JP2022129137A - ブランク、流動制御領域の設定方法、ブランクの設計方法及びブランクの製造方法 - Google Patents

ブランク、流動制御領域の設定方法、ブランクの設計方法及びブランクの製造方法 Download PDF

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稔 菅原
Minoru Sugawara
康治 田中
Koji Tanaka
貴行 野崎
Takayuki Nozaki
昂 山本
Takashi Yamamoto
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Abstract

【課題】プレス成形品のフランジ部におけるしわやコーナー部とその近傍における割れの発生を抑制できる、ブランク、流動制御領域の設定方法、ブランクの設計方法及びブランクの製造方法を提供する。【解決手段】底面と、前記底面から立ち上がりかつ前記底面に垂直な方向の平面視において湾曲するコーナー領域を有する側面と、稜線を介して前記側面と接続される支持面とを備えるプレス金型を用いてプレス成形品を製造するための板状のブランク10であって、前記コーナー領域に対応する前記ブランク10の角部において、前記ブランク10は流動制御領域Aを包含し、前記流動制御領域Aが、前記平面視における、前記ブランク10のブランク形状及び前記ブランク10の前記プレス金型との相対位置を設定したとき、前記流動制御領域が所定の範囲であることを特徴とするブランクを提供する。【選択図】図10

Description

本発明は、ブランク、流動制御領域の設定方法、ブランクの設計方法及びブランクの製造方法に関する。
CAFE(Corporate Average Fuel Efficiency)に基づく規制等のCO排出量削減を目標として、電気自動車(Electric Vehicle)の展開が急速に進められている。現在は高価格帯の電気自動車が主流であるが、電気自動車の低価格化のためには鉄鋼材料等の金属を採用した部品の開発が必要である。その一例として、鉄鋼材料等を採用した、バッテリーボックス、フロントピラーロア、ドアインナー等の成形技術の開発が行なわれている。
通常、これらの部品は、底板部、縦壁部及びフランジ部を含むように構成され、縦壁部が湾曲した角部(コーナー部とも称する)を有し、複数の部材を溶接して組み立てることで製造される。しかし、従来の成形技術では角部の曲率半径が比較的小さい場合やプレス成形の深さが深い場合、角部近傍のフランジにおいてしわが生じることがあった。
フランジ部のしわを抑制する手法として、例えば特許文献1の技術では、金型の押さえ面にビードを設け、絞り成形時の材料の流れる方向を制御しようと試みている。しかしながら、特許文献1の技術では、プレス成形後の製品にビードの跡や疵がつく可能性が高く、外観を損なう虞がある。また特許文献1の技術では、高強度の鉄鋼材料等をプレス成形する場合、所望の効果が発揮できない可能性が高く、安定した生産を行うことが難しい。
特許第2560416号公報
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、プレス成形品のフランジ部におけるしわやコーナー部とその近傍における割れの発生を抑制できる、ブランク、流動制御領域の設定方法、ブランクの設計方法及びブランクの製造方法を提供することを課題とする。
(1)本発明の一態様に係るブランクは、
底面と、底面から立ち上がりかつ底面に垂直な方向の平面視において湾曲するコーナー領域を有する側面と、稜線を介して側面と接続される支持面とを備えるプレス金型を用いてプレス成形品を製造するための板状のブランクであって、
コーナー領域に対応するブランクの角部において、ブランクは流動制御領域を包含し、
流動制御領域が、
上記平面視における、ブランクのブランク形状及びブランクのプレス金型との相対位置を設定したとき、
コーナー領域について、上記平面視で、コーナー領域に対応する稜線の湾曲領域の一方の終端点P1における稜線の法線を法線L1、湾曲領域の他方の終端点P2における稜線の法線を法線L2として、
湾曲領域において、終端点P1までの稜線の線長と終端点P2までの稜線の線長とが等しくなる点を点P3とし、法線L1と法線L2との交点Oと点P3とを通る直線を直線L3として、
ブランクの縁部と法線L1との交点を交点Mとし、ブランクの縁部と法線L2との交点を交点Nとし、交点Mと交点Nとを結ぶ線分L4として、
交点Oから交点Mまでの距離と交点Oから交点Nまでの距離のうちで、長い方の距離を長さRとして、
線分L4と平行であって、その中点Hcが直線L3と線分L4との交点Qと一致しかつ、長さRの0.6倍の長さ及び線分L4の長さの0.8倍の長さのうちでいずれか短い方の長さを有する線分を線分Hとしたときに、
線分Hを、直線L3と平行かつ交点Oから遠ざかる方向に、長さRの0.4倍の距離だけ平行移動させたときの、線分Hを平行移動させた範囲であることを特徴とする。
上記の構成からなるブランクでは、金型のコーナー領域に対応するブランクの角部の板面において流動制御領域が規定されているため、プレス成形品のフランジ部におけるしわやコーナー部とその近傍における割れの発生を抑制できる。
(2)本発明の一態様に係る流動制御領域の設定方法は、
板状のブランクに流動制御領域を設定する方法であって、
底面と、底面から立ち上がりかつ底面に垂直な方向の平面視において湾曲するコーナー領域を有する側面と、稜線を介して側面と接続される支持面とを備えるプレス金型であって、ブランクをプレス成形するためのプレス金型の金型形状を設定する工程と、
上記平面視での、ブランクのブランク形状及びブランクのプレス金型との相対位置を設定する工程と、
プレス金型について、流動制御領域の設定対象とするコーナー領域を設定する工程と、
