JP2022144521A - 水害防止具 - Google Patents

水害防止具 Download PDF

Info

Publication number
JP2022144521A
JP2022144521A JP2021045571A JP2021045571A JP2022144521A JP 2022144521 A JP2022144521 A JP 2022144521A JP 2021045571 A JP2021045571 A JP 2021045571A JP 2021045571 A JP2021045571 A JP 2021045571A JP 2022144521 A JP2022144521 A JP 2022144521A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
cylindrical body
damage prevention
sheet
cylinder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021045571A
Other languages
English (en)
Inventor
實 田上
Minoru Tagami
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Construction Machinery Co Ltd filed Critical Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Priority to JP2021045571A priority Critical patent/JP2022144521A/ja
Publication of JP2022144521A publication Critical patent/JP2022144521A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Barrages (AREA)
  • Buildings Adapted To Withstand Abnormal External Influences (AREA)

Abstract

【課題】運搬が容易であり、かつ様々な場所に迅速に設置できる、浸水被害を低減することが可能な水害防止具を提供する。【解決手段】浸水が想定される位置に設置される水害防止具1であって、位置に堰状に載置される筒体2と、この筒体2の浸水下流側の面の少なくとも一部を覆うとともに筒体2の下方より浸水上流側に延設される止水シート3と、を備え、筒体2は、筒状に形成された柔軟な膜部2aと、この膜部2aの外周面2bに筒体2の軸方向に沿って形成されている環状の補強部2cと、膜部2aに穿設されている複数の孔2dと、を備えている水害防止具1による。【選択図】図1

