JP2014071355A - タッチパネル保護用前面板、タッチパネルセンサ、およびタッチパネル保護用前面板の製造方法 - Google Patents

タッチパネル保護用前面板、タッチパネルセンサ、およびタッチパネル保護用前面板の製造方法 Download PDF

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悟 二嶋
Hiroyuki Kusukawa
宏之 楠川
Kazuhiko Nakamura
和彦 中村
Keisuke Wakita
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Abstract

【課題】耐擦傷性および防汚性に優れ、意匠性または操作性を向上させることが可能なタッチパネル保護用前面板を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂組成物を含有する透明樹脂基板2と、透明樹脂基板2上に形成され、電子線硬化性樹脂組成物が硬化されてなるハードコート層3とを有するタッチパネル保護用前面板1であって、ハードコート層1が、表面の少なくとも一部に、意匠性向上部位および操作性向上部位の少なくともいずれかである凹部11aまたは凸部11bを有する凹凸領域10、および曲面を有する曲面領域の少なくともいずれかを有するタッチパネル保護用前面板である。
【選択図】図1

Description

本発明は、最表面にハードコート層を有するタッチパネル保護用前面板に関するものである。
今日、入力手段として、タッチパネルが広く用いられている。タッチパネルは、多くの場合、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等の表示装置が組み込まれた種々の装置、例えば、券売機、ATM装置、携帯電話、ゲーム機等に対する入力手段として、表示装置とともに用いられている。このような装置において、タッチパネルは表示装置の表示面に配置され、これにより、タッチパネルは表示装置に対する極めて直接的な入力を可能にする。
一般的に、タッチパネルにおいては、表面保護のために最表面に前面板が配置されている。従来、前面板には強化ガラスが使用されてきたが、強化ガラスは重い、割れる等の問題を有する。そのため、強化ガラスから透明樹脂基板への変更が検討されている。一方、透明樹脂基板は軽い、割れにくいという利点を有するが、表面が傷つきやすいという欠点を有する。
表示装置に用いられる前面板においては、透明樹脂基板の表面に硬化性樹脂組成物をコーティングし硬化してハードコート層を形成し、耐擦傷性を向上させる技術が提案されている。例えば、特許文献1には、ポリカーボネート樹脂基材シートの少なくとも片面にアクリル系樹脂層を有し、更にアクリル系樹脂層の少なくとも片面にハードコート層を有するディスプレイ面板用透明多層シートであって、ハードコート層として紫外線を照射して硬化するタイプの耐擦傷性有機ハードコート皮膜を用いることが開示されている。
特開2010−44163号公報
しかしながら、紫外線硬化技術には、紫外線のエネルギーが比較的小さい、硬化時間が比較的長い、厚膜の塗膜では硬化反応が進行しにくい、架橋密度が比較的低い等の欠点があるため、紫外線硬化性樹脂組成物を紫外線照射により硬化させてなるハードコート層では、十分な硬度が得られず、耐擦傷性には改善の余地がある。
また、タッチパネルに用いられる前面板には指紋等に対する防汚性が良好であることも求められるが、紫外線硬化技術では、紫外線硬化性樹脂組成物が重合開始剤、増感剤、紫外線吸収剤等を含有する必要があり、これら低分子成分のブリードアウトに起因して防汚性が低下するという問題もある。
また、近年、タッチパネルにおいては、意匠性や操作性の向上のために、前面板の表面に凹凸や曲面等の立体的な形状を形成することが検討されている。
しかしながら、表面に凹凸や曲面を有する透明樹脂基板上に紫外線硬化性樹脂組成物を塗布し紫外線照射により硬化させてハードコート層を形成する場合、紫外線硬化性樹脂組成物を均一に塗布することが困難であるため、硬化反応が不均一に進行し、ハードコート層の硬度が低下するという問題がある。
また、紫外線硬化性樹脂組成物の塗膜の表面に凹凸や曲面を賦形し、紫外線照射により硬化させる場合には、塗膜の厚みが均一ではないため、上記の場合と同様に、硬化反応が不均一に進行し、ハードコート層の硬度が低下してしまう。
さらに、立体的な形状を有する前面板の製造方法には、例えば射出成形が知られているが、射出成形によってハードコート層を透明樹脂基板に転写させる場合、紫外線硬化性樹脂組成物を紫外線照射により硬化させてなるハードコート層は、上述のように架橋密度が比較的低く、強度に劣るため、成形時の応力によってハードコート層に割れが生じるという問題がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、耐擦傷性および防汚性に優れ、意匠性または操作性を向上させることが可能なタッチパネル保護用前面板を提供することを主目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明は、熱可塑性樹脂組成物を含有する透明樹脂基板と、上記透明樹脂基板上に形成され、電子線硬化性樹脂組成物が硬化されてなるハードコート層とを有するタッチパネル保護用前面板であって、上記ハードコート層が、表面の少なくとも一部に、意匠性向上部位および操作性向上部位の少なくともいずれかである凹部または凸部を有する凹凸領域、および曲面を有する曲面領域の少なくともいずれかを有することを特徴とするタッチパネル保護用前面板を提供する。
本発明によれば、電子線硬化性樹脂組成物を電子線照射により硬化させてハードコート層を形成するので、紫外線硬化樹脂を用いた場合と比較して、架橋密度を高くし硬度を高めることができ、耐擦傷性を向上させることが可能である。また、電子線硬化性樹脂組成物には重合開始剤が不要であるため、低分子成分のブリードアウトによる防汚性の低下を防ぐことが可能である。また、電子線硬化性樹脂組成物を電子線照射により硬化させてハードコート層を形成する場合には、電子線のエネルギーが比較的大きいため、不均一な厚みであっても硬化反応を十分に進行させることができ、高硬度を実現するとともに、ハードコート層の表面に上記の凹凸領域や曲面領域を形成することができ、意匠性や操作性を向上させることが可能である。さらに、電子線硬化性樹脂組成物を電子線照射により硬化させてなるハードコート層は、架橋密度が高く強度に優れていることから、例えば射出成形によって透明樹脂基板にハードコート層を転写する場合には、成形時の応力による割れの発生を抑制することが可能である。
上記発明においては、上記透明樹脂基板が、上記ハードコート層が形成されていない側の面に、段差部を有することが好ましい。透明樹脂基板の段差部には加飾層や配線等を収容することができ、段差部に加飾層が収容される場合には透明樹脂基板と加飾フィルムとの間に気泡が混入するのを抑制することができ、また段差部に配線が収容される場合には段差の少ないタッチパネルを得ることができる。
また本発明においては、上記透明樹脂基板と上記ハードコート層との間にハードコート層用基材が形成されていてもよい。例えば、ハードコート層用基材上に電子線硬化性樹脂組成物を塗布し、塗膜側から電子線を照射して硬化させる場合には、ハードコート層のハードコート層用基材が形成されていない側の面のほうが硬度が高くなるため、ハードコート層の硬度がより高い面を本発明のタッチパネル保護用前面板の最表面に配置することができ、耐擦傷性をさらに向上させることができる。
上記の場合、上記ハードコート層用基材と上記ハードコート層との間に加飾層が形成されていてもよい。また本発明においては、上記透明樹脂基板の上記ハードコート層が形成されていない側の面に、加飾層用基材上に加飾層が形成された加飾フィルムが形成されていてもよい。加飾層により意匠性を高めることができる。
