JP2022124294A - 打撃工具 - Google Patents

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吉隆 町田
Yoshitaka Machida
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Abstract

【課題】駆動機構の発熱により駆動機構収容領域内で上昇した圧力を効果的に逃がす。【解決手段】ハンマドリル1は、ハウジング2内に、モータと、前端にビットを装着可能な筒状のツールホルダ23と、ビットを打撃可能な駆動機構30と、駆動機構30に設けられ、モータの出力軸の回転により回転する第1中間軸80と、ハウジング2内で駆動機構30を密封状態で収容する駆動機構収容領域Tとを有する。そして、第1中間軸80の内部に、駆動機構収容領域T内の空気を駆動機構収容領域Tの外部へ逃がすエア逃がし路77が形成されると共に、エア逃がし路77の入口となる貫通孔80aは、第1中間軸80の外周面に形成されている。【選択図】図13

Description

本発明は、ハンマドリル等の打撃工具に関する。
ハンマドリル等の打撃工具は、ハウジング内に、先端にビットを装着可能なツールホルダを保持している。ハウジング内には、ツールホルダ及びモータの出力軸を支持するインナハウジングが設けられて、ビットを打撃する駆動機構を密閉状態で収容している。駆動機構は、特許文献1に開示されるように、前後へ往復動するピストン(ピストンシリンダも含む)と、ピストンの往復動に空気室を介して連動するストライカと、出力軸の回転をピストンの往復動に変換する動力変換機構とを含むものが知られている。
このような打撃工具では、打撃作動によって駆動機構が発熱すると、駆動機構収容領域内の圧力が上昇する。このため駆動機構収容領域内と空気室内との圧力バランスが崩れてストライカが正常に直線動作しない打撃不良を起こすおそれがある。このような打撃不良の発生を抑制すべく、特許文献1には、圧力調整通路が採用されている。この圧力調整通路は、回転軸の後端に設けた有底孔に、筒状部材を挿入して形成されている。圧力調整通路の入口は、インナハウジングの内部で回転軸の後端と筒状部材との間に形成されている。圧力調整通路の出口は、筒状部材の先端に形成されてインナハウジングの外部に突出している。よって、インナハウジング内の空気が膨張して内部圧力が上昇すると、インナハウジング内の空気が圧力調整通路を介してインナハウジングの外部へ排出されて圧力が逃がされることになる。
特許第4461062号公報
特許文献1の打撃工具では、圧力調整通路の入口が、回転軸を支持する軸受及び止めリングとインナハウジングの内面との狭いスペースに形成されている。よって、このスペースにグリスが入り込むと、圧力調整通路が塞がれて空気が外部へ逃げられなくなるおそれがあった。
そこで、本開示は、駆動機構の発熱により駆動機構収容領域内で上昇した圧力を効果的に逃がすことができる打撃工具を提供することを目的としたものである。
上記目的を達成するために、本開示は、ハウジング内に、
モータと、
前端にビットを装着可能な筒状のツールホルダと、
前記ビットを打撃可能な駆動機構と、
前記駆動機構に設けられ、前記モータの出力軸の回転により回転する回転軸と、
前記ハウジング内で前記駆動機構を密封状態で収容する駆動機構収容領域と、を有する打撃工具であって、
前記回転軸の内部に、前記駆動機構収容領域内の空気を前記駆動機構収容領域の外部へ逃がすエア逃がし路が形成されると共に、前記エア逃がし路の入口は、前記回転軸の外周面に形成されていることを特徴とする。
本開示によれば、エア逃がし路の入口が回転軸の外周面に形成されているので、遠心力により、駆動機構収容領域内のグリスがエア逃がし路に進入しにくくなる。よって、駆動機構の発熱により駆動機構収容領域内で上昇した圧力を効果的に逃がすことができる。
ハンマドリルの後方からの斜視図である。 ハンマドリルの中央縦断面図である。 図2における駆動機構部分の拡大図である。 図3のA-A線断面図である。 アウタハウジングとモータハウジングとインナハウジングとの分解斜視図である。 インナハウジングの分解斜視図である。 図3のB-B線断面図である。 アウタハウジングを省略したインナハウジング及びモータハウジングの拡大正面図である。 アウタハウジングの拡大背面図である。 図8のF-F線断面図(アウタハウジング付き)である。 図3のC-C線断面図である。 図7のD-D線断面図である。 図7のE-E線断面図である。 第1中間軸部分の分解斜視図である。 図11のG-G線断面図である。 アウタハウジングの一部底面図である。
本開示の一実施形態において、エア逃がし路の入口は、回転軸を直交状に貫通する貫通孔により形成されていてもよい。この構成によれば、貫通孔の両端から空気が進入でき、一端がグリスで塞がっても他端での空気の進入が確保できる。
本開示の一実施形態において、駆動機構収容領域内には、回転軸を支持する軸受が設けられ、エア逃がし路の出口は、回転軸の軸線方向で軸受を挟んで駆動機構収容領域の反対側に形成されていてもよい。この構成によれば、エア逃がし路を回転軸の軸線方向での短い距離で形成可能となる。
本開示の一実施形態において、軸受は、シール付き軸受であってもよい。この構成によれば、軸受からエア逃がし路へグリスが流れ込むおそれが低減される。
本開示の一実施形態において、エア逃がし路の入口は、回転軸の軸線方向での中間部位に配置されていてもよい。この構成によれば、駆動機構収容領域内のグリスが入口から一層進入しにくくなる。
本開示の一実施形態において、回転軸には、動作モードの切替用のクラッチが摺動可能に結合されるスプライン部が形成され、エア逃がし路の入口は、スプライン部に配置されていてもよい。この構成によれば、回転するスプライン歯によりグリスがはね飛ばされ、入口へのグリスの進入は好適に防止される。
