JP2024049760A - シームレス容器印刷用平版印刷版原版およびそれを用いたシームレス容器印刷用平版印刷版の製造方法 - Google Patents

シームレス容器印刷用平版印刷版原版およびそれを用いたシームレス容器印刷用平版印刷版の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高精細画像再現性を有し、耐刷性に優れたシームレス容器印刷用平版印刷版を得ることのできるシームレス容器印刷用平版印刷版原版を提供すること。【解決手段】基板上に、少なくとも感熱層およびインキ反発層をこの順に有するシームレス容器印刷用平版印刷版原版であって、窒素気流下、450℃で5分間加熱したときの、GC-MS測定における気体発生量が6.8×105~12.5×105g/m3となるシームレス容器印刷用平版印刷版原版。【選択図】なし

Description

本発明は、シームレス容器印刷用平版印刷版原版、それを用いたシームレス容器印刷用平版印刷版およびシームレス容器印刷物の製造方法に関する。
飲料缶やエアロゾール缶などに用いられる2ピース缶や、チューブなどの円筒形状容器、プラスチックカップなどの円錐状容器、ヨーグルト容器などの端部が曲面となった方形状容器などのシームレス容器の胴部への曲面印刷には、刷版と、刷版からインキ層を受領してこれをシームレス容器胴部に転写させるためのブランケットとの組み合わせが使用されており、刷版としては、主に樹脂凸版や平版が使用されている。かかるシームレス容器への印刷、例えば、2ピース缶印刷においては、従来、樹脂凸版を用いる印刷方式、すなわち凸版ドライオフセット方式が主流であり、耐久性に優れる鉄基板上に、サブミリ~ミリ単位の凹凸レリーフを有する樹脂凸版を用いることにより、高速での大量印刷が可能である。しかしながら、従来の樹脂凸版は画線部や網点部が太りやすいため、文字や網点画像の潰れが発生しやすいこと、網点のAMスクリーン線数が120線/インチ程度と低く、網点画像のざらつきや網点相互の干渉による縞模様やローゼット模様が目立ちやすいことから、シームレス容器印刷において十分な印刷品質を得ることが困難であった。
近年、高精細・高加飾性のシームレス容器が求められる市場環境から、小さな網点による鮮明な画像の形成が可能であり、耐刷性にも優れたシームレス容器用水なし平版として、少なくとも基板、レーザー感熱層を有し、該感熱層上にシリコーンゴム層からなる非画線部及び画線部が形成されており、非画線部のシリコーンゴム層の厚みが2.2~5.5μmの範囲にあることを特徴とするシームレス容器用水なし平版が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、マグネット式版胴に装着が可能で、耐久性に優れ、高精細な印刷が可能な水なし平版印刷版原版として、基板上に少なくとも感熱層およびシリコーンゴム層を有し、基板が強磁性体であることを特徴とする水なし平版印刷版原版が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2018-58257号公報 国際公開第2020/256059号
しかしながら、特許文献1~2に記載される水なし平版印刷版原版は、耐刷性を向上させるためにシリコーンゴム層を厚膜化すると、高精細画像再現性が不十分となる課題があった。
そこで本発明は、高精細画像再現性を有し、耐刷性に優れたシームレス印刷用平版印刷版を得ることのできるシームレス容器印刷用平版印刷版原版を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、主として以下の構成を有する。
<1>基板上に、少なくとも感熱層およびインキ反発層をこの順に有するシームレス容器印刷用平版印刷版原版であって、窒素気流下、450℃で5分間加熱したときの、GC-MS測定における気体発生量が6.8×10~12.5×10g/mとなるシームレス容器印刷用平版印刷版原版。
<2>前記感熱層に、700~1,200nmの波長域に最大吸収波長(λmax)を有する近赤外吸収化合物、および、700~1,200nmの波長域に最大吸収波長(λmax)を有さない450℃以下で熱分解する易熱分解性化合物を含有する<1>に記載のシームレス容器印刷用平版印刷版原版。
<3>前記インキ反発層の厚みが3.2~7.0μmである<1>または<2>に記載のシームレス容器印刷用平版印刷版原版。
<4>前記易熱分解性化合物として、トリフェニルメタン系染料、チアジン系染料、アゾ系染料、フルオレセイン類、ビタミン類および/またはニトロセルロースを含有する<2>に記載のシームレス容器印刷用平版印刷版原版。
<5>前記感熱層に、ノボラック樹脂および/またはメラミン樹脂を含有する<1>~<4>のいずれかに記載のシームレス容器印刷用平版印刷版原版。
<6>下記工程(1)~(2)をこの順に有するシームレス容器印刷用平版印刷版の製造方法。
工程(1):<1>~<5>のいずれかに記載のシームレス容器印刷用平版印刷版原版を像に従って露光する工程
工程(2):水または水溶液中の存在下、露光されたシームレス容器印刷用平版印刷版原版に物理的摩擦を加え、インキ反発層を部分的に除去する工程。
<7>下記工程(A)~(B)をこの順に有するシームレス容器印刷物の製造方法。
工程(A):<6>に記載のシームレス容器印刷用平版印刷版の製造方法により得られたシームレス容器印刷用平版印刷版表面にインキを付着させる工程
工程(B):前記インキを直接またはブランケットを介してシームレス容器に転写する工程
<8>前記シームレス容器の形状が、円筒、円錐または方形状である<7>に記載のシームレス容器印刷物の製造方法。
<9>前記シームレス容器が、金属および/またはプラスチックから構成される<7>または<8>に記載のシームレス容器印刷物の製造方法。
本発明のシームレス容器印刷用平版印刷版原版は、高精細画像再現性を有する。本発明のシームレス印刷用平版印刷版原版により、耐刷性に優れたシームレス容器印刷用平版印刷版を得ることができる。
