開環重合反応して得られるポリエステルや、これらの共重合ポリエステル等を使用することができる。
前記低分子量のポリオールとしては、例えば概ね分子量が50〜300程度である、エチレングリコールやプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール等の脂肪族ポリオールや、シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族環式構造含有ポリオール、ビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノール化合物及びそれらのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族構造含有ポリオールを使用することができる。
また、前記ポリカルボン酸としては、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ポリカルボン酸や、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸などのナフタレンジカルボン酸や、テレフタル酸ジメチル、オルソフタル酸等の芳香族ポリカルボン酸、及びそれらの無水物またはエステル形成性誘導体等を使用することができる。
前記ポリエステルポリオール(a1−1)として使用可能な芳香族構造含有ポリエステルポリオールは、例えば、前記低分子量のポリオール及びポリカルボン酸の組み合わせとして、いずれか一方または両方に芳香族構造を有するものを使用することによって製造することができる。
具体的には、前記芳香族構造含有ポリエステルポリオールとしては、エチレングリコールやジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール等の脂肪族ポリオールと、テレフタル酸やイソフタル酸、フタル酸等の芳香族ポリカルボン酸とを組み合わせ反応させることによって得られるものを使用することが好ましい。また、ビスフェノールA等の芳香族構造含有ポリオールと前記脂肪族ポリカルボン酸とを反応させることによっても製造することができる。
前記芳香族構造含有ポリエステルポリオールは、特に洗濯堅牢度、摩擦堅牢度の観点から、使用するポリエステルポリオール(a1−1)全量に含まれる芳香族環式濃度が2.5モル/kg以上となるように使用することが好ましく、芳香族環式濃度が3.0モル/kg以上となるように使用することがなお好ましい。
なお前記ポリエステルポリオール(a1−1)は、同一種(ここで同一種とは、原料となるポリカルボン酸やポリオールの種類や分子量等のパラメータが同一であることを示す)のポリエステルポリオールを1種のみ使用してもよいし、異なる種(ここで「異なる種」とは、原料となるポリカルボン酸やポリオールの種類が異なったり、分子量等のパラメータが異なることを示す)ポリエステルポリオールを複数種使用してもよく特に限定されない。
なお、異なるポリエステルポリオールを複数種使用する場合の芳香族環式濃度は、使用するポリエステルポリオール全種類の総全量に対して、芳香族環式濃度を算出すればよい。
前記ポリエステルポリオール(a1−1)としては、200〜5000の範囲の数平均分子量を有するものを使用することが好ましい。なかでも前記芳香族構造含有ポリエステルポリオールとしては、洗濯堅牢度、摩擦堅牢度を向上するうえで250〜3000の数平均分子量を有するものを使用することが好ましい。
また、前記親水性基含有ポリオールとしては、例えば前記したポリエステルポリオール(a1−1)以外のアニオン性基含有ポリオール、カチオン性基含有ポリオール、及びノニオン性基含有ポリオールを使用することができる。なかでも、アニオン性基含有ポリオールまたはカチオン性基含有ポリオールを使用することが好ましく、アニオン性基含有ポリオールを使用することがより好ましい。
前記アニオン性基含有ポリオールとしては、例えばカルボキシル基含有ポリオールや、スルホン酸基含有ポリオールを使用することができる。
前記カルボキシル基含有ポリオールとしては、例えば2,2’−ジメチロールプロピオン酸、2,2’−ジメチロールブタン酸、2,2’−ジメチロール酪酸、2,2’−ジメチロール吉草酸や、それらとジカルボン酸とを反応して得られるカルボキシル基含有ポリエステルポリオール等を使用することができる。なかでも2,2’−ジメチロールプロピオン酸を使用することが好ましい。
前記カルボキシル基含有ポリオールは、前記ウレタン樹脂(A)の酸価が10〜70となる範囲で使用することが好ましく、10〜50となる範囲で使用することがより好ましい。なお、本発明で言う酸価は、前記ウレタン樹脂(A)の製造に使用したカルボキシル基含有ポリオール等の酸基含有化合物の使用量に基づいて算出した理論値である。
前記アニオン性基は、それらの一部または全部が塩基性化合物等によって中和されていることが、良好な水分散性を発現するうえで好ましい。
前記アニオン性基を中和する際に使用可能な塩基性化合物としては、例えばアンモニア、トリエチルアミン、モルホリン、モノエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等の沸点が200℃以上の有機アミンや、NaOH、KOH、LiOH等を含む金属水酸化物等を使用することができる。前記塩基性化合物は、得られるコーティング剤の水分散安定性を向上させる観点から、塩基性化合物/アニオン性基=0.5〜3.0(モル比)となる範囲で使用することが好ましく、0.5〜2.0(モル比)となる範囲で使用することがより好ましい。
また、前記カチオン性基含有ポリオールとしては、例えば3級アミノ基含有ポリオールを使用することができ、具体的にはN−メチル−ジエタノールアミンや、1分子中にエポキシを2個有する化合物と2級アミンとを反応させて得られるポリオールなどを使用することができる。
前記カチオン性基は、その一部または全部が、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グルタル酸、酒石酸、アジピン酸等の酸性化合物で中和されていることが好ましい。
また、前記カチオン性基としての3級アミノ基は、その一部または全部が4級化されていることが好ましい。前記4級化剤としては、例えばジメチル硫酸、ジエチル硫酸、メチルクロライド、エチルクロライド等を使用することができ、ジメチル硫酸を使用することが好ましい。
