JP2022125559A - 建材用光硬化性塗料組成物、硬化被膜および硬化被膜付基材 - Google Patents

建材用光硬化性塗料組成物、硬化被膜および硬化被膜付基材 Download PDF

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Atsushi Tomizaki
清二 本田
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Abstract

【課題】耐衝撃性、耐磨耗性、耐酸性、耐アルカリ性および耐シンナー性を有しながらも、高硬度の硬化被膜を形成することができる建材用光硬化性塗料組成物を提供すること。【解決手段】活性エネルギー線硬化性化合物(A)と、光重合開始剤(B)と、セルロースナノファイバー(C)とを含有する建材用光硬化性塗料組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、建材用光硬化性塗料組成物、硬化被膜および硬化被膜付基材に関する。
通常、建材などの各種基材には、汚れや傷等から基材を保護することを目的として、硬化被膜(塗膜、保護層)が設けられている。
また、該硬化被膜には、耐傷性とともに、耐衝撃性、耐磨耗性、耐酸性、耐アルカリ性および耐シンナー性も同時に要求されることが多い。
前記のような硬化被膜として、例えば、特許文献1には、多官能アクリレート系モノマーまたはアクリレート系プレポリマー、シリカおよび光重合開始剤を含有する紫外線硬化型塗料の硬化被膜が、耐摩耗性に優れることが記載されている。
特開2010-274572号公報
硬度が高い(硬い)程、家具等の引き摺りや、モノを床に落とした際に凹み等の傷が付き難いため、特に、木質フロア等の建材に形成される硬化被膜には、高い硬度が求められている。
しかしながら、従来の木質フロア等の建材に形成される硬化被膜は、硬度を高くすると脆くなってしまう傾向等があるため、耐衝撃性、耐磨耗性、耐酸性、耐アルカリ性および耐シンナー性と、高硬度とを同時に満足するものではなかった。
本発明は、以上のことに鑑みてなされたものであり、耐衝撃性、耐磨耗性、耐酸性、耐アルカリ性および耐シンナー性を有しながらも、高硬度の硬化被膜を形成することができる建材用光硬化性塗料組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、下記構成例によれば、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明の構成例は、以下の通りである。
[1] 活性エネルギー線硬化性化合物(A)と、光重合開始剤(B)と、セルロースナノファイバー(C)とを含有する建材用光硬化性塗料組成物。
[2] 前記セルロースナノファイバー(C)の含有量が、建材用光硬化性塗料組成物の固形分100質量%に対し、0.01~15質量%である、[1]に記載の建材用光硬化性塗料組成物。
[3] 前記セルロースナノファイバー(C)のアスペクト比が50以上である、[1]または[2]に記載の建材用光硬化性塗料組成物。
[4] さらに無機顔料(D)を含有する、[1]~[3]のいずれかに記載の建材用光硬化性塗料組成物。
[5] 前記無機顔料(D)の平均粒子径が10~50μmである、[1]~[4]のいずれかに記載の建材用光硬化性塗料組成物。
[6] 中塗り塗料用である、[1]~[5]のいずれかに記載の建材用光硬化性塗料組成物。
[7] [1]~[6]のいずれかに記載の建材用光硬化性塗料組成物から形成された硬化被膜。
[8] 基材と、[7]に記載の硬化被膜とを有する、硬化被膜付基材。
本発明に係る建材用光硬化性塗料組成物によれば、耐衝撃性、耐磨耗性、耐酸性、耐アルカリ性および耐シンナー性を有しながらも、高硬度の硬化被膜を形成することができる。
また、本発明に係る建材用光硬化性塗料組成物によれば、基材への付着性、耐酸性、耐アルカリ性および耐シンナー性に優れ、寒熱繰返し試験後であっても、ワレや基材への付着性の低下の起こり難い硬化被膜を形成することができる。
本発明に係る建材用光硬化性塗料組成物は、前記効果を奏する硬化被膜を形成することができるため、建材、さらには木質建材、特に木質フロアに硬化被膜を形成する際に、好適に使用される。
≪建材用光硬化性塗料組成物≫
本発明に係る建材用光硬化性塗料組成物(以下「本組成物」ともいう。)は、活性エネルギー線硬化性化合物(A)[以下「成分(A)」ともいう。他の成分についても同様。]と、光重合開始剤(B)と、セルロースナノファイバー(C)とを含有する。
<活性エネルギー線硬化性化合物(A)>
前記成分(A)としては、活性エネルギー線で硬化する化合物であれば特に制限されないが、光硬化性基を有するオリゴマーまたは樹脂が好ましく、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性(メタ)アクリレートモノマーを用いて得られるオリゴマーまたは樹脂がより好ましく、該オリゴマーがさらに好ましい。
成分(A)を用いることで、基材との付着性に優れ、硬質の硬化被膜を形成することができる。
本組成物に用いる成分(A)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
成分(A)は、1分子中に2個以上の光硬化性基を有する2官能以上の化合物であることが好ましいが、本組成物を中塗り塗料として用いる場合には、本組成物から形成される硬化被膜と、上塗り塗膜との付着性を考慮すると、2官能または3官能の化合物であることがより好ましい。
なお、前記オリゴマーと樹脂とは、特に区別はないが、オリゴマーとしては、GPCにより測定される重量平均分子量が、好ましくは500~10,000、より好ましくは600~8,000であるオリゴマーが挙げられる。