上記の場合、上記加飾層が開口部を有していてもよい。加飾層の開口部をタッチパネルセンサ部の配線上に配置させることにより、加飾層および配線によって加飾することができ、加飾層の開口部の下にさらに加飾層を形成する必要がなく、本発明のタッチパネル保護用前面板の層構成を簡素化することができる。
また本発明は、タッチパネルセンサ部と、上記タッチパネルセンサ部上に配置された上述のタッチパネル保護用前面板とを有することを特徴とするタッチパネルセンサを提供する。
本発明によれば、上述のタッチパネル保護用前面板を有するので、耐擦傷性および防汚性に優れ、意匠性や操作性を向上させることができるタッチパネルセンサを得ることができる。
さらに本発明は、透明樹脂基板と、上記透明樹脂基板上に形成され、表面の少なくとも一部に、意匠性向上部位および操作性向上部位の少なくともいずれかである凹部または凸部を有する凹凸領域、および曲面を有する曲面領域の少なくともいずれかを有するハードコート層とを有するタッチパネル保護用前面板の製造方法であって、ハードコート層用基材上に電子線硬化性樹脂組成物を塗布し、電子線を照射して硬化し、ハードコート層を形成するハードコート層形成工程と、上記ハードコート層用基材および上記ハードコート層の積層体を射出成形型に配置し、上記射出成形型内に熱可塑性樹脂組成物を射出し固化して、上記積層体および透明樹脂基板を積層一体化する射出成形工程とを有することを特徴とするタッチパネル保護用前面板の製造方法を提供する。
本発明によれば、電子線硬化性樹脂組成物を電子線照射により硬化させてハードコート層を形成するので、上述したように耐擦傷性および防汚性に優れるハードコート層を得ることができる。また、硬度を低下させることなく、ハードコート層の表面に上記の凹凸領域や曲面領域を形成することができ、意匠性や操作性を向上させることができる。さらに、ハードコート層が強度に優れることから、射出成形工程では成形時の応力によってハードコート層に割れが発生するのを抑制することができる。したがって、種々の形状に透明樹脂基板を成形することが可能となる。
また本発明は、透明樹脂基板と、上記透明樹脂基板上に形成され、表面の少なくとも一部に、意匠性向上部位および操作性向上部位の少なくともいずれかである凹部または凸部を有する凹凸領域、および曲面を有する曲面領域の少なくともいずれかを有するハードコート層とを有するタッチパネル保護用前面板の製造方法であって、ハードコート層用基材上に電子線硬化性樹脂組成物を塗布し、電子線を照射して硬化し、ハードコート層を形成するハードコート層形成工程と、熱可塑性樹脂組成物を押出成形して、透明樹脂基板を形成する押出成形工程と、上記ハードコート層用基材および上記ハードコート層の積層体に上記透明樹脂基板を融着させる積層工程とを有することを特徴とするタッチパネル保護用前面板の製造方法を提供する。
本発明によれば、上記のタッチパネル保護用前面板の製造方法と同様に、耐擦傷性および防汚性に優れ、意匠性や操作性を向上させることができるタッチパネル保護用前面板を得ることができる。
本発明は、電子線硬化性樹脂組成物を電子線照射により硬化させてハードコート層を形成することにより、耐擦傷性および防汚性に優れ、意匠性や操作性を向上させることができるタッチパネル保護用前面板を得ることが可能であるという効果を奏する。
本発明のタッチパネル保護用前面板の一例を示す概略断面図である。 本発明のタッチパネル保護用前面板の一例を示す概略平面図である。 本発明のタッチパネル保護用前面板の他の例を示す概略断面図である。 本発明のタッチパネル保護用前面板の他の例を示す概略断面図である。 本発明のタッチパネル保護用前面板の他の例を示す概略断面図である。 本発明のタッチパネル保護用前面板の他の例を示す概略断面図である。 本発明のタッチパネル保護用前面板の他の例を示す概略断面図である。 本発明のタッチパネル保護用前面板およびタッチパネルセンサ部の一例を示す概略断面図である。 本発明のタッチパネル保護用前面板の他の例を示す概略断面図である。 本発明のタッチパネル保護用前面板の他の例を示す概略断面図である。 本発明のタッチパネル保護用前面板の他の例を示す概略断面図である。 本発明のタッチパネル保護用前面板の他の例を示す概略断面図である。 本発明のタッチパネル保護用前面板の他の例を示す概略断面図である。 本発明のタッチパネル保護用前面板およびタッチパネルセンサ部の他の例を示す概略断面図である。 本発明のタッチパネルセンサの一例を示す概略断面図である。 本発明のタッチパネル保護用前面板の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明のタッチパネル保護用前面板の製造方法の他の例を示す工程図である。 本発明のタッチパネル保護用前面板の製造方法の他の例を示す工程図である。
以下、本発明のタッチパネル保護用前面板、タッチパネルセンサ、およびタッチパネル保護用前面板の製造方法について詳細に説明する。
A.タッチパネル保護用前面板
本発明のタッチパネル保護用前面板は、熱可塑性樹脂組成物を含有する透明樹脂基板と、上記透明樹脂基板上に形成され、電子線硬化性樹脂組成物が硬化されてなるハードコート層とを有するタッチパネル保護用前面板であって、上記ハードコート層が、表面の少なくとも一部に、意匠性向上部位および操作性向上部位の少なくともいずれかである凹部または凸部を有する凹凸領域、および曲面を有する曲面領域の少なくともいずれかを有することを特徴とするものである。
まず、本発明のタッチパネル保護用前面板について図面を参照して説明する。
図1は、本発明のタッチパネル保護用前面板の一例を示す概略断面図である。図1に例示するタッチパネル保護用前面板1においては、熱可塑性樹脂組成物を含有する透明樹脂基板2上に、電子線硬化性樹脂組成物が硬化されてなるハードコート層3が形成されており、ハードコート層3は表面の一部に凹部11aおよび凸部11bを有する凹凸領域10を有している。
図2(a)、(b)は、本発明のタッチパネル保護用前面板における凹凸領域の一例を示す概略平面図である。
図2(a)に示すタッチパネル保護用前面板1において、凹凸領域10は円形の凸部11bと凸部11bの外周に配置された凹部11aを有している。この凸部11bはタッチパネルを操作するために使用されるものであって、操作性向上部位であり、本発明のタッチパネル保護用前面板をタッチパネルに用いた場合には操作性を向上させることができる。
図2(b)に示すタッチパネル保護用前面板1において、凹凸領域10は文字「A」「1」の形状を有する凹部11aを有している。この凹部11aは標章を示すものであって、意匠性向上部位であり、本発明のタッチパネル保護用前面板をタッチパネルに用いた場合には意匠性を向上させることができる。
図3は、本発明のタッチパネル保護用前面板の他の例を示す概略断面図である。図3に例示するタッチパネル保護用前面板1においては、熱可塑性樹脂組成物を含有する透明樹脂基板2上に、電子線硬化性樹脂組成物が硬化されてなるハードコート層3が形成されており、ハードコート層3は表面全体に曲面21を有する曲面領域20を有している。タッチパネル保護用前面板1の表面全体が曲面21になっていることにより、タッチパネル保護用前面板をタッチパネルに用いた場合には意匠性や操作性を向上させることができる。
図4は、本発明のタッチパネル保護用前面板の他の例を示す概略断面図である。図4に例示するタッチパネル保護用前面板1においては、熱可塑性樹脂組成物を含有する透明樹脂基板2上に、電子線硬化性樹脂組成物が硬化されてなるハードコート層3が形成されており、ハードコート層3は、表面の一部に凹部11aおよび凸部11bを有する凹凸領域10を有しており、また表面全体に曲面21を有する曲面領域20を有している。例えば凹部11bは上記の図2(a)に示すような操作性向上部位であり、または凹部11aは上記の図2(b)に示すような意匠性向上部位であり、さらにタッチパネル保護用前面板1の表面全体が曲面21になっているため、タッチパネル保護用前面板をタッチパネルに用いることにより、高い意匠性および操作性を付与することができる。
