JP2022123849A - 加飾成形品、加飾積層体、表示装置、加飾成形品の製造方法 - Google Patents

加飾成形品、加飾積層体、表示装置、加飾成形品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】観察者に視認される意匠層の意匠と透過する画像光との質の悪化が抑制された加飾成形品を提供する。【解決手段】加飾成形品10であって、透明な基材層21と、基材層21に積層された意匠層22と、意匠層22に積層された透明な本体部材層30とを有し、意匠層22に開口部24が設けられ、開口部24は、本体部材層30により埋められており、意匠層22の最外層のガラス転移温度が70℃以上、150℃以下であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、加飾成形品、加飾成形品の製造に用いられる加飾積層体、加飾成形品を有する表示装置、及び、加飾成形品の製造方法に関する。
画像光を表示する表示装置に意匠性を付与するために、表示装置の表示面に対面して加飾シートを設け、その加飾シート上に画像光を表示することが考えられている。加飾シートは、表示装置に対して、周辺環境と調和する意匠性を付与できる。このような表示装置に設けられる加飾シートは、表示装置の画像光が加飾シートを透過できるように、分散配置された光透過部を有している。特許文献1は、このような表示装置に用いられる加飾シート及び加飾シート付き成形品を開示する。
特開2020-75371号公報
加飾シートは、通常、透明な基材層に意匠層を積層することにより作製される。そして、加飾シートの光透過部は、意匠層の非形成部として構成される。そのため、加飾シートの意匠層に凹凸が生じることになる。本発明の発明者らは、研究の結果、この意匠層の凹凸により生じる光の散乱が、観察者に視認される加飾シートの意匠と加飾シートを透過する画像光との両方の質を悪化させていることを見いだした。
本発明は、上記の点に鑑み、観察者に視認される意匠層の意匠と透過する画像光との質の悪化が抑制された加飾成形品及び表示装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の加飾成形品は、透明な基材層と、前記基材層に積層された意匠層と、前記意匠層に積層された透明な本体部材層と、を有し、前記意匠層に開口部が設けられ、前記開口部は、前記本体部材層により埋められており、前記意匠層の最外層のガラス転移温度が70℃以上、150℃以下である。前記意匠層は、絵柄層と遮蔽層とを有してもよい。
前記意匠層は、さらに、前記意匠層の最外層となる透明保護層を有していてもよい。前記透明保護層と前記本体部材層との屈折率差が0.2以下であってもよい。前記基材層のガラス転移温度が70℃以上、165℃以下であり、前記基材層と前記本体部材層との屈折率差が0.2以下であってもよい。
前記意匠層は、2つ以上の層を有し、前記最外層以外の層である内側層のガラス転移温度が40℃以上であってもよい。
本発明の加飾積層体は、前記加飾成形品の製造に用いられる加飾積層体であって、透明な基材層と、前記基材層に積層された意匠層と、を有し、前記意匠層に開口部が設けられ、前記意匠層の最外層のガラス転移温度が70℃以上、150℃以下である。
本発明の表示装置は、画像光を出射する画像光出射部と、前記画像光出射部と対向して配置された前記加飾成形品と、を有する。
本発明の加飾成形品の製造方法は、透明な基材層と、前記基材層に積層された意匠層と、前記意匠層に積層された透明な本体部材層と、を有し、前記意匠層に開口部が設けられた加飾成形品の製造方法であって、前記基材層と前記意匠層と前記光透過部とを有する加飾積層体を作製する第1工程と、前記加飾積層体に前記本体部材層を構成する射出樹脂を射出成形する第2工程と、を有し、前記第2工程において、前記光透過部が前記射出樹脂により埋められる。
本発明の加飾成形品及び表示装置は、観察者に視認される意匠層の意匠と透過する画像光との質の悪化が抑制されたものとなる。
本実施形態の加飾成形品を示す縦断面図であり、図2のA-A断面を示している。 本実施形態の加飾成形品を示す正面図である。 本実施形態の表示装置を示す斜視図であり、表示装置がOFFの状態を示している。 本実施形態の表示装置を示す斜視図であり、表示装置がONの状態を示している。 加飾成形品の作製プロセスを示す縦断面図である。 加飾成形品の作製プロセスを示す縦断面図である。 加飾成形品の作製プロセスを示す縦断面図である。 加飾成形品の作製プロセスを示す縦断面図である。 加飾成形品の作製プロセスを示す縦断面図である。 加飾成形品の作製プロセスを示す縦断面図である。 加飾成形品の作製プロセスを示す縦断面図である。 加飾成形品の作製プロセスを示す縦断面図である。 加飾成形品の作製プロセスを示す縦断面図である。 加飾成形品の作製プロセスを示す縦断面図である。 射出成形時における射出樹脂の流れを模式的に示す縦断面図であり、図4Iの領域Raを示している。 変形例1の加飾成形品を示す縦断面図である。 変形例2の加飾成形品を示す縦断面図である。 変形例3の加飾成形品を示す縦断面図である。 変形例4の加飾成形品を示す縦断面図である。 変形例5の加飾成形品を示す縦断面図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態(以下、「本実施形態」という。)について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
本実施形態の加飾成形品10及び表示装置1について説明する。
図1は、本実施形態の加飾成形品10を示す縦断面図である。図2は、本実施形態の加飾成形品10を示す正面図である。図1は、図2のA-A断面を示している。図3Aは、本実施形態の表示装置1を示す斜視図であり、表示装置1がOFFの状態を示している。図3Bは、本実施形態の表示装置1を示す斜視図であり、表示装置1がONの状態を示している。
図3A及び図3Bに示すように、表示装置1は、画像光Lを出射する画像光出射部80と、少なくともその一部が画像光出射部80と対向して配置された加飾成形品10と、を有している。
