JP2022115803A - 転写装置および転写基板 - Google Patents

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Abstract

Figure 2022115803000001
【課題】確実に素子を転写基板から剥離させ、被転写基板へ転写する転写装置及び転写基板を提供する。
【解決手段】転写基板22のアブレーション層24aへ活性エネルギー線の光線束B1を照射してアブレーションを生じさせることにより、アブレーション層24aが保持する素子21を転写基板22から被転写基板23へ転写させる転写装置であって、転写基板22を把持する転写基板把持部と、転写基板22のアブレーション層24aと被転写基板23が対向するように被転写基板23を把持する被転写基板把持部と、転写基板把持部に保持された転写基板22のアブレーション層24へ活性エネルギー線B1を照射する活性エネルギー線照射部と、を備える。活性エネルギー線照射部は、アブレーション層24aにおいて1つの素子21を保持する保持領域の複数箇所に活性エネルギー線の光線束B1を照射する。
【選択図】図4

Description

本発明は、光エネルギーを転写基板に照射し、レーザリフトオフにより素子を被転写基板へ転写する、転写装置に関する。
近年、半導体チップはコスト低減のために小型化され、この小型化した半導体チップを高精度に実装するための取組みが行われている。この小型化したチップを高速で実装するにあたり、転写基板に接合されたチップの転写基板との接合面へレーザを照射することによってアブレーションを生じさせ、チップを転写基板から剥離、付勢させて被転写基板へと転写する、いわゆるレーザリフトオフなる手法が採用されている。
特許文献1には、アブレーション技術を用いて素子を転写する素子の転写装置が開示されている。この素子の転写装置では、レーザビームを発生させるレーザ照射部と、そのレーザ照射部からのレーザビームを所要の方向に反射させる反射手段と、その反射手段と連動してレーザビームの照射及び非照射を制御する制御手段とを有するレーザ照射装置を用いて、転写元基板上に複数配列された素子の一部に対してレーザビームを選択的に照射し、アブレーション(溶発)を発生させる。この選択的なアブレーションによって素子の一部が転写先基板上に転写される。すなわち、レーザリフトオフにより素子が転写元基板から転写先基板へ転写される。
また、特許文献2には、転写基板に設けられ、表面側に接着材層を有するブリスタリング層にレーザビームを照射することによりブリスタリング層にブリスター(膨らみ)を生じさせ、このブリスターの発生によって接着剤層に接着されていた物品(素子)を押し出すことにより物品を転写基板から切り離す技術が開示されている。
特開2006-041500号公報 特表2014-515883号公報
しかしながら、特許文献1および特許文献2で示される素子の転写装置では、レーザ照射後も転写基板(転写元基板)が素子を保持する力の方が素子を切り離す力に勝り、転写基板から素子が剥離しない可能性があるおそれがあった。特に、転写基板の素子を保持する部位がアブレーションによりブリスターを生じる場合、図18に示すように、転写基板92において1つの素子91を保持する保持領域Rにレーザを照射することによって1つのブリスター93が生じたとしても、ブリスター93と素子91との間の接触面積が大きいままであって、この接触面において素子91を保持する力(たとえば粘着力)の方が素子91を切り離す力(たとえばブリスター発生に伴う運動エネルギー、重力)に勝り、その結果素子91が転写基板92から剥離しないという問題があった。
本願発明は、上記問題点を鑑み、確実に素子を転写基板から剥離させ、被転写基板へ転写することができる転写装置および転写基板を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明の転写装置は、転写基板が有するアブレーション層へ活性エネルギー線を照射してアブレーションを生じさせることにより、当該アブレーション層が保持する素子を前記転写基板から被転写基板へ転写させる転写装置であり、前記転写基板を把持する転写基板把持部と、前記転写基板の前記アブレーション層と前記被転写基板が対向するように前記被転写基板を把持する被転写基板把持部と、前記転写基板把持部に保持された前記転写基板の前記アブレーション層へ活性エネルギー線を照射する活性エネルギー線照射部と、を備え、前記活性エネルギー線照射部は、前記アブレーション層において1つの素子を保持する保持領域の複数箇所に活性エネルギー線を照射することを特徴としている。
この転写装置により、活性エネルギー線の照射後のアブレーション層と素子の接触面積を確実に小さくすることができ、確実に素子を転写基板から剥離させることができる。
また、活性エネルギー線の照射範囲は、前記保持領域よりも小さいことが好ましい。
また、前記アブレーション層は、アブレーションにより消失しても良い。
また、前記アブレーション層は、アブレーションによりブリスターを生じても良い。
また、前記活性エネルギー線照射部は、各々の活性エネルギー線の照射毎に前記ブリスターが形成されるよう、活性エネルギー線を照射する箇所が制御されると良い。
こうすることにより、ブリスター同士が合わさって素子との接触面積の減少が抑制されることを防ぐことができる。
また、前記アブレーション層は、各々独立した複数の保持部位により構成されており、1つの素子を保持する複数の前記保持部位に個別に前記活性エネルギー線が照射されると良い。
こうすることにより、保持部位を介した素子と転写基板との接触面積を削減することができるため、1つの素子を転写させるための活性エネルギー線の出力を抑制し、ランニングコストを抑えることができる。
また、前記アブレーション層の前記保持領域には、素子に対する保持力を有し、活性エネルギー線の照射によりブリスターが生じる保持部位と、素子に対する保持力を有さず、活性エネルギー線によるブリスターを生じない非保持部位と、が混在しても良い。
こうすることにより、ブリスター同士が合わさって素子との接触面積の減少が抑制されることを防ぐことができる。
また、前記活性エネルギー線照射部は、1つの素子を保持する複数の前記保持部位に対し、所定の順序で活性エネルギー線を照射すると良い。
こうすることにより、所定の方向に安定して素子を飛行させることができる。
