JP2022128399A - 播種機 - Google Patents
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Abstract
【課題】 整列播種を精度よく安定して行うことができる播種装置を備えた播種機を提供する。【解決手段】 播種装置は、種籾ホッパー21と、該種籾ホッパーの底部21aに種籾用繰出凹部22aを有する回転可能な播種ロール22と、繰出凹部に入った種籾18を育苗箱の床土16の表面へ向けて保持案内するロールカバー23と、播種ロールと育苗箱との間の空間に配置され、ロールカバー23の出口端23aから出た種籾を育苗箱の床土表面へと導く傾斜状の播種盤24とを備え、繰出凹部は、播種ロールの周方向に沿って一定間隔おきに、かつ、播種ロールの幅方向に複数列設けられ、播種盤は、繰出凹部の複数列にそれぞれ対応する複数列のガイド溝28と、床土表面を均す均し部29とを有している。【選択図】 図7
Description
本発明は、播種機に関し、詳しくは、育苗箱への土入れ、播種及び覆土などの播種作業を行う水稲育苗用の播種機に関する。
一般に、水稲用の育苗箱に播種する播種機は、育苗箱を一方向に搬送する搬送機構を備え、搬送方向の上手側から順に育苗箱に床土を入れる床土入装置と、育苗箱に播種する播種装置と、育苗箱に覆土する覆土装置とを備えている。播種装置は、作条用ローラや作条用板などを用い、これらを床土表面に押し付けて作条することにより床土表面に播かれた種籾が分散しないように手当てされている(例えば、特許文献1参照。)。また、ホッパー内の種籾を所定量ずつ繰り出して育苗箱へ落下させる播種ロールを備えた装置も広く普及している。付設の播種量調節つまみを回せば、それに従って播種ロールの回転数が調節され、繰出量の多い厚播きから繰出量の少ない薄播きまでの播種作業の実現を可能にしている(例えば、特許文献2参照。)。
ところで、稲作りの一層の機械化が進展しているなかで、近年では環境問題への意識向上もあり、潤沢な苗やプラスチックコーティング肥料、複数回の除草剤使用などといった資源多投入型の稲作りに対して、稲が本来持つ能力やそれを引き出す機械を活用した稲作りが見直されている。なかでも、水稲の植付作業においては、苗同士の植付の間隔を慣行のものよりも広くする、いわゆる疎植を行う重要性が見直されてきている。疎植により、苗箱の使用数を減らせるだけでなく、植え付けられた苗同士の間隔が広くなるので、日当たりや風通しがよくなり、苗の生育が良好になる結果、良質米をより多収穫することが可能になる。
このような疎植を行うためには、高い播種精度が得られる播種装置が求められている。しかしながら、特許文献1に記載されたものでは、案内板や作条板に振動を与えて種籾を程よく流せる程度の効果にとどまり、床土表面に播いた種籾が横にずれたり、たとえ種籾同士の中心が揃っても、図18に示すように、向きが不揃いになったりする。種籾の長さは一般に8mm程度であることから、向きが不揃いになると芽が出る位置は中心から4mm程度横にずれ、その結果、移植機で苗を分断した際に欠株が多く生じてしまう。こうした問題は、特許文献2に記載の播種ロールを用いても同様に生じてしまう。したがって、ホッパーから移送される種籾を床土表面にいかにして播種するかが健苗の生育ひいては水稲の収量を左右することになる。
そこで本発明は、整列播種を精度よく安定して行うことができる播種装置を備えた播種機を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明の播種機は、育苗箱を搬送する搬送機構と、前記育苗箱に播種する播種装置とを備えている播種機において、前記播種装置は、種籾ホッパーと、該種籾ホッパーの底部に種籾用繰出凹部を有する回転可能な播種ロールと、前記繰出凹部に入った種籾を前記育苗箱の床土表面へ向けて保持案内するロールカバーと、前記播種ロールと前記育苗箱との間の空間に配置され、前記ロールカバーの出口端から出た種籾を前記育苗箱の床土表面へと導く傾斜状の播種盤とを備え、前記繰出凹部は、前記播種ロールの周方向に沿って一定間隔おきに、かつ、前記播種ロールの幅方向に複数列設けられ、前記播種盤は、前記繰出凹部の複数列にそれぞれ対応する複数列のガイド溝と、前記床土表面を均す均し部とを有していることを特徴としている。
また、前記ガイド溝は、種籾の短径断面形状に整合した断面円弧状の溝底面と、溝の上部に向かうにつれて溝幅が広くなる断面テーパ状の溝側面とを有していることを特徴としている。さらに、前記均し部は、前記播種盤の傾斜角度と同一の角度の傾斜面からなることを特徴としている。
