JP2022129632A - トナー用バインダー樹脂 - Google Patents

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康朗 井村
Yasuro Imura
宏之 武井
Hiroyuki Takei
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Abstract

【課題】低温定着性、耐オフセット性、および定着強度に優れるトナー用バインダー樹脂を提供すること。【解決手段】カルボキシ基含有ビニル樹脂(C)と、グリシジル基含有ビニル樹脂(E)と、上記カルボキシ基含有ビニル樹脂(C)と上記グリシジル基含有ビニル樹脂(E)との反応物と、直鎖飽和脂肪族モノカルボン酸と1価の直鎖飽和脂肪族アルコールから得られるモノエステル化合物とを少なくとも含むトナー用バインダー樹脂であって、前記モノエステル化合物以外の離型剤を少なくとも1つ含む、トナー用バインダー樹脂。【選択図】なし

Description

本発明は、トナー用バインダー樹脂に関する。
一般的に複写機やレーザープリンターでは、省エネルギー性能が重要視されている。それに伴い、トナーの定着温度を下げるために、より低温で定着するトナーの開発が盛んに行われている。
例えば、特許文献1には、少なくとも結着樹脂、着色剤、硫黄原子を有する重合体及びワックス成分を含有する非磁性トナー粒子を有する非磁性トナーであって、該非磁性トナー粒子は、重合性単量体、着色剤、硫黄原子を有する重合体、ワックス成分を少なくとも含有する重合性単量体組成物を水系分散媒体に分散させて造粒し、この造粒粒子中の重合性単量体を重合させて得られたものであり、該ワックス成分は、エステルワックスと炭化水素ワックスとを含有し、該非磁性トナーは、示差走査熱量計(DSC)で測定される昇温時のDSC曲線において、温度55~120℃の範囲にワックス成分由来の2つの異なる吸熱ピークP1及びP2(P1がP2よりも低温側)を持ち、P1が該エステルワックス由来のピークであり、P2が該炭化水素ワックス由来のピークであり、P1とP2の吸熱ピークの強度比が0.1~10であり、平均円形度が0.960~0.995であることを特徴とする非磁性トナーが記載されている。
特許第4266658号
本発明者らの検討によれば、例えば、特許文献1に記載の非磁性トナーは、十分な低温定着性と定着強度が得られないことが明らかとなった。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、低温定着性、耐オフセット性、および定着強度に優れるトナー用バインダー樹脂を提供するものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、低温定着用の結晶成分としてモノエステル化合物を、モノエステル化合物以外の離型剤と共に用いることで、レジンの架橋により溶融時に粘度が低下しすぎることを抑制し、優れた低温定着性、耐オフセット性、および定着強度に優れることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明によれば、以下に示すトナー用バインダー樹脂が提供される。
[1]カルボキシ基含有ビニル樹脂(C)と、
グリシジル基含有ビニル樹脂(E)と、
上記カルボキシ基含有ビニル樹脂(C)と上記グリシジル基含有ビニル樹脂(E)との反応物と、
直鎖飽和脂肪族モノカルボン酸と1価の直鎖飽和脂肪族アルコールとから得られるモノエステル化合物とを含むトナー用バインダー樹脂であって、
上記モノエステル化合物以外の離型剤を少なくとも1つ含む、トナー用バインダー樹脂。
[2]
上記カルボキシ基含有ビニル樹脂(C)と、
上記グリシジル基含有ビニル樹脂(E)と、
上記反応物との合計100質量%に対して、上記モノエステル化合物を4質量%以上15質量%以下含む、上記[1]に記載のトナー用バインダー樹脂。
[3]
上記モノエステル化合物以外の離型剤が、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、カルナバワックス、および2つ以上のエステル結合を有するエステルワックスからなる群より選択される1種または2種以上の離型剤である、上記[1]または[2]に記載のトナー用バインダー樹脂。
[4]
上記モノエステル化合物以外の離型剤が、当該トナー用バインダー樹脂全体に対して、2質量%以上8質量%以下である、上記[1]~[3]のいずれか一つに記載のトナー用バインダー樹脂。
[5]
上記カルボキシ基含有ビニル樹脂(C)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定されるテトラヒドロフラン可溶分の分子量分布において、
分子量が2.5×10以上1.2×10以下の領域にピークを有する高分子量ビニル樹脂(H)と、
分子量が2×10以上2×10以下の領域にピークを有する低分子量ビニル樹脂(L)とを含み、
上記高分子量ビニル樹脂(H)と上記低分子量ビニル樹脂(L)との質量比(H/L)が55/45~85/15である、上記[1]~[4]のいずれか一つに記載のトナー用バインダー樹脂。
[6]
下記一般式(1)で表される脂肪酸金属塩を含有する、上記[1]~[5]のいずれか一つに記載のトナー用バインダー樹脂。
Figure 2022129632000001
上記一般式(1)において、nは11~22の整数であり、mは2であり、MはZnまたはCaから選択される金属原子である。
[7]
当該トナー用バインダー樹脂中のテトラヒドロフラン不溶成分が、当該樹脂全体に対して10質量%~40質量%である、上記[1]~[6]のいずれか一つに記載のトナー用バインダー樹脂。
本発明によれば、低温定着性、耐オフセット性、および定着強度に優れるトナー用バインダー樹脂を提供することができる。
以下に、本発明の実施形態について説明する。なお、数値範囲の「A~B」は特に断りがなければ、A以上B以下を表す。
本明細書における「(メタ)アクリル」との標記は、特に断らない限り、アクリル、メタクリルまたはアクリルおよびメタクリルの両方を包含するものである。
<トナー用バインダー樹脂>
本実施形態に係るトナー用バインダー樹脂は、
カルボキシ基含有ビニル樹脂(C)と、
グリシジル基含有ビニル樹脂(E)と、
上記カルボキシ基含有ビニル樹脂(C)と上記グリシジル基含有ビニル樹脂(E)との反応物と、
直鎖飽和脂肪族モノカルボン酸と1価の直鎖飽和脂肪族アルコールから得られるモノエステルとを少なくとも含むトナー用バインダー樹脂であって、
上記モノエステル化合物以外の離型剤を少なくとも1つ含む。
本実施形態に係るトナー用バインダー樹脂において、上記モノエステル化合物以外の離型剤(例えば、ワックス)を含むことにより、レジンの架橋により溶融時に粘度が低下しすぎることを抑制し、優れた低温度定着性、耐オフセット性、および定着強度が得られる。
以下、本実施形態に係るトナー用バインダー樹脂について詳細に説明する。
[カルボキシ基含有ビニル樹脂(C)]
本実施形態に係るカルボキシ基含有ビニル樹脂(C)は、1分子中にカルボキシ基とビニル基をそれぞれ1つ以上含む樹脂である。
このような樹脂は、例えば、スチレン系単量体と、(メタ)アクリル系単量体と、カルボキシ基含有単量体を公知の重合方法を用いることによって得られる。
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-フェニルスチレン、p-クロルスチレン、3,4-ジクロルスチレン、p-エチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレン等が挙げられる。これらの中でも、スチレンが好ましい。
