JP2022135083A - 多階調フォトマスクの製造方法及び多階調フォトマスク - Google Patents
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Abstract
【課題】アライメントを不要とすることができる多階調フォトマスクの製造方法及び多階調フォトマスクを提供する。【解決手段】多階調フォトマスクの製造方法は、透明基板2の上に積層される半透過膜3と、半透過膜3と異なるエッチング特性を有し、半透過膜3の上に重なるように積層される中間膜4と、半透過膜3と同じエッチング特性を有し、中間膜4の周辺領域の少なくとも一部が露出するように中間膜4の上に積層される遮光膜5とを備え、中間膜4の露出した部分の少なくとも一部が透明基板2に近づくほどエッジ4aが外側に広がる形状を有する積層膜構造からなる中間体を準備する工程と、中間膜4の露出した部分を複数回に分けてエッチングする工程と、各回のエッチング後に半透過膜3の露出した部分をプラズマ処理し、当該部分の透過率を変更する工程とを備える。【選択図】図5
Description
本発明は、グラデーション部を有する多階調フォトマスクの製造方法及び多階調フォトマスクに関する。
多階調フォトマスクは、透過部の透過率と遮光部の透過率との間の透過率を有する半透過部を備えることにより、透過部による白の階調及び遮光部による黒の階調の2階調と、半透過部による白と黒の中間(グレートーン)の階調とを合わせた多階調(3階調以上)を実現する。多階調フォトマスクを用いることにより、1回の露光で露光量が異なるパターンをフォトレジストに形成することができる。このため、フォトマスクの使用枚数の削減、製造工程の削減、ひいては製造コストの削減を図ることができる。
多階調フォトマスクの一種として、グラデーションマスクがある。グラデーションマスクは、透過率が異なる複数の領域で構成されるグラデーション部、より詳しくは、半透過部の、透過部との境界領域に設けられ、透過部との境界に近づくほど透過率が高くなる複数の領域で構成されるグラデーション部を備えるフォトマスクである(特許文献1)。
従来のグラデーションマスクの製造方法は、遮光部を構成するパターンの描画工程(露光工程)及び半透過部を構成するパターンの描画工程の少なくとも2回の描画工程が必要となる。そして、描画工程が複数回になると、各工程で形成されるパターンの位置ずれ(アライメントずれ)が生じやすくなる。
この対策として、アライメントマークの利用がある。2回目以降の描画工程に際し、アライメントマークを読み取ることにより、アライメント(位置合わせ)を行うというものである。しかし、アライメントマークを利用しても、アライメントずれを完全に無くすことは不可能であり、最大で500nmのアライメントずれが生じてしまう。このため、多階調フォトマスクの高精細化が困難な状況となっている。
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、アライメントずれが無く、多階調フォトマスクの高精細化を実現することができる多階調フォトマスクの製造方法及び多階調フォトマスクを提供することを課題とする。
本発明に係る多階調フォトマスクの製造方法は、
所定のパターン形状を有し、透明基板の上に積層される半透過膜と、半透過膜と異なるエッチング特性を有し、半透過膜の上に重なるように積層される中間膜と、所定のパターン形状及び半透過膜と同じエッチング特性を有し、中間膜の周辺領域の少なくとも一部が露出するように中間膜の上に積層される遮光膜とを備え、中間膜の露出した部分の少なくとも一部が透明基板に近づくほどエッジが外側に広がる形状を有する積層膜構造からなる中間体を準備する中間体準備工程と、
中間膜の露出した部分を複数回に分けてエッチングする中間膜分割エッチング工程と、
各回のエッチング後に半透過膜の露出した部分をプラズマ処理し、当該部分の透過率を変更するプラズマ処理工程とを備える
多階調フォトマスクの製造方法である。
所定のパターン形状を有し、透明基板の上に積層される半透過膜と、半透過膜と異なるエッチング特性を有し、半透過膜の上に重なるように積層される中間膜と、所定のパターン形状及び半透過膜と同じエッチング特性を有し、中間膜の周辺領域の少なくとも一部が露出するように中間膜の上に積層される遮光膜とを備え、中間膜の露出した部分の少なくとも一部が透明基板に近づくほどエッジが外側に広がる形状を有する積層膜構造からなる中間体を準備する中間体準備工程と、
中間膜の露出した部分を複数回に分けてエッチングする中間膜分割エッチング工程と、
各回のエッチング後に半透過膜の露出した部分をプラズマ処理し、当該部分の透過率を変更するプラズマ処理工程とを備える
多階調フォトマスクの製造方法である。
また、本発明に係る多階調フォトマスクは、
所定のパターン形状を有し、透明基板の上に積層される半透過膜と、
半透過膜と異なるエッチング特性を有し、半透過膜の周辺領域の少なくとも一部が露出するように半透過膜の上に積層される中間膜と、
所定のパターン形状及び半透過膜と同じエッチング特性を有し、中間膜の上に重なるように積層される遮光膜とを備え、
半透過膜の露出した部分の少なくとも一部は、半透過膜のエッジに近づくほど透過率が高くなる複数の領域で構成されるグラデーション部を備える
多階調フォトマスクである。
所定のパターン形状を有し、透明基板の上に積層される半透過膜と、
半透過膜と異なるエッチング特性を有し、半透過膜の周辺領域の少なくとも一部が露出するように半透過膜の上に積層される中間膜と、
所定のパターン形状及び半透過膜と同じエッチング特性を有し、中間膜の上に重なるように積層される遮光膜とを備え、
半透過膜の露出した部分の少なくとも一部は、半透過膜のエッジに近づくほど透過率が高くなる複数の領域で構成されるグラデーション部を備える
