JP2019152827A - 平版印刷版原版 - Google Patents

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康典 久世
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武治郎 井上
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Abstract

【課題】画像再現性や耐溶剤性に優れ、かつ高耐刷性を有する平版印刷版原版を提供する。【解決手段】少なくとも感熱層とインキ反発層とを含む平版印刷版であって、前記感熱層中に少なくとも(A)メラミン樹脂および(B)光熱変換物質を含有し、前記感熱層の赤外吸収スペクトルにおいて、前記(A)メラミン樹脂由来の、N−H伸縮振動およびO−H伸縮振動の合計ピーク強度(I)と、C=N伸縮振動のピーク強度(II)との比率である(I)/(II)が0.050以上0.130以下であることを特徴とする平版印刷版原版。【選択図】なし

Description

本発明は、平版印刷版原版に関する。
平版印刷版を用いた印刷法としては、印刷時に版表面に予め水の薄層を形成することで、インキを反発する水あり印刷と、この水に代わりインキ反発層(シリコーンゴム)でインキを反発する水なし印刷がある。
水あり印刷ではインキが水により乳化するため、被印刷物上でインキがにじみ高精細な画像を得るのが難しい。一方で、水なし印刷はインキの乳化を受けないため、原理的に高精細な画像を安定して得ることが出来る。
水なし平版の画像形成方法としては、原画フィルムを介して紫外線照射を行う方式と、原画フィルムを用いることなく原稿から直接画像を書き込むコンピューター・トゥ・プレート(以下、CTPという)方式とに大別され、現在はCTP方式の中でも、サーマルレーザーを露光する方法が主流である。
水なし平版で高精細な画像を得るためには、サーマルレーザーに対する感熱層の分解性を向上させる必要があるが、そのために感熱層の架橋密度を低下させる手段が採られていた。しかし、この方法では耐溶剤性が著しく低下し、また、感熱層が疎になることで、印刷中にインキ反発層と感熱層の界面付近で破壊が起こり、耐刷性が不足する課題があった。
この課題は、一定の画像再現性を維持しながら高速現像するために、溶解性の高い現像液を使用する、高速で印刷する必要のあるロングランジョブを持つという点で、新聞印刷顧客で特に顕著に現れている。
この課題に対し、露光・現像後の画像形成した水なし平版を、80〜150℃の温度で熱処理することで感熱層の架橋を促進し、耐溶剤性と耐刷性を向上させるという提案がなされている(特許文献1)。
また、感熱層中のベースポリマーとして、分子量の異なる2種類のノボラック樹脂を使用することで、画像再現性と耐溶剤性を両立する提案(特許文献2)や、感熱層中にシラン化合物を導入することで、インキ反発層との高い接着性を付与し、耐刷性を向上させる提案(特許文献3)がなされている
特開平8−286363号公報 特許第4872835号公報 特開平11−208135号公報
しかしながら、特許文献1に記載されているような、露光・現像後の水なし平版を熱処理する方法は、顧客毎に追加の加熱設備が必要となり、水なし印刷導入のイニシャルコストが高くなるという問題があった。
また、特許文献2に記載されているような、感熱層中のベースポリマーとして、分子量の異なる2種類のノボラック樹脂を使用する方法は、耐溶剤性獲得のために高分子量のノボラック樹脂を併用しているため、架橋密度が十分でなく耐刷性については不足している場合があった。
特許文献3に記載されているような、感熱層中にシラン化合物を導入することで、インキ反発層との接着性を向上する方法は、耐溶剤性・耐刷性は向上するものの、シラン化合物が感熱層の架橋構造を過剰に密にしてしまうため、画像再現性が低下する問題があった。
このようなことから、画像再現性に優れながらも、現像液やインキ洗浄液などの薬液に対する耐溶剤性が高く、かつロングランジョブにも耐えうる耐刷性を有する印刷版が望まれていた。
そこで本発明は、画像再現性や耐溶剤性に優れ、かつ高耐刷性を有する平版印刷版原版を提供する。また、前記平版印刷版原版から平版印刷版を製造する方法および印刷物を製造する方法を提供する。
本発明の印刷版原版は、以下の構成を有する。すなわち、少なくとも感熱層とインキ反発層とを含む平版印刷版であって、前記感熱層中に少なくとも(A)メラミン樹脂および(B)光熱変換物質を含有し、前記感熱層の赤外吸収スペクトルにおいて、前記(A)メラミン樹脂由来の、N−H伸縮振動およびO−H伸縮振動の合計ピーク強度(I)と、C=N伸縮振動のピーク強度(II)との比率である(I)/(II)が0.050以上0.130以下である平版印刷版原版である。
本発明によれば、画像再現性や耐溶剤性に優れ、かつ高耐刷性を有する平版印刷版原版を得ることができる。
本発明の平版印刷版原版について、以下に説明する。
本発明の平版印刷版原版は、少なくとも感熱層とインキ反発層を含む平版印刷版であって、前記感熱層中に少なくとも(A)メラミン樹脂および(B)光熱変換物質を含有し、前記感熱層の赤外吸収スペクトルにおいて、前記(A)メラミン樹脂由来の、N−H伸縮振動およびO−H伸縮振動の合計ピーク強度(I)と、C=N伸縮振動のピーク強度(II)との比率である(I)/(II)が0.050以上0.130以下である平版印刷版原版である。
ここで、(A)メラミン樹脂の中には、メラミン(2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジン)とホルムアルデヒドとの付加縮合により得られる、メラミン(2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジン)のアミノ基中に存在する6個の水素原子が一部または全部メチロール化したメチロールメラミンおよび/またはその部分架橋物であるメラミン樹脂、並びに、そのメラミン樹脂をさらにメタノールと反応させ、メチロール基(−CHOH)をメチル化し、メトキシメチル基(−CHOCH)に変換したメチル化メラミン樹脂が含まれる。
メチル化メラミン樹脂は上記のメチロール化とメチル化の反応程度に応じて、完全アルキル型、メチロール基型、およびイミノ基型の3種類に区分される。完全アルキル型メチル化メラミン樹脂は、メラミンに含まれる6個の水素原子をほぼ完全にメチロール化したメチロールメラミンを高度にメチル化した樹脂であり、メトキシメチル基(−CHOCH)を主に有している。メチロール基型メチル化メラミン樹脂は、メラミンに含まれる6個の水素原子をほぼ完全にメチロール化したメチロールメラミンを部分的にメチル化した樹脂であり、メチロール基(−CHOH)およびメトキシメチル基(−CHOCH)を主に有している。イミノ基型メチル化メラミン樹脂は、メラミンに含まれる6個の水素原子を部分的にメチロール化したメチロールメラミンを高度にメチル化した樹脂であり、イミノ基(−NH)およびメトキシメチル基(−CHOCH)を主に有している。
なお、メチル化メラミン樹脂は、上記の3種に区分されて市販されている。例えば、allnex社で市販されているものでは、“CYMEL”(登録商標)300、“CYMEL”(登録商標)301、“CYMEL”(登録商標)303LF、“CYMEL”(登録商標)304、“CYMEL”(登録商標)350、“CYMEL”(登録商標)3745が完全アルキル型であり、“CYMEL”(登録商標)370、“CYMEL”(登録商標)373、“CYMEL”(登録商標)380がメチロール基型であり、“CYMEL”(登録商標)323、“CYMEL”(登録商標)325、“CYMEL”(登録商標)327、“CYMEL”(登録商標)328、“CYMEL”(登録商標)385がイミノ基型である。
本発明では、メチロール基型メチル化メラミン樹脂とイミノ基型メチル化メラミン樹脂の一方または両方を使用するのが好ましい。これらは、完全にメトキシメチル化されておらず、イミノ基またはメチロール基が残っているため、縮合反応による架橋構造を形成することが出来る。
ここで、(A)メラミン樹脂の溶解度パラメーター(SP値)は、Fedors推算法を用いて算出することができ、16.4〜18.5(MPa)1/2であることが好ましい。(A)メラミン樹脂のSP値が16.4〜18.5(MPa)1/2であれば、現像液やインキ洗浄液の主成分であるグリコール系またはアルコール系溶剤のSP値20〜32(MPa)1/2とは十分離れているため、耐溶剤性を得る材料として優れている。
(A)メラミン樹脂はイミノ基またはメチロール基の縮合反応により架橋構造を形成するため、感熱層中のイミノ基またはメチロール基の残存量が少ないほど架橋密度は高いといえる。したがって、フーリエ変換型赤外分光法(FT−IR)により、イミノ基またはメチロール基の残存量を確認することにより、架橋の程度を簡便に見積もることが出来る。
FT−IRにより得られる赤外吸収スペクトルにおいて、(A)メラミン樹脂のイミノ基(N−H)の伸縮振動およびメチロール基の水酸基(O−H)の伸縮振動の合計ピーク強度(I)と、トリアジン環由来のC=Nの伸縮振動のピーク強度(II)の比率である(I)/(II)を架橋密度の指標とすることが出来る。ここで、比率(I)/(II)は0.050以上0.130以下が好ましく、0.052以上0.115以下がより好ましく、0.055以上0.100以下がさらに好ましく、0.065以上0.090以下がさらにより好ましい。比率(I)/(II)が0.050以上であれば、架橋密度が高くなり過ぎて感熱層が分解し難くなることがないため、高い画像再現性を維持できる。一方で、0.130以下であれば、十分な架橋密度を持つため、現像液やインキ洗浄液に対する高い耐溶剤性が得られ、また印刷中にインキ反発層と感熱層の界面付近で破壊が起き難くなるため、耐刷性を向上させることができる。
(B)光熱変換物質は、レーザー光を吸収することにより、光エネルギーを原子・分子の運動エネルギーに変換し、瞬間的に感熱層の表面付近内部で200℃以上の熱を発生させることで、感熱層の架橋構造を熱分解する機能を有するものが好ましい。特に赤外線または近赤外線を吸収する顔料、染料が好ましい。例えば、カーボンブラック、カーボングラファイト、アニリンブラック、シアニンブラックなどの黒色顔料、フタロシアニン、ナフタロシアニン系の緑色顔料、結晶水含有無機化合物、鉄、銅、クロム、ビスマス、マグネシウム、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、コバルト、バナジウム、マンガン、タングステンなどの金属粉、またはこれら金属の硫化物、水酸化物、珪酸塩、硫酸塩、燐酸塩、ジアミン化合物錯体、ジチオール化合物錯体、フェノールチオール化合物錯体、メルカプトフェノール化合物錯体などを挙げることができる。
また、赤外線または近赤外線を吸収する染料としては、エレクトロニクス用や記録用の染料で、最大吸収波長が600nm〜1500nmの範囲にあるシアニン系染料、アズレニウム系染料、スクアリリウム系染料、クロコニウム系染料、アゾ系分散染料、ビスアゾスチルベン系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、ペリレン系染料、フタロシアニン系染料、ナフタロシアニン金属錯体系染料、ポリメチン系染料、ジチオールニッケル錯体系染料、インドアニリン金属錯体染料、分子間型CT染料、ベンゾチオピラン系スピロピラン、ニグロシン染料などが好ましく使用される。
これらの染料のなかでも、モル吸光係数εの大きなものが好ましく使用される。具体的には、εは1×10L/(mol・cm)以上が好ましく、より好ましくは1×10L/(mol・cm)以上である。εが1×10L/(mol・cm)以上であれば、初期感度をより向上させることができる。ここでの係数は照射する活性エネルギー線に対してである。具体的な波長を示すのであれば780nm、830nmまたは1064nmに注目するのがよい。
これらの光熱変換物質を2種以上含有してもよい。吸収波長の異なる2種以上の光熱変換物質を含有することにより、発信波長の異なる2種以上のレーザーに対応させることができる。
これらのなかでも、光熱変換率、経済性および取り扱い性の面から、カーボンブラック、赤外線または近赤外線を吸収する染料が好ましい。
これら光熱変換物質の含有量は、感熱層中5質量%以上50質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以上30質量%以下である。光熱変換物質の含有量を5質量%以上とすることで、レーザー光に対する感度が向上し、感熱層の熱分解を促進させることができる。一方、50質量%以下とすることで、感熱層の架橋が阻害されないため、高い耐刷性を維持することができる。