本明細書における「(メタ)アクリレート」は、アクリレート、メタクリレート、または、アクリレートとメタクリレートとの両方を包括する概念であり、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル、メタクリロイル、または、アクリロイルとメタクリロイルとの両方を包括する概念である。
前記光硬化性(メタ)アクリレートモノマーの具体例としては、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、アクリル酸エステル共重合体の側鎖にアクリロイル基またはメタクリロイル基を導入した共重合系(メタ)アクリレートが挙げられる。
前記成分(A)としては、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマー等の(メタ)アクリレート系オリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート系樹脂、ポリエーテル(メタ)アクリレート系樹脂等の(メタ)アクリレート系樹脂が挙げられ、これらの中でも、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーが好ましい。
前記ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーまたは樹脂としては、例えば、イソシアネート化合物と、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート化合物と、任意にポリオール化合物とを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーまたは樹脂が挙げられる。
耐黄変性に優れる硬化被膜を容易に得ることができる等の点から、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーまたは樹脂の原料として用いる化合物は、脂肪族(脂環式も含む)系の化合物であることが好ましい。
成分(A)は、分子中に官能基として任意の数の(メタ)アクリロイル基と、任意の数のウレタン結合とを有することが好ましく、成分(A)としては、耐衝撃性、耐摩耗性および硬度により優れる硬化被膜を得ることができる等の点から、(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する2官能以上のウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーまたは樹脂を用いることが好ましい。
前記イソシアネート化合物としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、例えば、直鎖状または分岐状のイソシアネート基含有炭化水素、イソシアネート基含有環状炭化水素、イソシアネート基含有芳香族炭化水素を用いることができる。
このようなイソシアネート化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
前記イソシアネート化合物としては、例えば、ポリイソシアネートが挙げられ、具体的には、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート[HDI]等のイソシアネート基含有直鎖状炭化水素、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート[TMHMDI]等のイソシアネート基含有分岐状炭化水素、イソホロンジイソシアネート[IPDI]、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、水添トルエンジイソシアネート等のイソシアネート基含有環状炭化水素、p-フェニレンジイソシアネート[PPDI]、3,3'-ジメチルジフェニル-4,4'-ジイソシアネート[TODI]、1,3-キシレンジイソシアネート[XDI]、ジアニシジンジイソシアネート[DADI]、テトラメチルキシレンジイソシアネート[TMXDI]、1,5-ナフタレンジイソシアネート[NDI]、トリレンジイソシアネート[TDI]、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート[MDI]等のジイソシアネート基含有芳香族炭化水素;前述のイソシアネートの2量体または3量体(ビウレット変性体、イソシアヌレート変性体)などが挙げられる。
これらの中でも、イソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート[HDI]、イソホロンジイソシアネート[IPDI]が好ましい。
前記ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート化合物としては、ヒドロキシ基を1個以上有する(メタ)アクリレートを用いることができ、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
前記ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-クロロプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有単官能(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジまたはトリ(メタ)アクリレート、ジグリセリンジまたはトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジまたはトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ、トリ、テトラまたはペンタ(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、前記以外にも、ポリカプロラクトン変性2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の変性体を用いてもよい。
