JP2022144611A - 加熱装置、画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

Figure 2022144611000001
【課題】ヒータの長手方向の位置のばらつきを抑制可能な加熱装置の提供。
【解決手段】第一フランジ36aに形成された第一位置決め部64aと、ステー47に形成された第二位置決め部47aにより、長手方向において第一フランジ36aに対しステー47の位置決めが行われる。第一位置決め部64aは、第一当接面64b及び第二当接面64cを有する。第二位置決め部47aは第一位置決め部64aと嵌合した状態で、第一当接面64bに第二方向において対向して接触可能な第一接触面47bと、第二当接面64cに第一方向において対向して接触可能な第二接触面47cとを有する。第一位置決め部64aと第二位置決め部47aとが嵌合した状態で、第一当接面64bと第一接触面47b、又は第二当接面64cと第二接触面47cのいずれかが接触して、ステー47の長手方向への移動を制限し得る。これにより、ヒータの長手方向の位置のばらつきを抑制できる。
【選択図】図14

Description

本発明は、複写機、プリンタ、複合機、ファクシミリなどの電子写真方式の画像形成装置に用いて好適な、記録材にトナー像を加熱定着させる加熱装置、及びそれを備えた画像形成装置に関する。
画像形成装置では、記録材上にトナー像を形成した後に、加熱装置の一例である定着装置により記録材にトナー像を定着させている。画像形成装置に用いられる定着装置として、クイックスタートや省エネルギーの観点で有利なフィルム加熱方式の定着装置が広く用いられている。この定着装置は、内周側に配置されたヒータにより加熱される定着フィルムと、定着フィルムに当接して定着ニップ部を形成する加圧ローラを有し、定着ニップ部を通過する記録材に対し熱と圧力を加えることで記録材にトナー像を定着する(特許文献1)。
特許文献1に記載の装置の場合、定着フィルムが回転しながら記録材の搬送方向に交差する長手方向に寄る所謂フィルム寄りを規制するために、定着フィルムを回転可能に支持するフランジが長手方向の両端部に設けられている。フランジは定着フレーム(詳しくは両側板)の案内溝に移動可能に設けられ、定着ニップ部は、フランジが加圧ローラ側へ向けて押下されることにより形成される。また、フランジには、ヒータを保持するヒータホルダが加圧により撓まないように補強するステーが嵌合されている。したがって、これらヒータホルダやステーも、フランジの移動に合わせて定着フィルムとともに移動する。
特開平04-044075号公報
上記した定着装置の場合、定着ニップ部において記録材の搬送方向に交差する長手方向で温度ムラが生じると、トナー像が記録材に適切に定着されなくなる虞がある。それ故、定着装置を組み立てる際には、長手方向におけるヒータの位置を考慮する必要がある。ただし、上記のフランジ、ステー、ヒータホルダなどには製造上の部品公差が生じ得る。そこで、従来では、それらに部品公差が生じても、ステーとフランジとが確実に嵌合できるように、長手方向に余裕を持たせている。また、ステーやヒータホルダはヒータの熱によって熱膨張し得ることから、ステーとフランジとが嵌合した状態で、長手方向においてステーの端面がフランジに接触しないようにそれらの間には隙間が空けられている。
しかし、そうであるが故に、個々の定着装置毎にステーとフランジとの間に異なる大きさの隙間が空いてしまい、この隙間分のガタが長手方向におけるヒータの位置のばらつきとなり個体差が生じ得る。
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、ヒータの長手方向の位置のばらつきを抑制可能な加熱装置の提供を目的とする。
本発明の一実施形態に係る加熱装置は、筒状のフィルムと、前記フィルムの内部空間に配置されたヒータと、前記ヒータの長手方向における前記ヒータの一端へ向けた方向である第一方向への前記フィルムの移動を規制する第一規制面を有し、前記長手方向における前記フィルムの一端部を回転可能に支持する第一支持部材と、前記ヒータの長手方向における前記ヒータの他端に向けた方向である第二方向への前記フィルムの移動を規制する第二規制面を有し、前記長手方向における前記フィルムの他端部を回転可能に支持する第二支持部材と、前記ヒータを保持する保持ユニットであって、前記ヒータの前記長手方向の位置を決める保持ユニットと、を備え、前記第一支持部材及び前記第二支持部材のいずれか一方は、前記保持ユニットの前記長手方向の位置を決める位置決め部を有する、ことを特徴とする。
本発明によれば、ヒータの長手方向の位置のばらつきを抑制可能な加熱装置を提供することができる。
本実施形態の加熱装置を用いて好適な画像形成装置を示す概略図。 定着装置を示す正面図。 定着装置を示す、(a)左側面図、(b)右側面図。 定着装置を示す断面図。 定着装置を示す分解図。 第一フランジを示す、(a)正面側から見た斜視図、(b)正面の反対側から見た斜視図、(c)下面側から見た斜視図。 第二フランジを示す、(a)正面側から見た斜視図、(b)正面の反対側から見た斜視図、(c)下面側から見た斜視図。 ヒータホルダを上面側から見た斜視図。 ヒータホルダを下面側から見た斜視図。 ヒータホルダを示す上面図。 ステーを示す斜視図。 第一実施形態のフィルムユニットを示す正面図。 第一実施形態のフィルムユニットを示す下面図。 ステーの位置決め構成について説明するための図。 ヒータホルダの位置決め構成について説明するための図。 第二実施形態のフィルムユニットを示す上面図。 ステーとフランジを嵌合させた状態を示す、(a)下面図、(b)一部拡大図。 フランジにおける定着フィルムの支持態様を示す図。 フィルムユニットの従来例を示す正面図。
<第1実施形態>
[画像形成装置]
本実施形態の加熱装置について説明する。本実施形態では、加熱装置としてフィルム加熱方式の定着装置を例に説明する。まず、本実施形態の定着装置(加熱装置)を用いるのに好適な画像形成装置について、図1を用いて説明する。
図1に示す画像形成装置300は、電子写真方式のタンデム型のフルカラープリンタである。画像形成装置300は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像を形成する画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdを有する。画像形成装置300は、装置本体に接続された原稿読取装置(不図示)あるいは装置本体に対し通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ等の外部機器からの画像信号に応じて、トナー像を記録材Sに形成する。記録材Sとしては、用紙、プラスチックフィルム、布などのシート材が挙げられる。