コーナー領域について、上記平面視で、コーナー領域に対応する稜線の湾曲領域の一方の終端点P1における稜線の法線L1と、湾曲領域の他方の終端点P2における稜線の法線L2とを設定する工程と、
湾曲領域に、終端点P1までの稜線部の線長と終端点P2までの稜線部の線長とが等しくなる点P3を設定し、法線L1と法線L2との交点Oと点P3とを通る直線L3を設定する工程と、
ブランクの縁部と法線L1との交点M、及びブランクの縁部と法線L2との交点Nを設定し、交点Mと交点Nとを結ぶ線分L4を設定する工程と、
交点Oから交点Mまでの距離と交点Oから交点Nまでの距離のうちで、長い方の距離を長さRとして設定する工程と、
線分L4と平行であって、その中点Hcが直線L3と線分L4との交点Qと一致しかつ、長さRの0.6倍の長さ及び線分L4の長さの0.8倍の長さのうちでいずれか短い方の長さを有する線分Hを設定する工程と、
線分Hを、直線L3と平行かつ交点Oから遠ざかる方向に、長さRの0.4倍の距離だけ平行移動させ、線分Hを平行移動させた範囲を流動制御領域と設定する工程と、を含むことを特徴とする。
上記の構成からなる流動制御領域の設定方法では、板状のブランクに対して、適切な流動制御領域を規定することができるため、プレス成形品のフランジ部におけるしわやコーナー部とその近傍における割れの発生を抑制できる。
(3)本発明の一態様に係るブランクの設計方法は、
上記平面視において、上記(2)に記載の流動制御領域の設定方法によって設定された流動制御領域がブランク形状に包含されるようにブランク形状を設計することを特徴とする。
上記の構成からなるブランクの設計方法では、適切な流動制御領域を含むブランクを提供できるため、プレス成形品のフランジ部におけるしわやコーナー部とその近傍における割れの発生を抑制できる。
(4)本発明の一態様に係るブランクの製造方法は、
上記(3)に記載のブランクの設計方法で設計されたブランク形状となるように、金属板を加工してブランクを製造することを特徴とする。
上記の構成からなるブランクの製造方法では、適切な流動制御領域を含むブランクを提供できるため、プレス成形品のフランジ部におけるしわやコーナー部とその近傍における割れの発生を抑制できる。
本発明のブランク、流動制御領域の設定方法、ブランクの設計方法及びブランクの製造方法によれば、プレス成形品のフランジ部におけるしわやコーナー部とその近傍における割れの発生を抑制できる。
本発明の一実施形態に係る第一プレス金型のコーナー領域の付近を示す概略的な斜視図である。 本発明の一実施形態に係る第一プレス金型のコーナー領域の付近を示す図であって、底面に垂直な方向の平面視での概略的な平面図である。 図2のA-A’の位置を通る平面で第一プレス金型を断面視した概略的な断面図である。 本発明の一実施形態に係る一組のプレス金型を説明するための概略的な斜視図である。 本発明の一実施形態に係るブランクの概略的な平面図である。 本発明の一実施形態に係るブランクの概略的な平面図であって、ブランクの角部付近を示す図ある。 流動制御領域の設定方法を説明するためのフローチャートである。 金型のコーナー領域付近を示す図であって、金型の底面に垂直な方向の平面視での概略的な平面図である。 金型のコーナー領域付近における金型とブランクとを示す図であって、金型の底面に垂直な方向の平面視での概略的な平面図である。 図9において線分Hを移動させた状態の概略的な平面図である。 本発明の一実施形態に係るコーナー領域を説明するための概略的な斜視図である。 本発明の一実施形態に係るコーナー領域を説明するための概略的な平面図であり、図11のコーナー領域に本発明の一実施形態に係るブランクを重ねた状態を示す図である。 本発明の一実施形態に係るコーナー領域とそれに対応する流動制御領域を説明するための概略的な平面図である。 本発明の一実施形態に係るコーナー領域とそれに対応する流動制御領域を説明するための概略的な平面図である。 本発明を好ましく用いることができる製品の一例を示す図である。 本発明を好ましく用いることができる製品の一例を示す図である。 本発明を好ましく用いることができる製品の一例を示す図である。 本発明を好ましく用いることができる製品の一例を示す図である。 実験例1のブランクの平面図である。 実験例2のブランクの平面図である。 実験例3のブランクの平面図である。 実験例4のブランクの平面図である。 実験例5のブランクの平面図である。
本発明者らは、プレス成形品のフランジ部に生じるしわを抑制するために、プレス成形されるブランクの形状を検討したところ、従来のブランクの形状に余剰部を設けることで、プレス成形時の材料の流動方向を制御でき、フランジ部のしわやコーナー部とその近傍における割れの抑制につながることを見出した。しかし一方、本発明者らは、単に余剰部を設けただけでは、このようなしわを効果的に抑制することができないことも見出した。そして、鋭意検討の結果、ブランクの形状や金型の形状に応じた適切な領域を設定することで、プレス成形品のフランジ部のしわを効果的に抑制できることを見出した。
以下、本発明の実施形態について例を挙げて説明するが、本発明は以下で説明する例に限定されないことは自明である。以下の説明では、具体的な数値や材料を例示する場合があるが、本発明の効果が得られる限り、他の数値や材料を適用してもよい。また、以下の実施形態の各構成要素は、互いに組み合わせることができる。
[第一実施形態]
本実施形態に係るブランクは、底面と、底面から立ち上がりかつ底面に垂直な方向の平面視において湾曲するコーナー領域を有する側面と、稜線を介して側面と接続される支持面とを備えるプレス金型を用いてプレス成形品を製造するための板状のブランクである。先ず、本実施形態に係るプレス金型について説明する。
(プレス金型)