前記ポリオール化合物としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリオレフィンポリオール等の公知のポリオールを用いることができ、具体的には、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールAとエチレンオキサイドとの付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、ポリカプロラクトンジオール、アルキレンポリオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。
このようなポリオールは、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
前記エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーまたは樹脂としては、例えば、エポキシ系オリゴマーまたは樹脂に、(メタ)アクリル酸を付加させて得られる(メタ)アクリル酸変性エポキシ系オリゴマーまたは樹脂が挙げられる。変性に供される前記エポキシ系オリゴマーまたは樹脂としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSまたはフェノールノボラックとエピクロルヒドリンとを反応させて得られるオリゴマーまたは樹脂、シクロペンタジエンオキシドまたはシクロヘキセンオキシドと、エピクロルヒドリンとを反応させて得られるオリゴマーまたは樹脂が挙げられる。
前記エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーまたは樹脂を用いることで、高硬度であり、耐摩耗性に優れる硬化被膜を容易に形成することができる。
前記ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーまたは樹脂としては、例えば、多塩基酸またはその無水物と多価アルコールとから合成されるポリエステル系オリゴマーまたは樹脂に、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーまたは樹脂が挙げられる。
前記多塩基酸としては、例えば、フタル酸、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、セバシン酸、イソセバシン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ダイマー酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ピメリン酸、アゼライン酸が挙げられる。
前記多価アルコールとしては、例えば、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールが挙げられる。
前記ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーまたは樹脂としては、例えば、ポリーテルとエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステルとのエステル交換反応によって得られるポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーまたは樹脂が挙げられる。
前記ポリエーテルとしては、例えば、トリメチロールプロパンおよびペンタエリスリトールなどをエトキシ化やプロポキシ化などすることにより得られたポリエーテル、1,4-ブタンジオールなどをポリエーテル化することにより得られたポリエーテルが挙げられる。
成分(A)の含有量は、基材への付着性に優れ、耐衝撃性、耐摩耗性および硬度に優れる硬化被膜を容易に形成することができる等の点から、本組成物の固形分100質量%に対し、好ましくは15~95質量%、より好ましくは30~80質量%、特に好ましくは45~65質量%である。
なお、本発明における固形分とは、溶剤以外の成分のことをいう。なお、本組成物の固形分とは、本組成物を硬化させて得られる硬化塗膜を構成する成分でもある。
<光重合開始剤(B)>
成分(B)は、本組成物を硬化可能な化合物であれば特に制限されないが、光照射によりラジカルまたはカチオンを発生し、成分(A)等を反応させることができる化合物であることが好ましい。このような成分(B)としては、例えば、アルキルフェノン系開始剤、アシルホスフィンオキサイド系開始剤、水素引抜型開始剤、ベンゾイン系開始剤、チオキサントン系開始剤が挙げられる。
本組成物に用いる成分(B)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
アルキルフェノン系開始剤としては、例えば、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-1-ブタノン、ベンジルジメチルケタール(別名、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン)、ジエトキシアセトフェノン、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-トリクロロアセトフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-(4-ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、メチルベンゾイルホルマートが挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド系開始剤としては、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイドが挙げられる。