また、前記ノニオン性基含有ポリオールとしては、エチレンオキサイド由来の構造単位を有するポリアルキレングリコール等を使用することができる。
前記親水性基含有ポリオールは、前記ウレタン樹脂(A)の製造に使用するポリオールの全量に対して、0.3質量%〜10.0質量%の範囲で使用することが好ましい。
また、前記ポリオールとしては、前記したポリオールの他に、必要に応じてその他のポリオールを使用することができる。
前記その他のポリオールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等の比較的低分子量のポリオールを使用することができる。
前記ポリオールと反応しうるポリイソシアネート(a2)としては、例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、クルードジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネートや、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族環式構造含有ポリイソシアネートを使用することができる。
前記ウレタン樹脂(A)は、例えば無溶剤下または有機溶剤の存在下で、前記ポリオール(a1)と前記ポリイソシアネート(a2)とを反応させることでウレタン樹脂(A)を製造し、次いで、前記ウレタン樹脂(A)中に親水性基がある場合には、該親水性基の一部または全部を必要に応じて中和したものを、水性媒体中に混合し水性化することによって製造することができる。なお、必要に応じて鎖伸長剤を使用する場合には、前記水性化の際に、水性媒体とともに混合することによって、鎖伸長されたウレタン樹脂(A)を製造することができる。
前記ポリオール(a1)とポリイソシアネート(a2)との反応は、例えば、前記ポリオール(a1)が有する水酸基に対する、前記ポリイソシアネート(a2)が有するイソシアネート基の当量割合が、0.8〜2.5の範囲で行うことが好ましく、0.9〜1.5の範囲で行うことがより好ましい。
また、前記ウレタン樹脂(A)を製造する際に使用可能な有機溶剤としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;アセトニトリル等のニトリル類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類を、単独で使用または2種以上を使用することができる。
前記ウレタン樹脂(A)を製造する際に使用できる鎖伸長剤としては、ポリアミンや、その他活性水素原子含有化合物等を使用することができる。
前記ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン等のジアミン類、N−ヒドロキシメチルアミノエチルアミン、N−ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、N−ヒドロキシプロピルアミノプロピルアミン、N−エチルアミノエチルアミン、N−メチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヒドラジン、N,N’−ジメチルヒドラジン、1,6−ヘキサメチレンビスヒドラジン、コハク酸ジヒドラジッド、アジピン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、β−セミカルバジドプロピオン酸ヒドラジド、3−セミカルバジッド−プロピル−カルバジン酸エステル、セミカルバジッド−3−セミカルバジドメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサンを使用することができる。
前記その他活性水素含有化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレンリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等のグリコール類;ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、水素添加ビスフェノールA、ハイドロキノン等のフェノール類、及び水等を、本発明の水性顔料分散体の保存安定性が低下しない範囲内で単独で使用または2種以上を併用することができる。
また、前記方法で製造したウレタン樹脂(A)の水性化は、例えば、前記ポリオール(a1)とポリイソシアネート(a2)とを反応させて得られた水性ウレタン樹脂(A)の親水性基の一部又は全てを中和又は4級化した後、水を投入して水分散させる方法によって行うことができる。その際、必要に応じて乳化剤を使用してもよい。また、水溶解や水分散の際には、必要に応じてホモジナイザー等の機械を使用してもよい。
前記乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエート、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体等のノニオン系乳化剤;オレイン酸ナトリウム等の脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナフタレンスルフォン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、アルカンスルフォネートナトリウム塩、アルキルジフェニルエーテルスルフォン酸ナトリウム塩等のアニオン系乳化剤;アルキルアミン塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等のカチオン系乳化剤が挙げられる。
前記水性媒体としては、例えば、水、水と混和する有機溶剤、及び、これらの混合物が挙げられる。水と混和する有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−及びイソプロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;ポリアルキレングリコールのアルキルエーテル類;N-メチル-2-ピロリドン等のラクタム類、等が挙げられる。本発明では、水のみを用いても良く、また水及び水と混和する有機溶剤との混合物を用いても良く、水と混和する有機溶剤のみを用いても良い。安全性や環境に対する負荷の点から、水のみ、又は、水及び水と混和する有機溶剤との混合物が好ましく、水のみが特に好ましい。
