JP2022115606A - 有機電界発光素子およびアントラセン化合物 - Google Patents

有機電界発光素子およびアントラセン化合物 Download PDF

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Abstract

【課題】高い外部量子効率を有する有機EL素子を提供する。【解決手段】陽極および陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に配置される発光層とを有する有機電界発光素子であって、前記発光層は、ホスト材料として、下記式(1)で表されるアントラセン化合物、およびドーパント材料として下記式(2)で表される多環芳香族化合物またはその多量体を含む、有機電界発光素子。TIFF2022115606000231.tif50153【選択図】なし

Description

本発明は、有機電界発光素子、これを用いた表示装置および照明装置に関する。また、本発明は発光材料として用いることができるアントラセン化合物に関する。
従来、電界発光する発光素子を用いた表示装置は、省電力化や薄型化が可能なことから種々研究され、さらに、有機材料から成る有機電界発光素子(以下、「有機EL素子」ということがある。)は、軽量化や大型化が容易なことから活発に検討されてきた。特に、光の三原色の1つである青色などの発光特性を有する有機材料の開発、および最適な発光特性となる複数材料の組み合わせについては、高分子化合物、低分子化合物を問わずこれまで活発に研究されてきた。
有機EL素子は、陽極および陰極からなる一対の電極と、当該一対の電極間に配置され、有機化合物を含む一層または複数の層とからなる構造を有する。有機化合物を含む層には、発光層や、正孔、電子などの電荷を輸送または注入する電荷輸送/注入層などがあるが、これらの層に適当な種々の有機材料が開発されている。
特許文献1ではアントラセン化合物を有機電界発光素子の発光材料として用いることが記載されている。また、近年ではホウ素などを中心原子として複数の芳香族環を縮合した多環芳香族化合物が有機電界発光素子用材料として報告されている(特許文献2)。
国際公開第2006/003842 国際公開第2015/102118
上述のように、有機EL素子に用いられる材料としては種々のものが開発されているが、有機EL素子用材料の選択肢を増やすために、従来のものとは異なる化合物からなる材料の開発が望まれている。本発明の課題は、新たな材料の組み合わせを用いた有機EL素子を提供することである。本発明は、駆動電圧が低く、かつ高い外部量子効率を有する有機EL素子を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ホスト材料として特定のアントラセン化合物とドーパント材料として複数の芳香族環を縮合した多環芳香族化合物とを含有する発光層を用いることにより、優れた有機EL素子が得られることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下のような有機電界発光素子およびアントラセン化合物を提供する。
<1> 陽極および陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に配置される発光層とを有する有機電界発光素子であって、前記発光層は、ホスト材料として下記式(1)で表されるアントラセン化合物、およびドーパント材料として下記式(2)で表される多環芳香族化合物または下記式(2)で表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体を含む、有機電界発光素子。
Figure 2022115606000001
(式(1)中、
は、水素、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、または置換シリルであり、
Ar、Ar11~Ar18、およびAr21~Ar28はそれぞれ独立して、水素、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のジアリールアミノ、置換もしくは無置換のジヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアリールヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、置換もしくは無置換のアルケニル、置換もしくは無置換のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリールオキシ、置換もしくは無置換のアリールチオ、または置換シリルであり、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記ジヘテロアリールアミノの2つのヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記アリールヘテロアリールアミノのアリールとヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、ただしAr21~Ar28の少なくとも2つは、それぞれ独立して、置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリールであり、
Lは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン、置換もしくは無置換のシクロアルキレン、置換もしくは無置換のアリーレン、または置換もしくは無置換のヘテロアリーレンであり、そして;
式(1)で表される化合物における少なくとも1つの水素はハロゲン、シアノ、または重水素で置換されているか、または置換されていない。)
(式(2)中、
A環、B環、およびC環は、それぞれ独立して、アリール環またはヘテロアリール環であり、これらの環における少なくとも1つの水素は置換されているか、または置換されておらず、
は、B、P、P=O、P=S、Al、Ga、As、Si-R、またはGe-Rであり、前記Si-Rおよび前記Ge-RのRは置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のアルキル、または置換もしくは無置換のシクロアルキルであり、
およびXは、それぞれ独立して、>O、>N-R、>C(-R)、>Si(-R)、>S、または>Seであり、前記>N-R、前記>C(-R)、および前記>Si(-R)のRは、それぞれ独立して、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のアルキル、または置換もしくは無置換のシクロアルキルであり、前記>C(-R)、および前記>Si(-R)の2つのRは結合して環を形成しているか、または形成しておらず、前記>N-R、前記>C(-R)、および前記>Si(-R)のRは連結基または単結合により、前記A環および前記B環の少なくとも1つ、または前記A環および前記C環の少なくとも1つと結合しているか、または結合しておらず、
式(2)で表される化合物またはその多量体における、アリール環およびヘテロアリール環の少なくとも1つは、少なくとも1つのシクロアルカンで縮合されているか、または縮合されておらず、当該シクロアルカンにおける少なくとも1つの水素は置換されているか、または置換されておらず、当該シクロアルカンにおける少なくとも1つの-CH-は-O-で置換されているか、または置換されておらず、そして;
式(2)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素は、重水素、シアノ、またはハロゲンで置換されているか、または置換されていない。)
<2> 式(1)において
Arが置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリールであり、
Ar11~Ar18が、それぞれ独立して、水素、置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のジアリールアミノ、置換もしくは無置換のジヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアリールヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、置換もしくは無置換のアルケニル、置換もしくは無置換のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリールオキシ、置換もしくは無置換のアリールチオ、または置換シリルであり、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記ジヘテロアリールアミノの2つのヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記アリールヘテロアリールアミノのアリールとヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、
Ar21~Ar28のいずれか2つが、それぞれ独立して、置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリールであり、他の6つが、それぞれ独立して、水素、置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のジアリールアミノ、置換もしくは無置換のジヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアリールヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、置換もしくは無置換のアルケニル、置換もしくは無置換のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリールオキシ、置換もしくは無置換のアリールチオ、または置換シリルであり、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記ジヘテロアリールアミノの2つのヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記アリールヘテロアリールアミノのアリールとヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合している、
<1>に記載の有機電界発光素子。
<3> 式(1)において
Arが水素、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、または置換シリルであり、
Ar11~Ar18のいずれか2つが、それぞれ独立して、置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリールであり、他の6つが、それぞれ独立して、水素、置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のジアリールアミノ、置換もしくは無置換のジヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアリールヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、置換もしくは無置換のアルケニル、置換もしくは無置換のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリールオキシ、置換もしくは無置換のアリールチオ、または置換シリルであり、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記ジヘテロアリールアミノの2つのヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記アリールヘテロアリールアミノのアリールとヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合している、
<1>に記載の有機電界発光素子。
<4> 式(1)で表されるアントラセン化合物が、式(1-a)または式(1-b)で表される、<1>~<3>のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
Figure 2022115606000002
(式(1-a)および式(1-b)中、
Lは単結合、アルキレン、シクロアルキレン、アリーレン、またはヘテロアリーレンであり、これらの少なくとも1つの水素はアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、または置換シリルで置換されているか、または置換されておらず、
は、水素、アルキル、シクロアルキル、または置換シリルであり、
Ar24およびAr25はアリールまたはヘテロアリールであり、これらの少なくとも1つの水素は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ(2つのアリールは結合していないか、または連結基を介して結合している)、または置換シリルで置換されているか、または置換されておらず、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており;
式(1-a)中、
Arはアリールまたはヘテロアリールであり、これらの少なくとも1つの水素は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、または置換シリルで置換されているか、または置換されておらず、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており;
式(1-b)中、
Arは水素、アルキル、シクロアルキル、または置換シリルであり、
Ar11およびAr18はアリール、またはヘテロアリールであり、これらの少なくとも1つの水素は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、または置換シリルで置換されているか、または置換されておらず、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、そして;
式(1-a)および式(1-b)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、ハロゲン、シアノ、または重水素で置換されているか、または置換されていない。)
<5> 式(2)で表される多環芳香族化合物または式(2)で表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体が、式(2-a)で表される多環芳香族化合物または式(2-a)で表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体である、<1>に記載の有機電界発光素子。
Figure 2022115606000003
(式(2-a)中、
Zはそれぞれ独立して、NまたはC-R11であり、R11はそれぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、アリールオキシ、アリールチオ、または置換シリルであり、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記ジヘテロアリールアミノの2つのヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記アリールヘテロアリールアミノのアリールとヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記ジアリールボリルの2つのアリールは互いに結合していないか、または、単結合もしくは連結基を介して結合しており、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、または置換シリルで置換されていてもよく、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており;
隣接する2つのR11は互いに結合して、アリール環またはヘテロリール環を形成しているか、または、アリール環もしくはヘテロリール環を形成していないが、前記形成されたアリール環およびヘテロリール環はそれぞれ、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、アリールオキシ、アリールチオ、または置換シリルで置換されていているか、または置換されておらず、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記ジヘテロアリールアミノの2つのヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記アリールヘテロアリールアミノのアリールとヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記ジアリールボリルの2つのアリールは互いに結合していないか、または、単結合もしくは連結基を介して結合しており、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、または置換シリルで置換されているか、または置換されていないが、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており;
Z=Zはそれぞれ独立して>O、>N-R、>C(-R)、>Si(-R)、>S、または>Seであるか、またはそうではなく、前記>N-R、前記>C(-R)および前記>Si(-R)のRはそれぞれ独立して水素、アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキルであり、これらにおける少なくとも1つの水素はさらに、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、または置換シリルで置換されているか、または置換されておらず、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記>C(-R)および前記>Si(-R)の2つのRは互いに結合して環を形成しているか、または形成しておらず;
およびXは、それぞれ独立して、>O、>N-R、>C(-R)、>Si(-R)、>S、または>Seであり、前記>N-R、前記>C(-R)、および前記>Si(-R)のRは水素、アリール、ヘテロアリール、アルキル、またはシクロアルキルであり、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、または置換シリルで置換されているか、または置換されておらず、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記>C(-R)および前記>Si(-R)の2つのRは互いに結合して環を形成しているか、または形成しておらず、前記>N-RのR、前記>C(-R)および前記>Si(-R)のRの少なくとも1つのRは、-O-、-S-、-C(-R)-、または単結合により、C-R11であるZにおけるCの1つまたは2つと結合しているか、または結合しておらず、前記-C(-R)-のRは、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、アルキル、またはシクロアルキルであり、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、または置換シリルで置換されていているか、または置換されておらず、また前記-C(-R)-の2つのRは、互いに結合して環を形成しているか、または形成しておらず、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており;
式(2-a)で表される構造における、アリール環またはヘテロアリール環の少なくとも1つは、少なくとも1つのシクロアルカンで縮合されていないか、縮合されており、当該シクロアルカンにおける少なくとも1つの水素は置換されているか、または置換されておらず、当該シクロアルカンにおける少なくとも1つの-CH-は-O-で置換されていているか、または置換されておらず、そして;
式(2-a)で表される構造における少なくとも1つの水素はシアノ、ハロゲン、または重水素で置換されているか、または置換されていない。)
<6> <1>~<5>のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を備えた、表示装置および照明装置。
<7> 式(1’)で表されるアントラセン化合物。
Figure 2022115606000004
(式(1’)中、
Arは、置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のジアリールアミノ、置換もしくは無置換のジヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアリールヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、置換もしくは無置換のアルケニル、置換もしくは無置換のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリールオキシ、置換もしくは無置換のアリールチオ、または置換シリルであり、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記ジヘテロアリールアミノの2つのヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記アリールヘテロアリールアミノのアリールとヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、
は、水素、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、または置換シリルであり、
Ar11~Ar18、Ar21~Ar23、およびAr26~Ar28は、それぞれ独立して、水素、置換もしくは無置換のジアリールアミノ、置換もしくは無置換のジヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアリールヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、置換もしくは無置換のアルケニル、置換もしくは無置換のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリールオキシ、置換もしくは無置換のアリールチオ、または置換シリルであり、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記ジヘテロアリールアミノの2つのヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記アリールヘテロアリールアミノのアリールとヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、
Ar24およびAr25は、置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のジアリールアミノ、置換もしくは無置換のジヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアリールヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、置換もしくは無置換のアルケニル、置換もしくは無置換のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリールオキシ、置換もしくは無置換のアリールチオ、または置換シリルであり、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記ジヘテロアリールアミノの2つのヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記アリールヘテロアリールアミノのアリールとヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、
Lは、置換もしくは無置換のアルキレン、置換もしくは無置換のシクロアルキレン、置換もしくは無置換のアリーレン、または式(B)で表される2価の基であり、
式(B)中、Zはそれぞれ独立してNもしくはC-Rであり、C-RのRは、結合手、水素、または置換基であり、隣接するRは互いに結合してアリール環、またはヘテロアリール環を形成しているか、または形成しておらず、前記の形成された環の炭素原子はRで置換されており、Yは>N-RYB、>C(-RYB、>Si(-RYB、>S、または>Seであり、前記>N-RYB、前記>C(-RYB、または前記>Si(-RYBのRYBはそれぞれ独立して、水素、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリールであり、前記>C(-RYB、および前記>Si(-RYBの2つのRYBは互いに結合して環を形成していないか、または形成しており、*は式(B)で表される基の結合位置を示し、そして;
式(1’)で表される化合物における少なくとも1つの水素はハロゲン、シアノ、または重水素で置換されているか、または置換されていない。)
<8> 式(1-a’)で表される、請求項7記載のアントラセン化合物。
Figure 2022115606000005
(式(1-a’)中、
Lはアリーレン、または式(B)で表される2価の基であり、
は、水素、アルキル、シクロアルキル、または置換シリルであり、
Ar、Ar24およびAr25はアリール、またはヘテロアリールであり、これらの少なくとも1つの水素は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、または置換シリルで置換されているか、または置換されておらず、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、
式(B)中、Zはそれぞれ独立してNもしくはC-Rであり、C-RのRは、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、または置換シリルであり、これらの少なくとも1つの水素は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、または置換シリルで置換されているか、または置換されておらず、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、*は式(B)で表される基の結合位置を示し、
は>N-RYB、>C(-RYB>Si(-RYB、>S、または>Seであり、前記>N-RYB、前記>C(-RYB、および前記>Si(-RYBのRYBは、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールであり、これらの少なくとも1つの水素は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、または置換シリルで置換されているか、または置換されておらず、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記>C(-RYB、および前記>Si(-RYBの2つのRYBは互いに結合して環を形成するか、または形成されておらず、そして;
式(1-a’)で表される化合物における少なくとも1つの水素はハロゲン、シアノ、または重水素で置換されているか、または置換されていない。)
<9> 式(1’)および式(1-a’)において、少なくとも1つの水素が重水素に置換されている、<7>または<8>に記載のアントラセン化合物。
<10> 下記いずれかの式で表される、<7>~<9>のいずれか一項に記載のアントラセン化合物。
Figure 2022115606000006
(上記式中、Dは重水素を示す。)
本発明により新たな材料の組み合わせを用いた有機EL素子が提供される。本発明の有機EL素子は色純度が高く、高い外部量子効率を有するとともに低電圧での発光が可能である。また、本発明により、上記有機EL素子の製造に用いることができるアントラセン化合物が提供される。
本発明の有機EL素子の一例を示す概略断面図である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は「~」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。また、本明細書において構造式の説明における「水素」は「水素原子(H)」を意味する。
本明細書において化学構造や置換基を炭素数で表すことがあるが、化学構造に置換基が置換した場合や、置換基にさらに置換基が置換した場合などにおける炭素数は、化学構造や置換基それぞれの炭素数を意味し、化学構造と置換基の合計の炭素数や、置換基と置換基の合計の炭素数を意味するものではない。例えば、「炭素数Xの置換基Aで置換された炭素数Yの置換基B」とは、「炭素数Yの置換基B」に「炭素数Xの置換基A」が置換することを意味し、炭素数Yは置換基Aおよび置換基Bの合計の炭素数ではない。また例えば、「置換基Aで置換された炭素数Yの置換基B」とは、「炭素数Yの置換基B」に「(炭素数限定がない)置換基A」が置換することを意味し、炭素数Yは置換基Aおよび置換基Bの合計の炭素数ではない。
本明細書に記載されている化学構造式(マーカッシュ構造式で描かれた一般式を含む)は平面構造式であるために、実際にはエナンチオ異性体、ジアステレオ異性体、また回転異性体のような種々の異性体構造が存在する場合がある。本明細書においては、特に断らない限りは、記載されている化合物はその平面構造式から考えうる、いずれの異性体構造であってもよい。また可能な異性体から構成される任意の比率の混合物であってもよい。
本明細書では芳香族化合物の構造式について多数記載している。芳香族化合物は2重結合と単結合を組み合わせて記載しているが、実際にはπ電子が共鳴しているため単一の物質についても、2重結合と単結合が交互に入れ替わるなどする等価な共鳴構造が複数存在する。本明細書においては1つの物質につき1つの共鳴構造式しか記載しないが、特段断らない限りは、有機化学的に等価であるその他の共鳴構造式も含まれているものとする。このことは後述する「Z=Z」などの記載で参照される。すなわち、例えば後述する式(2-a)中の「Z=Z」に関する記載などは、記載されている1つの共鳴構造式だけではなく、考えられるそのほかの等価な共鳴構造式にも当然適用される。
Figure 2022115606000007
<有機電界発光素子>
本発明の有機電界発光素子は、陽極および陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に配置される発光層とを有する。図1は、本発明の有機EL素子の一例を示す概略断面図である。
図1に示された有機EL素子100は、基板101と、基板101上に設けられた陽極102と、陽極102の上に設けられた正孔注入層103と、正孔注入層103の上に設けられた正孔輸送層104と、正孔輸送層104の上に設けられた発光層105と、発光層105の上に設けられた電子輸送層106と、電子輸送層106の上に設けられた電子注入層107と、電子注入層107の上に設けられた陰極108とを有する。
なお、有機EL素子100は、作製順序を逆にして、例えば、基板101と、基板101上に設けられた陰極108と、陰極108の上に設けられた電子注入層107と、電子注入層107の上に設けられた電子輸送層106と、電子輸送層106の上に設けられた発光層105と、発光層105の上に設けられた正孔輸送層104と、正孔輸送層104の上に設けられた正孔注入層103と、正孔注入層103の上に設けられた陽極102とを有する構成としてもよい。
上記各層すべてがなくてはならないわけではなく、最小構成単位を陽極102と発光層105と陰極108とからなる構成として、正孔注入層103、正孔輸送層104、電子輸送層106、電子注入層107は任意に設けられる層である。また、上記各層は、それぞれ単一層からなってもよいし、複数層からなってもよい。
有機EL素子を構成する層の態様としては、上述する「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」の構成態様の他に、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子注入層/陰極」の構成態様であってもよい。
<有機電界発光素子における発光層>
発光層105は、電界を与えられた電極間において、陽極102から注入された正孔と、陰極108から注入された電子とを再結合させることにより発光するものである。発光層105を形成する材料としては、正孔と電子との再結合によって励起されて発光する化合物(発光性化合物)であればよく、安定な薄膜形状を形成することができ、かつ、固体状態で強い発光(蛍光)効率を示す化合物であることが好ましい。
有機EL素子の発光機構としては、励起一重項状態からの発光を用いる蛍光発光および励起三重項状態からの発光を用いるりん光発光の主に2つがある。一般的な蛍光発光材料は、励起子利用効率が低く、最大でも25%である。しかし、複数の三重項励起子から一重項励起子が生成する現象(三重項-三重項フュージョン(TTF:Triplet-Triplet Fusion)を用いて最大40~62.5%のエネルギーを発光に利用できる。
三重項励起子からの一重項励起子の生成はホスト材料分子上で起こる場合とドーパント材料分子上で起こる場合の2通りがある。このときドーパント材料の三重項エネルギー準位は、ホスト材料の三重項エネルギー準位より高いことが好ましい。この三重項エネルギー準位の関係を満たすと、ホスト材料上で発生した三重項励起子は、より高い三重項エネルギーを持つドーパント材料には移動しない。また、ドーパント材料分子上で発生した三重項励起子は速やかにホスト材料分子にエネルギー移動する。即ちホスト材料の三重項励起子がドーパント材料に移動することなく効率的にホスト材料上で三重項励起子同士が衝突することで一重項励起子が生成される。さらに、ドーパント材料の一重項エネルギー準位がホスト材料の一重項エネルギー準位より低い場合、TTF現象によって生成された一重項励起子は、ホスト材料からドーパント材料へ速やかにエネルギー移動しドーパント材料の蛍光性発光に寄与する。また、このときのホストからドーパントへのエネルギー移動はフェルスター型エネルギー移動である。一般的に、有機EL素子では、ホストの蛍光スペクトルとドーパントの吸収スペクトルの重なり積分が大きく、ホストとドーパントが近接し適切な配向をとっている場合に高効率なフェルスター型エネルギー移動が起こることが知られている。
本発明の式(1)で表されるアントラセン化合物であるホスト材料と、式(2)で表されるホウ素を有する多環芳香族化合物であるドーパント材料とを利用すれば、前述のホストとドーパントの適切なエネルギー準位の関係、および高効率なフェルスター型エネルギー移動が起こる条件を満たした材料・素子設計が可能となる。その結果、本発明の発光層ではTTF現象を効率的に発生することができ、良好な素子特性を与えることができる。本発明の式(1)で表されるアントラセン化合物は、分子全体におけるアントラセン環の割合が大きいため、効率的なTTFを起こすことができる。そのため式(1)で表されるアントラセン化合物を発光層のホストに用いた有機電界発光素子は、高い発光効率を与える。
本発明の有機電界発光素子の発光層は、ホスト材料として式(1)で表されるアントラセン化合物およびドーパント材料として式(2)で表される多環芳香族化合物または式(2)で表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体を含む。
<アントラセン化合物>
本発明の有機EL素子の発光層に含まれるアントラセン化合物は下記式(1)で表される化合物である。
Figure 2022115606000008
は、水素、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、または置換シリルであり、Ar、Ar11~Ar18およびAr21~Ar28は、それぞれ独立して、水素、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のジアリールアミノ、置換もしくは無置換のジヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアリールヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、置換もしくは無置換のアルケニル、置換もしくは無置換のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリールオキシ、置換もしくは無置換のアリールチオ、または置換シリルであり、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記ジヘテロアリールアミノの2つのヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記アリールヘテロアリールアミノのアリールとヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、ただし、Ar21~Ar28の少なくとも2つは、それぞれ独立して、置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリールであり、Lは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン、置換もしくは無置換のシクロアルキレン、置換もしくは無置換のアリーレン、または置換もしくは無置換のヘテロアリーレンである。
第1の置換基としての「アリール」としては、例えば、炭素数6~30のアリールがあげられ、炭素数6~16のアリールが好ましく、炭素数6~12のアリールがより好ましく、炭素数6~10のアリールが特に好ましい。