図1に、本実施形態に係るプレス金型(第一プレス金型100)の一例を示す。また、図2に、第一プレス金型100の側面120のコーナー領域121の付近を示す概略的な図であって、底面110に垂直な方向の平面視での平面図を示す。図1及び図2の例では、X軸は側面120の一方の平面領域(平面領域122a)が延在する方向と平行であり、Y軸は側面120の他方の平面領域(平面領域122b)が延在する方向と平行であり、Z軸は底面110の垂線に平行である。
図1は第一プレス金型100の側面120のコーナー領域121の付近を示す概略的な斜視図である。図1に示す第一プレス金型100は、底面110と、底面110から立ち上がりかつ底面110に垂直な方向の平面視において湾曲するコーナー領域121を有する側面120と、稜線130を介して側面120と接続される支持面140とを備える。
底面110は、略平面状の面であってもよい。底面110は、その外縁111において側面120と接続される。底面110の外縁111の全てが側面120と接続されていてもよく、外縁111の一部が側面120と接続されていてもよい。外縁111の一部は、側面120のコーナー領域121に対応する、角部111aを備えている。底面110と側面120とは、外縁111に沿って設けられた底面側稜線112を介して接続されていてもよい。底面側稜線112の各点における底面側稜線112の延在方向に垂直な断面視では、底面110と側面120とは底面側稜線112を介して滑らかに接続されている。底面側稜線112のうちで側面120のコーナー領域121と接続される部分を隅部112aと称する。底面110は、プレス成形品に凹凸部を設けるための、底面110の面外方向に向く凹部又は凸部を有していてもよい。
側面120は、底面110に接続されかつ、底面110の面外方向に向けて立ち上がる。側面120の一部又は全部は、底面110の垂線と平行であってもよく、底面110の垂線に対して傾いていてもよい。側面120は、図1又は図2に示すように、底面110に垂直な方向の平面視において湾曲するコーナー領域121を有する。コーナー領域121は、終端部121a及び終端部121bにおいて側面120の平面領域122(平面領域122a及び平面領域122b)に接続されている。コーナー領域121は、底面110に垂直な方向の平面視において異なる曲率半径を有する他のコーナー領域、あるいは緩やかに湾曲する側面120の領域と接続されてもよい。あるいは、コーナー領域121の終端部は側面120の端部であってもよい。図1及び図2の例では、底面110に垂直な方向の平面視において平面領域122aと平面領域122bとは直交しているが、底面110に垂直な方向の平面視において平面領域122aと平面領域122bとがなす角は、これに限定されない。
側面120は、底面110が接続される側の端部とは反対側の端部において、稜線130を介して支持面140と接続される。稜線130の各点における稜線130の延在方向に垂直な断面視で、支持面140は、側面120に対して底面110と反対側に設けられている。側面120のコーナー領域121と接続される稜線130の部分を湾曲領域131と称する。稜線130の湾曲領域131は、終端部131a及び終端部131bにおいて稜線130の直線領域132(直線領域132a及び直線領域132b)に接続されている。湾曲領域131は、底面110に垂直な方向の平面視において異なる曲率半径を有する他の湾曲領域、あるいは緩やかに湾曲する稜線130の領域と接続されてもよい。あるいは、湾曲領域131の終端部は稜線130の端部であってもよい。湾曲領域131の終端部(終端部131a及び終端部131b)は、後述する終端点P1及び終端点P2をそれぞれ含む。
図3に、図2のA-A’の位置を通る平面で第一プレス金型を断面視した概略的な断面図を示す。図3に示すように、底面110と側面120のコーナー領域121とは底面側稜線112の隅部112aを介して滑らかに接続され、側面120のコーナー領域121と支持面140とは稜線130の湾曲領域131を介して滑らかに接続されている。図3の例では、側面120のコーナー領域121は、底面110の垂線に対して傾いている。しかし、コーナー領域121は、底面110と直交する各断面において、底面110に対して垂直であってもよい。
第一プレス金型100は、コーナー領域121を一又は複数備えていてもよい。第一プレス金型100の底面110はプレス成形品の底板部と対応し、側面120はプレス成形品の縦壁部と対応し、支持面140はプレス成形品のフランジ部に対応する。
上述した第一プレス金型100と、第二プレス金型200と、第三プレス金型300とを含む一組のプレス金型1000によってプレス成形が実施される。第一プレス金型100、第二プレス金型200及び第三プレス金型300を含む、一組のプレス金型1000の一例を図4に示す。図4では、4つのコーナー領域121を備える第一プレス金型100を含むプレス金型1000を例示するが、プレス金型としてはこの形状に限定されず、コーナー領域121の数や底面110の形状は特に限定されない。
第二プレス金型200は、第一プレス金型100の底面110に対応する底面210と、第一プレス金型100の側面120に対応する側面220と、第一プレス金型100のコーナー領域121に対応するコーナー領域221を備えている。第二プレス金型200の底面210と側面220の外面形状は、第一プレス金型100の底面110と側面120の外面形状と対応する形状とされている。被加工材であるブランクを第一プレス金型100と第二プレス金型200の間に配置した状態で、第一プレス金型100の底面110と第二プレス金型200の底面210が近接する方向(プレス方向)に、第一プレス金型100と第二プレス金型200を相対的に移動させることで、第一プレス金型100と第二プレス金型200との間でブランクを塑性変形させる。第一プレス金型100は、ダイとも称される。第二プレス金型200は、パンチとも称される。
