JP7454810B2 - 多環芳香族化合物 - Google Patents

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Description

本発明は、多環芳香族化合物に関する。本発明はまた、上記多環芳香族化合物を用いた有機電界発光素子、有機電界効果トランジスタおよび有機薄膜太陽電池、並びに、表示装置および照明装置に関する。
従来、電界発光する発光素子を用いた表示装置は、省電力化や薄型化が可能なことから、種々研究され、さらに、有機材料からなる有機電界発光素子は、軽量化や大型化が容易なことから活発に検討されてきた。特に、光の三原色の一つである青色などの発光特性を有する有機材料の開発、および正孔、電子などの電荷輸送能(半導体や超電導体となる可能性を有する)を備えた有機材料の開発については、高分子化合物、低分子化合物を問わずこれまで活発に研究されてきた。
有機EL素子は、陽極および陰極からなる一対の電極と、当該一対の電極間に配置され、有機化合物を含む一層または複数の層とからなる構造を有する。有機化合物を含む層には、発光層や、正孔、電子などの電荷を輸送または注入する電荷輸送/注入層などがあるが、これらの層に適当な種々の有機材料が開発されている。
例えば、特許文献1では、芳香環をホウ素、リン、酸素、窒素、硫黄などのヘテロ元素で連結した多環芳香族化合物が、有機電界発光素子等の材料として有用であることが開示されている。この多環芳香族化合物は、大きなHOMO-LUMOギャップおよび高い三重項励起エネルギー(ET)を有するとともに、熱活性型遅延蛍光を示すため、特に有機EL素子の蛍光材料として有用であることが報告されている。
国際公開第2015/102118号
本発明の課題は、有機電界発光素子等の有機デバイス用材料の製造に用いることができる化合物を提供することである。
本発明者らは、引用文献1に記載の多環芳香族化合物の多環構造にNHを導入した化合物が、有機電界発光素子等の有機デバイス用材料の製造のための中間体等として有用な性質を有していることを見出し、この知見に基づきさらに検討を重ね、上記課題の解決に至った。
すなわち、本発明は以下のような多環芳香族化合物またはその多量体を含む有機EL素子用材料等の有機デバイス用材料を提供する。
<1>式(1)で表される多環芳香族化合物、または式(1)で表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体。
Figure 0007454810000001
(式(1)中、
A環、B環およびC環は、それぞれ独立して、アリール環またはヘテロアリール環であり、これらの環における少なくとも1つの水素は置換されていてもよく、
1は、B、P、P=O、P=S、Al、Ga、As、Si-R、またはGe-Rであり、前記Si-RおよびGe-RのRはアリール、アルキル、またはシクロアルキルであり、
1は、>O、>N-R、>C(-R)2、>S、または>Seであり、前記>N-RのRは水素、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキル、または置換されていてもよいシクロアルキルであり、前記>C(-R)2のRは水素、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキル、または置換されていてもよいシクロアルキルであり、前記>N-RのRおよび/または前記>C(-R)2のRは連結基または単結合により前記A環および/またはC環と結合していてもよく、
式(1)で表される化合物またはその多量体における、A環、B環、C環、アリール、およびヘテロアリールの少なくとも1つは、少なくとも1つのシクロアルカンで縮合されていてもよく、当該シクロアルカンにおける少なくとも1つの水素は置換されていてもよく、当該シクロアルカンにおける少なくとも1つの-CH2-は-O-で置換されていてもよく、
式(1)で表される化合物における少なくとも1つの水素は重水素、シアノ、またはハロゲンで置換されていてもよい。)
<2>式(2)で表される多環芳香族化合物、または式(2)で表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体である、<1>に記載の多環芳香族化合物またはその多量体。
Figure 0007454810000002
(式(2)中、
1~R11は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジアリールボリル、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、またはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキル、またはシクロアルキルで置換されていてもよく、R1~R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環、またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキル、またはシクロアルキルで置換されていてもよく、
1は、B、P、P=O、P=S、Al、Ga、As、Si-R、またはGe-Rであり、前記Si-RおよびGe-RのRは炭素数6~12のアリールまたは炭素数1~6のアルキルであり、
1は、>O、>N-R、>C(-R)2、>S、または>Seであり、前記>N-RのRは水素、置換されていてもよい炭素数6~12のアリール、置換されていてもよい炭素数2~15のヘテロアリール、置換されていてもよい炭素数1~6のアルキル、または置換されていてもよい炭素数3~14のシクロアルキルであり、前記>C(-R)2のRは水素、置換されていてもよい炭素数6~12のアリール、置換されていてもよい炭素数1~6のアルキル、または置換されていてもよい炭素数3~14のシクロアルキルであり、前記>N-RのRおよび/または前記>C(-R)2のRは-O-、-S-、-C(-R)2-、または単結合により前記a環および/またはc環と結合していてもよく、前記-C(-R)2-のRは水素または炭素数1~6のアルキルであり、
式(2)で表される化合物における少なくとも1つの水素は重水素、シアノ、またはハロゲンで置換されていてもよい。)
<3>R1~R11が、それぞれ独立して、水素、炭素数1~6のアルキルもしくは炭素数3~12のシクロアルキルで置換されていてもよい炭素数6~12のアリール、炭素数1~6のアルキルもしくは炭素数3~12のシクロアルキルで置換されていてもよい炭素数2~15のヘテロアリール、炭素数1~6のアルキルで置換されていてもよい炭素数12~24のジアリールアミノ、炭素数1~6のアルキル、または炭素数3~12のシクロアルキルである、<2>に記載の多環芳香族化合物またはその多量体。
<4>R1~R11が、それぞれ独立して、水素、炭素数1~6のアルキルもしくはアダマンチルで置換されていてもよいフェニル、カルバゾリル、メチル、t-ブチル、t-ペンチル、またはアダマンチルである、<3>に記載の多環芳香族化合物またはその多量体。
<5>R1、R3、R4、R7、R8、R11が、いずれも水素である、<2>~<4>のいずれかに記載の多環芳香族化合物またはその多量体。
<6>Y1がBである、<1>~<5>のいずれかに記載の多環芳香族化合物またはその多量体。
<7>X1が>Oまたは>N-Rである、<1>~<6>のいずれかに記載の多環芳香族化合物またはその多量体。
<8>X1が>N-Rであり、前記>N-RのRが水素である、<7>に記載の多環芳香族化合物またはその多量体。
<9>X1が>N-Rであり、前記>N-RのRが置換されていてもよい炭素数6~12のアリールである、<7>に記載の多環芳香族化合物またはその多量体。
<10>下記式(1-38)で表される<1>に記載の多環芳香族化合物またはその多量体。
Figure 0007454810000003
<11>Y1のハロゲン化物を用いて、連続的な芳香族求電子置換反応により、下記中間体1-A(式中Halはハロゲンあるいは擬ハロゲンである。)におけるA環とB環とC環とをY1により結合し、下記N-ベンジル化体を得る反応工程、および脱ベンジル化を行なって式(1)で表される多環芳香族化合物を得る工程を含む、<1>~<10>のいずれかに記載の多環芳香族化合物またはその多量体の製造方法。
Figure 0007454810000004
<12><1>~<10>のいずれかに記載の多環芳香族化合物またはその多量体のNHをアリール化することを含む、下記式(1-NAr)で表される化合物の製造方法。
Figure 0007454810000005
(式(1-NAr)中、A~C環、X1、およびY1はそれぞれ式(1)のA~C環、X1、およびY1と同義であり、Arはアリールまたはヘテロアリールである。)
<13><1>~<10>のいずれかに記載の多環芳香族化合物またはその多量体を含有する、有機デバイス用材料。
<14>前記有機デバイス用材料は、有機電界発光素子用材料、有機電界効果トランジスタ用材料または有機薄膜太陽電池用材料である、<13>に記載の有機デバイス用材料。
<15>前記有機電界発光素子用材料が発光層用材料である、<14>に記載の有機デバイス用材料。
<16>陽極および陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に配置され、<15>に記載の発光層用材料を含有する発光層とを有する、有機電界発光素子。
<17>前記発光層はさらに下記式(3)で表される化合物および/または下記式(4)で表される化合物を含有する、<16>に記載の有機電界発光素子。
Figure 0007454810000006
(式(3)中、L1は炭素数6~24のアリーレンであり、
式(4)中、L2およびL3は、それぞれ独立して、炭素数6~30のアリールまたは炭素数2~30のヘテロアリールであり、
上記各式で表される化合物における少なくとも1つの水素は、炭素数1~6のアルキル、炭素数3~14のシクロアルキル、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。)
<18>前記陰極と該発光層との間に配置される電子輸送層および/または電子注入層を有し、該電子輸送層および電子注入層の少なくとも1つは、ボラン誘導体、ピリジン誘導体、フルオランテン誘導体、BO系誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾフルオレン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、ピリミジン誘導体、アリールニトリル誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、フェナントロリン誘導体およびキノリノール系金属錯体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、<16>または<17>に記載の有機電界発光素子。
<19>前記電子輸送層および/または電子注入層が、さらに、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体および希土類金属の有機錯体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、<18>に記載の有機電界発光素子。
<20><16>~<19>のいずれかに記載の有機電界発光素子を備えた表示装置。
<21><16>~<19>のいずれかに記載の有機電界発光素子を備えた照明装置。
本発明により、有機電界発光素子等の有機デバイス用材料として有用な新規化合物が提供される。
本実施形態に係る有機EL素子を示す概略断面図である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は「~」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。また、本明細書において構造式の説明における「水素」は「水素原子(H)」を意味する。
本明細書において、有機電界発光素子を有機EL素子ということがある。
本明細書において化学構造や置換基を炭素数で表すことがあるが、化学構造に置換基が置換した場合や、置換基にさらに置換基が置換した場合などにおける炭素数は、化学構造や置換基それぞれの炭素数を意味し、化学構造と置換基の合計の炭素数や、置換基と置換基の合計の炭素数を意味するものではない。例えば、「炭素数Xの置換基Aで置換された炭素数Yの置換基B」とは、「炭素数Yの置換基B」に「炭素数Xの置換基A」が置換することを意味し、炭素数Yは置換基Aおよび置換基Bの合計の炭素数ではない。また例えば、「置換基Aで置換された炭素数Yの置換基B」とは、「炭素数Yの置換基B」に「(炭素数限定がない)置換基A」が置換することを意味し、炭素数Yは置換基Aおよび置換基Bの合計の炭素数ではない。
1.多環芳香族化合物およびその多量体
本発明にかかる多環芳香族化合物は下記式(1)で表される。式(1)で表される多環芳香族化合物は下記式(2)で表される多環芳香族化合物であることが好ましい。
Figure 0007454810000007
式(1)におけるA環、B環、およびC環は、それぞれ独立して、アリール環またはヘテロアリール環であり、これらの環における少なくとも1つの水素は、置換基で置換されていてもよい。この置換基は、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のジアリールアミノ、置換もしくは無置換のジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、置換もしくは無置換のジヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアリールヘテロアリールアミノ(アリールとヘテロアリールを有するアミノ基)、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、置換もしくは無置換のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリールオキシ、または置換シリルが好ましい。これらの基が置換基を有する場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルがあげられる。また、A環、B環、C環は、Y1、X1、およびNから構成される式(1)中央の縮合2環構造と結合を共有する5員環または6員環を有することが好ましい。
ここで、「縮合2環構造」とは、式(1)の中央の、Y1、X1およびNを含んで構成される2つの飽和炭化水素環が縮合した構造を意味する。また、「縮合2環構造と結合を共有する6員環」とは、例えば式(2)で示すように前記縮合2環構造に縮合したa環(ベンゼン環(6員環))を意味する。また、「(A環である)アリール環またはヘテロアリール環がこの6員環を有する」とは、この6員環だけでA環が形成されるか、または、この6員環を含むようにこの6員環にさらに他の環などが縮合してA環が形成されることを意味する。言い換えれば、ここで言う「6員環を有する(A環である)アリール環またはヘテロアリール環」とは、A環の全部または一部を構成する6員環が、前記縮合2環構造に縮合していることを意味する。「B環(b環)」、「C環(c環)」、また「5員環」についても同様の説明が当てはまる。
式(1)におけるA環(またはB環、C環)は、式(2)におけるa環とその置換基R1~R3(またはb環とその置換基R4~R7、c環とその置換基R8~R11)に対応する。すなわち、式(2)は、式(1)のA~C環として「6員環を有するA~C環」が選択された構造に対応する。その意味で、式(2)の各環を小文字のa~cで表した。
式(2)中、R1~R3、R4~R7、およびR8~R11は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジアリールボリル、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよい。また、R1~R3、R4~R7、およびR8~R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環、またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキル、またはシクロアルキルで置換されていてもよい。
式(2)では、a環、b環、およびc環の置換基R1~R3、R4~R7、およびR8~R11のうちの隣接する基同士が結合して、それぞれa環、b環、またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキル、またはシクロアルキルで置換されていてもよい。したがって、式(2)で表される多環芳香族化合物は、a環、b環、およびc環における置換基の相互の結合形態によって、下記式(2-1)、および式(2-2)に示すように、化合物を構成する環構造が変化する。なお、式(2-1)および式(2-2)における各符号の定義は式(1)または式(2)中の定義と同じである。
Figure 0007454810000008
式(2-1)および式(2-2)中のa'環、b'環、およびc'環は、置換基R1~R3、R4~R7、およびR8~R11のうちの隣接する基同士が結合して、それぞれa環、b環、およびc環と共に形成したアリール環またはヘテロアリール環を示す(a環、b環、またはc環に他の環構造が縮合してできた縮合環ともいえる)。なお、式では示してはいないが、a環、b環、およびc環の全てがa’環、b’環、およびc’環に変化した化合物もある。また、式(2-1)および式(2-2)から分かるように、例えば、b環のR7とc環のR8などは「隣接する基同士」には該当せず、これらが結合することはない。すなわち、「隣接する基」とは同一環上で隣接する基を意味する。
式(2-1)および式(2-2)で表される化合物は、例えばb環(またはa環、またはc環)であるベンゼン環に対して、ベンゼン環、インドール環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、シクロヘキセン環、シクロペンタジエン環、またはインデン環が縮合して形成されるb’環(またはa’環、またはc’環)を有する化合物であり、形成されてできた縮合環b’(縮合環a’、または縮合環c’)はそれぞれナフタレン環、カルバゾール環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、テトラリン環、インデン環、またはフルオレン環である。
式(1)のA環、B環およびC環である「アリール環」としては、例えば、炭素数6~30のアリール環があげられ、炭素数6~16のアリール環が好ましく、炭素数6~12のアリール環がより好ましく、炭素数6~10のアリール環が特に好ましい。
具体的な「アリール環」としては、単環系であるベンゼン環、二環系であるビフェニル環、縮合二環系であるナフタレン環、三環系であるテルフェニル環(m-テルフェニル、o-テルフェニル、p-テルフェニル)、縮合三環系である、アセナフチレン環、フルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環、縮合四環系であるトリフェニレン環、ピレン環、ナフタセン環、縮合五環系であるペリレン環、ペンタセン環などがあげられる。
式(1)のA環、B環およびC環である「ヘテロアリール環」としては、例えば、炭素数2~30のヘテロアリール環があげられ、炭素数2~25のヘテロアリール環が好ましく、炭素数2~20のヘテロアリール環がより好ましく、炭素数2~15のヘテロアリール環がさらに好ましく、炭素数2~10のヘテロアリール環が特に好ましい。また、「ヘテロアリール環」としては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などがあげられる。なお、この「ヘテロアリール環」は、後述の式(2)で規定された「R1~R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共に形成されたヘテロアリール環」に対応し、また、a環(またはb環、c環)がすでに炭素数6のベンゼン環で構成されているため、これに5員環が縮合した縮合環の合計炭素数6が下限の炭素数となる。
具体的な「ヘテロアリール環」としては、例えば、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、トリアジン環、インドール環、イソインドール環、1H-インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、1H-ベンゾトリアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、シンノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、プリン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、フェナジン環、フェナザシリン環、インドリジン環、フラン環、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、ジベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、フラザン環、チアントレン環、インドロカルバゾール環、ベンゾインドロカルバゾール環、ベンゾベンゾインドロカルバゾール環、ナフトベンゾフラン環などがあげられる。
上記において、A環、B環およびC環である「アリール環」および「ヘテロアリール環」はいずれの位置において、式(1)中央の縮合2環構造と結合を共有していてもよい。例えば、「アリール環」および「ヘテロアリール環」が2つ以上の環が縮合した縮合環である場合、いずれの環で式(1)中央の縮合2環構造と結合を共有していてもよい。このうち、上述のように、A環、B環、C環は、Y1、X1、およびNから構成される式(1)中央の縮合2環構造と結合を共有する5員環または6員環を有することが好ましい。すなわち、例えば、式(2)において、R1~R3、R4~R7、およびR8~R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環、またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成した場合は6員環であるベンゼン環で式(1)中央の縮合2環構造と結合を共有しており、好ましい。また、例えば、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環が、それぞれ、5員環であるピロール環、フラン環、チオフェン環で式(1)中央の縮合2環構造と結合を共有していることも好ましい。このような構造の例としては、後述の式(1-895)、式(1-896)、式(1-897)、式(1-898)のいずれかで表される化合物があげられる。
上記「アリール環」または「ヘテロアリール環」における少なくとも1つの水素は、第1の置換基である、置換もしくは無置換の「アリール」、置換もしくは無置換の「ヘテロアリール」、置換もしくは無置換の「ジアリールアミノ」、置換もしくは無置換の「ジヘテロアリールアミノ」、置換もしくは無置換の「アリールヘテロアリールアミノ」、置換もしくは無置換の「ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)」、置換もしくは無置換の「アルキル」、置換もしくは無置換の「シクロアルキル」、置換もしくは無置換の「アルコキシ」、置換もしくは無置換の「アリールオキシ」、または、置換の「シリル」で置換されていてもよいが、この第1の置換基としての「アリール」や「ヘテロアリール」、「ジアリールアミノ」のアリール、「ジヘテロアリールアミノ」のヘテロアリール、「アリールヘテロアリールアミノ」のアリールとヘテロアリール、「ジアリールボリル」のアリール、また「アリールオキシ」のアリールとしては上述した「アリール環」または「ヘテロアリール環」の一価の基があげられる。
具体的な「アリール」としては、単環系であるフェニル、二環系であるビフェニリル、縮合二環系であるナフチル(1-ナフチルまたは2-ナフチル)、三環系であるテルフェニリル(m-テルフェニリル、o-テルフェニリルまたはp-テルフェニリル)、縮合三環系である、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントレニル、縮合四環系であるトリフェニレニル、ピレニル、ナフタセニル、縮合五環系であるペリレニル、ペンタセニルなどがあげられる。