また、前記播種装置の育苗箱搬送方向上手側に位置する箇所には、前記床土内への水分の浸透量を調節可能な灌水装置が設けられていることを特徴としている。さらに、前記播種装置は、前記播種盤に振動を与える振動発生部を備えていることを特徴としている。
また、前記播種装置の育苗箱搬送方向下手側に位置する箇所には、播種された育苗箱に覆土を供給する覆土供給装置が設けられ、前記覆土供給装置は、覆土ホッパーと、該覆土ホッパーの底部から覆土を送出して前記ガイド溝から出た直後の種籾に投下するコンベヤとを備えていることを特徴としている。
さらに、前記播種装置の育苗箱搬送方向下手側に位置する箇所には、播種された育苗箱に覆土を供給する覆土供給装置が設けられ、前記覆土供給装置は、覆土ホッパーと、該覆土ホッパーの底部から覆土を送出して前記ガイド溝から出る直前の種籾に投下するコンベヤとを備え、前記ガイド溝は、前記種籾を溝内で着地させる切欠部を有していることを特徴としている。
また、前記均し部には、前記複数列のガイド溝にそれぞれ対応し、前記床土表面を押圧して押圧痕を形成する複数の痕付部が設けられ、前記痕付部は、円柱体を中心軸線と平行な平面で切断して得られる円弧凸形状を有していることを特徴としている。さらに、前記痕付部は、前記播種盤の材料よりも摩耗しにくい材料から形成されていることを特徴としている。
本発明の播種機によれば、育苗箱に播種する播種装置において、種籾用繰出凹部を有する播種ロールと搬送される育苗箱との間に播種盤を配置し、この播種盤に繰出凹部の複数列に対応する複数列のガイド溝と、床土表面を均す均し部とを設けているので、播種ロールから常時定量的に繰り出された種籾をガイド溝で床土表面へと正確に移送し、均し部により先行して均平された床土表面に追従するように種籾を着地させることができる。したがって、種籾同士の中心だけでなく方向まで揃えた整列播種が達成され、作物生産効率の優れた稲作りの促進に資するものである。
図1乃至図8は、本発明の播種機の第1形態例を示している。播種機11は、図1及び図2に示すように、基本的には、水平フレーム12に育苗箱を搬送するためのチェーン式の搬送機構12aが組み込まれ、該搬送機構12aの搬送始端側(図1において右側)に育苗箱供給装置(図示せず)が配置されるとともに、搬送機構12aを跨ぐように搬送方向(図1の矢印方向)の上手側から順に床土供給装置、灌水装置13、播種装置14などが水平フレーム12に設置されている。搬送経路となる水平フレーム12上にセットされた育苗箱15は、搬送機構12aを駆動させることにより、搬送方向に複数連続して搬送される。
灌水装置13は、搬送される育苗箱15内の床土16に灌水する装置であって、水平フレーム12上を横断する水平姿勢に設置した給水パイプ17により灌水をシャワー状に供給する。つまり、給水パイプ17下を育苗箱15が通過するに伴って給水パイプ17から下方に散水することにより、育苗箱15内の床土16の全体に灌水するようになっている。また、図示は省略するが、灌水装置13には床土16内への水分の浸透量を調節するための水量調節バルブが設けられている。これにより、バルブを開閉操作して床土16の表面に形成される水膜が適正な厚さ、すなわち、種籾18の流れを招来することのない量になるように水量が調節される。
播種装置14は、駆動用モータや制御基板、外付けの振動発生用モータ19などの機器を搭載したフレーム体20に各種構成部品を連設してなり、主に水平フレーム12の上方に設けられた種籾ホッパー21と、該種籾ホッパー21の底部21aに種籾用繰出凹部22aを有する播種ロール22と、該播種ロール22の繰出凹部22aに入った種籾18を育苗箱15の床土16の表面へ向けて保持案内するロールカバー23と、該ロールカバー23の出口端23aから出た種籾18を育苗箱15の床土16の表面へと導く播種盤24とで構成されている。
種籾ホッパー21は、種籾18が投入される開口部21bから下方に向かって徐々に縮径した漏斗状のもので、所定量の種籾18が貯留されている。播種ロール22は、フレーム幅方向に延びる回転軸22bを備えた円筒体であって、外周面には前記繰出凹部22aが周方向(回転方向)に沿って一定間隔おきに、かつ、幅方向(軸方向)に複数列、例えば26列設けられている。繰出凹部22aは、種籾18の形状に合わせたカップであり、周方向に長く、その断面側面形状は、図7にも示すように、略半円形である。本実施形態では、繰出凹部22aの寸法を種籾18が1粒ずつ区分される大きさに設定しているが、横並びで2粒ずつ区分される大きさに設定することもできる。