第三プレス金型300は、第一プレス金型100の支持面140に対応する支持面340を備えている。第一プレス金型100の支持面140と第三プレス金型300の支持面340は対向して配置され、第一プレス金型100の支持面140と第三プレス金型300の支持面340によって、被加工材であるブランクを挟持できる。ブランクは、第一プレス金型100の支持面140と第三プレス金型300の支持面340によって、その面外方向に移動せず、面内方向で移動できるように挟持される。第一プレス金型100と第三プレス金型300とによってブランクを挟持した状態で第一プレス金型100と第二プレス金型200を相対的に移動させる際には、第二プレス金型200は第三プレス金型300と相対的に移動する。第三プレス金型300は、ホルダーとも称される。
第一プレス金型100、第二プレス金型200及び第三プレス金型300は、それぞれが単一の部材から構成されてもよく、それぞれが分割された分割金型から構成されてもよい。またプレス金型1000は、これらの金型以外の金型を備えていてもよい。
(ブランク)
本実施形態に係るブランクは、コーナー領域に対応するブランクの角部において、ブランクの板面において規定される流動制御領域を包含する。図5及び図6に、本実施形態に係るブランク10の一例を示す。図5及び図6は、ブランク10を板状のブランク10の板面に垂直な方向の平面視における概略的な平面図である。ブランク10は角部11を有し、第一プレス金型100によってブランク10をプレス成形してプレス成形品に加工する際には、ブランク10の角部11は、第一プレス金型100のコーナー領域121に対応する位置に配置される。
図6は、ブランク10の角部11の付近を示している。角部11とは、ブランク10の板面に垂直な方向の平面視において、略直線状のブランク10の縁部12が交わる箇所を意味する。ブランク10は角部11において流動制御領域Aを包含する。
図5及び図6に例示する板状のブランク10には、突出部13が設けられている。突出部13は、ブランクの角部11に位置し、突出部13では、ブランク10の縁部12の一部がブランク10の外側へ向けて突出した形状となっている。ブランク10の縁部12の一部がブランク10の外側へ向けて突出するとは、ブランク10の板面に垂直な方向の平面視で、ブランク10の中央部から縁部12に向かう方向に突出することを意味する。突出部13の形状は特に限定されず、真円形又は楕円形の一部、多角形の一部、あるいはこれらを組み合わせたものであってもよい。
図5の例では、ブランク10の角部11の全てに突出部13が設けられている例を示しているが、ブランク10の形状はこれに限定されず、流動制御領域Aの設定対象となる角部にのみ突出部が設けられればよい。突出部13の一部は、プレス成形品のフランジの一部となってもよく、プレス成形品からトリミングされてもよい。
ブランク10は、鋼板、アルミ合金板、チタン合金板、又はこれらの複合材であってもよい。ブランク10としては、引張強度が270から440MPaの鋼板を用いることが、材料伸びの点からより好ましい。またブランク10は、高強度鋼板であってもよく、例えば、引張強度が980MPa以上の鋼板であってもよい。本実施形態に係るブランク10の引張強度が高い場合にも、しわや割れの抑制効果が得られる。また、ブランク10には、防錆、防食の目的で、めっき処理等の加工が施されていてもよい。
(流動制御領域)
流動制御領域Aは、第一プレス金型100の金型形状に対応しかつ、ブランク10の板面において規定された平行四辺形形状の領域である。ブランク10の板面において規定される流動制御領域Aは、第一プレス金型100の底面110に垂直な方向の平面視における、ブランク10のブランク形状及びブランク10の第一プレス金型100との相対位置を設定したとき、第一プレス金型100のコーナー領域121について、上記平面視で、コーナー領域121に対応する第一プレス金型100の稜線130の湾曲領域131の一方の終端点P1における稜線130の法線を法線L1、湾曲領域の他方の終端点P2における稜線130の法線を法線L2として、湾曲領域131において、終端点P1までの稜線130の線長と終端点P2までの稜線130の線長とが等しくなる点を点P3とし、法線L1と法線L2との交点Oと点P3とを通る直線を直線L3として、ブランク10の縁部12と法線L1との交点を交点Mとし、ブランク10の縁部12と法線L2との交点を交点Nとし、交点Mと交点Nとを結ぶ線分L4として、交点Oから交点Mまでの距離と交点Oから交点Nまでの距離のうちで、長い方の距離を長さRとして、線分L4と平行であって、その中点Hcが直線L3と線分L4との交点Qと一致しかつ、長さRの0.6倍の長さ及び線分L4の長さの0.8倍の長さのうちでいずれか短い方の長さを有する線分を線分Hとしたときに、線分Hを、直線L3と平行かつ交点Oから遠ざかる方向に、長さRの0.4倍の距離だけ平行移動させたときの、線分Hを平行移動させた範囲を流動制御領域Aとする。
流動制御領域Aの設定方法については、第二実施形態で説明する。
なお、ブランク10が流動制御領域Aを包含する形状であれば、上記の突出部13は必須ではなく、ブランク10自体が流動制御領域Aを包含する形状となっていればよい。また、ブランク10中の全ての角部11において流動制御領域Aが設定される必要はなく、その一部のみに流動制御領域Aが設定され、さらにこの流動制御領域Aを包含するように突出部13が設けられていてもよい。
本実施形態に係るブランク10では、第一プレス金型100のコーナー領域121に対応するブランク10の角部11の板面において流動制御領域Aが規定されている。そのため、このブランク10よりプレス成形されるプレス成形品のフランジ部におけるしわやコーナー部とその近傍における割れの発生を抑制できる。
[第二実施形態]
本実施形態に係る流動制御領域の設定方法は、板状のブランクに流動制御領域を設定する方法である。本実施形態に係る流動制御領域の設定方法は、