本発明のシームレス容器印刷用平版印刷版原版(以下、「平版印刷版原版」と略記する場合がある)は、シームレス容器の外面に平版印刷により印刷を施すために用いられる、シームレス容器印刷用平版印刷版(以下、「平版印刷版」と略記する場合がある)に画線部/非画線部を形成する前の前駆体であり、基板上に、少なくとも感熱層およびインキ反発層をこの順に有する。基板は、平版印刷版原版や平版印刷版の形状を保持する機能を有する。感熱層は、レーザー光を吸収して発熱し、インキ反発層の部分的な除去を可能にする機能を有する層であり、インキ反発層を部分的に除去して画線部を形成する。インキ反発層は、インキを反発する機能を有し、非画線部を形成する。基板/感熱層間に、両層の接着性を向上させるプライマー層を有してもよいし、インキ反発層上に、インキ反発層を保護する保護フィルムおよび/または合紙を有してもよい。
本発明の平版印刷版原版は、温度:450℃、流量:N100mL/分に設定された加熱炉に投入し、発生する気体成分を吸着管に5分間捕集したとき、この捕集した吸着管から脱離する気体発生量が6.8~12.5×10g/mとなるものである。ここで、本発明において規定する気体発生量は、平版印刷版原版中の感熱層1m当たりの発生量(g/m)である。感熱層の膜厚は、断面SEM観察により測定することができる。なお、温度:450℃、流量:N100mL/分に設定された加熱炉は、平版印刷版原版にレーザー光を照射した時のような、高温で急激に加熱した状態を模したものである。発生する気体成分は、主に感熱層に含まれる物質に由来する成分およびインキ反発層に含まれる物質に由来する成分であるが、本発明において規定する気体成分は感熱層に含まれる物質に由来する成分を指す。具体的には、感熱層は、任意にポリマー、架橋剤、近赤外吸収化合物、易熱分解性化合物、後述するシリコーン系界面活性剤およびフッ素系界面活性剤を除く添加剤などを含有することができる。この場合、感熱層に含まれる物質に由来する気体成分としては、ポリマー樹脂の分解物、架橋剤の分解物、近赤外吸収化合物の分解物、易熱分解性化合物の分解物、並びに、後述するシリコーン系界面活性剤およびフッ素系界面活性剤を除く添加剤の分解物が挙げられる。また、本発明における気体発生量とは、これらの成分の合計であり、平版印刷版原版を試料として感熱層に含まれる物質に由来する成分を特定し、その合計を定量化するものとする。
感熱層1m当たりの気体発生量が6.8×10g/m未満の場合には、平版印刷版原版内部の構造破壊が十分に起こっていないと思われるため、シリコーンゴム層を厚膜化すると、高精細画像再現性が不十分となる。気体発生量は、7.0×10g/m以上が好ましく、8.0×10g/m以上がより好ましく、9.0×10g/m以上がさらに好ましく、10.0×10g/m以上がさらにより好ましい。一方、気体発生量が12.5×10g/mを超える場合には、感熱層の過剰な構造破壊を招き、十分な耐溶剤性、耐感熱層剥がれが得られないため好ましくない。気体発生量は、12.0×10g/m以下が好ましい。
本発明の平版印刷版原版を構成する各層について説明する。
[基板]
基板としては、紙、金属板、ガラス板、プラスチックフィルムなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、印刷工程における温度上昇に対して寸法的に安定であることから、アルミニウム、鉄、亜鉛、銅やこれらの合金などからなる金属板が好ましく、アルミニウム板がより好ましい。また、2ピース缶用印刷機であるコンコルド型印刷機、ラザフォード型印刷機(いずれもストーレ・マシナリー・カンパニー製)などの、マグネットの作用で固定を行う版胴を備える仕様の印刷機を用いた平版印刷に用いられる場合には、飽和磁化が0.3テスラ以上の材料である強磁性体の基板が好ましい。飽和磁化が0.3テスラ以上の材料としては、例えば、鉄(2.2テスラ)、コバルト(1.8テスラ)、ニッケル(0.6テスラ)、これらの合金や酸化物などが挙げられ、鉄、鉄酸化物、鉄の合金が好ましい。また、プラスチックチューブ用印刷機であるRDA-130型印刷機(Polytype社製)などの、ピンで平版印刷版に張力をかけながら固定する版胴を備える仕様の印刷機を用いた平版印刷に用いられる場合には、一定の硬度以上を有する基板が好ましい。具体的には、JIS G 3315:2017にて規定されるティンフリースティールの調質度T-4以上が好ましく、T-5以上がより好ましい。
基板の厚みは、印刷機に対応して適宜選択することができる。
[感熱層]
感熱層としては、レーザー光を照射すると、感熱層の少なくとも表面が分解し、インキ反発層との接着力が低下する、または現像液への溶解性が高まるものであることが好ましい。特に、レーザー光を吸収し熱に変換(光熱変換)する機能を有する近赤外吸収化合物と、熱により容易に分解する易熱分解性化合物の両方を含有する場合には、近赤外吸収化合物により発生した熱でそのもの自体の分解、さらには熱エネルギーを受けた易熱分解性化合物の分解が進み、発生した気体で他の物質の分解も促進されると考えられるためより好ましい。
このような感熱層は、活性水素を有するポリマーを含む層であればよく、好ましくは、活性水素を有するポリマーおよび近赤外吸収化合物を含む層、さらに好ましくは、活性水素を有するポリマー、近赤外吸収化合物および架橋剤を含む層、並びに活性水素を有するポリマー、近赤外吸収化合物および易熱分解性化合物を含む層、さらにより好ましくは活性水素を有するポリマー、近赤外吸収化合物、架橋剤および易熱分解性化合物を含む層が挙げられる。また、本発明において、上記のような感熱層を作製するために用いられる組成物を「感熱層組成物」という。
本発明において、感熱層とは、感熱層組成物を含有する溶液または分散液を塗布、乾燥(揮発成分を除去)した後に残存する層を表す。乾燥は常温で行っても、加熱して行ってもよい。