また、(B)光熱変換物質として赤外線または近赤外線を吸収する染料を使用することで、平版印刷版原版の露光後に染色工程を含まない場合であっても、良好な画像部の視認性(検版性)を得ることが出来る。これは、露光する工程、もしくは、その後の露光された原版を現像する工程で、画像部の感熱層が表層から部分的に除去されるため、画像部と非画像部にコントラスト差が生じるためである。
このコントラスト差は反射濃度計を用いて定量することが出来る。平版印刷版の画像部と非画像部においてシアンの反射濃度を測定したときのコントラスト差ΔDは、0.35以上が好ましく、0.50以上がより好ましく、0.70以上がさらに好ましい。コントラスト差ΔDが0.35以上であれば、露光した画像を十分視認できる。
視認性を確保するのに有利な赤外線または近赤外線を吸収する染料(以下、高視認性染料という)としては、400nm〜600nmの波長領域の吸光度が低く、かつ最大吸収波長が600〜800nm、より好ましくは600〜700nmにあるシアニン系染料、アゾ系分散染料、ナフトキノン系染料、フタロシアニン系染料が好適に用いられる。この高視認性染料の感熱層中の含有量は、14質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、26質量%以上がさらに好ましい。高視認性染料の感熱層中の含有量が14質量%以上であれば、露光した画像を十分視認でき、また画像再現性も向上する。一方、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましい。高視認性染料の感熱層中の含有量が50質量%以下であれば、感熱層の膜強度を維持することができ、脆性破壊を抑制することが出来る。
本発明の平版印刷版原版は、必要に応じて基板を有する。基板がある場合、基板の上または上方に少なくとも感熱層およびインキ反発層を有する。基板の近くに感熱層およびインキ反発層のいずれがあってもいいが、基板、感熱層およびインキ反発層の順にあることが好ましい。
本発明に用いることができる基板としては、従来印刷版の基板として用いられ、印刷工程において寸法的な変化の少ない公知の紙、金属、ガラス、フィルムなどがあげられる。具体的には、紙、プラスチック(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなど)がラミネートされた紙、アルミニウム(アルミニウム合金も含む)、亜鉛、銅などの金属板、ソーダライム、石英などのガラス板、シリコンウエハー、セルロースアセテート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタールなどのプラスチックのフィルム、上記金属がラミネートまたは蒸着された紙またはプラスチックフィルムなどが挙げられる。プラスチックフィルムは透明でも不透明でもよい。視認性(検版性)の観点からは、不透明のフィルムが好ましい。
これら基板のうち、アルミニウム板は印刷工程において寸法的な変化が少なく、しかも安価であるので特に好ましい。また、軽印刷用の柔軟な基板としては、ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
基板の厚みは特に限定されず、平版印刷に使用される印刷機に対応した厚みを選択すればよい。
本発明の平版印刷版原版は、基板と感熱層の間に有機層を設けることができる。本発明の平版印刷版原版に用いられる有機層の特性は、平版印刷版原版に柔軟性を付与し、基板あるいは感熱層と良好な接着性を有し、さらに現像液あるいは印刷時に使用する溶剤に対する耐性が高いことである。例えば、特開2004−199016号公報、特開2004−334025号公報などに開示されている金属キレート化合物を含有する有機層が好ましく用いられるが、この限りではない。
有機層は、基板あるいは感熱層との接着性を付与する目的で、活性水素基含有化合物を含有してもよい。活性水素基含有化合物としては、水酸基含有化合物、アミノ基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、チオール基含有化合物などが挙げられるが、水酸基含有化合物が好ましい。さらに、水酸基含有化合物としてはフェノール性水酸基含有化合物、アルコール性水酸基含有化合物のいずれも本発明に使用できる。また、エポキシアクリレート、エポキシメタクリレート、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、および公知の方法によって水酸基を導入したポリマーなども本発明に使用可能である。これら活性水素基含有化合物の中で、基板との接着性の点からエポキシ樹脂が特に好ましく用いられる。
有機層は顔料を含むことが好ましい。顔料を含むことにより、有機層の光透過率を400〜650nmの全ての波長に対して15%以下とすることが可能となり、これにより、視認性や機械読み取りによる検版性を付与することができる。顔料としては、酸化チタン、亜鉛華、リトポン等の無機白色顔料や、黄鉛、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、オーカー、チタンイエロー等の無機黄色顔料を用いることが好ましい。これらの顔料の中で、隠蔽力、着色力の点から酸化チタンが特に好ましく用いられる。また、酸化チタン粒子表面をチタネート系カップリング剤で処理してもよい。酸化チタン粒子表面をチタネート系カップリング剤で処理することによって、酸化チタン粒子の分散性を向上させ、酸化チタン粒子を多量に含有することが可能となる。さらには酸化チタン粒子を含有した塗液の分散安定性が良好になる。
酸化チタンの含有量は、有機層中に2体積%以上30体積%以下であることが好ましい。有機層中に2体積%以上含まれていれば良好な隠蔽性能が得られ、30体積%以下であれば良好な塗工性能が得られる。
次に、感熱層について説明する。感熱層としては、描き込みに使用されるレーザー光を熱に変換(光熱変換)する機能を有し、さらに発生した熱によって、感熱層の表面付近内部が分解、もしくは現像液への溶解性が高まる、またはインキ反発層との接着力が低下するものであることが好ましい。
感熱層中には(A)メラミン樹脂の架橋を促進する目的で、(C)酸触媒を含むことが好ましい。具体的には、リン酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸が挙げられる。これらの酸触媒のうち、触媒活性の高さからスルホン酸化合物が好ましい。
ここで、感熱層中の(A)メラミン樹脂の割合によって、必要な(C)酸触媒の量が変化する。(A)メラミン樹脂と(C)酸触媒との質量比である(A)/(C)の質量比は、10以上170以下が好ましく、11以上125以下がより好ましく、20以上100以下がさらに好ましく、27以上65以下がさらにより好ましい。(A)/(C)の質量比が10以上であれば、メラミン樹脂の架橋密度が高くなり過ぎて感熱層が分解し難くなることがないため、高い画像再現性を維持できる。一方で、170以下であれば、十分な架橋密度を持つため、現像液やインキ洗浄液に対する高い耐溶剤性が得られ、また印刷中にインキ反発層と感熱層の界面付近で破壊が起き難くなるため、耐刷性を向上させることができる。この(A)/(C)の質量比は、X線光電子分光法(XPS)によりメラミン樹脂由来成分と酸触媒由来成分のピーク面積比率より求められる(A)/(C)モル比を用いて見積もることが出来る。
感熱層中には前記(A)および(B)と異なる(D)溶解度パラメーター(SP値)15以上25(MPa)1/2以下の高分子化合物を含むことが好ましい。(D)高分子化合物のSP値もFedors推算法を用いて算出することができる。現像液やインキ洗浄液の主成分であるグリコール系またはアルコール系溶剤のSP値20〜32(MPa)1/2とは近過ぎず、また離れ過ぎていないため、画像再現性を維持しつつ耐溶剤性を向上させる材料として優れている。また、(D)高分子化合物を2種類以上使用する場合、それぞれのSP値と添加割合から、SP値を推測することができる。
具体的には、フェノール樹脂(ノボラック樹脂およびレゾール樹脂)(23〜24MPa1/2)、ウレタン樹脂(20〜21MPa1/2)、エポキシ樹脂(22〜23MPa1/2)、アクリル樹脂(ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸メチル、およびポリメタクリル酸メチル)(19〜20MPa1/2)、ポリスチレン(17〜20MPa1/2)、ポリエチレン(16〜17MPa1/2)、ポリブタジエン(16〜17MPa1/2)、イソブチレン(15〜16MPa1/2)が挙げられる。これら(D)高分子化合物のうち、画像再現性の低下が少ない点で、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂が好ましい。
(D)高分子化合物の重量平均分子量は、ポリスチレン換算でGPC測定により求めることができ、1000以上50000以下が好ましく、2000以上10000以下がより好ましい。重量平均分子量が1000以上であれば、耐溶剤性向上の効果が期待でき、一方で、50000以下であれば画像再現性を著しく低下させることがない。
感熱層中の(D)高分子化合物の含有量は、5質量%以上30質量%以下が好ましく、10質量%以上25質量%以下がより好ましく、15質量%以上20質量%以下がさらに好ましい。5質量%以上であれば耐溶剤性向上の効果が期待でき、一方で、30質量%以下であれば画像再現性を著しく低下させることがない。
本発明において用いられる平版印刷版原版において、インキ反発層としては、ポリオルガノシロキサンの架橋物であるシリコーンゴム層が好ましく使用できる。
シリコーンゴム層としては、付加反応型シリコーンゴム層組成物もしくは縮合反応型シリコーンゴム層組成物を塗布して得られる層、またはこれらの組成物の溶液を塗布、乾燥して得られる層が挙げられる。
付加反応型のシリコーンゴム層組成物は、少なくともビニル基含有オルガノポリシロキサン、複数のヒドロシリル基を有するSiH基含有化合物、および硬化触媒を含むことが好ましい。さらに、反応抑制剤を含有してもよい。
ビニル基含有オルガノポリシロキサンは、下記一般式(III)で表される構造を有し、主鎖末端もしくは主鎖中にビニル基を有するものである。中でも主鎖末端にビニル基を有するものが好ましい。これらを2種以上含有してもよい。
−(SiR−O−)− (III)
一般式(III)中、nは2以上の整数を示す。RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜50の飽和または不飽和の炭化水素基を表す。炭化水素基は直鎖状でも枝分かれ状でも環状でもよく、芳香環を含んでいてもよい。
一般式(III)中、RおよびRは全体の50%以上がメチル基であることが、平版印刷版のインキ反発性の面で好ましい。また、画像再現性や平版印刷版のインキ反発性、耐傷性の観点から、ビニル基含有オルガノポリシロキサンの重量平均分子量は20000以上160000以下が好ましい。
SiH基含有化合物としては、例えば、オルガノハイドロジェンポリシロキサン、ジオルガノハイドロジェンシリル基を有する有機ポリマーが挙げられ、好ましくはオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。これらを2種以上含有してもよい。
オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、直鎖状、環状、分岐状、網状の分子構造をもつことができる。例えば以下のものが例示される。
分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたポリメチルハイドロジェンシロキサン、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端がジメチルハイドロジェンシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端がジメチルハイドロジェンシロキシ基で封鎖されたジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端がジメチルハイドロジェンシロキシ基で封鎖されたメチルフェニルポリシロキサンである。
SiH基含有化合物は、下記一般式(IV)で表されるシロキサン構造単位の単独重合体、もしくは(IV)と(V)で表されるシロキサン構造単位の共重合体がインキ反発性、コストの点から好ましい。
−[SiH(CH)−O−]− (IV)
−[Si(CH−O−]− (V)
本発明における、SiH基含有化合物の一般式(IV)で表されるシロキサン構成単位と一般式(V)で表されるシロキサン構成単位の合計100モル%に対する一般式(IV)で表されるシロキサン構成単位の含有比率((IV)/((IV)+(V)))は、1分子当たりに反応できる官能基量が多く、反応速度および硬化性に優れる点から50モル%以上であることが好ましい。