(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フルフリル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシブチル、アクリル酸ジメチルアミノメチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フルフリル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ジメチルアミノメチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N置換アクリルアミド、N置換メタクリルアミド等のアミド;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。これらの内、好ましくはアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリルであり、より好ましくはアクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ヒドロキシエチルである。
カルボキシ基含有単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、ケイヒ酸、フマル酸メチル、フマル酸エチル、フマル酸プロピル、フマル酸ブチル、フマル酸オクチル、マレイン酸メチル、マレイン酸エチル、マレイン酸プロピル、マレイン酸ブチル、マレイン酸オクチル等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、フマル酸メチル、フマル酸エチル、フマル酸プロピル、フマル酸ブチル、フマル酸オクチルであり、特に好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸である。
カルボキシ基含有ビニル樹脂(C)の含有量は、本実施形態に係るトナー用バインダー樹脂の全体を100質量%としたとき、好ましくは70質量%以上98質量%以下であり、より好ましくは75質量%以上98質量%以下であり、さらに好ましくは80質量%以上97質量%以下である。これにより、定着性、耐オフセット性、および保存性のバランスにより一層優れたトナーが得られる。
また、カルボキシ基含有ビニル樹脂(C)は後述するグリシジル基含有ビニル樹脂(E)との比として、カルボキシ基含有ビニル樹脂(C)/グリシジル基含有ビニル樹脂(E)が、例えば、85/15~99/1、より好ましくは87/13~97/3とすることができる。
本実施形態に係るカルボキシ基含有ビニル樹脂(C)は、単量体として、必要に応じて2個以上の二重結合を有する架橋性モノマーを使用してもよい。架橋性モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,5-ペンタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリオキシエチレン(2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート等のジアクリレート化合物およびそれらのメタクリレート化合物;ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート等の多官能架橋性モノマーおよびそれらのメタクリレート化合物が挙げられる。
これら多官能架橋性モノマーを使用する場合は、カルボキシ基含有ビニル樹脂(C)の他のモノマー100質量部に対して、0.5質量部以下であることが好ましい。上記上限値以下にすることで、後述するカルボキシ基とグリシジル基の反応により生成する架橋体が、トナー製造の際に切断されにくくなる。
本実施形態に係るカルボキシ基含有ビニル樹脂(C)の酸価は、好ましくは0.5mgKOH/g以上、より好ましくは1mgKOH/g以上である。カルボキシ基含有ビニル樹脂(C)の酸価が上記下限値以上であると、グリシジル基含有ビニル樹脂(E)との反応が良好に進行し、耐オフセット性により優れたトナーを得ることができる。
一方、カルボキシ基含有ビニル樹脂(C)の酸価は、好ましくは30mgKOH/g以下、より好ましくは25mgKOH/g以下である。カルボキシ基含有ビニル樹脂(C)の酸価が上記上限値以下であると、グリシジル基含有ビニル樹脂(E)との過剰な架橋反応が抑制され、その結果、カルボキシ基含有ビニル樹脂(C)とグリシジル含有ビニル樹脂(E)の反応によって得られる架橋成分が、非架橋成分と相分離しすぎることに起因すると考えられる耐オフセット性の低下を抑制できる。
なお、ここで酸価とは、樹脂1gを中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。
カルボキシ基含有ビニル樹脂(C)は、トナーの低温定着性、耐オフセット性、耐久性等の総合バランスの観点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるテトラヒドロフラン(THF)可溶分の分子量分布において、分子量が2.5×10以上1.2×10以下の領域にピークを有する高分子量ビニル樹脂(H)と、GPCにより測定されるTHF可溶分の分子量分布において、分子量が2.0×10以上2.0×10以下の領域にピークを有する低分子量ビニル樹脂(L)とを含むことが好ましい。ここでいうピークとはメインピーク(ピークの中で最も強度が大きいピーク)のことを指す。
カルボキシ基含有ビニル樹脂(C)が、高分子量ビニル樹脂(H)と低分子量ビニル樹脂(L)から構成される場合、その質量比(H/L)は、トナーの定着性、耐オフセット性、耐久性などの総合バランスの観点から、55/45~85/15であることが好ましく、60/40~80/20であることがより好ましい。
高分子量ビニル樹脂(H)の比率を上記下限値以上とすることで、耐久性や耐オフセット性により優れたトナーを得ることができる。また、高分子量ビニル樹脂(H)の比率を上記上限値以下にすることで、定着性や生産性により優れたトナーを得ることができる。
(高分子量ビニル樹脂(H))
本実施形態において高分子量ビニル樹脂(H)は、THF可溶分がGPCにより測定される分子量分布において、分子量が2.5×10以上1.2×10以下の領域にメインピークを有することが好ましく、より好ましくは3.0×10以上1.0×10以下にメインピークを有することが好ましい。これにより、優れた定着性、耐オフセット性、耐久性のバランスを実現することができる。
高分子量ビニル樹脂(H)のメインピークを上記下限値以上とすることで、樹脂の強度が向上し、耐久性により優れたトナーを得ることができる。また、後述するグリシジル基との反応による架橋体形成において、架橋形成が良好に進行するため、耐オフセット性に優れたトナーを得ることができる。
また、ピーク分子量を上記上限値以下にすることで、高分子量ビニル樹脂が未反応の状態で残っても、定着時のトナーの粘度が上がりにくくなり、定着性により優れたトナーが得られる。また、樹脂の強度も適度になり、生産性により優れたトナーとすることができる。
高分子量ビニル樹脂(H)は、酸価が3~35mgKOH/g、より好ましくは5~30mgKOH/gであることが好ましい。このような酸価であれば、トナーの定着性、耐オフセット性の面で好ましい。酸価が上記下限値以上であると、グリシジル基含有ビニル樹脂(E)と反応しやすく、耐オフセット性により優れたトナーとすることができる。
酸価が上記上限値以下であると、グリシジル基含有ビニル樹脂(E)との過剰な反応が抑制され、その結果、トナーの定着温度域での損失弾性率が適度となり、定着性により優れたトナーとすることができる。
高分子量ビニル樹脂(H)は、必ずしも単独の重合体である必要はなく、2種以上の高分子量ビニル樹脂を使用してよい。その場合、高分子量ビニル樹脂(H)全体として上記特性を満たすことが好ましい。また、単独の重合体を生成する際に、カルボキシ基含有単量体を重合途中に添加、若しくは重合初期と後期に分けて添加することも可能である。
(低分子量ビニル樹脂(L))
本実施形態において低分子量ビニル樹脂(L)は、THF可溶分がGPCにより測定される分子量分布において、分子量が2.0×10以上2.0×10以下の領域にメインピークを有することが好ましく、より好ましくは2.5×10以上1.0×10以下にメインピークを有することが好ましい。これにより、優れた定着性、耐オフセット性、耐久性のバランスを実現することができる。