ロールカバー23は、播種ロール22の外周面に対応する円弧状のカバーであって、播種ロール22の外周面のうち下向きに回転する部分を覆うように取り付けられている。これにより、ホッパー底部21aの種籾18は、回転する播種ロール22とホッパー底部21aとの接点で播種ロール22に当たり、播種ロール22の頂部を回転方向に流れながら繰出凹部22aに入って装填される。そして、繰出凹部22aに装填された種籾18は、次の工程であるロールカバー23に引き継がれて、該ロールカバー23の内面で保持された状態で下方へ円弧移動し、最終的には出口端23aから吐出(落下)される。
播種盤24は、例えば強度のある樹脂材からなり、図3及び図4にも示すように、基端部がフレーム体20の後面下部に設けられた振動発生部25に軸支される支持アーム26と、該支持アーム26の先端部に一体的に設けられた偏平で幅広な播種部27とからなる形状(ちり取り形状)を有している。播種部27の上面には、播種ロール22の繰出凹部22aの複数列にそれぞれ対応する複数列のガイド溝28が設けられている。また、播種部27の先端部には、育苗箱15の床土16の表面を均すための均し部29が設けられている。この均し部29は、播種部27の先端下面側において、幅方向全域を面取りした傾斜面であり、その傾斜角度(面取り角)は、播種盤24が床土16の表面に接地した状態の傾斜角度、つまり播種盤24と床土16の表面とがなす角度と同一である。
振動発生部25は、振動発生用モータ19の回転力を伝達するベルトプーリ機構30と、従動プーリ30aの回転軸心に対して数ミリ程度僅かに偏心させた偏心連結ピン(偏心カム)31とを有している。偏心連結ピン31により支持アーム26を回動可能に軸支した取付状態で、播種盤24は、育苗箱15の搬送方向に沿って下向き傾斜をなし、その播種部27が播種ロール22と育苗箱15との間の空間に配置されるとともに、均し部(傾斜面)29の全面が床土16の表面に接地した状態となる。ここで、播種ロール22の繰出凹部22aとの関係では、図5に示すように、繰出凹部22aとガイド溝28との各列同士が上下方向に近接し、かつ、それぞれの中心位置が互いに幅方向(図5の左右方向)に一致した状態となる。このような整列状態で、ベルトプーリ機構30の駆動により偏心連結ピン31を偏心回転させると、これに従って播種盤24の支持アーム26が前後に揺動し、その結果、播種盤24全体が一定周期で細かく振動(微振動)される。
以下では、ガイド溝28の具体的な形状について、図6を参照しながら説明する。ガイド溝28は、種籾18の短径断面形状、つまり繰出凹部22aの幅寸法に整合した断面円弧状の溝底面28aと、溝の上部に向かうにつれて溝幅が広くなる断面テーパ状の溝側面28bとを有している。各面28a,28bの溝寸法は、それぞれの溝深さが播種部27の厚みの1/3程度に設定され、溝幅が溝底面28aの最大幅(半円形断面の幅)、すなわち、溝底面28aと溝側面28bとが接する部分の幅が種籾18の短径断面幅(例えば3.3mm)に整合して、例えば4mmに設定されている。
このように構成された播種機11は、図7に示すように、搬送される育苗箱15が播種ロール22の真下付近に到達すると、両者の間に配置された播種部27のガイド溝28に、ロールカバー23の出口端23aから吐出された種籾18が落下する。ここで、ガイド溝28上の種籾18は、播種盤24に生じている微振動によりガイド溝28の溝底面28aに嵌まり込むようにその向きが一律に矯正される。すなわち、溝底面28aを滑落していく全ての種籾18が長手方向を播種方向(搬送方向)に揃え、かつ、播種部27の先端位置あたりで数珠つなぎ状態で床土16の表面へと移送される。
一方、灌水した床土16の表面は、未だ床土16の粒子形状が保持されているが、この表層の1mmから2mm程度の部分が均し部29によりほぐされ、床土16の表面の凸凹が均平に整地される。こうして、均平にされた床土16の表面が播種予定箇所となり、この箇所に整列状態で着地した種籾18は、床土16の表面に形成された水膜の表面張力(粘着力)で捕捉され、図8に示すように、その整列状態が崩れることなく床土16の表面に安定保持される。