Description

本発明は、台風及び集中豪雨の際の浸水被害を低減するために使用でき、労力及び時間をかけることなく簡単に設置及び撤去できる水害防止具に関する。
気候変動等による影響から、近年我が国では各地で台風及び集中豪雨が頻発している。そして、台風及び集中豪雨に見舞われた地域では、河川の氾濫、高潮の発生等により市街地内に水が流れ込んだり、市街地の有する排水能力を超える多量の雨水が溜まったりして、公共インフラ並びに住宅が浸水して甚大な被害を発生させている。
このような浸水による被害を最小限に抑えるべく、最近では堤防の補強、並びに地下調節池の構築といった「止水」のためのインフラの整備が進められている。しかしながら、このようなインフラの整備には莫大な費用がかかるため、浸水の懸念される地域の全てにおいて整備されるまでには至っておらず、一部の都市圏に限定されたものであった。このため、インフラの整備されていない場所を生活圏とする一般市民は、住宅等の浸水被害を低減させるために止水を自ら行う必要がある。
ここで、止水方法は従来から様々あるが、一般的に知られているものが土嚢による止水方法である。この止水方法では、土砂の入った袋である土嚢を水の流路となる位置に積み上げて堰を作り、流れてきた水を堰き止めて止水し、下流側の建物等の浸水を抑制する。なお、土嚢は運搬でき、かつ柔軟な袋に土砂を詰めたものであることから多少の変形も可能である。このため、土嚢を置く地面等の面に多少の凹凸があったり、複数の土嚢を積む際に隣り合う土嚢の間に隙間が存在したりしても、土嚢を上から押圧して変形させれば、地面等に密着させたり、土嚢間の隙間をなくすことができる。すなわち、土嚢は運搬して様々な場所に設置できるため、止水する上で好適なツールとなる。
上述するように、土嚢を用いた止水方法は誰でも利用可能であり、止水効果も高い。しかしながら、土嚢による止水方法は、土砂を袋に詰めて土嚢を作る作業と、作った土嚢を設置場所まで運搬して設置する作業、そして撤去する作業が必要であり、多大な時間と労力を要するものであった。また、土嚢を設置する場所において土嚢を作るために必要な土砂を確保できない場合、別の場所から土砂を搬入したり、予め土嚢を準備して保管したりするといった作業も必要となるため、さらに時間と労力を要してしまう可能性もあった。
以上のような土嚢による止水方法は、女性や高齢者にとっては非常に過酷であり、若い男性がいない場合には止水対策が不十分となる可能性が高い。加えて、土嚢を設置する際の使用個数と配置は、強固な堰を作り水流を漏れなく止める上で非常に重要な要素となるが、これまで土嚢を用いた経験のない一般市民がこれらの要素を設定するのは困難であると考えられる。
以上から、土嚢による止水方法は、確かに様々な場所に設置でき、作業内容自体は単純な方法であるが、作業するにあたって多大な時間と労力を要してしまうこと、効果的に止水を行うためには土嚢の最適な個数と配置を設定しなければならないこと等の課題もあった。そのため、様々な場所に設置できるという土嚢による止水方法のメリットはそのままに、誰でも扱い易く、迅速かつ簡単に設置・撤去が可能な水害防止具を求める声が強くなっている。
このような背景の中で、最近では以下の3つの水害防止具に関する発明が開示されている。
特許文献1では、「重量式水嚢」という名称で、河川の護岸、海岸線、家屋の出入り口等に設置され、氾濫及び浸水を防止することができる水害防止具に関する発明が開示されている。
この特許文献1に記載の発明は、河川護岸、家屋の出入り口等の氾濫又は浸水が想定される場所に設置される水袋と、氾濫及び浸水が予想される際に水袋内に河川の水又は水道水を注入するポンプと、水袋に注入された水を排出するためのバルブとを備えていることを特徴とする。
このような特許文献1に記載の発明であれば、水袋はポンプで水が注入されれば膨張し、この膨張した水袋はバルブを開放することで排水されて収縮するという作用を有する。このような作用により、従来のように土嚢を所定の場所に運搬して積み上げて止水せずとも、止水が必要な際にポンプで水袋に注水するだけで止水用の水嚢を形成することができる。しかも、使用後は水袋内の水をバルブの開放により排出すれば収縮するため邪魔になることもない。すなわち、土嚢による止水方法のように長時間かけて過酷な作業を行う必要がなくなるのである。このため、特許文献1に記載の発明であれば、河川の氾濫及び浸水の際に迅速かつ安全に止水を行うことができ、浸水被害を最小限に抑えることができると考えられる。
また、特許文献2では、「水膨潤性止水材」という名称で、運搬が容易であり、使用時には水の吸収により膨潤させることができるとともに、膨潤時には積み重ねたり圧縮したりしても水漏れをほとんど起こすことのない水害防止具に関する発明が開示されている。
特許文献2に記載の発明は、透水性シートで構成された多面体と、この多面体に封入された吸水性樹脂粒子とからなり、この吸水性樹脂粒子が水を吸収して膨潤した場合に多面体の少なくとも2つの面が平面状となるように構成されていることを特徴とする。
上述する特許文献2に記載の発明であれば、吸水性樹脂粒子は吸水前であれば重量、体積も小さく、また多面体も軽量な透水性シートからなるため、全体として軽量であり、かつコンパクトな形状を有するものとなる。さらに、設置場所へ流入してくる水を利用して吸水性樹脂粒子を膨潤させることが可能なため、土嚢のように土砂を用いずとも設置場所において簡単に水害防止具を形成できる。すなわち、土砂を準備する必要がないため、止水作業に要する時間と労力を低減することが可能となる。
また、特許文献2に記載の発明は、吸水膨潤した後に、多面体の少なくとも2つの面が平面状となることで、複数ある場合には積み重ね易くなる。この結果、使用の際に崩れ難くなるとともに隙間が生じ難くなるため、止水性能を向上させることができる。
さらに、特許文献3では、「水防壁用袋体、水防壁及び水防壁の形成方法」という名称で、運搬が容易で重さも簡単に調整でき、迅速に設置することが可能な水害防止具に関する発明が開示されている。
特許文献3に記載の発明について、同文献中の図1に記載される符号をそのまま用いて説明すると、特許文献3に記載の発明は、可撓性を有する不透水性シートにより展開時に断面が略三角柱となるように形成された水防壁用袋体1であって、この略三角柱を横に倒して水防壁を形成した時に地面に接する接地面1aと、この接地面1aに対して略垂直となる水防面1bとを有し、水防面1bには、接地面1aに接する下端部近傍に取水口1c、上端部近傍に空気抜け口1dが開設されていることを特徴とする。
このような特許文献3に記載の発明であれば、可撓性を有する不透水性シートからなるため折り畳めるという作用を有する。この結果、特許文献3に記載の発明は、運搬が容易であり、様々な場所において素早く設置することが可能となる。また、特許文献3に記載の発明は、空気抜け口1dより空気が出入り可能なため、取水口1cより抵抗なく簡単に水を出入りさせることができる。この結果、特許文献3に記載の発明に予め水を入れずとも、止水の際に水が自然に取り込まれて膨張し、設置面1aに対して略垂直となる水防面1bを有する水防壁が形成されるとしている。また、特許文献3に記載の発明であれば、堰き止めた水が引くにつれて、取り込んだ水も取水口1cより自然に排出されて収縮するため、自然にコンパクトに折り畳まれるようになるとしている。
以上のような特許文献3に記載の発明であれば、設置したり撤去したりする作業を、時間及び労力をかけずに素早く簡単に行うことができると考えられる。
特開2007-255186号公報 国際公開第2005/073469号 特開2003-55945号公報
上述の特許文献1に記載の発明の場合、確かに土嚢による止水方法に比べて作業に要する時間の短縮、労力の軽減を図ることができると考えられる。しかしながら、特許文献1に記載の発明は、特定の場所に固定された設備であり、設置場所周辺の浸水に対して効果を発揮するだけである。すなわち、土嚢のように所望の場所に設置して止水することができないという課題もあった。また、特許文献1に記載の発明を設置する場合には、予め比較的規模の大きな工事とともに、多額の建設費用も必要になると考えられ、一般市民が住宅の浸水を防ぐために利用するようなものではないという課題もあった。
一方、特許文献2に記載の発明であれば、確かに土嚢のように土砂を用いることなく、軽量なため所望の場所に設置することができ、設置作業に要する時間の短縮並びに労力の軽減を図ることが可能と考えられる。加えて、積み重ね易く、隙間の発生を抑えられることで漏水も防ぐことができると考えられる。
しかしながら、特許文献2に記載の発明は、孔の開いた布又は合成樹脂製の穴開きシートからなる多面体の中に吸水性樹脂粒子が封入されたものであり、吸水性樹脂粒子は完全に水から遮蔽されているとはいえない。そのため、長期間保管している間に、水分が孔又は穴の開いたシートを通過して吸水性樹脂粒子により吸収されると考えられる。その結果、吸水性樹脂粒子が保管時に膨潤してしまい、災害発生時に使用できないケースもゼロではないと考えられる。このため、特許文献2に記載の発明の場合、定期的に買い替えが必要となり、維持管理が煩雑であるという課題もあった。
また、特許文献2に記載の発明の場合、使用後の再利用の可否については言及されていない。すなわち、膨潤が不可逆的で再利用が難しかったり、乾燥させて再利用できても膨潤不均一になったりする場合には、買い替えも必要となるため、維持管理が煩雑になる可能性がある。
さらに、特許文献2に記載の発明は膨潤時にブロック状となるため、効果的に止水するには設置場所の寸法を考慮した個数の設定とともに、配置の設定において膨張による寸法変化も考慮しておかなければならない。
