JP2022138294A - 直接メタノール形燃料電池及び直接メタノール形燃料電池用電解質膜の製造方法 - Google Patents

直接メタノール形燃料電池及び直接メタノール形燃料電池用電解質膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】OCVを向上可能な直接メタノール形燃料電池及び直接メタノール形燃料電池用電解質膜の製造方法を提供する。【解決手段】DMFC3は、カソード31と、メタノールを含む燃料が供給されるアノード32と、イオン伝導性を有するセラミック材料と絶縁性を有する有機高分子材料とを含む電解質膜33とを備える。解質膜33におけるセラミック材料の単位体積表面積をX軸とし、アノードからカソードへ電解質膜を透過するメタノールによってカソードにおいて生成されるCO2の生成速度をY軸とするXY座標平面にプロットした測定座標(X,Y)は、Y=0.01e1200Xで示される第1線分の線上又は前記第1線分より右側に位置し、Y=2.5で示される第2線分の線上又は前記第2線分より下側に位置し、Y=0.01で示される第3線分L3の線上又は前記第3線分より上側に位置する。【選択図】図3

Description

本発明は、直接メタノール形燃料電池及び直接メタノール形燃料電池用電解質膜の製造方法に関する。
燃料電池の一種として、メタノールを燃料とする直接メタノール形燃料電池(DMFC:Direct Methanol fuel cell)が知られている。
従来、DMFC用の電解質として、パーフルオロスルホン酸系ポリマーであるナフィオン(デュポン社製、登録商標)からなる固体高分子電解質が広く用いられてきたが、燃料クロスオーバーが大きいだけでなく、乾湿サイクルにおける寸法変化が大きいという問題がある。
そこで、特許文献1では、炭化水素系高分子電解質とポリテトラフルオロエチレンからなる支持体とを複合化させた電解質膜が提案されている。しかしながら、特許文献1の電解質膜では、高分子電解質が用いられているため耐久性が低いという問題がある。
そこで、特許文献2では、イオン伝導性を有するセラミック材料と絶縁性の有機高分子材料によって構成される支持体とを複合化させた電解質膜が提案されている。
特開2010-232158号公報 国際公開第2019/124317号
しかしながら、特許文献2に記載の電解質膜を用いた場合、OCV(開回路電圧)が低いという問題がある。本発明者等が鋭意検討した結果、OCVが低い一要因は、セラミック材料の表面に存在する親水性の水酸基(-OH)に水分(HO)が吸着している場合、セラミック材料と有機高分子材料との隙間を十分に狭めることができず、燃料であるメタノールが電解質膜を透過してしまうことにあるという知見を得た。
本発明は、上述した新規な知見に基づいてなされたものであり、OCVを向上可能な直接メタノール形燃料電池及び直接メタノール形燃料電池用電解質膜の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る直接メタノール形燃料電池は、酸化剤が供給されるカソードと、メタノールを含む燃料が供給されるアノードと、イオン伝導性を有するセラミック材料と絶縁性を有する有機高分子材料とを含み、アノード及びカソードの間に配置される電解質膜とを備える。電解質膜におけるセラミック材料の単位体積表面積をX軸とし、アノードからカソードへ電解質膜を透過するメタノールによってカソードにおいて生成されるCOの生成速度をY軸とするXY座標平面に、単位体積表面積をX座標とし生成速度をY座標とする測定座標(X,Y)をプロットした場合、測定座標(X,Y)は、Y=0.01e1200Xで示される第1線分の線上又は第1線分より右側に位置し、Y=2.5で示される第2線分の線上又は第2線分より下側に位置し、Y=0.01で示される第3線分L3の線上又は第3線分より上側に位置する。
本発明によれば、OCVを向上可能な直接メタノール形燃料電池及び直接メタノール形燃料電池用電解質膜の製造方法を提供することができる。
実施形態に係るDMFCシステムの構成の一例を示す模式図である。 実施形態に係るDMFCのセラミック材料の単位体積表面積とCO生成速度との関係を示す片対数グラフである。 実施例に係るサンプルNo.1~42のセラミック材料の単位体積表面積とCO生成速度との関係を示す片対数グラフである。
(直接メタノール形燃料電池システム1の構成)
図1は、直接メタノール形燃料電池システム(以下、「DMFCシステム」と略称する。)1の構成を示す模式図である。
DMFCシステム1は、ハウジング2及び直接メタノール形燃料電池(以下、「DMFC」と略称する。)3を備える。
(ハウジング2)
ハウジング2は、DMFC3を内部に収容する。
ハウジング2は、酸化剤供給部21及び燃料供給部22を内部に有する。酸化剤供給部21及び燃料供給部22は、DMFC3によって分離される。
酸化剤供給部21は、後述するカソード31に酸素(O)を含む酸化剤を供給する。酸化剤としては、空気を用いるのが好ましく、空気は加湿されていることがより好ましい。酸化剤供給部21は、供給管21a、供給空間21b及び排出管21cを有する。供給管21aから導入される酸化剤は、供給空間21bにおいてカソード31に供給される。カソード31において消費されなかった酸化剤は、排出管21cから外部に排出される。