具体的な「アリール」としては、単環系であるフェニル、二環系であるビフェニリル、縮合二環系であるナフチル、三環系であるテルフェニリル(m-テルフェニリル、o-テルフェニリル、p-テルフェニリル)、縮合三環系である、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントレニル、縮合四環系であるトリフェニレニル、ピレニル、ナフタセニル、ベンゾフルオレニル、縮合五環系であるペリレニル、ペンタセニルなどがあげられる。なお、本明細書において、「フルオレニル」というときは、フルオレニル、またはフルオレニルのメチレンの2つの水素のうちの1つもしくは2つがアルキル、アリール、またはヘテロアリールに置換したもの、または、2つのアルキル、2つのアリール、もしくは2つのヘテロアリールが互いに結合して環を形成したもの(スピロ構造を持つもの)を意味するものとする。また、「ベンゾフルオレニル」というときは、ベンゾフルオレニル、または、ベンゾフルオレニルのメチレンの2つの水素のうちの1つもしくは2つがアルキル、アリール、またはヘテロアリールに置換したもの、または、2つのアルキル、2つのアリール、もしくは2つのヘテロアリールが互いに結合して環を形成したもの(スピロ構造を持つもの)を意味するものとする。
第1の置換基としての「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2~30のヘテロアリールがあげられ、炭素数2~25のヘテロアリールが好ましく、炭素数2~20のヘテロアリールがより好ましく、炭素数2~15のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数2~10のヘテロアリールが特に好ましい。また、ヘテロアリールとしては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄、および窒素から選ばれるヘテロ原子を1~5個含有する複素環などがあげられる。
具体的な「ヘテロアリール」としては、例えば、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、イソインドリル、1H-インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H-ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、カルボリル、アクリジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、インドリジニル、フリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、チエニル、ベンゾ[b]チエニル、ジベンゾチエニル、フラザニル、オキサジアゾリル、チアントレニル、ナフトベンゾフラニル、ナフトベンゾチエニルなどがあげられる。また後述のBO環より水素を1つ除いた1価の基もヘテロアリールに含む。
また、後述する式(A)に関しても、「アリール」(ZがすべてC-RZAであり、かつYが>C(-RYAの場合)、または「ヘテロアリール」(少なくとも1つのZがNである場合、および/または、Yが>N-RYA、>Si(-RYA、>S、>Oもしくは>Seの場合)として参照できる。
また、「アリール」、「ヘテロアリール」としては、後述する「アリール環」、「ヘテロアリール環」から水素を1つ除いた1価の基もあげることもできる。
第1の置換基としての「ジアリールアミノ」、「ジヘテロアリールアミノ」、「アリールヘテロアリールアミノ」中のそれぞれにおけるアリールやヘテロアリールとしては、上述した「アリール」や「ヘテロアリール」として説明したものを引用することができる。
具体的には、ジフェニルアミノ、ジナフチルアミノ、フェニルナフチルアミノ、ジピリジルアミノ、フェニルピリジルアミノ、ナフチルピリジルアミノなどがあげられる。
第1の置換基としてのジアリールアミノ(2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合している)、ジヘテロアリールアミノ(2つのヘテロアリールは結合していないか、または連結基を介して結合している)、アリールヘテロアリールアミノ(アリールとヘテロアリールは結合していないか、または連結基を介して結合している)における「2つのヘテロアリールは結合していないか、または連結基を介して結合している」という記載は、下記に示すように例えばジフェニルアミノ基の2つのフェニル基が連結基で結合を形成することを表す。またこの説明はアリールやヘテロアリールで形成された、ジヘテロアリールアミノ、およびアリールヘテロアリールアミノについても適用される。
Figure 2022115606000009
連結基としては具体的には、>O、>N-R、>C(-R、>Si(-R、>S、>CO、>CS、>SO、>SO、および>Seがあげられ、Rはそれぞれ独立してアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、これらはアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールで置換されていてもよく、また>C(-R、>Si(-R、におけるRは、単結合または連結基Xを介して結合して環を形成してもよい。Xとしては>O、>N-R、>C(-R、>Si(-R、>S、>CO、>CS、>SO、>SO、および>Seがあげられ、Rはそれぞれ独立してアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、これらはアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールで置換されているか、または置換されていない。ただしXが>C(-Rおよび>Si(-Rの場合には、2つのRは結合してさらに環を形成することはない。さらに連結基としては、アルケニレンもあげられる。アルケニレンの任意の少なくとも1つの水素はそれぞれ独立してRで置換されているか、または置換されておらず、Rはそれぞれ独立してアルキル、シクロアルキル、置換シリル、アリールおよびヘテロアリールであり、これらはアルキル、シクロアルキル、置換シリル、アリールで置換されているか、または置換されていない。
なお、本明細書で単に「ジアリールアミノ」、「ジヘテロアリールアミノ」または「アリールヘテロアリールアミノ」と記載されている場合は、特に断りがなければ、それぞれ「ジアリールアミノの2つのアリールは結合していないか、または連結基を介して結合している」、「ジヘテロアリールアミノの2つのヘテロアリールは結合していないか、または連結基を介して結合している」および「アリールヘテロアリールアミノのアリールとヘテロアリールは結合していないか、または連結基を介して結合している」という説明が加わっているものであるとする。
第1の置換基としての「アルキル」としては、直鎖および分岐鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1~24の直鎖アルキルまたは炭素数3~24の分岐鎖アルキルがあげられる。炭素数1~18のアルキル(炭素数3~18の分岐鎖アルキル)が好ましく、炭素数1~12のアルキル(炭素数3~12の分岐鎖アルキル)がより好ましく、炭素数1~6のアルキル(炭素数3~6の分岐鎖アルキル)がさらに好ましく、炭素数1~4のアルキル(炭素数3~4の分岐鎖アルキル)が特に好ましい。
第1の置換基としての具体的な「アルキル」としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t-ペンチル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、n-オクチル、t-オクチル、1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘプチル、2,6-ジメチル-4-ヘプチル、3,5,5-トリメチルヘキシル、n-デシル、n-ウンデシル、1-メチルデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、1-ヘキシルヘプチル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-エイコシルなどがあげられる。
第1の置換基としての「シクロアルキル」としては、例えば、炭素数3~24のシクロアルキルがあげられ、炭素数3~20のシクロアルキルが好ましく、炭素数3~16のシクロアルキルがより好ましく、炭素数3~14のシクロアルキルがさらに好ましく、炭素数5~10のシクロアルキルがさらに好ましく、炭素数5~8のシクロアルキルが特に好ましく、炭素数5~6のシクロアルキルが最も好ましい。
具体的なシクロアルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、ノルボルネニル、ビシクロ[1.1.0]ブチル、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、ビシクロ[2.1.0]ペンチル、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル、ビシクロ[3.1.0]ヘキシル、ビシクロ[2.1.0]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンチル、ジアマンチル、デカヒドロナフタレニル、デカヒドロアズレニル、およびこれらの炭素数1~4のアルキル(特にメチル)置換体などがあげられる。
第1の置換基としての「アルケニル」としては、炭素数2~24の直鎖アルケニルまたは炭素数4~24の分岐鎖アルケニルがあげられる。炭素数2~18のアルケニルが好ましく、炭素数2~12のアルケニルがより好ましく、炭素数2~6のアルケニルがさらに好ましく、炭素数2~4のアルケニルが特に好ましい。
具体的な「アルケニル」としては、ビニル、アリル、ブタジエニルなどがあげられる。
第1の置換基としての「アルコキシ」としては、例えば、炭素数1~24の直鎖または炭素数3~24の分岐鎖のアルコキシがあげられる。炭素数1~18のアルコキシ(炭素数3~18の分岐鎖のアルコキシ)が好ましく、炭素数1~12のアルコキシ(炭素数3~12の分岐鎖のアルコキシ)がより好ましく、炭素数1~6のアルコキシ(炭素数3~6の分岐鎖のアルコキシ)がさらに好ましく、炭素数1~4のアルコキシ(炭素数3~4の分岐鎖のアルコキシ)が特に好ましい。
具体的な「アルコキシ」としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシなどがあげられる。
第1の置換基としての「アリールオキシ」としては、-OH基の水素がアリールで置換された基であり、このアリールは上述した「アリール」として説明したものを引用することができる。
第1の置換基としての「アリールチオ」としては、-SH基の水素がアリールで置換された基であり、このアリールは上述した「アリール」として説明したものを引用することができる。
第1の置換基としての「置換シリル」としては、トリアルキルシリルがあげられる。「トリアルキルシリル」としては、シリルにおける3つの水素がそれぞれ独立してアルキルで置換されたものがあげられ、このアルキルは上述した「アルキル」として説明したものを引用することができる。置換するのに好ましいアルキルは、炭素数1~4のアルキルであり、具体的にはメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、シクロブチルなどがあげられる。
具体的な「トリアルキルシリル」としては、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリi-プロピルシリル、トリブチルシリル、トリsec-ブチルシリル、トリt-ブチルシリル、エチルジメチルシリル、プロピルジメチルシリル、i-プロピルジメチルシリル、ブチルジメチルシリル、s-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、メチルジエチルシリル、プロピルジエチルシリル、i-プロピルジエチルシリル、ブチルジエチルシリル、s-ブチルジエチルシリル、t-ブチルジエチルシリル、メチルジプロピルシリル、エチルジプロピルシリル、ブチルジプロピルシリル、s-ブチルジプロピルシリル、t-ブチルジプロピルシリル、メチルジi-プロピルシリル、エチルジi-プロピルシリル、ブチルジi-プロピルシリル、s-ブチルジi-プロピルシリル、t-ブチルジi-プロピルシリルなどがあげられる。
また、第1の置換基の「ジアリールボリル」中の「アリール」としては、上述したアリールの説明を引用できる。また、この2つのアリールは単結合または連結基(例えば>C(-R)、>O、>Sまたは>N-R)を介して結合していないか、または結合している。ここで、>C(-R)および>N-RのRは、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ(2つのアリールは互いに結合していないか、または結合している)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシ(以上、第1置換基)であり、当該第1置換基にはさらにアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキル(以上、第2置換基)が置換しているか、または置換していない。これらの基の具体例としては、上述した第1置換基としてのアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ(2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合している)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、またはアリールオキシの説明を引用できる。
上記で説明した第1の置換基(第1置換基)は、「置換または無置換」と説明されているとおり、それらにおける少なくとも1つの水素が第2の置換基で置換されているか、または置換されていない。この第2の置換基(第2置換基)としては、好ましくは、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、または置換シリルがあげられ、それらの具体例は、第1の置換基としての「アリール」、「ヘテロアリール」、「ジアリールアミノ」、「アルキル」、「シクロアルキル」および「置換シリル」の説明を参照することができる。また、第2の置換基としてのアリールやヘテロアリールには、それらにおける少なくとも1つの水素が、フェニルなどのアリール(具体例は上述した基)、メチル、t-ブチルなどのアルキル(具体例は上述した基)またはシクロヘキシルなどのシクロアルキル(具体例は上述した基)で置換された構造も第2の置換基としてのアリールやヘテロアリールに含まれる。その一例としては、第2の置換基がカルバゾリルの場合には、9位における少なくとも1つの水素が、フェニルなどのアリール、メチルなどのアルキルまたはシクロヘキシルなどのシクロアルキルで置換されたカルバゾリルも第2の置換基としてのヘテロアリールに含まれる。この記載は特段の記載がない限り、本明細書中においてそのほかの第1置換基と第2置換基に関する説明にも適用できる。また本明細書中のそのほかの「置換または無置換の」という説明に関しても、特段の断りがない限りは、上記の記載が参照できる。
「置換のアリール」としては、下記式(1-X1)~式(1-X8)のいずれかで表される基であることも好ましい。
Figure 2022115606000010
式(1-X1)~式(1-X8)において、*は結合位置を示す。
式(1-X1)~式(1-X8)において、Ar41~Ar50は、それぞれ独立して、水素、フェニル、ビフェニリル、テルフェニリル、クアテルフェニリル、ナフチル、フェナントリル、フルオレニル、ベンゾフルオレニル、クリセニル、トリフェニレニル、ピレニル、アントラセニル、または後述の式(A)で表される基である。
また、式(1-X1)~式(1-X8)で表される基のそれぞれにおけるいずれか1つまたは2つ以上の水素は、炭素数1~6のアルキル(好ましくはメチルまたはt-ブチル)で置換されていているか、または置換されていない。
さらに、「置換のアリール」の好ましい例としては、フェニル、ビフェニリル、テルフェニリル、ナフチル、フェナントリル、フルオレニル、クリセニル、トリフェニレニル、ピレニル、および後述の式(A)で表される基からなる群より選択される1つ以上の置換基で置換されているか、または置換されていないテルフェニリル(特に、m-テルフェニル-5’-リル)があげられる。
「置換もしくは無置換のアリール」としては、後述の式(A)(すべてのZがC-RZAであり、かつYが>C(-RYAの場合)で表される基もあげられる。
「置換もしくは無置換のヘテロアリール」としては、後述の式(A)(Zの少なくとも1つがNの場合、および/またはYが>N-RYA、>Si(-RYA、>S、または>Seの場合)で表される基もあげられる。
Lは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン、置換もしくは無置換のシクロアルキレン、置換もしくは無置換のアリーレン、または置換もしくは無置換のヘテロアリーレンである。「アルキレン」、「シクロアルキレン」、「アリーレン」、「ヘテロアリーレン」としては、それぞれ上述の「アルキル」、「シクロアルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」より1つの水素を除いた2価の基をあげることができる。また「アリーレン」または「ヘテロアリーレン」としては、後述する式(B)で表される2価の基もあげられる。また「置換もしくは無置換」という説明に関しては上述の説明を参照することができるが、この形態においては無置換であることが好ましい。
式(1)中、ArおよびAr11~Ar18の置換の形態について説明する。具体的な形態の1つとしては、Arが置換もしくは無置換のアリール、または、置換もしくは無置換のヘテロアリールであり、Ar11~Ar18が、それぞれ独立して、水素、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のジアリールアミノ(2つのアリールは結合していないか、または連結基を介して結合している)、置換もしくは無置換のジヘテロアリールアミノ(2つのアリールは結合していないか、または連結基を介して結合している)、置換もしくは無置換のアリールヘテロアリールアミノ(2つのアリールは結合していないか、または連結基を介して結合している)、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、置換もしくは無置換のアルケニル、置換もしくは無置換のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリールオキシ、置換もしくは無置換のアリールチオ、または、置換シリルである形態があげられる。この形態においては、Ar11~Ar18がすべて水素であることも好ましい。
また、式(1)中、ArおよびAr11~Ar18の置換の別の形態としては、Arが水素、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、または置換シリルであり、Ar11~Ar18のいずれか2つが、それぞれ独立して、置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリールであり、他の6つが、それぞれ独立して、水素、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のジアリールアミノ(2つのアリールは結合していないか、または連結基を介して結合している)、置換もしくは無置換のジヘテロアリールアミノ(2つのアリールは結合していないか、または連結基を介して結合している)、置換もしくは無置換のアリールヘテロアリールアミノ(2つのアリールは結合していないか、または連結基を介して結合している)、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、置換もしくは無置換のアルケニル、置換もしくは無置換のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリールオキシ、置換もしくは無置換のアリールチオ、または、置換シリルである。前記の「他の6つ」はすべて水素であることも好ましい。「Ar11~Ar18のいずれか2つが、それぞれ独立して、置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリールである」形態としては、Ar11またはAr18の少なくとも1つが、置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリールであることが好ましく、Ar11およびAr18がいずれも、置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリールであることがより好ましく、無置換のアリールまたは無置換のヘテロアリールであることがさらに好ましい。また具体的には下記のような、式(1-Z1)~式(1-Z6)で表される形態があげられるが、式(1-Z1)、式(1-Z2)、および式(1-Z6)で表される形態が好ましく、式(1-Z1)で表される形態が最も好ましい。なお式中の各記号の定義は、明細書中の説明を参照できる。
Figure 2022115606000011
式(1)中、Ar21~Ar28の少なくとも2つが置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリールであり、他の6つが、それぞれ独立して、水素、置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のジアリールアミノ(2つのアリールは結合していないか、または連結基を介して結合している)、置換もしくは無置換のジヘテロアリールアミノ(2つのアリールは結合していないか、または単結合または連結基を介して結合している)、置換もしくは無置換のアリールヘテロアリールアミノ(2つのアリールは結合していないか、または単結合または連結基を介して結合している)、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、置換もしくは無置換のアルケニル、置換もしくは無置換のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリールオキシ、置換もしくは無置換のアリールチオ、または置換シリルである。前記「他の6つ」はすべて水素であることも好ましい。「Ar21~Ar28の少なくとも2つが置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリールである」という置換の形態としては、Ar24またはAr25の少なくとも1つが、置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリールであることが好ましく、Ar24およびAr25がいずれも、置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリールであることがより好ましく、無置換のアリールまたは無置換のヘテロアリールであることがさらに好ましい。具体的な形態としては、下記式(1-Y1)~式(1Y-6)で表されるような形態があげられるが、式(1-Y1)、式(1-Y2)、および式(1-Y6)で表される形態が好ましく、式(1-Y1)で表される形態が最も好ましい。式中の各記号の定義は、明細書中の説明を参照できる。
Figure 2022115606000012
以下、式(A)で表される1価の基について説明する。式(A)で表される1価の基においては、*が結合位置を示す。すなわち、式(A)で表される基はいずれの位置を結合位置としていてもよい。そのうち、式(A)の構造中の2つのベンゼン環上のいずれかの炭素原子、式(A)の構造中のC-RZAのうち隣接する基が互いに結合して形成されたいずれかの環(アリール環、またはヘテロアリール環)上の炭素原子に置換したRZAが結合手となってもよく、または後述する式(A)の構造中のYとしての「>N-RYA」におけるNと直接結合する基であってもよい。またRYAまたはRZAの1つの水素が除かれて結合手となってもよい。
Figure 2022115606000013
式(A)中、Yはそれぞれ独立して、>O、>N-RYA、>C(-RYA、>Si(-RYA、>S、または>Seである。RYAは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリールであり、>C(-RYA、>Si(-RYAの2つのRYAは互いに結合して環を形成していないか、または形成している。また、式(A)中、Zはそれぞれ独立して、NまたはC-RZAであり、RZAは、水素、または置換基であり、または結合手である。置換基としては、具体的には置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のジアリールアミノ(2つのアリールは結合していないか、または連結基を介して結合している)、置換もしくは無置換のジヘテロアリールアミノ(ヘテロアリールは結合していないか、または連結基を介して結合している)、置換もしくは無置換のアリールヘテロアリールアミノ(アリールとヘテロアリールは結合していないか、または連結基を介して結合している)、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、置換もしくは無置換のアルケニル、置換もしくは無置換のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリールオキシ、置換もしくは無置換のアリールチオ、または置換シリルが好ましいが、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、または置換もしくは無置換のアルキルがより好ましく、RZAはすべて水素であることが最もさらに好ましい。またZはすべてC-RZAであることが好ましい。また隣接するRZAは互いに結合してアリール環、またはヘテロアリール環(アリール環、ヘテロアリール環に関しては後述する明細書中の記載を参照できる)を形成しているか、または形成していない。そして前記の形成された環の炭素原子はRZAで置換されており、その定義と好ましい範囲は前記と同様である。
式(A)で表される基としては、例えば下記式(A-1)~式(A-11)のいずれかで表される基があげられ、式(A-1)~式(A-4)のいずれかで表される基が好ましく、式(A-1)、式(A-3)および式(A-4)のいずれかで表される基がより好ましく、式(A-1)で表される基がさらに好ましい。
Figure 2022115606000014
式(A)中のY、および式(A-1)~式(A-11)それぞれにおけるYは、>O、>N-RYA、>C(-RYA、または>Sであることが好ましく、>O、または>N-RYAであることがより好ましく、>Oであることが最も好ましい。
式(A)で表される1価の基としては、例えば以下の式で表される基があげられる。式中のYおよび*は上記と同じ定義であり、Yの好ましい範囲も上記と同じである。なおYは式(A)の構造中のC-RZAの隣接する基が互いに結合して形成されたヘテロアリール環の構成部位を表し、例えば>O、>N-RYC、>C(-RYC、>Si(-RYC、>S、または>Seがあげられ、RYCはRYAの定義がそのまま適用できる。
Figure 2022115606000015
Figure 2022115606000016
Figure 2022115606000017
また式(1)で表されるアントラセン化合物の好ましい形態として、下記式(1-a)または下記式(1-b)で表されるアントラセン化合物をあげることができる。
Figure 2022115606000018
式(1-a)および式(1-b)中、RおよびLは上記の定義と同じであり、Ar、Ar11、Ar18、Ar24およびAr25はアリール、またはヘテロアリールであり、これらの少なくとも1つの水素は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ(2つのアリールは結合していないか、または連結基を介して結合している)、または置換シリルで置換されていてもよく、式(1-a)中、Arはアリール、またはヘテロアリールであり、これらの少なくとも1つの水素は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ(2つのアリールは結合していないか、または連結基を介して結合している)、または、置換シリルで置換されているか、置換されていない。式(1-b)中、Arは水素、アルキル、シクロアルキル、または置換シリルであり、好ましくは水素である。式(1-a)および式(1-b)で表される化合物における少なくとも1つの水素はハロゲン、シアノ、または重水素で置換されているか、または置換されていない。これらの用語の説明としては、上記のものを参照することができる。
また、好ましいアントラセン化合物として、下記式(1’)で表されるアントラセン化合物をあげることができる。
Figure 2022115606000019
式(1’)中、Ar、Ar24およびAr25は、置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のジアリールアミノ(2つのアリールは結合していないか、または連結基を介して結合している)、置換もしくは無置換のジヘテロアリールアミノ(2つのヘテロアリールは結合していないか、連結基を介して結合している)、置換もしくは無置換のアリールヘテロアリールアミノ(アリールとヘテロアリールは結合していないか、または連結基を介して結合している)、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、置換もしくは無置換のアルケニル、置換もしくは無置換のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリールオキシ、置換もしくは無置換のアリールチオ、または置換シリルであり、置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリールであることが好ましく、無置換のアリールまたは無置換のヘテロアリールであることがより好ましい。
は、水素、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、または置換シリルであり、
Ar11~Ar18、Ar21~Ar23、およびAr26~Ar28は、それぞれ独立して、水素、置換もしくは無置換のジアリールアミノ(2つのアリールは結合していないか、または連結基を介して結合している)、置換もしくは無置換のジヘテロアリールアミノ(2つのヘテロアリールは結合していないか、または連結基を介して結合している)、置換もしくは無置換のアリールヘテロアリールアミノ(アリールとヘテロアリールは結合していないか、または連結基を介して結合している)、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、置換もしくは無置換のアルケニル、置換もしくは無置換のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリールオキシ、置換もしくは無置換のアリールチオ、または置換シリルであるが、すべて水素であることが好ましい。
Lは、置換もしくは無置換のアルキレン、置換もしくは無置換のシクロアルキレン、置換もしくは無置換のアリーレン、または式(B)で表される2価のアリーレン(ZがすべてC-Rであり、かつYが>C(-RYBの場合)、または式(B)で表される2価のヘテロアリーレン(少なくとも1つのZBがNである場合、および/または、Zが>N-RYB、>Si(-RYB、>S、または>Seの場合)である。
式(B)中、Zはそれぞれ独立してNもしくはC-Rであり、C-RのRはそれぞれ独立して、結合手であるか、水素、または置換基である。置換基としては好ましくは、置換もしくは無置換のジアリールアミノ(2つのアリールは結合していないか、または連結基を介して結合している)、置換もしくは無置換のジヘテロアリールアミノ(2つのヘテロアリールは結合していないか、または連結基を介して結合している)、置換もしくは無置換のアリールヘテロアリールアミノ(アリールとヘテロアリールは結合していないか、または連結基を介して結合している)、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、置換もしくは無置換のアルケニル、置換もしくは無置換のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリールオキシ、置換もしくは無置換のアリールチオ、または、置換シリルであり、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、または置換もしくは無置換のアルキルであることがより好ましく、Zはすべて独立してC-Rであることが好ましく、結合手以外のRはすべて水素であることが最も好ましい。また隣接するRは互いに結合してアリール環、またはヘテロアリール環(アリール環、ヘテロアリール環に関しては後述する明細書中の記載を参照できる)を形成しているか、または形成していない。そして前記の形成された環の炭素原子はRで置換されており、その定義と好ましい範囲は前記と同様である。
は>N-RYB、>C(-RYB、>Si(-RYB、>S、または>Seであり、RYBは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリールであり、>C(-RYBおよび>Si(-RYBの2つのRYBは互いに結合して環を形成してもよく、*は結合手を表し、Yとしては>N-RYB、>C(-RYB、または>Sが好ましく、>N-RYB、または>C(-RYBがより好ましい。
なお、上記にも記載があるように、本明細書中では式(B)で表される2価の基のうち、ZがすべてC-Rであり、かつYが>C(-RYBのものをアリーレンに含める。また少なくとも1つのZBがNである場合、および/またはYが>N-RYB、>Si(-RYB、>S、または>Seのものをヘテロアリーレンに含めることとする。
式(B)で表される2価の基は、*は結合手を示す。すなわち、式(B)で表される基は、いずれの位置を結合位置としていてもよい。式(B)の構造中の2つのベンゼン環上のいずれかの炭素原子に置換するR、式(B)の構造中のC-RのRうち隣接する基が互いに結合して形成されたいずれかの環上の炭素原子に置換するRであってもよく、または式(B)の構造中のYとしての「>N-RYB」におけるNと直接結合する基であってもよい。またRYBの、1~2の水素が除かれて結合手となってもよい。
式(B)中のYおよび式(B-1)~式(B-11)それぞれにおけるYは、>N-RYB、>C(-RYB、または>Sであることが好ましく>N-RYB、または>C(-RYBであることがより好ましい。
Figure 2022115606000020
式(B)で表される2価の基としては、例えば以下の式で表される基があげられる。式中のYおよび*は上記と同じ定義であり、Yの好ましい範囲も上記と同じである。なおYは式(B)の構造中の、隣接するC-RのRが互いに結合して形成された環の構成部位を表し、例えば>O、>N-RYD、>C(-RYD、>Si(-RYD、>S、または>Seがあげられ、RYDは上記RYBの定義が適用できる。
Figure 2022115606000021
Figure 2022115606000022
Figure 2022115606000023
また式(1’)で表されるアントラセン化合物の好ましい形態として、下記式(1-a’)で表されるアントラセン化合物をあげることができる。
Figure 2022115606000024
式(1-a’)中、Lはアリーレン、または式(B)で表される2価の基であり、これらの少なくとも1つの水素はアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ(2つのアリールは結合していないか、または連結基を介して結合している)、または置換シリルで置換されているか、または無置換であるが、無置換であることが好ましい。Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、または置換シリルであるが、水素であることが好ましい。Ar、Ar24およびAr25はアリール、またはヘテロアリールであり、これらの少なくとも1つの水素は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ(2つのアリールは結合していないか、または連結基を介して結合している)、または置換シリルで置換されているか、または無置換であるが、無置換であることが好ましい。式(B)中、Y、Zは上記式(1’)でなされた説明と定義、およびその好ましい範囲は同じである。
式(1-a’)で表される化合物においては、Rが重水素であることも好ましい。すなわち、式(1-a’)で表される化合物は、下記式(1-a-a’)で表される化合物であることが好ましい。なお、式(1-a-a’)中、Dは重水素であり、Ar、Ar24、Ar25および式(B)は(1-a’)中の定義と同一である。式(1-a-a’)におけるDは少なくともこの位置が重水素であることを示し、式(1-a’)におけるその他のいずれか1つ以上の水素が同時に重水素であってもよい。
Figure 2022115606000025
式(1)および式(1’)で表される化合物、およびその好ましい形態、における少なくとも1つの水素はハロゲン、シアノ、または重水素で置換されていてもよく、重水素で置換されている形態も好ましい。ハロゲンは、フッ素、塩素または臭素が好ましく、フッ素が最も好ましい。アントラセン環部の水素がすべて重水素で置換されている形態も好ましく、また芳香族部の水素がすべて重水素で置換されている形態も好ましい。これらの用語の説明としては、上記のものを参照することができる。
式(1)で表される化合物の具体例を下記に示す。ただし、本発明はこれらの具体的な構造の開示によって限定されない。下記式中、Dは重水素である。













































