JP2022131281A - 水洗大便器 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1の水洗大便器においては、洗浄水の流速を速めるようにしているが、流速を速めると遠心力が大きくなりすぎて洗浄水が下方に流下し難くなる。これを解消するため、特許文献1の水洗大便器においては、リム吐水口の上流側のボウル面に段差状に立ち上がった形態の落下用誘導面を形成し、この落下用誘導面により、旋回流を下方に流下し易いようにしている。
特許文献3の水洗大便器においては、汚物が付着し易いボウル部の後方領域の棚部の幅を小さくすることにより、後方に向けて吐水される洗浄水をボウル部の後方領域にスムーズに流れ込むようにしている。
このボウル部に不洗部が生じることを防止するため、上述した特許文献1乃至3の水洗便器においては、種々の工夫がなされているが、これらは、十分ではなく、更なる改良が要望されている。
ボウル部の棚面が前方から見て右側と左側に設けられた直線部と、これらの直線部の前端に接続された前方円弧部と、前記直線部の後端に接続された後方円弧部とにより形成された水洗大便器においては、洗浄水の旋回流が棚面を流れるとき、前方円弧部又は後方円弧部から直線部に向かって流れる際には直線部において旋回流の流路抵抗が少ないため(旋回流が整流されるため)に洗浄水が棚面から汚物受け面に流下し難く、一方、直線部から前方円弧部又は後方円弧部に向かって流れる際には前方及び後方円弧部において旋回流が乱れるために洗浄水が棚面から汚物受け面に流下し易くなる。リム吐水部のリム吐水口はボウル部の棚面の直線部に沿って洗浄水を後方に向けて吐水するので、リム吐水口の近傍の汚物受け面は、洗浄水が流下し難く、不洗部が生じ易い。
そのため、本発明においては、リム吐水口の上流側に位置する棚面に、リム吐水口に向かって上昇する傾斜面が形成されているため、この傾斜面により洗浄水の勢いが低下し、これにより、リム吐水口の近傍の汚物受け面に洗浄水が流下し易くなるので、リム吐水口の近傍の汚物面に不洗部が生じることを抑制することができる。
このように構成された本発明においては、棚面の傾斜面がリム吐水口とボウル部の後端よりも低い前端との間に形成されているので、この傾斜面により洗浄水の勢いが低下して洗浄水が汚物受け面に流下し易くなる。
このように構成された本発明においては、ボウル部の棚面の高さが直線部と後方円弧部で略一定であるので、棚面を流れる洗浄水の勢いが変化し難くなり、これにより、棚面を流れる洗浄水の勢いが変化することにより生じる洗浄水の乱れが少なくなるので、汚物受け面に不洗部を生じることを抑制することができる。
このように構成された本発明においては、棚面の傾斜面が直線部と前方円弧部が接続された連結部を跨いで設けられているので、洗浄水が流下し難い連結部においても洗浄水が流下し易くなり、これにより、洗浄水が棚面上を旋回し過ぎることなく、リム吐水口付近の汚物受け面に不洗部を生じさせることを抑制することができる。
このように構成された本発明においては、ボウル部の前方領域では洗浄水の勢いが弱くなるが、棚面の棚幅がボウル部の前端で最も広く形成されているので、洗浄水を棚面により維持してリム吐水口の近傍まで旋回させて洗浄水を流下させることができる。一方、ボウル部の後方領域では洗浄水の勢いが強いので、棚面の棚幅がボウル部の後端で最も狭くなるように形成されていても、洗浄水が流下しすぎることがない。
ここで、図2に示された平面図において、便器本体4を前方から見たとき左側に位置する側を左側とし、右側に位置する側を右側とし、以下の説明を行う。
便器本体4は、さらに、ボウル部6の底部から延びる排水トラップ管路14と、を備えている。このボウル部6の底部と排水トラップ管路14の連通部の上方には、溜水15が形成されている。
ここで、本実施形態では、リム吐水口20は、リム部10に設けられた単一の吐水口であり、このため、リム吐水口20からは強い勢いの洗浄水を吐水することができ、後述するように、汚れ易いボウル部6の後方領域を洗浄し易くなり、領域X2(図5参照)において不洗部を減らすことができる。
