JP2022122204A - 抵抗素子及びその製造方法 - Google Patents

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Takehiro Yonezawa
和崇 藤原
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Abstract

【課題】 ガラスフリットを含まない貴金属電極でも高い密着性を得ることができる抵抗素子及びその製造方法を提供すること。【解決手段】 セラミックス材料で形成された抵抗体2と、抵抗体上に形成された導電性中間層3と、導電性中間層上に貴金属を含む電極層4とを備え、導電性中間層が、タングステン酸化物を主成分として含有している。特に、電極層が、ガラスフリットを含んでいないことが好ましい。また、導電性中間層は、互いに密着した状態のタングステン酸化物粒を含有している。【選択図】 図1

Description

本発明は、電極層の高い密着性を有した抵抗素子及びその製造方法に関する。
一般に、自動車関連技術、情報機器、通信機器、医療用機器、住宅設備機器等の温度センサとして、サーミスタ温度センサが採用されている。このサーミスタ温度センサに用いられるサーミスタ素子は、特に温度が繰り返し大きく変化する厳しい環境で使用される場合も多い。
また、このようなサーミスタ素子では、従来、サーミスタ素体上にAg,Au等の貴金属ペーストを用いて電極を形成しているものが採用されている。
従来の電極は、多くの場合、ガラスフリットを含む貴金属ペーストを塗布し焼き付けることで形成される。この電極とサーミスタ素体との密着性は、糊として働くガラスフリットによって発揮される。しかしながら、サーミスタ材料等のセラミックス材料の電気特性は組成の変化に非常に敏感であり、ガラスフリットからの元素拡散によってその特性が変化してしまうことがある。特に、ガラスフリットによく含まれている亜鉛やマグネシウムは、その影響が大きいことが知られている。
また、ガラスフリットを用いた電極では、電極層の金属とサーミスタ素体との接点が非常に少なく、わずかな剥離によって抵抗値が大きく増加してしまうおそれがある。例えば、図5の(b)は、サーミスタ素体上に形成されたガラスフリットを含むAg電極の剥離面(サーミスタ素体側)をSEM-EDS(エネルギー分散型X線分析装置搭載走査型電子顕微鏡)によって観察した画像である。画像中にアメーバ状に見える白色部分はSiが検出されている部分であり、ガラスフリットが存在している部分である。この白色部分以外にはガラスフリットが存在せず、Agとサーミスタ素体とが直接接触している部分が非常に狭小であることがわかる。なお、図5の(a)は、SEM画像である。
この電極剥離への対策として、密着性を強化するためにガラスフリットの量を増加させると、電極の貴金属とサーミスタ素体との接点が減少し、抵抗値が増加してしまう不都合がある。加えて、長期の使用によってガラス中のアルカリ成分が分離するなどして、ガラスフリットと電極金属とが剥離してしまう問題がある。このため、ガラスフリットを用いず、又はガラスフリットを極力少量にして、サーミスタ素体と電極とを接合する技術が要望されている。
例えば、特許文献1では、電極とサーミスタ素体との密着性を強化する電極への添加剤としてCuOが用いられている。
また、特許文献2では、Ag又はCuを主金属成分として含み、溶剤と、バインダーと、WO及びMoOの少なくとも一方からなる添加剤とをさらに含む導電ペーストが記載されている。この導電ペーストにより積層型セラミックス素子の電極を形成すると、添加剤のWOやMoOが、焼成時に導電ペーストの主金属成分のAgやCuと結合して化合物を形成する。これにより、導電ペーストの主金属成分が電極層内に留まるため、主金属成分が誘電層に拡散したり誘電層と電極層との界面に留まったりする事態を抑制するものである。
特開平8-236309号公報 特開2007-188963号公報
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
すなわち、特許文献1では、CuOを添加剤として用いているが、サーミスタ材料中にCuが容易に移動するため、サーミスタ素子の高温安定性を損なってしまう問題があった。