本発明において、感熱層に好ましく用いられる活性水素を有するポリマーとしては、例えば、国際公開第2020/4227号において(1)活性水素を有するポリマーとして例示したものが挙げられ、それらを2種以上含有してもよい。それらの中でも、インキ反発層との接着性を向上させる観点から、フェノールノボラック樹脂やクレゾールノボラック樹脂などのノボラック樹脂や、メラミン樹脂が好ましい。
活性水素を有するポリマーの含有量は、感熱層中40~70質量%が好ましい。
本発明において、感熱層に好ましく用いられる近赤外吸収化合物としては、レーザー光を吸収することにより、光エネルギーを原子・分子の運動エネルギーに変換し、瞬間的に感熱層表面で200℃以上の熱を発生させることで、感熱層の少なくとも表面を熱分解する機能を有するものが好ましい。具体的には、国際公開第2020/4227号において(2)近赤外吸収化合物として例示されたものが挙げられ、それらを2種以上含有してもよい。それらの中でも、光熱変換効率の観点から、700~1,200nmの波長域に最大吸収波長(λmax)を有するものが好ましい。ここで、λmaxは、対象とする化合物を、エタノールやジメチルホルムアミドなどの適切な溶媒を用いて溶解した試料について、紫外線可視近赤外分光光度計を用いて測定した吸収スペクトルにおいて、吸光度が最大となる波長を指す。かかる近赤外吸収化合物としては、例えば、国際公開第2020/4227号において染料として例示されたものが挙げられる。これらの染料のなかでも、モル吸光係数εの大きなものが好ましく使用される。具体的には、εは1×10L/(mol・cm)以上が好ましく、より好ましくは1×10L/(mol・cm)以上である。εが1×10L/(mol・cm)以上であれば、初期感度をより向上させることができる。ここでの係数は照射する活性エネルギー線に対してである。具体的な波長を示すのであれば780nm、808nm、830nmまたは1064nmに注目するのがよい。
感熱層はこれらの染料を2種以上含有してもよい。700~1,200nmの波長域に異なる最大吸収波長(λmax)を有する2種以上の染料を含有することにより、発信波長の異なる2種以上のレーザーに対応させることができる。
近赤外吸収化合物の含有量は、感熱層中5.0~30質量%が好ましい。
本発明において、感熱層に好ましく用いられる架橋剤としては、後述する易熱分解性化合物を除いて、金属と有機化合物とからなる有機錯化合物が好ましい。これは、活性水素を有するポリマーへの架橋剤としての機能に加え、架橋反応時に熱分解性化合物として振る舞い気体発生に寄与するためである。このような有機錯化合物としては、例えば、国際公開第2020/4227において(3)架橋剤として例示された化合物が挙げられ、それらを2種以上含有してもよい。
架橋剤の含有量は、感熱層中1~40質量%が好ましい。
また、感熱層に含まれる活性水素を有するポリマーとしてノボラック樹脂を用いる場合、ノボラック樹脂/有機錯化合物の質量比は3.0~5.0が好ましい。
本発明において、感熱層に好ましく用いられる易熱分解性化合物としては、450℃以下で熱分解が開始する化合物であり、示差熱熱重量同時測定装置を用いて測定した化合物のTG/DTAカーブにおいて、450℃以下で重量減少が観測される化合物である。易熱分解性化合物としては、例えば、国際公開第2020/4227において(4)易熱分解性化合物として例示された化合物が挙げられ、それらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、融解を経ずに熱分解する性質を有する化合物が好ましい。この性質の有無は、平版印刷版の感熱層から良溶媒を用いて化合物を抽出し、得られた化合物に対して、示差熱熱重量同時測定装置を用いてTG/DTA測定を行うことにより判断することができる。詳細な測定方法は実施例の欄にて説明する。
本発明においては、融解を経ずに熱分解する性質を有する化合物を感熱層中に含有させることにより、気体発生量を効率よく増加させることができ、感熱層の高感度化に寄与することができる。これは、近赤外吸収化合物から発生した熱を易熱分解性化合物が吸収し、融解という状態変化に使用せず、熱分解に効率よく利用できるためであると考えられる。
融解を経ずに熱分解する化合物としては例えば、カテキン水和物等のフラボノイド、マラカイトグリーンしゅう酸塩、ブリリアントグリーン、ビクトリアブルーB、クリスタルバイオレット、ブロモクレゾールパープル、ブロモクレゾールグリーンナトリウム、チモールブルー、ブロモクレゾールグリーン、ブロモチモールブルーナトリウム、テトラブロモフェノールブルー、ブロモチモールブルー等のトリフェニルメタン系染料、メチレンブルー等のチアジン系染料、コンゴ-レッド、オイルレッド5B、メチルイエロー等のアゾ系染料、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、フルオレセイン-5-マレイミド等のフルオレセイン類、リボフラビン、アスコルビン酸等のビタミン類が挙げられる。
上記の性質を有する易熱分解性化合物のなかでも、700~1,200nmの波長域に最大吸収波長(λmax)を有さない化合物がさらに好ましい。700~1,200nmの波長域にλmaxの吸収をもたない化合物の場合、レーザー光を吸収しにくいため、露光部が過剰に熱を発生することがないと思われる。そのため、露光部に隣接する未露光部への熱の伝搬が発生しにくくなるため、露光部に隣接する未露光部での感熱層破壊が起こりにくく、印刷版原版の耐溶剤性の低下を抑制することができると考えられる。
本発明において、易熱分解性化合物としては、トリフェニルメタン系染料、チアジン系染料、アゾ系染料、フルオレセイン類、ビタミン類、ニトロセルロースが好ましい。
易熱分解性化合物の熱分解温度は、130℃~400℃が好ましい。易熱分解性化合物の熱分解温度は、示差熱熱重量同時測定装置を用いてTG/DTA測定を行うことにより判断することができる。詳細な測定方法は実施例の欄にて説明する。
易熱分解性化合物の含有量は、感熱層の気体発生量を増加してレーザー光に対する感度を向上させ、高精細画像再現性をより向上させる観点から、感熱層中3.0質量%以上が好ましい。一方、易熱分解性化合物の含有量は、感熱層の耐溶剤性を向上させ、感熱層剥がれを抑制する観点から、20質量%以下が好ましい。
