JP2022134101A - ポリエチレン樹脂組成物及び成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属石鹸由来の目ヤニ量を抑制し、金属石鹸の残渣量を抑制し、電池の安全性を向上できる、ポリエチレン樹脂組成物を提供する。【解決手段】超高分子量ポリエチレンパウダーと、金属石鹸を含有し、超高分子量ポリエチレンパウダーの粘度平均分子量が100,000~10,000,000であり、所定の条件で二軸押出した際の、ストランド堆積物が、縦/横=0.05以上5.0以下である。<二軸押出条件>ポリマー濃度:超高分子量ポリエチレンパウダーの粘度平均分子量(Mv)に応じて、ポリマー濃度を式Iの値以上、式IIの値以下に調整する。式I:Y=260.63X-0.484Y:ポリマー濃度、X:分子量(Mv)式II:Y=338.69X-0.626Y:ポリマー濃度、X:分子量(Mv)超高分子量ポリエチレンパウダー:5~50質量%、流動パラフィン:50~95質量%【選択図】図1
Description
本発明は、ポリエチレン樹脂組成物及び成形体に関する。
ポリエチレンは、シート、フィルム、成形体等の様々な用途に使用されており、電池のセパレータの原料(以下、セパレータ原料と記載する場合がある。)も、その重要な用途の一つである。
セパレータとは、電池内部において正極と負極とを分離し、イオンのみを透過させることを主目的として使用される多孔質の膜である。
前記セパレータのその他の用途としては、電池に実用上十分な強度を確保するための電池の構成部材としての用途や、電池内部が高温化した際に電池反応の暴走を防止するためのシャットダウン(以下、「ヒューズ」ともいう。)機能を行う部材としての用途等が挙げられる。
セパレータとは、電池内部において正極と負極とを分離し、イオンのみを透過させることを主目的として使用される多孔質の膜である。
前記セパレータのその他の用途としては、電池に実用上十分な強度を確保するための電池の構成部材としての用途や、電池内部が高温化した際に電池反応の暴走を防止するためのシャットダウン(以下、「ヒューズ」ともいう。)機能を行う部材としての用途等が挙げられる。
セパレータ原料のポリエチレンとしては、シート、フィルム、成形体等に使用される汎用のポリエチレンに比べて、通常、比較的高い分子量を有し、かつ高い密度を有するポリエチレンが用いられており、パウダー状の形態で製品化されている。
セパレータ原料のポリエチレンが、高い分子量を有し、かつ高い密度を有する理由は、セパレータの強度を確保するためである。
セパレータ原料のポリエチレンが、パウダー状の形態である理由は、高い分子量により加工性が悪いことに起因してペレット化が困難であるためであり、さらにはパウダー状の形態の方がセパレータの加工性により優れているためである。
セパレータ原料のポリエチレンが、高い分子量を有し、かつ高い密度を有する理由は、セパレータの強度を確保するためである。
セパレータ原料のポリエチレンが、パウダー状の形態である理由は、高い分子量により加工性が悪いことに起因してペレット化が困難であるためであり、さらにはパウダー状の形態の方がセパレータの加工性により優れているためである。
従来から、セパレータ等の成形体を成形する工程において、ポリエチレン及び流動パラフィンを混練押出する際に、押出機ダイスリップに目ヤニが付着する現象が知られている。
一般的に成形工程における目ヤニとは、押出成形を連続的に行うことによって、経時的に押出機ダイスリップに樹脂等が堆積したものであり、かかる目ヤニが成形体に付着することによって外観不良等の問題が生じる。その際の対応としては、成形加工機の運転を一時止め、堆積した目ヤニを取り除いた後、再運転するという処置を行う。このため、長時間の連続成形加工ができず、作業性が低下し、また、成形体の品質低下にもつながるという問題点を有している。
一般的に成形工程における目ヤニとは、押出成形を連続的に行うことによって、経時的に押出機ダイスリップに樹脂等が堆積したものであり、かかる目ヤニが成形体に付着することによって外観不良等の問題が生じる。その際の対応としては、成形加工機の運転を一時止め、堆積した目ヤニを取り除いた後、再運転するという処置を行う。このため、長時間の連続成形加工ができず、作業性が低下し、また、成形体の品質低下にもつながるという問題点を有している。
このような目ヤニを低減する方法としては、樹脂組成物中に、ステアリン酸カルシウム及びステアリン酸亜鉛等の金属石鹸を所定の質量比で添加する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
前記目ヤニには、樹脂由来のものと、添加剤として添加されている金属石鹸由来のものが存在する。
ポリエチレンからなる成形体を成形する際に問題となるのは樹脂由来の目ヤニと金属石鹸由来の目ヤニの両者であり、これらの目ヤニの低減が求められている。
特許文献1に記載されている技術は、樹脂由来の目ヤニ量を抑制するという効果は有しているが、金属石鹸由来の目ヤニ量を抑制することについては検討されていない。また、添加物である金属石鹸は、成形体、特にセパレータ中に残存する量は少ない方がセパレータの品質向上(電池内異物が少ない)の観点から好ましいとされている。
さらに、近年、電池の安全性を向上させるため、セパレータの耐電圧の向上が求められている。
ポリエチレンからなる成形体を成形する際に問題となるのは樹脂由来の目ヤニと金属石鹸由来の目ヤニの両者であり、これらの目ヤニの低減が求められている。
特許文献1に記載されている技術は、樹脂由来の目ヤニ量を抑制するという効果は有しているが、金属石鹸由来の目ヤニ量を抑制することについては検討されていない。また、添加物である金属石鹸は、成形体、特にセパレータ中に残存する量は少ない方がセパレータの品質向上(電池内異物が少ない)の観点から好ましいとされている。
さらに、近年、電池の安全性を向上させるため、セパレータの耐電圧の向上が求められている。
そこで、本発明においては、金属石鹸由来の目ヤニ量を抑制し、かつ、金属石鹸が残渣として成形体中に残存する量を抑制し、成形体の品質を向上させ、かつ成形体であるセパレータの耐電圧を向上させ、これにより、電池の安全性を向上させることを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意研究を進めた結果、超高分子量ポリエチレンパウダーと金属石鹸を含むポリエチレン樹脂組成物において、超高分子量ポリエチレンパウダーの粘度平均分子量(Mv)、ポリエチレン樹脂組成物を特定条件で二軸押出したときのストランドの縦横比を特定することにより、上記の課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
また、超高分子量ポリエチレンパウダーと金属石鹸を含むポリエチレン樹脂組成物において、超高分子量ポリエチレンパウダーの粘度平均分子量(Mv)、金属石鹸のアルキル鎖一本当たりの平均炭素数を特定することにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
また、超高分子量ポリエチレンパウダーと金属石鹸を含むポリエチレン樹脂組成物において、超高分子量ポリエチレンパウダーの粘度平均分子量(Mv)、金属石鹸のアルキル鎖一本当たりの平均炭素数を特定することにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
〔1〕
超高分子量ポリエチレンパウダーと、金属石鹸を含有するポリエチレン樹脂組成物であって、
前記超高分子量ポリエチレンパウダーの粘度平均分子量(Mv)が100,000以上10,000,000以下であり、
下記の<二軸押出条件>で二軸押出した際の、ストランド堆積物の縦横比が、縦/横=0.05以上5.0以下である、
ポリエチレン樹脂組成物。
<二軸押出条件>
ポリマー濃度:超高分子量ポリエチレンパウダーの粘度平均分子量(Mv)に応じて、
ポリマー濃度を式Iの値以上、式IIの値以下に調整する。
式I:Y=260.63X-0.484 Y:ポリマー濃度、X:分子量(Mv)
式II:Y=338.69X-0.626 Y:ポリマー濃度、X:分子量(Mv)
超高分子量ポリエチレンパウダー:5~50質量%
流動パラフィン:50~95質量%
押出機:異方向二軸押出機
押出温度:160℃
スクリュー回転数:150rpm
吐出口のオリフィス径:1.0mm
金属石鹸添加量:超高分子量ポリエチレンパウダーの質量に対して5%添加
吐出口から地面までの高さ:1.0m以上1.1m以下
吐出量:0.5kg/h以上5.0kg/h以下
押出時間:1時間
雰囲気温湿度:15℃以上30℃以下/20%RH以上70%RH以下
床面材質:アルミ板
〔2〕
前記二軸押出条件の吐出量が2.0kg/h以上3.0kg/h以下である、前記〔1〕に記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔3〕
前記二軸押出条件の吐出量が2.5kg/hである、前記〔1〕又は〔2〕に記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔4〕
前記金属石鹸の含有量が、0.01質量%以上0.3質量%以下である、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔5〕
前記金属石鹸の、アルキル鎖一本当たりの平均炭素数が16.0以上28.0以下である、前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔6〕
前記金属石鹸が、アルキル鎖一本当たりの炭素数が16及び18である脂肪酸(C16、C18)を含み、
質量比(C18/C16)が、1.5以上1000以下である、前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔7〕
前記金属石鹸のCaイオン濃度が、1.0mg/L以上200mg/L以下である、前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔8〕
前記金属石鹸が、炭素数が16又は18の脂肪酸を、0.1質量%以上2.0質量%以下含有する、前記〔1〕乃至〔7〕のいずれか一に記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔9〕
前記〔1〕乃至〔8〕のいずれか一に記載のポリエチレン樹脂組成物の成形体。
〔10〕
微多孔膜、高強度繊維、及び焼結体からなる群より選ばれるいずれかである、前記〔9〕に記載の成形体。
〔11〕
超高分子量ポリエチレンパウダーと金属石鹸を、含有するポリエチレン樹脂組成物であって、
粘度平均分子量(Mv)が100,000以上10,000,000以下であり、
前記金属石鹸のアルキル鎖一本当たりの平均炭素数が16.0以上28.0以下である、ポリエチレン樹脂組成物。
〔12〕
前記金属石鹸の含有量が、0.01質量%以上0.3質量%以下である、前記〔11〕に記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔13〕
前記金属石鹸が、アルキル鎖一本当たりの炭素数が16及び18である脂肪酸(C16、C18)を含み、
その質量比(C18/C16)が1.5以上1000以下である、前記〔11〕又は〔12〕に記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔14〕
前記金属石鹸のCaイオン濃度が1.0mg/L以上200mg/L以下である、前記〔11〕乃至〔13〕のいずれか一に記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔15〕
前記金属石鹸が、炭素数が16又は18の脂肪酸を、0.1質量%以上2.0質量%以下含有する、前記〔11〕乃至〔14〕のいずれか一に記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔16〕
前記〔11〕乃至〔15〕のいずれか一に記載のポリエチレン樹脂組成物の成形体。
〔17〕
微多孔膜、高強度繊維、及び焼結体からなる群より選ばれるいずれかである、前記〔16〕に記載の成形体。
超高分子量ポリエチレンパウダーと、金属石鹸を含有するポリエチレン樹脂組成物であって、
前記超高分子量ポリエチレンパウダーの粘度平均分子量(Mv)が100,000以上10,000,000以下であり、
下記の<二軸押出条件>で二軸押出した際の、ストランド堆積物の縦横比が、縦/横=0.05以上5.0以下である、
ポリエチレン樹脂組成物。
<二軸押出条件>
ポリマー濃度:超高分子量ポリエチレンパウダーの粘度平均分子量(Mv)に応じて、
ポリマー濃度を式Iの値以上、式IIの値以下に調整する。
式I:Y=260.63X-0.484 Y:ポリマー濃度、X:分子量(Mv)
式II:Y=338.69X-0.626 Y:ポリマー濃度、X:分子量(Mv)
超高分子量ポリエチレンパウダー:5~50質量%
流動パラフィン:50~95質量%
押出機:異方向二軸押出機
押出温度:160℃
スクリュー回転数:150rpm
吐出口のオリフィス径:1.0mm
金属石鹸添加量:超高分子量ポリエチレンパウダーの質量に対して5%添加
吐出口から地面までの高さ:1.0m以上1.1m以下
吐出量:0.5kg/h以上5.0kg/h以下
押出時間:1時間
雰囲気温湿度:15℃以上30℃以下/20%RH以上70%RH以下
床面材質:アルミ板
〔2〕
前記二軸押出条件の吐出量が2.0kg/h以上3.0kg/h以下である、前記〔1〕に記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔3〕
前記二軸押出条件の吐出量が2.5kg/hである、前記〔1〕又は〔2〕に記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔4〕
前記金属石鹸の含有量が、0.01質量%以上0.3質量%以下である、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔5〕
前記金属石鹸の、アルキル鎖一本当たりの平均炭素数が16.0以上28.0以下である、前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔6〕
前記金属石鹸が、アルキル鎖一本当たりの炭素数が16及び18である脂肪酸(C16、C18)を含み、
質量比(C18/C16)が、1.5以上1000以下である、前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔7〕
前記金属石鹸のCaイオン濃度が、1.0mg/L以上200mg/L以下である、前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔8〕
前記金属石鹸が、炭素数が16又は18の脂肪酸を、0.1質量%以上2.0質量%以下含有する、前記〔1〕乃至〔7〕のいずれか一に記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔9〕
前記〔1〕乃至〔8〕のいずれか一に記載のポリエチレン樹脂組成物の成形体。
〔10〕
微多孔膜、高強度繊維、及び焼結体からなる群より選ばれるいずれかである、前記〔9〕に記載の成形体。
〔11〕
超高分子量ポリエチレンパウダーと金属石鹸を、含有するポリエチレン樹脂組成物であって、
粘度平均分子量(Mv)が100,000以上10,000,000以下であり、
前記金属石鹸のアルキル鎖一本当たりの平均炭素数が16.0以上28.0以下である、ポリエチレン樹脂組成物。
〔12〕
前記金属石鹸の含有量が、0.01質量%以上0.3質量%以下である、前記〔11〕に記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔13〕
前記金属石鹸が、アルキル鎖一本当たりの炭素数が16及び18である脂肪酸(C16、C18)を含み、
その質量比(C18/C16)が1.5以上1000以下である、前記〔11〕又は〔12〕に記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔14〕
前記金属石鹸のCaイオン濃度が1.0mg/L以上200mg/L以下である、前記〔11〕乃至〔13〕のいずれか一に記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔15〕
前記金属石鹸が、炭素数が16又は18の脂肪酸を、0.1質量%以上2.0質量%以下含有する、前記〔11〕乃至〔14〕のいずれか一に記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔16〕
前記〔11〕乃至〔15〕のいずれか一に記載のポリエチレン樹脂組成物の成形体。
〔17〕
微多孔膜、高強度繊維、及び焼結体からなる群より選ばれるいずれかである、前記〔16〕に記載の成形体。
本発明によれば、金属石鹸由来の目ヤニ量を抑制でき、かつ、金属石鹸が残渣として成形体中に残存する量を抑制でき、成形体の品質を向上でき、また、成形体であるセパレータの耐電圧を向上でき、これにより電池の安全性を向上させることができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
〔ポリエチレン樹脂組成物〕
(第1の実施形態のポリエチレン樹脂組成物)
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物は、超高分子量ポリエチレンパウダーと金属石鹸を含有するものである。また、本明細書中、ポリエチレン樹脂組成物を押出機等で加工した加工品についてもポリエチレン樹脂組成物として扱う。
第1の実施形態のポリエチレン樹脂組成物は、超高分子量ポリエチレンパウダーの粘度平均分子量(Mv)が100,000以上10,000,000以下であり、
下記の<二軸押出条件>で二軸押出した際のストランド堆積物の縦横比が、
縦/横=0.05以上5.0以下である。
<二軸押出条件>
ポリマー濃度:超高分子量ポリエチレンパウダーの粘度平均分子量(Mv)に応じて、
ポリマーの濃度を、下記式Iの値以上、下記式IIの値以下に調整する。
式I:Y=260.63X-0.484 Y:ポリマー濃度、X:分子量(Mv)
式II:Y=338.69X-0.626 Y:ポリマー濃度、X:分子量(Mv)
超高分子量ポリエチレンパウダー:5~50質量%
流動パラフィン:50~95質量%
押出機:異方向二軸押出機
押出温度:160℃
スクリュー回転数:150rpm
吐出口のオリフィス径:1.0mm
金属石鹸添加量:超高分子量ポリエチレンパウダーの質量に対して5%添加する。
吐出口から地面までの高さ:1.0m以上1.1m以下
吐出量:0.5kg/h以上5.0kg/h以下
押出時間:1時間
雰囲気温湿度:15℃以上30℃以下/20%RH以上70%RH以下
床面材質:アルミ板
(第1の実施形態のポリエチレン樹脂組成物)
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物は、超高分子量ポリエチレンパウダーと金属石鹸を含有するものである。また、本明細書中、ポリエチレン樹脂組成物を押出機等で加工した加工品についてもポリエチレン樹脂組成物として扱う。
第1の実施形態のポリエチレン樹脂組成物は、超高分子量ポリエチレンパウダーの粘度平均分子量(Mv)が100,000以上10,000,000以下であり、
下記の<二軸押出条件>で二軸押出した際のストランド堆積物の縦横比が、
縦/横=0.05以上5.0以下である。
<二軸押出条件>
ポリマー濃度:超高分子量ポリエチレンパウダーの粘度平均分子量(Mv)に応じて、
ポリマーの濃度を、下記式Iの値以上、下記式IIの値以下に調整する。
式I:Y=260.63X-0.484 Y:ポリマー濃度、X:分子量(Mv)
式II:Y=338.69X-0.626 Y:ポリマー濃度、X:分子量(Mv)
超高分子量ポリエチレンパウダー:5~50質量%
流動パラフィン:50~95質量%
押出機:異方向二軸押出機
押出温度:160℃
スクリュー回転数:150rpm
吐出口のオリフィス径:1.0mm
金属石鹸添加量:超高分子量ポリエチレンパウダーの質量に対して5%添加する。
吐出口から地面までの高さ:1.0m以上1.1m以下
吐出量:0.5kg/h以上5.0kg/h以下
押出時間:1時間
雰囲気温湿度:15℃以上30℃以下/20%RH以上70%RH以下
床面材質:アルミ板
(第2の実施形態のポリエチレン樹脂組成物)
第2の実施形態のポリエチレン樹脂組成物は、超高分子量ポリエチレンパウダーと金属石鹸を、含有するポリエチレン樹脂組成物であって、
粘度平均分子量(Mv)が100,000以上10,000,000以下であり、
前記金属石鹸がアルキル鎖を含み、前記アルキル鎖一本当たりの平均炭素数が16.0以上28.0以下である。
以下、第1の実施形態と第2の実施形態のポリエチレン樹脂組成物を併せて本実施形態のポリエチレン樹脂組成物と記載する場合がある。
第2の実施形態のポリエチレン樹脂組成物は、超高分子量ポリエチレンパウダーと金属石鹸を、含有するポリエチレン樹脂組成物であって、
粘度平均分子量(Mv)が100,000以上10,000,000以下であり、
前記金属石鹸がアルキル鎖を含み、前記アルキル鎖一本当たりの平均炭素数が16.0以上28.0以下である。
以下、第1の実施形態と第2の実施形態のポリエチレン樹脂組成物を併せて本実施形態のポリエチレン樹脂組成物と記載する場合がある。
上記構成を有することにより、金属石鹸由来の目ヤニ量を抑制でき、かつ、金属石鹸が残渣として成形体中に残存する量を抑制でき、成形体の品質を向上でき、また、成形体であるセパレータの耐電圧を向上でき、これにより、電池の安全性を向上させることができる、という効果を奏することができる。
(超高分子量ポリエチレンパウダー)
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物に用いる超高分子量ポリエチレンパウダー(以下、単に「パウダー」ともいう。)は、粘度平均分子量(Mv)が、成形性と最終物性の観点から10×104以上1000×104以下である。
また、超高分子量ポリエチレンパウダーは、粘度平均分子量(Mv)が、好ましくは10×104以上900×104以下であり、より好ましくは10×104以上800×104以下であり、さらに好ましくは10×104以上500×104以下である。
なお、粘度平均分子量(Mv)は、ポリマー溶液の比粘度から求めた極限粘度を粘度平均分子量に換算した値を指す。具体的には、後述の実施例に記載の方法により粘度平均分子量を求めることができる。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物に用いる超高分子量ポリエチレンパウダー(以下、単に「パウダー」ともいう。)は、粘度平均分子量(Mv)が、成形性と最終物性の観点から10×104以上1000×104以下である。
また、超高分子量ポリエチレンパウダーは、粘度平均分子量(Mv)が、好ましくは10×104以上900×104以下であり、より好ましくは10×104以上800×104以下であり、さらに好ましくは10×104以上500×104以下である。
なお、粘度平均分子量(Mv)は、ポリマー溶液の比粘度から求めた極限粘度を粘度平均分子量に換算した値を指す。具体的には、後述の実施例に記載の方法により粘度平均分子量を求めることができる。
超高分子量ポリエチレンパウダーは、エチレン単独重合体、エチレンと、エチレンと共重合可能なオレフィン(以下、コモノマーともいう)との共重合体(以下、エチレン重合体ともいう)からなるパウダーのいずれでもよい。
エチレンと共重合可能なオレフィンとしては、以下に限定されないが、例えば、炭素数3以上15以下のα-オレフィン、炭素数3以上15以下の環状オレフィン、式CH2=CHR1(ここで、R1は炭素数6~12のアリール基である。)で表される化合物、及び炭素数3以上15以下の直鎖状、分岐状又は環状のジエンからなる群より選ばれる少なくとも1種のコモノマーが挙げられる。
これらの中でも、好ましくは炭素数3以上15以下のα-オレフィンである。
前記α-オレフィンとしては、以下に限定されないが、例えば、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン等が挙げられる。
超高分子量ポリエチレンパウダーが、エチレンと共重合可能なオレフィンとしてコモノマーを含む場合、コモノマー単位の含有量は、好ましくは0.01モル%以上5モル%以下であり、より好ましくは0.01モル%以上2モル%以下であり、さらに好ましくは0.01モル%以上1モル%以下である。なお、コモノマー量は分解率抑制の観点から、5モル%以下にすることが好ましい。
エチレンと共重合可能なオレフィンとしては、以下に限定されないが、例えば、炭素数3以上15以下のα-オレフィン、炭素数3以上15以下の環状オレフィン、式CH2=CHR1(ここで、R1は炭素数6~12のアリール基である。)で表される化合物、及び炭素数3以上15以下の直鎖状、分岐状又は環状のジエンからなる群より選ばれる少なくとも1種のコモノマーが挙げられる。
これらの中でも、好ましくは炭素数3以上15以下のα-オレフィンである。
前記α-オレフィンとしては、以下に限定されないが、例えば、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン等が挙げられる。
超高分子量ポリエチレンパウダーが、エチレンと共重合可能なオレフィンとしてコモノマーを含む場合、コモノマー単位の含有量は、好ましくは0.01モル%以上5モル%以下であり、より好ましくは0.01モル%以上2モル%以下であり、さらに好ましくは0.01モル%以上1モル%以下である。なお、コモノマー量は分解率抑制の観点から、5モル%以下にすることが好ましい。
<粘度平均分子量>
超高分子量ポリエチレンパウダーの粘度平均分子量(Mv)は、上述したように、10×104以上1000×104以下であり、好ましくは10×104以上900×104以下であり、より好ましくは10×104以上800×104以下であり、さらに好ましくは10×104以上500×104以下ある。
超高分子量ポリエチレンパウダーは、粘度平均分子量(Mv)が10×104以上であることにより、強度がより向上し、また、粘度平均分子量(Mv)が1000×104以下であることにより、成形性がより向上する。
超高分子量ポリエチレンパウダーは、本実施形態のポリエチレン樹脂組成物をセパレータ等の成形体に用いる場合は、粘度平均分子量(Mv)が、好ましくは10×104以上300×104未満であり、より好ましくは10×104以上200×104以下である。また、超高分子量ポリエチレンパウダーは、本実施形態のポリエチレン樹脂組成物を高強度繊維等の成形体に用いる場合は、粘度平均分子量(Mv)が、好ましくは300×104以上1000×104以下であり、より好ましくは300×104以上800×104以下である。
超高分子量ポリエチレンパウダーの粘度平均分子量(Mv)は、上述したように、10×104以上1000×104以下であり、好ましくは10×104以上900×104以下であり、より好ましくは10×104以上800×104以下であり、さらに好ましくは10×104以上500×104以下ある。
超高分子量ポリエチレンパウダーは、粘度平均分子量(Mv)が10×104以上であることにより、強度がより向上し、また、粘度平均分子量(Mv)が1000×104以下であることにより、成形性がより向上する。