「ヘテロアリール」(第1置換基)としては、例えば、炭素数2~30のヘテロアリールがあげられ、炭素数2~25のヘテロアリールが好ましく、炭素数2~20のヘテロアリールがより好ましく、炭素数2~15のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数2~10のヘテロアリールが特に好ましい。また、「ヘテロアリール」としては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などがあげられる。
具体的な「ヘテロアリール」としては、例えば、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、イソインドリル、1H-インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H-ベンゾトリアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、インドリジニル、フラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ナフトベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾチオフェニル、ジベンゾチオフェニル、ナフトベンゾチオフェニル、フラザニル、チアントレニルなどがあげられる。
また第1の置換基としての「アルキル」としては、直鎖および分岐鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1~24の直鎖アルキルまたは炭素数3~24の分岐鎖アルキルがあげられる。炭素数1~18のアルキル(炭素数3~18の分岐鎖アルキル)が好ましく、炭素数1~12のアルキル(炭素数3~12の分岐鎖アルキル)がより好ましく、炭素数1~8のアルキル(炭素数3~8の分岐鎖アルキル)がさらに好ましく、炭素数1~6のアルキル(炭素数3~6の分岐鎖アルキル)が特に好ましく、炭素数1~5のアルキル(炭素数3~5の分岐鎖アルキル)が最も好ましい。
具体的なアルキルとしては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t-ペンチル(t-アミル)、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、n-オクチル、t-オクチル(1,1,3,3-テトラメチルブチル)、1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘプチル、2,6-ジメチル-4-ヘプチル、3,5,5-トリメチルヘキシル、n-デシル、n-ウンデシル、1-メチルデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、1-ヘキシルヘプチル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-エイコシルなどがあげられる。
また、例えば、1-エチル-1-メチルプロピル、1,1-ジエチルプロピル、1,1-ジメチルブチル、1-エチル-1-メチルブチル、1,1,4-トリメチルペンチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,1-ジメチルオクチル、1,1-ジメチルペンチル、1,1-ジメチルヘプチル、1,1,5-トリメチルヘキシル、1-エチル-1-メチルヘキシル、1-エチル-1,3-ジメチルブチル、1,1,2,2-テトラメチルプロピル、1-ブチル-1-メチルペンチル、1,1-ジエチルブチル、1-エチル-1-メチルペンチル、1,1,3-トリメチルブチル、1-プロピル-1-メチルペンチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1-エチル-1,2,2-トリメチルプロピル、1-プロピル-1-メチルブチル、1,1-ジメチルヘキシルなどもあげられる。これらのうち、t-ブチル、n-ペンチルおよびt-アミルが好ましい。
また第1の置換基としての「シクロアルキル」としては、炭素数3~24のシクロアルキル、炭素数3~20のシクロアルキル、炭素数3~16のシクロアルキル、炭素数3~14のシクロアルキル、炭素数5~10のシクロアルキル、炭素数5~8のシクロアルキル、炭素数5~6のシクロアルキル、炭素数5のシクロアルキルなどがあげられる。
具体的なシクロアルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、およびこれらの炭素数1~5のアルキル(特にメチル)置換体や、ノルボルネニル、ビシクロ[1.0.1]ブチル、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、ビシクロ[2.0.1]ペンチル、ビシクロ[1.2.1]ヘキシル、ビシクロ[3.0.1]ヘキシル、ビシクロ[2.1.2]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンチル、ジアマンチル、デカヒドロナフタレニル、デカヒドロアズレニルなどがあげられる。これらのうちアダマンチルが好ましい。
なお、本発明の化合物にシクロアルキルを導入することによっては、融点や昇華温度の低下が期待できる。このことは、高い純度が要求される有機EL素子などの有機デバイス用の材料の精製法としてほぼ不可欠な昇華精製において、比較的低温で精製することができるため材料の熱分解などが避けられることを意味する。またこれは、有機EL素子などの有機デバイスを作製するのに有力な手段である真空蒸着プロセスについても同様であり、比較的低温でプロセスを実施できるため、材料の熱分解を避けることができ、結果として高性能な有機デバイス用を得ることができる。また、シクロアルキルの導入により有機溶媒への溶解性が向上するため、塗布プロセスを利用した素子作製にも適用することが可能となる。ただし、本発明は特にこれらの原理に限定されるわけではない。
また第1の置換基としての「アルコキシ」としては、例えば、炭素数1~24の直鎖または炭素数3~24の分岐鎖のアルコキシがあげられる。炭素数1~18のアルコキシ(炭素数3~18の分岐鎖のアルコキシ)が好ましく、炭素数1~12のアルコキシ(炭素数3~12の分岐鎖のアルコキシ)がより好ましく、炭素数1~6のアルコキシ(炭素数3~6の分岐鎖のアルコキシ)がさらに好ましく、炭素数1~5のアルコキシ(炭素数3~5の分岐鎖のアルコキシ)が特に好ましい。
具体的なアルコキシとしては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、t-アミルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシなどがあげられる。
「ジアリールアミノ」(第1置換基)、「ジヘテロアリールアミノ」(第1置換基)、「アリールヘテロアリールアミノ」(第1置換基)および「アリールオキシ」(第1置換基)における「アリール」や「ヘテロアリール」の詳細は、上述した「アリール」や「ヘテロアリール」の説明を引用することができる。
また第1の置換基としての「置換シリル」としては、例えば、アルキルおよび/またはシクロアルキルで置換されたシリルである、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルがあげられる。
「トリアルキルシリル」としては、シリル基における3つの水素がそれぞれ独立してアルキルで置換された基があげられ、このアルキルは上述した第1の置換基における「アルキル」として説明した基を引用することができる。置換するのに好ましいアルキルは、炭素数1~5のアルキルであり、具体的にはメチル、エチル、プロピル、i-プロピル、ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、t-アミルなどがあげられる。
具体的なトリアルキルシリルとしては、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリi-プロピルシリル、トリブチルシリル、トリsec-ブチルシリル、トリt-ブチルシリル、トリt-アミルシリル、エチルジメチルシリル、プロピルジメチルシリル、i-プロピルジメチルシリル、ブチルジメチルシリル、sec-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、t-アミルジメチルシリル、メチルジエチルシリル、プロピルジエチルシリル、i-プロピルジエチルシリル、ブチルジエチルシリル、sec-ブチルジエチルシリル、t-ブチルジエチルシリル、t-アミルジエチルシリル、メチルジプロピルシリル、エチルジプロピルシリル、ブチルジプロピルシリル、sec-ブチルジプロピルシリル、t-ブチルジプロピルシリル、t-アミルジプロピルシリル、メチルジi-プロピルシリル、エチルジi-プロピルシリル、ブチルジi-プロピルシリル、sec-ブチルジi-プロピルシリル、t-ブチルジi-プロピルシリル、t-アミルジi-プロピルシリルなどがあげられる。
「トリシクロアルキルシリル」としては、シリル基における3つの水素がそれぞれ独立してシクロアルキルで置換された基があげられ、このシクロアルキルは上述した第1の置換基における「シクロアルキル」として説明した基を引用することができる。置換するのに好ましいシクロアルキルは、炭素数5~10のシクロアルキルであり、具体的にはシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、ビシクロ[2.0.1]ペンチル、ビシクロ[1.2.1]ヘキシル、ビシクロ[3.0.1]ヘキシル、ビシクロ[2.1.2]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンチル、デカヒドロナフタレニル、デカヒドロアズレニルなどがあげられる。
具体的なトリシクロアルキルシリルとしては、トリシクロペンチルシリル、トリシクロヘキシルシリルなどがあげられる。
2つのアルキルと1つのシクロアルキルが置換したジアルキルシクロアルキルシリルと、1つのアルキルと2つのシクロアルキルが置換したアルキルジシクロアルキルシリルの具体例としては、上述した具体的なアルキルおよびシクロアルキルから選択される基が置換したシリルがあげられる。
また第1の置換基の「ジアリールボリル」中の「アリール」としては、上述したアリールの説明を引用できる。また、この2つのアリールは単結合または連結基(例えば>C(-R)2、>O、>Sまたは>N-R)を介して結合していてもよい。ここで、>C(-R)2および>N-RのRは、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシ(以上、第1置換基)であり、当該第1置換基にはさらにアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキル(以上、第2置換基)が置換していてもよく、これらの基の具体例としては、上述した第1置換基としてのアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシの説明を引用できる。
第1置換基の構造の立体障害性、電子供与性および電子吸引性によって、発光波長を調整することができる。好ましくは以下の構造式で表される基であり、より好ましくは、メチル、t-ブチル、t-アミル(t-ペンチル)、t-オクチル、フェニル、o-トリル、p-トリル、2,4-キシリル、2,5-キシリル、2,6-キシリル、2,4,6-メシチル、ジフェニルアミノ、ジ-p-トリルアミノ、ビス(p-(t-ブチル)フェニル)アミノ、カルバゾリル、3,6-ジメチルカルバゾリル、3,6-ジ-t-ブチルカルバゾリルおよびフェノキシであり、さらに好ましくは、メチル、t-ブチル、t-アミル、t-オクチル、フェニル、o-トリル、2,6-キシリル、2,4,6-メシチル、ジフェニルアミノ、ジ-p-トリルアミノ、ビス(p-(t-ブチル)フェニル)アミノ、カルバゾリル、3,6-ジメチルカルバゾリルおよび3,6-ジ-t-ブチルカルバゾリルである。合成の容易さの観点からは、立体障害が大きい方が選択的な合成のために好ましく、具体的には、t-ブチル、t-アミル、n-ペンチル、t-オクチル、アダマンチル、o-トリル、p-トリル、2,4-キシリル、2,5-キシリル、2,6-キシリル、2,4,6-メシチル、ジ-p-トリルアミノ、ビス(p-(t-ブチル)フェニル)アミノ、3,6-ジメチルカルバゾリルおよび3,6-ジ-t-ブチルカルバゾリルが好ましい。
下記構造式において、「Me」はメチル、「tBu」はt-ブチル、「tAm」はt-アミル、「tOct」はt-オクチルを表す。
Figure 0007454810000009
Figure 0007454810000010
Figure 0007454810000011
Figure 0007454810000012
第1の置換基である、置換もしくは無置換の「アリール」、置換もしくは無置換の「ヘテロアリール」、置換もしくは無置換の「ジアリールアミノ」、置換もしくは無置換の「ジアリールボリル」、置換もしくは無置換の「ジヘテロアリールアミノ」、置換もしくは無置換の「アリールヘテロアリールアミノ」、置換もしくは無置換の「ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)」、置換もしくは無置換の「アルキル」、置換もしくは無置換の「シクロアルキル」、置換もしくは無置換の「アルコキシ」、または、置換もしくは無置換の「アリールオキシ」は、置換または無置換と説明されているとおり、それらにおける少なくとも1つの水素が第2の置換基で置換されていてもよい。この第2の置換基としては、例えば、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルがあげられ、それらの具体例は、上述した「アリール環」または「ヘテロアリール環」の一価の基、また第1の置換基としての「アルキル」または「シクロアルキル」の説明を参照することができる。
式(2)のR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11におけるアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノのアリール、ジヘテロアリールアミノのヘテロアリール、アリールヘテロアリールアミノのアリールとヘテロアリール、ジアリールボリルのアリール、またはアリールオキシのアリールとしては、式(1)で説明した「アリール」または「ヘテロアリール」があげられる。また、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11におけるアルキル、シクロアルキルまたはアルコキシとしては、上述した式(1)の説明における第1の置換基としての「アルキル」、「シクロアルキル」または「アルコキシ」の説明を参照することができる。さらに、これらの基への置換基としてのアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルも同様である。また、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環、c環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成した場合の、これらの環への置換基であるアリール、ヘテロアリール、アルキル、またはシクロアルキルについても同様である。
上記第1置換基における少なくとも1つの水素は、第2置換基である「アリール」、「ヘテロアリール」、「アルキル」または「シクロアルキル」で置換されていてもよく、これらの詳細は上述した第1置換基の「アリール」、「ヘテロアリール」、「アルキル」または「シクロアルキル」の説明を引用することができる。
1~R3、R4~R7、およびR8~R11のうちの隣接する基同士が結合して形成されたアリール環またはヘテロアリール環の詳細は、上述した第1置換基の「アリール」または「ヘテロアリール」の説明を無価の環構造として引用することができる。
形成された環における少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、アルキル、またはシクロアルキルで置換されていてもよいが、これらの詳細は、上述した第1置換基および第2置換基の説明を引用することができる。
式(2)においては、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11が、それぞれ独立して、水素、炭素数1~6のアルキルもしくは炭素数3~12のシクロアルキルで置換されていてもよい炭素数6~12のアリール、炭素数1~6のアルキルもしくは炭素数3~12のシクロアルキルで置換されていてもよい炭素数2~15のヘテロアリール、炭素数1~6のアルキルで置換されていてもよい炭素数12~24のジアリールアミノ、炭素数1~6のアルキル、または炭素数3~12のシクロアルキルであることが好ましく、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11が、それぞれ独立して、水素、炭素数1~6のアルキルもしくはアダマンチルで置換されていてもよいフェニル、カルバゾリル、t-アミルt-ブチル、t-ペンチル、またはアダマンチルであることが、分子間距離を大きくし発光量子効率を向上させることから、より好ましい。
式(2)においては、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11のうち、1~4個が上記いずれかの構造式で表される基であり、残りは水素であることが好ましく、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、およびR15のうち、1~3個が上記いずれかの構造式で表される基であり、残りは水素であることがより好ましい。
また、式(2)においては、R1、R3、R4、R7、R8、およびR11が、いずれも水素であることが好ましい。
式(1)および式(2)におけるY1は、B、P、P=O、P=S、Al、Ga、As、Si-R、またはGe-Rであり、前記Si-RおよびGe-RのRは、アリール、アルキルまたはシクロアルキルである。P=O、P=S、Si-RまたはGe-Rの場合には、A環、B環またはC環と結合する原子はP、SiまたはGeである。Y1は、B、P、P=O、P=SまたはSi-Rが好ましく、Bが特に好ましい。
式(1)におけるX1は、>O、>N-R、>C(-R)2、>S、または>Seである
1における>N-RのRは、水素、置換されていてもよいアリール(ただし置換基としてアミノ基を除く)、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルであり、>C(-R)2のRは、水素、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルである。>C(-R)2における2つのRは互いに環を形成していてもよい。また、前記>N-Rおよび>C(-R)2の少なくとも1つにおけるRは連結基または単結合により前記A環およびC環の少なくとも1つの環と結合していてもよい。連結基としては、-O-、-S-または-C(-R)2-が好ましい。なお、前記「-C(-R)2-」のRは、水素、アルキルまたはシクロアルキルである。この規定は、下記式(2-4-1)および(2-4-2)で表される、X1が縮合環c’および縮合環a’に取り込まれた環構造を有する化合物で表現できる。なお、式(2-4-1)および式(2-4-2)における各符号の定義は式(1)または式(2)中の定義と同じである。
式(2)におけるX1は>O、>N-R、、>C(-R)2、>S、または>Seであり、>O、>N-R、または>C(-R)2であることが好ましい。前記>N-RのRは、水素、置換されていてもよい炭素数6~12のアリール、置換されていてもよい炭素数2~15のヘテロアリール、置換されていてもよい炭素数1~6のアルキルまたは置換されていてもよい炭素数3~14のシクロアルキルである。これらにおける置換基としては、例えば炭素数6~12のアリール、炭素数2~15のヘテロアリール、炭素数1~6のアルキルまたは炭素数3~14のシクロアルキルがあげられる。また、前記>N-Rおよび/または>C(-R)2のRは-O-、-S-、-C(-R)2-または単結合によりa環および/またはc環と結合していてもよく、前記-C(-R)2-のRは水素、または炭素数1~6のアルキルである。
1としての>N-RのRにおける「炭素数6~12のアリール」、「炭素数2~15のヘテロアリール」、「炭素数1~6のアルキル」または「炭素数3~14のシクロアルキル」、およびこれらに置換し得る「炭素数6~12のアリール」、「炭素数2~15のヘテロアリール」、「炭素数1~6のアルキル」または「炭素数3~14のシクロアルキル」の詳細は、上述した第1置換基および第2置換基の説明を引用することができる。また、「-C(-R)2-」におけるRの「炭素数1~6のアルキル」または「炭素数3~14のシクロアルキル」の詳細は、上述した第1置換基の説明を引用することができる。特に炭素数1~4のアルキル(例えばメチル、エチルなど)、炭素数3~14のシクロアルキル(例えばビシクロオクチルやアダマンチルなど)が好ましい。
式(2)における「>N-RのRは-O-、-S-、-C(-R)2-または単結合により前記a環および/またはc環と結合」との規定は、下記式(2-4-1)で表される、X1が縮合環c'に取り込まれた環構造を有する化合物で表現できる。すなわち、式(2)におけるc環であるベンゼン環に対してX1を取り込むようにして他の環が縮合して形成されるc'環を有する化合物である。また、上記規定は、下記式(2-4-2)で表される、X1が縮合環a'に取り込まれた環構造を有する化合物でも表現できる。すなわち、式(2)におけるa環であるベンゼン環に対してX1を取り込むようにして他の環が縮合して形成されるa'環を有する化合物である。なお、式(2-4-1)および式(2-4-2)における各符号の定義は式(1)または式(2)中の定義と同じである。例えばc環であるベンゼン環に対してXを取り込むようにして他の環が縮合して形成されるc’環を有する化合物があげられる。形成されてできた縮合環c’は例えばフェノキサジン環、フェノチアジン環、またはアクリジン環である。
Figure 0007454810000013
式(1)および式(2)におけるX1は、水素、またはRが置換されていてもよい炭素数6~12のアリールまたは炭素数2~15のヘテロアリールである>N-Rであることが好ましく、Rが置換されていてもよい炭素数6~12のアリールまたは炭素数2~15のヘテロアリールである>N-Rであることがより好ましく、Rが炭素数1~6のアルキルで置換されていてもよいフェニル基であるN-Rであることがさらに好ましく、Rが4位(パラ位)が炭素数1~6のアルキルで置換されているフェニル基であるN-Rであることが最も好ましい。
本発明の化合物は式(1)で表される単位構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体であってもよい。多量体は、好ましくは、式(2)で表される単位構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体である。多量体は、2~6量体が好ましく、2~3量体がより好ましく、2量体が特に好ましい。多量体は、一つの化合物の中に上記単位構造を複数有する形態であればよく、例えば、上記単位構造が単結合、炭素数1~3のアルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基などの連結基で複数結合した形態に加えて、上記単位構造に含まれる任意の環、特に、A環、B環またはC環、a環、b環またはc環、を複数の単位構造で共有するようにして結合した形態であってもよく、また、上記単位構造に含まれる任意の環、特にA環、B環またはC環、a環、b環、またはc環同士が縮合するようにして結合した形態であってもよい。
このような多量体としては、例えば、下記式(2-5-1)~式(2-5-4)または式(2-6)で表される多量体化合物があげられる。下記式(2-5-1)~式(2-5-4)で表される多量体化合物は、式(2)で説明すれば、c環(またはb環)であるベンゼン環を共有するようにして、複数の式(2)で表される単位構造を一つの化合物中に有する多量体化合物である。また、下記式(2-6)で表される多量体化合物は、式(2)で説明すれば、例えば、ある単位構造のc環(またはa環、b環)であるベンゼン環とある単位構造のc環(またはa環、b環)であるベンゼン環とが縮合するようにして、複数の式(2)で表される単位構造を一つの化合物中に有する多量体化合物である。
