JP2023130636A - 伸びフランジ加工用金型及び伸びフランジ加工方法 - Google Patents

伸びフランジ加工用金型及び伸びフランジ加工方法 Download PDF

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栄治 飯塚
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Abstract

【課題】伸びフランジ割れを十分に抑制することができる伸びフランジ加工用金型及び伸びフランジ加工方法を提供する。【解決手段】本発明に係る伸びフランジ加工用金型は、凹状外周縁部3aを有する天板部3と天板部3に連続する縦壁部5とを備える伸びフランジ加工部品1を成形するものであって、パンチ17とダイ9を備え、天板成形面部11、19と、縦壁成形面部13、25と、フランジ面部15、16とを備え、縦壁成形面部13、25における凹状外周縁部3aに連続する縦壁部5を成形する部位が、成形方向に延びる直立面部13a、25aと、直立面部13a、25aの延長線から離れる方向に傾斜する傾斜面部13b、25bとを有すると共に、直立面部13a、25aの高さが伸びフランジ加工部品1の縦壁部5の縦壁高さ以上に設定されてなり、凹状外周縁部3aに連続する縦壁部5の成形終了タイミングを、当該縦壁部5の両側の縦壁部6の成形終了タイミングよりも遅くなるようにしたことを特徴とする。【選択図】 図1

Description

本発明は、金属板を伸びフランジ加工する伸びフランジ加工用金型、及び該伸びフランジ加工用金型を用いた伸びフランジ加工方法に関する。
近年、自動車車体の衝突安全性向上と軽量化を両立させるために、車体構造部品への590MPa級以上の高強度鋼板(ハイテン材とも称する)の適用が進んでいる。ハイテン材をプレス成形する場合、伸びフランジ加工となる部位に生ずる伸びフランジ割れの抑制が課題となっている。
自動車部品に用いられるプレス成形品として、ロアアームのように天板部と縦壁部を有する断面コ字状の部品がある。このような部品をプレス成形した場合、縦壁部における伸びフランジ加工となる部位の材料縁部で伸びフランジ割れが発生する場合がある。特にハイテン材は伸び率が低いため、伸びフランジ割れが発生しやすくなる。
伸びフランジ割れを防止する従来技術としては、例えば特許文献1~3に開示がある。
特許文献1に記載のプレス成形方法は、内向きコーナー部の内端縁から起立するコーナーフランジ部に対して、パンチコーナー部は、コーナー中心の両側に配置される2つの弧状凸部32aと32bの2つの弧状凸部の間に形成される凹部32cとからなる輪郭形状とすることで、伸びフランジ割れを抑制するとしている(特許文献1の図2参照)。
また、特許文献2には、マグネシウム合金板材を角絞り加工する際、絞り加工用のダイプレートと絞りパンチとパッドの側面部と天面部を部分的にテーパ状とした角絞り金型を用いた絞り加工方法が開示されている。
さらに、特許文献3には、上面部と上面部に連続する副斜壁部、副斜壁部に連続する直壁部を有し、上面部と直壁部の間に、上面部と0°超90°未満及び直壁部と10°以上90°未満の角度をなして位置し、直壁部側で交わる2本の稜線を有する主斜壁部を有する伸びフランジ成形工具が開示されている。
特開2017-148847号公報 特開2002-239644号公報 再公表2020-026356号公報
しかしながら、特許文献1に記載のプレス成形方法では、パンチコーナー部のコーナー中心の両側に配置される2つの弧状凸部32a、32bにひずみが集中しやすくなるため、伸びフランジ割れが十分抑制できない。
また、特許文献2に記載の絞り加工用金型を本発明で扱う伸びフランジ加工に適用した場合、角部のテーパ頂点Cにおいてひずみが集中し、伸びフランジ割れが発生しやすい。
さらに、特許文献3に記載の伸びフランジ成形工具は、ダイに、上面部、直壁部、主斜壁部に加えて第1の副斜壁部、第2の副斜壁部とを有し、形状が複雑である。
