JP2022137726A - 搬送ロール及び不織布塗工装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】塗工液を不織布に塗工する際、表面張力を下げた塗工液を使用した場合であっても、塗工液の裏抜けに起因するピンホール等の欠陥の発生を抑制できる搬送ロール、及び該搬送ロールを用いた不織布塗工装置を提供する。【解決手段】表面が凹凸形状及び撥水性を有している搬送ロールであって、表面の算術平均高さ(Sa)が5.0μm以上で、かつ界面の展開面積比(Sdr)が2.5以上である搬送ロールを使用する。【選択図】図1
Description
本発明は、搬送ロール及び不織布塗工装置に関する。
不織布に機能性を付与する方法として、樹脂、無機粒子、有機粒子等を分散又は溶解させた塗工液を不織布に塗工する方法がとられている。樹脂、無機粒子、有機粒子等を分散又は溶解させる媒体としては、水や有機溶剤等が挙げられる。このような方法で機能性を付与した不織布としては、リチウムイオン電池用セパレータやろ過膜等がある。
リチウムイオン電池用セパレータ(以下、単に「セパレータ」と記す場合がある)は、電池の体積当たりのエネルギー密度向上のため、薄膜化が求められている。市販されているリチウムイオン電池用セパレータの多くは厚さが30μm以下である。また、ろ過膜についても同体積中にできるだけ大面積のろ過膜を収納できるよう、薄膜化が求められている。
セパレータやろ過膜の薄膜化のためには、基材となる不織布を薄くする必要がある。しかし、例えば厚さ30μm以下といった薄い不織布を基材とする場合、「塗工液の裏抜け」が生じる。「塗工液の裏抜け」とは、塗工液が基材の反対側に滲み出す現象であり、これによって種々の問題が発生する。具体的には、滲み出した塗工液により不織布が搬送ロールや搬送支持体に粘着して搬送が困難になる問題、不織布への塗工液付与量が部分的に不足してピンホール等の欠陥を生じる問題、搬送ロールや搬送支持体に一旦転写した塗工液やその乾固物が不織布に再転写して塗工均一性が低下する問題等が発生する。特に、リチウムイオン電池用セパレータ、ろ過膜等においては、ポア径等の物性が均一であることが求められるため、ピンホール等の欠陥の発生や塗工均一性の低下は、性能を低下させる深刻な問題である。以下、「塗工液の裏抜け」を「裏抜け」と記す場合がある。
裏抜けを防ぐために、以下のような技術が提案されている。例えば、不織布と、塗工液を塗工してなる塗工層を、搬送支持体と積層し、乾燥後に搬送支持体を剥離して製品を得る方法が提案されている(例えば、特許文献1~4参照)。搬送支持体としては、裏抜けが発生しない、緻密な紙や樹脂シートが開示されている。また、2層の不織布を積層し、双方の不織布に塗工液を含浸し、片面から塗工液を凝固させた後、2層の不織布を剥離してその一方を製品として得る方法が提案されている(例えば、特許文献5参照)。しかし、これらの方法には、使用後の搬送支持体や一方の不織布を廃棄することから、コストが高くなるほか、大量の廃棄物が生じる等の問題があった。
また、塗工液を付与した後の不織布を特定のロールを用いて搬送することによって、裏抜けに伴う面質の悪化を回避する方法も提案されている(例えば、特許文献6~8参照)。しかし、これらの方法では、基材として厚さ15μm以下の非常に薄い不織布を用いた場合等に、ピンホール等の欠点が発生する場合があり、その効果には未だ改善の余地がある。
特定の物性の不織布を使用する方法(例えば、特許文献9参照)、特定の物性の塗工液を使用する方法(例えば、特許文献10及び11参照)によって、裏抜けを回避する方法も提案されている。しかし、これらの方法では、不織布や塗工液の選択の幅が狭いために、製品性能やコストの観点から最適な不織布や塗工液が選択できなくなる場合があった。とりわけ、裏抜けが少ない不織布は、必然的に液体や気体の透過性が低い不織布となってしまうため、リチウムイオン電池用セパレータやろ過膜と言った、物質やイオンの透過を目的とした製品においては、著しい制約となる場合が多い。