多階調フォトマスクである。
ここで、本発明に係る多階調フォトマスクの製造方法の一態様として、
中間体準備工程は、中間体を製造する中間体製造工程を含み、
中間体製造工程は、
フォトマスクブランクスの表面にレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、
所定のレジストパターンを形成するレジストパターン形成工程と、
レジストパターンをマスクとして、遮光膜の露出した部分をエッチングし、除去する遮光膜エッチング工程と、
遮光膜をマスクとして、中間膜の露出した部分のうち、膜厚方向における所定の深さの部分をエッチングし、除去する表面エッチングと、遮光膜のうち、露出したエッジの端面から内側方向における所定の深さの部分をエッチングし、除去するサイドエッチングとを交互に繰り返すことにより、中間膜の該当部分を透明基板に近づくほどエッジが外側に広がる形状に整形する整形工程と、
中間膜をマスクとして、半透過膜の露出した部分をエッチングし、除去する半透過膜エッチング工程と、
レジスト膜を除去するレジスト膜除去工程とを備える
との構成を採用することができる。
中間体準備工程は、中間体を製造する中間体製造工程を含み、
中間体製造工程は、
フォトマスクブランクスの表面にレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、
所定のレジストパターンを形成するレジストパターン形成工程と、
レジストパターンをマスクとして、遮光膜の露出した部分をエッチングし、除去する遮光膜エッチング工程と、
遮光膜をマスクとして、中間膜の露出した部分のうち、膜厚方向における所定の深さの部分をエッチングし、除去する表面エッチングと、遮光膜のうち、露出したエッジの端面から内側方向における所定の深さの部分をエッチングし、除去するサイドエッチングとを交互に繰り返すことにより、中間膜の該当部分を透明基板に近づくほどエッジが外側に広がる形状に整形する整形工程と、
中間膜をマスクとして、半透過膜の露出した部分をエッチングし、除去する半透過膜エッチング工程と、
レジスト膜を除去するレジスト膜除去工程とを備える
との構成を採用することができる。
また、この場合、
整形工程は、中間膜の該当部分を階段状に整形する
との構成を採用することができる。
整形工程は、中間膜の該当部分を階段状に整形する
との構成を採用することができる。
また、本発明に係る多階調フォトマスクの製造方法の他態様として、
中間膜として、半透過膜及び遮光膜よりもエッチングレートが低い膜が選択される
との構成を採用することができる。
中間膜として、半透過膜及び遮光膜よりもエッチングレートが低い膜が選択される
との構成を採用することができる。
また、本発明に係る多階調フォトマスクの一態様として、
中間膜のエッジが遮光膜のエッジよりも内側に入り込むことにより、遮光膜のエッジの下方に、中間膜が存在しないアンダーカットが形成され、これに伴い、遮光膜の端部がオーバーハングして突出端部となる
との構成を採用することができる。
中間膜のエッジが遮光膜のエッジよりも内側に入り込むことにより、遮光膜のエッジの下方に、中間膜が存在しないアンダーカットが形成され、これに伴い、遮光膜の端部がオーバーハングして突出端部となる
との構成を採用することができる。
本発明によれば、描画工程は1回で済む。このため、多階調フォトマスクの製造過程において、アライメントが不要となる。したがって、本発明によれば、アライメントずれが無く、多階調フォトマスクの高精細化を実現することができる。
まず始めに、本発明の一実施形態に係る多階調フォトマスクの構成について説明する。
図1に示すように、多階調フォトマスク1は、透過部20、半透過部30及び遮光部50を備え、半透過部30にグラデーション部31を備えるグラデーションマスクである。グラデーション部31は、遮光部50から透過部20に近づくほど(半透過膜3のエッジ3aに近づくほど)透過率が高くなる複数の領域で構成される。本実施形態においては、グラデーション部31は、遮光部50から透過部20に向かって、最内部31C、1つの中間部31B、最外部31Aの3つの領域(3階調)で構成される。このため、本実施形態においては、多階調フォトマスク1は5階調である。
多階調フォトマスク1は、透明基板2の上に、半透過膜3、中間膜(エッチングストッパ膜)4及び遮光膜5がこの順に積層されたフォトマスクブランクスから製造される。半透過膜3が最下層にあるということで、このフォトマスクブランクスは、ボトム型と呼ばれる。
フォトマスクブランクスにおいて、半透過膜3は、スパッタ法、蒸着法等により、透明基板2の上に成膜される。半透過膜3の膜厚は、たとえば10nmないし50nmの範囲である。中間膜4は、スパッタ法、蒸着法等により、半透過膜3の上に成膜される。中間膜4の膜厚は、たとえば90nmないし200nmの範囲である。この理由については、後述する。遮光膜5は、スパッタ法、蒸着法等により、中間膜4の上に成膜される。遮光膜5の膜厚は、たとえば50nmないし120nmの範囲である。
透明基板2は、合成石英ガラス等の基板である。透明基板2は、多階調フォトマスク1を用いた描画工程で使用される露光光に含まれる代表波長(たとえば、i線、h線又はg線)に対して95%以上の透過率を有する。なお、露光光は、たとえば、i線、h線又はg線であってもよく、又はこれらの少なくとも2つの光を含む混合光であってもよい。ただし、露光光は、これらに限定されるものではない。
半透過膜3は、Cr又はCr系化合物、Ni又はNi系化合物、Ti又はTi系化合物、Si系化合物、金属シリサイド化合物等の公知の材質のうち、Cr系の材質が用いられる。本実施形態においては、半透過膜3は、Cr系化合物が用いられる。半透過膜3は、ハーフトーン膜である。あるいは、半透過膜3は、位相シフト膜であってもよい。半透過膜3は、露光光に含まれる代表波長に対し、透明基板2の透過率よりも低く、遮光膜5の透過率よりも高い透過率を有し、代表波長に対して10%ないし70%の透過率になるように設定される。