また、特許文献3に記載の金型は、伸びフランジ成形工具であるダイ1と、パンチ32とは異なる形状を有しており、金型の設計及び製作に手間が掛かる。
さらに、特許文献3の段落[0065]及び段落[0066]に記載されるとおり、成形開始時点のブランク36の水平方向端部と主傾斜部11との当接の有無により、ブランク36の水平方向端部の損傷(すなわち、割れ)の度合いが異なるため、割れの抑制がブランク36の形状に左右されやすくて問題である。この原因として、特許文献3の図11に示される湾曲中央部からの距離±25mm近辺にビッカース硬さの極大値があり、大きく加工硬化していることが挙げられる。すなわち、特許文献3の伸びフランジ成形工具であるダイ1は、例えば図1に記載されるとおり、副斜壁部(12a、13a)を有するため、副傾斜部による中間成形が行われて、主斜壁部11と隣接する部位である直線状の鋭利な稜線(16、17)においてブランク36の水平方向端部が当接して成形されると、該端部は加工硬化する。その後にフランジの円弧部中心(本発明の凸状外周縁部に相当)の縦壁を成形するため、加工硬化した前記端部からの材料流れが抑制されて、特許文献3の図11に示す湾曲中央部のビッカース硬さ(板厚減少率に対応)もわずかしか低減せず、損傷(割れ)の抑制が不十分となると考えられる。
本発明は、上記従来の問題点を解消して、金型形状を複雑にすることなく、ダイとパンチの傾斜面部を含み、ダイとパンチの天板成形面部、縦壁成形面部が、対応する一対の形状(ブランクの板厚、パッド等による隙間を考慮した同一形状)を有して、金型の設計及び製作の手間を削減するとともに、中間成形に相当する加工硬化が無く、該傾斜面部と縦壁成形面部の間の稜線が天板成形面部から徐々に縦壁成形面部の直立面部に向かって緩やかになっているため、伸びフランジ割れを十分に抑制することができる伸びフランジ加工用金型及び伸びフランジ加工方法を提供することを目的とする。
(1)本発明に係る伸びフランジ加工用金型は、外周縁の一部が内方に凹むように湾曲した凹状外周縁部を有する天板部と該天板部に連続する縦壁部とを備え、該縦壁部が伸びフランジ加工となる伸びフランジ加工部品を成形するものであって、パッドと協働してブランクである金属板における前記天板部に相当する部位を挟持するパンチと、該パンチと協働して前記縦壁部を成形するダイとを備え、該パンチ及びダイは、前記天板部を成形する天板成形面部と、前記縦壁部を成形する縦壁成形面部と、該縦壁成形面部に連続して成形方向に交差するように設けられたフランジ面部と、を備え、前記縦壁成形面部における前記凹状外周縁部に連続する縦壁部を成形する部位が、前記天板成形面部から連続して成形方向に延びる直立面部と、該直立面部に連続して傾斜する傾斜面部と、を有すると共に、前記直立面部の高さが、前記伸びフランジ加工部品の前記縦壁部の縦壁高さ以上に設定されてなり、前記凹状外周縁部に連続する縦壁部の成形終了タイミングを、当該縦壁部の両側の縦壁部の成形終了タイミングよりも遅くなるようにしたことを特徴とするものである。
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記直立面部からの延長線と前記傾斜面部とが成す傾斜角度は20°~35°であることを特徴とするものである。
(3)また、本発明に係る伸びフランジ加工方法は、上記(1)又は(2)に記載の伸びフランジ加工用金型を用いて、外周縁の一部が内方に凹むように湾曲した凹状外周縁部を有する天板部と該天板部に連続する縦壁部とを備え、該縦壁部が伸びフランジ加工となる伸びフランジ加工部品を成形する方法であって、ブランクである金属板における前記天板部に相当する部位を前記パンチと前記パッドで挟持し、前記ダイを前記パンチに対して相対移動させ、前記凹状外周縁部に連続する縦壁部の成形終了タイミングを、当該縦壁部の両側の縦壁部の成形終了タイミングよりも遅くなるようにして成形することを特徴とするものである。