Figure 0007454810000014
多量体化合物は、式(2-5-1)~式(2-5-4)のいずれかまたは式(2-6)で表現される多量化形態が組み合わさった多量体であってもよく、式(2-5-1)~式(2-5-4)のいずれかで表現される多量化形態と、式(2-6)で表現される多量化形態とが組み合わさった多量体であってもよい。
式(1)で表される多環芳香族化合物または構造(単位構造)における少なくとも1つの水素は、重水素、シアノまたはハロゲンで置換されていてもよい。また、式(2)で表される化合物における少なくとも1つの水素がハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。ここで、ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素であり、好ましくはフッ素、塩素または臭素、より好ましくはフッ素である。
また、式(1)または式(2)で表される多環芳香族化合物およびその多量体の化学構造中の芳香族環および複素芳香族環の少なくとも1つは、少なくとも1つのシクロアルカンで縮合されていてもよい。
例えば、A環、B環、C環、a環、b環、c環であるアリール環およびヘテロアリール環中のアリール環およびヘテロアリール環、A環~C環中の第1および第2の置換基としてのアリール(アリール、ジアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリルまたはアリールオキシにおけるアリール部分)およびヘテロアリール(ヘテロアリール、ジヘテロアリールアミノまたはアリールヘテロアリールアミノにおけるヘテロアリール部分)、a環、b環、c環への第1および第2の置換基としてのアリール(上記と同様)およびヘテロアリール(上記と同様)、ならびに、X1である>N-R、および>C(-R)2のRとしてのアリール(上記と同様)およびヘテロアリール(上記と同様)のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つのシクロアルカンで縮合されていてもよい。
好ましくは、A環、B環、C環、a環、b環、c環であるアリール環およびヘテロアリール環、A環~C環中の第1の置換基としてのアリール(アリール、ジアリールアミノ、ジアリールボリルまたはアリールオキシにおけるアリール部分)およびヘテロアリール(ヘテロアリールまたはジヘテロアリールアミノにおけるヘテロアリール部分)、a環~c環への第1の置換基としてのアリール(上記と同様)およびヘテロアリール(上記と同様)、ならびに、X1である>N-Rおよび>C(-R)2のRとしてのアリール(上記と同様)およびヘテロアリール(上記と同様)のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つのシクロアルカンで縮合されていてもよい。
より好ましくは、A環、B環、C環、a環、b環、c環であるアリール環、A環~C環中の第1の置換基としてのアリール(アリールまたはジアリールアミノにおけるアリール部分)およびヘテロアリール(ヘテロアリールにおけるヘテロアリール部分)、a環、b環、c環への第1の置換基としてのアリール(上記と同様)およびヘテロアリール(上記と同様)、ならびに、X1である>N-R、および>C(-R)2のRとしてのアリール(上記と同様)のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つのシクロアルカンで縮合されていてもよい。
さらに好ましくは、A環、B環、C環、a環、b環、c環であるアリール環、A環~C環中の第1の置換基としてのアリール(アリールまたはジアリールアミノにおけるアリール部分)、a環、b環、c環への第1の置換基としてのアリール(上記と同様)、ならびに、X1である>N-R、および>C(-R)2のRとしてのアリール(上記と同様)のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つのシクロアルカンで縮合されていてもよい。
「シクロアルカン」としては、炭素数3~24のシクロアルカン、炭素数3~20のシクロアルカン、炭素数3~16のシクロアルカン、炭素数3~14のシクロアルカン、炭素数5~10のシクロアルカン、炭素数5~8のシクロアルカン、炭素数5~6のシクロアルカン、炭素数5のシクロアルカンなどがあげられる。
具体的なシクロアルカンとしては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、ノルボルネン、ビシクロ[1.0.1]ブタン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、ビシクロ[2.0.1]ペンタン、ビシクロ[1.2.1]ヘキサン、ビシクロ[3.0.1]ヘキサン、ビシクロ[2.1.2]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、アダマンタン、ジアマンタン、デカヒドロナフタレンおよびデカヒドロアズレン、ならびに、これらの炭素数1~5のアルキル(特にメチル)置換体、ハロゲン(特にフッ素)置換体および重水素置換体などがあげられる。
これらの中でも、例えば下記構造式に示すような、シクロアルカンのα位の炭素(芳香族環または複素芳香族環に縮合するシクロアルキルにおいて、縮合部位の炭素に隣接する位置の炭素)における少なくとも1つの水素が置換された構造が好ましく、α位の炭素における2つの水素が置換された構造がより好ましく、2つのα位の炭素における合計4つの水素が置換された構造がさらに好ましい。この置換基としては、炭素数1~5のアルキル(特にメチル)置換体、ハロゲン(特にフッ素)置換体および重水素置換体などがあげられる。
Figure 0007454810000015
1つの芳香族環または複素芳香族環に縮合するシクロアルカンの数は、1~3個が好ましく、1個または2個がより好ましく、1個がさらに好ましい。例えば1つのベンゼン環(フェニル)に1個または複数のシクロアルカンが縮合した例を以下に示す。式(Cy-1-4)および式(Cy-2-4)のように縮合したシクロアルカン同士が縮合してもよい。縮合される環(基)がベンゼン環(フェニル)以外の他の芳香族環または複素芳香族環の場合であっても、縮合するシクロアルカンがシクロペンタンまたはシクロヘキサン以外の他のシクロアルカンの場合であっても、同様である。
Figure 0007454810000016
シクロアルカンにおける少なくとも1つの-CH2-は-O-で置換されていてもよい。例えば1つのベンゼン環(フェニル)に縮合したシクロアルカンにおける1個または複数の-CH2-が-O-で置換された例を以下に示す。縮合される環(基)がベンゼン環(フェニル)以外の他の芳香族環または複素芳香族環の場合であっても、縮合するシクロアルカンがシクロペンタンまたはシクロヘキサン以外の他のシクロアルカンの場合であっても、同様である。
Figure 0007454810000017
シクロアルカンにおける少なくとも1つの水素は置換されていてもよく、この置換基としては、例えば、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、置換シリル、重水素、シアノまたはハロゲンがあげられ、これらの詳細は、上述した第1の置換基の説明を引用することができる。これらの置換基の中でも、アルキル(例えば炭素数1~6のアルキル)、シクロアルキル(例えば炭素数3~14のシクロアルキル)、ハロゲン(例えばフッ素)および重水素などが好ましい。また、シクロアルキルが置換する場合はスピロ構造を形成する置換形態でもよく、この例を以下に示す。
Figure 0007454810000018
シクロアルカン縮合の他の形態としては、式(1)または式(2)で表される多環芳香族化合物およびその多量体が、例えば、Rがシクロアルカンで縮合されたアリールである>N-R、シクロアルカンで縮合されたジアリールアミノ(このアリール部分へ縮合)、シクロアルカンで縮合されたカルバゾリル(このベンゼン環部分へ縮合)またはシクロアルカンで縮合されたベンゾカルバゾリル(このベンゼン環部分へ縮合)を有する例があげられる。「ジアリールアミノ」については上記「第1の置換基」として説明した基があげられる。
また、さらに具体的な例としては、式(2)で表される多環芳香族化合物およびその多量体におけるR2が、シクロアルカンで縮合されたジアリールアミノ(このアリール部分へ縮合)またはシクロアルカンで縮合されたカルバゾリル(このベンゼン環部分へ縮合)である例があげられる。
式(1)で表される多環芳香族化合物またはその多量体は、互変異性体が存在しうるが、本発明は、これを包含するものとする。例えば下記式中、互変異性体1および互変異性体2がそれぞれ互変異性の関係にある。これらは通常、すばやい平衡状態にあるので一方のみを単離するのは困難である。なお下記式中、互変異性体1および互変異性体2の場合は、平衡は互変異性体1に大きく偏っている。
Figure 0007454810000019
また、式(1)で表される多環芳香族化合物またはその多量体は、置換基によっては、位置異性体、幾何異性体、光学異性体などの立体異性体が存在しうるものもある。本発明は、これらを含め、すべての可能な異性体およびそれらの混合物を包含する。
式(1)で表される多環芳香族化合物の具体的な例としては以下の構造式で表される化合物があげられる。なお、構造式中の「Me」はメチルである。
Figure 0007454810000109
2.多環芳香族化合物およびその多量体の製造方法
式(1)または(2)で表される多環芳香族化合物およびその多量体は、例えば国際公開第2015/102118号で開示されている方法を応用することで合成することができる。
例えば、式(1)または式(2)で表される多環芳香族化合物は、Y1のハロゲン化物(BBr3等)を用いて、連続的な芳香族求電子置換反応により、下記中間体1-AにおけるA環とB環とC環とをY1により結合し、下記N-ベンジル化体のようなN原子に保護基が置換した化合物(中間体1-A)を得る反応工程、および脱保護化(脱ベンジル化)を行なって式(1)で表される多環芳香族化合物を得る工程を含む方法で製造することができる。
Figure 0007454810000110
3.多環芳香族化合物およびその多量体の製造中間体としての使用
式(1)または(2)で表される多環芳香族化合物およびその多量体は、例えば国際公開第2015/102118号で開示されているような多環芳香族化合物および多量体の製造中間体として用いることができる。
例えば、式(1)で表される多環芳香族化合物をBuchwald-Hartwig反応やUllman反応などによりNHをアリール化することで、有機デバイス用材料として有用である国際公開第2015/102118号等に記載のようなN-アリール体(式(1-NAr)で表される化合物)を得ることができる。この方法は特に非対称の多環芳香族化合物を製造するのに有用である。
Figure 0007454810000111
上記式(1-NAr)において、A~C環、X1、およびY1はそれぞれ式(1)のA~C環、X1、およびY1と同義であり、Arはアリールまたはヘテロアリールであり、アリールおよびヘテロアリールの定義および好ましい範囲は上述の式(1)における第1の置換基としての「アリール」および「ヘテロアリール」とそれぞれ同じである。また、Ar-HalにおけるArは式(1-NAr)中のArと同義であり、Halはハロゲンまたは擬ハロゲン(トリフルオロスルホナートなど)を表す。
なお前記の方法を用いたN-アリール体の製造方法には次のようなメリットがある。すなわち、従来の多環芳香族化合物では環B(環b)あるいは環C(環c)と>N-ArのArの前駆体が異なる場合には異性体混合物になる、あるいは環の反応性の違いから所望の異性体が得られないなどの可能性があった。下記式で説明すると異なる環Bxおよび環Byを持つ前駆体化合物を環化させてN-アリール体を合成しようとした場合、環BxおよびByのどちらも反応する可能性があるため、2種類の異性体が生じうる。また環Bxと環Byの間で環化反応に対する反応性が大きく異なる場合には、片方の異性体が優先的に生成する場合があるが、その場合にはもう1つの異性体は原理上合成が困難になる。前記方法を用いることで所望の前記>N-ArのArを導入したN-アリール体を合成することができる。
Figure 0007454810000112
4.有機デバイス
式(1)または(2)で表される多環芳香族化合物およびその多量体、ならびにこれらの化合物から上記のように製造された多環芳香族化合物およびその多量体(以下、全てまとめて「本発明の化合物」ということがある。)は、有機デバイス用材料として用いることができる。有機デバイスとしては、例えば、有機電界発光素子、有機電界効果トランジスタまたは有機薄膜太陽電池などがあげられる。
4-1.有機電界発光素子
<有機電界発光素子の構造>
図1は、有機EL素子の一例を示す概略断面図である。
図1に示された有機EL素子100は、基板101と、基板101上に設けられた陽極102と、陽極102の上に設けられた正孔注入層103と、正孔注入層103の上に設けられた正孔輸送層104と、正孔輸送層104の上に設けられた発光層105と、発光層105の上に設けられた電子輸送層106と、電子輸送層106の上に設けられた電子注入層107と、電子注入層107の上に設けられた陰極108とを有する。
なお、有機EL素子100は、作製順序を逆にして、例えば、基板101と、基板101上に設けられた陰極108と、陰極108の上に設けられた電子注入層107と、電子注入層107の上に設けられた電子輸送層106と、電子輸送層106の上に設けられた発光層105と、発光層105の上に設けられた正孔輸送層104と、正孔輸送層104の上に設けられた正孔注入層103と、正孔注入層103の上に設けられた陽極102とを有する構成としてもよい。
上記各層すべてがなくてはならないわけではなく、最小構成単位を陽極102と発光層105と陰極108とからなる構成として、正孔注入層103、正孔輸送層104、電子輸送層106、電子注入層107は任意に設けられる層である。また、上記各層は、それぞれ単一層からなってもよいし、複数層からなってもよい。
有機EL素子を構成する層の態様としては、上述する「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」の構成態様の他に、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子注入層/陰極」の構成態様であってもよい。
<有機電界発光素子における発光層>
本発明の化合物は、有機電界発光素子における、いずれか1つ以上の有機層を形成する材料として用いられることが好ましく、発光層を形成する材料として用いられることがより好ましい。本発明の化合物は、例えば、発光層用の材料として用いることができ、また発光層中のドーパントとして、ホスト化合物と組み合わせて用いることができる。
発光層105は、電界を与えられた電極間において、陽極102から注入された正孔と、陰極108から注入された電子とを再結合させることにより発光する層である。発光層105を形成する材料としては、正孔と電子との再結合によって励起されて発光する化合物(発光性化合物)であればよく、安定な薄膜形状を形成することができ、かつ、固体状態で強い発光(蛍光)効率を示す化合物であるのが好ましい。
発光層は単一層でも複数層からなってもどちらでもよく、それぞれ発光層用材料(ホスト材料、ドーパント材料)により形成される。ホスト材料とドーパント材料は、それぞれ一種類であっても、複数の組み合わせであっても、いずれでもよい。ドーパント材料はホスト材料の全体に含まれていても、部分的に含まれていても、いずれであってもよい。ドーピング方法としては、ホスト材料との共蒸着法によって形成することができるが、ホスト材料と予め混合してから同時に蒸着してもよい。
ホスト材料の使用量はホスト材料の種類によって異なり、そのホスト材料の特性に合わせて決めればよい。ホスト材料の使用量の目安は、好ましくは発光層用材料全体の50~99.999質量%であり、より好ましくは80~99.95質量%であり、さらに好ましくは90~99.9質量%である。
ドーパント材料の使用量はドーパント材料の種類によって異なり、そのドーパント材料の特性に合わせて決めればよい。ドーパントの使用量の目安は、好ましくは発光層用材料全体の0.001~50質量%であり、より好ましくは0.05~20質量%であり、さらに好ましくは0.1~10質量%である。上記の範囲であれば、例えば、濃度消光現象を防止できるという点で好ましい。
ホスト材料としては、以前から発光体として知られていたカルバゾール、アントラセン、ピレン、ジベンゾクリセンまたはフルオレンなどの縮合環誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体やジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導誘導体等を用いることができる。これらのうちカルバゾール誘導体またはアントラセン誘導体が好ましい。
カルバゾール誘導体としては、下記式(3)で表される化合物があげられる。当該化合物における少なくとも1つの水素は、炭素数1~6のアルキル、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。
Figure 0007454810000113
式(3)中、L1は炭素数6~24のアリーレンであり、炭素数6~16のアリーレンが好ましく、炭素数6~12のアリーレンがより好ましく、炭素数6~10のアリーレンが特に好ましく、具体的には、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、テルフェニル環、アセナフチレン環、フルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環、トリフェニレン環、ピレン環、ナフタセン環、ペリレン環およびペンタセン環などの二価の基があげられる。
アントラセン誘導体としては、下記式(4)で表される化合物があげられる。当該化合物における少なくとも1つの水素は、炭素数1~6のアルキル、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。
Figure 0007454810000114
式(4)中、L2およびL3は、それぞれ独立して、炭素数6~30のアリールまたは炭素数2~30のヘテロアリールである。アリールとしては、炭素数6~24のアリールが好ましく、炭素数6~16のアリールがより好ましく、炭素数6~12のアリールがさらに好ましく、炭素数6~10のアリールが特に好ましく、具体的には、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、テルフェニル環、アセナフチレン環、フルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環、トリフェニレン環、ピレン環、ナフタセン環、ペリレン環およびペンタセン環などの一価の基があげられる。ヘテロアリールとしては、炭素数2~25のヘテロアリールが好ましく、炭素数2~20のヘテロアリールがより好ましく、炭素数2~15のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数2~10のヘテロアリールが特に好ましく、具体的には、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、トリアジン環、インドール環、イソインドール環、1H-インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、1H-ベンゾトリアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、シンノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、プリン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、フェナジン環、インドリジン環、フラン環、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、ジベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、フラザン環、オキサジアゾール環およびチアントレン環などの一価の基があげられる。
<有機電界発光素子における基板>
基板101は、有機EL素子100の支持体であり、通常、石英、ガラス、金属、プラスチックなどが用いられる。基板101は、目的に応じて板状、フィルム状、またはシート状に形成され、例えば、ガラス板、金属板、金属箔、プラスチックフィルム、プラスチックシートなどが用いられる。なかでも、ガラス板、および、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂製の板が好ましい。ガラス基板であれば、ソーダライムガラスや無アルカリガラスなどが用いられ、また、厚みも機械的強度を保つのに十分な厚みがあればよいので、例えば、0.2mm以上あればよい。厚さの上限値としては、例えば、2mm以下、好ましくは1mm以下である。ガラスの材質については、ガラスからの溶出イオンが少ない方がよいので無アルカリガラスの方が好ましいが、SiO2などのバリアコートを施したソーダライムガラスも市販されているのでこれを使用することができる。また、基板101には、ガスバリア性を高めるために、少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜などのガスバリア膜を設けてもよく、特にガスバリア性が低い合成樹脂製の板、フィルムまたはシートを基板101として用いる場合にはガスバリア膜を設けるのが好ましい。
<有機電界発光素子における陽極>
陽極102は、発光層105へ正孔を注入する役割を果たす。なお、陽極102と発光層105との間に正孔注入層103および/または正孔輸送層104が設けられている場合には、これらを介して発光層105へ正孔を注入することになる。
陽極102を形成する材料としては、無機化合物および有機化合物があげられる。無機化合物としては、例えば、金属(アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、クロムなど)、金属酸化物(インジウムの酸化物、スズの酸化物、インジウム-スズ酸化物(ITO)、インジウム-亜鉛酸化物(IZO)など)、ハロゲン化金属(ヨウ化銅など)、硫化銅、カーボンブラック、ITOガラスやネサガラスなどがあげられる。有機化合物としては、例えば、ポリ(3-メチルチオフェン)などのポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性ポリマーなどがあげられる。その他、有機EL素子の陽極として用いられている物質の中から適宜選択して用いることができる。
透明電極の抵抗は、発光素子の発光に十分な電流が供給できればよいので限定されないが、発光素子の消費電力の観点からは低抵抗であることが望ましい。例えば、300Ω/□以下のITO基板であれば素子電極として機能するが、現在では10Ω/□程度の基板の供給も可能になっていることから、例えば100~5Ω/□、好ましくは50~5Ω/□の低抵抗品を使用することが特に望ましい。ITOの厚みは抵抗値に合わせて任意に選ぶ事ができるが、通常50~300nmの間で用いられることが多い。
<有機電界発光素子における正孔注入層、正孔輸送層>
正孔注入層103は、陽極102から移動してくる正孔を、効率よく発光層105内または正孔輸送層104内に注入する役割を果たす。正孔輸送層104は、陽極102から注入された正孔または陽極102から正孔注入層103を介して注入された正孔を、効率よく発光層105に輸送する役割を果たす。正孔注入層103および正孔輸送層104は、それぞれ、正孔注入・輸送材料の一種または二種以上を積層、混合するか、正孔注入・輸送材料と高分子結着剤の混合物により形成される。また、正孔注入・輸送材料に塩化鉄(III)のような無機塩を添加して層を形成してもよい。