超高分子量ポリエチレンパウダーは、本実施形態のポリエチレン樹脂組成物をセパレータ等の成形体に用いる場合は、粘度平均分子量(Mv)が、好ましくは10×104以上300×104未満であり、より好ましくは10×104以上200×104以下である。また、超高分子量ポリエチレンパウダーは、本実施形態のポリエチレン樹脂組成物を高強度繊維等の成形体に用いる場合は、粘度平均分子量(Mv)が、好ましくは300×104以上1000×104以下であり、より好ましくは300×104以上800×104以下である。
高分子量ポリエチレンパウダーの粘度平均分子量(Mv)を、上記範囲に制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、エチレンを単独重合する際、又は、エチレンと共重合可能なオレフィンとを共重合する際の反応器の重合温度を調整する方法が挙げられる。
粘度平均分子量(Mv)は、重合温度を高温にするほど低くなる傾向にあり、重合温度を低温にするほど高くなる傾向にある。また、粘度平均分子量(Mv)を上記範囲にする他の方法としては、特に限定されないが、例えば、エチレンを単独重合する際、又は、エチレンと共重合可能なオレフィンとを共重合する際に使用する助触媒としての有機金属化合物種を適切に選択するする方法が挙げられる。
さらに、粘度平均分子量(Mv)を上記範囲にする他の方法としては、特に限定されないが、例えば、エチレンを単独重合する際、又は、エチレンと共重合可能なオレフィンとを共重合する際に連鎖移動剤を添加する方法が挙げられる。連鎖移動剤を添加することにより、同一重合温度でも生成する超高分子量ポリエチレンパウダーの粘度平均分子量が低くなる傾向にある。
粘度平均分子量(Mv)は、重合温度を高温にするほど低くなる傾向にあり、重合温度を低温にするほど高くなる傾向にある。また、粘度平均分子量(Mv)を上記範囲にする他の方法としては、特に限定されないが、例えば、エチレンを単独重合する際、又は、エチレンと共重合可能なオレフィンとを共重合する際に使用する助触媒としての有機金属化合物種を適切に選択するする方法が挙げられる。
さらに、粘度平均分子量(Mv)を上記範囲にする他の方法としては、特に限定されないが、例えば、エチレンを単独重合する際、又は、エチレンと共重合可能なオレフィンとを共重合する際に連鎖移動剤を添加する方法が挙げられる。連鎖移動剤を添加することにより、同一重合温度でも生成する超高分子量ポリエチレンパウダーの粘度平均分子量が低くなる傾向にある。
(金属石鹸)
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物は、金属石鹸を含有する。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物中における金属石鹸の含有量は、0.01質量%以上0.3質量%以下が好ましく、より好ましくは0.05質量%以上0.25質量%以下であり、さらに好ましくは0.1質量%以上0.20質量%以下である。
金属石鹸の含有量が0.01質量%以上であることにより、ポリエチレン樹脂組成物の流動性を向上させることができ、ホッパー詰まりを抑制することができる。また、ポリエチレン樹脂組成物を加工し、セパレータにする際、セパレータの滑り性を向上させることができる。これは、電池を組み立てる際、棒状の芯にセパレータと電極を巻く工程があり、セパレータの滑り性を向上させることで、巻き終わった後に芯をスムーズに抜くことができ、生産性が向上する。さらに、超高分子量ポリエチレンパウダー重合時に使用した触媒残差由来である塩素成分を中和する働きもあり、設備の腐食を防ぐことができる。
また、金属石鹸の含有量が0.3質量%以下であることにより、セパレータの破断強度を高くすることができる。これは、セパレータ中に残存する金属石鹸の含有量が多いと、セパレータ表面に残存する確率が高くなり、応力が集中することで破断する。金属石鹸の含有量を0.3質量%以下にすることにより、セパレータ表面に残存する確率が低くなり、破断を防ぐことができる。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物は、金属石鹸を含有する。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物中における金属石鹸の含有量は、0.01質量%以上0.3質量%以下が好ましく、より好ましくは0.05質量%以上0.25質量%以下であり、さらに好ましくは0.1質量%以上0.20質量%以下である。
金属石鹸の含有量が0.01質量%以上であることにより、ポリエチレン樹脂組成物の流動性を向上させることができ、ホッパー詰まりを抑制することができる。また、ポリエチレン樹脂組成物を加工し、セパレータにする際、セパレータの滑り性を向上させることができる。これは、電池を組み立てる際、棒状の芯にセパレータと電極を巻く工程があり、セパレータの滑り性を向上させることで、巻き終わった後に芯をスムーズに抜くことができ、生産性が向上する。さらに、超高分子量ポリエチレンパウダー重合時に使用した触媒残差由来である塩素成分を中和する働きもあり、設備の腐食を防ぐことができる。
また、金属石鹸の含有量が0.3質量%以下であることにより、セパレータの破断強度を高くすることができる。これは、セパレータ中に残存する金属石鹸の含有量が多いと、セパレータ表面に残存する確率が高くなり、応力が集中することで破断する。金属石鹸の含有量を0.3質量%以下にすることにより、セパレータ表面に残存する確率が低くなり、破断を防ぐことができる。
(二軸押出条件)
第1の実施形態のポリエチレン樹脂組成物は、特定条件により二軸押出をした際の、ストランド堆積物の縦横比が、縦/横=0.05以上5.0以下である。
ポリエチレン樹脂組成物を、二軸押出加工する際は、ポリエチレン樹脂組成物(超高分子量ポリエチレンパウダーと金属石鹸)と流動パラフィンとを混ぜたスラリーを使用する。
二軸押出を行う際の金属石鹸の量は、超高分子量ポリエチレンパウダーの質量に対して5%添加する。
また、ポリマー濃度は、超高分子量ポリエチレンパウダーの粘度平均分子量(Mv)に応じて調整し、粘度平均分子量(Mv)をX、ポリマー濃度をYとしたとき、ポリマー濃度Yが、下記(式I)の値以上、下記(式II)の値以下に調整すればよく、例えば、下記表1に示すポリマー濃度(PC)とする。
式I:Y=260.63X-0.484 Y:ポリマー濃度、X:分子量(Mv)
式II:Y=338.69X-0.626 Y:ポリマー濃度、X:分子量(Mv)
第1の実施形態のポリエチレン樹脂組成物は、特定条件により二軸押出をした際の、ストランド堆積物の縦横比が、縦/横=0.05以上5.0以下である。
ポリエチレン樹脂組成物を、二軸押出加工する際は、ポリエチレン樹脂組成物(超高分子量ポリエチレンパウダーと金属石鹸)と流動パラフィンとを混ぜたスラリーを使用する。
二軸押出を行う際の金属石鹸の量は、超高分子量ポリエチレンパウダーの質量に対して5%添加する。
また、ポリマー濃度は、超高分子量ポリエチレンパウダーの粘度平均分子量(Mv)に応じて調整し、粘度平均分子量(Mv)をX、ポリマー濃度をYとしたとき、ポリマー濃度Yが、下記(式I)の値以上、下記(式II)の値以下に調整すればよく、例えば、下記表1に示すポリマー濃度(PC)とする。
式I:Y=260.63X-0.484 Y:ポリマー濃度、X:分子量(Mv)
式II:Y=338.69X-0.626 Y:ポリマー濃度、X:分子量(Mv)
また、押出機は異方向二軸押出機を使用し、押出温度は160℃、スクリュー回転数は150rpm、吐出口のオリフィス径は1.0mm、吐出口から地面までの高さは1.0m以上1.1m以下、吐出量は0.5kg/h以上5.0kg/h以下、押出時間は1時間、雰囲気温湿度は15℃以上30℃以下/20%RH以上70%RH以下、床面材質はアルミ製に調整する。なお、吐出量は、ストランド堆積物の縦横比のバラつきを抑制する観点から、2.0kg/h以上3.0kg/h以下に調整することが好ましく、2.5kg/hに調整することがより好ましい。また、吐出量は、設定値に対して±0.5kg/hの変動が生じることがある。
(ストランド堆積物の縦横比)
上述した二軸押出条件の方法で押し出したストランド堆積物の縦横比は、地面に対して垂直方向に堆積した最大高さを縦、地面に対して水平方向に広がった最大広がり幅を横とし、縦の高さを横の広がり幅で割ることで算出する。
具体的には、図1に示すように、上述した二軸押出条件に従い、ポリマーのストランドを押し出し、地面に対して垂直方向に堆積させた状態とする。次にストランドを冷却し固化させる。ストランドが地面に対して垂直方向に堆積させた状態で、図1中、Hを算出する。次に、ストランド堆積物の底部断面を撮影し、その観察画像から、画像解析ソフトを用いてストランド堆積物の底部断面の円相当径を算出し、Wの長さとし、(H/W)を算出する。
このようにして算出したストランド堆積物の縦横比(縦/横)は、0.05以上5.0以下であり、好ましくは0.05以上4.0以下であり、より好ましくは0.07以上3.0以下であり、さらに好ましくは0.1以上2.0以下である。
ストランド堆積物の縦横比が0.05以上であることにより、セパレータの耐電圧を向上させることができる。
金属石鹸における脂肪酸と金属との結合は、イオン結合性をもっており、有機溶媒中でも導電性を有する。金属の種類や脂肪酸の炭化水素鎖長の長さに応じて、イオン結合性と共有結合性の強さが変化し、比較的共有結合性が強い金属石鹸では、導電性が低くなる。この傾向は双極子モーメント(極性)の結果にも現れており、導電性が低い金属石鹸は、極性も小さくなる傾向にある。このことから、金属石鹸の導電性の原因となっている電荷がミセルの中心部にあって、炭化水素鎖で取り囲まれており、ミセルの形状と大きさによって、電荷の移動性、つまり導電性が決まると考えられる。
金属石鹸の極性が小さいと、ポリエチレン組成物の導電性が低くなり、帯電しやすくなる。これによりストランド堆積物は横に広がり、(縦/横)は小さくなる傾向にある。
一方、金属石鹸の極性が大きいと、超高分子量ポリエチレン組成物の導電性が高くなり、帯電しにくくなる。これによりストランド堆積物は縦に積もるようになり、(縦/横)は、大きくなる傾向にある。
以上から、本実施形態のポリエチレン樹脂組成物のストランド堆積物の縦横比の下限値である0.05とは、金属石鹸の導電性が低い、つまり、超高分子量ポリエチレンパウダーとの極性差が小さいことを現しており、本実施形態のポリエチレン樹脂組成物中での金属石鹸の分散性が良好になることで、ポリエチレン樹脂組成物としても導電性が低くなり、その結果、縦横比(縦/横)の下限値が0.05となる。これにより、ショートし難いセパレータを得ることができる。
また、ストランド堆積物の縦横比の上限値が5.0であることにより、押出機ダイスリップに付着する金属石鹸由来の目ヤニ量を抑制することができる。これは、金属石鹸の導電性が低い(金属石鹸の極性が小さい)、つまり、金属石鹸と流動パラフィンとの相溶性が良いことで、流動パラフィン中から金属石鹸がブリードアウトし難くなり、その結果、流動パラフィンと共に金属石鹸が押出機ダイスリップに広がり付着するのを抑制できるためと考えられる。
さらに、セパレータ中に残存する金属石鹸量を、セパレータの滑り性を保つことができる最小量に調整することで、セパレータの品質を向上させることができる。これは、金属石鹸と流動パラフィンとの相溶性が良いことで、製膜後に膜中から流動パラフィンを有機溶剤(塩化メチレン、ヘキサン等)で抽出する際、流動パラフィンと共に金属石鹸も一緒に抽出されることで、過剰量膜中に残存することを防ぐことができるためと考えられる。
上述した二軸押出条件の方法で押し出したストランド堆積物の縦横比は、地面に対して垂直方向に堆積した最大高さを縦、地面に対して水平方向に広がった最大広がり幅を横とし、縦の高さを横の広がり幅で割ることで算出する。
具体的には、図1に示すように、上述した二軸押出条件に従い、ポリマーのストランドを押し出し、地面に対して垂直方向に堆積させた状態とする。次にストランドを冷却し固化させる。ストランドが地面に対して垂直方向に堆積させた状態で、図1中、Hを算出する。次に、ストランド堆積物の底部断面を撮影し、その観察画像から、画像解析ソフトを用いてストランド堆積物の底部断面の円相当径を算出し、Wの長さとし、(H/W)を算出する。
このようにして算出したストランド堆積物の縦横比(縦/横)は、0.05以上5.0以下であり、好ましくは0.05以上4.0以下であり、より好ましくは0.07以上3.0以下であり、さらに好ましくは0.1以上2.0以下である。
ストランド堆積物の縦横比が0.05以上であることにより、セパレータの耐電圧を向上させることができる。
金属石鹸における脂肪酸と金属との結合は、イオン結合性をもっており、有機溶媒中でも導電性を有する。金属の種類や脂肪酸の炭化水素鎖長の長さに応じて、イオン結合性と共有結合性の強さが変化し、比較的共有結合性が強い金属石鹸では、導電性が低くなる。この傾向は双極子モーメント(極性)の結果にも現れており、導電性が低い金属石鹸は、極性も小さくなる傾向にある。このことから、金属石鹸の導電性の原因となっている電荷がミセルの中心部にあって、炭化水素鎖で取り囲まれており、ミセルの形状と大きさによって、電荷の移動性、つまり導電性が決まると考えられる。
金属石鹸の極性が小さいと、ポリエチレン組成物の導電性が低くなり、帯電しやすくなる。これによりストランド堆積物は横に広がり、(縦/横)は小さくなる傾向にある。
一方、金属石鹸の極性が大きいと、超高分子量ポリエチレン組成物の導電性が高くなり、帯電しにくくなる。これによりストランド堆積物は縦に積もるようになり、(縦/横)は、大きくなる傾向にある。
以上から、本実施形態のポリエチレン樹脂組成物のストランド堆積物の縦横比の下限値である0.05とは、金属石鹸の導電性が低い、つまり、超高分子量ポリエチレンパウダーとの極性差が小さいことを現しており、本実施形態のポリエチレン樹脂組成物中での金属石鹸の分散性が良好になることで、ポリエチレン樹脂組成物としても導電性が低くなり、その結果、縦横比(縦/横)の下限値が0.05となる。これにより、ショートし難いセパレータを得ることができる。
また、ストランド堆積物の縦横比の上限値が5.0であることにより、押出機ダイスリップに付着する金属石鹸由来の目ヤニ量を抑制することができる。これは、金属石鹸の導電性が低い(金属石鹸の極性が小さい)、つまり、金属石鹸と流動パラフィンとの相溶性が良いことで、流動パラフィン中から金属石鹸がブリードアウトし難くなり、その結果、流動パラフィンと共に金属石鹸が押出機ダイスリップに広がり付着するのを抑制できるためと考えられる。
さらに、セパレータ中に残存する金属石鹸量を、セパレータの滑り性を保つことができる最小量に調整することで、セパレータの品質を向上させることができる。これは、金属石鹸と流動パラフィンとの相溶性が良いことで、製膜後に膜中から流動パラフィンを有機溶剤(塩化メチレン、ヘキサン等)で抽出する際、流動パラフィンと共に金属石鹸も一緒に抽出されることで、過剰量膜中に残存することを防ぐことができるためと考えられる。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物において、二軸押出した際のストランド堆積物の縦横比を0.05以上5.0以下に制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、導電性が低い(流動パラフィンとの相溶性が良い)金属石鹸を添加する方法が挙げられる。金属石鹸の導電性を低くする方法としては、金属種を調整する方法(Ca>Mg>Znの順に双極子モーメントは小さくなる)、又は、脂肪酸の炭化水素鎖長を長くする方法が考えられる。
具体的には、下記の方法が考えられる。
一つ目は、金属石鹸にメタノールを追添した後、乾燥させるという方法である。これは、乾式法又は湿式法等によって製造した金属石鹸に、アルコール(メタノール等)を吹きかけて攪拌した後、金属石鹸の融点マイナス70℃~融点マイナス20℃の温度範囲で乾燥させる方法である。このように調整することで、金属石鹸中の水分がアルコールと共に共沸し、金属石鹸内の水分及び水和物が蒸発することで、結晶構造が密になって、流動パラフィン中で分散しにくくなり、押出時にミセルの状態で存在する金属石鹸の量が増えるため、導電性が下がる。
二つ目は、金属石鹸の反応後に急冷させるという方法である。これは、乾式法又は湿式法等によって金属石鹸を製造する際、反応工程終了後に、高温から室温まで一気に急冷させる方法である。冷却速度は0.5℃/min以上5.0℃/min以下に調整する必要がある。その結果、結晶構造が密になって流動パラフィン中で分散しにくくなり、押出時にミセルの状態で存在する金属石鹸の量が増えるため、導電性が下がる。
一つ目は、金属石鹸にメタノールを追添した後、乾燥させるという方法である。これは、乾式法又は湿式法等によって製造した金属石鹸に、アルコール(メタノール等)を吹きかけて攪拌した後、金属石鹸の融点マイナス70℃~融点マイナス20℃の温度範囲で乾燥させる方法である。このように調整することで、金属石鹸中の水分がアルコールと共に共沸し、金属石鹸内の水分及び水和物が蒸発することで、結晶構造が密になって、流動パラフィン中で分散しにくくなり、押出時にミセルの状態で存在する金属石鹸の量が増えるため、導電性が下がる。
二つ目は、金属石鹸の反応後に急冷させるという方法である。これは、乾式法又は湿式法等によって金属石鹸を製造する際、反応工程終了後に、高温から室温まで一気に急冷させる方法である。冷却速度は0.5℃/min以上5.0℃/min以下に調整する必要がある。その結果、結晶構造が密になって流動パラフィン中で分散しにくくなり、押出時にミセルの状態で存在する金属石鹸の量が増えるため、導電性が下がる。
(金属石鹸のアルキル鎖一本当たりの平均炭素数)
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物に含まれる金属石鹸は、第1の実施形態においては、アルキル鎖一本当たりの平均炭素数が16.0以上28.0以下であることが好ましく、より好ましくは16.0以上22.0以下であり、さらに好ましくは16.0以上20.0以下である。
第2の実施形態においては、ポリエチレン樹脂組成物に含まれる金属石鹸は、アルキル鎖一本当たりの平均炭素数が16.0以上28.0以下であり、好ましくは16.0以上22.0以下であり、より好ましくは16.0以上20.0以下である。
金属石鹸のアルキル鎖一本当たりの平均炭素数が16.0以上であることにより、ポリエチレン樹脂組成物の製造工程において、ポリマーと金属石鹸とを流動パラフィンの存在下で混練する際、金属石鹸と流動パラフィンとの相溶性が向上し、流動パラフィン中から金属石鹸がブリードアウトし難くなり、その結果、流動パラフィンと共に金属石鹸が目ヤニとして押出機ダイスリップに付着することを抑制することができる。さらに、金属石鹸の導電性が低いことで、ショートし難くなり、セパレータの耐電圧を向上させることができる。
また、金属石鹸のアルキル鎖一本当たりの平均炭素数が28.0以下であることにより、本実施形態のポリエチレン樹脂組成物を用いた膜の滑り性を保ちつつ、膜中に残存する金属石鹸量を最小量に抑えることができ、その結果、膜の品質を向上させることができる。
金属石鹸のアルキル鎖一本当たりの平均炭素数は、後述するポリエチレン樹脂組成物の製造方法に示すように、金属石鹸の製造工程において、使用する脂肪酸を適切に選択することにより、上記数値範囲とすることができる。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物に含まれる金属石鹸は、第1の実施形態においては、アルキル鎖一本当たりの平均炭素数が16.0以上28.0以下であることが好ましく、より好ましくは16.0以上22.0以下であり、さらに好ましくは16.0以上20.0以下である。
第2の実施形態においては、ポリエチレン樹脂組成物に含まれる金属石鹸は、アルキル鎖一本当たりの平均炭素数が16.0以上28.0以下であり、好ましくは16.0以上22.0以下であり、より好ましくは16.0以上20.0以下である。
金属石鹸のアルキル鎖一本当たりの平均炭素数が16.0以上であることにより、ポリエチレン樹脂組成物の製造工程において、ポリマーと金属石鹸とを流動パラフィンの存在下で混練する際、金属石鹸と流動パラフィンとの相溶性が向上し、流動パラフィン中から金属石鹸がブリードアウトし難くなり、その結果、流動パラフィンと共に金属石鹸が目ヤニとして押出機ダイスリップに付着することを抑制することができる。さらに、金属石鹸の導電性が低いことで、ショートし難くなり、セパレータの耐電圧を向上させることができる。
また、金属石鹸のアルキル鎖一本当たりの平均炭素数が28.0以下であることにより、本実施形態のポリエチレン樹脂組成物を用いた膜の滑り性を保ちつつ、膜中に残存する金属石鹸量を最小量に抑えることができ、その結果、膜の品質を向上させることができる。
金属石鹸のアルキル鎖一本当たりの平均炭素数は、後述するポリエチレン樹脂組成物の製造方法に示すように、金属石鹸の製造工程において、使用する脂肪酸を適切に選択することにより、上記数値範囲とすることができる。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物に含まれる金属石鹸のアルキル鎖一本当たりの平均炭素数は、以下の方法によって測定することができる。
まず、ポリエチレン樹脂組成物から金属石鹸を抽出する。
抽出方法としては2つの方法が挙げられる。一つ目はクロロホルム/プロピレングリコール(質量比:9/1)の混合溶媒を使用する方法である。この混合溶媒中にポリエチレン樹脂組成物を投入し、室温で30分~1時間攪拌した後、吸引ろ過する。得られた溶媒中にメタノールを投入し再沈殿させ、再度吸引ろ過することで金属石鹸を得る。
なお、メタノールによる再沈殿以外にも、エバポレーターを用いた減圧・加熱下で沸点を制御して溶媒を取り除くことで、金属石鹸を得る方法もある。
二つ目は、トルエン溶媒を使用する方法である。95℃以上100以下に調整したトルエン溶媒中にポリエチレン樹脂組成物を投入し、30分間~1時間攪拌した後、吸引ろ過する。得られた溶媒中にメタノールを投入し再沈殿させ、再度吸引ろ過することで金属石鹸を得る。
なお、メタノールによる再沈殿以外にも、エバポレーターを用いた減圧・加熱下で沸点を制御して溶媒を取り除くことで、金属石鹸を得る方法もある。
まず、ポリエチレン樹脂組成物から金属石鹸を抽出する。
抽出方法としては2つの方法が挙げられる。一つ目はクロロホルム/プロピレングリコール(質量比:9/1)の混合溶媒を使用する方法である。この混合溶媒中にポリエチレン樹脂組成物を投入し、室温で30分~1時間攪拌した後、吸引ろ過する。得られた溶媒中にメタノールを投入し再沈殿させ、再度吸引ろ過することで金属石鹸を得る。
なお、メタノールによる再沈殿以外にも、エバポレーターを用いた減圧・加熱下で沸点を制御して溶媒を取り除くことで、金属石鹸を得る方法もある。
二つ目は、トルエン溶媒を使用する方法である。95℃以上100以下に調整したトルエン溶媒中にポリエチレン樹脂組成物を投入し、30分間~1時間攪拌した後、吸引ろ過する。得られた溶媒中にメタノールを投入し再沈殿させ、再度吸引ろ過することで金属石鹸を得る。
なお、メタノールによる再沈殿以外にも、エバポレーターを用いた減圧・加熱下で沸点を制御して溶媒を取り除くことで、金属石鹸を得る方法もある。
次に、抽出した金属石鹸をガスクロマトグラフィー(GC)を用いて分析することで、各炭化水素鎖長の割合を算出し、金属石鹸のアルキル鎖一本当たりの平均炭素数を求めることができる。
金属石鹸100mgを正確に秤量し、還流冷却器に付けた小さなコニカルフラスコにとる。三フッ化ホウ素・メタノール試薬5.0mLを加えて振り混ぜ、溶けるまで約10分間加熱する。冷却器からヘプタン4.0mLを加え、約10分間加熱する。冷却後、飽和塩化ナトリウム溶液20mLを加えて振り混ぜ、放置して液を二層に分離させる。分離したヘプタン層を、あらかじめヘプタンで洗った約0.1gの無水硫酸ナトリウムを通して別のフラスコにとる。この液を、1.0mLを10mLのメスフラスコにとり、ヘプタンを加えて正確に10mLとし、振り混ぜ、試料溶液とする。
試料溶液1μLにつき、次の条件でガスクロマトグラフ法により試験を行う。試料溶液のステアリン酸メチルのピーク面積A及び得られたすべての脂肪酸エステルのピーク面積B(検出した全てのピーク面積)を測定し、金属石鹸の脂肪酸分画中のステアリン酸の比率(%)を次式により計算する。
ステアリン酸の比率(%)=A/B×100
同様に、金属石鹸中に含まれるパルミチン酸の比率(%)を計算する。
ステアリン酸メチルのピーク面積及びステアリン酸メチルとパルミチン酸メチルの合計ピーク面積は、クロマトグラムで得られた全ての脂肪酸エステルのピークの合計面積の、それぞれ40%以上及び90%以上である。なお、ステアリン酸は、ステアリン酸とパルミチン酸の他に若干の高級脂肪酸を含むので、ステアリン酸とパルミチン酸の含有率をガスクロマトグラフ法で試験すると同時に、他の高級脂肪酸の存在量を10%以下に規定している。
操作条件
検出器:約260℃に保持した水素炎イオン化検出器
試料導入部:約220℃に保持したスプリットレス注入部
カラム:内径約0.32mm、長さ約30mの石英製カラムの内面に厚さ0.5μmでガスクロマトグラフ用ポリエチレングリコール15000-ジエポキシドを被覆したもの。
カラム温度:試料注入後約2分間70℃に保ち、その後、毎分5℃の速度で240℃まで上昇させた後、この温度を5分間維持する。
キャリヤーガス:ヘリウム
流量:毎秒約50cm程度の一定流量
カラムの選定:デシケーター(シリカゲル)で4時間乾燥したガスクロマトグラフ用ステアリン酸及びガスクロマトグラフ用パルミチン酸それぞれ約50mgを正確に量り、還流冷却器を付けた小さなコニカルフラスコにとる。三フッ化ホウ素・メタノール試液5.0mlを加えて振り混ぜ、以下、試料溶液と同様に操作し、装置調整用溶液とする。この液1μmにつき、上記の操作条件で操作する時、ステアリン酸メチルに対するパルミチン酸メチルの相対保持時間比は約0.86で、その分離度が5.0以上のものを用いる。
試験の再現性:上記の条件で装置調整用溶液につき、試験を6回繰り返す時、パルミチン酸メチル及びステアリン酸メチルのピーク面積の相対標準偏差は6.0%以下である。また、この繰り返しで得られるステアリン酸メチルのピークに対するパルミチン酸メチルのピーク面積比の相対標準偏差は1.0%以下である。
金属石鹸100mgを正確に秤量し、還流冷却器に付けた小さなコニカルフラスコにとる。三フッ化ホウ素・メタノール試薬5.0mLを加えて振り混ぜ、溶けるまで約10分間加熱する。冷却器からヘプタン4.0mLを加え、約10分間加熱する。冷却後、飽和塩化ナトリウム溶液20mLを加えて振り混ぜ、放置して液を二層に分離させる。分離したヘプタン層を、あらかじめヘプタンで洗った約0.1gの無水硫酸ナトリウムを通して別のフラスコにとる。この液を、1.0mLを10mLのメスフラスコにとり、ヘプタンを加えて正確に10mLとし、振り混ぜ、試料溶液とする。
試料溶液1μLにつき、次の条件でガスクロマトグラフ法により試験を行う。試料溶液のステアリン酸メチルのピーク面積A及び得られたすべての脂肪酸エステルのピーク面積B(検出した全てのピーク面積)を測定し、金属石鹸の脂肪酸分画中のステアリン酸の比率(%)を次式により計算する。
ステアリン酸の比率(%)=A/B×100
同様に、金属石鹸中に含まれるパルミチン酸の比率(%)を計算する。