画像光出射部80は、画像光Lを出射する任意の映像表示装置である。例えば、画像光出射部80は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等により構成される。あるいは、画像光出射部80は、特定のアイコンを示す画像光Lを表示するものでもよい。この場合、画像光出射部80は、光を発する光源及び印刷が施された透明なフィルムや遮光物を有するものとなる。
加飾成形品10は、例えば、自動車や鉄道等の車両、航空機、船舶及び宇宙船等の移動体の内装部材または外装部材を構成する。具体的な一例として、加飾成形品10は、自動車のセンターコンソール、ドアトリム、インパネなどを構成する。あるいは、加飾成形品10は、建物の内装部材または外装部材を構成するものや、電子機器、家具や電化製品に組み込まれた部材を構成するものであってもよい。具体的な一例として、加飾成形品10は、テレビやモニタのタッチセンサ部、各種メンブレンスイッチなどを構成する。
表示装置1は、画像光出射部80から発した画像光Lが、加飾成形品10を通過して、加飾成形品10の表面上の画像表示部10aに表示されるように構成されている。この画像表示部10aは、加飾成形品10の表面における画像光出射部80と対向する領域である。なお、画像表示部10aは、後述するとおり、加飾成形品10の光透過部24を通して画像光出射部80からの画像光を表示する。なお、本明細書においては、画像光出射部80からの画像光Lの出射がない状態を、表示装置1がOFFの状態ということにする。また、画像光出射部80からの画像光Lの出射がある状態を、表示装置1がONの状態ということにする。
表示装置1がOFFの状態においては、加飾成形品10の意匠のみが観察され、画像光出射部80の存在を感じさせないようになっている。表示装置1がONの状態においては、加飾成形品10の意匠の中に、つまり、加飾成形品10の画像表示部10aに、画像光出射部80から発した画像光Lが表示されるようになっている。
このように、本実施形態の加飾成形品10を有する表示装置1は、表示装置1がOFFの状態では、通常の自動車のセンターコンソール等と同じ意匠性を有し、表示装置1がONの状態では、当該センターコンソール等に画像光Lによる情報を表示する。
次に、加飾成形品10の構成について詳しく説明する。
図1に示すとおり、加飾成形品10は、背面側から、基材層21と意匠層22と本体部材層30とが順次積層された構造を有する。意匠層22は、背面側から、遮蔽層222と絵柄層221とが順次積層された構造を有する。
なお、本明細書においては、加飾成形品10における画像光出射部80と対向する側を背面側とし、その反対の側である、観察者から視認される側を正面側とする。
さらに、加飾成形品10は、意匠層22の開口部である光透過部24を有している。意匠層22の開口部は、意匠層22の非形成部として形成されている。光透過部24は、図2に示すように、正面側からの観察において、意匠層22の中に分散して配置されている。なお、光透過部24は、少なくとも加飾成形品10の画像表示部10aに対応する領域に形成されていればよい。
光透過部24は、本体部材層30により埋められている。そのため、本体部材層30は、意匠層22と基材層21との両方に接している。この点が、本実施形態の加飾成形品10の特徴の1つとなっている。
基材層21は、透明なフィルムにより構成される層であり、加飾成形品10の製造時において、基材層21上に積層される意匠層22を適切に支持する。基材層21は、可視光を透過し、加飾成形品10の製造時に意匠層22を適切に支持し得る材料により構成される。
また、本実施形態の加飾成形品10は、後述のとおり、射出成形により成形される。そして、基材層21は、加飾成形品10を射出成形によって成形するとき、光透過部24に対応する領域において、本体部材層30を構成する射出樹脂30aに接することになる。そのため、基材層21は、適切に射出成形がなされる程度の耐熱性及び射出樹脂との密着性を有する材料により構成される。
基材層21の材料として、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、環状ポリオレフィン、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。これらの材料は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、基材層21は、1種類の層からなるものでもよく、2種類以上の層が積層されたものであってもよい。また、基材層21は、可視光透過性や、意匠層22の適切な支持性等を考慮すると、10μm以上、500μm以下の厚みを有していることが好ましい。
なお、本明細書において、「透明」とは、部材を介して当該部材の一方の側から他方の側を透視し得る程度の透明性を有していることを意味しており、例えば、30%以上、より好ましくは70%以上の可視光透過率を有していることを意味する。可視光透過率は、分光光度計(日本分光(株)「V-670」、JIS K 0115準拠品)を用いて測定波長380nm~780nmの範囲内で測定したときの、各波長における透過率の平均値として特定される。
絵柄層221は、木目調、大理石調、幾何学模様、カーボン調、ストライプ、水玉、単色などの任意の絵柄を形成する。絵柄層221は、絵柄を形成し得る材料により構成される。また、絵柄層221は、加飾成形品10を射出成形によって成形するとき、本体部材層30を構成する射出樹脂に接することになる。そのため、絵柄層221は、適切に射出成形がなされる程度の耐熱性及び射出樹脂との密着性を有する材料により構成される。
絵柄層221の材料として、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル-アクリル共重合体、塩素化ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等が挙げられる。これらの材料は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。絵柄層221の厚さは、例えば、0.5μm以上、50μm以下である。
遮蔽層222は、絵柄層221の背面側に配置されており、画像光出射部80が配置される側から絵柄層221を覆っている。遮蔽層222は、画像光出射部80からの画像光Lが絵柄層221に入射しないよう、光を吸収する機能を有する。遮蔽層222は、例えば、光吸収粒子をバインダー樹脂中に含み得る。光吸収粒子としては、カーボンブラックやチタンブラック等の黒色顔料を例示することができる。