本開示の一実施形態において、駆動機構収容領域は、ハウジング内に設けられて軸受を保持する保持凹部を備えたインナハウジングによって形成され、保持凹部の周囲には、駆動機構収容領域側へ突出するリング状の周壁部が形成されていてもよい。この構成によれば、インナハウジングの内面を伝って保持凹部にグリスが進入しにくくなる。
本開示の一実施形態において、回転軸には、軸線方向で周壁部に隣接するギヤが設けられていてもよい。この構成によれば、回転するギヤによりグリスがはね飛ばされ、ギヤと周壁部との隙間へのグリスの進入も好適に防止可能となる。
本開示の一実施形態において、駆動機構は、ツールホルダを回転させる回転作動部を有すると共に、ツールホルダへの回転伝達用の回転軸と、ビットの打撃用の回転軸とを有し、エア逃がし路の入口が形成される回転軸は、回転伝達用の回転軸であってもよい。この構成によれば、エア逃がし路が容易に形成可能となる。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
(ハンマドリルの概略の説明)
図1は、ハンマドリルの一例を示す斜視図である。図2は、ハンマドリルの中央縦断面図である。図3は、図2における駆動機構部分の拡大図である。図4は、図3のA-A線断面図である。
ハンマドリル1は、外郭を形成するハウジング2を有する。ハウジング2は、前側のアウタハウジング3と、その後方のモータハウジング4と、その後方のハンドルハウジング5とを有する。
モータハウジング4は、前側に正面視四角形状の連結部6を有し、後側に筒状のモータ収容部7を有する。連結部6は、図5にも示すように、正面視の四隅で前方から4本のネジ8,8・・によってアウタハウジング3と連結されている。モータ収容部7には、モータ9が、出力軸10を前方に向けた姿勢で収容されている。
ハンドルハウジング5は、モータ収容部7に後方から外装されて前後方向へ相対移動可能である。ハンドルハウジング5は、コイルバネ11を用いた防振機構を介して後退位置に付勢されている。
ハンドルハウジング5の後端には、下向きに延びるハンドル12が形成されている。ハンドル12内には、トリガ14を前方へ突出させたスイッチ13が収容されている。スイッチ13には、電源コード15が接続されている。電源コード15は、ハンドル12の下端から引き出されている。ハンドル12の左右の側面には、前後方向に延びる複数の吸気口16,16・・がそれぞれ形成されている。左右の吸気口16は、出力軸10の軸線を挟んで対向するように配置されている。
モータ9の出力軸10は、連結部6を貫通してアウタハウジング3内に突出している。出力軸10の前端には、ピニオン17が形成されている。連結部6内で出力軸10には、ファン18が固定されている。ファン18の後方で連結部6内には、バッフルプレート19が固定されている。ファン18の径方向外側で連結部6の下面及び右側面には、複数の後排気口20,20・・がそれぞれ形成されている。
アウタハウジング3は、前筒部21と後筒部22とを有する。前筒部21は、前方へ延びる横断面円形の筒状である。後筒部22は、前筒部21より大径で、正面視六角形状の筒状である。前筒部21は、後筒部22の上側の偏心位置に配置されている。
前筒部21内には、筒状のツールホルダ23が同軸で収容されている。ツールホルダ23の前端は、前筒部21から前方へ突出している。前筒部21の前端には、ツールホルダ23の前部を支持する軸受24が保持されている。軸受24の前方には、前筒部21とツールホルダ23との間をシールするオイルシール25が設けられている。
前筒部21から突出するツールホルダ23の前端には、操作スリーブ26が設けられている。操作スリーブ26は、ツールホルダ23の前端でビットBを着脱操作するために設けられる。前筒部21の前端には、サイドグリップ27が装着されている。
アウタハウジング3内には、駆動機構30が設けられている。駆動機構30は、回転/打撃作動部31と、その後方の回転/打撃切替部32とを有している。
回転/打撃作動部31は、ツールホルダ23と、ピストンシリンダ33と、ストライカ34と、インパクトボルト35とを有している。ピストンシリンダ33は、前端を開口し、ツールホルダ23の後部で前後移動可能に収容されている。ストライカ34は、ピストンシリンダ33内に空気室36を介して前後移動可能に収容されている。インパクトボルト35は、ストライカ34の前方でツールホルダ23内へ前後移動可能に収容されている。ツールホルダ23は、複数の透孔37,37によって前筒部21内と連通している。ツールホルダ23の後部は、後筒部22内に突出している。後筒部22内でツールホルダ23の外周には、トルクリミッタ付きのギヤ38が設けられている。
連結部6及び後筒部22内には、インナハウジング40が収容されている。インナハウジング40は、ギヤ38の後側でツールホルダ23の後部を支持している。インナハウジング40内には、回転/打撃切替部32が収容されている。回転/打撃切替部32は、後筒部22の下面に設けられた切替ツマミ116の操作により、動作モードを切り替えて出力軸10の回転を回転/打撃作動部31に伝達する。
(インナハウジングの説明)
インナハウジング40は、前後に2分割されて、金属製の前ハウジング41と、樹脂製の後ハウジング42とを有している。
前ハウジング41は、図6にも示すように、前側の軸受保持部43と、後側の胴体部44とを備えている。
軸受保持部43は、後筒部22より一回り小さい正面視六角形状を有する。軸受保持部43は、図7にも示すように、上部の左右中央に、上貫通孔45を備えている。上貫通孔45には、ツールホルダ23の後部が挿入される。上貫通孔45内には、ツールホルダ23の後部を支持する軸受メタル46が保持されている。上貫通孔45の下方左側には、上貫通孔45より小径の下貫通孔47が形成されている。