また、特許文献2では、Ag又はCuを主金属成分として含み、溶剤と、バインダーと、WO及びMoOの少なくとも一方からなる添加剤とをさらに含む導電ペーストを用いて電極を形成しているが、バインダーと一緒にWOやMoOを塗布するため、サーミスタ素体との界面にWOやMoOが少なく、サーミスタ素体とのぬれ性が低くなって密着性が低いという問題があった。このため、形成した電極がサーミスタ素体から剥離しやすくなってしまう。また、WOやMoOの各粒の互いの接触が低くなってしまうため、抵抗値が大きくなってしまう不都合があった。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、ガラスフリットを含まない貴金属電極でも高い密着性を得ることができる抵抗素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係る抵抗素子では、セラミックス材料で形成された抵抗体と、前記抵抗体上に形成された導電性中間層と、前記導電性中間層上に形成された貴金属を含む電極層とを備え、前記導電性中間層が、タングステン酸化物を主成分として含有していることを特徴とする。
この抵抗素子では、導電性中間層が、タングステン酸化物を主成分として含有しているので、主成分タングステン酸化物の導電性中間層を接合層として介在させることで、セラミックス材料の抵抗体と貴金属含有の電極層との高い密着性を得ることができる。すなわち、導電性中間層中のタングステン酸化物はセラミックス材料中に拡散せず、抵抗体の特性に影響を与えない。また、貴金属の電極層とのぬれ性が良いタングステン酸化物を主成分とする導電性中間層を接合層として介在させることで、低抵抗になると共に高い密着性と拡散防止効果とを得ることができる。なお、電極層がガラスフリットを多少含んでいたとしても、導電性中間層がバリア層としても機能することにより、ガラスフリット中の亜鉛やマグネシウムの拡散による特性への影響が抑制される。
第2の発明に係る抵抗素子では、第1の発明において、前記電極層が、ガラスフリットを含まないことを特徴とする。
すなわち、この抵抗素子では、電極層が、ガラスフリットを含まないので、ガラスフリット中の亜鉛やマグネシウムがセラミックス材料中に拡散することがない。また、ガラスフリットを含まない電極層であっても、タングステン酸化物を主成分とする導電性中間層を接合層として介在させているので、電極層の十分な密着性を得ることができる。
第3の発明に係る抵抗素子では、第1又は第2の発明において、前記導電性中間層が、互いに密着した状態のタングステン酸化物粒を含有していることを特徴とする。
この抵抗素子では、導電性中間層が、互いに密着した状態のタングステン酸化物粒を含有しているので、タングステン酸化物粒間の接触が多く、タングステン酸化物粒同士の導電性が高くなって、低抵抗化することができる。
第4の発明に係る抵抗素子では、第3の発明において、前記導電性中間層が、前記タングステン酸化物粒間に生じた間隙にバインダーを含有していることを特徴とする。
すなわち、この抵抗素子では、導電性中間層が、タングステン酸化物粒間に生じた間隙にバインダーを含有しているので、タングステン酸化物粒同士をより強く固定することができる。
第5の発明に係る抵抗素子では、第1又は第2の発明において、前記導電性中間層が、タングステン酸化物だけ形成されたタングステン酸化物層であることを特徴とする。
この抵抗素子では、導電性中間層が、タングステン酸化物膜で形成されているので、界面全体に密着したタングステン酸化物膜により、薄い層厚でも低抵抗かつ高い密着性を得ることができる。
第6の発明に係る抵抗素子では、第1から第5の発明のいずれかにおいて、前記抵抗体が、サーミスタ材料で形成されたサーミスタ素体であることを特徴とする。
すなわち、この抵抗素子では、抵抗体が、サーミスタ材料で形成されたサーミスタ素体であるので、特性が変化し難く、強固に密着した電極層を備えた高信頼性のサーミスタ素子が得られる。