反応抑制剤としては、含窒素化合物、リン系化合物、不飽和アルコールなどが挙げられ、アセチレン基含有アルコールが好ましく用いられる。これらを2種以上含有してもよい。これらの反応抑制剤を含有することにより、シリコーンゴム層の硬化速度を調整することができる。反応抑制剤の含有量は、0.01質量%以上20質量%以下が好ましく、0.1質量%以上15質量%以下がより好ましい。シリコーンゴム層組成物中0.01質量%以上であればシリコーンゴム層組成物やその溶液の安定性を確保でき、20質量%以下であればシリコーンゴム層の硬化性を著しく低下させることがない。
硬化触媒は公知のものから選ぶことができる。好ましくは白金系化合物であり、具体的には白金単体、塩化白金、塩化白金酸、オレフィン配位白金、白金のアルコール変性錯体、白金のメチルビニルポリシロキサン錯体などを挙げることができる。これらを2種以上含有してもよい。硬化触媒の含有量は、シリコーンゴム層組成物中0.001質量%以上20質量%以下が好ましく、0.01質量%以上15質量%以下がより好ましい。0.001質量%以上であればシリコーンゴム層を十分硬化させることができ、20質量%以下であればシリコーンゴム層組成物やその溶液の安定性を確保できる。
また、インキ反発層中には隣接する他層との接着性を向上させる目的で、以下の一般式(VI)で表される化合物(a)を含有しても良い。
R−Si−(X) (VI)
一般式(VI)中、Rはアルキル基、アリール基またはビニル基、Xはアセトキシ基またはジアルキルオキシイミノ基を表す。
化合物(a)を含有するインキ反発層が感熱層と接する場合、化合物(a)と感熱層表面の水酸基およびイミノ基が縮合反応を経て結合するため、インキ反発層と感熱層の接着はより強固になる。これにより、印刷中にインキ反発層と感熱層の界面からの剥離や、感熱層の表面付近での破壊が抑制され、耐刷性を著しく向上させることが出来る。
化合物(a)の含有量は、シリコーンゴム層組成物中1質量%以上20質量%以下が好ましく、4質量%以上10質量%以下がより好ましい。1質量%以上であれば隣接する他層との接着性を向上することができ、20質量%以下であればインキ反発層が過剰に接着することによる画像再現性の低下を抑制できる。
本発明における平版印刷版原版のインキ反発層中にはインキ反発性を向上させる目的で、インキ反発性液体を含有することができる。この液体は1気圧における沸点が150℃以上であることが好ましい。印刷時に版面が加圧されたとき、インキ反発層表面に前記インキ反発性液体が表出し、インキの剥離を助けることでインキ反発性を向上させる。沸点が150℃以上であれば、平版印刷版原版を製造時に揮発することが少なく、この液体の添加によって得られるインキ反発性の効果を失うことがない。ここでいう沸点は、1気圧の環境下で1時間静置したのちの質量減少量が、0.5質量%以上になる温度で定義される。言い換えると、この液体は、150℃、1気圧環境下で1時間静置したのちの質量減少が0.5質量%未満である。そうであれば、この液体の添加によるインキ反発性の効果を失うことが少ない。
また、前記インキ反発性液体の25℃での表面張力は15mN/m以上30mN/m以下が好ましい。表面張力が15mN/m以上であれば、他のインキ反発層組成物との親和性がより高くなり、インキ反発層組成物溶液の安定性が向上する。表面張力が30mN/m以下であれば、インキが剥離し易くなり、インキ反発性をより向上させることが出来る。
インキ反発層中のインキ反発性液体の含有量は、4質量%以上40質量%以下が好ましく、5質量%以上30質量%以下がより好ましい。4質量%以上であればインキ反発性を向上させることができ、40質量%以下であればインキ反発層の脆性破壊を抑制できる。
前記インキ反発性の液体は、シリコーン化合物であることが好ましく、シリコーンオイルがより好ましい。本発明で言うシリコーンオイルとは、インキ反発層の架橋に携わらないポリシロキサン成分のことを指す。従って、末端ジメチルポリジメチルシロキサン、環状ポリジメチルシロキサン、末端ジメチル−ポリジメチル−ポリメチルフェニルシロキサンコポリマー、末端ジメチル−ポリジメチル−ポリジフェニルシロキサンコポリマーなどのジメチルシリコーンオイル類、またアルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、エポキシポリエーテル変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、アミド変性シリコーンオイル、カルバナ変性シリコーンオイル、高級脂肪酸変性シリコーンオイルなどの分子中のメチル基の一部に各種有機基を導入した変性シリコーンオイル類が挙げられる。
これらシリコーンオイルの分子量は、標品にポリスチレンを用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定することができ、重量平均分子量Mwが1000〜10万のものが好ましい。
本発明の平版印刷版原版は、インキ反発層を保護する目的で、インキ反発層の表面に保護フィルムおよび/または合紙を有してもよい。
保護フィルムとしては、露光光源波長の光を良好に透過する厚み100μm以下のフィルムが好ましい。代表例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、セロファンなどを挙げることができる。また、露光による原版の感光を防止する目的で、種々の光吸収剤,光発色物質、特許第2938886号公報に記載されたような光退色性物質を保護フィルム上に有してもよい。
合紙としては、秤量30〜120g/mのものが好ましく、より好ましくは30〜90g/mである。秤量30g/m以上であれば機械的強度が十分であり、120g/m以下であれば経済的に有利であるばかりでなく、平版印刷版原版と紙の積層体が薄くなり、作業性が有利になる。好ましく用いられる合紙の例として、例えば、情報記録原紙40g/m(名古屋パルプ(株)製)、金属合紙30g/m(名古屋パルプ(株)製)、未晒しクラフト紙50g/m(中越パルプ工業(株)製)、NIP用紙52g/m(中越パルプ工業(株)製)、純白ロール紙45g/m(王子製紙(株)製)、クルパック73g/m(王子製紙(株)製)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
次に、本発明の平版印刷版原版から平版印刷版を製造する方法について説明する。平版印刷版の製造方法は、(1)像に従って露光する工程、もしくは、(1)の工程後に(2)露光された原版を現像する工程を含む。
まず、(1)像に従って露光する工程について説明する。本発明の平版印刷版原版を像に従って露光する。平版印刷版原版が保護フィルムを有する場合、保護フィルム上から露光してもよいし、保護フィルムを剥離して露光してもよい。露光工程で用いられる光源としては、発光波長領域が300nm〜1500nmの範囲にあるものが挙げられる。これらの中でも、感熱層の吸収波長として広く用いられることから、近赤外領域付近に発光波長領域が存在する半導体レーザーやYAGレーザーが好ましく用いられる。具体的には、熱への変換効率の観点から780nm、830nm、1064nmの波長のレーザー光が露光に好ましく用いられる。
次に、(2)露光された原版を現像する工程について説明する。露光後の原版に物理刺激を与えることにより、露光部のインキ反発層を除去する。物理刺激を与える方法としては、例えば、(i)液体の非存在下で不織布、脱脂綿、布、スポンジ、ゴムなどで版面を擦る方法、(ii)水や現像液を含浸した不織布、脱脂綿、布、スポンジなどで版面を拭き取る方法、(iii)水をシャワーしながら回転ブラシで擦る方法、(iv)現像液で版面を前処理した後に水などをシャワーしながら回転ブラシで擦る方法、(v)高圧の水や温水、または水蒸気を版面に噴射する方法などが挙げられる。
上記(iv)のように、現像に先立ち現像液中に一定時間版を浸漬する前処理を行ってもよい。露光された原版に現像液を接触させることで、画像再現性を著しく向上させることが出来る。現像液としては、例えば、水や水にアルコールやケトン、エステル、カルボン酸などの極性溶媒を添加したもの、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類などの少なくとも1種を含有する溶媒に極性溶媒を添加したもの、あるいは極性溶媒が用いられる。また、上記の現像液組成には、公知の界面活性剤を添加することもできる。界面活性剤としては、安全性、廃棄する際のコストなどの点から、水溶液にしたときにpHが5〜8になるものが好ましい。界面活性剤の含有量は現像液の10質量%以下であることが好ましい。このような現像液は安全性が高く、廃棄コストなどの経済性の点でも好ましい。
さらに、工程(2)において、現像液としてはグリコール化合物あるいはグリコールエーテル化合物を主成分として用いることが好ましく、アミン化合物を共存させることがより好ましい。そのような現像液としては、例えば特許第4839987号公報に記載されるような、ポリエチレンエーテルジオールおよび1級アミノ基を2個以上有するジアミン化合物を含有する前処理液を用いることができる。前処理液の具体例としては、PP−1、PP−3、PP−F、PP−FII、PTS−1、CP−1、CP−Y、CP−X、NP−1、DP−1(何れも東レ(株)製)などを挙げることができる。
このような現像液に浸漬する時間は特に限定されないが、30秒以上80秒以下が好ましい。30秒以上であれば十分な画像再現性を得ることができ、80秒以下であれば生産性を落とすことがない。
現像液としては、他にもアルコールやパラフィン系炭化水素を使用できる。また、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールへのアルキレンオキサイド付加物などのプロピレングリコール誘導体と、水との混合物も使用できる。現像液の具体例としては、HP−7N、WH−3(何れも東レ(株)製)などを挙げることができる。
また、画像部と非画像部のコントラスト差を向上させ、視認性や網点の計測精度を高める目的から、前処理液または現像液にクリスタルバイオレット、ビクトリアピュアブルー、アストラゾンレッド等の染料を添加して現像と同時に画像部のインキ受容層の染色を行うこともできる。さらには、現像の後に上記の染料を添加した後処理液によって染色することもできる。後処理液の具体例としては、PA−F、PA−1、NA−1(何れも東レ(株)製)などを挙げることができる。
現像工程の一部または全部は、自動現像機により自動的に行うこともできる。自動現像機としては以下の装置が使用できる。現像部のみの装置、前処理部および現像部がこの順に設けられた装置、前処理部、現像部、後処理部がこの順に設けられた装置、前処理部、現像部、後処理部、水洗部がこの順に設けられた装置など。このような自動現像機の具体例としては、TWL−650シリーズ、TWL−860シリーズ、TWL−1160シリーズ(何れも東レ(株)製)などや、特開平5−6000号公報に記載されるような版の裏面の傷発生を抑制するために受台を曲面状にへこませている自動現像機などが挙げられる。これらを組み合わせて使用してもよい。
現像処理された平版印刷版を積み重ねて保管する場合に備えて、版面保護の目的で、版と版の間に合紙を挟んでおくことが好ましい。
次に本発明の平版印刷版から印刷物を製造する方法の例について示す。水なし平版印刷版は湿し水を用いずに印刷が可能な平版印刷版である。感熱層由来の層がインキ受容層となり、それが画像部となる。インキ反発層は非画像部となる。インキ受容層とインキ反発層とはミクロンオーダーの段差があるのみでありほぼ同一平面にあるといっていい。そしてインキ付着性の差異を利用して画像部のみにインキを付着させた後、被印刷体にインキを転写して印刷する。被印刷体とは薄紙、厚紙、フィルム、ラベルなど印刷される媒体全般を指し、特に限定されるものではない。また、インキの転写は、平版印刷版から直接被印刷体に行ってもよく、ブランケットを介して行ってもよい。
本発明の平版印刷版を用いた印刷では、新聞・商業印刷で用いられる油性インキだけでなく、活性エネルギー線により硬化しうるインキを使用することができる。紫外線照射により硬化するインキ(以下、UVインキと称する。)であれば、通常は、反応性モノマーもしくは反応性オリゴマー、光重合開始剤および必要に応じて増感剤、感光性樹脂などの紫外線によって重合反応可能な感光性成分が含まれる。電子線照射により硬化するインキ(以下、EBインキと称する。)であれば、通常は、反応性モノマーもしくは反応性オリゴマー、感光性樹脂などの電子線によって重合反応可能な感光性成分が含まれる。