これまで浸水被害を受けた経験のない一般市民にとって、上述するような特許文献2に記載の発明は実施が困難であり、仮に使用した場合には配置が適切とならず止水が不十分になる可能性が高いと考えられる。
また、特許文献3に記載の発明であれば、コンパクトに折り畳めて運搬容易なため様々な場所に設置できるとともに、止水対象の水を取り込んで錘として用いるため形成も容易である。さらに水を内部に自然に出入りさせることができるとのことで、設置及び撤去の作業に要する時間の短縮、並びに労力の軽減が可能になると考えられる。しかしながら、特許文献3に記載の発明は定型状であり、設置の際に必要な数の水害防止具を準備して適切に設置しなければならない。このため、止水を行った経験のない一般市民が実施する場合に配置が適切とならず、止水が不十分になる可能性が高いと考えられる。
なお、特許文献3に記載の発明は、折り畳まれた状態で設置場所に運搬し、地面側に設置面1aが向くように設置され、ここに水が押し寄せてきた際に水が内部へ自然に流入して膨張するとしている。しかしながら、この設置方法では、水防壁用袋体1を膨張させるのは困難と考えられる。なぜなら、折り畳まれた状態にある水防壁用袋体1が水に覆われた場合、取水口1c及び空気抜け口1dのいずれからか水が流入して水防壁用袋体1を膨張させるように内部から力を作用させると同時に、水防壁用袋体1の周囲の水も水防壁用袋体1を潰すように力を作用させるからである。なお、特許文献3では、必要に応じて作業員が水防面1bを持ち上げて水防壁用袋体1を展開させることも可能であるとの記載もされている。この場合であれば、確かに水防壁用袋体1の内部へ水を流入させることは可能と考えられるが、作業員が水防壁用袋体1を展開するという作業は、安全面で改善の余地があると考えられる。
本発明は、かかる従来の課題に対処してなされたものであり、その目的は運搬容易であるとともに土砂を用いず簡単に形成して設置でき、様々な場所に適用できる水害防止具を提供することにある。
上記課題を解決するための第1の発明は、浸水が想定される位置に設置される水害防止具であって、当該位置に堰状に載置される筒体と、この筒体の浸水下流側の面の少なくとも一部を覆うとともに筒体の下方より浸水上流側に延設される止水シートと、を備え、筒体は、筒状に形成された柔軟な膜部と、この膜部の外周面に筒体の軸方向に沿って形成されている環状又は螺旋状の補強部と、膜部に穿設されている複数の孔と、止水シートと着脱可能に固定するための固定手段と、を備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第1の発明であれば、筒体はその形状により水の流路を横断するように地面上に設置できるという作用を有する。また、筒体は、その浸水下流側の面の少なくとも一部を覆い、漏水することなく水を堰き止めるための止水シートを支持するという作用も有する。さらに、筒体が止水シートの上に載置されることで、筒体は自重により止水シートを地面に押さえつけるという作用も有する。
次に、止水シートは、筒体に支持されながら筒体とともに浸水上流側の水を堰き止めるという作用を有する。また、筒体の下方より浸水上流側に延設された止水シートは、水により覆われた際に水の自重により地面側に押さえつけられるとともに、移動の際に水との接触面積に応じた粘性抵抗を水から受けるという作用を有する。
一方、上述する筒体の構成要素に関し、筒状に形成された膜部は筒体内を外部から隔てるという作用を有する。また、この膜部の外周面に形成されている環状又は螺旋状の補強部は、筒体の軸方向に対して垂直方向を向く力を筒体が受けた際に、筒体が潰されないように支持するという作用を有する。すなわち、浸水上流側に堰き止めた水から力を受けても、筒体は潰れずに形状が維持されるようになる。一方、補強部は筒体の軸方向と同じ方向を向く力を受けた際には筒体が変形(上記軸方向の伸縮)しないように支持しないという作用を有する。
そして、膜部に穿設されている複数の孔は、筒体の内部に水及び空気を出入りさせ易くするという作用を有する。例えば、膜部の外周面上において均等に孔が形成されており、筒体により水が堰き止められて地面に近い位置の孔が水に覆われた場合を想定する。この場合、水面より高い位置に形成されている孔から筒体内の空気が排出されながら、地面に近い側の孔より水が筒体内に自然かつ迅速に流入するようになる。このため、筒体内に空気が残存し難くなり、筒体の浮上も抑えられる。そして、浸水上流側の水位が低下した場合でも、これと同じメカニズムにより筒体内に空気が流入しながら水が筒体内から迅速に排出されるようになる。
さらに、止水シートと筒体を着脱可能に固定するための固定手段は、止水シートを筒体の浸水下流側の面の少なくとも一部を覆うような配置に維持するとともに、この止水シートを筒体に固定して一体化させるという作用を有する。
次に、第2の発明は、上述した第1の発明において、固定手段が、筒体と止水シートに一対となるように設けられた面ファスナーであることを特徴とするものである。
上記構成の第2の発明であれば、上述した第1の発明と同じ作用に加えて、筒体と止水シートは、一対の面ファスナーの接着力により固定されるという作用を有する。
そして、第3の発明は、上述した第1又は第2の発明において、筒体の断面形状は円形であることを特徴とするものである。
上記構成の第3の発明であれば、上述した第1又は第2の発明と同じ作用に加えて、筒体が円筒状になるという作用を有する。なお、ここでの断面形状とは、筒体の軸方向に対して垂直方向となる面の形状を指すものとし、以降で記載される断面形状の意味も同じである。
また、第4の発明は、上述した第3の発明において、筒体はその浸水下流側に転がり防止材が設置されることを特徴とするものである。
上記構成の第4の発明であれば、上述した第3の発明と同じ作用に加えて、筒体が浸水上流側に堰き止めた水から力を受けて浸水下流側に向かって転がろうとした場合に、筒体の底部より高所に上縁のある転がり防止材を筒体が超えられず、移動が阻止されるという作用を有する。なお、転がり防止材は地面に直接設置されていてもよく、筒体と止水シートの間に設置されたものであってもよい。さらに、転がり防止材は本発明の水害防止具と別体ではなく、筒体又は止水シートに掛止・接着されて一体化したものであってもよい。いずれの場合であっても、発揮される作用・効果は同じである。
また、本発明の設置場所にもよるが、例えば本発明の水害防止具を一対の外壁に挟まれた入口において、筒体の両端をこれら一対の外壁に係るように設置して止水する際には、上記転がり防止材を筒体(又は止水シート)と外壁と地面とが形成する隙間にも配置されるようにすることで、当該隙間を転がり防止材が埋めるという作用も有する。
なお、転がり防止材の形状、寸法、使用する素材については特に指定はなく、筒体の寸法等に合わせて任意に決定することができる。しかし、上述するように隙間を埋めるという目的も兼ねている場合には、転がり防止材の形状は隙間の形状に合わせたものとする必要があることは言うまでもない。
加えて、第5の発明は、上述した第1又は第2の発明において、筒体の断面形状は非円形であることを特徴とするものである。
上記構成の第5の発明であれば、上述した第1又は第2の発明と同じ作用に加えて、筒体の断面形状が非円形であるため、筒体が浸水上流側に堰き止めた水から力を受けた際に、筒体が浸水下流側に向かって転がり難くなるという作用を有する。
なお、非円形とはだ円、内角を3つ以上有する多角形でもよく特に形状の指定はないが、転がり難くする上でだ円であれば扁平率が1に近く、多角形であれば内角の平均値の小さいもの(例えば三角形、四角形)が好適である。なお、筒体の断面形状が部位によらず非円形である他に、筒体の軸方向における任意の位置での断面形状のみが非円形であっても同じ作用を有することは言うまでもない。
さらに、第6の発明は、上述した第1乃至第5の発明のいずれか1つの発明において、筒体の両端部に他の水害防止具と連結するための連結手段が設置されていることを特徴とするものである。
上記構成の第6の発明であれば、上述した第1乃至第5の発明のいずれかの発明と同じ作用に加えて、複数の水害防止具の筒体を連結させることで、水害防止具の筒体の軸方向の長さを連結させた数だけ増加させるという作用を有する。そして、筒体同士が連結されることで、浸水上流側に堰き止められた水の力により連結部分が離隔され難くなるという作用を有する。
なお、ここでの連結手段として特に指定するものではないが、例えば、紐、フック、面ファスナー等を用いて、一方の筒体の端部と他方の筒体の端部を連結する方法が挙げられる。
上述する第1の発明によれば、筒体は、浸水の想定される位置に置かれて堰の基礎となるとともに、下方に固定する止水シートにより浸水下流側の面の少なくとも一部が覆われることで、水を漏水させることなく堰き止めることができる。一方、止水シートは筒体に加えて水によっても固定されることで、止水シートの配置が変化し難くなり、止水シートのズレ等に起因した漏水を防ぐことができる。すなわち、第1の発明であれば、漏水を抑制しながら安定して水を堰き止めることができ、浸水被害の低減を図ることができる。
また、筒体の構成要素の1つである、筒状に形成された膜部は、筒体内を外部から隔てるため、筒体が堰き止めた浸水上流側の水の動き(波等)が筒体内部に伝達され難くなる。この結果、後述する膜部に穿設された孔等から筒体内に流入した水が、浸水上流側の水とともに揺れ難くなり、筒体の揺れが抑えられ漏水箇所となる隙間が形成され難くなる。すなわち、膜部の存在によっても浸水被害の低減を図ることができる。
