JP2022143888A - 乗物用内装材及び乗物用内装材の製造方法 - Google Patents
乗物用内装材及び乗物用内装材の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2022143888A JP2022143888A JP2021044648A JP2021044648A JP2022143888A JP 2022143888 A JP2022143888 A JP 2022143888A JP 2021044648 A JP2021044648 A JP 2021044648A JP 2021044648 A JP2021044648 A JP 2021044648A JP 2022143888 A JP2022143888 A JP 2022143888A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- grain pattern
- pattern
- plate portion
- interior material
- vehicle interior
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Vehicle Interior And Exterior Ornaments, Soundproofing, And Insulation (AREA)
- Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)
Abstract
【課題】意匠性を向上できる乗物用内装材を提供する。成形型からの乗物用内装材の離型をスムーズに行う。【解決手段】平面側シボ模様20が形成された平面部10と、平面部10よりも乗物室内外方向に傾斜し、平面部10に形成された平面側シボ模様20の深さよりも浅い深さの周端側シボ模様22が形成された周端部12と、を備え、周端部12の周端側シボ模様22には、微細な凹凸32が形成されているドアトリム100。【選択図】図2
Description
本発明は、乗物用内装材及び乗物用内装材の製造方法に関する。
従来、乗物用内装材の製造方法として、特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1に記載の乗物用内装材の製造方法では、シボ模様を構成する凹凸部や平均結晶粒径が5μm以下のめっき層等が形成されている成形面を有する成形型と、他の成形型と、の間に形成された成形空間に、溶融樹脂を射出することで、成形面の形状が転写された低グロスの意匠面を有する乗物用内装材を成形することが開示されている。また、成形面の形状が意匠面に転写された乗物用内装材を成形型からスムーズに離型するために、当該乗物用内装材には、抜き勾配が設定された斜面が設けられることがある。
しかしながら、特許文献1に開示の乗物用内装材の製造方法では、抜き勾配が設けられた斜面にシボ模様を転写する場合、成形型からの乗物用内装材の離型を阻害しないように、当該斜面におけるシボ模様の深さを比較的浅く設定する必要がある。そうすると、当該斜面のグロスが他部に比して高くなることで、乗物用内装材の意匠性が低下するおそれがある。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、意匠性を向上できる乗物用内装材を提供することを目的の一つとする。また、成形型からの乗物用内装材の離型をスムーズに行うことを目的の一つとする。
本発明は、乗物用内装材であって、シボ模様が形成された第1板部と、前記第1板部よりも乗物室内外方向に傾斜し、前記第1板部に形成されたシボ模様の深さよりも浅い深さのシボ模様が形成された第2板部と、を備え、前記第2板部のシボ模様には、微細な凹凸が形成されていることに特徴を有する。
このような乗物用内装材によると、第2板部のシボ模様に形成された微細な凹凸により、第2板部のグロスを相対的に低下させることができる。これにより、シボ模様の深さの違いに起因する第1板部と第2板部との間のグロスの差を小さくすることが可能となり、全体として統一感のある意匠性を呈する乗物用内装材を提供することができる。また、仮にこの乗物用内装材を射出成形法により成形する場合、成形型において、傾斜面である第2板部に対してシボ模様を形成するための成形面について、比較的深さの浅いシボを備えた成形面とすることができるため、その離型性が阻害されることもないものとなる。