本発明において、ハードコート層は電子線硬化性樹脂組成物が電子線照射によって硬化されたものである。電子線硬化技術は、紫外線硬化技術として比較して、エネルギーが大きい、硬化時間が短い、プロセス温度が低い、厚膜の塗膜や塗膜上に不透明な層が存在する構成でも硬化が進行する、架橋密度が高い、重合開始剤が不要である等の利点を有している。特に、架橋密度が高いことはハードコート層に有利である。
したがって本発明においては、ハードコート層の架橋密度を高めて硬度を高めることができ、耐擦傷性を向上させることが可能である。また、電子線硬化性樹脂組成物には重合開始剤が不要であることから、低分子成分のブリードアウトによってハードコート層の防汚性が低下するのを防ぐことが可能である。また、電子線硬化は、凹凸や曲面のように厚みが均一でなくとも硬化反応が十分に進行するので、硬度を低下させることなく、ハードコート層の表面に上記の凹凸領域や曲面領域を形成することができ、意匠性や操作性を向上させることが可能である。さらに、ハードコート層は架橋密度が高く強度に優れていることから、例えば射出成形によって透明樹脂基板にハードコート層を転写する場合には、成形時の応力による割れの発生を抑制することができ、種々の形状に透明樹脂基板を成形することが可能になる。
なお、本願明細書において、「意匠性向上部位および操作性向上部位の少なくともいずれかである凹部または凸部」とは、凹部または凸部が、タッチパネルの意匠性を向上させるものである、タッチパネルの入力の操作性を向上させるものである、または、タッチパネルの意匠性を向上させ、かつタッチパネルの入力の操作性を向上させるものであることをいう。例えば、防眩性や反射防止機能を有する微細な凹凸は、タッチパネルの表示の視認性を向上させるものであり、本発明における意匠性向上部位および操作性向上部位の少なくともいずれかである凹部または凸部には含まれない。
以下、本発明のタッチパネル保護用前面板における各構成について説明する。
1.ハードコート層
本発明におけるハードコート層は、透明樹脂基板上に形成され、電子線硬化性樹脂組成物を電子線照射によって硬化されてなるものであり、表面の少なくとも一部に、意匠性向上部位および操作性向上部位の少なくともいずれかである凹部または凸部を有する凹凸領域、および曲面を有する曲面領域の少なくともいずれかを有するものである。
以下、ハードコート層の構成について説明する。
(1)凹凸領域
凹凸領域は、意匠性向上部位および操作性向上部位の少なくともいずれかである凹部または凸部を有する領域である。ハードコート層が表面の少なくとも一部に凹凸領域を有する場合には、本発明のタッチパネル保護用前面板をタッチパネルに用いた場合にタッチパネルの意匠性や操作性を向上させることができる。
凹部または凸部は、意匠性向上部位および操作性向上部位の少なくともいずれかであればよく、例えば、意匠性向上部位であってもよく、操作性向上部位であってもよく、意匠性向上部位かつ操作性向上部位であってもよい。
意匠性向上部位である凹部または凸部は、例えば、文字、図形、記号等の標章等を表示するものとして用いられる。また、操作性向上部位である凹部または凸部は、例えば、タッチパネルの操作手段、具体的には、ボタン、アイコン等に対応して形成されるものである。
凹部または凸部の大きさとしては、意匠性および操作性の少なくともいずれかを向上させることができれば特に限定されるものではなく、凹部または凸部の用途に応じて適宜選択される。
また、凹部の深さまたは凸部の高さとしては、意匠性および操作性の少なくともいずれかを向上させることができ、電子線硬化性樹脂組成物の電子線照射による硬化によって形成可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば0.1mm以上とすることができる。なお、紫外線硬化性樹脂組成物を用いたフォトリソグラフィー法では凹部の深さまたは凸部の高さを上記の範囲とすることは困難である。一方、凹部の深さまたは凸部の高さは、5mm以下であることが好ましい。凹部の深さまたは凸部の高さが大きすぎると、形成が困難である場合や、本発明のタッチパネル保護用前面板が厚くなり、かえって意匠性や操作性が損なわれる場合があるからである。
凹凸領域は、意匠性向上部位および操作性向上部位の少なくともいずれかである凹部または凸部を有していればよく、例えば、凹部のみを有していてもよく、凸部のみを有していてもよく、凹部および凸部の両方を有していてもよい。
凹凸領域は、ハードコート層の表面の少なくとも一部に配置されていればよく、例えば、本発明のタッチパネル保護用前面板をタッチパネルに用いた場合にタッチパネルの動作領域に配置されていてもよく非動作領域に配置されていてもよく、凹部または凸部の用途に応じて適宜選択される。
例えば、凹部または凸部が意匠性向上部位である場合には、凹凸領域はタッチパネルの非動作領域に配置されていることが好ましい。タッチパネルの動作領域に凹凸領域が配置されていると、タッチパネルの操作性が低下したり、表示画像の品質が低下したりするおそれがあるからである。
一方、凹部または凸部が操作性向上部位である場合には、凹凸領域はタッチパネルの動作領域に配置されていることが好ましく、中でも動作領域の周縁部に配置されていることが好ましい。動作領域の中央部に凹凸領域が配置されていると、上記の場合と同様に、タッチパネルの操作性が低下したり、表示画像の品質が低下したりするおそれがあるからである。
なお、「動作領域」とは、タッチパネルにおいて画像が表示される領域であってタッチ操作が可能な領域をいう。また、「非動作領域」とは、動作領域の外周に配置された領域であって、タッチパネルにおいて配線等が形成されている領域をいう。
また、凹凸領域は、1つでもよく複数でもよい。複数の凹凸領域が配置されている場合、ハードコート層は、意匠性向上部位である凹部または凸部を有する凹凸領域のみを有していてもよく、操作性向上部位である凹部または凸部を有する凹凸領域のみを有していてもよく、意匠性向上部位である凹部または凸部を有する凹凸領域および操作性向上部位である凹部または凸部を有する凹凸領域の両方を有していてもよい。
(2)曲面領域
曲面領域は、曲面を有する領域である。ハードコート層が表面に曲面領域を有する場合には、上記の凹凸領域と同様に、本発明のタッチパネル保護用前面板をタッチパネルに用いた場合にタッチパネルの意匠性や操作性を向上させることができる。また、ハードコート層の表面を曲面にすることで、画像品質を向上させたりタッチパネルの強度を高めたりすることもできる。
曲面は、凹状の曲面であってもよく、凸状の曲面であってもよい。
曲面の曲率半径としては、意匠性、操作性、画像品質または強度を向上させることができれば特に限定されるものではなく、目的に応じて適宜選択される。
曲面領域は、ハードコート層の表面の少なくとも一部に配置されていればよいが、中でも、本発明のタッチパネル保護用前面板をタッチパネルに用いた場合にタッチパネルの動作領域に配置されていることが好ましく、動作領域全体に配置されていることがより好ましい。画像品質を向上させることができるからである。また、曲面領域がタッチパネルの動作領域に配置されている場合、曲面領域は、動作領域のみに配置されていてもよく、動作領域および非動作領域の全域にわたって配置されていてもよい。
通常、曲面領域は1つである。
(3)ハードコート層
ハードコート層は、表面に、上記の凹凸領域および曲面領域の少なくともいずれかを有していればよく、例えば、凹凸領域のみを有していてもよく、曲面領域のみを有していてもよく、凹凸領域および曲面領域の両方を有していてもよい。