このようにして得られたウレタン樹脂(A)は、水性媒体中にウレタン樹脂(A)が分散された状態となっている。顔料分散剤として使用する際は、このように、ウレタン樹脂(A)が水性媒体中に分散された水分散体となっていると、配合させやすく好ましい。このとき、前記水性媒体は、前記ウレタン樹脂(A)の組成物の全量に対して、30質量%〜90質量%の範囲で含まれることが、水分散安定性に優れた組成物を得るうえで好ましい。
本発明の水性顔料分散体をインクジェット法により布帛に印捺する場合は、前記ウレタン樹脂(A)の水分散体の粒径は、インクジェットインクの吐出性の観点から5nm〜1000nmの範囲であることが好ましく、10nm〜400nmの範囲であることがなお好ましい。
本発明の水性顔料分散体を調整するに当っては、質量換算で顔料100部に対して前記ウレタン樹脂の不揮発分を通常20〜100部、好ましくは30〜50部となる様にする。水性顔料分散体中の顔料に対するポリウレタン樹脂の量が少ないと十分な分散安定性が得られないだけでなく、印字後の洗濯堅牢度、摩擦堅牢度も低下する傾向にある。一方、多すぎると水性顔料分散体の粘度や流動性の面から使用し難くなるので好ましくない。
(顔料)
本発明で使用する顔料は特に限定はなく、通常、スクリーン記録用インクや水性インクジェット記録用インクの顔料として使用されているものを着色剤として使用できる。具体的には、水や水溶性有機溶剤に分散可能な公知の無機顔料や有機顔料が使用できる。無機顔料としては例えば、酸化チタン、酸化鉄、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の公知の方法によって製造されたカーボンブラック等がある。また、有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用することができる。
顔料の具体例としては、カーボンブラックとして、三菱化学社製のNo.2300、No.2200B、No.900、No.980、No.33、No.40、No,45、No.45L、No.52、HCF88、MA7、MA8、MA100、等が、コロンビア社製のRaven5750、Raven5250、Raven5000、Raven3500、Raven1255、Raven700等が、キャボット社製のRegal 400R、Regal 330R、Regal 660R、Mogul L、Mogul 700、Monarch800、Monarch880、Monarch900、Monarch1000、Monarch1100、Monarch1300、Monarch1400等が、デグサ社製のColor Black FW1、同FW2、同FW2V、同FW18、同FW200、同S150、同S160、同S170、Printex 35、同U、同V、同1400U、Special Black 6、同5、同4、同4A、NIPEX150、NIPEX160、NIPEX170、NIPEX180等が挙げられる。
イエローインクに使用される顔料の具体例としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、12、13、14、16、17、73、74、75、83、93、95、97、98、109、110、114、120、128、129、138、150、151、154、155、174、180、185等が挙げられる。
マゼンタインクに使用される顔料の具体例としては、C.I.ピグメントレッド5、7、12、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、112、122、123、146、168、176、184、185、202、209、等が挙げられる。
シアンインクに使用される顔料の具体例としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:3、 15:4、16、22、60、63、66等が挙げられる。
本発明で使用する顔料は、ドライパウダー及びウェットケーキのいずれも用いることができる。また、これらの顔料は、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明で使用する顔料は、その粒子径が25μm以下のものからなる顔料が好ましく、1μm以下のものからなる顔料が特に好ましい。粒子径がこの範囲にあれば、顔料の沈降が発生しにくく、顔料分散性が良好となる。
粒子径の測定は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)又は走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して測定した値を採用することができる。
(水溶性溶媒及び/または水)
本発明で使用する水溶性溶媒及び/または水は、従来よりインクジェット記録用水性インクの調製に用いられているものをいずれも使用できる。
水溶性溶媒としては、例えば、1価又は多価のアルコール類、アミド類、ケトン類、ケトアルコール類、環状エーテル類、グリコール類、多価アルコールの低級アルキルエーテル類、ポリアルキレングリコール類、グリセリン、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のポリオール類、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類,エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類および多価アルコールアラルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム等のラクタム類、1,3−ジメチルイミダゾリジノンアセトン、N−メチルー2−ピロリドン、m−ブチロラクトン、グリセリンのポリオキシアルキレン付加物、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジメチルスルホキシド、ジアセトンアルコール、ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどである。これらは、単独で用いても、又は2種以上を併用してもよい。
