以下、図面を適宜参照して、本開示の実施の形態について、詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、すでによく知られた事項の詳細説明及び実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の記載の主題を限定することは意図されていない。
(実施の形態1)
<車両の構成>
図1は、実施の形態1に係る車両1Aの構成の一例を示す模式図である。図2は、実施の形態1に係る車両1Aが備える装置の構成の一例を示すブロック図である。なお、後述する車両1B及び車両1C等も、図1及び図2に示す車両1Aと同様の構成を有してよい。
車両1Aは、エンジン又はモータといった駆動部3と、少なくとも第1車輪2A及び第2車輪2Bとを備える。駆動部3が第1車輪2A及び第2車輪2Bの少なくとも1つを回転駆動させることにより、車両1Aは進行可能である。車両1Aが4輪を備える場合、第1車輪2Aは前輪、第2車輪2Bは後輪であってよい。ただし、車両1Aは、4輪を備える場合に限られず、1~3輪、又は、5輪以上を備えてもよい。
車両1Aは、先進支援運転システム(ADAS;Advanced Driver-Assistance Systems)を備えてよい。又は、車両1Aは、自動運転機能を備えてよい。車両1Aが備える自動運転機能の自動運転レベルは、レベル0~レベル5のいずれであってもよい。又は、車両1Aは、ADAS及び自動運転機能の両方を備えてもよいし、いずれも備えなくてもよい。
車両1Aは、位置検出回路11、カメラ装置12、LiDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)13、ミリ波レーダ14、転舵回路15、アクセラレータ回路16、ブレーキ回路17、無線通信回路18、制御装置100、及び、HMI(Human Machine Interface)装置20を備える。これらの装置11~18、20、100は、1又は複数のECU(Electronic Control Unit)として構成されてもよい。また、これらの装置11~18、20、100は、車両1A内に備えられる通信ネットワークを通じて、互いに情報を送受信できてよい。車両1A内に備えられる通信ネットワークの例として、CAN(Controller Area Network)、LIN、及び、FlexRayが挙げられる。
位置検出回路11は、車両1Aの位置情報を取得可能である。例えば、位置検出回路11は、全地球航法衛星システム(GNSS(Global Navigation Satellite System))を用いて車両1Aの位置を測定し、その測定された車両1Aの位置を示す位置情報を取得する。位置情報は、測定された時刻と、当該時刻に測定された経度及び緯度とを含んでよい。
カメラ装置12は、車両1Aの周囲を撮影し、周囲画像を生成する。周囲画像は静止画像及び動画像のいずれであってもよい。図1に示すように、車両1Aは、複数のカメラ装置12を備え、各カメラ装置12の撮影画像を変形及び合成することにより、周囲画像を生成してよい。あるいは、車両1Aは、全方位を撮影可能なカメラ装置12を備え、当該カメラ装置12の撮影画像を変形することにより、周囲画像を生成してもよい。カメラ装置12によって生成された周囲画像は、車両1Aの周囲に存在する物体の検出に用いられてよい。車両1Aの周囲に存在する物体(障害物)の例として、他の車両、歩行者、自転車、及び、設置物等が挙げられる。
LiDAR13は、車両1Aの周囲にレーザ光を照射して、その反射光を測定することにより、車両1Aの周囲に存在する物体を検出する装置である。
ミリ波レーダ14は、車両1Aの周囲にミリ波の電波を照射して、その反射波を測定することにより、車両1Aの周囲に存在する物体を検出する装置である。
車両1Aは、カメラ装置12、LiDAR13及びミリ波レーダ14を相互補完的に利用して、車両1Aの周囲に存在する物体を検出してよい。あるいは、車両1Aは、カメラ装置12、LiDAR13及びミリ波レーダ14のうちの少なくとも1つを備え、その少なくとも1つの装置から得た情報を用いて、車両1Aの周囲に存在する物体を検出してもよい。カメラ装置12、LiDAR13及びミリ波レーダ14は、上述の通り、物体の検出に用いられる装置の一例であるので、物体検出装置と読み替えられてもよい。
転舵回路15は、車両1Aが備える第1車輪2A及び第2車輪2Bの内、少なくとも1つを転舵可能な回路である。例えば、転舵回路15は、第1車輪2A(前輪)の転舵を制御して、車両1Aがカーブする方向(例えば右方向へのカーブ又は左方向へのカーブ)を制御する。
アクセラレータ回路16は、アクセラレータを制御して、車両1Aの加速及び減速を制御する回路である。車両1Aが運転者によって操縦される場合、アクセラレータ回路16は、運転者によるアクセラレータ操作に応じて、車両1Aの加速及び減速を制御してよい。車両1AがADAS又は自動運転機能によって操縦される場合、アクセラレータ回路16は、制御装置100からの指示に応じて、車両1Aの加速及び減速を制御してよい。
ブレーキ回路17は、ブレーキを制御して、車両1Aの減速及び停止を制御する回路である。車両1Aが運転者によって操縦される場合、ブレーキ回路17は、運転者によるブレーキ操作に応じて、車両の減速及び停止を制御してよい。車両1AがADAS又は自動運転機能によって操縦される場合、ブレーキ回路17は、制御装置100からの指示に応じて、車両1Aの減速及び停止を制御してよい。
無線通信回路18は、アンテナ19を通じて、他の車両1B及び車両1C(図5、図7、図9参照)と無線通信可能な回路である。なお、車両1Bは第1車両、車両1Cは第2車両と読み替えられてもよい。無線通信回路18は、V2X通信が可能な回路であってよい。無線通信回路18は、V2X通信として、送信用の情報を、アンテナ19を通じて車両1Aの周囲にブロードキャストで送信してよい。また、V2X通信は、車車間(V2V;Vehicle to Vehicle)通信、車歩行者間(V2P;Vehicle to Pedestrian)通信、路車間(V2I;Vehicle to Infrastructure)通信、及び、車ネットワーク間(V2N;Vehicle to Network)通信のいずれであってもよい。V2X通信方式の例として、DSRC(Dedicated Short Range Communications)、C-V2X(Cellular-V2x)が挙げられる。V2X通信方式は、4G又は5Gに対応するものであってもよい。
制御装置100は、車両1Aの挙動を制御する装置である。車両1Aに搭載される制御装置100の数は、1つに限られず、複数であってもよい。制御装置100は、制御回路101を備えてよい。制御回路101は、CPU(Central Processing Unit)、プロセッサ、コントローラ、演算回路といった他の用語に読み替えられてもよい。制御回路101には、記憶回路102が接続されてよい。記憶回路102は、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、又はそれらの組み合わせとして構成されてもよい。制御回路101は、記憶回路102に記録されたデータ及びコンピュータプログラムを読み出して実行することにより、実施の形態1に係る車両1A及び制御装置100が有する機能を実現してもよい。また、実施の形態1に係る車両1A及び制御装置100が有する機能は、1つの制御回路101にて実現される場合に限られず、複数の制御回路101の連携によって実現されてもよい。
制御回路101は、位置検出回路11、カメラ装置12、LiDAR13及びミリ波レーダ14の少なくとも1つから受信した情報に基づいて、車両1Aの運転支援又は自動運転を実現してよい。
制御回路101は、転舵回路15、アクセラレータ回路16及びブレーキ回路17を通じて、車両1Aの転舵方向、進行速度、発進及び停止等を制御し、設定された予定経路に従って車両1Aを進行させる。したがって、予定経路を示す情報は、車両1Aが今後進行する経路(軌道)を示す情報であり、例えば、車両1Aの現在及び今後の位置を示す少なくとも1つの位置情報と、車両1Aの現在及び今後の方向を示す少なくとも1つの方向情報とを含んでよい。同様に、後述する第1予定経路201及び第2予定経路202(図5、図7、図9参照)を示す情報も、それぞれ、車両1Aの現在及び今後の位置を示す少なくとも1つの位置情報と、車両1Aの現在及び今後の位置を示す少なくとも1つの方向情報とを含んでよい。
例えば、車両1Aの制御回路101は、第1予定経路201が設定された場合、当該第1予定経路201にしたがって車両1Aを進行させる。第1予定経路201で進行中に、無線通信回路18が車両1B(第1車両)の予定経路200(図5、図7、図9参照)を当該車両1Bから受信し、第1予定経路201と車両1Bの予定経路200とを基に、車両1Bと衝突の可能性が一定以上あると判定した場合、第1予定経路201と異なる第2予定経路202を作成し、第2予定経路202で進行を開始するとともに、他の車両1Cに、車両1Bの予定経路200と、第2予定経路202とを送信する。