正孔注入・輸送性物質としては電界を与えられた電極間において正極からの正孔を効率よく注入・輸送することが必要で、正孔注入効率が高く、注入された正孔を効率よく輸送することが望ましい。そのためにはイオン化ポテンシャルが小さく、しかも正孔移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが好ましい。
正孔注入層103および正孔輸送層104を形成する材料としては、光導電材料において、正孔の電荷輸送材料として従来から慣用されている化合物、p型半導体、有機EL素子の正孔注入層および正孔輸送層に使用されている公知の化合物の中から任意の化合物を選択して用いることができる。それらの具体例は、カルバゾール誘導体(N-フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾールなど)、ビス(N-アリールカルバゾール)またはビス(N-アルキルカルバゾール)などのビスカルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体(芳香族第3級アミノを主鎖または側鎖に持つポリマー、1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N'-ジフェニル-N,N'-ジ(3-メチルフェニル)-4,4'-ジアミノビフェニル、N,N'-ジフェニル-N,N'-ジナフチル-4,4'-ジアミノビフェニル、N,N'-ジフェニル-N,N'-ジ(3-メチルフェニル)-4,4'-ジフェニル-1,1'-ジアミン、N,N'-ジナフチル-N,N'-ジフェニル-4,4'-ジフェニル-1,1'-ジアミン、N4,N4'-ジフェニル-N4,N4'-ビス(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-[1,1'-ビフェニル]-4,4'-ジアミン、N4,N4,N4',N4'-テトラ[1,1'-ビフェニル]-4-イル)-[1,1'-ビフェニル]-4,4'-ジアミン、4,4',4"-トリス(3-メチルフェニル(フェニル)アミノ)トリフェニルアミンなどのトリフェニルアミン誘導体、スターバーストアミン誘導体など)、スチルベン誘導体、フタロシアニン誘導体(無金属、銅フタロシアニンなど)、ピラゾリン誘導体、ヒドラゾン系化合物、ベンゾフラン誘導体やチオフェン誘導体、オキサジアゾール誘導体、キノキサリン誘導体(例えば、1,4,5,8,9,12-ヘキサアザトリフェニレン-2,3,6,7,10,11-ヘキサカルボニトリルなど)、ポルフィリン誘導体などの複素環化合物、ポリシランなどである。ポリマー系では前記単量体を側鎖に有するポリカーボネートやスチレン誘導体、ポリビニルカルバゾールおよびポリシランなどが好ましいが、発光素子の作製に必要な薄膜を形成し、陽極から正孔が注入できて、さらに正孔を輸送できる化合物であれば特に限定されない。
また、有機半導体の導電性は、そのドーピングにより、強い影響を受けることも知られている。このような有機半導体マトリックス物質は、電子供与性の良好な化合物、または、電子受容性の良好な化合物から構成されている。電子供与物質のドーピングのために、テトラシアノキノンジメタン(TCNQ)または2,3,5,6-テトラフルオロテトラシアノ-1,4-ベンゾキノンジメタン(F4TCNQ)などの強い電子受容体が知られている(例えば、文献「M.Pfeiffer,A.Beyer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(22),3202-3204(1998)」および文献「J.Blochwitz,M.Pfeiffer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(6),729-731(1998)」を参照)。これらは、電子供与型ベース物質(正孔輸送物質)における電子移動プロセスによって、いわゆる正孔を生成する。正孔の数および移動度によって、ベース物質の伝導性が、かなり大きく変化する。正孔輸送特性を有するマトリックス物質としては、例えばベンジジン誘導体(TPDなど)またはスターバーストアミン誘導体(TDATAなど)、または、特定の金属フタロシアニン(特に、亜鉛フタロシアニン(ZnPc)など)が知られている(特開2005-167175号公報)。
上述した正孔注入層用材料および正孔輸送層用材料は、これらに反応性置換基が置換した反応性化合物をモノマーとして高分子化させた高分子化合物、もしくはその高分子架橋体、または、主鎖型高分子と前記反応性化合物とを反応させたペンダント型高分子化合物、もしくはそのペンダント型高分子架橋体としても、正孔層用材料に用いることができる。
<有機電界発光素子における電子注入層、電子輸送層>
電子注入層107は、陰極108から移動してくる電子を、効率よく発光層105内または電子輸送層106内に注入する役割を果たす。電子輸送層106は、陰極108から注入された電子または陰極108から電子注入層107を介して注入された電子を、効率よく発光層105に輸送する役割を果たす。電子輸送層106および電子注入層107は、それぞれ、電子輸送・注入材料の一種または二種以上を積層、混合するか、電子輸送・注入材料と高分子結着剤の混合物により形成される。
電子注入・輸送層とは、陰極から電子が注入され、さらに電子を輸送することをつかさどる層であり、電子注入効率が高く、注入された電子を効率よく輸送することが望ましい。そのためには電子親和力が大きく、しかも電子移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが好ましい。しかしながら、正孔と電子の輸送バランスを考えた場合に、陽極からの正孔が再結合せずに陰極側へ流れるのを効率よく阻止できる役割を主に果たす場合には、電子輸送能力がそれ程高くなくても、発光効率を向上させる効果は電子輸送能力が高い材料と同等に有する。したがって、本実施形態における電子注入・輸送層は、正孔の移動を効率よく阻止できる層の機能も含まれてもよい。
電子輸送層106または電子注入層107を形成する材料(電子輸送材料)としては、光導電材料において電子伝達化合物として従来から慣用されている化合物、有機EL素子の電子注入層および電子輸送層に使用されている公知の化合物の中から任意に選択して用いることができる。
電子輸送層または電子注入層に用いられる材料としては、炭素、水素、酸素、硫黄、ケイ素およびリンの中から選ばれる一種以上の原子で構成される芳香族環または複素芳香族環からなる化合物、ピロール誘導体およびその縮合環誘導体および電子受容性窒素を有する金属錯体の中から選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましい。具体的には、ナフタレン、アントラセンなどの縮合環系芳香族環誘導体、4,4'-ビス(ジフェニルエテニル)ビフェニルに代表されるスチリル系芳香族環誘導体、ペリノン誘導体、クマリン誘導体、ナフタルイミド誘導体、アントラキノンやジフェノキノンなどのキノン誘導体、リンオキサイド誘導体、アリールニトリル誘導体およびインドール誘導体などがあげられる。電子受容性窒素を有する金属錯体としては、例えば、ヒドロキシフェニルオキサゾール錯体などのヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体およびベンゾキノリン金属錯体などがあげられる。これらの材料は単独でも用いられるが、異なる材料と混合して使用しても構わない。
また、他の電子伝達化合物の具体例として、ピリジン誘導体、ナフタレン誘導体、フルオランテン誘導体、BO系誘導体、アントラセン誘導体、フェナントロリン誘導体、ペリノン誘導体、クマリン誘導体、ナフタルイミド誘導体、アントラキノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ペリレン誘導体、オキサジアゾール誘導体(1,3-ビス[(4-t-ブチルフェニル)1,3,4-オキサジアゾリル]フェニレンなど)、チオフェン誘導体、トリアゾール誘導体(N-ナフチル-2,5-ジフェニル-1,3,4-トリアゾールなど)、チアジアゾール誘導体、オキシン誘導体の金属錯体、キノリノール系金属錯体、キノキサリン誘導体、キノキサリン誘導体のポリマー、ベンザゾール類化合物、ガリウム錯体、ピラゾール誘導体、パーフルオロ化フェニレン誘導体、トリアジン誘導体、ピラジン誘導体、ベンゾキノリン誘導体(2,2'-ビス(ベンゾ[h]キノリン-2-イル)-9,9'-スピロビフルオレンなど)、イミダゾピリジン誘導体、ボラン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体(トリス(N-フェニルベンゾイミダゾール-2-イル)ベンゼンなど)、ベンゾオキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、キノリン誘導体、テルピリジンなどのオリゴピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、テルピリジン誘導体(1,3-ビス(4'-(2,2':6'2"-テルピリジニル))ベンゼンなど)、ナフチリジン誘導体(ビス(1-ナフチル)-4-(1,8-ナフチリジン-2-イル)フェニルホスフィンオキサイドなど)、アルダジン誘導体、ピリミジン誘導体、アリールニトリル誘導体、インドール誘導体、リンオキサイド誘導体、ビススチリル誘導体、シロール誘導体およびアゾリン誘導体などがあげられる。
また、電子受容性窒素を有する金属錯体を用いることもでき、例えば、キノリノール系金属錯体やヒドロキシフェニルオキサゾール錯体などのヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体およびベンゾキノリン金属錯体などがあげられる。
上述した材料は単独でも用いられるが、異なる材料と混合して使用しても構わない。
上述した材料の中でも、ボラン誘導体、ピリジン誘導体、フルオランテン誘導体、BO系誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾフルオレン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、ピリミジン誘導体、アリールニトリル誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリノール系金属錯体、チアゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、シロール誘導体およびアゾリン誘導体が好ましい。
[ボラン誘導体]
ボラン誘導体は、例えば下記式(ETM-1)で表される化合物であり、詳細には特開2007-27587号公報に開示されている。
Figure 0007454810000115
式(ETM-1)中、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも一つであり、R13~R16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキルまたは置換されていてもよいアリールであり、Xは、置換されていてもよいアリーレンであり、Yは、置換されていてもよい炭素数16以下のアリール、置換されているボリル、または置換されていてもよいカルバゾリルであり、そして、nはそれぞれ独立して0~3の整数である。また、「置換されていてもよい」または「置換されている」場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルなどがあげられる。
式(ETM-1)で表される化合物の中でも、下記式(ETM-1-1)で表される化合物や下記式(ETM-1-2)で表される化合物が好ましい。
Figure 0007454810000116
式(ETM-1-1)中、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも一つであり、R13~R16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキルまたは置換されていてもよいアリールであり、R21およびR22は、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも一つであり、X1は、置換されていてもよい炭素数20以下のアリーレンであり、nはそれぞれ独立して0~3の整数であり、そして、mはそれぞれ独立して0~4の整数である。また、「置換されていてもよい」または「置換されている」場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルなどがあげられる。
Figure 0007454810000117
式(ETM-1-2)中、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも一つであり、R13~R16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキルまたは置換されていてもよいアリールであり、X1は、置換されていてもよい炭素数20以下のアリーレンであり、そして、nはそれぞれ独立して0~3の整数である。また、「置換されていてもよい」または「置換されている」場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルなどがあげられる。
1の具体的な例としては、下記式(X-1)~式(X-9)で表される2価の基があげられる。
Figure 0007454810000118
(各式中、Raは、それぞれ独立してアルキル、シクロアルキルまたは置換されていてもよいフェニルであり、*は結合位置を表す。)
このボラン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。
Figure 0007454810000119
このボラン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
[ピリジン誘導体]
ピリジン誘導体は、例えば下記式(ETM-2)で表される化合物であり、好ましくは式(ETM-2-1)または式(ETM-2-2)で表される化合物である。
Figure 0007454810000120
φは、n価のアリール環(好ましくはn価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)であり、nは1~4の整数である。
式(ETM-2-1)において、R11~R18は、それぞれ独立して、水素、アルキル(好ましくは炭素数1~24のアルキル)、シクロアルキル(好ましくは炭素数3~12のシクロアルキル)またはアリール(好ましくは炭素数6~30のアリール)である。
式(ETM-2-2)において、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、アルキル(好ましくは炭素数1~24のアルキル)、シクロアルキル(好ましくは炭素数3~12のシクロアルキル)またはアリール(好ましくは炭素数6~30のアリール)であり、R11およびR12は結合して環を形成していてもよい。
各式において、「ピリジン系置換基」は、下記式(Py-1)~式(Py-15)のいずれか(式中の*は、結合位置を表す。)であり、ピリジン系置換基はそれぞれ独立して炭素数1~4のアルキルまたは炭素数5~10のシクロアルキルで置換されていてもよい。また、ピリジン系置換基はフェニレン基やナフチレン基を介して各式におけるφ、アントラセン環またはフルオレン環に結合していてもよい。
Figure 0007454810000121
ピリジン系置換基は、式(Py-1)~式(Py-15)のいずれかであるが、これらの中でも、下記式(Py-21)~式(Py-44)のいずれかであることが好ましい。
Figure 0007454810000122
各ピリジン誘導体における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよく、また、式(ETM-2-1)および式(ETM-2-2)における2つの「ピリジン系置換基」のうちの一方はアリールで置き換えられていてもよい。
11~R18における「アルキル」としては、直鎖および分岐鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1~24の直鎖アルキルまたは炭素数3~24の分岐鎖アルキルがあげられる。好ましい「アルキル」は、炭素数1~18のアルキル(炭素数3~18の分岐鎖アルキル)である。より好ましい「アルキル」は、炭素数1~12のアルキル(炭素数3~12の分岐鎖アルキル)である。さらに好ましい「アルキル」は、炭素数1~6のアルキル(炭素数3~6の分岐鎖アルキル)である。特に好ましい「アルキル」は、炭素数1~4のアルキル(炭素数3~4の分岐鎖アルキル)である。
具体的な「アルキル」としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t-ペンチル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、n-オクチル、t-オクチル、1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘプチル、2,6-ジメチル-4-ヘプチル、3,5,5-トリメチルヘキシル、n-デシル、n-ウンデシル、1-メチルデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、1-ヘキシルヘプチル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-エイコシルなどがあげられる。
ピリジン系置換基に置換する炭素数1~4のアルキルとしては、上記アルキルの説明を引用することができる。
11~R18における「シクロアルキル」としては、例えば、炭素数3~12のシクロアルキルがあげられる。好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3~10のシクロアルキルである。より好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3~8のシクロアルキルである。さらに好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3~6のシクロアルキルである。
具体的な「シクロアルキル」としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチルまたはジメチルシクロヘキシルなどがあげられる。
ピリジン系置換基に置換する炭素数5~10のシクロアルキルとしては、上記シクロアルキルの説明を引用することができる。
11~R18における「アリール」としては、好ましいアリールは炭素数6~30のアリールであり、より好ましいアリールは炭素数6~18のアリールであり、さらに好ましくは炭素数6~14のアリールであり、特に好ましくは炭素数6~12のアリールである。
具体的な「炭素数6~30のアリール」としては、単環系アリールであるフェニル、縮合二環系アリールである(1-,2-)ナフチル、縮合三環系アリールである、アセナフチレン-(1-,3-,4-,5-)イル、フルオレン-(1-,2-,3-,4-,9-)イル、フェナレン-(1-,2-)イル、(1-,2-,3-,4-,9-)フェナントリル、縮合四環系アリールであるトリフェニレン-(1-,2-)イル、ピレン-(1-,2-,4-)イル、ナフタセン-(1-,2-,5-)イル、縮合五環系アリールであるペリレン-(1-,2-,3-)イル、ペンタセン-(1-,2-,5-,6-)イルなどがあげられる。
好ましい「炭素数6~30のアリール」は、フェニル、ナフチル、フェナントリル、クリセニルまたはトリフェニレニルなどがあげられ、さらに好ましくはフェニル、1-ナフチル、2-ナフチルまたはフェナントリルがあげられ、特に好ましくはフェニル、1-ナフチルまたは2-ナフチルがあげられる。
式(ETM-2-2)におけるR11およびR12は結合して環を形成していてもよく、この結果、フルオレン骨格の5員環には、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、フルオレンまたはインデンなどがスピロ結合していてもよい。
このピリジン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。
Figure 0007454810000123
このピリジン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
フルオランテン誘導体は、例えば下記式(ETM-3)で表される化合物であり、詳細には国際公開第2010/134352号に開示されている。
Figure 0007454810000124
式(ETM-3)中、X12~X21は水素、ハロゲン、直鎖、分岐もしくは環状のアルキル、直鎖、分岐もしくは環状のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリールを表す。ここで、置換されている場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリールアルキルまたはシクロアルキルなどがあげられる。
このフルオランテン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。
Figure 0007454810000125
[BO系誘導体]
BO系誘導体は、例えば下記式(ETM-4)で表される多環芳香族化合物、または下記式(ETM-4)で表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体である。
Figure 0007454810000126
1~R11は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよい。
また、R1~R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよい。
また、式(ETM-4)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素がハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。
式(ETM-4)における置換基や環形成の形態の説明については、式(1)で表される多環芳香族化合物の説明を引用することができる。
このBO系誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。
Figure 0007454810000127
このBO系誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
[アントラセン誘導体]
アントラセン誘導体の一つは、例えば下記式(ETM-5-1)で表される化合物である。
Figure 0007454810000128
Arは、それぞれ独立して、2価のベンゼンまたはナフタレンであり、R1~R4は、それぞれ独立して、水素、炭素数1~6のアルキル、炭素数3から6のシクロアルキルまたは炭素数6~20のアリールである。
Arは、それぞれ独立して、2価のベンゼンまたはナフタレンから適宜選択することができ、2つのArが異なっていても同じであってもよいが、アントラセン誘導体の合成の容易さの観点からは同じであることが好ましい。Arはピリジンと結合して、「Arおよびピリジンからなる部位」を形成しており、この部位は例えば下記式(Py-1)~式(Py-12)のいずれかで表される基としてアントラセンに結合している。下記の式中の*は、結合位置を表す。
Figure 0007454810000129
これらの基の中でも、式(Py-1)~式(Py-9)のいずれかで表される基が好ましく、式(Py-1)~式(Py-6)のいずれかで表される基がより好ましい。アントラセンに結合する2つの「Arおよびピリジンからなる部位」は、その構造が同じであっても異なっていてもよいが、アントラセン誘導体の合成の容易さの観点からは同じ構造であることが好ましい。ただし、素子特性の観点からは、2つの「Arおよびピリジンからなる部位」の構造が同じであっても異なっていても好ましい。