ピーク分子量を上記下限値以上とすることで、耐久性により優れたトナーとすることができる。また、ピーク分子量が上記上限値以下とすることで、定着性や生産性により優れたトナーとすることができる。
低分子量ビニル樹脂(L)は、酸価が1~20mgKOH/gであることが好ましく、2~18mgKOH/gであることが優れた定着性能と耐オフセット性能を発揮する上でより好ましい。
酸価を上記下限値以上にすることで、高分子量ビニル樹脂(H)との相溶性が良好となり、耐久性および耐オフセット性により優れたトナーとなる。
また、上記上限値以下とすることで、低分子量ビニル樹脂(L)によるグリシジル基含有ビニル樹脂(E)と高分子量ビニル樹脂(H)との反応阻害を抑制でき、かつ、低分子量ビニル樹脂(L)自体の高分子量化を抑制できるため、耐オフセット性、および定着性のバランスにより優れたトナーを得ることができる。
低分子量ビニル樹脂(L)は、必ずしも単独の重合体である必要はなく、2種以上の低分子量ビニル樹脂を使用しても構わない。そのときには、低分子量ビニル樹脂(L)全体として、上述の特性を満たしていることが好ましい。また、単独の重合体を生成する際に、カルボキシ基含有単量体を重合途中に添加、若しくは重合初期と後期に分けて添加することも可能である。
本実施形態において、カルボキシ基含有ビニル樹脂(C)の製造方法としては、溶液重合、塊状重合、懸濁重合、乳化重合等の公知の重合方法およびそれらの組み合わせが採用できる。分子量分布の調整や、高分子量ビニル樹脂(H)と低分子量ビニル樹脂(L)の混合性、カルボキシ基やグリシジル基の分布調整の簡便さから溶液重合が好適に採用できる。
本実施形態に係るカルボキシ基含有ビニル樹脂(C)は、高分子量ビニル樹脂(H)と低分子量ビニル樹脂(L)を、それぞれあらかじめ単独で重合し、それらを溶融状態もしくは溶液状態で混合して得ることができる。また、高分子量ビニル樹脂(H)もしくは低分子量ビニル樹脂(L)の一方を単独で重合した後、そのビニル樹脂の存在下に他方のビニル樹脂を重合して得ることもできる。
溶液重合に用いられる溶剤としては、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、キュメン等の芳香族炭化水素が挙げられ、これらの単独またはこれらの混合物が使用され、好ましくはキシレンが好適である。
重合は、重合開始剤を用いて行ってもよいし、重合開始剤を用いずに、いわゆる熱重合を行ってもよい。重合開始剤としては、通常、ラジカル重合開始剤として使用可能なものを使用することができる。
例えば、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル-2,2'-アゾビスイソブチレート、1,1‐アゾビス(1-シクロヘキサンカーボニトリル)、2-(カーバモイルアゾ)-イソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)、2-フェニルアゾ-2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル、2,2'-アゾビス(2-メチル-プロパン)等のアゾ系開始剤;メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール類;t-ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類;ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-クミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α'-ビス(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン等のジアルキルパーオキサイド類;イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m-トルオイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;ジ-イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ-メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3-メチル-3-メトキシブチル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド等のスルホニルパーオキサイド類;t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシネオデカノエイト、クミルパーオキシネオデカノエイト、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエイト、t-ブチルパーオキシラウレート、t-ブチルパーオキシベンゾエイト、t-ブチルパーオキシイソブロピルカーボネート、ジ-t-ブチルジパーオキシイソフタレート等のパーオキシエステル類等が例示できる。これらの開始剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合開始剤の種類や量は、反応温度、単量体濃度等により適宜選んで使用でき、通常、用いる単量体100質量部に対して0.01~10質量部用いることができる。
[グリシジル基含有ビニル樹脂(E)]
本実施形態に係るグリシジル基含有ビニル樹脂(E)は、例えば、スチレン系単量体の少なくとも1種と、(メタ)アクリル系単量体の少なくとも1種と、グリシジル基含有単量体の少なくとも1種とを用いて公知の重合方法を用いることにより得られる。
グリシジル基含有ビニル樹脂(E)に使用されるスチレン系単量体および(メタ)アクリル系単量体としては、上記カルボキシ基含有ビニル樹脂(C)の説明で例示した単量体を用いることができる。
グリシジル基含有ビニル樹脂(E)に使用されるグリシジル基含有単量体としては、アクリル酸グリシジル、アクリル酸-β-メチルグリシジル、メタアクリル酸グリシジル、メタアクリル酸-β-メチルグリシジル等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはメタアクリル酸グリシジル、メタアクリル酸-β-メチルグリシジルである。
グリシジル基含有ビニル樹脂(E)は、THF可溶分がGPCにより測定される分子量分布において、好ましくは分子量1.0×10以上1.0×10以下、より好ましくは2.0×10以上8.0×10以下にメインピークを有する。また、エポキシ価は、0.003~0.100Eq/100gが好ましく、0.003~0.080Eq/100gがより好ましい。
グリシジル基含有ビニル樹脂(E)の、ピーク分子量およびエポキシ価が上記下限値以上であれば、トナーにした際の耐久性が良好となり、長期連続印刷においてトナー破壊により画像の劣化が起きない、いわゆる現像維持特性がより向上する。また、それと同時に、カルボキシ基含有ビニル樹脂(C)とグリシジル基含有ビニル樹脂(E)との反応により、高分子量成分の分子量がより増大し、バインダー樹脂に適当な弾性を付与するため、耐オフセット性能がより良好となる。
また、ピーク分子量を上記上限値以下としてエポキシ価を上記上限値以下にすることで、バインダー樹脂の過剰な弾性を抑制でき、定着性により優れたトナーを得ることができる。
なお、本実施形態においてエポキシ価は、樹脂100g中に存在するエポキシ基のモル数であり、その測定はJIS K-7236に準じて行うことができる。
グリシジル基含有ビニル樹脂(E)は、必ずしも単独の重合体である必要はなく、2種以上のグリシジル基含有ビニル樹脂を使用してよい。その場合、グリシジル基含有ビニル樹脂(E)全体として上記特性を満たしていることが好ましい。また、単独の重合体を生成する際に、グリシジル基含有単量体を重合途中に添加、若しくは重合初期と後期に分けて添加することも可能である。
本実施形態に係るトナー用バインダー樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)不溶成分を含むことが好ましい。
