JP2022119304A - 平版印刷版原版、平版印刷版の製造方法、および印刷物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】インキ反発性、および細線の直線性に優れ、高い耐刷性を有する平版印刷版を得ることのできる平版印刷版原版を提供すること。【解決手段】基板上に少なくともシリコーンゴム層を有する平版印刷版原版であって、前記シリコーンゴム層のFT-IRスペクトルにおいて、環状シロキサン構造由来の1090cm-1近傍のピーク(i)と直鎖シロキサン構造由来の1020cm-1近傍のピーク(ii)が観測され、ピーク強度比((i)/(ii))が0.90以上1.30以下である、平版印刷版原版。【選択図】 なし
Description
本発明は、平版印刷版原版、平版印刷版原版の製造方法、平版印刷版の製造方法、および印刷物の製造方法に関する。
印刷市場では、飲料・中食市場の拡大、多品種・小ロット化の進行、デザインの多様化などの影響を受けて、包装材料およびラベル分野が成長している。これらの分野では、主にロール・トゥ・ロール方式による連続印刷によって印刷物が製造されており、一般的にグラビア印刷、フレキソ印刷、樹脂凸版印刷などが用いられる。
製版工程時間が短く、より高精細な印刷が可能な水なし平版印刷が包装材料およびラベル分野においても提案されている。しかし、水なし平版印刷版は、数μmの薄膜シリコーンゴム層によってインキを反発するため、耐刷性が不足する場合があった。この課題に対し、シリコーンゴム層にシリコーンレジンを導入することでシリコーンゴム層の物性を向上させる提案がなされている(特許文献1)。
また、シリコーンゴム層にシリコーンオイルを導入することでインキ反発性を向上させ、地汚れなく、連続印刷を可能にする提案がなされている(特許文献2)。
しかしながら、特許文献1で開示されるシリコーンゴム層にシリコーンレジンを導入する方法を用いた場合、シリコーンレジンの含有量に比例して、シリコーンゴム層が高弾性率化するため、現像時にシリコーンゴムを破断することができず、エッジ剥がれにより細線の直線性が低下するという課題があった。また、インキ反発性も低下するという課題があった。
また、特許文献2では、インキ反発性は向上するものの、シリコーンゴム層の弾性率を低下させるため、耐傷性や耐刷性が不十分であるという課題があった。
そこで、本発明は、インキ反発性、および細線の直線性に優れ、高い耐刷性を有する平版印刷版を得ることのできる平版印刷版原版を提供することを目的とする。
本発明に係る平版印刷版原版は、以下の構成を有する。すなわち、基板上に少なくともシリコーンゴム層を有する平版印刷版原版であって、シリコーンゴム層のFT-IRスペクトルにおいて、環状シロキサン構造由来の1090cm-1近傍のピーク(i)と直鎖シロキサン構造由来の1020cm-1近傍のピーク(ii)が観測され、ピーク強度比((i)/(ii))が0.90以上、1.30以下である、平版印刷版原版である。
本発明に係る平版印刷版原版によれば、インキ反発性、細線の直線性に優れ、高い耐刷性を有する平版印刷版原版を得ることができる。
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、目的や用途に応じて種々に変更して実施することができる。
本発明に係る平版印刷版原版は、基板上に少なくともシリコーンゴム層を有する平版印刷版原版であって、シリコーンゴム層のFT-IRスペクトルにおいて、環状シロキサン構造由来の1090cm-1近傍のピーク(i)と直鎖シロキサン構造由来の1020cm-1近傍のピーク(ii)が観測され、ピーク強度比((i)/(ii))が0.90以上1.30以下である平版印刷版原版である。
ここで、環状シロキサン構造とはラダー構造やランダム構造、カゴ構造、ポリオルガノシルセスキオキサンから選ばれる少なくとも1つを指す。シリコーンゴム層中に含まれる環状シロキサン構造の含有量が多いほど、シリコーンゴム層の架橋密度が高く、高い弾性率を有する平版印刷版原版が得られる。
本発明におけるシリコーンゴム層のFT-IRスペクトルを測定すると、環状シロキサン構造由来の1090cm-1近傍のピーク(i)と直鎖シロキサン構造由来の1020cm-1近傍のピーク(ii)が観測される。また、シリコーンゴム層のFT-IRスペクトルは、本発明にかかる平版印刷版原版のシリコーンゴム層側から光を照射して得られるスペクトルである。ここで、ピーク(i)は、1110cm-1~1070cm-1の領域で極大値が観測されるピークである。また、ピーク(ii)は、1040cm-1~1000cm-1の領域で極大値が観測されるピークである。
(i)/(ii)のピーク強度比は、ピーク(i)の極大値とピーク(ii)の極大値の比である。(i)/(ii)のピーク強度比は0.90以上であり、0.92以上がより好ましく、0.93以上であればさらに好ましい。ピーク強度比が0.90以上であれば、シリコーンゴム層を十分に高弾性率化することができるため、良好な耐刷性を得ることができる。また、現像時に細線のシリコーンゴム層が削れることを抑制し、細線の直線性に優れた印刷物を得ることができる。
一方、(i)/(ii)のピーク強度比は1.30以下であり、1.10以下がより好ましく、1.00以下がさらに好ましい。ピーク強度比が1.30以下であれば、インキ反発性が良好であり、細線の直線性に優れた印刷物、を得ることができる。 上述の(i)/(ii)のピーク強度比を得るために、本発明におけるシリコーンゴム層は、T単位(RSiO3/2:Rはメチル基、フェニル基、ビニル基などの有機基)および/またはQ単位(SiO4/2)を有するシリコーンレジンを含むシリコーンゴム層組成物から形成されることが好ましい。T単位および/またはQ単位を有するシリコーンレジンは、シリコーンゴム層のFT-IRスペクトルにおけるピーク(ii)に寄与するものである。
シリコーンゴム層組成物におけるT単位および/またはQ単位を有するシリコーンレジンの含有量は、シリコーンゴム層組成物(溶媒を除く)中の11.0~55.0質量%が好ましく、20.0~35.0質量%がより好ましく、25.0~33.0質量%がさらに好ましい。ここで、T単位および/またはQ単位を有するシリコーンレジンの含有量とは、T単位を有するシリコーンレジン、Q単位を有するシリコーンレジン、またはT単位とQ単位をともに有するシリコーンレジンのみを含有する場合にはその含有量を、それらを2種以上含有する場合にはその合計含有量を言う。シリコーンゴム層組成物におけるT単位および/またはQ単位を有するシリコーンレジンの含有量が11.0質量%以上であればシリコーンゴム層のFT-IRスペクトルにおける、(i)/(ii)のピーク強度比を0.90以上とすることができるため好ましい。また、シリコーンゴム層組成物(溶媒を除く)におけるT単位および/またはQ単位を有するシリコーンレジンの含有量が55.0質量%以下であれば、(i)/(ii)のピーク強度比を1.30以下とすることができるため好ましい。
シリコーンレジンには、その成分が主としてシリコーン成分のみからなるストレートシリコーンレジンと、シリコーン成分と有機樹脂の共重合体であるシリコーン変性有機レジンが挙げられる。本発明におけるT単位および/またはQ単位を有するシリコーンレジンは、インキ反発性などの観点からストレートシリコーンレジンが好ましい。
また、ストレートシリコーンレジンは、その有機基が主としてメチル基からなるメチル系シリコーンレジンと、フェニル基を併せ持つメチルフェニル系シリコーンレジンに大別されるが、インキ反発性の面から、メチル系ストレートシリコーンレジンが好ましい。