表面が凹凸形状及び撥水性を有している搬送ロールを使用する方法も提案されている(例えば、特許文献12)。しかし、濡れ剤等を加えて表面張力を下げた塗工液を用いる場合や、基材として非常に薄い不織布を用いた場合、特許文献12に記載されている技術でも裏抜け抑制効果が十分でない場合があった。
本発明の課題は、樹脂、無機粒子、有機粒子等を分散又は溶解させた塗工液を不織布に塗工する際、表面張力を下げた塗工液を使用した場合や、基材として非常に薄い不織布を用いた場合であっても、塗工液の裏抜けに起因するピンホール等の欠陥の発生を抑制する搬送ロール及び該搬送ロールを用いた不織布塗工装置を提供することにある。
上記課題を解決するために鋭意研究した結果、下記発明が見出された。
(1)不織布に塗工液を付与する装置に用いられ、表面が凹凸形状及び撥水性を有している搬送ロールであって、表面の算術平均高さ(Sa)が5.0μm以上であり、かつ界面の展開面積比(Sdr)が2.5以上であることを特徴とする搬送ロール。
(2)塗工液付与装置及び乾燥装置を有する不織布塗工装置において、塗工液付与装置から、乾燥装置までの搬送ロールが(1)記載の搬送ロールであることを特徴とする不織布塗工装置。
(2)塗工液付与装置及び乾燥装置を有する不織布塗工装置において、塗工液付与装置から、乾燥装置までの搬送ロールが(1)記載の搬送ロールであることを特徴とする不織布塗工装置。
本発明によって、不織布に塗工層を形成する際、濡れ剤等を加えて表面張力を下げた塗工液を用いる場合や、基材として非常に薄い不織布を用いた場合であっても、ピンホール等の欠陥の発生を抑制できる。
本発明において、搬送ロールとは、不織布に塗工液を付与する装置に用いられ、不織布の走行方向を決めたり、不織布の走行を安定したりするために用いるロールである。本発明の搬送ロールは、表面が凹凸形状及び撥水性を有している搬送ロールであり、表面の算術平均高さ(Sa)が5.0μm以上であり、かつ界面の展開面積比(Sdr)が2.5以上であることを特徴とする。この特徴により、従来の表面が凹凸形状及び撥水性を有している搬送ロールでは実現できなかった、濡れ剤等を加えて表面張力を下げた塗工液を用いる場合や、基材として非常に薄い不織布を用いた場合であっても、塗工液の裏抜けに起因するピンホール等の欠陥を著しく抑制するという効果が実現できる。
算術平均高さ(Sa)及び界面の展開面積比(Sdr)とは、ISO25178-2:2012で規定されているパラメータである。Saは表面の平均面に対する各点の高さの差の絶対値の平均を示し、面粗さを評価する際に一般的に使用されるパラメータである。Sdrは、定義領域の展開面積(表面積)が、定義領域の面積に対してどれだけ増大しているかを表す。完全に平坦な面のSdrは0となり、定義領域の面積に対して展開面積が2倍である面のSdrは1となる。
本発明の算術平均高さ(Sa)、及び界面の展開面積比(Sdr)は、搬送ロールと同じ表面処理をアルミ板上に施したテストピースをサンプルとし、以下の方法で測定した。形状解析レーザー顕微鏡(キーエンス製、装置名:VK-X1000、レーザー波長661nm)にて、20倍の対物レンズでサンプルを撮影し、マルチファイル解析アプリケーションにて、表面粗さの解析を行った。なお、表面粗さ解析の際、画像サイズ706.57μm×529.93μmのうち、中央の600μm×500μm部分を測定範囲として設定した。フィルタにはガウシアンフィルターを使用し、ローパスフィルター、ハイパスフィルターとも「なし」とし、終端効果の補正は「あり」とした。観察位置を変えて5回測定を行い、5回の平均値をサンプルの算術平均高さ(Sa)、及び界面の展開面積比(Sdr)とした。
搬送ロール表面の算術平均高さ(Sa)は5.0μm以上であり、6.0μm以上がより好ましく、7.0μm以上がさらに好ましい。Saが5.0μmに満たない場合、搬送ロールと不織布の接触面積が大きくなるため、塗工液の種類によっては裏抜けが抑制できず、ピンホールが生じる原因となる。Saが高いほど、搬送ロールと不織布の接触面は小さくなるため、塗工液の裏抜けは抑制されると考えられる。しかし、Saが高すぎる場合、搬送ロール面で不織布が傷つくなどして、新たな欠点の原因となる可能性がある。使用する不織布の表面強度によってもSaの最大値は異なるが、概ね不織布の厚さの2倍以下が好適である。