図1に示すように、画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdは装置本体内において、中間転写ベルト13の移動方向(矢印R2方向)に沿って並べて配置されている。中間転写ベルト13はテンションローラ14、二次転写内ローラ15、アイドラローラ19によって張架され、モータ(不図示)により駆動される二次転写内ローラ15によって回転方向(矢印R2方向)へと回転される。中間転写ベルト13は、感光ドラム1a、1b、1c、1dから一次転写されたトナー像を担持して搬送する。
中間転写ベルト13を張架する二次転写内ローラ15と中間転写ベルト13を挟んで対向する位置には、二次転写外ローラ25が配置され、中間転写ベルト13上のトナー像を記録材Sに転写する二次転写ニップ部T2を形成している。これら一対の二次転写内ローラ15と二次転写外ローラ25の記録材搬送方向下流には、定着装置30が配置されている。なお、本実施形態の場合、画像形成部Pa~Pd、一次転写ローラ10a~10d、中間転写ベルト13、テンションローラ14、二次転写内ローラ15、アイドラローラ19、二次転写外ローラ25などは、記録材Sにトナー像を形成可能な画像形成ユニット150を構成している。
画像形成装置300の装置本体内の下方には、記録材Sが収容されたカセット16が配置されている。カセット16に収容されている記録材Sは、搬送ローラ17により画像形成タイミングにあわせてカセット16から1枚ずつ供給される。記録材Sはレジストレーションローラ18へ搬送され、レジストレーションローラ18により斜行補正やタイミング補正が行われて、二次転写ニップ部T2へ送られる。
画像形成装置300が備える4つの画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdは、現像装置9a、9b、9c、9dで用いるトナーの色が異なることを除いて実質的に同一の構成を有する。したがって、ここでは代表してイエローの画像形成部Paについて説明し、その他の画像形成部Pb、Pc、Pdについては説明を省略する。画像形成部Paには、感光ドラム1aが配設されている。感光ドラム1aは、矢印R1方向に回転駆動される。感光ドラム1aの周囲には帯電ローラ2a、露光装置11a、現像装置9a、一次転写ローラ10a、ドラムクリーナ3aが配置されている。
画像形成動作が開始された場合、まず回転する感光ドラム1aの表面が帯電電源20aにより電圧が印加された帯電ローラ2aによって一様に帯電される。次いで、感光ドラム1aは、露光装置11a(例えば、レーザースキャナ)から発せられるレーザ光により走査露光される。これにより、感光ドラム1a上に画像信号に応じた静電潜像が形成される。感光ドラム1a上に形成された静電潜像は、現像装置9a内に収容されているトナー(現像剤)によって現像され、トナー像となる。
感光ドラム1aに形成されたトナー像は、中間転写ベルト13を挟んで配置される一次転写ローラ10aとの間に形成される一次転写部にて、中間転写ベルト13に一次転写される。この際、一次転写ローラ10aには一次転写電源22aにより一次転写電圧が印加される。なお、一次転写後に感光ドラム1a上に僅かに残る一時転写残トナーは、ドラムクリーナ3aによって感光ドラム1aから除去される。
上記したような動作をイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各画像形成部Pa~Pdで順次行うことで、中間転写ベルト13上に4色それぞれのトナー像を形成し得る。その後、トナー像の形成タイミングにあわせて、カセット16から記録材Sが1枚ずつ二次転写ニップ部T2へ向け搬送される。そして、二次転写外ローラ25に対し二次転写電源26により二次転写電圧が印加されることにより、記録材Sが二次転写ニップ部T2を通過する際に、中間転写ベルト13上に形成されたトナー像が記録材Sに二次転写される。なお、記録材Sが二次転写ニップ部T2を通過した後に中間転写ベルト13上に僅かに残る二次転写残トナーは、ベルトクリーナ27によって中間転写ベルト13から除去される。
中間転写ベルト13からトナー像が転写された記録材Sは、定着装置30へ向けて搬送される。定着装置30では、記録材Sを挟持搬送しながら記録材Sに熱及び圧力を加えることにより、トナー像を記録材Sに定着させる。本実施形態の定着装置30については、後述する。定着装置30によりトナー像が定着された記録材Sは、排出トレイ41に排出される。
[定着装置]
次に、本実施形態の定着装置30について、図2乃至図5を用いて概要を説明する。図2は、定着装置30を示す正面図である。図3(a)は定着装置30を示す左側面図、図3(b)は定着装置30を示す右側面図である。図4は、定着装置30を示す断面図である。図5は、定着装置30を示す分解図である。ただし、図5において、定着フィルム33は図示を省略している。
なお、以下の説明では、定着装置30を記録材Sの搬送方向(矢印Y方向)の下流側(記録材Sの排出側)から見た場合を「正面」、正面から見て右側を「右」、正面から見て左側を「左」と呼ぶ(図5参照)。また、定着フィルム33側から加圧ローラ37を見た場合を「上面」、加圧ローラ37側から定着フィルム33を見た場合を「下面」と呼ぶ。さらに、「上流」、「下流」とは、特に断りのない限り、定着ニップ部Nを通過する記録材Sの搬送方向の上流、下流のことを言う。「長手方向(幅方向)」とは、記録材Sの搬送方向(矢印Y方向)に交差する方向、言い換えれば加圧ローラ37の回転軸線方向のことを言う。
本実施形態の定着装置30は、フィルム加熱方式を採用したものである。この定着装置30は、図2に示すように、大別して、定着フィルム33を有するフィルムユニット38、加圧ローラ37、加圧機構(118A、118B(図3(a)、図3(b)参照))、一対の側板(39a、39b)を備える。本実施形態の場合、例えばSUS(ステンレス)やAl(アルミニウム)等の金属や、例えば鋼板により形成された第一側板39a、第二側板39bが、長手方向において互いに対向するように底板39dの両端部側に立設されている。フィルムユニット38、加圧ローラ37は、これら第一側板39a、第二側板39bに支持されている。
[加圧ローラ]
回転体としての加圧ローラ37は長手方向両端部において、回転軸が軸受(40a、40b)に回転可能に支持されており、軸受(40a、40b)は第一側板39a、第二側板39bにそれぞれ保持されている。加圧ローラ37は、図4に示すように、芯金37a(回転軸)と、加圧部とを有する。加圧部は、芯金37aの周囲に設けられた弾性層37bと、弾性層37bの周囲に設けられた離型層37cとにより形成されている。例えば、芯金37aは鋼材が用いられ、弾性層37bはシリコーンゴムにより形成され、離型層37cは主にPFA(テトラフルオロエチレン パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)により形成されている。なお、加圧部の長手方向長さは例えば「226mm」に形成され、加圧部の外径は例えば「20mm」に形成される。