1~R4における炭素数1~6のアルキルについては直鎖および分岐鎖のいずれでもよい。すなわち、炭素数1~6の直鎖アルキルまたは炭素数3~6の分岐鎖アルキルである。より好ましくは、炭素数1~4のアルキル(炭素数3~4の分岐鎖アルキル)である。具体例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t-ペンチル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、または2-エチルブチルなどがあげられ、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、またはt-ブチルが好ましく、メチル、エチル、またはt-ブチルがより好ましい。
1~R4における炭素数3~6のシクロアルキルの具体例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチルまたはジメチルシクロヘキシルなどがあげられる。
1~R4における炭素数6~20のアリールについては、炭素数6~16のアリールが好ましく、炭素数6~12のアリールがより好ましく、炭素数6~10のアリールが特に好ましい。
「炭素数6~20のアリール」の具体例としては、単環系アリールであるフェニル、(o-,m-,p-)トリル、(2,3-,2,4-,2,5-,2,6-,3,4-,3,5-)キシリル、メシチル(2,4,6-トリメチルフェニル)、(o-,m-,p-)クメニル、二環系アリールである(2-,3-,4-)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1-,2-)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m-テルフェニル-2'-イル、m-テルフェニル-4'-イル、m-テルフェニル-5'-イル、o-テルフェニル-3'-イル、o-テルフェニル-4'-イル、p-テルフェニル-2'-イル、m-テルフェニル-2-イル、m-テルフェニル-3-イル、m-テルフェニル-4-イル、o-テルフェニル-2-イル、o-テルフェニル-3-イル、o-テルフェニル-4-イル、p-テルフェニル-2-イル、p-テルフェニル-3-イル、p-テルフェニル-4-イル)、縮合三環系アリールである、アントラセン-(1-,2-,9-)イル、アセナフチレン-(1-,3-,4-,5-)イル、フルオレン-(1-,2-,3-,4-,9-)イル、フェナレン-(1-,2-)イル、(1-,2-,3-,4-,9-)フェナントリル、縮合四環系アリールであるトリフェニレン-(1-,2-)イル、ピレン-(1-,2-,4-)イル、テトラセン-(1-,2-,5-)イル、縮合五環系アリールであるペリレン-(1-,2-,3-)イルなどがあげられる。
好ましい「炭素数6~20のアリール」は、フェニル、ビフェニリル、テルフェニリルまたはナフチルであり、より好ましくは、フェニル、ビフェニリル、1-ナフチル、2-ナフチルまたはm-テルフェニル-5'-イルであり、さらに好ましくは、フェニル、ビフェニリル、1-ナフチルまたは2-ナフチルであり、最も好ましくはフェニルである。
アントラセン誘導体の一つは、例えば下記式(ETM-5-2)で表される化合物である。
Figure 0007454810000130
Ar1は、それぞれ独立して、単結合、2価のベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、またはフェナレンである。
Ar2は、それぞれ独立して、炭素数6~20のアリールであり、式(ETM-5-1)における「炭素数6~20のアリール」と同じ説明を引用することができる。炭素数6~16のアリールが好ましく、炭素数6~12のアリールがより好ましく、炭素数6~10のアリールが特に好ましい。具体例としては、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、テルフェニリル、アントラセニル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントリル、トリフェニレニル、ピレニル、テトラセニル、ペリレニルなどがあげられる。
1~R4は、それぞれ独立して、水素、炭素数1~6のアルキル、炭素数3から6のシクロアルキルまたは炭素数6~20のアリールであり、式(ETM-5-1)における説明を引用することができる。
これらのアントラセン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。
Figure 0007454810000131
これらのアントラセン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
[ベンゾフルオレン誘導体]
ベンゾフルオレン誘導体は、例えば下記式(ETM-6)で表される化合物である。
Figure 0007454810000132
Ar1は、それぞれ独立して、炭素数6~20のアリールであり、式(ETM-5-1)における「炭素数6~20のアリール」と同じ説明を引用することができる。炭素数6~16のアリールが好ましく、炭素数6~12のアリールがより好ましく、炭素数6~10のアリールが特に好ましい。具体例としては、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、テルフェニリル、アントラセニル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントリル、トリフェニレニル、ピレニル、テトラセニル、ペリレニルなどがあげられる。
Ar2は、それぞれ独立して、水素、アルキル(好ましくは炭素数1~24のアルキル)、シクロアルキル(好ましくは炭素数3~12のシクロアルキル)またはアリール(好ましくは炭素数6~30のアリール)であり、2つのAr2は結合して環を形成していてもよい。
Ar2における「アルキル」としては、直鎖および分岐鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1~24の直鎖アルキルまたは炭素数3~24の分岐鎖アルキルがあげられる。好ましい「アルキル」は、炭素数1~18のアルキル(炭素数3~18の分岐鎖アルキル)である。より好ましい「アルキル」は、炭素数1~12のアルキル(炭素数3~12の分岐鎖アルキル)である。さらに好ましい「アルキル」は、炭素数1~6のアルキル(炭素数3~6の分岐鎖アルキル)である。特に好ましい「アルキル」は、炭素数1~4のアルキル(炭素数3~4の分岐鎖アルキル)である。具体的な「アルキル」としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t-ペンチル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシルなどがあげられる。
Ar2における「シクロアルキル」としては、例えば、炭素数3~12のシクロアルキルがあげられる。好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3~10のシクロアルキルである。より好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3~8のシクロアルキルである。さらに好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3~6のシクロアルキルである。具体的な「シクロアルキル」としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチルまたはジメチルシクロヘキシルなどがあげられる。
Ar2における「アリール」としては、好ましいアリールは炭素数6~30のアリールであり、より好ましいアリールは炭素数6~18のアリールであり、さらに好ましくは炭素数6~14のアリールであり、特に好ましくは炭素数6~12のアリールである。
具体的な「炭素数6~30のアリール」としては、フェニル、ナフチル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントリル、トリフェニレニル、ピレニル、ナフタセニル、ペリレニル、ペンタセニルなどがあげられる。
2つのAr2は結合して環を形成していてもよく、この結果、フルオレン骨格の5員環には、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、フルオレンまたはインデンなどがスピロ結合していてもよい。
このベンゾフルオレン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。
Figure 0007454810000133
このベンゾフルオレン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<ホスフィンオキサイド誘導体>
ホスフィンオキサイド誘導体は、例えば下記式(ETM-7-1)で表される化合物である。詳細は国際公開第2013/079217号および国際公開第2013/079678号にも記載されている。
Figure 0007454810000134
5は、置換または無置換の、炭素数1~20のアルキル、炭素数3~20のシクロアルキル、炭素数6~20のアリールまたは炭素数5~20のヘテロアリールであり、
6は、CN、置換または無置換の、炭素数1~20のアルキル、炭素数3~20のシクロアルキル、炭素数1~20のヘテロアルキル、炭素数6~20のアリール、炭素数5~20のヘテロアリール、炭素数1~20のアルコキシまたは炭素数6~20のアリールオキシであり、
7およびR8は、それぞれ独立して、置換または無置換の、炭素数6~20のアリールまたは炭素数5~20のヘテロアリールであり、
9は酸素または硫黄であり、
jは0または1であり、kは0または1であり、rは0~4の整数であり、qは1~3の整数である。
ここで、置換されている場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルなどがあげられる。
ホスフィンオキサイド誘導体は、例えば下記式(ETM-7-2)で表される化合物でもよい。
Figure 0007454810000135
1~R3は、同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、シクロアルキルチオ、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール、複素環基、ハロゲン、シアノ、アルデヒド、カルボニル、カルボキシル、アミノ、ニトロ、シリル、および隣接置換基との間に形成される縮合環の中から選ばれる。
Ar1は、同じでも異なっていてもよく、アリーレンまたはヘテロアリーレンである。Ar2は、同じでも異なっていてもよく、アリールまたはヘテロアリールである。ただし、Ar1およびAr2のうち少なくとも一方は置換基を有しているか、または隣接置換基との間に縮合環を形成している。nは0~3の整数であり、nが0のとき不飽和構造部分は存在せず、nが3のときR1は存在しない。
これらの置換基の内、アルキルとは、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチルなどの飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。置換されている場合の置換基には特に制限は無く、例えば、アルキル、アリール、複素環基等をあげることができ、この点は、以下の記載にも共通する。また、アルキルの炭素数は特に限定されないが、入手の容易性やコストの点から、通常、1~20の範囲である。
また、シクロアルキルとは、例えば、シクロプロピル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの飽和脂環式炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。アルキル部分の炭素数は特に限定されないが、通常、3~20の範囲である。
また、アラルキルとは、例えば、ベンジル、フェニルエチルなどの脂肪族炭化水素を介した芳香族炭化水素基を示し、脂肪族炭化水素と芳香族炭化水素はいずれも無置換でも置換されていてもかまわない。脂肪族部分の炭素数は特に限定されないが、通常、1~20の範囲である。
また、アルケニルとは、例えば、ビニル、アリル、ブタジエニルなどの二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。アルケニルの炭素数は特に限定されないが、通常、2~20の範囲である。
また、シクロアルケニルとは、例えば、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセンなどの二重結合を含む不飽和脂環式炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。
また、アルキニルとは、例えば、アセチレニルなどの三重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。アルキニル基の炭素数は特に限定されないが、通常、2~20の範囲である。
また、アルコキシとは、例えば、メトキシなどのエーテル結合を介した脂肪族炭化水素基を示し、脂肪族炭化水素基は無置換でも置換されていてもかまわない。アルコキシの炭素数は特に限定されないが、通常、1~20の範囲である。
また、アルキルチオとは、アルコキシのエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換された基である。
また、シクロアルキルチオとは、シクロアルコキシ基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換された基である。
また、アリールエーテル基とは、例えば、フェノキシなどのエーテル結合を介した芳香族炭化水素基を示し、芳香族炭化水素基は無置換でも置換されていてもかまわない。アリールエーテル基の炭素数は特に限定されないが、通常、6~40の範囲である。
また、アリールチオエーテル基とは、アリールエーテル基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換された基である。
また、アリールとは、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニリル、フェナントリル、ターフェニル、ピレニルなどの芳香族炭化水素基を示す。アリールは、無置換でも置換されていてもかまわない。アリールの炭素数は特に限定されないが、通常、6~40の範囲である。
また、複素環基とは、例えば、フラニル、チオフェニル、オキサゾリル、ピリジル、キノリニル、カルバゾリル基などの炭素以外の原子を有する環状構造基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。複素環基の炭素数は特に限定されないが、通常、2~30の範囲である。
ハロゲンとは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を示す。
アルデヒド、カルボニル、アミノには、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環などで置換された基も含むことができる。
また、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環は無置換でも置換されていてもかまわない。
シリルとは、例えば、トリメチルシリルなどのケイ素化合物基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。シリルの炭素数は特に限定されないが、通常、3~20の範囲である。また、ケイ素数は、通常、1~6である。
隣接置換基との間に形成される縮合環とは、例えば、Ar1とR2、Ar1とR3、Ar2とR2、Ar2とR3、R2とR3、Ar1とAr2などの間で形成された共役または非共役の縮合環である。ここで、nが1の場合、2つのR1同士で共役または非共役の縮合環を形成してもよい。これら縮合環は、環内構造に窒素、酸素、硫黄原子を含んでいてもよいし、さらに別の環と縮合してもよい。
このホスフィンオキサイド誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。
Figure 0007454810000136
このホスフィンオキサイド誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
[ピリミジン誘導体]
ピリミジン誘導体は、例えば下記式(ETM-8)で表される化合物であり、好ましくは下記式(ETM-8-1)で表される化合物である。詳細は国際公開第2011/021689号にも記載されている。
Figure 0007454810000137
Arは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールである。nは1~4の整数であり、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは2または3である。
「置換されていてもよいアリール」の「アリール」としては、例えば、炭素数6~30のアリールがあげられ、好ましくは炭素数6~24のアリール、より好ましくは炭素数6~20のアリール、さらに好ましくは炭素数6~12のアリールである。
具体的な「アリール」としては、単環系アリールであるフェニル、二環系アリールである(2-,3-,4-)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1-,2-)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m-テルフェニル-2'-イル、m-テルフェニル-4'-イル、m-テルフェニル-5'-イル、o-テルフェニル-3'-イル、o-テルフェニル-4'-イル、p-テルフェニル-2'-イル、m-テルフェニル-2-イル、m-テルフェニル-3-イル、m-テルフェニル-4-イル、o-テルフェニル-2-イル、o-テルフェニル-3-イル、o-テルフェニル-4-イル、p-テルフェニル-2-イル、p-テルフェニル-3-イル、p-テルフェニル-4-イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン-(1-,3-,4-,5-)イル、フルオレン-(1-,2-,3-,4-,9-)イル、フェナレン-(1-,2-)イル、(1-,2-,3-,4-,9-)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5'-フェニル-m-テルフェニル-2-イル、5'-フェニル-m-テルフェニル-3-イル、5'-フェニル-m-テルフェニル-4-イル、m-クアテルフェニリル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン-(1-,2-)イル、ピレン-(1-,2-,4-)イル、ナフタセン-(1-,2-,5-)イル、縮合五環系アリールであるペリレン-(1-,2-,3-)イル、ペンタセン-(1-,2-,5-,6-)イルなどがあげられる
「置換されていてもよいヘテロアリール」の「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2~30のヘテロアリールがあげられ、炭素数2~25のヘテロアリールが好ましく、炭素数2~20のヘテロアリールがより好ましく、炭素数2~15のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数2~10のヘテロアリールが特に好ましい。また、ヘテロアリールとしては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などがあげられる。
具体的なヘテロアリールとしては、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、インドリル、イソインドリル、1H-インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H-ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、インドリジニルなどがあげられる。
また、上記アリールおよびヘテロアリールは置換されていてもよく、それぞれ例えば上記アリールやヘテロアリールで置換されていてもよい。
このピリミジン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。
Figure 0007454810000138
このピリミジン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
[アリールニトリル誘導体]
アリールニトリル誘導体は、例えば下記式(ETM-9)で表される化合物、またはそれが単結合などで複数結合した多量体である。詳細は米国出願公開第2014/0197386号明細書に記載されている。
Figure 0007454810000139
Arniは、速い電子輸送性の観点からは炭素数が多いことが好ましく、高いT1の観点からは炭素数が少ないことが好ましい。Arniは、具体的には、発光層に隣接する層に用いるには高いT1であることが好ましく、炭素数6~20のアリールであり、好ましくは炭素数6~14のアリール、より好ましくは炭素数6~10のアリールである。また、ニトリル基の置換個数nは、高いT1の観点からは多いことが好ましく、高いS1の観点からは少ないことが好ましい。ニトリル基の置換個数nは、具体的には、1~4の整数であり、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは1~2の整数であり、さらに好ましくは1である。
Arは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールである。高いS1および高いT1の観点からドナー性のヘテロアリールであることが好ましく、電子輸送層として用いるためドナー性のヘテロアリールは少ないことが好ましい。電荷輸送性の観点からは炭素数の多いアリールまたはヘテロアリールが好ましく、置換基を多く有することが好ましい。Arの置換個数mは、具体的には、1~4の整数であり、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは1~2である。
「置換されていてもよいアリール」の「アリール」としては、例えば、炭素数6~30のアリールがあげられ、好ましくは炭素数6~24のアリール、より好ましくは炭素数6~20のアリール、さらに好ましくは炭素数6~12のアリールである。
具体的な「アリール」としては、単環系アリールであるフェニル、二環系アリールである(2-,3-,4-)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1-,2-)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m-テルフェニル-2'-イル、m-テルフェニル-4'-イル、m-テルフェニル-5'-イル、o-テルフェニル-3'-イル、o-テルフェニル-4'-イル、p-テルフェニル-2'-イル、m-テルフェニル-2-イル、m-テルフェニル-3-イル、m-テルフェニル-4-イル、o-テルフェニル-2-イル、o-テルフェニル-3-イル、o-テルフェニル-4-イル、p-テルフェニル-2-イル、p-テルフェニル-3-イル、p-テルフェニル-4-イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン-(1-,3-,4-,5-)イル、フルオレン-(1-,2-,3-,4-,9-)イル、フェナレン-(1-,2-)イル、(1-,2-,3-,4-,9-)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5'-フェニル-m-テルフェニル-2-イル、5'-フェニル-m-テルフェニル-3-イル、5'-フェニル-m-テルフェニル-4-イル、m-クアテルフェニリル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン-(1-,2-)イル、ピレン-(1-,2-,4-)イル、ナフタセン-(1-,2-,5-)イル、縮合五環系アリールであるペリレン-(1-,2-,3-)イル、ペンタセン-(1-,2-,5-,6-)イルなどがあげられる。