中間膜4は、非Cr系の材質が用いられる。本実施形態においては、中間膜4は、Ni、Ti又はモリブデンシリサイド化合物が用いられる。
遮光膜5は、半透過膜3と同じ材質が用いられる。本実施形態においては、遮光膜5は、Cr系化合物が用いられる。遮光膜5は、露光光に含まれる代表波長に対して1%以下の透過率を有する。あるいは、遮光膜5の透過率が1%より高くても、遮光部50における積層透過率が1%以下であればよい。あるいは、遮光部50における光学濃度(OD値)が2.7以上を満たせばよい。
半透過膜3及び遮光膜5は、同じ材質が用いられることにより、エッチング特性が同じである。しかし、半透過膜3及び遮光膜5と中間膜4とは、材質が異なることにより、エッチング特性が異なる。すなわち、半透過膜3及び遮光膜5は、中間膜4に対してエッチング選択性を有し、中間膜4は、半透過膜3及び遮光膜5に対してエッチング選択性を有する。
遮光部50は、半透過膜3、中間膜4及び遮光膜5が除去されずに残置した領域、すなわち、遮光膜5のエッジ5aまでの遮光膜5が存する領域に相当する。半透過部30は、遮光部50と透過部20との間に設けられる。半透過部30は、フォトマスクブランクスから中間膜4及び遮光膜5が除去されて半透過膜3が露出した領域、すなわち、遮光膜5のエッジ5aから半透過膜3のエッジ3aまでの半透過膜3が露出した領域に相当する。透過部20は、フォトマスクブランクスから半透過膜3、中間膜4及び遮光膜5が除去されて透明基板2が露出した領域、すなわち、半透過膜3のエッジ3aから透明基板2が露出した領域に相当する。
グラデーション部31は、半透過部30全域に設けられる。グラデーション部31の最内部31Cは、最も内側に位置して遮光部50と接する領域、すなわち、遮光膜5のエッジ5aから半透過膜3内の境界3cまでの領域に相当する。グラデーション部31の中間部31Bは、グラデーション部31の最内部31Cと最外部31Aとの間の領域、すなわち、半透過膜3内の境界3cから境界3bまでの領域に相当する。グラデーション部31の最外部31Aは、最も外側に位置して透過部20と接する領域、すなわち、半透過膜3内の境界3bから半透過膜3のエッジ3aまでの領域に相当する。なお、本実施形態においては、グラデーション部31は3階調であるため、中間部31Bは1つである。しかし、グラデーション部31が4階調の場合、中間部31Bは2つ設けられる等、グラデーション部31の階調数がnとすると、中間部31Bの数はn-2である。
中間膜4のエッジ4aは、遮光膜5のエッジ5aよりも内側に入り込み、遮光膜5のエッジ5aの下方は、中間膜4が存在しないアンダーカット4bとなっている。そして、これに伴い、遮光膜5の端部は、オーバーハングして突出端部5bとなっている。
図示しないが、図1に示される積層膜構造は、遮光膜5が所定の幅を有した状態で反対側にも線対称に設けられる。そして、遮光部50及び両側の半透過部30,30(グラデーション部31,31)により1つのパターン1Aが構成される。
次に、本発明の一実施形態に係る多階調フォトマスク1の製造方法について説明する。
多階調フォトマスク1の製造方法は、i)レジスト膜形成工程(工程1)、ii)描画工程(工程2)、iii)現像工程(工程3)、iv)遮光膜エッチング工程(工程4)、v)中間膜表面エッチング工程(工程5)、vi)遮光膜サイドエッチング工程(工程6)、vii)半透過膜エッチング工程(工程7)、viii)レジスト膜除去工程(工程8)、ix)中間膜分割エッチング工程(工程9)、x)プラズマ処理工程(工程10)、を備える。なお、描画工程(工程2)及び現像工程(工程3)を合わせて、レジストパターン形成工程といい、中間膜表面エッチング工程(工程5)及び遮光膜サイドエッチング工程(工程6)を合わせて、整形工程という。
レジスト膜形成工程(工程1)では、図2(a)に示すように、フォトマスクブランクスの表面にレジストが均一に塗布されて、レジスト膜6が形成される。レジストは、塗布法やスプレイ法により塗布される。
描画工程(工程2)では、図2(b)に示すように、描画装置(露光装置)の電子ビーム又はレーザを用いてレジスト膜6の表面に露光光が照射され、所定のレジストパターンが描画される。レジストパターンの設計(レジスト膜6のエッジ6aの設計上の位置)の考え方については、後述する。現像工程(工程3)では、図2(c)に示すように、レジスト膜6の余剰部6bが除去され、レジストパターンが形成される。現像は、現像液に浸漬することにより行われる。
遮光膜エッチング工程(工程4)では、図2(d)に示すように、レジストパターンをエッチング処理用マスクとして、遮光膜5の露出した部分5cがエッチングされ、除去される。エッチングは、ドライエッチング、ウェットエッチングのいずれでも構わないが、大型サイズのフォトマスクであれば、ウェットエッチングが好ましい。エッチャントは、エッチング液やエッチングガスが用いられる。いずれのエッチャントであっても、遮光膜5に対するエッチング選択性を有するエッチャント(中間膜4をエッチングしないエッチャント)が用いられるため、遮光膜5のみが選択的にエッチングされる。
なお、遮光膜エッチング工程(工程4)では、中間膜4の表面にエッチングしきれない遮光膜5が残存しないように、遮光膜5の膜厚に相当するエッチング量に対し、エッチング量を余分に増やすようにする、いわゆる過エッチングが行われる。