Figure 2022115606000026

Figure 2022115606000027

Figure 2022115606000028

Figure 2022115606000029
Figure 2022115606000030

Figure 2022115606000031

Figure 2022115606000032

Figure 2022115606000033
Figure 2022115606000034

Figure 2022115606000035

Figure 2022115606000036

Figure 2022115606000037
Figure 2022115606000038

Figure 2022115606000039

Figure 2022115606000040






















Figure 2022115606000041

Figure 2022115606000042

Figure 2022115606000043


Figure 2022115606000044

Figure 2022115606000045

Figure 2022115606000046







Figure 2022115606000047

Figure 2022115606000048

Figure 2022115606000049




Figure 2022115606000050

Figure 2022115606000051

Figure 2022115606000052

Figure 2022115606000053

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Figure 2022115606000055







Figure 2022115606000056

Figure 2022115606000057

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Figure 2022115606000059

Figure 2022115606000060

Figure 2022115606000061

Figure 2022115606000062
Figure 2022115606000063

Figure 2022115606000064

Figure 2022115606000065

Figure 2022115606000066





































Figure 2022115606000067

Figure 2022115606000068

Figure 2022115606000069

Figure 2022115606000070
Figure 2022115606000071

Figure 2022115606000072

Figure 2022115606000073
Figure 2022115606000074

Figure 2022115606000075

Figure 2022115606000076

Figure 2022115606000077




Figure 2022115606000078

Figure 2022115606000079

Figure 2022115606000080

Figure 2022115606000081
Figure 2022115606000082

Figure 2022115606000083

Figure 2022115606000084












Figure 2022115606000085
Figure 2022115606000086
<アントラセン化合物の製造方法>
式(1)で表されるアントラセン化合物は、国際公開第2006/003842号、韓国公開特許第2017/116885号公報、国際公開第2009/142230号等に記載されている製造方法に準じ、適宜反応の順番や原料、中間体、触媒等を変更することで製造することができる。
<多環芳香族化合物>
本発明の多環芳香族化合物は式(2)で表される構造単位の1つまたは2つ以上からなる構造を有する多環芳香族化合物である。本発明の多環芳香族化合物は発光量子収率(PLQY)が高く、発光半値幅が狭く、色純度に優れている。
なお、特段の断りがない限りは、式(1)で表されるアントラセン化合物における説明や語句、定義等が式(2)および後述する式(2-a)等で表される構造単位の1つまたは2つ以上からなる構造を有する多環芳香族化合物の説明にも、そのまま適用できる。「置換もしくは無置換」に関する説明、また第1の置換基と第2の置換基に関する説明も同様である。
Figure 2022115606000087
式(2)中、A環、B環、およびC環はそれぞれ独立して、置換もしくは無置換のアリール環、または置換もしくは無置換のヘテロアリール環である。
A環、B環およびC環におけるアリール環またはヘテロアリール環は、YならびにXおよびXのいずれか1つと5員環または6員環で結合していることが好ましい。「YならびにXおよびXのいずれか1つと5員環または6員環で結合している」とは、この5員環または6員環だけで環が形成されているか、または、この5員環または6員環を含むようにさらに他の環が縮合して環が形成されていることを意味する。言い換えれば、環の全部または一部を構成する5員環または6員環がYならびに、XおよびXのいずれか1つと結合していることを意味する。A環、B環およびC環におけるアリール環またはヘテロアリール環においては、連続している2つまたは3つの環構成原子(炭素原子)がYならびにXおよびXのいずれか1つと直接結合していればよい。すなわち、B環におけるアリール環またはヘテロアリール環においていずれか一組の連続する環構成原子(炭素原子)2つがYおよびXと直接結合しており、C環におけるアリール環またはヘテロアリール環においていずれか一組の連続する環構成原子(炭素原子)2つがYおよびXと直接結合しており、A環におけるアリール環またはヘテロアリール環においていずれか一組の連続する環構成原子(炭素原子)3つがY、XおよびXと直接結合している。
式(2)のA環、B環、またはC環における「アリール環」としては、例えば、炭素数6~30のアリール環があげられ、炭素数6~16のアリール環が好ましく、炭素数6~12のアリール環がより好ましく、炭素数6~10のアリール環が特に好ましい。
具体的な「アリール環」としては、単環系であるベンゼン環、二環系であるビフェニル環、縮合二環系であるナフタレン環、インデン環、三環系であるテルフェニル環(m-テルフェニル、o-テルフェニル、p-テルフェニル)、縮合三環系である、アセナフチレン環、フルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環、アントラセン環、縮合四環系であるトリフェニレン環、ピレン環、ナフタセン環、クリセン環、縮合五環系であるペリレン環、ペンタセン環などがあげられる。また、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、インデン環には、それぞれフルオレン環、ベンゾフルオレン環、シクロペンタン環などがスピロ結合した構造も含まれる。なお、フルオレン環、ベンゾフルオレン環およびインデン環は、メチレンの2つの水素のうちの2つがそれぞれ前述の第1の置換基としてのメチルなどのアルキルに置換して、ジメチルフルオレン環、ジメチルベンゾフルオレン環およびジメチルインデン環などとなっているものも含まれる。
式(2)のA環、B環、またはC環における「ヘテロアリール環」としては、例えば、炭素数2~30のヘテロアリール環があげられ、炭素数2~25のヘテロアリール環が好ましく、炭素数2~20のヘテロアリール環がより好ましく、炭素数2~15のヘテロアリール環がさらに好ましく、炭素数2~10のヘテロアリール環が特に好ましい。また、「ヘテロアリール環」としては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などがあげられる。
具体的な「ヘテロアリール環」としては、例えば、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、トリアジン環、インドール環、イソインドール環、1H-インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、1H-ベンゾトリアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、シンノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、プリン環、プテリジン環、カルバゾール環、カルボリン環、アクリジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、フェナジン環、フェナザシリン環、インドリジン環、フラン環、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、ジベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、フラザン環、チアントレン環、インドロカルバゾール環、ベンゾインドロカルバゾール環、ベンゾベンゾインドロカルバゾール環、ナフトベンゾフラン環、ジオキシン環、ジヒドロアクリジン環、キサンテン環、チオキサンテン環、ジベンゾジオキシン環などがあげられる。また、ジヒドロアクリジン環、キサンテン環、チオキサンテン環、は、メチレンの2つの水素のうちの2つがそれぞれ前述の第1の置換基としてのメチルなどのアルキルに置換して、ジメチルジヒドロアクリジン環、ジメチルキサンテン環、ジメチルチオキサンテン環などとなっているものも好ましい。また二環系であるビピリジン環、フェニルピリジン環、ピリジルフェニル環、三環系であるテルピリジル環、ビスピリジルフェニル環、ピリジルビフェニル環も「ヘテロアリール環」としてあげられる。また、「ヘテロアリール環」にはピラン環も含まれるものとする。
また、下記式(BO)もヘテロアリール環に含む。
Figure 2022115606000088
上記「アリール環」または「ヘテロアリール環」における少なくとも1つの水素は、第1の置換基である、置換もしくは無置換の「アリール」、置換もしくは無置換の「ヘテロアリール」、置換もしくは無置換の「ジアリールアミノ」(2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合していてよい)、置換もしくは無置換の「ジヘテロアリールアミノ」(2つのヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合していてよい)、置換もしくは無置換の「アリールヘテロアリールアミノ」(アリールおよびヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合していている)、置換もしくは無置換の「ジアリールボリル」(2つのアリールは互いに結合していないか、または、単結合もしくは連結基を介して結合していてよい)、置換もしくは無置換の「アルキル」、置換もしくは無置換の「アルケニル」、置換もしくは無置換の「シクロアルキル」、置換もしくは無置換の「アルコキシ」、置換もしくは無置換の「アリールオキシ」、置換もしくは無置換の「アリールチオ」、または「置換シリル」で置換されているか、または置換されていない。
「アルキル」を含む置換基として、下記式(tR)で表されるターシャリ-アルキルは、A環、B環およびC環におけるアリール環またはヘテロアリール環への置換基として、特に好ましいものの1つである。このような嵩高い置換基により分子間距離が増加するため発光量子収率(PLQY)が向上するからである。また、式(tR)で表されるターシャリ-アルキルが第2の置換基として他の置換基に置換している置換基も好ましい。具体的には、(tR)で表されるターシャリ-アルキルで置換されたジアリールアミノ(2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合していている)、(tR)で表されるターシャリ-アルキルで置換されたカルバゾリル(好ましくは、N-カルバゾリル)または(tR)で表されるターシャリ-アルキルで置換されたベンゾカルバゾリル(好ましくは、N-ベンゾカルバゾリル)があげられる。ジアリールアミノ(2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合していている)については下記「第1の置換基」として説明する基があげられる。ジアリールアミノ(2つのアリールは互いに結合していないか、連結基を介して結合していている)、カルバゾリルおよびベンゾカルバゾリルへの式(tR)の基の置換形態としては、これらの基におけるアリール環またはベンゼン環の一部または全ての水素が式(tR)の基で置換された例があげられる。
Figure 2022115606000089
式(tR)中、R、R、およびRはそれぞれ独立して炭素数1~24のアルキルであり、前記アルキルにおける任意の-CH-は-O-で置換されていてもよく、式(tR)で表される基は*において式(2)で表される構造単位を含む構造における少なくとも1つの水素と置換する。
、RおよびRの「炭素数1~24のアルキル」としては、直鎖および分岐鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1~24の直鎖アルキルまたは炭素数3~24の分岐鎖アルキル、炭素数1~18のアルキル(炭素数3~18の分岐鎖アルキル)、炭素数1~12のアルキル(炭素数3~12の分岐鎖アルキル)、炭素数1~6のアルキル(炭素数3~6の分岐鎖アルキル)、炭素数1~4のアルキル(炭素数3~4の分岐鎖アルキル)があげられる。
式(2)の式(tR)におけるR、R、およびRの炭素数の合計は炭素数3~20が好ましく、炭素数3~10が特に好ましい。
、R、およびRの具体的なアルキルとしては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t-ペンチル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、n-オクチル、t-オクチル、1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘプチル、2,6-ジメチル-4-ヘプチル、3,5,5-トリメチルヘキシル、n-デシル、n-ウンデシル、1-メチルデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、1-ヘキシルヘプチル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-エイコシルなどがあげられる。
式(tR)で表される基としては、例えばt-ブチル、t-アミル、1-エチル-1-メチルプロピル、1,1-ジエチルプロピル、1,1-ジメチルブチル、1-エチル-1-メチルブチル、1,1,3,3-テトラメチルブチル、1,1,4-トリメチルペンチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,1-ジメチルオクチル、1,1-ジメチルペンチル、1,1-ジメチルヘプチル、1,1,5-トリメチルヘキシル、1-エチル-1-メチルヘキシル、1-エチル-1,3-ジメチルブチル、1,1,2,2-テトラメチルプロピル、1-ブチル-1-メチルペンチル、1,1-ジエチルブチル、1-エチル-1-メチルペンチル、1,1,3-トリメチルブチル、1-プロピル-1-メチルペンチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1-エチル-1,2,2-トリメチルプロピル、1-プロピル-1-メチルブチル、1,1-ジメチルヘキシルなどがあげられる。これらのうち、t-ブチルおよびt-アミルが好ましい。
式(2)および後述する式(2-a)で表される構造単位の1つまたは2つ以上からなる構造を有する多環芳香族化合物は、第1置換基の構造の立体障害性、電子供与性および電子吸引性によって、発光波長を調整することができる。好ましくは以下の構造式で表される基であり、より好ましくは、メチル、t-ブチル、t-アミル、t-オクチル、ネオペンチル、アダマンチル、フェニル、o-トリル、p-トリル、2,4-キシリル、2,5-キシリル、2,6-キシリル、2,4,6-メシチル、ジフェニルアミノ、ジ-p-トリルアミノ、ビス(p-(t-ブチル)フェニル)アミノ、カルバゾリル、3,6-ジメチルカルバゾリル、3,6-ジ-t-ブチルカルバゾリルおよびフェノキシであり、さらに好ましくは、メチル、t-ブチル、t-アミル、t-オクチル、ネオペンチル、アダマンチル、フェニル、o-トリル、2,6-キシリル、2,4,6-メシチル、ジフェニルアミノ、ジ-p-トリルアミノ、ビス(p-(t-ブチル)フェニル)アミノ、カルバゾリル、3,6-ジメチルカルバゾリルおよび3,6-ジ-t-ブチルカルバゾリルである。合成の容易さの観点からは、立体障害が大きい方が選択的な合成のために好ましく、具体的には、t-ブチル、t-アミル、t-オクチル、アダマンチル、o-トリル、p-トリル、2,4-キシリル、2,5-キシリル、2,6-キシリル、2,4,6-メシチル、ジ-p-トリルアミノ、ビス(p-(t-ブチル)フェニル)アミノ、3,6-ジメチルカルバゾリルおよび3,6-ジ-t-ブチルカルバゾリルが好ましい。
下記構造式において、「Me」はメチル、「tBu」はt-ブチル、「tAm」はt-アミル、「tOct」はt-オクチル、*は結合位置を表す。
Figure 2022115606000090
Figure 2022115606000091
Figure 2022115606000092
Figure 2022115606000093
Figure 2022115606000094
Figure 2022115606000095