遮蔽層222の材料として、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル-アクリル共重合体、塩素化ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等が挙げられる。これらの材料は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。遮蔽層222の厚さは、例えば、1μm以上、20μm以下である。
加飾成形品10は、遮蔽層222を有さないものであってもよい。しかし、遮蔽層222が存在することにより、画像光が絵柄層221へ入射することが妨げられ、絵柄層221によって表される意匠と絵柄層221を透過した画像光Lとが混合して観察されることを防止することができる。すなわち、絵柄層221で特定波長域の可視光が吸収されることに起因して画像の色再現性が劣化することを効果的に防止することができる。そのため、加飾成形品10は、遮蔽層222を有していることが好ましい。
本体部材層30は、光を透過する透明な材料により構成される層であり、加飾成形品10の基体となる。また、本体部材層30は、意匠層22の開口部である光透過部24を埋めている。そのため、本体部材層30は、光透過部24に対応する領域において、基材層21と接している。本体部材層30は、後述のとおり、加飾成形品10を射出成形により成形するときの射出樹脂30aによって構成される。そのため、本体部材層30は、射出成形における射出形成に適した材料により構成される。
本体部材層30の材料としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂等が挙げられる。本体部材層の材料は、加飾成形品10に求められる強度、透明性、及び、射出成形により成形する点などの観点から、ポリカーボネート樹脂又はアクリル樹脂が好ましく、ポリカーボネート樹脂がさらに好ましい。本体部材層30の厚さは、加飾成形品10の強度や本体部材層30の透明性などの観点から、1mm以上、5mm以下であることが好ましい。
光透過部24は、意匠層22の開口部であり、画像光出射部80からの画像光Lを透過させる。
図2に示すように。本実施形態の加飾成形品10は、正面から観察して、円形状の光透過部24が格子状に配置されたものである。一例として、直径80μmの円形状の光透過部24を正方格子状に80μm間隔で配置することが考えられ、このときの加飾成形品10の画像表示部10aにおける光透過部24の割合(以下、「開口率」という。)は約20%である。なお、加飾成形品の開口率は、(開口率)=(光透過部24の面積の合計)/((意匠層22の面積の合計)+(光透過部24の面積の合計))の式を用いて算出できる。
表示装置1がONの状態では、画像光Lは、加飾成形品10の光透過部24を透過し、外部の観察者に観察される。加飾成形品10の画像表示部10aにおける開口率は、観察者が画像光Lを表示装置としての実用に耐える程度に観察できるようにするために、3%以上とするのが好ましく、観察者が十分な明るさの画像光Lを観察するために、5%以上とするのが好ましく、観察者がさらに十分な明るさの画像光Lを観察するために、10%以上とするのがさらに好ましい。
表示装置1がOFFの状態では、加飾成形品10の絵柄層221の絵柄が観察される。加飾成形品10の画像表示部10aにおける開口率は、加飾成形品10の意匠を観察者が実用に耐える程度に観察できるようにするために50%以下とするのが好ましく、観察者がさらに明確に加飾成形品10の意匠を観察できるようにするために、40%以下とするのがさらに好ましい。
前述のとおり、本実施形態の光透過部24は、本体部材層30により埋められている。この構成により、加飾成形品10の光透過部24に対応する領域において、本体部材層30と基材層21とが接することになる。本発明の発明者らの研究の結果、基材層21と本体部材層30との屈折率差が0.2以下であると、加飾成形品10を間近に観察したときに光透過部24が目立ちにくくなることが見いだされている。さらに、本体部材層30により光透過部24を埋めることによって、意匠層22の開口部として構成される光透過部24と意匠層22との凹凸によって生じる光の散乱が抑えられ、観察者に視認される加飾成形品10の意匠と加飾成形品10を透過する画像光Lとの両方の質の悪化が抑制されることが見出されている。
なお、本実施形態の加飾成形品10は、正面から観察して、円形状の光透過部24が格子状に配置されたものであるが、本発明の加飾成形品10は、光透過部24が意匠層22の開口部として形成されていればよく、この構成に限定されない。本発明の加飾成形品10の光透過部24は、楕円形状、矩形状、多角形状などの任意の形状であってもよい。 本発明の加飾成形品10は、光透過部24がランダムに配置されたものでもよい。本発明の加飾成形品10は、ライン状の光透過部24が一方向に並んで配置されたものでもよい。本発明の加飾成形品10は、正面から観察して、連続する光透過部24の中に意匠層22が分散配置されたものであってもよい。但し、画像光Lの散乱の抑制及び画像光Lの明るさのムラの発生の抑制の観点から、本発明の加飾成形品10は、正面から観察して、円形状の光透過部24が格子状に配置されたものが好ましい。
次に、本実施形態の加飾成形品10の製造方法について説明する。
図4Aから図4Jは、加飾成形品10の作製プロセスを示す縦断面図である。
加飾成形品10の製造では、最初に、図4A及び図4Bに示すように、光透過部24が形成された加飾積層体20を作製する(第1工程)。
この光透過部24が形成された加飾積層体20の作製では、まず、図4Aに示すように、基材層21上に意匠層22を積層して加飾積層体20を作製する。図示された例では、基材層21上に遮蔽層222と絵柄層221とを順次積層している。次に、図4Bに示すように、加飾積層体20に絵柄層221及び遮蔽層222からなる意匠層22の開口部である光透過部24を形成する。
光透過部24は、例えば、レーザー技術を用いて形成される。レーザー技術を用いる形成方法では、まず、基材層21上の全面に意匠層22が設けられる。次に、意匠層22上の光透過部24が形成されるべき位置にレーザーを照射する。レーザーが照射された位置の意匠層22が除去される。除去された意匠層22の位置が、光透過部24となる。