「置換されていてもよいヘテロアリール」の「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2~30のヘテロアリールがあげられ、炭素数2~25のヘテロアリールが好ましく、炭素数2~20のヘテロアリールがより好ましく、炭素数2~15のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数2~10のヘテロアリールが特に好ましい。また、ヘテロアリールとしては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などがあげられる。
具体的なヘテロアリールとしては、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、インドリル、イソインドリル、1H-インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H-ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、インドリジニルなどがあげられる。
また、上記アリールおよびヘテロアリールは置換されていてもよく、それぞれ例えば上記アリールやヘテロアリールで置換されていてもよい。
アリールニトリル誘導体は、式(ETM-9)で表される化合物が単結合などで複数結合した多量体であってもよい。この場合、単結合以外に、アリール環(好ましくは多価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)で結合されていてもよい。
このアリールニトリル誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。
Figure 0007454810000140
このアリールニトリル誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
[トリアジン誘導体]
トリアジン誘導体は、例えば下記式(ETM-10)で表される化合物であり、好ましくは下記式(ETM-10-1)で表される化合物である。詳細は米国公開公報2011/0156013号明細書に記載されている。
Figure 0007454810000141
Arは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールである。nは1~3の整数であり、好ましくは2または3である。
「置換されていてもよいアリール」の「アリール」としては、例えば、炭素数6~30のアリールがあげられ、好ましくは炭素数6~24のアリール、より好ましくは炭素数6~20のアリール、さらに好ましくは炭素数6~12のアリールである。
具体的な「アリール」としては、単環系アリールであるフェニル、二環系アリールである(2-,3-,4-)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1-,2-)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m-テルフェニル-2'-イル、m-テルフェニル-4'-イル、m-テルフェニル-5'-イル、o-テルフェニル-3'-イル、o-テルフェニル-4'-イル、p-テルフェニル-2'-イル、m-テルフェニル-2-イル、m-テルフェニル-3-イル、m-テルフェニル-4-イル、o-テルフェニル-2-イル、o-テルフェニル-3-イル、o-テルフェニル-4-イル、p-テルフェニル-2-イル、p-テルフェニル-3-イル、p-テルフェニル-4-イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン-(1-,3-,4-,5-)イル、フルオレン-(1-,2-,3-,4-,9-)イル、フェナレン-(1-,2-)イル、(1-,2-,3-,4-,9-)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5'-フェニル-m-テルフェニル-2-イル、5'-フェニル-m-テルフェニル-3-イル、5'-フェニル-m-テルフェニル-4-イル、m-クアテルフェニリル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン-(1-,2-)イル、ピレン-(1-,2-,4-)イル、ナフタセン-(1-,2-,5-)イル、縮合五環系アリールであるペリレン-(1-,2-,3-)イル、ペンタセン-(1-,2-,5-,6-)イルなどがあげられる
「置換されていてもよいヘテロアリール」の「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2~30のヘテロアリールがあげられ、炭素数2~25のヘテロアリールが好ましく、炭素数2~20のヘテロアリールがより好ましく、炭素数2~15のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数2~10のヘテロアリールが特に好ましい。また、ヘテロアリールとしては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などがあげられる。
具体的なヘテロアリールとしては、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、インドリル、イソインドリル、1H-インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H-ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、インドリジニルなどがあげられる。
また、上記アリールおよびヘテロアリールは置換されていてもよく、それぞれ例えば上記アリールやヘテロアリールで置換されていてもよい。
このトリアジン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。
Figure 0007454810000142
このトリアジン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
[ベンゾイミダゾール誘導体]
ベンゾイミダゾール誘導体は、例えば下記式(ETM-11)で表される化合物である。
Figure 0007454810000143
φは、n価のアリール環(好ましくはn価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)であり、nは1~4の整数であり、「ベンゾイミダゾール系置換基」は、式(ETM-2)、式(ETM-2-1)および式(ETM-2-2)における「ピリジン系置換基」の中のピリジル基がベンゾイミダゾール基に置き換わった置換基であり、ベンゾイミダゾール誘導体における少なくとも1つの水素は重水素で置換されていてもよい。
Figure 0007454810000144
*は結合位置を示す。
上記ベンゾイミダゾール基におけるR11は、水素、炭素数1~24のアルキル、炭素数3~12のシクロアルキルまたは炭素数6~30のアリールであり、式(ETM-2-1)および式(ETM-2-2)におけるR11の説明を引用することができる。
φは、さらに、アントラセン環またはフルオレン環であることが好ましく、この場合の構造は式(ETM-2-1)または式(ETM-2-2)での説明を引用することができ、各式中のR11~R18は式(ETM-2-1)または式(ETM-2-2)での説明を引用することができる。また、式(ETM-2-1)または式(ETM-2-2)では2つのピリジン系置換基が結合した形態で説明されているが、これらをベンゾイミダゾール系置換基に置き換えるときには、両方のピリジン系置換基をベンゾイミダゾール系置換基で置き換えてもよいし(すなわちn=2)、いずれか1つのピリジン系置換基をベンゾイミダゾール系置換基で置き換えて他方のピリジン系置換基をR11~R18で置き換えてもよい(すなわちn=1)。さらに、例えば式(ETM-2-1)におけるR11~R18の少なくとも1つをベンゾイミダゾール系置換基で置き換えて「ピリジン系置換基」をR11~R18で置き換えてもよい。
このベンゾイミダゾール誘導体の具体例としては、例えば1-フェニル-2-(4-(10-フェニルアントラセン-9-イル)フェニル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール、2-(4-(10-(ナフタレン-2-イル)アントラセン-9-イル)フェニル)-1-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール、2-(3-(10-(ナフタレン-2-イル)アントラセン-9-イル)フェニル)-1-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール、5-(10-(ナフタレン-2-イル)アントラセン-9-イル)-1,2-ジフェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール、1-(4-(10-(ナフタレン-2-イル)アントラセン-9-イル)フェニル)-2-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール、2-(4-(9,10-ジ(ナフタレン-2-イル)アントラセン-2-イル)フェニル)-1-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール、1-(4-(9,10-ジ(ナフタレン-2-イル)アントラセン-2-イル)フェニル)-2-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール、5-(9,10-ジ(ナフタレン-2-イル)アントラセン-2-イル)-1,2-ジフェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾールなどがあげられる。
Figure 0007454810000145
このベンゾイミダゾール誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
[フェナントロリン誘導体]
フェナントロリン誘導体は、例えば下記式(ETM-12)または式(ETM-12-1)で表される化合物である。詳細は国際公開2006/021982号に記載されている。
Figure 0007454810000146
φは、n価のアリール環(好ましくはn価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)であり、nは1~4の整数である。
各式のR11~R18は、それぞれ独立して、水素、アルキル(好ましくは炭素数1~24のアルキル)、シクロアルキル(好ましくは炭素数3~12のシクロアルキル)またはアリール(好ましくは炭素数6~30のアリール)である。また、式(ETM-12-1)においてはR11~R18のいずれかがアリール環であるφと結合する。
各フェナントロリン誘導体における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい。
11~R18におけるアルキル、シクロアルキルおよびアリールとしては、式(ETM-2)におけるR11~R18の説明を引用することができる。また、φは上記した例のほかに、例えば、以下の構造式があげられる。なお、下記構造式中のRは、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、イソプロピル、シクロヘキシル、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、ビフェニリルまたはテルフェニリルであり、*は、結合位置を表す。
Figure 0007454810000147
このフェナントロリン誘導体の具体例としては、例えば4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン、2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン、9,10-ジ(1,10-フェナントロリン-2-イル)アントラセン、2,6-ジ(1,10-フェナントロリン-5-イル)ピリジン、1,3,5-トリ(1,10-フェナントロリン-5-イル)ベンゼン、9,9'-ジフルオロ-ビス(1,10-フェナントロリン-5-イル)、バソクプロインや1,3-ビス(2-フェニル-1,10-フェナントロリン-9-イル)ベンゼンなどがあげられる。
Figure 0007454810000148
このフェナントロリン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
[キノリノール系金属錯体]
キノリノール系金属錯体は、例えば下記式(ETM-13)で表される化合物である。
Figure 0007454810000149
式中、R1~R6は、それぞれ独立して、水素、フッ素、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アルケニル、シアノ、アルコキシまたはアリールであり、MはLi、Al、Ga、BeまたはZnであり、nは1~3の整数である。
キノリノール系金属錯体の具体例としては、8-キノリノールリチウム、トリス(8-キノリノラート)アルミニウム、トリス(4-メチル-8-キノリノラート)アルミニウム、トリス(5-メチル-8-キノリノラート)アルミニウム、トリス(3,4-ジメチル-8-キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,5-ジメチル-8-キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,6-ジメチル-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(フェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2-メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(3-メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(4-メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(3-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(4-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,3-ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,6-ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(3,4-ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(3,5-ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(3,5-ジ-t-ブチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,6-ジフェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,4,6-トリフェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,4,6-トリメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,4,5,6-テトラメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(1-ナフトラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2-ナフトラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)(2-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)(3-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)(4-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)(3,5-ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)(3,5-ジ-t-ブチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2-メチル-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-4-エチル-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2-メチル-4-エチル-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-4-メトキシ-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2-メチル-4-メトキシ-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-5-シアノ-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2-メチル-5-シアノ-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-5-トリフルオロメチル-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2-メチル-5-トリフルオロメチル-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリン)ベリリウムなどがあげられる。
このキノリノール系金属錯体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
[チアゾール誘導体およびベンゾチアゾール誘導体]
チアゾール誘導体は、例えば下記式(ETM-14-1)で表される化合物である。
Figure 0007454810000150
ベンゾチアゾール誘導体は、例えば下記式(ETM-14-2)で表される化合物である。
Figure 0007454810000151
各式のφは、n価のアリール環(好ましくはn価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)であり、nは1~4の整数であり、「チアゾール系置換基」や「ベンゾチアゾール系置換基」は、式(ETM-2)、式(ETM-2-1)および式(ETM-2-2)における「ピリジン系置換基」の中のピリジル基がチアゾール基やベンゾチアゾール基に置き換わった置換基であり、チアゾール誘導体およびベンゾチアゾール誘導体における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい。
Figure 0007454810000152
φは、さらに、アントラセン環またはフルオレン環であることが好ましく、この場合の構造は式(ETM-2-1)または式(ETM-2-2)での説明を引用することができ、各式中のR11~R18は式(ETM-2-1)または式(ETM-2-2)での説明を引用することができる。また、式(ETM-2-1)または式(ETM-2-2)では2つのピリジン系置換基が結合した形態で説明されているが、これらをチアゾール系置換基(またはベンゾチアゾール系置換基)に置き換えるときには、両方のピリジン系置換基をチアゾール系置換基(またはベンゾチアゾール系置換基)で置き換えてもよいし(すなわちn=2)、いずれか1つのピリジン系置換基をチアゾール系置換基(またはベンゾチアゾール系置換基)で置き換えて他方のピリジン系置換基をR11~R18で置き換えてもよい(すなわちn=1)。さらに、例えば式(ETM-2-1)におけるR11~R18の少なくとも1つをチアゾール系置換基(またはベンゾチアゾール系置換基)で置き換えて「ピリジン系置換基」をR11~R18で置き換えてもよい。
これらのチアゾール誘導体またはベンゾチアゾール誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
[シロール誘導体]
シロール誘導体は、例えば下記式(ETM-15)で表される化合物である。詳細は特開平9-194487号公報に記載されている。
Figure 0007454810000153
XおよびYは、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリール、ヘテロアリールであり、これらは置換されていてもよい。これらの基の詳細については、式(1)および式(2)における説明、さらに式(ETM-7-2)における説明を引用できる。また、アルケニルオキシおよびアルキニルオキシは、それぞれアルコキシにおけるアルキル部分がアルケニルまたはアルキニルに置き換わった基であり、これらのアルケニルおよびアルキニルの詳細については式(ETM-7-2)における説明を引用できる。
また、XとYが結合してシクロアルキル環(およびその一部が不飽和になった環)を形成していてもよく、このシクロアルキル環の詳細は式(1)および式(2)におけるシクロアルキルの説明を参照することができる。
1~R4は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アゾ基、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、スルフィニル、スルフォニル、スルファニル、シリル、カルバモイル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニル、ニトロ、ホルミル、ニトロソ、ホルミルオキシ、イソシアノ、シアネート、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、または、シアノであり、これらはアルキル、シクロアルキル、アリールまたはハロゲンで置換されていてもよく、隣接置換基との間に縮合環を形成していてもよい。
1~R4における、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アリール、ヘテロアリール、アルケニルおよびアルキニルの詳細については、式(1)および式(2)における説明を引用できる。
1~R4における、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシおよびアリールオキシカルボニルオキシ中の、アルキル、アリールおよびアルコキシの詳細についても、式(1)および式(2)における説明を引用できる。
シリルとしては、シリル基、および、シリル基の3つの水素の少なくとも1つが、それぞれ独立して、アリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換された基があげられ、トリ置換シリルが好ましく、トリアリールシリル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルおよびアルキルジシクロアルキルシリル等があげられる。これらにおける、アリール、アルキルおよびシクロアルキルの詳細については、式(1)および式(2)における説明を引用できる。
隣接置換基との間に形成される縮合環とは、例えば、R1とR2、R2とR3、R3とR4等の間で形成された共役または非共役の縮合環である。これら縮合環は、環内構造に窒素、酸素、硫黄原子を含んでいてもよいし、さらに別の環と縮合してもよい。
ただし、好ましくは、R1およびR4がフェニル基の場合、XおよびYは、アルキルまたはフェニルではない。また、好ましくは、R1およびR4がチエニル基の場合、XおよびYは、アルキルを、R2およびR3は、アルキル、アリール、アルケニルまたはR2とR3が結合して環を形成するシクロアルキルを同時に満たさない構造である。また、好ましくは、R1およびR4がシリル基の場合、R2、R3、XおよびYは、それぞれ独立して、水素または炭素数1から6のアルキルではない。また、好ましくは、R1およびR2でベンゼン環が縮合した構造の場合、XおよびYは、アルキルおよびフェニルではない。