また、前記活性エネルギー線照射部は、1つの素子を保持する複数の前記保持部位に対し、外寄りに位置する前記保持部位から内寄りに位置する前記保持部位へ順に活性エネルギー線を照射すると良い。
こうすることにより、素子が保持されている部分が端に偏ることを防ぐことができ、所定の方向に安定して素子を飛行させることができる。
また、前記活性エネルギー線照射部は、1つの素子を保持する複数の前記保持部位に対し、活性エネルギー線の照射の軌跡が渦巻き状となるよう活性エネルギー線を照射すると良い。
こうすることにより、所定の方向に安定して素子を飛行させることができる。
また、前記活性エネルギー線照射部から出射された活性エネルギー線は複数本の活性エネルギー線からなるエネルギー線束に変換され、前記エネルギー線束は、1つの素子を保持する全ての前記保持部位に対し、同時に活性エネルギー線を照射すると良い。
こうすることにより、1つの素子の転写に要する時間を比較的短くすることができる。
また、前記活性エネルギー線照射部は、1つの素子を保持する全ての前記保持部位に対し、均等なパワーの活性エネルギー線を照射すると良い。
こうすることにより、制御が容易であり、かつ所定の方向に安定して素子を飛行させることができる。
また、上記課題を解決するために本発明の転写装置は、転写基板に光エネルギーを照射することにより、レーザリフトオフを利用して当該転写基板が保持する転写対象を被転写基板へ転写する転写装置であり、前記光エネルギーを形成するレーザ光を射出するレーザ光源と、前記転写基板に対する前記光エネルギーの照射位置を調節する光エネルギーシフト手段と、を備え、前記転写対象は、前記転写基板の前記転写対象と対向する面に設けられた複数の粘着ポイントを介して前記転写基板に保持されており、前記レーザ光源は、1つの前記転写対象を保持する複数の前記粘着ポイントに個別に前記光エネルギーを照射することにより、前記転写対象を挟んで前記転写基板に対向するよう配置された前記被転写基板へ前記転写対象を転写することを特徴としている。
この転写装置により、粘着ポイントを介した転写対象と転写基板との接触面積を削減することができるため、1つの転写対象を転写させるためのレーザ光の出力を抑制し、ランニングコストを抑えることができる。
また、上記課題を解決するために本発明の転写基板は、活性エネルギー線の照射によりアブレーションが生じるアブレーション層で素子を保持する転写基板であり、前記アブレーション層における1つの素子を保持する保持領域には、素子に対する保持力を有し、活性エネルギー線の照射によりブリスターが生じる保持部位と、素子に対する保持力を有さず、活性エネルギー線によるブリスターを生じない非保持部位と、が混在することを特徴としている。
この転写基板により、保持領域内でブリスター同士が合わさって素子との接触面積の減少が抑制されることを防ぐことができる。
本発明の転写装置および転写基板により、確実に素子を転写基板から剥離させ、被転写基板へ転写することができる。
本発明の第1実施形態における転写装置を説明する図である。 第1実施形態の転写装置におけるレーザ光の実像面での光線の形態を説明する図である。 本発明の転写装置におけるチップの保持形態を説明する図である。 第1実施形態の転写装置によるチップの転写形態を説明する図である。 本発明の第2実施形態における転写装置を説明する図である。 第2実施形態の転写装置におけるチップの転写形態を説明する図である。 第2実施形態の転写装置におけるチップの転写形態を説明する図である。 本発明の第3実施形態における転写装置を説明する図である。 第3実施形態の転写装置により素子を転写基板から剥離させる過程を説明する図である。 第3実施形態の転写装置により素子を転写基板から剥離させる過程を説明する図である。 本発明の他の実施形態の転写装置により素子を転写基板から剥離させる過程を説明する図である。 本発明の他の実施形態の転写装置により素子を転写基板から剥離させる過程を説明する図である。 本発明の他の実施形態の転写基板を説明する図である。 本発明の他の実施形態によるチップの転写形態を説明する図である。 本発明の他の実施形態によるチップの転写形態を説明する図である。 本発明の他の実施形態によるチップの転写形態を説明する図である。 本発明の他の実施形態の転写装置により素子を転写基板から剥離させる過程を説明する図である。 従来の転写装置により素子を転写基板から剥離させる過程を説明する図である。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態における転写装置1について、図1を参照して説明する。図1(a)は転写装置1の側面図であり、図1(b)は、転写装置1の上面図である。
本実施形態の転写装置1は、光スポットよりなる光エネルギーを転写基板表面の被照射面の面内方向の任意の位置に照射することにより、レーザリフトオフを利用して転写基板が保持するチップ21(素子)を被転写基板へ転写するものである。光エネルギーは、本説明における活性エネルギーの一種である。
転写装置1は、レーザ照射部11、ビームエキスパンダー12、位相回折素子13、ズームレンズ14、コリメートレンズ15、ガルバノミラー16、およびFθレンズ17を有しており、レーザ照射部11から出射されたレーザ光Bはビームエキスパンダー12、位相回折素子13、ズームレンズ14、コリメートレンズ15、ガルバノミラー16、Fθレンズ17の順に経由して被照射面Sへと到達する。この間に、位相回折素子13によって1本のレーザ光Bは複数の光線である光線束B1(エネルギー線束)へと分岐される。なお、本説明では、レーザ照射により生じるアブレーション(レーザアブレーション)によってチップを保持する基板からチップを分離させることをレーザリフトオフと呼ぶ。
ここで、本実施形態では、被照射面Sは、転写基板22のチップ21を保持している側の面(下面)であり、光線束B1は転写基板22を透過して被照射面Sへ到達する。また、本説明では、被照射面S上で光線が照射された部位の集合を図1(b)に示すように光線像2と呼ぶ。被照射面Sに光線像2が形成されることにより、光線像2を構成する各光線の照射面積に応じて被照射面に光エネルギーが照射される。
なお、本説明では、鉛直方向をZ軸方向、水平方向においてレーザ照射部11からレーザ光Bが出射される方向をX軸方向、水平方向においてX軸方向と直交する方向をY軸方向と呼ぶ。