加えて、膜部の外周面に形成されている環状又は螺旋状の補強部は、筒体の屈曲を可能にしながら、筒体が軸方向に対して略垂直方向の力を受けても潰れないように支持するのに対し、軸方向の力を受けた際にほとんど支持することはない。すなわち、筒体は軸方向における膜部の最大長さの範囲内において当該軸方向の長さを調整することもできる。
このような補強部の存在により、筒体はその筒形状を維持しながら浸水の想定される場所に堰状に載置することができるとともに、筒体の軸方向の長さを調整できるため、場所に合わせて最適な長さの堰を形成することができる。すなわち、第1の発明であれば、筒体の伸縮に対応した止水シートを組み合わせることで、一つの水害防止具で様々な幅の流路の止水に利用することができる。
加えて、第1の発明の浸水上流側において水が堰き止められ水位が上昇するに従い、膜部に穿設された複数の孔により、筒体を浮上させることなく筒体内に水を自然かつ迅速に流入させることができる。また、浸水上流側の水位が下がるに従って、筒体内より自然かつ迅速に排水させることも可能となる。すなわち、筒体内に注水したり筒体内から排水したりする作業が不要となり、第1の発明の設置作業を時間と労力をかけずに行うことができる。
さらに、止水シートを筒体に着脱可能に固定するための固定手段により、簡単に両者を一体となるように固定することができるため、組立て作業が簡単である。そして、第1の発明を使用しない時には、筒体と止水シートを分離して、それぞれ長さを縮めたり折り畳んだりしてコンパクトにすることが可能なため、保管作業並びに保管場所の確保も容易となる。
次に、上述する第2の発明であれば、第1の発明と同じ効果に加えて、筒体と止水シートが面ファスナーの接着力により着脱可能に固定されるため、工具等がなくとも素早く組み立てることが可能となる。この結果、水害防止具を素早く設置することができるため浸水被害の軽減にも寄与する。また、老若男女を問わず、誰でも簡単かつ迅速に水害防止具の設置及び片付けを行うことができるようになる。
また、上述する第3の発明であれば、第1又は第2の発明と同じ効果に加えて、筒体が円筒状のため、サイズの大きな筒体であっても転がして運搬することが可能となる。この結果、運搬時の労力を軽減することができる。
また、第3の発明における筒体の基本的な構成は、市販される排気ダクトと共通する。このため、所望の寸法を有する排気ダクトを筒体として流用することができるようになる。これにより、筒体の入手が容易となり、破損時には交換も容易に行うことができる。加えて、筒体を製造する設備を準備せずとも、購入した排気ダクトと別途準備した止水シートを用いれば、簡単に水害防止具を製造することができるため、製造コストを抑えることができるとともに、様々なメーカーの市場参入も可能となる。
加えて、上述する第4の発明であれば、第3の発明と同じ効果に加えて、筒体が転がり防止材により転がり難くなり、浸水上流側の水量が増加したり、流れの速い水流が衝突したりしても、筒体の位置が変化して水を漏出させることがなくなる。この結果、浸水被害の軽減を一層図ることが可能となる。
さらに、本発明の水害防止具を一対の外壁に挟まれた入口に設置等する場合に、転がり防止材が筒体(又は止水シート)と外壁と地面とが形成する隙間を埋めるように設置されることで、隙間からの漏水を防ぐことができ、浸水被害の軽減に繋げることができる。
さらに、上述する第5の発明であれば、第1又は第2の発明と同じ効果に加えて、筒体の断面形状が非円形であるため、筒体は転がり防止材を設置せずとも転がり難くなる。この結果、転がり防止材を準備する必要がなくなるため、転がり防止材の設置作業を不要にすることが可能となる。この結果、水害防止具の設置作業の労力を軽減することができる。
なお、筒体の軸方向における任意の位置での断面形状のみが非円形であっても、筒体の断面形状が部位によらず非円形である場合と同じ効果を有する。
そして、上述する第6の発明であれば、第1乃至第5の発明のいずれかと同じ効果に加えて、一つの水害防止具では対応できない幅の流路を堰き止めることができるようになり、水害防止具の対応可能な流路の幅を広げることが可能となる。しかも、筒体の浸水上流側に堰き止められた水の力により筒体同士の連結部分が外れ難くなるため、漏水を抑え、浸水被害の軽減を図ることができる。
本発明の実施形態に係る水害防止具の外観斜視図である。 図1の水害防止具の構成部材であり、(a)は筒体の平面図であり、(b)は止水シートの平面図であり、(c)は同図(a)に示すX-X線矢視断面図である。 図1の水害防止具の使用状態を示す概略図であり、(a)は平面図であり、(b)は同図(a)に示すY-Y線矢視断面図であり、(c)は同図(b)において転がり防止材の配置を変えた場合の例である。 本発明の実施形態に係る水害防止具の変形例の筒体の外観斜視図であり、(a)は断面形状が正方形となる場合であり、(b)は断面形状が三角形となる場合である。
以下では、本発明の実施の形態に係る水害防止具について、図1乃至図4を参照しながら詳細に説明する。なお、いずれの図も本発明の水害防止具の例として挙げたものであり、後述する本発明の作用・効果を奏する範囲内であれば、構成要素の形状、数を任意に設定することが可能である。
[1;本実施の形態の基本構成について]
[1-1;基本構成の構造について]
本発明の実施形態に係る水害防止具の構造について、図1及び図2を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施形態に係る水害防止具の外観斜視図である。なお、複数ある同一の構成要素については、図が煩雑にならないように、その全てに符号付けを行っていない。また、図中には破線円内の拡大図も併記した。
図1に示すように、本実施形態に係る水害防止具1は、浸水が想定される場所に堰状に載置される筒体2と、この筒体2の浸水下流側の面の少なくとも一部を覆うとともに筒体2の下方より浸水上流側に延設される止水シート3を備えている(図3(a)参照)。
ここで、筒体2は筒状に形成された柔軟な膜部2aと、この膜部2aの外周面2bに筒体2の軸方向に沿って形成されている複数の環状の補強部2cと、膜部2aに穿設されている複数の孔2dとを備えている。なお、複数の孔2dは、筒体2の軸方向において3箇所の、それぞれの円周上に略等間隔で穿設されたものとなる。
また、筒体2は、止水シート3と着脱可能に固定するように、ここでは図示しない固定手段4を備えている(例えば、図2(a)参照)。加えて、詳細は後述するが、筒体2の両端部には他の水害防止具1と連結するための連結手段9が設置されている。
なお、図1では補強部2cは環状としているが、補強部2cは筒体2の軸方向に伸びる螺旋状のものであってもよい。補強部2cが螺旋状であっても、その作用・効果は後述する補強部2cが環状である場合の作用・効果と同じである。
また、筒体2の両端部に位置する補強部2cは他の水害防止具1(又は筒体2)と着脱可能に連結する継手として機能する。具体的には、一の筒体2の端部を他の筒体2の端部に嵌挿すると、補強部2c同士が掛止されることで2つの筒体2の端部同士が外れ難くなる。補強部2cの材質としては後述するように防錆金属か硬質の樹脂が望ましいが、これらの素材でも一方の筒体2端部の補強部2cを少し歪めて他方の筒体2端部の補強部2cよりも筒体2内部の中央側に挿入させることで、2つの筒体2端部の補強部2c同士が掛止されるのである。このように補強部2cの剛性を利用することで、他の筒体2と簡単に連結させて外れ難くすることが可能となる。この結果、筒体2の長さを簡単に調整することができるようになり、水害防止具1は様々な幅の流路を堰き止め易くなるのである。
次に、水害防止具1の構成部材の構造について、図2を用いながら詳細に説明する。
図2は本発明の実施形態に係る水害防止具の構成部材を示す図であり、図2(a)は筒体の平面図であり、図2(b)は止水シートの平面図であり、図2(c)は図2(a)に示すX-X線矢視断面図である。ここで、図1において既に説明した同じ構成要素については同一の符号を付して説明は省略する。また、図が煩雑にならないように複数ある構成要素については全てに符号付けを行っていない。
図2(a)に示すように、水害防止具1を構成する筒体2は、一対の互いに接着・掛止可能な部材からなる固定手段4の一方が設置され、他方は矩形状の止水シート3に設置されている(図2(b)参照)。そして、この固定手段4を用いて、図1に示すように筒体2に止水シート3を固定して水害防止具1を組み立てることができる。ここでの固定手段4として、例えば一対の面ファスナーによる接着技術、フックと鳩目による掛止技術が利用可能である。
なお、図2(b)の止水シート3には、2つの固定手段4,4が設置されているが、これは水害防止具1に一対となる固定手段4が2組設置されているためである。止水シート3の固定手段4,4に対応する筒体2側の固定手段4は、図2(a),(c)に示すように、筒体2の外周面2b上の紙面上方側にある固定手段4(図2(a)にも示されたもの)と、紙面下方側にあり別図では示さないが筒体2の軸方向に沿って設置された固定手段4である。
そして、紙面上方側にある筒体2の固定手段4を止水シート3の縁端側の固定手段4に接着又は掛止させるとともに、紙面下方側にある筒体2の固定手段4を止水シート3の縁端側にない固定手段4と接着又は掛止させる。これにより、筒体2と止水シート3が固定され、図1に示す水害防止具1を形成することができる。
[1-2;本実施の形態の設置方法について]
次に、水害防止具1の設置方法について、図3を参照しながら説明する。