Figure 2022115606000096
Figure 2022115606000097

Figure 2022115606000098
Figure 2022115606000099

Figure 2022115606000100

Figure 2022115606000101

Figure 2022115606000102

Figure 2022115606000103
Figure 2022115606000104
Figure 2022115606000105
Figure 2022115606000106
式(2)および後述する式(2-a)で表される構造単位の1つまたは2つ以上からなる構造を有する多環芳香族化合物は、上述の式(tR)で表されるターシャリ-アルキル(t-ブチルまたはt-アミルなど)、ネオペンチルまたはアダマンチルを少なくとも1つ含む構造であることが好ましく、式(tR)で表されるターシャリ-アルキル(t-ブチルまたはt-アミルなど)を含むことがより好ましい。このような嵩高い置換基により分子間距離が増加するため発光量子収率(PLQY)が向上するからである。また、置換基としては、ジアリールアミノ(2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合していている)も好ましい。さらに、式(tR)の基で置換されたジアリールアミノ(2つのアリールは互いに結合していないか、連結基を介して結合していてよい)、式(tR)の基で置換されたカルバゾリル(好ましくは、N-カルバゾリル)または式(tR)の基で置換されたベンゾカルバゾリル(好ましくは、N-ベンゾカルバゾリル)も好ましい。ジアリールアミノ(2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合していている)、カルバゾリルおよびベンゾカルバゾリルへの式(tR)の基の置換形態としては、これらの基におけるアリール環またはベンゼン環の一部または全ての水素が式(tR)の基で置換された例があげられる。
式(2)および後述する式(2-a)中、Yは、それぞれ独立して、B、P、P=O、P=S、Al、Ga、As、Si-R、またはGe-Rであり、BまたはP=Oが好ましく、Bが最も好ましい。前記Si-RおよびGe-RのRは、炭素数6~12のアリール、炭素数1~6のアルキル、または炭素数3~14のシクロアルキルである。式(2)のYにおけるSi-RおよびGe-RのRは、アリール、アルキルまたはシクロアルキルであるが、このアリール、アルキルまたはシクロアルキルとしては上述する基があげられる。特に炭素数6~10のアリール(例えばフェニル、ナフチルなど)、炭素数1~5のアルキル(例えばメチル、エチルなど)または炭素数5~10のシクロアルキル(好ましくはシクロヘキシルやアダマンチル)が好ましい。
式(2)および後述する式(2-a)におけるXおよびXは、それぞれ独立して、>O、>N-R、>Si(-R)、>C(-R)、>S、または>Seである。XおよびXのいずれかが>N-Rであることが好ましく、いずれかが>N-Rであり、もういずれかが独立して>O、または>N-Rであることがより好ましく、それぞれ独立して、いずれも>N-Rであることが好ましい。
またはXである>N-RのRは、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のアルキル、または置換もしくは無置換のシクロアルキルである。
またはXである>Si(-R)および>C(-R)のRは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のアルキル、または置換もしくは無置換のシクロアルキルであり、2つのRは同一であることが好ましく、そして2つのRは結合して環を形成していないか、または形成している。
またはXである>N-RのRは置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、または置換もしくは無置換のシクロアルキルであることが好ましく置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリールであることがより好ましい。シクロアルキルの例としては、明細書中の記載例があげられる。ここで、アリールとしては、フェニル、ビフェニリル(特に、2-ビフェニリル)、およびテルフェニリル(特に、テルフェニル-2’-イル)が好ましく、ヘテロアリールとしては、ベンゾチエニル(2-ベンゾチエニル、6-ベンゾチエニルなど)、ベンゾフラニル(2-ベンゾフラニル、3-ベンゾフラニル、5-ベンゾフラニルなど)、ジベンゾフラニル(2-ジベンゾフラニル、3-ジベンゾフラニル、4-ジベンゾフラニル、5-ジベンゾフラニルなど)などが好ましい。置換基としては上記式(tR)で表されるターシャリ-アルキル(特に、t-ブチル)、またはシクロアルキル(特に、アダマンチル)が好ましい。アリールおよびヘテロアリールにおける置換基数は0~2つが好ましく、1つまたは2つがより好ましく、1つがさらに好ましい。上記のアリールにおけるアリール環が後述のように、置換もしくは無置換のシクロアルカンで縮合されている場合も好ましい。具体的なシクロアルカンとしては、後述されるものが参照できる。
またはXである>N-RのRとして特に好ましい例としては置換もしくは無置換の2-ビフェニリル、置換もしくは無置換のテルフェニル-2’-イル、およびシクロアルカンで縮合されているアリール(置換もしくは無置換の)があげられる。置換もしくは無置換の2-ビフェニリルとしては、1~3つのt-ブチルで置換されている2-ビフェニリルが特に好ましい。置換もしくは無置換のテルフェニル-2’-イルとしては、無置換の[1,1’:3’,1’ ’-テルフェニル]-2’-イルが特に好ましい。シクロアルカンで縮合されているアリールとしては、特に以下が好ましい。
Figure 2022115606000107