また、前記乗物用内装材は、開閉可能なドアを構成するドアトリムであり、前記第2板部は、前記ドアトリムの端部であるものとすることができる。このような乗物用内装材によると、抜き勾配が設定されやすいドアトリムの端部において、グロスを相対的に低下させることができる。これにより、ドアを開いたときにドアトリムの端部が視認されたとしても、当該端部が目立つことなく、ドアトリム全体として統一感のある意匠性を呈することができる。
また、本発明は、第1板部と、前記第1板部よりも乗物室内外方向に傾斜した第2板部と、を備える乗物用内装材の製造方法であって、金型母材に第1シボ模様と前記第1シボ模様の深さよりも浅い深さの第2シボ模様とを形成するシボ模様形成工程と、前記金型母材を負極とし前記金型母材に対向する対向冶具を正極として電気めっきを行い、微細な凹凸を有するめっき層を、少なくとも前記第2シボ模様に形成して成形型を作製する電気めっき工程と、前記成形型と前記成形型に対向する対向型とを型閉じしてなる成形空間に熱可塑性樹脂を射出して、前記第1シボ模様が転写された前記第1板部と、前記第2シボ模様と前記めっき層の微細な凹凸とが転写された前記第2板部とを形成する射出工程と、を含むことに特徴を有する。
このような乗物用内装材の製造方法によると、第1シボ模様の深さよりも浅い深さの第2シボ模様と、めっき層の微細な凹凸と、が転写された第2板部を形成することにより、乗物用内装材の離型が第2シボ模様によって阻害されることを抑制しつつ、グロスが相対的に低下した第2板部を有する、全体として統一感のある意匠性を呈する乗物用内装材を製造することができる。
また、前記射出工程では、抜き勾配に基づいて傾斜した前記第2板部を形成するものとすることができる。このような乗物用内装材の製造方法によると、第2板部において乗物用内装材の離型が阻害されることをより抑制することができる。
また、前記電気めっき工程では、前記第1シボ模様と前記対向冶具との間の距離と、前記第2シボ模様と前記対向冶具との間の距離と、を異なる距離にして前記電気めっきを行い、微細な凹凸を有するめっき層を、前記第1シボ模様及び前記第2シボ模様に形成するものとし、前記射出工程では、前記第1シボ模様と前記第1シボ模様に形成された前記めっき層の微細な凹凸とが転写された前記第1板部と、前記第2シボ模様と前記第2シボ模様に形成された前記めっき層の微細な凹凸とが転写された前記第2板部と、を形成するものとすることができる。
このような乗物用内装材の製造方法によると、各シボ模様と対向冶具との間の距離を変更することで、第1板部と第2板部とのグロスを同じ値に近づけることができ、全体としてより統一感のある意匠性を呈する乗物用内装材を製造することができる。
本発明によれば、意匠性を向上できる乗物用内装材を提供することが可能となる。また、成形型からの乗物用内装材の離型をスムーズに行うことが可能となる。
<実施形態>
本発明の実施形態を図1から図8によって説明する。本実施形態では、自動車(乗物)のドアに取り付けられるドアトリム(乗物用内装材)100とその製造方法について説明する。尚、矢印方向Fを前方、矢印方向Rを後方、矢印方向Tを上方、矢印方向Bを下方、矢印方向INを車室内側(意匠面側)、矢印方向OUTを車室外側(裏面側)として各図を説明する。
本発明の実施形態を図1から図8によって説明する。本実施形態では、自動車(乗物)のドアに取り付けられるドアトリム(乗物用内装材)100とその製造方法について説明する。尚、矢印方向Fを前方、矢印方向Rを後方、矢印方向Tを上方、矢印方向Bを下方、矢印方向INを車室内側(意匠面側)、矢印方向OUTを車室外側(裏面側)として各図を説明する。
図1に示すように、ドアトリム100は、開閉可能なドアに取り付けられるものであり、全体として板状をなしている。ドアトリム100は、当該ドアトリムがドアに取り付けられたときに、上下方向と前後方向とを含む平面に広がる平面部(第1板部)10と、第1板部10に対し車室内外方向に傾斜した複数の斜面部11と、を備える。平面部10の上側には、車室内側に膨出した部分であって乗員が腕を載置するアームレスト16が設けられている。