レーザ照射部11は、本説明でいう活性エネルギー照射部であって、活性エネルギー線である1本のレーザ光Bを出射する装置であり、本実施形態ではYAGレーザ、可視光レーザなどのレーザ光をパルス状に出射する。なお、活性エネルギー線として、本実施形態のような可視光に限らず、紫外線、電子線なども適用可能である。
ビームエキスパンダー12は、レーザ照射部11から出射されたレーザ光Bの径を拡張するためのレンズの組合せであり、位相回折素子13による分岐に適した径のレーザ光Bを位相回折素子13に入射させるために、ビームエキスパンダー12がレーザ光Bの径を調節する。
位相回折素子(Diffractive Optical Element:DOE)13は、格子周期の異なる複数の回折格子が組合わされることにより構成され、光の回折現象を利用してレーザ光Bの形状を任意の形状に変換するものである。本実施形態で用いられる位相回折素子13は、1本のレーザ光Bを所定平面上(X軸方向からレーザ光Bが入射した場合、YZ平面上)に等ピッチのマトリクス状に配列された複数本の光線からなる光線束B1に変換する。ここで、上記の構成を有する位相回折素子13では、光線の形状だけでなく光線のパワーも任意に設計可能であり、本実施形態では光線束B1を形成する各光線のパワーが均一となるよう、位相回折素子13が設計されている。
なお、DOEとは、レーザ光を回折格子によって回折パターンとして得られる複数の光束に分割するものであって、当該DOEから所定距離にある仮想面上に所望の回折パターンからなる光強度分布を得るものである。したがって、前記の所定距離以外の面上においてはその所望の光強度分布は得られないことが多い。よって、本明細書に言う、レーザ光を複数の光線に分割するとの表現は厳密には正しくないが、便宜上上記DOEによって複数個の回折パターンからなる光強度分布を得ることを、単に複数の光線に分割すると表現することとする。
図2は図1(a)におけるaa断面図であり、光線束B1の実像面である。上記の通り、本実施形態では位相回折素子13がレーザ光BをYZ平面上に等ピッチのマトリクス状に配列された複数本の光線からなる光線束B1に変換し、実像面上では図2(a)にてピッチP1で示すように光線束B1を形成する光線の本数分の光スポットがYZ平面上に等ピッチで並ぶ。なお、図2では光線束B1を構成する光線は3×3個のマトリクス状に配列されているように図示しているが、光線の本数はこれより多くても構わない。
ここで、本実施形態では上記の通り位相回折素子13のすぐ下流には、可変焦点光学系であるズームレンズ14が設けられている。この可変焦点光学系の焦点距離(ズームレンズ14における倍率)を変化させることによって、光スポットのピッチの拡大もしくは縮小が可能であり、図2(b)に光線の間隔がピッチP1’である光線束B1’で示すように、図2(a)のピッチP1と比較して光線像2を構成する光線束の各光線のピッチを任意に変更、調節することが可能である。
一方、ズームレンズ14によって各光線の間隔を調節することに伴い、被照射面Sに照射される光エネルギーの照射領域の面積も変化し、その面積が許容可能な範囲に入らない可能性がある。ここで、本実施形態では、被照射面Sに照射される光線像2を形成する光線束B1の各光線の寸法および形状が所定の寸法および形状となるよう、実像面における各光線の配置に合わせて開口(アパーチャ19)が設けられたアパーチャ部材18が設けられている。具体的には、図2(a)のように各光線の間隔がピッチP1である光線束B1に対しては、間隔がピッチP1となるようにアパーチャ19が配列されたアパーチャ部材18が用いられ、図2(b)のように各光線の間隔がピッチP1’である光線束B1’に対しては、間隔がピッチP1’となるようにアパーチャ19’が配列されたアパーチャ部材18’が用いられるようにアパーチャ部材が交換または変形可能に設けられている。こうすることにより、用途に適したピッチに加え、用途に適した照射範囲(寸法および形状)の光エネルギーを被照射面Sへ照射することができる。
図1に戻り、本実施形態では、可変焦点光学系であるズームレンズ14を通過した後一度結像した光線束B1の各光線は、コリメートレンズ15により平行光にされた後、Fθレンズ17で集光されて被照射面Sで再度結像する。本説明では、光線を再度結像させる光学系を結像光学系と呼び、本実施形態では、コリメートレンズ15とFθレンズ17の組合せがこの結像光学系にあたる。また、本実施形態では、コリメートレンズ15とFθレンズ17の間にガルバノミラー16が設けられている。
ガルバノミラー16は、2枚のミラーを有し、これらミラーの位置および角度を制御することにより、入射される光線を任意の方向へ出射させる。本実施形態では、このガルバノミラー16が、被照射面S上で光エネルギーが照射される位置を変化させる光エネルギーシフト手段として機能する。このような光エネルギーシフト手段を有することにより、被照射面Sを有する転写基板22に対する光エネルギーの照射位置を調節することができる。
レーザ照射部11から出射されたレーザ光Bの光路におけるFθレンズ17の下流側には、転写基板22が配置されており、転写基板22のさらに下流側であり転写基板22の直下には被転写基板23が配置されている。これら転写基板22および被転写基板23は、図示しない把持手段(転写基板把持部および被転写基板把持部)により把持されている。
転写基板22は、ガラスなどを材料として光線束B1を透過することが可能な基板であり、下面側でチップ21を保持する。チップ21は、たとえば半導体チップであり、さらに具体的にはディスプレイパネルにおいてRGBの各画素を構成するLEDチップなどである。
図3は、転写基板22によるチップ21の保持形態を説明する図であり、図3(a)が正面図、図3(b)が上面図である。
転写基板22の下面側には、粘着ポイント24a(本説明では、保持部位とも呼ぶ)が設けられており、粘着ポイント24aの表面がチップ21を粘着保持することにより、転写基板22が粘着ポイント24aを介してチップ21を保持する形態を構成する。なお、図1(a)に示すように、1つの転写基板22には複数のチップ21が保持されている。
ここで、本実施形態の転写基板22では、図3(a)および図3(b)に示すようにチップ21の全面を粘着させて保持するのではなく、粘着ポイント24aの表面の面積がチップ21の転写基板22と対向する面の面積より十分に小さく、各々独立した複数の粘着ポイント24aで1つのチップ21を粘着保持している。すなわち、複数の粘着ポイント24a(保持部位)によって1つのチップ21を保持する保持領域が構成されている。なお、図3(b)は、3×3個の粘着ポイント24aが1つのチップ21を粘着保持している。各粘着ポイント24aの表面の形状は、図3(b)に示すような円形でも良く、他の形状であっても良い。