感熱層の厚みは、0.7~3.0μmが好ましい。
[インキ反発層]
インキ反発層としては、ポリオルガノシロキサンの架橋物であるシリコーンゴム層が好ましく、付加反応型シリコーンゴム層組成物や縮合反応型シリコーンゴム層組成物を塗布して得られる層、これらの組成物の溶液を塗布、乾燥して得られる層などが挙げられる。これらの中でも、付加型シリコーンゴム層組成物による層が好ましい。
付加反応型シリコーンゴム層組成物は、少なくともビニル基含有オルガノポリシロキサン、複数のヒドロシリル基を有するSiH基含有化合物(以下、「付加反応型架橋剤」と称する。)および硬化触媒を含むことが好ましい。さらに、反応抑制剤を含有してもよい。付加反応型シリコーンゴム層組成物としては、国際公開第2020/4227号において付加反応型のシリコーンゴム層組成物として例示されたものが挙げられる。
縮合反応型シリコーンゴム層組成物は、少なくとも水酸基含有オルガノポリシロキサン、架橋剤および硬化触媒を原料とすることが好ましい。縮合反応型シリコーンゴム層組成物としては、国際公開第2020/4227号において縮合反応型のシリコーンゴム層組成物として例示されたものが挙げられる。
インキ反発層の厚みは、缶印刷などの硬質な被印刷物への印刷において、耐刷性をより向上させる観点から、3.2μm以上が好ましい。一方、インキ反発層の厚みは、高精細画像再現性をより向上させる観点から、6.5μm以下が好ましい。ここで、インキ反発層の厚みは、断面のSEM観察またはTEM観察により測定することができる。また、平版印刷版原版の製造において、所定の厚みに形成するなど、厚みが既知である場合は、その値をインキ反発層の厚みとする。
[プライマー層]
プライマー層は、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂などを含有することが好ましい。これらを2種以上含有してもよい。また、プライマー層は、顔料、染料等の添加剤を含有してもよく、検版性を向上させることができる。プライマー層の厚みは、1~10μmが好ましい。
[保護フィルム・合紙]
保護フィルムとしては、例えば、国際公開第2020/4227号において保護フィルムとして例示されたものが挙げられる。保護フィルムは、取扱中の傷発生や異物付着を低減する効果を奏する。一方、露光時の感熱層の反応性を向上させる観点からは、保護フィルムを有しなくてもよい。
合紙としては、国際公開第2020/4227号において合紙として例示されたものが挙げられる。
[平版印刷版原版の製造方法]
本発明の平版印刷版原版は、例えば、基板上に、必要に応じてプライマー層、感熱層、インキ反発層を形成することにより得ることができる。プライマー層の形成方法としては、例えば、プライマー層組成物を塗布し、100~300℃の温度で加熱する方法や、活性光線照射により硬化させる方法などが挙げられる。感熱層の形成方法としては、例えば、感熱層組成物を塗布し、50~180℃の温度で加熱して硬化させる方法などが挙げられる。インキ反発層の形成方法としては、例えば、シリコーンゴム層組成物を塗布し、50~200℃の温度で加熱する方法などが挙げられる。各層の塗布装置としては、例えば、リバースロールコーター、エアーナイフコーター、グラビアコーター、ダイコーター等のコーターや回転塗布装置などが挙げられる。その後、必要に応じて保護フィルムや合紙をラミネートしてもよい。
[平版印刷版の製造方法]
本発明の平版印刷版の製造方法は、次の工程(1)および工程(2)をこの順に有する。
工程(1):前述の本発明の平版印刷版原版を像に従って露光する工程
工程(2):水または水溶液中の存在下、露光された平版印刷版原版に物理的摩擦を加え、インキ反発層を部分的に除去する工程
工程(1)において、例えば、平版印刷版原版の画線部(インキ着肉部)を形成すべき部分にレーザーを照射することにより、感熱層を発熱させて、感熱層とインキ反発層の界面を脆弱化させることができる。これによりインキ反発層を除去した部分を画線部する。インキ反発層の上に、保護フィルムを有する場合、レーザー照射は保護フィルム上から実施してもよいし、保護フィルムを剥離して実施してもよいが、保護フィルムは画線部を形成する工程(2)以前に剥離除去することが好ましい。
レーザー照射は、従来公知の露光機を用いて行うことができ、磁性体基板を用いる場合はマグネットを内蔵したドラムを有するもの、その他の基板を用いる場合はバキューム機構を有するドラムを有するものなどを選択することが好ましい。バキューム機構およびマグネットを内蔵したドラムを有する露光機は、基板の材質によらずに使用することができる。このような露光機として、PlateRite FX870N((株)スクリーングラフィックソリューションズ製)などが挙げられる。
工程(2)において、水または水溶液中の存在下、工程(1)におけるレーザー照射した部分のインキ反発層を除去することにより、画線部を形成する。インキ反発層除去方法としては、例えば、現像液の存在下において、摩擦処理や、保護フィルムの剥離とともにインキ反発層を剥離して画線部を形成する、いわゆる剥離現像などが挙げられる。摩擦処理を行う際には、摩擦処理によるシリコーンゴムの損傷を抑制する観点から、現像液の存在下、摩擦処理することが好ましい。現像液としては、例えば、水や、水に界面活性剤やアルコールやケトン、エステル、カルボン酸等の極性溶媒を添加したものなどが挙げられる。
摩擦処理方法としては、例えば、不織布、脱脂綿、布、スポンジ、ゴムロール、ブラシ等を用いて版面を擦る方法や、現像液を含浸した不織布、脱脂綿、布、スポンジ等を用いて版面を拭き取る方法などが挙げられる。より具体的には、水道水等をシャワーしながら版面を回転ブラシで摺擦する方法などが挙げられる。高圧の水や温水、水蒸気を版面に噴射してもよい。
現像液に、クリスタルバイオレット、ビクトリアピュアブルー、アストラゾンレッド等の公知の染料を添加して、現像と同時に画線部を着色してもよく、検版性を向上させることができる。