ハードコート層の硬度は、JIS K5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験(4.9N荷重)で評価できる。ハードコート層の鉛筆硬度は4H以上であることが好ましい。耐擦傷性がより向上するからである。一方、ハードコート層の鉛筆硬度は8H以下であることが好ましい。鉛筆硬度が高すぎると、脆性が増し、反りやクラックの原因になるからである。
ハードコート層は光透過性を有するものである。ハードコート層の可視光領域における透過率としては、具体的には、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。上記透過率が上記範囲であることにより、光透過性に優れたハードコート層を形成することができるからである。
ここで、ハードコート層の透過率は、JIS K 7105で規定する方法により測定した全光線透過率とする。
電子線硬化性樹脂組成物としては、電子線の照射を受けた時に直接、重合や二量化等の反応を起こす重合性官能基を有するモノマー、オリゴマーおよびポリマーを用いることができる。例えば、アクリル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合を有するラジカル重合性のモノマーやオリゴマーを挙げることがでる。
エチレン性不飽和結合を有するモノマーおよびオリゴマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシ3−フェノキシプロピルアクリレート、カルボキシポリカプロラクトンアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド等の単官能(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールトリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート等のジアクリレート;トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート誘導体やジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、多官能ウレタンアクリレート等の多官能(メタ)アクリレート、あるいは、これらのラジカル重合性モノマーが重合したオリゴマーを例示することができる。
また、エチレン性不飽和結合を有するポリマーは、一分子内にエチレン性不飽和結合と共に付加又は縮合反応を起こし得る極性基を有するモノマーまたはオリゴマーをラジカル(共)重合させて中間体ポリマーを合成した後、一分子内にエチレン性不飽和結合と共に、中間体ポリマーの極性基と反応し得る官能基を有する化合物を反応させることによって得られる。そのようなラジカル重合性基と極性基を有するモノマーまたはオリゴマーとしては、エポキシ(メタ)アクリレート類、グリシジル(メタ)アクリレート類、グリセロールモノ(メタ)アクリレート類、グリセロールジ(メタ)アクリレート類、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びそのカプロラクトン変性品、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及びそのカプロラクトン変性品、リン酸(メタ)アクリレート類、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート類、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート類、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体の(メタ)アクリレート類、コハク酸アクリレート類、アクリルアミド等を例示することができる。また、中間体ポリマーにエチレン性不飽和結合のペンダント構造を導入するために用いる化合物としては、すでに例示したようなエチレン性不飽和結合と共に極性基を有するモノマーまたはオリゴマーの中から、中間体ポリマーの極性基と反応可能なものを選択し用いることができる。
ハードコート層の厚みとしては、所望の硬度を発揮することが可能であれば特に限定されるものではなく、例えば5μm〜30μm程度にすることができる。ここで、ハードコート層の厚みとは、ハードコート層が表面に凹凸領域を有する場合には、ハードコート層の凹凸領域以外の部分の厚みをいう。例えば図4に示すように、ハードコート層3の凹凸領域10以外の部分の厚みtをハードコート層の厚みとする。
ハードコート層の形成方法としては、例えば、ハードコート層用基材上に電子線硬化性樹脂組成物を塗布し、塗膜の表面に凹部または凸部あるいは曲面を賦形し、電子線を照射して硬化させる方法が挙げられる。なお、ハードコート層の形成方法については、後述の「C.タッチパネル保護用前面板の製造方法」の項に詳しく記載するので、ここでの説明は省略する。
2.透明樹脂基板
本発明に用いられる透明樹脂基板は、熱可塑性樹脂組成物を含有するものである。
透明樹脂基板に用いられる熱可塑性樹脂組成物としては、後述のタッチパネル保護用前面板の製造方法の項に記載するように、射出成形または押出成形可能なものであることが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、環状ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリカーボネート、ポリメタクリレート等のアクリル樹脂、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、酢酸セルロース等のセルロース系樹脂、ナイロン−6、ナイロン−6,6等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、ポリエーテルサルホン、もしくはポリエーテルケトン等を挙げることができる。
中でも、透明樹脂基板は、面内リタデーションが小さいことが好ましい。これにより、本発明のタッチパネル保護用前面板を備えるタッチパネルをサングラスを用いて使用する場合に、位相差により表示ムラの発生を抑制することができるからである。このような透明樹脂基板としては、例えば、ポリカーボネート、シクロオレフィン樹脂(シクロオレフィンポリマーはCOPとも称される)、ポリメタクリル酸メチル等の基板を挙げることができる。
透明樹脂基板は、単層であってもよく、複数の透明樹脂層が積層されたものであってもよい。単層の場合、1回の射出成形により種々の形状の透明樹脂基板を得ることができる。一方、複数の透明樹脂層が積層されている場合、各透明樹脂層に異種の熱可塑性樹脂組成物を用いることにより、透明樹脂基板の耐候性、耐薬品性、耐衝撃性等を改善したり、透明樹脂基板のハードコート層が形成されていない側の面に加飾層を直接形成することができるようになったりする。
複数の透明樹脂層が積層されている場合、透明樹脂層の積層数としては、2層以上であればよいが、通常は2層または3層である。
また、複数の透明樹脂層が積層されている場合には、透明樹脂基板のハードコート層が形成されている側の最表面に位置する透明樹脂層が射出成形または押出成形可能な熱可塑性樹脂組成物を含有することが好ましい。例えば図5に示すように、透明樹脂基板2が二層の透明樹脂層2a、2bが積層されたものである場合、透明樹脂基板2のハードコート層3が形成されている側の最表面に位置する透明樹脂層2aは射出成形または押出成形されたものであることが好ましい。