第7の発明に係る抵抗素子の製造方法は、第1から第6の発明のいずれかの抵抗素子の製造方法であって、セラミックス材料で形成された抵抗体上に導電性中間層を形成する中間層形成工程と、前記導電性中間層上に形成された貴金属を含む電極層を形成する電極形成工程とを有し、前記中間層形成工程で、タングステン酸化物を主成分とした含有した前記導電性中間層を形成することを特徴とする。
すなわち、この抵抗素子の製造方法では、中間層形成工程で、タングステン酸化物を主成分とした含有した導電性中間層を形成するので、貴金属を含む電極層を形成する前に、貴金属の電極層とのぬれ性が良いタングステン酸化物を主成分とする導電性中間層を接合層として形成することで、高い密着性を得ることができる。
第8の発明に係る抵抗素子の製造方法は、第7の発明において、前記電極形成工程で、ガラスフリットを含まない貴金属ペーストにより前記電極層を形成することを特徴とする。
すなわち、この抵抗素子の製造方法では、電極形成工程で、ガラスフリットを含まない貴金属ペーストにより電極層を形成するので、ガラスフリット中の亜鉛やマグネシウムがセラミックス材料中に拡散することがない。
第9の発明に係る抵抗素子の製造方法は、第7又は第8の発明において、前記中間層形成工程が、タングステン酸化物粒と有機溶媒とを含有したタングステン酸化物分散液を前記抵抗体上に塗布し、乾燥させて前記タングステン酸化物層を形成する工程と、前記タングステン酸化物層上にSiOと有機溶媒とを含有したシリカゾルゲル液を塗布し、前記タングステン酸化物層中に前記シリカゾルゲル液を浸透させた状態で乾燥させ前記導電性中間層を形成する工程とを有していることを特徴とする。
すなわち、この抵抗素子の製造方法では、タングステン酸化物粒で構成されたタングステン酸化物層上にSiOと有機溶媒とを含有したシリカゾルゲル液を塗布するので、タングステン酸化物粒間の隙間にシリカゾルゲル液が浸入し、乾燥後に前記隙間にSiOが介在する状態となる。次に、タングステン酸化物層中にシリカゾルゲル液を浸透させた状態で乾燥させ導電性中間層を形成するので、シリカゾルゲル液は乾燥させることで純度の高いSiOとなって硬化し、バインダーとして導電性中間層の強度を担保すると共に、サーミスタ素体等の抵抗体と導電性中間層とを強固に密着させる働きをする。また、タングステン酸化物層を形成する工程では、ペーストよりも粘度の低いタングステン酸化物分散液を塗布するため、ペーストで形成するよりも薄い導電性中間層を形成することができる。さらに、サーミスタ素体等の抵抗体に直接多くのタングステン酸化物粒が密着したタングステン酸化物層を予め形成するので、低抵抗の導電性中間層が得られる。
第10の発明に係る抵抗素子の製造方法は、第7又は第8の発明において、前記中間層形成工程で、前記抵抗体上にタングステン酸化物をスパッタリング又は真空蒸着により成膜してタングステン酸化物の前記導電性中間層を形成することを特徴とする。
すなわち、この抵抗素子の製造方法では、中間層形成工程で、抵抗体上にタングステン酸化物をスパッタリング又は真空蒸着により成膜してタングステン酸化物の導電性中間層を形成するので、タングステン酸化物膜の導電性中間層を形成することができる。
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係る抵抗素子によれば、導電性中間層が、タングステン酸化物を主成分として含有しているので、主成分タングステン酸化物の導電性中間層を接合層として介在させることで、セラミックス材料の抵抗体と貴金属含有の電極との高い密着性を得ることができる。
また、本発明に係る抵抗素子の製造方法によれば、中間層形成工程で、タングステン酸化物を主成分として含有した導電性中間層を形成するので、貴金属を含む電極層を形成する前に、貴金属の電極層とのぬれ性が良いタングステン酸化物を主成分とする導電性中間層を接合層として形成することで、高い密着性を得ることができる。
本発明に係る抵抗素子及びその製造方法の第1実施形態において、抵抗素子を示す要部の模式的な拡大断面図である。 第1実施形態において、抵抗素子(サーミスタ素子)を示す斜視図である。 本発明に係る抵抗素子及びその製造方法の第2実施形態において、抵抗素子を示す要部の模式的な拡大断面図である。 本発明に係る抵抗素子及びその製造方法の比較例(a)及び実施例(b)において、電極部分の断面を示すSEM画像である。 本発明に係る抵抗素子及びその製造方法の従来例において、Ag電極を剥がしたサーミスタ素体表面を示すSEM画像(a)及びEDS-SEM画像(b)である。