本発明において、搬送ロールの界面の展開面積比(Sdr)は2.5以上である。Sdrが2.5未満の場合、濡れ剤等を加えて表面張力を下げた塗工液を用いる場合や、基材として非常に薄い不織布を用いた場合、ピンホールが生じる原因となる。Wenzelの式より、凹凸形状を有している表面の濡れ性は、cosθw=rcosθで表される。θwは凹凸形状を有している表面に対する接触角であり、θは凹凸形状を有している表面と同じ材質で凹凸形状を有していない平坦な表面に対する接触角である。rは平坦な面に対する凹凸面の面積比であり、r=Sdr+1とも表せる。θ>90°のときθw>θとなり、θ<90°のときθw<θとなることから、表面の撥水性や親水性は表面積の増大によって強調される。すなわち、撥水性を有する表面の場合、r又はSdrが大きいほど、撥水性が高くなるため、Sdrが大きいほど、裏抜けした塗工液が搬送ロールの表面を汚す可能性は低くなる。搬送ロールの界面の展開面積比(Sdr)は、2.8以上がより好ましく、3.0以上がさらに好ましい。
本発明において、ピンホールを抑制する観点からの搬送ロールの界面の展開面積比(Sdr)の上限は無いが、界面の展開面積比が非常に大きな搬送ロールは実際には製作困難であること、界面の展開面積比が大きな搬送ロールは摩耗による状態変化が大きくなる等の観点から、搬送ロールの界面の展開面積比(Sdr)は10.0以下が好ましく、8.0以下がより好ましい。
本発明の搬送ロールを作成する方法は特に制限されないが、表面の算術平均高さ(Sa)が5.0μm以上で、かつ界面の展開面積比(Sdr)が2.5以上となるような面を形成するには、ロールの作製が簡便である点で、溶射撥水加工が好適に用いられる。溶射撥水加工とは、被膜材料を溶融・半溶融状態にした後、搬送ロール素材表面に衝突させて積層させることによって被膜を形成する加工処理であり、耐摩耗性、耐熱性に優れた搬送ロールが形成できる。被膜材料としては、金属、合金、セラミックス、プラスチック、ガラス等が利用可能であり、金属、合金、セラミックが好ましい。金属、合金、セラミックとしては、亜鉛系、アルミニウム系、ニッケル系、モリブデン系等が挙げられる。
また、溶射加工で形成された微細な間隔での凹凸周期の凹部には、通常、樹脂塗工などの方法で封孔処理をすることで、汚れの付着防止及び被膜の性能向上が図られる。本発明では、溶射加工の後の撥水加工は、シリコーン系樹脂やフッ素系樹脂等の撥水性の樹脂を表面に形成させるいずれの撥水加工を行うこともできる。このとき、表面全体に撥水樹脂層を形成するとともに、溶射加工によってできた微細な凹凸周期の凹部に撥水樹脂層を形成することが好ましい。フッ素系樹脂としては、ポリ四フッ化エチレン(PTFE)、四フッ化エチレン-六フッ化プロピレン共重合体(FEP)及び四フッ化エチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等が利用される。シリコーン系樹脂としては、シリコーン樹脂、シリコーンゴムが挙げられる。撥水加工に先立って、溶射加工後の表面を洗浄・研磨を実施して、表面の形状を微調整して、撥水樹脂との密着性向上を図っても良い。撥水樹脂層の耐擦過性を向上させる目的で、充填材として鱗片状マイカ、雲母状酸化鉄、板状酸化チタン、板状炭化ケイ素等の耐擦過性充填材を混合しても良い。
特許文献12に記載されている通り、溶射加工によれば、加工された表面には、主たる凹凸形状の外に、数十μm以下の微細な間隔での凹凸周期が形成される。溶射の際の加工条件を調整することで、展開面積比(Sdr)が2.5以上の面を高い生産性で形成することが可能である。また、特許文献12には、溶射加工によってできた微細な凹凸周期の凹部に充填するように撥水樹脂層を形成することが好ましいとの記載があるが、この場合、界面の展開面積比(Sdr)を2.5以上とすることは困難であるため、本発明においては、微細な凹凸周期の形状を残存させるため、撥水樹脂層の厚みは薄くすることが好ましい。溶射加工以外の方法、例えば、切削加工、転造加工等の方法で界面の展開面積比(Sdr)が2.5以上である搬送ロールを作製するためには、非常に微細な加工が必要になり、コストが高い。