底面と、底面から立ち上がりかつ底面に垂直な方向の平面視において湾曲するコーナー領域を有する側面と、稜線を介して側面と接続される支持面とを備えるプレス金型であって、ブランクをプレス成形するためのプレス金型の金型形状を設定する工程(S10)と、
平面視での、ブランクのブランク形状及びブランクのプレス金型との相対位置を設定する工程(S20)と、
プレス金型について、流動制御領域の設定対象とするコーナー領域を設定する工程(S30)と、
コーナー領域について、平面視で、コーナー領域に対応する稜線の湾曲領域の一方の終端点P1における稜線の法線L1と、湾曲領域の他方の終端点P2における稜線の法線L2とを設定する工程(S40)と、
湾曲領域に、終端点P1までの稜線部の線長と終端点P2までの稜線部の線長とが等しくなる点P3を設定し、法線L1と法線L2との交点Oと点P3とを通る直線L3を設定する工程(S50)と、
ブランクの縁部と法線L1との交点M、及びブランクの縁部と法線L2との交点Nを設定し、交点Mと交点Nとを結ぶ線分L4を設定する工程(S60)と、
交点Oから交点Mまでの距離と交点Oから交点Nまでの距離のうちで、長い方の距離を長さRとして設定する工程(S70)と、
線分L4と平行であって、その中点Hcが直線L3と線分L4との交点Qと一致しかつ、長さRの0.6倍の長さ及び線分L4の長さの0.8倍の長さのうちでいずれか短い方の長さを有する線分Hを設定する工程(S80)と、
線分Hを、直線L3と平行かつ交点Oから遠ざかる方向に、長さRの0.4倍の距離だけ平行移動させ、線分Hを平行移動させた範囲を流動制御領域と設定する工程(S90)と、を含む。
(流動制御領域の設定方法)
以下に、本実施形態に係る流動制御領域Aを設定する手順を説明する。図7に、本実施形態に係る流動制御領域Aの設定方法のフローチャートを示す。
工程(S10)では、底面と、底面から立ち上がりかつ底面に垂直な方向の平面視において湾曲するコーナー領域を有する側面と、稜線を介して側面と接続される支持面とを備えるプレス金型であって、ブランクをプレス成形するためのプレス金型の金型形状を設定する。プレス金型としては、第一実施形態で説明した第一プレス金型を含む金型を好ましく用いることができる。以下では、プレス金型をこの第一プレス金型として説明する。プレス金型は、ブランクからプレス成形するプレス成形品の形状に対応する形状である。
工程(S20)では、平面視での、ブランクのブランク形状及びブランクの第一プレス金型との相対位置を設定する。ブランク形状は、所望のプレス成形品に対応する形状とする。ブランクとプレス金型との相対位置は、所望のプレス成形品となるように設定される。
工程(S30)では、プレス金型について、流動制御領域の設定対象とするコーナー領域を設定する。流動制御領域を設定する対象とするコーナー領域は、第一プレス金型の底面に垂直な方向の平面視において、側面に対して底面側から支持面側へ凸となるコーナー領域とする。すなわち、第一プレス金型の底面に垂直な方向の平面視において、側面に対して支持面側から底面側へ凸となるコーナー領域は、上記実施形態の対象とはならない。底面に垂直な方向の平面視において互いに異なる曲率半径を有する複数のコーナー領域が接続されている場合、これら複数のコーナー領域を一つのコーナー領域として、上記の流動制御領域を設定する。
工程(S40)では、コーナー領域について、第一プレス金型の底面に垂直な方向の平面視で、コーナー領域に対応する稜線の湾曲領域の一方の終端点P1における稜線の法線L1(破線で示す)と、湾曲領域の他方の終端点P2における稜線の法線L2(破線で示す)とを設定する。
図8に、第一プレス金型100のコーナー領域121付近における、第一プレス金型100の底面110に垂直な方向の平面視での概略的な平面図を示す。第一プレス金型100の底面110に垂直な方向の平面視においては、稜線130が幅を有している。そのため、稜線130の延在方向における各点での、稜線130の延在方向に垂直な断面における側面120の延長面と支持面140の延長面とが交わる点で構成される仮想線を稜線130と見做し、稜線130の湾曲領域131の終端点P1及び終端点P2もこの仮想線上にあるものと見做す。
工程(S50)では、湾曲領域131に、終端点P1までの稜線部の線長と終端点P2までの稜線部の線長とが等しくなる点P3を設定し、法線L1と法線L2との交点Oと点P3とを通る直線L3(破線で示す)を設定する。
工程(S60)では、ブランク10の縁部12(一点鎖線又は実線で示す)と法線L1との交点M、及びブランクの縁部と法線L2との交点Nを設定し、交点Mと交点Nとを結ぶ線分L4(破線で示す)を設定する。図9に、第一プレス金型100のコーナー領域121付近における、第一プレス金型100の底面110に垂直な方向の平面視での、第一プレス金型100とブランク10とを重ね合わせた状態の概略的な平面図を示す。図9では、第一プレス金型100とブランク10との相対位置が合っている状態である。図9では、第一プレス金型100の稜線130以外の構成を省略している。
工程(S70)では、交点Oから交点Mまでの距離と交点Oから交点Nまでの距離のうちで、長い方の距離を長さRとして設定する。
工程(S80)では、線分L4と平行であって、その中点Hcが直線L3と線分L4との交点Qと一致しかつ、長さRの0.6倍の長さ及び線分L4の長さの0.8倍の長さのうちでいずれか短い方の長さを有する線分Hを設定する。
工程(S90)では、線分Hを、直線L3と平行かつ交点Oから遠ざかる方向に、長さRの0.4倍の距離だけ平行移動させ、線分Hを平行移動させた範囲を流動制御領域Aと設定する。図10に、図9において線分Hを移動させた状態の概略的な平面図を示す。流動制御領域Aは、線分Hを平行移動させた領域であるため、ブランク10の板面において規定された平行四辺形形状の領域となる。