ステアリン酸メチルのピーク面積及びステアリン酸メチルとパルミチン酸メチルの合計ピーク面積は、クロマトグラムで得られた全ての脂肪酸エステルのピークの合計面積の、それぞれ40%以上及び90%以上である。なお、ステアリン酸は、ステアリン酸とパルミチン酸の他に若干の高級脂肪酸を含むので、ステアリン酸とパルミチン酸の含有率をガスクロマトグラフ法で試験すると同時に、他の高級脂肪酸の存在量を10%以下に規定している。
操作条件
検出器:約260℃に保持した水素炎イオン化検出器
試料導入部:約220℃に保持したスプリットレス注入部
カラム:内径約0.32mm、長さ約30mの石英製カラムの内面に厚さ0.5μmでガスクロマトグラフ用ポリエチレングリコール15000-ジエポキシドを被覆したもの。
カラム温度:試料注入後約2分間70℃に保ち、その後、毎分5℃の速度で240℃まで上昇させた後、この温度を5分間維持する。
キャリヤーガス:ヘリウム
流量:毎秒約50cm程度の一定流量
カラムの選定:デシケーター(シリカゲル)で4時間乾燥したガスクロマトグラフ用ステアリン酸及びガスクロマトグラフ用パルミチン酸それぞれ約50mgを正確に量り、還流冷却器を付けた小さなコニカルフラスコにとる。三フッ化ホウ素・メタノール試液5.0mlを加えて振り混ぜ、以下、試料溶液と同様に操作し、装置調整用溶液とする。この液1μmにつき、上記の操作条件で操作する時、ステアリン酸メチルに対するパルミチン酸メチルの相対保持時間比は約0.86で、その分離度が5.0以上のものを用いる。
試験の再現性:上記の条件で装置調整用溶液につき、試験を6回繰り返す時、パルミチン酸メチル及びステアリン酸メチルのピーク面積の相対標準偏差は6.0%以下である。また、この繰り返しで得られるステアリン酸メチルのピークに対するパルミチン酸メチルのピーク面積比の相対標準偏差は1.0%以下である。
(金属石鹸のC18/C16比率)
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物に用いる金属石鹸は、アルキル鎖一本当たりの炭素数が16である脂肪酸(C16)、前記炭素数が18である脂肪酸(C18)を含むことが好ましく、それらの質量比率C18/C16は、1.5以上1000以下が好ましく、より好ましくは1.5以上900以下であり、さらに好ましくは2.0以上800以下である。
金属石鹸の質量比率C18/C16が1.5以上であることにより、金属石鹸と流動パラフィンとの相溶性が向上し、流動パラフィン中から金属石鹸がブリードアウトし難くなり、その結果、流動パラフィンと共に金属石鹸が押出機ダイスリップに付着することを抑制することができる。さらに、金属石鹸の導電性が低くなり(帯電し易い)、電圧印加時のセパレータの耐久性を向上させることができる。
また、金属石鹸の質量比率C18/C16が1000以下であることにより、本実施形態のポリエチレン樹脂組成物を用いた膜の滑り性を保ちつつ、膜中に残存する金属石鹸量を最小量に抑えることができ、その結果、膜の品質を向上させることができる。
なお、金属石鹸のC18/C16比率は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
金属石鹸のC18/C16は、後述するポリエチレン樹脂組成物の製造方法に示すように、金属石鹸の製造工程において、使用する脂肪酸を適切に選択することにより、上記数値範囲とすることができる。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物に用いる金属石鹸は、アルキル鎖一本当たりの炭素数が16である脂肪酸(C16)、前記炭素数が18である脂肪酸(C18)を含むことが好ましく、それらの質量比率C18/C16は、1.5以上1000以下が好ましく、より好ましくは1.5以上900以下であり、さらに好ましくは2.0以上800以下である。
金属石鹸の質量比率C18/C16が1.5以上であることにより、金属石鹸と流動パラフィンとの相溶性が向上し、流動パラフィン中から金属石鹸がブリードアウトし難くなり、その結果、流動パラフィンと共に金属石鹸が押出機ダイスリップに付着することを抑制することができる。さらに、金属石鹸の導電性が低くなり(帯電し易い)、電圧印加時のセパレータの耐久性を向上させることができる。
また、金属石鹸の質量比率C18/C16が1000以下であることにより、本実施形態のポリエチレン樹脂組成物を用いた膜の滑り性を保ちつつ、膜中に残存する金属石鹸量を最小量に抑えることができ、その結果、膜の品質を向上させることができる。
なお、金属石鹸のC18/C16比率は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
金属石鹸のC18/C16は、後述するポリエチレン樹脂組成物の製造方法に示すように、金属石鹸の製造工程において、使用する脂肪酸を適切に選択することにより、上記数値範囲とすることができる。
(金属石鹸のCaイオン濃度)
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物に含まれる金属石鹸のCaイオン濃度は、1.0mg/L以上200mg/L以下であることが好ましく、より好ましくは1.0mg/L以上180mg/L以下であり、さらに好ましくは1.0mg/L以上100mg/L以下であり、さらにより好ましくは1.0mg/L以上50mg/L以下である。
金属石鹸のCaイオン濃度が、1.0mg/L以上であることで、本実施形態のポリエチレン樹脂組成物の原料である超高分子量ポリエチレンパウダー中に含まれる触媒残渣(塩素)を捕捉し、塩素と水分が反応して塩酸になることを防ぐことで、押出機系内で錆が発生する(腐食する)ことを防止することができる。
また、金属石鹸のCaイオン濃度が、200mg/L以下であることで、Caイオンと水分が反応して水酸化カルシムとなり、この水酸化カルシムによってセパレータが目詰まりを起こすことを防ぐことができる。その結果、電池にした際の充放電効率が悪くなることを防ぐことができる。
なお、金属石鹸のCaイオン濃度は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
金属石鹸のCaイオン濃度は、脂肪酸と金属を反応させる際のそれぞれの仕込み量、及び純水を用いた金属石鹸の洗浄工程(時間/回数)を調整することにより、上記数値範囲に制御することができる。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物に含まれる金属石鹸のCaイオン濃度は、1.0mg/L以上200mg/L以下であることが好ましく、より好ましくは1.0mg/L以上180mg/L以下であり、さらに好ましくは1.0mg/L以上100mg/L以下であり、さらにより好ましくは1.0mg/L以上50mg/L以下である。
金属石鹸のCaイオン濃度が、1.0mg/L以上であることで、本実施形態のポリエチレン樹脂組成物の原料である超高分子量ポリエチレンパウダー中に含まれる触媒残渣(塩素)を捕捉し、塩素と水分が反応して塩酸になることを防ぐことで、押出機系内で錆が発生する(腐食する)ことを防止することができる。
また、金属石鹸のCaイオン濃度が、200mg/L以下であることで、Caイオンと水分が反応して水酸化カルシムとなり、この水酸化カルシムによってセパレータが目詰まりを起こすことを防ぐことができる。その結果、電池にした際の充放電効率が悪くなることを防ぐことができる。
なお、金属石鹸のCaイオン濃度は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
金属石鹸のCaイオン濃度は、脂肪酸と金属を反応させる際のそれぞれの仕込み量、及び純水を用いた金属石鹸の洗浄工程(時間/回数)を調整することにより、上記数値範囲に制御することができる。
(金属石鹸中の脂肪酸量)
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物に含まれる金属石鹸中の、炭素数が16又は18の脂肪酸の含有量は、0.1質量%以上2.0質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以上1.9質量%以下であり、さらに好ましくは0.1質量%以上1.8質量%以下であり、さらにより好ましくは0.1質量%以上1.5質量%以下である。
金属石鹸中の炭素数が16又は18の脂肪酸量が0.1質量%以上であることにより、流動パラフィン中で金属石鹸が分散し易くなり、本実施形態のポリエチレン樹脂組成物を用いた膜の滑り性等が向上する傾向にある。
また、金属石鹸中の炭素数が16又は18の脂肪酸の含有量が2.0質量%以下であることにより、製膜時に一部の脂肪酸が熱分解して押出機ダイスリップに焼き付いたりすることや、スクリーンメッシュに固着することを防ぐことができる。その結果、目ヤニ発生量を抑制し、セパレータに筋が入ったりすることや、膜欠点が増加することを防ぐことができる。
なお、金属石鹸中の炭素数が16又は18の脂肪酸量は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物に含まれる金属石鹸中の、炭素数が16又は18の脂肪酸の含有量は、0.1質量%以上2.0質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以上1.9質量%以下であり、さらに好ましくは0.1質量%以上1.8質量%以下であり、さらにより好ましくは0.1質量%以上1.5質量%以下である。
金属石鹸中の炭素数が16又は18の脂肪酸量が0.1質量%以上であることにより、流動パラフィン中で金属石鹸が分散し易くなり、本実施形態のポリエチレン樹脂組成物を用いた膜の滑り性等が向上する傾向にある。
また、金属石鹸中の炭素数が16又は18の脂肪酸の含有量が2.0質量%以下であることにより、製膜時に一部の脂肪酸が熱分解して押出機ダイスリップに焼き付いたりすることや、スクリーンメッシュに固着することを防ぐことができる。その結果、目ヤニ発生量を抑制し、セパレータに筋が入ったりすることや、膜欠点が増加することを防ぐことができる。
なお、金属石鹸中の炭素数が16又は18の脂肪酸量は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
(ポリエチレン樹脂組成物の結晶化度)
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物の結晶化度は、好ましくは70%以上80%以下であり、より好ましくは70%以上78%以下であり、さらに好ましくは70%以上75%以下である。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物は、結晶化度が70%以上であることにより、高強度な成形体を得ることができる傾向にある。
また、本実施形態の超高分子量ポリエチレンパウダーは、結晶化度が80%以下であることにより、成形加工し易く、加工性に優れる傾向にある。
本実施形態において、ポリエチレン樹脂組成物の結晶化度を前記範囲に制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、乾燥温度と乾燥時間とを調整する方法が考えられる。本実施形態において、結晶化度は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物の結晶化度は、好ましくは70%以上80%以下であり、より好ましくは70%以上78%以下であり、さらに好ましくは70%以上75%以下である。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物は、結晶化度が70%以上であることにより、高強度な成形体を得ることができる傾向にある。
また、本実施形態の超高分子量ポリエチレンパウダーは、結晶化度が80%以下であることにより、成形加工し易く、加工性に優れる傾向にある。
本実施形態において、ポリエチレン樹脂組成物の結晶化度を前記範囲に制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、乾燥温度と乾燥時間とを調整する方法が考えられる。本実施形態において、結晶化度は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
(ポリエチレン樹脂組成物中のチタン含有量及びアルミニウム含有量)
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物は、チタン(Ti)含有量が、好ましくは0.1ppm以上5.0ppm以下であり、より好ましくは0.5ppm以上5.0ppm以下であり、さらに好ましくは1.0ppm以上4.0ppm以下である。
また、本実施形態のポリエチレン樹脂組成物は、アルミニウム(Al)含有量が、好ましくは0.1ppm以上5.0ppm以下であり、より好ましくは0.1ppm以上4.0ppm以下であり、さらに好ましくは0.1ppm以上3.5ppm以下である。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物は、チタン含有量及びアルミニウム含有量をこのような範囲に調整することで、熱安定性により優れ、得られる成形体の長期安定性がより優れる傾向にある。また、加工時に加える酸化防止剤や熱安定剤との反応を抑制でき、有機金属錯体が生成されることによる成形体の着色を抑制できる傾向にある。
さらに、本実施形態のポリエチレン樹脂組成物は、チタン含有量及びアルミニウム含有量を前記範囲に調整することで、繊維にした際は糸径が均一な糸を得ることができ、また、膜にした際は膜厚が均一な膜を得ることができる。
一般的には、ポリエチレン樹脂組成物中に残存する触媒残渣由来の金属量が多いことで、成形体の厚みムラの原因になる傾向が強い。
なお、ポリエチレン樹脂組成物中のTi、Alの含有量は、単位触媒あたりのエチレン単独重合体又はエチレン系重合体の生産性により制御することができる。
エチレン単独重合体又はエチレン系重合体の生産性は、製造する際の反応器の重合温度や重合圧力やスラリー濃度により制御することができる。すなわち、本実施形態に用いるエチレン単独重合体又はエチレン系重合体の生産性を高くするには、特に限定されないが、例えば、重合温度を高くする、重合圧力を高くする、及び/又はスラリー濃度を高くすることが挙げられる。他の方法としては、エチレン単独重合体又はエチレン系重合体を重合する際の、助触媒成分の種類の選択や、助触媒成分の濃度を低くすることや、エチレン単独重合体又はエチレン系重合体を酸やアルカリで洗浄することでもアルミニウム量を制御することが可能である。
なお、本実施形態において、Ti、Alの含有量の測定は後述の実施例に記載の方法により行うことができる。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物は、チタン(Ti)含有量が、好ましくは0.1ppm以上5.0ppm以下であり、より好ましくは0.5ppm以上5.0ppm以下であり、さらに好ましくは1.0ppm以上4.0ppm以下である。
また、本実施形態のポリエチレン樹脂組成物は、アルミニウム(Al)含有量が、好ましくは0.1ppm以上5.0ppm以下であり、より好ましくは0.1ppm以上4.0ppm以下であり、さらに好ましくは0.1ppm以上3.5ppm以下である。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物は、チタン含有量及びアルミニウム含有量をこのような範囲に調整することで、熱安定性により優れ、得られる成形体の長期安定性がより優れる傾向にある。また、加工時に加える酸化防止剤や熱安定剤との反応を抑制でき、有機金属錯体が生成されることによる成形体の着色を抑制できる傾向にある。
さらに、本実施形態のポリエチレン樹脂組成物は、チタン含有量及びアルミニウム含有量を前記範囲に調整することで、繊維にした際は糸径が均一な糸を得ることができ、また、膜にした際は膜厚が均一な膜を得ることができる。
一般的には、ポリエチレン樹脂組成物中に残存する触媒残渣由来の金属量が多いことで、成形体の厚みムラの原因になる傾向が強い。
なお、ポリエチレン樹脂組成物中のTi、Alの含有量は、単位触媒あたりのエチレン単独重合体又はエチレン系重合体の生産性により制御することができる。
エチレン単独重合体又はエチレン系重合体の生産性は、製造する際の反応器の重合温度や重合圧力やスラリー濃度により制御することができる。すなわち、本実施形態に用いるエチレン単独重合体又はエチレン系重合体の生産性を高くするには、特に限定されないが、例えば、重合温度を高くする、重合圧力を高くする、及び/又はスラリー濃度を高くすることが挙げられる。他の方法としては、エチレン単独重合体又はエチレン系重合体を重合する際の、助触媒成分の種類の選択や、助触媒成分の濃度を低くすることや、エチレン単独重合体又はエチレン系重合体を酸やアルカリで洗浄することでもアルミニウム量を制御することが可能である。
なお、本実施形態において、Ti、Alの含有量の測定は後述の実施例に記載の方法により行うことができる。
〔ポリエチレン樹脂組成物の製造方法〕
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物は、超高分子量ポリエチレンパウダーを製造し、流動パラフィンの存在下で金属石鹸を添加し、混合することにより得られる。
混合方法としては、例えば、(株)東洋精機社製 ラボプラストミル(本体型式:4C150)用異方向二軸押出機(本体型式:2D25S)により混練する方法が挙げられる。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物は、超高分子量ポリエチレンパウダーを製造し、流動パラフィンの存在下で金属石鹸を添加し、混合することにより得られる。
混合方法としては、例えば、(株)東洋精機社製 ラボプラストミル(本体型式:4C150)用異方向二軸押出機(本体型式:2D25S)により混練する方法が挙げられる。
(超高分子量ポリエチレンパウダーの製造方法)
<触媒成分>
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物に用いる超高分子量ポリエチレンパウダーの製造に使用される触媒成分としては特に限定されないが、例えば、一般的なチーグラー・ナッタ触媒が挙げられる。
[チーグラー・ナッタ触媒]
チーグラー・ナッタ触媒としては、固体触媒成分[A]及び有機金属化合物成分[B]からなる触媒であって、固体触媒成分[A]が、下記(式1)で表される不活性炭化水素溶媒に可溶である有機マグネシウム化合物(A-1)と、下記(式2)で表されるチタン化合物(A-2)とを、不活性炭化水素溶媒を用いて反応させることにより製造されるオレフィン重合用触媒であるものが好ましい。
(A-1):(M1)α(Mg)β(R2)a(R3)b(Y1)c ・・・(式1)
(式1中、M1は周期律表第12族、第13族及び第14族からなる群に属する金属原子であり、R2及びR3は炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、Y1はアルコキシ、シロキシ、アリロキシ、アミノ、アミド、-N=C-R4、R5、-SR6(ここで、R4、R5及びR6は炭素数1以上20以下の炭化水素基を表す。cが2の場合には、Y1はそれぞれ異なっていてもよい。)、β-ケト酸残基のいずれかであり、α、β、a、b及びcは次の関係を満たす実数である。
0≦α、0<β、0≦a、0≦b、0≦c、0<a+b、0≦c/(α+β)≦2、nα+2β=a+b+c(ここで、nはM1の原子価を表す。))
<触媒成分>
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物に用いる超高分子量ポリエチレンパウダーの製造に使用される触媒成分としては特に限定されないが、例えば、一般的なチーグラー・ナッタ触媒が挙げられる。
[チーグラー・ナッタ触媒]
チーグラー・ナッタ触媒としては、固体触媒成分[A]及び有機金属化合物成分[B]からなる触媒であって、固体触媒成分[A]が、下記(式1)で表される不活性炭化水素溶媒に可溶である有機マグネシウム化合物(A-1)と、下記(式2)で表されるチタン化合物(A-2)とを、不活性炭化水素溶媒を用いて反応させることにより製造されるオレフィン重合用触媒であるものが好ましい。
(A-1):(M1)α(Mg)β(R2)a(R3)b(Y1)c ・・・(式1)
(式1中、M1は周期律表第12族、第13族及び第14族からなる群に属する金属原子であり、R2及びR3は炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、Y1はアルコキシ、シロキシ、アリロキシ、アミノ、アミド、-N=C-R4、R5、-SR6(ここで、R4、R5及びR6は炭素数1以上20以下の炭化水素基を表す。cが2の場合には、Y1はそれぞれ異なっていてもよい。)、β-ケト酸残基のいずれかであり、α、β、a、b及びcは次の関係を満たす実数である。
0≦α、0<β、0≦a、0≦b、0≦c、0<a+b、0≦c/(α+β)≦2、nα+2β=a+b+c(ここで、nはM1の原子価を表す。))
(A-2):Ti(OR7)dX1
(4-d) ・・・(式2)
(式2中、dは0以上4以下の実数であり、R7は炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、X1はハロゲン原子である。)
(式2中、dは0以上4以下の実数であり、R7は炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、X1はハロゲン原子である。)
なお、有機マグネシウム化合物(A-1)とチタン化合物(A-2)との反応に使用する不活性炭化水素溶媒としては、以下に限定されないが、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;及びシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素等が挙げられる。
まず、有機マグネシウム化合物(A-1)について説明する。
有機マグネシウム化合物(A-1)は、不活性炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウムの錯化合物の形として示され、ジヒドロカルビルマグネシウム化合物及びこの化合物と他の金属化合物との錯体のすべてを包含するものである。記号α、β、a、b、cの関係式nα+2β=a+b+cは、金属原子の原子価と置換基との化学量論性を示している。
有機マグネシウム化合物(A-1)は、不活性炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウムの錯化合物の形として示され、ジヒドロカルビルマグネシウム化合物及びこの化合物と他の金属化合物との錯体のすべてを包含するものである。記号α、β、a、b、cの関係式nα+2β=a+b+cは、金属原子の原子価と置換基との化学量論性を示している。
(式1)において、R2及びR3表される炭素数2以上20以下の炭化水素基としては、以下に限定されないが、例えば、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、具体的には、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、シクロヘキシル、フェニル基等が挙げられる。特に好ましくはアルキル基である。
α>0の場合、金属原子M1としては、周期律表第12族、第13族及び第14族からなる群に属する金属原子が使用でき、例えば、亜鉛、ホウ素、アルミニウム等が挙げられる。特に、アルミニウム、亜鉛が好ましい。
α>0の場合、金属原子M1としては、周期律表第12族、第13族及び第14族からなる群に属する金属原子が使用でき、例えば、亜鉛、ホウ素、アルミニウム等が挙げられる。特に、アルミニウム、亜鉛が好ましい。
金属原子M1に対するマグネシウムの比β/αには特に限定されないが、0.1以上30以下であることが好ましく、0.5以上10以下であることがより好ましい。また、α=0である所定の有機マグネシウム化合物を用いる場合、例えば、R2が1-メチルプロピル等の場合には不活性炭化水素溶媒に可溶であり、このような化合物も本実施形態に好ましい結果を与える。
前記(式1)において、α=0の場合のR2、R3は次に示す3つの群(1)、群(2)、群(3)のいずれか1つを満たすものであることが推奨される。
前記(式1)において、α=0の場合のR2、R3は次に示す3つの群(1)、群(2)、群(3)のいずれか1つを満たすものであることが推奨される。
群(1):R2、R3の少なくとも一方が炭素原子数4以上6以下である二級又は三級のアルキル基であること、好ましくはR2、R3がともに炭素原子数4以上6以下のアルキル基であり、少なくとも一方が二級又は三級のアルキル基であること。
群(2):R2とR3とが炭素原子数の互いに相異なるアルキル基であること、好ましくはR2が炭素原子数2又は3のアルキル基であり、R3が炭素原子数4以上のアルキル基であること。
群(3):R2、R3の少なくとも一方が炭素原子数6以上の炭化水素基であること、好ましくはR2、R3に含まれる炭素原子数を加算すると12以上になるアルキル基であること。
群(2):R2とR3とが炭素原子数の互いに相異なるアルキル基であること、好ましくはR2が炭素原子数2又は3のアルキル基であり、R3が炭素原子数4以上のアルキル基であること。
群(3):R2、R3の少なくとも一方が炭素原子数6以上の炭化水素基であること、好ましくはR2、R3に含まれる炭素原子数を加算すると12以上になるアルキル基であること。
以下これらの基を具体的に示す。
前記群(1)において、炭素原子数4以上6以下である二級又は三級のアルキル基としては、例えば、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル、2-メチルブチル、2-エチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、2-メチルペンチル、2-エチルブチル、2,2-ジメチルブチル、2-メチル-2-エチルプロピル基等が挙げられる。特に、1-メチルプロピル基が好ましい。
前記群(1)において、炭素原子数4以上6以下である二級又は三級のアルキル基としては、例えば、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル、2-メチルブチル、2-エチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、2-メチルペンチル、2-エチルブチル、2,2-ジメチルブチル、2-メチル-2-エチルプロピル基等が挙げられる。特に、1-メチルプロピル基が好ましい。
また、前記群(2)において炭素原子数2又は3のアルキル基としては、例えば、エチル、1-メチルエチル、プロピル基等が挙げられる。このなかでもエチル基が特に好ましい。また、炭素原子数4以上のアルキル基としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル基等が挙げられる。特に、ブチル、ヘキシル基が好ましい。
さらに、前記群(3)において炭素原子数6以上の炭化水素基としては、特に限定されないが、例えば、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、フェニル、2-ナフチル基等が挙げられる。炭化水素基の中ではアルキル基が好ましく、アルキル基の中でも特に、ヘキシル、オクチル基が好ましい。