図1は、本発明の搬送ロールを用いた不織布塗工装置の一例を示す概略図である。不織布は不織布の巻き出し装置1から送り出される。不織布の一面に、塗工液付与装置2によって塗工液が付与される。乾燥装置3A~3Cによって、不織布に付与された塗工液から媒体が乾燥除去される。乾燥装置3Aを出た段階で、不織布の塗工液が付与されていない面は粘着しない程度まで乾燥している。塗工層が設けられた不織布は、巻き取り装置4によってそれぞれ巻き取られる。図1において、5A~5Dが、搬送ロールである。本発明の不織布塗工装置においては、塗工液付与装置2から乾燥装置3Aまでの搬送ロールとして、表面の算術平均高さ(Sa)が5.0μm以上で、かつ界面の展開面積比(Sdr)が2.5以上である搬送ロールを用いる。
塗工液付与装置2から乾燥装置3Aまでの搬送ロールとは、図1において、黒塗りで示している搬送ロール5Bであり、塗工液付与装置2と乾燥装置3Aとの間の搬送ロール及び乾燥装置3A内の搬送ロールである。塗工付与装置2より前の搬送ロール5Aについては、塗工液を付与する前であるため、本発明の搬送ロールを使用する必要がない。図1の斜線で示した乾燥装置3Bから乾燥装置3Cまでの搬送ロール5Cについては、不織布の塗工液が付与されていない面は粘着しない程度まで乾燥しているため、本発明の搬送ロールを使用する必要はない。乾燥装置3Cより後の搬送ロール5Dについては、不織布の塗工液が完全に乾燥しているため、本発明の搬送ロールを使用する必要はない。
本発明において、塗工液付与装置2に特に制限は無い。ただし、余りにも多量の塗工液が裏抜けした場合、本発明によっても裏抜けに起因する悪影響を回避することが困難になることから、多量の塗工液が裏抜けする原因となる厚み方向への動圧が発生しにくい塗工液付与装置2を用いることが好ましい。具体的には、キスタッチグラビアコーター、キスロールコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スプレーコーター等の塗工液の付与装置が好ましく用いられる。
本発明において、乾燥装置3A~3Cにも特に制限は無い。不織布に熱風や乾燥空気を吹きつけて乾燥するエアドライヤー、加熱した金属製円筒の表面に不織布を接触させることで加熱乾燥するシリンダードライヤー、赤外線により不織布を加熱する赤外線ドライヤー等の乾燥装置を用いることができる。
本発明において、使用する不織布にも特に制限は無い。しかし、厚い不織布では塗工液の裏抜けが生じにくく本発明の技術を使用する動機に乏しい。薄い不織布、具体的には厚さが30μm以下である不織布を用いる場合には、本発明によって、塗工均一性を大幅に向上させられる。特に、厚さが15μm以下といった非常に薄い不織布を用いる場合、先行技術に比べて塗工均一性を大幅に向上させることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
<不織布>
繊度0.1dtex(平均繊維径2.4μm)、繊維長3mmの配向結晶化ポリエチレンテレフタレート(PET)短繊維60質量部と繊度0.2dtex(平均繊維径4.3μm)、繊維長3mmの単一成分型バインダー用PET短繊維(軟化点120℃、融点230℃)40質量部とをパルパーにより水中に分散し、濃度1質量%の均一な抄造用スラリーを調製した。この抄造用スラリーを、傾斜型抄紙機にて、湿式方式で抄き上げ、135℃のシリンダードライヤーによって、バインダー用PET系短繊維同士、及びバインダー用PET系短繊維と配向結晶化PET系短繊維の交点を融着させて引張強度を発現させた。さらに、この不織布を、誘電発熱ジャケットロール(金属製熱ロール)及び弾性ロールからなる1ニップ式熱カレンダーを使用して、熱ロール温度200℃、線圧100kN/m、処理速度30m/分の条件で熱カレンダー処理し、坪量8g/m2、厚み12μmの不織布を作製した。