図2に示すように、加圧ローラ37は、定着フィルム33の外周面に当接し、記録材Sを挟持搬送しつつ熱を加える定着ニップ部Nを形成する。加圧ローラ37は、モータ(不図示)の駆動力を伝達する駆動ギア58により回転される。加圧ローラ37が回転することに伴い、定着ニップ部Nに生じる摩擦力によって、加圧ローラ37の回転力が定着フィルム33へと伝達される。こうして、筒状の定着フィルム33が加圧ローラ37により回転駆動される。画像形成ユニット150(図1参照)によりトナー像が形成された記録材Sは、回転する加圧ローラ37と定着フィルム33とにより形成される定着ニップ部Nで加圧されながら挟持搬送される。
加圧ローラ37が回転駆動されることに伴って定着フィルム33が従動回転すると、定着フィルム33の内部空間に配置されたヒータ34(図4参照)によって定着フィルム33への加熱が行われる。画像形成ユニット150(図1参照)によりトナー像が形成された記録材Sは、例えばヒータ34の温度が予め決められた目標温度に調整された状態のときに、定着ニップ部Nへ搬送される。なお、ヒータ34の温度は、画像形成条件などに応じて適宜設定することが可能であり、必ずしも予め決められていなくてもよい。そして、記録材Sが定着ニップ部Nで挟持搬送される際に、ヒータ34に加熱された定着フィルム33を介して記録材Sに熱が加えられて、トナー像が記録材Sに定着される。
[フィルムユニット]
次に、フィルムユニット38について説明する。フィルムユニット38は、筒状の定着フィルム33と、保持ユニット200と、保持ユニット200を支持するフランジ(36a、36b)とを有する。保持ユニット200は、図4、図5に示すように、ヒータ34を保持するヒータホルダ35と、ヒータホルダ35を支持するステー部材としてのステー47とを有する。本実施形態の場合、保持ユニット200は、後述するように、ステー47を介してフランジ(36a、36b、図2参照)に支持される。なお、保持ユニット200は、定着フィルム33の内周側に非回転に配設される。
[定着フィルム]
定着フィルム33は、無端状(筒状)に形成された可撓性を有する薄肉の耐熱性フィルムである。定着フィルム33は、基層、弾性層、表層の3層からなる。本実施形態では、基層として例えばポリイミドを用いている。基層の上に、シリコーンゴムからなる弾性層、PFAからなる離型層を用いている。定着フィルム33の内径は例えば「18mm」に形成され、定着フィルム33の外周長はおよそ「58mm」に形成されている。また、定着フィルム33の長手方向長さは例えば「233mm」である。回転する定着フィルム33と、定着フィルム33に内周側から当接するヒータホルダ35及びヒータ34との間に生じる摩擦力を低減するために、定着フィルム33の内周面には潤滑剤としてグリスが塗布されている。本実施形態の場合、後述するように、定着フィルム33は長手方向の移動が規制されるように、フランジ(36a、36b)に回転可能に外嵌されている。
[ヒータ]
定着フィルム33を加熱するヒータ34は、例えばセラミックヒータである。ヒータ34は定着フィルム33の内周面に当接して、回転する定着フィルム33を加熱する。これにより、記録材Sが定着ニップ部Nを通過する際に、ヒータ34の熱が定着フィルム33を介して記録材Sに伝導することで、トナー像が熱により溶融されて記録材Sに定着される。
図5にヒータ34を示す。記録材Sの搬送方向であるY軸方向は、ヒータ34の短手方向であると称することもできる。Y軸方向と直交するX軸方向は、ヒータ34の長手方向であると称することもできる。Y軸方向と直交するZ軸方向は、ヒータ34の厚さ方向であると称することもできる。
ヒータ34は、図5に示すような長手方向に細長い基板と、基板の長手方向に沿って配置される発熱抵抗体(不図示)と、発熱抵抗体を覆う保護部材(不図示)とを有する。ヒータ34は、発熱抵抗体に通電されることにより発熱する。基板としては、例えばセラミックであるアルミナ(Al)が用いられる。セラミック基板としてはアルミナの他に、窒化アルミ(AlN)、ジルコニア(ZrO)、炭化ケイ素(SiC)等の基板があるが、アルミナのセラミック基板は、価格的に安く工業的に入手容易である。あるいは、基板として強度に優れた金属基板を用いてもよい。金属基板としては、例えばステンレス(SUS)の基板が価格的にも強度的にも優れており好ましい。セラミック基板、金属基板のいずれを用いる場合でも、導電性を有する場合は絶縁層を設ける。保護部材は、例えばガラスなどである。なお、発熱抵抗体の長手方向長さは、定着フィルム33の長手方向長さより短く、例えば「222mm」である。
[加圧機構]
上記のフィルムユニット38は長手方向両端部において、加圧機構(118A、118B)によって加圧ローラ37側に向けて移動可能に第一側板39a、第二側板39bに設けられている。加圧手段としての加圧機構(118A、118B)は、第一側板39aと第二側板39bに、図3(a)と図3(b)に示すような、同じ構造のものがそれぞれ配設されている。
加圧機構118A(118B)は、加圧板52a(52b)と、加圧バネ50a(50b)を有する。加圧板52a(52b)は一端側が揺動中心となるようにして、第一側板39a(39b)に対し揺動可能に設けられている。加圧板52a(52b)は、フランジ36a(36b)に当接するようにして記録材Sの搬送方向(矢印Y方向)に延びている。加圧バネ50a(50b)は、加圧板52a(52b)をフランジ36a(36b)に当接させた状態で加圧方向(矢印Z方向と反対側)へ向けて付勢する。本実施形態の場合、加圧バネ50a(50b)は、一端が第一側板39aと第二側板39bに架け渡されるように設けられた上フレーム39cに取り付けられ、他端が加圧板52a(52b)に取り付けられている。加圧バネ50a(50b)は、例えば圧縮バネである。
図3(a)及び図3(b)に示すように、第一側板39aと第二側板39bには、案内溝51a、51bが設けられている。案内溝51a、51bには軸受40a、40bが装着、位置決めされ、この軸受40a、40bに加圧ローラ37の芯金37a(図4参照)の両端が回転可能に支持されている。芯金37aの上方には、後述するようにフランジ36a(36b)を介してヒータホルダ35が配置される。
定着フィルム33、加圧ローラ37(詳しくは加圧部)及び、ヒータ34の発熱抵抗体(不図示)はそれぞれの長手方向の中央をそろえて配置され、記録材Sはその中心を中央に合わせて搬送される(所謂、中央基準搬送)。したがって、本実施形態では、ヒータ34の発熱抵抗体の長手方向両端の外側まで定着フィルム33や加圧ローラ37が存在する。そして、図2に示すように、ヒータホルダ35の長手方向長さは、第一側板39aと第二側板39b間の距離よりも長い。これにより、ヒータ34の発熱抵抗体が記録材Sからはみ出すことにより生じ得る定着フィルム33の昇温を抑制するようにしている。