車両1Bの予定経路200と第2予定経路202を受信した車両1Cは、車両1Bの予定経路200と第2予定経路202とを基に、制御を行うことが可能であってよい。
ここで、第1予定経路201と車両1Bの予定経路200とを基に判定した車両1Aと車両1Bと衝突の可能性を第1の可能性とし、第2予定経路202と車両1Bの予定経路200とを基にした車両1Aと車両1Bとの衝突の可能性を第2の可能性とすると、第2の可能性は、第1の可能性よりも低くてよい。すなわち、車両1Aは、第1予定経路201よりも、第2予定経路202にしたがって進行した方が、車両1Bとの衝突の可能性が低くてよい。別言すると、第2予定経路202は、車両1Bとの衝突を回避可能な経路であってよい。したがって、第2予定経路202は、回避予定経路と読み替えられてもよい。
HMI装置20は、車両1Aの運転者又は搭乗者に向けて、ADAS及び/又は自動運転等に関する情報を提供する装置である。HMI装置20は、ディスプレイ装置(例えばヘッドアップディスプレイ装置)を備えてよい。この場合、HMI装置20は、上述した第1予定経路201又は第2予定経路202を示す情報(画像)を、ディスプレイ装置に表示してよい。
図3は、実施の形態1に係る車車間のV2X通信のデータフォーマットの一例を示す図である。実施の形態1では、図3に示すデータフォーマットを用いてV2X通信にて送信される情報を、V2X情報と称する。図3の説明では、車両1BがV2X情報を送信する場合について説明するが、車両1A又は車両1CがV2X情報を送信する場合も同様である。
図2に示すように、V2X情報は、データ項目として、回避予定フラグ、予定経路、精密位置、及び、車種サイズを有してよい。
回避予定フラグには、V2X情報のデータ項目「予定経路」に、第1予定経路201又は第2予定経路202の何れが格納されているかを示すフラグが格納される。例えば、回避予定フラグ「0」は、V2X通信のデータ項目「予定経路」に第1予定経路201が格納されていることを示し、回避予定フラグ「1」は、V2X通信のデータ項目「予定経路」に第2予定経路202が格納されていることを示す。
予定経路には、V2X通信を送信する車両1Bの予定経路を示す情報が格納される。例えば、予定経路には、第1予定経路201又は第2予定経路202が格納される。当該予定経路は、例えば、車両1Bの進行、左折、右折、回避カーブ等といった車両の今後の進行軌道を示す情報を含んでよい。
精密位置には、V2X情報を送信する車両1Bの精密な位置を示す情報が格納される。例えば、精密位置には、車両1Bの輪郭を示す情報(以下、車両輪郭情報という)が格納される。車両輪郭情報は、図5~図9に示すように、上から見た車両1Bを包含する矩形の4つの頂点の位置を示す情報であってよい。
車種サイズには、V2X通信を送信する車両1Bの車種又はサイズを示す情報が格納される。例えば、車両1Bが乗用車である場合、車種サイズには、「乗用車」を示す情報が格納される。なお、車種サイズには、「トラック」、「バス」といった情報が格納されてもよい。
<車両が実行する処理>
図4は、実施の形態1に係る車両1A、1B、1Cが実行する処理の一例を示すフローチャートである。車両1A、1B、1Cは、それぞれ、図4に示す処理を繰り返し実行してよい。また、図4の説明において、車両1A、1B、1Cが主体の処理は、車両1A、1B、1Cが備える制御装置100又は制御回路101が主体の処理に読み替えられてもよい。
また、車両1A、車両1B、車両1Cは、例えば、後述する図5、図7又は図9に例示するような位置関係であってよい。すなわち、車両1Bは、車両1Aの進行方向の先に位置し、車両1Cは、車両1Aの後続に位置してよい。
<<車両1Bの処理>>
まず、車両1Bが実行する処理について説明する。
車両1Bは、予定経路200にて進行中(S101)、直後に(又は今から所定時間内に)、他の車両1A、1Cにとって障害となり得る挙動を行うか否かを判定する(S102)。車両1Bは、直後に(又は今から所定時間内に)、他の車両1A、1Cにとって障害となり得る挙動を行わない場合(S102:NO)、本処理を終了する。車両1Bは、直後に(又は今から所定時間内に)、他の車両1A、1Cにとって障害となり得る挙動を行う場合(S102:YES)、S103の処理を行う。
例えば、車両1Bが脇道から幹線道路に進出する場合、車両1Bは幹線道路を進行中の他の車両1A、1Cにとって障害となり得るので、S102の判定はYESとなる。なお、この場合の車両1A、1B、1Cの挙動の具体例については、後に図5を参照して詳述する。
例えば、車両1Bが交差点を左折している途中で一時停止する場合、車両1Bは当該車両1Bに後続して進行中の他の車両1A、1Cにとって障害となり得るので、S102の判定はYESとなる。なお、この場合の車両1A、1B、1Cの挙動の具体例については、後に図7を参照して詳述する。
例えば、車両1Bが交差点を右折している途中で一時停止する場合、車両1Bは当該車両1Bに後続して進行中の他の車両1A、1Cにとって障害となり得るので、S102の判定はYESとなる。なお、この場合の車両1A、1B、1Cの挙動の具体例については、後に図9を参照して詳述する。
S103として、車両1Bは、回避予定フラグ「0」、当該車両1Bの予定経路200、当該車両1Bの精密位置(車両輪郭情報)、及び、当該車両1Bの車種サイズを含むV2X情報を、V2X通信にて送信する(S103)。
<<車両1Aの処理>>
次に、車両1Aが実行する処理について説明する。
例えば、車両1Aは、第1予定経路201にて進行中(S201)、車両1BがS103にて送信したV2X情報をV2X通信にて受信する(S202)。
この場合、車両1Aは、当該車両1Aの第1予定経路201と、V2X情報に含まれる車両1Bの予定経路200とを分析し、第1予定経路201による進行を続けた場合、車両1Bとの衝突の可能性(確率)が一定以上(例えば所定の閾値以上)あるか否かを判定する(S203)。
車両1Aは、車両1Bとの衝突の可能性が一定未満であると判定した場合(S203:NO)、本処理を終了する。すなわち、車両1Aは、引き続き、第1予定経路201にて進行する。
車両1Aは、車両1Bとの衝突の可能性が一定以上であると判定した場合(S203:YES)、車両1Bを回避可能な第2予定経路202を生成可能であるか否かを判定する
(S204)。例えば、車両1Aは、当該車両1Bの予定経路200、及び、車両1Aの周囲の状況等に基づいて、車両1Bを回避可能な第2予定経路202を生成可能であるか否かを判定する。なお、当該判定方法の具体例については、後に図5、図7、図9を参照して詳述する。
車両1Aは、車両1Bを回避可能な第2予定経路202を生成不可能と判定した場合(S204:NO)、車両1Bの手前で一時停止する(S205)。そして、車両1Aは、車両1Bによる障害が解消された後、引き続き、第1予定経路201にて進行する。
車両1Aは、車両1Bを回避可能な第2予定経路202を生成可能であると判定した場合(S204:YES)、車両1Bを回避する第2予定経路202を生成し、第2予定経路202にて運転支援又は自動運転を行うことをHMI装置20に表示する(S206)。
車両1Aは、車両1BのV2X情報と、回避予定フラグが「1」であり車両1Aの第2予定経路202を含むV2X情報とを、V2X通信にて送信する(S207)。これにより、車両1Aに後続する他の車両1Cに、車両1Bの予定経路200、及び、車両1Aの第2予定経路202を送信できる。
車両1Aは、第2予定経路202にしたがって進行し、車両1Bを回避する(S208)。車両1Aは、車両1Bを回避して通過した後、車両1Bの回避を完了したことをHMI装置20に表示する(S209)。そして、車両1Aは、第1予定経路201にて進行を続ける。
上述した処理によれば、車両1Aは、当該車両1Aにとって障害となり得る車両1Bから、前もって予定経路200、精密位置(車両輪郭情報)、及び、車種サイズを含むV2X情報を受信できるので、余裕をもって車両1Bを回避可能な第2予定経路202を生成することができる。すなわち、車両1Aは、第2予定経路202にしたがって進行することにより、進行先に存在する障害物の一例である車両1Bとの衝突をスムーズに回避することができる。
<<車両1Cの処理>>
次に、車両1Cが実行する処理について説明する。
例えば、車両1Cは、第1予定経路201にて進行中(S301)、車両1AがS207にて送信した、車両1BのV2X情報、及び、車両1Aの第2予定経路202を含むV2X情報を、V2X通信にて受信する(S302)。なお、車両1Cの第1予定経路201は、上記の車両1Aの第1予定経路201と共通であってもよいし、異なってもよい。