あるいは、加飾積層体20の光透過部24は、フォトリソグラフィー技術を用いて形成されてもよい。フォトリソグラフィー技術を用いる形成方法では、まず、基材層21上の全面に意匠層22が設けられる。次に、意匠層22が設けられた側にフォトレジストが塗布される。その後、光透過部24が形成されるべき位置に穴が設けられたフォトマスクがフォトレジスト上に設けられる。すなわち、光透過部24が形成されるべき位置において、現像工程でフォトレジストが溶解する。次に、エッチング液に浸漬して、フォトレジストが除去された位置の意匠層22を除去する。除去された意匠層22の位置が、光透過部24となる。
次に、図4Cから図4Fに示すように、光透過部24が形成された加飾積層体20を、目的とする加飾成形品10の形状に合わせた形状に成形する。図示された例では、真空成形により、加飾積層体20を成形している。
この加飾積層体20の真空成形では、まず、図4Cに示すように、加飾積層体20をヒータ95により加熱して軟化させて、金型91の近傍に配置する。次に、図4Dに示すように、その加飾積層体20を金型91に設けられた多数の微小の孔(図示省略)から真空吸引することにより、加飾積層体20を金型91の形状に合わせた形状に成形する。次に、図4Eに示すように、その加飾積層体20を金型91から取り出す。そして、図4Fに示すように、金型91から取り出された加飾積層体20から不要な部分を除去する。
次に、図4Gから図4Jに示すように、成形された加飾積層体20に本体部材層30を構成する材料である射出樹脂30aを射出成形することによって、加飾成形品10を作製する(第2工程)。図示された例では、インサート成形により、加飾成形品10を作製している。
この加飾成形品10のインサート成形では、まず、図4G及び図4Hに示すように、成形された加飾積層体20を金型92、93にセッティングする。このとき、加飾積層体20は、基材層21が金型92に接し、絵柄層221が空洞部93bに接するようにセッティングされる。次に、図4Iに示すように、加熱され溶融した本体部材層30を構成する材料である射出樹脂30aを、金型92、93の樹脂注入部93aから、空洞部93bに注入して、冷却して固化させる。このとき、光透過部24は、射出樹脂30aによって埋められることになる。最後に、図4Jに示すように、加飾成形品10を金型92、93から取り出す。
以上のプロセスにより、本実施形態の加飾成形品10を製造できる。なお、図示された例では、加飾積層体20が真空成形によって成形されているが、加飾積層体20は、圧空成形などの他の方法によって成形されてもよい。また、図示された例では、加飾成形品10がインサート成形によって成形されているが、加飾成形品10は、加飾積層体20の成形と本体部材層30を構成する射出樹脂30aの射出成形とを一度に行うインモールド成形などの他の方法によって成形されてもよい。
図5は、射出成形時における射出樹脂の流れを模式的に示す縦断面図であり、図4Iの領域Raを示している。
加飾成形品10の本体部材層30を構成する射出樹脂30aとして、好ましくは、ポリカーボネート樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)又はこれらの共重合体が用いられ、さらに好ましくは、ポリカーボネート樹脂又はポリメタクリル酸メチルが用いられる。これらの射出樹脂30aは、射出成形時に光透過部24を適切に埋めることができる程度の流動性を有する必要がある。例えば、射出樹脂30aとして、温度300℃、荷重1.2kgfの条件で測定したメルトボリュームフローレイト(MVR:Melt Volume-Flow Rate)が19cm/10minのポリカーボネート樹脂や、温度230℃、荷重3.8kgfの条件で測定したメルトマスフローレート(MFR:Melt Mass-Flow Rate)が2.0g/10minのポリメタクリル酸メチルを用いることができる。MVR及びMFRは、JIS K 7210に準拠して測定される。
光透過部24を適切に埋めるという観点から、射出樹脂30aは、温度300℃、荷重1.2kgfの条件で測定したMVRが10cm/10min以上、好ましくは14cm/10min以上、さらに好ましくは18cm/10min以上であり、40cm/10min以下、好ましくは30cm/min以下のポリカーボネート樹脂、又は、温度230℃、荷重3.8kgfの条件で測定したMFRが0.5g/10min以上、好ましくは1.0g/10min以上、さらに好ましくは1.5g/10min以上であり、25g/10min以下のポリメタクリル酸メチルであることが好ましい。
射出成形時においては、高温の射出樹脂30aが意匠層22の最外層である絵柄層221に接して流れる。そのため、意匠層22の最外層である絵柄層221には、射出樹脂30aの高温に耐えうる程度の耐熱性が求められる。さらに、意匠層22の最外層である絵柄層221には、射出樹脂30aと適切に密着する程度の密着性が求められる。また、光透過部24に対応する領域においては、基材層21にも射出樹脂30aが接することになる。そのため、基材層21にも、射出樹脂30aの高温に耐えうる程度の耐熱性及び射出樹脂30aと適切に密着する程度の密着性が求められる。
なお、本明細書においては、意匠層22の最外層は、基材層21から最も離れた位置にある層のことをいう。
また、図5に示すとおり、光透過部24の縁の領域Rbにおいては、射出樹脂30aが意匠層22の最外層である絵柄層221の角部に衝突する。そのため、絵柄層221の光透過部24に近接する領域においては、射出樹脂30aの熱圧により、意匠層22を形成するインクが溶融して流動し、パターンが歪んだりする、いわゆるインク流れが発生しやすい。このことから、意匠層22の最外層については、インク流れを考慮した耐熱性が求められる。
本発明の発明者らの研究の結果、意匠層22の最外層のガラス転移温度が70℃以上、150℃以下であれば、インク流れの発生を抑えられ、射出樹脂30aとの密着性も確保できることが見いだされている。また、意匠層22の最外層のガラス転移温度が80℃以上、120℃以下であれば、インク流れの発生の抑制と射出樹脂30aとの密着性とのバランスがより優れたものとなることが見いだされている。