本発明においては、パンチ及びダイにおける凹状外周縁部に連続する縦壁部を成形する部位が、天板成形面部から連続して成形方向に延びる直立面部と、直立面部に連続して傾斜する傾斜面部を有することにより、凹状外周縁部に連続する縦壁部の成形終了タイミングが、当該縦壁部の両側の縦壁部の成形終了タイミングよりも遅くなる。これにより、凹状外周縁部に連続する縦壁部を成形するときには、当該縦壁部の両側の縦壁部の変形が完了しているので、当該縦壁部の材料が両側の縦壁部側に引っ張られず、さらに、当該縦壁部の両側の縦壁部から容易に材料が供給され易くなる。
したがって、従来生じていた伸びフランジ割れを十分に防止することができ、割れのない良好なプレス成形品が得られ、プレス成形時の歩留まり向上に繋がる。
本発明の一実施の形態に係る伸びフランジ加工用金型のパンチの説明図であって、上面側から見た斜視図である。 本発明の一実施の形態に係る伸びフランジ加工用金型のダイの説明図であって、下面(成形面)側から見た斜視図である。 図3(a)は図2のダイを上面側から透視した図であり、図3(b)は図3(a)のB-B´断面の一部を示す図である。 実施の形態に係る伸びフランジ加工用金型を用いて伸びフランジ加工する場合の加工過程を説明する図である。 実施の形態に係る伸びフランジ加工用金型を用いて図7の目標形状を成形した場合の、凹状外周縁部に連続する縦壁部の板厚減少率を示すコンター図である。 実施の形態において発明例と従来例の板厚減少率分布を比較したグラフである。 本発明が加工対象としている部品形状の一例を示す図である。 従来の伸びフランジ加工用金型のパンチ(上面視)及びダイ(下面視)の説明図である。 図9(a)は図8のダイを上面側から透視した図であり、図9(b)は図9(a)のA-A´断面の一部を示す図である。 従来の伸びフランジ加工用金型を用いて伸びフランジ加工する場合の加工過程を説明する図である。 従来の伸びフランジ加工用金型を用いて図7の目標形状を成形した場合の、凹状外周縁部に連続する縦壁部の板厚減少率を示すコンター図である。
[実施の形態1]
本実施の形態に係る伸びフランジ加工用金型が加工の対象とするのは、例えば図7に示す伸びフランジ加工部品1のように、外周縁の一部が内方に凹むように湾曲した凹状外周縁部3aを有する天板部3と天板部3に連続する縦壁部5、6とを備えたものである。ここで、凹状外周縁部3aとは、天板部3を上面視したときの凹状部のR止まりまでとする。
本実施の形態に係る伸びフランジ加工用金型を説明するに先立って、一般的な伸びフランジ加工用金型とそれを用いた場合の問題点を説明する。
図7に示す伸びフランジ加工部品1を成形する従来の伸びフランジ加工用金型27は、パッドと協働して金属板の一部を挟持するパンチ41(図8(a))と、パンチ41と協働して縦壁部5、6を成形するダイ29(図8(b))とを備えている。従来の伸びフランジ加工用金型27のダイ29の形状について、図8、図9に基づき、以下、具体的に説明する。なお、図9(a)は、図8(b)を上面側から透視した図であり、図9(b)は、図9(a)の四角で囲んだ部分のA-A´断面を示す図である。
ダイ29の下側に配置されるパンチ41(図8(a))は、ダイ29に対応した形状であるので説明を省略する。
図8(b)、図9に示す従来のダイ29は、伸びフランジ加工部品1の天板部3を成形する天板成形面部31と、縦壁部5、6を成形する縦壁成形面部33と、縦壁成形面部33に連続して成形方向に交差するように設けられたフランジ面部35とを備えている。具体的には、図9(b)に示すように、縦壁成形面部33は、天板成形面部31から連続して成形方向に延びるように設けられており、縦壁成形面部33に連続するフランジ面部35は成形方向に交差するように設けられている。
図9(b)は、凹状外周縁部3aに連続する縦壁部5を成形する部分の断面(A-A´断面)を示したものであるが、当該縦壁部5の両側の縦壁部6を成形する部分も同様の断面形状となっている。