この場合、車両1Cは、車両1Aの第2予定経路202を参照して自動運転を行うことをHMI装置20に表示する(S303)。
車両1Cは、車両1BのV2X情報、及び、車両1Aの第2予定経路202を含むV2X情報を、V2X通信にて送信する(S304)。これにより、車両1Cに後続する他の車両1Dにも、車両1Bの予定経路200、及び、車両1Aの第2予定経路202を送信することができる。
車両1Cは、第2予定経路202にしたがって進行し、車両1Bを回避する(S305)。車両1Cは、車両1Bを回避して通過した後、車両1Bの回避を完了したことをHMI装置20に表示する(S306)。そして、車両1Cは、第1予定経路201にて進行を続ける。
このように、車両1Aに後続する他の車両1C等は、車両1AからV2X通信にて転送される車両1Bの予定経路200、及び、車両1Aの第2予定経路202を用いて、車両1Aと同様に、進行先に存在する車両1Bとの衝突をスムーズに回避することができる。
<障害となっている車両を回避する具体例>
図5は、脇道から幹線道路に進出する車両1Bを車両1Aが回避する例を説明するための図である。
車両1Bが急に前方の脇道から幹線道路に車を出して一時停止した場合、車両1Aの進路において車両1Bが障害物となり、車両1Aと車両1Bとが衝突する危険が生ずる。一方で、車両1Aが単に衝突の警報を出力して急に止まる場合、急ブレーキにより、後続する車両1Cとの衝突の可能性、及び、後続する車両1Cの走行を止めることによる渋滞の発生の可能性が生じる。そのため、車両1Aは、少し右に曲がって車両1Bを回避して通過する方が好ましい場面がある。また、後続する車両1Cも、車両1Aと同じく曲がって車両1Bを回避する方が好ましい場面がある。それにより、衝突防止と渋滞防止の両立を図ることができる。
実施の形態1では、障害物となる車両1Bが、今後進行する予定経路、精密位置(車両輪郭情報)、及び、車種サイズを含むV2X情報を、周辺の車両1A、1Cにブロードキャストで送信する。例えば、車両1Bは、脇道から幹線道路に頭を出すタイミングで、V2X情報を送信する。その付近に存在する車両1Aは、障害物となる車両1Bの予定経路、及び、精密位置を受信し、当該車両1Aの直進経路との衝突の危険度を判断すると共に、自車車線と隣接車線の後続車両の有無、及び、車車間スペースを判断し、停止するか、それとも、曲がって車両1Bを回避するかを決定する。曲がって車両1Bを回避すると決定した場合、車両1Aは、その決定に基づいて、曲がって車両1Bを回避する。曲がって回避する際、車両1Aは、ウィンカーを自動で点滅させると共に、HMI装置20のディスプレイに、障害物を曲がって回避することを示す今後の進行軌道(第2予定経路)を表示する。また、車両1Aは、当該車両1Aが曲がって回避する予定経路(第2予定経路)を含むV2X情報を後続の車両1Cに送信してよい。後続の車両1Cは、その受信したV2X情報に含まれる第2予定経路と同じように曲がって、障害物となる車両1Bを回避する。なお、上述した障害物回避ための走行経路の共有及び操舵回避操作は、後続するすべての車両1C等が障害物を通過するまで、又は、障害物となっている車両1Bの位置が変わるまで、継続的に行われてよい。
例えば、車両1Bは、脇道から幹線道路に車両1Bの頭を出すタイミングで、V2X情報をV2X通信にて送信する(S103)。
幹線道路を進行中の車両1Aは、車両1Bから、V2X情報をV2X通信にて受信し(S202)、第1予定経路201のままでは車両1Bと衝突する可能性がある場合(S203:YES)、次の処理を行う。すなわち、車両1Aは、車両1Bの予定経路200、車両輪郭情報、及び、車種サイズと、周囲の状況とに基づいて、車両1Bを回避可能な第2予定経路202を生成可能であるか否かを判定する(S204)。
例えば、図5に示す状況の場合、第2予定経路202は、幹線道路にはみ出している車両1Bの車両輪郭(矩形210)を回避するようにいったん右前方にカーブし、車両1Bの右側を通過後に左前方にカーブして元の車線に戻るような経路であってよい。なお、第2予定経路202は、幹線道路にはみ出している車両1Bの車両輪郭(矩形210)を回避するようにハンドルを切り(操舵し)、いったん右前方に曲がり、車両1Bの右側を通過後に左前方に曲がり戻して、回避経路のカーブに沿って走行し、元の車線に戻るような経路であってもよい。
例えば、車両1Aは、第2予定経路202にしたがって進行したとしても、車両1Bとは異なる他の車両1Dとも衝突せず、他の車両1Dの進行も妨げない場合、第2予定経路202を生成可能と判断してよい。例えば、図5に示す状況の場合、車両1Aは、当該車両1Aの右側に他の車両1Dが存在せず、かつ、右側の隣接車線の当該車両1Aよりも後方に存在する他の車両1Dとの距離が十分である(例えば所定の閾値以上である)場合、第2予定経路202を生成可能と判定してよい。
反対に、車両1Aは、当該車両1Aの右側に他の車両1Dが存在する場合、又は、右側の隣接車線の当該車両1Aよりも後方に存在する他の車両1Dとの距離が十分でない(例えば所定の閾値未満である)場合、第2予定経路202を生成不可能と判定してよい。この場合、車両1Aは、車両1Bの手前で一時停止してよい(S205)。車両1Aは、このように一時停止する場合、車両1Bの手前で一時停止することを示す情報を、V2X通信にて車両1Bに送信してもよい。車両1Bは、このように一時停止することを示す情報を車両1BからV2X通信にて受信した場合、予定経路200にしたがって進行を開始してもよい。
なお、第2予定経路202にしたがって進行する車両1Aは、いったん右前方にカーブする際に右ウィンカーを自動で点滅させ、車両1Bの通過後、左前方にカーブする際に左ウィンカーを自動的に点滅させてよい。
また、第2予定経路202で走行する車両1Aは、図6に示すように、第2予定経路202の軌道を、HMI装置20のディスプレイ装置に表示してよい(S206)。図6は、図5の場合に車両1AのHMI装置20に表示されるUI画像の一例を示す図である。図6において、点線221は、車両1Aの第1予定経路201の軌道を示し、実線の太い矢印222は、車両1Aの第2予定経路202(つまり回避経路)の軌道を示す。
なお、車両1A、1CがV2X通信及びADASに対応しているものの、自動運転には対応していない場合、車両1A、1Cは、第2予定経路202に沿った運転支援を行ってよい。例えば、車両1A、1Cは、第2予定経路202をHMI装置20に表示したり、第2予定経路202にしたがった進行を容易に行えるように、運転者のハンドル操作を支援したりしてよい。
また、車両1A、1CがV2X通信に未対応である場合、運転者は、手動でハンドルを操作して、車両1Bを回避してよい。この場合、車両1A、1Cは、第2予定経路202をHMI装置20に表示してよい。
図7は、左折している途中に一時停止した車両1Bを車両1Aが回避する例を説明するための図である。
例えば、車両1Bは、図7に示すように、左折の先にある横断歩道を横断中の歩行者301が存在する場合、左折の進行を一時停止する。この場合、車両1Bは、左折の進行を一時停止したタイミングで、V2X情報をV2X通信にて送信してよい(S103)。
車両1Bの後方を進行中の車両1Aは、車両1Bから、V2X情報をV2X通信にて受信し(S202)、第1予定経路201のままでは車両1Bと衝突する可能性がある場合
(S203:YES)、次の処理を行う。すなわち、車両1Aは、車両1Bの予定経路200、車両輪郭情報、及び、車種サイズと、周囲の状況とに基づいて、車両1Bを回避可能な第2予定経路202を生成可能であるか否かを判定する(S204)。例えば、図7に示す状況の場合、第2予定経路202は、左折途中で一時停止している車両Bの車両輪郭(矩形210)を回避するようにいったん右前方にカーブし、車両1Bの右側を通過後に左前方にカーブして元の車線に戻るような経路であってよい。なお、第2予定経路202は、左折の途中で一時停止している車両Bの車両輪郭(矩形210)を回避するようにハンドルを切り(操舵し)、いったん右前方に曲がり、車両1Bの右側を通過後に左前方に曲がり戻して、回避経路のカーブに沿って走行し、元の車線に戻るような経路であってよい。
例えば、車両1Aは、第2予定経路202にしたがって進行しても車両1Bとは異なる他の車両1Dとも衝突せず、かつ、他の車両1Dの進行も妨げない場合、第2予定経路202を生成可能と判断してよい。例えば、図7に示す状況の場合、車両1Aは、前方の信号機302が進行許可信号(例えば青信号)であり、当該車両1Aの右側に他の車両1Dが存在せず、かつ、右側の隣接車線の当該車両Aよりも後方の所定の距離内に他の車両1Dが存在しない場合、第2予定経路202を生成可能と判定してよい。