表1は、各種材料系の射出樹脂との密着性及び耐熱性の評価結果の一例を示す表である。「Mw」は、重量平均分子量を表している。
Figure 2022123849000002
射出樹脂との密着性の評価及び耐熱性の評価は、各種材料系を用いて作製された加飾成形品に対して行われている。加飾成形品は、アクリル樹脂からなる基材層に各種材料系の樹脂が積層された加飾積層体に射出樹脂を射出するインサート成形により作製されている。ここで用いられた加飾積層体は、直径80μmの円形状の光透過部が、中心間距離120μmで、正方格子状に配置されたものである。インサート成形に用いた射出樹脂は、ポリカーボネート(射出時の樹脂温度:約300℃)又はポリメタクリル酸メチル(射出時の樹脂温度:約260℃)である。それぞれの材料系について、ポリカーボネートの加飾成形品と、ポリメタクリル酸メチルの加飾成形品と、を作製している。これらの加飾成形品は、基材層の厚さを125μmとし、各種材料系の樹脂の厚さを10μmとし、射出樹脂の層の厚さを2mmとして、作製されている。
ガラス転移温度は、JIS K7121:2012に準拠し、示差走査熱量測定(DSC)により得られるDSC曲線から補外ガラス転移開始温度(Tig)を読み取ることで得ている。
射出樹脂との密着性の評価は、作製した加飾成形品について、基材層側からセロハンテープ剥離を行うことによって行っている。ポリカーボネート及びポリメタクリル酸メチルともに剥離がない場合を「◎」評価とし、ポリカーボネートで剥離がなく、ポリメタクリル酸メチルで剥離が発生した場合を「○」評価とし、ポリカーボネート及びポリメタクリル酸メチルともに剥離が発生した場合を「×」評価としている。
耐熱性の評価は、インク流れの発生の有無を目視により確認することによって行っている。ポリカーボネート及びポリメタクリル酸メチルともにインク流れがない場合を「◎」評価とし、ポリカーボネートで射出樹脂のゲート部直下にインク流れが発生し、ポリメタクリル酸メチルでインク流れがない場合を「○」評価とし、ポリカーボネート及びポリメタクリル酸メチルともに射出樹脂のゲート部直下にインク流れが発生した場合を「△」評価とし、ポリカーボネートで大きくインク流れが発生し、ポリメタクリル酸メチルで射出樹脂のゲート部直下にインク流れが発生した場合を「×」評価としている。
このような観点から、意匠層22の最外層である絵柄層221のガラス転移温度が70℃以上、150℃以下であることが好ましく、80℃以上、120℃以下であることがさらに好ましい。つまり、意匠層22の最外層である絵柄層221のガラス転移温度は、射出樹脂との密着性の観点からは、150℃以下であることが好ましく、120℃以下であることがさらに好ましく、耐熱性の観点からは、70℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがさらに好ましい。また、絵柄層221の材料としては、ポリメタクリル酸メチル、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル-アクリル共重合体、塩素化ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等が挙げられる。これらの材料は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。絵柄層221のガラス転移温度は、複数の樹脂を混合して、その混合比を変えたり、樹脂の分子量を変えたりすることで調整できる。
本発明の発明者らの研究の結果、意匠層22の最外層となる絵柄層221の材料として、アクリル樹脂を単独又は他の樹脂と組み合わせて用いる場合は、アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)が射出樹脂との密着性及び耐熱性に影響することが見出されている。表1からも理解されるとおり、重量平均分子量(Mw)が小さいほど射出樹脂との密着性が高くなり、重量平均分子量(Mw)が大きいほど耐熱性が高くなる傾向にある。このような観点から、意匠層22の最外層となる絵柄層221の材料として用いるアクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1.5万以上、9万以下であることが好ましく、3万以上、5万以下であることがより好ましい。
また、図5に示すように、意匠層22が最外層の絵柄層221とその内側の層の遮蔽層222との2つの層からなる場合、遮蔽層222のガラス転移温度が高いものであるほど、射出成型による加飾成形品10の開口率の低下が抑えられることが見出されている。射出成形時においては、絵柄層221全体に射出樹脂の流れに沿って横方向の力が加わった状態となっている。このとき、遮蔽層222のガラス転移温度が低いものであると、遮蔽層222が変形して、絵柄層222全体が横方向に流れてしまうことになる。その結果、光透過部24の面積が小さくなり、加飾成形品10の開口率が低下することになる。
一例として、次の材料系からなる加飾積層体20のサンプル1~3について射出成型による開口率の変化を評価した結果を示す。括弧内に記載の温度及び長さは、それぞれ、ガラス転移温度及び層の厚さである。
(サンプル1)
遮蔽層222:酢酸ビニル(30℃、5μm)
絵柄層221:ポリエステル系樹脂A(60℃、5μm)
(サンプル2)
遮蔽層222:酢酸ビニル(30℃、5μm)
絵柄層221:ポリエステル系樹脂A(60℃、5μm)
透明保護層223:ポリエステル系樹脂B(96℃、5μm)
(サンプル3)
遮蔽層222:ポリエステル系樹脂A(60℃、5μm)
絵柄層221:ポリエステル系樹脂A(60℃、5μm)
透明保護層223:ポリエステル系樹脂B(96℃、5μm)
サンプル1は、基材層21上に遮蔽層222及び絵柄層221を順次積層し、レーザー照射により光透過部24を形成することにより作製した。サンプル1の意匠層22の最外層は、絵柄層221である。
サンプル2及び3は、基材層21上に遮蔽層222、絵柄層221及び透明保護層223を順次積層し、レーザー照射により光透過部24を形成することにより作製した。サンプル2及び3は、後述の変形例2の加飾成形品10に対応するものであり、意匠層22の最外層が、絵柄層221ではなく、透明保護層223となっている。