さらに、本発明の平版印刷版の製造方法は、次の工程(i)および/または工程(ii)を有することが好ましい。
工程(i):工程(2)の前に、インキ反発層のレーザー照射された部分を脆弱化させる工程
工程(ii):工程(2)の後に、インキ反発層が除去された画線部を着色する工程。
工程(i)における前処理液としては、例えば、前述の現像液や、極性溶媒などが用いられる。前処理液の具体例としては、CP-Y、NP-1、DP-1、CP-X、PX(何れも東レ(株)製)などが挙げられる。工程(i)の方法としては、例えば、前処理液に一定時間平版印刷版原版を浸漬する方法などが挙げられる。
工程(ii)において、クリスタルバイオレット、ビクトリアピュアブルー、アストラゾンレッド等の公知の染料を用いて、画線部を着色することにより、検版性を向上させることができる。
上記工程(i)、工程(2)および工程(ii)の一部または全部は、自動現像機により連続的に行うこともできる。自動現像機としては、例えば、現像部のみの装置、前処理部および現像部がこの順に設けられた装置、前処理部、現像部、後処理部がこの順に設けられた装置、前処理部、現像部、後処理部、水洗部がこの順に設けられた装置などが挙げられる。自動現像機の具体例としては、例えば、TWL-650シリーズ、TWL-860シリーズ、TWL-1160シリーズ(共に東レ(株)製)などや、特開平5-6000号公報に記載される自動現像機などが挙げられる。これらを組み合わせて使用してもよい。
[印刷物の製造方法]
本発明の印刷物の製造方法は、下記工程(A)~(B)をこの順に有する。
工程(A):前述の方法により得られ平版印刷版表面にインキを付着させる工程
工程(B):前記インキを直接またはブランケットを介してシームレス容器に転写する工程
工程(A)において、平版印刷版を版胴に取り付けた後、その版胴を、センターブランケットホイールを備えた2ピース缶用印刷機に取り付けることが好ましい。版胴としては、例えば、印刷版を固定するためのクランプを備えた版胴(C1-ENOC-CLSR Speed Clamp Cylinder, T.D. Wight, Inc.製)が好ましい。また、印刷機としては、コンコルド型印刷機、ラザフォード型印刷機(いずれもストーレ・マシナリー・カンパニー製)などの2ピース缶用印刷機などが挙げられる。これらを組み合わせ使用してもよい。
工程(B)において、シームレス容器を構成する材料としては、例えば、金属、プラスチックなどが挙げられる。プラスチックとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタールなどのプラスチック、金属としては、アルミニウム、鉄等が挙げられる。シームレス容器の形状としては、2ピース缶やチューブ缶の様な筒状やアルミカップの様な円錐状、ヨーグルト容器の様な角が丸い方形容器が挙げられる。これらの中でも、円筒、円錐、方形状が好ましい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。各実施例・比較例における評価は以下の方法により行った。
(1)易熱分解性化合物の熱分解温度
易熱分解性化合物に対して、示差熱熱重量同時測定装置TG/DTA6200(セイコーインスツルメンツ(株)製)を用い、80mL/分の窒素雰囲気下で、30℃から500℃まで10℃/分で昇温してTG/DTA測定した。得られたTG/DTAカーブから、100℃以上において、重量減少が始まる温度を熱分解温度とした。
(2)感熱層の厚み
平版印刷版原版の切片を樹脂包埋後、イオンミリング法(BIB法)により断面を作製した。電界放射型走査電子顕微鏡(FE-SEM)SU8020((株)日立ハイテクノロジ-ズ製)を用い、加速電圧3.0kV、倍率10.0k倍の条件で測定を行った。測定した3箇所のSEM観察範囲の感熱層から、無作為に選択した計10箇所について膜厚を計測し、その数平均値を算出することにより、平均膜厚Z(μm)を求めた。
(3)気体発生量
気体発生量の測定は、熱脱離装置TD-100(Markes)およびGC-MS装置7890A+5975C(Agilent)を用いて行った。1cm×1cmのサイズで切り出した本発明の平版印刷版原版をガラス容器に採取し、450℃、流量:N 100mL/分に設定された加熱炉に投入し、発生する気体成分を吸着管に捕集した(捕集時間5分)。この捕集した吸着管および希釈した標準品(トルエン)を注入した吸着管をカラムにつなぎ260℃で加熱して気体成分をカラム(0.25mm内径×30m)に導入した。次に、カラムを40℃(4分保持)から280℃(22分保持)まで10℃/分で昇温し、流量:He 1.5mL/分、スキャン範囲:m/z 29~600で測定を行った。標準品の絶対量と得られたピーク面積値から検量線を作成し、定性・定量を行った。発生した気体成分は、主に感熱層に由来する成分とインキ反発層に由来する成分であり、感熱層に由来するポリマーの分解物、架橋剤の分解物、近赤外吸収化合物の分解物および易熱分解性化合物の分解物を足し合わせた量Y(μg)、感熱層の平均膜厚Z(μm)を、以下の式(III)に代入した値を気体発生量とした。
気体発生量(g/m)= (Y/Z)×10 (III)
(4)高精細画像再現性
各実施例および比較例により作製した平版印刷版原版に対し、CTP用露光機PlateRite FX870N((株)SCREENグラフィックソリューションズ製)を用いて、照射エネルギー:145mJ/cm(ドラム回転数:720rpm)の条件で露光を行い、縦560mm×横670mmの平版印刷版原版の中央に5mm角のAM250線1~50%の平網と、縦20mm×横630mmの帯状のベタ画像の潜像を形成した。CP-Y(東レ(株)製)を前処理液とし、水道水を現像液として、露光した平版印刷版原版を、自動現像機TWL-1160F(東レ(株)製)に速度30cm/分で通し、平版印刷版を作製した。得られた平版印刷版の4%と5%網点を、50倍のルーペを用いて拡大観察し、再現している網点の個数を計測した。全網点数に対する割合を画像再現率とし、高精細画像再現性を評価した。