また、インキ反発性を向上させる目的で、直鎖アルキル基を有するアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルを含有するUVインキもしくはEBインキを使用しても良い。長鎖アルキル基としては炭素数9以上のものが好ましい。直鎖アルキル基を有するアクリル酸エステルの具体的な例としては、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、ウンデシルアクリレート、ドデシルアクリレート、トリデシルアクリレート、テトラデシルアクリレート、ペンタデシルアクリレート、ヘキサデシルアクリレート、ヘプタデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、イソオクタデシルアクリレート等が挙げられる。直鎖アルキル基を有するメタクリル酸エステルの具体的な例としては、ノニルメタクリレート、デシルメタクリレート、ウンデシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、テトラデシルメタクリレート、ペンタデシルメタクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、ヘプタデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート等が挙げられる。
直鎖アルキル基を有するアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルは、インキ反発性を向上させる点でUVインキもしくはEBインキ全量に対して0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。また、インキの硬化性を促進する点で、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
UVインキもしくはEBインキに照射する活性エネルギー線としては、硬化反応に必要な励起エネルギーを有するものであればいずれも用いることができるが、例えば紫外線や電子線などが好ましく用いられる。電子線により硬化させる場合は、50000〜500000eVの電子線を放出できる電子線照射装置が好ましく用いられる。紫外線により硬化させる場合は、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、LED等の紫外線照射装置が利用できるが、特に限定されない。
本発明の平版印刷版から印刷物を製造するのに用いられる印刷機は、オフセット印刷機が好ましく、枚葉印刷機、輪転印刷機のいずれでも使用することが出来る。本発明の平版印刷版は、画像再現性に優れながらも、高い耐溶剤性・耐刷性を有するため、溶解性の高い現像液で高速現像する用途、および/またはロングランジョブを高速で印刷する用途で特に優れた効果を発揮する。
印刷速度は特に限定されないが、20000mph以上60000mph以下の高速で印刷される用途において、本発明の平版印刷版は特に有効である。上記のような印刷速度で印刷物を製造する用途としては、輪転印刷機を用いた新聞印刷などが挙げられる。
本発明の平版印刷版の性能について説明する。画像再現性は2400dpiの175lpiで20×20μm網点が80%以上再現が好ましく、20×20μm網点が100%再現がより好ましく、20×20μm網点が100%再現かつ10×20μm網点が30%以上再現がさらに好ましい。耐刷性は印刷物に地汚れが発生するまでの印刷枚数(耐刷枚数)で表すことができ、50000枚以上が好ましく、80000枚以上がより好ましく、100000枚以上がさらに好ましい。耐溶剤性は洗浄液の主成分である3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールを25℃条件下で版面に滴下し、感熱層が溶解するまでの時間で表し、10分以上が好ましく、20分以上がより好ましく、40分以上がさらに好ましい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。各実施例・比較例における評価は次の方法で行った。
(1)架橋密度の測定
光学顕微鏡による観察下で金属製の治具を使用して、平版印刷版から感熱層を切削/採取し、イソプロパノール可溶物を抽出した(色素成分の分離)。残渣物に対して顕微フーリエ変換型赤外分光分析装置(顕微FT−IR)を用いて組成分析を行うことで、メラミン樹脂の架橋密度を見積もった。測定は顕微赤外分光分析装置IRμs(SPECTRA−TECH社製)を用いて、光源:炭化ケイ素棒発熱体(グローバー)、検出器:Narrow・MCT(HgCdTe)、検出波数範囲:4000〜650cm−1、パージ:窒素ガス、測定モード:透過法、分解能:8cm−1、積算回数:64回で行い、色素成分を除去した感熱層の赤外スペクトルを得た。得られた赤外スペクトルの3300〜3500cm−1付近のメラミン樹脂由来のN−HおよびO−H伸縮振動の合計ピーク強度(I)と、1530〜1600cm−1付近のC=N伸縮振動のピーク強度(II)から、架橋密度の指標となる比率(I)/(II)を算出した。
(2)(A)メラミン樹脂/(C)酸触媒の質量比算出
平版印刷版からインキ反発層を削り取り感熱層を露出した後、超高真空中で前記感熱層表面に軟X線を照射し、表面から放出される光電子をアナライザーで検出するX線光電子分光法(XPS)により、(A)メラミン樹脂/(C)酸触媒の質量比を見積もった。測定はQuantera SXM(PHI社製)を用いて、励起X線:monochromatic AlKα1,2線(1486.6eV)、X線径:200μm、光電子脱出角度:45°(試料表面に対する検出器の傾き)で行い、メラミン樹脂由来であるC=N成分と酸触媒由来であるP=OあるいはS=O成分のピーク面積から(A)/(C)のモル比を求め、(A)/(C)質量比を算出した。
(3)平版印刷版の製造
(3−1)像に従って露光する工程(1)
画像露光は670×560mmサイズの平版印刷版原版を、露光機“PlateRite”8800E((株)Screenグラフィックソリューションズ製)に装着し、後の現像工程で、現像液として水のみを使用する場合は照射エネルギー:190mJ/cm、現像液として水以外の薬液を使用する場合は照射エネルギー:130mJ/cmで露光した。画像再現性評価用の画像としては、少なくとも2400dpiの175lpiで、20×20μm網点および10×20μm網点のそれぞれの微小網点100ドットを10セットずつ露光した。
(3−2)露光された原版を現像する工程(2)
上記(3−1)で露光された平版印刷版原版を、自動現像機TWL−1160F(東レ(株)製)に通し、平版印刷版を製造した。現像液として水のみを使用し、水をかけながら回転するブラシで版面を摩擦する“水現像”、もしくは水以外の薬液を版面に接触させた後に、水をかけながら回転するブラシで版面を摩擦する“薬液現像”で現像を行い、“薬液現像”の場合は前処理液:DP−1(東レ(株)製)、現像液:水、後処理液:PA−1(東レ(株)製)の条件下で実施した。現像速度は、枚葉印刷で評価する条件では60cm/分(現像液浸漬時間:70秒)で処理し、生産性を重視する輪転印刷で評価する条件では、120cm/分(現像液浸漬時間:35秒)で処理した。
得られた平版印刷版の20×20μm網点および10×20μm網点のそれぞれの微小網点100ドットを、25倍のルーペで観察し、10セット中で最も画像再現性の悪いものについて評価し、100ドット中に再現している微小網点数を画像再現率(%)とした。20×20μm網点において画像再現率が80%以上であれば問題なく使用でき、100%であれば良好であると判断した。さらに、20×20μm網点において画像再現率が100%であり、かつ10×20μm網点において画像再現率が30%以上であれば非常に良好であると判断した。
(4)画像部と非画像部のコントラスト差の測定
反射濃度計Spectro Eye(X−rite製)を用いて、非画像部および画像部の反射濃度を測定することで、非画像部と画像部のコントラスト差を算出した。測定はシアンのフィルターをかけた状態で行い、(非画像部濃度―画像部濃度)の絶対値をコントラスト差ΔDとした。コントラスト差ΔDは、0.35以上であれば視認性を有する、0.50以上であれば良好な視認性を有する、0.70以上であれば非常に良好な視認性を有すると判断した。
(5)印刷
(5−1)枚葉印刷
枚葉印刷機SpeedMaster“XL75−5+L”(Heidelberg社製)に、上記(3)で製造した平版印刷版を装着し、LED−UV硬化型インキである“SAHARA PC LED−UV”(Classic colours社製)を用いて、15000枚/時(7500mph)の速度でLED−UV印刷試験を行った。インキローラーにより平版印刷版にインキを供給し、平版印刷版とブランケットとを接触させ、平版印刷版からブランケットにインキを転写した。続いてブランケット上のインキを被印刷体である薄紙の上質紙に転写するオフセット枚葉印刷方式で行った。上質紙のサイズは幅750×長さ530mmのものを用いた。
(5−2)輪転印刷
輪転印刷機Cortina 4/2(KBA社製)に、上記(3)で製造した平版印刷版を装着し、新聞印刷用インキである“DE15−9LTG”(Flint社製)を用いて、20000〜60000mphの速度でロール紙に対する印刷試験を行った。インキローラーにより平版印刷版にインキを供給し、平版印刷版とブランケットとを接触させ、平版印刷版からブランケットにインキを転写した。続いてブランケット上のインキを被印刷体である薄紙の上質紙に転写するオフセット輪転印刷方式で行った。
(6)耐刷枚数の計測
上記(5)の条件で連続印刷を行い、平版印刷版がダメージを受け、目視で地汚れ発生が確認できるまでの枚数を耐刷枚数と定義した。(5−1)枚葉印刷の場合は、5000枚毎に印刷物をサンプリングし、地汚れを確認した。また、(5−2)輪転印刷の場合は、ロール紙のため1mの印刷物を1枚とし、5000m毎に印刷物の地汚れを確認した。すなわち、100000mで地汚れが発生した場合、耐刷枚数は100000枚と表現した。50000枚以上であれば耐刷性を有し、80000枚以上であれば良好な耐刷性を有し、100000枚以上であれば非常に良好な耐刷性を有すると判断した。
(7)耐溶剤性の評価
平版印刷版のインキ反発層上に、洗浄液の主成分である3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールを1cc滴下し、25℃条件下で5分静置した後、コットンパッドで10〜20g/cm程度の圧力をかけながら5回摩擦した。感熱層が溶解しインキ反発層が脱離するまで、5分ずつ静置時間を延長し、インキ反発層の脱離が起こらない最長時間を耐溶剤性の指標とした。最長時間が10分以上であれば耐溶剤性を有し、20分以上であれば良好な耐溶剤性を有し、40分以上であれば非常に良好な耐溶剤性を有すると判断した。
[実施例1]
平版印刷版原版を以下の方法で作製した。
厚み0.24mmの脱脂したアルミ基板(三菱アルミ(株)製)上に下記の有機層組成物溶液を塗布し、200℃で90秒間乾燥し、厚み10.0μmの有機層を設けた。なお、有機層組成物溶液は、下記成分を室温にて撹拌混合することにより得た。
<有機層組成物溶液>
(a)活性水素を有するポリマー:エポキシ樹脂:“jER”(登録商標)1010(三菱ケミカル(株)製):29.2質量部
(b)活性水素を有するポリマー:ポリウレタン:“サンプレン”(登録商標)LQ−T1331D(三洋化成工業(株)製、固形分濃度:20質量%):51.7質量部
(c)アルミキレート:アルミキレートALCH−TR(川研ファインケミカル(株)製):4.5質量部
(d)レベリング剤:“ディスパロン”(登録商標)LC951(楠本化成(株)製、固形分:10質量%):0.1質量部
(e)酸化チタン:“タイペーク”(登録商標)CR−50(石原産業(株)製)のN,N−ジメチルホルムアミド分散液(酸化チタン50質量%):14.5質量部
(f)N,N−ジメチルホルムアミド:450質量部
(g)メチルエチルケトン:150質量部。
次いで、下記の感熱層組成物溶液−1を前記有機層上に塗布し、140℃で90秒間加熱乾燥し、厚み1.5μmの感熱層を設けた。なお、感熱層組成物溶液−1は、下記成分を室温にて撹拌混合することにより得た。
<感熱層組成物溶液−1>
(a)メチロール基型メチル化メラミン樹脂:“CYMEL”(登録商標)370(Allnex製、粘度:5100〜10200mPa・s):84.5質量部
(b)赤外線吸収染料(シアニン色素):NK5559(株式会社林原製、最大吸収波長:774nm):15.0質量部
(c)リン酸:0.5質量部
(e)テトラヒドロフラン:900質量部。
次いで、塗布直前に調製した下記のインキ反発層(シリコーンゴム層)組成物溶液−1を前記感熱層上に塗布し、140℃で80秒間加熱し、平均膜厚2.5μmのインキ反発層を設けることで平版印刷版原版を得た。なお、インキ反発層組成物溶液−1は、下記成分を室温にて撹拌混合することにより得た。
<インキ反発層組成物溶液−1>
(a)α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサン:DMS−V35(重量平均分子量49,500、GELEST Inc.製):86.95質量部
(b)メチルハイドロジェンシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体RD−1((IV)/((IV)+(V))=0.5、東レ・ダウコーニング(株)製):4.24質量部