以下、本発明に係る抵抗素子及びその製造方法の第1実施形態を、図1及び図2を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能又は認識容易な大きさとするために必要に応じて縮尺を適宜変更している。
本実施形態の抵抗素子1は、図1に示すように、セラミックス材料で形成された抵抗体2と、抵抗体2上に形成された導電性中間層3と、導電性中間層3上に形成された貴金属を含む電極層4とを備えている。
上記導電性中間層3は、タングステン酸化物を主成分として含有している。
また、導電性中間層3は、互いに密着した状態のタングステン酸化物粒3aを含有している。
さらに、導電性中間層3は、タングステン酸化物粒3a間に生じた間隙にバインダー3bを含有している。
なお、タングステンは、WO(三酸化タングステン)、WO、W、WO、W、W11をはじめとした多様な酸化物が存在し、酸素欠陥を形成しやすいために不定比性の酸化物も形成する。本発明のタングステン酸化物としては、例えば、これらのタングステン酸化物、並びにこれらの混合物が挙げられる。形成される導電性中間層3の導電性を向上させる観点からは価数の低いものが好ましいが、これらは比較的不安定であるため、電極を焼き付ける際の熱処理によって酸化され、結晶構造や体積が変化することで導電性中間層3のクラックや剥離につながるおそれがあるため、タングステン酸化物としては、WOが好ましい。
上記電極層4は、ガラスフリットを含まず、Ag,Au,Pt,Pd及びこれらの合金等で形成されている。
なお、電極層4は、ガラスフリットを含まないことが好ましいが、ガラスフリット中の金属元素の抵抗体2への拡散を、バリア層でもある上記導電性中間層3の拡散防止効果によって抑制できる程度の量であれば、ガラスフリットを多少含有しても構わない。
タングステン酸化物を主成分として含有している導電性中間層3は、導電性を有するため電気的な接合を損なうことがない。
導電性中間層3の厚さは、例えば10~1000nmに設定される。
なお、導電性中間層3の厚さが10nm未満であると、接合層として十分に機能し難くなると共に、1000nmを超えると、厚過ぎる導電性中間層3に割れが生じるおそれがある。
本実施形態の抵抗素子1は、例えばフレーク型サーミスタであって、図2に示すように、抵抗体2が、サーミスタ材料で形成されたサーミスタ素体である。すなわち、抵抗素子1は、板状の抵抗体2(サーミスタ素体)の両面にそれぞれ導電性中間層3及び電極層4を有している。
上記サーミスタ素体の抵抗体2としては、例えばMn-Co-Fe,Mn-Co-Fe-Al,Mn-Co-Fe-Cu等が採用可能である。この抵抗体2の厚さは、例えば200μmである。
本実施形態の抵抗素子1の製造方法は、セラミックス材料で形成された抵抗体2上に導電性中間層3を形成する中間層形成工程と、導電性中間層3上に形成された貴金属を含む電極層4を形成する電極形成工程とを有している。
上記電極形成工程では、ガラスフリットを含まない貴金属ペーストにより電極層4を形成する。
上記中間層形成工程は、タングステン酸化物を主成分として含有した導電性中間層3を形成する。
上記中間層形成工程は、タングステン酸化物粒3aと有機溶媒とを含有したタングステン酸化物分散液を抵抗体2上に塗布し、乾燥させてタングステン酸化物層を形成する工程と、タングステン酸化物層上にSiOと有機溶媒とを含有したシリカゾルゲル液を塗布し、タングステン酸化物層中にシリカゾルゲル液を浸透させた状態で乾燥させ導電性中間層3を形成する工程とを有している。
上記タングステン酸化物層を形成する工程では、WOのエタノール分散液をサーミスタ素体(抵抗体2)のウェハに塗布し、乾燥後、バインダーとしてSiO(シリカ)ゾルゲル液(例えば、三菱マテリアル電子化成製SB-10A)を塗布、乾燥させることで形成する。