(5)耐溶剤性
実施例の平版印刷版原版に対し、未露光の平版印刷版原版をDP-1(東レ(株)製)(40℃)を前処理液とし、水道水を現像液として、自動現像機TWL-1160F(東レ(株)製)に速度30cm/分で通し、平版印刷版を製造した。得られた平版印刷版を目視にて観察し、未露光部のシリコーンゴムが剥離した面積が0%、0%を超え5%未満、5%以上10%未満、10%以上20%未満、20%以上50%未満のものを、それぞれ5、4、3、2、1点として評価した。点数が高いほど耐溶剤性は良好であり、3点以上であれば実用上問題なく使用できる。
(6)耐刷性
前記(4)に記載の方法により作製した平版印刷版を、直径:125mm、周長:394mm、胴長:17.8mmのクランプ式版胴(C1-ENOC-CLSR Speed Clamp Cylinder, T.D. Wight, Inc.製)に取り付けた。装着した版胴を印刷試験機に取り付け、ブランケットホイールに缶12個分のブランケット(Airtack195、(株)金陽社製)を取り付け、刷版とブランケットのニップ幅が6mmとなるように配置し、版胴とブランケットホイールを1000缶/分の速度で回転させた。1時間おきに押し出し成形されたアルミ缶を印刷機に投入して印刷を行い、シリコーン層の脱落による汚れの有無を観察した。汚れが確認された場合には、そでまれに印刷した印刷量を耐刷数として耐刷性を評価した。
[実施例1]
厚み0.24mmの脱脂したアルミ基板(三菱アルミ(株)製)上に下記の断熱層組成物溶液を塗布し、200℃で90秒間乾燥し、厚み6.0μmの断熱層を設けた。なお、断熱層組成物溶液は、下記成分を室温にて撹拌混合することにより得た。
<断熱層組成物溶液>
(a)活性水素を有するポリマー:エポキシ樹脂:“エピコート”(登録商標)1010(ジャパンエポキシレジン(株)製):35質量部
(b)活性水素を有するポリマー:ポリウレタン:“サンプレン”(登録商標)LQ-T1331D(三洋化成工業(株)製、固形分濃度:20質量%):375質量部
(c)アルミキレート:アルミキレートALCH-TR(川研ファインケミカル(株)製):10質量部
(d)レベリング剤:“ディスパロン”(登録商標)LC951(楠本化成(株)製、固形分:10質量%):1質量部
(e)酸化チタン:“タイペーク”(登録商標)CR-50(石原産業(株)製)のN,N-ジメチルホルムアミド分散液(酸化チタン50質量%):60質量部
(f)N,N-ジメチルホルムアミド:730質量部
(g)メチルエチルケトン:250質量部。
次いで、下記の感熱層組成物溶液-1を前記断熱層上に塗布し、140℃で90秒間加熱乾燥し、厚み1.5μmの感熱層を設けた。なお、感熱層組成物溶液-1は、下記成分を室温にて撹拌混合することにより得た。
<感熱層組成物溶液-1>
(a)フェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂:“スミライトレジン”(登録商標)PR53195(住友ベークライト(株)製):56.0質量部
(b)ポリウレタン:“サンプレン”(登録商標)LQ-T1333(三洋化成(株)製):9.3質量部
(c)近赤外吸収染料:YKR2016(山本化成(株)製):15.0質量部
(d)チタンキレート:“ナーセム”(登録商標)チタン(日本化学産業(株)製):12.7質量部
(e)易熱分解性化合物:メチルレッド(λmax=400~600nm、熱分解温度:210℃、アゾ系染料)(和光純薬工業(株)製):7.0質量部
(f)テトラヒドロフラン:614質量部
(g)t-ブタノール:207質量部
(h)N,N-ジメチルホルムアミド:18質量部
(i)エタノール:61質量部
なお、上記感熱層組成物-1の各成分の配合量は、成分(a)~(e)の配合量の合計100質量部に対する、質量部として示した。
次いで、塗布直前に調製した下記のインキ反発層(シリコーンゴム層)組成物溶液-1を前記感熱層上に塗布し、140℃で80秒間加熱し、表1に示す厚みのインキ反発層を設けることにより、実施例1の平版印刷版原版を得た。なお、インキ反発層組成物溶液-1は、下記成分を室温にて撹拌混合することにより得た。
<インキ反発層組成物-1>
(a)α,ω-ジビニルポリジメチルシロキサン:DMS-V35(重量平均分子量49,500、GELEST Inc.製):86.95質量部
(b)メチルハイドロジェンシロキサンRD-1(東レ・ダウコーニング(株)製):4.24質量部
(c)ビニルトリス(メチルエチルケトオキシイミノ)シラン:2.64質量部
(d)白金触媒SRX212(東レ・ダウコーニング(株)製、白金触媒が6.0質量%):6.17質量部
(e)“アイソパー”E(エッソ化学(株)製):900質量部
なおインキ反発層組成物-1の成分(a)~(d)の配合量の合計が100質量部である。
[実施例2]
感熱層組成物溶液-1を以下の感熱層組成物溶液-2に変更したこと以外は実施例1と同様にして、平版印刷版原版を得た。
<感熱層組成物溶液-2>
(a)フェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂:“スミライトレジン”(登録商標)PR53195(住友ベークライト(株)製):56.0質量部
(b)ポリウレタン:“サンプレン”(登録商標)LQ-T1333(三洋化成(株)製):9.3質量部
(c)近赤外吸収染料:YKR2016(山本化成(株)製):15.0質量部
(d)チタンキレート:“ナーセム”(登録商標)チタン(日本化学産業(株)製):12.7質量部
(e)易熱分解性化合物:コンゴーレッド(λmax=450~550nm、熱分解温度:360℃、アゾ系染料)(和光純薬工業(株)製):7.0質量部
(f)テトラヒドロフラン:614質量部
(g)t-ブタノール:207質量部
(h)N,N-ジメチルホルムアミド:18質量部
(i)エタノール:61質量部