被転写基板23は、チップ21が最終的に実装される回路基板であっても良く、回路基板に実装されるまでに複数回転写を繰り返すにあたって中間的にチップ21が保持される中間基板であっても良い。被転写基板23は、チップ21を挟んで転写基板22と対向するように配置されており、転写基板22から分離したチップ21は被転写基板23の転写基板22と対向する方の面に着弾する。この着弾面にはACF(異方性導電膜)などの接合材や粘着材が設けられ、チップ21を保持できるようになっている。
次に、転写装置1によるチップ21の転写形態を図4(a)および図4(b)で説明する。
レーザ照射部11からレーザ光Bが出射され、転写基板22と粘着ポイント24aとの境界部である被照射面Sに光線像2がされる(すなわち光エネルギーが照射される)ことにより、粘着ポイント24aが分解され、ガスが発生する。すなわち、レーザアブレーションが生じる。このガスの発生によって、チップ21が転写基板22から分離する際にチップ21が付勢される。この粘着ポイント24aのように活性エネルギー線の照射によりアブレーションを生じる層を、本説明ではアブレーション層とも呼ぶ。
本実施形態では、図4(a)に示すように、光線像2を構成する光線の個数が粘着ポイント24aの個数と同じであり、また、各光線のピッチ(図4(a)における寸法P)は、粘着ポイント24aの配置のピッチと同じとなるよう、位相回折素子13およびズームレンズ14によって光線束B1が調節されている。これにより、1つのチップ21を粘着保持する全ての粘着ポイント24aに対して個別に、かつ同時に光エネルギーが照射される。そして、1回のレーザ光Bの出射によってチップ21がレーザリフトオフされて所定の方向(真下方向)へ飛行し、被転写基板23に着弾する。この結果、チップ21は転写基板22から被転写基板23へ転写される。
そして、光エネルギーシフト手段(本実施形態では、ガルバノミラー16)によって光エネルギーの照射位置をチップ21の寸法分移動させ、その後レーザ照射部11が出射パルスの周期に応じてレーザ光Bを出射することにより、図4(b)に示すように隣のチップ21に光線像2が照射され、被転写基板23へ転写される。このように光エネルギーの照射位置の移動とレーザ光Bの出射を繰り返すことにより、連続してチップ21が被転写基板23に転写される。
ここで、光線像2を構成する各光線の照射面積と粘着ポイント24aの表面の面積とは、ほぼ同じもしくは光線の照射面積の方がやや大きい(2~10μmほど粘着ポイントからはみ出す程度)ことが好ましい。そして、このような面積関係となるように、光線の照射面積に応じて粘着ポイント24aの形状が設定される、もしくは、粘着ポイント24aの形状に応じてアパーチャ部材18によって光線の照射面積が設定される。これにより、光エネルギーの照射によって粘着ポイント24aをチップ21から完全に分離させることができる。
一方、仮に粘着ポイント24aの表面の面積に対して光線の照射面積が小さすぎる場合、レーザアブレーションが粘着ポイント24aの一部でしか生じない可能性があり、この場合、チップ21は粘着ポイント24aを介して転写基板22に保持されたままとなってレーザリフトオフされない、もしくはレーザリフトオフされても所定の方向から傾いた方向にチップ21が飛行するおそれがある。
また、本実施形態では、各レーザ光のパワーが均一となるように光線束B1が構成されていることが好ましい。こうすることにより、各粘着ポイント24aにおけるチップ21が分離するタイミングおよびレーザアブレーションの際に生じる推力を均一とすることができるため、レーザリフトオフにおいて所定の方向へ安定してチップ21を飛行させることができる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態における転写装置10について、図5を参照して説明する。図5(a)は転写装置10の側面図であり、図5(b)は、転写装置10の上面図である。また、第1実施形態の転写装置1の構成要素と同じ構成要素には、同一の符号を付している。
転写装置10は、レーザ照射部11、ビームエキスパンダー12、ズームレンズ14、コリメートレンズ15、ガルバノミラー16、およびFθレンズ17を有しており、レーザ照射部11から出射されたレーザ光Bはビームエキスパンダー12、ズームレンズ14、コリメートレンズ15、ガルバノミラー16、Fθレンズ17の順に経由して転写基板22の下面である被照射面Sへと到達する。すなわち、第1実施形態の転写装置1と異なり位相回折素子13を有していない。そのため、レーザ照射部11から出射されたレーザ光Bは光線束B1へと分割されることなく、被照射面Sにおいて光線像2を構成する光線は1つのみである。この光線像2の被照射面Sに対する照射位置は、光エネルギーシフト手段であるガルバノミラー16によって制御される。
この転写装置10によるチップ21の転写形態を図6(a)乃至図6(c)で説明する。
この転写装置10では、1つのチップ21を保持する複数の粘着ポイント24aに対し、個別に1つずつ順に光線像2が照射されて(すなわち光エネルギーが照射されて)レーザアブレーションを生じさせる。そして、最後に残った粘着ポイント21に対して光線像2が照射されたときに、チップ21は転写基板22から完全に分離され、レーザリフトオフにより被転写基板23へ飛行し、被転写基板23へ転写される。
図6(a)乃至図6(c)では、チップ21、転写基板22、粘着ポイント24aを側方から見たときのチップ21の転写の形態を説明しているが、図6(a)乃至図6(c)で1つのチップ21につき3つで保持するよう図示されている粘着ポイント24aに対し、まず図6(a)の通り左端の粘着ポイント24aに対し光線像2が照射されてレーザアブレーションが生じる。
次に、図6(b)に示す通り右端の粘着ポイント24aに対し光線像2が照射され、これにより中央の粘着ポイント24aが残されてチップ21を保持する形態となる。
最後に、図6(c)に示す通り中央の粘着ポイント24aに対し光線像2が照射され、チップ21は転写基板22から分離し、被転写基板23へ転写される。