水素引抜型開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸メチル、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-エチルアントラキノン、カンファーキノン、オキシ-フェニル-アセチックアシッド 2-[2-オキソ-2-フェニル-アセトキシ-エトキシ]-エチルエステル、オキシ-フェニル-アセチックアシッド 2-[2-ヒドロキシ-エトキシ]-エチルエステル、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステルが挙げられる。
ベンゾイン系開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルが挙げられる。
チオキサントン系開始剤としては、例えば、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントンが挙げられる。
成分(B)の含有量は、本組成物の硬化を十分に行うことができ、耐衝撃性、耐摩耗性および硬度に優れる硬化被膜を容易に形成することができる等の点から、本組成物の固形分100質量%に対し、好ましくは0.1~10質量%、より好ましくは0.5~5質量%、特に好ましくは1~3質量%である。
<セルロースナノファイバー(C)>
成分(C)としては特に制限されず、従来公知の繊維を使用することができる。
本組成物では、他のファイバーではなく、セルロースナノファイバー(CNF)を用いることで、初めて、耐衝撃性、耐磨耗性、耐酸性、耐アルカリ性および耐シンナー性を有しながらも、高硬度の硬化被膜を形成することができる。
本組成物に用いる成分(C)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
成分(C)としては、高等植物由来のセルロース繊維[例えば、木材繊維(例:針葉樹、広葉樹などの木材パルプ)、茎幹繊維(例:竹繊維)、サトウキビ繊維、種子毛繊維(例:コットンリンター、ボンバックス綿、カポックなど)、ジン皮繊維(例:亜麻、ラミー、コウゾ、ミツマタ)、葉脈繊維(例:マニラ麻、サイザル麻、ニュージーランド麻、パイナップル繊維)、果実繊維(例:ヤシ繊維)などの天然セルロース繊維(パルプ繊維)]、動物由来のセルロース繊維(例:ホヤセルロース、バロニアセルロース、シオグサセルロース)、バクテリア由来のセルロース繊維などが挙げられる。
成分(C)の平均繊維径は、ナノメーターサイズであれば特に限定されないが、例えば、1~500nmであり、好ましくは2~400nmである。
成分(C)の平均繊維長は、例えば、0.05μm以上、好ましくは0.05~250μmである。
成分(C)のアスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)は、好ましくは50以上、より好ましくは50~500である。
平均繊維径、平均繊維長および/またはアスペクト比が前記範囲にある成分(C)を用いると、耐衝撃性、耐磨耗性、耐酸性、耐アルカリ性および耐シンナー性を有しながらも、高硬度の硬化被膜を容易に形成することができる。
なお、本明細書における平均繊維径および平均繊維長は、測定対象となる繊維(群)の偏光顕微鏡写真から無作為に20本の繊維を選び、これらの各繊維の繊維径または繊維長を測定し、この測定結果に基づいて算出される平均値である。
成分(C)は、CNFの原料を、解繊処理等することにより得ることができる。この解繊処理の際に、酸化処理、化学修飾処理等を行ってもよい。また、成分(C)は、CNFを表面処理(例:疎水性処理)したものであってもよく、成分(C)が高分散した本組成物を容易に得ることができる等の点から、疎水性処理したCNFを用いることが好ましい。
また、必要により、成分(C)のアスペクト比を調整する等の点から、CNFを粉砕等してもよい。
本組成物を調製する際に用いる成分(C)としては、粉体を用いてもよく、水、メタノール等の分散媒に分散した分散体を用いてもよいが、成分(C)が高分散した本組成物を容易に得ることができる等の点から、分散媒がメタノール等の有機溶剤である分散体を用いることが好ましい。このような成分(C)としては、第一工業製薬(株)製の「レオクリスタ CNF-N04」等が挙げられる。
成分(C)の含有量は、耐衝撃性、耐磨耗性、耐酸性、耐アルカリ性および耐シンナー性を有しながらも、より高硬度の硬化被膜を容易に形成することができる等の点から、本組成物の固形分100質量%に対し、好ましくは0.01~15質量%、より好ましくは0.05~12質量%、特に好ましくは0.1~10質量%である。
<無機顔料(D)>
本組成物は、さらに成分(D)を含んでいてもよく、硬化被膜の硬度および耐摩耗性をより向上させる等の点から、成分(D)を含んでいることが好ましい。
本組成物が成分(D)を含む場合、該組成物に用いる成分(D)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
成分(D)としては、特に制限されず、従来公知の無機顔料を用いることができるが、減摩剤であることが好ましく、具体例としては、アルミナ、珪砂、シリカ、カーボランダム、アランダム、セラミック、ガラスが挙げられ、これらの中でも、耐摩耗性に優れる硬化被膜を容易に形成することができる等の点から、アルミナおよび珪砂が好ましい。