複数の斜面部11は、平面部10が広がる平面に対し所定の角度で交わった面(平面部10が広がる平面に対し同一ではなく、平行ではない面)に広がる部分であるとされる。複数の斜面部11は、ドアトリム100の上端部以外の周囲の端部を構成する周端部(第2板部)12と、三角形状の意匠面を有する三角部13と、アームレスト16と三角部13との間に配された中間部14と、ドアトリム100の上端部を構成するアッパーボード15と、を含み、それぞれ平面部10が広がる平面に対して交わる角度が異なるものとされる。尚、アッパーボード15は、上方に向かうほど車室外側に曲がった曲面をなしているが、このような曲面をなす部分も、本願発明における「乗物室内外方向に傾斜」する部分に含まれる。
周端部12は、ドアを閉じたときに乗員から視認することができず、ドアを開いたときに乗員から視認することができる部分である。図2に示すように、平面部10に対する周端部12の傾きは、抜き勾配θに基づいて定められている。抜き勾配θは、後述する射出工程において、成形型からドアトリム100をスムーズに離型するために設定される勾配(角度)である。具体的には、抜き勾配θは、平面部10の板厚方向(平面部10が広がる平面S1に垂直な方向であり、後述する射出工程における型開き方向)L1に対して傾いた角度とされる。周端部12が広がる平面S2は、平面部10が広がる平面S1に対し抜き勾配θの角度で傾いているといえる。
図1及び図2に示すように、平面部10及び複数の斜面部11の意匠面には、車室内側から視た場合に全体として統一感のあるグロスとなるように、各部で形状の異なるシボ模様と微細な凹凸とが形成されている。シボ模様は、微細な凹凸よりも深さが深く、粗さが粗い形とされる。尚、孔径が10μm以上の凹部を有するものを、シボ模様とし、孔径が5μm以下の凹部を有するものを、微細な凹凸とすることができる。
複数の斜面部11に形成されたシボ模様の深さは、平面部10に形成されたシボ模様の深さよりも浅い深さである。図2に示すように、平面部10の意匠面には、深さD1である平面側シボ模様20と、平面側シボ模様20に設けられた微細な凹凸30と、が形成されている。周端部12の意匠面には、深さD1よりも浅い深さD2である周端側シボ模様22と、周端側シボ模様22に設けられた微細な凹凸32と、が形成されている。周端側シボ模様22に設けられた微細な凹凸32は、平面側シボ模様20に設けられた微細な凹凸30に比して凹凸形状が粗い形とされている。尚、三角部13、中間部14、及びアッパーボード15の意匠面においても、周端部12に形成されたシボ模様22及び微細な凹凸32と同様のものが形成されているものとする。
続いて、ドアトリム100の製造方法について説明する。ドアトリム100の製造方法は、大別すると、金型母材40に第1シボ模様41Aと第2シボ模様42Aとを形成するシボ模様形成工程と、金型母材40に対し電気めっきを行い、微細な凹凸を有するめっき層46を、第1シボ模様41A及び第2シボ模様42Aに形成して成形型45を作製する電気めっき工程と、成形型45と成形型45に対向する対向型60とを型閉じしてなる成形空間に熱可塑性樹脂を射出してドアトリム100を成形する射出工程と、を含む。
シボ模様形成工程では、化学エッチング、サンドブラスト、及び電解エッチングの中から選択される1又は2以上の工程を行うことにより、金型母材40の成形面40Aにシボ模様を形成する。金型母材40の素材としては、鉄を主成分とし、炭素、ケイ素、マンガン、リン、硫黄等を含むブロック状の鋼材を採用することができる。図3に示すように、金型母材40は、成形面40A側が平面をなした平面成形部41と、平面成形部41に対しドアトリム100の抜き勾配θ(図2参照)に基づいて傾斜した斜面成形部42と、が設けられている。
化学エッチングでは、耐酸性のインクや硝酸等の酸性の溶液を用いて金型母材40の成形面40Aを部分的に腐食させることで、シボ模様を形成する。サンドブラストでは、研磨剤を金型母材40の成形面40Aに吹き付けて当該成形面40Aを削ることで、シボ模様を形成する。
図3に示すように、電解エッチングでは、クロム酸と硫酸を主成分とするめっき浴50(クロムめっき浴、サージェント浴)に、金型母材40と金型母材40に対向する形で配される対向冶具とを浸す。そして、金型母材40が陽極、対向冶具52が陰極となるように、それぞれ電源51に接続する。これにより、金型母材40に含まれる鉄成分を溶融させ、その成形面40Aにシボ模様を形成する。尚、電解エッチングの条件としては、電流密度を15~20A/dm2とし、1分~20分の範囲で通電することが好ましい。このような条件とすれば、10μm以上の孔径を有する凹部を有するシボ模様を好適に形成することができる。