反対に、車両1Aは、前方の信号機302が進行禁止信号(例えば赤信号)である場合、当該車両1Aの右側に他の車両1Dが存在する場合、又は、右側の隣接車線の当該車両1Aよりも後方の所定の距離内に他の車両1Dが存在する場合、第2予定経路202を生成不可能と判定してよい。この場合、車両1Aは、車両1Bの手前で一時停止してよい(S205)。
なお、第2予定経路202にしたがって進行する車両1Aは、いったん右前方にカーブする際に右ウィンカーを自動で点滅させ、車両1Bの通過後、左前方にカーブする際に左ウィンカーを自動的に点滅させてよい。
また、第2予定経路202で走行する車両1Aは、図8に示すように、第2予定経路202の軌道を、HMI装置20のディスプレイ装置に表示してよい(S206)。図8は、図7の場合に車両1AのHMI装置20に表示されるUI画像の一例を示す図である。
図8において、点線221は、車両1Aの第1予定経路201の軌道を示し、実線の太い矢印222は、車両1Aの第2予定経路202(つまり回避経路)の軌道を示す。
図9は、右折している途中に一時停止した車両1Bを車両1Aが回避する例を説明するための図である。
例えば、車両1Bは、図9に示すように、対向車線から交差点を直進する車両1Eが存在する場合、右折の進行を一時停止する。この場合、車両1Bは、右折の進行を一時停止したタイミングで、V2X情報をV2X通信にて送信してよい(S103)。
車両1Bの後方を進行中の車両1Aは、車両1Bから、V2X情報をV2X通信にて受信し(S202)、第1予定経路201のままでは車両1Bと衝突する可能性がある場合(S203:YES)、次の処理を行う。すなわち、車両1Aは、車両1Bの予定経路200、車両輪郭情報、及び、車種サイズと、周囲の状況とに基づいて、車両1Bを回避可能な第2予定経路202を生成可能であるか否かを判定する(S204)。例えば、図9に示す状況の場合、第2予定経路202は、右折途中に一時停止した車両1Bの車両輪郭(矩形210)を回避するようにいったん左前方にカーブし、車両1Bの左側を通過後に右前方にカーブして元の車線に戻るような経路であってよい。なお、第2予定経路202は、右折途中に一時停止した車両1Bの車両輪郭(矩形210)を回避するようにハンドルを切り(操舵し)、いったん左前方に曲がり、車両1Bの左側を通過後に右前方に曲がり戻して、回避経路のカーブに沿って走行し、元の車線に戻るような経路であってよい。
例えば、車両1Aは、第2予定経路202にしたがって進行しても車両1Bとは異なる他の車両1Dと衝突せず、かつ、他の車両1Dの進行も妨げない場合、第2予定経路202を生成可能と判断してよい。例えば、図9に示す状況の場合、車両1Aは、前方の信号機302が進行許可信号(例えば青信号)であり、当該車両1Aの左側に他の車両1Dが存在せず、かつ、左側の隣接車線の当該車両1Aよりも後方に存在する他の車両1Dとの距離が十分である(例えば所定の閾値以上である)場合、第2予定経路202を生成可能と判定してよい。
反対に、車両1Aは、前方の信号機302が進行禁止信号(例えば赤信号)である場合、当該車両1Aの左側に他の車両1Dが存在する場合、又は、左側の隣接車線の当該車両1Aよりも後方に存在する他の車両1Dとの距離が十分でない(例えば所定の閾値未満である)場合、第2予定経路202を生成不可能と判定してよい。この場合、車両1Aは、車両Bの手前で一時停止してよい(S205)。
なお、第2予定経路202にしたがって進行する車両1Aは、いったん左前方にカーブする際に左ウィンカーを自動で点滅させ、車両1Bの通過後、右前方にカーブする際に右ウィンカーを自動的に点滅させてよい。
また、第2予定経路202で走行する車両1Aは、図10に示すように、第2予定経路202の軌道を、HMI装置20のディスプレイ装置に表示してよい(S206)。図10は、図9の場合に車両1AのHMI装置20に表示されるUI画像の一例を示す図である。図10において、点線221は、車両1Aの第1予定経路201の軌道を示し、実線の太い矢印222は、車両1Aの第2予定経路202(つまり回避経路)の軌道を示す。
(実施の形態2)
実施の形態2に係る車両及び制御装置について説明する。実施の形態2では、実施の形態1と同様の構成要素については、共通の参照番号を付し、説明を省略する場合がある。また、実施の形態2にて説明する内容は、実施の形態1に説明した内容と共に実施されてもよい。
<装置の構成>
図11は、実施の形態2に係る車両1Aの構成の一例を示す側面図である。図12は、実施の形態2に係る車両1Aが備える装置の構成の一例を示すブロック図である。図13は、実施の形態2に係る車両1Aにおける死角領域を説明するための模式図である。図14Aは、実施の形態2に係る死角領域情報を説明するためのイメージ図である。図14Bは、実施の形態2に係る死角領域情報を説明するための詳細図である。具体的に、図14Bは、車載ADAS前方カメラの視点から見た遮蔽物の車から隠れる死角領域を示す死角角度情報の詳細図である。ここで車両の前後左右の全方向の360度は丸い円形の羅針盤の方向系を形成していて、X軸とY軸の2次元の方向を示す座標系で表す。縦軸Y軸が車両の進行方向の角度を示す。死角角度基準方向が死角角度線の左側線が指す方向である、死角角度が遮蔽物の車に隠れて、ADAS前方カメラ視点から見えない死角領域の角度である。死角の奥行距離範囲とは、遮蔽物の車両の後ろに隠れて見えない死角領域の奥行距離範囲である。図14Bの死角角度情報、及び、車両のGPS位置を用いて、車両1Aにとっての死角領域がどこかを正確に表現及び特定することができる。
図11に示すように、車両1Aは、第1車輪2A及び第2車輪2Bを備え、第1車輪2A及び第2車輪2Bを用いて所定の方向に移動可能である。所定の方向は、車両1Aの進行方向と読み替えられてもよい。進行方向は、直進の方向に限らず、右旋回の方向及び左旋回の方向を含んでよい。
図12に示すように、車両1Aは、位置検出回路11、カメラ装置12、LiDAR13、ミリ波レーダ14、転舵回路15、アクセラレータ回路16、ブレーキ回路17、無線通信回路18、制御装置100、及び、HMI装置20を備える。
位置検出回路11は、車両1Aの位置を検出する。車両1Aの位置は、第1位置と読み替えられてもよい。
無線通信回路18は、他の車両又は歩行者等の位置を、V2X通信を通じて受信する。以下、他の車両又は歩行者等を、移動体5と称する場合がある。また、移動体5の位置は、第2位置と読み替えられてもよい。
カメラ装置12を構成する撮像回路は、車両1Aの外を撮像し、撮像画像を取得する。
制御回路101は、第1位置を基準に、撮像画像から検出した遮蔽物の大きさと、当該遮蔽物と車両1Aとの相対的な位置とから、遮蔽物によって死角になる領域を死角領域とする。遮蔽物は、例えば、車両1Aの進行方向に存在する他の車両1Bである。
第2位置が死角領域に入る場合、出力回路は、第1の注意を促す情報を出力してよい。また、第2位置が死角領域に入らない場合、出力回路は、第2の注意を促す情報を出力してよい。出力回路は、表示回路、あるいは、他の装置(例えばECU(Electronic Control Unit))へ情報を出力するインタフェースであってよい。表示回路は、HMI装置20として構成されてよい。
第1の注意を促す情報の当該注意を促す強度(以下、第1強度という)は、第2の注意を促す情報の当該注意を促す強度(以下、第2強度という)より強くてよい。別言すると、第2強度は、第1強度より弱くてよい。なお、上記の第2の注意を促す情報の出力は、何も情報を出力しないことを意味してよし、し、極めてわずかな情報を出力することを意味してもよい。
また、第2位置が車両1Aの所定の方向に対応する位置であり、かつ、第2位置が死角領域に入る場合、出力回路は、第1の注意を促す情報を出力してよい。また、出力回路は、第2位置が車両1Aの所定の方向に対応する位置であり、かつ、第2位置が死角領域に入らない場合、第2の注意を促す情報を出力してよい。ここで、所定の方向は、車両1Aの進行方向であってよい。よって、第2位置が車両1Aの進行方向とは異なる位置(例えば車両1Aの真横)である場合、出力回路は、注意を促す情報を出力しなくてよい。
また、撮像回路は、車両1Aの外において、少なくとも一部は所定の方向(例えば進行方向)を含むように撮像画像を取得してよい。
また、無線通信回路18は、死角領域をV2X通信にて送信してよい。当該死角領域をV2X通信にて受信した移動体5は、当該移動体5が死角領域に入っている場合、第2位置をV2X通信にて送信してよい。当該第2位置が死角領域に入る場合、出力回路は、第1の注意を促す情報を出力してよい。当該第2位置が死角領域に入らない場合、出力回路は、第2の注意を促す情報を出力してよい。
また、制御回路101が撮像画像から遮蔽物を検出した場合、無線通信回路18は、死角領域をV2X通信にて送信してよい。
また、出力回路は、表示回路であってよい。少なくとも表示回路が出力する第1の注意を促す情報は、表示回路の表示領域において第2位置に対応する位置に所定の画像を含んでよい。