なお、上記感熱層組成物の各成分の配合量は、成分(a)~(e)の配合量の合計100質量部に対する、質量部として示した。
[実施例3]
感熱層組成物溶液-1を以下の感熱層組成物溶液-3に変更したこと以外は実施例1と同様にして、平版印刷版原版を得た。
<感熱層組成物溶液-3>
(a)フェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂:“スミライトレジン”(登録商標)PR53195(住友ベークライト(株)製):44.8質量部
(b)ポリウレタン:“サンプレン”(登録商標)LQ-T1333(三洋化成(株)製):7.5質量部
(c)近赤外吸収染料:YKR2016(山本化成(株)製):15.0質量部
(d)チタンキレート:“ナーセム”(登録商標)チタン(日本化学産業(株)製):12.7質量部
(e)易熱分解性化合物:コンゴーレッド(λmax=450~550nm、熱分解温度:360℃、アゾ系染料)(和光純薬工業(株)製):20.0質量部
(f)テトラヒドロフラン:614質量部
(g)t-ブタノール:207質量部
(h)N,N-ジメチルホルムアミド:18質量部
(i)エタノール:61質量部
なお、上記感熱層組成物の各成分の配合量は、成分(a)~(e)の配合量の合計100質量部に対する、質量部として示した。
[実施例4]
感熱層組成物溶液-1を以下の感熱層組成物溶液-4に変更したこと以外は実施例1と同様にして、平版印刷版原版を得た。
<感熱層組成物溶液-4>
(a)フェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂:“スミライトレジン”(登録商標)PR53195(住友ベークライト(株)製):23.4質量部
(b)ポリウレタン:“サンプレン”(登録商標)LQ-T1333(三洋化成(株)製):3.9質量部
(c)近赤外吸収染料:YKR2016(山本化成(株)製):15.0質量部
(d)チタンキレート:“ナーセム”(登録商標)チタン(日本化学産業(株)製):12.7質量部
(e)易熱分解性化合物:コンゴーレッド(λmax=450~550nm、熱分解温度:360℃、アゾ系染料)(和光純薬工業(株)製):45.0質量部(f)テトラヒドロフラン:614質量部
(g)t-ブタノール:207質量部
(h)N,N-ジメチルホルムアミド:18質量部
(i)エタノール:61質量部
なお、上記感熱層組成物の各成分の配合量は、成分(a)~(e)の配合量の合計100質量部に対する、質量部として示した。
[実施例5~8]
感熱層組成物溶液-1を以下の感熱層組成物溶液-5に変更し、インキ反発層の厚みを表1のとおりとしたこと以外は実施例1と同様にして、平版印刷版原版を得た。
<感熱層組成物溶液-5>
(a)フェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂:“スミライトレジン”(登録商標)PR53195(住友ベークライト(株)製):56.0質量部
(b)ポリウレタン:“サンプレン”(登録商標)LQ-T1333(三洋化成(株)製):9.3質量部
(c)近赤外吸収染料:YKR2016(山本化成(株)製):15.0質量部
(d)チタンキレート:“ナーセム”(登録商標)チタン(日本化学産業(株)製):12.7質量部
(e)易熱分解性化合物:L(+)-アスコルビン酸(λmax=<300nm、熱分解温度:190℃、ビタミン類)(和光純薬工業(株)製):7.0質量部
(f)テトラヒドロフラン:614質量部
(g)t-ブタノール:207質量部
(h)N,N-ジメチルホルムアミド:18質量部
(i)エタノール:61質量部
なお、上記感熱層組成物の各成分の配合量は、成分(a)~(e)の配合量の合計100質量部に対する、質量部として示した。
[比較例1~3]
感熱層組成物溶液-1を前述の感熱層組成物溶液-6に変更し、インキ反発層の厚みを表1のとおりとしたこと以外は実施例1と同様にして、平版印刷版原版を得た。
<感熱層組成物溶液-6>
(a)フェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂:“スミライトレジン”(登録商標)PR53195(住友ベークライト(株)製):62.0質量部
(b)ポリウレタン:“サンプレン”(登録商標)LQ-T1333(三洋化成(株)製):10.3質量部
(c)近赤外吸収染料:YKR2016(山本化成(株)製):15.0質量部
(d)チタンキレート:“ナーセム”(登録商標)チタン(日本化学産業(株)製):12.7質量部
(e)テトラヒドロフラン:614質量部
(f)t-ブタノール:207質量部
(g)N,N-ジメチルホルムアミド:18質量部
(h)エタノール:61質量部
なお、上記感熱層組成物の各成分の配合量は、成分(a)~(d)の配合量の合計100質量部に対する、質量部として示した。
[実施例9]
インキ反発層組成物溶液-1を以下のインキ反発層組成物溶液-2に変更し、インキ反発層の厚みを表2のとおりとしたこと以外は実施例2と同様にして、平版印刷版原版を得た。
<インキ反発層組成物-2>
(a)α,ω-ジビニルポリジメチルシロキサン:DMS-V52(重量平均分子量150,000、GELEST Inc.製):88.54質量部
(b)メチルハイドロジェンシロキサンSH1107(東レ・ダウコーニング(株)製):2.65質量部
(c)ビニルトリス(メチルエチルケトオキシイミノ)シラン:2.64質量部
(d)白金触媒SRX212(東レ・ダウコーニング(株)製):6.17質量部
(e)“アイソパー”E(エッソ化学(株)製):900質量部
なおインキ反発層組成物-2の成分(a)~(d)の配合量の合計が100質量部である。
[実施例10~11]
感熱層組成物溶液-2を前述の感熱層組成物溶液-5に変更し、インキ反発層の厚みを表2のとおりとしたこと以外は実施例9と同様にして、平版印刷版原版を得た。
[比較例4~7]
感熱層組成物溶液-1を前述の感熱層組成物溶液-6に変更し、インキ反発層の厚みを表2のとおりとしたこと以外は実施例9と同様にして、平版印刷版原版を得た。