以上の工程を経ることで、図4に示すように、金型母材40の成形面40Aに対し種々の深さのシボ模様を形成する。具体的には、平面成形部41の成形面に対し、第1シボ模様41A(二点鎖線で示す)を形成し、斜面成形部42の成形面に対し、第1シボ模様41Aの深さよりも浅い深さの第2シボ模様42A(二点鎖線で示す)を形成する。このようなシボ模様の深さは、例えば、斜面成形部42に対し平面成形部41を、化学エッチングにおいて複数回腐食させること、サンドブラストにおいて長時間研磨剤を吹き付けること、電解エッチングにおいて陽極と陰極の距離D3を部分的に近づけること、等によって調整することができる。
続いて、電解エッチングの後に行う電気めっき工程では、図5及び図6に示すように、めっき浴50に、金型母材40と金型母材40に対向する形で配される対向冶具とを浸し、金型母材40が負極、対向冶具52が正極となるように、それぞれ電源51に接続する。これにより、めっき浴50中のクロムイオンを還元し、微細な凹凸を有するめっき層46として金型母材40の成形面40Aに析出させて、成形型45を作製する。尚、対向冶具52は、金型母材40の成形面40Aに倣う形のものを用いる。また、めっき浴50の浴温を25℃~40℃、電流密度を20A/dm2~80A/dm2とすることで、めっき層46の平均結晶粒径を5μm以下にすることができる。
めっき層46は、成形面40Aに形成したシボ模様に析出する。具体的には、図6に示すように、平面成形部41の第1シボ模様41Aに、第1めっき層47が析出し、斜面成形部42の第2シボ模様42Aに、第2めっき層48が析出する。めっき層46は、第2めっき層48のグロスが第1めっき層47のグロスに比して低くなるように、その厚みや平均結晶粒径が調整されている。例えば、第2めっき層48は、第1めっき層47に比して厚みが薄く、平均結晶粒径が大きいものとされる。これにより、第2シボ模様42Aのグロスが、第1シボ模様41Aのグロスよりも高い場合であったとしても、第2めっき層48によって第2シボ模様42Aのグロスを相対的に低下させることができる。
尚、めっき層46の各部におけるグロスは、電気めっき工程において、対向冶具52と金型母材40の成形面40Aとの間の距離(以下、電極間距離と呼ぶ)D4を部分ごとに調整することにより変化させることができる。例えば、図7には、電極間距離D4、成形面40Aに析出するめっき層46の厚み、及び後述する射出工程においてめっき層46の微細な凹凸が転写された樹脂成形体(ドアトリム100)のグロスの関係を示している。グロスの値は、入射角60度のときの鏡面光沢度(JIS Z8741に準拠した試験方法で測定した値)とし、成形面40Aにシボ模様(第1シボ模様41A及び第2シボ模様42A)が形成されていないときの値とする。電極間距離D4が大きくなるほど、めっき層46の厚みは薄くなる。電極間距離D4が30~35mmの範囲の場合では、樹脂成形体のグロスが比較的低くなり、電極間距離D4が30~35mmの範囲よりも小さくなる場合、又は大きくなる場合では、樹脂成形体のグロスが比較的高くなる。
めっき層46の微細な凹凸が樹脂成形体に転写されるため、めっき層46のグロスは、樹脂成形体のグロスと同一、又は正の相関がある。従って、電極間距離D4が30~35mmの範囲の場合では、めっき層46のグロスが比較的低くなり、電極間距離D4が30~35mmの範囲よりも小さくなる場合、又は大きくなる場合では、めっき層46のグロスが比較的高くなる。
以上から、第2めっき層48のグロスを第1めっき層47のグロスに比して低くするためには、例えば、平面成形部41の第1シボ模様41Aと対向冶具52との間の距離を30~35mmの範囲よりも小さく(又は大きく)設定し、斜面成形部42の第2シボ模様42Aと対向冶具52との間の距離を30~35mmの範囲に設定して、めっき層46を形成すればよい。これにより、成形されるドアトリム100の部分ごとで抜き勾配θに基づいた傾きが設けられることにより、成形面40Aの部分ごとでシボ模様のグロスに差異があったとしても、当該成形面40Aの部分ごとに電極間距離D4を調整してめっき層46を形成させることで、その差異を極力小さくすることができる。即ち、抜き勾配θに対して電極間距離D4を調整することで各部のグロスを統一することができ、全体として統一感のある意匠性を有するドアトリム100を成形可能な、成形型45を得ることができる。