一方、透明樹脂基板2のハードコート層3が形成されていない側の最表面に位置する透明樹脂層2bには、透明樹脂層2aよりも耐候性や耐薬品性が高い熱可塑性樹脂組成物または加飾層を直接形成可能な熱可塑性樹脂組成物を用いることが好ましい。透明樹脂基板のハードコート層が形成されていない側の最表面に位置する透明樹脂層に用いられる熱可塑性樹脂組成物としては、目的に応じて上述の熱可塑性樹脂組成物の中から適宜選択される。例えば、耐候性および耐薬品性を改善し、また透明樹脂基板のハードコート層が形成されていない側の面に加飾層を直に形成可能にするには、アクリル樹脂を用いることが好ましい。また、位相差による表示ムラの発生を抑制するには、高延伸のポリエチレンテレフタレート、シクロオレフィン樹脂、ポリメタクリル酸メチル等の透明樹脂層を用いることが好ましい。
透明樹脂基板2は、図6に例示するように、ハードコート層3が形成されていない側の面に段差部15を有することが好ましい。透明樹脂基板が段差部を有することにより、例えば図7に示すように、透明樹脂基板2のハードコート層3が形成されていない側の面に、加飾層用基材5上に加飾層6が形成された加飾フィルム7を配置する場合には、透明樹脂基板2の段差部15に加飾フィルム7の加飾層6を収容することができ、透明樹脂基板2上に加飾フィルム7を貼り合わせる際に加飾層6による段差により透明樹脂基板2と加飾フィルム7との間に気泡が混入するのを抑制し、歩留りを向上させることができる。また、図8に例示するように、透明樹脂基板31上に透明電極32、33および配線34、35が形成されたタッチパネルセンサ部30上に、本発明のタッチパネル保護用前面板1を配置する場合には、透明樹脂基板2の段差部15にタッチパネルセンサ部30の配線34を収容することができ、動作領域と非動作領域とで段差の少ないタッチパネルを得ることができる。
透明樹脂基板の段差部は、上述のように、例えば、加飾フィルムの加飾層、タッチパネルセンサ部の配線等を収容するために用いられるものであり、加飾層、配線等による段差を解消するために形成されるものである。
段差部の大きさおよび深さとしては、段差部の用途に応じて適宜選択される。
段差部の配置は、段差部の用途に応じて適宜選択されるが、加飾層や配線等はタッチパネルの非動作領域に配置されていることから、段差部は、本発明のタッチパネル保護用前面板をタッチパネルに用いた場合にタッチパネルの非動作領域に配置されていることが好ましい。
また、段差部は、1つでもよく複数でもよく、段差部の用途に応じて適宜選択される。
透明樹脂基板は光透過性を有するものである。透明樹脂基板の可視光領域における透過率としては、具体的には、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。上記透過率が上記範囲であることにより、光透過性に優れた透明樹脂基板を形成することができるからである。
なお、透明樹脂基板の透過率の測定方法については、上記ハードコート層の透過率の測定方法と同様である。
透明樹脂基板の厚みは、ハードコート層を支持することができ、射出成形または押出成形により形成可能な厚みであれば特に限定されるものではなく、例えば0.2mm〜2mm程度である。
透明樹脂基板の形成方法としては、透明樹脂基板およびハードコート層を積層可能な方法であれば特に限定されるものではないが、中でも、射出成形法または押出成形法であることが好ましい。
また、透明樹脂基板が複数の透明樹脂層が積層されたものである場合には、透明樹脂基板のハードコート層が形成されている側の最表面に位置する透明樹脂層の形成方法は、射出成形法または押出成形法であることが好ましい。一方、他の透明樹脂層の形成方法は、射出成形法または押出成形法であってもよく、熱可塑性樹脂組成物を塗布する方法であってもよく、直接または接着層を介して透明樹脂層を貼合する方法であってもよい。熱可塑性樹脂組成物の塗布方法としては、例えば、印刷法が挙げられる。また、接着層には、例えば、OCAと称される光学用透明接着剤を用いることができる。
3.ハードコート層用基材
本発明のタッチパネル保護用前面板においては、図9に例示するように、透明樹脂基板2とハードコート層3との間にハードコート層用基材4が形成されていてもよい。すなわち、ハードコート層がハードコート層用基材上に形成されたものであり、ハードコート層用基材およびハードコート層が積層された積層体と透明樹脂基板とが一体化されていてもよい。例えば、ハードコート層用基材上にハードコート層を形成する際に、ハードコート層用基材上に電子線硬化性樹脂組成物を塗布し、塗膜側から電子線を照射して硬化させる場合には、ハードコート層のハードコート層用基材が形成されていない側の面のほうが、ハードコート層用基材が形成されている側の面よりも硬度が高くなる。したがって、ハードコート層用基材側に透明樹脂基板が形成されていることにより、ハードコート層の硬度がより高い面を本発明のタッチパネル保護用前面板の最表面に配置することができ、耐擦傷性をさらに向上させることができる。
ハードコート層用基材に用いられる樹脂としては、上記ハードコート層が形成可能であれば特に限定されるものではなく、例えば、上記透明樹脂基板に用いられる熱可塑性樹脂組成物を挙げることができる。
中でも、ハードコート層用基材は、面内リタデーションが小さいことが好ましい。これにより、本発明のタッチパネル保護用前面板を備えるタッチパネルをサングラスを用いて使用する場合に、表示ムラの発生を抑制することができるからである。このようなハードコート層用基材としては、例えば、高延伸のポリエチレンテレフタレート、シクロオレフィン樹脂、ポリメタクリル酸メチル等の基材を挙げることができる。
ハードコート層用基材は光透過性を有するものである。なお、ハードコート層用基材の光透過性については、上記透明樹脂基板の光透過性と同様であるので、ここでの説明は省略する。
ハードコート層用基材の厚みは、ハードコート層を支持することができる厚みであれば特に限定されるものではなく、例えば0.2mm〜2.0mm程度である。
4.加飾層
本発明のタッチパネル保護用前面板は、さらに加飾層を有していてもよい。
加飾層は、本発明のタッチパネル保護用前面板をタッチパネルに用いた場合にタッチパネルの非動作領域に配置されていることが好ましい。この場合、額縁状の加飾層によりタッチパネルセンサ部の配線等を隠すことができ、意匠性を高めることができる。また、加飾層は、文字、図形、記号等の標章等を表示するものとしても用いられる。
加飾層の形成位置としては、本発明のタッチパネル保護用前面板の構成に応じて適宜選択される。例えば図10に示すように、透明樹脂基板2が複数の透明樹脂層2a、2bが積層されたものである場合には、透明樹脂基板2のハードコート層3が形成されていない側の面に加飾層6が形成されていてもよい。また、図11に例示するように、透明樹脂基板2とハードコート層3との間にハードコート層用基材4が形成されている場合には、ハードコート層用基材4とハードコート層3との間に加飾層6が形成されていてもよい。すなわち、ハードコート層用基材4上に加飾層6が形成され、加飾層6を覆うようにハードコート層3が形成された積層体と、透明樹脂基板2とが一体化されていてもよい。また、図12および図13に例示するように、透明樹脂基板2のハードコート層3が形成されていない側の面に、加飾層用基材5上に加飾層6が形成された加飾フィルム7が形成されていてもよい。この場合、図12に例示するように、加飾フィルム7の加飾層6が透明樹脂基板2に対向していてもよく、図13に例示するように、加飾フィルム7の加飾層用基材5が透明樹脂基板2に対向していてもよい。
また、加飾層は開口部を有していてもよい。例えば図14に示すように、加飾層6がパターン状に形成され開口部6aを有する場合には、タッチパネルセンサ部30上に本発明のタッチパネル保護用前面板1を配置する際に、加飾層6の開口部6aをタッチパネルセンサ部30の配線34上に配置させることにより、加飾層6および配線34によって加飾することができる。これにより、加飾層の開口部の下にさらに加飾層を形成する必要がなく、本発明のタッチパネル保護用前面板の層構成を簡素化することができる。具体的には、加飾層の開口部は、文字、図形、記号等の標章等を表示するものとして用いることができる。