このように1つのチップ21を保持する複数の粘着ポイント24aに対して1つずつ順に光エネルギーが照射される転写の形態では、レーザリフトオフの際にチップ21にかかる推力は1つの粘着ポイント24aがレーザアブレーションしたときに発生する推力であるため、比較的小さい推力でチップ21は被転写基板23へ飛行する。その結果、被転写基板23に着弾した際の衝撃によるチップ21の割れが生じることを防ぐことができる。
また、図6(a)乃至図6(c)のようにチップ21の中央部を保持する粘着ポイント24aを最後まで残すよう光エネルギーの照射が制御されることによって、チップ21が保持されている部分が端に偏ることを防ぐことができ、その結果、最後の粘着ポイント24aに光エネルギーが照射されてチップ21がレーザリフトオフする際にチップ21は所定の方向に安定して飛行する。
なお、図6(a)乃至図6(c)では1つのチップ21を保持する粘着ポイント24aは1方向において3つのみであるが、実際は2mm×2mmの面積のチップ21に対し0.1mmのピッチで粘着ポイント24aが配置されるような形態が想定されている。その場合、粘着ポイント24aの個数は20×20個となる。このような場合にチップ21の中央部を保持する粘着ポイント24aを最後まで残すようにするためには、たとえば外寄りに位置する粘着ポイント24aから内寄りに位置する粘着ポイント24aへ順に光エネルギー2を照射すると良い。
さらに具体的には、図7に示すように、1つのチップ21を保持する複数の粘着ポイント24aに対し、光エネルギーの照射の軌跡Lが渦巻き状となるよう光線像2を照射すると良い。こうすることにより、最後の粘着ポイント24aに光エネルギーが照射されるまでチップ21が保持されている部分が端に偏ることを常に防ぐことができるため、最終的に所定の方向に安定してチップ21を飛行させることができる。
次に、上記の第1実施形態および第2実施形態における転写装置の効果を以下に説明する。
転写装置1および転写装置10は、転写基板22に光エネルギーを照射することにより、レーザリフトオフを利用して転写基板22が保持するチップ21を被転写基板23へ転写するものであり、光エネルギーを形成するレーザ光Bを射出するレーザ照射部11(活性エネルギー線照射部)と、転写基板22に対する光エネルギーの照射位置を調節する光エネルギーシフト手段16と、を備え、チップ21は、転写基板22のチップ21と対向する面(被照射面S)に設けられた複数の粘着ポイント24aを介して転写基板22に保持されており、レーザ光源11は、1つのチップ21を保持する複数の粘着ポイント24aに個別に光エネルギーを照射することにより、チップ21を挟んで転写基板22に対向するよう配置された被転写基板23へチップ21を転写することを特徴としている。
この転写装置1および転写装置10により、粘着ポイント24aを介したチップ21と転写基板22との接触面積を削減することができるため、1つのチップ21を転写させるためのレーザ光Bの出力を抑制し、ランニングコストを抑えつつ確実にチップ21を被転写基板23へ転写することができる。
また、転写装置1では、レーザ光源11から出射されたレーザ光Bを複数本の光線からなる光線束B1に変換する位相回折素子13をさらに有し、光線束B1は、1つのチップ21を保持する全ての粘着ポイント24aに対し、同時に光エネルギーを照射する。こうすることにより、1つのチップ21のレーザリフトオフに要する時間を比較的短くすることができる。
また、転写装置10では、レーザ光源11は、1つのチップ21を保持する複数の粘着ポイント24aに対し、外寄りに位置する粘着ポイント24aから内寄りに位置する粘着ポイント24aへ順に光エネルギーを照射する。こうすることにより、チップ21が保持されている部分が端に偏ることを防ぐことができ、所定の方向に安定してチップ21を飛行させることができる。
また、転写装置10では、レーザ光源11は、1つのチップ21を保持する複数の粘着ポイント24aに対し、光エネルギーの照射の軌跡が渦巻き状となるよう光エネルギーを照射する。こうすることにより、最後の粘着ポイント24aに光エネルギーが照射されるまでチップ21が保持されている部分が端に偏ることを常に防ぐ状態となるため、所定の方向に安定してチップ21を飛行させることができる。
また、転写装置1および転写装置10では、レーザ光源11は、1つのチップ21を保持する全ての粘着ポイント24aに対し、均等なパワーの光エネルギーを照射する。こうすることにより、制御が容易であり、かつ所定の方向に安定してチップ21を飛行させることができる。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態における転写装置について、図8を参照して説明する。
転写装置100は、レーザ光101を照射するレーザ照射部102、転写基板22を保持して少なくともX軸方向、Y軸方向に移動可能な転写基板把持部103、転写基板把持部103の下側にあって転写基板22と隙間を有して対向するように被転写基板23を保持する被転写基板把持部104、および図示しない制御部を備えており、転写基板22にレーザ光101を照射することによって転写基板でアブレーションを生じさせ、転写基板22から被転写基板23へチップ21を転写する。
レーザ照射部102は、本発明における活性エネルギー線照射部の一実施形態であり、活性エネルギー線であるエキシマレーザなどのレーザ光101を照射する装置であり、転写装置100に固定して設けられる。本実施形態においては、レーザ照射部102はスポット状のレーザ光101を照射し、レーザ光101は、制御部により角度が調節されるガルバノミラー105およびfθレンズ106を介してX軸方向およびY軸方向の照射位置が制御され、転写基板把持部103に保持された転写基板22に複数配置されているチップ21に選択的に照射する。レーザ光101が転写基板22のチップ21に入射することによって、転写基板22とチップ21との間で活性エネルギー(光エネルギー)の付与によるアブレーション生じ、転写基板22から被転写基板23へチップ21が転写される。
転写基板把持部103は開口を有し、転写基板22の外周部近傍を吸着把持する。転写基板把持部13に保持された転写基板22へこの開口を介してレーザ照射部102から発せられたレーザ光101を当てることができる。