THF不溶成分の含有量は、良好な定着性、耐オフセット性、耐久性、トナー生産性のバランスの観点から、本実施形態に係るバインダー樹脂の全体を100質量%としたとき、好ましくは10質量%以上40質量%以下である。
THF不溶成分を上記下限値以上とすることで、耐オフセット性により優れたトナーとすることができ、さらには、離型剤を混錬する際に、十分な混錬シェアがかかり、離型剤の分散が良好となり、耐感光体汚染性をより良好にすることができる。
また、電荷制御剤、着色剤、磁性体等のトナー部材と本実施形態のバインダー樹脂を混錬・粉砕してトナーにする際に、十分な混錬シェアがかかり、トナー部材の分散が良好になり、耐感光体汚染性をより良好にすることができる。
THF不溶成分を上記上限値以下にすることで、定着性により優れたトナーとなり、過剰に分離したゲルによる部材の分散不良を防ぎ、耐感光体汚染がより一層向上する。
ここで、本実施形態に係るトナー用バインダー樹脂中のTHF不溶成分は、カルボキシ基含有ビニル樹脂(C)由来のカルボキシ基と、グリシジル基含有ビニル樹脂(E)由来のグリシジル基との反応により生成する架橋成分のものと離型剤由来のものであることが好ましい。
[カルボキシ基含有ビニル樹脂(C)とグリシジル基含有ビニル樹脂(E)との反応物]
本実施形態に係るトナー用バインダー樹脂は、上記カルボキシ基含有ビニル樹脂(C)と上記グリシジル基含有ビニル樹脂(E)との反応物(以下、単に反応物と称することもある)を含有する。上記反応物を含有することにより、溶融粘度低下による高温オフセットの悪化を抑制することができる。
反応物を得るための、カルボキシ基含有ビニル樹脂(C)とグリシジル基含有ビニル樹脂(E)は、例えば、上述の化合物の中から選択される1種または2種以上であってもよい。
反応物は、例えば、カルボキシ基含有ビニル樹脂(C)とグリシジル基含有ビニル樹脂(E)を混合し、加熱し反応させることで得ることができる。詳細は後述の実施例を参照されたい。
[直鎖飽和脂肪族モノカルボン酸と1価の直鎖飽和脂肪族アルコールから得られるモノエステル化合物]
本実施形態に係るトナー用バインダー樹脂は、直鎖飽和脂肪族モノカルボン酸と、1価の直鎖飽和脂肪族アルコールから得られるモノエステル化合物を含む。モノエステル化合物は結晶性を有しており、シャープメルト性に優れ、また本実施形態の樹脂に対して溶融時に可塑剤として作用する。モノエステル化合物を含むバインダー樹脂をトナー化することで、トナーの低温定着性および定着強度が向上する。
直鎖飽和脂肪族モノカルボン酸としては、モノカルボン酸であれば特に限定されない。モノカルボン酸の例としては、ブタン酸、ペンタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等を例示することができ、より好ましくはパルチミン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸である。
また、1価の直鎖飽和脂肪族アルコールは、直鎖脂肪族であり、かつ1価のアルコールであれば特に限定されない。このようなアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ラウリノール、ミリスチノール、ペンタデシノール、パルミチノール、マルガリノール、ステアリルアルコール、アラキジノール、ベヘニルアルコール等を例示でき、より好ましくは、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、リグノセリルアルコールである。
これらのモノカルボン酸、1価アルコールであれば、本実施形態のバインダー樹脂に対して、分散性をより良好にすることができる。
このとき、上記カルボキシ基含有ビニル樹脂(C)と、上記グリシジル基含有ビニル樹脂(E)と、上記反応物との合計100質量%に対して、上記モノエステル化合物を4質量%以上15質量%以下含むことが好ましい。
モノエステル化合物の添加量が、上記下限値以上であれば低温定着性をより向上させることができる。また、上記上限値以下であれば分散性を良好にでき、帯電不良を防止することができる。
[離型剤]
本実施形態に係るトナー用バインダー樹脂は、より良好な定着性能や耐オフセット性能を発現させるために、上記モノエステル化合物以外の離型剤(以下、ワックスと称することもある)を含有する。
離型剤の種類は、上記モノエステル化合物以外であれば特に限定されないが、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスが好ましい。
また、上記脂肪族炭化水素系ワックス以外では、例えば、カルナバワックス、キャンデリラワックス、木ろう、ライスワックス、ホホバろうのような植物系ワックス;酸化ポリエチレンワックスのような脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;蜜蝋、ラノリン、鯨ろうのような動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラタムのような鉱物系ワックス;モンタン酸エステル、カスターワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス;脱酸カルナバワックスのような脂肪酸エステル;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸のような不飽和脂肪酸;ソルビトールのような多価アルコール;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドのような脂肪酸アミド;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドのような脂肪酸ビスアミド;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N-ジオレイルアジピン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N'-ジオレイルセパシン酸アミドのような不飽和脂肪酸アミド;m-キシレンビスステアリン酸アミド、N,N'-ジステアリルイソフタル酸アミドのような芳香族ビスアミド;ペンタエリストールテトラベヘネートのような2つ以上のエステル結合を有するエステルワックスが例示できる。
上記モノエステル化合物以外の離型剤の含有量は、耐オフセット性、保存性のバランスの観点から、トナー用バインダー樹脂全体に対して2質量%以上8質量%以下であることが好ましい。
離型剤の融点は、典型的には75℃以上である。75℃以上であれば、離型効果を十分に得ることができる。また、離型剤の融点は、典型的には140℃以下である。140℃以下であれば、低温定着性をより向上させることができる。
融点は、例えば、示差走査熱量計(DSC)で測定することができる。
(脂肪酸金属塩)
本実施形態に係るトナー用バインダー樹脂は、下記一般式(1)で表される脂肪酸金属塩を含有することが好ましい。脂肪酸金属塩が、カルボキシ基含有ビニル樹脂(C)とグリシジル基含有ビニル樹脂(E)との反応において、触媒として機能することにより、バインダー樹脂を適切な粘度に調整することができる。
Figure 2022129632000002
上記一般式(1)において、nは11~22の整数であり、mは2であり、MはZnまたはCaから選択される金属原子である。
このような脂肪酸金属塩としては、例えば、ラウリン酸亜鉛((C1123COO)Zn)、ラウリン酸カルシウム((C1123COO)Ca)、ステアリン酸亜鉛((C1735COO)Zn)、ステアリン酸カルシウム((C1735COO)Ca)、ベヘル酸亜鉛((C2143COO)Zn)、ベヘル酸カルシウム((C2143COO)Ca)等を例示できる。
<バインダー樹脂の製造方法>
次に、本実施形態に係るトナー用バインダー樹脂の製造方法について説明する。
本実施形態に係るトナー用バインダー樹脂の製造方法の一例としては、カルボキシ基含有ビニル樹脂(C)、グリシジル基含有ビニル樹脂(E)、モノエステル化合物、離型剤を溶融混錬する方法があるが、これに限定されるものではない。