図8に示すように、射出工程では、成形型45と成形型45の成形面40Aに対向する位置に配された対向型60とを近接させ、型閉じする。そして、成形型45と対向型60との間に設けられた成形空間に対し、射出装置61から熱可塑性樹脂を射出する。射出された熱可塑性樹脂は、成形空間に充満することで、平面部10と複数の斜面部11(抜き勾配θに基づいて傾斜した周端部12)とが形成された樹脂成形体(ドアトリム)100として成形される。樹脂成形体100の意匠面側は、成形型45の成形面40Aによって成形される。
このとき、図2及び図6に示すように、平面部10には、平面成形部41の第1シボ模様41Aと第1めっき層47の微細な凹凸とが転写されて、平面側シボ模様20と平面側シボ模様20に設けられた微細な凹凸30とが形成される。そして、斜面部11のうちの周端部12には、斜面成形部42の第2シボ模様42Aと第2めっき層48の微細な凹凸とが転写されて、周端側シボ模様22と周端側シボ模様22に設けられた微細な凹凸32とが形成される。図8に示すように、成形型45と対向型60を所定時間保圧した後に冷却し、対向型60を成形型45から型開き方向L1に離間させ、ドアトリム100を成形型45から離型する。
続いて、本実施形態の効果について説明する。本実施形態における乗物用内装100は、平面側シボ模様20が形成された平面部10と、平面部10よりも乗物室内外方向に傾斜し、平面部10に形成された平面側シボ模様20の深さよりも浅い深さの周端側シボ模様22が形成された周端部12と、を備え、周端部12の周端側シボ模様22には、微細な凹凸32が形成されている。
このような乗物用内装100によると、周端部12の周端側シボ模様22に形成された微細な凹凸32により、周端部12のグロスを相対的に低下させることができる。これにより、シボ模様20,22の深さの違いに起因する平面部10と周端部12との間のグロスの差を小さくすることが可能となり、全体として統一感のある意匠性を呈する乗物用内装100を提供することができる。また、この乗物用内装100を射出工程により成形する場合、成形型45において、傾斜面である周端部12に対して周端側シボ模様22を形成するための成形面を有する斜面成形部42について、比較的深さの浅い第2シボ模様42Aを備えた斜面成形部42とすることができるため、その離型性が阻害されることもないものとなる。
また、乗物用内装100は、開閉可能なドアを構成するドアトリム100であり、周端部12は、ドアトリム100の端部である。このようなドアトリム100によると、抜き勾配θが設定されやすいドアトリム100の周端部12において、グロスを相対的に低下させることができる。これにより、ドアを開いたときにドアトリム100の周端部12が視認されたとしても、当該周端部12が目立つことなく、ドアトリム100全体として統一感のある意匠性を呈することができる。
また、本実施形態では、平面部10と、平面部10よりも乗物室内外方向に傾斜した周端部12と、を備えるドアトリム100の製造方法であって、金型母材40に第1シボ模様41Aと第1シボ模様41Aの深さよりも浅い深さの第2シボ模様42Aとを形成するシボ模様形成工程と、金型母材40を負極とし金型母材40に対向する対向冶具52を正極として電気めっきを行い、微細な凹凸を有する第2めっき層48を、第2シボ模様42Aに形成して成形型45を作製する電気めっき工程と、成形型45と成形型45に対向する対向型60とを型閉じしてなる成形空間に熱可塑性樹脂を射出して、第1シボ模様41Aが転写された平面部10と、第2シボ模様42Aと第2めっき層48の微細な凹凸とが転写された周端部12とを形成する射出工程と、を含むドアトリム100の製造方法を示した。
このようなドアトリム100の製造方法によると、第1シボ模様41Aの深さよりも浅い深さの第2シボ模様42Aと、第2めっき層48の微細な凹凸と、が転写された周端部12を形成することにより、ドアトリム100の離型が第2シボ模様42Aによって阻害されることを抑制しつつ、グロスが相対的に低下した周端部12を有する、全体として統一感のある意匠性を呈するドアトリム100を製造することができる。