また水としては、水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることができる。また、紫外線照射、または過酸化水素添加などにより滅菌した水を用いることにより、インク組成物を長期保存する場合にカビまたはバクテリアの発生を防止することができるので好適である。
(水性顔料分散体の製造方法)
本発明の水性顔料分散体は、ウレタン樹脂に前記顔料を機械的に強制分散して作成することができる。また、前記水性顔料分散体を顔料ペースト(高濃度水分散液)として、それを水溶性溶媒及び/または水で希釈し、必要に応じてその他の添加剤を添加して調製することができる。
前記顔料を前記水溶性溶媒及び/または水に分散させて顔料ペーストを得る方法は特に限定はなく、公知の分散方法を使用することが好ましい。
分散方法としては、例えば以下(1)〜(3)を示すことができる。
(1)顔料分散剤及び水を含有する水性媒体に、顔料を添加した後、攪拌・分散装置を用いて顔料を該水性媒体中に分散させることにより、顔料ペーストを調製する方法。
(2)顔料、及び顔料分散剤を2本ロール、ミキサー等の混練機を用いて混練し、得られた混練物を、水を含む水性媒体中に添加し、攪拌・分散装置を用いて顔料ペーストを調製する方法。
(3)メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等のような水と相溶性を有する有機溶剤中に顔料分散剤を溶解して得られた溶液に顔料を添加した後、攪拌・分散装置を用いて顔料を有機溶液中に分散させ、次いで水性媒体を用いて転相乳化させた後、前記有機溶剤を留去し顔料ペーストを調製する方法。
混練機としては、特に限定されることなく、例えば、ヘンシェルミキサー、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、プラネタリーミキサーなどがあげられる。
また、攪拌・分散装置としても特に限定されることなく、例えば、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ボールミル、ロールミル、サンドミル、サンドグラインダー、ダイノーミル、ディスパーマット、SCミル、ナノマイザー等を挙げられる。これらのうちの1つを単独で用いてもよく、2種類以上装置を組み合わせて用いてもよい。
前記顔料ペーストに占める顔料量は5〜60質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがより好ましい。顔料量が5質量%より少ない場合は、前記顔料ペーストから調製した水性インクの着色が不充分であり、充分な画像濃度が得られない傾向にある。また、逆に60質量%よりも多い場合は、顔料ペーストにおいて顔料の分散安定性が低下する傾向がある。
また、粗大粒子が、ノズル詰まり、その他の画像特性を劣化させる原因になるため、インク調製前後に、遠心分離、あるいは濾過処理等により粗大粒子を除去することが好ましい。
分散工程の後に、イオン交換処理や限外処理による不純物除去工程を経て、その後に後処理を行っても良い。イオン交換処理によって、カチオン、アニオンといったイオン性物質(2価の金属イオン等)を除去することができ、限外処理によって、不純物溶解物質(顔料合成時の残留物質、分散液組成中の過剰成分、有機顔料に吸着していない樹脂、混入異物等)を除去することができる。イオン交換処理は、公知のイオン交換樹脂を用いる。限外処理は、公知の限外ろ過膜を用い、通常タイプ又は2倍能力アップタイプのいずれでもよい。
前記顔料ペーストを作成した後、適宜希釈し必要に応じた添加剤を添加して、目的に応じた水性顔料分散体を得る。前記水性顔料分散体の形態は着色したい繊維に応じて浸染、捺染など好ましい処理方法に合わせて任意に選択される。例えば用途が、捺染用に適したスクリーン記録用インクでは、添加剤として、バインダー樹脂、防腐剤、粘度調整剤、pH調整剤、キレート化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、架橋剤等を使用し、最終的な顔料濃度は1〜10質量%の範囲が好ましい。
また、例えば用途が浸染用の水性顔料分散体の場合は、添加剤として、バインダー樹脂、防腐剤、粘度調整剤、pH調整剤、キレート化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、架橋剤等を使用し、最終的な顔料濃度は1〜10質量%の範囲が好ましい。また粘度は1mPa・s〜100mPa・sの範囲で装置に合わせて任意に設定される。また、例えば、用途が、スプレー捺染用の水性顔料分散体では添加剤として、バインダー樹脂、粘度調整剤、pH調整剤、キレート化剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を使用し、最終的な顔料濃度は1〜10質量%の範囲が好ましい。また粘度は1mPa・s〜100mPa・sの範囲で装置に合わせて任意に設定される。
また、例えば用途が、捺染用に適したインクジェット記録用インクでは、添加剤として、バインダー樹脂、防腐剤、粘度調整剤、pH調整剤、キレート化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、架橋剤等を使用し、最終的な顔料濃度は、充分な画像濃度を得る必要性と、インク中での顔料の分散安定性を確保するために、1〜20質量%であることが好ましい。また希釈率は、前記界面活性剤水溶液の濃度を鑑みた上で、必要濃度に希釈し、その後超音波処理を行うことで、インクジェット記録用インクを調整することができる。
前記バインダー樹脂の具体例としては、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(上記したポリウレタン樹脂を含む)などが挙げられる。前記ウレタン樹脂は、分散体やインク全量に対して0.3質量%〜12質量%の範囲で使用することが一般的である。0.6質量%〜9質量%が好ましく、さらには、1.0質量%〜6質量%が最も好ましい。
前記バインダー樹脂と顔料との比率は、通常スクリーン記録用インクやインクジェット記録用インクに使用する範囲の比率でよく、例えばバインダー樹脂と顔料との比率=1:3〜8:1の範囲が好ましい。