このような方法は、例えば撹拌機付きの反応容器等にカルボキシ基含有ビニル樹脂(C)、グリシジル基含有ビニル樹脂(E)、モノエステル化合物、離型剤を仕込み、加熱して溶融状態で反応させる方法が採用でき、特に2軸混錬機を用いることが好ましい。
モノエステル化合物および離型剤の存在下で、カルボキシ基含有ビニル樹脂(C)とグリシジル基含有ビニル樹脂(E)とを溶融混錬して架橋反応させることで、反応物を得つつ、離型剤をより一層微分散させることができる。
カルボキシ基含有ビニル樹脂(C)とグリシジル基含有ビニル樹脂(E)との架橋反応時の増粘による撹拌シェアの増大等により離型剤がより一層微分散すると考えられる。
溶融混錬時の温度は、カルボキシ基含有ビニル樹脂(C)やグリシジル基含有ビニル樹脂(E)の官能基や分子量によって異なるため特に限定されないが、140℃以上230℃以下が好ましく、170℃以上220℃以下がより好ましい。
溶融混錬時の温度を上記下限値以上にすることで、架橋体形成が良好となり、かつ混錬のシェアが適度になり、離型剤をより一層分散させることができる。
また、溶融混錬時の温度を上記上限値以下にすることで、架橋反応が過剰に進行するのを防ぎ、架橋成分と非架橋成分との相分離を抑制して、耐オフセット性により優れたトナーを得ることができる。また、解重合を抑制し、バインダー樹脂中の残存揮発分によるトナーの現像維持特性や臭気等の問題が発生する懸念を低減することができる。
2軸混錬機を用いて溶融混錬する方法においては、2軸混錬機に水を注入口から注入し、注入口より出口側に設置した減圧口から減圧することで、水および揮発成分を除去する方法もある。
この方法によって、十分に水が樹脂に混合され、減圧した際に樹脂中に残存していたモノマーや溶剤等の揮発成分が除去されやすくなる。
このようにして得られた樹脂を冷却・粉砕してトナー用バインダー樹脂とする。冷却・粉砕する方法は従来公知のいかなる方法も採用できる。また、冷却方法として、スチールベルトクーラー等を使用して急冷することも可能である。
<トナー>
次に、本実施形態に係るトナーについて説明する。
本実施形態に係るトナーは、本実施形態に係るトナー用バインダー樹脂以外のトナー部材として、着色剤を含む。さらに、本実施形態に係るトナーは、トナー用バインダー樹脂にさらに電荷制御剤、磁性体、表面処理剤等から選択される一種または二種以上をさらに含んでもよい。
以下、トナー用バインダー樹脂以外のトナー部材について説明する。
着色剤としては、従来公知の顔料および染料を使用することができる。
顔料としては、例えば、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、クロムグリーン、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等が挙げられる。マゼンタ用着色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、49、50、51、52、53、54、55、57、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、163、202、206、207、209、238、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35等が挙げられる。シアン用着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー2、3、15、15:1、15:2、15:3、16、17、C.I.アシッドブルー6、C.I.アシッドブルー45またはフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1~5個置換した銅フタロシアニン顔料等が挙げられる。イエロー用着色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、65、73、74、83、93、97、155、180、185、C.I.バットイエロー1、3、20等が挙げられる。黒色顔料としては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック等が挙げられる。染料としては、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6、ソルベントイエロー162等が挙げられる。
これらの着色剤は、単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
着色剤のトナーへの含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、典型的には0.05~20質量部であり、より好ましくは0.1~15質量部、さらに好ましくは0.2~10質量部である。
着色剤の代わりとして磁性体を使用することもできる。磁性体としては、鉄、コバルト、ニッケル、銅、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、ケイ素等の元素を含む金属酸化物が挙げられ、具体的には、四三酸化鉄、三二酸化鉄、酸化鉄亜鉛、酸化鉄イットリウム、酸化鉄カドミウム、酸化鉄ガドリニウム、酸化鉄銅、酸化鉄鉛、酸化鉄ニッケル、酸化鉄ネオジム、酸化鉄バリウム、酸化鉄マグネシウム、酸化鉄マンガン、酸化鉄ランタン、鉄粉、コバルト粉、ニッケル粉等が挙げられる。これらの磁性体は必要に応じて2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、その形状としては、球形、八面体、六面体のものを使用することが好ましく、さらには球形のものを使用することが磁性体をトナー中に均一に分散させる点で好ましい。
磁性体の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して1~200質量部が好ましく、より好ましくは10~170質量部、さらに好ましくは20~150質量部である。
また、本実施形態に係るトナーは、必要に応じて本実施形態の効果を阻害しない範囲において、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、ポリアミド、ポリスチレン、ロジン、重合ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、芳香族石油樹脂、塩ビ樹脂、スチレン-ブタジエン樹脂、スチレン-(メタ)アクリル共重合体、クロマン-インデン樹脂、メラミン樹脂等の樹脂を一部添加して使用してもよい。
また、着色剤の分散向上を目的として、着色剤をバインダー樹脂もしくはそれら原料樹脂に予め分散して、いわゆるマスターバッチを製造しておき、それをトナーに添加する方法を行ってもよい。具体的には着色剤20~60質量%、樹脂成分80~40質量%を粉体状態で混合し、得られた混合物を二軸混練機、オープンロール混練機や、加圧ニーダー等のバッチ式混練機等で混練し、それを粉砕したものをトナー製造時に使用してもよい。
本実施形態に係るトナーは、正帯電性または負帯電性を保持させるために電荷制御剤を含有してもよい。電荷制御剤としては従来公知のものを使用できる。正帯電性の電荷制御剤としては、例えば、ニグロシンおよび脂肪酸金属塩等による変性物;トリブチルベンジルアンモニウム-1-ヒドロキシ-4-ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートのような四級アンモニウム塩、およびこれらの類似体であるホスホニウム塩のようなオニウム塩およびこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料およびこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、燐タングステン酸、燐モリブデン酸、燐タングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物等);高級脂肪酸の金属塩;ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、ジシクロヘキシル錫オキサイドのようなジオルガノ錫オキサイド;ジブチル錫ボレート、ジオクチル錫ボレート、ジシクロヘキシル錫ボレートのようなジオルガノ錫ボレート類;グアニジン化合物;イミダゾール化合物;イミダゾリウム塩類;さらにはジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートとスチレン系単量体と必要により(メタ)アクリル系単量体を共重合した後にパラトルエンスルホン酸アルキルエステルで四級化する等の手法によって得られる四級アンモニウム塩基含有共重合体が挙げられる。