(Meはメチル、tBuはt-ブチル、*は結合位置を示す。)
およびXのいずれかが>N-Rであるとき、>N-RのRは、後述するシクロアルカンで縮合されているアリール(置換されているか、または置換されていない)であることも好ましい。
またはXである>N-R、>Si(-R)および>C(-R)の少なくとも1つにおけるRは連結基または単結合によりA環およびB環のいずれか1つ、またはA環およびC環のいずれか1つと結合していないか、また結合している。すなわち、Xである>N-R、>Si(-R)および>C(-R)の少なくとも1つにおけるRは連結基または単結合によりA環およびB環のいずれか1つと結合しているか、または結合しておらず、Xである>N-R、>Si(-R)および>C(-R)の少なくとも1つにおけるRは連結基、または単結合によりA環およびC環のいずれか1つと結合していていないか、または結合している。連結基としては、-O-、-S-、または-C(-R13-が好ましい。前記「-C(-R13-」のR13は、水素、アルキルまたはシクロアルキルであるが、このアルキルまたはシクロアルキルとしてはそれぞれ第1の置換基として上述する基があげられる。特に炭素数1~5のアルキル(例えばメチル、エチルなど)または炭素数5~10のシクロアルキル(好ましくはシクロヘキシルやアダマンチル)が好ましい。
この規定は、下記式(2-3-1)で表される、XやXが縮合環B’および縮合環C’に取り込まれた環構造を有する化合物で表現できる。すなわち、例えばベンゼン環であるB環(またはC環)に対してX(またはX)を取り込むようにして他の環が縮合して形成されるB’環(またはC’環)を有する化合物である。形成されてできた縮合環B’(または縮合環C’)は例えば、カルバゾール環、フェノキサジン環、フェノチアジン環またはアクリジン環である。
また、上記規定は、下記式(2-3-2)や式(2-3-3)で表される、XおよびXのいずれか1つが縮合環A’に取り込まれた環構造を有する化合物でも表現できる。すなわち、例えばベンゼン環であるA環に対してXおよびXのいずれか1つを取り込むようにして他の環が縮合して形成されるA’環を有する化合物である。形成されてできた縮合環A’は例えば、カルバゾール環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、またはアクリジン環である。
Figure 2022115606000108
一例として、前記>N-RのRが置換もしくは無置換のシクロアルキルであり、かつA環、B環、またはC環と単結合で結合している形態も好ましい。シクロアルキルとしては、置換もしくは無置換のシクロペンチル、または置換もしくは無置換のシクロヘキシルが好ましい。
前述の様に形成されてできた縮合環の特に好ましい例として式(A11)で表される構造をあげることができる。前述の通り、この場合、メチル基が置換している2つの炭素は不斉炭素であり、式(2)および後述する式(2-a)で表される化合物としてはジアステレオマーおよびエナンチオマーが存在しうるが、式(2)および後述する式(2-a)で表される化合物としてはそれらのいずれの異性体であってもよく、また可能な異性体が任意の比で混合されている形態であってもよい。
Figure 2022115606000109
式(A11)中、Meはメチルであり、2つの*の位置でXまたはXが結合する2つの環の一方の環に、**の位置で他方の環に結合している。
上記の好ましい範囲のRである>N-RをXまたはXとして有する本発明の化合物を発光材料として素子の製造に用いることにより、さらに発光効率や素子寿命を向上させることができる。
本発明の多環芳香族化合物は式(2)表される構造単位の1つまたは2つ以上からなる構造を有する多環芳香族化合物である。上記構造単位の1つからなる構造を有する多環芳香族化合物としては、式(2)で表される構造単位として上記で説明した式で表される多環芳香族化合物があげられる。式(2)で表される構造単位の2つ以上からなる構造を有する多環芳香族化合物としては、式(2)で表される構造単位として上記で説明した式で表される多環芳香族化合物の多量体に該当する化合物があげられる。多量体は、2~6量体が好ましく、2~3量体がより好ましく、2量体が特に好ましい。多量体は、1つの化合物の中に上記単位構造を複数有する形態であればよく、上記構造単位に含まれる任意の環(A環、B環またはC環)を複数の単位構造で共有するようにして結合した形態であってもよく、また、上記単位構造に含まれる任意の環(A環、B環またはC環)同士が縮合するようにして結合した形態であればよい。また、上記単位構造が単結合、炭素数1~3のアルキレン、フェニレン、ナフチレンなどの連結基で複数結合した形態であってもよい。これらのうち、環を共有するようにして結合した形態が好ましい。
式(2)で表される構造単位の1つまたは2つ以上からなる構造を有する多環芳香族化合物におけるアリール環およびヘテロアリール環からなる群より選択される少なくとも1つは、少なくとも1つのシクロアルカンで縮合されているか、縮合されていない。
シクロアルカンとしては、炭素数3~24のシクロアルカンであればよい。このときのシクロアルカンにおける少なくとも1つの水素は、炭素数6~30のアリール、炭素数2~30のヘテロアリール、炭素数1~24のアルキルまたは炭素数3~24のシクロアルキルで置換されていてもよく、当該シクロアルカンにおける少なくとも1つの-CH-は-O-で置換されているか、または置換されていないが、すべてが-CH-であるシクロアルカンが好ましい。
式(2)で表される構造単位の1つまたは2つ以上からなる構造におけるアリール環およびヘテロアリール環からなる群より選択される少なくとも1つが少なくとも1つのシクロアルカンで縮合されている場合、少なくとも1つのシクロアルカンは、炭素数3~20のシクロアルカンであって、当該シクロアルカンにおける少なくとも1つの水素が、炭素数6~16のアリール、炭素数2~22のヘテロアリール、炭素数1~12のアルキルまたは炭素数3~16のシクロアルキルで置換されているか、または置換されていないシクロアルカンであることが好ましい。
「シクロアルカン」としては、炭素数3~24のシクロアルカン、炭素数3~20のシクロアルカン、炭素数3~16のシクロアルカン、炭素数3~14のシクロアルカン、炭素数5~10のシクロアルカン、炭素数5~8のシクロアルカン、炭素数5~6のシクロアルカン、炭素数6のシクロアルカンなどがあげられる。
具体的なシクロアルカンとしては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、ノルボルネン、ビシクロ[1.1.0]ブタン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、ビシクロ[2.1.0]ペンタン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[3.1.0]ヘキサン、ビシクロ[2.1.0]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、アダマンタン、ジアマンタン、デカヒドロナフタレンおよびデカヒドロアズレン、ならびに、これらの炭素数1~5のアルキル(特にメチル)置換体、ハロゲン(特にフッ素)置換体および重水素置換体などがあげられる。
これらの中でも、例えば下記構造式に示すような、シクロアルカンのα位の炭素(アリール環またはヘテロアリール環に縮合するシクロアルキルにおいて、縮合部位の炭素に隣接する位置の炭素、ベンジル位に相当する)における少なくとも1つの水素が置換された構造が化合物の耐久性の観点から好ましく、α位の炭素における2つの水素が置換された構造がより好ましく、2つのα位の炭素における合計4つの水素が置換された構造がさらに好ましい。これは化学的に活性な部位を保護して、化合物の耐久性を向上させるためである。この置換基としては、炭素数1~5のアルキル(特にメチル)置換体、ハロゲン(特にフッ素)置換体および重水素置換体などがあげられる。特に、アリール環またはヘテロアリール環において隣接する炭素原子に下記式(Z-11)で表される部分構造が結合した構造となっていることが好ましい。
Figure 2022115606000110
式(Z-11)中、Meはメチルを示し、*は結合位置を示す。
1つのアリール環またはヘテロアリール環に縮合するシクロアルカンの数は、1~3個が好ましく、1個または2個がより好ましく、1個がさらに好ましい。例えば1つのベンゼン環(フェニル)に1個または複数のシクロアルカンが縮合した例を以下に示す。*は結合位置を示し、その位置はベンゼン環を構成しかつシクロアルカンを構成していない炭素のいずれであってもよい。式(Cy-1-4)および式(Cy-2-4)のように縮合したシクロアルカン同士が縮合してもよい。縮合される環(基)がベンゼン環(フェニル)以外の他のアリール環またはヘテロアリール環の場合であっても、縮合するシクロアルカンがシクロペンタンまたはシクロヘキサン以外の他のシクロアルカンの場合であっても、同様である。
Figure 2022115606000111
シクロアルカンにおける少なくとも1つの-CH-は-O-で置換されているか、または置換されていない。例えば1つのベンゼン環(フェニル)に縮合したシクロアルカンにおける1個または複数の-CH-が-O-で置換された例を以下に示す。縮合される環(基)がベンゼン環(フェニル)以外の他の芳香族環または複素芳香族環の場合であっても、縮合するシクロアルカンがシクロペンタンまたはシクロヘキサン以外の他のシクロアルカンの場合であっても、同様である。
Figure 2022115606000112
シクロアルカンにおける少なくとも1つの水素は置換されているか、または置換されていないが、この置換基としては、例えば、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ(2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合していている)、ジヘテロアリールアミノ(2つのヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合していている)、アリールヘテロアリールアミノ(アリールおよびヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合していている)、ジアリールボリル(2つのアリールは互いに結合していないか、または、単結合もしくは連結基を介して結合していている)、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アリールチオ、置換シリル、重水素、シアノまたはハロゲンがあげられ、これらの詳細は、上述した第1の置換基の説明を引用することができる。これらの置換基の中でも、アルキル(例えば炭素数1~6のアルキル)、シクロアルキル(例えば炭素数3~14のシクロアルキル)、ハロゲン(例えばフッ素)および重水素などが好ましい。また、シクロアルキルが置換する場合はスピロ構造を形成する置換形態でもよく、この例を以下に示す。
Figure 2022115606000113
シクロアルカン縮合の形態としては、まず、式(1)で表される構造単位の1つまたは2つ以上からなる構造を有する多環芳香族化合物におけるA環、B環およびC環それぞれにおけるアリール環およびヘテロアリール環、後述の(式(2)におけるa環、b環、c環)であるアリール環およびヘテロアリール環、縮合環中のアリール環およびヘテロアリール環がシクロアルカンで縮合された形態があげられる。
シクロアルカン縮合の他の形態としては、式(1)で表される構造単位の1つまたは2つ以上からなる構造を有する多環芳香族化合物、後述の式(2)で表される多環芳香族化合物が、例えば、Rがシクロアルカンで縮合されたアリールである>N-R、シクロアルカンで縮合されたジアリールアミノ(2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合していてよく、シクロアルカンはこのアリール部分へ縮合している)、シクロアルカンで縮合されたカルバゾリル(ベンゼン環部分へ縮合)またはシクロアルカンで縮合されたベンゾカルバゾリル(シクロアルカンはベンゼン環部分へ縮合している)を有する例があげられる。「ジアリールアミノ(2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合していてよい)」については上記「第1の置換基」として説明した基があげられる。
式(2)および後述する式(2―a)で表される構造単位の1つまたは2つ以上からなる構造を有する多環芳香族化合物、および後述の式(2)で表される多環芳香族化合物においては、上記のシクロアルカン縮合は、A(a)環、B(b)環、またはC(c)環に縮合している形態が好ましく、A(a)環、B(b)環に縮合している形態がより好ましい。またA(a)環およびB(b)環の両方に縮合している形態も好ましい。
なお、本発明の多環芳香族化合物にシクロアルカン構造を導入することによっては、融点や昇華温度の低下が期待できる。このことは、高い純度が要求される有機EL素子などの有機デバイス用材料の精製法としてほぼ不可欠な昇華精製において、比較的低温で精製することができるため材料の熱分解などが避けられることを意味する。またこれは、有機EL素子などの有機デバイスを作製するのに有力な手段である真空蒸着プロセスについても同様であり、比較的低温でプロセスを実施できるため、材料の熱分解を避けることができ、結果として高性能な有機デバイスを得ることができる。また、シクロアルカン構造の導入により有機溶媒への溶解性が向上するため、塗布プロセスを利用した素子作製にも適用することが可能となる。ただし、本発明は特にこれらの原理に限定されるわけではない。このことから式(1)で表される構造単位の1つまたは2つ以上からなる構造を有する多環芳香族化合物、および後述の式(2)で表される多環芳香族化合物においては、上記のシクロアルカン縮合が導入されていることが好ましい。
式(2)および後述する式(2―a)で表される構造単位の1つまたは2つ以上からなる構造中の少なくとも1つの水素は、その全てまたは一部が重水素、シアノ、またはハロゲンで置換されているか、または置換されていない。
例えば、式(2)および後述する式(2―a)で表される構造単位の1つまたは2つ以上からなる構造においては少なくとも1つの水素、例えばA(a)環、B(b)環、C(c)環(A~C環はアリール環またはヘテロアリール環)、A~C環への置換基、YがSi-RまたはGe-RであるときのR、ならびに、XおよびXが>N-R、>C(-R)、または>Si(-R)であるときのRにおける水素が重水素、シアノまたはハロゲンで置換されているか、または置換されていない、具体的にはこれらの中でもアリールやヘテロアリールにおける全てまたは一部の水素が重水素、シアノ、またはハロゲンで置換された態様があげられる。ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり、好ましくはフッ素、塩素、または臭素、より好ましくはフッ素または塩素であり、フッ素がさらに好ましい。また耐久性の観点から、式(1)で表される構造単位の1つまたは2つ以上からなる構造中の少なくとも1つの水素は、その全てまたは一部が重水素されていることも好ましい。、そして芳香環部のすべての水素が重水素化されていることも好ましい。
式(2)で表される構造単位の1つまたは2つ以上からなる構造を有する多環芳香族化合物の好ましい例として、下記式(2-a)で表される多環芳香族化合物があげられる。なお、式(2-a)における置換基や含まれる環の構造、好ましい範囲、語句等については、対応する式(2)の各説明を参照できる。
Figure 2022115606000114
式(2-a)において、X、およびXは、式(2)と同義である。
なお上述のように、式(2-a)で表される化合物には、複数の等価な共鳴構造式が存在するが、式(2-a)で表される化合物としてはそのいずれをとっても良い。
式(2-a)において、Zはそれぞれ独立して、NまたはC-R11であり、前記C-R11のR11はそれぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ(2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合していている)、ジヘテロアリールアミノ(2つのヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合していている)、アリールヘテロアリールアミノ(アリールおよびヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合していている)、ジアリールボリル(2つのアリールは互いに結合していないか、または、単結合もしくは連結基を介して結合していている)、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、アリールオキシ、アリールチオまたは置換シリルであり、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、アルキル、シクロアルキルまたは置換シリルで置換されているか、または置換されていない。ここで列挙した置換基の詳細については上記の第1の置換基、第2の置換基の記載を参照できる。
隣接する2つのR11は互いに結合して、アリール環またはヘテロリール環を形成しているか、または、アリール環もしくはヘテロリール環を形成していないが、前記形成されたアリール環およびヘテロリール環はそれぞれ、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ(2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合していている)、ジヘテロアリールアミノ(2つのヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合していている)、アリールヘテロアリールアミノ(アリールおよびヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合していている)、ジアリールボリル(2つのアリールは互いに結合していないか、または、単結合もしくは連結基を介して結合していている)、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、アリールオキシ、アリールチオ、または置換シリルで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、アルキル、シクロアルキルまたは置換シリルで置換されているか、または置換されていない。ここで列挙した置換基の詳細については上記の第1の置換基、第2の置換基の記載を参照できる。
式(2-a)において、Z=Zはそれぞれ独立して>O、>N-R、>C(-R)、>Si(-R)、>S、または>Seであってもよく、>O、>N-R、>C(-R)、または>Sであることがより好ましい。前記>N-R、前記>C(-R)および前記>Si(-R)のRはそれぞれ独立して水素、アリール、ヘテロアリール、アルキル、またはシクロアルキルであり、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、アルキル、シクロアルキルまたは置換シリルで置換されているか、または置換されていない。また前記>C(-R)および前記>Si(-R)の2つのRは互いに結合して環を形成してもよい。なお、ここで列挙した置換基の詳細については上記の第1の置換基、第2の置換基の記載を参照できる。
b環、c環などにおいて、「Z=Z」の箇所が>O、>N-R、>C(-R)、>Si(-R)、 >S、または>Seに置き換わって得られる環としては、シクロペンタジエン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環などがあげられる。さらに、残りのZが隣接し、それらがC-R11であって、そのR11が結合して、ベンゼン環を形成した場合には、インデン環、インドール環、ベンゾフラン環、またはベンゾチオフェン環を形成しうる。形成された環は置換基を有していないか、または有している。b環などにおいて、1つのZ=Zが>N-R、>O、>S、>C(-R)であって、残りのZがC-Hである例、および、1つのZ=Zが>N-R、>O、>S、>C(-R)であって、残りのZが隣接し、いずれもC-R11であって、これらのR11が互いに結合してベンゼン環を形成している例を以下に示す。ただしb環、c環などがとりうる形態としては、下記の例に限定されるわけではない。まお上述の通り、芳香環化合物に関しては有機化学的に等価な共鳴構造式が複数存在する。式(2-a)で表される化合物としては、そのうちの1つの共鳴構造式のみを記載しているが、その他の共鳴構造式で記載される構造も当然含まれるものとする。これは、上記で説明した「「Z=Z」の箇所が>O、>N-R、>C(-R)、>Si(-R)、 >S、または>Seに置き換わって得られる環」は、どの共鳴構造式を採用するかで変わりうるが、この場合はどの共鳴構造式を用いてもよく、想定しうる構造式はすべて式(2-a)で表される化合物に含まれることを意味する。このことは後述する式(2-a)で表される化合物の多量体の他、本明細書全般に適用される。
Figure 2022115606000115
式(2-a)におけるXおよびXにおける>N-R、>Si(-R)および>C(-R)の少なくとも1つにおけるRは連結基または単結合により、A環およびB環の少なくとも1つ、またはA環およびC環の少なくとも1つと、連結基または単結合を介して結合していないか、または結合している、という上述の記載は、式(2)においては、「また前記>N-RのR、前記>C(-R)および前記>Si(-R)のRの少なくとも1つにおけるRは、-O-、-S-、-C(-R13-または単結合により、C-R11であるZにおけるCの1つまたは2つと結合しており」との規定に対応する。具体的には、上記Rは、以下に示す各環中の空間的に最も近いC-R11であるZにおけるC(炭素原子)と結合しているか、または結合していなくてもよい。式(2)においてXとしての>N-R、>Si(-R)または>C(-R)のRは、連結基または単結合を介してa環およびb環の少なくとも1つの、空間的に最も近いC-R11であるZにおけるC(炭素原子)と結合しているか、または結合していなくてもよい。またXとしての>N-R、>Si(-R)または>C(-R)のRは、連結基または単結合を介してa環およびc環の少なくとも1つの、空間的に最も近いC-R11であるZにおけるC(炭素原子)と結合していないか、または結合している。。これらの中の「-C(-R13-」のR13に関しては、上記の記載が参照できる。
式(2-a)において、NであるZを含む環(単環)は0~4個であり、0~3個であることが好ましく、0~2個であることがより好ましく、0~1個であることが特に好ましい。上記各式それぞれにおいて、Zは全てC-R11であることも好ましい。
式(2-a)中、NであるZを含む環(単環)においては、複数のZのうち1つまたは2つがNであることが好ましく、2つがNであるとき、2つのNは互いに隣接していないことが好ましい。6員環がNであるZを含む環であるときは、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、または1,2,3-トリアジン環が好ましく、ピリジン環またはピリミジン環がより好ましい。5員環がNであるZを含む環であるときは、チアゾール環、オキサゾール環が好ましい。
ドーパント材料は、式(2-a)で表される単位構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体であってもよい。多量体は、好ましくは、式(2-a)で表される単位構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体である。多量体は、2~6量体が好ましく、2~3量体がより好ましく、2量体が特に好ましい。多量体は、1つの化合物の中に上記単位構造を複数有する形態であればよく、例えば、上記単位構造が単結合、炭素数1~3のアルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基などの連結基で複数結合した形態に加えて、上記単位構造に含まれる任意の環(A環、B環またはC環、a環、b環またはc環)を複数の単位構造で共有するようにして結合した形態であってもよく、また、上記単位構造に含まれる任意の環(A環、B環またはC環、a環、b環またはc環)同士が縮合するようにして結合した形態であってもよい。
このような多量体としては、例えば、下記式(2-4)、式(2-4-1)、式(2-4-2)、式(2-5-1)~式(2-5-4)、または式(2-6)で表される多量体化合物があげられ、これらの式中の符号は式(2-a)で用いられたものを参照することができる。下記式(2-4)で表される多量体化合物は、式(2-a)で説明すれば、a環であるベンゼン環を共有するようにして、複数の式(2-a)で表される単位構造を1つの化合物中に有する多量体化合物である。また、下記式(2-4-1)で表される多量体化合物は、式(2-a)で説明すれば、a環であるベンゼン環を共有するようにして、2つの式(2-a)で表される単位構造を1つの化合物中に有する多量体化合物である。また、下記式(2-4-2)で表される多量体化合物は、式(2-a)で説明すれば、a環であるベンゼン環を共有するようにして、3つの式(2-a)で表される単位構造を1つの化合物中に有する多量体化合物である。また、下記式(2-5-1)~式(2-5-4)で表される多量体化合物は、式(2-a)で説明すれば、b環(またはc環)であるベンゼン環を共有するようにして、複数の式(2)で表される単位構造を1つの化合物中に有する多量体化合物である。また、下記式(2-6)で表される多量体化合物は、式(2-a)で説明すれば、例えばある単位構造のb環(またはa環、c環)であるベンゼン環とある単位構造のb環(またはa環、c環)であるベンゼン環とが縮合するようにして、複数の式(2-a)で表される単位構造を1つの化合物中に有する多量体化合物である。
Figure 2022115606000116

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式(2)で表される多環芳香族化合物のさらに具体的な例としては、例えば、下記式で表される化合物があげられる。なお、下記式中の「Me」はメチル、「tBu」はターシャリーブチル、「iPr」はイソプロピル、「Ph」はフェニル、「tAm」はターシャリーアミル(ターシャリーペンチル)、「D」は重水素を示す。




