一般に、アルキル基に含まれる炭素原子数が増えると不活性炭化水素溶媒に溶けやすくなる傾向にあり、また溶液の粘度が高くなる傾向にある。そのため適度な長鎖のアルキル基を有する化合物を用いることが取り扱い上好ましい。なお、上記有機マグネシウム化合物は、不活性炭化水素溶媒で希釈して使用することができるが、当該溶液中に微量のエーテル、エステル、アミン等のルイス塩基性化合物が含有され、又は残存していても差し支えなく使用できる。
次にY1について説明する。
前記(式1)において、Y1はアルコキシ、シロキシ、アリロキシ、アミノ、アミド、-N=C-R4,R5、-SR6(ここで、R4、R5及びR6はそれぞれ独立に炭素数2以上20以下の炭化水素基を表す。)、β-ケト酸残基のいずれかである。
前記(式1)において、Y1はアルコキシ、シロキシ、アリロキシ、アミノ、アミド、-N=C-R4,R5、-SR6(ここで、R4、R5及びR6はそれぞれ独立に炭素数2以上20以下の炭化水素基を表す。)、β-ケト酸残基のいずれかである。
前記(式1)において、R4、R5及びR6で表される炭素数1以上20以下の炭化水素基としては、炭素原子数1以上12以下のアルキル基又はアリール基が好ましく、3以上10以下のアルキル基又はアリール基がより好ましい。特に限定されないが、例えば、メチル、エチル、プロピル、1-メチルエチル、ブチル、1-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル、ペンチル、ヘキシル、2-メチルペンチル、2-エチルブチル、2-エチルペンチル、2-エチルヘキシル、2-エチル-4-メチルペンチル、2-プロピルヘプチル、2-エチル-5-メチルオクチル、オクチル、ノニル、デシル、フェニル、ナフチル基等が挙げられる。特に、ブチル、1-メチルプロピル、2-メチルペンチル及び2-エチルヘキシル基が好ましい。
また、前記(式1)において、Y1はアルコキシ基又はシロキシ基であることが好ましい。
アルコキシ基としては、以下に限定されないが、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、1-メチルエトキシ、ブトキシ、1-メチルプロポキシ、1,1-ジメチルエトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、2-メチルペントキシ、2-エチルブトキシ、2-エチルペントキシ、2-エチルヘキソキシ、2-エチル-4-メチルペントキシ、2-プロピルヘプトキシ、2-エチル-5-メチルオクトキシ、オクトキシ、フェノキシ、ナフトキシ基であることが好ましい。特に、ブトキシ、1-メチルプロポキシ、2-メチルペントキシ及び2-エチルヘキソキシ基であることがより好ましい。
シロキシ基としては、以下に限定されないが、例えば、ヒドロジメチルシロキシ、エチルヒドロメチルシロキシ、ジエチルヒドロシロキシ、トリメチルシロキシ、エチルジメチルシロキシ、ジエチルメチルシロキシ、トリエチルシロキシ基等が好ましい。特に、ヒドロジメチルシロキシ、エチルヒドロメチルシロキシ、ジエチルヒドロシロキシ、トリメチルシロキシ基がより好ましい。
アルコキシ基としては、以下に限定されないが、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、1-メチルエトキシ、ブトキシ、1-メチルプロポキシ、1,1-ジメチルエトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、2-メチルペントキシ、2-エチルブトキシ、2-エチルペントキシ、2-エチルヘキソキシ、2-エチル-4-メチルペントキシ、2-プロピルヘプトキシ、2-エチル-5-メチルオクトキシ、オクトキシ、フェノキシ、ナフトキシ基であることが好ましい。特に、ブトキシ、1-メチルプロポキシ、2-メチルペントキシ及び2-エチルヘキソキシ基であることがより好ましい。
シロキシ基としては、以下に限定されないが、例えば、ヒドロジメチルシロキシ、エチルヒドロメチルシロキシ、ジエチルヒドロシロキシ、トリメチルシロキシ、エチルジメチルシロキシ、ジエチルメチルシロキシ、トリエチルシロキシ基等が好ましい。特に、ヒドロジメチルシロキシ、エチルヒドロメチルシロキシ、ジエチルヒドロシロキシ、トリメチルシロキシ基がより好ましい。
前記有機マグネシウム化合物(A-1)の合成方法は、特に制限はなく、例えば、式R2MgX1、及び式R2Mg(R2は前述の意味であり、X1はハロゲンである。)からなる群に属する有機マグネシウム化合物と、式M1R3
n及びM1R3
(n-1)H(M1、及びR3は前述の意味であり、nはM1の原子価を表す。)からなる群に属する有機金属化合物とを、不活性炭化水素溶媒中、25℃以上150℃以下で反応させ、必要な場合には、続いて式Y1-H(Y1は前述の意味である。)で表される化合物を反応させる、又はY1で表される官能基を有する有機マグネシウム化合物及び/又は有機アルミニウム化合物を反応させることにより合成することができる。このうち、不活性炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物と式Y1-Hで表される化合物とを反応させる場合、反応の順序については特に制限はなく、例えば、有機マグネシウム化合物中に式Y1-Hで表される化合物を加えていく方法、式Y1-Hで表される化合物中に有機マグネシウム化合物を加えていく方法、又は両者を同時に加えていく方法のいずれの方法も用いることができる。
前記有機マグネシウム化合物(A-1)における全金属原子に対するY1のモル組成比c/(α+β)は、0≦c/(α+β)≦2であり、0≦c/(α+β)<1であることが好ましい。全金属原子に対するY1のモル組成比が2以下であることにより、チタン化合物(A-2)に対する有機マグネシウム化合物(A-1)の反応性が向上する傾向にある。
次に、チタン化合物(A-2)について説明する。
(A-2)は(式2)で表されるチタン化合物である。
(A-2):Ti(OR7)dX1 (4-d) ・・・(式2)
(式2中、dは0以上4以下の実数であり、R7は炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、X1はハロゲン原子である。)
(A-2)は(式2)で表されるチタン化合物である。
(A-2):Ti(OR7)dX1 (4-d) ・・・(式2)
(式2中、dは0以上4以下の実数であり、R7は炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、X1はハロゲン原子である。)
前記(式2)において、dは0以上1以下であることが好ましく、0であることがより好ましい。
また、前記(式2)においてR7で表される炭化水素基としては、以下に限定されないが、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、2-エチルヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、アリル基等の脂肪族炭化水素基;シクロヘキシル、2-メチルシクロヘキシル、シクロペンチル基等の脂環式炭化水素基;フェニル、ナフチル基等の芳香族炭化水素基等が挙げられる。特に、脂肪族炭化水素基が好ましい。
X1で表されるハロゲン原子としては、例えば、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。特に、塩素が好ましい。前記チタン化合物(A-2)は、四塩化チタンであることが特に好ましい。本実施形態においては上記から選ばれた化合物を2種以上混合して使用することが可能である。
また、前記(式2)においてR7で表される炭化水素基としては、以下に限定されないが、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、2-エチルヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、アリル基等の脂肪族炭化水素基;シクロヘキシル、2-メチルシクロヘキシル、シクロペンチル基等の脂環式炭化水素基;フェニル、ナフチル基等の芳香族炭化水素基等が挙げられる。特に、脂肪族炭化水素基が好ましい。
X1で表されるハロゲン原子としては、例えば、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。特に、塩素が好ましい。前記チタン化合物(A-2)は、四塩化チタンであることが特に好ましい。本実施形態においては上記から選ばれた化合物を2種以上混合して使用することが可能である。
次に、有機マグネシウム化合物(A-1)とチタン化合物(A-2)との反応について説明する。
当該反応は、不活性炭化水素溶媒中で行われることが好ましく、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒中で行われることがより好ましい。反応における有機マグネシウム化合物(A-1)とチタン化合物(A-2)とのモル比については特に限定されないが、有機マグネシウム化合物(A-1)に含まれるMg原子に対する、チタン化合物(A-2)に含まれるTi原子のモル比(Ti/Mg)が0.1以上10以下であることが好ましく、0.3以上3以下であることがより好ましい。
反応温度については、特に限定されないが、-80℃以上150℃以下の範囲で行うことが好ましく、-40℃以上100℃以下の範囲で行うことがより好ましい。
有機マグネシウム化合物(A-1)とチタン化合物(A-2)の添加順序には特に制限はなく、有機マグネシウム化合物(A-1)に続いてチタン化合物(A-2)を加える、チタン化合物(A-2)に続いて有機マグネシウム化合物(A-1)を加える、有機マグネシウム化合物(A-1)とチタン化合物(A-2)とを同時に添加する、のいずれの方法も可能であるが、有機マグネシウム化合物(A-1)とチタン化合物(A-2)とを同時に添加する方法が好ましい。本実施形態においては、上記反応により得られた固体触媒成分[A]は、不活性炭化水素溶媒を用いたスラリー溶液として使用される。
当該反応は、不活性炭化水素溶媒中で行われることが好ましく、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒中で行われることがより好ましい。反応における有機マグネシウム化合物(A-1)とチタン化合物(A-2)とのモル比については特に限定されないが、有機マグネシウム化合物(A-1)に含まれるMg原子に対する、チタン化合物(A-2)に含まれるTi原子のモル比(Ti/Mg)が0.1以上10以下であることが好ましく、0.3以上3以下であることがより好ましい。
反応温度については、特に限定されないが、-80℃以上150℃以下の範囲で行うことが好ましく、-40℃以上100℃以下の範囲で行うことがより好ましい。
有機マグネシウム化合物(A-1)とチタン化合物(A-2)の添加順序には特に制限はなく、有機マグネシウム化合物(A-1)に続いてチタン化合物(A-2)を加える、チタン化合物(A-2)に続いて有機マグネシウム化合物(A-1)を加える、有機マグネシウム化合物(A-1)とチタン化合物(A-2)とを同時に添加する、のいずれの方法も可能であるが、有機マグネシウム化合物(A-1)とチタン化合物(A-2)とを同時に添加する方法が好ましい。本実施形態においては、上記反応により得られた固体触媒成分[A]は、不活性炭化水素溶媒を用いたスラリー溶液として使用される。
本実施形態において使用されるチーグラー・ナッタ触媒成分の他の例としては、固体触媒成分[C]及び有機金属化合物成分[B]からなり、固体触媒成分[C]が、下記(式3)で表される不活性炭化水素溶媒に可溶である有機マグネシウム化合物(C-1)と、下記(式4)で表される塩素化剤(C-2)との反応により調製された担体(C-3)に、下記(式5)で表される不活性炭化水素溶媒に可溶である有機マグネシウム化合物(C-4)と、下記(式6)で表されるチタン化合物(C-5)を担持することにより製造されるオレフィン重合用触媒が好ましいものとして挙げられる。
(C-1):(M2)γ(Mg)δ(R8)e(R9)f(OR10)g ・・・(式3)
(式3中、M2は周期律表第12族、第13族及び第14族からなる群に属する金属原子であり、R8、R9及びR10はそれぞれ炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、γ、δ、e、f及びgは次の関係を満たす実数である。0≦γ、0<δ、0≦e、0≦f、0≦g、0<e+f、0≦g/(γ+δ)≦2、kγ+2δ=e+f+g(ここで、kはM2の原子価を表す。))
(式3中、M2は周期律表第12族、第13族及び第14族からなる群に属する金属原子であり、R8、R9及びR10はそれぞれ炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、γ、δ、e、f及びgは次の関係を満たす実数である。0≦γ、0<δ、0≦e、0≦f、0≦g、0<e+f、0≦g/(γ+δ)≦2、kγ+2δ=e+f+g(ここで、kはM2の原子価を表す。))
(C-2):HhSiCliR11
(4-(h+i)) ・・・(式4)
(式4中、R11は炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、hとiは次の関係を満たす実数である。0<h、0<i、0<h+i≦4)
(式4中、R11は炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、hとiは次の関係を満たす実数である。0<h、0<i、0<h+i≦4)
(C-4):(M1)α(Mg)β(R2)a(R3)bY1
c ・・・(式5)
(式5中、M1は周期律表第12族、第13族及び第14族からなる群に属する金属原子であり、R2及びR3は炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、Y1はアルコキシ、シロキシ、アリロキシ、アミノ、アミド、-N=C-R4,R5、-SR6(ここで、R4、R5及びR6は炭素数1以上20以下の炭化水素基を表す。cが2の場合には、Y1はそれぞれ異なっていてもよい。)、β-ケト酸残基のいずれかであり、α、β、a、b及びcは次の関係を満たす実数である。0≦α、0<β、0≦a、0≦b、0≦c、0<a+b、0≦c/(α+β)≦2、nα+2β=a+b+c(ここで、nはM1の原子価を表す。))
(式5中、M1は周期律表第12族、第13族及び第14族からなる群に属する金属原子であり、R2及びR3は炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、Y1はアルコキシ、シロキシ、アリロキシ、アミノ、アミド、-N=C-R4,R5、-SR6(ここで、R4、R5及びR6は炭素数1以上20以下の炭化水素基を表す。cが2の場合には、Y1はそれぞれ異なっていてもよい。)、β-ケト酸残基のいずれかであり、α、β、a、b及びcは次の関係を満たす実数である。0≦α、0<β、0≦a、0≦b、0≦c、0<a+b、0≦c/(α+β)≦2、nα+2β=a+b+c(ここで、nはM1の原子価を表す。))
(C-5):Ti(OR7)dX1
(4-d) ・・・(式6)
(式6中、dは0以上4以下の実数であり、R7は炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、X1はハロゲン原子である。)
(式6中、dは0以上4以下の実数であり、R7は炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、X1はハロゲン原子である。)
まず、有機マグネシウム化合物(C-1)について説明する。有機マグネシウム化合物(C-1)は、不活性炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウムの錯化合物の形として示されているが、ジヒドロカルビルマグネシウム化合物及びこの化合物と他の金属化合物との錯体のすべてを包含するものである。式3の記号γ、δ、e、f及びgの関係式kγ+2δ=e+f+gは金属原子の原子価と置換基との化学量論性を示している。
上記式3中、R8ないしR9で表される炭素数2以上20以下の炭化水素基は、以下に限定されないが、例えば、それぞれアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、具体的には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、シクロヘキシル、フェニル基等が挙げられる。このなかでも、好ましくはR8及びR9は、それぞれアルキル基である。
α>0の場合、金属原子M2としては、周期律表第12族、第13族及び第14族からなる群に属する金属原子が使用でき、例えば、亜鉛、ホウ素、アルミニウム等が挙げられる。特に、アルミニウム、亜鉛が好ましい。
α>0の場合、金属原子M2としては、周期律表第12族、第13族及び第14族からなる群に属する金属原子が使用でき、例えば、亜鉛、ホウ素、アルミニウム等が挙げられる。特に、アルミニウム、亜鉛が好ましい。
金属原子M2に対するマグネシウムの比δ/γは、特に限定されないが、0.1以上30以下であることが好ましく、0.5以上10以下であることがより好ましい。また、γ=0である所定の有機マグネシウム化合物を用いる場合、例えば、R8が1-メチルプロピル等の場合には、不活性炭化水素溶媒に可溶であり、このような化合物も本実施形態に好ましい結果を与える。
前記(式3)において、γ=0の場合のR8、R9は、次に示す3つの群(1)、群(2)、群(3)のいずれか1つであることが推奨される。
前記(式3)において、γ=0の場合のR8、R9は、次に示す3つの群(1)、群(2)、群(3)のいずれか1つであることが推奨される。
群(1):R8、R9の少なくとも一方が炭素数4以上6以下である二級又は三級のアルキル基であること、好ましくはR8、R9がともに炭素数4以上6以下であり、少なくとも一方が二級又は三級のアルキル基であること。
群(2):R8とR9とが炭素数の互いに相異なるアルキル基であること、好ましくはR8が炭素数2又は3のアルキル基であり、R9が炭素数4以上のアルキル基であること。
群(3):R8、R9の少なくとも一方が炭素数6以上の炭化水素基であること、好ましくはR8、R9に含まれる炭素数の和が12以上になるアルキル基であること。
群(2):R8とR9とが炭素数の互いに相異なるアルキル基であること、好ましくはR8が炭素数2又は3のアルキル基であり、R9が炭素数4以上のアルキル基であること。
群(3):R8、R9の少なくとも一方が炭素数6以上の炭化水素基であること、好ましくはR8、R9に含まれる炭素数の和が12以上になるアルキル基であること。
以下、これらの基を具体的に示す。
群(1)において炭素数4以上6以下である二級又は三級のアルキル基としては、例えば、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル、2-メチルブチル、2-エチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、2-メチルペンチル、2-エチルブチル、2,2-ジメチルブチル、2-メチル-2-エチルプロピル基等が用いられる。特に、1-メチルプロピル基が好ましい。
群(1)において炭素数4以上6以下である二級又は三級のアルキル基としては、例えば、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル、2-メチルブチル、2-エチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、2-メチルペンチル、2-エチルブチル、2,2-ジメチルブチル、2-メチル-2-エチルプロピル基等が用いられる。特に、1-メチルプロピル基が好ましい。
また、群(2)において炭素数2又は3のアルキル基としては、例えば、エチル、1-メチルエチル、プロピル基等が挙げられる。特に、エチル基が好ましい。また炭素数4以上のアルキル基としては、特に限定されないが、例えば、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル基等が挙げられる。特に、ブチル、ヘキシル基が好ましい。
更に、群(3)において炭素数6以上の炭化水素基としては、特に限定されないが、例えば、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、フェニル、2-ナフチル基等が挙げられる。炭化水素基の中ではアルキル基が好ましく、アルキル基の中でもヘキシル、オクチル基が特に好ましい。
一般に、アルキル基に含まれる炭素原子数が増えると不活性炭化水素溶媒に溶けやすくなる傾向にあり、溶液の粘度が高くなる傾向にある。そのため、適度な長鎖のアルキル基を有する化合物を用いることが取り扱い上好ましい。なお、上記有機マグネシウム化合物は不活性炭化水素溶液として使用されるが、当該溶液中に微量のエーテル、エステル、アミン等のルイス塩基性化合物が含有され、或いは残存していても差し支えなく使用できる。
次に、前記(式3)中、アルコキシ基(OR10)について説明する。
R10で表される炭素数2以上20以下の炭化水素基としては、炭素原子数1以上12以下のアルキル基又はアリール基が好ましく、3以上10以下のアルキル基又はアリール基が特に好ましい。R10としては、以下に限定されないが、例えば、メチル、エチル、プロピル、1-メチルエチル、ブチル、1-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル、ペンチル、ヘキシル、2-メチルペンチル、2-エチルブチル、2-エチルペンチル、2-エチルヘキシル、2-エチル-4-メチルペンチル、2-プロピルヘプチル、2-エチル-5-メチルオクチル、オクチル、ノニル、デシル、フェニル、ナフチル基等が挙げられる。特に、ブチル、1-メチルプロピル、2-メチルペンチル及び2-エチルヘキシル基が好ましい。
R10で表される炭素数2以上20以下の炭化水素基としては、炭素原子数1以上12以下のアルキル基又はアリール基が好ましく、3以上10以下のアルキル基又はアリール基が特に好ましい。R10としては、以下に限定されないが、例えば、メチル、エチル、プロピル、1-メチルエチル、ブチル、1-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル、ペンチル、ヘキシル、2-メチルペンチル、2-エチルブチル、2-エチルペンチル、2-エチルヘキシル、2-エチル-4-メチルペンチル、2-プロピルヘプチル、2-エチル-5-メチルオクチル、オクチル、ノニル、デシル、フェニル、ナフチル基等が挙げられる。特に、ブチル、1-メチルプロピル、2-メチルペンチル及び2-エチルヘキシル基が好ましい。
前記有機マグネシウム化合物(C-1)の合成方法には特に限定しないが、式R8MgX1及び式R8Mg(R8は前述の意味であり、X1はハロゲン原子である。)からなる群に属する有機マグネシウム化合物と、式M2R9
k及び式M2R9
(k-1)H(M2、R9及びkは前述の意味)からなる群に属する有機金属化合物とを不活性炭化水素溶媒中、25℃以上150℃以下の温度で反応させ、必要な場合には続いてR9(R9は前述の意味である。)で表される炭化水素基を有するアルコール又は不活性炭化水素溶媒に可溶なR9で表される炭化水素基を有するアルコキシマグネシウム化合物、及び/又はアルコキシアルミニウム化合物と反応させる方法が挙げられる。
このうち、不活性炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物とアルコールとを反応させる場合、反応の順序については特に制限はなく、有機マグネシウム化合物中にアルコールを加えていく方法、アルコール中に有機マグネシウム化合物を加えていく方法、又は両者を同時に加えていく方法のいずれの方法も用いることができる。
不活性炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物とアルコールとの反応比率については特に限定されないが、反応の結果、得られるアルコキシ基含有有機マグネシウム化合物における、全金属原子に対するアルコキシ基のモル組成比g/(γ+δ)は0≦g/(γ+δ)≦2であり、0≦g/(γ+δ)<1であることが好ましい。
不活性炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物とアルコールとの反応比率については特に限定されないが、反応の結果、得られるアルコキシ基含有有機マグネシウム化合物における、全金属原子に対するアルコキシ基のモル組成比g/(γ+δ)は0≦g/(γ+δ)≦2であり、0≦g/(γ+δ)<1であることが好ましい。
次に、塩素化剤(C-2)について説明する。塩素化剤(C-2)は、下記(式4)で表される、少なくとも一つはSi-H結合を有する塩化珪素化合物である。
(C-2):HhSiCliR11
(4-(h+i)) ・・・(式4)
(式4中、R11は炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、hとiは次の関係を満たす実数である。0<h、0<i、0<h+i≦4)
(式4中、R11は炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、hとiは次の関係を満たす実数である。0<h、0<i、0<h+i≦4)
前記(式4)において、R11で表される炭化水素基は、以下に限定されないが、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基であり、具体的には、メチル、エチル、プロピル、1-メチルエチル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、シクロヘキシル、フェニル基等が挙げられる。このなかでも、炭素数1以上10以下のアルキル基が好ましく、メチル、エチル、プロピル、1-メチルエチル基等の炭素数1以上3以下のアルキル基がより好ましい。また、h及びiはh+i≦4の関係を満たす0より大きな数であり、iが2以上3以下であることが好ましい。
(式4)に示す塩素化剤(C-2)の化合物としては、以下に限定されないが、例えば、HSiCl3、HSiCl2CH3、HSiCl2C2H5、HSiCl2(C3H7)、HSiCl2(2-C3H7)、HSiCl2(C4H9)、HSiCl2(C6H5)、HSiCl2(4-Cl-C6H4)、HSiCl2(CH=CH2)、HSiCl2(CH2C6H5)、HSiCl2(1-C10H7)、HSiCl2(CH2CH=CH2)、H2SiCl(CH3)、H2SiCl(C2H5)、HSiCl(CH3)2、HSiCl(C2H5)2、HSiCl(CH3)(2-C3H7)、HSiCl(CH3)(C6H5)、HSiCl(C6H5)2等が挙げられる。これらの化合物又はこれらの化合物から選ばれた2種類以上の混合物からなる塩化珪素化合物が使用される。この中でも、HSiCl3、HSiCl2CH3、HSiCl(CH3)2、HSiCl2(C3H7)が好ましく、HSiCl3、HSiCl2CH3がより好ましい。
次に、前記有機マグネシウム化合物(C-1)と塩素化剤(C-2)との反応について説明する。反応に際しては、塩素化剤(C-2)を予め、不活性炭化水素溶媒、1,2-ジクロルエタン、o-ジクロルベンゼン、ジクロルメタン等の塩素化炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系媒体;又はこれらの混合媒体、を用いて希釈した後に利用することが好ましい。このなかでも、触媒の性能上、不活性炭化水素溶媒がより好ましい。