負帯電性の電荷制御剤としては、例えば、有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ヒドロキシカルボン酸金属錯体、芳香族ジカルボン酸金属錯体、芳香族ヒドロキシカルボン酸や芳香族モノカルボン酸や芳香族ポリカルボン酸およびその金属塩や無水物やエステル類、ビスフェノールのようなビスフェノール誘導体があり、さらには配位中心金属がSc、Ti、V、Cr、Co、Ni、Mn、Feから選択され、かつ、カチオンが水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンから選択されるアゾ系金属化合物や、配位中心金属がCr、Co、Ni、Mn、Fe、Ti、Zr、Zn、Si、B、Alから選択され、かつ、カチオンが水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、脂肪族アンモニウムから選択される芳香族ヒドロキシカルボン酸誘導体や芳香族ポリカルボン酸誘導体の金属化合物(芳香族ヒドロキシカルボンおよび芳香族ポリカルボン酸は置換基としてアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、水酸基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、カルボキシ基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、カルバモイル基を有していてもよい)、スルホン酸基含有アクリルアミド系単量体とスチレン系単量体と(メタ)アクリル系単量体の共重合体のようなスルホン酸基含有単量体を構成成分とする重合体等が挙げられる。これらの電荷制御剤は単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
電荷制御剤のトナーへの含有量は、帯電量とトナーの流動性のバランスから、バインダー樹脂100質量部に対して、0.05~10質量部が好ましく、より好ましくは0.1~5質量部、さらに好ましくは0.2~3質量部である。また、添加方法としては、トナー内部に添加する方法と外添する方法やそれらを組み合わせたものが適用できる。
本実施形態に係るトナーは、トナーの表面に対して表面処理剤を添加することによって、トナーとキャリア、あるいはトナー相互の間に該表面処理剤を存在させることが好ましい。表面処理剤を添加することにより、粉体流動性、保存性、帯電安定性、および環境安定性が向上され、かつさらに現像剤の寿命をも向上させることができる。
表面処理剤としては、従来公知のものを使用することができる。例えば、シリカ微粉体、酸化チタン微粉体、およびそれらの疎水化物等が挙げられる。シリカ微粉体は、湿式シリカ、乾式シリカ、乾式シリカと金属酸化物の複合体等が使用でき、さらに、これらを有機ケイ素化合物等で疎水化処理されたものが使用できる。疎水化処理は、例えば、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粉体をシラン化合物で処理し、有機ケイ素化合物で処理する方法等が挙げられる。疎水化処理に用いられるシラン化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α-クロルエチルトリクロルシラン、β-クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1、3-ジビニルテトラメチルジシロキサン、1、3-ジフェニルテトラメチルジシロキサン等が挙げられる。疎水化処理に用いられる有機ケイ素化合物としては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α-メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等のシリコーンオイル類が挙げられる。また、酸化チタン微粉末にオイル処理したものや、0.03μm~1μmのビニル樹脂の微粒子等も使用してもよい。
これら以外の表面処理剤として、ポリフッ化エチレン、ステアリン酸亜鉛、ポリフッ化ビニリデンのような滑剤、酸化セリウム、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウム、磁性粉、アルミナ等の研磨剤、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化錫等の導電性付与剤等も使用してもよい。さらには、表面処理剤の形状として、粒径が100nm以下の小粒径の粒子、粒径が100nm以上の大粒径の粒子、八面体状、六面体状、針状、繊維状等様々な形状のものを使用してもよい。表面処理剤は単独または2種以上を組み合わせて使用してよい。
該表面処理剤の添加量は、トナー100質量部中、好ましくは0.1~10質量部、より好ましくは0.1~5質量部である。
本実施形態に係るトナーを二成分現像剤として使用する場合、キャリアとして従来公知のものを使用できる。例えば、表面酸化または未酸化の鉄、コバルト、マンガン、クロム、銅、亜鉛、ニッケル、マグネシウム、リチウム、希土類のような金属およびそれらの合金または酸化物からなる個数平均粒径15~300μmの粒子が使用できる。これらのキャリアはスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂等により表面コートされているものを使用してもよい。さらには、樹脂に磁性微粒子が分散されてなる磁性微粒子分散型コアと該磁性微粒子分散型コアの表面を被覆する被覆樹脂を含有する被覆層を有する磁性キャリアを使用してもよい。
本実施形態に係るトナーは、公知の種々の現像プロセスに用いることができる。例えば、特に限定されないが、カスケード現像法、磁気ブラシ法、パウダー・クラウド法、タッチダウン現像法、キャリアとして粉砕法によって製造された磁性トナーを用いる所謂マイクロトーニング法、磁性トナー同士の摩擦帯電によって必要なトナー電荷を得る所謂バイポーラー・マグネチックトナー法等が挙げられる。また、本実施形態に係るトナーは、従来公知のファーブラシ法、ブレード法等の種々のクリーニング方法にも用いることができる。また、本実施形態に係るトナーは、従来公知の種々の定着方法に用いることができる。具体的には、オイルレスヒートロール法、オイル塗布ヒートロール法、熱ベルト定着法、フラッシュ法、オーブン法、圧力定着法等が例示される。また、電磁誘導加熱方式を採用した定着装置に使用してもよい。さらには中間転写工程を有する画像形成方法に用いてもよい。
<トナーの製造方法>
次に、本実施形態に係るトナーの製造方法について説明する。
本実施形態に係るトナーの製造方法は、本実施形態に係るトナー用バインダー樹脂と着色剤とを混合する工程を含む。トナー用バインダー樹脂と着色剤とを混合する工程において、トナー用バインダー樹脂以外のトナー部材も混合してもよい。
本実施形態に係るトナーは、本実施形態に係るトナー用バインダー樹脂を用いて、トナー用バインダー樹脂と着色剤を混合して製造される。混合する方法は、従来公知の方法でよい。例えば、バインダー樹脂、着色剤と、必要に応じて電荷制御剤等のトナー部材とをヘンシェルミキサー等の粉体混合機により充分に混合した後、2軸混練機、オープンロール混練機等の混練機を用いて溶融混練して各構成成分を充分に混合する。これを冷却後、粉砕、分級を行って、通常4~15μmの範囲の粒子を集め、粉体混合法により表面処理剤をまぶしてトナーを得る方法が挙げられる。