このときSiOはWO粒3aの間隙に浸み込み、導電性中間層3の密着性を向上させ、WO粒3a(タングステン酸化物粒3a)の間隙のみに存在するように塗布量を調整することで、WO粒3aとAgが直接接触するように設定する。このようにして導電性中間層3を形成したサーミスタ素体(抵抗体2)上に、ガラスフリットを含まない例えばAgペーストを印刷、焼き付けを行って電極層4を形成することで、抵抗素子1が得られる。
上記有機溶媒には分散剤を含んでもよい。
上記シリカゾルゲル液は、例えばSiOとエタノールと水と硝酸との混合液である。なお、このシリカゾルゲル液に用いる有機溶媒としては、上記エタノール以外の他の有機溶媒を採用しても構わない。また、シリカゾルゲル液に用いる酸は、加水分解反応を促進する触媒として機能し、上記硝酸以外の酸を採用しても構わない。
このように本実施形態の抵抗素子1では、導電性中間層3が、タングステン酸化物を主成分として含有しているので、主成分タングステン酸化物の導電性中間層3を接合層として介在させることで、セラミックス材料の抵抗体2と貴金属含有の電極層4との高い密着性を得ることができる。なお、電極層4がガラスフリットを多少含んでいたとしても、導電性中間層3がバリア層としても機能することにより、ガラスフリット中の亜鉛やマグネシウムの拡散による特性への影響が抑制される。
すなわち、導電性中間層3中のタングステン酸化物はセラミックス材料中に拡散せず、抵抗体の特性に影響を与えない。また、貴金属の電極層4とのぬれ性が良いタングステン酸化物を主成分とする導電性中間層3を接合層として介在させることで、低抵抗になると共に高い密着性と拡散防止効果とを得ることができる。
また、電極層4がガラスフリットを含んでいないため、ガラスフリット中の亜鉛やマグネシウムが抵抗体2のセラミックス材料中に拡散することがない。また、ガラスフリットを含まない電極層4であっても、タングステン酸化物を主成分とする導電性中間層3を接合層として介在させているので、電極層4の十分な密着性を得ることができる。
なお、電極層4がガラスフリットを多少含んでいても、タングステン酸化物を主成分とする導電性中間層3がガラスフリット中の金属元素(亜鉛やマグネシウム)が抵抗体2へ拡散することを抑制するバリア層としても機能することで、拡散防止効果が得られ、前記金属元素による抵抗体2(サーミスタ素体等)の特性への影響を抑制することができる。
また、導電性中間層3が、互いに密着した状態のタングステン酸化物粒3aを含有しているので、タングステン酸化物粒3a間の接触が多く、タングステン酸化物粒3a同士の導電性が高くなって、低抵抗化することができる。
さらに、導電性中間層3が、タングステン酸化物粒3a間に生じた間隙にバインダー3bを含有しているので、タングステン酸化物粒3a同士をより強く固定することができる。
したがって、本実施形態の抵抗素子1では、抵抗体2が、サーミスタ材料で形成されたサーミスタ素体であるので、特性が変化し難く、強固に密着した電極層4を備えた高信頼性のサーミスタ素子が得られる。
本実施形態の抵抗素子1の製造方法では、中間層形成工程で、タングステン酸化物を主成分とした含有した導電性中間層3を形成するので、貴金属を含む電極層4を形成する前に、貴金属の電極層4とのぬれ性が良いタングステン酸化物を主成分とする導電性中間層3を接合層として形成することで、高い密着性を得ることができる。
また、タングステン酸化物粒3aで構成されたタングステン酸化物層上にSiOと有機溶媒とを含有したシリカゾルゲル液を塗布するので、タングステン酸化物粒3a間の隙間にシリカゾルゲル液が浸入し、乾燥後に前記隙間にSiOが介在する状態となる。次に、タングステン酸化物層中にシリカゾルゲル液を浸透させた状態で乾燥させ導電性中間層3を形成するので、シリカゾルゲル液は乾燥させることで純度の高いSiOとなって硬化し、バインダー3bとして導電性中間層3の強度を担保すると共に、サーミスタ素体(抵抗体2)と導電性中間層3とを強固に密着させる働きをする。
また、タングステン酸化物層を形成する工程では、ペーストよりも粘度の低いタングステン酸化物分散液を塗布するため、ペーストで形成するよりも薄い導電性中間層3を形成することができる。さらに、サーミスタ素体(抵抗体2)に直接多くのタングステン酸化物粒3aが密着したタングステン酸化物層を予め形成するので、低抵抗の導電性中間層3が得られる。