有機マグネシウム化合物(C-1)と塩素化剤(C-2)との反応比率には特に限定されないが、有機マグネシウム化合物(C-1)に含まれるマグネシウム原子1molに対する塩素化剤(C-2)に含まれる珪素原子が0.01mol以上100mol以下であることが好ましく、0.1mol以上10mol以下であることが更に好ましい。
有機マグネシウム化合物(C-1)と塩素化剤(C-2)との反応比率には特に限定されないが、有機マグネシウム化合物(C-1)に含まれるマグネシウム原子1molに対する塩素化剤(C-2)に含まれる珪素原子が0.01mol以上100mol以下であることが好ましく、0.1mol以上10mol以下であることが更に好ましい。
有機マグネシウム化合物(C-1)と塩素化剤(C-2)との反応方法については特に制限はなく、有機マグネシウム化合物(C-1)と塩素化剤(C-2)とを同時に反応器に導入しつつ反応させる同時添加の方法、塩素化剤(C-2)を事前に反応器に仕込んだ後に有機マグネシウム化合物(C-1)を反応器に導入させる方法、又は有機マグネシウム化合物(C-1)を事前に反応器に仕込んだ後に塩素化剤(C-2)を反応器に導入させる方法のいずれの方法も使用することができる。このなかでも、塩素化剤(C-2)を事前に反応器に仕込んだ後に有機マグネシウム化合物(C-1)を反応器に導入させる方法が好ましい。上記反応により得られる担体(C-3)は、ろ過又はデカンテーション法により分離した後、不活性炭化水素溶媒を用いて充分に洗浄し、未反応物又は副生成物等を除去することが好ましい。
有機マグネシウム化合物(C-1)と塩素化剤(C-2)との反応温度については特に限定されないが、25℃以上150℃以下であることが好ましく、30℃以上120℃以下であることがより好ましく、40℃以上100℃以下であることがさらに好ましい。
有機マグネシウム化合物(C-1)と塩素化剤(C-2)とを同時に反応器に導入しつつ反応させる同時添加の方法においては、あらかじめ反応器の温度を所定温度に調節しておき、同時添加を行いながら反応器内の温度を所定温度に維持するように調節することにより、反応温度を所定温度に調節することが好ましい。塩素化剤(C-2)を事前に反応器に仕込んだ後に有機マグネシウム化合物(C-1)を反応器に導入させる方法においては、前記塩素化剤(C-2)を仕込んだ反応器の温度を所定温度に調節しておき、前記有機マグネシウム化合物(C-1)を反応器に導入しながら反応器内の温度を所定温度に維持するように調節することにより、反応温度を所定温度に調節することが好ましい。有機マグネシウム化合物(C-1)を事前に反応器に仕込んだ後に塩素化剤(C-2)を反応器に導入させる方法においては、有機マグネシウム化合物(C-1)を仕込んだ反応器の温度を所定温度に調節しておき、塩素化剤(C-2)を反応器に導入しながら反応器内の温度を所定温度に維持するように調節することにより、反応温度を所定温度に調節することが好ましい。
有機マグネシウム化合物(C-1)と塩素化剤(C-2)とを同時に反応器に導入しつつ反応させる同時添加の方法においては、あらかじめ反応器の温度を所定温度に調節しておき、同時添加を行いながら反応器内の温度を所定温度に維持するように調節することにより、反応温度を所定温度に調節することが好ましい。塩素化剤(C-2)を事前に反応器に仕込んだ後に有機マグネシウム化合物(C-1)を反応器に導入させる方法においては、前記塩素化剤(C-2)を仕込んだ反応器の温度を所定温度に調節しておき、前記有機マグネシウム化合物(C-1)を反応器に導入しながら反応器内の温度を所定温度に維持するように調節することにより、反応温度を所定温度に調節することが好ましい。有機マグネシウム化合物(C-1)を事前に反応器に仕込んだ後に塩素化剤(C-2)を反応器に導入させる方法においては、有機マグネシウム化合物(C-1)を仕込んだ反応器の温度を所定温度に調節しておき、塩素化剤(C-2)を反応器に導入しながら反応器内の温度を所定温度に維持するように調節することにより、反応温度を所定温度に調節することが好ましい。
次に、有機マグネシウム化合物(C-4)について説明する。(C-4)は、前述の(式5)で表される化合物である。
(C-4):(M1)α(Mg)β(R2)a(R3)bY1
c ・・・(式5)
(式5中、M1は周期律表第12族、第13族及び第14族からなる群に属する金属原子であり、R2及びR3は炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、Y1はアルコキシ、シロキシ、アリロキシ、アミノ、アミド、-N=C-R4,R5、-SR6(ここで、R4、R5及びR6は炭素数1以上20以下の炭化水素基を表す。cが2の場合には、Y1はそれぞれ異なっていてもよい。)、β-ケト酸残基のいずれかであり、α、β、a、b及びcは次の関係を満たす実数である。0≦α、0<β、0≦a、0≦b、0<a+b、0≦c/(α+β)≦2、nα+2β=a+b+c(ここで、nはM1の原子価を表す。))
(式5中、M1は周期律表第12族、第13族及び第14族からなる群に属する金属原子であり、R2及びR3は炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、Y1はアルコキシ、シロキシ、アリロキシ、アミノ、アミド、-N=C-R4,R5、-SR6(ここで、R4、R5及びR6は炭素数1以上20以下の炭化水素基を表す。cが2の場合には、Y1はそれぞれ異なっていてもよい。)、β-ケト酸残基のいずれかであり、α、β、a、b及びcは次の関係を満たす実数である。0≦α、0<β、0≦a、0≦b、0<a+b、0≦c/(α+β)≦2、nα+2β=a+b+c(ここで、nはM1の原子価を表す。))
有機マグネシウム化合物(C-4)の使用量は、チタン化合物(C-5)に含まれるチタン原子に対する、(C-4)に含まれるマグネシウム原子のモル比(Mg/Ti)で0.1以上10以下であることが好ましく、0.5以上5以下であることがより好ましい。
有機マグネシウム化合物(C-4)とチタン化合物(C-5)との反応温度については特に限定されないが、-80℃以上150℃以下であることが好ましく、-40℃以上100℃以下の範囲であることがより好ましい。
有機マグネシウム化合物(C-4)の使用時の濃度については特に限定されないが、有機マグネシウム化合物(C-4)に含まれるマグネシウム原子基準で0.1mol/L以上2mol/L以下であることが好ましく、0.5mol/L以上1.5mol/L以下であることがより好ましい。なお、有機マグネシウム化合物(C-4)の希釈には不活性炭化水素溶媒を用いることが好ましい。
担体(C-3)に対する有機マグネシウム化合物(C-4)とチタン化合物(C-5)の添加順序については、特に限定はなく、(C-4)に続いてチタン化合物(C-5)を加える、チタン化合物(C-5)に続いて有機マグネシウム化合物(C-4)を加える、有機マグネシウム化合物(C-4)とチタン化合物(C-5)とを同時に添加する、のいずれの方法も可能である。このなかでも、有機マグネシウム化合物(C-4)とチタン化合物(C-5)とを同時に添加する方法が好ましい。有機マグネシウム化合物(C-4)とチタン化合物(C-5)との反応は不活性炭化水素溶媒中で行われるが、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒を用いることが好ましい。
上述のようにして得られた触媒は、不活性炭化水素溶媒を用いたスラリー溶液として使用される。
上述のようにして得られた触媒は、不活性炭化水素溶媒を用いたスラリー溶液として使用される。
次にチタン化合物(C-5)について説明する。本実施形態において、(C-5)は前述の(式6)で表されるチタン化合物である。
(C-5):Ti(OR7)dX1
(4-d) ・・・(式6)
(式6中、dは0以上4以下の実数であり、R7は炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、X1はハロゲン原子である。)
(式6中、dは0以上4以下の実数であり、R7は炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、X1はハロゲン原子である。)
前記(式6)において、R7で表される炭化水素基としては、以下に限定されないが、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、2-エチルヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、アリル基等の脂肪族炭化水素基;シクロヘキシル、2-メチルシクロヘキシル、シクロペンチル基等の脂環式炭化水素基;フェニル、ナフチル基等の芳香族炭化水素基等が挙げられる。このなかでも、脂肪族炭化水素基が好ましい。X1で表されるハロゲンとしては、以下に限定されないが、例えば、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。このなかでも、塩素が好ましい。上記から選ばれたチタン化合物(C-5)を、1種単独で用いてもよいし、2種以上混合して使用することが可能である。
チタン化合物(C-5)の使用量としては、特に限定されないが、担体(C-3)に含まれるマグネシウム原子に対するモル比で0.01以上20以下が好ましく、0.05以上10以下がより好ましい。
有機マグネシウム化合物(C-3)とチタン化合物(C-5)の反応温度については、特に限定されないが、-80℃以上150℃以下であることが好ましく、-40℃以上100℃以下の範囲であることがより好ましい。
本実施形態においては、担体(C-3)に対するチタン化合物(C-5)の担持方法については特に限定されず、担体(C-3)に対して過剰なチタン化合物(C-5)を反応させる方法や、第三成分を使用することによりチタン化合物(C-5)を効率的に担持する方法を用いてもよいが、チタン化合物(C-5)と有機マグネシウム化合物(C-4)との反応により担持する方法が好ましい。
本実施形態においては、担体(C-3)に対するチタン化合物(C-5)の担持方法については特に限定されず、担体(C-3)に対して過剰なチタン化合物(C-5)を反応させる方法や、第三成分を使用することによりチタン化合物(C-5)を効率的に担持する方法を用いてもよいが、チタン化合物(C-5)と有機マグネシウム化合物(C-4)との反応により担持する方法が好ましい。
次に、有機金属化合物成分[B]について説明する。
超高分子量ポリエチレンパウダーの製造に用いる固体触媒成分は、上述した固体触媒成分[A]と有機金属化合物成分[B]と組み合わせることにより、高活性な重合用触媒となる。有機金属化合物成分[B]は「助触媒」と呼ばれることもある。有機金属化合物成分[B]としては、周期律表第1族、第2族、第12族及び第13族からなる群に属する金属を含有する化合物であることが好ましく、特に有機アルミニウム化合物及び/又は有機マグネシウム化合物が好ましい。
超高分子量ポリエチレンパウダーの製造に用いる固体触媒成分は、上述した固体触媒成分[A]と有機金属化合物成分[B]と組み合わせることにより、高活性な重合用触媒となる。有機金属化合物成分[B]は「助触媒」と呼ばれることもある。有機金属化合物成分[B]としては、周期律表第1族、第2族、第12族及び第13族からなる群に属する金属を含有する化合物であることが好ましく、特に有機アルミニウム化合物及び/又は有機マグネシウム化合物が好ましい。
前記有機金属化合物成分[B]として用いる有機アルミニウム化合物としては、下記(式7)で表される化合物を単独又は混合して使用することが好ましい。
AlR12
jZ1
(3-j) ・・・(式7)
(式7中、R12は炭素数1以上20以下の炭化水素基、Z1は水素、ハロゲン、アルコキシ、アリロキシ、シロキシ基からなる群に属する基であり、jは2以上3以下の数である。)
(式7中、R12は炭素数1以上20以下の炭化水素基、Z1は水素、ハロゲン、アルコキシ、アリロキシ、シロキシ基からなる群に属する基であり、jは2以上3以下の数である。)
前記(式7)において、R12で表される炭素数1以上20以下の炭化水素基は、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂環式炭化水素を包含するものであり、以下に限定されないが、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリ(2-メチルプロピル)アルミニウム(又は、トリイソブチルアルミニウム)、トリペンチルアルミニウム、トリ(3-メチルブチル)アルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、ビス(2-メチルプロピル)アルミニウムクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド等のハロゲン化アルミニウム化合物;ジエチルアルミニウムエトキシド、ビス(2-メチルプロピル)アルミニウムブトキシド等のアルコキシアルミニウム化合物;ジメチルヒドロシロキシアルミニウムジメチル、エチルメチルヒドロシロキシアルミニウムジエチル、エチルジメチルシロキシアルミニウムジエチル等のシロキシアルミニウム化合物、及びこれらの混合物が好ましい。特に、トリアルキルアルミニウム化合物が好ましい。
前記有機金属化合物成分[B]として用いる有機マグネシウム化合物としては、前述の(式3)で表される不活性炭化水素溶媒に可溶である有機マグネシウム化合物が好ましい。
(M2)γ(Mg)δ(R8)e(R9)f(OR10)g ・・・(式3)
(式3中、M2は周期律表第12族、第13族及び第14族からなる群に属する金属原子であり、R8、R9及びR10はそれぞれ炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、γ、δ、e、f及びgは次の関係を満たす実数である。0≦γ、0<δ、0≦e、0≦f、0≦g、0<e+f、0≦g/(γ+δ)≦2、kγ+2δ=e+f+g(ここで、kはM2の原子価を表す。))
(式3中、M2は周期律表第12族、第13族及び第14族からなる群に属する金属原子であり、R8、R9及びR10はそれぞれ炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、γ、δ、e、f及びgは次の関係を満たす実数である。0≦γ、0<δ、0≦e、0≦f、0≦g、0<e+f、0≦g/(γ+δ)≦2、kγ+2δ=e+f+g(ここで、kはM2の原子価を表す。))
この有機マグネシウム化合物は、不活性炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウムの錯化合物の形として示されているが、ジアルキルマグネシウム化合物及び当該ジアルキルマグネシウム化合物と他の金属化合物との錯体の全てを包含するものである。γ、δ、e、f、g、M2、R8、R9、OR10についてはすでに述べたとおりであるが、この有機マグネシウム化合物は不活性炭化水素溶媒に対する溶解性が高いほうが好ましいため、δ/γは0.5以上10以下の範囲にあることが好ましく、またM2がアルミニウムである化合物がより好ましい。
なお、固体触媒成分[A]及び有機金属化合物成分[B]の組み合わせ比率は特に限定されないが、固体触媒成分[A]1gに対し有機金属化合物成分[B]は1mmol以上3,000mmol以下であることが好ましい。
なお、固体触媒成分[A]及び有機金属化合物成分[B]の組み合わせ比率は特に限定されないが、固体触媒成分[A]1gに対し有機金属化合物成分[B]は1mmol以上3,000mmol以下であることが好ましい。
<超高分子量ポリエチレンパウダーの重合条件>
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物の原料である超高分子量ポリエチレンパウダーの製造方法における重合温度は、通常、30℃以上100℃以下である。
重合温度が30℃以上であることにより、工業的により効率的な製造ができる傾向にある。一方、重合温度が100℃以下であることにより、連続的により安定した運転ができる傾向にある。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物の原料である超高分子量ポリエチレンパウダーの製造方法における重合温度は、通常、30℃以上100℃以下である。
重合温度が30℃以上であることにより、工業的により効率的な製造ができる傾向にある。一方、重合温度が100℃以下であることにより、連続的により安定した運転ができる傾向にある。
また、本実施形態のポリエチレン樹脂組成物に用いる超高分子量ポリエチレンパウダーの製造方法における重合圧力は、通常、常圧以上2MPa以下である。
前記重合圧力は、0.1MPa以上が好ましく、より好ましくは0.12MPa以上であり、また、1.5MPa以下が好ましく、より好ましくは1.0MPa以下である。
重合圧力が常圧以上であることにより、工業的により効率的な製造ができる傾向にあり、重合圧力が2MPa以下であることにより、触媒導入時の急重合反応による部分的な発熱を抑制することができ、ポリエチレンを安定的に生産できる傾向にある。
前記重合圧力は、0.1MPa以上が好ましく、より好ましくは0.12MPa以上であり、また、1.5MPa以下が好ましく、より好ましくは1.0MPa以下である。
重合圧力が常圧以上であることにより、工業的により効率的な製造ができる傾向にあり、重合圧力が2MPa以下であることにより、触媒導入時の急重合反応による部分的な発熱を抑制することができ、ポリエチレンを安定的に生産できる傾向にある。
重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法において行うことができるが、連続式で重合することが好ましい。
エチレンガス、溶媒、触媒等を連続的に重合系内に供給し、生成したポリエチレンと共に連続的に排出することで、急激なエチレンの反応による部分的な高温状態を抑制することが可能となり、重合系内がより安定化する。系内が均一な状態でエチレンが反応すると、ポリマー鎖中に分岐や二重結合等が生成されることが抑制され、ポリエチレンの低分子量化や架橋が起こりにくくなるため、超高分子量ポリエチレンパウダーの溶融、又は溶解時に残存する未溶融物が減少し、着色が抑えられ、機械的物性が低下するといった問題も生じにくくなる。よって、重合系内がより均一となる連続式が好ましい。
エチレンガス、溶媒、触媒等を連続的に重合系内に供給し、生成したポリエチレンと共に連続的に排出することで、急激なエチレンの反応による部分的な高温状態を抑制することが可能となり、重合系内がより安定化する。系内が均一な状態でエチレンが反応すると、ポリマー鎖中に分岐や二重結合等が生成されることが抑制され、ポリエチレンの低分子量化や架橋が起こりにくくなるため、超高分子量ポリエチレンパウダーの溶融、又は溶解時に残存する未溶融物が減少し、着色が抑えられ、機械的物性が低下するといった問題も生じにくくなる。よって、重合系内がより均一となる連続式が好ましい。
また、超高分子量ポリエチレンパウダーの重合は、反応条件の異なる2段以上に分けて行ってもよい。さらに、例えば、西独国特許出願公開第3127133号明細書に記載されているように、ポリエチレンパウダーの極限粘度を、重合系に水素を存在させるか、又は重合温度を変化させることによって調整してもよい。
重合系内に連鎖移動剤として水素を添加することにより、ポリエチレンパウダーの極限粘度を適切な範囲に制御することが可能である。
重合系内に水素を添加する場合、水素のモル分率は、0mol%以上30mol%以下が好ましく、0mol%以上25mol%以下がより好ましく、0mol%以上20mol%以下がさらに好ましい。
なお、重合工程においては、上記のような各成分以外にもポリエチレンの製造に有用な他の公知の成分を含むことができる。
重合系内に連鎖移動剤として水素を添加することにより、ポリエチレンパウダーの極限粘度を適切な範囲に制御することが可能である。
重合系内に水素を添加する場合、水素のモル分率は、0mol%以上30mol%以下が好ましく、0mol%以上25mol%以下がより好ましく、0mol%以上20mol%以下がさらに好ましい。
なお、重合工程においては、上記のような各成分以外にもポリエチレンの製造に有用な他の公知の成分を含むことができる。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物の原料である超高分子量ポリエチレンパウダーを重合する際には、重合反応器へのポリマー付着を抑制するため、The Associated Octel Company社製(代理店丸和物産)のStadis450等の静電気防止剤を使用することができる。Stadis450は、不活性炭化水素媒体に希釈したものをポンプ等により重合反応器に添加することができる。この際の添加量は、単位時間当たりのポリエチレンの生産量に対して、0.10ppm以上20ppm以下の範囲が好ましく、0.20ppm以上10ppm以下の範囲がより好ましい。
<添加剤>
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物を構成する超高分子量ポリエチレンパウダーには、必要に応じて、スリップ剤、中和剤、酸化防止剤、耐光安定剤、帯電防止剤、顔料等の添加剤を添加することができる。
スリップ剤又は中和剤としては、以下に限定されないが、例えば、脂肪族炭化水素、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、アルコールの脂肪酸エステル、ワックス、高級脂肪酸アマイド、シリコーン油、ロジン等が挙げられる。スリップ剤又は中和剤の含有量は、特に限定されないが、一般的に5000ppm以下であり、好ましくは4000ppm以下、より好ましくは3500ppm以下である。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物を構成する超高分子量ポリエチレンパウダーには、必要に応じて、スリップ剤、中和剤、酸化防止剤、耐光安定剤、帯電防止剤、顔料等の添加剤を添加することができる。
スリップ剤又は中和剤としては、以下に限定されないが、例えば、脂肪族炭化水素、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、アルコールの脂肪酸エステル、ワックス、高級脂肪酸アマイド、シリコーン油、ロジン等が挙げられる。スリップ剤又は中和剤の含有量は、特に限定されないが、一般的に5000ppm以下であり、好ましくは4000ppm以下、より好ましくは3500ppm以下である。
酸化防止剤としては、特に限定されないが、フェノール系化合物、フェノールリン酸系化合物が好ましい。
酸化防止剤としては、以下に限定されないが、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール(ジブチルヒドロキシトルエン)、n-オクタデシル-3-(4-ヒドロキ-3,5-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート、テトラキス(メチレン(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒサロキシハイドロシンナメート))メタン等のフェノール系酸化防止剤;6-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-t-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン等のフェノールリン系酸化防止剤;テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレン-ジ-ホスフォナイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4-t-ブチルフェニルフォスファイト)等のリン系酸化防止剤が挙げられる。
酸化防止剤としては、以下に限定されないが、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール(ジブチルヒドロキシトルエン)、n-オクタデシル-3-(4-ヒドロキ-3,5-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート、テトラキス(メチレン(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒサロキシハイドロシンナメート))メタン等のフェノール系酸化防止剤;6-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-t-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン等のフェノールリン系酸化防止剤;テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレン-ジ-ホスフォナイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4-t-ブチルフェニルフォスファイト)等のリン系酸化防止剤が挙げられる。
酸化防止剤の添加量は、本実施形態のポリエチレン樹脂組成物が超高分子量ポリエチレンパウダーと流動パラフィンとを含む場合、これらの合計を100質量部としたときに、好ましくは5質量部以下であり、より好ましくは4質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下、さらにより好ましくは2質量部以下である。酸化防止剤が5質量部以下であることにより、ポリエチレンパウダーの劣化が抑制され、脆化や変色、機械的物性の低下等が起こりにくくなり、長期安定性により優れるものとなる。
耐光安定剤としては、以下に限定されないが、例えば、2-(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3-t-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系耐光安定剤;ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジン)セバケート、ポリ[{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}]等のヒンダードアミン系耐光安定剤が挙げられる。
耐光安定剤の含有量は、特に限定されないが、一般的に5000ppm以下であり、好ましくは3000ppm以下、より好ましくは2000ppm以下である。
耐光安定剤の含有量は、特に限定されないが、一般的に5000ppm以下であり、好ましくは3000ppm以下、より好ましくは2000ppm以下である。
帯電防止剤としては、以下に限定されないが、例えば、アルミノケイ酸塩、カオリン、クレー、天然シリカ、合成シリカ、シリケート類、タルク、珪藻土等や、グリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
(金属石鹸の製造方法)
金属石鹸は、高級脂肪酸、多価金属の酸化物又は多価金属の水酸化物、高級脂肪酸金属塩等を用いて製造することができる。
金属石鹸は、高級脂肪酸、多価金属の酸化物又は多価金属の水酸化物、高級脂肪酸金属塩等を用いて製造することができる。
<原料>
高級脂肪酸としては、炭素数16以上28以下の脂肪酸、例えばパルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸あるいはこれらの混合物等が使用できる。これらの脂肪酸は、牛脂脂肪酸、パーム油脂肪酸のように混合脂肪酸であってもよい。特に、ステアリン酸及びベヘン酸が好適である。