また、移動体5は、歩行者が携帯可能な第1通信装置と、車両に設置可能な第2通信装置を少なくとも含んでよい。無線通信回路18は、移動体5が第1通信装置に対応する第1通信装置種別と、移動体5が第2通信装置に対応する第2通信装置種別を受信するように更に設定されてよい。無線通信回路18が第1通信装置種別を受信した場合、表示回路が出力する第1の注意を促す情報は、表示回路の表示領域に第1通信装置に対応する第1画像を含んでよい。無線通信回路18が第2通信装置種別を受信した場合、表示回路が出力する第1の注意を促す情報は、表示回路の表示領域に第2通信装置に対応する第2画像を含んでよい。ここで、第1画像と第2画像とは異なる画像であってよい。
また、第2位置が死角領域に入る場合、出力回路は第1の注意を促す情報を出力してよい。そして、その後に、第2位置が、死角領域に入らなくなった場合、出力回路は第3の注意を促す情報を出力してよい。ここで、第1の注意を促す情報の当該注意を促す第1強度は、第3の注意を促す情報の当該注意を促す強度(以下、第3強度という)より強くてよい。別言すると、第3強度は第1強度より弱くてよい。なお、第3の注意を促す情報の出力は、何も情報を出力しないことを意味してもよいし、極めてわずかな情報を出力することを意味してもよい。
例えば、図13において、車両1Aの進行方向には車両1Bが存在するため、車両1Aの運転者から見て、車両1Bの向こう側は死角領域となる。
車両1Aの制御回路101は、次の(A1)から(A3)によって死角領域を検出してよい。
(A1)制御回路101は、カメラ装置12が車両1Aの進行方向を撮像した撮像画像を解析して、遮蔽物の輪郭、及び、車両1Aから遮蔽物までの相対的な距離(以下、遮蔽物距離という)を検出する。図13の場合、制御回路101は、遮蔽物の輪郭として、車両1Bの輪郭を検出する。なお、遮蔽物距離は、2つの撮像画像の視差を用いて検出されてもよいし、LiDAR13又はミリ波レーダ14を用いて検出されてもよい。
(A2)制御回路101は、(A1)で検出した遮蔽物の輪郭の大きさと遮蔽物距離とに基づいて、死角角度を算出する。
(A3)制御回路101は、死角角度と遮蔽物距離とに基づいて、死角領域を検出する。例えば、制御回路101は、図14Aに示すように、車両1Aの進行方向に、死角角度にて広がる扇形の領域のうち、遮蔽物距離より遠い領域を、死角領域として検出してよい。
死角領域を示す情報(以下、死角領域情報という)は、車両1Aの位置(第1位置)と、車両1Aの進行方向と、死角角度と、死角角度基準方向と、死角の奥行距離範囲と、遮蔽物距離とを含んでよい(図16参照)。これにより、図13、図14A及び図14Bに示すように、車両1Aの死角領域を特定できる。
車両1Aは、下記の(B1)及び(B2)の少なくとも1つの方法にて死角領域に入っている移動体5を検出してよい。
(B1)移動体5が備える装置(第1通信装置又は第2通信装置)は、当該移動体5の位置(第2位置)を、適宜V2X通信にて送信(例えばブロードキャスト)する。車両1Aの制御回路101は、無線通信回路18を通じて、上述した移動体5の位置(第2位置)をV2X通信にて受信する。車両1Aの制御回路101は、その受信した移動体5の位置のうち、死角領域に入っている移動体5の位置(つまり死角領域に入っている移動体5)を検出する。
(B2)車両1Aは、無線通信回路18を通じて、死角領域情報を、V2X通信にて送信(例えばブロードキャスト)する。死角領域情報を受信した移動体5は、当該死角領域情報が示す死角領域に当該移動体5が入っている場合、当該移動体5の位置(第2位置)を、V2X通信にて車両1Aに返信(フィードバック)する。これにより、車両1Aは、死角領域に入っている移動体5を検出できる。
なお、上記(B1)及び(B2)において、移動体5が備える装置は、当該移動体5の種別を示す情報(以下、移動体種別情報という)を合わせて送信してよい。例えば、移動体5が車両である場合、車両に設置された第2通信装置は、「車両」を示す移動体種別情報を送信する。移動体5が歩行者である場合、歩行者が携帯する第1通信装置は、「歩行者」を示す移動体種別情報を送信する。
<注意を促す情報の表示>
図15は、実施の形態2に係る注意を促す情報の表示の一例を示す図である。
制御回路101は、移動体5の位置が死角領域に入っている場合、第1の注意を促す情報を、表示回路の一例であるHMI装置20に表示してよい。例えば、制御回路101は、死角領域に3台の他の車両と1人の歩行者が入っていることを検出した場合、図15に示すように、HMI装置20に表示された撮像画像の遮蔽物の輪郭502の上に、3台の他の車両を示す画像(車両アイコン501A)と、1人の歩行者を示す画像(歩行者アイコン501B)とを表示してよい。歩行者アイコン501Bは第1画像の一例であり、車両アイコン501Aは第2画像の一例である。なお、制御回路101は、死角領域に入っている移動体5が車両又は歩行者のいずれであるかを、上記した移動体種別情報によって判定してよい。これにより、車両1Aの運転者は、遮蔽物(例えば他の車両)によって形成された死角領域に、3台の他の車両と1人の歩行者とが存在することを認識できる。よって、運転者は、より安全に車両1Aを運転することができる。
また、制御回路101は、移動体5の位置が死角領域に入っていない場合、第2の注意を促す情報を、表示回路の一例であるHMI装置20に表示してもよいし、HMI装置20に表示しなくてもよい。すなわち、第1の注意を促す情報の当該注意の強度(第1強度)は、第2の注意を促す情報の当該注意の強度(第2強度)より強くてよい。
なお、図15に示すように、制御回路101は、HMI装置20に表示された撮像画像に、遮蔽物の輪郭502を表示してもよい。加えて、制御回路101は、遮蔽物の輪郭502が形成する死角角度と、その死角角度が形成する扇形の死角領域の境界線とを、撮像画像に表示してもよい。
また、表示回路をHUD(Head-Up Display)とする場合、制御回路101は、図15に示す遮蔽物の輪郭502、死角角度、及び、境界線を、HUD越しに見える遮蔽物に合わせて表示してもよい。
<V2X通信フォーマット>
図16は、実施の形態2に係る死角領域情報セットのV2X通信フォーマットの一例を示す図である。
死角領域情報セットは、車両1Aの死角領域を示す情報(死角領域情報)を、移動体5にV2X通信にて送信する場合に用いられる。
死角領域情報は、図16に示すように、車両1Aの死角角度、車両1Aの死角角度基準方向、車両1Aの死角の奥行距離範囲、車両1Aの進行方向、車両1Aの位置、車両1Aからの遮蔽物距離、車両1Aの速度を含んでよい。
車両1Aの死角角度は、上述したように算出されてよい。
車両1Aの進行方向は、転舵回路15におけるハンドルの操舵角に基づいて算出されてよい。車両1Aの進行方向は、方位にて表現されてもよいし、北を0度(又は360度)、東を90度、南を180度、西を270度とする360度式の方位角にて表現されてもよい。
車両1Aの位置は、位置検出回路11にて算出されてよい。車両1Aの位置は、経度、緯度及び高度のセットによって表現されてよい。
遮蔽物距離は、上述したように算出されてよい。
車両1Aの速度は、車両1Aが備える所定の速度測定装置(図示しない)によって算出されてよい。
死角領域情報セットには、複数の死角領域情報を含めることができる。この場合、死角領域情報セットには、遮蔽物距離が短い順(つまり車両1Aに最も近い遮蔽物がから順)に、死角領域情報が並べられてよい。例えば、車両1Aに近い順に第1の遮蔽物と第2の遮蔽物が存在する場合、車両1Aが送信する死角領域情報セットには、第1の遮蔽物によって形成される死角領域を示す第1の死角領域情報と、第2の遮蔽物によって形成される死角領域を示す第2の死角領域情報とが順に並べられてよい。
なお、死角領域を示す情報は、上述の例に限られない。例えば、死角領域を示す情報は、複数の三角形の組み合わせにて表現されてよい。この場合、三角形の位置及び形状は、3頂点の各々の経度、緯度及び高度のセットとして表現されてよい。そして、死角領域情報セットは、死角領域を構成する各三角形の位置及び形状を示す情報を含んで構成されてよい。
図17は、実施の形態2に係る移動体位置情報のV2X通信フォーマットの一例を示す図である。
移動体位置情報は、死角領域情報を受信した移動体5が、自分の位置等を示す情報を、死角領域情報の送信元の車両に送信(つまりフィードバック)する場合に用いられる。
移動体位置情報は、図17に示すように、移動体5の位置、移動体5の進行方向、移動体5の速度、死角領域情報の送信元の車両のV2X通信端末IDを含んでよい。
移動体5の位置、進行方向、及び、速度は、上記した車両1Aの位置、進行方向、及び、速度と同様に算出されてよい。なお、移動体5が歩行者の場合、移動体5の進行方向及び速度は、移動体5の端末が備える所定のセンサ(例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ、磁気センサ)によって測定されてよい。