また、射出工程では、抜き勾配θに基づいて傾斜した周端部12を形成する。このようなドアトリム100の製造方法によると、周端部12においてドアトリム100の離型が阻害されることをより抑制することができる。
また、電気めっき工程では、第1シボ模様41Aと対向冶具52との間の距離と、第2シボ模様42Aと対向冶具52との間の距離と、を異なる距離にして電気めっきを行い、微細な凹凸を有するめっき層46を、第1シボ模様41A及び第2シボ模様42Aに形成するものとし、射出工程では、第1シボ模様41Aと第1シボ模様41Aに形成された第1めっき層47の微細な凹凸とが転写された平面部10と、第2シボ模様42Aと第2シボ模様42Aに形成された第2めっき層48の微細な凹凸とが転写された周端部12と、を形成する。
このようなドアトリム100の製造方法によると、各シボ模様41A,42Aと対向冶具52との間の距離を変更することで、平面部10と周端部12とのグロスを同じ値に近づけることができ、全体としてより統一感のある意匠性を呈するドアトリム100を製造することができる。
以下、実施例に基づいて本技術を詳細に説明する。なお、本技術はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
<実施例1>
本実施例では、平面部(第1板部)と、平面部に対し所定の抜き勾配に基づいて車室内外方向に傾斜した斜面部A,B,C(第2板部)とを有するドアトリムを製造する。平面部には、抜き勾配が設けられず、斜面部Aには、6.0度の抜き勾配が設けられ、斜面部Bには、4.0度の抜き勾配が設けられ、斜面部Cには、2.0度の抜き勾配が設けられることとする。
本実施例では、平面部(第1板部)と、平面部に対し所定の抜き勾配に基づいて車室内外方向に傾斜した斜面部A,B,C(第2板部)とを有するドアトリムを製造する。平面部には、抜き勾配が設けられず、斜面部Aには、6.0度の抜き勾配が設けられ、斜面部Bには、4.0度の抜き勾配が設けられ、斜面部Cには、2.0度の抜き勾配が設けられることとする。
シボ模様形成工程では、ドアトリムにおいてシボ模様の深さを百分率で相対的に示した場合に、平面部のシボ模様の深さが80%、斜面部Aのシボ模様の深さが60%、斜面部Bのシボ模様の深さが40%、斜面部Cのシボ模様の深さが20%となるように、金型母材の成形面にシボ模様を形成した。電気めっき工程では、金型母材の成形面において、平面部を成形する部分の電極間距離を5mmとし、斜面部Aを成形する部分の電極間距離を10mmとし、斜面部Bを成形する部分の電極間距離を20mmとし、斜面部Cを成形する部分の電極間距離を30mmとして、電気めっきを行い、成形型を得た。射出工程において熱可塑性樹脂(ポリプロピレン樹脂)を成形空間に射出し、成形型の成形面が転写された平面部及び斜面部A,B,Cを有する樹脂成形体(ドアトリム)を得た。
ドアトリムにおける平面部、及び斜面部A,B,Cについて、光沢時計かつ、60°入射角によってグロスを測定した。結果を、表1に示す。
<比較例1>
電気めっき工程にて、金型母材の成形面の各部において、電極間距離を20mmに統一して電気めっきを行ったこと以外は、上記実施例1と同様にした。ドアトリムにおける平面部、及び斜面部A,B,Cについて、上記実施例1と同様の方法によってグロスを測定した。結果を、表2に示す。
電気めっき工程にて、金型母材の成形面の各部において、電極間距離を20mmに統一して電気めっきを行ったこと以外は、上記実施例1と同様にした。ドアトリムにおける平面部、及び斜面部A,B,Cについて、上記実施例1と同様の方法によってグロスを測定した。結果を、表2に示す。
実施例1では、電気めっき工程にて電極間距離を調整することで、成形型(金型母材)の成形面において、平面部を成形する部分に比して斜面部A,B,Cを成形する部分に析出するめっき層の微細な凹凸のグロスが相対的に低くなったため、ドアトリムのグロスが全体として一定の値になったと考えられる。一方、比較例1では、電気めっき工程において電極間距離が一定に調整されているので、成形型の成形面に析出するめっき層の微細な凹凸のグロスが一定となる。そうすると、ドアトリムのグロスは、抜き勾配やシボ模様の深さに左右されることとなる。例えば、斜面部A,B,Cは、平面部に比して高いグロス値として視認されることとなり、ドアトリム全体として統一感のある意匠性を呈することができない。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態では、平面部及び斜面部に微細な凹凸が形成されるものとしたが、斜面部のみに微細な凹凸が形成されるものとしてもい。その場合、乗物用内装材の製造方法は、電気めっき工程において、第2シボ模様のみに対しめっき層(第2めっき層)を形成し、射出工程において、第1シボ模様のみが転写された平面部と、第2シボ模様と第2めっき層とが転写された周端部と、を形成するものとされる。