さらに、シリコーンレジンとしては、シリコーンゴム層のより高い耐刷性を達成することができる点で、SiH基やビニル基、水酸基(あるいはアセトキシ基、アルコキシ基、イミノキシ基などの加水分解により容易に水酸基を生じる官能基)などの官能基を有するものが好ましい。
シリコーンゴム層組成物として付加反応型のシリコーンゴム層組成物を用いる場合には、シリコーンゴム層組成物として付加反応型のシリコーンゴム層組成物と、SiH基含有化合物を有するシリコーンレジンおよび/またはビニル基を有するシリコーンレジンの組み合わせが好ましい。また、縮合反応型のシリコーンゴム層組成物を用いる場合には、縮合反応型のシリコーンゴム層組成物と水酸基を有するシリコーンレジンの組み合わせが好ましい。熱硬化時にシリコーンゴム層組成物を素早く硬化することができる観点から、付加反応型のシリコーンゴム層組成物を用いることが好ましく、さらにビニル基を有し、かつT単位および/またはQ単位を有するシリコーンレジンを用いることがより好ましい。ビニル基を有し、かつT単位および/またはQ単位を有するシリコーンレジンとしては、例えば、VQM-135(GELEST社製)、VQM-146(GELEST社製)、KR-251(信越シリコーン社製)、X-40-2667A(信越シリコーン社製)、X-40-2756(信越シリコーン社製)などが挙げられる。
本発明におけるシリコーンゴム層組成物は、直鎖のビニル基含有ポリジメチルシロキサンおよび/または直鎖の水酸基含有ポリジメチルシロキサンをさらに含むことが好ましい。より優れた画像再現性やより優れた平版印刷版のインキ反発性、より優れた耐傷性、より優れた耐刷性の観点から、直鎖のビニル基含有ポリジメチルシロキサンおよび/または直鎖の水酸基含有ポリジメチルシロキサンの重量平均分子量はそれぞれ10,000以上、100,000以下が好ましく、15,000以上、70,000以下がより好ましく、20,000以上、50,000以下がさらに好ましい。
直鎖のビニル基含有ポリジメチルシロキサンおよび直鎖の水酸基含有ポリジメチルシロキサンに含まれる直鎖シロキサンは、シリコーンゴム層のFT-IRスペクトルにおけるピーク(i)に寄与するものである。
シリコーンゴム層としては、付加反応型シリコーンゴム層組成物もしくは縮合反応型シリコーンゴム層組成物を基材もしくは感熱層に塗布して得られる層、またはこれらの組成物の溶液を塗布、乾燥して得られる層が挙げられる。
本発明の付加反応型のシリコーンゴム層組成物は、直鎖のビニル基含有ポリジメチルシロキサンの架橋剤として直鎖または/および分岐鎖のSiH基含有化合物および硬化触媒を含むことが好ましい。さらに、反応抑制剤を含有してもよい。
直鎖のSiH基含有化合物としては、例えば、オルガノハイドロジェンポリシロキサン、ジオルガノハイドロジェンシリル基を有する有機ポリマーが挙げられ、好ましくはオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。これらを2種以上含有してもよい。
オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、例えば以下のものが例示される。
分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたメチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端がジメチルハイドロジェンシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端がジメチルハイドロジェンシロキシ基で封鎖されたジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖が両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサンである。
ジオルガノハイドロジェンシリル基を有する有機ポリマーとしては以下のものが例示される。ジメチルハイドロジェンシリル(メタ)アクレート、ジメチルハイドロジェンシリルプロピル(メタ)アクリレートなどのジメチルハイドロジェンシリル基含有(メタ)アクリル系モノマーと、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、スチレン、α-メチルスチレン、マレイン酸、酢酸ビニル、酢酸アリルなどのモノマーとを共重合したオリゴマーである。
また、下記一般式(I)で表されるシロキサン構造単位と一般式(II)で表されるシロキサン構造単位の共重合体である直鎖のSiH基含有化合物がインキ反発性、コストの点から好ましい。
-[SiH(CH3)-O-]- (I)
-[Si(CH3)2-O-]- (II)
直鎖のSiH基含有化合物において、一般式(I)で表されるシロキサン構成単位と一般式(II)で表されるシロキサン構成単位の合計100モル%に対する一般式(I)で表されるシロキサン構成単位の含有比率は、1分子当たりに反応できる官能基量が多く、版面弾性率を向上できる点から50モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましい。一般式(I)で表されるシロキサン構成単位の含有比率は、100モル%であっても構わないが、インキ反発性を向上させ、また架橋点過多により脆くなるのを防ぐ点で99モル%以下であることが好ましい。
-[Si(CH3)2-O-]- (II)
直鎖のSiH基含有化合物において、一般式(I)で表されるシロキサン構成単位と一般式(II)で表されるシロキサン構成単位の合計100モル%に対する一般式(I)で表されるシロキサン構成単位の含有比率は、1分子当たりに反応できる官能基量が多く、版面弾性率を向上できる点から50モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましい。一般式(I)で表されるシロキサン構成単位の含有比率は、100モル%であっても構わないが、インキ反発性を向上させ、また架橋点過多により脆くなるのを防ぐ点で99モル%以下であることが好ましい。
付加反応型のシリコーンゴム層組成物が含有し得る反応抑制剤としては、含窒素化合物、リン系化合物、不飽和アルコールなどが挙げられ、アセチレン基含有アルコールが好ましく用いられる。これらを2種以上含有してもよい。これらの反応抑制剤を含有することにより、シリコーンゴム層の硬化速度を調整することができる。反応抑制剤の含有量は、シリコーンゴム層組成物やその溶液の安定性の観点から、シリコーンゴム層組成物(溶媒を除く)中0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。また、シリコーンゴム層の硬化性の観点から、シリコーンゴム層組成物中20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。
付加反応型のシリコーンゴム層組成物において、硬化触媒は公知のものから選ぶことができる。好ましくは白金系化合物であり、具体的には白金単体、塩化白金、塩化白金酸、オレフィン配位白金、白金のアルコール変性錯体、白金のメチルビニルポリシロキサン錯体などを挙げることができる。これらを2種以上含有してもよい。硬化触媒の含有量は、シリコーンゴム層の硬化性の観点から、シリコーンゴム層組成物(溶媒を除く)中0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましい。また、シリコーンゴム層組成物やその溶液の安定性の観点から、シリコーンゴム層組成物(溶媒を除く)中20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。