図3は本発明の実施形態に係る水害防止具の使用状態を示すための概略図であり、図3(a)はその平面図であり、図3(b)は図3(a)に示すY-Y線矢視断面図であり、図3(c)は図3(b)において構成要素(転がり防止材)の配置を変えた場合の例である。ここで、図3(b)、図3(c)は水害防止具1の浸水上流側が水に浸った状態を想定している。また、図1及び図2において既に説明した同じ構成要素については、同一の符号を付してその説明は省略するとともに、同じ構成要素が複数ある場合には、図が煩雑とならないよう全てに符号付けを行わないこととした。
図3(a)に示すように、例えば水害防止具1を住居の入り口に設置する場合、まず入り口の両側を形成する一対の外壁E,Eより浸水上流側にかけて、地面上に止水シート3を拡げて載置する。次いで、外壁E,Eの間の堰となるように、筒体2が止水シート3の上に載置される。なお、筒体2の両端部が外壁E,Eに係るように設置されることで、水を堰き止める際に水から力を受けても、筒体2は外壁E,Eにより支持されるとともに、止水シート3を介して外壁E,Eから摩擦力も受けるため、水害防止具1を一層固定でき好適である。
さらに、図3(a)に示すように、止水シート3の紙面左右方向の幅は筒体2の軸方向の幅よりも広くしてもよい。筒体2の断面形状が円形である場合のように、外壁Eと接触した際に外壁Eとの間に隙間が形成されるような断面形状を有する筒体2であっても、このような止水シート3を使用することで筒体2の両端部よりはみ出た止水シート3が水圧を受けて変形しながら上記隙間を埋めることが可能となる。
そして最後に、筒体2はその浸水下流側の面を止水シート3により覆われるように、上述した2組の固定手段4を用いて止水シート3と固定される(図3(b)又は図3(c)を参照)。これにより、水害防止具1の設置が完了することになる。
上述のとおり設置された水害防止具1により、その浸水上流側に水が堰き止められて止水される(図3(b)又は図3(c)を参照)。この水が堰き止められる過程で、止水シート3が水によって固定されるとともに、筒体2はその両端にある開口部と膜部2aに穿設されている複数の孔2dから、空気を排出させながら筒体2の内部に水を自然にかつ迅速に流入させていく。こうして水害防止具1は、筒体2の重量を水で増加させながら設置場所に確りと固定されていくことになる。
一方、水害防止具1を片付ける場合、浸水上流側の水が引くとともに筒体2の内部の水も排出されていく。そして、水が完全に筒体2内から排出されれば、固定手段4を解除して筒体2と止水シート3を分離して片付ければよい。なお、筒体2は軸方向に縮めることができ、止水シート3は折り畳むことができるので狭い場所で保管可能である。
[1-3;本実施の形態の製造方法について]
次に、水害防止具1の製造方法について、構成部材別に説明する。
[1-3-1;止水シートの製造方法について]
水害防止具1を構成する止水シート3の場合、その素材及び厚さは特に指定するものではないが、折り畳み可能な柔軟性を有し、透水性が低く、流れてきた石や木と接触しても破損し難い素材であることが望ましい。このような素材として樹脂製のシートを挙げることができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂等であれば比較的安価に入手可能なため好適である。なお、当該シートに使用される樹脂は1種でもよく、2種以上を適宜組み合わせて形成されたものでもよい。ここで、「組み合わせて形成されたもの」とは、異なる樹脂をブレンドしたもの、異なる樹脂が層状に積層されたもの、当該ブレンドと当該積層の両者が実施されたものも含む。
また、上述するシートよりも強度を高めたものが必要な場合には、例えばポリエチレン樹脂繊維、ポリプロピレン樹脂繊維等のポリオレフィン系樹脂繊維、ポリエステル樹脂繊維、ポリアミド樹脂繊維、カーボン繊維、ガラス繊維等を適宜組み合わせて形成した基布に、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂等をラミネートして複合化したシートを用いてもよい。このような複合シートを使用した止水シート3であれば、過酷な環境下でも破損し難くなり、製品寿命を延ばすことが可能となる。
上述するような樹脂製のシートを用いて、筒体2の浸水下流側の少なくとも一部の面を覆い、かつ筒体2の下方より浸水上流側に延出可能となるように寸法を調整するとともに、筒体2に固定するための固定手段4を設置することで、止水シート3を得ることができる。
[1-3-2;筒体の製造方法について]
一方、水害防止具1を構成する筒体2は、上述したように柔軟な筒状の膜部2aと、その外周面2b上に筒体2の軸方向に沿って形成される環状の補強部2cとから構成される。このような筒体2は、例えば矩形の膜を丸めて、重なり合う部分を接着させることにより筒状の膜部2aを作製し、次いでこの膜部2aの外周面2bに補強部2cを、接着剤等を用いて接着することで作製することができる。一方、本願明細書では図示しないが、補強部2cが筒体2の軸方向に延びる螺旋状のものであれば、筒体2は帯状かつ一方の面上には長手方向に沿って補強部2cが予め接着された膜を、その縁部分を重ね合わせ接着しながら螺旋状に巻き回されることでも得ることができる。
なお、膜部2aと補強部2cにおいて使用される素材について特に指定はないが、膜部2aは後述するように筒体2が柔軟であり、かつ水を内部に貯蔵可能なように透水し難く、流れてくる石や木と接触しても破損し難いものがよい。例えば、上述した止水シート3の説明において挙げた素材により形成されたものが好適である。
一方、補強部2cも膜部2aと同様に特に指定はないが、使用環境を考慮すれば、錆等を生じる金属製の線材ではなく、例えば硬質の樹脂からなる線材及び防錆処理された金属製の線材を用いることが望ましい。
ここで、上述したように、筒体2の基本的な構成(膜部2aと補強部2cとを有する)は、市販される排気ダクトと共通する。このため、筒体2として所望の寸法を有する排気ダクトに複数の孔2dを穿設して用いてもよい。このような排気ダクトであれば入手が容易となり、破損時に交換も容易である。また、筒体2を製造する設備を予め準備せずとも、購入した排気ダクトと止水シート3を用いて簡単に水害防止具1を製造することができるため、製造コストを抑えることができる。
なお、上記製造方法は筒体2の断面形状が円形のものを想定して説明したものであるが、後述する筒体2の断面形状が三角形、四角形等の非円形となる水害防止具1(図4参照)であっても、その製造方法は基本的に上述した製造方法と同じである。
[1-4;本実施の形態による作用及び効果について]
上述するような水害防止具1であれば、下記の作用を有すると考えられる。
まず、筒体2は、水の流路を横断するように地面上に設置され、水を漏水することなく堰き止めるために浸水下流側の面の少なくとも一部を覆う止水シート3を支持するという作用を有する。さらに、筒体2が止水シート3の上に置かれることで、筒体2は自重により止水シート3を地面に押さえつけて固定するという作用も有する。そして止水シート3は、筒体2とともに浸水上流側から流れてくる水を堰き止めるという作用を有する。
また、筒体2の下方より浸水上流側に延設された止水シート3は、水に浸かることで、水の自重により地面側に押さえつけられたり、移動する際に水との接触面積に応じた粘性抵抗を受けたりするという作用を有する。
一方、筒体2に着目すると、その膜部2aは筒体2の内部を外部から隔てるという作用を有する。また、この膜部2aの外周面2bに形成されている環状の補強部2cは、筒体2がその軸方向に対して略垂直を向く外力を受けた際には、潰されないように膜部2aを支持するという作用を有する。すなわち、浸水上流側に堰き止められた水により力を受けても、筒体2は形状が維持されるように支持される。一方、補強部2cは上記軸方向に対して略平行となる外力を受けた際には、筒体2の変形(筒体2の軸方向への伸縮)を抑制することはほとんどない。
そして、膜部2aに穿設されている複数の孔2dは、筒体2の内部に水及び空気を出入りさせ易くするという作用を有する。すなわち、浸水上流側に水が堰き止められ地面に近い位置に形成された孔2dが水に覆われた際に、水面より高い位置に配置されている孔2d及び筒体2の両端の開口部から筒体2内の空気が排出されるとともに、水に覆われた孔2dより水が自然かつ迅速に流入するようになる。このとき、水が迅速に筒体2内に入るため、浸水開始時の筒体2の浮上も抑えられる。一方、浸水上流側の水位が低下した場合には、孔2d及び筒体2の両端の開口部から、筒体2内に空気が流入するとともに水が筒体2内から迅速に排出されるようになる。さらに、止水シート3と筒体2を着脱可能に固定するための固定手段4は、止水シート3を筒体2の浸水下流側の面の少なくとも一部を覆うような配置に維持するとともに、この止水シート3を筒体2と一体化させるという作用を有する。
上述する作用により、筒体2は浸水が想定される位置に載置されることで堰の基礎となる。そして、筒体2は下方に予め敷いて固定する止水シート3により浸水下流側の面の少なくとも一部が覆われることで、浸水上流側に堰き止めた水が筒体2(水害防止具1)から漏出してしまうのを防ぐことができる。加えて、止水シート3は筒体2並びに水によって固定されることで、筒体2及び止水シート3の配置が変化し難くなり、安定して水を堰き止めることが可能となる。この結果、水害防止具1は浸水被害の低減を図ることができる。
また、筒体2の構成要素の1つである筒状に形成された膜部2aは、筒体2内を外部から隔てることにより、筒体2が堰き止めた浸水上流側の水の波等が筒体2内部に直接伝達され難くなる。この結果、筒体2の両端にある開口部、膜部2aに穿設された複数の孔2dより筒体2内に入った水が浸水上流側の水とともに揺れ難くなる。この結果、筒体2(水害防止具1)の揺れが抑えられ漏水箇所となる隙間の形成を抑えることができる。すなわち、膜部2aによっても浸水被害を低減することができる。