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Figure 2022115606000171
<式(2)で表される多環芳香族化合物およびその多量体の製造方法>
式(2)で表される多環芳香族化合物およびその多量体は、例えば国際公開第2019/009052号、国際公開第2015/102118号などに開示されている方法で合成することができる。
発光層は単一層でも複数層からなってもどちらでもよく、それぞれ発光層用材料(ホスト材料、ドーパント材料)により形成される。ホスト材料は式(1)で表される化合物1種であっても、式(1)で表される化合物2種以上の組み合わせであってもよく、式(1)で表される化合物と式(1)で表される化合物以外の化合物の組み合わせであってもよい。ホスト材料は式(1)で表される化合物1種、または、式(1)で表される化合物2種以上の組み合わせであることが好ましい。また、ドーパント材料は、式(2)で表される化合物1種であっても、式(2)で表される化合物2種以上の組み合わせであってもよく、式(2)で表される化合物と式(2)で表される化合物以外の化合物の組み合わせであってもよい。ドーパント材料は、式(2)で表される化合物1種または式(2)で表される化合物2種以上の組み合わせであることが好ましい。
ドーパント材料はホスト材料の全体に含まれていても、部分的に含まれていても、いずれであってもよい。ドーピング方法としては、ホスト材料との共蒸着法によって形成することができるが、ホスト材料と予め混合してから同時に蒸着してもよい。
ホスト材料の使用量はホスト材料の種類によって異なり、そのホスト材料の特性に合わせて決めればよい。ホスト材料の使用量の目安は、好ましくは発光層用材料全体の50~99.999質量%であり、より好ましくは80~99.95質量%であり、さらに好ましくは90~99.9質量%である。
ドーパント材料の使用量はドーパント材料の種類によって異なり、そのドーパント材料の特性に合わせて決めればよい。ドーパントの使用量の目安は、好ましくは発光層用材料全体の0.001~50質量%であり、より好ましくは0.05~20質量%であり、さらに好ましくは0.1~10質量%である。上記の範囲であれば、例えば、濃度消光現象を防止できるという点で好ましい。
式(1)で表される化合物と併用することができるホスト材料としては、以前から発光体として知られていたピレン、ジベンゾクリセンなどの縮合環誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体やジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、フルオレン誘導体、ベンゾフルオレン誘導体などがあげられる。
式(2)で表される化合物と併用することができるドーパント材料としては、以前から発光体として知られていたアントラセンやピレンなどの縮合環誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体やジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、フルオレン誘導体、ベンゾフルオレン誘導体などがあげられる。
<有機電界発光素子における電子注入層、電子輸送層>
電子注入層107は、陰極108から移動してくる電子を、効率よく発光層105内または電子輸送層106内に注入する役割を果たす。電子輸送層106は、陰極108から注入された電子または陰極108から電子注入層107を介して注入された電子を、効率よく発光層105に輸送する役割を果たす。電子輸送層106および電子注入層107は、それぞれ、電子輸送・注入材料の一種または二種以上を積層、混合するか、電子輸送・注入材料と高分子結着剤の混合物により形成される。
電子注入・輸送層とは、陰極から電子が注入され、さらに電子を輸送することをつかさどる層であり、電子注入効率が高く、注入された電子を効率よく輸送することが望ましい。そのためには電子親和力が大きく、しかも電子移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが好ましい。しかしながら、正孔と電子の輸送バランスを考えた場合に、陽極からの正孔が再結合せずに陰極側へ流れるのを効率よく阻止できる役割を主に果たす場合には、電子輸送能力がそれ程高くなくても、発光効率を向上させる効果は電子輸送能力が高い材料と同等に有する。したがって、本実施形態における電子注入・輸送層は、正孔の移動を効率よく阻止できる層の機能も含まれてもよい。
電子輸送層106または電子注入層107を形成する材料(電子輸送材料)としては、光導電材料において電子伝達化合物として従来から慣用されている化合物、有機EL素子の電子注入層および電子輸送層に使用されている公知の化合物の中から任意に選択して用いることができる。
電子輸送層または電子注入層に用いられる材料としては、炭素、水素、酸素、硫黄、ケイ素およびリンの中から選ばれる一種以上の原子で構成される芳香族環または複素芳香族環からなる化合物、ピロール誘導体およびその縮合環誘導体および電子受容性窒素を有する金属錯体の中から選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましい。具体的には、ナフタレン、アントラセンなどの縮合環系芳香族環誘導体、4,4’-ビス(ジフェニルエテニル)ビフェニルに代表されるスチリル系芳香族環誘導体、ペリノン誘導体、クマリン誘導体、ナフタルイミド誘導体、アントラキノンやジフェノキノンなどのキノン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、アリールニトリル誘導体およびインドール誘導体などがあげられる。電子受容性窒素を有する金属錯体としては、例えば、ヒドロキシフェニルオキサゾール錯体などのヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体およびベンゾキノリン金属錯体などがあげられる。これらの材料は単独でも用いられるが、異なる材料と混合して使用しても構わない。
また、他の電子伝達化合物の具体例として、ボラン誘導体、ピリジン誘導体、ナフタレン誘導体、フルオランテン誘導体、BO系誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾフルオレン誘導体、フェナントロリン誘導体、ペリノン誘導体、クマリン誘導体、ナフタルイミド誘導体、アントラキノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ペリレン誘導体、オキサジアゾール誘導体(1,3-ビス[(4-t-ブチルフェニル)1,3,4-オキサジアゾリル]フェニレンなど)、チオフェン誘導体、トリアゾール誘導体(N-ナフチル-2,5-ジフェニル-1,3,4-トリアゾールなど)、チアジアゾール誘導体、オキシン誘導体の金属錯体、キノリノール系金属錯体、キノキサリン誘導体、キノキサリン誘導体のポリマー、ベンザゾール類化合物、ガリウム錯体、ピラゾール誘導体、パーフルオロ化フェニレン誘導体、トリアジン誘導体、ピラジン誘導体、ベンゾキノリン誘導体(2,2’-ビス(ベンゾ[h]キノリン-2-イル)-9,9’-スピロビフルオレンなど)、イミダゾピリジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体(トリス(N-フェニルベンゾイミダゾール-2-イル)ベンゼンなど)、ベンゾオキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、キノリン誘導体、テルピリジンなどのオリゴピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、テルピリジン誘導体(1,3-ビス(4’-(2,2’:6’2”-テルピリジニル))ベンゼンなど)、ナフチリジン誘導体(ビス(1-ナフチル)-4-(1,8-ナフチリジン-2-イル)フェニルホスフィンオキサイドなど)、アルダジン誘導体、ピリミジン誘導体、アリールニトリル誘導体、インドール誘導体、リンオキサイド誘導体、ビススチリル誘導体、シロール誘導体およびアゾリン誘導体などがあげられる。
また、電子受容性窒素を有する金属錯体を用いることもでき、例えば、キノリノール系金属錯体やヒドロキシフェニルオキサゾール錯体などのヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体およびベンゾキノリン金属錯体などがあげられる。
上述した材料は単独でも用いられるが、異なる材料と混合して使用しても構わない。
上述した材料の中でも、ボラン誘導体、ピリジン誘導体、フルオランテン誘導体、BO系誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾフルオレン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、ピリミジン誘導体、アリールニトリル誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリノール系金属錯体、チアゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、シロール誘導体およびアゾリン誘導体が好ましい。
<有機電界発光素子における基板>
基板101は、有機EL素子100の支持体となるものであり、通常、石英、ガラス、金属、プラスチックなどが用いられる。基板101は、目的に応じて板状、フィルム状、またはシート状に形成され、例えば、ガラス板、金属板、金属箔、プラスチックフィルム、プラスチックシートなどが用いられる。なかでも、ガラス板、および、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂製の板が好ましい。ガラス基板であれば、ソーダライムガラスや無アルカリガラスなどが用いられ、また、厚みも機械的強度を保つのに十分な厚みがあればよいので、例えば、0.2mm以上あればよい。厚さの上限値としては、例えば、2mm以下、好ましくは1mm以下である。ガラスの材質については、ガラスからの溶出イオンが少ない方がよいので無アルカリガラスの方が好ましいが、SiOなどのバリアコートを施したソーダライムガラスも市販されているのでこれを使用することができる。また、基板101には、ガスバリア性を高めるために、少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜などのガスバリア膜を設けてもよく、特にガスバリア性が低い合成樹脂製の板、フィルムまたはシートを基板101として用いる場合にはガスバリア膜を設けるのが好ましい。
<有機電界発光素子における陽極>
陽極102は、発光層105へ正孔を注入する役割を果たすものである。なお、陽極102と発光層105との間に正孔注入層103および/または正孔輸送層104が設けられている場合には、これらを介して発光層105へ正孔を注入することになる。
陽極102を形成する材料としては、無機化合物および有機化合物があげられる。無機化合物としては、例えば、金属(アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、クロムなど)、金属酸化物(インジウムの酸化物、スズの酸化物、インジウム-スズ酸化物(ITO)、インジウム-亜鉛酸化物(IZO)など)、ハロゲン化金属(ヨウ化銅など)、硫化銅、カーボンブラック、ITOガラスやネサガラスなどがあげられる。有機化合物としては、例えば、ポリ(3-メチルチオフェン)などのポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性ポリマーなどがあげられる。その他、有機EL素子の陽極として用いられている物質の中から適宜選択して用いることができる。
透明電極の抵抗は、発光素子の発光に十分な電流が供給できればよいので限定されないが、発光素子の消費電力の観点からは低抵抗であることが望ましい。例えば、300Ω/□以下のITO基板であれば素子電極として機能するが、現在では10Ω/□程度の基板の供給も可能になっていることから、例えば100~5Ω/□、好ましくは50~5Ω/□の低抵抗品を使用することが特に望ましい。ITOの厚みは抵抗値に合わせて任意に選ぶ事ができるが、通常50~300nmの間で用いられることが多い。
<有機電界発光素子における正孔注入層、正孔輸送層>
正孔注入層103は、陽極102から移動してくる正孔を、効率よく発光層105内または正孔輸送層104内に注入する役割を果たすものである。正孔輸送層104は、陽極102から注入された正孔または陽極102から正孔注入層103を介して注入された正孔を、効率よく発光層105に輸送する役割を果たすものである。正孔注入層103および正孔輸送層104は、それぞれ、正孔注入・輸送材料の一種または二種以上を積層、混合するか、正孔注入・輸送材料と高分子結着剤の混合物により形成される。また、正孔注入・輸送材料に塩化鉄(III)のような無機塩を添加して層を形成してもよい。
正孔注入・輸送性物質としては電界を与えられた電極間において正極からの正孔を効率よく注入・輸送することが必要で、正孔注入効率が高く、注入された正孔を効率よく輸送することが望ましい。そのためにはイオン化ポテンシャルが小さく、しかも正孔移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが好ましい。
正孔注入層103および正孔輸送層104を形成する材料としては、光導電材料において、正孔の電荷輸送材料として従来から慣用されている化合物、p型半導体、有機EL素子の正孔注入層および正孔輸送層に使用されている公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。それらの具体例は、カルバゾール誘導体(N-フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾールなど)、ビス(N-アリールカルバゾール)またはビス(N-アルキルカルバゾール)などのビスカルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体(芳香族第3級アミノを主鎖または側鎖に持つポリマー、1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(3-メチルフェニル)-4,4’-ジアミノビフェニル、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジナフチル-4,4’-ジアミノビフェニル、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(3-メチルフェニル)-4,4’-ジフェニル-1,1’-ジアミン、N,N’-ジナフチル-N,N’-ジフェニル-4,4’-ジフェニル-1,1’-ジアミン、N,N4’-ジフェニル-N,N4’-ビス(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジアミン、N,N,N4’,N4’-テトラ[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジアミン、4,4’,4”-トリス(3-メチルフェニル(フェニル)アミノ)トリフェニルアミン、N-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-9,9-ジメチル-N-(4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル)-9H-フルオレン-2-アミン、N,N-ビス(4-(ジベンゾ[b,d]フラン-4-イル)フェニル)-[1,1’:4’,1”-テルフェニル]-4-アミンなどのトリフェニルアミン誘導体、スターバーストアミン誘導体など)、スチルベン誘導体、フタロシアニン誘導体(無金属、銅フタロシアニンなど)、ピラゾリン誘導体、ヒドラゾン系化合物、ベンゾフラン誘導体やチオフェン誘導体、オキサジアゾール誘導体、キノキサリン誘導体(例えば、1,4,5,8,9,12-ヘキサアザトリフェニレン-2,3,6,7,10,11-ヘキサカルボニトリルなど)、ポルフィリン誘導体などの複素環化合物、ポリシランなどである。ポリマー系では前記単量体を側鎖に有するポリカーボネートやスチレン誘導体、ポリビニルカルバゾールおよびポリシランなどが好ましいが、発光素子の作製に必要な薄膜を形成し、陽極から正孔が注入できて、さらに正孔を輸送できる化合物であれば特に限定されるものではない。
また、有機半導体の導電性は、そのドーピングにより、強い影響を受けることも知られている。このような有機半導体マトリックス物質は、電子供与性の良好な化合物、または、電子受容性の良好な化合物から構成されている。電子供与物質のドーピングのために、テトラシアノキノンジメタン(TCNQ)または2,3,5,6-テトラフルオロテトラシアノ-1,4-ベンゾキノンジメタン(F4TCNQ)などの強い電子受容体が知られている(例えば、文献「M.Pfeiffer,A.Beyer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(22),3202-3204(1998)」および文献「J.Blochwitz,M.Pfeiffer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(6),729-731(1998)」を参照)。これらは、電子供与型ベース物質(正孔輸送物質)における電子移動プロセスによって、いわゆる正孔を生成する。正孔の数および移動度によって、ベース物質の伝導性が、かなり大きく変化する。正孔輸送特性を有するマトリックス物質としては、例えばベンジジン誘導体(TPDなど)またはスターバーストアミン誘導体(TDATAなど)、または、特定の金属フタロシアニン(特に、亜鉛フタロシアニン(ZnPc)など)が知られている(特開2005-167175号公報)。
<有機電界発光素子における陰極>
陰極108は、電子注入層107および電子輸送層106を介して、発光層105に電子を注入する役割を果たすものである。
陰極108を形成する材料としては、電子を有機層に効率よく注入できる物質であれば特に限定されないが、陽極102を形成する材料と同様のものを用いることができる。なかでも、スズ、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金、鉄、亜鉛、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムおよびマグネシウムなどの金属またはそれらの合金(マグネシウム-銀合金、マグネシウム-インジウム合金、フッ化リチウム/アルミニウムなどのアルミニウム-リチウム合金など)などが好ましい。電子注入効率をあげて素子特性を向上させるためには、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウムまたはこれら低仕事関数金属を含む合金が有効である。しかしながら、これらの低仕事関数金属は一般に大気中で不安定であることが多い。この点を改善するために、例えば、有機層に微量のリチウム、セシウムやマグネシウムをドーピングして、安定性の高い電極を使用する方法が知られている。その他のドーパントとしては、フッ化リチウム、フッ化セシウム、酸化リチウムおよび酸化セシウムのような無機塩も使用することができる。ただし、これらに限定されるものではない。
さらに、電極保護のために白金、金、銀、銅、鉄、スズ、アルミニウムおよびインジウムなどの金属、またはこれら金属を用いた合金、そしてシリカ、チタニアおよび窒化ケイ素などの無機物、ポリビニルアルコール、塩化ビニル、炭化水素系高分子化合物などを積層することが、好ましい例としてあげられる。これらの電極の作製法も、抵抗加熱、電子線ビーム、スパッタリング、イオンプレーティングおよびコーティングなど、導通を取ることができれば特に制限されない。
<有機電界発光素子における各層で用いてもよい結着剤>
以上の正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層および電子注入層に用いられる材料は単独で各層を形成することができるが、高分子結着剤としてポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ(N-ビニルカルバゾール)、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリブタジエン、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリウレタン樹脂などの溶剤可溶性樹脂や、フェノール樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの硬化性樹脂などに分散させて用いることも可能である。
<有機電界発光素子の作製方法>
有機EL素子を構成する各層は、各層を構成すべき材料を蒸着法、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、分子積層法、印刷法、インクジェット法、スピンコート法またはキャスト法、コーティング法などの方法で薄膜とすることにより、形成することができる。このようにして形成された各層の膜厚については特に限定はなく、材料の性質に応じて適宜設定することができるが、通常2nm~5000nmの範囲である。膜厚は通常、水晶発振式膜厚測定装置などで測定できる。蒸着法を用いて薄膜化する場合、その蒸着条件は、材料の種類、膜の目的とする結晶構造および会合構造などにより異なる。蒸着条件は一般的に、ボート加熱温度+50~+400℃、真空度10-6~10-3Pa、蒸着速度0.01~50nm/秒、基板温度-150~+300℃、膜厚2nm~5μmの範囲で適宜設定することが好ましい。
次に、有機EL素子を作製する方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/ホスト材料とドーパント材料からなる発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機EL素子の作製法について説明する。適当な基板上に、陽極材料の薄膜を蒸着法などにより形成させて陽極を作製した後、この陽極上に正孔注入層および正孔輸送層の薄膜を形成させる。この上にホスト材料とドーパント材料を共蒸着し薄膜を形成させて発光層とし、この発光層の上に電子輸送層、電子注入層を形成させ、さらに陰極用物質からなる薄膜を蒸着法などにより形成させて陰極とすることにより、目的の有機EL素子が得られる。なお、上述の有機EL素子の作製においては、作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。
このようにして得られた有機EL素子に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を-の極性として印加すればよく、電圧2~40V程度を印加すると、透明または半透明の電極側(陽極または陰極、および両方)より発光が観測できる。また、この有機EL素子は、パルス電流や交流電流を印加した場合にも発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
<有機電界発光素子の応用例>
また、本発明は、有機EL素子を備えた表示装置または有機EL素子を備えた照明装置などにも応用することができる。
有機EL素子を備えた表示装置または照明装置は、本実施形態にかかる有機EL素子と公知の駆動装置とを接続するなど公知の方法によって製造することができ、直流駆動、パルス駆動、交流駆動など公知の駆動方法を適宜用いて駆動することができる。
表示装置としては、例えば、カラーフラットパネルディスプレイなどのパネルディスプレイ、フレキシブルカラー有機電界発光(EL)ディスプレイなどのフレキシブルディスプレイなどがあげられる(例えば、特開平10-335066号公報、特開2003-321546号公報、特開2004-281086号公報など参照)。また、ディスプレイの表示方式としては、例えば、マトリクスおよび/またはセグメント方式などがあげられる。なお、マトリクス表示とセグメント表示は同じパネルの中に共存していてもよい。
マトリクスとは、表示のための画素が格子状やモザイク状など二次元的に配置されたものをいい、画素の集合で文字や画像を表示する。画素の形状やサイズは用途によって決まる。例えば、パソコン、モニター、テレビの画像および文字表示には、通常一辺が300μm以下の四角形の画素が用いられ、また、表示パネルのような大型ディスプレイの場合は、一辺がmmオーダーの画素を用いることになる。モノクロ表示の場合は、同じ色の画素を配列すればよいが、カラー表示の場合には、赤、緑、青の画素を並べて表示させる。この場合、典型的にはデルタタイプとストライプタイプがある。そして、このマトリクスの駆動方法としては、線順次駆動方法やアクティブマトリックスのどちらでもよい。線順次駆動の方が構造が簡単であるという利点があるが、動作特性を考慮した場合、アクティブマトリックスの方が優れる場合があるので、これも用途によって使い分けることが必要である。
セグメント方式(タイプ)では、予め決められた情報を表示するようにパターンを形成し、決められた領域を発光させることになる。例えば、デジタル時計や温度計における時刻や温度表示、オーディオ機器や電磁調理器などの動作状態表示および自動車のパネル表示などがあげられる。
照明装置としては、例えば、室内照明などの照明装置、液晶表示装置のバックライトなどがあげられる(例えば、特開2003-257621号公報、特開2003-277741号公報、特開2004-119211号公報など参照)。バックライトは、主に自発光しない表示装置の視認性を向上させる目的に使用され、液晶表示装置、時計、オーディオ装置、自動車パネル、表示板および標識などに使用される。特に、液晶表示装置、中でも薄型化が課題となっているパソコン用途のバックライトとしては、従来方式のものが蛍光灯や導光板からなっているため薄型化が困難であることを考えると、本実施形態に係る発光素子を用いたバックライトは薄型で軽量が特徴になる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明していくが、本発明はこれらに限定されない。まず、実施例で使用する化合物の合成例について、以下に説明する。
<合成例1-1>化合物(1-1)の合成
Figure 2022115606000172
化合物(1-1)は、韓国公開特許第2017-116885号公報に記載された方法に準じて、原料の化合物を適宜変更することにより、合成した。EI-MS:m/z=658であった。
<合成例1-2>化合物(1-5)の合成
Figure 2022115606000173
化合物(1-5)は、韓国公開特許第2017-116885号公報に記載された方法に準じて、原料の化合物を適宜変更することにより、合成した。EI-MS:m/z=838であった。
<合成例1-3>化合物(1-16)の合成
Figure 2022115606000174
化合物(1-16)は、韓国公開特許第2017-116885号公報に記載された方法に準じて、原料の化合物を適宜変更することにより、合成した。EI-MS:m/z=748であった。
<合成例1-4>化合物(1-21)の合成
Figure 2022115606000175
化合物(1-21)は、韓国公開特許第2017-116885号公報に記載された方法に準じて、原料の化合物を適宜変更することにより、合成した。EI-MS:m/z=658であった。
<合成例1-5>化合物(1-27)の合成
Figure 2022115606000176
化合物(1-27)は、韓国公開特許第2017-116885号公報に記載された方法に準じて、原料の化合物を適宜変更することにより、合成した。EI-MS:m/z=808であった。
<合成例1-6>化合物(1-81)の合成
Figure 2022115606000177
化合物(1-81)は、韓国公開特許第2017-116885号公報に記載された方法に準じて、原料の化合物を適宜変更することにより、合成した。EI-MS:m/z=748であった。
<合成例1-7>化合物(1-102)の合成
Figure 2022115606000178
化合物(1-102)は、韓国公開特許第2017-116885号公報に記載された方法に準じて、原料の化合物を適宜変更することにより、合成した。EI-MS:m/z=748であった。
<合成例(1-8>化合物(1-115)の合成
Figure 2022115606000179
化合物(1-115)は、韓国公開特許第2017-116885号公報に記載された方法に準じて、原料の化合物を適宜変更することにより、合成した。EI-MS:m/z=677であった。
<合成例1-9>化合物(1-114)の合成
化合物(1-1)(1g)、5%白金-炭素(5%Pt/C、300mg)、重水(40mL)、シクロヘキサン(cHex,20mL)およびイソプロピルアルコール(IPA,5mL)をアルゴン雰囲気下でフラスコに入れ100℃で加熱した。反応後、水とクロロホルムを加えて分液抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させろ過した後に、有機層を濃縮して得られた粗体を再結晶することで目的の化合物(1-114)を得た。
EI-MS:m/z=692であった。
Figure 2022115606000180
<合成例1-10>化合物(1-119)の合成
Figure 2022115606000181
化合物(1-119)は、韓国公開特許第2019―056338号公報に記載された方法に準じて合成した。EI-MS:m/z=672であった。
<合成例1-11>化合物(1-125)の合成
Figure 2022115606000182
化合物(1-125)は、韓国公開特許第2017-116885号公報に記載された方法に準じて合成した。EI-MS:m/z=838であった。
<合成例2-1>化合物(2-41)の合成
Figure 2022115606000183
化合物(2-41)は、国際公開第2015/102118号の「合成例(32)」に記載された方法に準じて合成した。
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
H-NMR(500MHz,CDCl):δ=1.47(s,36H)、2.17(s,3H)、5.97(s,2H)、6.68(d,2H)、7.28(d,4H)、7.49(dd,2H)、7.67(d,4H)、8.97(d,2H).
<合成例2-2>化合物(2-31)の合成
Figure 2022115606000184
化合物(2-31)は、国際公開第2015/102118号の「合成例(32)」に記載された方法に準じて合成した。
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
H-NMR(500MHz,CDCl):δ=1.46(s,18H)、1.47(s,18H)、6.14(d,2H)、6.75(d,2H)、7.24(t,1H)、7.29(d,4H)、7.52(dd,2H)、7.67(d,4H)、8.99(d,2H).
<合成例2-3>化合物(2-46)の合成
Figure 2022115606000185
化合物(2-46)は、国際公開第2015/102118号の「合成例(32)」に記載された方法に準じて合成した。
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
H-NMR(CDCl):δ=1.20(s,9H)、1.37(s,18H)、1.46(s,9H)、1.47(s,9H)、2.18(s,3H)、5.97(s,1H)、6.08(d,1H)、6.63(d,1H)、6.66(d,1H)、7.20(d,2H)、7.27(d,2H)、7.32(dd,1H)、7.48(dd,1H)、7.61(t,1H)、7.67(d,2H)、8.84(d,1H)、8.94(d,1H).
<合成例2-4>化合物(2-37)の合成
Figure 2022115606000186
化合物(2-37)は、国際公開第2015/102118号の「合成例(32)」に記載された方法に準じて合成した。
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
H-NMR(CDCl):δ=1.20(s,9H)、1.36(s,18H)、1.46(s,9H)、1.47(s,9H)、6.14(d,1H)、6.25(d,1H)、6.68(d,1H)、6.73(d,1H)、7.21(d,2H)、7.29(d,3H)、7.34(dd,1H)、7.51(dd,1H)、7.61(t,1H)、7.67(d,2H)、8.86(d,1H)、8.96(d,1H).
<合成例2-5>化合物(2-42)の合成
Figure 2022115606000187
前述した合成実施例と同様の方法を用い、式(2-42)で表される化合物を合成した。
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
H-NMR(CDCl):δ=1.37(s,18H)、1.46(s,9H)、1.47(s,9H)、2.17(s,3H)、5.56(s,1H)、5.99(s,1H)、6.68(d,1H)、6.74(d,1H)、7.19(d,2H)、7.24~7.29(m,3H)、7.42(t,1H)、7.49(dd,1H)、7.61(t,1H)、7.68(d,2H)、8.91(dd,1H)、8.92(d,1H).
<合成例2-6>化合物(2-49)の合成
Figure 2022115606000188
化合物(2-49)は、特開2016-88927号公報の「比較合成例(1)」に記載された方法に準じて合成した。
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
H-NMR(CDCl):δ=1.33(s,18H)、1.46(s,18H)、5.55(s,2H)、6.75(d,2H)、6.89(t,2H)、6.94(d,4H)、7.06(t,4H)、7.13(d,4H)、7.43~7.46(m,6H)、8.95(d,2H).
<合成例2-7>化合物(2-50)の合成
Figure 2022115606000189
化合物(2-50)は、国際公開第2015/102118号の「合成例(32)」に記載された方法に準じて合成した。
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
H-NMR(CDCl):δ=1.3(s,18H)、1.3(s,18H)、1.5(s,18H)、5.8(s,2H)、6.6(d,2H)、6.8(dd,4H)、7.1(dd,4H)、7.1(dd,4H)、7.4~7.5(m,6H)、8.9(d,2H).
<合成例2-8>化合物(2-53)の合成
Figure 2022115606000190
化合物(2-53)は、国際公開第2015/102118号の「合成例(32)」に記載された方法に準じて合成した。
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
H-NMR(CDCl):δ=1.35(s,18H)、1.50(s,18H)、6.34(s,2H)、6.85(d,2H)、7.16(t,2H)、7.23(t,2H)、7.32~7.35(m,6H)、7.56(dd,2H)、7.63(d,4H)、7.99(d,2H)、9.05(d,2H).
<合成例2-9>化合物(2-33)の合成
Figure 2022115606000191
化合物(2-33)は、国際公開第2015/102118号の「合成例(32)」に記載された方法に準じて合成した。
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
H-NMR(CDCl):δ=1.22(s,9H)、1.37(s,9H)、1.46(s,9H)、1.47(s,9H)、6.14(d,1H)、6.18(d,1H)、6.72(d,1H)、6.74(d,1H)、7.19(ddd,1H)、7.23~7.30(m,3H)、7.34(dd,1H)、7.41(t,1H)、7.51(dd,1H)、7.58~7.64(m,2H)、7.67(d,2H)、8.86(d,1H)、8.96(d,1H).
<合成例2-10>化合物(2-508)の合成
Figure 2022115606000192
窒素雰囲気下、4-(t-アミル)アニリン(15.0g)をアセトニトリル(150ml)へ溶解させ、そこに氷冷下、臭素(22.5g)を滴下し、0.5時間撹拌した。反応後、反応液に水と酢酸エチルを加え撹拌した後、有機層を分離して水洗した。その後、有機層を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン)で精製することで、中間体(I-A)を得た(20.0g)。
Figure 2022115606000193
窒素雰囲気下、塩化銅(10.1g)、中間体(I-A)(20.0g)をアセトニトリル(100ml)へ溶解させ、そこへ、アセトニトリル(50ml)へ溶解させた亜硝酸t-ブチル(9.6g)を60℃にて滴下し、同温にて0.5時間撹拌した。反応後、反応液に希塩酸と酢酸エチルを加え撹拌した後、有機層を分離して水洗した。その後、有機層を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン/ヘプタン=1/4(容量比))で精製することで、中間体(I-B)を得た(19.0g)。
Figure 2022115606000194
窒素雰囲気下、中間体(I-B)(10.0g)、ビス(4-t-ブチルフェニル)アミン(18.2g)、パラジウム触媒としてジクロロビス(ジ-t-ブチル(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ)パラジウム(Pd-132、0.21g)、ナトリウム-t-ブトキシド(NaOtBu、7.1g)およびキシレン(100ml)をフラスコに入れ、100℃で1時間加熱した。反応後、反応液に水とトルエンを加え撹拌した後、有機層を分離して水洗した。その後、有機層を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン)で精製することで、中間体(I-C)を得た(18.0g)。