なお、工程(S90)の後にさらに流動制御領域Aがブランク形状に包含されているか否かを判定する工程(S100)を備えていてもよい。工程(S100)では、上記の工程(S90)において設定された流動制御領域Aがブランク10のブランク形状に包含されていない場合、例えば、流動制御領域Aの一部がブランク10のブランク形状からはみ出している場合、上記の工程(S20)へ戻り、ブランク10のブランク形状を再設定してもよい。
本実施形態に係る流動制御領域の設定方法では、板状のブランク10に対して、適切な流動制御領域Aを規定することができる。ブランク10のブランク形状をこの流動制御領域Aを包含する含む形状に設計することで、プレス成形品のフランジ部におけるしわやコーナー部とその近傍における割れの発生を抑制できる。
本発明では、上述した流動制御領域がブランクのブランク形状に包含されるようにブランクを設計することで、プレス成形品のフランジ部に発生するしわを効果的に抑制することができる。
また本発明では、上述した流動制御領域の設定方法に基づいて設計されたブランク形状となるように、金属板を加工してブランクを製造する。よって、本発明によれば、適切な流動制御領域を含むブランクを提供できるため、このブランクを用いてプレス成形をした際に、プレス成形品のフランジ部におけるしわやコーナー部とその近傍における割れの発生を抑制できる。
上記実施形態において、上記の流動制御領域を設定する対象とするコーナー領域は、第一プレス金型の底面に垂直な方向の平面視において、側面に対して底面側から支持面側へ凸となるコーナー領域とする。すなわち、第一プレス金型の底面に垂直な方向の平面視において、側面に対して支持面側から底面側へ凸となるコーナー領域は、上記実施形態の対象とはならない。例えば、図11に示す第一プレス金型の側面領域Bは、側面に対して支持面側から底面側へ凸となっており、本発明に係る流動制御領域の設定方法の対象とはならない。
上記実施形態において、底面に垂直な方向の平面視において互いに異なる曲率半径を有する複数のコーナー領域が接続されている場合、これら複数のコーナー領域を一つのコーナー領域として、上記の流動制御領域を設定する。例えば、図11に示す第一プレス金型の側面領域Cでは、コーナー領域121’とコーナー領域121’’という互いに異なる曲率半径を有する複数のコーナー領域を備える。図11に示す第一プレス金型の側面領域Cは、側面に対して底面側から支持面側へ凸となっており、本発明に係る流動制御領域の設定方法の設定接対象とできる。この場合、図12に示すような流動制御領域Aを設定し、この流動制御領域Aを包含するように、適切なブランクの形状を設計することができる。
上記実施形態に係るブランクでは、第一プレス金型100の底面110に垂直な方向の平面視において、ブランク10の縁部12が、線分L4と平行な直線であって、交点Oから遠ざかる方向に長さの2倍の距離だけ線分L4から離れた位置にある直線Sよりも線分L4側に位置することがより好ましい。これにより、ブランク10を製造する際の歩留まりを損ねることなく本発明の効果が十分に得られる。
上記実施形態に係るブランクの板厚は、ブランクをプレス成形して得られるプレス成形品に求められる特性によって適宜設定することがより好ましい。ブランクの板厚は、被加工材である金属板の平均板厚であってもよい。平均板厚は、金属板の複数の任意の点(例えば、縦壁部や底板部に成形される範囲における3点)における板厚の平均値としてもよい。また金属板の板厚は、予成形品の縦壁予成形部又は底板予成形部の板厚、又はプレス成形品の縦壁部又は底板部の板厚と実質的に同じであってもよい。また金属板の板厚は、第一金型と第二金型と間のクリアランス、又は第四金型と第五金型と間のクリアランスと実質的に同じであってもよい。
上記実施形態において、コーナー領域の曲率半径が、ブランクの板厚の30倍以下であることがより好ましい。コーナー領域の曲率半径は、第一プレス金型の底面に垂直な方向の平面視における曲率半径とする。
上記実施形態において、終端点P1における稜線の接線と終端点P2における稜線の接線とのなす角度は特に限定されない。例えば、図13に示すような鋭角、あるいは図14に示すような鈍角とすることができる。また、第一プレス金型の底面に垂直な方向の平面視において、終端点P1における稜線の接線と終端点P2における稜線の接線とのなす角度が30°以上150°以下であることがより好ましい。また、上記実施形態において、第一プレス金型の側面の平面領域は、底面に垂直な方向の平面視においてその曲率半径が500mm以上である領域とすることが好ましい。また、上記実施形態において、第一プレス金型の側面の高さがブランク10の板厚の20倍以上200倍以下であることがより好ましい。
上記実施形態において、プレス成形品は、最終製品であってもよく、さらに加工(プレス成形、切削、曲げ、溶接、加熱・冷却、めっき、塗装)を施して最終製品とするための中間品であってもよい。
また、本発明によれば、板状のブランクに流動制御領域を設定する方法であって、底面と、底面から立ち上がりかつ底面に垂直な方向の平面視において湾曲するコーナー領域を有する側面と、稜線を介して側面と接続される支持面とを備えるプレス金型であって、ブランクをプレス成形するためのプレス金型の金型形状を設定する工程と、上記平面視での、ブランクのブランク形状及びブランクのプレス金型との相対位置を設定する工程と、プレス金型について、流動制御領域の設定対象とするコーナー領域を設定する工程と、コーナー領域について、上記平面視で、コーナー領域に対応する稜線の湾曲領域の一方の終端点P1における稜線の法線L1と、湾曲領域の他方の終端点P2における稜線の法線L2とを設定する工程と、湾曲領域に、終端点P1までの稜線部の線長と終端点P2までの稜線部の線長とが等しくなる点P3を設定し、法線L1と法線L2との交点Oと点P3