死角領域情報の送信元の車両のV2X通信端末IDは、車両がV2X通信にて送信する死角領域情報セット(図16参照)に含まれていてよい。
図18は、実施の形態2に係るブロードキャスト位置情報のV2X通信フォーマットの一例を示す図である。
ブロードキャスト位置情報は、車両1A又は移動体5が、自分の位置等を示す情報を、周囲にV2X通信にてブロードキャスト送信する場合に用いられる。
ブロードキャスト位置情報は、図29に示すように、車両1A又は移動体5の位置、車両1A又は移動体5の進行方向、車両1A又は移動体5の速度を含んでよい。
<フローチャート>
図19は、実施の形態2に係る移動体5が車両1Aの死角領域に入っているか否かを車両1Aにて判定する場合の処理例を示すフローチャートである。
S401として、移動体5は、ブロードキャスト位置情報(図18参照)を、V2X通信にてブロードキャスト送信する。
S402として、車両1Aは、移動体5から、S401のブロードキャスト位置情報を受信する。
また、S403として、車両1Aは、カメラ装置12を通じて、前方の撮像画像を得る。
S404として、車両1Aは、S403の撮像画像から他の車両を検出し、当該車両の輪郭を矩形枠で囲む。
S405として、車両1Aは、前方の最も近い他の車両(つまり遮蔽物距離が最短の遮蔽物)が死角領域を形成するか否かを判定する。例えば、車両1Aは、当該車両1Aの進行方向が死角角度の範囲に含まれる場合、死角領域を形成すると判定する。
前方の最も近い他の車両(つまり遮蔽物)が死角領域を形成しないと判定した場合(S405:NO)、車両1Aは、本処理を終了する。
前方の最も近い他の車両(つまり遮蔽物)が死角領域を形成すると判定した場合(S405:YES)、車両1Aは、S406の処理に進む。
S406として、車両1Aは、遮蔽物によって形成される死角領域を特定する。
S407として、車両1Aは、S402にて受信したブロードキャスト位置情報に基づき、移動体5が死角領域に存在するか否かを判定する。
移動体5が死角領域に存在すると判定した場合(S407:YES)、S408として、車両1Aは、第1の注意を促す情報を出力する。例えば、車両1Aは、図15に示すように、車両アイコン501A及び/又は歩行者アイコン501BをHMI装置20に表示する。
移動体5が死角領域に存在しないと判定した場合(S407:NO)、車両1Aは、本処理を終了する。すなわち、車両1Aは、第1の注意を促す情報を出力しない。あるいは、車両1Aは、第2の注意を促す情報を表示してもよい。
図20は、実施の形態2に係る移動体5が車両1Aの死角領域に入っているか否かを移動体5にて判定する場合の処理例を示すフローチャートである。
S501として、車両1Aは、カメラ装置12を通じて、前方の撮像画像を得る。
S502として、車両1Aは、S501の撮像画像から他の車両を検出し、当該他の車両(つまり遮蔽物)の輪郭を矩形枠で囲む。
S503として、車両1Aは、前方の最も近い他の車両(つまり遮蔽物距離が最短の遮蔽物)が死角領域を形成するか否かを判定する。
前方の最も近い他の車両(つまり遮蔽物)が死角領域を形成しないと判定した場合(S503:NO)、車両1Aは、本処理を終了する。
前方の最も近い他の車両(つまり遮蔽物)が死角領域を形成すると判定した場合(S503:YES)、車両1Aは、S504の処理に進む。
S504として、遮蔽物によって形成される死角領域を特定する。
S505として、車両1Aは、遮蔽物によって形成された死角領域を示す死角領域情報(図16参照)を、V2X通信にて送信する。そして、S506として、車両1Aは、当該S505の送信に対する移動体5からの移動体位置情報(図17参照)の返信(フィードバック)を待機する。
S507として、移動体5は、S505の死角領域情報を受信する。
S508として、移動体5は、死角領域情報が示す死角領域に、当該移動体5の位置が入っているか否かを判定する。
死角領域に移動体5の位置が入っていないと判定した場合(S508:NO)、移動体5は、本処理を終了する。すなわち、移動体5は、移動体位置情報を返信(フィードバック)しない。
死角領域に移動体5の位置が入っていると判定した場合(S508:YES)、S509として、移動体5は、移動体位置情報(図17参照)を、V2X通信にて車両1Aに返信(フィードバック)する。
S510として、車両1Aは、S509の移動体位置情報を受信した場合、S511の処理に進む。
S511として、車両1Aは、第1の注意を促す情報を出力する。例えば、車両1Aは、図15に示すように、車両アイコン501A及び/又は歩行者アイコン501BをHMI装置20に表示する。
なお、車両1Aは、いずれの移動体5からも移動体位置情報を受信しなかった場合、第1の注意を促す情報を出力しない。あるいは、車両1Aは、第2の注意を促す情報を出力してもよい。
図19又は図20に示す処理によれば、死角領域に移動体5が存在する場合に第1の注意を促す情報が表示され、死角領域に移動体5が存在しない場合には注意を促す情報が表示されない。つまり、適切な強度で運転者に注意を促すことができる。よって、注意を促す情報が過多に表示されて、運転者が注意を促す情報の表示に慣れてしまい、注意を促す表示の効果が低減してしまうことを抑制できる。
(実施の形態3)
実施の形態3に係る車両及び制御装置について説明する。実施の形態3では、実施の形態1又は2と同様の構成要素に共通の参照番号を付し、説明を省略する場合がある。また、実施の形態3にて説明する内容は、実施の形態1及び2の少なくとも一方にて説明した内容と共に実施されてもよい。
<装置の構成>
図21は、実施の形態3に係る車両1Aが備える装置、及び、サーバ40の構成の一例を示すブロック図である。図22は、実施の形態3に係る地図データと死角区域との関係を説明するための模式図である。図23は、実施の形態3に係る死角区域及び死角領域を説明するための模式図である。
図11に示すように、車両1Aは、第1車輪2A及び第2車輪2Bを備え、第1車輪2A及び第2車輪2Bを用いて所定の方向に移動可能である。所定の方向は、車両1Aの進行方向と読み替えられてもよい。進行方向は、直進の方向に限らず、右旋回の方向及び左旋回の方向を含んでよい。
図21に示すように、車両1Aは、位置検出回路11、カメラ装置12、LiDAR13、ミリ波レーダ14、転舵回路15、アクセラレータ回路16、ブレーキ回路17、第1無線通信回路21、第2無線通信回路22、制御装置100、及び、HMI装置20を備える。
位置検出回路11は、車両1Aの位置を検出する。車両1Aの位置は、第1位置と読み替えられてもよい。
第1無線通信回路21は、他の車両又は歩行者等の位置を、V2X通信を通じて受信する。以下、他の車両又は歩行者等を、移動体5と称する。また、移動体5の位置は、第2位置と読み替えられてもよい。
地図データ保持回路は、地図データを保持するように設定される。地図データ保持回路は、記憶回路102によって構成されてよい。地図データ保持回路は、例えば、RAM、フラッシュメモリ又はこれらの組み合わせによって構成されてよい。なお、地図データは、少なくとも3次元地図データを含んでよい。
出力回路は、注意を促すように設定される。出力回路は、単に信号を出力する回路に限らず、表示回路、又は、無線通信回路であってもよい。表示回路は、例えば、HMI装置20として構成されてよい。
制御回路101は、第2位置が、第1位置を基準に地図データに含まれる遮蔽物により死角に入ると判定した場合、出力回路は、第1の注意を促す情報を出力してよい。遮蔽物は、例えば、道路沿いに存在する建物(例えばビル、家屋等)又は壁(例えば塀)等である。
制御回路101は、第2位置が、第1位置を基準に地図データに含まれる遮蔽物による死角に入らないと判定した場合、出力回路は、第2の注意を促す情報を出力してよい。
第1の注意を促す情報の当該注意を促す強度(以下、第1強度という)は、第2の注意を促す情報の当該注意を促す強度(以下、第2強度という)より強くてよい。なお、第2の注意を促す情報の出力は、何も出力しないことを意味してよいし、極めてわずかな情報を出力することを意味してもよい。
また、制御回路101は、第2位置が所定の方向に対応する位置であり、かつ、第2位置が第1位置を基準に地図データに含まれる遮蔽物による死角に入ると判定した場合、出力回路は、第1の注意を促す情報を出力してよい。また、制御回路101は、第2位置が所定の方向に対応する位置であり、かつ、第1位置を基準に地図データに含まれる遮蔽物による死角に入らないと判定した場合、出力回路は第2の注意を促す情報を出力してよい。
また、第2無線通信回路22は、地図データを受信するように設定されてよい。なお、第1無線通信回路21と第2無線通信回路22とは一体の無線通信回路であってもよい。