Figure 2022115606000195
中間体(I-C)(18.0g)およびt-ブチルベンゼン(500ml)の入ったフラスコに、窒素雰囲気下、0℃で、1.56Mのt-ブチルリチウムペンタン溶液(28.9ml)を加えた。滴下終了後、70℃まで昇温して0.5時間撹拌した後、t-ブチルベンゼンより低沸点の成分を減圧留去した。-50℃まで冷却して三臭化ホウ素(11.3g)を加え、室温まで昇温して0.5時間撹拌した。その後、再び0℃まで冷却してN,N-ジイソプロピルエチルアミン(5.8g)を加え、発熱が収まるまで室温で撹拌した後、100℃まで昇温して1時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却し、氷浴で冷やした酢酸ナトリウム水溶液、次いで酢酸エチルを加えて分液した。有機層を濃縮後に、シリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン)で精製した。得られた粗成生物をクロロベンゼンで再結晶させることで、化合物(2-508)を得た(7.1g)。
Figure 2022115606000196
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
H-NMR(CDCl):δ=0.49(t,3H)、0.92(s,6H)、1.28(q,2H)、1.46(s,18H)、1.47(s,18H)、6.05(s,2H)、6.77(d,2H)、7.28(m,4H)、7.50(m,2H)、7.67(m,4H)、8.97(d,2H).
<合成例2-11>化合物(2-538)の合成
Figure 2022115606000197
窒素雰囲気下、3,4,5-トリクロロアニリン(12.0g)、d-ブロモベンゼン(30.0g)、パラジウム触媒としてジクロロビス(ジ-t-ブチル(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ)パラジウム(Pd-132、0.43g)、ナトリウム-t-ブトキシド(NaOtBu、14.7g)およびキシレン(200mL)をフラスコに入れ、120℃で3時間加熱した。反応後、反応液に水と酢酸エチルを加え撹拌した後、有機層を分離して、水洗した。その後、有機層を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン/ヘプタン=1/1(容量比))で精製することで、中間体(I-D)を15.0g得た。
Figure 2022115606000198
窒素雰囲気下、中間体(I-D)(15.0g)、ビス(4-t-ブチルフェニル)アミン(25.9g)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0.48g)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(SPhos、0.86g)、ナトリウム-t-ブトキシド(10.0g)およびキシレン(130mL)をフラスコに入れ、100℃で1時間加熱した。反応後、反応液に水とトルエンを加え撹拌した後、有機層を分離して、水洗した。その後、有機層を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン)で精製することで、中間体(I-E)を23.0g得た。
Figure 2022115606000199
中間体(I-E)(23.0g)およびtert-ブチルベンゼン(250ml)の入ったフラスコに、窒素雰囲気下、0℃で、1.62Mのtert-ブチルリチウムペンタン溶液(33.5ml)を加えた。滴下終了後、60℃まで昇温して1時間撹拌した後、tert-ブチルベンゼンより低沸点の成分を減圧留去した。-50℃まで冷却して三臭化ホウ素(13.6g)を加え、室温まで昇温して0.5時間撹拌した。その後、再び0℃まで冷却してN,N-ジイソプロピルエチルアミン(7.0g)を加え、発熱が収まるまで室温で撹拌した後、100℃まで昇温して1時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却し、氷浴で冷やした酢酸ナトリウム水溶液、次いで酢酸エチルを加えて分液した。有機層を濃縮後に、シリカゲルショートカラム(溶離液:加熱したクロロベンゼン)で精製した。得られた粗成生物を還流したへプタンおよび還流した酢酸エチルで洗浄後、更にクロロベンゼンから再沈殿させることで、化合物(2-538)を得た(12.9g)。
Figure 2022115606000200
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
H-NMR(CDCl):δ=1.3(s,18H)、1.5(s,18H)、5.6(s,2H)、6.8(d,2H)、7.1(m,4H)、7.4~7.5(m,6H)、9.0(d,2H).
<合成例2-12>化合物(2-541)の合成
Figure 2022115606000201
窒素雰囲気下、d-アニリン(5.0g)、d-ブロモベンゼン(8.25g)、パラジウム触媒としてPd-132(0.36g)、NaOtBu(7.1g)およびキシレン(100mL)をフラスコに入れ、120℃で1.5時間加熱した。反応後、反応液に水と酢酸エチルを加え撹拌した後、有機層を分離して、水洗した。その後、有機層を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン/ヘプタン=1/1(容量比))で精製することで、中間体(I-F)を8.1g得た。
Figure 2022115606000202
窒素雰囲気下、中間体(I-F)(8.0g)、中間体(I-G)(20.6g)、パラジウム触媒としてPd-132(0.31g)、NaOtBu(6.4g)およびキシレン(100mL)をフラスコに入れ、120℃で1時間加熱した。反応後、反応液に水と酢酸エチルを加え撹拌した後、有機層を分離して、水洗した。その後、有機層を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン/ヘプタン=1/1(容量比))で精製することで、中間体(I-H)を20.2g得た。
Figure 2022115606000203
中間体(I-H)(10.0g)およびtert-ブチルベンゼン(150ml)の入ったフラスコに、窒素雰囲気下、0℃で、1.62Mのtert-ブチルリチウムペンタン溶液(21.2ml)を加えた。滴下終了後、60℃まで昇温して0.5時間撹拌した後、tert-ブチルベンゼンより低沸点の成分を減圧留去した。-50℃まで冷却して三臭化ホウ素(8.6g)を加え、室温まで昇温して0.5時間撹拌した。その後、再び0℃まで冷却してN,N-ジイソプロピルエチルアミン(4.4g)を加え、発熱が収まるまで室温で撹拌した後、100℃まで昇温して1時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却し、氷浴で冷やした酢酸ナトリウム水溶液、次いで酢酸エチルを加えて分液した。有機層を濃縮後に、シリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン)で精製した。得られた粗成生物をトルエンへ溶解させた後、ヘプタンを加え析出した結晶をろ過し、ろ別した結晶を冷やしたヘプタンで洗浄することで、化合物(2-541)を得た(3.1g)。
Figure 2022115606000204
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
H-NMR(CDCl):δ=1.46(s,9H)、1.47(s,9H)、2.16(s,3H)、5.92(s,1H)、6.00(s,1H)、6.69(d,1H)、7.25-7.28(m,2H)、7.49-7.51(m,1H)、7.66-7.69(m,2H)、8.92(d,1H).
<合成例2-13>化合物(2-544)の合成
Figure 2022115606000205
窒素雰囲気下、中間体(I-I)(8.4g)、中間体(I-J)(4.6g)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0.23g)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(SPhos、0.32g)、ナトリウム-t-ブトキシド(3.2g)およびキシレン(40ml)をフラスコに入れ、100℃で1.5時間加熱した。反応後、反応液に水とトルエンを加え撹拌した後、有機層を分離して、水洗した。その後、有機層を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルショートパスカラム(溶離液:トルエン)で精製することで、中間体(I-K)を得た(8.6g)。
Figure 2022115606000206
中間体(I-K)(8.6g)およびtert-ブチルベンゼン(90ml)の入ったフラスコに、窒素雰囲気下、0℃で、1.62Mのtert-ブチルリチウムペンタン溶液(12.9ml)を加えた。滴下終了後、70℃まで昇温して0.5時間撹拌した後、tert-ブチルベンゼンより低沸点の成分を減圧留去した。-50℃まで冷却して三臭化ホウ素(5.0g)を加え、室温まで昇温して0.5時間撹拌した。その後、再び0℃まで冷却してN,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.6g)を加え、発熱が収まるまで室温で撹拌した後、100℃まで昇温して1時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却し、氷浴で冷やした酢酸ナトリウム水溶液、次いで酢酸エチルを加えて1時間撹拌した。黄色懸濁液をろ過し、その沈殿物をメタノール、純水で2回洗浄した後、再びメタノールで洗浄した。黄色結晶をクロロベンゼンに加熱溶解後、シリカゲルショートパスカラム(溶離液:加熱したクロロベンゼン)で精製した。得られた粗生成物をへプタンを加えてろ過した後に、ヘプタンで結晶を洗浄することで、化合物(2-544)を得た(6.5g)。
Figure 2022115606000207
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
H-NMR(CDCl):δ=1.33(s,18H)、1.46(s,18H)、5.55(s,2H)、6.88(t,2H)、6.94(d,4H)、7.06(dd,4H).
<合成例2-14>化合物(2-542)の合成
Figure 2022115606000208
窒素雰囲気下、中間体(I-I)(10.7g)、中間体(I-D)(6.0g)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0.58g)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(SPhos、0.82g)、ナトリウム-t-ブトキシド(4.0g)およびキシレン(60ml)をフラスコに入れ、100℃で1.5時間加熱した。反応後、反応液に水とトルエンを加えて撹拌した後、有機層を分離して、水洗した。その後、有機層を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルショートパスカラム(溶離液:トルエン)で精製し、得られた固体を冷却したヘプタンで洗浄することで、中間体(I-L)を得た(9.4g)。
Figure 2022115606000209
中間体(I-L)(8.6g)およびtert-ブチルベンゼン(100ml)の入ったフラスコに、窒素雰囲気下、0℃で、1.62Mのtert-ブチルリチウムペンタン溶液(13.8ml)を加えた。滴下終了後、60℃まで昇温して0.5時間撹拌した後、tert-ブチルベンゼンより低沸点の成分を減圧留去した。-50℃まで冷却して三臭化ホウ素(5.4g)を加え、室温まで昇温して0.5時間撹拌した。その後、再び0℃まで冷却してN,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.8g)を加え、発熱が収まるまで室温で撹拌した後、100℃まで昇温して1時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却し、氷浴で冷やした酢酸ナトリウム水溶液、次いで酢酸エチルを加えて1時間撹拌した。黄色懸濁液をろ過し、その沈殿物をメタノール、純水で2回洗浄した後、再びメタノールで洗浄した。黄色結晶をクロロベンゼンに加熱溶解後、シリカゲルショートパスカラム(溶離液:加熱したクロロベンゼン)で精製した。得られた粗生成物にヘプタンを加えてろ過した後に、ヘプタンで結晶を洗浄することで、化合物(2-542)を得た(5.9g)。
Figure 2022115606000210
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
H-NMR(CDCl):δ=1.32(s,18H)、1.46(s,18H)、5.55(s,2H).
<合成例2-15>化合物(2-290)の合成
Figure 2022115606000211
化合物(2-290)は、国際公開第2017/126443号の「合成例(1)」に記載された方法に準じて合成した。
NMR測定により得られた化合物(2-290)の構造を確認した。
H-NMR(CDCl):δ=8.64(s,2H)、7.75(m,3H)、7.69(d,2H)、7.30(t,8H)、7.25(s,2H)、7.20(m,10H)、7.08(m,6H)、1.58(s,12H).
<合成例2-16>化合物(2-351)の合成
Figure 2022115606000212
化合物(2-351)は、国際公開第2017/126443号の「合成例(5)」に記載された方法に準じて合成した。
NMR測定により式(2-351)の化合物の構造を確認した。
H-NMR(CDCl):δ=9.22(s,1H)、8.78(s,1H)、7.96(d,2H)、7.80~7.77(m,6H)、7.71(d,1H)、7.59~7.44(m,8H)、7.39(t,1H)、7.32~7.29(m,4H)、7.71(d,1H)、7.19(dd,4H)、7.12~7.06(m,4H)、7.00(d,1H)、6.45(d,1H)、1.57(s,6H).
また式(2-351)の化合物のガラス転移温度(Tg)は165.6℃であった。
[測定機器:Diamond DSC (PERKIN-ELMER社製);測定条件:冷却速度200℃/Min.、昇温速度10℃/Min.]
<合成例2-17>化合物(2-60)の合成
Figure 2022115606000213
合成例(2-1)と同様の方法を用い、化合物(2-60)を合成した。
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
H-NMR:δ=1.1(s,9H)、1.4(s,9H)、1.5(s,9H)、1.5(s,9H)、1.5(s,9H)、2.2(s,3H)、5.9(s,1H)、6.1(s,1H)、6.7(m,2H)、7.0(d,2H)、7.1(d,2H)、7.2(d,1H)、7.3(m,2H)、7.4(m,1H)、7.5(m,1H)、7.6(dd,1H)、7.7(m,3H)、8.9(d,1H)、8.9(d,1H).
<合成例2-18>化合物(2-561)の合成
Figure 2022115606000214
合成例(2-1)と同様の方法を用い、化合物(2-561)を合成した。
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
H-NMR(CDCl):δ=1.08(s,6H)、1.27(s,6H)、1.42(s,6H)、1.46(s,9H)、1.47(s,9H)、1.48(s,6H)、1.69-1.81(m,8H)、2.18(s,3H)、5.97(s,1H)、6.06(s,1H)、6.52(s,1H)、6.67(d,1H)、7.08(dd,1H)、7.25-7.29(m,3H)、7.48(dd,1H)、7.59(d,1H)、7.67(d,2H)、8.89(s,1H)、8.97(d,1H).
<合成例2-19>化合物(2-574)の合成
Figure 2022115606000215
合成例(2-1)と同様の方法を用い、化合物(2-574)を合成した。マススペクトル分析により、得られた化合物が化合物(2-574)であることを確認した。
EI-MS:m/z=756.
<合成例2-20>化合物(2-578)の合成
Figure 2022115606000216
合成例(2-1)と同様の方法を用い、化合物(2-578)を合成した。マススペクトル分析により、得られた化合物が化合物(2-578)であることを確認した。
EI-MS:m/z=889.
<合成例2-21>化合物(2-580)の合成
Figure 2022115606000217
合成例(2-1)と同様の方法を用い、化合物(2-580)を合成した。マススペクトル分析により、得られた化合物が化合物(2-580)であることを確認した。
EI-MS:m/z=811.
<合成例2-22>化合物(2-589)の合成
Figure 2022115606000218
合成例(2-1)と同様の方法を用い、化合物(2-589)を合成した。マススペクトル分析により、得られた化合物が化合物(2-589)であることを確認した。
EI-MS:m/z=944.
<合成例2-23>化合物(2-591)の合成
Figure 2022115606000219
トリ-p-トリルアミン(0.287g、1.00mmol)、三ヨウ化ホウ素(0.783g、2.00mmol)およびo-ジクロロベンゼン(10.0ml)を窒素雰囲気下、150℃で2時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷やし、2-イソプロペニルフェニルマグネシウムブロミド(5.25ml、1.2M、6.30mmol)を加えた。その後、フロリジルショートパスカラム(溶離液:トルエン)を用いてろ過し、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をヘキサンで洗浄することによって単離精製して、2,8-ジメチル-10-(2-(プロ-1-ペン-2-イル)フェニル)-5-(p-トリル)-5,10-ジヒドロジベンゾ[b,e][1,4]アザボリンを0.309g、収率75%で得た。
Figure 2022115606000220
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
H-NMR(CDCl):δ=2.05(s,3H)、2.31(s,6H)、2.54(s,3H)、4.78(s,2H)、6.74(d,2H)7.20-7.28(m,4H)、7.37-7.48(m,5H)、7.56(d,1H)、7.68(s,2H).
13C-NMR(CDCl):δ=20.6(s,2C)、21.3(s,1C)、23.8(s,1C)、116.7(s,2C)、116.9(s,1C)、126.0(d,2C)、126.8(s,1C)、128.2(s,2C)、130.0(d,4C)、131.4(d,4C)、133.0(s,1C)、133.7(s,2C)、136.4(s,2C)、138.6(s,1C)、139.3(s,1C)、145.1(s,1C)、147.0(d,2C).
2,8-ジメチル-10-(2-(プロ-1-ペン-2-イル)フェニル)-5-(p-トリル)-5,10-ジヒドロジベンゾ[b,e][1,4]アザボリン(82.2mg、0.20mmol)、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム(0.100g、0.20mmol)および1,2-ジクロロエタン(55.0ml)を窒素雰囲気下、95℃で24時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷やした後、フロリジルショートパスカラム(溶離液:トルエン)を用いてろ過し、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラム(溶離液:ヘキサン/トルエン=6/1(容量比))により単離精製して、化合物(2-591)を32.0mg、収率39%で得た。
Figure 2022115606000221
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
H-NMR(CDCl):δ=1.98(s,6H)、2.48(s,3H)、2.53(s,3H)、2.76(s,3H)、6.61(d,1H)、6.75(d,1H)、7.14-7.31(m,4H)、7.40-7.47(m,3H)、7.57(dt,1H)、7.81(d,1H)、8.44(d,1H)、8.50(s,1H).
13C-NMR(CDCl):δ=20.9(s,1C)、21.4(s,1C)、24.3(s,1C)、32.6(s,2C)、43.5(s,1C)、114.0(s,1C)、116.6(s,1C)、124.7(s,1C)、125.8(s,1C)、127.0(s,1C)、128.4(s,2C)、130.1(s,2C)、130.5(s,1C)、131.4(s,2C)、133.0(s,1C)、135.2(s,1C)、135.5(s,1C)、137.7(s,1C)、138.4(s,1C)、139.5(s,1C)、144.3(s,1C)、145.4(s,1C)、151.4(s,1C)、159.5(s,1C).
原料の化合物を適宜変更することにより、上述した合成例に準じた方法で、本発明の他の化合物を合成することができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明するために、本発明の化合物を用いた有機EL素子の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
実施例1~11、および比較例1に係る有機EL素子を作製し、それぞれ1000cd/m発光時の特性である発光波長(nm)、電圧(V)、外部量子効率(%)を測定した。
発光素子の量子効率には、内部量子効率と外部量子効率とがあるが、内部量子効率は、発光素子の発光層に電子(または正孔)として注入される外部エネルギーが純粋に光子に変換される割合を示している。一方、外部量子効率は、この光子が発光素子の外部にまで放出された量に基づいて算出され、発光層において発生した光子は、その一部が発光素子の内部で吸収されたりまたは反射され続けたりして、発光素子の外部に放出されないため、外部量子効率は内部量子効率よりも低くなる。
外部量子効率の測定方法は次の通りである。アドバンテスト社製電圧/電流発生器R6144を用いて、素子の輝度が1000cd/mになる電圧を印加して素子を発光させた。TOPCON社製分光放射輝度計SR-3ARを用いて、発光面に対して垂直方向から可視光領域の分光放射輝度を測定した。発光面が完全拡散面であると仮定して、測定した各波長成分の分光放射輝度の値を波長エネルギーで割ってπを掛けた数値が各波長におけるフォトン数である。次いで、観測した全波長領域でフォトン数を積算し、素子から放出された全フォトン数とした。印加電流値を素電荷で割った数値を素子へ注入したキャリア数として、素子から放出された全フォトン数を素子へ注入したキャリア数で割った数値が外部量子効率である。
<実施例1>
<ホスト材料:化合物(1-1)、ドーパント材料:化合物(2-41)の素子>
スパッタリングにより180nmの厚さに製膜したITOを150nmまで研磨した、26mm×28mm×0.7mmのガラス基板((株)オプトサイエンス製)を透明支持基板とした。この透明支持基板を市販の蒸着装置(長州産業(株)製)の基板ホルダーに固定し、HI、HAT-CN、HT-1、HT-2、化合物(1-1)、化合物(2-41)、ET-1およびET-2をそれぞれ入れたタンタル製蒸着用ボート、Liq、マグネシウムおよび銀をそれぞれ入れた窒化アルミニウム製蒸着用ボートを装着した。
透明支持基板のITO膜の上に順次、表1に示すように、下記各層を形成した。真空槽を5×10-4Paまで減圧し、HI、HAT-CN、HT-1およびHT-2の順に蒸着して、正孔注入層1(膜厚40nm)、正孔注入層2(膜厚5nm)、正孔輸送層1(膜厚15nm)および正孔輸送層2(膜厚10nm)を形成した。次に、化合物(1-1)と化合物(2-41)を同時に加熱して膜厚25nmになるように蒸着して発光層を形成した。化合物(1-1)と化合物(2-41)の質量比がおよそ98対2になるように蒸着速度を調節した。次に、ET-1を加熱して膜厚5nmになるように蒸着して電子輸送層1を形成した。次に、ET-2とLiqを同時に加熱して膜厚25nmになるように蒸着して電子輸送層2を形成した。ET-2とLiqの質量比がおよそ50対50になるように蒸着速度を調節した。各層の蒸着速度は0.01~1nm/秒であった。その後、Liqを加熱して膜厚1nmになるように0.01~0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着し、次いで、マグネシウムと銀を同時に加熱して膜厚100nmになるように蒸着して陰極を形成し、有機EL素子を得た。このとき、マグネシウムと銀の原子数比が10対1となるように0.1~10nm/秒の間で蒸着速度を調節した。
ITO電極を陽極、マグネシウム/銀電極を陰極として直流電圧を印加し、1000cd/m発光時の特性を測定したところ、表2に示すように、駆動電圧は4.11V、外部量子効率は6.32%であり、波長461nmの青色発光が得られた。
<実施例2~11、比較例1>
実施例1に準じて、表1に記載したホスト材料で各有機EL素子を製造し、EL特性データを測定した。
上記実施例において、「HI」はN,N4’-ジフェニル-N,N4’-ビス(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジアミンであり、「HAT-CN」は1,4,5,8,9,12-ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリルであり、「HT-1」はN-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-9,9-ジメチル-N-(4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル)-9H-フルオレン-2-アミンであり、「HT-2」はN,N-ビス(4-(ジベンゾ[b,d]フラン-4-イル)フェニル)-[1,1’:4’,1”-テルフェニル]-4-アミンであり、「ET-1」は4,6,8,10-テトラフェニル[1,4]ベンゾキサボリニノ[2,3,4-kl]フェノキサボリニンであり、「ET-2」は3,3’-((2-フェニルアントラセン-9,10-ジイル)ビス(4,1-フェニレン))ビス(4-メチルピリジン)である。「Liq」、韓国公開特許第2018/033004号公報記載の方法で合成した「比較化合物1」と共に以下に化学構造を示す。
Figure 2022115606000222
作製した実施例1~11および比較例1に係る有機EL素子における各層の材料構成を表1に、およびEL特性データを表2にして下記に示す。
Figure 2022115606000223
