繊度0.1dtex(平均繊維径2.4μm)、繊維長3mmの配向結晶化ポリエチレンテレフタレート(PET)短繊維60質量部と繊度0.2dtex(平均繊維径4.3μm)、繊維長3mmの単一成分型バインダー用PET短繊維(軟化点120℃、融点230℃)40質量部とをパルパーにより水中に分散し、濃度1質量%の均一な抄造用スラリーを調製した。この抄造用スラリーを、傾斜型抄紙機にて、湿式方式で抄き上げ、135℃のシリンダードライヤーによって、バインダー用PET系短繊維同士、及びバインダー用PET系短繊維と配向結晶化PET系短繊維の交点を融着させて引張強度を発現させた。さらに、この不織布を、誘電発熱ジャケットロール(金属製熱ロール)及び弾性ロールからなる1ニップ式熱カレンダーを使用して、熱ロール温度200℃、線圧100kN/m、処理速度30m/分の条件で熱カレンダー処理し、坪量8g/m2、厚み12μmの不織布を作製した。
<塗工液A>
不揮発分の質量構成比が、平均粒子径2.3μmのベーマイト:スチレン-ブタジエン共重合体樹脂のラテックス:1質量%水溶液の粘度が200mPa・secであるカルボキシメチルセルロースナトリウム塩:1質量%水溶液の粘度が7000mPa・secであるカルボキシメチルセルロースナトリウム塩=100:5.0:0.4:0.7であり、固形分濃度20質量%の水系塗工液Aを作製した。塗工液Aの表面張力(23℃)は57mN/mであった。
不揮発分の質量構成比が、平均粒子径2.3μmのベーマイト:スチレン-ブタジエン共重合体樹脂のラテックス:1質量%水溶液の粘度が200mPa・secであるカルボキシメチルセルロースナトリウム塩:1質量%水溶液の粘度が7000mPa・secであるカルボキシメチルセルロースナトリウム塩=100:5.0:0.4:0.7であり、固形分濃度20質量%の水系塗工液Aを作製した。塗工液Aの表面張力(23℃)は57mN/mであった。
<塗工液B>
不揮発分の質量構成比が、平均粒子径1.0μmの水酸化マグネシウム:アクリル系ポリマーのラテックス:1質量%水溶液の粘度が200mPa・secであるカルボキシメチルセルロースナトリウム塩:1質量%水溶液の粘度が7000mPa・secであるカルボキシメチルセルロースナトリウム塩=100:2.0:0.3:0.5であり、固形分濃度20質量%の水系塗工液に、シリコーン系界面活性剤を0.5質量%添加して塗工液Bを作製した。塗工液Bの表面張力(23℃)は25mN/mであった。
不揮発分の質量構成比が、平均粒子径1.0μmの水酸化マグネシウム:アクリル系ポリマーのラテックス:1質量%水溶液の粘度が200mPa・secであるカルボキシメチルセルロースナトリウム塩:1質量%水溶液の粘度が7000mPa・secであるカルボキシメチルセルロースナトリウム塩=100:2.0:0.3:0.5であり、固形分濃度20質量%の水系塗工液に、シリコーン系界面活性剤を0.5質量%添加して塗工液Bを作製した。塗工液Bの表面張力(23℃)は25mN/mであった。
<搬送ロール>
搬送ロール5Bにおける算術平均高さ(Sa)及び界面の展開面積比(Sdr)を表1に示す。
搬送ロール5Bにおける算術平均高さ(Sa)及び界面の展開面積比(Sdr)を表1に示す。
(実施例1)
図1に概略を示す不織布塗工装置によって、前記不織布に、前記塗工液A又は塗工液Bを、それぞれ媒体(水)を含むWET塗工量が50g/m2となるように塗工した。塗工液付与装置2としては、ダイコーターを使用した。乾燥装置3Aとしては、有効長30cmの片面エアドライヤーを、不織布の塗工液が付与されていない面に熱風を当てるようにして用い、乾燥装置3B、3Cとしては、有効長30cmの片面エアドライヤーを、不織布の塗工液が付与されている面に熱風を当てるようにして用いた。搬送ロール5Bには、
アルミニウム合金製で直径60mmの金属ロールに、亜鉛アルミニウム合金系での溶射加工に加え、シリコーン系樹脂による撥水加工を行ったロールを使用した。算術平均高さ(Sa)は8.0μm、界面の展開面積比(Sdr)は3.6となっていた。塗工速度は2m/minとし、10m塗工後にサンプリングを行い、ピンホール個数、搬送ロール汚れについて評価を行った。
図1に概略を示す不織布塗工装置によって、前記不織布に、前記塗工液A又は塗工液Bを、それぞれ媒体(水)を含むWET塗工量が50g/m2となるように塗工した。塗工液付与装置2としては、ダイコーターを使用した。乾燥装置3Aとしては、有効長30cmの片面エアドライヤーを、不織布の塗工液が付与されていない面に熱風を当てるようにして用い、乾燥装置3B、3Cとしては、有効長30cmの片面エアドライヤーを、不織布の塗工液が付与されている面に熱風を当てるようにして用いた。搬送ロール5Bには、