また、付加反応型のシリコーンゴム層組成物は、これらの成分の他に、水酸基含有オルガノポリシロキサンや加水分解性官能基含有シランもしくはこの官能基を含有するシロキサン、ゴム強度を向上させる目的でシリカなどの公知の充填剤、接着性を向上させる目的で公知のシランカップリング剤を含有してもよい。シランカップリング剤としては、アルコキシシラン類、アセトキシシラン類、ケトキシミノシラン類などが好ましく、またビニル基やアリル基がケイ素原子に直結したものが好ましい。
縮合反応型のシリコーンゴム層組成物は、少なくとも水酸基含有オルガノポリシロキサン、架橋剤および硬化触媒を原料とすることが好ましい。
水酸基含有オルガノポリシロキサンは、前記一般式(I)で表される構造を有し、主鎖末端もしくは主鎖中に水酸基を有するものである。中でも主鎖末端に水酸基を有するものが好ましい。これらを2種以上含有してもよい。
縮合反応型のシリコーンゴム層組成物に含まれる架橋剤としては、下記一般式(III)で表される、脱酢酸型、脱オキシム型、脱アルコール型、脱アセトン型、脱アミド型、脱ヒドロキシルアミン型などのケイ素化合物を挙げることができる。
(R3)4-mSiXm (III)
式(III)中、mは2~4の整数を示し、R3は互いに同一でも異なってもよく、炭素数1以上の置換もしくは非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはこれらの組み合わされた基を示す。Xは互いに同一でも異なってもよく、加水分解性基を示す。加水分解性基としては、アセトキシ基などのアシロキシ基、メチルエチルケトオキシム基などのケトオキシム基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、イソプロペノキシ基などのアルケニルオキシ基、アセチルエチルアミノ基などのアシルアルキルアミノ基、ジメチルアミノキシ基などのアミノキシ基などが挙げられる。上記式において、加水分解性基の数mは3または4であることが好ましい。
式(III)中、mは2~4の整数を示し、R3は互いに同一でも異なってもよく、炭素数1以上の置換もしくは非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはこれらの組み合わされた基を示す。Xは互いに同一でも異なってもよく、加水分解性基を示す。加水分解性基としては、アセトキシ基などのアシロキシ基、メチルエチルケトオキシム基などのケトオキシム基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、イソプロペノキシ基などのアルケニルオキシ基、アセチルエチルアミノ基などのアシルアルキルアミノ基、ジメチルアミノキシ基などのアミノキシ基などが挙げられる。上記式において、加水分解性基の数mは3または4であることが好ましい。
縮合反応型のシリコーンゴム層組成物に含まれる架橋剤となる具体的な化合物として、メチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、アリルトリアセトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、テトラアセトキシシランなどのアセトキシシラン類、ビニルメチルビス(メチルエチルケトキシミノ)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシミノ)シラン、エチルトリス(メチルエチルケトキシミノ)シラン、ビニルトリス(メチルエチルケトキシミノ)シラン、アリルトリス(メチルエチルケトキシミノ)シラン、フェニルトリス(メチルエチルケトキシミノ)シラン、テトラキス(メチルエチルケトキシミノ)シランなどのケトキシミノシラン類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシランなどのアルコキシシラン類、ビニルトリスイソプロペノキシシラン、ジイソプロペノキシジメチルシラン、トリイソプロペノキシメチルシランなどのアルケニルオキシシラン類、テトラアリロキシシラン、などが例示される。
これらの中では、シリコーンゴム層の硬化速度、取扱い性などの観点から、アセトキシシラン類、ケトキシミノシラン類が好ましい。これらを2種以上含有してもよい。
上記架橋剤は、水酸基含有オルガノポリシロキサンと混合することにより、架橋剤とシラノール基とが反応することにより、シラノール基に代わって架橋剤が結合したオルガノシロキサンとなることがある。したがって、縮合反応型のシリコーンゴム層組成物においては、架橋剤が結合したオルガノシロキサンはあるが、シラノール基を有するオルガノシロキサンはないという場合もある。
縮合反応型のシリコーンゴム層組成物における架橋剤の添加量は、シリコーンゴム層組成物やその溶液の安定性の観点から、シリコーンゴム層組成物(溶媒を除く)中0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。また、シリコーンゴム層の強度や平版印刷版における耐傷性の観点から、シリコーンゴム層組成物(溶媒を除く)中20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。
縮合反応型のシリコーンゴム層組成物に含まれる硬化触媒としては、有機カルボン酸、酸類、アルカリ、アミン、金属アルコキシド、金属ジケテネート、錫、鉛、亜鉛、鉄、コバルト、カルシウム、マンガンなどの金属の有機酸塩などが挙げられる。具体的には、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸亜鉛、オクチル酸鉄などを挙げることができる。これらを2種以上含有してもよい。
縮合反応型のシリコーンゴム層組成物における硬化触媒の含有量は、シリコーンゴム層の硬化性、接着性の観点から、シリコーンゴム層の固形分100質量部に対して0.001質量部以上が好ましく、0.01質量部以上がより好ましい。また、シリコーンゴム層組成物やその溶液の安定性の観点から、シリコーンゴム層の固形分100質量部に対して15質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。
本発明に係る平版印刷版原版におけるシリコーンゴム層はシリコーンオイルを含むことが好ましい。ここでいうシリコーンオイルとはシリコーン層中に含まれる遊離シロキサン成分を指す。シリコーンオイルを含むことで印刷時に版面が加圧されたとき、シリコーンゴム層表面にシリコーンオイルが表出することによって、インキ反発性をより向上させることができる。シリコーンゴム層におけるシリコーンオイルの含有量は、シリコーンゴム層中0.05g/cm3以上が好ましく、0.09g/cm3以上がより好ましい。0.12g/cm3以上がさらに好ましい。また、版面弾性率の低下に伴うシリコーンゴム層の脆性破壊による耐刷不良を抑制し、細線の直線性を良好にする点で、0.49g/cm3以下が好ましく、0.44g/cm3以下がより好ましい。