Figure 2022115606000224
本発明により、高い外部量子効率を有するとともに、低電圧での発光が可能である有機EL素子が提供される。
100 有機電界発光素子
101 基板
102 陽極
103 正孔注入層
104 正孔輸送層
105 発光層
106 電子輸送層
107 電子注入層
108 陰極

Claims (10)

  1. 陽極および陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に配置される発光層とを有する有機電界発光素子であって、前記発光層は、ホスト材料として下記式(1)で表されるアントラセン化合物、およびドーパント材料として下記式(2)で表される多環芳香族化合物または下記式(2)で表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体を含む、有機電界発光素子。
    Figure 2022115606000225
    (式(1)中、
    は、水素、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、または置換シリルであり、
    Ar、Ar11~Ar18、およびAr21~Ar28はそれぞれ独立して、水素、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のジアリールアミノ、置換もしくは無置換のジヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアリールヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、置換もしくは無置換のアルケニル、置換もしくは無置換のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリールオキシ、置換もしくは無置換のアリールチオ、または置換シリルであり、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記ジヘテロアリールアミノの2つのヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記アリールヘテロアリールアミノのアリールとヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、ただしAr21~Ar28の少なくとも2つは、それぞれ独立して、置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリールであり、
    Lは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン、置換もしくは無置換のシクロアルキレン、置換もしくは無置換のアリーレン、または置換もしくは無置換のヘテロアリーレンであり、そして;
    式(1)で表される化合物における少なくとも1つの水素はハロゲン、シアノ、または重水素で置換されているか、または置換されていない。)
    (式(2)中、
    A環、B環、およびC環は、それぞれ独立して、アリール環またはヘテロアリール環であり、これらの環における少なくとも1つの水素は置換されているか、または置換されておらず、
    は、B、P、P=O、P=S、Al、Ga、As、Si-R、またはGe-Rであり、前記Si-Rおよび前記Ge-RのRは置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のアルキル、または置換もしくは無置換のシクロアルキルであり、
    およびXは、それぞれ独立して、>O、>N-R、>C(-R)、>Si(-R)、>S、または>Seであり、前記>N-R、前記>C(-R)、および前記>Si(-R)のRは、それぞれ独立して、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のアルキル、または置換もしくは無置換のシクロアルキルであり、前記>C(-R)、および前記>Si(-R)の2つのRは結合して環を形成しているか、または形成しておらず、前記>N-R、前記>C(-R)、および前記>Si(-R)のRは連結基または単結合により、前記A環および前記B環の少なくとも1つ、または前記A環および前記C環の少なくとも1つと結合しているか、または結合しておらず、
    式(2)で表される化合物またはその多量体における、アリール環およびヘテロアリール環の少なくとも1つは、少なくとも1つのシクロアルカンで縮合されているか、または縮合されておらず、当該シクロアルカンにおける少なくとも1つの水素は置換されているか、または置換されておらず、当該シクロアルカンにおける少なくとも1つの-CH-は-O-で置換されているか、または置換されておらず、そして;
    式(2)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素は、重水素、シアノ、またはハロゲンで置換されているか、または置換されていない。)
  2. 式(1)において
    Arが置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリールであり、
    Ar11~Ar18が、それぞれ独立して、水素、置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のジアリールアミノ、置換もしくは無置換のジヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアリールヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、置換もしくは無置換のアルケニル、置換もしくは無置換のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリールオキシ、置換もしくは無置換のアリールチオ、または置換シリルであり、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記ジヘテロアリールアミノの2つのヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記アリールヘテロアリールアミノのアリールとヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、
    Ar21~Ar28のいずれか2つが、それぞれ独立して、置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリールであり、他の6つが、それぞれ独立して、水素、置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のジアリールアミノ、置換もしくは無置換のジヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアリールヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、置換もしくは無置換のアルケニル、置換もしくは無置換のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリールオキシ、置換もしくは無置換のアリールチオ、または置換シリルであり、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記ジヘテロアリールアミノの2つのヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記アリールヘテロアリールアミノのアリールとヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合している、
    請求項1に記載の有機電界発光素子。
  3. 式(1)において
    Arが水素、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、または置換シリルであり、
    Ar11~Ar18のいずれか2つが、それぞれ独立して、置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリールであり、他の6つが、それぞれ独立して、水素、置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のジアリールアミノ、置換もしくは無置換のジヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアリールヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、置換もしくは無置換のアルケニル、置換もしくは無置換のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリールオキシ、置換もしくは無置換のアリールチオ、または置換シリルであり、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記ジヘテロアリールアミノの2つのヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記アリールヘテロアリールアミノのアリールとヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合している、
    請求項1に記載の有機電界発光素子。
  4. 式(1)で表されるアントラセン化合物が、式(1-a)または式(1-b)で表される、請求項1~3のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
    Figure 2022115606000226
    (式(1-a)および式(1-b)中、
    Lは単結合、アルキレン、シクロアルキレン、アリーレン、またはヘテロアリーレンであり、これらの少なくとも1つの水素はアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、または置換シリルで置換されているか、または置換されておらず、
    は、水素、アルキル、シクロアルキル、または置換シリルであり、
    Ar24およびAr25はアリールまたはヘテロアリールであり、これらの少なくとも1つの水素は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ(2つのアリールは結合していないか、または連結基を介して結合している)、または置換シリルで置換されているか、または置換されておらず、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており;
    式(1-a)中、
    Arはアリールまたはヘテロアリールであり、これらの少なくとも1つの水素は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、または置換シリルで置換されているか、または置換されておらず、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており;
    式(1-b)中、
    Arは水素、アルキル、シクロアルキル、または置換シリルであり、
    Ar11およびAr18はアリール、またはヘテロアリールであり、これらの少なくとも1つの水素は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、または置換シリルで置換されているか、または置換されておらず、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、そして;
    式(1-a)および式(1-b)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、ハロゲン、シアノ、または重水素で置換されているか、または置換されていない。)
  5. 式(2)で表される多環芳香族化合物または式(2)で表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体が、式(2-a)で表される多環芳香族化合物または式(2-a)で表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体である、請求項1に記載の有機電界発光素子。
    Figure 2022115606000227
    (式(2-a)中、
    Zはそれぞれ独立して、NまたはC-R11であり、R11はそれぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、アリールオキシ、アリールチオ、または置換シリルであり、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記ジヘテロアリールアミノの2つのヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記アリールヘテロアリールアミノのアリールとヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記ジアリールボリルの2つのアリールは互いに結合していないか、または、単結合もしくは連結基を介して結合しており、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、または置換シリルで置換されていてもよく、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており;
    隣接する2つのR11は互いに結合して、アリール環またはヘテロリール環を形成しているか、または、アリール環もしくはヘテロリール環を形成していないが、前記形成されたアリール環およびヘテロリール環はそれぞれ、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、アリールオキシ、アリールチオ、または置換シリルで置換されていているか、または置換されておらず、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記ジヘテロアリールアミノの2つのヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記アリールヘテロアリールアミノのアリールとヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記ジアリールボリルの2つのアリールは互いに結合していないか、または、単結合もしくは連結基を介して結合しており、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、または置換シリルで置換されているか、または置換されていないが、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており;
    Z=Zはそれぞれ独立して>O、>N-R、>C(-R)、>Si(-R)、>S、または>Seであるか、またはそうではなく、前記>N-R、前記>C(-R)および前記>Si(-R)のRはそれぞれ独立して水素、アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキルであり、これらにおける少なくとも1つの水素はさらに、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、または置換シリルで置換されているか、または置換されておらず、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記>C(-R)および前記>Si(-R)の2つのRは互いに結合して環を形成しているか、または形成しておらず;
    およびXは、それぞれ独立して、>O、>N-R、>C(-R)、>Si(-R)、>S、または>Seであり、前記>N-R、前記>C(-R)、および前記>Si(-R)のRは水素、アリール、ヘテロアリール、アルキル、またはシクロアルキルであり、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、または置換シリルで置換されているか、または置換されておらず、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記>C(-R)および前記>Si(-R)の2つのRは互いに結合して環を形成しているか、または形成しておらず、前記>N-RのR、前記>C(-R)および前記>Si(-R)のRの少なくとも1つのRは、-O-、-S-、-C(-R)-、または単結合により、C-R11であるZにおけるCの1つまたは2つと結合しているか、または結合しておらず、前記-C(-R)-のRは、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、アルキル、またはシクロアルキルであり、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、または置換シリルで置換されていているか、または置換されておらず、また前記-C(-R)-の2つのRは、互いに結合して環を形成しているか、または形成しておらず、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており;
    式(2-a)で表される構造における、アリール環またはヘテロアリール環の少なくとも1つは、少なくとも1つのシクロアルカンで縮合されていないか、縮合されており、当該シクロアルカンにおける少なくとも1つの水素は置換されているか、または置換されておらず、当該シクロアルカンにおける少なくとも1つの-CH-は-O-で置換されていているか、または置換されておらず、そして;
    式(2-a)で表される構造における少なくとも1つの水素はシアノ、ハロゲン、または重水素で置換されているか、または置換されていない。)
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を備えた、表示装置および照明装置。
  7. 式(1’)で表されるアントラセン化合物。
    Figure 2022115606000228
    (式(1’)中、
    Arは、置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のジアリールアミノ、置換もしくは無置換のジヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアリールヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、置換もしくは無置換のアルケニル、置換もしくは無置換のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリールオキシ、置換もしくは無置換のアリールチオ、または置換シリルであり、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記ジヘテロアリールアミノの2つのヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記アリールヘテロアリールアミノのアリールとヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、
    は、水素、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、または置換シリルであり、
    Ar11~Ar18、Ar21~Ar23、およびAr26~Ar28は、それぞれ独立して、水素、置換もしくは無置換のジアリールアミノ、置換もしくは無置換のジヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアリールヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、置換もしくは無置換のアルケニル、置換もしくは無置換のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリールオキシ、置換もしくは無置換のアリールチオ、または置換シリルであり、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記ジヘテロアリールアミノの2つのヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記アリールヘテロアリールアミノのアリールとヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、
    Ar24およびAr25は、置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のジアリールアミノ、置換もしくは無置換のジヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアリールヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、置換もしくは無置換のアルケニル、置換もしくは無置換のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリールオキシ、置換もしくは無置換のアリールチオ、または置換シリルであり、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記ジヘテロアリールアミノの2つのヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記アリールヘテロアリールアミノのアリールとヘテロアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、
    Lは、置換もしくは無置換のアルキレン、置換もしくは無置換のシクロアルキレン、置換もしくは無置換のアリーレン、または式(B)で表される2価の基であり、
    式(B)中、Zはそれぞれ独立してNもしくはC-Rであり、C-RのRは、結合手、水素、または置換基であり、隣接するRは互いに結合してアリール環、またはヘテロアリール環を形成しているか、または形成しておらず、前記の形成された環の炭素原子はRで置換されており、Yは>N-RYB、>C(-RYB、>Si(-RYB、>S、または>Seであり、前記>N-RYB、前記>C(-RYB、または前記>Si(-RYBのRYBはそれぞれ独立して、水素、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリールであり、前記>C(-RYB、および前記>Si(-RYBの2つのRYBは互いに結合して環を形成していないか、または形成しており、*は式(B)で表される基の結合位置を示し、そして;
    式(1’)で表される化合物における少なくとも1つの水素はハロゲン、シアノ、または重水素で置換されているか、または置換されていない。)
  8. 式(1-a’)で表される、請求項7記載のアントラセン化合物。
    Figure 2022115606000229
    (式(1-a’)中、
    Lはアリーレン、または式(B)で表される2価の基であり、
    は、水素、アルキル、シクロアルキル、または置換シリルであり、
    Ar、Ar24およびAr25はアリール、またはヘテロアリールであり、これらの少なくとも1つの水素は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、または置換シリルで置換されているか、または置換されておらず、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、
    式(B)中、Zはそれぞれ独立してNもしくはC-Rであり、C-RのRは、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、または置換シリルであり、これらの少なくとも1つの水素は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、または置換シリルで置換されているか、または置換されておらず、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、*は式(B)で表される基の結合位置を示し、
    は>N-RYB、>C(-RYB>Si(-RYB、>S、または>Seであり、前記>N-RYB、前記>C(-RYB、および前記>Si(-RYBのRYBは、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールであり、これらの少なくとも1つの水素は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、または置換シリルで置換されているか、または置換されておらず、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに結合していないか、または連結基を介して結合しており、前記>C(-RYB、および前記>Si(-RYBの2つのRYBは互いに結合して環を形成するか、または形成されておらず、そして;
    式(1-a’)で表される化合物における少なくとも1つの水素はハロゲン、シアノ、または重水素で置換されているか、または置換されていない。)
  9. 式(1’)および式(1-a’)において、少なくとも1つの水素が重水素に置換されている、請求項7または8に記載のアントラセン化合物。
  10. 下記いずれかの式で表される、請求項7~9のいずれか一項に記載のアントラセン化合物。
    Figure 2022115606000230
    (上記式中、Dは重水素を示す。)
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