次に、本発明に係る抵抗素子及びその製造方法の第2実施形態について、図3を参照して以下に説明する。なお、以下の各実施形態の説明において、上記実施形態において説明した同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、導電性中間層3が、互いに密着した状態のタングステン酸化物粒3aと、タングステン酸化物粒3a間に生じた間隙にバインダー3bとを含有しているのに対し、第2実施形態の抵抗素子21及びその製造方法では、図3に示すように、導電性中間層23が、タングステン酸化物膜で形成されている点である。
すなわち、第2実施形態の抵抗素子21の製造方法では、中間層形成工程において、抵抗体2上にタングステン酸化物をスパッタリング又は真空蒸着により成膜してタングステン酸化物膜の導電性中間層23を形成する。
このように第2実施形態の抵抗素子21及びその製造方法では、導電性中間層が、タングステン酸化物膜で形成されているので、界面全体に密着したタングステン酸化物膜により、薄い層厚でも低抵抗かつ高い密着性を得ることができる。
上記第1実施形態に基づいて作製した抵抗素子(サーミスタ素子)の実施例1について、断面のSEM画像を図4の(b)に示す。なお、比較例として、導電性中間層を介在させず、抵抗体上にガラスフリットを含まないAgペーストを直接塗布し、焼き付けたものについても、断面のSEM画像を図4の(a)に示す。
上記実施例1の製造方法は、WO粒の10%エタノール分散液をサーミスタ素体(抵抗体2)のウェハに塗布し、乾燥後、バインダーとして3%にエタノールで希釈したSiOゾルゲル液(三菱マテリアル電子化成製SB-10A)を塗布、乾燥させることで100nmの導電性中間層3を形成した。このようにして形成した導電性中間層3上に、さらにガラスフリットを含まないAgペーストを印刷、乾燥後、750℃30分間焼き付けを行って電極層4を形成した。
なお、断面加工を行うため、電極層4上には、樹脂Rと、この樹脂R上に接合されたSiウェハWとが積層されている。
また、抵抗体2のサーミスタ素体は、Mn-Co-Fe-Al-Oのサーミスタ材料で形成されている。
これらの画像から分かるように、比較例では、図4の(a)に示すように、電極層4が抵抗体2に十分に密着していないのに対し、本発明の実施例では、電極層4と抵抗体2との間に主成分としてWO粒を含有する導電性中間層3が介在していることで、電極層4が、導電性中間層3を介して抵抗体2に十分に密着している。
また、SEM-EDSの線分析により、W(タングステン)がサーミスタ素体中に拡散していないことがわかった。
このように上記実施例1では、導電性中間層3とAgを含有する電極層4とは、互いに良く密着しており、タングステン酸化物とAgとが化学結合を形成していると考えられる。
次に、上記実施例のサーミスタ素子を1mm角に切断、金属板に接着剤で固定したのち、電極層表面にTPTジャパン製太線用セミオートウェッジボンダーHB30を用い、超音波出力800、荷重600gfで0.3mmφのAlワイヤーをウェッジボンドし、それを引き剥がした際のシェア強度を測定した。その結果、表1に示すように、n=20の平均で146gfの強度が得られた。
また、導電性中間層の厚さを1000nmとすると共にAg/Pdペーストを用いた電極層の実施例2と、導電性中間層の厚さを200nmとすると共にPtペーストを用いた電極層の実施例3と、スパッタリングによりWO膜の導電性中間層を10nm厚で形成すると共にAgペーストを用いた電極層の実施例4と、真空蒸着によりWO膜の導電性中間層を100nm厚で形成すると共にPdペーストを用いた電極層の実施例4とを作製し、上記と同様に、シェア強度を測定した。
なお、上記各実施例の貴金属ペーストはガラスフリットを含んでいない。
また、導電性中間層が無くガラスフリットを含有しないAgペーストを用いた電極層の比較例1と、導電性中間層が無くガラスフリット5%(AGC製ASF-1094を5質量%)を含有したAgペーストを用いた電極層の比較例2とを作製し、上記と同様に、シェア強度を測定した。
これらの測定結果を、表1に示す。
また、サーミスタ素体への金属拡散の有無についてもSEM-EDSによる線分析で調べた結果も、表1に示す。