タンク側給水路2bの下流側には、貯水タンク28が設けられ、この貯水タンク28の下流側には、ポンプ給水路2cを介して加圧ポンプ30が接続されている。この加圧ポンプ30の下流側には、ジェット側給水路2dが接続され、このジェット側給水路2dにより、上述したジェット導水路26に貯水タンク28内の洗浄水が供給されるようになっている。
さらに、洗浄水は、洗浄水供給装置2のタンク側給水路2b、貯水タンク28、ポンプ給水路2c及び加圧ポンプ30を経た後、ジェット側給水路2dから便器本体4のジェット導水路26を経てジェット吐水口26aに供給され、ジェット吐水口26aからの吐水(いわゆる、「ジェット吐水」)することができるようになっている。
本実施形態による水洗大便器1は、水道直圧の洗浄水によるリム吐水と、貯水タンク28から加圧ポンプ30により加圧された洗浄水によるジェット吐水とを併用するようにした、いわゆる、ハイブリット式の水洗大便器1である。
上側フロートスイッチ34は、貯水タンク28内の水位が所定の貯水水位に達するとオンに切り替わり、この上側フロートスイッチ34のオン状態をコントローラ32が検知して、洗浄水供給装置2の電磁弁を閉弁させるようになっている。
一方、下側フロートスイッチ36においては、貯水タンク28内の水位が、上側フロートスイッチ34が検知する所定の貯水水位よりも低い所定の水位まで低下するとオンに切り替わり、この下側フロートスイッチ36のオン状態をコントローラ32が検知して、加圧ポンプ22を停止させるようになっている。
これにより、リム吐水口20及びジェット吐水口26aからの吐水が順次開始されて、ボウル部6の汚物受け面8を洗浄した洗浄水は、ボウル部6の汚物と共に排水トラップ管路14から外部へ排出されるようになっている。
そして、貯水タンク28内の水位が上昇し、上側フロートスイッチ34が所定の貯水水位を検出すると、コントローラ32は、洗浄水供給装置2による洗浄水の貯水タンク28への補給を停止するようになっている。
具体的には、右側直線部40aの前端と前方円弧部42は連結部46aにより連結され、右側直線部40aの後端と後方円弧部44は、連結部46bにより連結され、後方円弧部44と左側直線部40bの後端は連結部46cにより連結され、左側直線部40bの前端は前方円弧部42と連結部46dにより連結されている。
なお、上述した右側直線部40aと左側直線部40bは、右側及び左側において「ほぼ平行」に延びるように設けるようにしてもよい。
なお、これらの前方円弧部42と後方円弧部44は、複数の曲率半径を組み合わせて形成するようにしてもよい。
ここで、中心線C2から位置Aまでの前後方向長さL1よりも中心線C2から位置Gまでの前後方向長さL2が長くなっている。このため、使用者の立位での排泄や座位での排泄において、ボウル部6の後方領域の汚物受け面8が広くなり、排泄時の安心感を増すことができる。また、位置Cから位置Eまでの前後方向長さL3と位置Iから位置Kまでの前後方向長さL4は、略一定であり、さらに、前後方向長さL3及び前後方向長さL4よりも、位置E(位置I)から位置Gまでの前後方向長さ(=R2)及び位置C(位置K)から位置Aまでの前後方向長さ(=R1)の方が長くなっている。換言すると、右側直線部40aの前後方向長さL3及び左側直線部40bの前後方向長さL4よりも、前方円弧部42の曲率半径R1及び後方円弧部44の曲率半径R2の方が長くなっている。この結果、直線部40a、40bから円弧部42、44に洗浄水が流れる場合には、円弧部の曲率半径R1、R2が長く設定されているため、洗浄水の流れの変化が緩やかになり、洗浄水の飛び散りを抑えることができる。
そのため、円弧部から直線部に流れる洗浄水の流れF2及びF4においては、洗浄水が棚面12から流下し難く、一方、直線部から円弧部に流れる洗浄水の流れF1及びF3においては、洗浄水が棚面12から流下し易くなる。このような洗浄水の挙動により、円弧部から直線部に洗浄水が流れる領域X1及び領域X2において、汚物受け面に不洗部が生じ易くなる。