サンプル1~3の基材層21は、ポリカーボネートからなる層にポリメタクリル酸メチルからなる層を積層したものである。本体部材層30に接する層は、ポリメタクリル酸メチルからなる層である。サンプル1~3に形成した光透過部24は、直径120μmの円形状であって、菱形格子状に配置されたものとした。また、サンプル1の開口率は、25%に設定し、サンプル2及び3の開口率は35%に設定した。
このサンプル1~3に射出樹脂であるポリカーボネート(射出時の樹脂温度:約300℃)を射出成型することによって加飾成形品10を作製した。射出樹脂の層の厚さは、3mmとした。
このように作製された加飾成形品10について、射出成型による開口率の変化を、射出成型前後の全光線透過率を測定することによって評価した。この全光線透過率は、JIS K 7136: 2000に準拠してヘーズメーターHM‐150N((株)村上色彩技術研究所)を用いて測定した。
サンプル1については、射出成型前の全光線透過率が約25%であったのに対し、射出成型後の全光線透過率は、射出成型前から大幅に低下し、ほぼ0%となった。これは、最外層の絵柄層221のガラス転移温度が低いことから、インク流れによって光透過部24が変形するとともに、内側の遮蔽層222のガラス転移温度が低いことから、遮蔽層222が変形して、絵柄層222が横方向への流れてしまったことによると考えられる。
サンプル2については、射出成型前の全光線透過率が約35%であったのに対し、射出成型後の全光線透過率は、射出成型前から低下し、約20%となった。この全光線透過率の低下は、主に、内側の遮蔽層222のガラス転移温度が低いことから、遮蔽層222が変形して、絵柄層222及び表面保護層223が横方向への流れてしまったことによると考えられる。
サンプル3については、射出成型前の全光線透過率が約35%であったのに対し、射出成型後の全光線透過率は、射出成型前と変わらずに、約35%のままであった。このように、サンプル3については、全光線透過率の低下はなかった。これは、内側の遮蔽層222のガラス転移温度が高いことから、遮蔽層222が変形することがなく、表面保護層223及び絵柄層221の横方向への流れが生じなかったことによると考えられる。
これらより、意匠層22の内側の層である遮蔽層222のガラス転移温度が高いものであるほど、射出成型による加飾成形品10の開口率の低下が抑えられることが確認できる。ただし、意匠層22の内側層は、意匠層22の最外層と異なり、その表面が射出樹脂と直接接する訳ではないので、最外層ほどの耐熱性は求められない。
このような観点から、意匠層22が2つ以上の層を有する場合、最外層以外の層である内側層のガラス転移温度は、40℃以上であることが好ましく、55℃以上であることがさらに好ましい。なお、意匠層22の内側層については、最外層と異なり、射出樹脂との密着性は求められない。そのため、意匠層22の内側層のガラス転移温度は150℃より高いものであってもよい。
また、射出成形時において、光透過部24に対応する領域においては、基材層21にも射出樹脂30aが接することになる。このことから、基材層21も、射出樹脂との密着性と耐熱性とを有するものであることが好ましい。ただし、射出樹脂との密着性については、意匠層22の最外層ほどは求められない。そのため、基材層21のガラス転移温度は、70℃以上、165℃以下であることが好ましく、80℃以上、120℃以下であることがさらに好ましい。つまり、基材層21のガラス転移温度は、射出樹脂との密着性の観点からは、165℃以下であることが好ましく、120℃以下であることがさらに好ましく、耐熱性の観点からは、70℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがさらに好ましい。なお、基材層21が2種類以上の層が積層されたものである場合、上述の基材層21のガラス転移温度は、本体部材層30と接する層のガラス転移温度をいうものとする。
さらに、本発明の発明者らの研究の結果、光透過部24が小さすぎたり、浅すぎたり、深すぎたりすると、光透過部24に射出樹脂30aを適切に埋めることができないことが見出されている。そのため、光透過部4の大きさは、正面からの観察における光透過部24の内接円の直径が、20μm以上となるように設定されることが好ましく、30μm以上となるように設定されることがさらに好ましい。また、光透過部24の深さは、光透過部24の深さを光透過部24の内接円の直径で割った値(光透過部24のアスペクト比)が、0.05以上、1以下となるように設定されることが好ましい。さらに、光透過部24に角部がある場合、その角部に射出樹脂30aが行き渡りにくくなる。そのため、光透過部24は、正面から観察して、円形であることが好ましい。
図6は、変形例1の加飾成形品を示す縦断面図である。
変形例1の加飾成形品10は、正面側から、基材層21と意匠層22と本体部材層30とが順次積層された構造を有する。意匠層22は、正面側から、絵柄層221と遮蔽層222とが順次積層された構造を有する。また、変形例1の加飾成形品10は、意匠層22の開口部である光透過部24を有している。
変形例1の加飾成形品10は、意匠層22の遮蔽層222が絵柄層221の背面側に位置している点を除いて、本実施形態の加飾成形品10の正面側と背面側とを反転した構造を有する。
変形例1の加飾成形品10においては、意匠層22の最外層が遮蔽層222となることから、射出成形時に、遮蔽層222が射出樹脂30aと接することになる。そのため、遮蔽層222のガラス転移温度が70℃以上、150℃以下であることが好ましく、80℃以上、120℃以下であることがさらに好ましい。つまり、遮蔽層222のガラス転移温度は、射出樹脂との密着性の観点からは、150℃以下であることが好ましく、120℃以下であることがさらに好ましく、耐熱性の観点からは、70℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがさらに好ましい。また、遮蔽層222の材料としては、ポリメタクリル酸メチル、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル-アクリル共重合体、塩素化ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等が挙げられる。これらの材料は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。遮蔽層222のガラス転移温度は、複数の樹脂を混合して、その混合比を変えたり、樹脂の分子量を変えたりすることで調整できる。