また、表面処理装置等により、トナーを球形化処理してもよい。表面処理の方法としては、例えば、高温空気噴流中に流入させトナーを球形化する方法や機械的な衝撃によりトナーの角を取る方法が挙げられる。画質の向上等を目的として、これらの表面処理を行って、フロー式粒子像測定装置(例えばシスメックス社製FPIA-3000)によって測定される平均円形度を0.960以上に調整してもよい。
また、高温空気噴流中に流入させトナーを球形化する方法では、粒子状のトナーを熱風で加熱処理する。このときの温度は200℃以上400℃以下であることが好ましい。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
また、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
以下、本実施形態を、実施例等を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。さらに、表中、Stはスチレン、Macはメタアクリル酸、BAはアクリル酸n-ブチル、GMAはメタクリル酸グリシジルを表す。
<モノエステル化合物の製造>
4つ口フラスコに、還流器、水分分離装置、窒素ガス導入管、温度計および撹拌装置を取り付け、表1に記載の組成でアルコール成分、カルボン酸成分(アルコール成分に対して1.05倍)を4つ口フラスコに仕込んだ。窒素ガスフロー下で、4つ口フラスコの内温を220℃に保ち、反応により生じた水を除去しつつ、15時間、常圧で反応を行って粗生成物を得た。
得られた粗生成物100質量部に、トルエン20質量部と、エタノール6質量部を入れた。また、粗生成物の酸価の1.5倍当量の水酸化カリウムを含む10%水溶液を加え、70℃で30分撹拌した。その後、30分静置した後、水層部分を除去して脱酸した。
次いで、粗生成物100質量部に対してイオン交換水20質量部を加えて70℃で30分撹拌した。その後、30分静置して、水層部を除去した。この水洗を4回繰り返した。残ったエステル層を180℃、1kPaの減圧条件下で、溶媒を除去した。これによりモノエステル化合物W1~W4を得た。
Figure 2022129632000003
[低分子量ビニル樹脂(L)の製造]
(L-1)
キシレン75質量部を窒素置換したフラスコに仕込み、昇温した。キシレン還流下において、表2に記載の単量体100質量部にt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート5質量部を混合溶解しておいた混合液を、5時間かけて連続添加した。その後、さらに1時間還流を継続した。
その後、フラスコ内温を98℃に保ち、さらにt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート0.5質量部を加えて2時間反応を継続し、L-1の重合液を得た。
(L-2)
キシレン100質量部を窒素置換したフラスコに仕込み、昇温した。キシレン還流下において、表2に記載の単量体100質量部にt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート10質量部を混合溶解しておいた混合液を、5時間かけて連続添加した。その後、さらに1時間還流を継続した。
その後、フラスコ内温を98℃に保ち、さらにt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート0.5質量部を加えて2時間反応を継続し、L-2の重合液を得た。
(L-3)
キシレン75質量部を窒素置換したフラスコに仕込み、昇温した。キシレン還流下において、表2に記載の単量体100質量部にt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート2質量部を混合溶解しておいた混合液を、5時間かけて連続添加した。その後、さらに1時間還流を継続した。
その後、フラスコ内温を98℃に保ち、さらにt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート0.5質量部を加えて2時間反応を継続し、L-3の重合液を得た。
(L-4)
キシレン50質量部を窒素置換したフラスコに仕込み、昇温した。キシレン還流下において、表2に記載の単量体100質量部にt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート1.8質量部を混合溶解しておいた混合液を、5時間かけて連続添加した。その後、さらに1時間還流を継続した。
その後、フラスコ内温を98℃に保ち、さらにt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート0.5質量部を加えて2時間反応を継続し、L-4の重合液を得た。
Figure 2022129632000004
[高分子量ビニル樹脂(H)の製造]
(H-1)
キシレン40質量部を窒素置換したフラスコに仕込み、昇温した。キシレン還流下において、表3に記載の単量体100質量部にジ-t-ブチルパーオキサイド0.5質量部を混合融解しておいた混合液を5時間かけて連続添加し、さらに1時間還流を継続した。
その後、フラスコ内温を130℃に保ち、さらにジ-t-ブチルパーオキサイド0.5質量部を加えて1時間反応を継続した。さらにジ-t-ブチルパーオキサイド0.5質量部を加えて1時間反応を継続し、H-1の重合体を得た。
(H-2)
キシレン50質量部を窒素置換したフラスコに仕込み、昇温した。キシレン還流下において、表3に記載の単量体100質量部にt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート1質量部を混合融解しておいた混合液を5時間かけて連続添加し、さらに1時間還流を継続した。
その後、フラスコ内温を98℃に保ち、さらにt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート0.5質量部を加えて1時間反応を継続した。さらにt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート0.5質量部を加えて2時間反応を継続し、H-2の重合体を得た。
(H-3)
キシレン20質量部を窒素置換したフラスコに仕込み、昇温した。キシレン還流下において、表3に記載の単量体100質量部にt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート1.8質量部を混合融解しておいた混合液を5時間かけて連続添加し、さらに1時間還流を継続した。
その後、フラスコ内温を98℃に保ち、さらにt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート0.3質量部を加えて1時間反応を継続した。さらにt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート0.5質量部を加えて2時間反応を継続し、H-3の重合体を得た。
(H-4)
キシレン50質量部を窒素置換したフラスコに仕込み、昇温した。キシレン還流下において、表3に記載の単量体100質量部にt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート1.8質量部を混合融解しておいた混合液を5時間かけて連続添加し、さらに1時間還流を継続した。
その後、フラスコ内温を98℃に保ち、さらにt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート0.5質量部を加えて1時間反応を継続した。さらにt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート0.5質量部を加えて2時間反応を継続し、H-4の重合体を得た。
(H-5)