これらのシロール誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
[アゾリン誘導体]
アゾリン誘導体は、例えば下記式(ETM-16)で表される化合物である。詳細は国際公開第2017/014226号に記載されている。
Figure 0007454810000154
式(ETM-16)中、
φは炭素数6~40の芳香族炭化水素に由来するm価の基または炭素数2~40の芳香族複素環に由来するm価の基であり、φの少なくとも1つの水素は炭素数1~6のアルキル、炭素数3~14のシクロアルキル、炭素数6~18のアリールまたは炭素数2~18のヘテロアリールで置換されていてもよく、
Yは、それぞれ独立して、-O-、-S-または>N-Arであり、Arは炭素数6~12のアリールまたは炭素数2~12のヘテロアリールであり、Arの少なくとも1つの水素は炭素数1~4のアルキル、炭素数5~10のシクロアルキル、炭素数6~12のアリールまたは炭素数2~12のヘテロアリールで置換されていてもよく、R1~R5はそれぞれ独立して水素、炭素数1~4のアルキルまたは炭素数5~10のシクロアルキルであり、ただし、前記>N-ArにおけるArおよび前記R1~R5のうちのいずれか1つはLと結合する部位であり、
Lは、それぞれ独立して、下記式(L-1)で表される2価の基、および下記式(L-2)で表される2価の基からなる群から選ばれ、
Figure 0007454810000155
式(L-1)中、X1~X6はそれぞれ独立して=CR6-または=N-であり、X1~X6のうちの少なくとも2つは=CR6-であり、X1~X6のうちの2つの=CR6-におけるR6はφまたはアゾリン環と結合する部位であり、それ以外の=CR6-におけるR6は水素であり、
式(L-2)中、X7~X14はそれぞれ独立して=CR6-または=N-であり、X7~X14のうちの少なくとも2つは=CR6-であり、X7~X14のうちの2つの=CR6-におけるR6はφまたはアゾリン環と結合する部位であり、それ以外の=CR6-におけるR6は水素であり、
Lの少なくとも1つの水素は炭素数1~4のアルキル、炭素数5~10のシクロアルキル、炭素数6~10のアリールまたは炭素数2~10のヘテロアリールで置換されていてもよく、
mは1~4の整数であり、mが2~4であるとき、アゾリン環とLとで形成される基は同一であっても異なっていてもよく、そして、
式(ETM-16)で表される化合物中の少なくとも1つの水素は重水素で置換されていてもよい。
具体的なアゾリン誘導体は、下記式(ETM-16-1)または式(ETM-16-2)で表される化合物である。
Figure 0007454810000156
式(ETM-16-1)および式(ETM-16-2)中、
φは炭素数6~40の芳香族炭化水素に由来するm価の基または炭素数2~40の芳香族複素環に由来するm価の基であり、φの少なくとも1つの水素は炭素数1~6のアルキル、炭素数3~14のシクロアルキル、炭素数6~18のアリールまたは炭素数2~18のヘテロアリールで置換されていてもよく、
式(ETM-16-1)中、Yは、それぞれ独立して、-O-、-S-または>N-Arであり、Arは炭素数6~12のアリールまたは炭素数2~12のヘテロアリールであり、Arの少なくとも1つの水素は炭素数1~4のアルキル、炭素数5~10のシクロアルキル、炭素数6~12のアリールまたは炭素数2~12のヘテロアリールで置換されていてもよく、
式(ETM-16-1)中、R1~R4はそれぞれ独立して水素、炭素数1~4のアルキルまたは炭素数5~10のシクロアルキルであり、ただし、R1とR2は同一であり、またR3とR4は同一であり、
式(ETM-16-2)中、R1~R5はそれぞれ独立して水素、炭素数1~4のアルキルまたは炭素数5~10のシクロアルキルであり、ただし、R1とR2は同一であり、またR3とR4は同一であり、
式(ETM-16-1)および式(ETM-16-2)中、
Lは、それぞれ独立して、下記式(L-1)で表される2価の基、および下記式(L-2)で表される2価の基からなる群から選ばれ、
Figure 0007454810000157
式(L-1)中、X1~X6はそれぞれ独立して=CR6-または=N-であり、X1~X6のうちの少なくとも2つは=CR6-であり、X1~X6のうちの2つの=CR6-におけるR6はφまたはアゾリン環と結合する部位であり、それ以外の=CR6-におけるR6は水素であり、
式(L-2)中、X7~X14はそれぞれ独立して=CR6-または=N-であり、X7~X14のうちの少なくとも2つは=CR6-であり、X7~X14のうちの2つの=CR6-におけるR6はφまたはアゾリン環と結合する部位であり、それ以外の=CR6-におけるR6は水素であり、
Lの少なくとも1つの水素は炭素数1~4のアルキル、炭素数5~10のシクロアルキル、炭素数6~10のアリールまたは炭素数2~10のヘテロアリールで置換されていてもよく、
mは1~4の整数であり、mが2~4であるとき、アゾリン環とLとで形成される基は同一であっても異なっていてもよく、そして、
式(ETM-16-1)または式(ETM-16-2)で表される化合物中の少なくとも1つの水素は重水素で置換されていてもよい。
好ましくは、φは、下記式(φ1-1)~式(φ1-18)で表される1価の基、下記式(φ2-1)~式(φ2-34)で表される2価の基、下記式(φ3-1)~式(φ3-3)で表される3価の基、および下記式(φ4-1)~式(φ4-2)で表される4価の基からなる群から選択され、φの少なくとも1つの水素は炭素数1~6のアルキル、炭素数3~14のシクロアルキル、炭素数6~18のアリールまたは炭素数2~18のヘテロアリールで置換されていてもよい。
Figure 0007454810000158
Figure 0007454810000159
Figure 0007454810000160
式中のZは、>CR2、>N-Ar、>N-L、-O-または-S-であり、>CR2におけるRは、それぞれ独立して、炭素数1~4のアルキル、炭素数5~10のシクロアルキル、炭素数6~12のアリールまたは炭素数2~12のヘテロアリールであり、Rは互いに結合して環を形成していてもよく、>N-ArにおけるArは炭素数6~12のアリールまたは炭素数2~12のヘテロアリールであり、>N-LにおけるLは式(ETM-16)、式(ETM-16-1)または式(ETM-16-2)におけるLである。式中の*は、結合位置を表す。
好ましくは、Lは、ベンゼン、ナフタレン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、ナフチリジン、フタラジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、およびプテリジンからなる群から選択される環の2価の基であり、Lの少なくとも1つの水素は炭素数1~4のアルキル、炭素数5~10のシクロアルキル、炭素数6~10のアリールまたは炭素数2~10のヘテロアリールで置換されていてもよい。
好ましくは、YまたはZとしての>N-ArにおけるArは、フェニル、ナフチル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニル、キノリニル、イソキノリニル、ナフチリジニル、フタラジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、およびプテリジニルからなる群から選択され、Yとしての>N-ArにおけるArの少なくとも1つの水素は炭素数1~4のアルキル、炭素数5~10のシクロアルキルまたは炭素数6~10のアリールで置換されていてもよい。
好ましくは、R1~R4はそれぞれ独立して水素、炭素数1~4のアルキルまたは炭素数5~10のシクロアルキルであり、ただし、R1とR2は同一であり、R3とR4は同一であり、またR1~R4の全てが同時に水素になることはなく、そして、mは1または2であり、mが2であるとき、アゾリン環とLとで形成される基は同一である。
アゾリン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。なお、構造式中の「Me」はメチルを表す。
Figure 0007454810000161
より好ましくは、φは、下記式(φ2-1)、式(φ2-31)、式(φ2-32)、式(φ2-33)および式(φ2-34)で表される2価の基からなる群から選択され、φの少なくとも1つの水素は炭素数6~18のアリールで置換されていてもよく、
Figure 0007454810000162
Lは、ベンゼン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、およびトリアジンからなる群から選択される環の2価の基であり、Lの少なくとも1つの水素は炭素数1~4のアルキル、炭素数5~10のシクロアルキル、炭素数6~10のアリールまたは炭素数2~14のヘテロアリールで置換されていてもよく、
Yとしての>N-ArにおけるArは、フェニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、およびトリアジニルからなる群から選択され、当該Arの少なくとも1つの水素は炭素数1~4のアルキル、炭素数5~10のシクロアルキルまたは炭素数6~10のアリールで置換されていてもよく、
1~R4はそれぞれ独立して水素、炭素数1~4のアルキルまたは炭素数5~10のシクロアルキルであり、ただし、R1とR2は同一であり、R3とR4は同一であり、またR1~R4の全てが同時に水素になることはなく、そして、
mは2であり、アゾリン環とLとで形成される基は同一である。
アゾリン誘導体の他の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。なお、構造式中の「Me」はメチルを表す。
Figure 0007454810000163
このアゾリン誘導体を規定する上記各式中の、アルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールの詳細については、式(1)および式(2)における説明を引用できる。
このアゾリン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
[還元性物質、その他]
電子輸送層または電子注入層には、さらに、電子輸送層または電子注入層を形成する材料を還元できる物質を含んでいてもよい。この還元性物質は、一定の還元性を有する物質であれば、様々な物質が用いられ、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体および希土類金属の有機錯体からなる群から選択される少なくとも1つを好適に使用することができる。
好ましい還元性物質としては、Na(仕事関数2.36eV)、K(同2.28eV)、Rb(同2.16eV)またはCs(同1.95eV)などのアルカリ金属や、Ca(同2.9eV)、Sr(同2.0~2.5eV)またはBa(同2.52eV)などのアルカリ土類金属があげられ、仕事関数が2.9eV以下の物質が特に好ましい。これらのうち、より好ましい還元性物質は、K、RbまたはCsのアルカリ金属であり、さらに好ましくはRbまたはCsであり、最も好ましいのはCsである。これらのアルカリ金属は、特に還元能力が高く、電子輸送層または電子注入層を形成する材料への比較的少量の添加により、有機EL素子における発光輝度の向上や長寿命化が図られる。また、仕事関数が2.9eV以下の還元性物質として、これら2種以上のアルカリ金属の組み合わせも好ましく、特に、Csを含んだ組み合わせ、例えば、CsとNa、CsとK、CsとRb、またはCsとNaとKとの組み合わせが好ましい。Csを含むことにより、還元能力を効率的に発揮することができ、電子輸送層または電子注入層を形成する材料への添加により、有機EL素子における発光輝度の向上や長寿命化が図られる。
上述した電子輸注入層用材料および電子輸送層用材料は、これらに反応性置換基が置換した反応性化合物をモノマーとして高分子化させた高分子化合物、もしくはその高分子架橋体、または、主鎖型高分子と前記反応性化合物とを反応させたペンダント型高分子化合物、もしくはそのペンダント型高分子架橋体としても、電子層用材料に用いることができる。
<有機電界発光素子における陰極>
陰極108は、電子注入層107および電子輸送層106を介して、発光層105に電子を注入する役割を果たす。
陰極108を形成する材料としては、電子を有機層に効率よく注入できる物質であれば特に限定されないが、陽極102を形成する材料と同様の材料を用いることができる。なかでも、スズ、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金、鉄、亜鉛、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムおよびマグネシウムなどの金属またはそれらの合金(マグネシウム-銀合金、マグネシウム-インジウム合金、フッ化リチウム/アルミニウムなどのアルミニウム-リチウム合金など)などが好ましい。電子注入効率をあげて素子特性を向上させるためには、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウムまたはこれら低仕事関数金属を含む合金が有効である。しかしながら、これらの低仕事関数金属は一般に大気中で不安定であることが多い。この点を改善するために、例えば、有機層に微量のリチウム、セシウムやマグネシウムをドーピングして、安定性の高い電極を使用する方法が知られている。その他のドーパントとしては、フッ化リチウム、フッ化セシウム、酸化リチウムおよび酸化セシウムのような無機塩も使用することができる。ただし、これらに限定されない。
さらに、電極保護のために白金、金、銀、銅、鉄、スズ、アルミニウムおよびインジウムなどの金属、またはこれら金属を用いた合金、そしてシリカ、チタニアおよび窒化ケイ素などの無機物、ポリビニルアルコール、塩化ビニル、炭化水素系高分子化合物などを積層することが、好ましい例としてあげられる。これらの電極の作製法も、抵抗加熱、電子線ビーム蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングおよびコーティングなど、導通を取ることができれば特に制限されない。
<各層で用いてもよい結着剤>
以上の正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層および電子注入層に用いられる材料は単独で各層を形成することができるが、高分子結着剤としてポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ(N-ビニルカルバゾール)、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリブタジエン、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリウレタン樹脂などの溶剤可溶性樹脂や、フェノール樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの硬化性樹脂などに分散させて用いることも可能である。
<有機電界発光素子の作製方法>
有機EL素子を構成する各層は、各層を構成すべき材料を蒸着法、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、分子積層法、印刷法、インクジェット法、スピンコート法またはキャスト法、コーティング法などの方法で薄膜とすることにより、形成することができる。このようにして形成された各層の膜厚については特に限定はなく、材料の性質に応じて適宜設定することができるが、通常2nm~5000nmの範囲である。膜厚は通常、水晶発振式膜厚測定装置などで測定できる。蒸着法を用いて薄膜化する場合、その蒸着条件は、材料の種類、膜の目的とする結晶構造および会合構造などにより異なる。蒸着条件は一般的に、ボート加熱温度+50~+400℃、真空度10-6~10-3Pa、蒸着速度0.01~50nm/秒、基板温度-150~+300℃、膜厚2nm~5μmの範囲で適宜設定することが好ましい。
次に、有機EL素子を作製する方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/ホスト材料とドーパント材料からなる発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機EL素子の作製法について説明する。適当な基板上に、陽極材料の薄膜を蒸着法などにより形成させて陽極を作製した後、この陽極上に正孔注入層および正孔輸送層の薄膜を形成させる。この上にホスト材料とドーパント材料を共蒸着し薄膜を形成させて発光層とし、この発光層の上に電子輸送層、電子注入層を形成させ、さらに陰極用物質からなる薄膜を蒸着法などにより形成させて陰極とすることにより、目的の有機EL素子が得られる。なお、上述の有機EL素子の作製においては、作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。
このようにして得られた有機EL素子に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を-の極性として印加すればよく、電圧2~40V程度を印加すると、透明または半透明の電極側(陽極または陰極、および両方)より発光が観測できる。また、この有機EL素子は、パルス電流や交流電流を印加した場合にも発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
<有機電界発光素子の応用例>
また、本発明は、有機EL素子を備えた表示装置または有機EL素子を備えた照明装置などにも応用することができる。
有機EL素子を備えた表示装置または照明装置は、本実施形態にかかる有機EL素子と公知の駆動装置とを接続するなど公知の方法によって製造することができ、直流駆動、パルス駆動、交流駆動など公知の駆動方法を適宜用いて駆動することができる。
表示装置としては、例えば、カラーフラットパネルディスプレイなどのパネルディスプレイ、フレキシブルカラー有機電界発光(EL)ディスプレイなどのフレキシブルディスプレイなどがあげられる(例えば、特開平10-335066号公報、特開2003-321546号公報、特開2004-281086号公報など参照)。また、ディスプレイの表示方式としては、例えば、マトリクスおよび/またはセグメント方式などがあげられる。なお、マトリクス表示とセグメント表示は同じパネルの中に共存していてもよい。
マトリクスでは、表示のための画素が格子状やモザイク状など二次元的に配置されており、画素の集合で文字や画像を表示する。画素の形状やサイズは用途によって決まる。例えば、パソコン、モニター、テレビの画像および文字表示には、通常一辺が300μm以下の四角形の画素が用いられ、また、表示パネルのような大型ディスプレイの場合は、一辺がmmオーダーの画素を用いることになる。モノクロ表示の場合は、同じ色の画素を配列すればよいが、カラー表示の場合には、赤、緑、青の画素を並べて表示させる。この場合、典型的にはデルタタイプとストライプタイプがある。そして、このマトリクスの駆動方法としては、線順次駆動方法やアクティブマトリックスのどちらでもよい。線順次駆動の方が構造が簡単であるという利点があるが、動作特性を考慮した場合、アクティブマトリックスの方が優れる場合があるので、これも用途によって使い分けることが必要である。
セグメント方式(タイプ)では、予め決められた情報を表示するようにパターンを形成し、決められた領域を発光させることになる。例えば、デジタル時計や温度計における時刻や温度表示、オーディオ機器や電磁調理器などの動作状態表示および自動車のパネル表示などがあげられる。
照明装置としては、例えば、室内照明などの照明装置、液晶表示装置のバックライトなどがあげられる(例えば、特開2003-257621号公報、特開2003-277741号公報、特開2004-119211号公報など参照)。バックライトは、主に自発光しない表示装置の視認性を向上させる目的に使用され、液晶表示装置、時計、オーディオ装置、自動車パネル、表示板および標識などに使用される。特に、液晶表示装置、中でも薄型化が課題となっているパソコン用途のバックライトとしては、従来方式が蛍光灯や導光板からなっているため薄型化が困難であることを考えると、本実施形態に係る発光素子を用いたバックライトは薄型で軽量が特徴になる。
4-2.その他の有機デバイス
本発明に係る多環芳香族化合物は、上述した有機電界発光素子の他に、有機電界効果トランジスタまたは有機薄膜太陽電池などの作製に用いることができる。
有機電界効果トランジスタは、電圧入力によって発生させた電界により電流を制御するトランジスタのことであり、ソース電極とドレイン電極の他にゲート電極が設けられている。ゲート電極に電圧を印加すると電界が生じ、ソース電極とドレイン電極間を流れる電子(あるいはホール)の流れを任意にせき止めて電流を制御することができるトランジスタである。電界効果トランジスタは、単なるトランジスタ(バイポーラトランジスタ)に比べて小型化が容易であり、集積回路などを構成する素子としてよく用いられている。
有機電界効果トランジスタの構造は、通常、本発明に係る多環芳香族化合物を用いて形成される有機半導体活性層に接してソース電極およびドレイン電極が設けられており、さらに有機半導体活性層に接した絶縁層(誘電体層)を挟んでゲート電極が設けられていればよい。その素子構造としては、例えば以下の構造があげられる。
(1)基板/ゲート電極/絶縁体層/ソース電極・ドレイン電極/有機半導体活性層
(2)基板/ゲート電極/絶縁体層/有機半導体活性層/ソース電極・ドレイン電極
(3)基板/有機半導体活性層/ソース電極・ドレイン電極/絶縁体層/ゲート電極
(4)基板/ソース電極・ドレイン電極/有機半導体活性層/絶縁体層/ゲート電極
このように構成された有機電界効果トランジスタは、アクティブマトリックス駆動方式の液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンスディスプレイの画素駆動スイッチング素子などとして適用できる。
有機薄膜太陽電池は、ガラスなどの透明基板上にITOなどの陽極、ホール輸送層、光電変換層、電子輸送層、陰極が積層された構造を有する。光電変換層は陽極側にp型半導体層を有し、陰極側にn型半導体層を有している。本発明に係る多環芳香族化合物は、その物性に応じて、ホール輸送層、p型半導体層、n型半導体層、電子輸送層の材料として用いることが可能である。本発明に係る多環芳香族化合物は、有機薄膜太陽電池においてホール輸送材料や電子輸送材料として機能しうる。有機薄膜太陽電池は、上記の他にホールブロック層、電子ブロック層、電子注入層、ホール注入層、平滑化層などを適宜備えていてもよい。有機薄膜太陽電池には、有機薄膜太陽電池に用いられる既知の材料を適宜選択して組み合わせて用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
合成例(1)
化合物(1-38):2,12-ジ-tertブチル-5-(4-(tertブチル)フェニル)-7-メチル-5,9-ジヒドロ-5,9-ジアザ-13b-ボラナフト[3,2,1-de]アントラセンの合成
Figure 0007454810000164
窒素雰囲気下、2,3-ジクロロ-5-メチルアニリン(100g、0.56mol)、1-ブロモ-4-(tert-ブチル)ベンゼン(290g、1.36mol)、ナトリウムtert-ブトキシド(174g,1.82mol)、Pd-132(10.0g,14.2mmol)およびキシレン(1000ml)の入ったフラスコを120℃に加熱し、3時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却し、トルエン(200ml)を加えた後、有機層を水(200ml)にて3回洗浄した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン)および再結晶(へプタン)にて精製することにより、N,N-ビス(4-(tert-ブチル)フェニル)-2,3-ジクロロ-5-メチルアニリン(170g、収率64%)を得た。
Figure 0007454810000165
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR(500MHz,CDCl3):δ=0.86(s,18H)、2.36(s,3H)、6.94(s,1H)、7.07(s,1H)、7.10(d,8H).