上記したように、第一側板39a、第二側板39bは、長手方向において互いに対向するように底板39dの両端側に立設されて、底板39dと反対側の一端で上フレーム39cにより固定されている。図5に示すように、上フレーム39cの孔部39c1は、第一側板39aの鉤部39a1に係合する。上フレーム39cの孔部39c2は、第二側板39bの鉤部39b1に係合する。上フレーム39cの孔部39c5は、第一側板39aの突起部39a3に係合する。上フレーム39cの孔部39c6は、第二側板39bの突起部39b3に係合する。
定着装置30を組み立てる場合、第一側板39aの案内溝51aと第二側板39bの案内溝51bには、以下に示す順番で各部材が組み付けられる。1番目は加圧ローラ37を支持する軸受40aと軸受40b、2番目はヒータ34を保持したヒータホルダ35、3番目はステー47、4番目はフランジ36aとフランジ36bである。これらのうち、案内溝51aを形成する第一側板39aの縁部39a2と、案内溝51bを形成する第二側板39bの縁部39b2とにそれぞれ接触するのは、軸受40aと軸受40b、フランジ36aとフランジ36bである。
フランジ(36a、36b)はヒータホルダ35より上方に、第一側板39aの案内溝51a、第二側板39bの案内溝51bに沿ってスライド移動可能に組み付けられる。そして、フランジ(36a、36b)は、加圧板(52a、52b)を介して加圧バネ(50a、50b)により加圧ローラ37に向かう加圧方向に加圧される。加圧板52aの一端は、上フレーム39cの孔部39c3に挿し込まれている。加圧板52bの一端は、上フレーム39cの孔部39c4に挿し込まれている。即ち、加圧板(52a、52b)は、孔部(39c3、39c4)を揺動中心として、加圧バネ(50a、50b)により揺動可能に取り付けられる。
[フランジ]
次に、フランジ36a(36b)について説明する。フランジ36a(36b)は、フィルムユニット38における定着フィルム33の長手方向移動及び周方向の形状を規制するために設けられている。フランジ36a(36b)の材質は耐熱樹脂であり、本実施形態ではLCP(Liquid Cristal Polymer)を用いた。
まず、本実施形態においてフィルムユニット38の第一フランジ36aを、図6(a)乃至図6(c)に示す。 図6(a)は左側の第一フランジ36aを正面側(下流側から上流側へ)から見た斜視図、図6(b)は第一フランジ36aを正面の反対側(上流側から下流側へ)から見た斜視図、図6(c)は第一フランジ36aを下面側から見た斜視図である。
第一支持部材としての第一フランジ36aは、端部規制部66a1、内周規制部56a、被押圧部66Saを有し、定着フィルム33の一端部を回転可能に支持する。端部規制部66a1は、回転する定着フィルム33の一端面(コバ面)と接触する第一規制面63aを有し、定着フィルム33が長手方向と平行な第一方向(矢印X方向)へ移動するのを規制する(寄り規制などと呼ばれる)。内周規制部56aは定着フィルム33を内側から支持して、定着フィルム33の回転を案内する。被押圧部66Saは加圧機構118A(図3(a)参照)による押圧力を受ける凸部を有し、端部規制部66a1を挟んで内周規制部56aの反対側に設けられている。また、被押圧部66Saの上面側には、加圧板52aを取り付けるために突出した取付部66Paが形成されている。そして、被押圧部66Saの下面側には、ステー47を嵌合するための嵌合部61a6が形成されている。したがって、被押圧部66Saはステー47に接触して、加圧板52aを介して加圧バネ50aから受けた加圧力をステー47に伝える。
本実施形態の場合、第一フランジ36aは、嵌合部61a6に第一当接面64b及び第二当接面64cを含む第一位置決め部64aが形成されている。第一位置決め部64aについては後述する(図14参照)。
次に、本実施形態においてフィルムユニット38の第二フランジ36bを、図7(a)乃至図7(c)に示す。 図7(a)は右側の第二フランジ36bを正面側(下流側から上流側へ)から見た斜視図、図7(b)は第二フランジ36bを正面の反対側(上流側から下流側へ)から見た斜視図、図7(c)は第二フランジ36bを下面側から見た斜視図である。
第二支持部材としての第二フランジ36bは、端部規制部66b1、内周規制部56b、被押圧部66Sbを有し、定着フィルム33の他端部を回転可能に支持する。端部規制部66b1は、回転する定着フィルム33の他端面(コバ面)と接触する第二規制面63bを有し、長手方向において定着フィルム33が第一方向と反対の第二方向へ移動するのを規制する。内周規制部56bは定着フィルム33を内側から支持して、定着フィルム33の回転を案内する。被押圧部66Sbは加圧機構118B(図3(b)参照)による押圧力を受ける凸部を有し、端部規制部66b1を挟んで内周規制部56bの反対側に設けられている。また、被押圧部66Sbの上面側には、加圧板52bを取り付けるために突出した取付部66Pbが形成されている。そして、被押圧部66Sbの下面側には、ステー47を嵌合するための嵌合部61b6が形成されている。したがって、被押圧部66Sbはステー47に接触して、加圧板52bを介して加圧バネ50bから受けた加圧力をステー47に伝える。
[ヒータホルダ]
次に、ヒータホルダ35について、図8乃至図10を用いて説明する。ヒータホルダ103は、ヒータ34を保持するとともに定着フィルム33をガイドするために、また定着フィルム33を介して加圧ローラ37との間で定着ニップ部Nをより確実に形成するために設けられている。ヒータホルダ35の材質は耐熱樹脂であり、本実施形態ではLCP(Liquid Cristal Polymer)を用いた。
図8は、ヒータホルダ35を上面側(ステー47側)から見た斜視図である。図8に示すように、ヒータホルダ35には、回転する定着フィルム33の内周に当接して定着フィルム33を案内するためのリブ35rが、上流側と下流側の両方に長手方向に亘って複数形成されている。そして、本実施形態の場合、ヒータホルダ35は、ステー47に対する長手方向における位置を位置決めする第四位置決め部129を有している。第四位置決め部129については後述する(図15参照)。
図9は、ヒータホルダ35を下面側(加圧ローラ37側)から見た斜視図である。図9に示すように、ヒータホルダ35には、ステー47側の面と反対側(定着ニップ部N側)の面に、ヒータ34を嵌合して保持可能な嵌め込み凹部35aが長手方向に沿って延びた形状に形成されている。ヒータ34は長手方向の一端側が、嵌め込み凹部35aにおいて第一側板39a側に形成されている凸状部49に突き当てられて、ヒータホルダ35に固定されている。また、ヒータホルダ35には、長手方向において中央部近傍に設置孔35bが形成され、設置孔35bにヒータ34の温度を検出する温度センサ(不図示)が設置されている。