スチレン69質量部、アクリル酸ブチル23質量部、キシレン15質量部を窒素置換したフラスコに仕込み、フラスコ内温を110℃に昇温した。そこにスチレン5質量部、メタクリル酸3質量部、キシレン85質量部、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート0.3質量部を混合溶解しておいた混合液を、7時間かけて連続添加し、さらに1時間還流を継続した。
その後、フラスコ内温を130℃に保ち、さらにジ-t-ブチルパーオキサイド0.1質量部を加えて2時間反応を継続した。さらに、ジ-t-ブチルパーオキサイド0.1質量部を加えて2時間反応を継続し、H-5の混合液を得た。
Figure 2022129632000005
<グリシジル基含有ビニル樹脂(E)の製造>
キシレン50質量部を窒素置換したフラスコに仕込み、昇温した。キシレン還流下において、表4に記載の単量体100質量部に、ジ-t-ブチルパーオキサイド0.5質量部を混合溶解しておいた混合液を、5時間かけて連続添加し、さらに1時間還流を継続した。
その後、フラスコ内温を130℃に保ち、ジ-t-ブチルパーオキサイド0.5質量部を加えて2時間反応を継続し、重合液を得た。これを160℃、1.33kPaの容器内でフラッシュして溶剤等を留去し、樹脂(E)を得た。
Figure 2022129632000006
<離型剤>
モノエステル化合物以外の離型剤は、表5に示されるワックスを用いた。
Figure 2022129632000007
<カルボキシ基含有ビニル樹脂(C)の製造>
表5に記載の離型剤を使用し、モノエステル化合物(W)、高分子量ビニル樹脂(H)、低分子量ビニル樹脂(L)を表6に示す仕込み組成となるように混合した。その後、キシレン還流下において、30分間混合した。これを190℃、1.33kPaのベッセル内にてフラッシュして溶剤等を留去し、樹脂(C)を得た。
Figure 2022129632000008
<バインダー樹脂(R)の製造>
カルボキシ基含有ビニル樹脂(C)、グリシジル基含有ビニル樹脂(E)の質量比が表7に記載の比率となるように各成分を混合した。その後、表7に記載の反応温度に温度設定した2軸混錬機(KEXN S-40型、栗本鐵工所社製)にて、25kg/hr、モーター回転数1400rpmで混錬反応し、混錬物を得た。この混錬物をスチールベルトクーラー(NR3-Hiダブルクーラ、日本ベルティング製)を使用して、冷却水温10℃、冷却水量90L/分、ベルトスピード6m/分の条件で急冷した。その後、粉砕してバインダー樹脂(R)を得た。
Figure 2022129632000009
<トナー(T)の製造>
表8に記載のバインダー樹脂100質量%に対し、着色剤としてカーボンブラック(MA100;三菱ケミカル製)を6質量%、電荷制御剤(T-77;保土ヶ谷化学工業製)を0.5質量%添加し、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業製)にて混合した。
その後、2軸押出機(PCM-30型;池貝機械製)にて2軸混練機吐出部樹脂温度110℃、滞留時間30秒で混錬した。次いで、冷却・粉砕・分級後、トナー粒子(T)100質量%に対して、疎水性シリカ微粉体(R-812;日本アエロジル製)1質量%を加えて、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業製)にて、混合した。これにより、コールターカウンター(ベックマンコールター製)で測定して、体積中位径D50が約7.5μmのトナーT-1からT-34を得た。
Figure 2022129632000010
<評価>
得られたトナーT-1~T-34を、以下の方法で評価した。得られた評価結果を表8に併せて示した。
[定着オフセット評価]
市販の電子写真複写機を改造した複写機にて未定着画像を作成した。紙上のトナー付着量が0.5mg/cmの未定着トナー画像を出力し、複写機の定着部より取り出して、非接触温度計により、定着部材の表面温度を測定できるよう調整し、加熱ベルト型定着試験機とした。
定着部材の温度を90℃から200℃まで5℃ずつ上昇させたときに、未定着のトナー画像を150mm/secで定着試験機に通してトナーを定着させた。定着部材に対するトナーの融着の有無を目視で確認した。環境条件は、温度22℃、相対湿度55%とした。
定着部材にトナーの融着が発生しない温度幅を耐オフセット温度幅とし、この低温側の下限温度を低温定着温度とした。
[定着強度評価]
定着部材の温度を140℃として、定着オフセット評価方法と同様にトナーの定着画像を得た。得られた定着画像の画像濃度を、マクベス式反射濃度計(RD918)で測定した後、画像濃度を測定した部分を十字におり曲げ、刷毛で紙から剥がれたトナーを除去して再度画像濃度を測定した。定着強度を下記式により算出した。
定着強度={(折り曲げ後の画像濃度)÷(折り曲げ前の画像濃度)}×100
[光沢評価]
定着部材の温度を150℃として、定着オフセット評価方法と同様に、トナーの定着画像を得た。得られた定着画像の75°光沢をグロスメーター(GM-3D;村上色彩技術研究所製)で測定した。
表8の結果から明らかなように、本実施例により製造されたトナーはいずれも低温定着性、耐オフセット性、および定着強度に優れたものであった。

Claims (7)

  1. カルボキシ基含有ビニル樹脂(C)と、
    グリシジル基含有ビニル樹脂(E)と、
    前記カルボキシ基含有ビニル樹脂(C)と前記グリシジル基含有ビニル樹脂(E)との反応物と、
    直鎖飽和脂肪族モノカルボン酸と1価の直鎖飽和脂肪族アルコールとから得られるモノエステル化合物とを含むトナー用バインダー樹脂であって、
    前記モノエステル化合物以外の離型剤を少なくとも1つ含む、トナー用バインダー樹脂。
  2. 前記カルボキシ基含有ビニル樹脂(C)と、
    前記グリシジル基含有ビニル樹脂(E)と、
    前記反応物との合計100質量%に対して、前記モノエステル化合物を4質量%以上15質量%以下含む、請求項1に記載のトナー用バインダー樹脂。
  3. 前記モノエステル化合物以外の離型剤が、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、カルナバワックス、および2つ以上のエステル結合を有するエステルワックスからなる群より選択される1種または2種以上の離型剤である、請求項1または2に記載のトナー用バインダー樹脂。
  4. 前記モノエステル化合物以外の離型剤が、当該トナー用バインダー樹脂全体に対して、2質量%以上8質量%以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載のトナー用バインダー樹脂。
  5. 前記カルボキシ基含有ビニル樹脂(C)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定されるテトラヒドロフラン可溶分の分子量分布において、
    分子量が2.5×10以上1.2×10以下の領域にピークを有する高分子量ビニル樹脂(H)と、
    分子量が2.0×10以上2.0×10以下の領域にピークを有する低分子量ビニル樹脂(L)とを含み、
    前記高分子量ビニル樹脂(H)と前記低分子量ビニル樹脂(L)との質量比(H/L)が55/45~85/15である、請求項1~4のいずれか一項に記載のトナー用バインダー樹脂。
  6. 下記一般式(1)で表される脂肪酸金属塩を含有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のトナー用バインダー樹脂。
    Figure 2022129632000011
    上記一般式(1)において、nは11~22の整数であり、mは2であり、MはZnまたはCaから選択される金属原子である。
  7. 当該トナー用バインダー樹脂中のテトラヒドロフラン不溶成分が、当該樹脂全体に対して10質量%~40質量%である、請求項1~6のいずれか一項に記載のトナー用バインダー樹脂。
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