多価金属の酸化物又は水酸化物としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、カドミウム、鉛、リチウム、アルミニウム、銅、鉄、コバルト等酸化物又は酸化物が挙げられる。
高級脂肪酸金属塩としては、例えば、パルミチン酸リチウム、パルミチン酸ナトリウム、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸カルシウム、パルミチン酸ストロンチウム、パルミチン酸バリウム、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸アルミニウム、パルミチン酸銅、パルミチン酸鉛、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸銅、ステアリン酸鉛、アラキジン酸リチウム、アラキジン酸ナトリウム、アラキジン酸マグネシウム、アラキジン酸カルシウム、アラキジン酸ストロンチウム、アラキジン酸バリウム、アラキジン酸亜鉛、アラキジン酸アルミニウム、アラキジン酸銅、アラキジン酸鉛、ベヘン酸リチウム、ベヘン酸ナトリウム、ベヘン酸マグネシウム、ベヘン酸カルシウム、ベヘン酸ストロンチウム、ベヘン酸バリウム、ベヘン酸亜鉛、ベヘン酸アルミニウム、ベヘン酸銅、ベヘン酸鉛、リグノセリン酸リチウム、リグノセリン酸ナトリウム、リグノセリン酸マグネシウム、リグノセリン酸カルシウム、リグノセリン酸ストロンチウム、リグノセリン酸バリウム、リグノセリン酸亜鉛、リグノセリン酸アルミニウム、リグノセリン酸銅、リグノセリン酸鉛、セロチン酸リチウム、セロチン酸ナトリウム、セロチン酸マグネシウム、セロチン酸カルシウム、セロチン酸ストロンチウム、セロチン酸バリウム、セロチン酸亜鉛、セロチン酸アルミニウム、セロチン酸銅、セロチン酸鉛、モンタン酸リチウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸マグネシウム、モンタン酸カルシウム、モンタン酸ストロンチウム、モンタン酸バリウム、モンタン酸亜鉛、モンタン酸アルミニウム、モンタン酸銅、モンタン酸鉛等が挙げられる。
成形加工性(目ヤニ発生量の抑制など)、溶融安定性の観点から、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸マグネシウム、ベヘン酸カルシウム、ベヘン酸亜鉛が特に好ましい。
高級脂肪酸としては、炭素数16以上28以下の脂肪酸、例えばパルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸あるいはこれらの混合物等が使用できる。これらの脂肪酸は、牛脂脂肪酸、パーム油脂肪酸のように混合脂肪酸であってもよい。特に、ステアリン酸及びベヘン酸が好適である。
多価金属の酸化物又は水酸化物としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、カドミウム、鉛、リチウム、アルミニウム、銅、鉄、コバルト等酸化物又は酸化物が挙げられる。
高級脂肪酸金属塩としては、例えば、パルミチン酸リチウム、パルミチン酸ナトリウム、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸カルシウム、パルミチン酸ストロンチウム、パルミチン酸バリウム、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸アルミニウム、パルミチン酸銅、パルミチン酸鉛、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸銅、ステアリン酸鉛、アラキジン酸リチウム、アラキジン酸ナトリウム、アラキジン酸マグネシウム、アラキジン酸カルシウム、アラキジン酸ストロンチウム、アラキジン酸バリウム、アラキジン酸亜鉛、アラキジン酸アルミニウム、アラキジン酸銅、アラキジン酸鉛、ベヘン酸リチウム、ベヘン酸ナトリウム、ベヘン酸マグネシウム、ベヘン酸カルシウム、ベヘン酸ストロンチウム、ベヘン酸バリウム、ベヘン酸亜鉛、ベヘン酸アルミニウム、ベヘン酸銅、ベヘン酸鉛、リグノセリン酸リチウム、リグノセリン酸ナトリウム、リグノセリン酸マグネシウム、リグノセリン酸カルシウム、リグノセリン酸ストロンチウム、リグノセリン酸バリウム、リグノセリン酸亜鉛、リグノセリン酸アルミニウム、リグノセリン酸銅、リグノセリン酸鉛、セロチン酸リチウム、セロチン酸ナトリウム、セロチン酸マグネシウム、セロチン酸カルシウム、セロチン酸ストロンチウム、セロチン酸バリウム、セロチン酸亜鉛、セロチン酸アルミニウム、セロチン酸銅、セロチン酸鉛、モンタン酸リチウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸マグネシウム、モンタン酸カルシウム、モンタン酸ストロンチウム、モンタン酸バリウム、モンタン酸亜鉛、モンタン酸アルミニウム、モンタン酸銅、モンタン酸鉛等が挙げられる。
成形加工性(目ヤニ発生量の抑制など)、溶融安定性の観点から、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸マグネシウム、ベヘン酸カルシウム、ベヘン酸亜鉛が特に好ましい。
<製法>
なお、本実施形態のポリエチレン樹脂組成物に用いる金属石鹸の製法としては、従来公知の工業的製法である湿式法、乾式法、複分解法等(例えば、特開平11-35518に記載の金属石鹸の製造方法)で製造した金属石鹸に、下記の処理を行う方法が挙げられる。
一つ目は、金属石鹸にメタノールを追添した後、乾燥させるという方法である。これは、乾式法又は湿式法等によって製造した金属石鹸に、アルコール(メタノールなど)を吹きかけて攪拌した後、金属石鹸の融点マイナス70℃~融点マイナス20℃の温度範囲で乾燥させる方法である。このような処理を行うことで、金属石鹸中の水分がアルコールと共に共沸し、金属石鹸内の水分及び水和物が蒸発することで、結晶構造が密になって、流動パラフィン中で分散しにくくなり、押出時にミセルの状態で存在する金属石鹸の量が増えるため、導電性が下がる。
二つ目は、金属石鹸の反応後に急冷させるという方法である。これは、乾式法又は湿式法等によって金属石鹸を製造する際、反応工程終了後に、高温から室温まで一気に急冷させる方法である。冷却速度は0.5℃/min以上5.0℃/min以下に調整する必要がある。その結果、結晶構造が密になって流動パラフィン中で分散しにくくなり、押出時にミセルの状態で存在する金属石鹸の量が増えるため、導電性が下がる。
なお、本実施形態のポリエチレン樹脂組成物に用いる金属石鹸の製法としては、従来公知の工業的製法である湿式法、乾式法、複分解法等(例えば、特開平11-35518に記載の金属石鹸の製造方法)で製造した金属石鹸に、下記の処理を行う方法が挙げられる。
一つ目は、金属石鹸にメタノールを追添した後、乾燥させるという方法である。これは、乾式法又は湿式法等によって製造した金属石鹸に、アルコール(メタノールなど)を吹きかけて攪拌した後、金属石鹸の融点マイナス70℃~融点マイナス20℃の温度範囲で乾燥させる方法である。このような処理を行うことで、金属石鹸中の水分がアルコールと共に共沸し、金属石鹸内の水分及び水和物が蒸発することで、結晶構造が密になって、流動パラフィン中で分散しにくくなり、押出時にミセルの状態で存在する金属石鹸の量が増えるため、導電性が下がる。
二つ目は、金属石鹸の反応後に急冷させるという方法である。これは、乾式法又は湿式法等によって金属石鹸を製造する際、反応工程終了後に、高温から室温まで一気に急冷させる方法である。冷却速度は0.5℃/min以上5.0℃/min以下に調整する必要がある。その結果、結晶構造が密になって流動パラフィン中で分散しにくくなり、押出時にミセルの状態で存在する金属石鹸の量が増えるため、導電性が下がる。
〔成形体〕
本実施形態の成形体は、上述した第1の形態及び第2の形態のポリエチレン樹脂組成物の成形体である。
また、本実施形態の成形体は、上述の第1の形態及び第2の形態のポリエチレン樹脂組成物を種々の方法により成形して得られる。
本実施形態の成形体は、上述した第1の形態及び第2の形態のポリエチレン樹脂組成物の成形体である。
また、本実施形態の成形体は、上述の第1の形態及び第2の形態のポリエチレン樹脂組成物を種々の方法により成形して得られる。
(成形体の用途)
本実施形態の成形体は種々の用途に用いることができる。
本実施形態の成形体は、限定されるものではないが、例えば、微多孔膜、特に二次電池セパレータ用の微多孔膜、中でも、リチイムイオン二次電池セパレータ用微多孔膜、焼結体、高強度繊維等として好適である。
微多孔膜の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、溶剤を用いた湿式法において、Tダイを備え付けた押出し機にて、押出し、延伸、抽出、乾燥を経る加工方法が挙げられる。
また高分子量のエチレン重合体の特性である耐摩耗性、高摺動性、高強度、高衝撃性等の優れた特徴を活かし、上述のポリエチレン樹脂組成物を焼結して得られる成形体(焼結体)にも使用できる。
高強度繊維の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、流動パラフィンと上述のポリエチレン樹脂組成物とを混練紡糸後、加熱延伸することで得る方法が挙げられる。
本実施形態の成形体は種々の用途に用いることができる。
本実施形態の成形体は、限定されるものではないが、例えば、微多孔膜、特に二次電池セパレータ用の微多孔膜、中でも、リチイムイオン二次電池セパレータ用微多孔膜、焼結体、高強度繊維等として好適である。
微多孔膜の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、溶剤を用いた湿式法において、Tダイを備え付けた押出し機にて、押出し、延伸、抽出、乾燥を経る加工方法が挙げられる。
また高分子量のエチレン重合体の特性である耐摩耗性、高摺動性、高強度、高衝撃性等の優れた特徴を活かし、上述のポリエチレン樹脂組成物を焼結して得られる成形体(焼結体)にも使用できる。
高強度繊維の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、流動パラフィンと上述のポリエチレン樹脂組成物とを混練紡糸後、加熱延伸することで得る方法が挙げられる。
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて本実施形態を更に詳しく説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
実施例及び比較例で使用したエチレン、ヘキサンは、MS-3A(昭和ユニオン製)を用いて脱水し、ヘキサンは、さらに真空ポンプを用いた減圧脱気を行うことにより脱酸素した後に使用した。
〔測定方法及び条件〕
実施例及び比較例のポリエチレン樹脂組成物の物性を下記の方法で測定した。
実施例及び比較例のポリエチレン樹脂組成物の物性を下記の方法で測定した。
((1)粘度平均分子量(Mv))
実施例及び比較例で得られたポリエチレン樹脂組成物の粘度平均分子量Mvは、ISO1628-3(2010)に準拠し、以下に示す方法によって求めた。
まず、溶解管にポリエチレン樹脂組成物20mgを秤量し、溶解管を窒素置換した後、20mLのデカヒドロナフタレン(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノールを1g/L加えたもの)を加え、150℃で2時間攪拌してポリエチレン樹脂組成物を溶解させた。
その溶液を135℃の恒温槽で、キャノン-フェンスケの粘度計(柴田科学器械工業社製:製品番号-100)を用いて、標線間の落下時間(ts)を測定した。
ポリエチレン樹脂組成物量を10mg、5mg、2mgに変えたサンプルについても同様に標線間の落下時間(ts)を測定した。
ブランクとしてポリエチレン樹脂組成物を入れていない、デカヒドロナフタレンのみの落下時間(tb)を測定した。
以下の式に従ってポリエチレン樹脂組成物の還元粘度(ηsp/C)を求めた。
ηsp/C=(ts/tb-1)/0.1 (単位:dL/g)
濃度(C)(単位:g/dL)とポリエチレン樹脂組成物の還元粘度(ηsp/C)との関係をそれぞれプロットして、最小二乗法により近似直線式を導き、濃度0に外挿して極限粘度([η])を求めた。
次に下記(数式A)を用いて、上記極限粘度[η]の値から粘度平均分子量(Mv)を算出した。
Mv=(5.34×104)×[η]1.49 (数式A)
実施例及び比較例で得られたポリエチレン樹脂組成物の粘度平均分子量Mvは、ISO1628-3(2010)に準拠し、以下に示す方法によって求めた。
まず、溶解管にポリエチレン樹脂組成物20mgを秤量し、溶解管を窒素置換した後、20mLのデカヒドロナフタレン(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノールを1g/L加えたもの)を加え、150℃で2時間攪拌してポリエチレン樹脂組成物を溶解させた。
その溶液を135℃の恒温槽で、キャノン-フェンスケの粘度計(柴田科学器械工業社製:製品番号-100)を用いて、標線間の落下時間(ts)を測定した。
ポリエチレン樹脂組成物量を10mg、5mg、2mgに変えたサンプルについても同様に標線間の落下時間(ts)を測定した。
ブランクとしてポリエチレン樹脂組成物を入れていない、デカヒドロナフタレンのみの落下時間(tb)を測定した。
以下の式に従ってポリエチレン樹脂組成物の還元粘度(ηsp/C)を求めた。
ηsp/C=(ts/tb-1)/0.1 (単位:dL/g)
濃度(C)(単位:g/dL)とポリエチレン樹脂組成物の還元粘度(ηsp/C)との関係をそれぞれプロットして、最小二乗法により近似直線式を導き、濃度0に外挿して極限粘度([η])を求めた。
次に下記(数式A)を用いて、上記極限粘度[η]の値から粘度平均分子量(Mv)を算出した。
Mv=(5.34×104)×[η]1.49 (数式A)
((2)ポリエチレン樹脂組成物中の金属石鹸含有量(質量%))
実施例及び比較例で得られたポリエチレン樹脂組成物中の金属石鹸含有量を、以下に示す方法によって求めた。
X線管球から発生する強力な1次X線を、測定試料に照射すると、含有元素は励起され、元素特有の特性X線を発生する。このX線を分光室に導き波長を分析することによって、含有元素の存在が分かる。また、特性X線の強度から、元素の含有量を求めることができ、この元素の含有量から、ポリエチレン樹脂組成物中の添加剤の濃度を算出した。
まず、測定試料の作製方法を下記に示す。
<試料作製:厚み3.0mmのプレスシート作製>
ポリエチレン樹脂組成物を、180℃/1MPa/3min、及び180℃/10MPa/2minの条件で加熱プレスを行い、25℃/10MPa/5minの条件で冷却プレスすることで、測定試料であるプレスシートを作製した。
なお、金型厚みは3.0mmを使用した。
<ポリエチレン樹脂組成物中の添加剤の濃度測定>
作製したプレスシートにX線管球から発生する強力な1次X線を照射し、元素特有の特性X線を得た。このX線を分光室に導き波長を分析することによって、Ca強度(Ca含有量)を測定した。この含有量から、ポリエチレン樹脂組成物中の金属石鹸含有量を算出した。
実施例及び比較例で得られたポリエチレン樹脂組成物中の金属石鹸含有量を、以下に示す方法によって求めた。
X線管球から発生する強力な1次X線を、測定試料に照射すると、含有元素は励起され、元素特有の特性X線を発生する。このX線を分光室に導き波長を分析することによって、含有元素の存在が分かる。また、特性X線の強度から、元素の含有量を求めることができ、この元素の含有量から、ポリエチレン樹脂組成物中の添加剤の濃度を算出した。
まず、測定試料の作製方法を下記に示す。
<試料作製:厚み3.0mmのプレスシート作製>
ポリエチレン樹脂組成物を、180℃/1MPa/3min、及び180℃/10MPa/2minの条件で加熱プレスを行い、25℃/10MPa/5minの条件で冷却プレスすることで、測定試料であるプレスシートを作製した。
なお、金型厚みは3.0mmを使用した。
<ポリエチレン樹脂組成物中の添加剤の濃度測定>
作製したプレスシートにX線管球から発生する強力な1次X線を照射し、元素特有の特性X線を得た。このX線を分光室に導き波長を分析することによって、Ca強度(Ca含有量)を測定した。この含有量から、ポリエチレン樹脂組成物中の金属石鹸含有量を算出した。
((3)二軸押出した際のストランド堆積物の縦横比)
<二軸押出条件>
ポリエチレン樹脂組成物(超高分子量ポリエチレンパウダーと金属石鹸)と、流動パラフィンとを、下記(式I)及び(式II)の範囲内で混合することによりスラリーを得た。
すなわち、ポリマー濃度を式Iの値以上、式IIの値以下に調整した。
式I:Y=260.63X-0.484 Y:ポリマー濃度、X:分子量(Mv)
式II:Y=338.69X-0.626 Y:ポリマー濃度、X:分子量(Mv)
なお、前記スラリー中に含まれる金属石鹸量は、超高分子量ポリエチレンパウダーの質量に対して5質量%とした。
次に、前記スラリーを、(株)東洋精機社製ラボプラストミル(本体型式:4C150)用異方向回転二軸押出機(本体型式:2D25S)を用いて、混練押出し、ストランド堆積物を得た。
なお、二軸押出機としては、異方向二軸押出機を使用し、押出温度は160℃、スクリュー回転数は150rpm、吐出口のオリフィス径は1.0mm、吐出口から地面までの高さは1.0m以上1.1m以下、吐出量は0.5kg/h以上5.0kg/h以下、押出時間は1時間、雰囲気温湿度は15℃以上30℃以下/20%RH以上70%RH以下、床面材質はアルミ製とした。
上記のようにして、得られたストランド堆積物の縦横比は、図1に示すように、地面に対して垂直方向に堆積した最大高さを縦(H)、地面に対して水平方向に広がった最大広がり幅を横(W)とし、縦の高さを横の広がり幅で割ることにより、(縦の高さ/横の広がり幅=H/W)を算出した。縦(H)は、床面からストランド堆積物の頂点までの最大高さとし、横(W)はストランド堆積物の底部断面を撮影した観察画像から、画像解析ソフト(旭化成製 A像くんver.2.50)を用いて底部断面の円相当径を算出し、Wとした。
<二軸押出条件>
ポリエチレン樹脂組成物(超高分子量ポリエチレンパウダーと金属石鹸)と、流動パラフィンとを、下記(式I)及び(式II)の範囲内で混合することによりスラリーを得た。
すなわち、ポリマー濃度を式Iの値以上、式IIの値以下に調整した。
式I:Y=260.63X-0.484 Y:ポリマー濃度、X:分子量(Mv)
式II:Y=338.69X-0.626 Y:ポリマー濃度、X:分子量(Mv)
なお、前記スラリー中に含まれる金属石鹸量は、超高分子量ポリエチレンパウダーの質量に対して5質量%とした。
次に、前記スラリーを、(株)東洋精機社製ラボプラストミル(本体型式:4C150)用異方向回転二軸押出機(本体型式:2D25S)を用いて、混練押出し、ストランド堆積物を得た。
なお、二軸押出機としては、異方向二軸押出機を使用し、押出温度は160℃、スクリュー回転数は150rpm、吐出口のオリフィス径は1.0mm、吐出口から地面までの高さは1.0m以上1.1m以下、吐出量は0.5kg/h以上5.0kg/h以下、押出時間は1時間、雰囲気温湿度は15℃以上30℃以下/20%RH以上70%RH以下、床面材質はアルミ製とした。
上記のようにして、得られたストランド堆積物の縦横比は、図1に示すように、地面に対して垂直方向に堆積した最大高さを縦(H)、地面に対して水平方向に広がった最大広がり幅を横(W)とし、縦の高さを横の広がり幅で割ることにより、(縦の高さ/横の広がり幅=H/W)を算出した。縦(H)は、床面からストランド堆積物の頂点までの最大高さとし、横(W)はストランド堆積物の底部断面を撮影した観察画像から、画像解析ソフト(旭化成製 A像くんver.2.50)を用いて底部断面の円相当径を算出し、Wとした。
((4)ポリエチレン樹脂組成物中から金属石鹸を抽出する方法)
ポリエチレン樹脂組成物中から金属石鹸を、下記に示す条件に従い、抽出した。
クロロホルム/プロピレングリコール(9/1:単位は質量%)の混合溶媒中に、ポリエチレン樹脂組成物を投入し、室温で30分~1時間攪拌した後、吸引ろ過した。
得られた溶媒をエバポレーターで減圧・加熱下で沸点制御しながら、クロロホルムを取り除き、その後、エタノールで共洗いしながら、吸引ろ過することで、金属石鹸を得た。
かかる(4)により抽出した金属石鹸は、後述する((7)金属石鹸中の、炭素数が16又は18の脂肪酸の含有量)の測定に用いた。
ポリエチレン樹脂組成物中から金属石鹸を、下記に示す条件に従い、抽出した。
クロロホルム/プロピレングリコール(9/1:単位は質量%)の混合溶媒中に、ポリエチレン樹脂組成物を投入し、室温で30分~1時間攪拌した後、吸引ろ過した。
得られた溶媒をエバポレーターで減圧・加熱下で沸点制御しながら、クロロホルムを取り除き、その後、エタノールで共洗いしながら、吸引ろ過することで、金属石鹸を得た。
かかる(4)により抽出した金属石鹸は、後述する((7)金属石鹸中の、炭素数が16又は18の脂肪酸の含有量)の測定に用いた。
((5)金属石鹸のアルキル鎖一本当たりの平均炭素数及びC18/C16の比率)
前記(4)に記載の方法でポリエチレン樹脂組成物中から抽出した金属石鹸をガスクロマトグラフ(GC)を用いて分析することで、アルキル鎖一本当たりの炭素数が18である脂肪酸(C18)、及びアルキル鎖一本あたりの炭素数が16である脂肪酸(C16)の質量比率:C18/C16を算出した。
金属石鹸100mgを正確に秤量し、還流冷却器に付けた小さなコニカルフラスコにとる。三フッ化ホウ素・メタノール試薬5.0mLを加えて振り混ぜ、溶けるまで約10分間加熱した。冷却器からヘプタン4.0mLを加え、約10分間加熱した。冷却後、飽和塩化ナトリウム溶液20mLを加えて振り混ぜ、放置して液を二層に分離させた。分離したヘプタン層を、あらかじめヘプタンで洗った約0.1gの無水硫酸ナトリウムを通して別のフラスコに取った。この液、1.0mLを、10mLのメスフラスコにとり、ヘプタンを加えて正確に10mLとし、振り混ぜ、試料溶液とした。
試料溶液1μLにつき、次の条件でガスクロマトグラフ法により試験を行った。
試料溶液のステアリン酸メチルのピーク面積A、及び得られたすべての脂肪酸エステルのピーク面積B(検出した全てのピーク面積)を測定し、金属石鹸の脂肪酸分画中のステアリン酸の比率(質量%)を次式により計算した。
ステアリン酸の比率(質量%)=A/B×100
同様に、金属石鹸中に含まれるパルミチン酸の比率(質量%)を計算した。
ステアリン酸メチルのピーク面積及びステアリン酸メチルとパルミチン酸メチルの合計ピーク面積は、クロマトグラムで得られた全ての脂肪酸エステルのピークの合計面積の、それぞれ40質量%以上及び90質量%以上であった。
なお、測定溶液は、ステアリン酸とパルミチン酸の他に若干の高級脂肪酸を含むため、ステアリン酸とパルミチン酸の含有率をガスクロマトグラフ法で試験すると同時に、他の高級脂肪酸の存在量を10質量%以下に規定した。
<操作条件>
検出器:約260℃に保持した水素炎イオン化検出器
試料導入部:約220℃に保持したスプリットレス注入部
カラム:内径約0.32mm、長さ約30mの石英製カラムの内面に厚さ0.5μmでガスクロマトグラフ用ポリエチレングリコール15000-ジエポキシドを被覆したもの。
カラム温度:試料注入後約2分間70℃に保ち、その後、毎分5℃の速度で240℃ま
で上昇させた後、この温度を5分間維持する。
キャリヤーガス:ヘリウム
流量:毎秒約50cm程度の一定流量
カラムの選定:デシケーター(シリカゲル)で4時間乾燥したガスクロマトグラフ用ステアリン酸及びガスクロマトグラフ用パルミチン酸それぞれ約50mgを正確に量り、還流冷却器を付けた小さなコニカルフラスコにとる。三フッ化ホウ素・メタノール試液5.0mlを加えて振り混ぜ、以下、試料溶液と同様に操作し、装置調整用溶液とする。この液1μmにつき、上記の操作条件で操作する時、ステアリン酸メチルに対するパルミチン酸メチルの相対保持時間比は約0.86で、その分離度が5.0以上のものを用いる。
試験の再現性:上記の条件で装置調整用溶液につき、試験を6回繰り返す時、パルミチン酸メチル及びステアリン酸メチルのピーク面積の相対標準偏差は6.0%以下である。また、この繰り返しで得られるステアリン酸メチルのピークに対するパルミチン酸メチルのピーク面積比の相対標準偏差は1.0%以下である。
前記(4)に記載の方法でポリエチレン樹脂組成物中から抽出した金属石鹸をガスクロマトグラフ(GC)を用いて分析することで、アルキル鎖一本当たりの炭素数が18である脂肪酸(C18)、及びアルキル鎖一本あたりの炭素数が16である脂肪酸(C16)の質量比率:C18/C16を算出した。
金属石鹸100mgを正確に秤量し、還流冷却器に付けた小さなコニカルフラスコにとる。三フッ化ホウ素・メタノール試薬5.0mLを加えて振り混ぜ、溶けるまで約10分間加熱した。冷却器からヘプタン4.0mLを加え、約10分間加熱した。冷却後、飽和塩化ナトリウム溶液20mLを加えて振り混ぜ、放置して液を二層に分離させた。分離したヘプタン層を、あらかじめヘプタンで洗った約0.1gの無水硫酸ナトリウムを通して別のフラスコに取った。この液、1.0mLを、10mLのメスフラスコにとり、ヘプタンを加えて正確に10mLとし、振り混ぜ、試料溶液とした。
試料溶液1μLにつき、次の条件でガスクロマトグラフ法により試験を行った。
試料溶液のステアリン酸メチルのピーク面積A、及び得られたすべての脂肪酸エステルのピーク面積B(検出した全てのピーク面積)を測定し、金属石鹸の脂肪酸分画中のステアリン酸の比率(質量%)を次式により計算した。
ステアリン酸の比率(質量%)=A/B×100
同様に、金属石鹸中に含まれるパルミチン酸の比率(質量%)を計算した。
ステアリン酸メチルのピーク面積及びステアリン酸メチルとパルミチン酸メチルの合計ピーク面積は、クロマトグラムで得られた全ての脂肪酸エステルのピークの合計面積の、それぞれ40質量%以上及び90質量%以上であった。
なお、測定溶液は、ステアリン酸とパルミチン酸の他に若干の高級脂肪酸を含むため、ステアリン酸とパルミチン酸の含有率をガスクロマトグラフ法で試験すると同時に、他の高級脂肪酸の存在量を10質量%以下に規定した。
<操作条件>
検出器:約260℃に保持した水素炎イオン化検出器
試料導入部:約220℃に保持したスプリットレス注入部
カラム:内径約0.32mm、長さ約30mの石英製カラムの内面に厚さ0.5μmでガスクロマトグラフ用ポリエチレングリコール15000-ジエポキシドを被覆したもの。
カラム温度:試料注入後約2分間70℃に保ち、その後、毎分5℃の速度で240℃ま
で上昇させた後、この温度を5分間維持する。
キャリヤーガス:ヘリウム
流量:毎秒約50cm程度の一定流量
カラムの選定:デシケーター(シリカゲル)で4時間乾燥したガスクロマトグラフ用ステアリン酸及びガスクロマトグラフ用パルミチン酸それぞれ約50mgを正確に量り、還流冷却器を付けた小さなコニカルフラスコにとる。三フッ化ホウ素・メタノール試液5.0mlを加えて振り混ぜ、以下、試料溶液と同様に操作し、装置調整用溶液とする。この液1μmにつき、上記の操作条件で操作する時、ステアリン酸メチルに対するパルミチン酸メチルの相対保持時間比は約0.86で、その分離度が5.0以上のものを用いる。