図10は、ステー47側から見たヒータホルダ35を示す上面図である。図10に示すように、ヒータホルダ35は、後述するように第四位置決め部129により長手方向においてステー47に対し位置決めされる。その際に、ヒータホルダ35が第四位置決め部129を軸に揺動しないように、ヒータホルダ35にはステー47に対する動きを規制するための係止部35cが形成されている。係止部35cは、ヒータホルダ35の下流側にステー47と接触する箇所に形成されている。係止部35cは、長手方向の両端に近い箇所を含む複数位置に形成され、ステー47に対するヒータホルダ35の相対角度のずれを小さくして、ヒータホルダ35をステー47に保持させ得る。
上記したヒータホルダ35は、定着フィルム33と加圧ローラ37とが当接した状態のときに弓状に変形しないように、ステー47によって変形が抑制される。ステー47は定着フィルム33に沿って長手方向に延びる例えば金属製の剛性部材であり、図2に示すように、加圧ローラ37側に開口を有するように横断面が略U字状に形成されている。
[ステー]
ステー47について、図11を用いて説明する。図11は、ステー47を示す斜視図である。ステー47の材質は金属であり、本実施形態では亜鉛メッキ鋼板を用いた。ステー47は長手方向両端部に、第一フランジ36aの嵌合部61a6(図6(c)参照)と第二フランジ36bの嵌合部61b6(図7(c)参照)それぞれに嵌合する、ステー嵌合部47dを有する。また、ステー47は、第二フランジ36b側にヒータホルダ35を係合するためのホルダ係合部47mを有する。
そして、本実施形態の場合、ステー47は第一フランジ36a側に、ヒータホルダ35の第四位置決め部129(図10参照)に嵌合する、第三当接面47f及び第四当接面47gを含む第三位置決め部47eを有する(後述する図15参照)。また、ステー47は、第一フランジ36aの第一位置決め部64a(図6(c)参照)に嵌合することで、第一フランジ36aに対する保持ユニット200の長手方向における位置を位置決めする第二位置決め部47aを有する(後述する図14参照)。
本実施形態では、フランジ(36a、36b)が一対の側板(39a、39b)にそれぞれ配置され、ステー47は二つのフランジ(36a、36b)のうち第一フランジ36a側を基準に長手方向の位置が決まる。また、ヒータホルダ35はステー47に対し第一フランジ36a側を基準に長手方向の位置が決まる。そして、ヒータ34はヒータホルダ35の嵌め込み凹部35a(図9参照)により長手方向の位置が決まる。
<側板とフランジ>
まず、第一側板39aに対する第一フランジ36aの配置について、図6(a)、図6(b)を参照しながら、図12及び図13を用いて説明する。図12は、フィルムユニット38を示す正面図である。図13は、フィルムユニット38を示す下面図である。なお、説明を理解しやすくするために、図12及び図13では定着フィルム33の図示を省略している。
第一フランジ36aは、上述したように端部規制部66a1を有する。端部規制部66a1は、第一フランジ36aの上流から下流にかけて形成されている。図6(a)に示すように、端部規制部66a1の下流側には、長手方向において対向するように挟持部61a1、61a2が形成されている。また、図6(b)に示すように、端部規制部66a1の上流側には、長手方向において対向するように挟持部61a3、61a4が形成されている。
そして、図13に示すように、長手方向において、挟持部61a1と挟持部61a3が第一側板39aの内側面39a4に対向し、挟持部61a2と挟持部61a4が第一側板39aの外側面39a5に対向している。そうなるように、第一フランジ36aは第一側板39aに配置される。即ち、図12に示すように、第一フランジ36aは、挟持部61a1と挟持部61a2との間に(また、挟持部61a3と挟持部61a4との間に)、第一側板39aを挟んで配置される。
次に、第二側板39bに対する第二フランジ36bの配置について、図7(a)、図7(b)を参照しながら、図12及び図13を用いて説明する。第二フランジ36bは、上述したように端部規制部66b1を有する。端部規制部66b1は、第二フランジ36bの上流から下流にかけて形成されている。図7(a)に示すように、端部規制部66b1の下流側には、長手方向において対向するように挟持部61b1、61b2が形成されている。また、図7(b)に示すように、端部規制部66b1の上流側には、長手方向において対向するように挟持部61b3、61b4が形成されている。
そして、図13に示すように、長手方向において、挟持部61b1と挟持部61b3が第二側板39bの内側面39b4に対向し、挟持部61b2と挟持部61b4が第二側板39bの外側面39b5に対向している。そうなるように、第二フランジ36bは第二側板39bに配置される。即ち、図12に示すように、第二フランジ36bは、挟持部61b1と挟持部61b2との間に(また、挟持部61b3と挟持部61b4との間に)、第二側板39bを挟んで配置される。
<フランジとステー>
次に、フランジ(36a、36b)に対するステー47の配置について、図14を用いて説明する。図14はステー47の位置決め構成について説明するための図であり、後述の第一位置決め部64aと第二位置決め部47aとを含む面におけるフィルムユニット38の断面図である。
本実施形態では長手方向において、二つのフランジ(36a、36b)のうちの一方の第一フランジ36aに対してステー47が位置決めされる。第一フランジ36aに対するステー47の位置決めは、第一フランジ36aに形成された第一位置決め部64aと、ステー47に形成された第二位置決め部47aとが嵌合することによってなされる。第一位置決め部64aは、ステー47の長手方向の端部よりも中央側で第二位置決め部47aと嵌合し、ステー47の長手方向への移動を制限する。
第一位置決め部64aは、第一当接面64b及び第二当接面64cを有する。第二位置決め部47aは第一位置決め部64aと嵌合した状態で、第一当接面64bに第二方向(矢印X方向と反対方向)において対向して接触可能な第一接触面47bと、第二当接面64cに第一方向(矢印X方向)において対向して接触可能な第二接触面47cとを有する。本実施形態の場合、第一位置決め部64aと第二位置決め部47aとが嵌合した状態で、第一当接面64bと第一接触面47b、又は第二当接面64cと第二接触面47cのいずれかが接触して、ステー47の長手方向への移動を制限し得る。例えば、第一位置決め部64aは、第一フランジ36aの嵌合部61a6から搬送方向及び長手方向に交差する方向に突出した凸形状に形成されている。第二位置決め部47aは、ステー嵌合部47d(図11参照)において凸形状の第一位置決め部64aに嵌合する凹形状に形成されている。これら第一位置決め部64aと第二位置決め部47aを嵌合させることで、長手方向において第一フランジ36aに対するステー47の位置決め、ひいては長手方向におけるヒータ34の位置決めが行われる。