堅牢度は使用するバインダー樹脂の分子量が寄与し、高い分子量であるほど高い堅牢度を与えるが、この他に、バインダーの使用量も堅牢度に寄与する。従って、より高い堅牢度を得るためには、バインダーの使用量は多いほうが好ましく、本発明のウレタン樹脂においては、例えば1:1〜8:1であると、より高い堅牢度を与える。但し高分子量のバインダー樹脂の過剰な使用は、高粘度化につながるため、インクジェット記録用インクに適用する場合は、粘度とのバランスを考慮してバインダーの使用量を決定することが好ましい。
防腐剤または防かび剤の具体例としては、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン(アーチケミカルズ社のプロキセルGXL、プロキセルXL−2、プロキセルLV、プロキセルAQ、プロキセルBD20、プロキセルDL)等が挙げられる。
粘度調整剤の具体例としては、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、スターチ等の主として水溶性の天然あるいは合成高分子物が挙げられる。
pH調整剤の具体例としては、コリジン、イミダゾール、燐酸、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、ほう酸等が挙げられる。
キレート化剤の具体例としては、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン二酢酸、ニトリロ三酢酸、1,3−プロパンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、イミノ二酢酸、ウラミル二酢酸、1,2−ジアミノシクロヘキサン−N,N,N’,N’−四酢酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸及びこれらの塩(水和物を含む)等があげられる。
酸化防止剤または紫外線吸収剤の具体例としては、アロハネート、メチルアロハネートなどのアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレットなどのビウレット類等、L−アスコルビン酸およびその塩等、チバガイギー社製のTinuvin328、900、1130、384、292、123、144、622、770、292、Irgacor252、153、Irganox1010、1076、1035、MD1024等、あるいはランタニドの酸化物等が挙げられる。
前記希釈、添加剤の添加方法は、特に限定なく従来一般的に用いられる方法により行うことができる。例えば、前記顔料ペーストと、バインダー樹脂、添加剤として界面活性剤、粘度調整剤、消泡剤、酸化防止剤または紫外線吸収剤、防腐剤等、希釈率に応じた溶媒を混合した後、各種分散機や攪拌機、例えば、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、パールミル等を利用して分散・混合する方法が挙げられる。必要に応じてこの後に更に各種添加剤を添加してもよい。
また、前記添加剤と、顔料や前記ウレタン樹脂とを安定に溶解または分散させて保持する目的で、水溶性有機溶媒をさらに添加してもよい。
前期水溶性溶媒としては、例えば、1価又は多価のアルコール類、アミド類、ケトン類、ケトアルコール類、環状エーテル類、グリコール類、多価アルコールの低級アルキルエーテル類、ポリアルキレングリコール類、グリセリン、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、4−メチル−1,2−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のポリオール類、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類,エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類および多価アルコールアラルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム等のラクタム類、1,3−ジメチルイミダゾリジノンアセトン、酢酸エチル、N−メチルー2−ピロリドン、m−ブチロラクトン、グリセリンのポリオキシアルキレン付加物、酢酸メチル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジオキソラン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジメチルスルホキシド、ジアセトンアルコール、ジメチルホルムアミドプロピレングリコールモノメチルエーテルなどである。これらは、単独で用いても、又は2種以上を併用してもよい。
さらに、同様な目的で、糖類を用いることもできる。その例としては、単糖類および多糖類が挙げられ、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ラクトース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトース、マルトース、セロビオース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等の他にアルギン酸およびその塩、シクロデキストリン類、セルロース類を用いることができる。
また、本発明の水性顔料分散体は、その浸透性を制御するため、界面活性剤が含まれていてもよい。その際使用する界面活性剤は、本発明の水性顔料分散体に存在する他の成分と相溶性のよいものが好ましい。また、浸透性が高く安定な界面活性剤が好ましい。
具体的には、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤の利用が好ましい。
両性界面活性剤の好ましい例としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシンその他イミダゾリン誘導体などが挙げられる。