本発明におけるシリコーンオイルとしては、例えば、末端ジメチルポリジメチルシロキサン、環状ポリジメチルシロキサン、末端ジメチル-ポリジメチル-ポリメチルフェニルシロキサンコポリマー、末端ジメチル-ポリジメチル-ポリジフェニルシロキサンコポリマーなどのジメチルシリコーンオイル類、またアルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、エポキシポリエーテル変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、アミド変性シリコーンオイル、カルナバ変性シリコーンオイル、高級脂肪酸変性シリコーンオイルなどの分子中のメチル基の一部に各種有機基を導入した変性シリコーンオイル類が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
これらシリコーンオイルの分子量は、標品にポリスチレンを用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定することができ、重量平均分子量が1,000以上、10,000以下のものが好ましく、2,000以上、5,000以下であることがより好ましい。シリコーンゴム層においてシリコーンオイルが2種以上存在する場合、シリコーンオイルの混合物の重量平均分子量をいう。
シリコーンゴム層中におけるシリコーンオイルの含有量の測定は、抽出成分の重量と断面SEM観察を組み合わせて行うことができる。平版印刷版原版(10cm×10cm)を“アイソパー”(登録商標)E(エッソ化学(株)製)に1時間浸漬・抽出することで、浸漬前後の重量変化から遊離シロキサン成分の重量を求めることができる。抽出された液体について“ECA600”(JEOL RESONANCE社製)を用いて、測定法:シングルパルス法、測定核周波数399.78MHz(1H核)、スペクトル幅:40kHz、パルス幅:6.10μsec、パルス繰り返し時間:ACQTM(3.2768sec)PD:(30sec)、内標トルエン1mgの条件で、1H-NMRスペクトル測定を行い、化学シフト:0.1ppmにSi-CH3のピークから、抽出物中の遊離シロキサン成分の含有量を定量することができる。また、平版印刷版原版の断面SEM観察により、シリコーンゴム層の膜厚を測定でき、体積あたりの、シリコーンゴム層中の遊離シロキサン成分の重量を測定することができる。具体的には、平版印刷版原版を超薄切片法によって試料を作製し、透過型電子顕微鏡H-1700FA型(日立製)を使用して、加速電圧100kV、直接倍率2000倍で、シリコーンゴム層の垂直断面をランダムに10箇所観察し、その平均値をシリコーンゴム層の平均膜厚(μm)とする。抽出物中の遊離シロキサン成分の含有量とシリコーンゴム層の平均膜厚から、シリコーンオイルの含有量を求めることができる。
また、シリコーンゴム層を形成するシリコーンゴム層組成物(溶媒を除く)の組成が既知の場合、シリコーンゴム層中におけるシリコーンオイルの含有量は、シリコーンオイルに相当する化合物の含有量の合計値とすることができる。
本発明に係る平版印刷版原版において、版面弾性率は15MPa以上45MPa以下であることが好ましい。版面弾性率はナノインデンテーション法を用いて、ダイヤモンド製円錐圧子を平版印刷版原版のシリコーンゴム層表面に押し込み、荷重-押し込み深さ線図を取得することで荷重に対する弾性率を算出したものである。版面弾性率は平版印刷版原版表面に14000N/m2の荷重を加えたときの弾性率で定義する。具体的な版面弾性率の測定は以下の方法にて測定を実施する。
版面弾性率の測定は、超微小硬度計“Nano Indenter XP”(MTSシステムズ社製)を用いて行うことができる。25℃大気中でダイヤモンド製円錐圧子(先端曲率半径=50μm)を平版印刷版原版の表面に押し込み、荷重-押し込み深さ線図を取得する。取得した荷重-押し込み深さ線図から、以下の式(1)を用いて圧子の弾性変形の寄与を含んだ複合弾性率E*(単位:MPa)を求める。ここで、現像時に版面にかかる荷重に相当する14000N/m2を本測定で再現した場合、14000N/m2×π×(50μm)2となり、P=0.11mNとなる。
P=4/3・E*・R1/2・h3/2 ・・・・・式(1)
ここで、Rは圧子の半径(50μm)、Pは荷重(0.11mN)、hは変位(nm)を表す。なお、複合弾性率E*(MPa)を算出するにあたり、半径P,荷重Pおよび変位hの単位を適宜、変換するものとする。
ここで、Rは圧子の半径(50μm)、Pは荷重(0.11mN)、hは変位(nm)を表す。なお、複合弾性率E*(MPa)を算出するにあたり、半径P,荷重Pおよび変位hの単位を適宜、変換するものとする。
続いて以下の式(2)を用いて試料の弾性率E(単位:MPa)を求める。
1/E*=(1-ν2)/E+(1-νi2)/Ei ・・・・・式(2)
ここで、νは試料のポアソン比(0.5)、Eは試料の弾性率(MPa)、νiは圧子のポアソン比(0.07)、Eiは圧子の弾性率(1141×103MPa)を表す。
ここで、νは試料のポアソン比(0.5)、Eは試料の弾性率(MPa)、νiは圧子のポアソン比(0.07)、Eiは圧子の弾性率(1141×103MPa)を表す。
シリコーンゴム層の膜強度が向上し、より優れた耐刷性、細線の直線性、インキ反発性を得ることが出来るという点で、版面弾性率は15MPa以上が好ましく、25MPa以上がさらに好ましい。また、シリコーンゴム層の脆性破壊による耐刷不良をより抑制することができる点で、版面弾性率は45MPa以下であることが好ましく、35MPa以下であることがさらに好ましい。シリコーンゴム層の版面弾性率を上記範囲にするための手段としては、例えば、直鎖のビニル基含有ポリジメチルシロキサンおよび/または直鎖の水酸基含有ポリジメチルシロキサンの重量平均分子量、シリコーンゴム層組成物におけるT単位および/またはQ単位を有するシリコーンレジンの含有量、シリコーンゴム層におけるシリコーンオイルの含有量、シリコーンゴム層における架橋剤の含有量を後述する好ましい範囲にすることなどが挙げられる。
本発明に係る平版印刷版原版は、シリコーンゴム層を保護する目的で、シリコーンゴム層の表面に保護フィルムおよび/または合紙を有してもよい。
保護フィルムとしては、露光光源波長の光を良好に透過する厚み100μm以下のフィルムが好ましい。フィルムの素材の代表例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、セロファンなどを挙げることができる。また、露光による原版の感光を防止する目的で、種々の光吸収剤、光発色物質、特許第2938886号公報に記載されたような光退色性物質を保護フィルム上に有してもよい。
合紙としては、秤量30~120g/m2のものが好ましく、より好ましくは30~90g/m2のものである。秤量30g/m2以上の合紙であれば機械的強度が十分であり、120g/m2以下であれば経済的に有利であるばかりでなく、平版印刷版原版と紙の積層体が薄くなり、作業性が有利になる。好ましく用いられる合紙の例として、例えば、情報記録原紙40g/m2(名古屋パルプ(株)製)、金属合紙30g/m2(名古屋パルプ(株)製)、未晒しクラフト紙50g/m2(中越パルプ工業(株)製)、NIP用紙52g/m2(中越パルプ工業(株)製)、純白ロール紙45g/m2(王子製紙(株)製)、クルパック73g/m2(王子製紙(株)製)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明に係る平版印刷版原版は、少なくともシリコーンゴム層を有する。必要に応じて感熱層を有してもよい。本発明に係る平版印刷版原版は、基板、感熱層およびシリコーンゴム層の順にあることが好ましい。