試験の再現性:上記の条件で装置調整用溶液につき、試験を6回繰り返す時、パルミチン酸メチル及びステアリン酸メチルのピーク面積の相対標準偏差は6.0%以下である。また、この繰り返しで得られるステアリン酸メチルのピークに対するパルミチン酸メチルのピーク面積比の相対標準偏差は1.0%以下である。
((6)金属石鹸のCaイオン濃度(mg/L))
ポリエチレン樹脂組成物中の金属石鹸のCaイオン濃度を、キレート滴定により算出した。
前記(4)に記載の方法で、ポリエチレン樹脂組成物中から抽出した金属石鹸0.5gを小ルツボに精秤し、電熱器で強熱した。
煙が出てきたら、火をつけて完全燃焼させた。
電気炉(800℃)に30分間入れて灰化させた。炉外に取り出し、自然冷却させた。
灰化物に塩酸1.5mLを投入し、イオン交換水を1.0mL加えて、電熱器で5分間加温溶解させた。
小ルツボの内容物を少量のイオン交換水で洗いながら、これらを三角フラスコ(300mL)に流し込み、イオン交換水を約95mL加えて、100mLとした。
メスピペット(25mL)で緩衝液(塩化アンモニウム・アンモニア溶液)を10.0mL加えた。
EBT(エリオクロムブラックT)指示薬を4~5滴加えた。ビュレット(50mL)で0.05mol/L EDTA標準液で滴定し、三角フラスコを振りながら赤から青に変色した滴定量を読み取った。
ポリエチレン樹脂組成物中の金属石鹸のCaイオン濃度を、キレート滴定により算出した。
前記(4)に記載の方法で、ポリエチレン樹脂組成物中から抽出した金属石鹸0.5gを小ルツボに精秤し、電熱器で強熱した。
煙が出てきたら、火をつけて完全燃焼させた。
電気炉(800℃)に30分間入れて灰化させた。炉外に取り出し、自然冷却させた。
灰化物に塩酸1.5mLを投入し、イオン交換水を1.0mL加えて、電熱器で5分間加温溶解させた。
小ルツボの内容物を少量のイオン交換水で洗いながら、これらを三角フラスコ(300mL)に流し込み、イオン交換水を約95mL加えて、100mLとした。
メスピペット(25mL)で緩衝液(塩化アンモニウム・アンモニア溶液)を10.0mL加えた。
EBT(エリオクロムブラックT)指示薬を4~5滴加えた。ビュレット(50mL)で0.05mol/L EDTA標準液で滴定し、三角フラスコを振りながら赤から青に変色した滴定量を読み取った。
((7)金属石鹸中の、炭素数が16又は18の脂肪酸の含有量(質量%))
ポリエチレン樹脂組成物中の金属石鹸に含まれる、炭素数が16又は18の脂肪酸の含有量(質量%)を下記により算出した。
まず、ポリエチレン樹脂組成物中の金属石鹸に含まれる、炭素数が16又は18の脂肪酸の質量を、前記(4)に記載の方法でポリエチレン樹脂組成物中から抽出した金属石鹸1.0g中に含まれている遊離脂肪酸をステアリン酸の質量百分率として算出することにより得た。
前記(4)に記載の方法でポリエチレン樹脂組成物中から抽出した金属石鹸2.0gを三角フラスコ(300mL)に精秤した。メスシリンダーで計量した遊離脂肪酸(FFA)測定用アセトン95mLを加え、手で数回振って分散させて60分間室温で放置した。
その液をろ紙(ADVANTEC NO.2)にて濾過させた。
さらにFFA測定アセトン5.0mLで三角フラスコの底に溜まった試料を洗い流して濾過させた。
FFA測定用アセトン100mLを三角フラスコに秤量し、フェノールフタレイン指示薬を3~4滴加えた。ビュレット(5mL)で0.1mol/L水酸化カリウム・エタノール溶液で滴定し、三角フラスコを振りながら微紅色が発色し、30秒間続いた時点の滴定量BmLを読み取った。
次に、濾過された濾液にフェノールフタレイン指示薬を3~4滴加えた。ビュレット(5mL)で0.1mol/L水酸化カリウム・エタノール溶液で滴定し、三角フラスコを振りながら微紅色が発色し、30秒間続いた時点の滴定量AmLを読み取った。遊離脂肪酸(質量%)を次式で算出した。
F×2.743×(A-BmL)/2g(試料である金属石鹸質量)
(F:ファクター)
ポリエチレン樹脂組成物中の金属石鹸に含まれる、炭素数が16又は18の脂肪酸の含有量(質量%)を下記により算出した。
まず、ポリエチレン樹脂組成物中の金属石鹸に含まれる、炭素数が16又は18の脂肪酸の質量を、前記(4)に記載の方法でポリエチレン樹脂組成物中から抽出した金属石鹸1.0g中に含まれている遊離脂肪酸をステアリン酸の質量百分率として算出することにより得た。
前記(4)に記載の方法でポリエチレン樹脂組成物中から抽出した金属石鹸2.0gを三角フラスコ(300mL)に精秤した。メスシリンダーで計量した遊離脂肪酸(FFA)測定用アセトン95mLを加え、手で数回振って分散させて60分間室温で放置した。
その液をろ紙(ADVANTEC NO.2)にて濾過させた。
さらにFFA測定アセトン5.0mLで三角フラスコの底に溜まった試料を洗い流して濾過させた。
FFA測定用アセトン100mLを三角フラスコに秤量し、フェノールフタレイン指示薬を3~4滴加えた。ビュレット(5mL)で0.1mol/L水酸化カリウム・エタノール溶液で滴定し、三角フラスコを振りながら微紅色が発色し、30秒間続いた時点の滴定量BmLを読み取った。
次に、濾過された濾液にフェノールフタレイン指示薬を3~4滴加えた。ビュレット(5mL)で0.1mol/L水酸化カリウム・エタノール溶液で滴定し、三角フラスコを振りながら微紅色が発色し、30秒間続いた時点の滴定量AmLを読み取った。遊離脂肪酸(質量%)を次式で算出した。
F×2.743×(A-BmL)/2g(試料である金属石鹸質量)
(F:ファクター)
((8)ポリエチレン樹脂組成物の結晶化度(%))
ポリエチレン樹脂組成物の結晶化度を、広角X線散乱(WAXS)により下記条件で測定した。
測定には、リガク社製Ultima-IVを用いた。
Cu-Kα線を、試料であるポリエチレン樹脂組成物に入射し、D/tex Uitraにより回折光を検出した。
測定条件は、試料と検出器間との距離が285mm、励起電圧が40kV、電流が40mAの条件とした。
光学系には集中光学系を採用し、スリット条件は、DS=1/2°、SS=解放、縦スリット=10mmとした。
ポリエチレン樹脂組成物の結晶化度を、広角X線散乱(WAXS)により下記条件で測定した。
測定には、リガク社製Ultima-IVを用いた。
Cu-Kα線を、試料であるポリエチレン樹脂組成物に入射し、D/tex Uitraにより回折光を検出した。
測定条件は、試料と検出器間との距離が285mm、励起電圧が40kV、電流が40mAの条件とした。
光学系には集中光学系を採用し、スリット条件は、DS=1/2°、SS=解放、縦スリット=10mmとした。
((9)ポリエチレン樹脂組成物中のTi、Al含有量(ppm))
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物をマイクロウェーブ分解装置(型式ETHOS TC、マイルストーンゼネラル社製)を用い加圧分解し、内部標準法にて、ICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析装置、型式Xシリーズ X7、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用いて、ポリエチレン樹脂組成物中の含有金属としてチタン(Ti)、アルミニウム(Al)の元素濃度を測定した。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物をマイクロウェーブ分解装置(型式ETHOS TC、マイルストーンゼネラル社製)を用い加圧分解し、内部標準法にて、ICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析装置、型式Xシリーズ X7、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用いて、ポリエチレン樹脂組成物中の含有金属としてチタン(Ti)、アルミニウム(Al)の元素濃度を測定した。
((10)二次電池セパレータ用微多孔膜の製造方法)
ポリエチレン樹脂組成物を用いて二次電池セパレータ用微多孔膜を製造した。
ポリエチレン樹脂組成物と流動パラフィンとの合計を100質量部とし、5~50質量部の超高分子量ポリエチレンパウダーと、50~95質量部の流動パラフィン((株)松村石油研究所製流動パラフィン(製品名:スモイルP-350P))と、さらに1質量部の酸化防止剤(グレートレイクスケミカル日本(株)製テトラキス[メチレン(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマート)]メタン(製品名:ANOX20))とを配合してスラリー状液体を調製した。
なお、詳細なポリマー濃度は、前記(3)に記載の通りである。
得られたスラリー状液体は窒素で置換を行った後に、(株)東洋精機社製ラボプラストミル(本体型式:4C150)用異方向回転二軸押出機(本体型式:2D25S)へ窒素雰囲気下でフィーダーを介して投入し、200℃条件で混練した後、押出機先端に設置したTダイから押出した後、ただちに25℃に冷却したキャストロールで冷却固化させゲル状シートを成形した。
このゲル状シートを120℃で同時二軸延伸機を用いて7×7倍に延伸した後、この延伸フィルムを塩化メチレン又はヘキサンに浸漬し、流動パラフィンを抽出除去後、24時間以上真空乾燥した。さらに125℃、3分で熱固定し、二次電池セパレータ用微多孔膜を得た。
ポリエチレン樹脂組成物を用いて二次電池セパレータ用微多孔膜を製造した。
ポリエチレン樹脂組成物と流動パラフィンとの合計を100質量部とし、5~50質量部の超高分子量ポリエチレンパウダーと、50~95質量部の流動パラフィン((株)松村石油研究所製流動パラフィン(製品名:スモイルP-350P))と、さらに1質量部の酸化防止剤(グレートレイクスケミカル日本(株)製テトラキス[メチレン(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマート)]メタン(製品名:ANOX20))とを配合してスラリー状液体を調製した。
なお、詳細なポリマー濃度は、前記(3)に記載の通りである。
得られたスラリー状液体は窒素で置換を行った後に、(株)東洋精機社製ラボプラストミル(本体型式:4C150)用異方向回転二軸押出機(本体型式:2D25S)へ窒素雰囲気下でフィーダーを介して投入し、200℃条件で混練した後、押出機先端に設置したTダイから押出した後、ただちに25℃に冷却したキャストロールで冷却固化させゲル状シートを成形した。
このゲル状シートを120℃で同時二軸延伸機を用いて7×7倍に延伸した後、この延伸フィルムを塩化メチレン又はヘキサンに浸漬し、流動パラフィンを抽出除去後、24時間以上真空乾燥した。さらに125℃、3分で熱固定し、二次電池セパレータ用微多孔膜を得た。
((11)目ヤニ抑制効果)
前記(3)に記載の二軸押出方法に従い、吐出量及び雰囲気温湿度を揃えた状態で、1時間押出作業を行った後に、オリフィス先端に付着した目ヤニの質量を測定して、目ヤニ抑制効果の有無を判断した。
(評価基準)
A(良い)・・・目ヤニ量が15mg/h未満
B(普通)・・・目ヤニ量が15mg/h以上20mg/h未満
C(悪い)・・・目ヤニ量が20mg/h以上
前記(3)に記載の二軸押出方法に従い、吐出量及び雰囲気温湿度を揃えた状態で、1時間押出作業を行った後に、オリフィス先端に付着した目ヤニの質量を測定して、目ヤニ抑制効果の有無を判断した。
(評価基準)
A(良い)・・・目ヤニ量が15mg/h未満
B(普通)・・・目ヤニ量が15mg/h以上20mg/h未満
C(悪い)・・・目ヤニ量が20mg/h以上
((12)微多孔膜中の金属石鹸量)
前記(10)に記載した方法で製造した二次電池セパレータ用微多孔膜を、マイクロウェーブ分解装置(型式ETHOS TC、マイルストーンゼネラル社製)を用い加圧分解し、内部標準法にて、ICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析装置、型式Xシリーズ X7、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用いて、微多孔膜中の含有金属としてカルシウム(Ca)の元素濃度を測定し、これを金属石鹸量として算出した。
(評価基準)
A(良い)・・・100ppm未満
B(普通)・・・100ppm以上200ppm未満
C(悪い)・・・200ppm以上
前記(10)に記載した方法で製造した二次電池セパレータ用微多孔膜を、マイクロウェーブ分解装置(型式ETHOS TC、マイルストーンゼネラル社製)を用い加圧分解し、内部標準法にて、ICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析装置、型式Xシリーズ X7、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用いて、微多孔膜中の含有金属としてカルシウム(Ca)の元素濃度を測定し、これを金属石鹸量として算出した。
(評価基準)
A(良い)・・・100ppm未満
B(普通)・・・100ppm以上200ppm未満
C(悪い)・・・200ppm以上
((13)微多孔膜の耐電圧)
直径4cmのアルミニウム製電極で、前記(10)に記載した方法で製造した微多孔膜を挟み、15gの荷重をかけ、これを菊水電子工業製の耐電圧測定機(TOS9201)に繋いで測定を実施した。
測定条件は、交流電圧(60Hz)を1.0kV/secの速度でかけていき、短絡した電圧値を膜の耐電圧(kV)とした。
(評価基準)
A(良い)・・・1.0kV以上
B(普通)・・・0.5kV以上1.0kV未満
C(悪い)・・・0.5kV未満
直径4cmのアルミニウム製電極で、前記(10)に記載した方法で製造した微多孔膜を挟み、15gの荷重をかけ、これを菊水電子工業製の耐電圧測定機(TOS9201)に繋いで測定を実施した。
測定条件は、交流電圧(60Hz)を1.0kV/secの速度でかけていき、短絡した電圧値を膜の耐電圧(kV)とした。
(評価基準)
A(良い)・・・1.0kV以上
B(普通)・・・0.5kV以上1.0kV未満
C(悪い)・・・0.5kV未満
〔触媒合成方法〕
[固体触媒成分[A]の調製]
((1)原料(a-1)の合成)
充分に窒素置換された8Lステンレス製オートクレーブに、1mol/LのMg6(C4H9)12Al(C2H5)3のヘキサン溶液2,000mL(マグネシウムとアルミニウムとの合計で2000mmol相当)を仕込み、80℃で攪拌しながら、8.33mol/Lのメチルハイドロジエンポリシロキサン(信越化学工業社製)のヘキサン溶液240mLを圧送し、さらに80℃で2時間かけて攪拌を継続させた。
反応終了後、常温まで冷却した反応液を原料(a-1)とした。
原料(a-1)はマグネシウムとアルミニウムとの合計濃度で0.786mol/Lであった。
((2)固体触媒成分[A]の調製)
窒素置換された8Lステンレス製オートクレーブにヘキサン1,600mLを添加し、10℃で攪拌しながら、1mol/Lの四塩化チタンのヘキサン溶液800mLと、前記原料(a-1)800mLとを同時に5時間かけて添加した。
10℃で1時間反応を継続させた。反応終了後、得られた反応液の上澄み液を除去し、ヘキサンで4回洗浄することにより、未反応原料成分を除去し、固体触媒成分[A]を調製した。
[固体触媒成分[A]の調製]
((1)原料(a-1)の合成)
充分に窒素置換された8Lステンレス製オートクレーブに、1mol/LのMg6(C4H9)12Al(C2H5)3のヘキサン溶液2,000mL(マグネシウムとアルミニウムとの合計で2000mmol相当)を仕込み、80℃で攪拌しながら、8.33mol/Lのメチルハイドロジエンポリシロキサン(信越化学工業社製)のヘキサン溶液240mLを圧送し、さらに80℃で2時間かけて攪拌を継続させた。
反応終了後、常温まで冷却した反応液を原料(a-1)とした。
原料(a-1)はマグネシウムとアルミニウムとの合計濃度で0.786mol/Lであった。
((2)固体触媒成分[A]の調製)
窒素置換された8Lステンレス製オートクレーブにヘキサン1,600mLを添加し、10℃で攪拌しながら、1mol/Lの四塩化チタンのヘキサン溶液800mLと、前記原料(a-1)800mLとを同時に5時間かけて添加した。
10℃で1時間反応を継続させた。反応終了後、得られた反応液の上澄み液を除去し、ヘキサンで4回洗浄することにより、未反応原料成分を除去し、固体触媒成分[A]を調製した。
[固体触媒成分[B]の調製]
((1)原料(b-1)の合成)
充分に窒素置換された8Lステンレス製オートクレーブに、1mol/LのMg6(C4H9)12Al(C2H5)3のヘキサン溶液2,000mL(マグネシウムとアルミニウムとの合計で2000mmol相当)を仕込み、50℃で攪拌しながら、5.47mol/Lのn-ブタノールヘキサン溶液146mLを3時間かけて滴下し、滴下終了後ラインを300mLのヘキサンで洗浄した。
さらに、50℃で2時間かけて攪拌を継続した。反応終了後、常温まで冷却した反応液を原料(b-1)とした。
原料(b-1)はマグネシウムの濃度で0.704mol/Lであった。
((2)原料(b-2)の合成)
充分に窒素置換された8Lステンレス製オートクレーブに1mol/LのMg6(C4H9)12Al(C2H5)3のヘキサン溶液2,000mL(マグネシウムとアルミニウムとの合計で2000mmol相当)を仕込み、80℃で攪拌しながら、8.33mol/Lのメチルハイドロジエンポリシロキサン(信越化学工業社製)のヘキサン溶液240mLを圧送し、さらに80℃で2時間かけて攪拌を継続させた。反応終了後、常温まで冷却した反応液を原料(b-2)とした。
原料(b-2)はマグネシウムとアルミニウムとの合計濃度で0.786mol/Lであった。
((3)(B-1)担体の合成)
充分に窒素置換された8Lステンレス製オートクレーブに1mol/Lのヒドロキシトリクロロシランのヘキサン溶液1,000mLを仕込み、65℃で原料(b-1)の有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液1340mL(マグネシウム943mmol相当)を3時間かけて滴下し、さらに65℃で1時間攪拌しながら反応を継続させた。反応終了後、得られた反応液の上澄み液を除去し、1,800mLのヘキサンで4回洗浄し、(B-1)担体を得た。
この担体(B-1)を分析した結果、固体1g当たりに含まれるマグネシウムは7.5mmolであった。
((4)固体触媒成分[B]の調製)
上記(B-1)担体110gを含有するヘキサンスラリー1,970mLに10℃で攪拌しながら、1mol/Lの四塩化チタンのヘキサン溶液103mLと原料(b-2)131mLとを同時に3時間かけて添加した。
添加後、10℃で1時間反応を継続させた。反応終了後、得られた反応液の上澄み液を除去し、ヘキサンで4回洗浄することにより、未反応原料成分を除去し、固体触媒成分[B]を調製した。
((1)原料(b-1)の合成)
充分に窒素置換された8Lステンレス製オートクレーブに、1mol/LのMg6(C4H9)12Al(C2H5)3のヘキサン溶液2,000mL(マグネシウムとアルミニウムとの合計で2000mmol相当)を仕込み、50℃で攪拌しながら、5.47mol/Lのn-ブタノールヘキサン溶液146mLを3時間かけて滴下し、滴下終了後ラインを300mLのヘキサンで洗浄した。
さらに、50℃で2時間かけて攪拌を継続した。反応終了後、常温まで冷却した反応液を原料(b-1)とした。
原料(b-1)はマグネシウムの濃度で0.704mol/Lであった。
((2)原料(b-2)の合成)
充分に窒素置換された8Lステンレス製オートクレーブに1mol/LのMg6(C4H9)12Al(C2H5)3のヘキサン溶液2,000mL(マグネシウムとアルミニウムとの合計で2000mmol相当)を仕込み、80℃で攪拌しながら、8.33mol/Lのメチルハイドロジエンポリシロキサン(信越化学工業社製)のヘキサン溶液240mLを圧送し、さらに80℃で2時間かけて攪拌を継続させた。反応終了後、常温まで冷却した反応液を原料(b-2)とした。
原料(b-2)はマグネシウムとアルミニウムとの合計濃度で0.786mol/Lであった。
((3)(B-1)担体の合成)
充分に窒素置換された8Lステンレス製オートクレーブに1mol/Lのヒドロキシトリクロロシランのヘキサン溶液1,000mLを仕込み、65℃で原料(b-1)の有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液1340mL(マグネシウム943mmol相当)を3時間かけて滴下し、さらに65℃で1時間攪拌しながら反応を継続させた。反応終了後、得られた反応液の上澄み液を除去し、1,800mLのヘキサンで4回洗浄し、(B-1)担体を得た。
この担体(B-1)を分析した結果、固体1g当たりに含まれるマグネシウムは7.5mmolであった。
((4)固体触媒成分[B]の調製)
上記(B-1)担体110gを含有するヘキサンスラリー1,970mLに10℃で攪拌しながら、1mol/Lの四塩化チタンのヘキサン溶液103mLと原料(b-2)131mLとを同時に3時間かけて添加した。
添加後、10℃で1時間反応を継続させた。反応終了後、得られた反応液の上澄み液を除去し、ヘキサンで4回洗浄することにより、未反応原料成分を除去し、固体触媒成分[B]を調製した。
〔ポリエチレン樹脂組成物の製造〕
(実施例1)
ヘキサン、エチレン、水素及び触媒を、攪拌装置が付いたベッセル型300L重合反応器(1)に連続的に供給した。重合圧力は0.5MPaであった。重合温度はジャケット冷却により83℃に保った。
ヘキサンは40L/時間で重合反応器(1)の底部から供給した。触媒として固体触媒成分[A]を使用し、助触媒としてトリイソブチルアルミニウムとジイソブチルアルミニウムハイドライドとの混合物(順に質量比で9:1混合物)を使用した。
固体触媒成分[A]は、0.2g/時間の速度で重合反応器(1)の液面と底部との中間から添加し、助触媒は10mmol/時間の速度で重合反応器(1)の液面と底部との中間から添加した。
ポリエチレンの製造速度は14kg/時間であった。
水素を、気相のエチレンに対する水素濃度が11.0mol%になるようにポンプで連続的に供給した。なお、水素は気相部に供給し、エチレンは重合反応器(1)の底部から供給した。
触媒活性は50,000g-PE/g-固体触媒成分[A]であった。
次に、重合スラリーを重合反応器のレベルが一定に保たれるように連続的に圧力0.05MPa、温度83℃のフラッシュドラムに抜き、未反応のエチレン及び水素を分離した。
(実施例1)
ヘキサン、エチレン、水素及び触媒を、攪拌装置が付いたベッセル型300L重合反応器(1)に連続的に供給した。重合圧力は0.5MPaであった。重合温度はジャケット冷却により83℃に保った。
ヘキサンは40L/時間で重合反応器(1)の底部から供給した。触媒として固体触媒成分[A]を使用し、助触媒としてトリイソブチルアルミニウムとジイソブチルアルミニウムハイドライドとの混合物(順に質量比で9:1混合物)を使用した。
固体触媒成分[A]は、0.2g/時間の速度で重合反応器(1)の液面と底部との中間から添加し、助触媒は10mmol/時間の速度で重合反応器(1)の液面と底部との中間から添加した。
ポリエチレンの製造速度は14kg/時間であった。
水素を、気相のエチレンに対する水素濃度が11.0mol%になるようにポンプで連続的に供給した。なお、水素は気相部に供給し、エチレンは重合反応器(1)の底部から供給した。
触媒活性は50,000g-PE/g-固体触媒成分[A]であった。
次に、重合スラリーを重合反応器のレベルが一定に保たれるように連続的に圧力0.05MPa、温度83℃のフラッシュドラムに抜き、未反応のエチレン及び水素を分離した。
次に、重合スラリーは、重合反応器のレベルが一定に保たれるように連続的に遠心分離機に送り、ポリエチレンパウダーとそれ以外の溶媒等を分離した。その時のポリエチレンパウダーに対する溶媒等の含有量は45質量%であった。
分離されたポリエチレンパウダーは、108℃で窒素ブローしながら乾燥した。なお、この乾燥工程で、重合後のパウダーに対し、スチームを噴霧して、触媒及び助触媒の失活を実施した。また、全体の乾燥時間は2時間とした。
得られたポリエチレンパウダーに対し、ステアリン酸カルシウム(C18/C16比率が69.3)を0.150質量%添加し、ヘンシェルミキサーを用いて、均一混合した。
得られたポリエチレンパウダーを目開き425μmの篩を用いて、篩を通過しなかったものを除去することでポリエチレン樹脂組成物(A-1)を得た。
粘度平均分子量(Mv)は30×104であった。
また、得られたポリエチレン樹脂組成物の特性を上記の方法により測定した。
測定結果を下記表2に示す。
得られたポリエチレンパウダーに対し、ステアリン酸カルシウム(C18/C16比率が69.3)を0.150質量%添加し、ヘンシェルミキサーを用いて、均一混合した。
得られたポリエチレンパウダーを目開き425μmの篩を用いて、篩を通過しなかったものを除去することでポリエチレン樹脂組成物(A-1)を得た。
粘度平均分子量(Mv)は30×104であった。
また、得られたポリエチレン樹脂組成物の特性を上記の方法により測定した。
測定結果を下記表2に示す。
前記ステアリン酸カルシウム(C18/C16比率が69.3)は、下記に示す方法で得た。
温度80~90℃の溶融ステアリン酸(C18が97質量%、C16が1.4質量%、C18/C16質量比率が69.3)を毎時325kg、水酸化カルシウムを毎時44kg、及び混合物全体量に対して0.2%の酢酸を蒸気ジャケットにより約120℃に加温されたローター回転数約1000rpm(外周速度約12m/s)の連続混合型ピンミルに定量的に供給し、5~10秒の滞留時間を経て連続的に排出された予備混合物を、4.0℃/minの速度で急冷却固化した後、アトマイザー粉砕機にて粉砕し、粉末状の精密混合物を得た。
次に、得られた精密混合物から100gを取り、水5gと一緒に容量1Lのジューサーミキサーに入れ、攪拌を行った。攪拌開始10分後に水2gを追添加し、更に攪拌を続けたところ、白色粉末状の粉が得られた。得られた白色粉末状の粉にメタノールを吹きかけて攪拌した後、100℃で乾燥することで、ステアリン酸カルシウムを得た。
温度80~90℃の溶融ステアリン酸(C18が97質量%、C16が1.4質量%、C18/C16質量比率が69.3)を毎時325kg、水酸化カルシウムを毎時44kg、及び混合物全体量に対して0.2%の酢酸を蒸気ジャケットにより約120℃に加温されたローター回転数約1000rpm(外周速度約12m/s)の連続混合型ピンミルに定量的に供給し、5~10秒の滞留時間を経て連続的に排出された予備混合物を、4.0℃/minの速度で急冷却固化した後、アトマイザー粉砕機にて粉砕し、粉末状の精密混合物を得た。
次に、得られた精密混合物から100gを取り、水5gと一緒に容量1Lのジューサーミキサーに入れ、攪拌を行った。攪拌開始10分後に水2gを追添加し、更に攪拌を続けたところ、白色粉末状の粉が得られた。得られた白色粉末状の粉にメタノールを吹きかけて攪拌した後、100℃で乾燥することで、ステアリン酸カルシウムを得た。
実施例1のポリエチレン樹脂組成物の、二軸押出した際のストランド堆積物の縦横比を、前記((3)二軸押出した際のストランド堆積物の縦横比)に記載の方法により算出した。
なお、吐出口から地面までの高さは1.05m、吐出量は2.5(±0.5)kg/h、雰囲気温湿度は25℃/60%RHで行った。
測定結果を表2に示す。
なお、吐出口から地面までの高さは1.05m、吐出量は2.5(±0.5)kg/h、雰囲気温湿度は25℃/60%RHで行った。
測定結果を表2に示す。