この上昇する傾斜面(上昇面)50について、図6乃至図8により、詳細に説明する。図6は図2のVI―VI線に沿って見た部分断面図であり、図7はボウル部の全周における棚面の相対高さHを示す表であり、図8は図7に示された棚面の相対高さHを示す線図である。
ここで、リム部6の頂部は、略一定に形成されているので、棚面12に対して、リム部6の前端は後端に比べて高さが大きくなり、そのため、座位における排泄時に小便などがボウル部6の前端にあたり、ボウル部6からの飛び散りを抑制することができる。
さらに、図7及び図8に示すように、右側直線部40a、後方円弧部44、及び、左側直縁部40bの棚面12の相対高さは、略一定となっている。
上述した棚面12に設けられた上昇する傾斜面(上昇面)50の上昇高さH1は、15mm~20mmが好ましい。
図9及び図10に示すように、棚面12の棚幅Wは、ボウル部6の前端(位置A)で最も広くなり、ボウル部6の後端(位置G)で最も狭くなっている。また、リム吐水口22付近(位置D1)の棚面12の棚幅Wは、洗浄水の吐水を安定させるために、右側直線部40aの他の領域よりも少しだけ広くなっている。
図12及び図13に示すように、内側連結部54の曲率半径R3は、ボウル部6の前端(位置A)よりもボウル部6の後端(位置G)の方が小さい値となっている。
ここで、ボウル部6の前端(位置A)における内側連結部54の曲率半径R3は40mm~45mmが好ましい。ボウル部6の後端(位置G)における内側連結部54の曲率半径R3は25mm~30mmが好ましい。
図14及び図15に示すように、ボウル部6の右側領域では、外側連結部56の曲率半径R3は、リム吐水口22付近(位置D1)が最も小さな値となっているが、概略的には、ボウル部6の前端(位置A)から後端(位置G)に向けて大きな値となっている。
一方、ボウル部6の左側領域では、外側連結部56の曲率半径R3は、ボウル部6の前端(位置A)で最も小さな値となり、ボウル部6の後端(位置G)に向けて大きな値となっている。
4 便器本体
6 ボウル部
8 汚物受け面
10 リム部
12 棚面
16 リム吐水部
20 リム吐水口
40a 右側直線部
40b 左側直線部
42 前方円弧部
44 後方円弧部
46a,46b,46c,46d 連結部
50 上昇する傾斜面(上昇面)
52 下降する傾斜面(下降面)
54 内側連結部
56 外側連結部
R1 前方円弧部の曲率半径
R2 後方円弧部の曲率半径
R3 内側連結部の曲率半径
R4 外側連結部の曲率半径
Claims (5)
- 洗浄水により洗浄して汚物を排出する水洗大便器であって、
汚物を受ける汚物受け面と、この汚物受け面の上縁に形成されたリム部と、汚物受け面とリム部の間に形成された棚面と、を備えたボウル部であって、このボウル部の棚面が前方から見て右側と左側に設けられた直線部と、これらの直線部の前端に接続された前方円弧部と、上記直線部の後端に接続された後方円弧部とにより形成された上記ボウル部と、
上記リム部に設けられたリム吐水口から上記棚面に洗浄水を吐水して旋回流を形成するリム吐水部と、
洗浄水源から供給される洗浄水を上記リム吐水部に導く導水路と、を有し、
上記リム吐水部のリム吐水口から上記棚面の直線部に沿って洗浄水を後方に向けて吐水し、
上記リム吐水部のリム吐水口の上流側に位置する上記棚面に、上記リム吐水口に向かって上昇する傾斜面が形成されていることを特徴とする水洗大便器。 - 上記ボウル部の棚面は、上記ボウル部の前端の高さが、ボウル部の後端の高さよりも低く設定され、上記棚面の傾斜面は上記リム吐水口とボウル部の前端との間に形成されている、請求項1に記載の水洗大便器。
- 上記ボウル部の棚面は、その高さが上記直線部と後方円弧部で略一定である、請求項1又は2に記載の水洗大便器。
- 上記棚面の傾斜面は、上記直線部と上記前方円弧部が接続された連結部を跨いで設けられている、請求項1乃至3に記載の水洗大便器。
- 上記棚面は、その棚幅が上記ボウル部の前端で最も広く上記ボウル部の後端で最も狭く形成されている、請求項1乃至4に記載の水洗大便器。
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