本発明に用いることができる基板としては、従来印刷版の基板として用いられ、印刷工程において寸法的な変化の少ない公知の紙、金属、ガラス、フィルムなどがあげられる。具体的には、紙、プラスチック(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなど)がラミネートされた紙、アルミニウム(アルミニウム合金も含む)、亜鉛、銅などの金属板、ソーダライム、石英などのガラス板、シリコンウエハー、セルロースアセテート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタールなどのプラスチックのフィルム、上記金属がラミネートまたは蒸着された紙またはプラスチックフィルムなどが挙げられる。プラスチックフィルムは透明でも不透明でもよい。検版性の観点からは、不透明のフィルムが好ましい。
これら基板のうち、アルミニウム板は印刷工程において寸法的な変化が少なく、しかも安価であるので特に好ましい。また、軽印刷用の柔軟な基板としては、ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
基板の厚みは特に限定されず、平版印刷に使用される印刷機に対応した厚みを選択すればよい。
本発明に係る平版印刷版原版は、感熱層のシリコーンゴム層とは反対側に有機層を有することができる。すなわち、基板と感熱層の間に有機層を設けることができる。本発明に係る平版印刷版原版に用いられる有機層の特性は、平版印刷版原版に柔軟性を付与し、基板あるいは感熱層と良好な接着性を有し、さらに現像液あるいは印刷時に使用する溶剤に対する耐性が高いことである。例えば、特開2004-199016号公報、特開2004-334025号公報などに開示されている金属キレート化合物を含有する有機層が好ましく用いられるが、この限りではない。
本発明において有機層は、柔軟性を付与し版面弾性率を制御する目的で、ポリウレタン樹脂や天然ゴム、合成ゴム等の柔軟性付与剤を含有してもよい。これら柔軟性付与剤の中で、塗工性能、塗液安定性の点からポリウレタン樹脂が特に好ましく用いられる。
次に、本発明に好ましく用いることができる感熱層について説明する。
感熱層としては、描き込みに使用されるレーザー光を熱に変換(光熱変換)する機能を有し、さらに、発生した熱によって、感熱層の少なくとも表面が分解し、もしくは現像液への溶解性が高まる、またはシリコーンゴム層との接着力が低下するものであることが好ましい。本発明における感熱層には、公知のものを使用することができる。このような感熱層は例えば以下のような組成物を含有することができる。
(A)活性水素を有するポリマー、架橋剤、および光熱変換物質を含む組成物。
(B)活性水素を有するポリマー、有機錯化合物、および光熱変換物質を含む組成物。
(B)活性水素を有するポリマー、有機錯化合物、および光熱変換物質を含む組成物。
前記感熱層は、これらの組成物を含有する溶液または分散液を塗布、乾燥して作製することができる。乾燥は常温で行っても、加熱して行ってもよい。このように作製された感熱層は、レーザー光を照射することで、光熱変換物質から発生した熱により、(A)に示した組成物においては、活性水素を有するポリマーと架橋剤とで構成されていた架橋構造、(B)に示した組成物においては、活性水素を有するポリマーと有機錯化合物とで構成されていた架橋構造、が分解される。
本発明において、感熱層に好ましく用いられる活性水素を有するポリマーとしては、例えば、ポリウレタン類、ポリウレア類、ポリアミド類、エポキシ樹脂類、ポリアルキレンイミン類、ノボラック樹脂類、レゾール樹脂類、セルロース誘導体類などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
中でも、アルコール性水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシル基を有するポリマーが好ましく、フェノール性水酸基を有するポリマー(p-ヒドロキシスチレンの単独重合体もしくは共重合体、ノボラック樹脂、レゾール樹脂など)がより好ましく、ノボラック樹脂がさらに好ましい。ノボラック樹脂としてはフェノールノボラック樹脂やクレゾールノボラック樹脂が挙げられる。感熱層の組成物(A)および組成物(B)が含むことができる光熱変換物質としては、レーザー光を吸収することにより、光エネルギーを原子・分子の運動エネルギーに変換し、瞬間的に感熱層表面で200℃以上の熱を発生させることで、感熱層の架橋構造を熱分解する機能を有するものが好ましい。特に赤外線または近赤外線を吸収する顔料、染料が好ましい。赤外線または近赤外線を吸収する顔料としては、例えば、カーボンブラック、カーボングラファイト、アニリンブラック、シアニンブラックなどの黒色顔料、フタロシアニン、ナフタロシアニン系の緑色顔料、結晶水含有無機化合物、鉄、銅、クロム、ビスマス、マグネシウム、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、コバルト、バナジウム、マンガン、タングステンなどの金属粉、またはこれら金属の硫化物、水酸化物、珪酸塩、硫酸塩、燐酸塩、ジアミン化合物錯体、ジチオール化合物錯体、フェノールチオール化合物錯体、メルカプトフェノール化合物錯体などを挙げることができる。
また、赤外線または近赤外線を吸収する染料としては、エレクトロニクス用や記録用の染料で、最大吸収波長が700nm~1500nmの範囲にあるシアニン系染料、アズレニウム系染料、スクアリリウム系染料、クロコニウム系染料、アゾ系分散染料、ビスアゾスチルベン系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、ペリレン系染料、フタロシアニン系染料、ナフタロシアニン金属錯体系染料、ポリメチン系染料、ジチオールニッケル錯体系染料、インドアニリン金属錯体染料、分子間型CT染料、ベンゾチオピラン系スピロピラン、ニグロシン染料などが好ましく使用される。
これらの染料のなかでも、モル吸光係数εの大きなものが好ましく使用される。具体的には、εは1×104L/(mol・cm)以上が好ましく、より好ましくは1×105L/(mol・cm)以上である。εが1×104L/(mol・cm)以上であれば、初期感度をより向上させることができる。ここでの係数は照射する活性エネルギー線に対してである。具体的な波長を示すのであれば780nm、830nmまたは1064nmに注目するのがよい。
本発明に係る平版印刷版原版は、水なし印刷、水あり印刷のいずれにも用いることができ、特に水なし印刷において好適に用いることができる。
次に、本発明に係る平版印刷版原版を用いて平版印刷版を製造する方法について説明する。本発明に係る平版印刷版の製造方法は、平版印刷版原版にレーザーを照射する工程(露光工程)、その後、平版印刷版原版に物理的刺激を与えて現像する工程(現像工程)を含む。
まず、露光工程について説明する。露光工程では本発明の平版印刷版原版を像に従って露光する。平版印刷版原版が保護フィルムを有する場合、保護フィルム上から露光してもよいし、保護フィルムを剥離して露光してもよい。露光工程で用いられる光源としては、発光波長領域が300nm~1500nmの範囲にあるものが挙げられる。これらの中でも、感熱層の吸収波長として広く用いられることから、近赤外領域付近に発光波長領域が存在する半導体レーザーやYAGレーザーが好ましく用いられる。具体的には、熱への変換効率の観点から780nm、830nm、1064nmの波長のレーザー光が露光に好ましく用いられる。