転写基板22は、ガラスなどを材料としてレーザ光101を透過することが可能な基板であり、下面側でチップ21を保持する。また、この転写基板22のチップ21を保持する面には後述のアブレーション層24が形成されており、このアブレーション層24の表面は粘着性を有する。このアブレーション層24の表面の粘着力がチップ21の保持力となり、チップ21を粘着保持する。
また、転写基板把持部103は図示しない移動機構により、少なくともX軸方向、Y軸方向に関して被転写基板把持部104に対して相対移動する。図示しない制御部がこの移動機構を制御し、転写基板把持部103の位置を調節することにより、転写基板22に保持されたチップ21の被転写基板23に対する相対位置を調節することができる。
被転写基板把持部104は、上面に平坦面を有し、チップ21の転写工程中、転写基板22のアブレーション層24およびアブレーション層24が保持するチップ21と被転写基板23の被転写面が対向するように被転写基板23を把持する。この被転写基板把持部104の上面には複数の吸引孔が設けられており、吸引力により被転写基板23の裏面(チップ21が転写されない方の面)を把持する。
ここで、本実施形態における被転写基板23は、ガラスなどを材料とする基板であり、被転写面(チップ21を受ける側の面)は粘着性を有し、転写基板22から転写されたチップ21を粘着保持する。
なお、本実施形態では、転写基板把持部103のみがX軸方向およびY軸方向に移動することにより転写基板把持部103と被転写基板把持部104とが相対移動する形態をとっているが、被転写基板23の寸法が大きく、レーザ光101の照射範囲の直下に被転写基板23の全面が位置できない場合には、被転写基板把持部104にもX軸方向およびY軸方向の移動機構が設けられていても良い。
以上の構成を有する転写装置100によりチップ21を転写基板22から剥離させる過程を図9で説明する。
転写基板22のチップ21を保持する面には、上述の通りアブレーション層24が形成されている。このアブレーション層24は、表面に粘着性を有しているとともに、レーザ光11が照射されることによりアブレーションが生じる。
本実施形態では、このアブレーション層24は転写基板22のチップ21を保持する側の面の全面に形成されている。なお、図9(a)に示すように、このアブレーション層24において1つのチップ21を保持している範囲を本説明では保持領域Rと呼ぶ。
また、本実施形態では、アブレーション層24にレーザ光101が照射されることによって、アブレーション層24と転写基板22の本体との界面近傍でアブレーション層24の材料が分解され、ガスが発生する。つまり、アブレーションが生じる。これに対してアブレーション24の表面側は残存する。その結果、図9(b)に示すように、レーザ光101の照射範囲BRに対応するブリスター25(膨らみ)が形成される。
ここで、本実施形態では、図9(b)に示すようにレーザ光101の照射範囲BRは保持領域Rよりも小さく、1回のレーザ光101の照射によってブリスター25が生じる範囲も保持領域Rよりも小さい。そして、本実施形態では、転写基板22から被転写基板23へチップ21を転写させる際に、保持領域R内の複数箇所にレーザ光101を照射する。このとき、保持領域R内での各々のレーザ光101の照射箇所が適度に離間するよう、制御部がガルバノミラー105などを制御することにより、図9(c)に示すように、レーザ光101の照射によって生じるブリスター25をレーザ光の照射毎に独立して形成させることができる。すなわち、ブリスター25同士が合体することなく個々にブリスター25を形成させることができる。
図9(c)に示すように保持領域R内の複数箇所でブリスター25が形成され、チップ21を転写基板22から浮き上がらせるような状態となった場合、アブレーション層24とチップ21とが接触する部位は各ブリスター25の頂点近傍に限定され、アブレーション前と比較してアブレーション層24とチップ21の接触面積は大幅に低減する。また、図18に示すように保持領域R内に1つのブリスター93が形成される場合と比較して、レーザ光照射後の接触面積は大幅に小さくなる。
ここで、アブレーション層24によるチップ21の粘着保持力は、接触面積とほぼ比例するため、ブリスター25の発生後は粘着保持力が大幅に低減する。この粘着保持力がブリスター25の発生によってチップ21に付加される運動エネルギーおよび重力などの和であるチップ21を切り離す力より小さくなった時に、図9(d)に示すようにチップ21は転写基板22から剥離し、被転写基板23へ転写される。
以上の通り保持領域R内の複数箇所で保持領域Rより小さい照射範囲BRを有するレーザ光101を照射し、アブレーションを生じさせることにより、アブレーション層24とチップ21の接触面積を確実に小さくすることができ、確実にチップ21を転写基板22から剥離させることができる。また、レーザ径を大きくする必要が無いため、ランニングコスト増大を防ぐことができる。
図10は、図9(a)に示すAA矢視図であり、本実施形態の転写装置100において1つのチップ21を転写させるためのレーザ光101の照射手順を示している。
図10では照射範囲BRを有するレーザ光101をアブレーション層24における保持領域R内で9回照射することを示している。このとき、本実施形態では、渦巻き状の軌跡Lで示すように、保持領域Rにおいて外側から内側の順にレーザ光101を照射している。なお、図10は、転写の開始直後であって9個の照射範囲BRのうちスタート地点である左上の照射範囲BRのみアブレーションが生じていることを示している。
このようにレーザ光101を順番に照射する場合、レーザ光101の照射順にしたがってブリスター25は形成されるが、本実施形態のように外側から内側の順にレーザ光101を照射することにより、全てのブリスター25が形成されるまでの過程においてチップ21が片持ち状態になることを防ぐことができる。これにより、チップ21が剥離したときに落下方向がばらつくことを防ぎ、位置精度良くチップ21を被転写基板23に転写することができる。
図11は、他の実施形態におけるレーザ光101の照射手順を示している。この実施形態では、保持領域R内の全ての照射箇所に同時にレーザ光11を照射し、複数のブリスター25を同時に形成させている。このように全てのブリスター25を同時に形成させてチップ21を剥離させることにより、上記と同様、チップ21が剥離したときに落下方向がばらつくことを防ぎ、位置精度良くチップ21を被転写基板23に転写することができる。