上述したようなダイ29と、ダイ29に対応した形状のパンチ41を用いて、金属板23を図7の目標形状に成形する場合の成形過程の様子を図10に示す。図10は、ダイ29における図9(b)に図示した部分が、ブランクである金属板23を成形するときの過程を示したものである。「67mmup」等の数値は、ダイ29の成形下死点までの距離を示しており、数値が小さくなるほどダイ29が成形下死点に近づいて成形が進み、「0mmup」で成形下死点の状態となる。
ダイ29を上側、パンチ41を下側に配置し、パンチ41の上面(天板成形面部43)とパッド21で金属板23の一部を挟持した状態でダイ29を下降させると、ダイ29のフランジ面部35が金属板23に当接し、金属板23の変形が始まる(図10(a)参照)。さらにダイ29を下降させると、金属板23の縦壁部5(図7)に相当する部位が、天板部3側から順にダイ29の縦壁成形面部33とパンチ41の縦壁成形面部45に挟み込まれて成形が進み(図10(b)参照)、金属板23の端部まで両縦壁成形面部33、45で挟まれたときに縦壁部5の成形が完了する(図10(c)参照)。
図10(a)~図10(c)は凹状外周縁部3aに連続する縦壁部5の成形過程を示したものであるが、当該縦壁部5の両側の縦壁部6、即ち、凹状外周縁部3aの両側の外周縁部に連続する縦壁部6(以下、単に「両側の縦壁部6」ともいう)の成形も同様に進行し終了する。
凹状外周縁部3aに連続する縦壁部5の成形と、両側の縦壁部6の成形が同時に終了することで、凹状外周縁部3aに連続する縦壁部5の端部(図7の破線で囲んだ部分)が両側の縦壁部6側に引っ張られ伸ばされるように変形して板厚が減少し、割れが生じる。以下、この部分を「伸びフランジ成形部位」という。
上述した従来の伸びフランジ加工用金型27(図8)を用いて図7の伸びフランジ加工部品1を加工した場合における伸びフランジ成形部位の板厚減少率について、有限要素法(FEM)解析した結果をコンター図に表示したものを図11に示す。図11に示すように、従来の伸びフランジ加工用金型27を用いた場合の最大板厚減少率は22.2%であり、大きな板厚減少が生じて割れが生じやすいことが分かる。
上記の従来の伸びフランジ加工用金型27の問題点は、凹状外周縁部3aに連続する縦壁部5の成形と、両側の縦壁部6の成形が同時に終了することで、凹状外周縁部3aに連続する縦壁部5の下端部に引張ひずみが集中することにある。
そこで、本実施の形態に係る伸びフランジ加工用金型においては、凹状外周縁部3aに連続する縦壁部5とその両側の縦壁部6の成形終了タイミングをずらし、凹状外周縁部3aに連続する縦壁部5へのひずみの集中を緩和して伸びフランジ割れを抑制できるようにした。
具体的には、本実施の形態に係る伸びフランジ加工用金型7は、金属板23を、図7に一例を示したような、外周縁の一部が内方に凹むように湾曲した凹状外周縁部3aを有する天板部3と天板部3に連続する縦壁部5及び6とを備え、縦壁部5が伸びフランジ加工部位となる伸びフランジ加工部品1に成形するものであって、パッドと協働してブランクである金属板における天板部3に相当する部位を挟持するパンチと、パンチと協働して縦壁部5、6を成形するダイとを備え、ダイとパンチの傾斜面部を含み、ダイとパンチの天板成形面部と縦壁成形面部が、一対となって対応する形状(ブランクの板厚、パッド等による隙間を考慮した同じ形状)となっている。
本実施の形態のパンチ17及びダイ9の成形面部の形状を図1~図3に示す。図1は、パンチ17を上側から見たときの斜視図である。図2は、ダイ9を下側、かつ、後述する傾斜面部13bの正面側から見たときの斜視図である。図2に示すフランジ面部15が、成形開始時に金属板23に当接し、その後、縦壁成形面部13、傾斜面部13bが金属板23に当接する。図3(a)は、図2を上面側から透視した図であり、図3(b)は、図3(a)の四角で囲んだ部分のB-B´断面を示す図である。
以下、図2、図3に基づいて、ダイ9の形状を説明する。なお、パンチ17(図1)はダイ9に対応した形状であるので説明を省略する。
本実施の形態の伸びフランジ加工用金型7のダイ9は、図2~図3に示すように、伸びフランジ加工部品1の天板部3を成形する天板成形面部11と、縦壁部5、6を成形する縦壁成形面部13と、縦壁成形面部13に連続して成形方向に交差するように設けられたフランジ面部15とを備えている。