燃料供給部22は、DMFC3の作動中、メタノール(CHOH)を含む燃料を後述するアノード32に供給する。燃料に含まれるメタノールは、気相状態、液相状態、気相及び液相の混合状態のいずれであってもよい。燃料供給部22は、供給管22a、供給空間22b及び排出管22cを有する。供給管22aから導入される燃料は、供給空間22bにおいてアノード32に供給される。アノード32において消費されなかった燃料とアノード32において発生する二酸化炭素(CO)及び水(HO)は、排出管22cから外部に排出される。
(DMFC3)
DMFC3は、直接メタノール形燃料電池の一例である。DMFC3は、水酸化物イオンをキャリアとするアルカリ形燃料電池(AFC:Alkaline Fuel Cel)の一種である。DMFC3は、カソード31、アノード32、及び電解質膜33を備える。
DMFC3は、下記の電気化学反応式に基づいて、比較的低温(例えば、50℃~250℃)で発電することができる。
・カソード31: 3/2O+3HO+6e→6OH
・アノード32: CHOH+6OH→6e+CO+5H
・ 全体 : CHOH+3/2O→CO+2H
1.カソード31
カソード31は、一般に空気極と呼ばれる陽極である。DMFC3の発電中、カソード31には、酸素(O)を含む酸化剤が酸化剤供給部21から供給される。カソード31は、内部に酸化剤を拡散可能な多孔質体である。カソード31の気孔率は特に制限されない。カソード31の厚みは特に制限されないが、例えば10~200μmとすることができる。
カソード31は、アルカリ形燃料電池に使用される公知の空気極触媒を含むものであればよく、特に限定されない。カソード触媒の例としては、白金族元素(Ru、Rh、Pd、Ir、Pt)、鉄族元素(Fe、Co、Ni)等の第8~10族元素(IUPAC形式での周期表において第8~10族に属する元素)、Cu、Ag、Au等の第11族元素(IUPAC形式での周期表において第11族に属する元素)、ロジウムフタロシアニン、テトラフェニルポルフィリン、Coサレン、Niサレン(サレン=N,N’-ビス(サリチリデン)エチレンジアミン)、銀硝酸塩、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。カソード31における触媒の担持量は特に限定されないが、好ましくは0.05~10mg/cm、より好ましくは、0.05~5mg/cmである。カソード触媒はカーボンに担持させるのが好ましい。カソード31の好ましい例としては、白金担持カーボン(Pt/C)、白金コバルト担持カーボン(PtCo/C)、パラジウム担持カーボン(Pd/C)、ロジウム担持カーボン(Rh/C)、ニッケル担持カーボン(Ni/C)、銅担持カーボン(Cu/C)、及び銀担持カーボン(Ag/C)が挙げられる。
カソード31の作製方法は特に限定されないが、例えば、空気極触媒及び所望により担体をバインダーと混合してペースト状混合物を調製し、このペースト状混合物を電解質膜33のカソード側表面33Sに塗布することにより形成することができる。
2.アノード32
アノード32は、一般に燃料極と呼ばれる陰極である。DMFC3の発電中、アノード32には、メタノールを含む燃料が燃料供給部22から供給される。アノード32は、内部にメタノールを拡散可能な多孔質体である。アノード32の気孔率は特に制限されない。アノード32の厚みは特に制限されないが、例えば10~500μmとすることができる。
アノード32は、アルカリ形燃料電池に使用される公知のアノード触媒を含むものであればよく、特に限定されない。アノード触媒の例としては、Pt、Ni、Co、Fe、Ru、Sn、及びPd等の金属触媒が挙げられる。金属触媒は、カーボン等の担体に担持されるのが好ましいが、金属触媒の金属原子を中心金属とする有機金属錯体の形態としてもよく、この有機金属錯体を担体として担持されていてもよい。また、アノード触媒の表面には多孔質材料等で構成された拡散層を配置してもよい。アノード32の好ましい例としては、ニッケル、コバルト、銀、白金担持カーボン(Pt/C)、白金ルテニウム担持カーボン(PtRu/C)、パラジウム担持カーボン(Pd/C)、ロジウム担持カーボン(Rh/C)、ニッケル担持カーボン(Ni/C)、銅担持カーボン(Cu/C)、及び銀担持カーボン(Ag/C)が挙げられる。
アノード32の作製方法は特に限定されないが、例えば、アノード触媒及び所望により担体をバインダーと混合してペースト状混合物を調製し、このペースト状混合物を電解質膜33のアノード側表面33Tに塗布することにより形成することができる。
3.電解質膜33
電解質膜33は、カソード31及びアノード32の間に配置される。電解質膜33は、カソード31に接触するカソード側表面33Sと、アノード32に接触するアノード側表面33Tとを有する。
電解質膜33は、膜状、層状、或いは、シート状に形成される。電解質膜33の厚みは特に制限されないが、例えば5~100μmとすることができる。
電解質膜33の厚みは、次のように測定される。まず、インレンズ二次電子検出器を用いたFE-SEM(Field Emission Scanning Electron Microscope:電界放射型走査型電子顕微鏡)を用いて、電解質膜33の厚み方向に沿った断面を倍率1000倍で拡大したSEM画像を取得する。次に、SEM画像上において電解質膜33を面方向(厚み方向に垂直な方向)に4等分する3カ所で電解質膜33の厚みを測定し、それらの算術平均値を電解質膜33の厚みとする。