本発明の発明者らの研究の結果、意匠層22の最外層となる遮蔽層222の材料として、アクリル樹脂を単独又は他の樹脂と組み合わせて用いる場合は、アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)が射出樹脂との密着性及び耐熱性に影響することが見出されている。表1からも理解されるとおり、重量平均分子量(Mw)が小さいほど射出樹脂との密着性が高くなり、重量平均分子量(Mw)が大きいほど耐熱性が高くなる傾向にある。このような観点から、意匠層22の最外層となる遮蔽層222の材料として用いるアクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1.5万以上、9万以下であることが好ましく、3万以上、5万以下であることがより好ましい。
図7は、変形例2の加飾成形品を示す縦断面図である。
変形例2の加飾成形品10は、背面側から、基材層21と意匠層22と本体部材層30とが順次積層された構造を有する。意匠層22は、背面側から、遮蔽層222と絵柄層221と透明保護層223とが順次積層された構造を有する。また、変形例2の加飾成形品10は、意匠層22の開口部である光透過部24を有している。
変形例2の加飾成形品10は、本実施形態の加飾成形品10の意匠層22の最外層として透明保護層223を付加したものである。透明保護層223は、射出成形時において絵柄層221を保護する層である。透明保護層223の材料として、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル-アクリル共重合体、塩素化ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等が挙げられる。これらの材料は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。透明保護層223の厚さは、例えば、0.5μm以上、10μm以下である。
変形性2の加飾成形品10においては、意匠層22の最外層が透明保護層223となることから、射出成形時に、透明保護層223が射出樹脂30aと接することになる。そのため、透明保護層223のガラス転移温度が70℃以上、150℃以下であることが好ましく、80℃以上、120℃以下であることがさらに好ましい。つまり、透明保護層223のガラス転移温度は、射出樹脂との密着性の観点からは、150℃以下であることが好ましく、120℃以下であることがさらに好ましく、耐熱性の観点からは、70℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがさらに好ましい。
また、本発明の発明者らの研究の結果、透明保護層223と本体部材層30との屈折率差が0.2以下であると、視認される絵柄層221の絵柄の質の悪化が抑えられることが見いだされている。そのため、透明保護層223と本体部材層30との屈折率差が0.2以下であることが好ましい。このような観点から、透明保護層223の材料は、ポリメタクリル酸メチル、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル-アクリル共重合体等が好ましい。透明保護層223のガラス転移温度は、複数の樹脂を混合して、その混合比を変えたり、樹脂の分子量を変えたりすることで調整できる。
本発明の発明者らの研究の結果、意匠層22の最外層となる透明保護層223の材料として、アクリル樹脂を単独又は他の樹脂と組み合わせて用いる場合は、アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)が射出樹脂との密着性及び耐熱性に影響することが見出されている。表1からも理解されるとおり、重量平均分子量(Mw)が小さいほど射出樹脂との密着性が高くなり、重量平均分子量(Mw)が大きいほど耐熱性が高くなる傾向にある。このような観点から、意匠層22の最外層となる透明保護層223の材料として用いるアクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1.5万以上、9万以下であることが好ましく、3万以上、5万以下であることがより好ましい。
このような構成により、変形例2の加飾成形品10は、絵柄層221の材料の選択の幅が広いものとなる。
図8は、変形例3の加飾成形品を示す縦断面図である。
変形例3の加飾成形品10は、背面側から、基材層21と透明ヒートシール層25と意匠層22と本体部材層30とが順次積層された構造を有する。意匠層22は、背面側から、遮蔽層222と絵柄層221とが順次積層された構造を有する。また、変形例3の加飾成形品10は、意匠層22の開口部である光透過部24を有している。
変形例3の加飾成形品10は、本実施形態の加飾成形品10の基材層21と意匠層22との間に透明ヒートシール層25を付加したものである。この透明ヒートシール層25は、光透過部24に対応する領域においては、基材層21と本体部材層30との間に位置する。透明ヒートシール層25は、射出成形時において射出樹脂30aとの密着性を確保するとともに、射出樹脂30aから基材層21を保護する層である。透明ヒートシール層25の材料として、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル-アクリル共重合体、塩素化ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等が挙げられる。これらの材料は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
このような構成により、変形例3の加飾成形品10は、基材層21の材料の選択の幅が広いものとなる。例えば、基材層21の材料として、ガラス転移温度が比較的に大きいポリエチレンテレフタレート樹脂などの使用が可能となる。
図9は、変形例4の加飾成形品を示す縦断面図である。
変形例4の加飾成形品10は、背面側から、基材層21と意匠層22と本体部材層30と表面機能層40とが順次積層された構造を有する。意匠層22は、背面側から、遮蔽層222と絵柄層221とが順次積層された構造を有する。また、変形例4の加飾成形品10は、意匠層22の開口部である光透過部24を有している。