そして、凹状外周縁部3aに連続する縦壁部5(図7)を成形する部位(図3(a)の四角で囲んだ部分)は、図3(b)に示すように、直立面部13aと傾斜面部13bとを有している。
直立面部13aは、天板成形面部11から連続して成形方向に延びるように設けられている。直立面部13aは、パンチ17の縦壁成形面部25の直立面部25aと協働して凹状外周縁部3aに連続する縦壁部5を成形する部位であるので、その高さは、伸びフランジ加工部品1の縦壁部5の縦壁高さ以上に設定されている。
傾斜面部13bは、直立面部13aに連続してパンチ17側から離れる方向に所定の傾斜角度θで傾斜するように設けられている。上記「パンチ17側から離れる方向」とは、成形過程において、傾斜面部13bに対向するパンチ17の直立面部25aから離れる方向のことである(図4(b)参照)。
ダイ9に上記傾斜面部13bを設けることにより、凹状外周縁部3aに連続する縦壁部5の成形終了タイミングを、両側の縦壁部6の成形終了タイミングよりも遅くすることができる。
以下、上述した伸びフランジ加工用金型7を用いた伸びフランジ加工方法を説明するとともに、伸びフランジ加工用金型7を用いることで、凹状外周縁部3aに連続する縦壁部5の成形終了タイミングを、両側の縦壁部6の成形終了タイミングよりも遅くできる理由とその効果について具体的に説明する。
図4に、本実施の形態の伸びフランジ加工方法の成形過程の様子を示す。なお、図4においては、凹状外周縁部3aに連続する縦壁部5の成形過程(図3(a)のB-B´断面に相当)と、両側の縦壁部6のうち一方の成形過程(図3(a)のC-C´断面に相当)をそれぞれ示している。また、「67mmup」等の数値は、図10と同様にダイ9の成形下死点までの距離を示している。
図4(a)に示すように、伸びフランジ加工用金型7のダイ9を上側、パンチ17を下側に配置し、金属板23における天板部3に相当する部位をパンチ17の上面(天板成形面部19)とパッド21で挟持し、ダイ9をパンチ17に対して相対移動させると、従来例と同様に、「67mmup」の時点でフランジ面部15が金属板23に当接し、金属板23の変形が始まる。
さらにダイ9を「50mmup」まで移動させると、図4(b)に示すように、C-C´断面に相当する部位において、ダイ9の縦壁成形面部13の下端がパンチ17の縦壁成形面部25に対向する位置に到達するので、両縦壁成形面部13、25によって、両側の縦壁部6が成形され始める。
その後、さらにダイ9を移動させて、フランジ面部15が金属板23の下端にまで到達すると、両側の縦壁部6の成形が完了する。
このとき、図4(b)に示すB-B´断面に相当する部位では、パンチ17の直立面部25aに対向する位置にはダイ9の傾斜面部13bが到達しているが、傾斜面部13bはパンチ17側から離れるように傾斜しているので、直立面部25aと傾斜面部13bの間には大きな隙間が生じており、凹状外周縁部3aに連続する縦壁部5はダイ9の直立面部13aに接触していない。
さらにダイ9を「20mmup」まで移動させると、図4(c)に示すように、B-B´断面に相当する部位のダイ9の直立面部13aの下端がパンチ17の直立面部25aに対向する位置に到達するので、パンチ17の直立面部25aとダイ9の直立面部13aに凹状外周縁部3aに連続する縦壁部5が接触し始める。
このとき、両側の縦壁部6は、上述したように成形を完了しているので、凹状外周縁部3aに連続する縦壁部5の材料が両側に引っ張られることがなく、しかも、伸びフランジ加工部位の縦壁部5に両側の縦壁部6から材料が供給されて成形が進み、傾斜面部13bと縦壁成形面部13との間の稜線に沿って成形が進むため、凹状外周縁部3aの中央が局所的に変形せず、ひずみが分散し成形下死点(0mmup)に至ったところで目標形状の成形が完了する(図4(d)参照)。