(2)上記実施形態では、斜面成形部によって周端部を形成するものとしたが、これに限られない。例えば、斜面形成部によって三角部、中間部、又はアッパーボードを形成するものとしてもよい。即ち、斜面形成部は、平面部よりも乗物室内外方向に傾斜した斜面部を形成するものであればよい。
(3)上記実施形態では、乗物用内装材は、ドアトリムとしたが、これに限られない。例えば、乗物用内装材は、ピラーガーニッシュ、インストルメントパネル、スカッフプレート、カウルサイドトリム等でもよい。
(4)上記実施形態で例示した乗物用内装材及び乗物用内装材の製造方法は、車両用に提供されるもの限られず、種々の乗物において提供されるものであってもよい。例えば、地上の乗物としての列車や遊戯用車両、飛行用乗物としての飛行機やヘリコプター、海上や海中用乗物としての船舶や潜水艇などの乗物についても上記乗物用内装材及び乗物用内装材の製造方法を適用することができる。
10…平面部(第1板部),12…周端部(第2板部),20…平面側シボ模様(シボ模様),22…周端側シボ模様(シボ模様),30,32…微細な凹凸,40…金型母材,41A…第1シボ模様(シボ模様),42A…第2シボ模様(シボ模様),45…成形型,47…第1めっき層(めっき層),48…第2めっき層(めっき層),52…対向冶具,60…対向型,100…ドアトリム(乗物用内装材)
Claims (5)
- 乗物用内装材であって、
シボ模様が形成された第1板部と、
前記第1板部よりも乗物室内外方向に傾斜し、前記第1板部に形成されたシボ模様の深さよりも浅い深さのシボ模様が形成された第2板部と、を備え、
前記第2板部のシボ模様には、微細な凹凸が形成されていることを特徴とする乗物用内装材。 - 当該乗物用内装材は、開閉可能なドアを構成するドアトリムであり、
前記第2板部は、前記ドアトリムの端部であることを特徴とする請求項1に記載の乗物用内装材。 - 第1板部と、前記第1板部よりも乗物室内外方向に傾斜した第2板部と、を備える乗物用内装材の製造方法であって、
金型母材に第1シボ模様と前記第1シボ模様の深さよりも浅い深さの第2シボ模様とを形成するシボ模様形成工程と、
前記金型母材を負極とし前記金型母材に対向する対向冶具を正極として電気めっきを行い、微細な凹凸を有するめっき層を、少なくとも前記第2シボ模様に形成して成形型を作製する電気めっき工程と、
前記成形型と前記成形型に対向する対向型とを型閉じしてなる成形空間に熱可塑性樹脂を射出して、前記第1シボ模様が転写された前記第1板部と、前記第2シボ模様と前記めっき層の微細な凹凸とが転写された前記第2板部とを形成する射出工程と、を含むことを特徴とする乗物用内装材の製造方法。 - 前記射出工程では、抜き勾配に基づいて傾斜した前記第2板部を形成することを特徴とする請求項3に記載の乗物用内装材の製造方法。
- 前記電気めっき工程では、前記第1シボ模様と前記対向冶具との間の距離と、前記第2シボ模様と前記対向冶具との間の距離と、を異なる距離にして前記電気めっきを行い、微細な凹凸を有するめっき層を、前記第1シボ模様及び前記第2シボ模様に形成するものとし、
前記射出工程では、前記第1シボ模様と前記第1シボ模様に形成された前記めっき層の微細な凹凸とが転写された前記第1板部と、前記第2シボ模様と前記第2シボ模様に形成された前記めっき層の微細な凹凸とが転写された前記第2板部と、を形成することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の乗物用内装材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021044648A JP2022143888A (ja) | 2021-03-18 | 2021-03-18 | 乗物用内装材及び乗物用内装材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021044648A JP2022143888A (ja) | 2021-03-18 | 2021-03-18 | 乗物用内装材及び乗物用内装材の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2022143888A true JP2022143888A (ja) | 2022-10-03 |