[実施例12]
インキ反発層組成物溶液-1を以下のインキ反発層組成物溶液-3に変更し、インキ反発層の厚みを表3のとおりとしたこと以外は実施例2と同様にして、平版印刷版原版を得た。
<インキ反発層組成物溶液-3>
(a)α,ω-両末端シラノールポリジメチルシロキサン:DMS-S51(重量平均分子量140,000、GELEST Inc.製):92.89質量部
(b)ビニルトリス(メチルエチルケトオキシイミノ)シラン:5.76質量部
(c)テトラキス(メチルエチルケトオキシイミノ)シラン:1.32質量部
(d)ジブチル錫ジアセテート:0.03質量部
(e)“アイソパー”(登録商標)E(エッソ化学(株)製):900質量部。
なおインキ反発層組成物-2の成分(a)~(d)の配合量の合計が100質量部である。
[実施例13]
感熱層組成物溶液-2を前述の感熱層組成物溶液-5に変更し、インキ反発層組成物溶液-1を前述のインキ反発層組成物溶液-3に変更し、インキ反発層の厚みを表3のとおりとしたこと以外は実施例12と同様にして、平版印刷版原版を得た。
[比較例8~11]
感熱層組成物溶液-5を前述の感熱層組成物溶液-6に変更し、インキ反発層の厚みを表3のとおりとしたこと以外は実施例12と同様にして、平版印刷版原版を得た。
[実施例14~16]
感熱層組成物溶液-1を以下の感熱層組成物溶液-7に変更し、インキ反発層組成物溶液-1を以下のインキ反発層組成物溶液-4に変更し、インキ反発層の厚みを表4のとおりとしたこと以外は実施例1と同様にして、平版印刷版原版を得た。
<感熱層組成物溶液-7>
(a)メチル化メラミン樹脂:“CYMEL”(登録商標)303(Cyteck Industries 製):50.0質量部
(b)ニトロセルロース:“Walsroder”(登録商標)E400 NC:15.0質量部
(c)近赤外吸収染料:S0094 NIR Dye(FEW Chemicals GmbH製):28.0質量部
(d)p-トルエンスルホン酸:“CYCAT”(登録商標)4040(Cyteck Industries製):4.2質量部
(e)可視化用染料:Victoria Pure Blue(Keystone Aniline Corporation製):0.7質量部
(f)リン酸エステル:“Lubrizol2062”(製):0.5質量部
(g)界面活性剤:”BYK307”(BYK Chemie製):1.3質量部
(h)1-メトキシプロパン-2-オール:940質量部
(i)N-メチル-2-ピロリドン:220質量部
なお、上記感熱層組成物の各成分の配合量は、成分(a)~(g)の配合量の合計100質量部に対する、質量部として示した。
<インキ反発層組成物溶液-4>
(a)ジオルガノシロキサン:PLY-3 7500P(重量平均分子量62,700、Nusil Silicone Technologies製):94.7質量部
(b)トリメチルシリル末端ポリハイドロジェンメチルシロキサン:DC Syl Off 7367 Closslinker(Dow Corning Silicones製):4.0質量部
(d)白金触媒:CPC 072 Pt Catalyst(Umicore PreciousMetals:1.3質量部
(e)ヘプタン:660質量部。
なお、上記インキ反発層組成物の各成分の配合量は、成分(a)~(c)の配合量の合計100質量部に対する、質量部として示した。
各実施例および比較例の主な構成と評価結果を表1~4に示す。
Figure 2024049760000001
Figure 2024049760000002
Figure 2024049760000003
Figure 2024049760000004

Claims (9)

  1. 基板上に、少なくとも感熱層およびインキ反発層をこの順に有するシームレス容器印刷用平版印刷版原版であって、窒素気流下、450℃で5分間加熱したときの、GC-MS測定における気体発生量が6.8~12.5×10g/mとなるシームレス容器印刷用平版印刷版原版。
  2. 前記感熱層に、700~1,200nmの波長域に最大吸収波長(λmax)を有する近赤外吸収化合物、および、700~1,200nmの波長域に最大吸収波長(λmax)を有さない450℃以下で熱分解する易熱分解性化合物を含有する請求項1に記載のシームレス容器印刷用平版印刷版原版。
  3. 前記インキ反発層の厚みが3.2~7.0μmである請求項1または2に記載のシームレス容器印刷用平版印刷版原版。
  4. 前記易熱分解性化合物として、トリフェニルメタン系染料、チアジン系染料、アゾ系染料、フルオレセイン類、ビタミン類および/またはニトロセルロースを含有する請求項2に記載のシームレス容器印刷用平版印刷版原版。
  5. 前記感熱層に、ノボラック樹脂および/またはメラミン樹脂を含有する請求項1または2に記載のシームレス容器印刷用平版印刷版原版。
  6. 下記工程(1)~(2)をこの順に有するシームレス容器印刷用平版印刷版の製造方法。
    工程(1):請求項1または2に記載のシームレス容器印刷用平版印刷版原版を像に従って露光する工程
    工程(2):水または水溶液中の存在下、露光されたシームレス容器印刷用平版印刷版原版に物理的摩擦を加え、インキ反発層を部分的に除去する工程。
  7. 下記工程(A)~(B)をこの順に有するシームレス容器印刷物の製造方法。
    工程(A):請求項6に記載のシームレス容器印刷用平版印刷版の製造方法により得られたシームレス容器印刷用平版印刷版表面にインキを付着させる工程
    工程(B):前記インキを直接またはブランケットを介してシームレス容器に転写する工程
  8. 前記シームレス容器の形状が、円筒、円錐または方形状である請求項7に記載のシームレス容器印刷物の製造方法。
  9. 前記シームレス容器が、金属および/またはプラスチックから構成される請求項7に記載のシームレス容器印刷物の製造方法。
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