電解質膜33は、水酸化物イオン伝導性を有するセラミック材料と、絶縁性を有する有機高分子材料とを含む。
セラミック材料は、有機高分子材料中に分散されている。セラミック材料は、有機高分子材料によって支持される。
電解質膜33におけるセラミック材料の含有率は、8~75vol%とすることができる。セラミック材料を構成するセラミック粒子の平均粒径は、0.05~5μmとすることができる。
セラミック材料の含有率は、次のように測定される。まず、上述したSEM画像の輝度を256階調に分類することによって、セラミック材料と有機高分子材料と気孔との明暗差を3値化する。例えば、セラミック材料を薄灰色、有機高分子材料を濃灰色、気孔を黒色に表示させることができる。次に、MVTec社(ドイツ)製の画像解析ソフトHALCONを用いて、SEM画像上においてセラミック材料が強調表示された解析画像を取得する。次に、セラミック材料の合計面積を固相(セラミック材料及び有機高分子材料)の全面積で除すことによって、セラミック材料の面積占有率を算出する。さらに、以上の解析を電解質膜33の同一断面から無作為に特定した5箇所で行い、5箇所それぞれで算出されたセラミック材料の面積占有率を算術平均した値が、電解質膜33におけるセラミック材料の含有率である。
なお、セラミック材料の含有率は、電解質膜33を構成する固相の総体積に対するセラミック材料の合計体積の比であるが、電解質膜33の断面における単位面積当たりのセラミック材料の面積比に近似することができる。このように、2次元の組織から3次元の構造を推定する手法については、“水谷惟恭、尾崎義治、木村敏夫、山口喬著、「セラミックプロセッシング」、技報堂出版株式会社、1985年3月25日発行、第190頁~第201頁”に記載されている。
セラミック粒子の平均粒径は、電解質膜33の上述した断面をTEM(透過型電子顕微鏡)により倍率5000~50000倍で観察して、TEM画像上において無作為に選択した20個のセラミック粒子の円相当径を算術平均することによって得られる。円相当径とは、各セラミック粒子と同じ面積を有する円の直径である。
セラミック材料としては、水酸化物イオン伝導性を有する周知のセラミック材料を用いることができる。このようなセラミック材料としては、例えば、以下に説明する層状複水酸化物(LDH:Layered Double Hydroxide)が挙げられる。
LDHは、M2+ 1-x3+ (OH)n-x/n・mHO(式中、M2+は2価の陽イオン、M3+は3価の陽イオンであり、An-はn価の陰イオン、nは1以上の整数、xは0.1~0.4、mは水のモル数を意味する任意の整数である)の一般式で示される基本組成を有する。M2+の例としてはMg2+、Ca2+、Sr2+、Ni2+、Co2+、Fe2+、Mn2+、及びZn2+が挙げられ、M3+の例としては、Al3+、Fe3+、Ti3+、Y3+、Ce3+、Mo3+、及びCr3+が挙げられ、Anの例としてはCO 2-及びOHが挙げられる。M2+及びM3+としては、それぞれ1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
LDHは、複数の水酸化物基本層と、これら複数の水酸化物基本層間に介在する中間層とから構成される。中間層は、陰イオン及びHOで構成される。水酸化物基本層は、例えば金属MがNi、Al、Tiの場合には、Ni、Al、Ti及びOH基を含む。以下、LDHの水酸化物基本層がNi、Al、Ti及びOH基を含む場合について説明する。
LDH中のNiはニッケルイオンの形態を採りうる。LDH中のニッケルイオンは典型的にはNi2+であると考えられるが、Ni3+等の他の価数もありうるため、特に限定されない。LDH中のAlはアルミニウムイオンの形態を採りうる。LDH中のアルミニウムイオンは典型的にはAl3+であると考えられるが、他の価数もありうるため、特に限定されない。LDH中のTiはチタンイオンの形態を採りうる。LDH中のチタンイオンは典型的にはTi4+であると考えられるが、Ti3+等の他の価数もありうるため、特に限定されない。水酸化物基本層は、Ni、Al、Ti及びOH基を主要構成要素として含むのが好ましいが、他の元素ないしイオンを含んでいてもよいし、不可避不純物を含んでいてもよい。不可避不純物は、製法上不可避的に混入されうる任意元素であり、例えば原料や基材に由来してLDH中に混入しうる。
LDHの中間層は、陰イオン及びHOで構成される。陰イオンは1価以上の陰イオン、好ましくは1価又は2価のイオンである。好ましくは、LDH中の陰イオンはOH及び/又はCO 2-を含む。