軸受メタル46の径方向外側で軸受保持部43の外周面には、全周に亘って凹溝48が形成されている。凹溝48には、Oリング49が保持されている。Oリング49は、後筒部22の内周面を圧接して後筒部22と軸受保持部43との間をシールする。よって、アウタハウジング3とインナハウジング40との間の空間は、Oリング49を境にして前後に区画される。Oリング49の前側でツールホルダ23とアウタハウジング3との間の空間は、前方がオイルシール25によってシールされる。
軸受保持部43の前面には、インナ側リブ50が前向きに形成されている。インナ側リブ50は、図8にも示すように、正面視で、上貫通孔45から突出するツールホルダ23のギヤ38の下半分を下方から囲む格好で正面視円弧状に形成されている。インナ側リブ50の前端は、径方向でギヤ38にオーバーラップしている。但し、インナ側リブ50の左側は、下貫通孔47を外側から囲む半円状部51となっている。インナ側リブ50により、Oリング49で囲まれる軸受保持部43の前面は、上下に区画される。インナ側リブ50の左右両端は、上方へ向かうに従って後退する傾斜部50a,50aとなっている。インナ側リブ50の中間部の前端は、軸受保持部43から最も前方に位置している。
一方、アウタハウジング3において、後筒部22の前側内面には、図9に示すように、軸受保持部43のインナ側リブ50に対向して後方へ突出するアウタ側リブ52が形成されている。アウタ側リブ52は、インナハウジング40の組み付け状態でギヤ38の下側に突出し、インナ側リブ50の前端に押し付けられて後端が変形することによりインナ側リブ50に密着するリブ(いわゆる潰しリブ)となっている。アウタ側リブ52は、インナ側リブ50とは前後で鏡面対象となるように形成されて、左側に、半円状部51と対向する半円状部53を有している。アウタ側リブ52の左右両端側の上端部52a,52aは、図4に示すように、前方へ突出して軸受保持部43の前面に当接している。この上端部52aの後縁は、下方へ向かうに従って前進する傾斜形状となって、インナ側リブ50の左右両端の傾斜部50a,50aと合致している。
よって、アウタハウジング3にインナハウジング40を組み付けた状態では、図10に示すように、アウタ側リブ52とインナ側リブ50との突き合わせにより、隔壁54が形成される。よって、アウタハウジング3の内部でOリング49の前方空間は、隔壁54によって上下に仕切られる。隔壁54の上側が、オイルシール25とOリング49とによって仕切られる前側グリス室55となる。前側グリス室55は、下貫通孔47等を介してインナハウジング40内の後側グリス室56と連通している。この前側グリス室55と後側グリス室56とが駆動機構収容領域(以下「収容領域」と略称する)Tとなる。
胴体部44は、軸受保持部43より一回り小さい正面視六角形状の筒状である。胴体部44の左右の側面には、複数の放熱フィン57,57・・がそれぞれ立設されている。各放熱フィン57は、上下方向へ延びるように形成され、前後方向へ所定間隔をおいて立設されている。各放熱フィン57の外側端縁は、図11に示すように、後筒部22の内面に近接している。放熱フィン57の突出方向外側で後筒部22の左右の側面には、前後方向に延びる複数の前排気口58,58・・がそれぞれ形成されている。左右の前排気口58は、平面視で出力軸10の軸線方向を挟んで対向するように配置されている。
胴体部44の後端には、正面視が四角形状の前フランジ59が形成されている。前フランジ59の四隅には、半円状の4つの切欠き60,60・・がそれぞれ形成されている。
後ハウジング42は、図3及び図11に示すように、略中央に後貫通孔65を有している。後貫通孔65には、出力軸10が貫通している。後貫通孔65の後部には、出力軸10を支持する軸受66が保持されている。軸受66の前側にはオイルシール67が設けられている。
後ハウジング42の前端には、胴体部44の前フランジ59と同じ正面視四角形状の後フランジ68が形成されている。後フランジ68の四隅にも、半円状の4つの切欠き69,69・・がそれぞれ形成されている。
前フランジ59と後フランジ68とは、前後に重なった状態でアウタハウジング3の後筒部22とモータハウジング4の連結部6との間に挟持される。図5及び図7,9に示すように、後筒部22の後端には、正面視で四隅に張り出す4つのネジ止め部70,70・・が形成されている。各ネジ止め部70の後面には、後方へ突出する円形のネジボス71がそれぞれ形成されている。
一方、連結部6の四隅には、図5及び図8に示すように、各ネジ止め部70に対応して、雌ネジ孔を有する4つの雌ネジ部72,72・・がそれぞれ形成されている。各雌ネジ部72の前面には、ネジボス71が嵌合する円形凹部73が形成されている。すなわち、図12に示すように、各ネジボス71が、ネジ8によるネジ止め状態で円形凹部73に嵌合するインロー結合となっている。
前フランジ59と後フランジ68とは、四隅の切欠き60,69がそれぞれネジボス71の外周に内側から係合した状態で、ネジ止め部70と雌ネジ部72との間に挟持される。この状態で各ネジ止め部70と雌ネジ部72とが前方からネジ8,8・・によってネジ止めされる。すると、アウタハウジング3とモータハウジング4との連結がなされると共に、前フランジ59と後フランジ68とが前後両面から押圧されて組み付けられる。このとき各ネジ止め部70の後端面と各雌ネジ部72の前端面とは非接触となっている。こうしてアウタハウジング3の後部でインナハウジング40が位置決めされる。
この位置決め状態で後筒部22と前後フランジ59,68との間には、図3及び図11に示すように、上側に隙間Sが形成されている。よって、ファン18が収容される連結部6内は、Oリング49の後方で隙間Sと連通する。隙間Sは、後筒部22と前ハウジング41との間の空間と連通し、放熱フィン57の間を介して前排気口58と連通することになる。
後フランジ68の前面で前フランジ59との当接部位には、図6に示すように、全周に亘って溝74が形成されている。溝74内には、Oリング75が保持されている。Oリング75は、インナハウジング40の組み付け状態で前フランジ59の後面に当接して前フランジ59と後フランジ68との間をシールする。