中間膜表面エッチング工程(工程5)では、図3(a)に示すように、遮光膜5をエッチング処理用マスクとして、中間膜4の露出した部分のうち、膜厚方向における所定の深さの部分(表面部)4cが表面エッチングされ、除去される。エッチングは、ドライエッチング、ウェットエッチングのいずれでも構わないが、大型サイズのフォトマスクであれば、ウェットエッチングが好ましい。エッチャントは、エッチング液やエッチングガスが用いられる。いずれのエッチャントであっても、中間膜4に対するエッチング選択性を有するエッチャント(遮光膜5をエッチングしないエッチャント)が用いられるため、中間膜4のみが選択的にエッチングされる。
中間膜4の材質及び/又は中間膜4のエッチャントは、中間膜4のエッチングレートが低いものが選択される。これにより、中間膜4の表面部4cだけをエッチングすることができる。また、適切なエッチングレートを選択することにより、エッチング量(中間膜4の膜減り量)を適切に制御することができる。
中間膜表面エッチング工程(工程5)は、図3(a)、図3(c)、図4(a)及び図4(c)に示すように、複数回行われる(工程5-1、5-2、5-3、5-4)。中間膜表面エッチング工程(工程5)の回数は、(グラデーション部31の階調数+1)回である。本実施形態においては、グラデーション部31は3階調であるため、中間膜表面エッチング工程(工程5)の回数は4回である。
遮光膜サイドエッチング工程(工程6)では、図3(b)に示すように、遮光膜5のうち、露出したエッジ5aの端面から内側方向における所定の深さ(所定の幅)の部分5dがサイドエッチングされ、除去される。サイドエッチングは、遮光膜エッチング工程(工程4)と同様の方法及び同様のエッチャントで行われる。
遮光膜サイドエッチング工程(工程6)は、図3(b)、図3(d)及び図4(b)に示すように、複数回行われる(工程6-1、6-2、6-3)。遮光膜サイドエッチング工程(工程6)の回数は、グラデーション部31の階調数と同じ回数である。別の言い方をすれば、遮光膜サイドエッチング工程(工程6)の回数は、(中間膜表面エッチング工程(工程5)の回数-1)回である。本実施形態においては、グラデーション部31は3階調であり、中間膜表面エッチング工程(工程5)の回数は4回であるため、遮光膜サイドエッチング工程(工程6)の回数は3回である。なお、図3(b)、図3(d)及び図4(b)においては、紙面の幅サイズの関係から、サイドエッチングのエッチング量は、短くして記載している。実際のイメージは、図9に記載されたものが近い。
中間膜表面エッチング工程(工程5)及び遮光膜サイドエッチング工程(工程6)は、中間膜表面エッチング工程(工程5)を始め及び終わりとして、複数回交互に繰り返される。本実施形態においては、工程5-1、工程6-1、工程5-2、工程6-2、工程5-3、工程6-3、工程5-4の順に行われる。中間膜4の表面エッチング及び遮光膜5のサイドエッチングが複数回交互に繰り返されることにより、中間膜4の露出した部分は、透明基板2に近づくほど外側に広がる形状を有する。より詳しくは、中間膜4の露出した部分は、階段形状を有する。
中間膜表面エッチング工程(工程5)の各工程5-1、5-2、5-3、5-4は、各工程のエッチング量の合計が中間膜4の膜厚となるように分割したエッチング量で行われる。好ましくは、各工程は、中間膜4の膜厚を中間膜表面エッチング工程(工程5)の回数で割ったエッチング量で行われる。たとえば、中間膜4の膜厚が100nmであり、中間膜表面エッチング工程(工程5)の回数が4回であるとすると、1回あたりのエッチング量は25nmとなる。ただし、各工程のエッチング量が同じであることは必須ではない。各工程のエッチング量は異なっていてもよい。いずれにせよ、上述のとおり、中間膜4のエッチングレートは低いので、このような微細な表面エッチングが可能となる。ただし、総エッチング量が膜厚に等しい場合、半透過膜3の表面にエッチングしきれない中間膜4が残存するおそれがある。そこで、最後の中間膜表面エッチング工程(工程5-4)では、過エッチングが行われる。図4(c)に記載のエッチング量が図3(a)、図3(c)、図4(a)に記載のエッチング量よりも多いのはこの理由による。
遮光膜サイドエッチング工程(工程6)の各工程6-1、6-2、6-3は、グラデーション部31の透過率勾配に対応しかつ遮光膜5のエッジ5aの設計上の位置に向かうように分割したエッチング量で行われる。
半透過膜エッチング工程(工程7)では、図4(d)に示すように、中間膜4をエッチング処理用マスクとして、半透過膜3の露出した部分3dがエッチングされ、除去される。エッチングは、遮光膜エッチング工程(工程4)や遮光膜サイドエッチング工程(工程6)と同様の方法及び同様のエッチャントで行われる。なお、使用されるエッチャントは、遮光膜5及び半透過膜3に対するエッチング選択性を有するため、半透過膜3の露出した部分3dがエッチングされるだけでなく、遮光膜5のうち、露出したエッジ5aの端面から内側方向における同量の深さの部分5dがサイドエッチングされる。
なお、半透過膜エッチング工程(工程7)では、透明基板2の表面にエッチングしきれない半透過膜3が残存しないように、半透過膜3の膜厚に相当するエッチング量に対し、エッチング量を余分に増やすようにする過エッチングが行われる。
レジスト膜除去工程(工程8)では、図5(a)に示すように、レジスト膜6が除去される。レジスト膜6の除去は、アッシング法やレジスト剥離液に浸漬することにより行われる。
以上の工程1ないし工程8を経て、多階調フォトマスク1の中間体が完成する。図5(a)に示すように、中間体は、透明基板2の上に積層される所定のパターン形状の半透過膜3と、半透過膜3の上に重なるように積層される中間膜4と、中間膜4の周辺領域の少なくとも一部が露出するように中間膜4の上に積層される所定のパターン形状の遮光膜5とを備え、中間膜4の露出した部分の少なくとも一部が透明基板2に近づくほどエッジ4aが外側(面方向のうち、遮光膜5から遠ざかる方向)に広がる形状を有する積層膜構造からなる。より詳しくは、中間膜4の露出した部分の少なくとも一部は、透明基板2に近づくほどエッジ4aが外側に広がる階段形状を有する。階段の段数は、グラデーション部31の階調数と同じ段数である。本実施形態においては、グラデーション部31は3階調であるため、段数は3段(下段部4d、中段部4e、上段部4f)である。以降の工程9及び工程10は、準備された中間体に対する工程となる。