非イオン界面活性剤の好ましい例としては、アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどのエーテル系、ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系、ジメチルポリシロキサン等のシリコン系界面活性剤、その他フッ素アルキルエステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等の含フッ素系界面活性剤等が挙げられ、特に、アセチレングリコール系界面活性剤およびアセチレンアルコール系界面活性剤が好ましい。これらの界面活性剤はインク組成物に添加された場合、発泡性が少なく、また優れた消泡性機能を有するので好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤およびアセチレンアルコール系界面活性剤の具体例としては、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オールなどが挙げられるが、市販品で入手も可能で、例えば、エアープロダクツ社(英国)のサーフィノール61、82、104、465,485、TGや、日信化学工業株式会社のオルフィンSTG、オルフィンE1010等が挙げられる。
界面活性剤の添加量は、好ましくは、前記水性顔料分散体の全量に対して、0.01重量%以上10重量%以下であり、より好ましい上限値は5.0重量%であり、好ましい下限値は0.5重量%である。
さらに、本発明の水性顔料分散体をインクジェット記録法に適用する場合は、その表面張力を20mN/m以上60mN/m以下と調整することが好ましい。より好ましくは、20mN以上45mN/m以下であり、更に好ましくは、20mN/m以上40mN/m以下である。表面張力が20mN/m未満となるとノズル面に液体が溢れ出し、正常に印字できない場合がある。一方、60mN/mを超えると非吸収基材でのはじきが発生し易い傾向がある。 また粘度は、1.2mPa・s以上20.0 mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは2.0 mPa・s以上 15.0mPa・s未満、更に好ましくは3.0mPa・s以上 12.0 mPa・s未満である。粘度がこの範囲において、優れた吐出性と、長期間にわたる良好な噴射性の維持が達成できる。表面張力は前記界面活性剤により適宜調整可能である。
(被着体)
本発明の製造方法で得た水性顔料分散体を各種インクとして使用する際は、紙等の汎用の被着体はもちろん、布帛、人工皮革、天然皮革等に対しても印字することができる。特に布帛に対しての印捺に特に優れる。
本発明で使用する布帛は、繊維で構成される媒体であることが好ましく、織物の他不織布でもよい。素材は綿、絹、羊毛、麻、ナイロン、ポリエステル、ポリウレタン、レーヨン等の任意の天然・合成繊維からなる布帛を用いることができる。
以下、本発明の効果を実施例及び比較例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下の記載において部および%は質量部を示す。
<ポリエステルポリオールの調整>
(合成例1)
温度計、窒素ガス導入管、攪拌機を備えた反応器中で窒素ガスを導入しながら、アジピン酸69.7質量部、ブタンジオール49.8質量部及びジブチル錫オキサイド0.05質量部を仕込み180〜230℃24時間エステル化した後、酸価が1以下になるまで230℃で24時間重縮合反応を行い、脂肪族ポリエステルポリオール(1)〔酸価0.3、水酸基価56.1、芳香族環式濃度0mol/Kg〕を得た。
なお、前記酸価は、水酸化カリウム法にしたがって滴定することにより産出した値であり、水酸基価は、JISK1557−1記載に準拠した方法によって測定した値である。
(合成例2)
温度計、窒素ガス導入管、攪拌機を備えた反応器中で窒素ガスを導入しながら、イソフタル酸42.1質量部、セバシン酸21.4質量部、アジピン酸9.3質量部、エチレングリコール7.7質量部、ネオペンチルグリコール25.8質量部、ブタンジオール11.2質量部、及びジブチル錫オキサイド0.05質量部を仕込み180〜230℃24時間エステル化した後、酸価が1以下になるまで230℃で24時間重縮合反応を行い、芳香族ポリエステルポリオール(2)〔酸価0.3、水酸基価56.1、芳香族環式濃度2.53mol/kg〕を得た。
(合成例3)
温度計、窒素ガス導入管、攪拌機を備えた反応容器中で窒素ガスを導入しながら、イソフタル酸33.0部、テレフタル酸33.0部、ブタンジオール23.5部、ネオペンチルグリコール27.2部及びジブチル錫オキサイド0.04部を仕込み180〜230℃で酸価が1以下になるまで230℃で24時間重縮合反応を行い、芳香族ポリエステルポリオール(1)〔酸価0.2、水酸基価112.2、芳香族環式濃度3.98mol/Kg〕を得た。
Figure 0006264108
表1中の略称について、以下に説明する。
PES−1:合成例1で得たポリエステルポリオール
PES−2:合成例2で得たポリエステルポリオール
PES−3:合成例3で得たポリエステルポリオール
※1:合成したPES−1〜PES−3に含まれる芳香族環式濃度である。
<ウレタン樹脂の合成>
(製造例1)
反応容器に合成例1で得られた脂肪族ポリエステルポリオール(1)100質量部を減圧下100℃で脱水し、その後80℃まで冷却後、メチルエチルケトン94.1質量部を加え、攪拌し均一に混合した。次に、2,2−ジメチロールプロピオン酸8.8質量部、1,4−ブタンジオール4.2質量部を加え、次いでトリレンジイソシアネート28.1質量部、ジブチル錫ジラウレート0.08質量部を加えて、80℃で12時間反応させ、ウレタン化工程を実施した。イソシアネート値が0.1%以下になったのを確認し、ノルマルブタノール0.4質量部を加え、さらに2時間反応させた後、50℃まで冷却し、親水性基を有するウレタン樹脂の不揮発分60質量%溶液を得た。
その後、50℃まで冷却し、トリエチルアミン6.7質量部及び水710質量部を加え、減圧下、40℃〜60℃の温度下でメチルエチルケトンを除去し、水を加えて濃度調節を行うことによって、前記ウレタン樹脂が水性媒体中に分散された不揮発分23質量%の樹脂組成物を得た。
(製造例2)
反応容器に合成例2で得られた芳香族ポリエステルポリオール(2)100質量部を減圧下100℃で脱水し、その後80℃まで冷却後、メチルエチルケトン94.1質量部を加え、攪拌し均一に混合した。次に、2,2−ジメチロールプロピオン酸8.8質量部、1,4−ブタンジオール4.2質量部を加え、次いでトリレンジイソシアネート28.1質量部、ジブチル錫ジラウレート0.08質量部を加えて、80℃で12時間反応させ、ウレタン化工程を実施した。イソシアネート値が0.1%以下になったのを確認し、ノルマルブタノール0.4質量部を加え、さらに2時間反応させた後、50℃まで冷却し、親水性基を有するウレタン樹脂の不揮発分60質量%溶液を得た。