成分(D)の平均粒子径は、耐摩耗性に優れる硬化被膜を容易に形成することができる等の点から、好ましくは10~50μm、より好ましくは15~40μmである。
なお、前記平均粒子径は、本組成物を調製する際の原料である成分(D)の平均粒径のことをいう。
本明細書における「平均粒子径」とは、JIS Z 8825:2013で規定されている「粒子径解析-レーザ回折・散乱法」に基づいて測定された、体積基準の積算粒子径分布の50%に対応した粒子径(メジアン径、d50)のことをいう。
本組成物が成分(D)を含む場合、成分(D)の含有量は、本組成物の硬化を十分に行うことができ、耐衝撃性、耐磨耗性、耐酸性、耐アルカリ性および耐シンナー性を有しながらも、より高硬度の硬化被膜を容易に形成することができる等の点から、本組成物の固形分100質量%に対し、好ましくは10~50質量%、より好ましくは15~45質量%、特に好ましくは20~40質量%である。
<その他の成分>
本組成物は、必要に応じて、前述した成分以外のその他の成分を含有してもよい。
該その他の成分としては、本発明の分野等で通常用いられてきた従来公知の添加剤を本発明の効果を損なわない範囲で用いることができ、例えば、反応性希釈剤、レベリング剤、消泡剤、分散剤、有機溶剤、重合禁止剤、非反応性希釈剤、艶消し剤、沈降防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、成分(B)以外の光増感剤、アクリル樹脂ビーズ、ウレタン樹脂粒子、ポリエチレン粒子等の有機粒子が挙げられる。
前記その他の成分はそれぞれ、1種単独で用いてもよく、また、2種以上を用いてもよい。
[反応性希釈剤]
本組成物は、その粘度を調整すること等を目的として、反応性希釈剤を含んでいてもよい。
該反応性希釈剤としては特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリレート系モノマーが挙げられる。(メタ)アクリレート系モノマーは、活性なアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するため、光照射によって、成分(A)と反応して硬化被膜を形成することができる。
(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロイルモルホリン、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(以下トリプロピレングリコールジアクリレートを「TPGDA」ともいう。)、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエトキシレートジ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールの(メタ)アクリレート等のラクトン変性体が挙げられる。これらの中でも、1,6-へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエトキシレートジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
反応性希釈剤は、成分(A)に予め加えられていてもよく、また、本組成物を調製する際に加えてもよい。
本組成物が反応性希釈剤を含む場合、反応性希釈剤の含有量は、硬度、耐摩耗性等の塗膜物性に優れる硬化被膜を容易に形成することができる傾向にある等の点から、成分(A)100質量部に対し、通常5~150質量部、好ましくは15~100質量部である。
[紫外線吸収剤、光安定剤]
前記紫外線吸収剤としては、トリアジン骨格を有する化合物、ベンゾトリアゾール骨格を有する化合物等が挙げられる。また、前記光安定剤としては、ヒンダードアミン系等の光安定剤が挙げられる。
前記トリアジン骨格を有する化合物としては、例えば、2-(2-ヒドロキシ-4-[イソオクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-ブチルオキシフェニル)-6-(2,4-ビス-ブチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-(2’-エチルヘキシルオキシ)プロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンが挙げられる。
これらの市販品としては、例えば、「TINUVIN 400」、「TINUVIN 405」、「TINUVIN 460」、「TINUVIN 479」(以上、BASF社製)が挙げられる。
前記ベンゾトリアゾール骨格を有する化合物としては、例えば、2-[2-ヒドロキシ-5-[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-(4-アリルオキシ-2-ヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノールが挙げられる。
これらの市販品としては、例えば、「RUVA-93」(大塚化学(株)製)、「DAINSORB T-31」(大和化成(株)製)、「DAINSORB T-84」(大和化成(株)製)、「TINUVIN 928」、「TINUVIN384-2」(以上、BASF社製)が挙げられる。
前記ヒンダードアミン系の光安定剤としては、例えば、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、2,4-ビス[N-ブチル-N-(1-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ]-6-(2-ヒドロキシエチルアミン)-1,3,5-トリアジン、デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)-4-ピペリジニル)エステルが挙げられる。