次に、現像工程について説明する。現像工程では露光後の平版印刷版原版に物理刺激を与えることにより、露光部のシリコーンゴム層を除去する。物理刺激を与える方法としては、例えば、(i)現像液を含浸した不織布、脱脂綿、布、スポンジなどで版面を拭き取る方法、(ii)現像液で版面を前処理した後に水道水などをシャワーしながら回転ブラシで擦る方法、(iii)高圧の水や温水、または水蒸気を版面に噴射する方法などが挙げられる。
現像処理された平版印刷版を積み重ねて保管する場合に備えて、版面保護の目的で、版と版の間に合紙を挟んでおくことが好ましい。
次に本発明に係る水なし平版印刷版から印刷物を製造する方法の例について示す。本発明における被印刷体とは、薄紙、厚紙、フィルム、ラベルなど印刷される媒体全般を指す。本発明に係る平版印刷版原版は、非塗工紙への印刷に用いることが好ましい。非塗工紙とはコート剤が塗布されていない木材パルプを主原料に各種添加剤を加えて、印刷に適した品質を実現したものであり、化学処理によって不純物を取り除いた化学パルプだけを使った上質紙、化学パルプの配合割合の異なる中質紙、下級紙などが挙げられる。一方で、非塗工紙は表面をコート剤により塗工されていないため、印刷時に紙粉が発生しやすい。そのため、ブランケット上に紙粉が堆積し、平版印刷版のシリコーンゴム層に局所的に高い圧力がかかり、シリコーンゴム層の摩耗を加速させる場合がある。本発明に係る平版印刷版原版は優れた耐刷性を有するため、被印刷体として非塗工紙を用いた場合おいても高い耐刷性を有することができる。
また、本発明に係る印刷物の製造方法は、密度が0.2~1.0g/cm3である被印刷体を用いることが好ましい。
さらに、本発明に係る印刷物の製造方法は、坪量が100~220g/m2である被印刷体を用いることが好ましい。密度は以下の計算式によって算出される。
密度(g/cm3)=坪量(g/m2)/厚さ(mm)×1000
本発明に係る水なし平版印刷版を用いた印刷では、被印刷体に転写されたインキに活性エネルギー線を照射する工程を含む。インキは、公知の活性エネルギー線硬化型インキを用いることができる。
密度(g/cm3)=坪量(g/m2)/厚さ(mm)×1000
本発明に係る水なし平版印刷版を用いた印刷では、被印刷体に転写されたインキに活性エネルギー線を照射する工程を含む。インキは、公知の活性エネルギー線硬化型インキを用いることができる。
活性エネルギー線硬化型インキを照射する光源としては、硬化反応に必要な励起エネルギーを有するものであればいずれも用いることができるが、例えば紫外線や電子線などが好ましく用いられる。電子線により硬化させる場合は、100~500eVの電子線を放出できる電子線照射装置が好ましく用いられる。紫外線により硬化させる場合は、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、LED等の紫外線照射装置が利用できるが、特に限定されない。
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。各実施例・比較例における評価は以下の通り行った。
(1)FT-IRのスペクトル測定
平版印刷版原版の切片(2cm×2cm)をフーリエ変換型赤外分光分析装置“IR Tracer-100”(島津製作所製)を用いて、光源:高輝度セラミックス光源、検出器:温度調節機構付きDLATGS検出器、検出波数範囲:7,800~350cm-1、パージ:窒素ガス、測定モード:全反射測定法(Attenuated Total Reflection:ATR法)、分解能:8cm-1、積算回数:64回で行い、シリコーンゴム層の赤外スペクトルを得た。得られた赤外スペクトルから、環状シロキサン由来の1090cm-1近傍の透過率のピーク強度(i)を直鎖シロキサン由来の1020cm-1近傍の透過率のピーク強度(ii)で割ることでピーク強度度比((i)/(ii))を算出した。
平版印刷版原版の切片(2cm×2cm)をフーリエ変換型赤外分光分析装置“IR Tracer-100”(島津製作所製)を用いて、光源:高輝度セラミックス光源、検出器:温度調節機構付きDLATGS検出器、検出波数範囲:7,800~350cm-1、パージ:窒素ガス、測定モード:全反射測定法(Attenuated Total Reflection:ATR法)、分解能:8cm-1、積算回数:64回で行い、シリコーンゴム層の赤外スペクトルを得た。得られた赤外スペクトルから、環状シロキサン由来の1090cm-1近傍の透過率のピーク強度(i)を直鎖シロキサン由来の1020cm-1近傍の透過率のピーク強度(ii)で割ることでピーク強度度比((i)/(ii))を算出した。
(2)シリコーン層におけるシリコーンオイルの含有量
シリコーンオイル層におけるシリコーンオイルの含有量は、後述するシリコーンゴム層組成物溶液に含まれるシリコーンオイルの合計質量(g)とシリコーンゴム層の平均膜厚(μm)から算出した。シリコーンゴム層の平均膜厚は、平版印刷版原版を超薄切片法によって試料を作製し、透過型電子顕微鏡H-1700FA型(日立製)を使用して、加速電圧100kV、直接倍率2000倍で、シリコーンゴム層の垂直断面をランダムに10箇所観察して求めた。
シリコーンオイル層におけるシリコーンオイルの含有量は、後述するシリコーンゴム層組成物溶液に含まれるシリコーンオイルの合計質量(g)とシリコーンゴム層の平均膜厚(μm)から算出した。シリコーンゴム層の平均膜厚は、平版印刷版原版を超薄切片法によって試料を作製し、透過型電子顕微鏡H-1700FA型(日立製)を使用して、加速電圧100kV、直接倍率2000倍で、シリコーンゴム層の垂直断面をランダムに10箇所観察して求めた。
(シリコーンオイルの合計質量(g)/シリコーンゴム層の平均膜厚(μm))×100=シリコーンオイルの含有量(g/cm3)
(3)直線性の評価
CTP用露光機“PlateRite”8900N(株式会社SCREENグラフィックソリューションズ製)を用いて、照射エネルギー:147mJ/cm2(ドラム回転数:170rpm)の条件で平版印刷版原版を露光した。縦550mm×横650mmの平版印刷版原版の中央に20μmの細線と、縦20mm×横650mmの帯状のベタ画像を設けた。水道水を現像液として、露光した原版を自動現像機TWL-1160F(東レ(株)製)に速度60cm/分で通し、平版印刷版を製造した。得られた平版印刷版の細線を100倍のルーペで観察し、細線の再現性(直線性)を以下の基準にて判断をした。
(3)直線性の評価
CTP用露光機“PlateRite”8900N(株式会社SCREENグラフィックソリューションズ製)を用いて、照射エネルギー:147mJ/cm2(ドラム回転数:170rpm)の条件で平版印刷版原版を露光した。縦550mm×横650mmの平版印刷版原版の中央に20μmの細線と、縦20mm×横650mmの帯状のベタ画像を設けた。水道水を現像液として、露光した原版を自動現像機TWL-1160F(東レ(株)製)に速度60cm/分で通し、平版印刷版を製造した。得られた平版印刷版の細線を100倍のルーペで観察し、細線の再現性(直線性)を以下の基準にて判断をした。
A:20μmの細線が100%再現できた。
B:20μmの細線が80%再現できた(20%剥がれた)。
C:20μmの細線が60%再現できた(40%剥がれた)。
D:20μmの細線が40%再現できた(60%剥がれた)。
E:20μmの細線が20%再現できた(80%剥がれた)。
F:20μmの細線が0%再現できた(100%剥がれた)。
(4)インキ反発性の効果(地汚れ開始温度の測定)