実施例1に記載のポリエチレン樹脂組成物の金属石鹸を抽出する方法は、前記((4)ポリエチレン樹脂組成物中から金属石鹸を抽出する方法、金属石鹸含有量)に記載の方法に従って実施した。
なお、クロロホルム/プロピレングリコール(9/1)の混合溶媒中で、実施例1に記載のポリエチレン樹脂組成物を1時間攪拌、吸引ろ過した後、得られた溶媒中にメタノールを投入し再沈殿させ、再度吸引ろ過することで金属石鹸を得た。
なお、クロロホルム/プロピレングリコール(9/1)の混合溶媒中で、実施例1に記載のポリエチレン樹脂組成物を1時間攪拌、吸引ろ過した後、得られた溶媒中にメタノールを投入し再沈殿させ、再度吸引ろ過することで金属石鹸を得た。
上述のようにして得られた金属石鹸のC18/C16の比率は、前記((5)金属石鹸のアルキル鎖一本当たりの平均炭素数及びC18/C16の比率)に記載の方法に従って算出した。測定結果を表2に示す。
上述のようにして得られた金属石鹸のCaイオン濃度は、前記((6)金属石鹸のCaイオン濃度)に記載の方法に従って算出した。測定結果を表2に示す。
上述のようにして得られた金属石鹸の脂肪酸含有量は、前記((7)金属石鹸中の、炭素数が16又は18の脂肪酸の含有量)に記載の方法に従って算出した。測定結果を表2に示す。
ポリエチレン樹脂組成物の目ヤニ評価は、前記((11)目ヤニ抑制効果)に記載の方法で行い、オリフィス先端に付着した目ヤニ量を秤量して算出した。測定結果を表2に示す。
ポリエチレン樹脂組成物を用いて製膜した膜中の金属石鹸量は、((12)微多孔膜中の金属石鹸量)に記載の方法で算出した。測定結果を表2に示す。
ポリエチレン樹脂組成物を用いて製膜した膜の耐電圧は、((13)微多孔膜の耐電圧)に記載の方法で算出した。測定結果を表2に示す。
(実施例2)
重合圧力は0.35MPa、重合温度78℃、気相のエチレンに対する水素濃度が4.5mol%、ステアリン酸カルシウム(C18/C16比率が2.1)にしたこと以外は、前記(実施例1)と同様に操作を行い、ポリエチレン樹脂組成物を得た。
なお、ステアリン酸カルシウム(C18/C16比率が2.1)は、原料である脂肪酸をステアリン酸(C18が67質量%、C16が32質量%、C18/C16質量比率が2.1)にしたこと以外は、実施例1と同様に行って実施例2のステアリン酸カルシウムを得た。
実施例2のポリエチレン樹脂組成物の二軸押出した際のストランド堆積物の縦横比、金属石鹸を抽出する方法、金属石鹸のC18/C16の比率、金属石鹸のCaイオン濃度、金属石鹸の脂肪酸含有量、目ヤニ評価、膜中の金属石鹸量、膜の耐電圧は、〔実施例1〕と同様にして算出した。測定結果を表2に示す。
重合圧力は0.35MPa、重合温度78℃、気相のエチレンに対する水素濃度が4.5mol%、ステアリン酸カルシウム(C18/C16比率が2.1)にしたこと以外は、前記(実施例1)と同様に操作を行い、ポリエチレン樹脂組成物を得た。
なお、ステアリン酸カルシウム(C18/C16比率が2.1)は、原料である脂肪酸をステアリン酸(C18が67質量%、C16が32質量%、C18/C16質量比率が2.1)にしたこと以外は、実施例1と同様に行って実施例2のステアリン酸カルシウムを得た。
実施例2のポリエチレン樹脂組成物の二軸押出した際のストランド堆積物の縦横比、金属石鹸を抽出する方法、金属石鹸のC18/C16の比率、金属石鹸のCaイオン濃度、金属石鹸の脂肪酸含有量、目ヤニ評価、膜中の金属石鹸量、膜の耐電圧は、〔実施例1〕と同様にして算出した。測定結果を表2に示す。
(実施例3)
重合圧力は0.35MPa、重合温度75℃、気相のエチレンに対する水素濃度が3.8mol%にしたこと以外は、前記(実施例1)と同様に行って、ポリエチレン樹脂組成物を得た。
実施例3のポリエチレン樹脂組成物の二軸押出した際のストランド堆積物の縦横比、金属石鹸を抽出する方法、金属石鹸のC18/C16の比率、金属石鹸のCaイオン濃度、金属石鹸の脂肪酸含有量、目ヤニ評価、膜中の金属石鹸量、膜の耐電圧は、前記〔実施例1〕と同様にして算出した。測定結果を表2に示す。
重合圧力は0.35MPa、重合温度75℃、気相のエチレンに対する水素濃度が3.8mol%にしたこと以外は、前記(実施例1)と同様に行って、ポリエチレン樹脂組成物を得た。
実施例3のポリエチレン樹脂組成物の二軸押出した際のストランド堆積物の縦横比、金属石鹸を抽出する方法、金属石鹸のC18/C16の比率、金属石鹸のCaイオン濃度、金属石鹸の脂肪酸含有量、目ヤニ評価、膜中の金属石鹸量、膜の耐電圧は、前記〔実施例1〕と同様にして算出した。測定結果を表2に示す。
(実施例4)
重合圧力は0.35MPa、重合温度72℃、気相のエチレンに対する水素濃度が0.1mol%にしたこと以外は、前記(実施例2)と同様に操作を行ってポリエチレン樹脂組成物を得た。
実施例4に記載のポリエチレン樹脂組成物の二軸押出した際のストランド堆積物の縦横比、金属石鹸を抽出する方法、金属石鹸のC18/C16の比率、金属石鹸のCaイオン濃度、金属石鹸の脂肪酸含有量、目ヤニ評価、膜中の金属石鹸量、膜の耐電圧は、前記〔実施例2〕と同様にして算出した。測定結果を表2に示す。
重合圧力は0.35MPa、重合温度72℃、気相のエチレンに対する水素濃度が0.1mol%にしたこと以外は、前記(実施例2)と同様に操作を行ってポリエチレン樹脂組成物を得た。
実施例4に記載のポリエチレン樹脂組成物の二軸押出した際のストランド堆積物の縦横比、金属石鹸を抽出する方法、金属石鹸のC18/C16の比率、金属石鹸のCaイオン濃度、金属石鹸の脂肪酸含有量、目ヤニ評価、膜中の金属石鹸量、膜の耐電圧は、前記〔実施例2〕と同様にして算出した。測定結果を表2に示す。
(実施例5)
重合圧力は0.35MPa、重合温度50℃、気相のエチレンに対する水素濃度が0mol%、ステアリン酸カルシウム(C18/C16比率が1.4)にしたこと以外は、実施例1と同様に操作を行って、ポリエチレン樹脂組成物を得た。
なお、ステアリン酸カルシウム(C18/C16比率が1.4)は、原料である脂肪酸をステアリン酸(C18が55質量%、C16が38質量%、C18/C16質量比率が1.4)を使用し、予備混合物を冷却する速度を0.2℃/minにしたこと以外は、前記(実施例1)と同様に行って実施例5のステアリン酸カルシウムを得た。
実施例5に記載のポリエチレン樹脂組成物の二軸押出した際のストランド堆積物の縦横比、金属石鹸を抽出する方法、金属石鹸のC18/C16の比率、金属石鹸のCaイオン濃度、金属石鹸の脂肪酸含有量、目ヤニ評価、膜中の金属石鹸量、膜の耐電圧は、実施例1と同様にして算出した。測定結果を表2に示す。
重合圧力は0.35MPa、重合温度50℃、気相のエチレンに対する水素濃度が0mol%、ステアリン酸カルシウム(C18/C16比率が1.4)にしたこと以外は、実施例1と同様に操作を行って、ポリエチレン樹脂組成物を得た。
なお、ステアリン酸カルシウム(C18/C16比率が1.4)は、原料である脂肪酸をステアリン酸(C18が55質量%、C16が38質量%、C18/C16質量比率が1.4)を使用し、予備混合物を冷却する速度を0.2℃/minにしたこと以外は、前記(実施例1)と同様に行って実施例5のステアリン酸カルシウムを得た。
実施例5に記載のポリエチレン樹脂組成物の二軸押出した際のストランド堆積物の縦横比、金属石鹸を抽出する方法、金属石鹸のC18/C16の比率、金属石鹸のCaイオン濃度、金属石鹸の脂肪酸含有量、目ヤニ評価、膜中の金属石鹸量、膜の耐電圧は、実施例1と同様にして算出した。測定結果を表2に示す。
(実施例6)
金属石鹸をベヘン酸カルシウムにしたこと以外は、前記(実施例1)と同様に操作を行って、ポリエチレン樹脂組成物を得た。
なお、ベヘン酸カルシウムは、原料である脂肪酸をベヘン酸にしたこと以外は、前記(実施例1)と同様に操作を行って金属石鹸であるベヘン酸カルシウムを得た。
実施例6に記載のポリエチレン樹脂組成物の二軸押出した際のストランド堆積物の縦横比、金属石鹸を抽出する方法、金属石鹸のCaイオン濃度、金属石鹸の脂肪酸含有量、目ヤニ評価、膜中の金属石鹸量、膜の耐電圧は、前記(実施例1)と同様にして算出した。測定結果を表2に示す。
金属石鹸をベヘン酸カルシウムにしたこと以外は、前記(実施例1)と同様に操作を行って、ポリエチレン樹脂組成物を得た。
なお、ベヘン酸カルシウムは、原料である脂肪酸をベヘン酸にしたこと以外は、前記(実施例1)と同様に操作を行って金属石鹸であるベヘン酸カルシウムを得た。
実施例6に記載のポリエチレン樹脂組成物の二軸押出した際のストランド堆積物の縦横比、金属石鹸を抽出する方法、金属石鹸のCaイオン濃度、金属石鹸の脂肪酸含有量、目ヤニ評価、膜中の金属石鹸量、膜の耐電圧は、前記(実施例1)と同様にして算出した。測定結果を表2に示す。
(実施例7)
金属石鹸をモンタン酸カルシウムにしたこと以外は、前記(実施例1)と同様に操作を行って、ポリエチレン樹脂組成物を得た。
なお、モンタン酸カルシウムは、原料である脂肪酸をモンタン酸にしたこと以外は、前記(実施例1)と同様に操作を行ってモンタン酸カルシウムを得た。
実施例7に記載のポリエチレン樹脂組成物の二軸押出した際のストランド堆積物の縦横比、金属石鹸を抽出する方法、金属石鹸のCaイオン濃度、金属石鹸の脂肪酸含有量、目ヤニ評価、膜中の金属石鹸量、膜の耐電圧は、前記(実施例1)と同様にして算出した。測定結果を表2に示す。
金属石鹸をモンタン酸カルシウムにしたこと以外は、前記(実施例1)と同様に操作を行って、ポリエチレン樹脂組成物を得た。
なお、モンタン酸カルシウムは、原料である脂肪酸をモンタン酸にしたこと以外は、前記(実施例1)と同様に操作を行ってモンタン酸カルシウムを得た。
実施例7に記載のポリエチレン樹脂組成物の二軸押出した際のストランド堆積物の縦横比、金属石鹸を抽出する方法、金属石鹸のCaイオン濃度、金属石鹸の脂肪酸含有量、目ヤニ評価、膜中の金属石鹸量、膜の耐電圧は、前記(実施例1)と同様にして算出した。測定結果を表2に示す。
(実施例8)
金属石鹸をステアリン酸カルシウム(C18/C16比率が0.04)にしたこと以外は、前記(実施例1)と同様に操作を行ってポリエチレン樹脂組成物を得た。
なお、ステアリン酸カルシウム(C18/C16比率が0.04)は、原料である脂肪酸をステアリン酸(C18が4質量%、C16が96質量%、C18/C16質量比率が0.04)を使用し、メタノールを吹きかけることなく乾燥したこと以外は、前記(実施例1)と同様に行ってステアリン酸カルシウムを得た。
実施例8に記載のポリエチレン樹脂組成物の二軸押出した際のストランド堆積物の縦横比、金属石鹸を抽出する方法、金属石鹸のC18/C16の比率、金属石鹸のCaイオン濃度、金属石鹸の脂肪酸含有量、目ヤニ評価、膜中の金属石鹸量、膜の耐電圧は、前記〔実施例1〕と同様にして算出した。測定結果を表2に示す。
金属石鹸をステアリン酸カルシウム(C18/C16比率が0.04)にしたこと以外は、前記(実施例1)と同様に操作を行ってポリエチレン樹脂組成物を得た。
なお、ステアリン酸カルシウム(C18/C16比率が0.04)は、原料である脂肪酸をステアリン酸(C18が4質量%、C16が96質量%、C18/C16質量比率が0.04)を使用し、メタノールを吹きかけることなく乾燥したこと以外は、前記(実施例1)と同様に行ってステアリン酸カルシウムを得た。
実施例8に記載のポリエチレン樹脂組成物の二軸押出した際のストランド堆積物の縦横比、金属石鹸を抽出する方法、金属石鹸のC18/C16の比率、金属石鹸のCaイオン濃度、金属石鹸の脂肪酸含有量、目ヤニ評価、膜中の金属石鹸量、膜の耐電圧は、前記〔実施例1〕と同様にして算出した。測定結果を表2に示す。
(実施例9)
金属石鹸をステアリン酸カルシウム(C18/C16比率が0.25)にしたこと以外は、前記(実施例1)と同様に操作を行ってポリエチレン樹脂組成物を得た。
なお、ステアリン酸カルシウム(C18/C16比率が0.25)は、原料である脂肪酸をステアリン酸(C18が20質量%、C16が80質量%、C18/C16質量比率が0.25)を使用し、予備混合物を冷却する速度を0.2℃/minにしたこと以外は、前記(実施例1)と同様に操作を行ってステアリン酸カルシウムを得た。
実施例9に記載のポリエチレン樹脂組成物の二軸押出した際のストランド堆積物の縦横比、金属石鹸を抽出する方法、金属石鹸のC18/C16の比率、金属石鹸のCaイオン濃度、金属石鹸の脂肪酸含有量、目ヤニ評価、膜中の金属石鹸量、膜の耐電圧は、前記〔実施例1〕と同様にして算出した。測定結果を表2に示す。
金属石鹸をステアリン酸カルシウム(C18/C16比率が0.25)にしたこと以外は、前記(実施例1)と同様に操作を行ってポリエチレン樹脂組成物を得た。
なお、ステアリン酸カルシウム(C18/C16比率が0.25)は、原料である脂肪酸をステアリン酸(C18が20質量%、C16が80質量%、C18/C16質量比率が0.25)を使用し、予備混合物を冷却する速度を0.2℃/minにしたこと以外は、前記(実施例1)と同様に操作を行ってステアリン酸カルシウムを得た。
実施例9に記載のポリエチレン樹脂組成物の二軸押出した際のストランド堆積物の縦横比、金属石鹸を抽出する方法、金属石鹸のC18/C16の比率、金属石鹸のCaイオン濃度、金属石鹸の脂肪酸含有量、目ヤニ評価、膜中の金属石鹸量、膜の耐電圧は、前記〔実施例1〕と同様にして算出した。測定結果を表2に示す。
(実施例10)
金属石鹸をステアリン酸亜鉛(C18/C16比率が2.1)にしたこと以外は、前記(実施例1)と同様に操作を行ってポリエチレン樹脂組成物を得た。
なお、ステアリン酸亜鉛(C18/C16比率が2.1)は、下記に示す方法で得た。
温度80~90℃の溶融ステアリン酸(C18が67質量%、C16が32質量%、C18/C16質量比率が2.1)を毎時325kg、酸化亜鉛を同44kg、及び混合物全体量に対して0.4質量%の酢酸を蒸気ジャケットにより約120℃ に加温されたローター回転数約1000rpm(外周速度約12m/s)の連続混合型ピンミルに定量的に供給し、5~10秒の滞留時間を経て連続的に排出された予備混合物を、4.0℃/minの速度で急冷却固化した後、アトマイザー粉砕機にて粉砕し、粉末状の精密混合物を得た。
次に、得られた混合物から100gを取り、水5gと一緒に容量1Lのジューサーミキサーに入れ、攪拌を行った。攪拌開始10分後に水2gを追添加し、更に攪拌を続けたところ、白色粉末状の粉が得られた。
得られた白色粉末状の粉にメタノールを吹きかけて攪拌した後、80℃で乾燥することで、ステアリン酸亜鉛を得た。
実施例10に記載のポリエチレン樹脂組成物の二軸押出した際のストランド堆積物の縦横比、金属石鹸を抽出する方法、金属石鹸のC18/C16の比率、金属石鹸の脂肪酸含有量、目ヤニ評価、膜中の金属石鹸量、膜の耐電圧は、前記(実施例1)と同様にして算出した。測定結果を表2に示す。
金属石鹸をステアリン酸亜鉛(C18/C16比率が2.1)にしたこと以外は、前記(実施例1)と同様に操作を行ってポリエチレン樹脂組成物を得た。
なお、ステアリン酸亜鉛(C18/C16比率が2.1)は、下記に示す方法で得た。
温度80~90℃の溶融ステアリン酸(C18が67質量%、C16が32質量%、C18/C16質量比率が2.1)を毎時325kg、酸化亜鉛を同44kg、及び混合物全体量に対して0.4質量%の酢酸を蒸気ジャケットにより約120℃ に加温されたローター回転数約1000rpm(外周速度約12m/s)の連続混合型ピンミルに定量的に供給し、5~10秒の滞留時間を経て連続的に排出された予備混合物を、4.0℃/minの速度で急冷却固化した後、アトマイザー粉砕機にて粉砕し、粉末状の精密混合物を得た。
次に、得られた混合物から100gを取り、水5gと一緒に容量1Lのジューサーミキサーに入れ、攪拌を行った。攪拌開始10分後に水2gを追添加し、更に攪拌を続けたところ、白色粉末状の粉が得られた。
得られた白色粉末状の粉にメタノールを吹きかけて攪拌した後、80℃で乾燥することで、ステアリン酸亜鉛を得た。
実施例10に記載のポリエチレン樹脂組成物の二軸押出した際のストランド堆積物の縦横比、金属石鹸を抽出する方法、金属石鹸のC18/C16の比率、金属石鹸の脂肪酸含有量、目ヤニ評価、膜中の金属石鹸量、膜の耐電圧は、前記(実施例1)と同様にして算出した。測定結果を表2に示す。
(比較例1)
金属石鹸をパルミチン酸カルシウム(C16/C14質量比率が1.2)にしたこと以外は、前記(実施例1)と同様に操作を行って、ポリエチレン樹脂組成物を得た。
なお、パルミチン酸カルシウム(C16/C14質量比率が1.2)は、原料である脂肪酸をパルミチン酸(C16が55質量%、C14が45質量%、C16/C14質量比率が1.2)を使用し、メタノールを吹きかけることなく乾燥、及び予備混合物を冷却する速度を0.2℃/minしたこと以外は、前記(実施例1)と同様に操作を行って、パルミチン酸カルシウムを得た。
比較例1に記載のポリエチレン樹脂組成物の二軸押出した際のストランド堆積物の縦横比、金属石鹸を抽出する方法、金属石鹸のCaイオン濃度、金属石鹸の脂肪酸含有量、目ヤニ評価、膜中の金属石鹸量、膜の耐電圧は、前記(実施例1)と同様にして算出した。測定結果を表3に示す。
金属石鹸をパルミチン酸カルシウム(C16/C14質量比率が1.2)にしたこと以外は、前記(実施例1)と同様に操作を行って、ポリエチレン樹脂組成物を得た。
なお、パルミチン酸カルシウム(C16/C14質量比率が1.2)は、原料である脂肪酸をパルミチン酸(C16が55質量%、C14が45質量%、C16/C14質量比率が1.2)を使用し、メタノールを吹きかけることなく乾燥、及び予備混合物を冷却する速度を0.2℃/minしたこと以外は、前記(実施例1)と同様に操作を行って、パルミチン酸カルシウムを得た。
比較例1に記載のポリエチレン樹脂組成物の二軸押出した際のストランド堆積物の縦横比、金属石鹸を抽出する方法、金属石鹸のCaイオン濃度、金属石鹸の脂肪酸含有量、目ヤニ評価、膜中の金属石鹸量、膜の耐電圧は、前記(実施例1)と同様にして算出した。測定結果を表3に示す。
(比較例2)
重合圧力は0.35MPa、重合温度48℃、気相のエチレンに対する水素濃度が0mol%、金属石鹸をラウリン酸カルシウムにしたこと以外は、前記(実施例1)と同様に操作を行ってポリエチレン樹脂組成物を得た。
なお、ラウリン酸カルシウムは、原料である脂肪酸をラウリン酸に変更し、メタノールを吹きかけることなく乾燥、及び予備混合物を冷却する速度を0.2℃/minにしたこと以外は、前記(実施例1)と同様に操作を行ってラウリン酸カルシウムを得た。
比較例2に記載のポリエチレン樹脂組成物の二軸押出した際のストランド堆積物の縦横比、金属石鹸を抽出する方法、金属石鹸のCaイオン濃度、金属石鹸の脂肪酸含有量、目ヤニ評価、膜中の金属石鹸量、膜の耐電圧は、前記(実施例1)と同様にして算出した。測定結果を表3に示す。
重合圧力は0.35MPa、重合温度48℃、気相のエチレンに対する水素濃度が0mol%、金属石鹸をラウリン酸カルシウムにしたこと以外は、前記(実施例1)と同様に操作を行ってポリエチレン樹脂組成物を得た。
なお、ラウリン酸カルシウムは、原料である脂肪酸をラウリン酸に変更し、メタノールを吹きかけることなく乾燥、及び予備混合物を冷却する速度を0.2℃/minにしたこと以外は、前記(実施例1)と同様に操作を行ってラウリン酸カルシウムを得た。
比較例2に記載のポリエチレン樹脂組成物の二軸押出した際のストランド堆積物の縦横比、金属石鹸を抽出する方法、金属石鹸のCaイオン濃度、金属石鹸の脂肪酸含有量、目ヤニ評価、膜中の金属石鹸量、膜の耐電圧は、前記(実施例1)と同様にして算出した。測定結果を表3に示す。
(比較例3)
重合圧力は0.5MPa、重合温度83℃、気相のエチレンに対する水素濃度が20.0mol%、金属石鹸をパルミチン酸カルシウム(C16/C14質量比率が1.2)にしたこと以外は、前記(実施例1)と同様に操作を行ってポリエチレン樹脂組成物を得た。
なお、金属石鹸であるパルミチン酸カルシウム(C16/C14比率が1.2)は、原料である脂肪酸をパルミチン酸(C16が55質量%、C14が45質量%、C16/C14質量比率が1.2)を使用し、メタノールを吹きかけることなく乾燥、及び予備混合物を冷却する速度を0.2℃/minしたこと以外は、前記(実施例1)と同様に操作を行ってパルミチン酸カルシウムを得た。
比較例3に記載のポリエチレン樹脂組成物の二軸押出した際のストランド堆積物の縦横比、金属石鹸を抽出する方法、金属石鹸のCaイオン濃度、金属石鹸の脂肪酸含有量、目ヤニ評価、膜中の金属石鹸量、膜の耐電圧は、前記(実施例1)と同様にして算出した。測定結果を表3に示す。
重合圧力は0.5MPa、重合温度83℃、気相のエチレンに対する水素濃度が20.0mol%、金属石鹸をパルミチン酸カルシウム(C16/C14質量比率が1.2)にしたこと以外は、前記(実施例1)と同様に操作を行ってポリエチレン樹脂組成物を得た。
なお、金属石鹸であるパルミチン酸カルシウム(C16/C14比率が1.2)は、原料である脂肪酸をパルミチン酸(C16が55質量%、C14が45質量%、C16/C14質量比率が1.2)を使用し、メタノールを吹きかけることなく乾燥、及び予備混合物を冷却する速度を0.2℃/minしたこと以外は、前記(実施例1)と同様に操作を行ってパルミチン酸カルシウムを得た。
比較例3に記載のポリエチレン樹脂組成物の二軸押出した際のストランド堆積物の縦横比、金属石鹸を抽出する方法、金属石鹸のCaイオン濃度、金属石鹸の脂肪酸含有量、目ヤニ評価、膜中の金属石鹸量、膜の耐電圧は、前記(実施例1)と同様にして算出した。測定結果を表3に示す。
(比較例4)
金属石鹸を、パルミチン酸カルシウム(C16/C14質量比率が1.2)にしたこと以外は、前記(実施例1)と同様に操作を行ってポリエチレン樹脂組成物を得た。
なお、パルミチン酸カルシウム(C16/C14質量比率が1.2)は、原料である脂肪酸をパルミチン酸(C16が55質量%、C14が45質量%、C16/C14質量比率が1.2)を使用し、予備混合物を冷却する速度を0.2℃/minしたこと以外は、前記(実施例1)と同様に行ってパルミチン酸カルシウムを得た。
比較例4に記載のポリエチレン樹脂組成物の二軸押出した際のストランド堆積物の縦横比、金属石鹸を抽出する方法、金属石鹸のCaイオン濃度、金属石鹸の脂肪酸含有量、目ヤニ評価、膜中の金属石鹸量、膜の耐電圧は、前記(実施例1)と同様にして算出した。測定結果を表3に示す。
金属石鹸を、パルミチン酸カルシウム(C16/C14質量比率が1.2)にしたこと以外は、前記(実施例1)と同様に操作を行ってポリエチレン樹脂組成物を得た。
なお、パルミチン酸カルシウム(C16/C14質量比率が1.2)は、原料である脂肪酸をパルミチン酸(C16が55質量%、C14が45質量%、C16/C14質量比率が1.2)を使用し、予備混合物を冷却する速度を0.2℃/minしたこと以外は、前記(実施例1)と同様に行ってパルミチン酸カルシウムを得た。
比較例4に記載のポリエチレン樹脂組成物の二軸押出した際のストランド堆積物の縦横比、金属石鹸を抽出する方法、金属石鹸のCaイオン濃度、金属石鹸の脂肪酸含有量、目ヤニ評価、膜中の金属石鹸量、膜の耐電圧は、前記(実施例1)と同様にして算出した。測定結果を表3に示す。
本発明のポリエチレン樹脂組成物は各種成形体、微多孔膜、セパレータ、高強度繊維の原料として、産業上の利用可能性がある。
Claims (17)
- 超高分子量ポリエチレンパウダーと、金属石鹸を含有するポリエチレン樹脂組成物であって、
前記超高分子量ポリエチレンパウダーの粘度平均分子量(Mv)が100,000以上10,000,000以下であり、
下記の<二軸押出条件>で二軸押出した際の、ストランド堆積物の縦横比が、縦/横=0.05以上5.0以下である、
ポリエチレン樹脂組成物。
<二軸押出条件>
ポリマー濃度:超高分子量ポリエチレンパウダーの粘度平均分子量(Mv)に応じて、
ポリマー濃度を式Iの値以上、式IIの値以下に調整する。
式I:Y=260.63X-0.484 Y:ポリマー濃度、X:分子量(Mv)
式II:Y=338.69X-0.626 Y:ポリマー濃度、X:分子量(Mv)
超高分子量ポリエチレンパウダー:5~50質量%
流動パラフィン:50~95質量%
押出機:異方向二軸押出機
押出温度:160℃
スクリュー回転数:150rpm
吐出口のオリフィス径:1.0mm
金属石鹸添加量:超高分子量ポリエチレンパウダーの質量に対して5%添加
吐出口から地面までの高さ:1.0m以上1.1m以下
吐出量:0.5kg/h以上5.0kg/h以下
押出時間:1時間
雰囲気温湿度:15℃以上30℃以下/20%RH以上70%RH以下
床面材質:アルミ板 - 前記二軸押出条件の吐出量が2.0kg/h以上3.0kg/h以下である、
請求項1に記載のポリエチレン樹脂組成物。 - 前記二軸押出条件の吐出量が2.5kg/hである、
請求項1又は2に記載のポリエチレン樹脂組成物。 - 前記金属石鹸の含有量が、0.01質量%以上0.3質量%以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポリエチレン樹脂組成物。
- 前記金属石鹸の、アルキル鎖一本当たりの平均炭素数が16.0以上28.0以下である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のポリエチレン樹脂組成物。
- 前記金属石鹸が、アルキル鎖一本当たりの炭素数が16及び18である脂肪酸(C16、C18)を含み、
質量比(C18/C16)が、1.5以上1000以下である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のポリエチレン樹脂組成物。 - 前記金属石鹸のCaイオン濃度が、1.0mg/L以上200mg/L以下である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のポリエチレン樹脂組成物。
- 前記金属石鹸が、炭素数が16又は18の脂肪酸を、0.1質量%以上2.0質量%以下含有する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のポリエチレン樹脂組成物。
- 請求項1乃至8のいずれか一項に記載のポリエチレン樹脂組成物の成形体。
- 微多孔膜、高強度繊維、及び焼結体からなる群より選ばれるいずれかである、
請求項9に記載の成形体。 - 超高分子量ポリエチレンパウダーと金属石鹸を、含有するポリエチレン樹脂組成物であって、
粘度平均分子量(Mv)が100,000以上10,000,000以下であり、
前記金属石鹸のアルキル鎖一本当たりの平均炭素数が16.0以上28.0以下である、ポリエチレン樹脂組成物。 - 前記金属石鹸の含有量が、0.01質量%以上0.3質量%以下である、請求項11に記載のポリエチレン樹脂組成物。
- 前記金属石鹸が、アルキル鎖一本当たりの炭素数が16及び18である脂肪酸(C16、C18)を含み、
その質量比(C18/C16)が1.5以上1000以下である、
請求項11又は12に記載のポリエチレン樹脂組成物。 - 前記金属石鹸のCaイオン濃度が1.0mg/L以上200mg/L以下である、
請求項11乃至13のいずれか一項に記載のポリエチレン樹脂組成物。 - 前記金属石鹸が、炭素数が16又は18の脂肪酸を、0.1質量%以上2.0質量%以下含有する、
請求項11乃至14のいずれか一項に記載のポリエチレン樹脂組成物。 - 請求項11乃至15のいずれか一項に記載のポリエチレン樹脂組成物の成形体。
- 微多孔膜、高強度繊維、及び焼結体からなる群より選ばれるいずれかである、
請求項16に記載の成形体。
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