上記のとおり、Ni、Al及びTiの価数は必ずしも定かではないため、LDHを一般式で厳密に特定することは非実際的又は不可能である。仮に水酸化物基本層が主としてNi2+、Al3+、Ti4+及びOH基で構成されるものと想定した場合、LDHは、一般式:Ni2+ 1-x-yAl3+ Ti4+ (OH)n- (x+2y)/n・mHO(式中、An-はn価の陰イオン、nは1以上の整数、好ましくは1又は2であり、0<x<1、好ましくは0.01≦x≦0.5、0<y<1、好ましくは0.01≦y≦0.5、0<x+y<1、mは0以上、典型的には0を超える又は1以上の実数である)なる基本組成で表すことができる。もっとも、上記一般式はあくまで「基本組成」と解されるべきであり、Ni2+、Al3+、Ti4+等の元素がLDHの基本的特性を損なわない程度に他の元素又はイオン(同じ元素の他の価数の元素又はイオンや製法上不可避的に混入されうる元素又はイオンを含む)で置き換え可能なものとして解されるべきである。
有機高分子材料は、セラミック材料を支持する。有機高分子材料は、電解質膜33の形状を保持する支持体として機能する。
有機高分子材料は、絶縁性を有する。有機高分子材料が絶縁性を有するとは、有機高分子材料が電子絶縁性及びイオン絶縁性の両方を有することを意味する。
有機高分子材料が電子絶縁性を有するとは、有機高分子材料の電子伝導率が10-4mS/cm以下であることを意味する。有機高分子材料の電子伝導率は、シート形状に加工して短冊状に切り出した有機高分子材料の試験片に白金ペーストで端子を取り付けて直流抵抗を計測することによって測定できる。
有機高分子材料がイオン絶縁性を有するとは、有機高分子材料のイオン伝導率(本実施形態では、水酸化物イオン伝導率)が10-5mS/cm以下であることを意味する。有機高分子材料のイオン伝導率は、上述した試験片の交流抵抗を計測することによって測定できる。
有機高分子材料としては、絶縁性を有する周知の有機高分子材料を用いることができる。このような有機高分子材料としては、例えば、ポリスチレン、ポリエーテルサルフォン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、ポリフェニレンサルファイド、フッ素樹脂(四フッ素化樹脂:PTFE等)、セルロース、ナイロン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリベンゾイミダゾール、ポリアミドイミド及びこれらの任意の組合せが挙げられる。
電解質膜33における有機高分子材料の含有率は、25~92vol%とすることができる。有機高分子材料の含有率は、上述したセラミック材料の含有率の測定方法にならって、5箇所で測定した有機高分子材料の面積占有率を算術平均した値である。
(電解質膜33の製造方法)
次に、電解質膜33の製造方法について説明する。
1.水分除去工程
まず、原料の一つとしてセラミック材料を準備する。
次に、セラミック材料を熱処理することによって、セラミック材料から水分を除去する。具体的には、セラミック材料を乾燥機に投入して、ドライエアーや窒素等を用いて相対湿度6%以下とした低湿度環境において50~300℃で1~24時間加熱した後、そのまま乾燥器内で降温させる。これにより、セラミック材料の表面に存在する水酸基に吸着している水分が除去されるとともに、降温時に水分が再吸着することを抑制する。
熱処理後のセラミック材料に含まれる水分量をセラミック材料の比表面積で除した水分率(単位表面積当たりの水分量)の値は、1.0mg/m以下が好ましく、0.8mg/m以下がより好ましい。セラミック材料に含まれる水分量は、加熱乾燥式水分計(株式会社エー・アンド・ディ社製、型式MX-50)を用いて100℃にて測定される。セラミック材料の比表面積は、BET比表面積測定装置(MICROTRRAC社製、型式BELSORP MR1)を用いて測定される。
2.成膜工程
次に、熱処理後のセラミック材料と、絶縁性を有する有機高分子材料との混合物を用いて電解質膜を成膜する。
本実施形態では、上述した水分除去工程においてセラミック材料の表面に存在する水酸基に吸着している水分の少なくとも一部が除去されている。従って、セラミック材料と有機高分子材料との混合物を用いて電解質膜33を成膜した場合、セラミック材料の水酸基に吸着している水分が除去されていないときに比べて、セラミック材料と有機高分子材料との隙間を狭くすることができる。これにより、セラミック材料と有機高分子材料との隙間に水分が入り込むことを抑制できるため、DMFC3の作動中において、セラミック材料の表面に存在する水酸基に水分が吸着することを抑制できる。その結果、アノード32に供給されるメタノールが電解質膜33中の水分を伝ってカソード31側に透過することを抑制できるため、電解質膜33のメタノール透過性を低減させることができる。
電解質膜の成膜方法は特に限られないが、例えば、以下に説明する単純分散法を用いることができる。
まず、有機高分子を溶媒に溶解させることによってワニスを調製する。溶媒は、有機高分子を溶解可能で、膜化後に蒸発させられるものであればよい。溶媒としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルー2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、あるいはエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジクロロメタン、トリクロロエタン等のハロゲン系溶媒、i-プロピルアルコール、t-ブチルアルコール等のアルコールを用いることができる。