枚葉印刷機“オリバー266EPZ”(桜井グラフィックシステムズ(株)製)の排紙部に速度可変式コンベアを内蔵した紫外線照射装置を連結した印刷試験機を準備した。前記印刷試験機に、上記(3)で製造した平版印刷版を装着し、UV硬化型インキである“UV 171 H”(TOKA社製)を用いて、5000枚/時(sph)の速度でUV印刷試験を行った。インキローラーにより平版印刷版にインキを供給し、平版印刷版とブランケットとを接触させ、平版印刷版からブランケットにインキを転写した。続いて、ブランケット上のインキを被印刷体である上質紙(非塗工紙、密度0.81g/cm3、坪量157.0g/cm3)に転写するオフセット印刷方式で行った。ベタ印刷部の反射濃度が1.6(墨)になるようにUVインキの供給量を制御し、UVインキが転写した紙に紫外線照射を行うことで印刷物を得た。試験には出力120W/cm2のメタルハライドランプを使用し、焦点距離150mm、流れ方向のランプハウスの幅100mmを照射領域とした。
枚葉印刷機“オリバー266EPZ”(桜井グラフィックシステムズ(株)製)の排紙部に速度可変式コンベアを内蔵した紫外線照射装置を連結した印刷試験機を準備した。前記印刷試験機に、上記(3)で製造した平版印刷版を装着し、UV硬化型インキである“UV 171 H”(TOKA社製)を用いて、5000枚/時(sph)の速度でUV印刷試験を行った。インキローラーにより平版印刷版にインキを供給し、平版印刷版とブランケットとを接触させ、平版印刷版からブランケットにインキを転写した。続いて、ブランケット上のインキを被印刷体である上質紙(非塗工紙、密度0.81g/cm3、坪量157.0g/cm3)に転写するオフセット印刷方式で行った。ベタ印刷部の反射濃度が1.6(墨)になるようにUVインキの供給量を制御し、UVインキが転写した紙に紫外線照射を行うことで印刷物を得た。試験には出力120W/cm2のメタルハライドランプを使用し、焦点距離150mm、流れ方向のランプハウスの幅100mmを照射領域とした。
このとき、チラーを用いてインキローラーの温度を制御し、平版印刷版の版面温度を変更した。版面温度は非接触温度計で測定し、温度ごとに目視で非画線部の地汚れの有無を観察した。
水なし平版印刷版を用いた印刷では、地汚れ開始温度を測定することにより、平版印刷版のインキ反発性を評価した。地汚れとは、平版印刷版の非画線部にインキが残り、本来インキの付着を意図していない被印刷体の箇所にインキを転写してしまうことを指す。水なし印刷においては、版面温度が高くなるほど地汚れが発生しやすくなる。この地汚れが発生し始める版面温度を地汚れ開始温度という。地汚れ開始温度が高いほど耐地汚れ性は良好となる。冷却機構が備わった印刷機であれば、地汚れ開始温度は24℃以上あれば良く、より好ましくは26℃以上である。
(5)耐刷性の評価
上記(4)の地汚れ開始温度を測定した後、その温度を維持しながら上記(3)で用いた非塗工紙に連続印刷を行った。5000枚毎に印刷物を確認し、目視で地汚れが認められるまでの枚数を耐刷枚数とした。耐刷枚数は50,000枚以上が好ましく、80,000枚以上がより好ましく、100,000枚以上がさらに好ましい。
(5)耐刷性の評価
上記(4)の地汚れ開始温度を測定した後、その温度を維持しながら上記(3)で用いた非塗工紙に連続印刷を行った。5000枚毎に印刷物を確認し、目視で地汚れが認められるまでの枚数を耐刷枚数とした。耐刷枚数は50,000枚以上が好ましく、80,000枚以上がより好ましく、100,000枚以上がさらに好ましい。
[実施例1]
平版印刷版原版を以下の方法で作製した。
平版印刷版原版を以下の方法で作製した。
厚み0.30mmの脱脂したアルミ基板(三菱アルミ(株)製)上に下記の有機層組成物溶液を塗布し、200℃で90秒間乾燥し、厚み6.0μmの有機層を設けた。なお、有機層組成物溶液は、下記成分を室温にて撹拌混合することにより得た。
<有機層組成物溶液>
(a)活性水素を有するポリマー:エポキシ樹脂:“エピコート”(登録商標)1010(ジャパンエポキシレジン(株)製):29.2質量部
(b)活性水素を有するポリマー:ポリウレタン:“サンプレン”(登録商標)LQ-T1331D(三洋化成工業(株)製、固形分濃度:20質量%):51.7質量部
(c)アルミキレート:アルミキレートALCH-TR(川研ファインケミカル(株)製):4.5質量部
(d)レベリング剤:“ディスパロン”(登録商標)LC951(楠本化成(株)製、固形分:10質量%):0.1質量部
(e)酸化チタン:“タイペーク”(登録商標)CR-50(石原産業(株)製)のN,N-ジメチルホルムアミド分散液(酸化チタン50質量%):14.5質量部
(f)N,N-ジメチルホルムアミド:450質量部
(g)メチルエチルケトン:150質量部。
(a)活性水素を有するポリマー:エポキシ樹脂:“エピコート”(登録商標)1010(ジャパンエポキシレジン(株)製):29.2質量部
(b)活性水素を有するポリマー:ポリウレタン:“サンプレン”(登録商標)LQ-T1331D(三洋化成工業(株)製、固形分濃度:20質量%):51.7質量部
(c)アルミキレート:アルミキレートALCH-TR(川研ファインケミカル(株)製):4.5質量部
(d)レベリング剤:“ディスパロン”(登録商標)LC951(楠本化成(株)製、固形分:10質量%):0.1質量部
(e)酸化チタン:“タイペーク”(登録商標)CR-50(石原産業(株)製)のN,N-ジメチルホルムアミド分散液(酸化チタン50質量%):14.5質量部
(f)N,N-ジメチルホルムアミド:450質量部
(g)メチルエチルケトン:150質量部。
なお、有機層組成物溶液の各成分の配合量は、成分(a)~(e)の配合量の合計100質量部に対する、質量部として示した。
次いで、下記の感熱層組成物溶液を前記有機層上に塗布し、140℃で90秒間加熱乾燥し、厚み1.5μmの感熱層を設けた。なお、感熱層組成物溶液は、下記成分を室温にて撹拌混合することにより得た。
<感熱層組成物溶液>
(a)赤外線吸収染料:“PROJET”825LDI(Avecia社製):13.8質量部
(b)有機錯化合物:チタニウム-n-ブトキシドビス(アセチルアセトネート):“ナーセム”(登録商標)チタン(日本化学産業(株)製、濃度:73質量%、溶剤としてn-ブタノール:27質量%を含む):12.9質量部
(c)フェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂:“スミライトレジン”(登録商標)PR53195(住友ベークライト(株)製):51.7質量部
(d)ポリウレタン:“ニッポラン”(登録商標)5196(日本ポリウレタン(株)製、濃度:30質量%、溶剤としてメチルエチルケトン:35質量%、シクロヘキサノン:35質量%を含む):21.6質量部
(e)テトラヒドロフラン:900質量部
なお、感熱層組成物溶液の各成分の配合量は、成分(a)~(d)の配合量の合計100質量部に対する、質量部として示した。
(a)赤外線吸収染料:“PROJET”825LDI(Avecia社製):13.8質量部
(b)有機錯化合物:チタニウム-n-ブトキシドビス(アセチルアセトネート):“ナーセム”(登録商標)チタン(日本化学産業(株)製、濃度:73質量%、溶剤としてn-ブタノール:27質量%を含む):12.9質量部
(c)フェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂:“スミライトレジン”(登録商標)PR53195(住友ベークライト(株)製):51.7質量部
(d)ポリウレタン:“ニッポラン”(登録商標)5196(日本ポリウレタン(株)製、濃度:30質量%、溶剤としてメチルエチルケトン:35質量%、シクロヘキサノン:35質量%を含む):21.6質量部