(c)3−メチル−1−ブチン−3−オール:2.64質量部
(d)白金触媒SRX212(東レ・ダウコーニング(株)製):6.17質量部
(e)“アイソパー”(登録商標)E(エッソ化学(株)製):900質量部。
得られた平版印刷版原版を前記方法で露光し、現像速度60cm/分で水現像することで平版印刷版を得た。該平版印刷版の感熱層組成を前記方法で分析したところ、メラミン樹脂の(I)/(II)比率は0.130であり、メラミン樹脂/リン酸の質量比は169であった。該平版印刷版の性能を前記方法で評価したところ、コントラスト差ΔDは0.38と視認性を有し、耐溶剤性は10分であり、画像再現率は20×20μm網点が100%再現かつ10×20μm網点が60%再現と、非常に良好な画像再現性であった。また、該平版印刷版を前記枚葉印刷機で7500mphの速度で印刷したところ、耐刷枚数は50000枚であった。
[実施例2]
感熱層組成物溶液−1を以下の感熱層組成物溶液−2に変更したこと以外は実施例1と同様にして、平版印刷版原版を得た。
<感熱層組成物溶液−2>
(a)イミノ基型メチル化メラミン樹脂:“CYMEL”(登録商標)325(Allnex製、粘度:2500〜4500mPa・s):84.5質量部
(b)赤外線吸収染料(シアニン色素):NK5559(株式会社林原製、最大吸収波長:774nm):15.0質量部
(c)リン酸:0.5質量部
(e)テトラヒドロフラン:900質量部。
得られた平版印刷版原版を前記方法で露光し、現像速度60cm/分で水現像することで平版印刷版を得た。該平版印刷版の感熱層組成を前記方法で分析したところ、メラミン樹脂の(I)/(II)比率は0.115であり、メラミン樹脂/リン酸の質量比は169であった。該平版印刷版の性能を前記方法で評価したところ、コントラスト差ΔDは0.38と視認性を有し、耐溶剤性は20分と良好であり、画像再現率は20×20μm網点が100%再現かつ10×20μm網点が60%再現と、非常に良好な画像再現性であった。また、該平版印刷版を前記枚葉印刷機で7500mphの速度で印刷したところ、耐刷枚数は60000枚であった。
[実施例3]
感熱層組成物溶液−1を以下の感熱層組成物溶液−3に変更したこと以外は実施例1と同様にして、平版印刷版原版を得た。
<感熱層組成物溶液−3>
(a)イミノ基型メチル化メラミン樹脂:“CYMEL”(登録商標)323(Allnex製、粘度:2500〜7500mPa・s):84.3質量部
(b)赤外線吸収染料(シアニン色素):“NK”5559(株式会社林原製、最大吸収波長:774nm):15.0質量部
(c)リン酸:0.7質量部
(e)テトラヒドロフラン:900質量部。
得られた平版印刷版原版を前記方法で露光し、現像速度60cm/分で水現像することで平版印刷版を得た。該平版印刷版の感熱層組成を前記方法で分析したところ、メラミン樹脂の(I)/(II)比率は0.105であり、メラミン樹脂/リン酸の質量比は120であった。該平版印刷版の性能を前記方法で評価したところ、コントラスト差ΔDは0.38と視認性を有し、耐溶剤性は25分と良好であり、画像再現率は20×20μm網点が100%再現かつ10×20μm網点が55%再現と、非常に良好な画像再現性であった。また、該平版印刷版を前記枚葉印刷機で7500mphの速度で印刷したところ、耐刷枚数は70000枚であった。
[実施例4]
感熱層組成物溶液−1を以下の感熱層組成物溶液−4に変更したこと以外は実施例1と同様にして、平版印刷版原版を得た。
<感熱層組成物溶液−4>
(a)イミノ基型メチル化メラミン樹脂:“CYMEL”(登録商標)325(Allnex製、粘度:2500〜4500mPa・s):84.3質量部
(b)赤外線吸収染料(シアニン色素):NK5559(株式会社林原製、最大吸収波長:774nm):15.0質量部
(c)スルホン酸化合物:p−トルエンスルホン酸:0.7質量部
(e)テトラヒドロフラン:900質量部。
得られた平版印刷版原版を前記方法で露光し、現像速度60cm/分で水現像することで平版印刷版を得た。該平版印刷版の感熱層組成を前記方法で分析したところ、メラミン樹脂の(I)/(II)比率は0.105であり、メラミン樹脂/スルホン酸化合物の質量比は120であった。該平版印刷版の性能を前記方法で評価したところ、コントラスト差ΔDは0.38と視認性を有し、耐溶剤性は25分と良好であり、画像再現率は20×20μm網点が100%再現かつ10×20μm網点が55%再現と、非常に良好な画像再現性であった。また、該平版印刷版を前記枚葉印刷機で7500mphの速度で印刷したところ、耐刷枚数は70000枚であった。
[実施例5]
感熱層組成物溶液−1を以下の感熱層組成物溶液−5に変更したこと以外は実施例1と同様にして、平版印刷版原版を得た。
<感熱層組成物溶液−5>
(a)イミノ基型メチル化メラミン樹脂:“CYMEL”(登録商標)323(Allnex製、粘度:2500〜7500mPa・s):78.0質量部
(b)赤外線吸収染料(シアニン色素):NK5559(株式会社林原製、最大吸収波長:774nm):15.0質量部
(c)スルホン酸化合物:p−トルエンスルホン酸:7.0質量部
(e)テトラヒドロフラン:900質量部。
得られた平版印刷版原版を前記方法で露光し、現像速度60cm/分で水現像することで平版印刷版を得た。該平版印刷版の感熱層組成を前記方法で分析したところ、メラミン樹脂の(I)/(II)比率は0.052であり、メラミン樹脂/スルホン酸化合物の質量比は11であった。該平版印刷版の性能を前記方法で評価したところ、コントラスト差ΔDは0.38と視認性を有し、耐溶剤性は40分と非常に良好であり、画像再現率は20×20μm網点が100%再現と良好な画像再現性であった。また、該平版印刷版を前記枚葉印刷機で7500mphの速度で印刷したところ、耐刷枚数は110000枚と非常に良好であった。
[実施例6]
感熱層組成物溶液−1を以下の感熱層組成物溶液−6に変更したこと以外は実施例1と同様にして、平版印刷版原版を得た。
<感熱層組成物溶液−6>
(a)イミノ基型メチル化メラミン樹脂:“CYMEL”(登録商標)325(Allnex製、粘度:2500〜4500mPa・s):84.1質量部
(b)赤外線吸収染料(シアニン色素):NK5559(株式会社林原製、最大吸収波長:774nm):15.0質量部
(c)スルホン酸化合物:p−トルエンスルホン酸:0.9質量部
(e)テトラヒドロフラン:900質量部。
得られた平版印刷版原版を前記方法で露光し、現像速度60cm/分で水現像することで平版印刷版を得た。該平版印刷版の感熱層組成を前記方法で分析したところ、メラミン樹脂の(I)/(II)比率は0.095であり、メラミン樹脂/スルホン酸化合物の質量比は93であった。該平版印刷版の性能を前記方法で評価したところ、コントラスト差ΔDは0.38と視認性を有し、耐溶剤性は30分と良好であり、画像再現率は20×20μm網点が100%再現かつ10×20μm網点が50%再現と、非常に良好な画像再現性であった。また、該平版印刷版を前記枚葉印刷機で7500mphの速度で印刷したところ、耐刷枚数は80000枚と良好であった。
[実施例7]
感熱層組成物溶液−1を以下の感熱層組成物溶液−7に変更したこと以外は実施例1と同様にして、平版印刷版原版を得た。
<感熱層組成物溶液−7>
(a)イミノ基型メチル化メラミン樹脂:“CYMEL”(登録商標)323(Allnex製、粘度:2500〜7500mPa・s):80.0質量部
(b)赤外線吸収染料(シアニン色素):NK5559(株式会社林原製、最大吸収波長:774nm):15.0質量部
(c)スルホン酸化合物:p−トルエンスルホン酸:5.0質量部
(e)テトラヒドロフラン:900質量部。
得られた平版印刷版原版を前記方法で露光し、現像速度60cm/分で水現像することで平版印刷版を得た。該平版印刷版の感熱層組成を前記方法で分析したところ、メラミン樹脂の(I)/(II)比率は0.072であり、メラミン樹脂/スルホン酸化合物の質量比は16であった。該平版印刷版の性能を前記方法で評価したところ、コントラスト差ΔDは0.38と視認性を有し、耐溶剤性は40分と非常に良好であり、画像再現率は20×20μm網点が100%再現かつ10×20μm網点が20%再現と、良好な画像再現性であった。また、該平版印刷版を前記枚葉印刷機で7500mphの速度で印刷したところ、耐刷枚数は100000枚と非常に良好であった。
[実施例8]
感熱層組成物溶液−1を以下の感熱層組成物溶液−8に変更したこと以外は実施例1と同様にして、平版印刷版原版を得た。
<感熱層組成物溶液−8>
(a)イミノ基型メチル化メラミン樹脂:“CYMEL”(登録商標)325(Allnex製、粘度:2500〜4500mPa・s):83.7質量部
(b)赤外線吸収染料(シアニン色素):NK5559(株式会社林原製、最大吸収波長:774nm):15.0質量部
(c)スルホン酸化合物:p−トルエンスルホン酸:1.3質量部
(e)テトラヒドロフラン:900質量部。
得られた平版印刷版原版を前記方法で露光し、現像速度60cm/分で水現像することで平版印刷版を得た。該平版印刷版の感熱層組成を前記方法で分析したところ、メラミン樹脂の(I)/(II)比率は0.087であり、メラミン樹脂/スルホン酸化合物の質量比は64であった。該平版印刷版の性能を前記方法で評価したところ、コントラスト差ΔDは0.38と視認性を有し、耐溶剤性は35分と良好であり、画像再現率は20×20μm網点が100%再現かつ10×20μm網点が40%再現と、良好な画像再現性であった。また、該平版印刷版を前記枚葉印刷機で7500mphの速度で印刷したところ、耐刷枚数は85000枚と良好であった。
[実施例9]
感熱層組成物溶液−1を以下の感熱層組成物溶液−9に変更したこと以外は実施例1と同様にして、平版印刷版原版を得た。
<感熱層組成物溶液−9>
(a)イミノ基型メチル化メラミン樹脂:“CYMEL”(登録商標)325(Allnex製、粘度:2500〜4500mPa・s):82.0質量部
(b)赤外線吸収染料(シアニン色素):NK5559(株式会社林原製、最大吸収波長:774nm):15.0質量部
(c)スルホン酸化合物:p−トルエンスルホン酸:3.0質量部
(e)テトラヒドロフラン:900質量部。
得られた平版印刷版原版を前記方法で露光し、現像速度60cm/分で水現像することで平版印刷版を得た。該平版印刷版の感熱層組成を前記方法で分析したところ、メラミン樹脂の(I)/(II)比率は0.082であり、メラミン樹脂/スルホン酸化合物の質量比は27であった。該平版印刷版の性能を前記方法で評価したところ、コントラスト差ΔDは0.38と視認性を有し、耐溶剤性は35分と良好であり、画像再現率は20×20μm網点が100%再現かつ10×20μm網点が40%再現と、良好な画像再現性であった。また、該平版印刷版を前記枚葉印刷機で7500mphの速度で印刷したところ、耐刷枚数は95000枚と良好であった。
[実施例10]
感熱層組成物溶液−1を以下の感熱層組成物溶液−10に変更したこと以外は実施例1と同様にして、平版印刷版原版を得た。
<感熱層組成物溶液−10>
(a)イミノ基型メチル化メラミン樹脂:“CYMEL”(登録商標)325(Allnex製、粘度:2500〜4500mPa・s):83.5質量部
(b)赤外線吸収染料(シアニン色素):NK5559(株式会社林原製、最大吸収波長:774nm):15.0質量部
(c)スルホン酸化合物:p−トルエンスルホン酸:1.5質量部
(e)テトラヒドロフラン:900質量部。
得られた平版印刷版原版を前記方法で露光し、現像速度60cm/分で水現像することで平版印刷版を得た。該平版印刷版の感熱層組成を前記方法で分析したところ、メラミン樹脂の(I)/(II)比率は0.085であり、メラミン樹脂/スルホン酸化合物の質量比は56であった。該平版印刷版の性能を前記方法で評価したところ、コントラスト差ΔDは0.38と視認性を有し、耐溶剤性は35分と良好であり、画像再現率は20×20μm網点が100%再現かつ10×20μm網点が40%再現と、良好な画像再現性であった。また、該平版印刷版を前記枚葉印刷機で7500mphの速度で印刷したところ、耐刷枚数は90000枚と良好であった。
[実施例11]
感熱層組成物溶液−1を以下の感熱層組成物溶液−11に変更したこと以外は実施例1と同様にして、平版印刷版原版を得た。
<感熱層組成物溶液−11>
(a)イミノ基型メチル化メラミン樹脂:“CYMEL”(登録商標)325(Allnex製、粘度:2500〜4500mPa・s):49.1質量部
(b)赤外線吸収染料(シアニン色素):NK5559(株式会社林原製、最大吸収波長:774nm):15.0質量部
(c)スルホン酸化合物:p−トルエンスルホン酸:0.9質量部
(d)ポリメタクリル酸メチル(和光純薬工業(株)製、重量平均分子量:6000、SP値:19.0MPa1/2):35質量部
(e)テトラヒドロフラン:900質量部。