加飾層の材料としては、バインダー樹脂および着色剤を含有する着色樹脂組成物が挙げられる。また、加飾層には、金属層を用いることもできる。
加飾層の形成方法としては、透明樹脂基板、ハードコート層用基材または加飾層用基材上に加飾層を形成可能な方法であれば特に限定されるものではない。着色樹脂組成物を用いる場合には、例えば、グラビア印刷、スクリーン印刷等の印刷法、インクジェット法、フォトリソグラフィー法等が挙げられる。また、金属層の場合には、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法等が挙げられる。
加飾層の厚みとしては、目的に応じて適宜選択される。
加飾層用基材上に加飾層が形成された加飾フィルムを用いる場合、加飾層用基材としては、上記ハードコート層用基材と同様のものを使用することができる。
また、加飾フィルムを用いる場合、透明樹脂基板上に加飾フィルムを配置する方法としては、例えば、直接または接着層を介して加飾フィルムを貼合する方法が挙げられる。接着層には、例えば、OCAと称される光学用透明接着剤を用いることができる。
B.タッチパネルセンサ
本発明のタッチパネルセンサは、タッチパネルセンサ部と、上記タッチパネルセンサ部上に配置された上述のタッチパネル保護用前面板とを有することを特徴とするものである。
図15は、本発明のタッチパネルセンサの一例を示す概略断面図である。図15におけるタッチパネルセンサ100は、タッチパネルセンサ部30と、タッチパネルセンサ30上に配置されたタッチパネル保護用前面板1とを有する。タッチパネルセンサ部30においては、透明樹脂基板31の両面にそれぞれ透明電極32、33および配線34、35がパターン状に形成されている。なお、タッチパネル保護用前面板1の構成については、上記「A.タッチパネル保護用前面板」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
本発明においては、上述のタッチパネル保護用前面板を有するので、耐擦傷性および防汚性に優れ、意匠性や操作性を向上させることができるタッチパネルセンサを得ることができる。
以下、本発明のタッチパネルセンサにおける各構成について説明する。
1.タッチパネルセンサ部
本発明に用いられるタッチパネルセンサ部としては、一般的なタッチパネルセンサ部を用いることができ、各構成部材の種類および層構成は特に限定されるものではない。例えば、図15に示したように、タッチパネルセンサ部30においては、透明樹脂基板31の両面にそれぞれ透明電極32、33および配線34、35がパターン状に形成されていてもよい。また、図示しないが、透明樹脂基板の一方の面に透明電極および配線がパターン状に形成され、その上に層間絶縁層が形成され、さらにその上に透明電極および配線がパターン状に形成されていてもよい。また、図示しないが、タッチパネル保護用前面板の透明樹脂基板上に直に透明電極および配線がパターン状に形成され、その上に層間絶縁層が形成され、さらにその上に透明電極および配線がパターン状に形成されていてもよい。また、透明電極および配線上にはオーバーコート層が形成されていてもよい。
2.タッチパネル保護用前面板
本発明に用いられるタッチパネル保護用前面板については、上記「A.タッチパネル保護用前面板」の項に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。
上述したように、タッチパネル保護用前面板が加飾層を有しており、加飾層が開口部を有する場合には、加飾のために、加飾層の開口部はタッチパネルセンサ部の配線上に配置されていることが好ましい。
C.タッチパネル保護用前面板の製造方法
本発明のタッチパネル保護用前面板の製造方法は、透明樹脂基板の成形方法により2つの実施態様に分けることができる。以下、各実施態様について説明する。
1.第1実施態様
本実施態様のタッチパネル保護用前面板の製造方法は、透明樹脂基板と、上記透明樹脂基板上に形成され、表面の少なくとも一部に、意匠性向上部位および操作性向上部位の少なくともいずれかである凹部または凸部を有する凹凸領域、および曲面を有する曲面領域の少なくともいずれかを有するハードコート層とを有するタッチパネル保護用前面板の製造方法であって、ハードコート層用基材上に電子線硬化性樹脂組成物を塗布し、電子線を照射して硬化し、ハードコート層を形成するハードコート層形成工程と、上記ハードコート層用基材および上記ハードコート層の積層体を射出成形型に配置し、上記射出成形型内に熱可塑性樹脂組成物を射出し固化して、上記積層体および透明樹脂基板を積層一体化する射出成形工程とを有することを特徴とする。
図16(a)〜(d)は本実施態様のタッチパネル保護用前面板の製造方法の一例を示す工程図である。まず、図示しないが、ハードコート層用基材4上に電子線硬化性樹脂組成物を塗布し、電子線硬化性樹脂組成物の塗膜上に、表面に凹部および凸部を有する賦型フィルムを圧着し、賦型フィルム側から電子線を照射して硬化させた後、賦型フィルムを剥離し、図16(a)に示すように、表面に凹部11aおよび凸部11bを有する凹凸領域10を有するハードコート層3を形成して、ハードコート層用基材4およびハードコート層3の積層体9を得る。次に、図16(b)に示すように、ハードコート層用基材4およびハードコート層3の積層体9をハードコート層3が射出成形型51に接するように配置し、図16(c)に示すように、射出成形型51内にシリンダー52から溶融された熱可塑性樹脂組成物2Aを射出し、冷却する。その後、射出成形型51から取り出して、図16(d)に示すように、積層体9上に、段差部15を有する透明樹脂基板2が形成される。このようにしてタッチパネル保護用前面板1が製造される。例えば凹部11bは上述の図2(a)に示すような操作性向上部位であり、または凹部11aは上述の図2(b)に示すような意匠性向上部位であるため、製造されたタッチパネル保護用前面板をタッチパネルに用いることにより、高い意匠性や操作性を付与することができる。
図17(a)〜(e)は本実施態様のタッチパネル保護用前面板の製造方法の他の例を示す工程図である。まず、図17(a)に示すように、表面に凹部および凸部を有するハードコート層用基材4上に電子線硬化性樹脂組成物を塗布し、電子線硬化性樹脂組成物の塗膜側から電子線を照射して硬化させ、ハードコート層用基材4およびハードコート層3の積層体9を得る。次に、図17(b)に示すように、ハードコート層用基材4およびハードコート層3の積層体9をハードコート層用基材4が射出成形型51に接するように配置し、図17(c)に示すように、射出成形型51内にシリンダー52から溶融された熱可塑性樹脂組成物2Aを射出し、冷却する。その後、射出成形型51から取り出して、図17(d)に示すように、積層体9上に、段差部15を有する透明樹脂基板2が形成される。次に、図17(d)に示すように、ハードコート層3からハードコート層用基材4を剥離して、図17(e)に示すように、表面に凹部11aおよび凸部11bを有する凹凸領域10を有するハードコート層3が形成される。このようにしてタッチパネル保護用前面板1が製造される。例えば凹部11bは上述の図2(a)に示すような操作性向上部位であり、または凹部11aは上述の図2(b)に示すような意匠性向上部位であるため、製造されたタッチパネル保護用前面板をタッチパネルに用いることにより、高い意匠性や操作性を付与することができる。
本実施態様においては、電子線硬化性樹脂組成物を電子線照射により硬化させてハードコート層を形成するので、耐擦傷性および防汚性に優れるタッチパネル保護用前面板を得ることができる。また、電子線照射により硬化させるので、硬度を低下させることなく、表面に上記の凹凸領域や曲面領域を有するハードコート層を形成することができ、意匠性や操作性を向上させることができる。さらに、ハードコート層が強度に優れることから、射出成形工程では成形時の応力によってハードコート層に割れが発生するのを抑制することができる。したがって、種々の形状に透明樹脂基板を成形することが可能になる。