変形例4の加飾成形品10は、本実施形態の加飾成形品10の正面側に表面機能層40を付加したものである。表面機能層40は、加飾成形品10の正面側の表面に機能性を付加する層である。例えば、表面機能層40は、ハードコート機能、防眩機能、反射防止機能、帯電防止機能、紫外線吸収機能、防汚機能などの機能を有する。表面機能層40の材料として、例えば、フェノールーホルムアルデヒド樹脂、尿素・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、アクリルポリオールをイソシアネートで硬化させた樹脂、ポリエステルポリオールをイソシアネートで硬化させた樹脂、アクリル酸をメラミンで硬化させた樹脂等の熱硬化性の樹脂、アクリル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等の電離放射線硬化型樹脂等が挙げられる。
このような構成により、変形例4の加飾成形品10は、機能性に優れたものとなる。
図10は、変形例5の加飾成形品を示す縦断面図である。
変形例5の加飾成形品10は、正面側から、基材層21と意匠層22と本体部材層30とアイコン抜き印刷層50とが順次積層された構造を有する。意匠層22は、正面側から、絵柄層221と遮蔽層222とが順次積層された構造を有する。また、変形例1の加飾成形品10は、意匠層22の開口部である光透過部24を有している。
変形例5の加飾成形品10は、変形例1の加飾成形品10の背面側にアイコン抜き印刷層50を付加したものである。アイコン抜き印刷層50は、画像光出射部80からの画像光Lが本体部材層30に入射しないよう、光を吸収又は反射する機能を有する。アイコン抜き印刷層50は、特定のアイコンを示す形状のアイコン抜き部50aを有する。アイコン抜き部50aでは、画像光出射部80からの画像光Lは、吸収又は反射されることなく、そのまま本体部材層30に入射する。そのため、本体部材層30には、アイコン抜き部50aの形状の画像光が入射する。アイコン抜き印刷層50の材料として、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル-アクリル共重合体、塩素化ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等が挙げられる。これらの材料は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
このような構成により、変形例5の加飾成形品10は、特定のアイコンを表示する表示装置1を簡易に構成できる。
以上で説明したように、本実施形態及び変形例1から5の加飾成形品10及び表示装置1は、意匠層22の開口部として構成される光透過部24と意匠層22との凹凸によって生じる光の散乱が抑えられ、観察者に視認される加飾成形品10の意匠と加飾成形品10を透過する画像光Lとの両方の質の悪化が抑制されたものとなる。
以上、本発明の実施形態の1つについて説明したが、本発明の加飾成形品及び表示装置は本実施形態に限定されるものではない。本発明の加飾成形品及び表示装置は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
1 表示装置
10 加飾成形品
10a 画像表示部
20 加飾積層体
21 基材層
22 意匠層
221 絵柄層
222 遮蔽層
223 透明保護層
24 光透過部、開口部
25 透明ヒートシール層
30 本体部材層
40 表面機能層
50 アイコン抜き印刷層
50a アイコン抜き部
80 画像光出射部
91、92、93 金型
93a 樹脂注入部
93b 空洞部
95 ヒータ
L 画像光

Claims (9)

  1. 透明な基材層と、
    前記基材層に積層された意匠層と、
    前記意匠層に積層された透明な本体部材層と、を有し、
    前記意匠層に開口部が設けられ、
    前記開口部は、前記本体部材層により埋められており、
    前記意匠層の最外層のガラス転移温度が70℃以上、150℃以下である
    加飾成形品。
  2. 請求項1に記載の加飾成形品であって、
    前記意匠層は、絵柄層と遮蔽層とを有する加飾成形品。
  3. 請求項2に記載の加飾成形品であって、
    前記意匠層は、さらに、前記意匠層の最外層となる透明保護層を有する
    加飾成形品。
  4. 請求項3に記載の加飾成形品であって、
    前記透明保護層と前記本体部材層との屈折率差が0.2以下である
    加飾成形品。
  5. 請求項1から4のいずれか1つに記載の加飾成形品であって、
    前記基材層のガラス転移温度が70℃以上、165℃以下であり、
    前記基材層と前記本体部材層との屈折率差が0.2以下である
    加飾成形品。
  6. 請求項1から5のいずれか1つに記載の加飾成形品であって、
    前記意匠層は、2つ以上の層を有し、
    前記最外層以外の層である内側層のガラス転移温度が40℃以上である
    加飾成形品。
  7. 請求項1から6のいずれか1つの加飾成形品の製造に用いられる加飾積層体であって、
    透明な基材層と、
    前記基材層に積層された意匠層と、を有し、
    前記意匠層に開口部が設けられ、
    前記意匠層の最外層のガラス転移温度が70℃以上、150℃以下である
    加飾積層体。
  8. 画像光を出射する画像光出射部と、
    前記画像光出射部と対向して配置された請求項1から6のいずれか1つに記載の加飾成形品と、を有する
    表示装置。
  9. 透明な基材層と、前記基材層に積層された意匠層と、前記意匠層に積層された透明な本体部材層と、を有し、前記意匠層に開口部が設けられた加飾成形品の製造方法であって、
    前記基材層と前記意匠層とを有し前記意匠層に開口部が設けられた加飾積層体を作製する第1工程と、
    前記加飾積層体に前記本体部材層を構成する射出樹脂を射出成形する第2工程と、を有し、
    前記第2工程において、前記開口部が前記射出樹脂により埋められる
    加飾成形品の製造方法。
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