中間膜分割エッチング工程(工程9)では、図5(b)に示すように、遮光膜5をエッチング処理用マスクとして、中間膜4の露出した部分のうち、膜厚方向における所定の深さの部分(表面部)4cが表面エッチングされ、除去される。表面エッチングは、中間膜表面エッチング工程(工程5)と同様の方法及び同様のエッチャントで行われる。エッチャントは、中間膜4に対するエッチング選択性を有するエッチャント(半透過膜3及び遮光膜5をエッチングしないエッチャント)が用いられるため、中間膜4のみが選択的にエッチングされる。
また、中間膜分割エッチング工程(工程9)では、中間膜表面エッチング工程(工程5)と同様、中間膜4のエッチングレートは低い。これにより、中間膜4の表面部4cだけをエッチングすることができる。また、適切なエッチングレートを選択することにより、エッチング量(中間膜4の膜減り量)を適切に制御することができる。
中間膜分割エッチング工程(工程9)は、図5(b)、図5(d)及び図6(b)に示すように、複数回行われる(工程9-1、9-2、9-3)。中間膜分割エッチング工程(工程9)の回数は、中間膜4の段数(すなわち、グラデーション部31の階調数)と同じ回数である。本実施形態においては、中間膜4の段数は3段であるため、中間膜分割エッチング工程(工程9)の回数は3回である。
プラズマ処理工程(工程10)では、図5(c)に示すように、プラズマ処理装置により、半透過膜3の露出した部分の表面にプラズマが照射される。プラズマ処理装置は、大気圧下でプラズマを発生させて表面処理を行う装置(大気圧プラズマ処理装置)、密閉したチャンパ内の減圧下でプラズマを発生させて表面処理を行う装置(減圧プラズマ処理装置)のいずれでも構わないが、大型サイズのフォトマスクであれば、大気圧プラズマ処理装置が好ましい。
プラズマが照射された半透過膜3は、照射時間に応じて透過率が変化(増大)する。他方、半透過膜3の中間膜4に覆われた部分は、プラズマ処理の影響を受けないため、透過率は変化しない。このため、中間膜4は、プラズマ処理用マスクとして機能する。
プラズマ処理工程(工程10)は、図5(c)及び図6(a)に示すように、複数回行われる(工程10-1、10-2)。プラズマ処理工程(工程10)の回数は、(グラデーション部31の階調数-1)回である。別の言い方をすれば、プラズマ処理工程(工程10)の回数は、(中間膜分割エッチング工程(工程9)の回数-1)回である。本実施形態においては、グラデーション部31は3階調であり、中間膜分割エッチング工程(工程9)の回数は3回であるため、プラズマ処理工程(工程10)の回数は2回である。
中間膜分割エッチング工程(工程9)及びプラズマ処理工程(工程10)は、中間膜分割エッチング工程(工程9)を始め及び終わりとして、複数回交互に繰り返される。本実施形態においては、工程9-1、工程10-1、工程9-2、工程10-2、工程9-3の順に行われる。
1回目の中間膜分割エッチング工程(工程9-1)は、中間膜4の下段部4dの膜厚に対応するエッチング量で行われる。これにより、1回目の中間膜分割エッチング工程(工程9-1)では、中間膜4の下段部4dが除去される。このため、1回目のプラズマ処理工程(工程10-1)では、中間膜4の下段部4dが除去されることにより半透過膜3の露出した部分の表面にプラズマが照射され、当該部分の透過率が高くなる。
2回目の中間膜分割エッチング工程(工程9-2)は、1回目の中間膜分割エッチング工程(工程9-1)により高さが下がった中間膜4の中段部4eの膜厚に対応するエッチング量で行われる。これにより、2回目の中間膜分割エッチング工程(工程9-2)では、中間膜4の中段部4eが除去される。このため、2回目のプラズマ処理工程(工程10-2)では、中間膜4の下段部4dが除去されることにより半透過膜3の露出した部分の表面にさらにプラズマが照射され、当該部分の透過率がさらに高くなるとともに、中間膜4の中段部4eが除去されることにより半透過膜3の露出した部分の表面にプラズマが照射され、当該部分の透過率が高くなる。これらにより、グラデーション部31の中で最も透過率が高い最外部31Aと、最外部31Aの次に透過率が高い中間部31Bとが形成される。
3回目の中間膜分割エッチング工程(工程9-3)は、2回目の中間膜分割エッチング工程(工程9-2)により高さが下がった中間膜4の上段部4fの膜厚に対応するエッチング量で行われる。これにより、3回目の中間膜分割エッチング工程(工程9-3)では、中間膜4の上段部4fが除去される。グラデーション部31の最内部31Cは、中間膜4の上段部4fが除去されることにより半透過膜3の露出した部分である。最内部31Cは、プラズマ処理を受けていない。このため、最内部31Cの透過率は、半透過膜3の透過率と同じであり、グラデーション部31の中で最も低い透過率である。
上述のとおり、グラデーション部31の各部31A,31B,31Cの透過率は、プラズマの照射時間の積算値と相関性を有する。図7(a)に示すように、最外部31Aの透過率をT3とするために照射時間S2が必要であり、中間部31Bの透過率をT2とするために照射時間S1が必要であるとすると、1回目のプラズマ処理工程(工程10-1)では、照射時間が(S2-S1)となるようにプラズマが照射され、2回目のプラズマ処理工程(工程10-2)では、照射時間がS1となるようにプラズマが照射される。このように、プラズマ処理工程(工程10)の各工程10-1、10-2での照射時間は、グラデーション部31の各部31A,31B,31Cの透過率に基づいて求められる。