他方、本実施形態の場合、第二フランジ36bは上記した第一位置決め部64aを有しておらず、またステー47は上記した第二位置決め部47aを有していない。これは、ヒータ34の熱によりステー47が熱膨張した場合に、ステー47が両端を支持するフランジ(36a、36b)に干渉し難くするためである。また、ステー47の一端面及び他端面は、ステー47がフランジ(36a、36b)に支持された状態で、長手方向において、フランジ(36a、36b)との間にそれぞれ隙間70を有している。隙間70を設けることで、ステー47が長手方向に膨張しても、第一フランジ36aや第二フランジ36bに干渉しない。仮に、両方のフランジ(36a、36b)に対してステー47を位置決めすると、膨張したステー47が第一側板39aと第二側板39bとの間で突っ張った状態になり撓むなどするので好ましくない。
本実施形態の場合、第一位置決め部64a及び第二位置決め部47aは、ステー47がフランジ(36a、36b)に支持された状態で、搬送方向において、ステー47の中央よりも下流側に形成されている。これは、定着ニップ部Nを挟んで上流側は下流側に比べ、記録材Sの通過による温度低下が生じずに高温であり、ステー47の熱膨張が生じやすいからである。
<ステーとヒータホルダ>
次に、ステー47に対するヒータホルダ35の配置について、図15を用いて説明する。図15はヒータホルダ35の位置決め構成について説明するための図であり、後述の第三位置決め部47eと第四位置決め部129とを含む面におけるフィルムユニット38の断面図である。
本実施形態では長手方向において、ステー47に対してヒータホルダ35が位置決めされる。ステー47に対するヒータホルダ35の位置決めは、ステー47に形成された第三位置決め部47eと、ヒータホルダ35に形成された第四位置決め部129とが嵌合することによってなされる。第三位置決め部47eは、ステー47がフランジ(36a、36b)に支持された状態で、長手方向において、長手方向の中央よりも第一フランジ36a側(第一支持部材側)に形成されている。
第三位置決め部47eは、第三当接面47f及び第四当接面47gを有する。第四位置決め部129は第三位置決め部47eと嵌合した状態で、第三当接面47fに第二方向(矢印X方向と反対方向)において対向して接触可能な第三接触面129aと、第四当接面47gに第一方向(矢印X方向)において対向して接触可能な第四接触面129bとを有する。本実施形態の場合、第四位置決め部129は、ヒータホルダ35から搬送方向及び長手方向に交差する方向に突出した凸形状に形成されている。第三位置決め部47eは、ステー嵌合部47d(図11参照)において凸形状の第四位置決め部129に嵌合する凹形状に形成されている。これら第三位置決め部47eと第四位置決め部129を嵌合させることで、長手方向においてステー47に対するヒータホルダ35の位置決めが行われる。
なお、第三位置決め部47e及び第四位置決め部129は、強度の観点から、長手方向また記録材Sの搬送方向において上述した第一位置決め部64a及び第二位置決め部47aの近傍であるが、異なる位置に形成されているのが好ましい。本実施形態の場合、第三位置決め部47e及び第四位置決め部129は、第一位置決め部64a及び第二位置決め部47aに比較して、長手方向においてステー47の中央側に形成され、搬送方向において上流側に形成されている。
<ヒータホルダとヒータ>
次に、図9及び図13を参照して、ヒータホルダ35に対するヒータ34の配置について説明する。上述したように、ヒータホルダ35には嵌め込み凹部35aが形成され、図13に示すように、嵌め込み凹部35aは第一側板39a側に側面から内側に向けて長手方向に突出する凸状部49を有する。また、嵌め込み凹部35aは下流側に、ヒータ34に当接する当接部53a、53bを有する。嵌め込み凹部35a内において、ヒータ34は長手方向の一端34dが凸状部49に突き当てられ、また下流側の側面34aが当接部53a、53bに突き当てられている。なお、長手方向におけるヒータ34の他端34fは、ヒータホルダ35に突き当てることなく自由にし、隙間71を有する。隙間71により、ヒータ34やヒータホルダ35の部品公差、またヒータ34の熱によるヒータホルダ35の熱膨張の影響を抑制できるようにしている。
<従来の構成>
ここで、比較のために、従来のフィルムユニット380を図19に示す。図19は、従来のフィルムユニット380を示す正面図である。図19から理解できるように、従来のフィルムユニット380では、フランジ(136a、136b)とステー147とを長手方向において精度よく位置決めする構成がとられていない。
フランジ(136a、136b)は、それぞれ第一側板39a、第二側板39bに配置されている。従来例においても、フランジ136aは嵌合部61a6(図6(c)参照)を有し、フランジ136bは嵌合部61b6(図7(c)参照)を有しており、ステー147は長手方向両端部にこれらに嵌合するステー嵌合部147dを有する。ただし、従来例ではフランジ136aに上述した第一位置決め部64aが形成されておらず、またステー147には上述した第二位置決め部47aが形成されていない。そのため、従来例の場合、長手方向において、ステー嵌合部147dの両端面(147a、147b)のいずれか一方が、対向するフランジ(136a、136b)の対向面(136c、136d)に突き当てられることで、ステー147の位置が大よそ決まる。
ステー147やヒータホルダ35の部品公差やヒータ34の熱による熱膨張を考慮して、フランジ(136a、136b)の対向面(136c、136d)の間の距離はステー嵌合部147dの両端面(147a、147b)の間の長さよりも大きい。つまり、ステー147が熱膨張により長手方向に伸長した場合に、フランジ(136a、136b)間で突っ張らないように、対向面136cと端面147aの間、もしくは対向面136dと端面147bの間のどちらか、もしくは両方に隙間170を確保する。このため、ヒータ34の位置は隙間の範囲で定まらないことになる。左右のフランジ(136a、136b)間の長さは、例えばA4サイズからレターサイズまでの記録材Sを用いる場合で「200mm」以上になるため、隙間170は比較的に大きく確保される。
このような従来例に対し、上述したように、本実施形態では、第一フランジ36aに形成した第一位置決め部64aと、ステー47に形成した第二位置決め部47aにより、長手方向において第一フランジ36aに対してステー47の位置決めが行われる。また、ステー47に形成した第三位置決め部47eと、ヒータホルダ35に形成した第四位置決め部129とにより、長手方向においてステー47に対してヒータホルダ35の位置決めが行われる。そして、ステー47やヒータホルダ35の熱膨張による影響を、少なくとも第一位置決め部64aや第二位置決め部47aが形成される第一フランジ36a側とは反対の第二フランジ36b側に隙間70を設けることで抑制している。こうして、第一側板39aからフランジ36a、ステー47、ヒータホルダ35と順次に長手方向における位置決めが行われることにより、ヒータ34の位置決め精度が向上する。