このように、本発明の播種機の第1の構成によれば、育苗箱15に播種する播種装置14において、種籾用繰出凹部22aを有する播種ロール22と搬送される育苗箱15との間に播種盤24を配置し、この播種盤24に繰出凹部22aの複数列に対応する複数列のガイド溝28と、床土16の表面を均す均し部29とを設けているので、播種ロール22から常時定量的に繰り出された種籾18をガイド溝28で床土16の表面へと正確に移送し、均し部29により先行して均平された床土16の表面に追従するように種籾18を着地させることができる。したがって、種籾18同士の中心だけでなく方向まで揃えた整列播種が達成され(図8)、作物生産効率の優れた稲作りの促進に資するものである。
また、ガイド溝28が種籾18の短径断面形状に整合した断面円弧状の溝底面28aと、溝の上部に向かうにつれて溝幅が広くなる断面テーパ状の溝側面28bとを有しているので、ロールカバー23の出口端23aから落下する種籾18を溝底面28aに向けて導くことができるとともに、連続供給される種籾18の向きを正しい向きに、すなわち、種籾18の長手方向を播種方向に揃えることができる。
さらに、均し部29が播種盤24の傾斜角度と同一の角度の傾斜面からなるので、均し部(傾斜面)29の全面を床土16の表面に面接触させて過度な押付けを抑えることが可能となり、床土16の表面の円滑な均平化を図ることができる。とりわけ、灌水装置13によって床土16内への水分の浸透量が調節されるので、床土16の表面に形成された水膜は適正な厚みに整えられ、水膜が不均一になって所々で種籾18が跳ねたり流されたりするような不具合もなくなる。したがって、播種精度をより高めることができる。
また、播種盤24に振動を与える振動発生部25を備えているので、播種盤24上における種籾18の移送をその振動により促進させることができる。これにより、播種盤24の傾斜角度(差込角度)を小さく、例えば15度以下に設定して播種ロール22をより低位置に設けることが可能となる。したがって、播種装置14のコンパクト性を確保しながら種籾ホッパー21の容積を増大させることができる。
図9は、本発明の播種機の第2形態例を示している。なお、以下の説明において、前記形態例に示した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
第2形態例における播種機50では、基本的に、第1形態例による播種機11の構成をそのまま有しており、播種装置14の育苗箱搬送方向下手側に位置する箇所に、播種された育苗箱15に覆土51を供給する覆土供給装置52を設置したものである。覆土供給装置52は、覆土ホッパー53と、該覆土ホッパー53の底部から覆土51を送出して、播種盤24のガイド溝28から出た直後の種籾18に覆土51を投下するコンベヤ54とを備えている。覆土ホッパー53は、種籾ホッパー21に連設された箱状のもので、所定量の覆土51が貯留され、種籾ホッパー21と同様にその底部53aが上端の開口部53bよりも狭くなっている。
コンベヤ54は、覆土ホッパー53の底部53aに覆土用繰出凸部を有する無端状の移送ベルトを備えたベルトコンベヤであり、図示は省略するが、移送ベルトはモータで回転される駆動ローラにより走行させられ、移送ベルトの上面の覆土51を水平方向に移送するものである。ここで、本構成を適用するにあたり、播種盤24の播種部27の先端位置は、移送ベルトの終端部、つまり覆土51の投下位置まで延長されている。そして、このように構成された第2形態例においても、上述の第1形態例の播種機11と同様の作用、効果が発揮でき、さらに、本形態例の場合には、ガイド溝28から出た直後の種籾18、すなわち、床土16の表面に着地した直後の種籾18に対して迅速かつ正確に覆土することが可能となる。これにより、播種後の育苗箱15の移送においても種籾18を保護しつつ整列状態を確実に維持することができ、整列播種の安定化に寄与するものである。
図10及び図11は、前記第2形態例の播種機50において、ガイド溝28の形状を最適化した変形例を示している。図10はガイド溝28の先端部の拡大平面図、図11はガイド溝28における種籾18の移送状態を示す側面断面図である。