(回転/打撃切替部の説明)
回転/打撃切替部32は、図6,7及び図11,13にも示すように、ツールホルダ23の下側で左右2本の第1、第2中間軸80,81を備えている。第1、第2中間軸80,81は、互いに平行で且つツールホルダ23と平行に配置されている。
左側の第1中間軸80は、図14にも示すように、後端が後ハウジング42に軸受82を介して回転可能に支持される。第1中間軸80の前端は、前ハウジング41の下貫通孔47を貫通して前方へ延びる。第1中間軸80の前端は、後筒部22の前側内面に軸受83を介して回転可能に支持されている。第1中間軸80の後部には、出力軸10のピニオン17と噛合する第1ギヤ84が、回転可能に外装されている。軸受82と第1ギヤ84との間には、ワッシャ84aが外装されている。第1ギヤ84の前部外周には、複数の爪からなるギヤ側係合部85が形成されている。
下貫通孔47より前方で第1中間軸80の前部には、第2ギヤ86が形成されている。第2ギヤ86は、ツールホルダ23のギヤ38と噛合する。第2ギヤ86と軸受83との間には、ワッシャ86aが外装されている。
第1ギヤ84の前方で第1中間軸80には、第1スプライン部87が形成されている。第1スプライン部87には、第1クラッチ88がスプライン結合されている。第1クラッチ88は、第1中間軸80と一体回転可能且つ前後移動可能に設けられて、複数の爪からなる後係合部89と前係合部90とを備えている。第1クラッチ88は、図13に示す後退位置で後係合部89が第1ギヤ84のギヤ側係合部85に係合する。よって、第1ギヤ84の回転は第1クラッチ88を介して第1中間軸80に伝達される。
第1クラッチ88の前方で前ハウジング41の下貫通孔47には、ロックリング91が保持されている。ロックリング91は、外周に、周方向に等間隔で配置された4つの回り止め片92,92・・を有する。各回り止め片92の後端は、ロックリング91の後端面よりも後方へ突出する爪92aとなっている。下貫通孔47の内面には、4つの回り止め片92が係合する4つの溝47a,47a・・が形成されている。よって、ロックリング91は、下貫通孔47内で回転規制された状態で保持される。この状態で各溝47aを除く下貫通孔47の筒状の内周面47bは、第1中間軸80の軸線周りでロックリング91の外周面を均等に保持している。
下貫通孔47内でロックリング91の前方には、コイルバネ93が収容されている。ロックリング91は、コイルバネ93によって後方に付勢される。ロックリング91の後方には、爪92aが当接する止めリング94が保持されている。よって、ロックリング91は、止めリング94に当接する後退位置に付勢される。
第1クラッチ88の前係合部90は、ロックリング91の4つの爪92aよりも多い8つの爪90a,90a・・を備えている。第1クラッチ88は、前進位置で第1ギヤ84から離間して、前係合部90の爪90aがロックリング91の爪92aに回転方向で係合する。よって、第1ギヤ84の回転は、第1中間軸80に伝達されず、第1中間軸80は、第1クラッチ88と共に回転がロックされる。
こうして第1中間軸80の回転がロックされると、ツールホルダ23は、第1中間軸80の第2ギヤ86と噛合するギヤ38を介して回転がロックされる。
但し、第1クラッチ88は、前進位置と後退位置との間の中間位置では、第1ギヤ84とロックリング91との何れにも係合しない状態となる。
第1中間軸80において、ロックリング91の後側で第1スプライン部87には、貫通孔80aが形成されている。貫通孔80aは、横断面円形で、第1スプライン部87の直径方向に貫通形成されている。第1中間軸80の軸心には、軸心孔80bが形成されている。軸心孔80bは、貫通孔80aより小径の横断面円形で、前端が貫通孔80aと連通している。軸心孔80bの後端は、第1中間軸80の後端面に開口している。
後ハウジング42の前面には、軸受82を保持する保持凹部42aが形成されている。保持凹部42aの後方で後ハウジング42には、逃がし孔76が貫通形成されている。逃がし孔76は、後方へ向かうに従って先細りとなるテーパ状である。逃がし孔76は、保持凹部42aの底部を介して軸心孔80bの後端と連通している。
軸受82は、軸方向の前後両面がシールされたシール付き軸受となっている。保持凹部42aの周囲には、軸受82を越えて前方へ突出するリング状の周壁部42bが形成されている。周壁部42bの前端は、第1ギヤ84の後面と近接している。
こうしてインナハウジング40の内部には、貫通孔80aの両端の入口から、軸心孔80bと保持凹部42aの底部とを介して逃がし孔76の後端の出口に至るエア逃がし路77が形成される。よって、インナハウジング40の内部は、エア逃がし路77を介してインナハウジング40の外部と連通することになる。後ハウジング42の後面には、逃がし孔76の後端を閉塞するスポンジ等の吸収材78が保持されている。
右側の第2中間軸81は、後端が後ハウジング42に軸受95を介して回転可能に支持される。第2中間軸81の前端は、前ハウジング41の軸受保持部43に軸受96を介して回転可能に支持される。第2中間軸81の後部には、出力軸10のピニオン17と噛合する第3ギヤ97が、一体回転可能に固定されている。第3ギヤ97の前方で第2中間軸81には、ボススリーブ98が別体で回転可能に外装されている。ボススリーブ98には、軸線を傾けたスワッシュベアリング99が設けられている。スワッシュベアリング99の外輪には、アーム100が上向きに突設されている。アーム100の先端は、ピストンシリンダ33の後端に連結されている。ピストンシリンダ33の後端と後ハウジング42との間には、コイルバネ101が介在されている。コイルバネ101は、後述するドリルモードではピストンシリンダ33を前進位置に付勢する。ボススリーブ98の前部には、ボス側係合部102が形成されている。