次に、調製したワニスにセラミック材料を混合することによって混合物を調製する。ワニス及びセラミック材料の混合方法としては、例えば、スターラ法、ボールミル法、ジェットミル法、ナノミル法、超音波などを用いることができる。
次に、ワニスとセラミック材料の混合物を基板上に膜化した後、溶媒を蒸発させることによって電解質膜33を作製することができる。基板は、膜化後に電解質膜33を剥がすことができるものであればよく、例えば、ガラス板、ポリテトラフルオロエチレンシート、ポリイミドシートなどを用いることができる。混合物の膜化方法としては、例えば、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、グラビアコート法、スクリーン印刷法などを用いることができる。
なお、成膜工程は、熱処理後のセラミック材料に再び水分が吸着しないように、低湿度環境にて速やかに行われることが好ましい。
(DMFC3の特性)
図2は、電解質膜33に含まれるセラミック材料の単位体積当たりにおける表面積(以下、「単位体積表面積」と略称する。)と、DMFC3の作動中にアノード32からカソード31へ電解質膜33を透過したメタノールから生成されるCOの生成速度(以下、「CO生成速度」と略称する。)との関係を示す片対数グラフである。
図2では、セラミック材料の単位体積表面積をX軸とし、CO生成速度の対数をY軸とし、原点(X,Y)を(0,0.01)とするXY座標平面が図示されている。X軸は線形目盛であり、Y軸は対数目盛である。X軸の値は右に向かうほど大きくなり、Y軸の値は上に向かうほど大きくなる。
セラミック材料の単位体積表面積は、次のように測定される。まず、上述したSEM画像上で観察されるセラミック粒子の個数と上述した電解質膜33の厚みと上述したセラミック粒子の平均粒径とに基づいて、1mmの電解質膜33内に存在するセラミック粒子の個数を算出する。次に、上述したセラミック粒子の平均粒径に基づいて、1つのセラミック粒子の表面積を算出する。次に、1mmの電解質膜33内に存在するセラミック粒子の個数に1つのセラミック粒子の表面積を乗ずることによって、1mmの電解質膜33内に存在するセラミック粒子の合計表面積を算出する。算出された合計表面積が、本実施形態に係るセラミック材料の単位体積表面積である。単位体積表面積の単位は[m/mm]である。
CO生成速度は、次のように測定される。まず、DMFC3の作動中、カソード31においてメタノールから生成されるCO量(μmol)をマルチガス分析計(株式会社堀場製作所社製、型式V-5000)で測定する。次に、二酸化炭素を含む酸化剤をカソード31に供給した場合には、測定されたCO量(μmol)から酸化剤に含まれるCO量(μmol)を引く。次に、測定(又は算出)されたCO量(μmol)を電解質膜33のカソード側表面33Sの面積(cm)及び測定時間(sec)で除する。これにより、CO生成速度が算出される。CO生成速度の単位は[μmol/scm]である。
図2のXY座標平面上を右下に向かうと、電解質膜33に含まれるセラミック材料を構成するセラミック粒子の比表面積が大きくなる傾向にある。図2のXY座標平面上を右上に向かうと、電解質膜33に含まれるセラミック材料を構成するセラミック粒子の充填率が大きくなる傾向にある。図2のXY座標平面上を下に向かうと、電解質膜33に含まれるセラミック材料の表面に存在する水酸基に吸着した水分が少なくなる傾向にある。
図2のXY座標平面には、下記式(1)~(6)によって表される第1乃至第6線分L1~L6と、第1乃至第6線分L1~L6によって規定される第1乃至第4領域R1~R4とが図示されている。
Y=0.01e1200X ・・・式(1)
Y=2.5 ・・・式(2)
Y=0.01 ・・・式(3)
X=0.0035 ・・・式(4)
X=0.25 ・・・式(5)
Y=0.01e5X ・・・式(6)
式(1)で示される第1線分L1は、DMFC3のOCV(開回路電圧)を向上可能な範囲を規定するラインである。第1線分L1の線上及び第1線分L1より右側の範囲では、セラミック粒子の粒径が小さく、かつ、その充填率も高い。そのため、電解質膜33内に水酸化物イオン伝導経路を形成することができる。よって、DMFC3のOCVを向上させることができる。
式(2)で示される第2線分L2は、DMFC3のOCVを向上可能な範囲を規定するラインである。第2線分L2の線上又は第2線分L2より下側の範囲では、セラミック材料の水酸基に吸着している水分が少ないため、セラミック材料と有機高分子材料との隙間を狭くすることができる。従って、DMFC3の作動中、セラミック材料の表面に存在する水酸基に水分が吸着することを抑制できるため、電解質膜33のメタノール透過性を低減させることができる。よって、DMFC3のOCVを向上させることができる。
式(3)で示される第3線分L3は、電解質膜33において想定されるメタノール透過性の下限値を示すラインである。
式(4)で示される第4線分L4は、DMFC3のOCVをより向上可能な範囲を規定するラインである。第4線分L4の線上及び第4線分L4より右側の範囲では、セラミック粒子の粒径をより小さく、かつ、その充填率もより高い。そのため、電解質膜33内に水酸化物イオン伝導経路を十分に形成することができる。よって、DMFC3のOCVをより向上させることができる。