上述した本実施の形態の伸びフランジ加工用金型7を用いて図7の伸びフランジ加工部品1を加工した場合における伸びフランジ成形部位(図7の破線で囲んだ部分)の板厚減少率についてFEM解析した結果を図5に示す。当該部位の最大板厚減少率は19.4%となり、従来例の解析結果である22.2%(図11参照)と比較して、板厚減少が抑制され伸びフランジ割れが生じにくくなったことがわかる。
また、従来の伸びフランジ加工用金型27(図8参照)と、本実施の形態に係る伸びフランジ加工用金型7とを用いて伸びフランジ加工を行った場合における、伸びフランジ加工部位の縦壁部の下端部の板厚減少率分布を図6に示す。図6は、縦軸が板厚減少率(%)、横軸が縦壁部の下端部稜線方向における伸びフランジ部位からの距離(mm)を示している。具体的には、凹状外周縁部3aに連続する縦壁部5下端の縁部の中央を横軸の原点とし、該原点から縁部に沿って一方向に離れた距離を正、縁部に沿って他方向に離れた距離を負の値としている。
図6に示すように、本発明例は、距離「0」の近辺、即ち、伸びフランジ部位の近傍では従来例より板厚減少率が低下している。一方、伸びフランジ部位から離れた部位では、従来例より板厚減少率がいくらか増加している。言い換えれば、本発明例は、板厚が減少する範囲が広がって、最大板厚減少率が低下している。
これは、伸びフランジ加工によるひずみが周方向に分散されていることを示しており、このひずみ分散効果によって伸びフランジ成形部位の板厚減少が大幅に低減され、伸びフランジ割れが抑制されるわけである。
上記のように、本実施の形態によれば、凹状外周縁部3aに連続する縦壁部5と、両側の縦壁部6の成形終了タイミングをずらすようにし、さらに傾斜面部13bと縦壁成形面部13との間の稜線に沿って成形することで、伸びフランジ成形におけるひずみの集中を緩和できる。これにより、板厚減少が抑制されて、伸びフランジ割れが生じにくくなる。
なお、傾斜面部13bの面は、平坦な形状であるのが好ましい。
その理由は、傾斜面部13bが大きく凸状となる湾曲形状であると、凸状の頂点付近にひずみが集中しやすく、その反対に、傾斜面部13bが大きく凹み状となる湾曲形状であると、凹み周囲にひずみが集中しやすくなるからである。
また、直立面部13aの延長線と傾斜面部13bとが成す傾斜角度θ(図3参照)は、目標形状に合わせて適切に設定するのが好ましい。
例えば、傾斜面部13bの上端の位置を変えずに傾斜角度θを小さくすると、傾斜面部13bの面積が小さくなるので、伸びフランジ加工部位の成形終了タイミングがずれる範囲が小さくなる。したがって、傾斜角度θが小さすぎると、両側の縦壁部6とともに伸びフランジ成形部位の一部も引っ張られて成形されるので、ひずみが大きくなって、割れが発生しやすくなる場合がある。
一方、傾斜角度θを大きくすると、傾斜面部13bの面積が大きくなるので、伸びフランジ加工部位の成形終了タイミングがずれる範囲が大きくなる。したがって、傾斜角度θが大きすぎると、両側の縦壁部6の成形が終了するタイミングと伸びフランジ成形部位の成形が終了するタイミングとの差が縮まって、ひずみが分散されず、割れが発生しやすくなる場合がある。
したがって、例えば傾斜角度θを20°~35°程度として、成形終了タイミングがずれる範囲を適切に設定するのが好ましい。
さらに、傾斜面部13bと直立面部13aとの境界部、及び、傾斜面部13bと両側の縦壁部を成形する部分の縦壁成形面部との境界部に関し、該境界部の曲率半径は15mm以下であるとよい。15mmを超えると、両側の縦壁部6の成形終了タイミングと伸びフランジ成形部位の成形終了タイミングとの差が縮まって、ひずみが分散されにくくなって割れが発生しやすくなる場合がある。
本発明に係る伸びフランジ加工用金型及び伸びフランジ加工方法による伸びフランジ成形時の割れ防止効果を確認するための検討を行ったので、以下、具体的に説明する。