そして、プラズマ処理工程(工程10)の各工程10-1、10-2での照射時間を適宜設定することにより、グラデーション部31の透過率勾配を適宜設定することができる。たとえば、図7(a)に示す例は、各工程10-1、10-2での照射時間を均等にすることにより、グラデーション部31の透過率勾配が線形となる例である。また、図7(b)に示す例は、工程10-2での照射時間が工程10-1での照射時間よりも長くなり、グラデーション部31の透過率勾配が曲線となる例である。また、図7(c)に示す例は、工程10-2での照射時間が工程10-1での照射時間よりも短くなり、グラデーション部31の透過率勾配が曲線となる例である。
なお、中間膜分割エッチング工程(工程9)の各工程9-1、9-2、9-3では、半透過膜3の表面にエッチングしきれない中間膜4が残存しないように、過エッチングが行われる。図5(b)に記載のエッチング量が、中間膜4の下段部4dの膜厚よりも多く、図5(d)に記載のエッチング量が、膜厚が減少した中間膜4の中段部4eの膜厚よりも多く、図6(b)に記載のエッチング量が、膜厚が減少した中間膜4の上段部4fの膜厚よりも多いのはこの理由による。
以上の工程1ないし工程9-3を経て、図6(c)(及び図1)に示すように、多階調フォトマスク1が完成する。本実施形態に係る多階調フォトマスク1の製造方法によれば、描画工程は1回で済む。このため、多階調フォトマスクの製造過程において、アライメントが不要となる。したがって、本実施形態に係る多階調フォトマスク1の製造方法及び多階調フォトマスク1によれば、アライメントずれが無く、このため、リードタイムを短縮することができるとともに、高精細な多階調フォトマスクを製造することができる。
なお、多階調フォトマスク1の製造方法の諸条件は、目安として、次のとおりである。
・各エッチング工程(工程4ないし工程7、工程9)のプロセス温度:20℃ないし24℃(たとえば23℃)
・遮光膜エッチング工程(工程4)のプロセス時間:60秒ないし200秒
・中間膜4の各エッチング工程(工程5、工程9)の1工程当たりのプロセス時間:5分ないし10分
・遮光膜サイドエッチング工程(工程6)の1工程当たりのプロセス時間:500秒ないし2000秒
・半透過膜エッチング工程(工程7)のプロセス時間:20秒ないし100秒
・ちなみに、半透過膜3及び遮光膜5の各エッチングレートは、一例として1nm/sec程度であり、中間膜4のエッチングレートは、一例として4nm/min程度である。
・各エッチング工程(工程4ないし工程7、工程9)のプロセス温度:20℃ないし24℃(たとえば23℃)
・遮光膜エッチング工程(工程4)のプロセス時間:60秒ないし200秒
・中間膜4の各エッチング工程(工程5、工程9)の1工程当たりのプロセス時間:5分ないし10分
・遮光膜サイドエッチング工程(工程6)の1工程当たりのプロセス時間:500秒ないし2000秒
・半透過膜エッチング工程(工程7)のプロセス時間:20秒ないし100秒
・ちなみに、半透過膜3及び遮光膜5の各エッチングレートは、一例として1nm/sec程度であり、中間膜4のエッチングレートは、一例として4nm/min程度である。
次に、描画工程(工程2)の説明の箇所で触れた、レジストパターンの設計(レジスト膜6のエッジ6aの設計上の位置)の考え方について説明する。
半透過膜3のエッジ3aの位置が設計上の位置に仕上げられるのは、半透過膜エッチング工程(工程7)においてである。そこで、レジスト膜6のエッジ6aの設計上の位置と半透過膜3のエッジ3aの設計上の位置との関係を図8に示す。図8からわかるように、両者の差Aは、次の式で表される。なお、上記各エッチング工程において、半透過膜3、中間膜4及び遮光膜5のそれぞれは、膜厚方向及び内側方向に同じ速度(エッチングレート)でエッチングされていくものと仮定する(以下、同様)。
差A=半透過膜3の膜厚FT3+工程7における過エッチング量OE3
+中間膜4の膜厚FT4+工程5における過エッチング量OE4
+遮光膜5の膜厚FT5+工程4における過エッチング量OE5
差A=半透過膜3の膜厚FT3+工程7における過エッチング量OE3
+中間膜4の膜厚FT4+工程5における過エッチング量OE4
+遮光膜5の膜厚FT5+工程4における過エッチング量OE5
したがって、レジスト膜6のエッジ6aの設計上の位置、すなわち、レジストパターンの描画データは、半透過膜3のエッジ3aの設計上の位置に対し、差Aだけ外側にオフセットしたデータとなる。
また、遮光膜5のエッジ5aの位置が設計上の位置に仕上げられるのも、半透過膜エッチング工程(工程7)においてである。そこで、レジスト膜6のエッジ6aの設計上の位置と遮光膜5のエッジ5aの設計上の位置との関係を図9に示す。図9からわかるように、両者の差Bは、次の式で表される。
差B=半透過膜3の膜厚FT3+工程7における過エッチング量OE3
+工程6における総サイドエッチング量(SE5-1~3)
+遮光膜5の膜厚FT5+工程4における過エッチング量OE5
差B=半透過膜3の膜厚FT3+工程7における過エッチング量OE3
+工程6における総サイドエッチング量(SE5-1~3)
+遮光膜5の膜厚FT5+工程4における過エッチング量OE5
したがって、この式を踏まえて、遮光膜サイドエッチング工程(工程6)の各工程6-1、6-2、6-3におけるサイドエッチング量を適宜設定することにより、遮光膜5のエッジ5aの位置を設計上の位置に仕上げることができる。
次に、グラデーション部31の透過率勾配について説明する。