得られた平版印刷版原版を前記方法で露光し、現像速度60cm/分で水現像することで平版印刷版を得た。該平版印刷版の感熱層組成を前記方法で分析したところ、メラミン樹脂の(I)/(II)比率は0.085であり、メラミン樹脂/スルホン酸化合物の質量比は55であった。該平版印刷版の性能を前記方法で評価したところ、コントラスト差ΔDは0.38と視認性を有し、耐溶剤性は50分と非常に良好であり、画像再現率は20×20μm網点が100%再現と良好な画像再現性であった。また、該平版印刷版を前記枚葉印刷機で7500mphの速度で印刷したところ、耐刷枚数は90000枚と良好であった。
[実施例12]
感熱層組成物溶液−1を以下の感熱層組成物溶液−12に変更したこと以外は実施例1と同様にして、平版印刷版原版を得た。
<感熱層組成物溶液−12>
(a)イミノ基型メチル化メラミン樹脂:“CYMEL”(登録商標)325(Allnex製、粘度:2500〜4500mPa・s):78.6質量部
(b)赤外線吸収染料(シアニン色素):NK5559(株式会社林原製、最大吸収波長:774nm):15.0質量部
(c)スルホン酸化合物:p−トルエンスルホン酸:1.4質量部
(d)ポリメタクリル酸メチル(和光純薬工業(株)製、重量平均分子量:6000、SP値:19.0MPa1/2):5質量部
(e)テトラヒドロフラン:900質量部。
得られた平版印刷版原版を前記方法で露光し、現像速度60cm/分で水現像することで平版印刷版を得た。該平版印刷版の感熱層組成を前記方法で分析したところ、メラミン樹脂の(I)/(II)比率は0.085であり、メラミン樹脂/スルホン酸化合物の質量比は56であった。該平版印刷版の性能を前記方法で評価したところ、コントラスト差ΔDは0.38と視認性を有し、耐溶剤性は40分と非常に良好であり、画像再現率は20×20μm網点が100%再現かつ10×20μm網点が20%再現と、良好な画像再現性であった。また、該平版印刷版を前記枚葉印刷機で7500mphの速度で印刷したところ、耐刷枚数は90000枚と良好であった。
[実施例13]
感熱層組成物溶液−1を以下の感熱層組成物溶液−13に変更したこと以外は実施例1と同様にして、平版印刷版原版を得た。
<感熱層組成物溶液−13>
(a)イミノ基型メチル化メラミン樹脂:“CYMEL”(登録商標)325(Allnex製、粘度:2500〜4500mPa・s):63.8質量部
(b)赤外線吸収染料(シアニン色素):NK5559(株式会社林原製、最大吸収波長:774nm):15.0質量部
(c)スルホン酸化合物:p−トルエンスルホン酸:1.2質量部
(d)ポリメタクリル酸メチル(和光純薬工業(株)製、重量平均分子量:6000、SP値:19.0MPa1/2):20質量部
(e)テトラヒドロフラン:900質量部。
得られた平版印刷版原版を前記方法で露光し、現像速度60cm/分で水現像することで平版印刷版を得た。該平版印刷版の感熱層組成を前記方法で分析したところ、メラミン樹脂の(I)/(II)比率は0.085であり、メラミン樹脂/スルホン酸化合物の質量比は53であった。該平版印刷版の性能を前記方法で評価したところ、コントラスト差ΔDは0.38と視認性を有し、耐溶剤性は45分と非常に良好であり、画像再現率は20×20μm網点が100%再現かつ10×20μm網点が15%再現と、良好な画像再現性であった。また、該平版印刷版を前記枚葉印刷機で7500mphの速度で印刷したところ、耐刷枚数は90000枚と良好であった。
[実施例14]
感熱層組成物溶液−1を以下の感熱層組成物溶液−14に変更したこと以外は実施例1と同様にして、平版印刷版原版を得た。
<感熱層組成物溶液−14>
(a)イミノ基型メチル化メラミン樹脂:“CYMEL”(登録商標)325(Allnex製、粘度:2500〜4500mPa・s):54.0質量部
(b)赤外線吸収染料(シアニン色素):NK5559(株式会社林原製、最大吸収波長:774nm):15.0質量部
(c)スルホン酸化合物:p−トルエンスルホン酸:1.0質量部
(d)ポリメタクリル酸メチル(和光純薬工業(株)製、重量平均分子量:6000、SP値:19.0MPa1/2):30質量部
(e)テトラヒドロフラン:900質量部。
得られた平版印刷版原版を前記方法で露光し、現像速度60cm/分で水現像することで平版印刷版を得た。該平版印刷版の感熱層組成を前記方法で分析したところ、メラミン樹脂の(I)/(II)比率は0.085であり、メラミン樹脂/スルホン酸化合物の質量比は54であった。該平版印刷版の性能を前記方法で評価したところ、コントラスト差ΔDは0.38と視認性を有し、耐溶剤性は50分と非常に良好であり、画像再現率は20×20μm網点が100%再現かつ10×20μm網点が10%再現と、良好な画像再現性であった。また、該平版印刷版を前記枚葉印刷機で7500mphの速度で印刷したところ、耐刷枚数は90000枚と良好であった。
[実施例15]
感熱層組成物溶液−1を以下の感熱層組成物溶液−15に変更したこと以外は実施例1と同様にして、平版印刷版原版を得た。
<感熱層組成物溶液−15>
(a)イミノ基型メチル化メラミン樹脂:“CYMEL”(登録商標)325(Allnex製、粘度:2500〜4500mPa・s):63.8質量部
(b)赤外線吸収染料(シアニン色素):NK5559(株式会社林原製、最大吸収波長:774nm):15.0質量部
(c)スルホン酸化合物:p−トルエンスルホン酸:1.2質量部
(d)フェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂:“スミライトレジン”(登録商標)PR50731(住友ベークライト(株)製、重量平均分子量:8090、SP値:23.5MPa1/2):20質量部
(e)テトラヒドロフラン:900質量部。
得られた平版印刷版原版を前記方法で露光し、現像速度60cm/分で水現像することで平版印刷版を得た。該平版印刷版の感熱層組成を前記方法で分析したところ、メラミン樹脂の(I)/(II)比率は0.085であり、メラミン樹脂/スルホン酸化合物の質量比は53であった。該平版印刷版の性能を前記方法で評価したところ、コントラスト差ΔDは0.38と視認性を有し、耐溶剤性は45分と非常に良好であり、画像再現率は20×20μm網点が100%再現かつ10×20μm網点が35%再現と、非常に良好な画像再現性であった。また、該平版印刷版を前記枚葉印刷機で7500mphの速度で印刷したところ、耐刷枚数は90000枚と良好であった。
[実施例16]
感熱層組成物溶液−1を以下の感熱層組成物溶液−16に変更したこと以外は実施例1と同様にして、平版印刷版原版を得た。
<感熱層組成物溶液−16>
(a)イミノ基型メチル化メラミン樹脂:“CYMEL”(登録商標)325(Allnex製、粘度:2500〜4500mPa・s):63.8質量部
(b)赤外線吸収染料(シアニン色素):NK5559(株式会社林原製、最大吸収波長:774nm):15.0質量部
(c)スルホン酸化合物:p−トルエンスルホン酸:1.2質量部
(d)ウレタン樹脂:“ニッポラン”(登録商標)5196(東ソー(株)製、濃度:30質量%、溶剤としてメチルエチルケトン:35質量%、シクロヘキサノン:35質量%を含む):66.7質量部(固形分として20質量部、固形分のSP値:21.0MPa1/2
(e)テトラヒドロフラン:853.3質量部。
得られた平版印刷版原版を前記方法で露光し、現像速度60cm/分で水現像することで平版印刷版を得た。該平版印刷版の感熱層組成を前記方法で分析したところ、メラミン樹脂の(I)/(II)比率は0.085であり、メラミン樹脂/スルホン酸化合物の質量比は53であった。該平版印刷版の性能を前記方法で評価したところ、コントラスト差ΔDは0.38と視認性を有し、耐溶剤性は45分と非常に良好であり、画像再現率は20×20μm網点が100%再現かつ10×20μm網点が35%再現と、非常に良好な画像再現性であった。また、該平版印刷版を前記枚葉印刷機で7500mphの速度で印刷したところ、耐刷枚数は90000枚と良好であった。
[実施例17]
感熱層組成物溶液−1を以下の感熱層組成物溶液−17に変更したこと以外は実施例1と同様にして、平版印刷版原版を得た。
<感熱層組成物溶液−17>
(a)イミノ基型メチル化メラミン樹脂:“CYMEL”(登録商標)325(Allnex製、粘度:2500〜4500mPa・s):63.8質量部
(b)赤外線吸収染料(シアニン色素):NK5559(株式会社林原製、最大吸収波長:774nm):15.0質量部
(c)スルホン酸化合物:p−トルエンスルホン酸:1.2質量部
(d)エポキシ樹脂:“jER”(登録商標)1010(三菱ケミカル(株)製、重量平均分子量:5500、SP値:22.5MPa1/2):20質量部
(e)テトラヒドロフラン:900質量部。
得られた平版印刷版原版を前記方法で露光し、現像速度60cm/分で水現像することで平版印刷版を得た。該平版印刷版の感熱層組成を前記方法で分析したところ、メラミン樹脂の(I)/(II)比率は0.085であり、メラミン樹脂/スルホン酸化合物の質量比は53であった。該平版印刷版の性能を前記方法で評価したところ、コントラスト差ΔDは0.38と視認性を有し、耐溶剤性は45分と非常に良好であり、画像再現率は20×20μm網点が100%再現かつ10×20μm網点が35%再現と、非常に良好な画像再現性であった。また、該平版印刷版を前記枚葉印刷機で7500mphの速度で印刷したところ、耐刷枚数は90000枚と良好であった。
[実施例18]
インキ反発層組成物溶液−1を以下のインキ反発層組成物溶液−2に変更したこと以外は実施例15と同様にして、平版印刷版原版を得た。
<インキ反発層組成物溶液−2>
(a)α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサン:DMS−V35(重量平均分子量49,500、GELEST Inc.製):86.95質量部
(b)メチルハイドロジェンシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体RD−1((IV)/((IV)+(V))=0.5、東レ・ダウコーニング(株)製):4.24質量部
(c)ビニルトリスアセトキシシラン:2.64質量部
(d)白金触媒SRX212(東レ・ダウコーニング(株)製):6.17質量部
(e)“アイソパー”(登録商標)E(エッソ化学(株)製):900質量部。
得られた平版印刷版原版を前記方法で露光し、現像速度60cm/分で水現像することで平版印刷版を得た。該平版印刷版の感熱層組成を前記方法で分析したところ、メラミン樹脂の(I)/(II)比率は0.085であり、メラミン樹脂/スルホン酸化合物の質量比は53であった。該平版印刷版の性能を前記方法で評価したところ、コントラスト差ΔDは0.38と視認性を有し、耐溶剤性は45分と非常に良好であり、画像再現率は20×20μm網点が100%再現かつ10×20μm網点が35%再現と、非常に良好な画像再現性であった。また、該平版印刷版を前記枚葉印刷機で7500mphの速度で印刷したところ、耐刷枚数は120000枚と非常に良好であった。
[実施例19]
インキ反発層組成物溶液−1を以下のインキ反発層組成物溶液−3に変更したこと以外は実施例15と同様にして、平版印刷版原版を得た。
<インキ反発層組成物溶液−3>
(a)α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサン:DMS−V35(重量平均分子量49,500、GELEST Inc.製):86.95質量部
(b)メチルハイドロジェンシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体RD−1((IV)/((IV)+(V))=0.5、東レ・ダウコーニング(株)製):4.24質量部
(c)フェニルトリス(メチルエチルケトオキシイミノ)シラン:2.64質量部
(d)白金触媒SRX212(東レ・ダウコーニング(株)製):6.17質量部
(e)“アイソパー”(登録商標)E(エッソ化学(株)製):900質量部。
得られた平版印刷版原版を前記方法で露光し、現像速度60cm/分で水現像することで平版印刷版を得た。該平版印刷版の感熱層組成を前記方法で分析したところ、メラミン樹脂の(I)/(II)比率は0.085であり、メラミン樹脂/スルホン酸化合物の質量比は53であった。該平版印刷版の性能を前記方法で評価したところ、コントラスト差ΔDは0.38と視認性を有し、耐溶剤性は45分と非常に良好であり、画像再現率は20×20μm網点が100%再現かつ10×20μm網点が35%再現と、非常に良好な画像再現性であった。また、該平版印刷版を前記枚葉印刷機で7500mphの速度で印刷したところ、耐刷枚数は120000枚と非常に良好であった。
[実施例20]
インキ反発層組成物溶液−1を以下のインキ反発層組成物溶液−4に変更したこと以外は実施例15と同様にして、平版印刷版原版を得た。