加えて、膜部2aの外周面2bに形成されている環状の補強部2cは、筒体2の屈曲を可能にしながら、筒体2が軸方向に対し垂直な方向に伸縮しないように支持する。一方で、筒体2が上記軸方向に対して略平行となる力を受けた際には補強部2cはほとんど支持しないため、筒体2は軸方向における膜部2aの最大長さの範囲内において伸縮可能となる。このような補強部2cの存在により、筒体2は浸水が想定される場所に筒形状を維持しながら堰状に載置することができる。さらに、筒体2はその長さが調整できるため、場所に合わせて最適な長さの堰を形成することができる。すなわち、1つの水害防止具1により様々な幅の流路に起因した浸水に対応することができる。
加えて、筒体2の両端にある開口部及び膜部2aに穿設されている複数の孔2dにより、浸水上流側に水が堰き止められるに従い、筒体2を浮上させることなく筒体2の内部に水を自然かつ迅速に流入させることができ、また浸水上流側の水位が下がるに従って筒体2内の水も自然かつ迅速に排出させることができる。すなわち、筒体2内に注水したり排水したりする作業が不要となり、設置作業を時間と労力をかけずに実施することが可能となる。
さらに、止水シート3と筒体2を着脱可能に固定するための固定手段4により、止水シート3を筒体2に固定させることができるため、作業が簡単である。そして、水害防止具1を使用しない時には、筒体2と止水シート3を分離して、それぞれ長さを縮めたり折り畳んだりしてコンパクトにすることも可能であり、保管場所の確保も容易である。
[2;本実施の形態の細部構造について]
[2-1;筒体と止水シートの固定手段について]
図1乃至図3に示すように、本実施形態に係る水害防止具1の固定手段4は、筒体2と止水シート3に一対となるよう設けられた面ファスナーであってもよい。
上記構成となる水害防止具1であれば、筒体2と止水シート3は、一対の面ファスナーの接着力により互いに着脱可能に固定されるという作用を有する。
以上のような作用により、筒体2と止水シート3が面ファスナーにより簡単に固定できるため、水害防止具1を素早く組み立てることが可能となる。この結果、浸水被害を軽減することが可能となる。また、面ファスナーの操作だけで筒体2と止水シート3を固定することができるため、老若男女を問わず、誰でも簡単かつ迅速に水害防止具1の設置及び片付けを行うことができるようになる。
[2-2;筒体の断面形状が円形である場合について]
図1乃至図3に示すように、本実施形態に係る水害防止具1の筒体2の断面形状は円形であってもよい。
上記構成の水害防止具1であれば、筒体2が円筒状になるという作用を有する。この作用により、直径等のサイズの大きな筒体2であっても、転がして運搬することが可能となり、運搬時の労力を軽減することができる。
一方、上述した筒体2の基本的な構成は市販される排気ダクトと共通している。このため、所望の寸法を有する排気ダクトに複数の孔2dを穿設し、筒体2として流用することができる。これにより、筒体2の入手が容易となり、筒体2が破損した時には交換も素早く行うことができるようになる。また、筒体2を製造する設備を準備せずとも、購入した排気ダクトと止水シート3を用いて簡単に水害防止具1を製造することができるため、製造コストを抑えることができるようになる。
[2-3;筒体の断面形状が円形、かつ転がり防止材を設置する場合について]
図3(b)に示すように、本実施形態に係る水害防止具1では、筒体2の浸水下流側に転がり防止材5が設置されていてもよい。
上記構成の水害防止具1であれば、筒体2が浸水上流側に堰き止められた水から力を受けて浸水下流側に向かって転がろうとしても、筒体2は地面より高い位置に上縁を有する転がり防止材5に乗り上げてしまい、筒体2の移動が阻止されるという作用を有する。
また、図3(b)に示すように、一対の外壁E,Eに挟まれた入口において、筒体2の両端がこれら一対の外壁E,Eに係るように水害防止具1を設置して止水する際に、転がり防止材5が止水シート3と外壁Eと地面とが形成する隙間にも配置されるようにすることで、当該隙間を転がり防止材5が埋めるという作用も有する。
さらに、図3(c)に示すように、転がり防止材5を筒体2と止水シート3の間に設置することで止水シート3が外壁E側に張り出し、止水シート3と外壁Eと地面とが形成する隙間をより埋めることが可能である。その場合には、図3(c)に示すように、転がり防止材5と止水シート3にそれぞれ固定手段6を設けることで、転がり防止材5の止水シート3に対する固定をより強固にして位置ずれを抑制することが可能である。もちろん、固定手段6は筒体2との間に設けてもよく、筒体2と止水シート3の両方との間に設けてもよい。止水シート3に加えて、筒体2との間にも固定手段6を設けることで筒体2との位置ずれを一層抑制することが可能である。
以上の作用により、筒体2が転がり防止材5により転がり難くなり、浸水上流側の水量が増加したり、流れの速い水流が衝突したりしても、筒体2の位置が変化して水を漏出させることがなくなる。この結果、浸水被害の軽減を一層図ることが可能となる。
さらに、水害防止具1を、図3(a)に示すような一対の外壁E,Eに挟まれた入口に設置する場合には、転がり防止材5が止水シート3と外壁Eと地面とが形成する隙間を埋めるように設置されることで、隙間からの漏水を防ぐことができる。この結果、浸水被害の更なる軽減に繋げることができる。
なお、転がり防止材5が隙間を埋めるという目的も兼ねている場合には、隙間の形状に合わせて転がり防止材5を作製したり、転がり防止材5をクッション性のある材料を一部又は全部に用いて形成したりすることで、隙間を一層減らすことが可能である。
[2-4;筒体の断面形状が非円形である場合について]
図4に示すように、本実施形態に係る水害防止具1の筒体2は、断面形状が非円形となるものであってもよい。
ここで、図4は本発明の実施形態に係る水害防止具の変形例の筒体の外観斜視図であり、(a)は断面形状が正方形となる場合であり、(b)は断面形状が三角形となる場合である。なお、図1乃至図3において既に説明した同じ構成要素については同一の符号を付して説明は省略する。また、図が煩雑にならないように複数ある構成要素については全てに符号付けを行っていない。
図4(a)の筒体7のように断面形状が正方形、あるいは広く矩形であったり、図4(b)の筒体8のように断面形状が三角形であったりする場合、断面形状が円形(例えば図1参照)である場合に比べ、浸水上流側に堰き止められた水から力を受けた際に、浸水下流側に向かって転がり難くなるという作用を有する。さらに、筒体7のように断面形状が正方形や長方形等の矩形である場合には、水害防止具1を図3に示すように外壁E等の壁面に接するように配置させる際に、外壁E等の壁面と筒体7の隙間を埋める作用も有する。
以上の作用により、筒体7、筒体8であれば、上述した転がり防止材5がなくとも転がり難くなる。この結果、転がり防止材5を準備する必要がなくなるため、水害防止具1の部品数が少なくなり運搬が容易になるとともに、転がり防止材5の設置作業も不要となるため、水害防止具1の設置作業の労力を軽減することができる。なお、上記作用・効果は、筒体の断面形状が部位によらず全体として非円形である場合の他に、筒体の軸方向における任意の位置で断面形状が非円形であっても同じである。
また、特に筒体の断面形状が矩形である場合には、外壁E等の壁面と筒体の隙間が埋まることから、水の浸入をより効果的に抑止することが可能である。
[2-5;筒体に設けられる連結手段について]
本実施形態に係る水害防止具1の筒体2、筒体7、筒体8(以下、筒体2等)は、図1乃至図4に示すように、他の水害防止具1の筒体2等と連結できるように、その両端部に連結手段9が設置されていてもよい。
なお、図1乃至図4には、このような連結手段9の具体例として、一方の筒体2等の端部に固定紐9a、他方の端部に固定孔9bが形成されている場合を挙げているが、特にこのような連結手段9を指定しているわけではなく他の連結手段であっても構わない。例えば、フック、面ファスナー、ボルト等を利用して連結するものであってもよい。
上記連結手段9が設置された筒体2等を有する水害防止具1であれば、複数の水害防止具1の筒体2等の端部同士を連結させることで、水害防止具1の筒体2等の軸方向の長さを、連結させた数だけ増加させるという作用を有する。加えて、連結部分は浸水上流側に堰き止められた水が筒体2等の端部間の距離を押し広げようとする力に対して抗うため、端部間の連結状態を維持するという作用を有する。
上記作用により、水害防止具1は一つでは対応できない幅を有する水流を堰き止めることができるようになり、水害防止具1の対応可能な流路の幅の範囲を広げることが可能となる。加えて、浸水上流側に堰き止められた水の力により連結部分が外れ難くなるため、連結部分での漏水を抑えることができ、浸水被害の軽減を図ることができる。
なお、上述したように、筒体2の両端部に位置する補強部2cが、他の水害防止具1(又は筒体2)と着脱可能に連結する継手として機能させることで、上記連結手段9を設置した連結部分はさらに外れ難くなる。すなわち、継手として機能する補強部2cと連結手段9とを併用すれば、浸水被害の低減を一層図ることが可能となる。
以上説明したように、本発明は、様々な場所に迅速かつ簡単に設置することができ、住宅等の浸水被害を低減できる水害防止具であり、防災に関する技術分野において利用可能である。
1…水害防止具 2…筒体 2a…膜部 2b…外周面 2c…補強部 2d…孔 3…止水シート 4…固定手段 5…転がり防止材 6…固定手段 7…筒体 8…筒体 9…連結手段 9a…固定紐 9b…固定孔 W…水 E…外壁