ボススリーブ98の前方で第2中間軸81には、第2スプライン部103が形成されている。第2スプライン部103には、第2クラッチ104がスプライン結合されている。第2クラッチ104は、第2中間軸81と一体回転可能且つ前後移動可能に設けられて、後部にクラッチ側係合部105を備えている。第2クラッチ104は、後退位置でクラッチ側係合部105がボススリーブ98のボス側係合部102に係合する。よって、第2中間軸81の回転は第2クラッチ104を介してボススリーブ98に伝達される。第2クラッチ104が前進すると、クラッチ側係合部105がボス側係合部102から離間して第2中間軸81の回転はボススリーブ98に伝達されなくなる。
第1、第2中間軸80,81の下方には、モード切替機構109が設けられている。モード切替機構109は、図15にも示すように、左右2本の第1、第2ロッド110,111と、切替ツマミ116とを有している。
第1、第2ロッド110,111は、互いに平行で、且つ第1、第2中間軸80,81と平行に設けられている。
第1ロッド110は、後端が後ハウジング42に支持され、前端が前ハウジング41の軸受保持部43に支持されている。第1ロッド110は、第1プレート112を備えている。第1プレート112は、中間部が第1ロッド110と平行に延びる帯板である。第1プレート112の前後両端は、第1ロッド110側へ折曲されて第1ロッド110に貫通されている。よって、第1プレート112は、第1ロッド110に沿って前後移動可能である。第1プレート112の前端は、第1クラッチ88の外周に係合している。第1プレート112の前方で第1ロッド110には、コイルバネ113が外装されている。コイルバネ113は、第1プレート112を、後ハウジング42の前面に当接する後退位置に付勢している。この後退位置は、第1プレート112と共に後退する第1クラッチ88の後退位置となる。
第2ロッド111は、後端が後ハウジング42に支持され、前端が前ハウジング41の軸受保持部43に支持されている。第2ロッド111は、第2プレート114を備えている。第2プレート114は、中間部が第2ロッド111と平行に延びる帯板である。第2プレート114の前後両端は、第2ロッド111側へ折曲されて第2ロッド111に貫通されている。よって、第2プレート114は、第2ロッド111に沿って前後移動可能である。第2プレート114の前端は、第2クラッチ104の外周に係合している。第2プレート114の前方で第2ロッド111には、コイルバネ115が外装されている。コイルバネ115は、第2プレート114を、後ハウジング42に当接する後退位置に付勢している。この後退位置は、第2プレート114と共に後退する第2クラッチ104の後退位置となる。
第1、第2プレート112,114の位置は、切替ツマミ116によって変更可能である。切替ツマミ116は、図16に示すように、後筒部22の下面へ回転操作可能に設けられている。切替ツマミ116は、図3,11に示すように、前ハウジング41の胴体部44の下面に設けた底貫通孔117を介してインナハウジング40内に突出している。切替ツマミ116の突出端面には、2本の第1、第2偏心ピン118,119が設けられている。第1偏心ピン118は、第1プレート112の前端に後方から係合し、第2偏心ピン119は、第2プレート114の中間部に係合後方からしている。
よって、切替ツマミ116を回転操作することで第1、第2偏心ピン118,119を介して第1、第2プレート112,114の前後位置を切り替えることができる。すなわち、動作モードを、ドリルモード、ハンマドリルモード、ハンマモード(回転ロック)、ハンマモード(ニュートラル)に切替可能となっている。
(ハンマドリルの作動の説明)
切替ツマミ116をドリルモードに切り替える。すると、第1偏心ピン118は、最後退位置となり、第1クラッチ88は、第1プレート112と共に後退位置となる。よって、第1ギヤ84の回転は、第1クラッチ88を介して第1中間軸80に伝わる状態となる。そして、第1中間軸80の回転は、第2ギヤ86からギヤ38を介してツールホルダ23に伝わる状態となる。
一方、第2偏心ピン119は、最前進位置となり、第2クラッチ104は、第2プレート114と共に前進位置となる。よって、出力軸10から伝わる第2中間軸81の回転は、ボススリーブ98に伝わらない状態となる。
従って、トリガ14を押し込み操作してスイッチ13をONさせると、モータ9が駆動して出力軸10が回転する。すると、第1中間軸80を介してツールホルダ23が回転し、先端のビットBを回転させる。
次に、切替ツマミ116をハンマドリルモードに切り替える。すると、第1偏心ピン118の最後退位置は変わらず、第1プレート112及び第1クラッチ88は後退位置のままとなる。
一方、第2偏心ピン119は、最前進位置から中間位置に後退し、第2クラッチ104は、第2プレート114と共に後退位置となる。よって、第2中間軸81の回転は、第2クラッチ104を介してボススリーブ98に伝わる状態となる。
従って、トリガ14を押し込み操作してモータ9が駆動すると、第1中間軸80を介してツールホルダが回転し、先端のビットBを回転させる。これと同時に、ボススリーブ98が回転してアーム100が前後に揺動するため、ピストンシリンダ33が往復動する。よって、ストライカ34が往復動してインパクトボルト35を介してビットBを打撃する。
次に、切替ツマミ116をハンマモード(回転ロック)に切り替える。すると、第1偏心ピン118は、最前進位置となる。第1クラッチ88は、第1プレート112と共に前進位置となり、ロックリング91に係合する。よって、第1ギヤ84の回転は第1中間軸80に伝わらない状態となり、第1中間軸80と共にツールホルダ23の回転はロックされる。
一方、第2偏心ピン119は、最後退位置となり、第2クラッチ104は後退位置のままとなる。よって、第2中間軸81の回転は、第2クラッチ104を介してボススリーブ98に伝わる状態となる。