以上のように、本実施形態において、ヒータ34は第一フランジ36aとステー47間の位置決め構成、ステー47とヒータホルダ35間の位置決め構成、ヒータホルダ35とヒータ34間の位置決め構成に従い、順次に長手方向の位置決めが行われる。これにより、ヒータ34の長手方向の位置のばらつきを抑制でき、従来のように熱膨張を考慮して緩くステー147を保持する構成に比べ(図19参照)、長手方向におけるヒータ34の位置精度を向上することができる。
本実施形態では長手方向おいて、ヒータ34の位置精度を向上でき、従来例に比較して、ヒータ34の発熱抵抗体のはみ出し量が多いことによる非通紙部での昇温や、発熱抵抗体のはみ出し量が少ないことによる端部の温度低下(温度ダレ)を軽減できる。また、個々の定着装置30毎にヒータ34の位置に個体差が生じ難いので、消費電力を増すことを抑制することができる。
なお、上述した実施形態では、第一位置決め部64aと第四位置決め部129の形状を凸形状とし、第二位置決め部47aと第三位置決め部47eの形状を凹形状としたが、これに限らない。例えば、第一位置決め部64aと第四位置決め部129の形状を凹形状とし、第二位置決め部47aと第三位置決め部47eの形状を凸形状としてもよい。第一位置決め部64aと第二位置決め部47a、第三位置決め部47eと第四位置決め部129がそれぞれ嵌合する形状であれば、どのような形状の組み合わせであってもよい。
<第二実施形態>
次に、第二実施形態のフィルムユニット38Aについて、図16乃至図18を用いて説明する。図16は、第二実施形態のフィルムユニット38Aを示す上面図である。ただし、図16では説明を理解しやすくするために、定着フィルム33の図示を省略している。図17(a)はステー47と第一フランジ236aを嵌合させた状態を示す下面図であり、図17(a)は一部拡大図である。図18は、第一フランジ236aに対する定着フィルム33の密着を示す図である。
なお、第二実施形態のフィルムユニット38Aにおいて、上述した第一実施形態のフィルムユニット38(図2参照)と同様の構成には同じ符号を付し、説明を簡略又は省略する。また、ここでは説明を省略するが、第二実施形態のフィルムユニット38Aも第一実施形態のフィルムユニット38と同様に、上述した第一位置決め部64aと第二位置決め部47a、第三位置決め部47eと第四位置決め部129が形成されていてよい。
図16に示すように、第2実施形態のフィルムユニット38Aでは第1実施形態と異なり、回転する定着フィルム33の端面(コバ面)と接触する第一規制面263aと第二規制面263bとの間隔が、定着ニップ部Nを挟んで下流側よりも上流側が狭い。即ち、フランジ(236a、236b)がステー47を嵌合した状態で、上面から見て第一規制面263aと第二規制面263bとの間隔が下流側よりも上流側が狭くなるように、第一規制面263aと第二規制面263bとが中央側に傾くように形成されている。
図17(a)に示すように、第一フランジ236aには、ステー47の中心線Cを基準とする搬送方向への傾きを規定するために、接触部261a7、接触部261a8、接触部261a9、接触部261a10が形成されている。接触部261a7、261a8は嵌合するステー47の接触面47hと対向し、接触部261a9、261a10は嵌合するステー47の接触面47jと対向する。
第一フランジ261aの第一規制面263aに直交する直線Iと、ステー47の中心線Cとの角度は、部品公差によって生じる接触部261a7と接触面47h、接触部261a10と接触面47jとが接触する状態と、接触部261a8と接触面47h、接触部261a9と接触面47jとが接触する状態との間の範囲に規制される。長手方向における接触部261a7と接触部261a8間の長さ、接触部261a9と接触部261a10間の長さは共に、例えば「L=9mm」である。そして、対向する接触部261a7と接触部261a9の間隔、対向する接触部261a8と接触部261a10の間隔は、ステー47がほぼ略一致して嵌る幅Wに設定されている。
本実施形態の場合、第一フランジ236aの第一規制面263aに直交する直線I、及び内周規制部256aの延長線が、ステー47の中心線Cに対して下流側を向くように、ステー47が第一フランジ236aに保持される。図示を省略したが、長手方向他端側の第二フランジ236bも、上記した第一フランジ236aと同様の構成である。これにより、フランジ(236a、236b)にステー47を嵌め合わせると、上述したように、上面から見て第一規制面263aと第二規制面263bとの間隔が下流側よりも上流側が狭くなるように、第一規制面263aと第二規制面263bとが内側に傾く。
本実施形態では、フランジ(236a、236b)の接触部261a7と接触部261a8、接触部261a9と接触部261a10が長手方向の異なる位置で幅Lを持ってステー47と接触する。そのため、フランジ(236a、236b)とステー47の角度が精度よく決まる。フランジ(236a、236b)とステー47との間に傾きを付けたため、ステー47に保持されるヒータホルダ35に対してもフランジ(236a、236b)との間に傾きが与えられる。
図18は、長手方向から見た第一フランジ236aにおける定着フィルム33の支持態様を示す図である。なお、ここでは、第一フランジ236aを例に説明するが、第二フランジ236bも同様である。
上述したように、第一規制面263aが内側に傾けられている場合、定着フィルム33の端部は、第一規制面263aにおいて上流側部分である図18に示す灰色部分「X1」に相当する範囲で当接する。ここで、定着ニップ部Nの上流側において、定着フィルム33は加圧ローラ37による駆動を受けて、第一フランジ236aの内周規制部256a側に引き寄せられる軌道をとりながら回転する。それ故、定着フィルム33は第一フランジ236aの内周規制部256aの上流側に巻き付き、上流側で規制された状態となる。一方で、定着ニップ部Nの下流側において定着フィルム33は、第一フランジ236aの内周規制部256aに密着せずに自由形状となっている。これは、定着フィルム33は第一フランジ236aにおいて内周規制部256aに外嵌されるために、定着フィルム33の内周長が内周規制部256aとヒータホルダ35によって形成される外周長よりも長いことによる。
以上のように、本実施形態では、ステー47に対してフランジ(236a、236b)を傾け、定着ニップ部Nの上流側で左右のフランジ(236a、236b)の規制面(263a、263b)間の距離が短くなるようにしている。こうすると、定着フィルム33は、フランジ(236a、236b)に密着した状態の定着ニップ部Nの上流側で規制面(263a、263b)により規制される。これにより、内周規制部(256a、256b)に密着せずに自由形状となっている下流に比べて、上流側では規制面(263a、263b)により一定の曲率が与えられるため、定着フィルム33は長手方向の力に対して変形しにくくなる。したがって、定着フィルム33の端部が規制面(263a、263b)に強く当接するような寄り力が生じた場合でも、定着フィルム33に折れや座屈、摩耗などが生じるのを抑制できる。