また、制御回路101は、第1位置と地図データを基に、第1位置を基準に地図データに含まれる遮蔽物により死角になる領域を死角領域とし、第1無線通信回路21が、死角領域を送信してよい。死角領域を受信した移動体5は、移動体5が死角領域に入っている場合、第2位置を送信してよい。第2位置が、第1位置を基準に地図データに含まれる遮蔽物により死角に入る場合、出力回路は、第1の注意を促す情報を出力してよい。第2位置が、第1位置を基準に地図データに含まれる遮蔽物による死角に入らない場合、出力回路は、第2の注意を促す情報を出力してよい。なお、死角領域の少なくとも一部は、交差点を含んでよい。
また、上記出力回路は表示回路であり、少なくとも表示回路が出力する第1の注意を促す情報は、表示回路の表示領域において第2位置に対応する位置に所定の画像を含んでよい。
また、移動体は、歩行者が携帯可能な第1通信装置と、車両に設置可能な第2通信装置を少なくとも含んでよい。第1無線通信回路21は、移動体5が第1通信装置に対応する第1通信装置種別と、移動体5が第2通信装置に対応する第2通信装置種別を受信するように更に設定されてよい。第1無線通信回路21が第1通信装置種別を受信した場合、表示回路が出力する第1の注意を促す情報は、表示回路の表示領域に第1通信装置に対応する第1画像を含んでよい。第1無線通信回路21が第2通信装置種別を受信した場合、表示回路が出力する第1の注意を促す情報は、表示回路の表示領域に第2通信装置に対応する第2画像を含んでよい。ここで、第1画像と第2画像とは異なる画像であってよい。
また、制御回路101は、第2位置が、第1位置を基準に地図データに含まれる前記遮蔽物により死角に入ると判定した場合、出力回路は、第1の注意を促す情報を出力してよい。その後に、制御回路101は、第2位置が、第1位置を基準に地図データに含まれる遮蔽物による死角に入らなくなったと判定した場合、出力回路は、第3の注意を促す情報を出力してよい。第1の注意を促す情報の注意を促す第1強度は、第3の注意を促す情報の注意を促す第3強度より強くてよい。なお、第3の注意を促す情報の出力は、なにも出力しないことを意味してもよいし、極めてわずかな情報を出力することを意味してもよい。
次に、サーバ40について説明する。サーバ40は、プロセッサ41、メモリ42、ストレージ43、及び、通信回路44を備える。サーバ40は、メモリ42又はストレージ43からコンピュータプログラムを読み出して実行することにより、当該サーバ40が提供する機能を実現する。また、サーバ40は、通信回路44を介して、通信ネットワーク50に接続される。通信ネットワーク50は、セルラ網(例えばLTE、4G、5G)、インターネット又はそれらの組み合わせによって構成されてよい。
車両1Aの第2無線通信回路22は、車両1Aが備えるアンテナ23を通じて、通信ネットワーク50に接続してよい。そして、第2無線通信回路22は、通信ネットワーク50を通じて、サーバ40と情報を送受信できてよい。
サーバ40は、地図データを管理する。地図データは、2次元地図データ又は3次元地図データのいずれであってもよい。なお、サーバ40は、多数の車両から走行中の外の撮像画像を受信し、それら受信した撮像画像を用いて3次元地図データを作成してよい。
サーバ40は、図22に示すように、3次元地図データに、死角区域を設定する。例えば、サーバ40は、住宅街の信号機が無く建物又は壁等によって見通しの悪い交差点に死角区域を設定する。このような交差点には、道路に沿って存在する建物又は壁等によって運転者から見た死角が形成され得るからである。
死角区域は、例えば、図22に示すように、交差点の中心から、東西南北の方向に20mの範囲に設定されてよい。また、死角区域は、当該死角区域を形成する四角形の4頂点(図22の頂点A,B,C、D)の位置によって表現されてよい。各頂点A、B、C、Dの位置は、緯度、経度及び高度のセットによって表現されてよい。
サーバ40は、地図データに対する死角区域の設定等を含むダイナミック地図情報(図27参照)を、車両1Aに送信してよい。このとき、サーバ40は、車両1Aが死角区域に入っている場合、その旨を示す情報をダイナミック地図情報に含めて送信してよい。これにより、車両1Aは、当該車両1Aが死角区域に入っているか否かを認識できる。
なお、サーバ40が行う処理は、車両1Aの近くに存在するエッジコンピューティング(例えば無線基地局)によって実行されてもよい。また、地図データがエッジコンピューティングに格納されてもよい。これにより、車両1Aとサーバ40との間の通信遅延を低下させることができる。
車両1Aは、サーバ40からダイナミック地図情報を受信し、当該車両1Aが死角区域に入っているか否かを判定することができる。車両1Aは、当該車両1Aが死角区域に入っている場合、運転者から見た死角領域を特定する。例えば、車両1Aは、サーバ40から受信した地図データに含まれる建物又は壁等の遮蔽物の位置及び大きさ等に基づいて、図23に示すように、死角領域を算出する。
そして、車両1Aは、死角領域に移動体5が存在するか否かを判定する。例えば、車両1Aは、移動体5又はサーバ40から、当該移動体5の位置を示す情報を受信し、当該移動体5の位置が死角領域に含まれるか否かを判定する。車両1Aは、死角領域に移動体5が含まれる場合、第1の注意を促す情報を表示してよい。次に、当該第1の注意を促す情報の表示例を説明する。
<注意を促す情報の表示例>
図24は、実施の形態3に係る死角領域に存在する移動体5の画像をHMI装置20に表示する第1例を示す図である。
車両1Aの制御回路101は、死角区域に入っており、かつ、死角領域に移動体5が存在する場合、第1の注意を促す情報の一例として、図24に示すように、HMI装置20において、死角領域に存在する移動体5の位置及び当該移動体5の進行方向を示す画像を、撮像画像における交差点の位置に合わせて表示してよい。ここで、運転者から見て右前方の死角領域に移動体5が存在する場合、撮像画像における交差点の右側の位置に、移動体5の画像を表示してよい。運転者から見て左前方の死角領域に移動体5が存在する場合、撮像画像における交差点の左側の位置に、移動体5の画像を表示してよい。
なお、移動体5が他の車両の場合、第2画像の一例として車両アイコン501Aを表示し、移動体5が歩行者の場合、第1画像の一例として歩行者アイコン501Bを表示してよい。また、移動体5の進行方向を矢印にて表示してよい。また、HMI装置20をHUDとする場合、制御回路101は、HUD越しに見える交差点の位置に合わせて車両アイコン501A及び/又は歩行者アイコン501Bを表示してよい。
図25は、実施の形態3に係る死角領域に存在する移動体5の画像をHMI装置20に表示する第2例を示す図である。
車両1Aの制御回路101は、死角領域に入っており、かつ、死角領域に移動体5が存在する場合、第1の注意を促す情報の一例として、図25に示すように、HMI装置20において、死角領域に存在する移動体5の位置及び当該移動体5の進行方向を示す画像を、撮像画像の下端に表示してよい。ここで、運転者から見て右前方の死角領域に移動体5が存在する場合、撮像画像の右下端に、移動体5の画像を表示してよい。運転者から見て左前方の死角領域に移動体5が存在する場合、撮像画像における左下端に、移動体5の画像を表示してよい。
なお、移動体5が他の車両の場合、第2画像の一例として車両アイコン501Aを表示し、移動体5が歩行者の場合、第1画像の一例として歩行者アイコン501Bを表示してよい。また、移動体5の進行方向を矢印にて表示してよい。また、HMI装置20をHUDとする場合、制御回路101は、HUDの下端に、車両アイコン501A及び/又は歩行者アイコン501Bを表示してよい。
<V2X通信フォーマット>
図26は、実施の形態3に係る車両位置情報のV2X通信フォーマットの一例を示す図である。
車両位置情報は、車両1Aが自分の位置等を示す情報を、移動体5又はサーバ40にV2X通信にて送信する場合に用いられる。
車両位置情報は、図26に示すように、車両1Aの位置、車両1Aの進行方向、車両1Aの速度、車両1AのV2X通信端末IDを含んでよい。
車両1Aの位置は、位置検出回路11にて算出されてよい。車両1Aの位置は、経度、緯度及び高度のセットによって表現されてよい。
車両1Aの進行方向は、転舵回路におけるハンドルの操舵角に基づいて算出されてよい。車両1Aの進行方向は、方位によって表現されてもよいし、北を0度(又は360度)、東を90度、南を180度、西を270度とする360度式の方位角にて表現されてもよい。
車両1Aの速度は、当該車両が備える所定の速度測定装置によって算出されてよい。
車両1AのV2X通信端末IDは、V2X通信において当該車両1Aを識別するためのIDである。
図27は、実施の形態3に係るダイナミック地図情報のV2X通信フォーマットの一例を示す図である。
ダイナミック地図情報は、サーバ40が、死角区域等を含む地図データを、車両又は移動体5にV2X通信にて送信する場合に用いられる。