従って、トリガ14を押し込み操作してモータ9が駆動すると、ツールホルダ23の回転がロックされた状態で、ピストンシリンダ33が往復動し、インパクトボルト35を介してビットBがストライカ34に打撃される。
なお、第1クラッチ88が前進した際、前係合部90の爪90aの前面がロックリング91の爪92aの後面に当接して回転方向で係合しないことがある。しかし、この場合、コイルバネ93の付勢に抗してロックリング91が前進して第1クラッチ88の前進を許容する。
よって、第1ギヤ84との摩擦で第1中間軸80が回転して第1クラッチ88が回転すると、爪90aに爪92aが係合する位相でロックリング91が後退して第1クラッチ88と係合する。よって、第1中間軸80の回転はロックされる。
次に、切替ツマミ116をハンマモード(ニュートラル)に切り替える。すると、第1偏心ピン118は、最前進位置から中間位置に後退する。第1クラッチ88は、第1プレート112と共に後退し、ロックリング91から離間する。但し、第1クラッチ88は、第1ギヤ84に係合しない中間位置となる。よって、第1ギヤ84の回転は、第1中間軸80に伝わらない状態となり、第1中間軸80と共にツールホルダ23は回転フリーとなる。
一方、第2偏心ピン119は、最後退位置から中間位置に前進し、第2クラッチ104は、第2プレート114と共に後退位置となる。よって、第2中間軸81の回転は第2クラッチ104を介してボススリーブ98に伝わる。
従って、トリガ14を押し込み操作してモータ9が駆動すると、ツールホルダ23の回転がフリーとなる状態で、ピストンシリンダ33が往復動し、インパクトボルト35を介してビットBがストライカ34に打撃される。
こうして各動作モードでハンマドリル1が作動する際、出力軸10の回転によりファン18が回転する。すると、後方の吸気口16からモータハウジング4のモータ収容部7内に外気が吸い込まれ、前方へ移動してモータ9を冷却する。この冷却風は、連結部6内に流れて一部は後排気口20から外部に排出される。他の一部は、連結部6内を前方へ移動し、後筒部22と前後フランジ59,68との隙間Sを通って後筒部22内に流れ込む。そして、冷却風は、インナハウジング40の外側空間を通って前排気口58から排出される。このとき、冷却風が前ハウジング41に接触することで、駆動機構30で発生した熱による前ハウジング41の温度上昇は抑えられる。特に冷却風は放熱フィン57に沿って流れるため、前ハウジング41の熱は効果的に放熱される。
一方、収容領域Tにはグリスが充填される。特に、前筒部21内の前側グリス室55は、隔壁54によって無駄なスペースを省いた狭いスペースとなっているので、前側グリス室55内のグリスの充填率は高くなる。よって、回転/打撃作動部31から飛散したグリスがギヤ38等に再付着しやすくなる。
そして、駆動機構30で発生した熱により空気が膨張して収容領域T内の圧力が上昇することがある。すると、後側グリス室56内の空気は、第1中間軸80の貫通孔80aの両端からエア逃がし路77に入る。そして、空気は、貫通孔80a、軸心孔80b、保持凹部42aの底部、逃がし孔76を通ってインナハウジング40の外部へ排出される。よって、後側グリス室56内の圧力が逃がされることになる。
このときエア逃がし路77の入口となる貫通孔80aは、第1中間軸80の周面に位置しているため、第1中間軸80が回転する際の遠心力により、後側グリス室56内のグリスが貫通孔80aから進入しにくくなる。特に、貫通孔80aは、第1スプライン部87に形成されているため、回転するスプライン歯によりグリスがはね飛ばされ、貫通孔80aへのグリスの進入は好適に防止される。
また、保持凹部42aの開口には、周壁部42bが形成されているので、後ハウジング42の前面を伝って保持凹部42aにグリスが進入しにくくなる。特に、周壁部42bは第1ギヤ84と隣接しているので、回転する第1ギヤ84によりグリスがはね飛ばされ、第1ギヤ84と周壁部42bとの隙間へのグリスの進入も好適に防止される。仮にグリスが周壁部42bを乗り越えてもシール付きの軸受82によって保持凹部42aの底部への流入は阻止される。
(エア逃がし路に係る発明の効果)
上記形態のハンマドリル1(打撃工具)は、ハウジング2内に、モータ9と、前端にビットBを装着可能な筒状のツールホルダ23と、ビットBを打撃可能な駆動機構30とを有する。また、ハンマドリル1は、駆動機構30に設けられ、モータ9の出力軸10の回転により回転する第1中間軸80(回転軸)と、ハウジング2内で駆動機構30を密封状態で収容する収容領域Tとを有する。そして、ハンマドリル1は、第1中間軸80の内部に、収容領域T内の空気を収容領域Tの外部へ逃がすエア逃がし路77が形成されると共に、エア逃がし路77の入口となる貫通孔80aは、第1中間軸80の外周面に形成されている。
この構成によれば、第1中間軸80の遠心力により、後側グリス室56内のグリスがエア逃がし路77から進入しにくくなる。よって、駆動機構30の発熱により収容領域T内で上昇した圧力を効果的に逃がすことができる。
エア逃がし路77の入口は、第1中間軸80を直交状に貫通する貫通孔80aにより形成されている。よって、貫通孔80aの両端から空気が進入でき、一端がグリスで塞がっても他端での空気の進入が確保できる。
収容領域T内には、第1中間軸80を支持する軸受82が設けられ、エア逃がし路77の出口は、第1中間軸80の軸線方向で軸受82を挟んで収容領域Tの反対側に形成されている。よって、エア逃がし路77を第1中間軸80の軸線方向での短い距離で形成可能となる。
軸受82は、シール付き軸受である。よって、軸受82からエア逃がし路77へグリスが流れ込むおそれが低減される。
貫通孔80aは、第1中間軸80の軸線方向での中間部位に配置されている。よって、後側グリス室56内のグリスが貫通孔80aから一層進入しにくくなる。
第1中間軸80には、動作モードの切替用の第1クラッチ88(クラッチ)が摺動可能に結合される第1スプライン部87(スプライン部)が形成されており、貫通孔80aは、第1スプライン部87に配置されている。よって、回転するスプライン歯によりグリスがはね飛ばされ、貫通孔80aへのグリスの進入は好適に防止される。