とを通る直線L3を設定する工程と、ブランクの縁部と法線L1との交点M、及びブランクの縁部と法線L2との交点Nを設定し、交点Mと交点Nとを結ぶ線分L4を設定する工程と、交点Oから交点Mまでの距離と交点Oから交点Nまでの距離のうちで、長い方の距離を長さRとして設定する工程と、線分L4と平行であって、その中点Hcが直線L3と線分L4との交点Qと一致しかつ、長さRの0.6倍の長さ及び線分L4の長さの0.8倍の長さのうちでいずれか短い方の長さを有する線分Hを設定する工程と、線分Hを、直線L3と平行かつ交点Oから遠ざかる方向に、長さRの0.4倍の距離だけ平行移動させ、線分Hを平行移動させた範囲を流動制御領域と設定する工程と、を含むことを特徴とする流動制御領域の設定方法によって設定された流動制御領域が、上記平面視において、ブランク形状に包含されるようにブランク形状を設計することを特徴とするブランクの設計方法が提供される。当該ブランクの設計方法では、適切な流動制御領域を含むブランクを提供できるため、プレス成形品のフランジ部におけるしわやコーナー部とその近傍における割れの発生を抑制できる。
また、本発明によれば、上述のブランクの設計方法で設計されたブランク形状となるように、金属板を加工してブランクを製造することを特徴とするブランクの製造方法が提供される。当該ブランクの製造方法では、適切な流動制御領域を含むブランクを提供できるため、プレス成形品のフランジ部におけるしわやコーナー部とその近傍における割れの発生を抑制できる。
上記実施形態に係るプレス成形品は、第一プレス金型のコーナー領域に対応するコーナー部を有する、車両用のバッテリーボックスに代表されるバッテリーボックス、フロントピラーロア、ドアインナー、等の車両用の部品に好ましく用いることができる。図15~図18は、本発明に係るブランク、流動制御領域の設定方法、ブランクの設計方法及びブランクの製造方法を好ましく用いることができる製品の一例を説明するための図である。図15の(a)に例示するプレス成形品はバッテリーボックスのコーナー部品301であり、二つのコーナー部331及び331’を有している。図15の(b)に例示するプレス成形品はバッテリーボックスのコーナー部品302であり、コーナー部332を有している。これらのプレス成形品を他の部材と接合するなどして、バッテリーボックス全体を形成するようにしてもよい。図16に例示するプレス成形品は、コーナー部333を有するフロントピラー303である。このような全体がL字形状に湾曲した部材にも本発明は好ましく適用できる。図17に例示するプレス成形品は、Cピラーのスティフナー304であり、コーナー部334近傍において縦壁が高くなっている。このように、縦壁の高さが均一ではない部材にも本発明は好ましく適用できる。図18に例示するプレス成形品は、ドアインナー305である。本発明は、ドアインナー305のような曲率半径や開き角が異なる複数のコーナー部335及び335’を有するプレス成形品にも好ましく適用できる。
以下に、本発明の実施例について説明する。
[実施例1]
本実施例では、図19から図23に示すような形状の角部を有する各ブランクについてプレス成形を行い、プレス成形品のフランジ部にしわが生じるか確認を行った。また、各ブランクを用いたプレス成形品の縦壁部とその近傍に割れが生じるか確認を行った。全てのブランクに共通して、ブランクの引張強度は270MPa、板厚は0.8mmとした。
第一実施形態で説明した第一プレス金型と、これに対応する第二プレス金型及び第三プレス金型を備える金型を用いて各ブランクをプレス成形した。第一プレス金型の側面のコーナー領域の曲率半径は10mm、側面の平面部がなす角は90°、側面の高さは100mmとした。
フランジ部のしわの評価としては、目視の検査で、プレス成形品のフランジ部におけるしわの有無を確認した。また、縦壁部の割れの評価は、FLD(Forming Limit Diagram)分布のグラフに基づいて行った。各ブランクを用いたプレス成形品のそれぞれについて、CAE(Computer Aided Engineering)解析により歪みを算出し、プレス成形品の各位置における歪みをプロットしたFLD分布のグラフを得た。このFLD分布のグラフ上で、歪が成形限界曲線上ないし成形限界曲線を超えない場合(歪をプロットした点が成形限界曲線上ないし成形限界曲線よりも原点側にある場合)を「割れ無し」、歪が成形限界曲線を超えた場合(歪をプロットした点が成形限界曲線を挟んで原点とは反対側にある場合)を「割れ有り」と判定した。
(実験例1)
実験例1では、図19に示すブランクを用いた。図19のブランクは、従来用いられている一般的な形状のブランクである。このブランク形状は流動制御領域Aを包含していなかった。プレス成形品のフランジ部にしわが発生した。また、プレス成形品の縦壁部のコーナー部とその近傍で割れが生じた。
(実験例2)
実験例2では、図20に示すブランクを用いた。図20のブランクのブランク形状は流動制御領域Aを包含する形状であった。フランジ部にしわが発生することなくプレス成形品を得ることができた。また、プレス成形品の縦壁部のコーナー部とその近傍では割れが発生しなかった。
(実験例3)
実験例3では、図21に示すブランクを用いた。図21のブランクのブランク形状は流動制御領域Aを包含する形状であった。実験例3のブランクは実験例2のブランクとは異なる形状の突出部を有するものの、適切な流動制御領域Aが設定され且つこの流動制御領域Aを包含するようにブランク形状が設定されているため、フランジ部にしわが発生することなくプレス成形品を得ることができた。また、プレス成形品の縦壁部のコーナー部とその近傍では割れが発生しなかった。
(実験例4)
実験例4では、図22に示すブランクを用いた。実験例4のブランクでは、流動制御領域Aの一部がブランク形状からはみ出していた。すなわち、流動制御領域Aを包含するようにブランク形状が規定されていなかった。実験例4では、プレス成形品のフランジ部にしわが発生した。また、プレス成形品の縦壁部のコーナー部とその近傍で割れが生じた。