Figure 2022122204000002
上記の結果、導電性中間層が無くガラスフリットを含有しないAgペーストを用いた電極層の比較例1では、Alワイヤーボンディングの段階で電極層が剥がれてしまったのに対し、ガラスフリットを含まない貴金属ペーストを用いた電極層であるが導電性中間層を用いている本発明の各実施例では、いずれも146gf以上であった。
導電性中間層が無くガラスフリットを含むAgペーストを用いた電極層の比較例2では、電極層の密着力が139gfであるので、本発明の各実施例は、比較例2と同等以上の高い密着力が得られている。
また、本発明の各実施例及び比較例1では、サーミスタ素体への金属拡散が無いのに対し、ガラスフリットを含んだAgペーストを用いた比較例2では、サーミスタ素体へのZnの拡散が確認された。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態及び上記各実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
1,21…抵抗素子、2…抵抗体、3,23…導電性中間層、3a…タングステン酸化物粒、3b…バインダー、4…電極層

Claims (10)

  1. セラミックス材料で形成された抵抗体と、
    前記抵抗体上に形成された導電性中間層と、
    前記導電性中間層上に形成された貴金属を含む電極層とを備え、
    前記導電性中間層が、タングステン酸化物を主成分として含有していることを特徴とする抵抗素子。
  2. 請求項1に記載の抵抗素子において、
    前記電極層が、ガラスフリットを含まないことを特徴とする抵抗素子。
  3. 請求項1又は2に記載の抵抗素子において、
    前記導電性中間層が、互いに密着した状態のタングステン酸化物粒を含有していることを特徴とする抵抗素子。
  4. 請求項3に記載の抵抗素子において、
    前記導電性中間層が、前記タングステン酸化物粒間に生じた間隙にバインダーを含有していることを特徴とする抵抗素子。
  5. 請求項1又は2に記載の抵抗素子において、
    前記導電性中間層が、タングステン酸化物膜で形成されていることを特徴とする抵抗素子。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載の抵抗素子において、
    前記抵抗体が、サーミスタ材料で形成されたサーミスタ素体であることを特徴とする抵抗素子。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載の抵抗素子の製造方法であって、
    セラミックス材料で形成された抵抗体上に導電性中間層を形成する中間層形成工程と、
    前記導電性中間層上に貴金属を含む電極層を形成する電極形成工程とを有し、
    前記中間層形成工程で、タングステン酸化物を主成分として含有した前記導電性中間層を形成することを特徴とする抵抗素子の製造方法。
  8. 請求項7に記載の抵抗素子の製造方法において、
    前記電極形成工程で、ガラスフリットを含まない貴金属ペーストにより前記電極層を形成することを特徴とする抵抗素子の製造方法。
  9. 請求項7又は8に記載の抵抗素子の製造方法において、
    前記中間層形成工程が、タングステン酸化物粒と有機溶媒とを含有したタングステン酸化物分散液を前記抵抗体上に塗布し、乾燥させて前記タングステン酸化物層を形成する工程と、
    前記タングステン酸化物層上にSiOと有機溶媒とを含有したシリカゾルゲル液を塗布し、前記タングステン酸化物層中に前記シリカゾルゲル液を浸透させた状態で乾燥させ前記導電性中間層を形成する工程とを有していることを特徴とする抵抗素子の製造方法。
  10. 請求項7又は8に記載の抵抗素子の製造方法において、
    前記中間層形成工程で、前記抵抗体上にタングステン酸化物をスパッタリング又は真空蒸着により成膜してタングステン酸化物の前記導電性中間層を形成することを特徴とする抵抗素子の製造方法。
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