収容領域Tは、ハウジング2内に設けられて軸受82を保持する保持凹部42aを備えたインナハウジング40によって形成され、保持凹部42aの周囲には、収容領域T側へ突出するリング状の周壁部42bが形成されている。よって、インナハウジング40の内面を伝って保持凹部42aにグリスが進入しにくくなる。
第1中間軸80には、軸線方向で周壁部42bに隣接する第1ギヤ84(ギヤ)が設けられている。よって、回転する第1ギヤ84によりグリスがはね飛ばされ、第1ギヤ84と周壁部42bとの隙間へのグリスの進入も好適に防止可能となる。
駆動機構30は、ツールホルダ23を回転させる回転/打撃作動部31(回転作動部)を有すると共に、ツールホルダ23への回転伝達用の第1中間軸80(回転軸)と、ビットBの打撃用の第2中間軸81(回転軸)とを有し、貫通孔80aが形成される回転軸は、回転伝達用の第1中間軸80となっている。よって、エア逃がし路77が容易に形成可能となる。
なお、エア逃がし路に係る発明においては、以下の変更が可能である。
エア逃がし路の入口の位置は、上記形態のような中間軸の中間部位に限らない。回転軸の外周面であれば、入口は、前端寄り或いは後端寄りに配置してもよい。入口は、スプライン部に設けなくてもよい。
入口は、貫通孔としなくてもよい。例えば、入口は、一端が回転軸の周面に開口し、他端が回転軸の内部にとどまる有底孔で形成してもよい。貫通孔及び有底孔は、回転軸の径方向に形成せず、回転軸の軸線方向へ傾斜するように形成してもよい。
エア逃がし路の通路断面積の大きさ及び形状は上記形態に限らない。上記形態であれば軸心孔を貫通孔と同径若しくは貫通孔より大径とすることもできる。エア逃がし路は横断面円形でなくてもよい。
エア逃がし路は、打撃用の中間軸に設けてもよい。中間軸が1本であれば当該中間軸にエア逃がし路を設けてもよい。エア逃がし路は、回転/打撃切替用の中間軸に限らず、他の回転軸に設けてもよい。
この発明は、ハンマドリルへの適用に限らない。電動ハンマ等の他の打撃工具であっても適用可能である。
打撃工具としては、中間軸(1本でもよい)と回転変換部材とでピストンシリンダを往復動させる構造に限らない。例えば、クランク機構を採用してコネクティングロッドでピストンシリンダを往復動させる打撃工具であってもよい。
(ツールホルダのロックリンクに係る発明の効果)
上記形態のハンマドリル1は、ハウジング2内に、モータ9と、前端にビットBを装着して回転可能な筒状のツールホルダ23と、ツールホルダ23の回転作動及び/又はビットBの打撃作動が可能な駆動機構30とを有する。また、ハンマドリル1は、駆動機構30の動作モードを、ビットBの打撃作動のみが行われるハンマモードと、ツールホルダ23の回転作動及びビットBの打撃作動が行われるハンマドリルモードとに少なくとも切替可能なモード切替機構109を有する。また、駆動機構30は、モータ9の出力軸10の回転をツールホルダ23に伝達するための第1中間軸80(回転伝達軸)を有し、第1中間軸80には、ツールホルダ23へ回転伝達するための第1クラッチ88(回転伝達部材)が設けられる。そして、第1中間軸80の軸線上には、第1クラッチ88が係合してツールホルダ23の回転を規制するためのロックリング91(ロック部材)が配置されていると共に、ロックリング91は、ハウジング2内で前ハウジング41により、第1中間軸80の軸線周りで下貫通孔47によって均等に保持されている。
この構成によれば、ロックリング91が第1中間軸80の軸線上に配置されているため、省スペースとなってハウジング2のコンパクト化に繋がる。また、回転規制時にツールホルダ23側から回転方向の力が加わっても、ロックリング91のねじれや傾きが抑えられる。よって、省スペース且つ低コストでツールホルダ23の回転規制が可能となる。
ロックリング91は、リング状である。よって、第1中間軸80の周囲へ省スペースで設置できる。また、ねじれや傾きがより生じにくくなる。
回転伝達部材は、第1中間軸80に設けられてツールホルダ23への回転伝達を切り替えるための第1クラッチ88(クラッチ)である。よって、第1クラッチ88を利用したツールホルダ23の回転規制が容易に行える。
第1クラッチ88は、モード切替機構109による切替操作に伴い、第1中間軸80の軸線上でスライドしてロックリング91に係脱する。よって、ロックリング91へ正対した状態で第1クラッチ88が係脱でき、回転規制の切替の際にロックリング91にねじれや傾きが生じにくくなる。
ロックリング91は、第1中間軸80の軸線方向へ移動可能に設けられると共に、コイルバネ93(弾性部材)により第1クラッチ88が係合可能な位置に付勢されている。よって、第1クラッチ88と係合できずに第1クラッチ88が衝突しても、ロックリング91は、軸線方向へ移動して衝撃を逃がすことができると共に、第1クラッチ88と係合可能になると元の位置へ復帰して確実に係合できる。特に、コイルバネ93は、ロックリング91と同じ軸線上に配置されているので、ロックリング91の移動がスムーズとなる。
ロックリング91は、前ハウジング41の下貫通孔47の溝47aに係合する回り止め片92(回り止め部)を有し、回り止め片92は、第1クラッチ88の被係合部と兼用されている。よって、ロックリング91の形状が複雑化しない合理的な構成となる。
前ハウジング41の下貫通孔47(ロックリング91の保持部)は、第1中間軸80の軸線周りでロックリング91の外面に摺接する内周面47b(円周面)を有している。よって、ロックリング91が均等に保持され、耐久性が高くなる。また、ロックリング91の軸線方向の移動もスムーズに案内される。
ロックリング91における第1クラッチ88の被係合部と、第1クラッチ88におけるロックリング91への前係合部90(係合部)とは、互いに異なる数の爪90a及び爪92aにより形成されている。よって、第1クラッチ88がロックリング91に係合しやすくなる。