(実験例5)
実験例5では、図23に示すブランクを用いた。実験例5のブランクでは、流動制御領域Aの一部がブランク形状からはみ出していた。すなわち、流動制御領域Aを包含するようにブランク形状が規定されていなかった。実験例5では、プレス成形品のフランジ部にしわが発生した。また、プレス成形品の縦壁部のコーナー部とその近傍で割れが生じた。実験例5のブランク形状は角部において突出した箇所を有しているものの、流動制御領域Aを包含するようにブランク形状が規定されていなかったため、しわ又は割れの抑制効果が得られなかったと考えられる。
なお、全ての実験例のブランク形状で、ブランクの縁部が、線分L4と平行な直線であって、交点Oから遠ざかる方向に長さの2倍の距離だけ線分L4から離れた位置にある直線よりも線分L4側に位置していた。
本発明のブランク、流動制御領域の設定方法、ブランクの設計方法及びブランクの製造方法によれば、プレス成形品のフランジ部におけるしわやコーナー部とその近傍における割れの発生を抑制できるため、産業上極めて有用である。
10 ブランク
11 角部
12 縁部
13 突出部
100 第一プレス金型
110 底面
120 側面
121 コーナー領域
130 稜線
131 湾曲領域
140 支持面
200 第二プレス金型
300 第三プレス金型

Claims (4)

  1. 底面と、前記底面から立ち上がりかつ前記底面に垂直な方向の平面視において湾曲するコーナー領域を有する側面と、稜線を介して前記側面と接続される支持面とを備えるプレス金型を用いてプレス成形品を製造するための板状のブランクであって、
    前記コーナー領域に対応する前記ブランクの角部において、前記ブランクは流動制御領域を包含し、
    前記流動制御領域が、
    前記平面視における、前記ブランクのブランク形状及び前記ブランクの前記プレス金型との相対位置を設定したとき、
    前記コーナー領域について、前記平面視で、前記コーナー領域に対応する前記稜線の湾曲領域の一方の終端点P1における前記稜線の法線を法線L1、前記湾曲領域の他方の終端点P2における前記稜線の法線を法線L2として、
    前記湾曲領域において、前記終端点P1までの稜線の線長と前記終端点P2までの稜線の線長とが等しくなる点を点P3とし、前記法線L1と前記法線L2との交点Oと前記点P3とを通る直線を直線L3として、
    前記ブランクの縁部と前記法線L1との交点を交点Mとし、前記ブランクの前記縁部と前記法線L2との交点を交点Nとし、前記交点Mと前記交点Nとを結ぶ線分L4として、
    前記交点Oから前記交点Mまでの距離と交点Oから交点Nまでの距離のうちで、長い方の距離を長さRとして、
    前記線分L4と平行であって、その中点Hcが前記直線L3と前記線分L4との交点Qと一致しかつ、前記長さRの0.6倍の長さ及び前記線分L4の長さの0.8倍の長さのうちでいずれか短い方の長さを有する線分を線分Hとしたときに、
    前記線分Hを、前記直線L3と平行かつ前記交点Oから遠ざかる方向に、前記長さRの0.4倍の距離だけ平行移動させたときの、前記線分Hを平行移動させた範囲である
    ことを特徴とするブランク。
  2. 板状のブランクに流動制御領域を設定する方法であって、
    底面と、前記底面から立ち上がりかつ前記底面に垂直な方向の平面視において湾曲するコーナー領域を有する側面と、稜線を介して前記側面と接続される支持面とを備えるプレス金型であって、前記ブランクをプレス成形するためのプレス金型の金型形状を設定する工程と、
    前記平面視での、前記ブランクのブランク形状及び前記ブランクの前記プレス金型との相対位置を設定する工程と、
    前記プレス金型について、前記流動制御領域の設定対象とする前記コーナー領域を設定する工程と、
    前記コーナー領域について、前記平面視で、前記コーナー領域に対応する前記稜線の湾曲領域の一方の終端点P1における前記稜線の法線L1と、前記湾曲領域の他方の終端点P2における前記稜線の法線L2とを設定する工程と、
    前記湾曲領域に、前記終端点P1までの稜線部の線長と前記終端点P2までの稜線部の線長とが等しくなる点P3を設定し、前記法線L1と前記法線L2との交点Oと前記点P3とを通る直線L3を設定する工程と、
    前記ブランクの縁部と前記法線L1との交点M、及び前記ブランクの縁部と前記法線L2との交点Nを設定し、前記交点Mと前記交点Nとを結ぶ線分L4を設定する工程と、
    前記交点Oから前記交点Mまでの距離と交点Oから交点Nまでの距離のうちで、長い方の距離を長さRとして設定する工程と、
    前記線分L4と平行であって、その中点Hcが前記直線L3と前記線分L4との交点Qと一致しかつ、前記長さRの0.6倍の長さ及び前記線分L4の長さの0.8倍の長さのうちでいずれか短い方の長さを有する線分Hを設定する工程と、
    前記線分Hを、前記直線L3と平行かつ前記交点Oから遠ざかる方向に、前記長さRの0.4倍の距離だけ平行移動させ、前記線分Hを平行移動させた範囲を流動制御領域と設定する工程と、を含む
    ことを特徴とする流動制御領域の設定方法。
  3. 前記平面視において、請求項2に記載の流動制御領域の設定方法によって設定された前記流動制御領域が前記ブランク形状に包含されるように前記ブランク形状を設計する
    ことを特徴とするブランクの設計方法。
  4. 請求項3に記載のブランクの設計方法で設計されたブランク形状となるように、金属板を加工してブランクを製造する
    ことを特徴とするブランクの製造方法。
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