以下、本実施態様のタッチパネル保護用前面板の製造方法における各工程について説明する。
(1)ハードコート層形成工程
本実施態様におけるハードコート層形成工程は、ハードコート層用基材上に電子線硬化性樹脂組成物を塗布し、電子線を照射して硬化し、ハードコート層を形成する工程である。
電子線硬化性樹脂組成物としては、上記「A.タッチパネル保護用前面板 1.ハードコート層」の項に記載したものを用いることができる。また、ハードコート層用基材については、上記「A.タッチパネル保護用前面板 3.ハードコート層用基材」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
電子線硬化性樹脂組成物の塗布方法としては、例えば、スピンコート、ロールコート、バーコート等の公知の方法を挙げることができる。
電子線の照射には、例えば、コッククロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーをもつ電子線が用いられる。
表面に凹凸領域を有するハードコート層を形成する方法としては、ハードコート層用基材上に電子線硬化性樹脂組成物を塗布し、塗膜に凹部または凸部を賦形し、電子線を照射して硬化させる方法を用いることができる。凹部または凸部の賦形方法としては、例えば、賦型フィルムを用いて凹部または凸部を転写する方法、エンボス加工等が挙げられる。
また、表面に曲面領域を有するハードコート層を形成する方法としては、ハードコート層用基材上に電子線硬化性樹脂組成物を塗布し、塗膜に曲面を賦形し、電子線を照射して硬化させる方法を用いることができる。曲面の賦形方法としては、例えば、プレス加工、真空成形、圧空成形、ヒートプレス成形等が挙げられる。
なお、形成されるハードコート層については、上記「A.タッチパネル保護用前面板 1.ハードコート層」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
(2)射出成形工程
本実施態様における射出成形工程は、上記ハードコート層用基材および上記ハードコート層の積層体を射出成形型に配置し、上記射出成形型内に熱可塑性樹脂組成物を射出し固化して、上記積層体および透明樹脂基板を積層一体化する工程である。
熱可塑性樹脂組成物としては、上記「A.タッチパネル保護用前面板 2.透明樹脂基板」の項に記載した熱可塑性樹脂組成物を用いることができる。
熱可塑性樹脂組成物を射出成形する際の温度や圧力等としては、熱可塑性樹脂組成物の種類等に応じて適宜選択される。
透明樹脂基板が複数の透明樹脂層が積層されたものである場合には、熱可塑性樹脂組成物の射出成形を複数回行ってもよい。また、透明樹脂基板が複数の透明樹脂層が積層されたものである場合、射出成形された透明樹脂層上に、別の熱可塑性樹脂組成物を塗布して透明樹脂層を形成する、あるいは、直接または接着層を介して別の透明樹脂層を貼合してもよい。
なお、形成される透明樹脂基板については、上記「A.タッチパネル保護用前面板 2.透明樹脂基板」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
(3)その他の工程
本実施態様においては、上記のハードコート層形成工程および射出成形工程の他に、加飾層を形成する工程やハードコート層用基材を剥離する工程等を有することができる。
2.第2実施態様
本実施態様のタッチパネル保護用前面板の製造方法は、透明樹脂基板と、上記透明樹脂基板上に形成され、表面の少なくとも一部に、意匠性向上部位および操作性向上部位の少なくともいずれかである凹部または凸部を有する凹凸領域、および曲面を有する曲面領域の少なくともいずれかを有するハードコート層とを有するタッチパネル保護用前面板の製造方法であって、ハードコート層用基材上に電子線硬化性樹脂組成物を塗布し、電子線を照射して硬化し、ハードコート層を形成するハードコート層形成工程と、熱可塑性樹脂組成物を押出成形して、透明樹脂基板を形成する押出成形工程と、上記ハードコート層用基材および上記ハードコート層の積層体に上記透明樹脂基板を融着させる積層工程とを有することを特徴とする。
図18(a)〜(d)は本実施態様のタッチパネル保護用前面板の製造方法の一例を示す工程図である。まず、図示しないが、ハードコート層用基材4上に電子線硬化性樹脂組成物を塗布し、電子線硬化性樹脂組成物の塗膜上に、表面に凹部および凸部を有する賦型フィルムを積層し、賦型フィルム側から電子線を照射して硬化させた後、賦型フィルムを剥離し、図16(a)に示すように、表面に凹部11aおよび凸部11bを有する凹凸領域10を有するハードコート層3を形成して、ハードコート層用基材4およびハードコート層3の積層体9を得る。また、図18(a)に示すように、熱可塑性樹脂組成物を押出成形して、透明樹脂基板2を形成する。次に、図18(b)に示すように、ハードコート層用基材4およびハードコート層3の積層体9に透明樹脂基板2を融着させる。次に、図18(c)に示すように、金型53を用いて透明樹脂基板2にエンボス加工を行い、図18(d)に示すように、段差部15を有する透明樹脂基板2を形成する。このようにしてタッチパネル保護用前面板1が製造される。例えば凹部11bは上述の図2(a)に示すような操作性向上部位であり、または凹部11aは上述の図2(b)に示すような意匠性向上部位であるため、製造されたタッチパネル保護用前面板をタッチパネルに用いることにより、高い意匠性や操作性を付与することができる。
本実施態様においては、上記第1実施態様と同様に、耐擦傷性および防汚性に優れ、意匠性や操作性を向上させることができるタッチパネル保護用前面板を得ることができる。
なお、ハードコート層形成工程については、上記第1実施態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。以下、本実施態様のタッチパネル保護用前面板の製造方法における他の工程について説明する。
(1)押出成形工程
本実施態様における押出成形工程は、熱可塑性樹脂組成物を押出成形して、透明樹脂基板を形成する工程である。
熱可塑性樹脂組成物としては、上記「A.タッチパネル保護用前面板 2.透明樹脂基板」の項に記載した熱可塑性樹脂組成物を用いることができる。
熱可塑性樹脂組成物を押出成形する際の温度や圧力等としては、熱可塑性樹脂組成物の種類等に応じて適宜選択される。
透明樹脂基板が複数の透明樹脂層が積層されたものである場合には、熱可塑性樹脂組成物を共押出成形してもよい。また、透明樹脂基板が複数の透明樹脂層が積層されたものである場合、押出成形された透明樹脂層上に、別の熱可塑性樹脂組成物を塗布して透明樹脂層を形成する、あるいは、直接または接着層を介して別の透明樹脂層を貼合してもよい。
なお、形成される透明樹脂基板については、上記「A.タッチパネル保護用前面板 2.透明樹脂基板」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
(2)積層工程
本実施態様における積層工程は、上記ハードコート層用基材および上記ハードコート層の積層体に上記透明樹脂基板を融着させる工程である。
積層体に透明樹脂基板を融着させる際の温度や圧力等としては、熱可塑性樹脂組成物の種類等に応じて適宜選択される。
(3)段差部形成工程
本実施態様においては、上記積層工程後に、透明樹脂基板に段差部を形成する工程を行ってもよい。
また、透明樹脂基板への段差部の形成と、ハードコート層への凹凸領域または曲面領域の形成とを同時に行うこともできる。
段差部の形成方法としては、例えば、エンボス加工、プレス加工等が挙げられる。
段差部を形成する際の温度や圧力等としては、熱可塑性樹脂組成物の種類等に応じて適宜選択される。
なお、形成される段差部については、上記「A.タッチパネル保護用前面板 2.透明樹脂基板」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