駆動機構30は、ツールホルダ23と平行な2本の第1、第2中間軸80,81を有し、第1中間軸80が回転伝達軸であり、第2中間軸81がビットBの打撃作動用である。よって、ロックリング91を第1中間軸80の軸線上へ容易に配置できる。
なお、ツールホルダのロックリングに係る発明においては、以下の変更が可能である。
ロックリングの爪の数は増減可能である。爪の形状も変更できる。爪は、ロックリングの回り止め部と兼用しなくてもよい。
ロックリングに係脱する回転伝達部材は、クラッチに限らない。例えば、回転伝達部材を、回転軸に設けられてツールホルダに噛合するギヤとして、ギヤをスライドさせてロックリングに係脱させてもよい。
ロックリングは、軸線方向へスライド可能に設けなくてもよい。
ロック部材は、上記形態のリング状のものに限らない。例えば2枚の板が交差する十字状とする等、形状の変更は可能である。
ハンマドリルにおいて、選択できる動作モードは、4つに限らない。少なくともハンマモードとハンマドリルモードとが選択可能であれば、この発明は適用可能である。モード切替機構及び切替ツマミの構造も適宜変更できる。
以下、各発明に共通する変更例について説明する。
モータの向きは、前後方向に限らず、適宜変更できる。
モータは、ブラシ付きモータに限らず、ブラシレスモータも採用できる。
電源は、商用電源でなく、バッテリパックであってもよい。
打撃作動は、ピストンシリンダでなく、固定されたシリンダ内でピストンが往復動する構造であってもよい。インパクトボルトがなく、ストライカが直接ビットを打撃する構造であってもよい。
1・・ハンマドリル、2・・ハウジング、3・・アウタハウジング、4・・モータハウジング、5・・ハンドルハウジング、6・・連結部、7・・モータ収容部、8・・ネジ、9・・モータ、10・・出力軸、21・・前筒部、22・・後筒部、23・・ツールホルダ、30・・駆動機構、31・・回転/打撃作動部、32・・回転/打撃切替部、33・・ピストンシリンダ、34・・ストライカ、40・・インナハウジング、41・・前ハウジング、42・・後ハウジング、42a・・保持凹部、42b・・周壁部、43・・軸受保持部、44・・胴体部、45・・上貫通孔、46・・軸受メタル、47・・下貫通孔、47a・・溝、47b・・内周面、49・・Oリング、50・・インナ側リブ、52・・アウタ側リブ、54・・隔壁、55・前側グリス室、56・・後側グリス室、58・・前排気口、59・・前フランジ、60,69・・切欠き、68・・後フランジ、70・・ネジ止め部、71・・ネジボス、72・・雌ネジ部、73・・円形凹部、76・・逃がし孔、77・・エア逃がし路、80・・第1中間軸、80a・・貫通孔、80b・・軸心孔、81・・第2中間軸、84・・第1ギヤ、86・・第2ギヤ、88・・第1クラッチ、90・・前係合部、90a・・爪、91・・ロックリング、92・・回り止め片、92a・・爪、97・・第3ギヤ、98・・ボススリーブ、104・・第2クラッチ、109・・モード切替機構、116・・切替ツマミ、T・・駆動機構収容領域、B・・ビット。

Claims (9)

  1. ハウジング内に、
    モータと、
    前端にビットを装着可能な筒状のツールホルダと、
    前記ビットを打撃可能な駆動機構と、
    前記駆動機構に設けられ、前記モータの出力軸の回転により回転する回転軸と、
    前記ハウジング内で前記駆動機構を密封状態で収容する駆動機構収容領域と、を有する打撃工具であって、
    前記回転軸の内部に、前記駆動機構収容領域内の空気を前記駆動機構収容領域の外部へ逃がすエア逃がし路が形成されると共に、前記エア逃がし路の入口は、前記回転軸の外周面に形成されていることを特徴とする打撃工具。
  2. 前記入口は、前記回転軸を直交状に貫通する貫通孔により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の打撃工具。
  3. 前記駆動機構収容領域内には、前記回転軸を支持する軸受が設けられ、前記エア逃がし路の出口は、前記回転軸の軸線方向で前記軸受を挟んで前記駆動機構収容領域の反対側に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の打撃工具。
  4. 前記軸受は、シール付き軸受であることを特徴とする請求項3に記載の打撃工具。
  5. 前記入口は、前記回転軸の軸線方向での中間部位に配置されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の打撃工具。
  6. 前記回転軸には、動作モードの切替用のクラッチが摺動可能に結合されるスプライン部が形成されており、前記入口は、前記スプライン部に配置されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の打撃工具。
  7. 前記駆動機構収容領域は、前記ハウジング内に設けられて前記軸受を保持する保持凹部を備えたインナハウジングによって形成され、前記保持凹部の周囲には、前記駆動機構収容領域側へ突出するリング状の周壁部が形成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の打撃工具。
  8. 前記回転軸には、前記軸線方向で前記周壁部に隣接するギヤが設けられていることを特徴とする請求項7に記載の打撃工具。
  9. 前記駆動機構は、前記ツールホルダを回転させる回転作動部を有すると共に、前記ツールホルダへの回転伝達用の回転軸と、前記ビットの打撃用の回転軸とを有し、前記入口が形成される前記回転軸は、前記回転伝達用の回転軸であることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の打撃工具。
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