式(5)で示される第5線分L5は、電解質膜33の強度を向上可能な範囲を規定するラインである。第5線分L5の線上及び第5線分L5より左側の範囲では、セラミック粒子の粒径が小さくなりすぎること、または充填率が高くなりすぎることを抑制できるため、表面積が高くなりすぎることを抑制することができる。よって、DMFC3(具体的には、電解質膜33)の強度を向上させることができる。
式(6)で示される第6線分L6は、電解質膜33の強度をより向上可能な範囲を規定するラインである。第6線分L6の線上及び第6線分L6より上側の範囲では、セラミック粒子の粒径が小さくなりすぎることを抑制できるため、表面積が高くなりすぎることを抑制することができる。よって、DMFC3(具体的には、電解質膜33)の強度をより向上させることができる。
なお、図2のXY座標平面は、セラミック材料の単位体積表面積を線形目盛でX軸に示し、かつ、CO生成速度を対数目盛でY軸に示すものであるため、第1乃至第6線分L1~L6それぞれは直線となっている。仮に、セラミック材料の単位体積表面積を線形目盛でX軸に示し、かつ、CO生成速度を線形目盛でY軸に示せば、第1及び第6線分L1,L6それぞれは曲線となる。
第1領域R1は、式(1),(2),(4)~(6)によって規定される。第1領域R1は、点A(0.0035,0.6)、点B(0.0046,2.5)、点C(0.25,2.5)、点D(0.25,0.035)、点E(0.0035,0.01)を頂点とする五角形の領域である。第1領域R1には、第1線分L1、第2線分L2、第4乃至第6線分L4~L6それぞれの線上と、これらの線分L1,L2,L4~L6によって囲われた範囲とが含まれる。
第2領域R2は、式(3),(5),(6)によって規定される。第2領域R2は、点D(0.25,0.035)、点F(0.0,0.01)、点G(0.25,0.01)を頂点とする三角形の領域である。第2領域R2には、第3線分L3、第5線分L5及び第6線分L6それぞれの線上と、これらの線分L3,L5,L6によって囲われた範囲とが含まれる。
第3領域R3は、式(2),(3),(5)によって規定される。第3領域R3は、X軸の無限大方向に向かって右側に延びる領域であり、図2ではその一部のみが図示されている。第3領域R3には、第2線分L2、第3線分L3及び第5線分L5それぞれの線上と、これらの線分L2,L3,L5の内側の範囲とが含まれる。
第4領域R4は、式(1),(3),(4)によって規定される。第4領域R4は、点A(0.0035,0.6)、点F(0.0,0.01)、点H(0.0035,0.01)を頂点とする三角形の領域である。第4領域R4には、第1線分L1、第5線分L5及び第6線分L6それぞれの線上と、第1線分L1、第5線分L5及び第6線分L6によって囲われた範囲とが含まれる。
ここで、本実施形態に係るDMFC3についてセラミック材料の単位体積表面積とCO生成速度とを上記手法で測定した場合において、セラミック材料の単位体積表面積の測定値をX座標としCO生成速度の測定値をY座標としたときの測定座標(X,Y)の位置について説明する。
図2のXY座標平面において、測定座標(X,Y)は、第1線分L1の線上又は第1線分L1より右側に位置し、第2線分L2の線上又は第2線分L2より下側に位置し、かつ、第3線分L3の線上又は第3線分L3より上側に位置する。すなわち、測定座標(X,Y)は、第1乃至第4領域R1~R4のいずれかに位置する。これにより、後述する実施例にて実験的に確認されているとおり、測定座標(X,Y)が第1乃至第4領域R1~R4以外の領域に位置する場合に比べて、DMFC3のOCVを向上させることができる。
また、測定座標(X,Y)は、第4線分L4の線上又は第4線分L4より右側に位置することが好ましい。すなわち、測定座標(X,Y)は、第1乃至第3領域R1~R3のいずれかの領域に位置することが好ましい。これにより、後述する実施例にて実験的に確認されているとおり、測定座標(X,Y)が第4領域R4に位置する場合に比べて、DMFC3のOCVをより向上させることができる。
また、測定座標(X,Y)は、第5線分L5の線上又は第5線分L5より左側に位置することが好ましい。すなわち、測定座標(X,Y)は、第1領域R1、第2領域R2及び第4領域R4のいずれかの領域に位置することが好ましい。これにより、後述する実施例にて実験的に確認されているとおり、測定座標(X,Y)が第3領域R3に位置する場合に比べて、DMFC3(具体的には、電解質膜33)の強度を向上させることができる。
また、測定座標(X,Y)は、第6線分L6の線上又は第6線分L6より上側に位置することが好ましい。すなわち、測定座標(X,Y)は、第1領域R1及び第4領域R4のいずれかの領域に位置することが好ましい。これにより、後述する実施例にて実験的に確認されているとおり、測定座標(X,Y)が第2領域R2に位置する場合に比べて、DMFC3(具体的には、電解質膜33)の強度をより向上させることができる。
測定座標(X,Y)のX座標であるセラミック材料の単位体積表面積は、セラミック材料の含有率及びセラミック材料を構成するセラミック粒子の比表面積を制御することによって調整できる。セラミック材料の含有率を多くするほどセラミック材料の単位体積表面積は大きくなる。また、セラミック粒子の比表面積を大きくするほどセラミック材料の単位体積表面積は大きくなる。