ここで、本発明の転写装置100は、アブレーション層24はレーザ光101の照射によってブリスター25が生じる形態に限らず、図12に示すようにアブレーションによって照射範囲BR内のアブレーション層24全体が分解されて消失する形態であっても良い。この場合であっても、保持領域R内の複数箇所で照射範囲BRを有するレーザ光101を照射することにより、図12(a)乃至(c)に示す過程のように各照射範囲BRにおいてアブレーション層24が消失してゆき、確実にアブレーション層24とチップ21の接触面積を低減させることができる。そして、接触面積に比例するアブレーション層24によるチップ21の粘着保持力がチップ21を切り離す力より小さくなった時に、図12(d)に示すようにチップ21は転写基板22から剥離し、被転写基板23へ転写される。
なお、この実施形態であっても、保持領域Rにおいて外側から内側の順にレーザ光101を照射することにより、また、保持領域R内の全ての照射箇所に同時にレーザ光101を照射することにより、位置精度良くチップ21を被転写基板23に転写することができる。
次に、本発明の他の実施形態における転写基板22を図13に示す。
前述の実施形態では、アブレーション層24は転写基板22のチップ21を保持する側の面の全面に形成されている。これに対し、本実施形態の転写基板22では、保持領域R内には、チップ21に対する粘着保持力を有し、レーザ光101の照射によりブリスター25が生じる保持部位24aと、粘着性を有さないためにチップ21に対する保持力を有さず、レーザ光101の照射をおこなってもアブレーションおよびブリスターを生じない非保持部位24bとが混在している。また、本実施形態では保持部位24aが千鳥状に配置され、各々の保持部位24aが非保持部位24bにより分離されている。
そして、図13に示すように、各保持部位24aに照射範囲BRを有するレーザ光101を照射し、各保持部位24aでブリスター25を生じさせることによってチップ21を転写基板22から剥離させる。
このように保持部位24aと非保持部位24bとが混在することにより、各保持部位24aにて生じたブリスター25同士が合体することを非保持部位24bが阻害する。そのため、最終的に図9(c)と同様に複数の小さなブリスター25でチップ21を保持する形態となり、レーザ光101の照射前と比較してアブレーション層24とチップ21の接触面積を大幅に小さくすることができる。
また、非保持部位24bが存在する分、保持領域R全体がアブレーション層24となっている形態と比較してチップ21の剥離に要するレーザ光101の照射点数が少なくなるため、転写時間およびランニングコストを低減させることが可能である。
また、本実施形態の転写基板22は、基板自体の形成の過程において、まず、前述の実施形態と同様にアブレーション層24が転写基板22のチップ21を保持する側の面の全面に形成される。すなわち、非保持部位24bは元来各保持部位24aと同じ材料である。そして、非保持部位24bに相当する部位に選択的に紫外線が照射されることによってその部位が硬化する。これにより、粘着性が無くアブレーションを生じない非保持部位24bが形成される。
以上の転写装置および転写基板により、確実に素子を転写基板から剥離させ、被転写基板へ転写することが可能である。
ここで、本発明の転写装置および転写基板は、以上で説明した形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであってもよい。たとえば、第1実施形態の転写装置1において位相回折素子13によって形成される光線像2は、必ずしも図2のようなマトリクス状に光線が配列されたものでなくても構わない。粘着部24の配置にあわせ、たとえば光線が千鳥状に配列されていても良い。
また、転写基板把持手段がX軸方向およびY軸方向に転写基板22を移動させ、光線像2との相対位置を変化させることにより、転写基板把持手段が光エネルギーシフト手段として機能しても良い。また、被転写基板把持手段にもX軸方向およびY軸方向に被転写基板23を移動させる機構が設けられ、被転写基板23上のチップ21が転写される位置が調整されると良い。
また、第1実施形態の転写装置1のように複数の光エネルギーを同時に照射する形態であっても、必ずしも1つのチップ21を保持する全ての粘着ポイント24に同時に光エネルギーが照射されなくても良い。たとえば、図14に示すように光線束B1’’を形成するレーザ光の本数(図8では2×2本)はチップ21を保持する粘着ポイント24aの数(図8では6×6個)よりも少なく、複数の光エネルギーの照射を順番に実施することによってチップ21を転写基板22から分離させても良い。
また、1つのチップ21を保持する複数の粘着ポイント24aに順番に光エネルギーを照射するにあたり、光エネルギーの照射の時間間隔は均一でも良く、また、均一でなくても良い。たとえば、所定の方向に安定してチップ21を飛行させることを目的に、最後の方の時間間隔をそれ以外の時間間隔と比較して長めに設定しても良い。
また、1つのチップ21を保持する複数の粘着ポイント24aに順番に光エネルギーを照射するにあたり、必ずしも外寄りに位置する粘着ポイント24aから内寄りに位置する粘着ポイント24aへの順で光エネルギーを照射することに限定されない。
また、上記の説明では光エネルギーの照射範囲はスポット状であったが、ライン状でも構わない。この場合、粘着ポイントも図15に示す粘着ポイント24’のようにライン状であることが好ましい。
また、上記の説明ではレーザ光Bもしくは光線束B1が照射された粘着ポイント24aは完全に消滅しているが、これに限らず、図16に示すようにレーザアブレーションは転写基板22における基材Wと粘着ポイント24との接触面でのみ生じるようにし、レーザ光Bもしくは光線束B1が照射された後でも粘着ポイント24aがチップ21側に残存していても構わない。こうすることにより、チップ21に残存した粘着ポイント24aが後に他の基材Wに貼り付くことによって再度レーザリフトオフによるチップ21の転写を実施することができる。
また、たとえば第3実施形態において、保持領域Rで複数箇所に照射するレーザ光101のパワーは、均一であっても良く、また、例えば保持領域Rの中央部に近いほどパワーが大きいなど、不均一であっても良い。