<インキ反発層組成物溶液−4>
(a)α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサン:DMS−V35(重量平均分子量49,500、GELEST Inc.製):86.95質量部
(b)メチルハイドロジェンシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体RD−1((IV)/((IV)+(V))=0.5、東レ・ダウコーニング(株)製):4.24質量部
(c)ビニルトリス(メチルエチルケトオキシイミノ)シラン:2.64質量部
(d)白金触媒SRX212(東レ・ダウコーニング(株)製):6.17質量部
(e)“アイソパー”(登録商標)E(エッソ化学(株)製):900質量部。
得られた平版印刷版原版を前記方法で露光し、現像速度60cm/分で水現像することで平版印刷版を得た。該平版印刷版の感熱層組成を前記方法で分析したところ、メラミン樹脂の(I)/(II)比率は0.085であり、メラミン樹脂/スルホン酸化合物の質量比は53であった。該平版印刷版の性能を前記方法で評価したところ、コントラスト差ΔDは0.38と視認性を有し、耐溶剤性は45分と非常に良好であり、画像再現率は20×20μm網点が100%再現かつ10×20μm網点が35%再現と、非常に良好な画像再現性であった。また、該平版印刷版を前記枚葉印刷機で7500mphの速度で印刷したところ、耐刷枚数は120000枚と非常に良好であった。
[実施例21]
感熱層組成物溶液−1を以下の感熱層組成物溶液−18に変更したこと以外は実施例1と同様にして、平版印刷版原版を得た。
<感熱層組成物溶液−18>
(a)イミノ基型メチル化メラミン樹脂:“CYMEL”(登録商標)325(Allnex製、粘度:2500〜4500mPa・s):77.7質量部
(b)赤外線吸収染料(シアニン色素):NK5559(株式会社林原製、最大吸収波長:774nm):21.0質量部
(c)スルホン酸化合物:p−トルエンスルホン酸:1.3質量部
(e)テトラヒドロフラン:900質量部。
得られた平版印刷版原版を前記方法で露光し、現像速度60cm/分で水現像することで平版印刷版を得た。該平版印刷版の感熱層組成を前記方法で分析したところ、メラミン樹脂の(I)/(II)比率は0.086であり、メラミン樹脂/スルホン酸化合物の質量比は60であった。該平版印刷版の性能を前記方法で評価したところ、コントラスト差ΔDは0.53と良好な視認性を有し、耐溶剤性は30分と良好であり、画像再現率は20×20μm網点が100%再現かつ10×20μm網点が60%再現と、非常に良好な画像再現性であった。また、該平版印刷版を前記枚葉印刷機で7500mphの速度で印刷したところ、耐刷枚数は90000枚と良好であった。
[実施例22]
感熱層組成物溶液−1を以下の感熱層組成物溶液−19に変更したこと以外は実施例1と同様にして、平版印刷版原版を得た。
<感熱層組成物溶液−19>
(a)イミノ基型メチル化メラミン樹脂:“CYMEL”(登録商標)325(Allnex製、粘度:2500〜4500mPa・s):71.8質量部
(b)赤外線吸収染料(シアニン色素):NK5559(株式会社林原製、最大吸収波長:774nm):27.0質量部
(c)スルホン酸化合物:p−トルエンスルホン酸:1.2質量部
(e)テトラヒドロフラン:900質量部。
得られた平版印刷版原版を前記方法で露光し、現像速度60cm/分で水現像することで平版印刷版を得た。該平版印刷版の感熱層組成を前記方法で分析したところ、メラミン樹脂の(I)/(II)比率は0.086であり、メラミン樹脂/スルホン酸化合物の質量比は60であった。該平版印刷版の性能を前記方法で評価したところ、コントラスト差ΔDは0.69と良好な視認性を有し、耐溶剤性は25分と良好であり、画像再現率は20×20μm網点が100%再現かつ10×20μm網点が80%再現と、非常に良好な画像再現性であった。また、該平版印刷版を前記枚葉印刷機で7500mphの速度で印刷したところ、耐刷枚数は90000枚と良好であった。
[実施例23]
感熱層組成物溶液−1を以下の感熱層組成物溶液−20に変更したこと以外は実施例1と同様にして、平版印刷版原版を得た。
<感熱層組成物溶液−20>
(a)イミノ基型メチル化メラミン樹脂:“CYMEL”(登録商標)325(Allnex製、粘度:2500〜4500mPa・s):83.6質量部
(b)赤外線吸収染料(シアニン色素):NK5559(株式会社林原製、最大吸収波長:774nm):15.0質量部
(c)スルホン酸化合物:p−トルエンスルホン酸:1.4質量部
(e)テトラヒドロフラン:900質量部。
得られた平版印刷版原版を前記方法で露光し、現像速度60cm/分で薬液現像することで平版印刷版を得た。該平版印刷版の感熱層組成を前記方法で分析したところ、メラミン樹脂の(I)/(II)比率は0.086であり、メラミン樹脂/スルホン酸化合物の質量比は60であった。該平版印刷版の性能を前記方法で評価したところ、コントラスト差ΔDは0.75と非常に良好な視認性を有し、耐溶剤性は35分と良好であり、画像再現率は20×20μm網点が100%再現かつ10×20μm網点が90%再現と、非常に良好な画像再現性であった。また、該平版印刷版を前記枚葉印刷機で7500mphの速度で印刷したところ、耐刷枚数は90000枚と良好であった。
[実施例24]
実施例15で得られた平版印刷版原版を前記方法で露光し、現像速度60cm/分で薬液現像することで平版印刷版を得た。該平版印刷版の感熱層組成を前記方法で分析したところ、メラミン樹脂の(I)/(II)比率は0.085であり、メラミン樹脂/スルホン酸化合物の質量比は53であった。該平版印刷版の性能を前記方法で評価したところ、コントラスト差ΔDは0.75と非常に良好な視認性を有し、耐溶剤性は45分と非常に良好であり、画像再現率は20×20μm網点が100%再現かつ10×20μm網点が85%再現と、非常に良好な画像再現性であった。また、該平版印刷版を前記枚葉印刷機で7500mphの速度で印刷したところ、耐刷枚数は90000枚と良好であった。
[実施例25]
実施例20で得られた平版印刷版原版を前記方法で露光し、現像速度60cm/分で薬液現像することで平版印刷版を得た。該平版印刷版の感熱層組成を前記方法で分析したところ、メラミン樹脂の(I)/(II)比率は0.085であり、メラミン樹脂/スルホン酸化合物の質量比は53であった。該平版印刷版の性能を前記方法で評価したところ、コントラスト差ΔDは0.75と非常に良好な視認性を有し、耐溶剤性は45分と非常に良好であり、画像再現率は20×20μm網点が100%再現かつ10×20μm網点が85%再現と、非常に良好な画像再現性であった。また、該平版印刷版を前記枚葉印刷機で7500mphの速度で印刷したところ、耐刷枚数は120000枚と非常に良好であった。
[実施例26]
実施例23で得られた平版印刷版原版を前記方法で露光し、現像速度120cm/分で水現像することで平版印刷版を得た。該平版印刷版の感熱層組成を前記方法で分析したところ、メラミン樹脂の(I)/(II)比率は0.086であり、メラミン樹脂/スルホン酸化合物の質量比は60であった。該平版印刷版の性能を前記方法で評価したところ、コントラスト差ΔDは0.38と視認性を有し、耐溶剤性は35分と良好であり、画像再現率は20×20μm網点が90%再現であった。また、該平版印刷版を前記輪転印刷機で35000mphの速度で印刷したところ、問題なく印刷でき、耐刷枚数は90000枚と良好であった。
[実施例27]
実施例23で得られた平版印刷版原版を前記方法で露光し、現像速度120cm/分で薬液現像することで平版印刷版を得た。該平版印刷版の感熱層組成を前記方法で分析したところ、メラミン樹脂の(I)/(II)比率は0.086であり、メラミン樹脂/スルホン酸化合物の質量比は60であった。該平版印刷版の性能を前記方法で評価したところ、コントラスト差ΔDは0.75と非常に良好な視認性を有し、耐溶剤性は35分と良好であり、画像再現率は20×20μm網点が100%再現かつ10×20μm網点が40%再現と、非常に良好な画像再現性であった。また、該平版印刷版を前記輪転印刷機で35000mphの速度で印刷したところ、問題なく印刷でき、耐刷枚数は90000枚と良好であった。
[実施例28]
感熱層組成物溶液−1を以下の感熱層組成物溶液−21に変更したこと以外は実施例1と同様にして、平版印刷版原版を得た。
<感熱層組成物溶液−21>
(a)イミノ基型メチル化メラミン樹脂:“CYMEL”(登録商標)325(Allnex製、粘度:2500〜4500mPa・s):77.7質量部
(b)赤外線吸収染料(シアニン色素):NK3175(株式会社林原製、最大吸収波長:644nm):21.0質量部
(c)スルホン酸化合物:p−トルエンスルホン酸:1.3質量部
(e)テトラヒドロフラン:900質量部。
得られた平版印刷版原版を前記方法で露光し、現像速度120cm/分で水現像することで平版印刷版を得た。該平版印刷版の感熱層組成を前記方法で分析したところ、メラミン樹脂の(I)/(II)比率は0.086であり、メラミン樹脂/スルホン酸化合物の質量比は60であった。該平版印刷版の性能を前記方法で評価したところ、コントラスト差ΔDは0.65と良好な視認性を有し、耐溶剤性は30分と良好であり、画像再現率は20×20μm網点が100%再現かつ10×20μm網点が10%再現と、良好な画像再現性であった。また、該平版印刷版を前記輪転印刷機で35000mphの速度で印刷したところ、問題なく印刷でき、耐刷枚数は90000枚と良好であった。
[実施例29]
感熱層組成物溶液−1を以下の感熱層組成物溶液−22に変更したこと以外は実施例1と同様にして、平版印刷版原版を得た。
<感熱層組成物溶液−22>
(a)イミノ基型メチル化メラミン樹脂:“CYMEL”(登録商標)325(Allnex製、粘度:2500〜4500mPa・s):71.8質量部
(b)赤外線吸収染料(シアニン色素):NK3175(株式会社林原製、最大吸収波長:644nm):27.0質量部
(c)スルホン酸化合物:p−トルエンスルホン酸:1.2質量部
(e)テトラヒドロフラン:900質量部。
得られた平版印刷版原版を前記方法で露光し、現像速度120cm/分で水現像することで平版印刷版を得た。該平版印刷版の感熱層組成を前記方法で分析したところ、メラミン樹脂の(I)/(II)比率は0.086であり、メラミン樹脂/スルホン酸化合物の質量比は60であった。該平版印刷版の性能を前記方法で評価したところ、コントラスト差ΔDは0.80と良好な視認性を有し、耐溶剤性は25分と良好であり、画像再現率は20×20μm網点が100%再現かつ10×20μm網点が30%再現と、非常に良好な画像再現性であった。また、該平版印刷版を前記輪転印刷機で35000mphの速度で印刷したところ、問題なく印刷でき、耐刷枚数は90000枚と良好であった。
[実施例30]
実施例15で得られた平版印刷版原版を前記方法で露光し、現像速度120cm/分で薬液現像することで平版印刷版を得た。該平版印刷版の感熱層組成を前記方法で分析したところ、メラミン樹脂の(I)/(II)比率は0.085であり、メラミン樹脂/スルホン酸化合物の質量比は53であった。該平版印刷版の性能を前記方法で評価したところ、コントラスト差ΔDは0.75と非常に良好な視認性を有し、耐溶剤性は45分と非常に良好であり、画像再現率は20×20μm網点が100%再現かつ10×20μm網点が40%再現と、非常に良好な画像再現性であった。また、該平版印刷版を前記輪転印刷機で35000mphの速度で印刷したところ、問題なく印刷でき、耐刷枚数は90000枚と良好であった。
[実施例31]
実施例20で得られた平版印刷版原版を前記方法で露光し、現像速度120cm/分で薬液現像することで平版印刷版を得た。該平版印刷版の感熱層組成を前記方法で分析したところ、メラミン樹脂の(I)/(II)比率は0.085であり、メラミン樹脂/スルホン酸化合物の質量比は53であった。該平版印刷版の性能を前記方法で評価したところ、コントラスト差ΔDは0.75と非常に良好な視認性を有し、耐溶剤性は45分と非常に良好であり、画像再現率は20×20μm網点が100%再現かつ10×20μm網点が40%再現と、非常に良好な画像再現性であった。また、該平版印刷版を前記輪転印刷機で35000mphの速度で印刷したところ、問題なく印刷でき、耐刷枚数は120000枚と非常に良好であった。
[実施例32]
実施例20で得られた平版印刷版原版を前記方法で露光し、現像速度120cm/分で薬液現像することで平版印刷版を得た。該平版印刷版の感熱層組成を前記方法で分析したところ、メラミン樹脂の(I)/(II)比率は0.085であり、メラミン樹脂/スルホン酸化合物の質量比は53であった。該平版印刷版の性能を前記方法で評価したところ、コントラスト差ΔDは0.75と非常に良好な視認性を有し、耐溶剤性は45分と非常に良好であり、画像再現率は20×20μm網点が100%再現かつ10×20μm網点が40%再現と、非常に良好な画像再現性であった。また、該平版印刷版を前記輪転印刷機で20000mphの速度で印刷したところ、問題なく印刷でき、耐刷枚数は120000枚と非常に良好であった。