測定座標(X,Y)のY座標であるCO生成速度は、セラミック材料に予め施す熱処理条件によってセラミック材料に含まれる水分量を制御することによって調整できる。熱処理温度を高くするほどCO生成速度は小さくなる。また、熱処理時間を長くするほどCO生成速度は小さくなる。
(実施形態の変形例)
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲で種々の変形又は変更が可能である。
(変形例1)
上記実施形態では、DMFCの一例として、水酸化物イオンをキャリアとするアルカリ形燃料電池であるDMFC3について説明したが、DMFCはこれに限られない。
DMFCは、プロトンをキャリアとする燃料電池であってもよい。この場合、プロトン伝導性を有するセラミック材料と、絶縁性を有する有機高分子材料とを含む電解質膜を用いればよい。
プロトン伝導性を有するセラミック材料としては、プロトン導電性を有する金属酸化物水和物などを用いることができる。このような金属酸化物水和物としては、酸化ジルコニウム水和物、一水和アルミニウム酸化物(ベーマイト)、酸化タングステン水和物、酸化スズ水和物、ニオブをドープした酸化タングステン、酸化ケイ素水和物、酸化リン酸水和物、ジルコニウムをドープした酸化ケイ素水和物、タングストリン酸、モリブドリン酸などを用いることができる。
有機高分子材料としては、パーフルオロカーボンスルホン酸、ポリスチレンやポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、その他のエンジニアリングプラスチック材料に、スルホン酸基、ホスホン酸基、カルボキシル基等のプロトン供与体をドープあるいは化学的に結合、固定化したものを用いることができる。
(変形例2)
上記実施形態では、DMFC3を単電池として利用する場合について説明したが、DMFC3を複数積層したスタックを構成してもよい。
以下において本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は以下に説明する実施例には限定されない。
(DMFC3の作製)
以下のようにして、サンプルNo.1~42に係るDMFC3を作製した。
まず、表1に示すセラミック材料を準備した。
次に、セラミック材料を乾燥機に投入してドライエアーや窒素等を用いて相対湿度6%以下で加熱することによって、セラミック材料の表面に存在する水酸基に吸着している水分を除去した。この際、熱処理条件を50~300℃、1~24時間の範囲内で変更することによって、熱処理後のセラミック材料に含まれる水分量をセラミック材料の比表面積で除した水分率を表1に示すとおりサンプルごとに調整した。
次に、表1に示す絶縁性の有機高分子をN-メチルー2-ピロリドンに溶解させることによってワニスを調製した。
次に、セラミック材料と有機高分子との含有率が表1に示す値になるようにワニスとセラミック材料とを秤量し、両者をスターラ法で混合することによって混合物を調製した。
次に、調製した混合物をドクターブレード法で剥離フィルム上に膜化した後、乾燥処理(80℃、1時間)を施すことによってN-メチルー2-ピロリドンを蒸発させた。これによって、電解質膜33が完成した。
次に、Pt担持量50wt%(田中貴金属工業(株)社製TEC10E50E)の白金担持カーボン(以下、「Pt/C」という。)とPVDF粉末(以下、「PVDFバインダー」という。)とを準備した。そして、(Pt/C):(PVDFバインダー):(水)の重量比が9wt%:0.9wt%:90wt%となるように、Pt/C、PVDFバインダー及び水を混合してカソード用ペーストを作製した。
次に、電解質膜33のカソード側表面33Sにカソード用ペーストを塗布することによってカソード31を形成した。
次に、Pt-Ru担持量54wt%(田中貴金属工業(株)社製TEC61E54)の白金ルテニウム担持カーボン(以下、「Pt-Ru/C」という。)と、PVDFバインダーとを準備した。そして、(Pt-Ru/C):(PVDFバインダー):(水)の重量比が9wt%:0.9wt%:90wt%の比率となるように、Pt-Ru/C、PVDFバインダー及び水を混合してアノード用ペーストを作製した。
次に、電解質膜33のアノード側表面33Tにアノード用ペーストを塗布することによってアノード32を形成した。これにより、サンプルNo.1~42に係るDMFC3が完成した。
(電解質膜33の断面観察)
上述した測定方法に従って、セラミック材料の含有率、セラミック材料の単位体積表面積、及び有機高分子材料の含有率を測定した。
(OCVとCO生成速度)
まず、図1に示したハウジング2にDMFC3を設置した。
次に、セル温度80℃とし、コンプレッサーを用いて露点0℃以下の乾燥空気に加湿した加湿空気を酸化剤供給部21に供給し、気化させたメタノールを燃料供給部22に供給した。カソード31における空気利用率を50%に調整するとともに、アノード32における燃料利用率を50%に調整した。
次に、カソード31とアノード32を外部回路と電気的に接続させずに開回路状態で空気とメタノールの供給を1時間行った後、カソード31とアノード32の電位差(OCV)を測定した。測定結果は表1に示す通りであった。表1では、OCV値が最も高かったサンプルNo.5のOCV値を1.00として規格化したOCV値が示されている。