Family
ID=83454385
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021044648A Pending JP2022143888A (ja) | 2021-03-18 | 2021-03-18 | 乗物用内装材及び乗物用内装材の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2022143888A (ja) |
-
2021
- 2021-03-18 JP JP2021044648A patent/JP2022143888A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN101456394A (zh) | 制造车辆散热器格栅的方法 | |
US8088268B2 (en) | Method of fabricating mask for forming wood grain patterns | |
US10954601B2 (en) | Method of producing die, die, and interior component of vehicle | |
KR101957443B1 (ko) | 다색 패턴의 구현이 가능한 플라스틱재 도금공법 | |
CN111836706B (zh) | 成型用模具、成型用模具的制造方法、注塑成型装置以及成型品的制造方法 | |
JP2022143888A (ja) | 乗物用内装材及び乗物用内装材の製造方法 | |
JP2006247972A (ja) | 複合部材およびその製造方法 | |
CN108501266B (zh) | 注塑件的表面塑形方法及注塑件 | |
JP5613725B2 (ja) | 射出成形品 | |
US20110056837A1 (en) | Porous electroformed shell for patterning and manufacturing method thereof | |
JP2007269002A (ja) | 偏肉樹脂成形品およびその製造方法 | |
JP7081480B2 (ja) | 成形型の製造方法、成形型、乗物用内装材の製造方法 | |
JP2019006067A (ja) | 成形型 | |
US8501063B2 (en) | Process of graining thermoplastic sheets | |
EP2405033A1 (en) | Porous electroformed shell for patterning and manufacturing method thereof | |
JP7087954B2 (ja) | 成形型の製造方法、成形型、乗物用内装材の製造方法 | |
JP7133131B2 (ja) | 成形型の製造方法、成形型、乗物用内装材の製造方法 | |
JP2716324B2 (ja) | 電鋳加工による多孔質成形型の製造方法 | |
JPH0872065A (ja) | 樹脂成形金型およびこの金型を用いた樹脂材の成形方法 | |
JP2021138017A (ja) | 乗物用内装材の製造方法 | |
KR101859987B1 (ko) | Img 진공성형용 자동차 내장재 성형쉘 제작방법 및 그 제작방법을 통해 제작된 자동차 내장재 | |
KR101639219B1 (ko) | 금속막이 부분적으로 형성된 합성수지부재 제조방법 | |
JP2020097302A (ja) | 乗物用内装材及び乗物用内装材の製造方法 | |
JP3959683B2 (ja) | 表皮成形型 | |
JP7023178B2 (ja) | 成形型、乗物用内装材の製造方法及び成形型の製造方法 |