Claims (6)

  1. 浸水が想定される位置に設置される水害防止具であって、
    前記位置に堰状に載置される筒体と、
    この筒体の浸水下流側の面の少なくとも一部を覆うとともに前記筒体の下方より浸水上流側に延設される止水シートと、を備え、
    前記筒体は、
    筒状に形成された柔軟な膜部と、
    この膜部の外周面に前記筒体の軸方向に沿って形成されている環状又は螺旋状の補強部と、
    前記膜部に穿設されている複数の孔と、
    前記止水シートと着脱可能に固定するための固定手段と、を備えていることを特徴とする水害防止具。
  2. 前記固定手段は、前記筒体と前記止水シートに一対となるように設けられた面ファスナーであることを特徴とする請求項1に記載の水害防止具。
  3. 前記筒体の断面形状は円形であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水害防止具。
  4. 前記筒体はその浸水下流側に転がり防止材が設置されることを特徴とする請求項3に記載の水害防止具。
  5. 前記筒体の断面形状は非円形であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水害防止具。
  6. 前記筒体の両端部に他の前記水害防止具と連結するための連結手段が設置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の水害防止具。
JP2021045571A 2021-03-19 2021-03-19 水害防止具 Pending JP2022144521A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021045571A JP2022144521A (ja) 2021-03-19 2021-03-19 水害防止具