また、空気とメタノールを供給しながら、カソード31においてメタノールから生成されるCO量(μmol)をマルチガス分析計(株式会社堀場製作所社製、型式V-5000)で測定し、測定されたCO量(μmol)を電解質膜33のカソード側表面33Sの面積(cm)及び測定時間(sec)で割ることによってCO生成速度を算出した。測定結果は表1に示す通りであった。
(DMFC3の強度評価)
次の方法で、DMFC3の強度を評価した。JISZ1707の試験方法に準拠して、Φ10mmの穴が空いた板にDMFC3をはさみ、Φ0.5mmの針で穴の真ん中を突き刺して割れたときの最大破断荷重を測定した。表1では、最大荷重が0.2N以上であったサンプルを「〇」と評価し、最大荷重が0.2Nより小さく、0.15N以上であってサンプルを「△」と評価し、最大荷重が0.15Nより小さかったサンプルを「×」と評価した。
Figure 2022138294000002
図3は、サンプルNo.1~42に係るセラミック材料の単位体積表面積の測定値を、X座標としCO生成速度の測定値をY座標とする測定座標(X,Y)を図2のXY座標平面にプロットした片対数グラフである。
表1に示すように、図3のXY座標平面において、測定座標(X,Y)が第1線分L1の線上又は第1線分L1より右側に位置し、第2線分L2の線上又は第2線分L2より下側に位置し、かつ、第3線分L3の線上又は第3線分L3より上側に位置するサンプルNo.2~12,14~16,20,22~34,38~41では、DMFC3のOCVを向上させることができた。
また、表1に示すように、図3のXY座標平面において、測定座標(X,Y)が第4線分L4の線上又は第4線分L4より右側に位置するサンプルNo.2~12,14~15,17,20,22~29,31~34,38~41では、DMFC3のOCVをより向上させることができた。
また、表1に示すように、図3のXY座標平面において、測定座標(X,Y)が第5線分L5の線上又は第5線分L5より左側に位置するサンプルNo.2~6,8~12,14~16,20,22~26,29~34,38~41では、DMFC3のOCVを向上させつつDMFC3の強度を向上させることができた。
さらに、表1に示すように、DMFC3の強度を向上させることができたサンプルのうち、図3のXY座標平面において、測定座標(X,Y)が第6線分L6の線上又は第6線分L6より左側に位置するサンプルNo.2~6,11~12,14~16,20,22~26,30~34,38~41では、DMFC3のOCVを向上させつつDMFC3の強度をより向上させることができた。
1 直接メタノール形燃料電池システム(DMFCシステム)
2 ハウジング
21 酸化剤供給部
22 燃料供給部
3 直接メタノール形燃料電池(DMFC)
31 カソード
32 アノード
33 電解質膜

Claims (6)

  1. 酸化剤が供給されるカソードと、
    メタノールを含む燃料が供給されるアノードと、
    イオン伝導性を有するセラミック材料と絶縁性を有する有機高分子材料とを含み、前記アノード及び前記カソードの間に配置される電解質膜と、
    を備え、
    前記電解質膜における前記セラミック材料の単位体積表面積をX軸とし、前記アノードから前記カソードへ前記電解質膜を透過するメタノールによって前記カソードにおいて生成されるCOの生成速度をY軸とするXY座標平面に、前記単位体積表面積をX座標とし前記生成速度をY座標とする測定座標(X,Y)をプロットした場合、
    前記測定座標(X,Y)は、
    Y=0.01e1200Xで示される第1線分の線上又は前記第1線分より右側に位置し、
    Y=2.5で示される第2線分の線上又は前記第2線分より下側に位置し、
    Y=0.01で示される第3線分L3の線上又は前記第3線分より上側に位置する、
    直接メタノール形燃料電池。
  2. 前記測定座標(X,Y)は、
    X=0.0035で示される第4線分の線上又は前記第4線分より右側に位置する、
    請求項1に記載の直接メタノール形燃料電池。
  3. 前記測定座標(X,Y)は、
    X=0.25で示される第5線分の線上又は前記第5線分より左側に位置する、
    請求項1又は2に記載の直接メタノール形燃料電池。
  4. 前記測定座標(X,Y)は、
    Y=0.01e5Xで示される第6線分の線上又は前記第6線分より上側に位置する、
    請求項3に記載の直接メタノール形燃料電池。
  5. イオン伝導性を有するセラミック材料を熱処理することによって、前記セラミック材料から水分を除去する水分除去工程と、
    水分が除去された前記セラミック材料と絶縁性を有する有機高分子材料との混合物を用いて電解質膜を成膜する成膜工程と、
    を備える直接メタノール形燃料電池用電解質膜の製造方法。
  6. 前記水分除去工程では、前記セラミック材料に含まれる水分量を前記セラミック材料の比表面積で除した水分率が1.0mg/m以下になるまで前記セラミック材料を熱処理する、
    請求項5に記載の直接メタノール形燃料電池用電解質膜の製造方法。
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