窒素雰囲気下、N,N-ビス(4-(tert-ブチル)フェニル)-2,3-ジクロロ-5-メチルアニリン(100g、0.23mol)、ベンジルアミン(25.6g、0.24mol)、ナトリウムtert-ブトキシド(32.8g,0.34mol)、Pd(dba)2(2.61g,4.54mmol)、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ビフェニル(2.71g,9.08mmol)およびトルエン(500ml)の入ったフラスコを3時間加熱還流した。反応溶液を室温まで冷却し、トルエン(100ml)を加えた後、有機層を水(100ml)にて3回洗浄した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン)および再結晶(へプタン)にて精製することにより、N1-ベンジル-N3,N3‐ビス(4-(tert-ブチル)フェニル)-2-クロロ-5-メチルベンゼン-1,3-ジアミン(104g、収率90%)を得た。
Figure 0007454810000166
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR(500MHz,CDCl3):δ=1.29(s,18H)、2.20(s,3H)、4.37(s,2H)、4.70(s,1H)、6.39(s,1H)、6.47(s,1H)、6.92(d,4H)、7.20(d,4H)、7.29(t,1H)、7.35-7.40(m,4H).
窒素雰囲気下、N1-ベンジル-N3,N3‐ビス(4-(tert-ブチル)フェニル)-2-クロロ-5-メチルベンゼン-1,3-ジアミン(50.0g、97.8mmol)、1-ブロモ-4-(tert-ブチル)ベンゼン(21.9g、102.7mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド(14.1g,146.7mmol)、Pd(dba)2(1.12g,1.96mmol)、トリス-tert-ブチルホスフィン(0.79g,3.91mmol)およびトルエン(500ml)の入ったフラスコを3時間加熱還流した。反応溶液を室温まで冷却し、トルエン(100ml)を加えた後、有機層を水(100ml)にて3回洗浄した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン)および再結晶(へプタン)にて精製することにより、N1-ベンジル-N1,N3,N3-トリス(4-(tert-ブチル)フェニル)-2-クロロ-5-メチルベンゼン-1,3-ジアミン(40.9g、収率65%)を得た。
Figure 0007454810000167
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR(500MHz,CDCl3):δ=1.25(s,9H)、1.30(s,18H)、2.22(s,3H)、4.83(s,2H)、6.52(d,2H)、6.89(d,4H)、6.98(d,1H)、7.06(d,1H)、7.14(d,2H)、7.22(d,4H)、7.23(t,1H)、7.30(t,2H)、7.42(d,2H).
窒素雰囲気下、N1-ベンジル-N1,N3,N3-トリス(4-(tert-ブチル)フェニル)-2-クロロ-5-メチルベンゼン-1,3-ジアミン(13.0、20.2mmol)およびtert-ブチルべンゼン(130.0ml)の入ったフラスコに、1.6Mのtert-ブチルリチウムノルマルペンタン溶液(24.6ml、40.4mmol)を氷冷(5℃)下ゆっくりと滴下した。滴下終了後60℃まで昇温し15分間撹拌、続けて15分間ペンタンを減圧留去しながら撹拌した。反応液を-50℃まで冷却して三臭化ホウ素(3.89ml、40.4mmol)を加え、室温まで昇温しながら30分間撹拌した。その後、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(5.2g、40.4mmol)を加えて100℃で1時間撹拌した。反応液を室温まで放冷した後、氷冷酢酸ナトリウム水溶液を滴下し、酢酸エチルにて目的物を抽出した。有機層を純水で3回洗浄した後、溶媒を減圧留去することで、粗生成物を15.2g得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン)および再沈殿(ヘプタン)にて精製することにより、9-ベンジル-2,12-ジ-tert-ブチル-5-(4-(tert-ブチル)フェニル)-7-メチル-5,9-ジヒドロ-5,9-ジアザ-13b-ボラナフト[3,2,1-de]アントラセンを(1.6g、収率12.5%)得た。
Figure 0007454810000168
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR(500MHz,(CDCl3)):δ=1.46(s、9H),1.47(s、9H),1,47(s、9H)、2.26(s,3H)、5.57(s,2H)、6.04(s,1H)、6.55(s,1H)、6.70(d,1H)、7.25-7.38(m,11H)、7.51(dd,1H)、7.60(dd,1H)、7.68(d,2H)、8.93(dd,2H).
9-ベンジル-2,12-ジ-tert-ブチル-5-(4-(tert-ブチル)フェニル)-7-メチル-5,9-ジヒドロ-5,9-ジアザ-13b-ボラナフト[3,2,1-de]アントラセン(1.6g、2.6mmol)、THF(16.0ml)およびIPA(8.0ml)の入ったフラスコに、水酸化パラジウム(0.2g)を加え、適宜水酸化パラジウムを追加しながら室温で撹拌した。HPLCにてベンジル体の消失を確認した後、触媒をろ過し、ろ液を濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン)および再沈殿(ヘプタン)にて精製することにより、2,12-ジ-tert-ブチル-5-(4-(tert-ブチル)フェニル)-7-メチル-5,9-ジヒドロ-5,9-ジアザ-13b-ボラナフト[3,2,1-de]アントラセン(1-38)を(1.0g、収率71%)得た。
Figure 0007454810000169
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR(500MHz,(CDCl3)):δ=1.46(s,9H)、1.47(s,9H)、1.49(s,9H)、2.32(s,3H)、5.89(s,1H)、6.54(s,1H)、6.66(d,2H)、7.24-7.26(m,2H)、7.47(dd,1H)、7.65(dd,1H)、7.67(d,2H)、7.95(s,1H)、8.96(dd,2H).
実施例(1)
2、12-ジ-tert-ブチル-5-(4-(tert-ブチルフェニル)-9-(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-7-メチル-5,9-ジヒドロ-5,9-ジアザ-13b-ボラナフト[3,2,1-de]アントラセンの合成
窒素雰囲気下、2,12-ジ-tert-ブチル-5-(4-(tert-ブチル)フェニル)-7-メチル-5,9-ジヒドロ-5,9-ジアザ-13b-ボラナフト[3,2,1-de]アントラセン(1-38)(3.0g)、1-ブロモ-3,5-ジ-t-ブチルベンゼン(2.1g)、Pd(dba)2(0.61g)、トリ-t-ブチルホスフィン(0.43g)、ナトリウム-t-ブトキシド(NaOtBu、1.0g)およびトルエン(28mL)をフラスコに入れ、1時間加熱還流した。反応後、水を加えて反応を停止させた後に分液抽出を行い、得られた有機層を濃縮して得られる粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;トルエン)で精製することで、目的の2、12-ジ-tert-ブチル-5-(4-(tert-ブチルフェニル)-9-(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-7-メチル-5,9-ジヒドロ-5,9-ジアザ-13b-ボラナフト[3,2,1-de]アントラセンを3.8g得た。
Figure 0007454810000170
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR(500MHz,(CDCl3)):1.37(s、18H)、1.47(s、9H)、1.47(s、9H)、1.48(s、9H)、2.17(s、3H)、5.97(d、2H)、6.69(t、2H),7.20(d、2H)、7.27(d、2H)、7.50(dt、2H),7.60(t、1H)、7.68(d、2H)、8.99(t、2H).
実施例(2)
2,12-ジ-tert-ブチル-5-(4-(tert-ブチル)フェニル)-9-(ジベンゾ[b、d]フラン-2-イル)-7-メチル-5,9-ジヒドロ-5,9-ジアザ-13b-ボラナフト[3,2,1-de]アントラセンの合成
窒素雰囲気下、2,12-ジ-tert-ブチル-5-(4-(tert-ブチル)フェニル)-7-メチル-5,9-ジヒドロ-5,9-ジアザ-13b-ボラナフト[3,2,1-de]アントラセン(1-38)(3.0g)、2-ブロモジベンゾ[b、d]フラン(2.0g)、Pd(dba)2(0.61g)、トリ-t-ブチルホスフィン(0.43g)、ナトリウム-t-ブトキシド(NaOtBu、1.0g)およびトルエン(28mL)をフラスコに入れ、1時間加熱還流した。反応後、水を加えて反応を停止させた後に分液抽出を行い、得られた有機層を濃縮して得られる粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;トルエン)で精製することで、目的の2,12-ジ-tert-ブチル-5-(4-(tert-ブチル)フェニル)-9-(ジベンゾ[b、d]フラン-2-イル)-7-メチル-5,9-ジヒドロ-5,9-ジアザ-13b-ボラナフト[3,2,1-de]アントラセンを2.4g得た。
Figure 0007454810000171
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR(500MHz,(CDCl3)):1.47(s、9H)、1.47(s、9H),1.48(s、9H)、2.12(s、3H)、5.97(d、2H)、6.72(dd、2H)、7.29(dt、2H)、7.37(t、1H)、7.46(dd、2H)、7.51~7.54(m.2H)、7.66~7.69(m、3H)、7.87(d、1H)、7.90(d、1H)、7.98(d、1H)、9.01(dd、2H).
本発明により、式(1)で表される多環芳香族化合物およびその多量体が提供される。式(1)で表される多環芳香族化合物またはその多量体を有機デバイス用材料として用いることで、有機EL素子などの有機デバイスを提供することができる。式(1)で表される多環芳香族化合物およびその多量体は、さまざまなアリールやヘテロアリールを有する式(1)で表される多環芳香族化合物およびその多量体のN-アリール体の合成中間体としても有用である。
100 有機電界発光素子
101 基板
102 陽極
103 正孔注入層
104 正孔輸送層
105 発光層
106 電子輸送層
107 電子注入層
108 陰極

Claims (17)

  1. 式(2)で表され、式(2)で表される単位構造を複数有していない、多環芳香族化合物
    (式(2)中、
    1~R11は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ(R 10 がジフェニルアミノである場合を除く)、ジアリールボリル、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、またはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキル、またはシクロアルキルで置換されていてもよく、R1~R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環、またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキル、またはシクロアルキルで置換されていてもよく、
    Rは置換されていてもよい炭素数6~12のアリール、置換されていてもよい炭素数2~15のヘテロアリール、置換されていてもよい炭素数1~6のアルキル、または置換されていてもよい炭素数3~14のシクロアルキルである。
  2. 1~R11が、それぞれ独立して、水素、炭素数1~6のアルキルもしくは炭素数3~12のシクロアルキルで置換されていてもよい炭素数6~12のアリール、炭素数1~6のアルキルもしくは炭素数3~12のシクロアルキルで置換されていてもよい炭素数2~15のヘテロアリール、炭素数1~6のアルキルで置換されていてもよい炭素数12~24のジアリールアミノ、炭素数1~6のアルキル、または炭素数3~12のシクロアルキルである、請求項1に記載の多環芳香族化合物
  3. 1~R11が、それぞれ独立して、水素、炭素数1~6のアルキルもしくはアダマンチルで置換されていてもよいフェニル、カルバゾリル、メチル、t-ブチル、t-ペンチル、またはアダマンチルである、請求項2に記載の多環芳香族化合物
  4. 1、R3、R4、R7、R8、R11が、いずれも水素である、請求項1~3のいずれか一項に記載の多環芳香族化合物
  5. 前記>N-RのRが置換されていてもよい炭素数6~12のアリールである、請求項1~4のいずれか一項に記載の多環芳香族化合物
  6. 下記式(1-38)で表される請求項1に記載の多環芳香族化合物
  7. ホウ素のハロゲン化物を用いて、連続的な芳香族求電子置換反応により、下記中間体1-A(式中Halはハロゲンあるいは擬ハロゲンである。)におけるa環とb環とc環とをホウ素により結合し、下記N-ベンジル化体を得る反応工程、および脱ベンジル化を行なって式(2)で表される多環芳香族化合物を得る工程を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の多環芳香族化合物の製造方法。
  8. 請求項1~6のいずれか一項に記載の多環芳香族化合物のNHをアリール化することを含む、下記式(1-NAr)で表される化合物の製造方法。
    (式(1-NAr)中、 1 ~R 11 はそれぞれ式(2) 1 ~R 11 と同義であり、Arはアリールまたはヘテロアリールである。)
  9. 請求項1~6のいずれか一項に記載の多環芳香族化合物を含有する、有機デバイス用材料。
  10. 前記有機デバイス用材料は、有機電界発光素子用材料、有機電界効果トランジスタ用材料または有機薄膜太陽電池用材料である、請求項9に記載の有機デバイス用材料。
  11. 前記有機電界発光素子用材料が発光層用材料である、請求項10に記載の有機デバイス用材料。
  12. 陽極および陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に配置され、請求項11に記載の発光層用材料を含有する発光層とを有する、有機電界発光素子。
  13. 前記発光層はさらに下記式(3)で表される化合物および/または下記式(4)で表される化合物を含有する、請求項12に記載の有機電界発光素子。
    (式(3)中、L1は炭素数6~24のアリーレンであり、
    式(4)中、L2およびL3は、それぞれ独立して、炭素数6~30のアリールまたは炭素数2~30のヘテロアリールであり、
    上記各式で表される化合物における少なくとも1つの水素は、炭素数1~6のアルキル、炭素数3~14のシクロアルキル、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。)
  14. 前記陰極と該発光層との間に配置される電子輸送層および/または電子注入層を有し、該電子輸送層および電子注入層の少なくとも1つは、ボラン誘導体、ピリジン誘導体、フルオランテン誘導体、BO系誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾフルオレン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、ピリミジン誘導体、アリールニトリル誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、フェナントロリン誘導体およびキノリノール系金属錯体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、請求項12または13に記載の有機電界発光素子。
  15. 前記電子輸送層および/または電子注入層が、さらに、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体および希土類金属の有機錯体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、請求項14に記載の有機電界発光素子。
  16. 請求項12~15のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を備えた表示装置。
  17. 請求項12~15のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を備えた照明装置。
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