これらの市販品としては、例えば、「TINUVIN 292」、「TINUVIN 144」、「TINUVIN 123」(以上、BASF社製)が挙げられる。
本組成物が紫外線吸収剤および光安定剤を含む場合、該紫外線吸収剤および光安定剤の合計含有量は、前記本発明の効果を損なわず、これらの剤が有する効果を十分に発揮できる等の点から、本組成物の固形分100質量%に対し、好ましくは0.1~2質量%、より好ましくは0.2~1質量%である。
[有機溶剤]
本組成物には、粘度を所定の範囲に調整する等の点から、有機溶剤を配合してもよい。
該有機溶剤としては、従来公知の溶剤を用いることができる。例えば、芳香族炭化水素類(例:キシレン、トルエン)、ケトン類(例:メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル類(例:酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル)、アルコール類(例:メタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール)、グリコールエーテル類(例:プロピレングリコールモノメチルエーテル)が挙げられる。
本組成物が有機溶剤を含む場合、該有機溶剤の含有量は、本組成物100質量%に対し、好ましくは10~90質量%、より好ましくは15~85質量%である。
<本組成物>
本組成物は、前記各成分を公知の手段で混合することで調製することができる。各成分を混合する際には、その混合順は特に制限されないが、成分(D)を用いる場合には、成分(D)は、塗装直前に、成分(A)~(C)等の他の成分を混合した混合体に添加することが好ましい。
本組成物の用途は特に限定されないが、壁、床、天井、ドア、階段、家具、窓枠等の住宅、学校、体育館、病院、事務所、工場など用の部材(建材)に用いることが好ましく、より好ましくは、これらの中でも木質基材、さらには木質基材を用いた床材(木質フロア)の塗装に好適である。
また、本組成物は、上塗り塗料として用いてもよいが、本発明の効果がより発揮される等の点から、中塗り塗料として好適に用いられる。特に、本組成物が前記成分(D)を含む場合には、中塗り塗料として用いることが好ましい。
なお、本発明において、中塗り塗料とは、基材上に形成される塗膜のうち、最も基材から遠い層(表層、上塗り塗料層)の下に形成される塗膜を形成する塗料のことをいうが、本発明の効果がより発揮される等の点から、該表層(上塗り塗料層)の1つ基材側の塗膜(表層の下に形成される塗膜であって、表層に接する塗膜)を形成する塗料であることが好ましい。
≪硬化被膜、硬化被膜付基材≫
本発明に係る硬化被膜は、前記本組成物から形成された膜であり、具体的には、本組成物を光照射により硬化させる工程(光照射工程)を含むことで製造することができる。
また、該硬化被膜は、通常、基材上に形成され、つまり、基材と該硬化被膜とを含む硬化被膜付基材として形成される。具体的には、基材の少なくとも一部に本組成物を塗装する塗装工程と、当該塗装面を光照射して本組成物を硬化させる光照射工程とを含むことで硬化被膜付基材を製造することができる。
前記硬化被膜の膜厚は、所望の機能を発揮できる程度の厚みであれば特に制限されないが、傷、衝撃や磨耗等から基材を容易に保護することができる等の点から、通常5~100μm、好ましくは5~50μmである。
なお、このような膜厚の硬化被膜を形成する際は、1回の塗装で所望の厚みの硬化被膜を形成してもよいし、2回(必要によりそれ以上)の塗装で、所望の厚みの硬化被膜を形成してもよい。
前記基材としては特に制限されず、前記硬化被膜を形成したい被塗物であればよく、例えば、木材(木質基材)、プラスチック、紙、金属、ガラス、セラミックス、コンクリートが挙げられる。
また、前記基材は、必要に応じて従来公知の目止処理や着色処理等をした基材であってもよく、従来公知の下塗り塗料等を塗布した基材であってもよく、目止処理や着色処理等の処理と、下塗り塗料等の塗布とをした基材であってもよい。
プラスチックとしては、例えば、各種プラスチック基材(例:トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ジアセチルセルロース、アセテートブチレートセルロース、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエーテルサルホン、ポリアクリル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、(メタ)アクリルニトリル等から形成されるフィルムや成形体)が挙げられる。
前記基材としては、本発明の効果がより発揮される等の点から、木質基材が好ましい。
該木質基材は、突き板貼りや紙貼り、シート貼り基材であってもよく、無垢材であってもよい。
前記塗装工程における塗装(コーティング)方法としては、用いる本組成物の組成および基材の種類等に応じて適時選択すればよいが、例えば、ロールコート法、スプレーコート法、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法が挙げられる。
基材に対する本組成物の塗装量は特に制限されないが、傷、衝撃や磨耗等から基材を容易に保護することができる等の点から、得られる硬化被膜の厚みが前記範囲となるように塗装することが好ましく、具体的には、7.5~200g/m2となるように塗装することが好ましい。
前記塗装工程の後、前記光照射工程の前に、塗装された本組成物を乾燥させる乾燥工程等を設けてもよい。この乾燥工程は、乾燥時間を短縮させるため、5~120℃程度の加熱下で行ってもよい。