ダイナミック地図情報は、図27に示すように、少なくとも1つの死角区域情報を含んでよい。加えて、ダイナミック地図情報は、少なくとも1つの道路情報、少なくとも1つの交差点情報、及び、少なくとも1つの危険フラグを含んでもよい。
死角区域情報は、車両位置情報の送信元の車両1Aが、死角区域に入っているか否かを示す死角フラグと、当該死角区域を示す位置情報とを含んでよい。
例えば、死角フラグ=0は、車両1Aが死角区域に入っていないことを示し、死角フラグ=1は、車両1Aが死角区域に入っていることを示す。なお、車両1Aが死角区域に入っているか否かの判定を、サーバ40ではなく、車両1Aで行う場合(図30参照)、死角区域情報は、当該死角フラグを含まなくてよい。
例えば、死角区域を示す位置情報は、死角区域を構成する四角形の4頂点(図23の頂点A,B,C,D)の位置を含んでよい。4頂点の位置のそれぞれは、緯度、経度及び高度のセットによって表現されてよい。
道路情報は、死角区域における道路の方向、道路の幅、又は、一方通行等の情報を含んでよい。
交差点情報は、死角区域における交差点に関係する情報を含んでよい。
例えば、危険フラグが「0」は、死角区域がそれほど危険でないことを示し、危険フラグが「1」は、死角区域が危険であることを示す。例えば、死角区域の道路が非常に狭かったり、行き止まりが存在したり、進入禁止が存在したりする場合、危険フラグは「1」となってよい。
図28は、実施の形態3に係る移動体位置情報のV2X通信フォーマットの一例を示す図である。
移動体位置情報は、移動体5が自分の位置等を示す情報を、車両1A又はサーバ40にV2X通信にて送信する場合に用いられる。
移動体位置情報は、図28に示すように、移動体5の位置、移動体5の進行方向、移動体5の速度、移動体5のV2X通信端末IDを含んでよい。
移動体5の位置、進行方向、及び、速度は、上記した車両1Aの位置、進行方向、及び、速度と同様に算出されてよい。なお、移動体5が歩行者の場合、移動体5の進行方向及び速度は、移動体5の端末が備える所定のセンサ(例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ、磁気センサ)によって測定されてよい。
図29は、実施の形態3に係るブロードキャスト位置情報のV2X通信フォーマットの一例を示す図である。
ブロードキャスト位置情報は、車両又は移動体5が、自分の位置等を示す情報を、周囲にV2X通信にてブロードキャスト送信する場合に用いられる。
ブロードキャスト位置情報は、図29に示すように、車両又は移動体5の位置、車両又は移動体5の進行方向、車両又は移動体5の速度を含んでよい。
<フローチャート>
図30は、実施の形態3に係る車両1Aが死角区域に入っているか否かを当該車両1Aにて判定する場合の処理例を示すフローチャートである。
S601として、車両1Aは、当該車両1Aの位置を測定する。
S602として、車両1Aは、S601にて測定した当該車両1Aの位置を含む車両位置情報を、V2X通信にてサーバ40へ送信する。
S603として、サーバ40は、S602の車両位置情報を受信し、当該車両位置情報を参照して車両1Aの位置を特定する。
S604として、サーバ40は、車両1Aの位置を含む周辺の地図データと、当該地図データに関するダイナミック地図情報とを、V2X通信にて車両1Aへ送信する。
S605として、車両1Aは、S604の地図データ及びダイナミック地図情報を受信する。
S606として、車両1Aは、受信したダイナミック地図情報に基づいて、当該車両1Aが死角区域に入っているか否かを判定する。例えば、車両1Aは、ダイナミック地図情報の死角区域情報に含まれる死角区域を示す位置情報に基づき、当該車両1Aの位置が死角区域に入っているか否かを判定する。
車両1Aの位置が死角区域に入っていないと判定した場合(S606:NO)、車両1Aは、本処理を終了する。
車両1Aの位置が死角区域に入っていると判定した場合(S606:YES)、車両1Aは、S607の処理に進む。
S607として、車両1Aは、地図データにおける死角区域に含まれる遮蔽物の位置及び大きさ等に基づいて、当該車両1Aから見た死角領域を特定する。
S608として、車両1Aは、死角領域に移動体5が存在するか否かを判定する。例えば、車両1Aは、V2X通信によって、移動体5から移動体位置情報又はブロードキャスト位置情報を受信し、当該移動体5の位置を特定する。そして、車両1Aは、移動体5の位置が死角領域に含まれるか否かを判定する。
死角領域に移動体5が存在しないと判定した場合(S608:NO)、車両1Aは、本処理を終了する。すなわち、車両1Aは、第1の注意を促す情報を出力しない。あるいは、車両1Aは、第2の注意を促す情報を出力してもよい。
死角領域に移動体5が存在すると判定した場合(S608:YES)、車両1Aは、S609として、第1の注意を促す情報を出力する。例えば、車両1Aは、図24又は図25に示すように、車両アイコン501A及び/又は歩行者アイコン501BをHMI装置20に表示する。
図31は、実施の形態3に係る車両1Aが死角区域に入っているか否かをサーバ40にて判定する場合の処理例を示すフローチャートである。
S701として、車両1Aは、当該車両1Aの位置を測定する。
S702として、車両1Aは、S701にて測定した当該車両1Aの位置を含む車両位置情報を、V2X通信にてサーバ40へ送信する。
S703として、サーバ40は、S702の車両位置情報を受信し、当該車両位置情報を参照して車両1Aの位置を特定する。
S704として、サーバ40は、車両1Aの位置が死角区域に入っているか否かを判定する。
車両1Aの位置が死角区域に入っている場合、S705として、サーバ40は、車両1Aの周辺の地図データと、車両1Aが死角区域に入っていることを示す死角フラグ(死角フラグ=1)を含むダイナミック地図情報と、当該死角区域に存在する移動体5の移動体位置情報とを、V2X通信にて車両1Aに送信する。なお、移動体5は、移動体位置情報を随時、サーバ40に送信しているものとする。
車両1Aの位置が死角区域に入っていない場合(S704:NO)、S706として、サーバ40は、車両1Aの周辺の地図データと、車両1Aが死角区域に入っていないことを示す死角フラグ(死角フラグ=0)を含むダイナミック地図情報とを、V2X通信にて車両1Aに送信する。
S707として、車両1Aは、サーバ40からV2X通信にて、S705又はS706で送信された地図データ及びダイナミック地図情報を受信する。
S708として、車両1Aは、ダイナミック地図情報の死角フラグを参照して、当該車両1Aが死角区域に入っているか否かを判定する。
車両1Aの位置が死角区域に入っていないと判定した場合(S708:NO)、車両1Aは、本処理を終了する。すなわち、車両1Aは、注意を促す情報を表示しない。あるいは、車両1Aは、第2の注意を促す情報を表示してもよい。
車両1Aの位置が死角区域に入っていると判定した場合(S708:YES)、S709の処理に進む。
S709として、車両1Aは、地図データにおける死角区域に含まれる遮蔽物の位置及び大きさ等に基づいて、当該車両1Aから見た死角領域を特定する。
S710として、車両1Aは、死角領域に移動体5が存在するか否かを判定する。例えば、車両1Aは、S707にてサーバ40から受信した移動体位置情報を用いて、死角領域に移動体5が存在するか否かを判定する。
死角領域に移動体5が存在しないと判定した場合(S710:NO)、車両1Aは、本処理を終了する。すなわち、車両1Aは、第1の注意を促す情報を表示しない。あるいは、車両1Aは、第2の注意を促す情報を表示してもよい。
死角領域に移動体5が存在すると判定した場合(S710:YES)、S711として、車両1Aは、第1の注意を促す情報を出力する。例えば、車両1Aは、図24又は図25に示すように、車両アイコン501A及び/又は歩行者アイコン501BをHMI装置20に表示する。
なお、図30又は図31に示す処理において、車両1Aが死角区域に入らなくなった場合(つまり車両1Aが死角区域から出た場合)、車両1AのHMI装置20は、第1の注意を促す情報を非表示にしてよい。あるいは、車両1AのHMI装置20は、第3の注意を促す情報を表示してよい。上述した第1の注意を促す情報の注意を促す強度(第1強度)は、当該第3の注意を促す情報の注意を促す強度(第3強度)より強くてよい。
図30又は図31に示す処理によれば、車両1Aが死角区域に入っており、かつ、死角領域に移動体5が存在する場合に第1の注意を促す情報が表示され、車両1Aが死角区域に入っていない場合には注意を促す情報が表示されない。つまり、適切な強度で運転者に注意を促すことができる。よって、注意を促す情報が過多に表示されて、運転者が注意を促す情報の表示に慣れてしまい、注意を促す情報の表示の効果が低減してしまうことを抑制できる。
以上、添付図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。