図10の上図は、中間膜表面エッチング工程(工程5)及び遮光膜サイドエッチング工程(工程6)によるフォトマスクブランクスの積層膜構造の変化を表したものであり、図10の下図は、多階調フォトマスク1を表したものであり、両図は、面方向の位置が上下方向において合わされた状態で記載されている。これからわかるように、遮光膜サイドエッチング工程(工程6)による遮光膜5の段階的なエッジ5aの位置と、中間膜4のエッジ4a及び各段部4d,4e,4fの境界の位置とは、中間膜4の各段部4d,4e,4fのサイドエッチングが生じることにより多少ずれるものの、相関性があることがわかる。また、中間膜4のエッジ4a及び各段部4d,4e,4fの境界の位置と、グラデーション部31のエッジ3a及びグラデーション部31の境界3b,3cの位置とは、中間膜4の各段部4d,4e,4fのサイドエッチングが生じることにより多少ずれるものの、相関性があることがわかる。そして、これらのことから、遮光膜サイドエッチング工程(工程6)による遮光膜5の段階的なエッジ5aの位置と、グラデーション部31のエッジ3a及びグラデーション部31の境界3b,3cの位置とは、中間膜4の各段部4d,4e,4fのサイドエッチングが生じることにより多少ずれるものの、相関性があることがわかる。
したがって、遮光膜サイドエッチング工程(工程6)の各工程6-1、6-2、6-3におけるサイドエッチング量を適宜設定することにより、グラデーション部31の透過率勾配を適宜設定することができる。たとえば、図10の下図(及び図1)に示す例は、サイドエッチング量を均等にすることにより、グラデーション部31の透過率勾配が線形となる例である。また、図11(a)に示す例は、半透過膜3のエッジ3aに近づくほど領域の幅が広くなり、グラデーション部31の透過率勾配が曲線となる例である。また、図11(b)に示す例は、半透過膜3のエッジ3aに近づくほど領域の幅が狭くなり、グラデーション部31の透過率勾配が曲線となる例である。
次に、フォトマスクブランクスの説明の箇所で触れた、中間膜4の膜厚について説明する。
図12からわかるように、遮光膜5の突出端部5bのオーバーハング量は、次の式で表される。
オーバーハング量=中間膜4の膜厚FT4
-{膜厚FT4/(グラデーション部31の階調数+1)
+工程5における過エッチング量OE4}
+工程9-3における過エッチング量OE4
オーバーハング量=中間膜4の膜厚FT4
-{膜厚FT4/(グラデーション部31の階調数+1)
+工程5における過エッチング量OE4}
+工程9-3における過エッチング量OE4
この式から、中間膜4の膜厚FT4は、次の式で表される。
膜厚FT4=(オーバーハング量+工程5における過エッチング量OE4
-工程9-3における過エッチング量OE4)
/{1-1/(グラデーション部31の階調数+1)}
膜厚FT4=(オーバーハング量+工程5における過エッチング量OE4
-工程9-3における過エッチング量OE4)
/{1-1/(グラデーション部31の階調数+1)}
ここで、オーバーハング量は、突出端部5bの垂れによる変形を防止するために、150nm以下にされるのが好ましい。そうすると、各過エッチング量OE4が15nm、グラデーション部31が3階調とした場合、中間膜4の膜厚は200nm以下となる。
次に、中間膜4の膜厚の下限についてであるが、適切なグラデーション部31を形成するためには、中間膜表面エッチング工程(工程5)及び中間膜分割エッチング工程(工程9)における中間膜4の膜厚制御が重要となる。エッチングレートが高すぎると、中間膜4の膜厚制御が難しくなる。逆に、エッチングレートが低すぎると、プロセス時間がかかり、生産性が低下する。そこで、エッチングレートは4nm/min程度であり、中間膜表面エッチング工程(工程5)及び中間膜分割エッチング工程(工程9)の1工程当たりのプロセス時間は7.5分程度が好ましい。
そうすると、中間膜4の膜厚FT4は、次の式で表される。
膜厚FT4=(グラデーション部31の階調数+1)×30nm
膜厚FT4=(グラデーション部31の階調数+1)×30nm
以上のことから、中間膜4の膜厚を90nmないし200nmの範囲に設定することにより、2階調ないし5階調のグラデーション部31(すなわち、4階調ないし7階調の高精細な多階調フォトマスク)を製造することができる。
次に、多階調フォトマスク1の全体パターンについて説明する。
多階調フォトマスク1の単位パターン1Aは、一例として、遮光部50の周辺領域全域に半透過部30(グラデーション部31)を備える形態である。図13(a)は、複数の単位パターン1A,…を互いに間隔を大きくあけて(透過部20の領域を十分に広くして)2次元的に定ピッチに配置したアイランド型(凸型)の多階調フォトマスク1である。図13(b)は、遮光部50の領域を十分に広くした複数の単位パターン1A,…を互いに接近させて(透過部20の領域を十分に狭くして)定ピッチに配置したホール型(凹型)の多階調フォトマスク1である。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
上記実施形態においては、多階調フォトマスクは5階調である。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。中間膜の階段の段数を4段以上(中段部を2段以上)にし、グラデーション部の中間部を2つ以上形成することにより、6階調以上の多階調フォトマスクを製造することができる。あるいは、中間膜の階段の段数を2段(中段部を設けない)にし、グラデーション部の中間部を形成しないことにより、4階調の多階調フォトマスクを製造することができる。
また、上記実施形態においては、グラデーション部31は、半透過部30全域に設けられ、半透過部30と一致するものである。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。グラデーション部は、半透過部の一部に設けられるものであってもよい。