前記光照射工程において照射される光としては、活性エネルギー線が好ましく、該活性エネルギー線としては、例えば、遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線等の光線、X線、γ線などの電磁波、電子線、プロトン線、中性子線が挙げられ、これらの中でも、硬化速度、照射装置の入手のし易さ、価格などの点から、紫外線が好ましい。
紫外線を照射する光源としては、例えば、200~500nmの波長域の光を発する高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、無電極ランプ、LEDランプ等が挙げられる。
紫外線照射の条件としては、照射強度は、好ましくは50~500mW/cm2、より好ましくは100~350mW/cm2である。積算光量は、通常20~3,000mJ/cm2、好ましくは50~500mJ/cm2である。
前記光照射工程では、光を照射した後、または、光を照射する際に、硬化時間を短縮させるために、5~120℃程度の加熱を行ってもよい。
なお、前記工程以外に、必要に応じて、硬化被膜付基材を製造する際に公知の工程を行っても構わない。
該工程としては、形成した硬化被膜上に、従来公知の上塗り塗料を塗装し、硬化させることで上塗り塗膜を形成する工程を含むことが好ましい。
前記上塗り塗料は、木質基材などの基材に応じて用いられる上塗り塗料として通常使用される成分を含んでいればよく、活性エネルギー線硬化性化合物、反応性希釈剤および光重合開始剤を含んでいることが好ましい。
前記上塗り塗料は、必要に応じてさらに、分散剤、揺変剤、消泡剤、レベリング剤、反応性希釈剤以外の希釈剤などをそれぞれ、1種または2種以上含んでいてもよい。
前記活性エネルギー線硬化性化合物としては、前記本組成物の欄に記載の成分(A)と同様の化合物等が挙げられる。これらの中でも、耐磨耗性および耐黄変性に優れる上塗り塗膜を容易に形成できる等の点から、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーまたは樹脂を用いることが好ましい。
前記活性エネルギー線硬化性化合物は、1種単独で用いてもよく、また、2種以上を用いてもよい。
また、前記反応性希釈剤および光重合開始剤としては、前記本組成物の欄に記載の反応性希釈剤や成分(B)と同様の化合物等が挙げられる。
前記反応性希釈剤および光重合開始剤はそれぞれ、1種単独で用いてもよく、また、2種以上を用いてもよい。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
溶剤である酢酸ブチル 10質量部に、光重合開始剤である2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン 0.625質量部と、紫外線吸収剤(UVA、TINUVIN 384-2(BASF社製))0.1質量部と、光安定剤(HALS、TINUVIN 123(BASF社製))0.05質量部と、を添加して完全に溶解させた。得られた溶液に、ビスフェノールA型エポキシアクリレート(リポキシ VR-77-80TPA(TPGDA20質量%含有)、昭和電工(株)製)25質量部を添加して十分に撹拌した。撹拌後の溶液に、CNFメタノール分散体(レオクリスタ CNF-N04(第一工業製薬(株)製)、疎水変性CNF含有量:2.5質量%、CNFの平均繊維径:4nm、CNFのアスペクト比:100~200)100質量部を添加し、CNFを完全に分散させることにより、光硬化性塗料組成物を調製した。
[実施例2~4および比較例1~4]
表1に記載の原材料を表1に記載の量(質量部)で用いた以外は実施例1と同様にして、光硬化性塗料組成物を調製した。
なお、表1中のウレタンアクリレート、グラスファイバーおよび珪灰石の詳細は、以下の通りである。
・ウレタンアクリレート:UV-55(大竹明新化学(株)製)、官能基数:3、TPGDA25質量%含有
・グラスファイバー:グラスロン ミルドファイバー MF03JB1-20(旭ファイバーグラス(株)製)、繊維径:10μm、平均繊維長:30μm
・珪灰石:FPW#400(キンセイマテック(株)製)、繊維径:8.2μm、アスペクト比:3~6
Figure 2022125559000001
<硬化被膜付基材の作製>
実施例1~4で調製した光硬化性塗料組成物それぞれに、溶融アルミナ(サンケイ ホワイト WA#500、平成サンケイ(株)製、平均粒子径:25μm)を7.5質量部添加し、比較例1~4で調製した光硬化性塗料組成物それぞれに、該溶融アルミナを30質量部添加し、十分に撹拌することで、硬化被膜形成用組成物を調製した。
フロア基材(表面単板:バーチ材)に、UV硬化性下塗り塗料(オーレックスNo.822F HSG(中国塗料(株)製))を塗布し、乾燥させ、さらに、UV硬化性下塗り塗料(オーレックスNo.822S-1(中国塗料(株)製)およびオーレックスNo.822F-4(中国塗料(株)製))をこの順で塗布し、乾燥させることで、下塗り塗膜を形成した。該下塗り塗膜上に、中塗り塗料として、調製した硬化被膜形成用組成物を、溶剤が乾燥した状態で2.7g/尺2±0.2g/尺2となるようにスプレーにて塗布し、60℃の乾燥機にて5分間養生後、紫外線を照射(積算光量:50mJ/cm2)することで、硬化被膜を形成した。さらに、該硬化被膜上に、UV硬化性上塗り塗料(オーレックスNo.811RS G-20(中国塗料(株)製))を塗布し、乾燥させることにより硬化被膜付基材を作製した。
<鉛筆硬度>
JIS K 5600-5-4:1999の引っかき硬度(鉛筆法)に基づき、(株)安田精機製作所製の鉛筆硬度測定器を用いて、作製した硬化被膜付基材の塗膜の鉛筆硬度を測定した。具体的には、以下のようにして測定した。