(4)その他の工程
本実施態様においては、上記のハードコート層形成工程、押出成形工程および積層工程の他に、加飾層を形成する工程やハードコート層用基材を剥離する工程等を有することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実験例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
[実験例1]
(ハードコート層の形成)
まず、下記表1に準じて硬化性樹脂組成物を調製した。
表1における硬化性樹脂組成物の成分を下記に示す。
・Si分散液:日揮触媒化成(株)製 Si分散材 DP−1222、一次粒子径12μm
・開始剤:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製 ラジカル重合開始剤 イルガキュア907
・レベリング剤:DIC(株)製 レベリング剤 TF1682
・添加モノマー:ペンタエリスリトールトリアクリレート
・溶剤:プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート
次に、透明基材として厚み100μmの東レ製のPETフィルムを用い、この透明基材上に硬化性樹脂組成物を硬化後の厚みが14μmになるようにバーコーターで塗布した。次いで、硬化性樹脂組成物が塗布されたPETフィルムを80℃で3分間加熱した後、下記表1に示す方法にて硬化性樹脂組成物を硬化させ、ハードコート層を形成した。
(透明樹脂基板の形成)
上記のハードコート層が形成されたPETフィルムを、ハードコート層の面が外側になるよう射出成形の金型内に入れ、熱可塑性樹脂組成物を射出形成し、ハードコート層が形成されたPETフィルムと透明樹脂基板とを積層一体化させた。これにより、タッチパネル保護用前面板を得た。
(評価)
得られたタッチパネル保護用前面板のハードコート層について、鉛筆硬度および指紋拭き取り性の評価を行った。
(鉛筆硬度試験)
JIS K5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験(4.9N荷重)で評価した。
(指紋拭き取り性試験)
ハードコート層表面にオレイン酸を塗った指を押し当て、東レ製のトレシーMKクリーンクロスを用いて3回拭き取り、その拭き取り易さを目視で判定した。評価基準は以下の通りとした。
◎:指紋が付かない。
○:指紋が拭き取れる。
△:指紋が拭き取れない。
Figure 2014071355
実験例1−1のハードコート層は防汚性がやや劣るものの、表面に指を押し当てても指紋が付きにくく、付いた指紋も容易に拭き取ることができた。実験例1−2、1−3のハードコート層は防汚性に優れ、表面に指を押し当てても指紋が付かなかった。一方、比較例1−1、1−2のハードコート層は防汚性に劣り、表面に指を押し当てると明瞭な指紋が付いたうえに、容易に拭き取ることができなかった。電子線硬化技術は、紫外線硬化技術と比較して、タッチパネル保護用前面板におけるハードコート層の形成に有利であることが確認された。
[実験例2]
下記に示すように透明樹脂基板を形成したこと以外は実験例1と同様にしてタッチパネル保護用前面板を作製した。
(透明樹脂基板の形成)
上記のハードコート層が形成されたPETフィルムを、ハードコート層の面が内側になるよう射出成形の金型内に入れ、熱可塑性樹脂組成物を射出形成し、ハードコート層が形成されたPETフィルムと透明樹脂基板とを積層一体化させた。その後、PETフィルムを剥離することで、タッチパネル保護用前面板を得た。
(評価)
得られたタッチパネル保護用前面板のハードコート層について、実験例1と同様に鉛筆硬度および指紋拭き取り性の評価を行ったところ、同様の結果が得られた。
1 … タッチパネル保護用前面板
2 … 透明樹脂基板
3 … ハードコート層
4 … ハードコート層用基材
5 … 加飾層用基材
6 … 加飾層
7 … 加飾フィルム
10 … 凹凸領域
11a … 凹部
11b … 凸部
15 … 段差部
20 … 曲面領域
21 … 曲面
30 … タッチパネルセンサ部
100 … タッチパネルセンサ

Claims (9)

  1. 熱可塑性樹脂組成物を含有する透明樹脂基板と、
    前記透明樹脂基板上に形成され、電子線硬化性樹脂組成物が硬化されてなるハードコート層と
    を有するタッチパネル保護用前面板であって、
    前記ハードコート層が、表面の少なくとも一部に、意匠性向上部位および操作性向上部位の少なくともいずれかである凹部または凸部を有する凹凸領域、および曲面を有する曲面領域の少なくともいずれかを有することを特徴とするタッチパネル保護用前面板。
  2. 前記透明樹脂基板が、前記ハードコート層が形成されていない側の面に、段差部を有することを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル保護用前面板。
  3. 前記透明樹脂基板と前記ハードコート層との間にハードコート層用基材が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のタッチパネル保護用前面板。
  4. 前記ハードコート層用基材と前記ハードコート層との間に加飾層が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のタッチパネル保護用前面板。
  5. 前記透明樹脂基板の前記ハードコート層が形成されていない側の面に、加飾層用基材上に加飾層が形成された加飾フィルムが形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載のタッチパネル保護用前面板。
  6. 前記加飾層が開口部を有することを特徴とする請求項4または請求項5に記載のタッチパネル保護用前面板。
  7. タッチパネルセンサ部と、
    前記タッチパネルセンサ部上に配置された請求項1から請求項6までのいずれかに記載のタッチパネル保護用前面板と
    を有することを特徴とするタッチパネルセンサ。
  8. 透明樹脂基板と、前記透明樹脂基板上に形成され、表面の少なくとも一部に、意匠性向上部位および操作性向上部位の少なくともいずれかである凹部または凸部を有する凹凸領域、および曲面を有する曲面領域の少なくともいずれかを有するハードコート層とを有するタッチパネル保護用前面板の製造方法であって、
    ハードコート層用基材上に電子線硬化性樹脂組成物を塗布し、電子線を照射して硬化し、ハードコート層を形成するハードコート層形成工程と、
    前記ハードコート層用基材および前記ハードコート層の積層体を射出成形型に配置し、前記射出成形型内に熱可塑性樹脂組成物を射出し固化して、前記積層体および透明樹脂基板を積層一体化する射出成形工程と
    を有することを特徴とするタッチパネル保護用前面板の製造方法。
  9. 透明樹脂基板と、前記透明樹脂基板上に形成され、表面の少なくとも一部に、意匠性向上部位および操作性向上部位の少なくともいずれかである凹部または凸部を有する凹凸領域、および曲面を有する曲面領域の少なくともいずれかを有するハードコート層とを有するタッチパネル保護用前面板の製造方法であって、
    ハードコート層用基材上に電子線硬化性樹脂組成物を塗布し、電子線を照射して硬化し、ハードコート層を形成するハードコート層形成工程と、
    熱可塑性樹脂組成物を押出成形して、透明樹脂基板を形成する押出成形工程と、
    前記ハードコート層用基材および前記ハードコート層の積層体に前記透明樹脂基板を融着させる積層工程と
    を有することを特徴とするタッチパネル保護用前面板の製造方法。
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