その後、50℃まで冷却し、トリエチルアミン6.7質量部及び水710質量部を加え、減圧下、40℃〜60℃の温度下でメチルエチルケトンを除去し、水を加えて濃度調節を行うことによって、前記ウレタン樹脂が水性媒体中に分散された不揮発分23質量%の樹脂組成物を得た。
(製造例3)
反応容器に合成例3で得られた芳香族ポリエステルポリオール(3)100質量部を減圧下100℃で脱水し、その後80℃まで冷却後、メチルエチルケトン91.0質量部を加え、攪拌し均一に混合した。次に、2,2−ジメチロールプロピオン酸8.1質量部を加え、次いでトリレンジイソシアネート28.4質量部、ジブチル錫ジラウレート0.08質量部を加えて、80℃で12時間反応させ、ウレタン化工程を実施した。イソシアネート値が0.1%以下になったのを確認し、ノルマルブタノール0.4質量部を加え、さらに2時間反応させた後、50℃まで冷却し、親水性基を有するウレタン樹脂の不揮発分60質量%溶液を得た。
その後、50℃まで冷却し、25%アンモニア水溶液を4.1質量部及び水質量部を加え、減圧下、40℃〜60℃の温度下でメチルエチルケトンを除去し、水710質量部を加えて濃度調節を行うことによって、前記ウレタン樹脂が水性媒体中に分散された不揮発分23質量%の樹脂組成物を得た。
(製造例4)
反応容器に合成例1で得られた脂肪族ポリエステルポリオール(1)50質量部と反応容器に合成例2で得られた芳香族ポリエステルポリオール(2)50質量部を減圧下100℃で脱水し、その後80℃まで冷却後、メチルエチルケトン94.1質量部を加え、攪拌し均一に混合した。次に、2,2−ジメチロールプロピオン酸8.8質量部、1,4−ブタンジオール4.2質量部を加え、次いでトリレンジイソシアネート28.1質量部、ジブチル錫ジラウレート0.08質量部を加えて、80℃で12時間反応させ、ウレタン化工程を実施した。イソシアネート値が0.1%以下になったのを確認し、ノルマルブタノール0.4質量部を加え、さらに2時間反応させた後、50℃まで冷却し、親水性基を有するウレタン樹脂の不揮発分60質量%溶液を得た。
その後、50℃まで冷却し、トリエチルアミン6.7質量部及び水710質量部を加え、減圧下、40℃〜60℃の温度下でメチルエチルケトンを除去し、水を加えて濃度調節を行うことによって、前記ウレタン樹脂が水性媒体中に分散された不揮発分23質量%の樹脂組成物を得た。
(製造例5)
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4ツ口フラスコに、窒素気流下、ポリオキシテトラメチレングリコール(重量平均分子量:2,000)100質量部、2.2’−ジメチロールプロピオン酸8.8質量部、1,4−ブタンジオール4.2質量部を加え、均一に混合した後、トリレンジイソシアネート28.1質量部を加え、次いでジブチル錫ジラウレート0.1質量部を加え、80℃で約12時間反応させ、ウレタン化工程を実施した。イソシアネート値が0.1%以下になったのを確認し、ノルマルブタノール0.4質量部を加え、さらに2時間反応させた後、50℃まで冷却し、親水性基を有するウレタン樹脂の不揮発分60質量%溶液を得た。
その後、50℃まで冷却し、トリエチルアミン6.7質量部及び水710質量部を加え、減圧下、40℃〜60℃の温度下でメチルエチルケトンを除去し、水を加えて濃度調節を行うことによって、前記ウレタン樹脂が水性媒体中に分散された不揮発分23質量%の樹脂組成物を得た。
Figure 0006264108

表2中の略称について、以下に説明する。
PUD−1:製造例1で得たウレタン樹脂
PUD−2:製造例2で得たウレタン樹脂
PUD−3:製造例3で得たウレタン樹脂
PUD−4:製造例4で得たウレタン樹脂
PUD−5:製造例5で得たウレタン樹脂
※2:使用するポリエステルポリオール全量中に含まれる芳香族環式濃度である。
<実施例1 高濃度水性顔料分散体の作成>
ウレタン樹脂PUD−1 19.6部、銅フタロシアニン顔料(PB15:3、DIC社製の製品名FASTOGEN BLUE 5327 WET)15部(固形分換算)及び、水 65.4部を混合撹拌し、この混合物に0.3mmφセラミックビーズ500部を加えた後、6筒式サンドグラインダーで6時間摩砕した。摩砕終了後、セラミックビーズを分離して、ミルベースを得た。上記で得たミルベースを出力600Wで超音波ホモジナイザーを用いて、3時間細分化処理して、高濃度の水性顔料分散体を得た。各高濃度水性顔料分散体の組成は別表に示した。
<実施例2 高濃度水性顔料分散体の作成>
前記ウレタン樹脂PUD−1の代わりにPUD−2 19.6部を使用すること以外は、実施例1と同様の方法によって、高濃度の水性顔料分散体を得た。
<実施例3 高濃度水性顔料分散体の作成>
前記ウレタン樹脂PUD−1の代わりにPUD−3 19.6部を使用すること以外は、実施例1と同様の方法によって、高濃度の水性顔料分散体を得た。
<実施例4 高濃度水性顔料分散体の作成>
前記ウレタン樹脂PUD−1の代わりにPUD−4 19.6部を使用すること以外は、実施例1と同様の方法によって、高濃度の水性顔料分散体を得た。
<比較例1 高濃度水性顔料分散体の作成>
前記ウレタン樹脂PUD−1の代わりにPUD−5 19.6部を使用すること以外は、実施例1と同様の方法によって、高濃度の水性顔料分散体を得た。
<初期分散性評価>
得られた高濃度の水性顔料分散体をマイクロトラックUPA(日機装社製「UPA−EX150」)にて測定した、粒度分布におけるD50(50%の粒子が当該粒子径以下の大きさであることを示す)にて評価した。
150nm未満→○
150〜200nm→△
200nmより大きい→×
<保存安定性の評価>
実施例1〜4、及び比較例1で得た高濃度の水性顔料分散体20mlをガラス容器に密閉し、50℃で1週間静置した後、次のように評価した。
初期粘度からの変化率±5%未満→○
初期粘度からの変化率±5〜10%未満→△
初期粘度からの変化率±10%以上→×
Figure 0006264108
表3中の略称について、以下に説明する。
PUD−1:製造例1で得たウレタン樹脂
PUD−2:製造例2で得たウレタン樹脂
PUD−3:製造例3で得たウレタン樹脂
PUD−4:製造例4で得たウレタン樹脂
PUD−5:製造例5で得たウレタン樹脂
<実施例5 水性顔料分散体の調製>