鉛筆の芯が傷のない滑らかな円柱状になるように木部を削り取り、研磨紙で芯の先端を平らにした。その後、鉛筆の移動がフロア基材の木目に対し垂直となるように、作製した硬化被膜付基材をセットした後、鉛筆が硬化被膜付基材に対し45°かつ750gの荷重となるよう鉛筆硬度測定器にセットした。次いで、鉛筆の先端が塗膜上に接した後、直ちに、鉛筆の移動方向が、フロア基材の木目に対し垂直となるように硬化被膜付基材を移動させて、硬化被膜付基材に凹みが生じない最も硬い鉛筆の硬度を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2022125559000002
<付着試験>
カッターとカッターガイドを用い、フロア基材の木目に対し、45°の角度で、硬化被膜付基材の塗膜に、下塗り塗膜に達する深さで、2mm幅で碁盤目状に100目の格子パターンの切り込みを入れた。形成した格子パターン上に、セロハン粘着テープを貼り付け、完全に付着させた後、テープの端をつかみ、出来るだけ45°(順方向)に近い角度で素早く確実にテープを引き剥がした。
切り込みの縁が完全に滑らか(切込みに沿って塗膜の欠けがない状態)でどの格子にも剥がれがない状態を100とし、硬化被膜付基材上に残った塗膜の格子パターンの数を数えた。結果を表3に示す。
<寒熱繰返し試験>
作製した硬化被膜付基材から150mm×150mmの正方形の試験片を切り出した。得られた試験片を、80±3℃の恒温器中に2時間放置した後、-20±3℃の恒温器中に2時間放置する工程を2回繰り返すことを1サイクルとし、試験片表面にワレが発生したサイクル数を評価した。なお、ワレが発生した場合、ワレの合計長さを測定した。
また、試験終了後、前記付着試験と同様の方法にて、寒熱繰返し試験後の付着性(二次付着性)を評価した。結果を表3に示す。
<耐酸試験・耐アルカリ試験・耐シンナー試験>
作製した硬化被膜付基材を水平に置いた後、硬化被膜付基材の塗膜面に、5%酢酸水溶液(耐酸試験)、1%炭酸ナトリウム水溶液(耐アルカリ試験)、または、ラッカーシンナー(耐シンナー試験)を滴下し、その滴下部を覆うように、時計皿の凸面が上向きになるように、硬化被膜付基材の塗膜面に時計皿を配置し、6時間各滴下液の乾燥を防いだ後、直ちに塗膜面を水洗いし、室内に24時間放置した。放置後の塗膜表面の状態を、以下の評価基準に従い、5段階で評価した。結果を表3に示す。なお、この試験結果は、中塗り塗料である、調製した硬化被膜形成用組成物から形成された硬化被膜の性質によるところが大きい。従って、この試験は、調製した硬化被膜形成用組成物から形成された硬化被膜の性質を示す試験であるといえる。
(評価基準)
○:色やツヤの変化がない
○△:よく見れば色やツヤの変化が確認できる
△:明らかな色やツヤの変化が確認できる
△×:割れ、膨れ、剥がれまたは軟化が確認できるが、その範囲は塗膜全面の30%未満である
×:割れ、膨れ、剥がれまたは軟化が確認でき、その範囲は塗膜全面の30%以上である
<耐摩耗試験>
作製した硬化被膜付基材から100mm×100mmの正方形の試験片を切り出した。得られた試験片を、(株)安田精機製作所製のテーバー式摩耗試験機の回転盤上に水平に固定し、JAS摩耗試験用研磨紙を巻き付けたゴム製円盤2個を取り付けて試験片を回転させた。この際、試験片上に加わる総重量は、2個のゴム製円盤の質量を含め合計1000gとした。
試験片と研磨紙とが接した部分(摩耗箇所)において、フロア基材が露出した時点で試験を止め、その時の回転数を数えた。結果を表3に示す。
なお、500回転を超えて試験をする際には、新しい研磨紙に交換した。その後も500回転毎に研磨紙の交換を行った。
<耐衝撃試験>
デュポン式衝撃試験機を用いて、作製した硬化被膜付基材の塗膜面に対し、耐衝撃試験を行った。具体的には、以下のようにして測定した。
先端にφ1/2の丸みを持つ撃ち型と、その丸みに合うくぼみを持つ受け台をセットし、300gの重りを、撃ち型の上部50cmの高さにピンで固定した。硬化被膜付基材を撃ち型と受け台で挟んだ後、ピンを抜き、撃ち型の上に重りを落下させた時の衝撃変形による塗膜の割れおよび剥がれを、以下の評価基準に従い5段階で評価した。結果を表3に示す。
(評価基準)
○:割れや剥がれがない
○△:よく見れば試験部に割れがあるが、剥がれはない
△:撃ち型と接した部分に割れがあるが、剥がれはない
△×:撃ち型と接した部分に割れおよび剥がれがある
×:撃ち型と接した部分だけでなく、該部分以外の部分まで割れおよび剥がれがある
Figure 2022125559000003

Claims (8)

  1. 活性エネルギー線硬化性化合物(A)と、光重合開始剤(B)と、セルロースナノファイバー(C)とを含有する建材用光硬化性塗料組成物。
  2. 前記セルロースナノファイバー(C)の含有量が、建材用光硬化性塗料組成物の固形分100質量%に対し、0.01~15質量%である、請求項1に記載の建材用光硬化性塗料組成物。
  3. 前記セルロースナノファイバー(C)のアスペクト比が50以上である、請求項1または2に記載の建材用光硬化性塗料組成物。
  4. さらに無機顔料(D)を含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の建材用光硬化性塗料組成物。
  5. 前記無機顔料(D)の平均粒子径が10~50μmである、請求項1~4のいずれか1項に記載の建材用光硬化性塗料組成物。
  6. 中塗り塗料用である、請求項1~5のいずれか1項に記載の建材用光硬化性塗料組成物。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の建材用光硬化性塗料組成物から形成された硬化被膜。
  8. 基材と、請求項7に記載の硬化被膜とを有する、硬化被膜付基材。
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