ガイド溝28は、図10に示すように、先端側(図10において左側)部分における溝底面28aに切欠部55を設けている。切欠部55は、平面視にて種籾18の長手方向半体部分に整合した半楕円形状の切欠である。また、切欠部55の両側部には、溝底面28aと溝側面28bとが接する位置を先端側に向かうにつれて徐々に高くすることで、溝底面28aの側壁面と面一をなす突出壁面56が設けられている。突出壁面56は、樹脂や金属製などからなり、ガイド溝28が設けられている播種部27とは一体又は別体で形成されるものである。これにより、切欠部55と突出壁面56とで囲まれた空間である覆土供給部Sが形成されるとともに、切欠部55によって溝底面28aが上下貫通可能にくり抜かれる。そして、図11に示すように、切欠部55に移送されてきた種籾18は、切欠部55のある溝内で床土16の表面に着地する。
ここで、覆土51の投下位置と前記切欠部55とは、互いに上下方向に重なる位置関係に配置され、移送ベルトの終端部から投下した覆土51は、覆土供給部Sに供給される。そして、このように構成された本変形例においても、上述の第2形態例の播種機50と同様の作用、効果が発揮でき、さらに、本変形例の場合には、ガイド溝から出る直前の種籾18、すなわち、ガイド溝28内(覆土供給部S)において、床土16の表面に着地した直後の種籾18に対して迅速かつ正確に覆土することが可能となる。これにより、切欠部55の排土効果が得られることから、種籾18の流れに沿って覆土51を円滑に流すことができる。しかも、投下時に覆土51の衝撃が加わっても、互いに対面する突出壁面56,56同士によって種籾18の静止安定状態が維持され、整列播種の安定化に大きく寄与するものである。
図12乃至図17は、本発明の播種機の第3形態例を示している。なお、以下の説明において、前記各形態例に示した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
第3形態例における播種機では、基本的に、前記各形態例による播種機11,50の構成をそのまま有しており、図12乃至図15に示すように、播種盤60において、支持アーム61と播種部62とをボルト締結することで、播種部62を新品のものと交換できる分割構造を有し、播種部62の均し部29に付設する形で、複数列のガイド溝28に対応する複数の痕付部63を設けている。
痕付部63は、均し部29で床土表面を均平にするタイミングで床土表面を押圧して押圧痕を形成するもので、床土を掻き取ることがないように、例えば、人の小指の爪よりも小さい小片形状をなし、播種部62の材料(例えばポリ塩化ビニル)よりも摩耗しにくい材料(例えば金属)から形成されている。
痕付部63の具体的な形状は、図16に示すように、直径D、長さLからなる円柱体を、中心軸線と平行な平面Sで切断して得られるもので、切断幅に相当する厚さTが1mmの円弧凸形状を有している。直径Dは、種籾の短径断面幅の3倍であって、例えば3.3mm×3=9.9mm(略10mm)である。長さLは、均し部29の縦方向(図15の上下方向)の長さから切欠部55の長さを除いて定まる長さであって、例えば7mmである。これにより、円弧凸形状は、半径D/2の円弧曲面64を有し、幅Wが、例えば6mmに形成されている。また、円弧凸形状の長さ方向半体部は、略V字状に先鋭化され、床土表面に対する先端側(導入側)となり、この先端が滑らかになる面取り部65を有している。
そして、このように構成された本形態例においても、上述の各形態例における播種機11,50と同様の作用、効果が発揮でき、さらに、本形態例の場合には、均し部29において、ガイド溝28の列に対応した円弧凸形状からなる痕付部63を設けているので、床土を痕付部63間に詰まらせて運んでしまう不具合を低減しながら、図17(a)に示すように、床土の表面に着地した種籾18を進入方向(ガイド溝28の溝方向)に対して一定角度を付けて整列させることが可能となり、床土上に設定した目標のマス目の中に均一に並べることができる。
しかも、図17(b)に示すように、床土16表面に作られた押圧痕が、痕付部63の円弧凸形状がもたらす程よい幅Wと深さTの窪み(轍)となり、種籾18が横にずれるのを抑えることができる。すなわち、播種精度を最大限に高めて、整列播種のより一層の安定化に寄与するものである。
また、痕付部63を播種盤60の材料よりも摩耗しにくい材料から形成しているので、高頻度の使用下における耐久性に優れたものである。その一方、製作性のよいプラスチックなどの材料で一体成型した場合であっても、均し部29の摩耗が進行すれば、ボルト締結を解除し、播種部62だけを取り外して新品のものと交換できるので、保守性にも優れた実用性の高い播種機が達成される。