<他の実施形態>
なお、上述した実施形態では、第一フランジ36aに第一位置決め部64aを形成し、これを基準にステー47やヒータホルダ35に第二位置決め部47a、第三位置決め部47e、第四位置決め部129が形成される例を示したが、これに限らない。例えば、第二フランジ36bに第一位置決め部64aを形成し、これを基準にステー47やヒータホルダ35に第二位置決め部47a、第三位置決め部47e、第四位置決め部129が形成されていてもよい。
また、上述した実施形態では、保持ユニット200として、ヒータ34を保持するヒータホルダ35と、ヒータホルダ35を支持するステー47とを有するものを例に説明したが、これに限らない。例えば、ヒータホルダ35とステー47とが一つの部材として形成されたものであってもよいし、ヒータホルダ35とステー47の他にそれらを繋ぐ部材を含んだ三つ以上の部材から構成されてもよい。三つ以上の部材から構成される場合、それぞれを上述した第一位置決め部64a、第二位置決め部47a、第三位置決め部47e、第四位置決め部129などにより嵌合させ長手方向の移動を規制して、ヒータ34の位置決めを行う構成とするのが好ましい。
なお、フィルムユニット38(38A)は、ヒータ34が定着フィルム33に直接接触して加熱するものに限らず、ヒータ34が鉄合金やアルミ等の熱伝導性が高いシート材を介して定着フィルム33を加熱するものであってよい。
30(30A)…加熱装置(定着装置)、33…定着フィルム、34…ヒータ、35…ホルダ(ヒータホルダ)、36a…第一支持部材(第一フランジ)、36b…第二支持部材(第二フランジ)、37…回転体(加圧ローラ)、39a…側板(第一側板)、39b…側板(第二側板)、47…ステー部材(ステー)、47a…第二位置決め部、47b…第一接触面、47c…第二接触面、47e…第三位置決め部、47f…第三当接面、47g…第四当接面、63a…第一規制面、63b…第二規制面、64a…位置決め部(第一位置決め部)、64b…第一当接面、64c…第二当接面、118A、118B…加圧手段(加圧機構)、129…第四位置決め部、129a…第三接触面、129b…第四接触面、150…画像形成手段(画像形成ユニット)、200…保持ユニット、N…ニップ部(定着ニップ部)、S…記録材

Claims (10)

  1. 筒状のフィルムと、
    前記フィルムの内部空間に配置されたヒータと、
    前記ヒータの長手方向における前記ヒータの一端へ向けた方向である第一方向への前記フィルムの移動を規制する第一規制面を有し、前記長手方向における前記フィルムの一端部を回転可能に支持する第一支持部材と、
    前記ヒータの長手方向における前記ヒータの他端に向けた方向である第二方向への前記フィルムの移動を規制する第二規制面を有し、前記長手方向における前記フィルムの他端部を回転可能に支持する第二支持部材と、
    前記ヒータを保持する保持ユニットであって、前記ヒータの前記長手方向の位置を決める保持ユニットと、を備え、
    前記第一支持部材及び前記第二支持部材のいずれか一方は、前記保持ユニットの前記長手方向の位置を決める位置決め部を有する、
    ことを特徴とする加熱装置。
  2. 前記位置決め部は、第一当接面及び第二当接面を有する第一位置決め部であり、
    前記保持ユニットは、前記第一当接面に前記第二方向において対向して接触可能な第一接触面と、前記第二当接面に前記第一方向において対向して接触可能な第二接触面とを有する第二位置決め部を備え、
    前記第二位置決め部は、前記第一位置決め部と嵌合した状態で、前記第一当接面と前記第一接触面、又は前記第二当接面と前記第二接触面のいずれかが接触する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の加熱装置。
  3. 前記第一位置決め部及び前記第二位置決め部のいずれか一方は、記録材の搬送方向及び前記長手方向に交差する方向に突出した凸形状に形成され、
    前記第一位置決め部及び前記第二位置決め部のいずれか他方は、前記凸形状に嵌合する凹形状に形成されている、
    ことを特徴とする請求項2に記載の加熱装置。
  4. 前記保持ユニットは、前記ヒータを保持するホルダと、前記ホルダを支持すると共に前記第一支持部材及び前記第二支持部材に支持されるステー部材と、を有し、
    前記第二位置決め部は、前記ステー部材に形成されている、
    ことを特徴とする請求項2又は3に記載の加熱装置。
  5. 前記第一位置決め部及び前記第二位置決め部は、前記ステー部材が前記第一支持部材及び前記第二支持部材に支持された状態で、記録材の搬送方向において、前記ステー部材の中央よりも下流側に形成されている、
    ことを特徴とする請求項4に記載の加熱装置。
  6. 前記ステー部材は、第三当接面及び第四当接面を含む第三位置決め部を有し、
    前記ホルダは、前記第三位置決め部に嵌合することで、前記ステー部材に対する前記ホルダの前記長手方向における位置を位置決めする第四位置決め部を有し、
    前記第四位置決め部は、前記第三当接面に前記第二方向において接触可能な第三接触面と、前記第四当接面に前記第一方向において接触可能な第四接触面とを有し、
    前記第四位置決め部は、前記第三位置決め部と嵌合した状態で、前記第三当接面と前記第三接触面、又は前記第四当接面と前記第四接触面のいずれかが接触する、
    ことを特徴とする請求項4又は5に記載の加熱装置。
  7. 前記ヒータと前記フィルムを挟持するように前記フィルムの外周面に当接し、前記フィルムとの間に記録材を挟持搬送しつつ熱を加えるニップ部を形成する回転体を備え、
    前記ヒータは、前記フィルムを加熱し、記録材に形成された画像を前記ニップ部で前記フィルムを介して加熱することにより記録材に定着させる、
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の加熱装置。
  8. 前記長手方向における前記第一規制面と前記第二規制面との間隔は、前記ニップ部を挟んで、記録材の搬送方向の下流側よりも上流側が狭い、
    ことを特徴とする請求項7に記載の加熱装置。
  9. 前記第一支持部材及び前記第二支持部材を前記回転体に向かう加圧方向に移動可能に支持する一対の側板と、
    前記第一支持部材及び前記第二支持部材を前記加圧方向に付勢することで、前記フィルムを前記回転体に加圧させる加圧手段と、を備える、
    ことを特徴とする請求項7又は8に記載の加熱装置。
  10. 記録材に画像を形成する画像形成手段と、
    請求項1乃至9のいずれか1項に記載の加熱装置と、を備える、
    ことを特徴とする画像形成装置。
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