アルミニウム合金製で直径60mmの金属ロールに、亜鉛アルミニウム合金系での溶射加工に加え、シリコーン系樹脂による撥水加工を行ったロールを使用した。算術平均高さ(Sa)は8.0μm、界面の展開面積比(Sdr)は3.6となっていた。塗工速度は2m/minとし、10m塗工後にサンプリングを行い、ピンホール個数、搬送ロール汚れについて評価を行った。
(実施例2)
搬送ロール5Bの表面のSaが16.0μm、Sdrが5.7であること以外は、実施例1と同様にして不織布への塗工を行った。
搬送ロール5Bの表面のSaが16.0μm、Sdrが5.7であること以外は、実施例1と同様にして不織布への塗工を行った。
(実施例3)
搬送ロール5Bの溶射加工がニッケル系溶射であり、Saが9.1μm、Sdrが3.1であること以外は、実施例1と同様にして不織布への塗工を行った。
搬送ロール5Bの溶射加工がニッケル系溶射であり、Saが9.1μm、Sdrが3.1であること以外は、実施例1と同様にして不織布への塗工を行った。
(実施例4)
搬送ロール5Bの溶射加工がアルミニウム系溶射であり、Saが5.6μm、Sdrが2.6であること以外は、実施例1と同様にして不織布への塗工を行った。
搬送ロール5Bの溶射加工がアルミニウム系溶射であり、Saが5.6μm、Sdrが2.6であること以外は、実施例1と同様にして不織布への塗工を行った。
(比較例1)
搬送ロール5Bの溶射加工がニッケル系溶射であり、Saが10.4μm、Sdrが2.4であること以外は、実施例1と同様にして不織布への塗工を行った。
搬送ロール5Bの溶射加工がニッケル系溶射であり、Saが10.4μm、Sdrが2.4であること以外は、実施例1と同様にして不織布への塗工を行った。
(比較例2)
搬送ロール5Bの溶射加工がニッケル系溶射であり、Saが3.6μm、Sdrが1.0であること以外は、実施例1と同様にして不織布への塗工を行った。
搬送ロール5Bの溶射加工がニッケル系溶射であり、Saが3.6μm、Sdrが1.0であること以外は、実施例1と同様にして不織布への塗工を行った。
(比較例3)
搬送ロール5Bの溶射加工が亜鉛系溶射であり、Saが7.1μm、Sdrが1.2であること以外は、実施例1と同様にして不織布への塗工を行った。
搬送ロール5Bの溶射加工が亜鉛系溶射であり、Saが7.1μm、Sdrが1.2であること以外は、実施例1と同様にして不織布への塗工を行った。
(比較例4)
アルミニウム合金製で直径60mmの金属ロールに表面をブラスト加工と撥水メッキで処理し、Saが6.6μm、Sdrが0.2である搬送ロール5Bを用いたこと以外は、実施例1と同様にして不織布への塗工を行った。
アルミニウム合金製で直径60mmの金属ロールに表面をブラスト加工と撥水メッキで処理し、Saが6.6μm、Sdrが0.2である搬送ロール5Bを用いたこと以外は、実施例1と同様にして不織布への塗工を行った。
[ピンホール個数の評価]
塗工後の不織布における100mm×100mmの領域を、解像度600dpiの透過式スキャナでスキャンし、得られた輝度ヒストグラムの最頻値から、5σ以上高い輝度を有するピクセルをピンホールとみなし、その個数により、塗工均一性を判断した。5σ以上高い輝度を有するピクセルが複数個隣接している場合は、1個のピンホールとみなした。ピンホール個数が少ない程、塗工均一性の高い塗工になったと判断できる。
塗工後の不織布における100mm×100mmの領域を、解像度600dpiの透過式スキャナでスキャンし、得られた輝度ヒストグラムの最頻値から、5σ以上高い輝度を有するピクセルをピンホールとみなし、その個数により、塗工均一性を判断した。5σ以上高い輝度を有するピクセルが複数個隣接している場合は、1個のピンホールとみなした。ピンホール個数が少ない程、塗工均一性の高い塗工になったと判断できる。
[搬送ロール汚れ]
10m塗工後の搬送ロール汚れについて、以下の基準で評価した。