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021045571A JP2022144521A (ja) 2021-03-19 2021-03-19 水害防止具

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022144521A true JP2022144521A (ja) 2022-10-03

Family

ID=83453722

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021045571A Pending JP2022144521A (ja) 2021-03-19 2021-03-19 水害防止具

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022144521A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3113333U (ja) 非常用防水擁壁
US9453314B2 (en) Deployable flexible flood mitigation wall
JP2008285841A (ja) 止水壁、および止水壁構築方法
JP6304678B2 (ja) 貯水槽及びユニットパネル
JP6260932B2 (ja) 浸水拡大防止用チューブ及びその結束構造
US10889950B2 (en) Portable flood barrier system and method of use
JP2020513079A (ja) 洪水に対する建物の保護方法
JP2022144521A (ja) 水害防止具
CA2949481C (en) Method and structure for in situ field repair of severed drain tile
JP2008208521A (ja) 雨水貯水施設
US9745708B2 (en) Device for the damming of a liquid in a liquid basin
JP6315952B2 (ja) 浸水防止装置
JP2001090039A (ja) 水土嚢
JP7432439B2 (ja) 浸水防止装置
JP2006161364A (ja) 堤防決壊防護構造及び堤防決壊防護シート並びにその敷設方法
JP5995058B2 (ja) 敷設配管の保護構造
JP7310557B2 (ja) 遮水壁及び護岸壁
US10731308B2 (en) Flood control system
JP2019001469A (ja) 屋外タンク滑動防止方法および構造
JPH0931947A (ja) 膨張堤体式貯水装置
KR200266826Y1 (ko) 건축 지하 구조물 기초바닥의 폴리에틸렌 흡수 드레인을이용한 지하수 배수처리구조
JPH0931939A (ja) 膨張式防水フェンス装置
JP2022125520A (ja) 止水構造体
EP1362145B1 (en) Embankment device for delimiting collection of liquid upon for example flood
KR200475936Y1 (ko) 차수 장치의 차수 커버구조