なお、本発明は、前記各形態例に限定されるものではなく、播種装置には播種ロールと育苗箱との間の空間に播種盤が設けられていればよく、播種盤の厚みや大きさ、例えば支持アームと播種部との長さ比率などを適宜に変えて設定することができる。また、ガイド溝の数や形状についても種籾の種類や床土の性状、播種ロールの仕様などの条件に応じて最適なものを選択することができる。さらに、播種と同時に覆土する構成においても同様であり、播種及び覆土のタイミング、量を使用条件に応じて適宜調節することができる。加えて、痕付部を備えた播種盤の仕様についても所望する押圧痕の大きさや形状などを考慮して設定することができる。
11…播種機、12…水平フレーム、12a…搬送機構、13…灌水装置、14…播種装置、15…育苗箱、16…床土、17…給水パイプ、18…種籾、19…モータ、20…フレーム体、21…種籾ホッパー、21a…底部、21b…開口部、22…播種ロール、22a…繰出凹部、22b…回転軸、23…ロールカバー、23a…出口端、24…播種盤、25…振動発生部、26…支持アーム、27…播種部、28…ガイド溝、28a…溝底面、28b…溝側面、29…均し部、30…ベルトプーリ機構、30a…従動プーリ、31…偏心連結ピン、50…播種機、51…覆土、52…覆土供給装置、53…覆土ホッパー、53a…底部、53b…開口部、54…コンベヤ、55…切欠部、56…突出壁面、60…播種盤、61…支持アーム、62…播種部、63…痕付部、64…円弧曲面、65…面取り部
Claims (9)
- 育苗箱を搬送する搬送機構と、前記育苗箱に播種する播種装置とを備えている播種機において、
前記播種装置は、種籾ホッパーと、該種籾ホッパーの底部に種籾用繰出凹部を有する回転可能な播種ロールと、前記繰出凹部に入った種籾を前記育苗箱の床土表面へ向けて保持案内するロールカバーと、前記播種ロールと前記育苗箱との間の空間に配置され、前記ロールカバーの出口端から出た種籾を前記育苗箱の床土表面へと導く傾斜状の播種盤とを備え、
前記繰出凹部は、前記播種ロールの周方向に沿って一定間隔おきに、かつ、前記播種ロールの幅方向に複数列設けられ、
前記播種盤は、前記繰出凹部の複数列にそれぞれ対応する複数列のガイド溝と、前記床土表面を均す均し部とを有していることを特徴とする播種機。 - 前記ガイド溝は、種籾の短径断面形状に整合した断面円弧状の溝底面と、溝の上部に向かうにつれて溝幅が広くなる断面テーパ状の溝側面とを有していることを特徴とする請求項1記載の播種機。
- 前記均し部は、前記播種盤の傾斜角度と同一の角度の傾斜面からなることを特徴とする請求項1又は2記載の播種機。
- 前記播種装置の育苗箱搬送方向上手側に位置する箇所には、前記床土内への水分の浸透量を調節可能な灌水装置が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の播種機。
- 前記播種装置は、前記播種盤に振動を与える振動発生部を備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の播種機。
- 前記播種装置の育苗箱搬送方向下手側に位置する箇所には、播種された育苗箱に覆土を供給する覆土供給装置が設けられ、
前記覆土供給装置は、覆土ホッパーと、該覆土ホッパーの底部から覆土を送出して前記ガイド溝から出た直後の種籾に投下するコンベヤとを備えていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の播種機。 - 前記播種装置の育苗箱搬送方向下手側に位置する箇所には、播種された育苗箱に覆土を供給する覆土供給装置が設けられ、
前記覆土供給装置は、覆土ホッパーと、該覆土ホッパーの底部から覆土を送出して前記ガイド溝から出る直前の種籾に投下するコンベヤとを備え、
前記ガイド溝は、前記種籾を溝内で着地させる切欠部を有していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の播種機。 - 前記均し部には、前記複数列のガイド溝にそれぞれ対応し、前記床土表面を押圧して押圧痕を形成する複数の痕付部が設けられ、
前記痕付部は、円柱体を中心軸線と平行な平面で切断して得られる円弧凸形状を有していることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の播種機。 - 前記痕付部は、前記播種盤の材料よりも摩耗しにくい材料から形成されていることを特徴とする請求項8記載の播種機。
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