[実施例33]
実施例20で得られた平版印刷版原版を前記方法で露光し、現像速度120cm/分で薬液現像することで平版印刷版を得た。該平版印刷版の感熱層組成を前記方法で分析したところ、メラミン樹脂の(I)/(II)比率は0.085であり、メラミン樹脂/スルホン酸化合物の質量比は53であった。該平版印刷版の性能を前記方法で評価したところ、コントラスト差ΔDは0.75と非常に良好な視認性を有し、耐溶剤性は45分と非常に良好であり、画像再現率は20×20μm網点が100%再現かつ10×20μm網点が40%再現と、非常に良好な画像再現性であった。また、該平版印刷版を前記輪転印刷機で60000mphの速度で印刷したところ、問題なく印刷でき、耐刷枚数は120000枚と非常に良好であった。
[実施例34]
実施例1で得られた平版印刷版原版を前記方法で露光し、現像速度120cm/分で薬液現像することで平版印刷版を得た。該平版印刷版の感熱層組成を前記方法で分析したところ、メラミン樹脂の(I)/(II)比率は0.130であり、メラミン樹脂/リン酸の質量比は169であった。該平版印刷版の性能を前記方法で評価したところ、コントラスト差ΔDは0.75と非常に良好な視認性を有し、耐溶剤性は10分であった。画像再現率は20×20μm網点が100%再現かつ10×20μm網点が100%再現と、非常に良好な画像再現性であった。また、該平版印刷版を前記輪転印刷機で60000mphの速度で印刷したところ、問題なく印刷でき、耐刷枚数は50000枚であった。
[実施例35]
実施例3で得られた平版印刷版原版を前記方法で露光し、現像速度120cm/分で薬液現像することで平版印刷版を得た。該平版印刷版の感熱層組成を前記方法で分析したところ、メラミン樹脂の(I)/(II)比率は0.105であり、メラミン樹脂/リン酸の質量比は120であった。該平版印刷版の性能を前記方法で評価したところ、コントラスト差ΔDは0.75と非常に良好な視認性を有し、耐溶剤性は20分と良好であった。画像再現率は20×20μm網点が100%再現かつ10×20μm網点が100%再現と、非常に良好な画像再現性であった。また、該平版印刷版を前記輪転印刷機で60000mphの速度で印刷したところ、問題なく印刷でき、耐刷枚数は60000枚であった。
[実施例36]
感熱層組成物溶液−1を以下の感熱層組成物溶液−26に変更したこと以外は実施例1と同様にして、平版印刷版原版を得た。
<感熱層組成物溶液−26>
(a)メチロール基型メチル化メラミン樹脂:“CYMEL”(登録商標)370(Allnex製、粘度:5100〜10200mPa・s):86.5質量部
(b)赤外線吸収染料(シアニン色素):NK5559(株式会社林原製、最大吸収波長:774nm):13.0質量部
(c)リン酸:0.5質量部
(e)テトラヒドロフラン:900質量部。
得られた平版印刷版原版を前記方法で露光し、現像速度60cm/分で水現像することで平版印刷版を得た。該平版印刷版の感熱層組成を前記方法で分析したところ、メラミン樹脂の(I)/(II)比率は0.130であり、メラミン樹脂/リン酸の質量比は173であった。該平版印刷版の性能を前記方法で評価したところ、コントラスト差ΔDは0.35と視認性を有し、耐溶剤性は10分であり、画像再現率は20×20μm網点が100%再現と良好な画像再現性であった。また、該平版印刷版を前記枚葉印刷機で7500mphの速度で印刷したところ、耐刷枚数は50000枚であった。
[比較例1]
感熱層組成物溶液−1を以下の感熱層組成物溶液−23に変更したこと以外は実施例1と同様にして、平版印刷版原版を得た。
<感熱層組成物溶液−23>
(a)イミノ基型メチル化メラミン樹脂:“CYMEL”(登録商標)385(Allnex製、粘度:1000〜1600mPa・s):84.6質量部
(b)赤外線吸収染料(シアニン色素):NK8876(株式会社林原製、最大吸収波長:820nm):15.0質量部
(c)リン酸:0.4質量部
(e)テトラヒドロフラン:900質量部。
得られた平版印刷版原版を前記方法で露光し、現像速度60cm/分で水現像することで平版印刷版を得た。該平版印刷版の感熱層組成を前記方法で分析したところ、メラミン樹脂の(I)/(II)比率は0.135であり、メラミン樹脂/リン酸の質量比は212であった。該平版印刷版の性能を前記方法で評価したところ、画像再現率は20×20μm網点が100%再現かつ10×20μm網点が60%再現と、非常に良好な画像再現性であった。しかし、コントラスト差ΔDは0.33と視認性が低く、画像の判別が困難であった。耐溶剤性についても、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールと接すると直ちに感熱層の溶解が認められ、実用不可能であった。また、該平版印刷版を前記枚葉印刷機で7500mphの速度で印刷したところ、耐刷枚数は40000枚と不足していた。
[比較例2]
感熱層組成物溶液−1を以下の感熱層組成物溶液−24に変更したこと以外は実施例1と同様にして、平版印刷版原版を得た。
<感熱層組成物溶液−24>
(a)イミノ基型メチル化メラミン樹脂:“CYMEL”(登録商標)327(Allnex製、粘度:5100〜16000mPa・s):84.6質量部
(b)赤外線吸収染料(シアニン色素):NK8876(株式会社林原製、最大吸収波長:820nm):15.0質量部
(c)リン酸:0.4質量部
(e)テトラヒドロフラン:900質量部
得られた平版印刷版原版を前記方法で露光し、現像速度60cm/分で水現像することで平版印刷版を得た。該平版印刷版の感熱層組成を前記方法で分析したところ、メラミン樹脂の(I)/(II)比率は0.045であり、メラミン樹脂/リン酸の質量比は212であった。該平版印刷版の性能を前記方法で評価したところ、耐溶剤性は40分と非常に良好であり、また、該平版印刷版を前記枚葉印刷機で7500mphの速度で印刷したところ、耐刷枚数は110000枚と非常に良好であった。しかし、コントラスト差ΔDは0.33と視認性が低く、画像の判別が困難であり、また画像再現率は20×20μm網点が60%再現と著しく低く、実用不可能であった。
[比較例3]
比較例1で得られた平版印刷版原版を前記方法で露光し、現像速度60cm/分で薬液現像することで平版印刷版を得た。該平版印刷版の感熱層組成を前記方法で分析したところ、メラミン樹脂の(I)/(II)比率は0.135であり、メラミン樹脂/リン酸の質量比は212であった。該平版印刷版の性能を前記方法で評価したところ、コントラスト差ΔDは0.75と非常に良好な視認性を有し、画像再現率は20×20μm網点が100%再現かつ10×20μm網点が100%再現と、非常に良好な画像再現性であった。しかし、耐溶剤性については、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールと接すると直ちに感熱層の溶解が認められ、実用不可能であった。また、該平版印刷版を前記枚葉印刷機で7500mphの速度で印刷したところ、耐刷枚数は40000枚と不足していた。
[比較例4]
比較例1で得られた平版印刷版原版を前記方法で露光し、現像速度120cm/分で薬液現像することで平版印刷版を得た。該平版印刷版の感熱層組成を前記方法で分析したところ、メラミン樹脂の(I)/(II)比率は0.135であり、メラミン樹脂/リン酸の質量比は212であった。該平版印刷版の性能を前記方法で評価したところ、コントラスト差ΔDは0.75と非常に良好な視認性を有し、画像再現率は20×20μm網点が100%再現かつ10×20μm網点が60%再現と、非常に良好な画像再現性であった。しかし、耐溶剤性については、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールと接すると直ちに感熱層の溶解が認められ、実用不可能であった。また、該平版印刷版を前記輪転印刷機で35000mphの速度で印刷したところ、耐刷枚数は40000枚と不足していた。
[比較例5]
感熱層組成物溶液−1を以下の感熱層組成物溶液−25に変更したこと以外は実施例1と同様にして、平版印刷版原版を得た。
<感熱層組成物溶液−25>
(a)イミノ基型メチル化メラミン樹脂:“CYMEL”(登録商標)385(Allnex製、粘度:1000〜1600mPa・s):84.6質量部
(b)赤外線吸収染料(シアニン色素):NK8876(株式会社林原製、最大吸収波長:820nm):15.0質量部
(c)スルホン酸化合物:p−トルエンスルホン酸:0.4質量部
(e)テトラヒドロフラン:900質量部。
得られた平版印刷版原版を前記方法で露光し、現像速度120cm/分で薬液現像することで平版印刷版を得た。該平版印刷版の感熱層組成を前記方法で分析したところ、メラミン樹脂の(I)/(II)比率は0.133であり、メラミン樹脂/スルホン酸化合物の質量比は212であった。該平版印刷版の性能を前記方法で評価したところ、コントラスト差ΔDは0.75と非常に良好な視認性を有し、画像再現率は20×20μm網点が100%再現かつ10×20μm網点が60%再現と、非常に良好な画像再現性であった。しかし、耐溶剤性については、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールと接すると5分後に感熱層の溶解が認められ、実用不可能であった。また、該平版印刷版を前記輪転印刷機で35000mphの速度で印刷したところ、耐刷枚数は40000枚と不足していた。
結果を表1ないし表3に示す。
Figure 2019152827
Figure 2019152827
Figure 2019152827

Claims (12)

  1. 少なくとも感熱層とインキ反発層とを含む平版印刷版であって、前記感熱層中に少なくとも(A)メラミン樹脂および(B)光熱変換物質を含有し、前記感熱層の赤外吸収スペクトルにおいて、前記(A)メラミン樹脂由来の、N−H伸縮振動およびO−H伸縮振動の合計ピーク強度(I)と、C=N伸縮振動のピーク強度(II)との比率である(I)/(II)が0.050以上0.130以下である平版印刷版原版。
  2. 前記感熱層中に、さらに(C)酸触媒を含み、前記(A)/(C)の質量比が10以上170以下である請求項1に記載の平版印刷版原版。
  3. 前記(C)酸触媒が、スルホン酸化合物であることを特徴とする請求項2に記載の平版印刷版原版。
  4. 前記感熱層中に、さらに(D)溶解度パラメーター15.0以上25.0(MPa)1/2以下の高分子化合物を、5質量%以上30質量%以下含有する請求項1〜3に記載の平版印刷版原版。
  5. 前記(D)溶解度パラメーター15.0以上25.0(MPa)1/2以下の高分子化合物が、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂のいずれかである請求項4に記載の平版印刷版原版。
  6. 前記インキ反発層中に以下の一般式(VI)で表される化合物が含まれる請求項1〜5のいずれかに記載の平版印刷版原版。
    R−Si−(X) (VI)
    (一般式(VI)中、Rはアルキル基、アリール基またはビニル基、Xはアセトキシ基またはジアルキルオキシイミノ基を表す。)
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の平版印刷版原版に対して、(1)像に従って露光する工程、もしくは、(1)の工程後に(2)露光された原版を現像する工程により、インキ反発層を除去する平版印刷版の製造方法。
  8. 前記(2)露光された原版を現像する工程において、グリコール化合物またはグリコールエーテル化合物を含む現像液を用いる請求項7に記載の平版印刷版の製造方法。
  9. 前記平版印刷版の画像部と非画像部において、シアンの反射濃度を測定したときのコントラスト差ΔDが、0.35以上である請求項7または8に記載の平版印刷版の製造方法。
  10. 請求項7〜9のいずれかに記載の平版印刷版の製造方法で得られた平版印刷版の表面にインキを付着させる工程と、前記インキを直接またはブランケットを介して被印刷体に転写する工程とを含む印刷物の製造方法。
  11. 請求項10に記載の印刷物の製造方法において、印刷速度が20000mph以上60000mph以下である印刷物の製造方法。
  12. 前記印刷物が輪転印刷機によって製造される請求項10または11に記載の印刷物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114106409A (zh) * 2021-11-29 2022-03-01 江苏科技大学 一种用于海水淡化的光热转换材料及其制备方法

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