また、上記実施形態においては、中間膜表面エッチング工程(工程5)及び遮光膜サイドエッチング工程(工程6)は、中間膜表面エッチング工程(工程5)を始めとして、複数回交互に繰り返される。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。たとえば、図14及び図15に示すように、中間膜表面エッチング工程(工程5)及び遮光膜サイドエッチング工程(工程6)は、遮光膜サイドエッチング工程(工程6)を始めとして、複数回交互に繰り返されるようにしてもよい。なお、図14及び図15の例においては、中間膜表面エッチング工程(工程5)の回数は、グラデーション部31の階調数と同じ回数である。遮光膜サイドエッチング工程(工程6)の回数は、(グラデーション部31の階調数+1)回である。別の言い方をすれば、遮光膜サイドエッチング工程(工程6)の回数は、(中間膜表面エッチング工程(工程5)の回数+1)回である。
また、上記実施形態及び図14及び図15の例においては、中間膜表面エッチング工程(工程5)及び遮光膜サイドエッチング工程(工程6)は、いずれかが1工程多い。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。たとえば、図16及び図17に示すように、中間膜表面エッチング工程(工程5)及び遮光膜サイドエッチング工程(工程6)は、いずれが始めであるかを問わず、同じ工程数であってもよい。
また、上記実施形態においては、プラズマ処理工程(工程10)は、1回目の中間膜分割エッチング工程(工程9-1)及び2回目の中間膜分割エッチング工程(工程9-2)の後に行われる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。プラズマ処理工程(工程10)は、最後の中間膜分割エッチング工程の後にも行われるようにしてもよい。
また、本発明においては、遮光膜に代えて、位相シフト膜であってもよい。下層の半透過膜との積層により光学濃度(OD値)が2.7以上であればよい。
1…多階調フォトマスク、1A…パターン、2…透明基板、20…透過部、3…半透過膜、3a…エッジ、3b…境界、3c…境界、3d…部分、30…半透過部、31…グラデーション部、31A…最外部、31B…中間部、31C…最内部、4…中間膜(エッチングストッパ膜)、4a…エッジ、4b…アンダーカット、4c…部分(表面部)、4d…下段部、4e…中段部、4f…上段部、5…遮光膜、5a…エッジ、5b…突出端部、5c…部分、5d…部分、50…遮光部、6…レジスト膜、6a…エッジ、6b…余剰部
Claims (6)
- 所定のパターン形状を有し、透明基板の上に積層される半透過膜と、半透過膜と異なるエッチング特性を有し、半透過膜の上に重なるように積層される中間膜と、所定のパターン形状及び半透過膜と同じエッチング特性を有し、中間膜の周辺領域の少なくとも一部が露出するように中間膜の上に積層される遮光膜とを備え、中間膜の露出した部分の少なくとも一部が透明基板に近づくほどエッジが外側に広がる形状を有する積層膜構造からなる中間体を準備する中間体準備工程と、
中間膜の露出した部分を複数回に分けてエッチングする中間膜分割エッチング工程と、
各回のエッチング後に半透過膜の露出した部分をプラズマ処理し、当該部分の透過率を変更するプラズマ処理工程とを備える
多階調フォトマスクの製造方法。 - 中間体準備工程は、中間体を製造する中間体製造工程を含み、
中間体製造工程は、
フォトマスクブランクスの表面にレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、
所定のレジストパターンを形成するレジストパターン形成工程と、
レジストパターンをマスクとして、遮光膜の露出した部分をエッチングし、除去する遮光膜エッチング工程と、
遮光膜をマスクとして、中間膜の露出した部分のうち、膜厚方向における所定の深さの部分をエッチングし、除去する表面エッチングと、遮光膜のうち、露出したエッジの端面から内側方向における所定の深さの部分をエッチングし、除去するサイドエッチングとを交互に繰り返すことにより、中間膜の該当部分を透明基板に近づくほどエッジが外側に広がる形状に整形する整形工程と、
中間膜をマスクとして、半透過膜の露出した部分をエッチングし、除去する半透過膜エッチング工程と、
レジスト膜を除去するレジスト膜除去工程とを備える
請求項1に記載の多階調フォトマスクの製造方法。 - 整形工程は、中間膜の該当部分を階段状に整形する
請求項2に記載の多階調フォトマスクの製造方法。 - 中間膜として、半透過膜及び遮光膜よりもエッチングレートが低い膜が選択される
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の多階調フォトマスクの製造方法。 - 所定のパターン形状を有し、透明基板の上に積層される半透過膜と、
半透過膜と異なるエッチング特性を有し、半透過膜の周辺領域の少なくとも一部が露出するように半透過膜の上に積層される中間膜と、
所定のパターン形状及び半透過膜と同じエッチング特性を有し、中間膜の上に重なるように積層される遮光膜とを備え、
半透過膜の露出した部分の少なくとも一部は、半透過膜のエッジに近づくほど透過率が高くなる複数の領域で構成されるグラデーション部を備える
多階調フォトマスク。 - 中間膜のエッジが遮光膜のエッジよりも内側に入り込むことにより、遮光膜のエッジの下方に、中間膜が存在しないアンダーカットが形成され、これに伴い、遮光膜の端部がオーバーハングして突出端部となる
請求項5に記載の多階調フォトマスク。
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