実施例1で得られた高濃度の水性顔料分散体30部と、溶媒(水、水溶性溶媒、油溶性溶媒等)、バインダー樹脂として水性ウレタン樹脂(DIC(株)製 ハイドランWLS213)8部を添加して、実施例5の水性顔料分散体を得た。各水性顔料分散体の組成は別表に示した。各例の添加時に分散攪拌機(特殊機化工業(株)製のTKホモディスパー L)にて十分攪拌した。
<実施例6 水性顔料分散体の調製>
実施例1で得られた高濃度の水性顔料分散体の代わりに実施例2で得られた高濃度の水性顔料分散体 30部を使用すること以外は、実施例5と同様の方法によって、水性顔料分散体を得た。
<実施例7 水性顔料分散体の調製>
実施例1で得られた高濃度の水性顔料分散体の代わりに実施例3で得られた高濃度の水性顔料分散体 30部を使用すること以外は、実施例5と同様の方法によって、水性顔料分散体を得た。
<実施例8 水性顔料分散体の調製>
実施例1で得られた高濃度の水性顔料分散体の代わりに実施例4で得られた高濃度の水性顔料分散体 30部を使用すること以外は、実施例5と同様の方法によって、水性顔料分散体を得た。
<比較例2 水性顔料分散体の調製>
実施例1で得られた高濃度の水性顔料分散体の代わりに比較例1で得られた高濃度の水性顔料分散体 30部を使用すること以外は、実施例5と同様の方法によって、水性顔料分散体を得た。
<評価用布帛の作製>
上記の実施例及び比較例で得られた水性顔料分散体を用いて、下記の方法により、布帛表面にプリントして、各種評価用布帛を得た。
<堅牢度評価用布帛の作製_スクリーン印刷>
オートスクリーン捺染機(辻井染機工業株式会社製)を用いてスクリーン印刷法により印字評価を行った。135メッシュのストライプ柄のスクリーンにて、各インキをポリエステル/綿布帛に印捺後、120℃、2分間乾燥させ、150℃、2分間の加熱処理を行った。印捺物を目視した結果いずれも良好な品質であった。
<評価用布帛の作製_インクジェット印刷>
インクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製、MJ−510C)のインクカートリッジに充填し、印字した。各インキをポリエステル/綿布帛に印捺後、120℃、2分間乾燥させ、150℃、2分間の加熱処理を行った。印捺物を目視した結果いずれも良好な品質であった。
<洗濯堅牢度評価方法>
スクリーン印刷により得た印捺物について、JIS L 0844:2005のA−4法に準拠して試験を繰り返し30回行った後、JIS L 0801:2004の変退色用グレースケールを用いた視感法の判定基準にしたがって、1級〜5級で等級を判定した。なお、等級は、1級が最も退色が大きく、5級に近づくほど退色が少ない。
<摩擦堅牢度評価方法>
スクリーン印刷により得た印捺物について、JIS L 0849:2004に準拠して、学振型摩擦堅牢度試験機を使用して、乾式及び湿式の試験を行った後、JIS L 0801:2004の変退色用グレースケールを用いた視感法の判定基準にしたがって、1級〜 5級で等級を判定した。なお、等級は、1級が最も退色が大きく、5級に近づくほど退色が少ない。
実施例及び比較例の水性顔料分散体の組成、各種評価結果を表4に示す。なお表中の配合の単位は部である。
Figure 0006264108
表4中の略称について、以下に説明する。
PUD−1:製造例1で得たウレタン樹脂
PUD−2:製造例2で得たウレタン樹脂
PUD−3:製造例3で得たウレタン樹脂
PUD−4:製造例4で得たウレタン樹脂
PUD−5:製造例5で得たウレタン樹脂
表4の結果から、本発明(実施例1〜4)の、ポリエステル構造を有するウレタン樹脂(A)を使用した高濃度水性顔料分散体は良好な初期分散性および、保存安定性を示した。また、本発明(実施例5〜8)の、ポリエステル構造を有するウレタン樹脂(A)を使用した水性顔料分散体を用いた布帛は、いずれも良好な洗濯堅牢度、摩擦堅牢度(乾式、湿式)を示した。一方ポリエステル構造を有さないウレタン樹脂を使用した比較例は、高濃度水性顔料分散体の初期分散性および、保存安定性は良好であったが、洗濯堅牢度、摩擦堅牢度いずれも劣ってしまった。

Claims (5)

  1. ポリオール(a1)としてポリカルボン酸とポリオールを反応させて得られるポリエステルポリオール(a1−1)と、アニオン性基、カチオン性基、ポリオキシエチレン基またはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン基である親水性基を有するポリオールと、ポリイソシアネート(a2)とを反応させて得られるウレタン樹脂を使用する顔料分散剤によって水溶性溶媒及び/または水中に顔料を分散させる製造方法で得た水性顔料分散体を、紙、布帛、人工皮革または天然皮革に印捺することを特徴とする印捺物の製造方法。
  2. 前記ポリエステルポリオール(a1−1)のポリカルボン酸に芳香族ポリカルボン酸を含むものである請求項1に記載の印捺物の製造方法。
  3. 前記ポリエステルポリオール(a1−1)全量に含まれる芳香族環式濃度が2.5モル/kg以上である請求項1または2に記載の印捺物の製造方法。
  4. ポリオール(a1)としてポリカルボン酸とポリオールを反応させて得られるポリエステルポリオール(a1−1)と、アニオン性基、カチオン性基、ポリオキシエチレン基またはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン基である親水性基を有するポリオールと、ポリイソシアネート(a2)とを反応させて得られるウレタン樹脂を使用する顔料分散剤によって水溶性溶媒及び/または水中に顔料を分散させる製造方法で得た水性顔料分散体を、紙、布帛、人工皮革または天然皮革に印捺することを特徴とする捺染方法。
  5. ポリオール(a1)としてポリカルボン酸とポリオールを反応させて得られるポリエステルポリオール(a1−1)と、アニオン性基、カチオン性基、ポリオキシエチレン基またはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン基である親水性基を有するポリオールと、ポリイソシアネート(a2)とを反応させて得られるウレタン樹脂を使用する顔料分散剤によって水溶性溶媒及び/または水中に顔料を分散させる製造方法で得た水性顔料分散体を、紙、布帛、人工皮革または天然皮革にインクジェット印捺することを特徴とするインクジェット捺染方法。
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