本実施例では、図7の伸びフランジ加工部品1のプレス成形に関して、従来の伸びフランジ加工用金型27(図8参照)を用いた場合と、実施の形態の伸びフランジ加工用金型7(図1及び図2参照)を用いた場合についてそれぞれFEM解析を実施し、伸びフランジ成形部位の最大板厚減少率を比較した。実施の形態の伸びフランジ加工用金型7を用いた場合については、傾斜角度θ(図3参照)を変更して4例実施した。ブランク(金属板)には板厚t=3.6mm、引張強度590MPa級の鋼板を用いた。その結果を表1に示す。
なお、予め実施した実際のプレス成形とFEM解析により、最大板厚減少率が22%を超えると割れが発生することを把握した。
Figure 2023130636000002
表1に示すように、従来の伸びフランジ加工用金型27(図8)を用いたNo.1の従来例では、最大板厚減少率は22.2%であった。
これに対し、本発明の伸びフランジ加工用金型7(図1、図2)を用いたNo.2~No.5の発明例では、最大板厚減少率は19.4%~21.8%であり、いずれの場合も、従来例より最大板厚減少率を低減できた。
以上の結果より、本発明の伸びフランジ加工用金型を適用して伸びフランジ加工することにより、伸びフランジ成形時の割れを防止できることが分かった。
1 伸びフランジ加工部品
3 天板部
3a 凹状外周縁部
5 凹状外周縁部に連続する縦壁部
6 両側の縦壁部
7 伸びフランジ加工用金型
9 ダイ
11 天板成形面部(ダイ)
13 縦壁成形面部(ダイ)
13a 直立面部
13b 傾斜面部
15 フランジ面部(ダイ)
17 パンチ
19 天板成形面部(パンチ)
20 フランジ面部(パンチ)
21 パッド
23 金属板
25 縦壁成形面部(パンチ)
25a 直立面部
25b 傾斜面部
27 伸びフランジ加工用金型(従来例)
29 ダイ(従来例)
31 天板成形面部(ダイ)
33 縦壁成形面部(ダイ)
35 フランジ面部(ダイ)
41 パンチ(従来例)
43 天板成形面部(パンチ)
45 縦壁成形面部(パンチ)
47 フランジ面部(パンチ)

Claims (3)

  1. 外周縁の一部が内方に凹むように湾曲した凹状外周縁部を有する天板部と該天板部に連続する縦壁部とを備え、該縦壁部が伸びフランジ加工となる伸びフランジ加工部品を成形する伸びフランジ加工用金型であって、
    パッドと協働してブランクである金属板における前記天板部に相当する部位を挟持するパンチと、該パンチと協働して前記縦壁部を成形するダイとを備え、
    該パンチ及びダイは、
    前記天板部を成形する天板成形面部と、前記縦壁部を成形する縦壁成形面部と、該縦壁成形面部に連続して成形方向に交差するように設けられたフランジ面部と、を備え、
    前記縦壁成形面部における前記凹状外周縁部に連続する縦壁部を成形する部位が、前記天板成形面部から連続して成形方向に延びる直立面部と、該直立面部に連続して前記パンチ側から離れる方向に傾斜する傾斜面部と、を有すると共に、前記直立面部の高さが、前記伸びフランジ加工部品の前記縦壁部の縦壁高さ以上に設定されてなり、
    前記凹状外周縁部に連続する縦壁部の成形終了タイミングを、当該縦壁部の両側の縦壁部の成形終了タイミングよりも遅くなるようにしたことを特徴とする伸びフランジ加工用金型。
  2. 前記直立面部からの延長線と前記傾斜面部とが成す傾斜角度は20°~35°であることを特徴とする請求項1記載の伸びフランジ加工用金型。
  3. 請求項1又は2に記載の伸びフランジ加工用金型を用いて、外周縁の一部が内方に凹むように湾曲した凹状外周縁部を有する天板部と該天板部に連続する縦壁部とを備え、該縦壁部が伸びフランジ加工となる伸びフランジ加工部品を成形する伸びフランジ加工方法であって、
    ブランクである金属板における前記天板部に相当する部位を前記パンチと前記パッドで挟持し、
    前記ダイを前記パンチに対して相対移動させ、
    前記凹状外周縁部に連続する縦壁部の成形終了タイミングを、当該縦壁部の両側の縦壁部の成形終了タイミングよりも遅くなるようにして成形することを特徴とする伸びフランジ加工方法。
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