また、図13に示した転写基板22では、保持部位24aが千鳥状に配置されているが、これに限らずたとえばマトリクス状であっても良い。また、不規則に配置されていても良い。また、保持部位24a同士は完全に分離されている必要はなく、ブリスター25の合体を防ぐことが可能な範囲内でたとえば角部同士が若干連結されていても良い。
また、上記の説明ではレーザ光101の照射範囲BRは保持領域Rよりも小さいが、必ずしもこれに限らず、レーザ光101の照射範囲BRの方が保持領域Rより大きくても構わない。そして、図17(a)および(b)に示すように照射範囲BRを若干ずらしながらレーザ光101を照射することによって、保持領域Rの複数箇所で順にアブレーションを生じさせる形態であっても良い。
1 転写装置
2 光線像
10 転写装置
11 レーザ照射部(活性エネルギー線照射部)
12 ビームエキスパンダー
13 位相回折素子
14 ズームレンズ(可変焦点光学系)
15 コリメートレンズ
16 ガルバノミラー(光エネルギーシフト手段)
17 Fθレンズ
18 アパーチャ部材
18’ アパーチャ部材
19 アパーチャ
19’ アパーチャ
21 チップ(素子)
22 転写基板
23 被転写基板
24 アブレーション層
24a 粘着ポイント(保持部位)
24b 被保持部位
25 ブリスター
91 素子
92 転写基板
93 ブリスター
100 転写装置
101 レーザ光(活性エネルギー線)
102 レーザ照射部(活性エネルギー線照射部)
103 転写基板把持部
104 被転写基板把持部
105 ガルバノミラー
106 Fθレンズ
B レーザ光
B1 光線束
B1’ 光線束
B1’’ 光線束
BR 照射範囲
R 保持領域
L 軌跡
S 被照射面
W 基材

Claims (14)

  1. 転写基板が有するアブレーション層へ活性エネルギー線を照射してアブレーションを生じさせることにより、当該アブレーション層が保持する素子を前記転写基板から被転写基板へ転写させる転写装置であり、
    前記転写基板を把持する転写基板把持部と、
    前記転写基板の前記アブレーション層と前記被転写基板が対向するように前記被転写基板を把持する被転写基板把持部と、
    前記転写基板把持部に保持された前記転写基板の前記アブレーション層へ活性エネルギー線を照射する活性エネルギー線照射部と、
    を備え、
    前記活性エネルギー線照射部は、前記アブレーション層において1つの素子を保持する保持領域の複数箇所に活性エネルギー線を照射することを特徴とする、転写装置。
  2. 活性エネルギー線の照射範囲は、前記保持領域よりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載の転写装置。
  3. 前記アブレーション層は、アブレーションにより消失することを特徴とする、請求項1もしくは2に記載の転写装置。
  4. 前記アブレーション層は、アブレーションによりブリスターを生じることを特徴とする、請求項1もしくは2に記載の転写装置。
  5. 前記活性エネルギー線照射部は、各々の活性エネルギー線の照射毎に前記ブリスターが形成されるよう、活性エネルギー線を照射する箇所が制御されることを特徴とする、請求項4に記載の転写装置。
  6. 前記アブレーション層は、各々独立した複数の保持部位により構成されており、1つの素子を保持する複数の前記保持部位に個別に前記活性エネルギー線が照射されることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の転写装置。
  7. 前記アブレーション層の前記保持領域には、素子に対する保持力を有し、活性エネルギー線の照射によりブリスターが生じる保持部位と、素子に対する保持力を有さず、活性エネルギー線によるブリスターを生じない非保持部位と、が混在することを特徴とする、請求項4もしくは5に記載の転写装置。
  8. 前記活性エネルギー線照射部は、1つの素子を保持する複数の前記保持部位に対し、所定の順序で活性エネルギー線を照射することを特徴とする、請求項6もしくは7に記載の転写装置。
  9. 前記活性エネルギー線照射部は、1つの素子を保持する複数の前記保持部位に対し、外寄りに位置する前記保持部位から内寄りに位置する前記保持部位へ順に活性エネルギー線を照射することを特徴とする、請求項8に記載の転写装置。
  10. 前記活性エネルギー線照射部は、1つの素子を保持する複数の前記保持部位に対し、活性エネルギー線の照射の軌跡が渦巻き状となるよう活性エネルギー線を照射することを特徴とする、請求項8もしくは9のいずれかに記載の転写装置。
  11. 前記活性エネルギー線照射部から出射された活性エネルギー線は複数本の活性エネルギー線からなるエネルギー線束に変換され、前記エネルギー線束は、1つの素子を保持する全ての前記保持部位に対し、同時に活性エネルギー線を照射することを特徴とする、請求項6もしくは7に記載の転写装置。
  12. 前記活性エネルギー線照射部は、1つの素子を保持する全ての前記保持部位に対し、均等なパワーの活性エネルギー線を照射することを特徴とする、請求項6から11のいずれかに記載の転写装置。
  13. 転写基板に光エネルギーを照射することにより、レーザリフトオフを利用して当該転写基板が保持する転写対象を被転写基板へ転写する転写装置であり、
    前記光エネルギーを形成するレーザ光を射出するレーザ光源と、
    前記転写基板に対する前記光エネルギーの照射位置を調節する光エネルギーシフト手段と、
    を備え、
    前記転写対象は、前記転写基板の前記転写対象と対向する面に設けられた複数の粘着ポイントを介して前記転写基板に保持されており、前記レーザ光源は、1つの前記転写対象を保持する複数の前記粘着ポイントに個別に前記光エネルギーを照射することにより、前記転写対象を挟んで前記転写基板に対向するよう配置された前記被転写基板へ前記転写対象を転写することを特徴とする、転写装置。
  14. 活性エネルギー線の照射によりアブレーションが生じるアブレーション層で素子を保持する転写基板であり、
    前記アブレーション層における1つの素子を保持する保持領域には、
    素子に対する保持力を有し、活性エネルギー線の照射によりブリスターが生じる保持部位と、
    素子に対する保持力を有さず、活性エネルギー線によるブリスターを生じない非保持部位と、が混在することを特徴とする、転写基板。
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