10m塗工後の搬送ロール汚れについて、以下の基準で評価した。
◎:目視でわかる汚れなし
〇:ロール面積に対し1%未満の汚れが付着
△:ロール面積に対し1%以上10%未満の汚れが付着
×:ロール面積に対し10%以上の汚れが付着
〇:ロール面積に対し1%未満の汚れが付着
△:ロール面積に対し1%以上10%未満の汚れが付着
×:ロール面積に対し10%以上の汚れが付着
表1に示した通り、実施例1~4の搬送ロールは、算術平均高さ(Sa)が5.0μm以上であり、かつ界面の展開面積比(Sdr)が2.5以上であるため、表面張力の低い塗工液Bでもピンホール個数が少なく、搬送ロール汚れも少なかった。
一方、比較例1、3及び4の搬送ロールは、Saが5.0μm以上であるものの、Sdrが2.5未満であるため、塗工液Aでは比較的ピンホールも少なかったものの、表面張力の低い塗工液Bでは裏抜けを十分に抑制できず、ピンホールが多くなり、搬送ロール汚れが見られた。
比較例2の搬送ロールは、Saが5.0μm未満であり、かつSdrが2.5未満であるため、塗工液Aでもピンホールが多発し、搬送ロールの汚れが見られた。
本発明の搬送ロール及び該搬送ロールを使用した不織布塗工装置は、不織布に各種の塗工液を塗工してなる製品の製造、例えば、不織布に無機粒子を塗工してなるリチウムイオン電池用セパレータの製造に好適に使用できる。
1 不織布の巻き出し装置
2 塗工液付与装置
3A~3C 乾燥装置
4 不織布の巻き取り装置
5A 塗工液付与装置2より前の搬送ロール
5B 塗工液付与装置2から乾燥装置3Aまでの搬送ロール
5C 乾燥装置3Bから乾燥装置3Cまでの搬送ロール
5D 乾燥装置3Cより後の搬送ロール
2 塗工液付与装置
3A~3C 乾燥装置
4 不織布の巻き取り装置
5A 塗工液付与装置2より前の搬送ロール
5B 塗工液付与装置2から乾燥装置3Aまでの搬送ロール
5C 乾燥装置3Bから乾燥装置3Cまでの搬送ロール
5D 乾燥装置3Cより後の搬送ロール
Claims (2)
- 不織布に塗工液を付与する装置に用いられ、表面が凹凸形状及び撥水性を有している搬送ロールであって、表面の算術平均高さ(Sa)が5.0μm以上であり、かつ界面の展開面積比(Sdr)が2.5以上であることを特徴とする搬送ロール。
- 塗工液付与装置及び乾燥装置を有する不織布塗工装置において、塗工液付与装置から、乾燥装置までの搬送ロールが請求項1記載の搬送ロールであることを特徴とする不織布塗工装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021037369A JP2022137726A (ja) | 2021-03-09 | 2021-03-09 | 搬送ロール及び不織布塗工装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021037369A JP2022137726A (ja) | 2021-03-09 | 2021-03-09 | 搬送ロール及び不織布塗工装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2022137726A true JP2022137726A (ja) | 2022-09-22 |
Family
ID=83319709
Family Applications (1)
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JP2021037369A Pending JP2022137726A (ja) | 2021-03-09 | 2021-03-09 | 搬送ロール及び不織布塗工装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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-
2021
- 2021-03-09 JP JP2021037369A patent/JP2022137726A/ja active Pending
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