(e)テトラヒドロフラン:900質量部
なお、感熱層組成物溶液の各成分の配合量は、成分(a)~(d)の配合量の合計100質量部に対する、質量部として示した。
次いで、塗布直前に調製した下記のシリコーンゴム層(シリコーンゴム層)組成物溶液-1を前記感熱層上に塗布し、140℃で80秒間加熱し、平均膜厚3.0μmのシリコーンゴム層を設けることで平版印刷版原版を得た。なお、シリコーンゴム層組成物溶液-1は、下記成分を室温にて撹拌混合することにより得た。
<シリコーンゴム層組成物溶液-1>
(a)α,ω-ジビニルポリジメチルシロキサン:DMS-V31(重量平均分子量28,000、GELEST Inc.製):71.38質量部
(b)シリコーンレジン;VQM-135(Q単位を有するシリコーンレジン、重量平均分子量:62,700、GELEST Inc.製):12.60質量部
(c)シリコーンオイル:KF-96-50cs(重量平均分子量:3,780、信越化学工業(株)製):00.00質量部
(d)メチルハイドロジェンシロキサン-ジメチルシロキサン共重合体RD-1(東レ・ダウコーニング(株)製):7.21質量部
(e)ビニルトリス(メチルエチルケトオキシイミノ)シラン:2.64質量部
(f)白金触媒SRX212(東レ・ダウコーニング(株)製、白金触媒が6.0質量%):6.17質量部(この内シリコーンオイルが5.8質量部)
(g)“アイソパー”E(エッソ化学(株)製):900質量部
なお、シリコーンゴム層組成物溶液の各成分の配合量は、シリコーンゴム層組成物溶液-1の成分(a)~(f)の配合量の合計(シリコーンゴム層組成物(溶媒を除く)に相当)100質量部に対する、質量部として示した。(d)メチルハイドロジェンシロキサン-ジメチルシロキサン共重合体RD-1は、前記一般式(I)で表されるシロキサン構造単位と一般式(II)で表されるシロキサン構造単位の合計100モル%に対する一般式(I)で表されるシロキサン構造単位の含有比率が、50モル%である。前述した評価(1)~(6)の結果を表1、実施例1に記載した。
(a)α,ω-ジビニルポリジメチルシロキサン:DMS-V31(重量平均分子量28,000、GELEST Inc.製):71.38質量部
(b)シリコーンレジン;VQM-135(Q単位を有するシリコーンレジン、重量平均分子量:62,700、GELEST Inc.製):12.60質量部
(c)シリコーンオイル:KF-96-50cs(重量平均分子量:3,780、信越化学工業(株)製):00.00質量部
(d)メチルハイドロジェンシロキサン-ジメチルシロキサン共重合体RD-1(東レ・ダウコーニング(株)製):7.21質量部
(e)ビニルトリス(メチルエチルケトオキシイミノ)シラン:2.64質量部
(f)白金触媒SRX212(東レ・ダウコーニング(株)製、白金触媒が6.0質量%):6.17質量部(この内シリコーンオイルが5.8質量部)
(g)“アイソパー”E(エッソ化学(株)製):900質量部
なお、シリコーンゴム層組成物溶液の各成分の配合量は、シリコーンゴム層組成物溶液-1の成分(a)~(f)の配合量の合計(シリコーンゴム層組成物(溶媒を除く)に相当)100質量部に対する、質量部として示した。(d)メチルハイドロジェンシロキサン-ジメチルシロキサン共重合体RD-1は、前記一般式(I)で表されるシロキサン構造単位と一般式(II)で表されるシロキサン構造単位の合計100モル%に対する一般式(I)で表されるシロキサン構造単位の含有比率が、50モル%である。前述した評価(1)~(6)の結果を表1、実施例1に記載した。
[実施例2~13、および比較例1~5]
シリコーンゴム層組成物溶液-1の(a)、(b)、およびシリコーンオイルの含有量を表1に示す質量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、平版印刷版原版を得た。実施例1で示した化合物と異なる化合物について以下に記載する。実施例1と同様の操作を行って平版印刷版原版の評価を行った。結果を表1に示す。
DMS-V35(重量平均分子量:49,500、GELEST Inc.製)
TF-21(重量平均分子量:60,000、東レダウコーニング社製)
VQM-146(Q単位を有するシリコーンレジン、重量平均分子量:117,000、GELEST Inc.製)。
シリコーンゴム層組成物溶液-1の(a)、(b)、およびシリコーンオイルの含有量を表1に示す質量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、平版印刷版原版を得た。実施例1で示した化合物と異なる化合物について以下に記載する。実施例1と同様の操作を行って平版印刷版原版の評価を行った。結果を表1に示す。
DMS-V35(重量平均分子量:49,500、GELEST Inc.製)
TF-21(重量平均分子量:60,000、東レダウコーニング社製)
VQM-146(Q単位を有するシリコーンレジン、重量平均分子量:117,000、GELEST Inc.製)。
表1の結果から理解されるように、シリコーンゴム層のFT-IRスペクトルにおいて、環状シロキサン由来の1090cm-1近傍のピーク/直鎖シロキサン由来の1020cm-1近傍のピークの吸光度比が0.90以上、1.30以下である平版印刷版原版は、優れた耐刷性とインキ反発性、および細線の直線性の効果を示すことがわかった。
Claims (12)
- 基板上に少なくともシリコーンゴム層を有する平版印刷版原版であって、前記シリコーンゴム層のFT-IRスペクトルにおいて、環状シロキサン構造由来の1090cm-1近傍のピーク(i)と直鎖シロキサン構造由来の1020cm-1近傍のピーク(ii)が観測され、ピーク強度比((i)/(ii))が0.90以上1.30以下である、平版印刷版原版。
- 前記シリコーンゴム層がさらにシリコーンオイルを含有する、請求項1に記載の平版印刷版原版。
- 前記シリコーンゴム層におけるシリコーンオイルの含有量が0.09g/cm3以上0.44g/cm3以下である、請求項2に記載の平版印刷版原版。
- 前記シリコーンオイルの重量平均分子量が1000~10000である、請求項2または3に記載の平版印刷版原版。
- 前記シリコーンゴム層の版面弾性率が15MPa以上45MPa以下である、請求項1~4のいずれかに記載の平版印刷版原版。
- 基板上に、T単位および/またはQ単位を有するシリコーンレジンを11.0~55.0質量部含むシリコーンゴム層組成物を用いてシリコーンゴム層を形成する工程を有する、請求項1~5のいずれかに記載の平版印刷版原版の製造方法。
- 請求項1~5のいずれかに記載の平版印刷版原版にレーザーを照射した後、物理的刺激を与えて現像する工程を含む、平版印刷版の製造方法。
- 請求項7に記載の平版印刷版の表面にインキを付着する工程と、前記インキを直接またはブランケットを介して被印刷体に転写する工程を含む、印刷物の製造方法。
- インキを直接またはブランケットを介して被印刷体に転写する工程の後、前記被印刷体に活性エネルギー線照射をする工程を含む、請求項8に記載の印刷物の製造方法。
- 前記被印刷体が非塗工紙である、請求項8または9に記載の印刷物の製造方法。
- 前記被印刷体の密度が0.2~1.0g/cm3である、請求項8~10のいずれかに記載の印刷物の製造方法。
- 前記被印刷体の坪量が100~220g/m2である、請求項8~11のいずれかに記載の印刷物の製造方法。
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